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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】冷媒組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20231016BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C09K5/04 C
C09K5/04 E
C09K5/04 F
F25B1/00 396Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021503101
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019042503
(87)【国際公開番号】W WO2020018857
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】62/700,929
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ ハビランド マイナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアチェスラフ エー.ペトロフ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102559146(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107365568(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102660229(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321099(US,A1)
【文献】国際公開第2015/125883(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/047621(WO,A1)
【文献】特開2016-176080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00- 5/20
F25B 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンを含む、組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、前記トリフルオロヨードメタンが、25重量パーセント~80重量パーセントの量で存在し、前記ジフルオロメタンが35重量パーセント~50重量パーセントの量で存在し、前記ペンタフルオロエタンが5重量パーセント~15重量パーセントの量で存在し、前記トリフルオロメタンが0.01重量パーセント~7重量パーセントの量で存在する、組成物
【請求項2】
前記組成物の総重量に基づいて、0.01重量パーセント~12重量パーセントの量のヘキサフルオロエタンを更に含む、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
潤滑剤、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、摩耗防止剤、極圧剤、腐食及び酸化防止剤、金属表面エネルギー減少剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、泡制御剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調節剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びヘキサフルオロエタンを含む、組成物であって、
前記組成物の総重量に基づいて、前記トリフルオロヨードメタンが25重量パーセント~80重量パーセントの量で存在し、前記ジフルオロメタンが35重量パーセント~50重量パーセントの量で存在し、前記ペンタフルオロエタンが5重量パーセント~15重量パーセントの量で存在し、前記ヘキサフルオロエタンが0.01重量パーセント~12重量パーセントの量で存在する、組成物
【請求項6】
前記組成物の総重量に基づいて、0.01重量パーセント~7重量パーセントの量のトリフルオロメタンを更に含む、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を含有する、冷蔵又はヒートポンプシステム。
【請求項8】
冷媒組成物の製造方法であって、前記組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~80重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、0.01重量パーセント~12重量パーセントのヘキサフルオロエタン又は0.01重量パーセント~7重量パーセントのトリフルオロメタンのうちの少なくとも1つを混合することを含む、冷媒組成物の製造方法。
【請求項9】
冷凍システムの冷却剤の製造方法であって、
a)前記組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~50重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、及び0.01重量パーセント~12重量パーセントの量のヘキサフルオロエタン又は0.01重量パーセント~7重量パーセントの量のトリフルオロメタンのうちの少なくとも1つ、
b)潤滑剤、をブレンドすることを含む、方法。
【請求項10】
冷却、空調、又はヒートポンプシステムのR-410Aを代替する方法であって、前記R-410Aの代替品として、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を前記システムに提供する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵システム、空調システム及びヒートポンプシステムにおいて使用するための組成物に関する。本発明の組成物は、冷却及び加熱を生み出す方法及び冷媒と冷蔵を置換える方法、並びに冷蔵機器、空調機器及びヒートポンプ機器において有益である。
【背景技術】
【0002】
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)は、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、及びヒドロフルオロカーボン(HFC)を置換える代替案として提案されており、これは地球のオゾン層を損傷する可能性があり、及び/又は地球温暖化に寄与する可能性がある。ハイドロフルオロオレフィンは塩素を含有せず、したがって地球のオゾン層を劣化させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペンなどの提案されたHFOは、R-410Aなどの置換えることを意図される冷媒と比較して冷却能力が低下している。したがって、良好なエネルギー効率も提供する、より高い冷却容量代替物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンを含む組成物。
【0005】
一実施形態では、トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びヘキサフルオロエタンを有する組成物を含む、冷蔵、空気調節、又はヒートポンプシステム。
【0006】
一実施形態では、トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンを有する組成物を含む、冷蔵、空気調節、又はヒートポンプシステム。
【0007】
一実施形態では、トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びヘキサフルオロエタンを有する組成物を含む、冷蔵、空気調節、又はヒートポンプシステム。
【0008】
一実施形態において、組成物は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを更に含んでもよい。
【0009】
一実施形態において、冷媒組成物の製造方法であって、組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~80重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、及び0.5重量パーセント~12重量パーセントのヘキサフルオロエタン又は0.5重量パーセント~7重量パーセントのトリフルオロメタンのうちの少なくとも1つを混合することを含む、方法。
【0010】
一実施形態において、冷蔵システムの冷却剤を作る方法であって、組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~50重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、及び0.5重量パーセント~12重量パーセントの量のヘキサフルオロエタン又は0.5重量パーセント~7重量パーセントの量のトリフルオロメタンの少なくとも1つ、及び潤滑剤、をブレンドすることを含む、方法。
【0011】
これらの組成物は、増加した冷却能力を提供する。本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の原理を例示する添付図面と併せてなされる、以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述の一般説明及び以下の「発明を実施するための形態」は、単なる例示かつ説明のみであり、また本発明を制限するものではない。
【0013】
以下に記載される実施形態の詳細に言及する前に、いくつかの用語を定義又は明確化する。定義:
本明細書で使用するとき、伝熱流体(伝熱媒体とも呼ばれる)という用語は、熱源からヒートシンクへ熱を運ぶために使用される組成物を意味する。熱源は、熱を加える、伝達する、移動させる又は除去することが望ましい任意の空間、場所、物又は物体として定義される。熱源の例としては、スーパーマーケットの冷蔵庫又は冷凍ケース、輸送用の冷蔵されているコンテナ、空調を必要とする建物空間、工業用水冷器又は空調を必要とする自動車の客室などの冷蔵又は冷却を必要とする空間(開放されているか又は囲われている)である。いくつかの実施形態では、伝熱組成物は、伝達プロセスを通して、一定の状態を維持していてもよい(すなわち、蒸発又は凝縮しない)。他の実施形態では、蒸気冷却プロセスにも伝熱組成物を用いてもよい。ヒートシンクは、熱を吸収することができる任意の空間、場所、物又は物体として定義される。蒸気圧縮冷蔵システムは、そのようなヒートシンクの一例である。
【0014】
冷媒は、液体から気体への相変化が行われ、熱の伝達に使用されるサイクル中に再び戻る伝熱流体として定義される。
【0015】
伝熱システムは、特定の空間において加熱又は冷却効果を生じるために使用されるシステム(又は機器)である。伝熱システムは、移動システム又は固定システムであり得る。伝熱システムの例としては、これらに限定されないが、固定伝熱システム、エアコン、冷凍庫、冷蔵庫、ヒートポンプ、水チラー、満液式蒸発チラー、直接膨張式チラー、ウォークインクーラーを含むチラー、移動冷蔵庫、移動伝熱システム、移動空調ユニット、除湿器及びこれらを組み合わせたものを含む任意の型の冷蔵システム及び空調システムである。冷蔵能力(冷却能力とも呼ばれる)は、循環している冷媒1ポンド当たりの蒸発器内の冷媒のエンタルピーの変化、又は蒸発器から出る冷媒蒸気の単位体積(容積)当たりの蒸発器内の冷媒によって除去される熱、を定義する用語である。
【0016】
冷蔵能力は、冷媒又は伝熱組成物が、冷却を生じる能力の尺度である。したがって、この能力が高ければ高いほど、より高程度の冷却を生じる。冷却速度は、蒸発器内の冷媒によって除去される単位時間当たりの熱量を指す。
【0017】
性能係数(Coefficient of performance、COP)は、除去された熱量を、そのサイクルを運転するのに必要であったエネルギー入力で割ったものである。COPが高ければ高いほど、エネルギー効率がより高いということである。COPは、特定の内部温度及び外部温度の組み合わせでの冷蔵設備又は空調設備の効率評価であるエネルギー効率比(EER)と直接関連がある。
【0018】
用語「過冷却」は、所定の圧力で、その液体の飽和点を下回るまで液体の温度を低下させることを指す。飽和点とは蒸気が完全に液体に凝縮される温度であるが、過冷却では、液体を所与の圧力でより低い温度に冷却し続ける。飽和温度を下回る温度(又は沸点温度)まで液体を冷却することで、正味の冷蔵能力を増大させ得る。それにより、過冷却は、システムの冷蔵能力及びエネルギー効率を向上させる。過冷却量は、飽和温度(度)を下回る冷却量である。
【0019】
過熱は、蒸気組成物がその飽和蒸気温度(組成物が冷却される場合に液体の最初の一滴が形成される温度、「露点」とも呼ばれる)をどの程度上回って加熱されるかを定義する用語である。
【0020】
温度勾配(単に「勾配」と呼ばれることもある)は、任意の過冷却又は過熱を除く、冷媒システムの構成要素内の冷媒による相変化プロセスの開始温度と終了温度との間の差異の絶対値である。この用語は、擬似共沸組成物又は非共沸組成物の、凝縮又は蒸発について説明するために使用され得る。冷蔵システム、空調システム又はヒートポンプシステムの温度勾配を指す場合、蒸発器内の温度勾配と凝縮器の温度勾配との平均値である平均温度勾配を提供することが一般的である。
【0021】
正味冷蔵効果とは、有用な冷却を生み出すために冷媒1kgが蒸発器内で吸収する熱量である。質量流量は、所定の時間に、冷蔵システム、ヒートポンプシステム又は空調システムを介して循環する冷媒の量(キログラム)である。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「潤滑剤」とは、部品の焼付き防止を補助するために圧縮器に潤滑を提供する、組成物又は圧縮器に添加される(及び任意の伝熱システム内で使用中の任意の伝熱組成物と接触する)任意の材料を意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、相溶化剤は、伝熱システム潤滑剤中の、開示される組成物のヒドロフルオロカーボンの溶解度を改善する化合物である。いくつかの実施形態では、相溶化剤により圧縮器への油戻しが改善される。いくつかの実施形態では、組成物をシステム潤滑剤と共に使用して、油リッチ相の粘度を低下させる。
【0024】
本明細書で使用するとき、油戻しとは、伝熱組成物の、伝熱システムを介して潤滑剤を運び、圧縮器にその潤滑剤を戻す能力を意味する。すなわち、使用中、圧縮器潤滑剤の一部が、伝熱組成物によって圧縮器からシステムの他の部分に運び出されることは珍しいことではない。そのようなシステムでは、潤滑剤が効率良く圧縮器に戻らない場合、最終的に、潤滑の不足により圧縮器が故障する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「紫外線」染料は、紫外線又は電磁スペクトルの「近」紫外線領域内で光を吸収する紫外線蛍光性組成物又はリン光性組成物として定義される。10ナノメートル~約775ナノメートルの範囲内の波長を有する少なくとも若干の放射線を放出する紫外線照射下において、紫外線蛍光染料により産生された蛍光が検出されてもよい。
【0026】
可燃性は、発火する及び/又は炎を伝播させる組成物の能力を意味するために使用される用語である。冷媒及び他の伝熱組成物については、燃焼下限濃度(lower flammability limit、「LFL」)とは、ASTM(American Society of Testing and Material、米国材料検査協会)E681-09 (2015)に記述されている試験条件下で組成物の均質混合物及び空気を介して炎を伝播することができる空気中の伝熱組成物の最低濃度である。可燃上限(upper flammability limit、「UFL」)とは、同じ試験条件下で組成物の均質混合物及び空気を介して火炎伝播することができる、空気中における伝熱組成物の最高濃度である。また、ASTM-E681-09(2015)の条件下で試験することによって、冷媒化合物又は混合物が可燃性であるか不燃性であるかが判定される。
【0027】
冷媒が漏れる際には、混合物の低沸点成分が優先的に漏れ得る。これにより、システム内並びに蒸気漏れの組成は、漏れる時間にわたって変化する場合がある。これにより、不燃性の混合物は、漏れが想定される状況下で可燃性になり得る。また、ASHRAE(American Society of Heating,Refrigeration and Air-conditioning Engineers、米国加熱、冷蔵及び空調工学会)によって不燃性として分類されるためには、冷媒又は伝熱組成物は、配合時のみならず漏れ状態下でも、不燃性でなければならない。
【0028】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較して、1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出に起因する相対的な地球温暖化への関与を推定するための指数である。GWPは、様々な対象期間について計算することができ、所与のガスの大気寿命の影響を示す。対象期間を100年間とするGWPが、一般的に参照される値である。混合物については、各成分に関する個々のGWPに基づいて加重平均を計算することができる。
【0029】
オゾン破壊係数(ozone depletion potential、ODP)は、物質によって生じるオゾン破壊の程度を指す数値である。ODPは、化学物質がオゾンに及ぼす影響を、類似の質量のCFC-11(フルオロトリクロロメタン)による影響と比較した比率である。このため、CFC-11のODPが1.0と定義される。他のCFC及びHCFCは、0.01~1.0の範囲のODPを有する。HFCは、塩素又は他のオゾン破壊性ハロゲンを含有しないので、ODPはゼロである。
【0030】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンは更に、HFO-1234yf、HFC-1234yf又はR1234yfと称される場合もある。HFO-1234yfは、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)又は1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)の脱フッ化水素によるなどの、当該技術分野において既知の方法によって作製され得る。
【0031】
ジフルオロメタン(HFC-32又はR-32)は、商業的に利用可能であるか、又は例えば、塩化メチレンの脱塩素フッ素化など当該技術分野において既知の方法によって作製し得る。
【0032】
ペンタフルオロエタン(HFC-125又はR-125)は市販されているか、又は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,399,549号に記載の2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタンの脱クロロフッ化など、当該技術分野において既知の方法によって作製され得る。
【0033】
トリフルオロメタン(HFC-32又はR-32)は、商業的に利用可能であるか、又は当該技術分野において既知の方法によって作製し得る。
【0034】
1,1,1,2,2,2-ヘキサフルオロエタン、ペルフルオロエタン(FC-116)は市販されているか、又は当該技術分野において既知の方法によって作製されてもよい。
【0035】
1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFC-1234ze)は市販されているか、又は当該技術分野において既知の方法によって作製されてもよい。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含する(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又は他の任意の変型は、非排他的包含を扱うものとする。例えば、列挙する要素を含む、組成物、プロセス、方法、物品、若しくは機器は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない他の要素、又はそのような組成物、プロセス、方法、物品、若しくは機器などに伴われる他の要素を包含し得る。
【0037】
移行句「からなる」は、特定されていないいかなる要素、工程、又は成分も除外する。特許請求の範囲における場合には、材料に通常付随する不純物を除き、このような語句は、列挙された材料以外の材料の包含を特許請求項から締め出すものである。語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく請求項の本文の節内で現れる場合、この語句はその節の中に示される要素のみを限定するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外されるわけではない。移行句「~から本質的になる」は、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、構成成分、又は要素を含む、組成物、方法、又は機器を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、構成成分、又は要素は、請求される発明の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない。
【0038】
用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間の意味をもつ。典型的には、冷媒混合物の成分及び冷媒混合物自体は、冷媒混合物の新規及び基本的特性に実質的に影響を及ぼすことのない少量(例えば、総計約0.5重量%未満)の不純物及び/又は副生成物(例えば、冷媒構成成分の産生又は他のシステムからの冷媒成分の再利用)を含有してもよい。
【0039】
出願人が、発明又はその一部分を、「含む」などの非限定的な用語で定義する場合、(特に明記しない限り)その説明は用語「から本質的になる」又は「からなる」を用いるこのような発明も説明しているように解釈されるべきであることが容易に理解されるべきである。また、「a」又は「an」の使用は、本明細書で記載される要素及び構成成分を説明するのに用いられる。これは、単に便宜上なされるものであり、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0040】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を、開示された組成物の実施形態の実践又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を下に記載する。本明細書において言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参照文献は、特定の一節を引用するものでない限り、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本明細書が優先される。更に、材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。
【0041】
冷媒業界は、許容可能な性能及び環境持続可能性を提供する新規冷媒製品の開発に奮闘している。多くの用途では不燃性冷媒組成物を必要としており、新規地球温暖化規制により、新規冷媒組成物に関する地球温暖化係数(GWP)の上限が課される可能性がある。50重量パーセントのHFC-32及び50重量パーセントのHFC-125の不燃性ブレンドであるR-410Aは、空気調節器及び熱ポンプにおいて長年にわたって使用されている冷媒である。R-410Aは、高GWPを示し、段階的に廃止及び交換されなければならない。
【0042】
冷媒混合物のGWPは、各構成成分のGWPの加重平均として計算される。CFI、トリフルオロヨードメタンは、HFC-32及びHFC-125と同様の特性を有する低GWP火炎抑制剤である。本明細書に開示される本発明の混合物は、組成物の冷媒性能を改善しながら、組成物のGWPを低減するために、HFC-32及びHFC-125を含む冷媒組成物にCF3Iを加える。いくつかの実施形態において、冷媒混合物のGWPは、1500未満、1200未満、1000未満、875未満、750未満、500未満、300未満、150未満、100未満、70未満、50未満、30未満、10未満、5未満及び/又は1未満であり得る。
【0043】
一実施形態において、CFI含有冷媒組成物は、約20重量パーセント~約80重量パーセント、約25重量パーセント~約50重量パーセント、約30重量パーセント~約45重量パーセント、又は約35重量パーセント~約40重量パーセントのCFIを含み、約35重量パーセント~約50重量パーセント、約40重量パーセント~約50重量パーセント、又は約44重量パーセント~約50重量パーセントのHFC-32、約5重量パーセント~約15重量パーセント、約8重量パーセント~約12重量パーセント、又は約10重量パーセント~約12重量パーセントのHFC-125、約0.01重量パーセント~約7重量パーセント、約0.1重量パーセント~約5重量パーセント、又は約0.3重量パーセント~約1.5重量パーセントのHFC-23を含む。
【0044】
一実施形態において、CFI含有冷媒組成物は、約20重量パーセント~約80重量パーセント、約25重量パーセント~約50重量パーセント、約30重量パーセント~約45重量パーセント、又は約35重量パーセント~約40重量パーセントのCFIを含み、約35重量パーセント~約50重量パーセント、約40重量パーセント~約50重量パーセント、又は約44重量パーセント~約50重量パーセントのHFC-32、約5重量パーセント~約15重量パーセント、約8重量パーセント~約12重量パーセント、又は約10重量パーセント~約12重量パーセントのHFC-125、約0.01重量パーセント~約12重量パーセント、約0.1重量パーセント~約10重量パーセント、約0.3重量パーセント~約5重量パーセント、又は約0.4重量パーセント~約3重量パーセントのFC-116を含む。
【0045】
一実施形態において、CFI含有冷媒組成物は、約25重量パーセント~約50重量パーセント、約30重量パーセント~約45重量パーセント、又は約35重量パーセント~約40重量パーセントのC3Iを含み、約35重量パーセント~約50重量パーセント、約40重量パーセント~約50重量パーセント、又は約44重量パーセント~約50重量パーセントのHFC-32、約5重量パーセント~約15重量パーセント、約8重量パーセント~約12重量パーセント、又は約10重量パーセント~約12重量パーセントのHFC-125、約0.01重量パーセント~約7重量パーセント、約0.1重量パーセント~約5重量パーセント、約0.5重量パーセント~約3重量パーセント、又は約1重量パーセント~約2重量パーセントのHFC-23、及び約0.01重量パーセント~約12重量パーセント、約0.1重量パーセント~約10重量パーセント、約0.5重量パーセント~約5重量パーセント、又は約1重量パーセント~約4重量パーセントのFc-116を含む。
【0046】
CFI含有冷媒組成物は、追加の冷媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、CFI含有冷媒組成物は、約0.01重量パーセント~約12重量パーセント、約0.1重量パーセント~約10重量パーセント、約0.3重量パーセント~約5重量パーセント、又は約0.4重量パーセント~約3重量パーセントのHFO-1234yfを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、CFI含有冷媒組成物は、約0.01重量パーセント~約12重量パーセント、約0.1重量パーセント~約10重量パーセント、約0.3重量パーセント~約5重量パーセント、又は約0.4重量パーセント~約3重量パーセントのHFO-1234zeを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、C3I含有冷媒組成物は、HFO-1234yf及びHFO-1234zeの両方を更に含んでもよい。
【0047】
開示される組成物は、任意の非冷媒成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物における任意選択的な非冷媒成分(本明細書では添加剤とも呼ばれる)は、潤滑剤、染料(紫外線染料を含む)、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、パーフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧剤、腐食及び酸化防止剤、金属表面エネルギー減少剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、泡制御剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調整剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択される1つ又は2つ以上の成分を含み得る。実際に、これらの任意選択的な非冷媒成分の多くは、1つ又は2つ以上のこれらの分類に適合し、それら自体が1つ以上の性能特徴の達成に役立つ品質を有し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、1つ以上の非冷媒成分は、組成物全体に対して少ない量で存在する。いくつかの実施形態では、開示の組成物における添加剤の濃度の量は、全組成物の、約0.1重量パーセント未満~約5重量パーセントと同程度までである。本発明のいくつかの実施形態では、添加剤が、全組成物の約0.1重量%~約5重量%又は約0.1重量%~約3.5重量%の量で開示された組成物中に存在する。本開示の組成物として選択される添加剤成分は、実用性及び/又は個々の設備構成要素、若しくはシステムの要件に基づいて選択される。
【0049】
一実施形態では、潤滑剤は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、リン酸エステル、パラフィン、ナフテン、ポリアルファ-オレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0050】
本明細書に開示する潤滑剤は、市販の潤滑剤であってよい。例えば、潤滑剤は、BVM 100NとしてBVA Oilより販売されているパラフィン鉱油、商標名Suniso(登録商標)1GS、Suniso(登録商標)3GS及びSuniso(登録商標)5GSでCrompton Co.より販売されているナフテン系鉱油、商標名Sontex(登録商標)372LTでPennzoilにより販売されているナフテン系鉱油、商標名Calumet(登録商標)RO-30でCalumet Lubricantsにより販売されているナフテン系鉱油、商標名Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150及びZerol(登録商標)500でShrieve Chemicalsにより販売されている直鎖アルキルベンゼン、HAB22としてNippon Oilより販売されている分枝鎖アルキルベンゼン、商標名Castrol(登録商標)100でCastrol,United Kingdomにより販売されているポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical,Midland,Michigan)のRL-488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)及びこれらの混合物(本章で開示される任意の混合物を意味する)であってもよい。潤滑剤を含む本発明の組成物では、潤滑剤は、全組成物の40.0重量%未満の量で存在する。他の実施形態において、潤滑剤の量は、全組成物の20重量%未満である。他の実施形態において、潤滑剤の量は、全組成物の10重量%未満である。他の実施形態では、潤滑剤のおおよその量は、全組成物の約0.1重量%~5.0重量%である。
【0051】
本明細書に開示する組成物の上記重量比にもかかわらず、いくつかの伝熱システムでは、本組成物が使用されている間、そのような伝熱システムの1つ以上の設備構成要素から追加の潤滑剤が得られる可能性があることが理解されている。例えば、いくつかの冷蔵システム、空調システム及びヒートポンプシステムでは、圧縮器及び/又は圧縮器潤滑サンプ内に潤滑剤を充填してもよい。このような潤滑剤は、任意の潤滑添加剤に加えて、このようなシステムの冷媒中に存在する。使用中、圧縮器内にあるとき、冷媒組成物は、ある量の設備潤滑剤を捕捉して、冷媒-潤滑剤組成物を出発比率から変更してもよい。
【0052】
本発明の組成物と共に使用される非冷媒成分は、少なくとも1つの染料を含んでいてよい。染料は、少なくとも1つの紫外線(ultra-violet、UV)染料であってもよい。紫外線染料は、蛍光染料であってよい。蛍光染料は、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン(phenanthracene)、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン及び当該染料の誘導体及びこれらの組み合わせ(本章で開示されている当該染料又はこれらの誘導体の任意の混合物を意味する)からなる群から選択されてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、開示する組成物は、約0.001重量パーセント~約1.0重量パーセントの紫外線染料を含有する。他の実施形態では、紫外線染料は約0.005重量パーセント~約0.5重量パーセントの量で存在し、他の実施形態では、紫外線染料は全組成物の0.01重量パーセント~約0.25重量パーセントの量で存在する。紫外線染料は、機器(例えば、冷蔵ユニット、空調器又はヒートポンプ)中での漏出点又は漏出点付近において染料の蛍光を観察することができることから、組成物の漏出を検出するにあたって有用な成分である。紫外線発光(例えば、染料からの蛍光)は、紫外線光下で観察されてもよい。したがって、こうした紫外線染料を含有する組成物が機器中の所与の点から漏出した場合、蛍光は、漏出点又は漏出点付近で検出され得る。
【0054】
本発明の組成物と共に使用され得る別の非冷媒成分は、本開示の組成物中において1つ以上の染料の溶解度を改善するために選択された少なくとも1つの可溶化剤を含めてもよい。いくつかの実施形態では、染料の可溶化剤に対する重量比は、約99:1~約1:1の範囲である。可溶化剤としては、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(例えば、ジプロピレングリコールジメチルエーテル)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム又はこれらの混合物)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル及び1,1,1-トリフルオロアルカン及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の可溶化剤の混合物を意味する)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、非冷媒成分は、1つ以上の潤滑剤と開示する組成物との相溶性を改善するために少なくとも1つの相溶剤を含む。相溶剤は、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(例えば、ジプロピレングリコールジメチルエーテル)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム又はこれらの混合物)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル、1,1,1-トリフルオロアルカン及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の相溶化剤の混合物を意味する)からなる群から選択してもよい。
【0055】
可溶化剤及び/又は相溶剤は、ジメチルエーテル(dimethyl ether、DME)など、炭素、水素及び酸素のみを含むエーテルからなる炭化水素エーテル及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の炭化水素エーテルの混合物を意味する)からなる群から選択されてもよい。相溶剤は、3~15個の炭素原子を含有する直鎖又は環式脂肪族又は芳香族炭化水素相溶剤であり得る。相溶化剤は、中でも、プロピレン及びプロパンを含む少なくともプロパン、n-ブタン及びイソブテンを含むブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン及びシクロペンタンを含むペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、並びにデカンからなる群から選択され得る少なくとも1つの炭化水素であり得る。市販の炭化水素相溶化剤としては、これらに限定されるものではないが、Exxon Chemical(USA)から商標名Isopar(登録商標)Hで販売されているもの、ウンデカン(Cn)とドデカン(C12)の混合物(高純度C11~C12イソパラフィン)、Aromatic150(C9~C11芳香族)(Aromatic200(C9~C15芳香族)及びNaptha140(C5~C11パラフィン、ナフテン及び芳香族炭化水素の混合物)及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の炭化水素の混合物を意味する)が挙げられる。
【0056】
相溶剤は、代替的に、少なくとも1つのポリマー性相溶剤であってもよい。ポリマー相溶剤は、フッ素化アクリレート及び非フッ素化アクリレートのランダムコポリマーであってよく、前記ポリマーは、式CH=C(R)CO、CH=C(R)C、及びCH=C(R)CXRで表される少なくとも1つのモノマーの繰り返し単位を含む(式中、Xは酸素又は硫黄であり、R、R、及びRが、H及びC~C4のアルキルラジカルからなる群から独立して選択され、並びにR2、R、及びRがC及びFを含有する炭素鎖系ラジカルからなる群から独立して選択され、チオエーテル、スルホキシド、又はスルホン基及びそれらの混合物の形態でH、Cl、エーテル酸素、若しくは硫黄を更に含有し得る)。かかるポリマー性相溶化剤の例としては、商標名Zonyl(登録商標)PHSでE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE,19898,USA)から市販されているものが挙げられる。Zonyl(登録商標)PHSは、40重量%のCH=C(CH)COCHCH(CFCF)mF(Zonyl(登録商標)フルオロメタクリレート又はZFMとも呼ばれる)(式中、mが1~12であり、主に2~8である)、60重量%のラウリルメタクリレート(CH=C(CH)CO(CH2)nCH3(LMAとも呼ばれる)を重合することによって作製されたランダムコポリマーである。いくつかの実施形態では、相溶剤成分は、潤滑剤の金属への粘着性を低減させる方法で、熱交換器中で見出される金属銅、アルミニウム、鋼、又は他の金属及びその合金の表面エネルギーを低減させる添加剤約0.01~30重量%(相溶剤の総量を基準にして)を含有する。金属表面エネルギーを低下させる添加剤の例としては、商標名Zonyl(登録商標)FSA、Zonyl(登録商標)FSP及びZonyl(登録商標)FSJにてDuPontから市販されているものが挙げられる。
【0057】
本発明の組成物と共に使用され得る別の非冷媒成分は、金属表面不活性化剤であってもよい。金属表面不活性化剤には、アレオキサリル(areoxalyl)ビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629-10-3)、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687-78-8)、2,2,-オキサミドビス-エチル-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート(CAS登録番号70331-94-1)、N,N-(ジサリシクリデン(disalicyclidene))-1,2-ジアミノプロパン(CAS登録番号94-91-7)、及びエチレンジアミンテトラ-酢酸(CAS登録番号60-00-4)及びその塩、並びにそれらの混合物(本章に開示の任意の金属表面不活性化剤の混合物を意味する)からなる群から選択される。
【0058】
本発明の組成物と共に使用される非冷媒成分は、代替的にはヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート又はホスファイト、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン性液体、及びそれらの混合物(本章に開示されている任意の安定剤の混合物を意味する)からなる群から選択される安定剤であり得る。
【0059】
安定剤は、以下からなる群から選択され得る:トコフェロール;ヒドロキノン;t-ブチルヒドロキノン;モノチオホスフェート、及びジチオホスフェート(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland(以後「Ciba」)から商標名Irgalube(登録商標)63として市販);ジアルキルチオリン酸エステル(Cibaからそれぞれ商標名Irgalube(登録商標)353及びIrgalube(登録商標)350として市販);ブチル化トリフェニルホスホロチオネート(Cibaから商標名Irgalube(登録商標)232として市販);アミンホスフェート(Cibaから商標名Irgalube(登録商標)349(Ciba)として市販);ヒンダードホスファイト(CibaからIrgafos(登録商標)168として市販)、及びトリス-(ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Cibaから商標名Irgafos(登録商標)OPHとして市販);(Di-n-オクチルホスファイト);及びイソ-デシルジフェニルホスファイト(Cibaから商標名Irgafos(登録商標)DDPPとして市販);トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びトリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート;トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート及びトリキシレニルホスフェートを含むトリアリールホスフェート、並びにイソプロピルフェニルホスフェート(IPPP)及びビス(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート(TBPP)を含む混合アルキルアリールホスフェート;Syn-O-Ad(登録商標)8784を含む、商標名Syn-O-Ad(登録商標)にて市販されているものなどのブチル化トリフェニルホスフェート;商標名Durad(登録商標)620として市販のものなどのtert-ブチル化トリフェニルホスフェート;商標名Durad(登録商標)220及びDurad(登録商標)110で市販されているものなどのイソプロピルトリフェニルホスフェート;アニソール;1,4-ジメトキシベンゼン;1,4-ジエトキシベンゼン;1,3,5-トリメトキシベンゼン;ミルセン、アロオシメン、リモネン(特にd-リモネン);レチナール;ピネン;メントール;ゲラニオール; ファルネソール;フィトール;ビタミンA;テルピネン;δ-3-カレン;テルピノレン;フェランドレン;フェンチェン;ジペンテン;リコピン、βカロチンなどのカラテノイド(caratenoids)、及びゼアキサンチンなどのキサントフィル;ヘパキサンチン及びイソトレチノインなどのレチノイド;ボルナン;1,2-プロピレンオキシド;1,2-ブチレンオキシド;n-ブチルグリシジルエーテル;トリフルオロメチルオキシラン;1,1-ビス(トリフルオロメチル)オキシラン;3-エチル-3-ヒドロキシメチル-オキセタン(例えば、OXT-101(Toagosei Co.,Ltd));3-エチル-3-((フェノキシ)メチル)-オキセタン(例えば、OXT-211(Toagosei Co.,Ltd));3-エチル-3-((2-エチル-ヘキシルオキシ)メチル)-オキセタン(例えば、OXT-212(Toagosei Co.,Ltd));アスコルビン酸;メタンチオール(メチルメルカプタン);エタンチオール(エチルメルカプタン);コエンザイムA;ジメルカプトコハク酸(DMSA);グレープフルーツメルカプタン((R)-2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-チオール));システイン((R)-2-アミノ-3-スルファニル-プロパン酸);リポアミド(1,2-ジチオラン-3-ペンタンアミド);5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-[2,3(又は3,4)-ジメチルフェニル]-2(3H)-ベンゾフラノン(Cibaから商標名Irganox(登録商標)HP-136として市販);ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジイソプロピルアミン;商標名Irganox(登録商標)PS802(Ciba)でCibaから市販されているジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート;ジドデシル3,3’-チオプロピオネート(Cibaから商標名Irganox(登録商標)PS800として市販);ジ-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(Cibaから商標名Tinuvin(登録商標)770として市販);ポリ-(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート(Cibaから商標名Tinuvin(登録商標)622LD(Ciba)として市販);メチルビスタローアミン;ビスタローアミン;フェノール-α-ナフチルアミン;ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS);トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS);ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;2,5-ジフルオロベンゾフェノン;2’,5’-ジヒドロキシアセトフェノン;2-アミノベンゾフェノン;2-クロロベンゾフェノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジベンジルスルフィド;イオン性液体並びにその混合物及びそれらの組み合わせ。
【0060】
本発明の組成物と共に使用される添加剤は、代替的にはイオン性液体安定剤であってもよい。イオン性液体安定剤は、室温(およそ25℃)で液体である有機塩からなる群から選択され得、それらの塩は、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、及びトリアゾリウム、並びにそれらの混合物からなる群から選択された陽イオン並びに[BF]-、[PF]-、[SbF]-、[CFSO]-、[HCFCFSO]-、[CFHFCCFSO]-、[HCClFCFSO]-、[(CFSON]-、[(CFCFSON]-、[(CFSOC]-、[CFCO]-、及びF-、並びにそれらの混合物からなる群から選択される陰イオンを含有する。いくつかの実施形態では、イオン性液体安定剤は次からなる群から選択される;emim BF(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩)、bmim BF(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラボラート);emim PF(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート);及びbmim PF(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)であり、これらの全ては、Fluka(Sigma-Aldrich)より入手可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、安定剤は、ヒンダードフェノールであり得、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール;2,4-ジメチル-6-tertブチルフェノール;トコフェロールなどを含むアルキル化モノフェノール、t-ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンの他の誘導体などを含むヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノンなど、4,4’-チオ-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(3-メチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-チオビス(4メチル-6-tert-ブチルフェノール);などを含むヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2-、又は4,4-ビフェノールジオール誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール、2,2-又は4,4-ビフェニルジオール(2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)を含む);ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、又は2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)を含むアルキリデン-ビスフェノール、2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール、4,4-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)などを含むヘテロ原子を含むビスフェノール;アシルアミノフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド及びこれらの混合物(本項に開示されているフェノールのいずれかの混合物を意味する)を含むスルフィドなど、1つ以上の置換又は環状直鎖又は分岐鎖脂肪族置換基を含むフェノールを含む任意の置換フェノール化合物である。本発明の組成物と共に使用される非冷媒成分は、代替的にトレーサーであってもよい。トレーサーは、同一の分類の化合物又は異なる分類の化合物の2種以上のトレーサー化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、トレーサーは、全組成物の重量に基づいて、約50重量百万分率(ppm)~約1000ppmの合計濃度で組成物中に存在する。他の実施形態では、トレーサーは、約50ppm~約500ppmの合計濃度で存在する。代替的には、トレーサーが全濃度約100ppm~約300ppmにて存在する。
【0062】
トレーサーは、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、重水素化ヒドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素酸化合物、アルコール、アルデヒド及びケトン、亜酸化窒素及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、トレーサーは、フルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロヘプタン、ヨードトリフルオロメタン、重水素化炭化水素、重水素化ヒドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨード化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(NO)、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、トレーサーは、2つ以上のヒドロフルオロカーボン、又は1つ以上のパーフルオロカーボンと組み合わされた1つのヒドロフルオロカーボンを含有するブレンドである。
【0063】
当該組成物のなんらかの希釈、汚染又はその他の変更を検出できるようにするために、所定の量でトレーサーが本発明の組成物に添加されてもよい。
【0064】
本発明の組成物と共に使用され得る添加剤は、代替的には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0284555号に詳細に記述されているようにパーフルオロポリエーテルであってもよい。
【0065】
非冷媒成分に好適であると上で記載した特定の添加剤は、冷媒として可能性があるものとして特定されていることが理解されるであろう。しかしながら、本発明によれば、これらの添加剤が使用される場合、本発明の冷媒混合物の新規かつ基本的特徴に影響を及ぼし得る量では存在しない。好ましくは、冷媒混合物及びそれらを含有する本発明の組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-23、FC-116、HFO-1234yf、HFO-1234ze、及びCFI以外の冷媒を約0.5重量%以下で含有することが好ましい。一実施形態では、本明細書に開示する組成物は、所望の量の個々の成分を混ぜ合わせるための任意の簡便な方法によって調製してよい。好ましい方法は、所望の成分量を計量し、その後、適切な容器内で成分を混ぜ合わせることである。必要に応じて、撹拌を用いてもよい。本発明の組成物は、ゼロオゾン破壊係数及び低地球温暖化係数(GWP)を有する。追加的に、本発明の組成物は、現在使用中の多くのヒドロフルオロカーボン冷媒を下回る地球温暖化係数を有することになる。
【0066】
本明細書では、一実施形態では、本発明の組成物を含む冷蔵、空気調節、又はヒートポンプシステムが提供される。冷蔵、空調又はヒートポンプシステムは、蒸発器、圧縮器、凝縮器、及び膨張装置を備える。
【0067】
本発明の組成物は、熱交換器内に温度勾配をいくらか有することが見出されている。これにより、向流モード又は向流傾向を呈する横流モードで熱交換器が動作されている場合、システムはより効率的に動作する。向流傾向とは、熱交換器が向流モードに可能な限り近づくほど、伝熱がより効率的であることを意味する。したがって、空調熱交換器、特に蒸発器は、向流傾向のいくつかの態様を提供するように設計される。したがって、空調又はヒートポンプシステムが本明細書で提供され、このシステムは、向流モード又は向流傾向を呈する横流モードで動作する、1つ以上の熱交換器(蒸発器、凝縮器のいずれか又は両方)を含む。別の実施形態では、冷蔵システムが本明細書で提供され、このシステムは、向流モード又は向流傾向を呈する横流モードで動作する、1つ以上の熱交換器(蒸発器、凝縮器のいずれか又は両方)を含む。一実施形態では、冷蔵、空調、又はヒートポンプシステムは、固定式冷蔵、空調、又はヒートポンプシステムである。別の実施形態では、冷蔵、空調、又はヒートポンプシステムは、移動式冷蔵、空調、又はヒートポンプシステムである。
【0068】
加えて、いくつかの実施形態では、開示の組成物は、水、水性食塩水、(例えば、塩化カルシウム)、グリコール、二酸化炭素、又はフッ素化炭化水素流体を含み得る二次伝熱流体の使用によって、遠隔場所に冷却を提供する二次ループシステムにおいて主要冷媒として機能し得る。この場合、二次伝熱流体は、蒸発器に隣接しており、冷却すべき第2の遠隔体に移動させる前に冷却させることから、冷却すべき本体である。
【0069】
空調又はヒートポンプシステムの例としては、これらに限定されないが、空調機、住宅用のヒートポンプ、満液式蒸発器チラー及び直接膨張式チラーを含むチラー、移動式空調ユニット、除湿器、及びそれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0070】
本明細書で使用するとき、移動式冷蔵、空調、又はヒートポンプシステムとは、道路、鉄道、海上、又は航空の輸送ユニットに組み込まれる、任意の冷蔵機器、空調機器、又はヒートポンプ機器を指す。移動式空調又はヒートポンプシステムは、自動車、トラック、列車、又は他の輸送システムに使用され得る。移動式冷蔵は、トラック、飛行機、又は列車の輸送用冷蔵を含み得る。加えて、「複合一貫輸送システム」として知られている、任意の移動式キャリアに依存しないシステムに冷蔵を提供することを意味する機器は、本発明に含まれる。かかる複合一貫輸送システムとしては、「コンテナ」(海上/陸上複合輸送)、並びに「スワップボディ」(道路及び鉄道複合輸送)が挙げられる。本明細書で使用するとき、固定式空調又はヒートポンプシステムは、動作中に適所に固定されるシステムである。固定式空調又はヒートポンプシステムは、いずれかの様々な建物に関連付けられ得るか、又は取り付けられ得る。これらの固定式の用途としては、これらに限定されないが、チラー、住宅用高温ヒートポンプを含むヒートポンプ、住宅用、商業用、若しくは工業用空調システムを含み、かつ窓、ダクトの有無に関わらずパッケージ型端末、屋上システムなどの建物に接続されるそれらの外部を含む、固定式空調及びヒートポンプであり得る。本開示の組成物が有用であり得る冷蔵システムの例としては、商業用、工業用、又は住宅用冷蔵庫及び冷凍庫、製氷機、内蔵型クーラー及び冷凍庫、満液式蒸発器チラー、直接膨張式チラー、ウォークイン及びリーチインクーラー及び冷凍庫、並びに組み合わせシステムを含む設備であり得る。いくつかの実施形態において、開示する組成物は、スーパーマーケットの冷蔵システムにおいて使用され得る。更に、固定型用途は、1つの位置において、冷却を生み出す一次冷媒を使用し、この冷却を二次伝熱流体を介して遠隔地に移動させる、二次ループシステムを利用し得る。
【0071】
一実施形態において、冷媒組成物の製造方法であって、組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~80重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、及び0.01重量パーセント~12重量パーセントのヘキサフルオロエタン又は0.01重量パーセント~7重量パーセントのトリフルオロメタンのうちの少なくとも1つを混合することを含む、方法。成分は、圧力下で液化ガスである組成物を保持するように設計されたスチールシリンダなどの適切な容器内で混合されてもよい。
【0072】
一実施形態において、冷蔵システムの冷却剤を作る方法は、組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~50重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、及び0.01重量パーセント~12重量パーセントの量のヘキサフルオロエタン又は0.01重量パーセント~7重量パーセントのトリフルオロメタンの少なくとも1つ、及び潤滑剤、をブレンドすることを含む、方法。
【実施例
【0073】
以下の表1及び表2は、従来のR-410A冷媒と比較して、冷媒組成物を含有する様々なCFIの特性、及び冷却性能を要約する。示される性能は、空調又は高温冷蔵状態を表す。Evap Pは蒸発器の圧力であり、Cond Pは凝縮器圧力であり、Disch Tは圧縮器の排出温度であり、Avg Glideは蒸発器及び凝縮器の平均温度勾配であり、キャップは体積冷却容量であり、COPは性能係数である。適用可能な場合、データは、R-410Aに対して相対的である。AR4 GWPは、R-32及びR-125についての気候変動(IPCC)第4評価レポート(2007)に関する政府によるPanelに従う100年の地球温暖化係数である。CFIは、GWPが1であると仮定した。
【0074】
凝縮器温度は、40℃で、蒸発器温度は℃で設定し、過冷却量は5Kであり、戻しガス吸引温度は18℃であり、圧縮器のエントロピー効率は70%であった。
【0075】
状態
凝縮器の温度=40℃
蒸発器の温度=4℃
過冷却量5K
戻しガスの温度(℃)=18℃
圧縮器の効率70%
【0076】
【表1】
【0077】
状態
凝縮器の温度=40℃
蒸発器の温度=4℃
過冷却量5K
戻しガスの温度(℃)=18℃
圧縮器の効率70%
【0078】
【表2】
【0079】
結果は、HFC-23又はHFC-116をR-32/125/CF3Iの混合物に添加することによって、冷却能力が改善されることを示す。混合物のエネルギー効率は許容可能なレベルに維持され、圧縮器の吐出温度は同様のままであり、低温勾配(<2 K)が維持される。この全ては、現用冷媒R-410AよりもGWPが低い組成物で達成される。
【0080】
本発明を1つ又は2つ以上の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には様々な変更がなされてもよく、その要素の代わりに同等物を使用することができることが理解されるであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全ての実施形態を含むことになる。加えて、詳細な説明で特定された全ての数値は、正確かつ近似的な値が両方とも明示的に特定されているかのように解釈されるものとする。
【0081】
追加の実施形態
実施形態A1:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンを含む組成物。
【0082】
実施形態A1a:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンから本質的になる、実施形態A1に記載の組成物。
【0083】
実施形態A1b:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンからなる、実施形態A1に記載の組成物。
【0084】
実施形態A2:組成物の総重量に基づいて、トリフルオロヨードメタンが25重量パーセント~80重量パーセントの量で存在し、ジフルオロメタンが35重量パーセント~50重量パーセントの量で存在し、ペンタフルオロエタンが5重量パーセント~15重量パーセントの量で存在し、トリフルオロメタンが0.01重量パーセント~7重量パーセントの量で存在する、実施形態A1に記載の組成物。
【0085】
実施形態A2a:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンから本質的になる、実施形態A2に記載の組成物。
【0086】
実施形態A2b:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びトリフルオロメタンからなる、実施形態A2に記載の組成物。
【0087】
実施形態A3:ヘキサフルオロエタンを更に含む、実施形態A1又はA2に記載の組成物。
【0088】
実施形態A3a:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロメタン、及びヘキサフルオロエタンから本質的になる、実施形態A3に記載の組成物。
【0089】
実施形態A3b:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロメタン、及びヘキサフルオロエタンからなる、実施形態A3に記載の組成物。
【0090】
実施形態A4:ヘキサフルオロエタンを更に含み、ヘキサフルオロエタンが、組成物の総重量に基づいて0.01重量パーセント~12重量パーセントの量で存在する、実施形態A1、A2又はA3のいずれかに記載の組成物。
【0091】
実施形態A5:組成物の地球温暖化係数(GWP)は875未満である、実施形態A1、A2、A3又はA4のいずれかに記載の組成物。
【0092】
実施形態A6:2,3,3,3-テトラフルオロプロペン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを更に含む、実施形態A1、A2、A3、A4又はA5のいずれかに記載の組成物。
【0093】
実施形態A7:潤滑剤、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、摩耗防止剤、極圧剤、腐食及び酸化防止剤、金属表面エネルギー減少剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、泡制御剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調節剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、実施形態A1、A2、A3、A4、A5又はA6のいずれかに記載の組成物。
【0094】
実施形態A8:潤滑剤が、鉱物油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリアルファ-オレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A1、A2、A3、A4、A5、A6又はA7のいずれかに記載の組成物。
【0095】
実施形態B1:トリフルオロヨードメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、及びヘキサフルオロエタンを含む組成物。
【0096】
実施形態B2:組成物の総重量に基づいて、トリフルオロヨードメタンが25重量パーセント~80重量パーセントの量で存在し、ジフルオロメタンが35重量パーセント~50重量パーセントの量で存在し、ペンタフルオロエタンが5重量パーセント~15重量パーセントの量で存在し、ヘキサフルオロエタンが0.01重量パーセント~12重量パーセントの量で存在する、実施形態B1に記載の組成物。
【0097】
実施形態B3:組成物の総重量に基づいて、0.01重量パーセント~7重量パーセントの量のトリフルオロメタンを更に含む、実施形態B1又はB2のいずれかに記載の組成物。
【0098】
実施形態B4:組成物の地球温暖化係数(GWP)は875未満である、実施形態B1、B2、又はB3のいずれかに記載の組成物。
【0099】
実施形態B5:2,3,3,3-テトラフルオロプロペン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを更に含む、実施形態B1、B2、B3の又はB4のいずれかに記載の組成物。
【0100】
実施形態C1:実施形態A1、A2、A3、A4、A5、A6又はA7はのいずれかに記載の組成物を含有する、冷蔵、空調又はヒートポンプシステム。
【0101】
実施形態D1:実施形態B1、B2、B3、B4、又はB5のいずれかに記載の組成物を含有する、冷蔵、空調又はヒートポンプシステム。
【0102】
実施形態E1:冷媒組成物の製造方法であって、組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~80重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、及び0.01重量パーセント~12重量パーセントのヘキサフルオロエタン又は0.01重量パーセント~7重量パーセントのトリフルオロメタンのうちの少なくとも1つを混合することを含む、方法。
【0103】
実施形態F1:冷蔵システム冷却剤を製造する方法であって、
a)組成物の総重量に基づいて、25重量パーセント~50重量パーセントのトリフルオロヨードメタン、35重量パーセント~50重量パーセントのジフルオロメタン、5重量パーセント~15重量パーセントのペンタフルオロエタン、及び0.01重量パーセント~12重量パーセントの量のヘキサフルオロエタン又は0.01重量パーセント~7重量パーセントの量のトリフルオロメタンの少なくとも1つ、及び、
b)潤滑剤、をブレンドすることを含む、方法。
【0104】
実施形態F2:潤滑剤が、鉱物油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリアルファ-オレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態F1に記載の方法。
【0105】
実施形態F3:潤滑剤が、ポリオールエステル又はポリアルキレングリコールを含む、実施形態F1又はF2のいずれかに記載の方法。
【0106】
実施形態G1:R-410Aを冷蔵、空気調節、又はヒートポンプシステムで置換える方法であって、実施形態A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、B1、B2、B3、B4又はB5のいずれかに記載の組成物を前記R-410Aの代替品としてシステムに提供することを含む、方法。