(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】自動注射器デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20231016BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20231016BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61M5/20 572
A61M5/32 500
A61M5/32 510K
A61M5/24 540
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021158900
(22)【出願日】2021-09-29
(62)【分割の表示】P 2019560049の分割
【原出願日】2018-01-20
【審査請求日】2021-10-05
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519266384
【氏名又は名称】エル.ジー.ピー. テクノロジー ホールディングス リミティッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】L.G.P. TECHNOLOGY HOLDINGS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャンバティスタ,ルチオ
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532189(JP,A)
【文献】特表2013-530024(JP,A)
【文献】特表2015-536162(JP,A)
【文献】特表2013-521858(JP,A)
【文献】国際公開第2015/197866(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/003813(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の皮下投与のための自動注射器であって、
ハウジングと;
前記ハウジング内に位置決めされ、穿刺可能な隔膜を備える薬剤カートリッジと;
長手方向に延びる空洞を有し、前記ハウジング内に位置決めされる注射用針であって、前記
注射用針は第1の位置と第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置において前記
注射用針の空洞は前記薬剤カートリッジの内部と流体連通せず、前記第2の位置において前記
注射用針の空洞は前記薬剤カートリッジの内部と流体連通する、前記注射用針と;
前記ハウジングから取り外される際に、前記
注射用針が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動して、前記
注射用針の遠位端が前記薬剤カートリッジの前記隔膜を穿刺するように、前記ハウジングへ解放可能に取り付けられるキャップと;
前記
注射用針を越えて近位方向に延在する延伸位置から、注射中に前記
注射用針の少なくとも一端が露出される引込位置へ移動可能な針シールドと;
前記ハウジング内に位置決めされ、前記薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダであって、第1の位置と、前記第1の位置の近位にある第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置において、前記カートリッジホルダは近位方向への移動を阻止される、前記カートリッジホルダと;
前記ハウジング内に位置決めされ、前記近位方向へ移動するように付勢される移動可能なプランジャロッドと;
前記プランジャロッドをロック位置に解放可能に保持するように前記ハウジング内に位置決めされるプランジャ解放ラッチと;を備え、
前記
注射用針、前記カートリッジホルダ、前記針シールド及びシェルを備える第1のサブ組立体は、前記ハウジング、前記移動可能なプランジャロッド及び前記プランジャ解放ラッチを備える第2のサブ組立体に解放可能に結合され、
前記針シールドの前記引込位置への移動は、前記
注射用針を通る薬剤の推進を引き起こし、
前記針シールドが遠位方向に前記引込位置へ移動することにより、前記カートリッジホルダが前記第1の位置から解放され、前記プランジャロッドが前記近位方向へ移動できるように前記
プランジャ解放ラッチが解除され、前記カートリッジホルダを前記第1の位置から前記第2の位置へと促し、
前記引込位置から前記延伸位置への前記針シールドの移動は、
前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体と解放可能に結合させるハウジング保持タブと係合する前記針シールドによって、前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体から自動的に解放し、それにより、前記針シールドを近位方向に押す付勢力が、第1のサブ組立体を第2のサブ組立体から離れるように押すことができるようになる、
自動注射器。
【請求項2】
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルを更に備え、
前記シェルと前記カートリッジホルダとの解除可能な係合により、前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダが前記近位方向へ移動することを阻止する、
請求項1に記載の自動注射器。
【請求項3】
前記プランジャロッドが解放され、前記カートリッジホルダが前記第2の位置へ移動した後に、前記プランジャロッドは前記近位方向への移動を続けてストッパと係合し、前記ストッパを前記薬剤カートリッジ内で移動させる、
請求項1に記載の自動注射器。
【請求項4】
前記第1のサブ組立体は1回使用型のサブ組立体である、
請求項1に記載の自動注射器。
【請求項5】
前記第2のサブ組立体は複数使用型のサブ組立体である、
請求項1に記載の自動注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、いずれも係属中の米国特許出願第62/448,834号(出願日:2017年1月20日)及び米国特許出願第62/461,477号(出願日:2017年2月21日)の優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して薬剤投与(送達)デバイスに関し、より具体的には注射可能な薬剤を投与するための自動注射器に関する。
【背景技術】
【0003】
現在最も急速に台頭している薬剤投与デバイスの1つに自動注射器があり、これは一回分の投与量の特定薬剤を投与するために普通に使われている。典型的には、自動注射器は、患者又は訓練を受けていない使用者が所定投与量の薬剤を自己投与することが意図されている。これは、生命の危機に関わる恐れのある医療上の緊急事態、例えば、患者又は使用者が重篤なアレルギー反応によりアナフィラキシー症状を発症したような場合に、特に重要である。急性アナフィラキシーを発症し易い患者には、その発症時に患者又は使用者へ即座に注射することになる所定投与量のエピネフリン又は他の薬剤を容れた自動注射器(例えばEpiPen(登録商標))がしばしば処方される。そのため、自動注射器は安全で、信頼性が高く、且つ使い易くなければならない。
【0004】
現在、多くの自動注射器は、特定の薬剤を事前に充填したカートリッジを有する。このようなデバイスは、一般に、ばねによって又は機械的に負荷がかけられており、自動注射器の針シールドを、針を挿入する間に患者又は使用者の皮膚へ押し付けることにより作動すると、事前に充填した所定投与量の薬剤が、針を通じて自動投与される。別の自動注射器として、自動注射器デバイス上に設けたボタンを押すことにより自動的に注射を行うことができるものがある。
【0005】
しかし、喫緊に必要なことは、自動注射器のコストを最小化すると同時に、自己投与のためにデバイスを、安全で、信頼性が高く、使い易くすることである。メーカーによっては、再利用可能な自動注射器デバイスを使用することでコスト低減を試みたが、このような再利用可能なデバイスは使い捨ての自動注射器デバイスよりも常に最適というわけではない。これは、患者によっては、自動注射器デバイス内へ交換カートリッジを再装填することができず、適切に再装填ができなければ、薬剤の無菌状態が損なわれたり、及び/又は再装填されたデバイスが設計通りに動作しなかったりする可能性があるからである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様は、薬剤の皮下投与のための自動注射器であって、第2のサブ組立体に解放可能に結合される第1のサブ組立体を含む。前記第1のサブ組立体は:薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダと;前記薬剤カートリッジからの薬剤が通過可能な長手方向に延びる空洞を有する中空の注射用針と;前記カートリッジホルダに対し、前記針を囲繞する延伸位置と、前記針の少なくとも近位端を囲繞しない引込位置との間を移動可能な針シールドと;を備える。前記第2のサブ組立体は:ハウジングと;前記ハウジング内に位置決めされ移動可能なプランジャロッドと;を備える。前記針シールドの前記引込位置から前記延伸位置への近位方向への移動は、前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体から自動的に解放する。
【0007】
解放された第1のサブ組立体は、針シールドが延伸位置にある状態でロックされる。未使用の投薬のための薬剤を含む新品の第1のサブ組立体を挿入して第2のサブ組立体に開放可能に接続することができる。
【0008】
本開示の他の態様は、薬剤の皮下投与のための自動注射器であって:ハウジングと;前記ハウジング内に位置決めされ、穿刺可能な隔膜を備える薬剤カートリッジとを含む。長手方向に延びる空洞を有する注射用針もまた前記ハウジング内に位置決めされ、前記針は第1の位置と第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置において前記針の空洞は前記カートリッジの内部と流体連通せず、前記第2の位置において前記針の空洞は前記カートリッジの内部と流体連通する。取り外し可能なキャップが前記ハウジングへ解放可能に取り付けられており、前記キャップは、前記ハウジングから取り外される際に、前記針が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動して、前記針の遠位端が前記カートリッジの前記隔膜を穿刺するようになっている。
【0009】
本開示のさらに他の態様は、薬剤の皮下投与のための自動注射器であって:ハウジングと;前記ハウジング内に位置決めされて、薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダであって、前記カートリッジホルダは、第1の位置と、前記第1の位置の近位にある第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置にて、前記カートリッジホルダは近位方向への移動を阻止される、前記カートリッジホルダとを含む。移動可能なプランジャロッドもまた、前記ハウジング内に位置決めされ、前記近位方向に移動するように付勢される。プランジャ解放ラッチは、前記プランジャロッドをロック位置に解放可能に保持するように前記ハウジング内に位置決めされている。中空の注射用針は、前記薬剤カートリッジからの薬剤が通過できる長手方向に延びる空洞を有する。針シールドは、前記針を囲繞する延伸位置と、前記針の少なくとも一端を囲繞しない引込位置との間を、前記カートリッジホルダに対して移動可能である。前記針シールドの遠位方向への移動は、前記カートリッジホルダを前記第1の位置から解放し、前記プランジャロッドが前記近位方向へ移動できるように前記ラッチを解放し、前記カートリッジホルダを前記第1の位置から前記第2の位置へ促す。
【0010】
本開示のさらに他の態様は、自動注射器のためのサブ組立体であって:薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダと;前記薬剤カートリッジからの薬剤が通過できる長手方向の空洞を有する中空の注射用針とを含む。針シールドは、前記針を囲繞する延伸位置と、前記針の少なくとも一端部を囲繞しない引込位置との間を、前記カートリッジホルダに対して移動可能である。シェルは、前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲する。取り外し可能なキャップは、取り付けているときには前記針シールドと前記シェルとの相対的な動きを阻止し、取り外されると前記針シールドと前記シェルとの相対的な移動が可能となるように、前記シェル及び前記針シールドを解除可能にロックする。シェルは、第2のサブ組立体と解放可能に連結するように構成されて前記自動注射器を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一の態様に係る自動注射器デバイスの平面図である。
【0012】
【0013】
【
図3】
図3は、
図1の自動注射器デバイスの前側サブ組立体の断面図である。
【0014】
【
図4】
図4は、自動注射器デバイスの針組立体及び近位部の斜視図である。
【0015】
【0016】
【
図5】
図5は、
図1の自動注射器デバイスの前側組立体の近位部上に組み立てられた針キャップの断面図である。
【0017】
【
図6】
図6は、カートリッジホルダの近位部上に組み立てられた
図5の針キャップの拡大断面図である。
【0018】
【0019】
【
図6B】
図6Bは、
図1の自動注射器デバイスのカートリッジホルダの側方斜視図である。
【0020】
【
図7】
図7は、
図1の自動注射器デバイスの前側サブ組立体の近位部上に組み立てた針キャップの断面図である。
【0021】
【
図8】
図8は、
図7の前側サブ組立体の、カートリッジホルダの一部、針シールド及びシェルの断面図である。
【0022】
【
図9】
図9は、
図7の前側サブ組立体の、カートリッジホルダ、針シールド及びシェルの断面図である。
【0023】
【
図10】
図10は、
図9の前側サブ組立体の、カートリッジホルダ、針シールド及びシェルの遠位部の拡大断面図である。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【
図11A】
図11Aは、針キャップを除いた状態の、組み立てられた半使い捨て自動注射器デバイスの断面図である。
【0028】
【
図11B】
図11Bは、針キャップを取り除いた状態の、組み立てられた完全使い捨て自動注射器デバイスの断面図である。
【0029】
【0030】
【0031】
【
図11E】
図11Eは、半使い捨て自動注射器デバイスの再利用可能な本体の展開図である。
【0032】
【
図11F】
図11Fは、完全使い捨て自動注射器デバイスの前側本体と後側本体キャップの展開図である。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【
図12A】
図12Aは、
図1の自動注射器デバイスの、針組立体を有する針キャップ、針ホルダ、及びカートリッジホルダの他の実施の形態の断面図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【
図12D】
図12Dは、
図12Aの代替の針キャップの断面図であり、針組立体は、針がカートリッジ組立体のシール及び隔膜を穿刺する最終位置にある。
【0040】
【
図12E】
図12Eは、カートリッジホルダ上で最終位置にロックされた針組立体の断面図である。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【
図14】
図14は、針穿刺中における、自動注射器デバイスの前側サブ組立体の近位部の断面図である。
【0045】
【0046】
【
図16】
図16は、薬剤投与に続いてデバイスを注射部位から移動させた後の針カバーのロックアウト状態にある、
図11の自動注射器デバイスの近位部の断面図である。
【0047】
【0048】
【
図18】
図18は、薬剤投与後に針シールドが完全延伸位置にてロックされた状態の、使い捨て本体組立体の断面図である。
【0049】
【
図19】
図19は、針シールドが完全延伸位置にてロックされた後の、
図11の自動注射器デバイスの近位部の断面図である。
【0050】
【
図20】
図20は、使い捨て本体組立体が再利用可能な本体組立体から初めて解放された際の、半使い捨て自動注射器の近位部の断面図である。
【0051】
【
図21】
図21は、使い捨て本体組立体が再利用可能な本体組立体から完全に解放された際の、
図20の半使い捨て自動注射器デバイスの近位部の断面図である。
【0052】
【
図22】
図22は、キャップスペーサを含む、
図1の自動注射器デバイスの近位部の斜視図である。
【0053】
【0054】
【
図24】
図24は、再利用可能な本体上に装着された再利用可能な本体前側キャップの正面斜視図である。
【0055】
【
図25】
図25は、針キャップ及び再利用可能な本体前側キャップの斜視図である。
【0056】
【
図26】
図26は、再利用可能な本体前側キャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下では、本発明の様々な実施の形態を、添付図面を参照しながら更に十分説明する。いくつかの実施の形態を示すが、これらが全てではない。様々な実施の形態は多様な形態で実施できるが、明示的に記載する実施の形態に限定されると解釈されるものではない。全図面を通じて、同様の符号は同様の要素を引用する。単数の形式で示したものは、文脈から特に明らかでない限り、単数及び複数を含む。
【0058】
図1及び
図2は、所定投与量の薬剤Mを安全且つ高い信頼性で、しかも簡単に患者に投与できる半使い捨て又は完全使い捨て自動注射器デバイス100の例としての実施の形態を示す。自動注射器デバイス100は、自動注射デバイスの近位端Pに位置する取り外し可能な針キャップ110と、(半使い捨ての実施の形態において再利用可能な)後側サブ組立体120と、(半使い捨ての実施の形態において使い捨て可能な)前側サブ組立体130(
図2参照)とを含む。後側サブ組立体120は、単体のコンポーネント(部品)であっても、複数のサブコンポーネントであってもよい中空のハウジング125を含む。
図1及び
図2に示す実施の形態では、ハウジング125は、後側本体キャップ125bに結合する前側本体部分125aを含む。取り外し可能な針キャップ110、後部サブ組立体120、前側サブ組立体130、前側本体部分125a及び後側本体キャップ125bは、好ましくは、リサイクル可能な樹脂や容易に成形可能なその他の適切な材料等の合成材料から形成されている。
【0059】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書中では、注射の際の自動注射器デバイス100の使用者に対する該デバイスの位置に関連して用いられる。したがって、自動注射器デバイス100の近位端Pとは、注射の際に使用者の皮膚に最も近いデバイスの端部を意味する。同様に、自動注射器デバイス100の遠位端Dとは、使用中に注射部位から最も遠いデバイスの端部を意味する。これに加え、自動注射器デバイス100上の別の点に対して近位に位置する点とは、デバイスの近位端Pにより近い点であり、デバイス上の別の点に対して遠位に位置する点とは、デバイスの遠位端Dにより近い点である。
【0060】
図3は、針キャップ110及び前側サブ組立体130の一の実施の形態に係る断面図である。針キャップ110は使い捨て本体組立体130の近位端Pへ取り外し可能に装着されており、使用前の針組立体310の無菌状態を維持するための針キャップシール305を含んでもよい。針キャップシール305は、使用前に針キャップ110が前側サブ組立体130上に装着されたときに針組立体310の近位部を封止するように、弾性材料又は任意の他の適切な材料で形成されてよい。
【0061】
前側サブ組立体130は、好ましくは、前側サブ組立体シェル300、針組立体310、針シールド320、カートリッジホルダ330、シール332及びリングシール334を含む。シール332とリングシール334は、好ましくは、弾性材料、又は使用前の針組立体310の無菌状態を維持するのに適する任意の他の材料で形成される。シール332、334は別体部品であってもよく、又は、例えば、公知の方法でカートリッジホルダ330上にオーバーモールドされるなど、一体部品として形成されてもよいことが分かる。針アセンブリ310は、針ホルダ314を通って延在し、この針ホルダ314に保持される中空の注射針312を含む。前側サブ組立体シェル300、針シールド320、及びカートリッジホルダ330は、好ましくは、リサイクル可能な樹脂等の合成材料又は成形し易い他の適切な材料で形成される。
【0062】
以下で更に述べるように、ロック解除状態にて、針シールド320は、前側サブ組立体シェル300内の、シールド320が針312を完全に又は実質的に囲繞(包囲)する延伸位置と、注射時に針312の近位端が露出されることになる引込位置との間を長手方向(矢印A-A方向)に移動できる。
【0063】
カートリッジホルダ330は、所定投与量又は所定分量の薬剤Mを事前に充填したカートリッジ組立体340を保持するように構成されている。カートリッジ組立体340は、略円筒形の中空体であってガラス又は任意の他の適切な材料で形成できるカートリッジ本体342を含む。カートリッジ本体342の近位端は、好ましくは、弾性隔膜344とカバー346とで封止され、カートリッジ本体342の遠位端は、自動注射器デバイス100の作動時に、カートリッジ本体から一回分の投与量の薬剤Mを吐出させるようにカートリッジ本体342内を長手方向に移動可能な弾性(エラストマー)ストッパ又はピストン348で封止される。
【0064】
図4及び
図4Aを参照すると、針ホルダ314は、カートリッジホルダ330の近位端の開口部内へ摺動可能に装着されている。針ホルダ314は、好ましくは少なくとも1つ(より好ましくは2つ)の軸方向溝410を含み、この軸方向溝410は、カートリッジホルダ330の近位端から内方に突出する対応スプライン420を受容することで、針ホルダ組立体が前側サブ組立体130内をカートリッジホルダ330に対して長手方向に移動できるようにしながら、針ホルダ組立体310の回転を阻止する。この方式では、針キャップ110を外すときにこの針キャップを回転させても、針ホルダ314は回転することも、半径方向に動くこともできない。
【0065】
図4及び
図5に示す一の実施の形態では、カートリッジホルダ330の近位端の外面及びその近傍には、カム軌道又は半径方向に延在する溝430が形成されている。
図5に最もよく示すように、針キャップ110は、前側サブ組立体130に組み付けられた場合にカートリッジホルダ330の近位端におけるカム軌道430の上に延在する、中空で、略円筒形の遠位部306を含むことが好ましい。1つ以上のカムフォロワ307は、針キャップ110の略円筒形の遠位部306から内方に突出して、カートリッジホルダ330に形成されたカム軌道430内に対応して係合するようになっている。
【0066】
使用中、1つ以上のカムフォロワ307はカートリッジホルダ330のカム軌道430内に拘束され、キャップが所定の位置に回転するまでは針キャップ110が外れないようにする。ここで、カムフォロワ307がカム軌道430の対応する逃げ部(relieved section)620(
図6B)と整列する位置まで針キャップ110を回転すると、キャップ110をカートリッジホルダ330から(
図5の矢印B方向に)引き抜いて、自動注射器デバイス100から取り外せるようになる。
【0067】
図3及び
図5に示すように、針キャップ110が未使用の自動注射器デバイス100に取り付けられるときは、取り外し可能なキャップ110上の針キャップシール305、カートリッジホルダ330上のシール332、及びカートリッジホルダ330の近位端の外面の周囲に位置するリングシール334によって、針組立体310は自動注射器デバイス内で無菌状態に保たれる。この実施の形態では、好ましくは、針キャップ110の遠位部306がリングシール334の周りに締まり嵌めして封止を形成する。
【0068】
図4、
図4A、
図5、
図6、
図6A及び
図6Bで最もよく示すように、この実施の形態における針キャップシール305の遠位部は、針ホルダ314の近位端上の1つ以上の対応するカムフォロワ440(
図4及び
図4A)と係合するカム傾斜部610として構成されている。使用者が、針キャップ110をカートリッジホルダ330に対して回転し、前側サブ組立体130からのキャップの取り外しを開始すると、カム傾斜部610が針ホルダ314上の1つ以上のカムフォロワ440と係合し、これにより、注射針312がカートリッジ組立体340のシール332と隔膜344とを穿刺するようになるまで、針組立体310が前側サブ組立体130内を長手方向に遠位方向(
図5の矢印C)へ移動する。その最終位置において、針ホルダ314の遠位部から延在する少なくとも1つ(好ましくは2つ)の可撓性フック状部材414は、カートリッジホルダ330の対応する開口部又は凹部630と係合し、針ホルダをカートリッジホルダ330にロックする。針ホルダ314に形成された軸方向溝410(
図4A)は、カートリッジホルダ330上の対応するスプライン420を拘束し、これにより、針キャップ110を回転したときに針ホルダ組立体310が前側サブ組立体130内で回転することを防ぐ。
【0069】
図6B及び
図7乃至
図10を参照すると、カートリッジホルダ330は、好ましくは、前側サブ組立体シェル300の遠位端上に形成された1つ以上(好ましくは2つ)の可撓性タブ830によって解除可能にロックされることにより長手方向を近位方向(
図8の矢印D)に移動することを阻止される。
図9及び
図10で最も良く示されるように、前側サブ組立体シェル300上に形成された各可撓性タブ830は、好ましくは、解放ラッチ又はフランジ832を終端とする傾斜部又はベベル部1030を含む。解除可能にロックされた位置において、各可撓性タブ830が、好ましくは、カートリッジホルダ330の先端付近に形成された対応する開口部640(
図6B及び
図10で最も良く示される)と係合して、可撓性タブ830上の解放ラッチ832が、カートリッジホルダ上の開口部640を画成する部分と係合できるようにし、これにより、カートリッジホルダ330の、前側サブ組立体シェル300に対する長手方向の近位方向(
図8の矢印D)への移動を阻止する。可撓性タブ830の傾斜部1030が針シールド320の遠位部上の対応する傾斜部又はベベル部1020と係合することで、針シールド320の長手方向の遠位方向(
図8の矢印E)への移動が、針シールドの各傾斜部1020を可撓性タブ830の対応する傾斜部1030と係合させ、これにより、可撓性タブを外方へ撓ませ、さもなければ外方へ動かして、ラッチ832をカートリッジホルダ330の遠位部の開口部640から離脱させる。使い捨てハウジング300から一旦離脱されると、カートリッジホルダ330は解放され、針の穿刺(貫通)及び薬剤投与を実行するように、長手方向を近位方向(
図8の矢印D)に自由に移動できるようになる。
【0070】
図7及び
図8を参照すると、カートリッジホルダ330、針シールド320、前側サブ組立体シェル300及び針キャップ110は全て、前側サブ組立体130内において相互に連動する部分である。カートリッジホルダ330は、好ましくは、針シールド320(
図10C)及び前側サブ組立体シェル300(
図10A)に形成される実質的に共に位置合わせした軸方向溝810を通って延在する、1つ以上の外方に突出したスプライン730(
図6Bで最も良く示される)を含むことが好ましい。
図8に示す解除可能なロック位置において、スプライン730は軸方向溝810によって拘束され、針シールド320に設けた軸方向溝810の遠位端で底に達する。これにより、針キャップ110が取り外され、針シールド320が解放されて針シールドばねリング1152又はブラケット1150(
図11H)の負荷の下で、針シールド320が長手方向を近位方向(矢印D)へ更に移動することを阻止する。カートリッジホルダ330は長手方向を両方向(矢印D及び矢印E方向)に移動しないように保持されるが、これは、針キャップ110が、前側サブ組立体シェル300の近位端を押圧することで、カートリッジホルダ330が長手方向を矢印E方向へ移動しないように拘束し、及び、カートリッジホルダ330の遠位端の対応する開口部640と係合する前側サブ組立体シェル300上の可撓性アーム830によって、カートリッジホルダ330が長手方向を矢印D方向へ移動することを阻止されるためである。
【0071】
図11Aは、針キャップ110を取り外した状態にある、組み立てられた一部が使い捨ての自動注射器デバイス100の断面図を示す。再利用可能な後側サブ組立体120は、使い捨てハウジング組立体130を受容するための開口部を近位端1101に有する、中空で、略長円形又は略楕円形の再利用可能なハウジング1100を含む。再利用可能なハウジング1100は、好ましくは、遠位端112にて閉じており、そして、一体構造として、又は、相互に取り付けられて再利用可能なハウジング1100を形成するように構成される1つ以上のコンポーネント(
図11C及び
図11Eにおける再利用可能な本体前側キャップ1900、再利用可能な本体1100A、及び再利用可能な本体後側キャップ1100B)の組み合わせとして形成できる。再利用可能なハウジング1100は、好ましくは、リサイクル可能な樹脂等の合成材料や、成形し易い他の適切な材料でできている。
【0072】
図11Bは、針キャップ110を除いた状態にある、代替としての、組み立てられた完全使い捨ての自動注射器デバイス100の断面図を示す。後側サブ組立体120のハウジング125は、好ましくは、前側サブ組立体130を受容するための開口部を近位端1101に有する、中空で略長円形又は略楕円形の前側本体部分125aを含む。ハウジング125は、好ましくは、遠位端1102にて閉じており、一体構造体として、又は、相互に取り付けてハウジング125を形成するように構成される1つ以上のコンポーネント(
図11D及び
図11Fの前側本体125aと後側本体キャップ125b)の組み合わせとして形成できる。前側本体125a及び後側本体キャップ125bは、好ましくは、リサイクル可能な樹脂等の合成材料や、成形し易い他の適切な材料でできている。
【0073】
後側サブ組立体120のハウジング内には、好ましくは、プランジャ1110、プランジャばね回転子1120、プランジャばね1122、トリガロック1130、針シールドばねリング1150及び針シールドばね1152が含まれる。
【0074】
図11C及び
図11Dは、
図11A及び
図11Bの円1112内にそれぞれ図示されるトリガロック1130及び解放ラッチ1140の拡大図を示す。トリガロック1130及び解放ラッチ1140は、プランジャ1110が長手方向を近位方向P(
図11C及び
図11Dの矢印F)に移動することを解除可能に阻止する。この実施の形態では、解放ラッチ1140は、好ましくは、ハウジング125の前側本体部分125aの一部として一体形成される。しかし、解放ラッチ1140は前側本体部分125aと別体の部品であってもよいことが分かる。
【0075】
解放ラッチ1140の開口部を貫通するプランジャ1110の近位端は、好ましくは、肩部1111(
図11G)を含む。
図11C及び
図11Dを参照すると、解放ラッチ1140は、拡大ヘッド1142を終端とする1つ以上の可撓性アーム1141を含み、拡大ヘッド1142は、針シールド320が完全に又は少なくとも所定の最小限距離だけ押し下げられて自動注射器デバイス100が始動されるまで、肩部1111と解除可能に係合して、プランジャ1110が長手方向を近位方向P(
図11C及び
図11Dの矢印F)に移動することを阻止する。解放ラッチ1140の可撓性アーム1141上の拡大ヘッド1142は、トリガロック1130によって外方への撓みを阻止される。
【0076】
図11Jを参照すると、トリガロック1130は、プランジャ1110を収容するための開口部1132を有する基部1131を含む。ばね又は付勢部材1133が基部1131から延在している。この実施の形態において、ばね1133はトリガロック1130の一体部品として形成されている。しかし、代替として、ばね1133はトリガロックとは別体の部品であってもよいことが分かる。基部1131の開口部1132は、基部1130が拡大ヘッドと位置合わせしたときに可撓性アーム1141上の拡大ヘッドが外方へ撓まないように拘束するための1つ以上の逃げ部1132Aを含む。
【0077】
図13を参照すると、針シールド320が完全に押し下げられたときに、トリガロック1130(
図11J)の基部1131は、ばね部1133の付勢力に抗して長手方向を遠位方向D(
図11C及び
図11Dの矢印G)に移動する。基部1131の逃げ部1132Aが解放ラッチ1140の1つ以上の可撓性アーム1141をそれ以上拘束しなくなると、1つ以上の可撓性アーム1141上の拡大ヘッド1142が半径方向外方へ撓む又は曲がることでプランジャ1110を解放し、プランジャ1110が長手方向を近位方向P(
図11C及び
図11Dの矢印F)に移動できるようになり、これにより針の穿刺が開始される。
【0078】
自動注射器デバイスで用いる代替の針キャップの設計も想定される。例えば、
図12A乃至
図12Fに示す代替の実施の形態では、ばね負荷がかけられた針キャップ110Aを利用して使い捨て本体組立体130内で針組立体310を長手方向で遠位方向(
図12Aの矢印C)に付勢する。ばね負荷がかけられたキャップ110Aは先に記載した針キャップ110と類似するものの、針キャップシール305の遠位端上のカム傾斜部610の代わりに、キャップ110Aを回しているときに、カートリッジ組立体340のシール332と隔膜344とを自動的に穿刺するようにキャップ110Aにばね負荷がかけられている点が異なる。針312の無菌状態は、針キャップ100に関して先に記載したものと同じ方法で維持される。
【0079】
キャップ110Aとカートリッジホルダ330との間の連結は、キャップ110Aが両方向(右回りと左回り)に回すことができる点を除いて、針キャップ100に関して先に記載したものと同じである。針ホルダ314は針ばね305Aによって矢印C(
図12A)方向に付勢されるが、当初は、長手方向を遠位方向(矢印C)へ移動しないよう、針キャップ110Aの内部に形成されている内方に突出する2つのフランジ305Bによって拘束される。
【0080】
図12Cを参照すると、一旦針キャップ110Aが所定の角度(例えば、約90°)だけ回転されると、2つのフランジ305Bは針ホルダ314との係合を解除される。針ホルダ314は回転できないので(先に記載したように、針ホルダ314はカートリッジホルダ330と半径方向に係合している)、ばね305Aによって針ホルダが長手方向に遠位方向(
図12Aの矢印C)へ付勢されることを妨げるものは何もない。
【0081】
図12Dに示すように、ばね305Aが針ホルダ314を長手方向に遠位方向(
図12の矢印C)へ押すと、針312がシール332とカートリッジ隔膜344(不図示)とを穿刺する。針キャップ110Aを更に回すと、ばね305Aの反発力が針キャップを長手方向に近位方向(
図5の矢印B)へ移動させて自動注射器デバイス100から分離し、針キャップを容易に取り外すことができる。
【0082】
図12E及び
図12Fの拡大図に示すように、針ホルダ314がその最終位置に達すると、針ホルダ314の遠位部から延びる可撓性の各フック状部材414がカートリッジホルダ330の対応する開口部630と係合して、針ホルダをカートリッジホルダの適所にロックする。
【0083】
図12Gに示す別の代替の実施の形態では、取り外し可能な針キャップ110Bは、内方に突出した1つ以上の返し(barb)305Dを有する針キャップシール305Cを含んでもよい。1つ以上の返し305Dは、好ましくは、自動注射器デバイス100の近位端Pに向く方向に角度付けされ、好ましくは、十分な剛性を有する金属又は他の望ましい材料でできている。注射針312のうち針ホルダ314から近位方向に延在する部分を囲繞及び封止するために、弾性の針先端カバー(不図示)が針ホルダ314の近位端に解放(取り外し)可能に取り付けられている。取り外し可能な針キャップ110B内の針キャップシール305Cは、自動注射器デバイス100上に組み立てられたときには、針先端カバーの少なくとも一部を囲繞する。この代替の実施の形態では、キャップを長手方向に近位方向Pへ引くことで、針キャップ110Bを自動注射器デバイス100から取り外すことができる。針キャップ110B及びこれに付随する針キャップシール305Cが、針先端カバーに対して長手方向に近位方向へ移動すると、針キャップシール305C上で内方に突出する返し305Dが針先端カバー内に埋め込まれ、これにより、針キャップ110を取り外したときに、針先端カバーが針ホルダ314から引き抜かれる、又は取り外される。針先端カバーを取り外して、自動注射器デバイス110の近位端Pが皮膚(注射部位)に押しつけられると、カートリッジ組立体340がストッパに達するまで長手方向に近位方向Pへ動かされることにより、針312の遠位端がカートリッジ340上の隔膜344を穿刺する。
【0084】
半使い捨て自動注射器デバイス100の作動
組み立てられた自動注射器デバイス100から針キャップ110を外すと(これにより、注射針312がカートリッジ組立体340のシール332と隔膜344とを穿刺するまで、針組立体310が長手方向の遠位方向Dに移動する)、針ホルダ314から延在する可撓性のフック状部材414がカートリッジホルダの対応する開口部640内に係合することにより、針組立体310がカートリッジホルダ330内の最終位置にロックされる。針キャップ110を取り外すことで、針シールド320が解放され、前側サブ組立体シェル300に対して長手方向に移動できるようになる。
図11A及び
図11Bを参照すると、以降でより詳細に説明するように、針シールド320は、針シールドリング1150に作用する針シールドばね1152によって近位方向Pに付勢される(
図11H)。
【0085】
図9及び
図10を参照すると、針シールド320が押し下げられると(例えば、患者の皮膚又は注射部位へ押しつけられると)、針シールド320が長手方向の遠位方向D(
図8の矢印E)に移動する。針シールド320が長手方向に移動すると、針シールド320の傾斜部1020が前側サブ組立体シェル300の対応する傾斜部1030と係合し、これにより、可撓性タブ830が外方へ撓み又は移動して、解放ラッチ832をカートリッジホルダ330の遠位端の対応する開口部640から離脱させる。一旦離脱すると、カートリッジホルダ330は、針の穿刺及び薬剤投与を実行するために、長手方向の近位方向P(
図8の矢印D)に移動できるようになる。
【0086】
図11Cは、
図11Aの円1112内に示すトリガロック1130及び解放ラッチ1140の拡大図である。プランジャ1110は解放ラッチ1140の開口部を貫通する。プランジャ1110の近位端は、好ましくは、肩部1111を含む(
図11G)。
図11Cを参照すると、解放ラッチ1140は拡大ヘッド1142を終端とする1つ以上の可撓性アーム1141を含み、拡大ヘッド1142は肩部1111と係合することで、自動注射器デバイス100を始動させるべく針シールド320が完全に又は少なくとも所定の最小限距離だけ押し下げられるまで、プランジャ1110が長手方向の近位方向P(
図11Cの矢印F)に移動することを阻止する。
図13を参照すると、針シールド320が完全に押し下げられたときに、トリガロック1130(
図11J)が長手方向の遠位方向D(
図11Cの矢印G)に移動し、これにより、解放ラッチ1140上の1つ以上の可撓性アーム1141が半径方向外方へ撓む又は曲がることでプランジャ1110が解放され、プランジャ1110は長手方向の近位方向Pに移動して針の穿刺を開始できる。
【0087】
図11A、
図13及び
図14を参照すると、カートリッジホルダ330が使い捨てのハウジング前側サブ組立体シェル300から解放され、プランジャ1110がプランジャばね1122の力によって長手方向の近位方向P(
図11C、
図11Dの矢印F)に移動すると、カートリッジホルダ330が更に近位方向Pに移動することを阻止するために、カートリッジホルダ330上の1つ以上のスプライン730が、前側サブ組立体シェル300の軸方向溝又は軌道810の近位端1410に対する底に達するまで、カートリッジホルダ330が、ストッパ348に対して近位方向P(
図11C及び
図11Dの矢印F)に作用するプランジャ1110によって長手方向に押される。
【0088】
図13及び
図15を参照すると、プランジャ1110が長手方向の近位方向Pに移動し続けることで、ストッパ348もカートリッジ本体342内で長手方向の同じ方向Pに移動し、薬剤Mが注射針312を通って投与される。プランジャ1110は、プランジャ1110の遠位フランジ1310が解放ラッチ1140の遠位端(患者に投与される所定の投与量の薬剤Mの終了を表す)と係合するまで、長手方向の近位方向Pに移動し続ける。
【0089】
図16乃至
図18を参照すると、針シールド320は、好ましくは、外方に延びる1つ以上のスプライン1620を含み、このスプライン1620は、針シールドが使い捨てハウジングに対して長手方向に移動するときに、前側サブ組立体シェル300に形成された対応するチャネル又は軌道1710によって拘束されて、その内部を長手方向に移動する。薬剤Mが投与され、自動注射器デバイス100が患者の皮膚(注射部位)から離されると、針シールド320上の、外方に突出する1つ以上のスプライン1620が、使い捨てハウジング300の近位端付近の軸方向チャネル1720内に延びている対応する可撓性保持タブ1720を通過して、伸長位置又は最前方位置にて針シールドをロックするまで、針シールドばねリング1150が(針シールドばね1152の力によって)針シールド320を長手方向の近位方向Pへ押し続ける。延伸位置において、自動注射器デバイス100の使用後に注射針312が露出しないように、針シールド320が注射針312を囲繞する。
【0090】
図18を参照すると、自動注射器デバイス100から外されると、使い捨ての本体組立体130の全体がロックされる。針シールド320は、前側サブ組立体シェル300上に形成されチャネル1710内に延びて針シールドの対応するスプライン1620を拘束する保持タブ1720により、長手方向のどの方向の移動も妨げられる。同様に、カートリッジホルダ330上の1つ以上のスプライン730が針シールドと前側サブ組立体シェルとの間でロックされると、カートリッジホルダ330は、針シールド320により長手方向の遠位方向Dに移動することが、及び、前側サブ組立体シェル300により長手方向の近位方向Pに移動することがそれぞれ阻止される。
【0091】
図19乃至
図21を参照すると、一旦針シールド320がロックされると、再利用可能なハウジング1100の近位端1101に固定された再利用可能な本体キャップ1900上の保持タブ又はフランジ1910に針シールド320が当接するまで、針シールドばねリング1150が(針シールドばね1152の力の下で)針シールド320を長手方向の近位方向Pに押し続ける。保持タブ1910は、略平坦な部分1912、テーパ付き分解部分(tapered disassembly portion)1914及びテーパ付き組立て部分(tapered assembly portion)1916を含む。
【0092】
針シールド320が完全に延伸すると、針シールド320に形成された開口部1920が使い捨てハウジング300上の可撓性の保持タブ1930と整列する。使い捨て本体組立体130全体が針シールドばねリング1150によって前方へ近位方向Pに押されるため、使い捨てハウジング保持タブ1930と、再利用可能なハウジング1100上の近位保持タブ1910のテーパ部1914との係合によって、保持タブ1930が、針シールド320に形成され整列した開口部1920内に半径方向内方に曲がる又は撓む。これにより、使い捨て本体組立体130は再利用可能な本体組立体120から若干離れることができる。
図21に示すように、使い捨て本体組立体130は再利用可能な本体組立体120から解除され、廃棄できるようになる。
【0093】
新品(未使用)の使い捨て本体組立体130を再利用可能な本体組立体120に挿入し、解放可能に連結することができる。新品(未使用)の使い捨て本体組立体130を再利用可能な本体組立体120に挿入するときは、針シールド320の開口部1920が使い捨てハウジング130上の保持タブ1930と整列していないので、保持タブ1930の内方への撓みは針シールドによって阻止される。
【0094】
半使い捨て自動注射器デバイス100の再装填中に、再利用可能なハウジング1100上の可撓性のある保持タブ1910が曲がる又は撓むことにより、使い捨て本体組立体130と再利用可能な本体組立体120とを解放可能に連結できるようになる。再利用可能なハウジング1100上の保持タブ1910の剛性は、好ましくは、使い捨てハウジング上の保持タブ1930の剛性よりも高く、そして、大きな組立角度と小さな分解角度を有するので、自動注射器デバイス100を組み立てた際に、再利用可能なハウジング上の保持タブ1910が簡単に外方へ撓むことはない。
【0095】
使い捨て本体組立体130を組み立てる際に、カートリッジ本体342のストッパ348は、プランジャ1110を長手方向の遠位方向Dへ装填位置まで押す。プランジャ1110が安定した装填位置より先まで押されると、トリガばね1131の力によりトリガロック1130は、長手方向の近位方向Pへ自由に移動できるようになる、また、解放ラッチ1140の可撓性アーム1240上の拡大ヘッド1242は、プランジャ1110の肩部1210と解除可能に係合することにより、自動注射器デバイス100を始動させるために針シールド320が完全に押し下げられるまで、プランジャを解除可能にロックする。
【0096】
図22及び
図23はキャップスペーサ2210を示すが、このキャップスペーサ2210は、自動注射器デバイス100が組み立てられる際、自動注射器デバイス100のキャップ110と再利用可能な本体組立体120との間の空きスペースを満たすように機能する。新品の使い捨て本体組立体130を組み立てる場合には、使用済みのものを廃棄した後に、デバイス100を、プランジャ1110がリセットされる地点より先まで押す必要がある。使い捨て本体組立体130の組み立ての際に遠位方向Dへ余分に押すためのスペースを確保するために、デバイス100はキャップ110の遠位端と再利用可能な本体120との間に小さなスペースを有する。キャップスペーサ2210は、好ましくは、1つ以上のばね又は弾性部材2310を含むことにより、使い捨て本体組立体130が組み立てられている時にスペーサをキャップ110内に移動させて、その後、ばねが解放されてキャップ110と再利用可能な本体120との間の空きスペースを満たすことができる。
【0097】
図24乃至
図25を参照すると、針キャップ110は、再利用可能な本体前側キャップ1900の始まり部分における傾斜部をもって立ち上がり壁部と係合する寸法形状を有する。これにより、キャップを回したときに、キャップが再利用可能な本体に押し付けられることが防止される。もし、この寸法形状が適切でなければ、針キャップ110がその回転時に押されると、カートリッジ組立体340の隔膜344がプランジャ1110とぶつかって、デバイス使用時において誤投与が生じてしまう可能性がある。
【0098】
例証の目的で本発明の様々な実施の形態の説明を呈示したが、これらは開示された実施の形態により網羅されている、又は限定されることを意図するものではない。当業者にとって、記載された実施の形態の範囲及び趣旨から逸脱しない範囲で多くの改変及び変更ができることは明白であろう。本明細書で用いられた用語は、実施の形態の原理、市場で見られる技術についての実用的な用途や技術的な改良を最良に説明するように、或いは、当業者が本明細書で開示された実施の形態を理解できるように選択されたものである。
以下、本発明の実施の態様の例を列挙する。
[第1の局面]
薬剤の皮下投与のための自動注射器であって:
第2のサブ組立体に解放可能に結合される第1のサブ組立体を備え;
前記第1のサブ組立体は:
薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダと;
前記薬剤カートリッジからの薬剤が通過可能な長手方向に延びる空洞を有する中空の注射用針と;
前記カートリッジホルダに対し、前記針を囲繞する延伸位置と、前記針の少なくとも近位端を囲繞しない引込位置との間を移動可能な針シールドと;を備え、
前記第2のサブ組立体は:
ハウジングと;
前記ハウジング内に位置決めされ移動可能なプランジャロッドと;を備え、
前記針シールドの前記引込位置から前記延伸位置への近位方向への移動は、前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体から自動的に解放する、
自動注射器。
[第2の局面]
前記第1のサブ組立体は:
第1の位置と第2の位置との間を移動可能な、前記針を保持するための針ホルダであって、前記第1の位置において前記針の空洞は前記薬剤カートリッジの内部と流体連通せず、前記第2の位置において前記針の空洞は前記薬剤カートリッジの前記内部と流体連通する、前記針ホルダと;
前記第1のサブ組立体から取り外される際に、前記針が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動して、前記針の遠位端が前記カートリッジの隔膜を穿刺するように、前記第1のサブ組立体に解放可能に取り付けられるキャップと;を更に備える、
第1の局面に記載の自動注射器。
[第3の局面]
前記キャップは、前記キャップが少なくとも1つの方向へ回転すると前記針ホルダ及び針が遠位方向へ前記第2の位置まで移動できるように、針ホルダ上のカムと係合するカムフォロワを備える、
第2の局面に記載の自動注射器。
[第4の局面]
前記キャップはばねを備え、前記キャップが少なくとも1つの方向へ回転することにより前記ばねは解放され、前記ばねが前記針ホルダ及び前記針と係合して前記針ホルダ及び前記針を遠位方向へ前記第2の位置まで移動させる、
第2の局面に記載の自動注射器。
[第5の局面]
前記第1のサブ組立体は:
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルと;
前記第1のサブ組立体へ解放可能に取り付けられるキャップと;を更に備え、
前記キャップが前記第1のサブ組立体上に配置されているときには、前記キャップは前記針シールドと前記シェルとの相対的な動きを阻止するように、そして前記キャップを前記第1のサブ組立体から外したときには、前記針シールドが前記シェルに対して動けるように、前記キャップが前記シェル及び前記針シールドを解除可能にロックする、
第1の局面に記載の自動注射器。
[第6の局面]
前記針シールドの前記延伸位置から前記引込位置までの遠位方向への移動が、前記針を通っての薬剤の推進を引き起こす、
第1の局面に記載の自動注射器。
[第7の局面]
前記第2のサブ組立体は:
前記プランジャロッドをロック位置に解除可能に保持するために前記ハウジング内に位置決めされたプランジャ解放ラッチを更に備え、
前記カートリッジホルダは、第1の位置で前記カートリッジホルダが近位方向へ移動することを阻止するように、前記第1の位置と、前記第1の位置の近位にある第2の位置との間を移動可能であり、
前記針シールドが遠位方向に前記引込位置へ移動することで、前記カートリッジホルダが前記第1の位置から解放され、前記プランジャロッドが前記近位方向へ移動できるように前記ラッチが解放され、前記カートリッジホルダを前記第1の位置から前記第2の位置へと促す、
第6の局面に記載の自動注射器。
[第8の局面]
前記第1のサブ組立体は:
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルを更に備え、
前記カートリッジホルダと前記シェルとの解除可能な係合により、前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダが近位方向へ移動することを阻止する、
第7の局面に記載の自動注射器。
[第9の局面]
前記カートリッジホルダは、前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダが前記近位方向へ移動することを阻止するために前記シェルと解除可能に係合する少なくとも1つの可撓性タブを備える、
第8の局面に記載の自動注射器。
[第10の局面]
前記シェルは、前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダが前記近位方向へ移動することを阻止するために前記カートリッジホルダと解除可能に係合する少なくとも1つの可撓性タブを備える、
第8の局面に記載の自動注射器。
[第11の局面]
前記プランジャロッドが解放され、前記カートリッジホルダを近位方向に前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させた後に、前記プランジャロッドは前記近位方向に移動を続けてストッパと係合し、前記ストッパを前記薬剤カートリッジ内で移動させる、
第6の局面に記載の自動注射器。
[第12の局面]
前記第1のサブ組立体は:
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルを更に備え、
前記シェルは、前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体と解放可能に結合させるために、前記ハウジング上の対応する少なくとも1つの内方へ突出する保持タブと係合するための、外方へ突出する少なくとも1つの可撓性タブを備える、
第1の局面に記載の自動注射器。
[第13の局面]
前記第2のサブ組立体は:
前記針シールドが近位方向に前記引込位置から前記延伸位置へ移動するとき、前記シェル上の少なくとも1つの可撓性タブと係合して、前記少なくとも1つの可撓性タブを前記ハウジング上の対応する少なくとも1つの保持タブから離脱させるように、前記近位方向へ付勢される移動可能なリングを更に備える、
第12の局面に記載の自動注射器。
[第14の局面]
前記針シールドは開口部を含み、
前記開口部は、前記針シールドが前記引込位置から前記延伸位置へ移動するときに前記可撓性タブと整列することにより、前記リングが前記シェル上の前記可撓性タブを前記開口部内に撓ませ、前記可撓性タブを、前記ハウジング上の前記対応する保持タブから離脱させる、
第13の局面に記載の自動注射器。
[第15の局面]
前記針シールドは少なくとも1つのスプラインを含み、前記針シールドが前記引込位置から前記延伸位置へ移動するとき、前記スプラインが前記溝内に延びる前記シェル上のタブと係合して前記針シールドを前記延伸位置でロックするように、前記スプラインは、前記シェル内に形成された対応する溝内を移動し且つ前記溝内に拘束される、
第1の局面に記載の自動注射器。
[第16の局面]
前記第1のサブ組立品は1回使用型のサブ組立体である、
第1の局面に記載の自動注射器。
[第17の局面]
前記第2のサブ組立品は複数回使用型のサブ組立体である、
第1の局面に記載の自動注射器。
[第18の局面]
薬剤の皮下投与のための自動注射器であって:
ハウジングと;
前記ハウジング内に位置決めされ、穿刺可能な隔膜を備える薬剤カートリッジと;
長手方向に延びる空洞を有し、前記ハウジング内に位置決めされる注射用針であって、前記針は第1の位置と第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置において前記針の空洞は前記カートリッジの内部と流体連通せず、前記第2の位置において前記針の空洞は前記カートリッジの内部と流体連通する、前記注射用針と;
前記ハウジングから取り外される際に、前記針が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動して、前記針の遠位端が前記カートリッジの前記隔膜を穿刺するように、前記ハウジングへ解放可能に取り付けられるキャップと;を備える、
自動注射器。
[第19の局面]
前記針を保持する移動可能な針ホルダを更に備え、
前記キャップは、前記キャップを少なくとも1つの方向へ回転することにより前記針ホルダ及び前記針を前記第2の位置へ遠位方向に移動させるように、前記針ホルダ上のカムと係合するカムフォロワを備える、
第18の局面に記載の自動注射器。
[第20の局面]
前記針を保持する移動可能な針ホルダを更に備え、
前記キャップはばねを備え、前記キャップを少なくとも1つの方向へ回転することにより前記ばねが解放され、前記ばねは、前記針ホルダ及び前記針を遠位方向に前記第2の位置へ向けて移動させる、
第18の局面に記載の自動注射器。
[第21の局面]
前記針を越えて近位方向に延在する延伸位置から、注射中に前記針の少なくとも一端が露出される引込位置へ移動可能な針シールドを更に備え、
前記針シールドの前記引込位置への移動は、前記針を通る薬剤の推進を引き起こす、
第18の局面に記載の自動注射器。
[第22の局面]
前記ハウジング内に位置決めされ、前記薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダと;
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルと;を更に備え、
前記キャップが前記ハウジング上の所定位置にあるときに、前記キャップは、前記針シールドとシェルとの相対的な動きを阻止し、前記キャップを外すと、前記針シールドが前記シェルに対して移動できるように、前記キャップが前記シェル及び前記針シールドを解除可能にロックする、
第21の局面に記載の自動注射器。
[第23の局面]
前記ハウジング内に位置決めされ、前記薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダであって、第1の位置と、前記第1の位置の近位にある第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置において、カートリッジホルダは近位方向への移動を阻止される、前記カートリッジホルダと;
前記ハウジング内に位置決めされ、前記近位方向へ移動するように付勢される移動可能なプランジャロッドと;
前記プランジャロッドをロック位置に解放可能に保持するように前記ハウジング内に位置決めされるプランジャ解放ラッチと;
前記薬剤カートリッジからの薬剤が通過できる長手方向に延びる空洞を有する中空の注射用針と;を更に備え、
前記針シールドが遠位方向に前記引込位置へ移動することにより、前記カートリッジホルダが前記第1位置から解放され、前記プランジャロッドが前記近位方向へ移動できるように前記ラッチが解除され、前記カートリッジホルダを前記第1の位置から前記第2の位置へと促す、
第21の局面に記載の自動注射器。
[第24の局面]
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルを更に備え、
前記シェルと前記カートリッジホルダとの解除可能な係合により、前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダが前記近位方向へ移動することを阻止する、
第23の局面に記載の自動注射器。
[第25の局面]
前記プランジャロッドが解放され、前記カートリッジホルダが前記第2位置へ移動した後に、前記プランジャロッドは前記近位方向への移動を続けてストッパと係合し、前記ストッパを前記薬剤カートリッジ内で移動させる、
第23の局面に記載の自動注射器。
[第26の局面]
第2のサブ組立体に解放可能に結合する第1のサブ組立体を更に備え、
前記第1のサブ組立体は、前記針、前記カートリッジホルダ、前記針シールド及びシェルを備え、前記第2のサブ組立体は、前記ハウジング、前記移動可能なプランジャロッド及び前記解放ラッチを備える、
第23の局面に記載の自動注射器。
[第27の局面]
前記引込位置から前記延伸位置への前記針シールドの移動は、前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体から自動的に解放する、
第26の局面に記載の自動注射器。
[第28の局面]
前記第1のサブ組立体は1回使用型のサブ組立体である、
第26の局面に記載の自動注射器。
[第29の局面]
前記第2のサブ組立体は複数使用型のサブ組立体である、
第26の局面に記載の自動注射器。
[第30の局面]
薬剤の皮下投与のための自動注射器であって:
ハウジングと;
前記ハウジング内に位置決めされて、薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダであって、前記カートリッジホルダは、第1の位置と、前記第1の位置の近位にある第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置にて、前記カートリッジホルダは近位方向への移動を阻止される、前記カートリッジホルダと;
前記ハウジング内に位置決めされ、前記近位方向に移動するように付勢される移動可能なプランジャロッドと;
前記プランジャロッドをロック位置に解放可能に保持するように、前記ハウジング内に位置決めされたプランジャ解放ラッチと;
前記薬剤カートリッジからの薬剤が通過できる長手方向に延びる空洞を有する中空の注射用針と;
前記針を囲繞する延伸位置と、前記針の少なくとも一端を囲繞しない引込位置との間を、前記カートリッジホルダに対して移動可能な針シールドと;を備え、
前記針シールドの遠位方向への移動は、前記カートリッジホルダを前記第1の位置から解放し、前記プランジャロッドが前記近位方向へ移動できるように前記ラッチを解放し、前記カートリッジホルダを前記第1の位置から前記第2の位置へ促す、
自動注射器。
[第31の局面]
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルを更に備え、
前記シェルと前記カートリッジホルダとの解除可能な係合により、前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダの前記近位方向への移動を阻止する、
第30の局面に記載の自動注射器。
[第32の局面]
前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダの前記近位方向への移動を阻止するように前記シェルと解除可能に係合する、前記カートリッジホルダ上の少なくとも1つの可撓性タブを更に備える、
第31の局面に記載の自動注射器。
[第33の局面]
前記カートリッジホルダが前記第1の位置にあるときに、前記カートリッジホルダの前記近位方向への移動を阻止するように前記カートリッジホルダと解除可能に係合する、前記シェル上の少なくとも1つの可撓性タブを更に備える、
第31の局面に記載の自動注射器。
[第34の局面]
前記プランジャロッドが解放され、そして前記カートリッジホルダを前記第2の位置へ移動させた後に、前記プランジャロッドが前記近位方向へ移動を続けてストッパと係合し、前記ストッパを前記薬剤カートリッジ内で移動させる、
第30の局面に記載の自動注射器。
[第35の局面]
前記ハウジングから取り外す際に、前記針が、前記針空洞が前記カートリッジの内部と流体連通しない第1の位置から、前記針空洞が前記カートリッジの前記内部と流体連通する第2の位置へ移動するように前記ハウジングへ解放可能に取り付けられるキャップを更に備える、
第30の局面に記載の自動注射器。
[第36の局面]
前記針を保持する移動可能な針ホルダを更に備え、
前記キャップは、前記キャップを少なくとも1つの方向へ回転することにより前記針ホルダ及び前記針を前記第2の位置へ遠位方向に移動させるように、前記針ホルダ上のカムと係合するカムフォロワを備える、
第35の局面に記載の自動注射器。
[第37の局面]
前記針を保持する移動可能な針ホルダを更に備え、
前記キャップはばねを備え、前記キャップを少なくとも1つの方向へ回転することにより前記ばねが解放され、前記ばねは、前記針ホルダを前記第1の位置から前記第2の位置へ向けて遠位方向に移動させる、
第35の局面に記載の自動注射器。
[第38の局面]
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルと; 前記ハウジングに解放可能に取り付けられた取り外し可能なキャップであって、前記キャップが前記ハウジングに取り付けられたときは、前記キャップは前記針シールドとシェルが相互に移動することを阻止し、取り外されたときは、前記キャップは前記シェルと前記針シールドとの間の相対的な動きを可能にするように、前記シェル及び前記針シールドを解除可能にロックする、前記キャップと;を備える、
第30の局面に記載の自動注射器。
[第39の局面]
第2のサブ組立体に解放可能に結合する第1のサブ組立体を更に備え、
前記第1のサブ組立体は、前記針、前記カートリッジホルダ、前記針シールド、及びシェルを備え、前記第2のサブ組立体は、前記ハウジング、前記移動可能なプランジャロッド、及び前記解放ラッチを備える、
第30の局面に記載の自動注射器。
[第40の局面]
前記針シールドの、前記引込位置から前記延伸位置への移動は、前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体から自動的に解放する、
第39の局面に記載の自動注射器。
[第41の局面]
前記第1のサブ組立体は1回使用型のサブ組立体である、
第40の局面の自動注射器。
[第42の局面]
前記第2のサブ組立体は複数回使用型のサブ組立体である、
第40の局面に記載の自動注射器。
[第43の局面]
前記シェルは、前記第1のサブ組立体を前記第2のサブ組立体と解放可能に結合させるために、前記ハウジング上の対応する少なくとも1つの内方へ突出する保持タブと係合するための、外方へ突出する少なくとも1つの可撓性タブを備える、
第40の局面に記載の自動注射器。
[第44の局面]
前記第2のサブ組立体は:
前記針シールドが近位方向に前記引込位置から前記延伸位置へ移動するとき、前記シェル上の少なくとも1つの可撓性タブと係合して、前記少なくとも1つの可撓性タブを前記ハウジング上の対応する少なくとも1つの保持タブから離脱させるように、前記近位方向へ付勢されるリングを備える、
第43の局面に記載の自動注射器。
[第45の局面]
前記針シールドは、前記針シールドが前記引込位置から前記延伸位置へ移動するときに前記可撓性タブと整列する開口部を備え、前記リングが前記シェル上の前記可撓性タブを前記開口部内に撓ませ、前記可撓性タブを、前記ハウジング上の前記対応する保持タブから離脱させる、
第44の局面に記載の自動注射器。
[第46の局面]
前記針シールドは、前記針シールドが前記引込位置から前記延伸位置へ移動するとき、前記溝内に延びる前記シェル上のタブと係合して前記針シールドを前記延伸位置でロックするように、前記シェル内に形成された溝内を移動し且つ前記溝内に拘束されるスプラインを備える、
第30の局面に記載の自動注射器。
[第47の局面]
自動注射器のためのサブ組立体であって:
薬剤カートリッジを受容するように構成されるカートリッジホルダと;
前記薬剤カートリッジからの薬剤が通過できる長手方向の空洞を有する中空の注射用針と;
前記針を囲繞する延伸位置と、前記針の少なくとも一端部を囲繞しない引込位置との間を、前記カートリッジホルダに対して移動可能な針シールドと;
前記カートリッジホルダと前記針シールドとを少なくとも部分的に包囲するシェルと; 取り付けているときには前記針シールドと前記シェルとの相対的な動きを阻止し、取り外されると前記針シールドと前記シェルとの相対的な移動が可能となるように、前記シェル及び前記針シールドを解除可能にロックする取り外し可能なキャップと;を備え、
前記シェルは、第2のサブ組立体と解放可能に連結するように構成されて前記自動注射器を形成する、
自動注射器のためのサブ組立体。
[第48の局面]
第1の位置と第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置において前記針の空洞は前記薬剤カートリッジの内部と流体連通せず、前記第2の位置において前記針の空洞は前記薬剤カートリッジの前記内部と流体連通する、前記針を保持するための針ホルダを更に備える、
第47の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。
[第49の局面]
前記キャップの取り外すと、前記針の空洞が前記薬剤カートリッジの前記内部と流体連通するように、前記針ホルダが前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する、
第48の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。
[第50の局面]
前記キャップは、前記キャップが少なくとも1つの方向へ回転すると前記針ホルダ及び針が遠位方向へ前記第2の位置まで移動できるように、針ホルダ上のカムと係合するカムフォロワを備える、
第49の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。
[第51の局面]
前記キャップはばねを備え、前記キャップを少なくとも1つの方向へ回転することにより前記ばねが解放され、前記ばねは、前記針ホルダ及び前記針を前記第2の位置へ向けて遠位方向に移動させる、
第49の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。
[第52の局面]
前記カートリッジホルダは、第1の位置と、前記第1の位置の近位にある第2の位置との間を移動可能であり、前記第1の位置において近位方向への移動が阻止される、
第47の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。
[第53の局面]
前記カートリッジホルダ及び前記シェルのうちの一方に固定された解除可能なロック部材は、前記カートリッジホルダ及び前記シェルのうちの他方に係合して、前記ロック部材が係合される際に、前記カートリッジホルダと前記シェルとの間の少なくとも1つの方向への相対的な動きを阻止する、
第52の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。
[第54の局面]
前記針シールドの前記延伸位置から前記引込位置への移動は、前記解除可能なロック部材を離脱させて前記カートリッジホルダが前記第1の位置から前記第2の位置へ前記近位方向に移動することを許容する、
第53の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。
[第55の局面]
前記サブ組立体は1回使用型のサブ組立体である、
第47の局面に記載の自動注射器のためのサブ組立体。