(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】慢性創傷の治療のための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/085 20060101AFI20231016BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20231016BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231016BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20231016BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231016BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231016BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231016BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231016BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231016BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231016BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231016BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231016BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20231016BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20231016BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231016BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20231016BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20231016BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61K31/085
A61K9/107
A61K9/10
A61K9/06
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/14
A61K45/00
A61P29/00
A61P17/02
A61K9/70 401
A61K47/12
A61K47/34
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/46
A61P31/04
(21)【出願番号】P 2021503217
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 GB2019050960
(87)【国際公開番号】W WO2019193333
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-28
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520386877
【氏名又は名称】ペリス・ケア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン・ロス・パーヴィス
(72)【発明者】
【氏名】ジャネット・アン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ベネット
(72)【発明者】
【氏名】セリア・キーリング
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-512390(JP,A)
【文献】特表2007-526883(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101780031(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110292558(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0077784(US,A1)
【文献】特表2015-500794(JP,A)
【文献】特開昭55-141409(JP,A)
【文献】特開平06-009373(JP,A)
【文献】Der Hautarzt,2002年,53,pp.724-729,DOI 10.1007/s00105-002-0416-y
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性創傷の治療における使用のための医薬組成物であって、
前記医薬組成物が、
2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン);及び
前記組成物の0.5重量%~8重量%の少なくとも1種の増粘剤
を含み、前記組成物が、20~40℃において70000~150000センチポアズ(c
P)の粘度を有
し、
前記慢性創傷が、3カ月以内に治癒しない全層皮膚欠損と定義される、
医薬組成物。
【請求項2】
局所投与のために製剤化される、請求項1に記載の
使用のための組成物。
【請求項3】
前記組成物が、エマルション、クリーム、軟膏
、又はバームの形態である、請求項1又は2に記載の
使用のための組成物。
【請求項4】
前記増粘剤が、カーボポール、ポリアクリル酸、グアーガム、カルボマー、パルミチン酸セチル及び/又は他のゲル化剤のうちの1種又は複数から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の
使用のための組成物。
【請求項5】
前記2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテルが、前記組成物の0.1重量%~4.0重量%
で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の
使用のための組成物。
【請求項6】
前記組成物が、治療有効量の抗炎症剤及び/又は有効量の鎮痛薬を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の
使用のための組成物。
【請求項7】
前記組成物が、少なくとも1種の親水性成分;及び少なくとも1種の疎水性成分を含み、前記疎水性成分又は前記親水性成分のいずれかが、重量で前記組成物の最大部分を構成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の
使用のための組成物。
【請求項8】
前記慢性創傷が、下肢潰瘍、糖尿病性足潰瘍、褥瘡性潰瘍、火傷、又は他の損傷若しくは疾患による潰瘍化創傷を含むがこれらに限定されない、非治癒性創傷から選択される、請求項
1に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記慢性創傷又は潰瘍が、少なくとも部分的に、以下:末梢神経障害、末梢動脈疾患による虚血、微小血管疾患、生体力学的異常及び重なった軽度の外傷のうちの1種又は複数によって引き起こされる、請求項
1又は
8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
創面切除治療、全身性抗生物質治療及び/又は包帯後治療から選択される1つ又はより多くの治療の使用と組み合わせられる、請求項
1、
8又は
9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記治療が、前記創傷に前記組成物を充填すること、前記創傷を包帯又は被覆すること、及び、前記治療を少なくとも1
回繰り返すことを含む、請求項
1及び8から
10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性創傷の治療、特に糖尿病性足潰瘍(foot ulcers)の治療で使用するための、2,4,4’-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)及び増粘剤を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性創傷グレード(EPUAP)3及び4、3カ月以内に治癒しない全層皮膚欠損の管理は、創傷治癒を妨げる糖尿病、肥満及び血管障害等の症状の発生によって悪化している主要な治療課題である。慢性創傷の最大70%は、3カ月以内に治癒するように促すことができるが、どれが「治療可能な」創傷となるかを最初に判断することは非常に困難であり、なかなか治らない非治癒性(non-healing)創傷については、現在あるとしてもごくわずかしか研究主導の治療選択肢がない。
【0003】
臨床的及び分子的に異なっているにもかかわらず、全ての慢性創傷は一般に、3つの主要な臨床カテゴリー:下肢潰瘍(leg ulcers)、糖尿病性足潰瘍又は褥瘡性潰瘍(pressure ulcers)のうちの1つに割り当てられている。慢性創傷病変の治癒又は治癒の欠如に関与するメカニズムに関して学ぶべきことは依然としてたくさんある。これは、動物モデルが慢性創傷の臨床的特徴を反映せず、したがってそれらのモデルとしての使用が適切な治療レジメンの発見及び試験を更に妨げることが原因である可能性がある。
【0004】
ほとんどの慢性創傷は、血管新生化が不十分であると考えられている。持続性炎症は、ほとんどの慢性創傷の特徴であり、それらも影響を受けている。これは、多くの修復プロセスを阻害する可能性が高い慢性創傷への先天性免疫細胞の大量の流入及び保持をもたらす。多くの慢性創傷の治癒における1つの一貫した障害は、創傷縁における壊死組織片の蓄積である。これが、創傷を創面切除して、「新鮮な新しい」創傷を構築し、それが効率的な再上皮形成をもたらし得ることがしばしば臨床実施である理由である。
【0005】
潰瘍の病因は、筋骨格バランスの神経障害、並びに白血球機能障害及び末梢血管疾患による免疫低下によるものであり、これらの創傷を感染症と併発している。医療の標準には、除去(off-loading)、注意深い創面切除(debridement)、湿潤創傷環境の維持、及び蜂巣炎が存在する場合は全身性抗生物質が含まれる。糖尿病性足潰瘍は、下肢の神経学的異常及び様々な程度の末梢血管疾患に関連する深部組織の感染症、潰瘍形成又は破壊である(世界保健機関定義、1995年)。
【0006】
糖尿病性足潰瘍は、一般的であり、生涯にわたって全ての糖尿病患者の15%に影響を与えると推定されている。糖尿病性足潰瘍は、末梢神経障害、血液供給の減少(末梢動脈疾患、及び微小血管疾患による虚血)高い足底圧を含む複数の要因の結果であり、罹患率、四肢喪失及び死亡率に重大なリスクをもたらす。末梢神経障害は、足の潰瘍形成の最も一般的な原因の1つであることが実証されている。潰瘍形成は、末梢神経障害、生体力学的変形、及び重なった軽度の外傷の三徴候に帰することができる。一般に、神経障害による感覚の欠如は、認識されていない反復性外傷と積載(loading)の原因であり、皮膚及び軟部組織の破壊をもたらし、感染症の入口を作る。炎症性環境は、糖尿病性微小血管症及び局所虚血の悪化の一因である。潰瘍形成の他の要因は、外傷、変形、皮膚硬結形成、及び浮腫である。糖尿病性足潰瘍のための現在の治療は、創面切除(外科的、酵素的、及び/又は包帯交換による)及び抗生物質を含む。創面切除は、創傷への線維芽細胞及びケラチノサイトの移行を阻害するエンドトキシンの供給源なり得る失活した組織を除去する。全身性抗生物質及び外科的介入に加えて、創傷のケアは、糖尿病性足潰瘍管理の重要な要素である。
【0007】
潰瘍の治療における局所抗生物質
利用可能なデータの不足により、糖尿病性足潰瘍のための局所抗微生物薬の有効性を評価することは困難である。糖尿病性足潰瘍の結果を改善する全身性薬剤はほとんどないが、静脈潰瘍のための銀含有化合物及びステージ1から2の褥瘡性潰瘍のためのオキシキノリン軟膏を含むいくつかの局所物質が治癒を早める。静脈下肢潰瘍のための抗生物質及び消毒薬のコクラン(Cochrane)系統的レビュー(O'Meara等、Antibiotics and antiseptics for venous leg ulcers. Cochrane Database of Systematic Reviews 2014、Issue 1. Art. No.: CD003557)は、いくつかの証拠がカデキソマーヨウ素の使用を支持すると結論付けた。著者等も、現在の証拠が蜂蜜又は銀ベースの生成物の日常的な使用を支持せず、また、静脈下肢潰瘍形成の治癒におけるポビドンヨード、過酸化物ベースの調製物、乳酸エタクリジン、クロラムフェニコール、フラマイセチン、ムピロシン、エタクリジン又はクロルヘキシジンの有効性について結論を出す前にさらなる証拠が必要であると結論付けた。慢性糖尿病性足潰瘍の治癒を促進するための種々の介入の有効性の系統的レビュー(Game等、Effectiveness of interventions to enhance healing of chronic ulcers of the foot in diabetes: a systematic review. Diabetes/Metabolism Research and Reviews 2016;32(1 Suppl):154~68頁)は、空洞性創傷におけるカデキソマーヨウ素の利点がないことを実証した単一の研究及び酸化亜鉛テープが親水コロイドよりも壊死性創傷を改善したことを示唆する研究を見つけた。糖尿病性足潰瘍を治療するための銀ベースの創傷被覆材及び局所薬の別のコクランレビュー(Bergin等、Silver based wound dressings and topical agents for treating diabetic foot ulcers. Cochrane Database of Systematic Reviews 2006、Issue 1. Art. No.: CD005082.)では、治癒率又は感染症の回復に関する結果を報告した無作為化制御試験(RCT)が見つからなかった。同様に、感染若しくは汚染された慢性創傷を治療するための銀含有包帯又は局所薬のコクランレビュー(Vermeulen等、Topical silver for treating infected wounds. Cochrane Database of Systematic Reviews 2007、Issue 1. Art. No.: CD005486)は、3つの無作為化試験に基づいて、これらの治療を推奨するには証拠が不十分であると結論付けた。創傷を治療するための局所蜂蜜に関するコクラン系統的レビュー(Jull等、Honey as a topical treatment for wounds. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015、Issue 3. Art. No.: CD005083)は、19試験のデータに基づいて、蜂蜜が、軽度から中等度の表層及び部分層熱傷の治癒時間を短縮する可能性があるが、下肢潰瘍の治癒を著しく早めることはなかったと結論付けた。著者等は、臨床実施を導くには証拠が不十分であったと考えた。最後に、糖尿病性足感染症の管理における介入の有効性の最近の系統的レビューでは、局所薬の使用を調査した6つの研究が見つかったが、方法及び結果からは、著者等が決定的な結論を出すことができなかった。局所抗生物質の2つの研究のうち、一方は、軽度に感染した糖尿病性足潰瘍の治療において、抗菌ペプチド、ペキシガナンクリームが、全身性抗生物質(オフロキサシン)と有効性が類似していることがわかったが、ゲンタマイシン-コラーゲンスポンジを用いた補助療法の別の研究(全身性抗生物質療法と一緒に)は、方法論的な問題のために解釈するのが困難であった(Peters等、Interventions in the management of infection in the foot in diabetes: a systematic review. Diabetes/Metabolism Research and Reviews 2016; 32(1 Suppl):145~53頁)。
【0008】
創傷ケアの実施において最も頻繁に使用される局所抗微生物薬は、クロルヘキシジン、ヨウ素、銀含有生成物、ムプリオシン(mupriocin)及びフシジン酸である。従来、酢酸、蜂蜜、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、及びプロフラビンが使用されてきた。
【0009】
糖尿病性足疾患の効果的な予防及び管理のための基本的な枠組みは、一方的な効果的な治療法がなく、しばしば欠けているように見える(National Diabetes Foot Care Audit Report 2014~2016年)。従来の治療は、現在、多くの患者が潰瘍形成の繰り返し及び最終的に切断を経験するという断続的な結果をもたらしている。
【0010】
抗生物質の局所適用の使用による不利な点は、臨床試験で有効であることが証明されている薬剤がほとんどないことである。その上、抗生物質のほとんど全ての局所適用は、無傷の皮膚又は軟部組織への浸透が最小限であり、蜂巣炎又は深部軟部組織への感染拡大のない開放創への使用に限定される。局所抗生物質の使用に対する他の不利な点には、以下のものが含まれる。大きな創傷に使用すると、薬剤によっては全身性吸収が起こる可能性があり;薬剤が局所過敏症又は接触皮膚炎反応を誘発する可能性があり;薬剤によっては通常の創傷治癒プロセスに干渉する可能性があり;治療が、他の問題をもたらす正常な皮膚フローラの変化を引き起こす可能性があり;局所適用が、正確に投与することが難しく;頻繁な適用が必要になる場合があり;患者によっては、薬剤の適用が難しいか、又は審美的に許容できない場合があり、保管されていた薬剤が汚染されている可能性がある。
【0011】
局所抗微生物薬は、従来より2つの方法のうちの一方で製剤化されてきた。第一に、より密封性の軟膏は、ワセリンをしばしば含有し、乾燥病変に最もよく使用される。第二に、より密封性でないクリームは、水で洗い落とせ、汚れることがより少なく、湿潤病変に最適である。局所療法に関する1つの大きな問題は、これらの薬剤の有効性及び安全性を確立するための特定の試験を標準化及び承認した公式の監督機関がないことである。治癒細胞に対する細胞毒性のために創傷治癒に干渉するので、局所消毒薬は通常、開放創では回避される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】O'Meara等、Antibiotics and antiseptics for venous leg ulcers. Cochrane Database of Systematic Reviews 2014、Issue 1. Art. No.: CD003557
【文献】Game等、Effectiveness of interventions to enhance healing of chronic ulcers of the foot in diabetes: a systematic review. Diabetes/Metabolism Research and Reviews 2016;32(1 Suppl):154~68頁
【文献】Bergin等、Silver based wound dressings and topical agents for treating diabetic foot ulcers. Cochrane Database of Systematic Reviews 2006、Issue 1. Art. No.: CD005082
【文献】Vermeulen等、Topical silver for treating infected wounds. Cochrane Database of Systematic Reviews 2007、Issue 1. Art. No.: CD005486
【文献】Jull等、Honey as a topical treatment for wounds. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015、Issue 3. Art. No.: CD005083
【文献】Peters等、Interventions in the management of infection in the foot in diabetes: a systematic review. Diabetes/Metabolism Research and Reviews 2016; 32(1 Suppl):145~53頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
慢性創傷、特に糖尿病性足潰瘍及び疾患又は損傷によって生じる他の非治癒性の潰瘍化した慢性創傷のための効果的な局所治療の未解決の大きな必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の特許請求の範囲による組成物が、極めて効果的及び新規な臨床的解決策を提供することが決定された。2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン);及び組成物の0.5重量%~8重量%の増粘剤を含む医薬組成物は、70000~150000センチポアズ、又はcPs(20~40℃において)の粘度を可能にする。
【0015】
本発明の特定の解決策、すなわち活性及び非活性成分の新規の組合せとそれらの範囲は、とりわけ濃度が高く、持続される抗微生物剤が感染部位に充填及び保持されることを可能にし、先行技術のいくつかの一般的な欠点なしに有効成分の有効性の改善を可能にする。
【0016】
更に、本発明は、外来患者の設定での治療を容易にし、患者による治療計画のより良い遵守も全体的な治療効果を改善する。
【0017】
一実施形態では、組成物は、局所投与のために製剤化される。特に、組成物は、エマルションの形態であってもよいが、任意の局所形態、例えば適用、すなわち創傷への充填に適したクリーム又はペーストであってもよい。
【0018】
このような組成物は、特に慢性創傷の治療に効果的であることが出願人によって示されている。使用において、本発明の組成物中にトリクロサンが連続的に存在すると、基礎となる創傷で発生する広範囲の微生物増殖及び炎症プロセスが予防又は軽減される。本発明の上記の方法で活性物質が製剤化される場合、それは、充填に適していることにより、慢性創傷治癒に理想的な状態を促進する特徴を有している。好ましい実施形態では、慢性創傷は、ヒトの創傷である。
【0019】
慢性創傷の治療は、腫脹、分泌、変色、疼痛、皮膚硬結、創傷周囲の皮膚肥厚及び進行段階での発熱や悪寒等の、慢性創傷の症状の遅延、軽減及び/又は改善を含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0020】
慢性創傷は、下肢潰瘍、糖尿病性足潰瘍、褥瘡性潰瘍、火傷、又は他の損傷若しくは疾患による潰瘍化創傷を含むがこれらに限定されない、任意の非治癒性創傷であってもよい。慢性創傷又は潰瘍は、少なくとも部分的に、以下:末梢神経障害、末梢動脈疾患による虚血、微小血管疾患、生体力学的異常及び重なった軽度の外傷の1種又は複数によって引き起こされる。
【0021】
特に、糖尿病性足潰瘍の治療のための本発明の使用は、出願人によって特に効果的であることが示されている。多くの場合、糖尿病性足潰瘍は、全身又は局所の抗生物質クリーム及び包帯による以前のいずれの治療にも反応していない。糖尿病性足潰瘍は通常、1種又は複数の皮膚硬結を含むことがある。
【0022】
更に、糖尿病性足潰瘍の治療のための組成物の使用は、潜在的な毒性リスク及び全身吸収を低減するだけでなく、感染部位に配置される有効成分の濃度を限定又は制限する既存の治療の典型的な要件のために、特に有利である。
【0023】
糖尿病性足潰瘍の治療は、腫脹、分泌、変色、疼痛、皮膚硬結、潰瘍周囲の皮膚肥厚、進行段階での発熱及び悪寒を含む、糖尿病性足潰瘍の任意の症状の遅延、軽減及び/又は改善を含む。
【0024】
組成物は、糖尿病に起因し得る任意の潰瘍に関連して使用する。組成物の使用は、糖尿病療法に関連するどの時間にも投与することができる。例えば、組成物は、代替の糖尿病療法の前及び/又はその間及び/又はその後に投与してもよい。
【0025】
粘度は、剪断応力下での変形に対する流体の耐性の尺度である。これは一般に「厚さ」として理解されており、動粘度は、粘度計を使用して測定でき、センチポアズ(cPs)又はミリパスカル秒(mPa・s)単位で測定することができる。1つの方法は、ブルックフィールド粘度計及びTバーCスピンドルを使用して、室温、10RPMでひずみを測定することである。いくつかの実施形態では、組成物は、粘度範囲が70000~100000cps、又は80000~120000cps又は100000~130000cps又は120000~150000cpsであってもよい。
【0026】
別の実施形態では、増粘剤は、カーボポール、ポリアクリル酸、グアーガム、カルボマー、パルミチン酸セチル又は他のゲル化剤であってもよい。
【0027】
組成物は、中和剤を更に含んでいてもよい。中和剤は、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの1種又は複数から選択することができる。
【0028】
製剤は、水を更に含んでいてもよい。
【0029】
組成物は、乳化剤を更に含んでいてもよい。乳化剤は、1種又は複数のステアレート誘導体、例えば、モノステアリン酸グリセリンから選択することができる。
【0030】
別の実施形態では、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)は、製剤の0.1~2.0%又は0.1~4.0重量%の濃度で存在することもできる。
【0031】
別の実施形態では、組成物は、シリコン(silicon)ベースの撥水剤及び/又は皮膚調整剤を含んでいてもよい。
【0032】
他の実施形態では、組成物は、吸収促進アジュバントを含んでいてもよい。
【0033】
更に他の実施形態では、組成物は、1種又は複数の以下の原料:界面活性剤、増量剤、等張化剤、安定剤、防腐剤及び緩衝剤を含んでいてもよい。
【0034】
実施形態では、組成物は、植物油(アーモンド、ココナッツ、オリーブ)、硬化ヒマシ油、メラルーカ・アルテルニフォリア(Melaleuca Alternifolia)(ティーツリー)リーフオイル、オレア・エウロパエア(Olea Europaea)(オリーブ)フルーツオイル、硬化植物油、ユーフォルビア・セリフェラ(Euphorbia Cerifera)(カンデリラ)ワックス、グリセリルジベヘネート、トリベヘニン、グリセリルベヘネート、L-リジンHCL、スクアラン、酢酸トコフェリル、フィトスフィンゴシン、セラミドヒマシ油、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリン、パルミチン酸セチル、シリコーン液(Silicone Fluid):ジメチコーン、ニパスタット、ホホバ油、流動パラフィン、カルボマー、トリエタノールアミン、アロエベラ、モノプロピレングリコール、ティーツリーオイル、フェルラ酸、トリクロカルバン、クロロヘキシジン(グルコン酸塩又はウンデシレン酸塩)、ジクロフェナク(ナトリウム塩)、ヒアルロン酸、ツボクサ(Centella Asiatica)オイル、カレンデュラ抽出物、シアバター、マヌカオイル等の追加の成分を更に含む。
【0035】
組成物が、少なくとも1種の親水性成分相;及び少なくとも1種の疎水性成分相を含んでいてもよく、疎水性成分相又は親水性成分相のいずれかが、重量で組成物の最大部分を構成する。
【0036】
1つの非限定的な例では、組成物は、以下の原料を示された望ましい範囲で含んでいてもよい:
【0037】
【0038】
いくつかの実施形態によれば、組成物は、局所投与のために製剤化される。用語「局所」は、適用点又はその直下での組成物の投与を意味する。本明細書では「局所適用」は、ケラチン組織を含む1つ又は複数の表面への適用、すなわち、「局所的に適用すること」を意味する。局所適用又は「局所的に適用すること」は、所望の基質の領域に直接適用することを含み得る。局所調製物及び/又は組成物は、注入、滴下、又は擦り付けることによって、又は任意の他の適切な手段によって適用することができる。
【0039】
更に、組成物は、エマルション、クリーム、軟膏、ローション又はバームの形態であってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、治療有効量の抗炎症剤及び/又は有効量の鎮痛薬等の他の薬剤と組み合わせて、患者の快適性を更に改善することができる。
【0041】
組成物は、別の薬剤と組み合わせてもよい。他の実施形態では、組成物は、経口、非経口、又は局所薬物と併せて使用される。
【0042】
いくつかの実施形態では、上記適用による治療に使用される組成物は、1種又は複数のさらなる治療の使用と組み合わせてもよい。これらは、創面切除治療、全身性抗生物質治療及び/又は包帯後(post-dressing)治療を含んでいてもよい。これらは、創面切除は、適用又は創傷への組成物の充填の直前に行なわれてもよい。抗生物質は、本発明の治療と同時に投与してもよい。創傷を再治療する度に、治療後の創傷への包帯は、利点であり得る。
【0043】
好ましい実施形態では、治療は、創傷に組成物を充填する工程、創傷を包帯又は被覆する工程、この治療を少なくとも1回、好ましくは定期的に、例えば毎日又は毎週繰り返す工程を含む。いくつかの実施形態では、特に組成物がより大量の水を含む場合、治療は、創傷に組成物を充填する工程、創傷を包帯又は被覆する工程、この治療を7日以内に少なくとも2回又は3回繰り返す工程を含む。これは、包帯が確実に浸漬されず、実用的な無菌バリアのままであるためである。このような治療では、過剰な水が創傷表面全体を洗い流すように働くので、創傷の創面切除を必要としない。
【0044】
組成物は、3、4、5、6、7、8週間以上投与することができる。ピーク応答は、治療開始後8週間以上で達成される。患者は、治療後16~36カ月を含めて、4~12、6~12、6~18週間以上症状が寛解していることが可能である。
【0045】
実際の投与量、投与の速度及び時間的経過は、治療対象となるものの性質及び重症度に依存することになる。治療の処方、例えば投与量等の決定は、最終的には一般開業医及び他の医師の責任と裁量の範囲内であり、通常、治療すべき障害、個々の患者の症状、送達部位、投与方法及び開業医に既知の他の要因を考慮している。組成物は、1日1回、2回、3回若しくは4回又は周期的に投与することができる。
【0046】
組成物の正確な用量は、潰瘍の重症度を含むいくつかの要因によって決まることになる。組成物は、好ましくは「治療有効量」で個人に投与され、これは、個人に利益を示すのに十分である。
【0047】
本発明は更に、前記請求項のいずれかに記載の医薬組成物を製造する方法に関するものであって、この方法は、
i)トリクロサンを含む油相を調製する工程;
ii)少なくとも増粘剤を含む水性相を調製する工程;及び
iii)油相と水性相を一緒に混合する工程
を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、相を一緒に失った後、更に水を加えて、組成物の最終粘度を調整してもよい。
【0049】
水性相の調製は、モノプロピレングリコール、トリエタノールアミン、水、アロエベラ及び/又はそれらの組合せから選択される成分の1種又は複数の添加を含んでもよい。
【0050】
油相の調製は、ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリン、パルミチン酸セチル、シリコン液(silicon fluid)、ホホバ油、流動パラフィン及び/又はそれらの組合せから選択される1種又は複数の成分を含んでいてもよい。
【0051】
本発明は更に、前記で定義した組成物を投与することを含む、対象における下肢潰瘍、糖尿病性足潰瘍又は褥瘡性潰瘍を含むがこれらに限定されない慢性創傷を治療する方法にまで及ぶ。組成物は、創傷に充填する局所製剤として投与することができ、任意選択で創傷は、包帯で被覆されてもよい。好ましい方法では、組成物は、創面切除及び/又は全身性抗生物質治療の前及び/又はその間及び/又はその後に投与される。
【0052】
用語「治療有効量」は、糖尿病性足潰瘍の治療に関連して本明細書では、本発明の組成物が投与される前に対象の潰瘍のサイズを縮小できる量を表す。
【0053】
治療は、治療、緩和又は予防効果を含むことができる。用語「治療」は、本明細書では、ヒトに利益をもたらすことができる任意の治療計画を意味する。
【0054】
より具体的には、治療には、「治療的」及び「予防的」が含まれ、これらのタイプの治療は、それらの最も広い文脈で考慮されるべきである。用語「治療的」は、完全に回復するまで対象が治療されることを必ずしも意味しているわけではない。同様に、「予防的」は、必ずしも対象が最終的に病状にかからないという意味ではない。
【0055】
したがって、治療的及び予防的治療には、特定の状態の症状の改善又は特定の状態を発症するリスクの防止若しくはそうでなければ軽減が含まれる。用語「予防的」は、特定の状態の重症度又は発症を軽減すると見なされ得る。「予防的」はまた、以前にその状態と診断された患者の特定の状態の再発の防止を含む。「治療的」はまた、既存の状態の重症度を軽減し得る。
【0056】
本発明の好ましい特徴は、必要な変更を加えた他の態様と同様である。
【0057】
以下の図面、実施例及び患者の治療を参照することにより、本発明を更に説明する。
【0058】
これらは、例示のために提供されているにすぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1a】患者1の糖尿病性足潰瘍の写真である。第1の潰瘍は、第2趾上の指節間関節背面にあり、5ペンス硬貨の大きさであり、1平方センチメートルである。
【
図1b】創面切除前の、患者1のさらなる写真であり、第2の糖尿病性足潰瘍は、第1趾の先端にある。
【
図4b】完全に治癒する直前のさらなる写真である。
【
図5a】第1趾の治癒した先端のさらなる写真である。
【
図5b】第1趾の治癒した先端のさらなる写真である。
【
図6a】患者2の糖尿病性足潰瘍の写真であり、写真は、創面切除前(左)及び切除後(右)と洗浄後の潰瘍を示す。
【
図6b】最初の治療日から4/5週間間隔で撮影された、患者2の糖尿病性足潰瘍のさらなる写真である。
【
図7】患者2の、潰瘍が完全に治癒したときのさらなる写真である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0060】
以下に示す製剤を、下記のように調製した:
1. ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリン、パルミチン酸セチル、シリコン液、ホホバ油及び流動パラフィンを一緒に融解させた。
2. 一緒によく混合し、60℃に加熱した。
3. 別の容器で、Silversonハイシアーミキサー20000rpmファインメッシュヘッドを使用してモノプロピレングリコール、トリエタノールアミン、50%の水及びカルボマーpH 5.5を一緒に混合した。
4. 混合物を65℃に加熱した。
5. 段階(6)の直前に工程(1)からの混合物に活性成分(トリクロサン)を加え、混合した。
6. 工程(1)からの油相混合物を工程(3)からの水相に加え、Silversonハイシアーミキサーを使用して高剪断条件下でよく混合した。
7. 完全に混合されたら、アロエベラ溶液を加え、撹拌した。
8. 残りの冷水を加え、撹拌した。最終pH 5.5。
9. 混合物を終夜放置し、冷却し、次いでバッチ全体を再混合した。
混合物を、約40℃で温かいうちに注入/充填した。
【0061】
組成物例の成分wt%範囲:
【0062】
【0063】
以下の実施例のように、増粘剤比を組成物重量の0.5%~最大8%に変えることによって、得られた生成物の粘度は、70,000~150,000cPsであった。ペーストは通常、カーボポールトリエタノールアミンを使用して増粘されたが、増粘剤としてポリアクリル酸、グアーガム若しくはキサンタンガム又は局所使用に適した他の標準的な化粧品若しくは医薬品増粘剤を使用することもできた。
【0064】
次いでいくつかの異なる実施例の組成物を以下のwt%で生成した:
【0065】
(実施例1)
【0066】
【0067】
相Aの原料を、60℃の温度で一緒に融解させた。相Bの原料を、Silversonハイシアーミキサーを使用して一緒に混合した。相Cを相Aに加え、溶解するまで撹拌した。次いで相Bを相Aに加えた。次いで相Dを加え、Silversonハイシアーミキサーを使用して混合した。混合中に相Eも加えた。
【0068】
(実施例2)
【0069】
【0070】
相Aの原料を、相が透明になるまで70℃の温度で一緒に融解させた。相Cの原料を、Silversonハイシアーミキサーを使用して一緒に混合した。相Bを相Aに加え、溶解するまで撹拌した。次いで相Cを相Aに加えた。次いで相Dを加え、Silversonハイシアーミキサーを使用して混合した。
【0071】
(実施例3)
【0072】
【0073】
相Aの原料を、透明になるまで温度65℃で一緒に融解させた。相Cの原料を、Silversonハイシアーミキサーを使用して一緒に混合した。相Bを相Aに加え、溶解するまで撹拌した。次いで相Cを相Aに加えた。次いで相Dを加え、Silversonハイシアーミキサーを使用して混合した。
【0074】
(実施例4)
【0075】
【0076】
相A(油)の原料を、透明になるまで温度65~80℃で一緒に融解させた。相C(水)の原料を、Silversonハイシアーミキサーを使用して一緒に混合した。相Bを相A(油)に加え、溶解するまで撹拌した。次いで相C(水)を相A(油)に加えた。次いで相Dを加え、Silversonハイシアーミキサーを使用して混合した。
【0077】
(実施例5)
【0078】
【0079】
実施例5を、実施例4に概説されているように調製した。
【0080】
臨床使用例
本発明の実施形態(実施例5)によるトリクロサンクリーム製剤を、後述のように、様々に提示された状態及び症状の多くの患者に適用した:
【0081】
患者プロファイル1:
40歳女性の糖尿病患者。神経虚血。心拍数:天候に応じて単相及び二相パルス。閉塞又は低弾性による動脈血流の低下の兆候。元喫煙者。ステージ3非治癒性の背側糖尿病性足潰瘍。
【0082】
患者には潰瘍が2つあった:
1)第2趾上のIPJ背面に1つ、5ペンス硬貨の大きさ、1平方センチメートルと
2)第1趾の先端に1つ、5ペンス硬貨の大きさ、1平方センチメートル。
患者には骨髄炎は見られなかった。
【0083】
以前の治療:
フルクロキサシリン抗生物質を6カ月間断続的に及び継続して処方し、この治療は、トリクロサンクリームによる治療の2週間後に中止された。6回の治療コース後、患者の創傷の感染は、治らなかった。
【0084】
また、患者を銀及びヨウ素生成物で、別々に蜂蜜で治療したが、治癒は起こらなかった。
【0085】
足指は、ソーセージのようになった。彼女の併存症及び体重のために、彼女は手術に耐えられない可能性があるため、足指切断は勧められなかった。
【0086】
トリクロサンクリームによる治療:
患者は、週2回治療された。潰瘍は、縁までクリームで充填されていたので、クリームは皮膚表面と同じ高さであった。クリームは、治療の合間に洗い流されなかったが、潰瘍は、各治療の前に潰瘍のベースに対して硬い創面切除が行なわれた。トリクロサンクリームを8週間適用した。クリームを創傷に充填し、非粘着性の発泡体包帯を適用した。次いで患者は、ロッカーソール(rocker bottom soles)を履いて、体重及び圧力を減らした。この足指潰瘍の治療は、2017年3月11日に開始し、2018年1月20日に治癒した。他の薬物は使用されなかった。
【0087】
結果:
両方の潰瘍が完全に治癒した。
図1~5は、本発明のさらなるトリクロサンクリームが、糖尿病性足潰瘍の治療に有効であることを示している。
【0088】
患者プロファイル2:
男性患者は、足の裏に潰瘍が1つあり、およそ50ペンス硬貨の大きさであった。
患者には骨髄炎は見られなかった。
【0089】
以前の治療:
フルクロキサシリン抗生物質の治療コース後、患者の創傷の感染は、治らなかった。また、患者を銀及びヨウ素生成物で、別々に蜂蜜で治療したが、治癒は起こらなかった。化学療法治療。創面切除を潰瘍に行ない、洗浄した。
【0090】
トリクロサンクリームによる治療:
患者が化学療法を受けている間、トリクロサンクリームを8週間適用した。トリクロサンクリームは、クリームを適用する前に、鋭い創面切除を行ない、無菌の生理食塩水で清浄にして、1日おきに適用した。治療の最後の2週間、クリームを毎日適用した。クリームは、皮膚表面と同じ高さになるように潰瘍に充填し、非粘着性の包帯を適用した。次いで患者は、ロッカーソールを履いて、体重及び圧力を減らした。
【0091】
結果:
潰瘍が完全に治癒した。
図6及び7は、本発明のトリクロサンクリームが、糖尿病性足潰瘍の治療に有効であることを示している。
【0092】
患者プロファイル3:
女性、65歳、レイノー病に罹っている。患者は、循環が非常に悪く、足に単相パルスを用いていた。患者は、壊れ始めた重度の凍瘡に苦しんでおり、潰瘍が慢性創傷を形成する。
【0093】
以前の治療:
潰瘍形成の治癒に役立つ治療は他になかった。
【0094】
トリクロサンクリームによる治療:
クリームを創傷に適用し、Biatane包帯を用いて包帯し、次いで週に1回再充填及び再包帯した。1か月後、皮膚は治癒し、更に2週間凍瘡を回復させた。
【0095】
患者プロファイル4:
女性、92歳、虚血性四肢、彼女の足の甲に創傷外傷。創傷は液体で満たされ、治癒していなかった。
【0096】
以前の治療:
創傷ケアの看護師は、医療の標準(包帯)を使用して彼女を2カ月以上治療し、改善が見られなかった。
【0097】
トリクロサンクリームによる治療:
クリームを適用(創傷に充填)し、Biatane包帯を用いて包帯し、次いで週に1回再充填及び再包帯した。創傷は、3週間で治癒した。
【0098】
患者プロファイル5:
女性、50歳、5年前に腎臓を取り出した。足の裏に疣贅。患者は、バズーカ(疣贅治療)ゲル及び亜酸化窒素ガスを用いて自分自身の治療を試みた。その後、彼女は、足に蜂巣炎と非治癒性の穴が生じた状態で医者に行った。
【0099】
以前の治療:
lodflexを1週間使用したが、患者が感染症に対して非常に弱くなり、IV抗生物質を必要とする寸前であった。
【0100】
トリクロサンクリームによる治療:
クリームを穴に充填し、Biatane包帯を用いて包帯し、次いで週に1回再充填及び再包帯した。患者は、数日以内に気分が良くなり、創傷が治療の3~4週間後に治癒し、有利にはIV抗生物質の必要性がなくなった。