IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスコ・グループ・エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特許-摩耗アセンブリ 図1
  • 特許-摩耗アセンブリ 図2
  • 特許-摩耗アセンブリ 図3
  • 特許-摩耗アセンブリ 図4
  • 特許-摩耗アセンブリ 図5
  • 特許-摩耗アセンブリ 図6
  • 特許-摩耗アセンブリ 図7
  • 特許-摩耗アセンブリ 図8
  • 特許-摩耗アセンブリ 図9
  • 特許-摩耗アセンブリ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】摩耗アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/28 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
E02F9/28 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021521473
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019059267
(87)【国際公開番号】W WO2020092844
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】62/753,675
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518269669
【氏名又は名称】エスコ・グループ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ビンガム,ブルース・シー
(72)【発明者】
【氏名】ロスカ,マイケル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,ダリン
(72)【発明者】
【氏名】ビートリー,マーク・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン,コーネリアス・ジェイ
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520983(JP,A)
【文献】特表2006-507431(JP,A)
【文献】特表2007-501347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0290134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗部材を、微粉を含む研磨環境で使用するための摩耗アセンブリのベースに固定するためのロックであって、
前記摩耗部材内に固定可能であり、かつ内表面を有する穴を有するカラーであって、前記穴はその内周に沿って形成される第一の凹部を備える、カラーと、
ヘッドおよび前記ヘッドから突出するテーパーシャンクを有するピンであって、前記シャンクは前記穴内に移動可能に受け入れられ、前記ロックが前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに固定する保持位置で前記カラー内に取り外し可能に保持され、前記シャンクは前記ヘッドに隣接し、前記穴の内周に沿って形成される第二の凹部を有する、ピンと、
前記ピンが前記保持位置にある場合に、前記シャンクと前記内表面との間で圧縮される、前記第一の凹部内に受け入れられる前記穴の内周に沿って位置する第一のシールと、
前記ピンが前記保持位置にある場合に、前記ヘッドと前記カラーとの間で圧縮される、前記第二の凹部内に受け入れられる前記穴の内周に沿って位置する第二のシールと、を備える、ロック。
【請求項2】
前記シャンクおよび前記カラーの前記内表面は、それぞれ、前記ピンが前記保持位置にある場合、前記シールによって係合および囲まれるねじ部を備える、請求項1に記載のロック。
【請求項3】
前記カラーは第三の凹部および第四の凹部を備え、前記シャンクは、前記第三の凹部と係合して前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに取り付けることができる開放位置に前記ピンを前記カラーに開放可能に固定し、および前記第四の凹部と係合して前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに固定する保持位置に前記ピンを前記カラーに開放可能に固定する戻り止めを備える、請求項1または2に記載のロック。
【請求項4】
前記ピンが、前記カラー内で前記摩耗アセンブリのベース上に前記摩耗部材を取り付けることができる開放位置にある場合、前記シャンクは前記第三の凹部内に係合する戻り止めを備える、請求項3に記載のロック。
【請求項5】
前記カラーは、前記ピンが前記カラー内で前記摩耗アセンブリのベースに前記摩耗部材を固定する保持位置にある場合、前記戻り止めが前記第四の凹部内に係合するように第四の凹部を備える、請求項4に記載のロック。
【請求項6】
前記第二の凹部は、前記カラーの内表面の近傍に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載のロック。
【請求項7】
前記カラーは、前記カラーの外表面上に、前記カラーを前記摩耗部材内に固定するための突起部を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のロック。
【請求項8】
摩耗部材を、微粉アセンブリを含む研磨環境で使用するために摩耗アセンブリのベースに固定するためのロックであって、
前記摩耗部材内に固定可能であり、かつねじ部を備える内表面を有する穴を有するカラーと、
前記カラー内の前記ねじ部と螺合する前記ねじ部を備えるシャンクを有するピンであって、前記ピンは前記穴内に移動可能に受け入れられ、前記ロックが前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに固定する保持位置に前記カラー内で開放可能に維持される、ピンと、
前記ピンが前記保持位置にある場合に、前記カラーと前記ピンとの間でそれぞれ受け入れられる内側シールおよび外側シールであって、それにより前記螺合されたねじ部の少なくともかなりの部分を協働して囲み、前記ねじ部への前記微粉の侵入を制限する、内側シールおよび外側シールと、を備える、ロック。
【請求項9】
前記カラーは内側凹部および外側凹部を備え、前記シャンクは前記内側および外側凹部と開放可能に係合可能なラッチを備え、前記ピンは、前記ラッチが前記内側凹部と係合する場合には前記保持位置にあり、前記ラッチが前記外側凹部と係合する場合には前記摩耗部材が前記摩耗アセンブリのベース上に取り付けられることができる開放位置にある、請求項8に記載のロック。
【請求項10】
前記ピンは、前記ピンが前記保持位置にある場合に、前記カラーに対して前記外側シールを圧縮するヘッドを備える、請求項9に記載のロック。
【請求項11】
前記シャンクはテーパーが付けられ、前記ピンが前記保持位置に移動するにつれて、前記内側シールを徐々に圧縮する、請求項9または10に記載のロック。
【請求項12】
微粉を含む研磨環境で使用するための摩耗アセンブリであって、
外面と、摩耗アセンブリのベースに固定可能な取付部を備える内面と、前記外面から前記内面に延在する内表面を有する開口部と、を有する摩耗部材であって、前記開口部はねじ部を備える、摩耗部材と、
前記穴に前記ねじ部と螺合するねじ部を備えるシャンクを有するピンであって、前記ピンは前記穴に移動可能に受け入れられ、前記ロックが前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに固定する保持位置で前記穴に開放可能に保持される、ピンと、
前記内表面と前記ピンとの間の外側シールであって、前記ピンが前記保持位置にある場合、前記螺合したねじ部の通常外側にあり、前記ねじ部内への前記微粉の侵入を制限する、外側シールと、を備える、摩耗アセンブリ。
【請求項13】
前記ピンが前記保持位置にある場合、前記螺合したねじ部の通常内側にある、前記内表面と前記シャンクと間に内側シールを備え、前記ねじ部内への前記微粉の侵入を制限する、請求項12に記載の摩耗アセンブリ。
【請求項14】
前記内側シールは前記内表面の凹部内に固定され、前記シャンクはテーパーが付けられ、前記ピンが前記保持位置に移動するにつれて、前記内側シールを徐々に圧縮する、請求項13に記載の摩耗アセンブリ。
【請求項15】
ねじ付き穴を有し、かつ前記開口部に固定されたカラーを備え、前記開口部に前記ねじ部を設ける、請求項12~14のいずれか一項に記載の摩耗アセンブリ。
【請求項16】
前記ピンは、前記ピンが前記保持位置にある場合に、前記カラーに対して前記外側シールを圧縮するヘッドを備える、請求項12~15のいずれか一項に記載のロック。
【請求項17】
微粉を含む研磨環境で使用するための摩耗アセンブリであって、
外面と、摩耗アセンブリのベースに固定可能な取付部を備える内面と、前記外面から前記内面に延在する内表面を有する開口部と、を有する摩耗部材と、
前記開口部内に固定されたカラーであって、前記カラーはねじ部および凹部を備える穴を有する、カラーと、
ヘッドおよび前記ヘッドから前記ヘッドの反対側の先端部まで突出するテーパーシャンクを有するピンであって、前記シャンクは、凹部および、前記凹部と前記穴の前記ねじ部と螺合する先端部との間のねじ部を備え、前記ピンは前記穴に移動可能に受け入れられ、前記ロックが前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに固定する保持位置で前記穴に開放可能に保持される、ピンと、
前記内表面と前記シャンクとの間の前記カラー内の前記凹部内の内側シールであって、前記ピンが前記保持位置に移動するにつれて徐々に圧縮される、内側シールと、
前記ピンが前記保持位置に移動するにつれて、前記ヘッドと前記カラーとの間で圧縮される前記シャンク上の前記凹部内の外側シールと、を備え、
前記ピンが前記保持位置にある場合、前記内側シールおよび前記外側シールは、少なくとも実質的に前記螺合したねじ部を囲み、前記ねじ部内への前記微粉の侵入を制限する、摩耗アセンブリ。
【請求項18】
前記カラーは内側凹部と外側凹部とを備え、ならびに前記シャンクは、前記外側凹部と係合して前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに取り付けることができる開放位置に前記ピンを前記カラーに開放可能に固定し、および前記内側凹部と係合して前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに固定する保持位置に前記ピンを前記カラーに開放可能に固定する戻り止めを備える、請求項17に記載のロック。
【請求項19】
微粉を含む研磨環境で使用するための摩耗アセンブリであって、
摩耗部材であって、
外面であって、前記外面は作業部を有し、前記作業部は前端部、つまり土材料と係合するための前記作業部に向かって収束する、外面と、
摩耗アセンブリのベースに固定可能な取付部を備える内面を有する空洞を有する後端部と、
前記外面から前記内面へ延在する内表面を有する開口部と、を有する摩耗部材と、
前記開口部内に固定されたカラーであって、前記カラーはねじ部および凹部を備える穴を有する、カラーと、
ヘッドおよび前記ヘッドから前記ヘッドの反対側の先端部まで突出するテーパーシャンクを有するピンであって、前記シャンクは、凹部および、前記凹部と前記穴の前記ねじ部と螺合する先端部との間のねじ部を備え、前記ピンは前記穴に移動可能に受け入れられ、前記ロックが前記摩耗部材を前記摩耗アセンブリのベースに固定する保持位置で前記穴に開放可能に保持される、ピンと、
前記内表面と前記シャンクとの間の前記カラー内の前記凹部内の内側シールであって、前記ピンが前記保持位置に移動するにつれて徐々に圧縮される、内側シールと、
前記ピンが前記保持位置に移動するにつれて、前記ヘッドと前記カラーとの間で圧縮される前記シャンク上の前記凹部内の外側シールと、を備え、
前記ピンが前記保持位置にある場合、前記内側シールおよび前記外側シールは、少なくとも実質的に前記螺合したねじ部を囲み、前記ねじ部内への前記微粉の侵入を制限する、摩耗アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、「Wear Assembly」と題する2018年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/753,675号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用され、本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、研磨環境で使用される様々な種類の機器で使用するための摩耗アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
採掘および建設では、摩耗部品は通常、掘削バケットの掘削エッジに沿って設けられる。摩耗部品は、下にある装置を過度の摩耗から保護し、場合によっては、他の機能、例えば採掘エッジの前方で地面を破壊することも実行する。使用中、摩耗部品は、通常、重い負荷および非常に研摩性の高い状態に直面する。そのため、それらを定期的に交換する必要がある。このような交換のための速さおよび容易さが望まれる。
【0004】
これらの摩耗部品は、通常、二つ以上の構成要素、例えば掘削エッジに固定されるベースと、ベースに取り付けて地面に係合する摩耗部材を備える。摩耗部材はより早く摩耗する傾向があり、通常、ベースも交換する必要がある前に何度も交換される。このような摩耗部品の一例は、掘削機のバケットの縁に取り付けられる掘削歯である。歯は、バケットの縁に固定されるアダプタ、および地面との接触を開始するためにアダプタに取り付けられた先端部とを備えることができる。先端部およびアダプタの位置合わせされた開口部にロックを受け入れて、構成要素を一緒に保持する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、例えば掘削機、運搬手段、粉砕等を含む、様々な種類の機器で使用するための摩耗アセンブリに関する。
【0006】
一実施形態では、摩耗部材をベースに固定するためのロックは、ねじ部を有する摩耗部材内の開口部に受け入れられるねじ付きピンを備える。ロックは、ピンと開口部の壁との間に少なくとも一つのシールを備え、微粉の侵入を阻止し、それにより、微粉がピンと固着し、開口部においてその回転を妨げるリスクを軽減する。
【0007】
別の実施形態では、ロックは、摩耗部材の開口部内に固定されたねじ付きカラーと、摩耗部材をベースに固定するためにカラー内に移動可能なねじ付きピンとを備える。一つまたは複数のシールがピンとカラーとの間に配置され、ねじ部内への微粒子の侵入を妨げる。
【0008】
別の実施形態では、ロックは、摩耗部材のねじ付き開口部内に収容されるねじ付きテーパーピンを備える。ねじ部は、必要に応じて開口部内に固定されたカラーによって設けられてもよい。拡幅ピンがカラー内にさらに押し込まれて微粉の侵入に対するバリアを形成する際に圧縮されるように、少なくとも一つのシールがカラー内に設けられる。
【0009】
別の実施形態では、ロックは、ねじ付きカラー内に収容されるねじ付きピンを備える。ピンは、後端部上に幅の広いヘッドを備える。シールはヘッドとカラーの外表面との間で圧縮され、微粉の侵入に対するバリアを形成する。
【0010】
別の実施形態では、ロックは、ねじ付きカラーと、カラー内に収容されるねじ付きテーパーピンとを備え、カラーおよびピンはそれぞれシールを備える。カラー内のピンを前進させると、ピンがカラー上のシールに接触してシールを圧縮し、カラーがピン上のシールに接触してシールを圧縮して、ねじ部内への微粉の侵入を阻止する。
【0011】
別の実施形態では、ロックは、摩耗部材をベースに固定するために内側方向に移動可能なねじ付きピンを備え、これは外側の汚染物から封止されたねじ部空間を備える。一実施例では、ロックは、互いに螺合するねじ付きピンおよびねじ付きカラーを備え、それぞれは、ピンおよびカラーのうちのもう一方によって圧縮されるシールと螺合する。
【0012】
別の実施形態では、ロックは、摩耗部材のねじ付きロック開口部内で螺合するテーパーねじ付きピンを備える。ピンは、摩耗部材をベースに保持するためにベースと係合する先端部、および工具によって係合可能な後端部を有する。ピンは、その長さに沿って少なくとも部分的に、先端部から後端部に向かって広がる。ピンの幅を広げると、ロック内のシールがピンと開口部壁との間で圧縮され、螺合されたねじ部内への微粉の侵入を阻止する。
【0013】
別の実施形態では、ロックは、摩耗部材のロック開口部に固定されるねじ付きカラーに螺合されるテーパーねじ付きピンを備える。ピンは、摩耗部材をベースに保持するためにベースと係合する先端部、および工具によって係合可能な後端部を有する。ピンは、その長さに沿って少なくとも部分的に、先端部から後端部に向かって広がる。ピンの幅を広げると、ロック内のシールがピンとカラーとの間で圧縮され、螺合されたねじ部内への微粉の侵入を阻止する。
【0014】
別の実施形態では、ロックを汚染物から保護する方法は、ねじ付きピンの凹部にリングシールを配置すること、およびねじ付きカラーの凹部にリングシールを配置することを含む。次に、ピンのねじ部をカラーのねじ部と螺合させて、カラー内のピンを前進させ、ピンが前進するにつれてカラーとピンとの間の各シールを圧縮する。
【0015】
別の実施形態では、摩耗部材をベースに固定するためのロックのテーパーピンは、カラーの凹部内に保持されるリングシールに進み、ピンの直径が大きくなると、凹部内のリングシールを圧縮して、微粉の侵入を阻止するためのバリアを形成する。
【0016】
別の実施形態では、摩耗部材をベースに固定するためのテーパーピンは、ピンのヘッドの下の凹部内にリングシールを備え、ピンのヘッドが摩耗部材のロック開口部内に固定されたカラーのトップ面に接触すると、ピンシールは凹部内に圧縮される。
【0017】
別の実施形態では、摩耗部材をベースに固定するためのテーパーピンは、ねじ部およびOリングを備える。Oリングは、必要に応じて、テーパーピンのヘッドに隣接するピンの凹部内に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示による摩耗アセンブリの斜視図である。
図2図2は、ロックの斜視図である。
図3図3は、ロックの分解斜視図である。
図4図4は、図2の線4-4に沿って切り取られたロックの断面である。
図5図5Aは、ロックカラーの底面斜視図である。図5Bは、図5Aの線5B-5Bに沿って切り取られたロックカラーの断面図である。
図6図6Aは、ロックピンの斜視図である。図6Bは、図6Aの線6B-6Bに沿って切り取られたロックピンの断面図である。
図7図7Aは、先端部のロック開口部を通って横断面に沿って一緒に固定された図1の摩耗アセンブリの先端部とアダプタの断面図である。図7Bは、第二の構成における摩耗アセンブリの先端部およびアダプタの断面図である。
図8図8は、本開示の一例による、ピンをカラーに挿入してロックアセンブリを形成するためのプロセスである。
図9図9は、第二の実施形態によるロックカラーの上部図である。
図10図10は、図9に示すロックの分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、様々な種類の土工機器、例えば掘削機、粉砕、運搬装置等を含む摩耗アセンブリに関する。土工機器は、採掘、建設、選鉱、その他の作業で使用される様々な機械のいずれかを指す一般的な用語として意図されている。例としては、ドラグライン機械、ケーブルショベル、フェースショベル、油圧ショベル、ドレッジカッター、粉砕装置、せん断採掘機、連続採掘機等が挙げられる。土工機器はまた、土を作業するこれらの機械の地面に係わる構成要素、例えばバケット、ドラム等を指す。
【0020】
相対的な用語、例えば前部、後部、トップ部、底部等は、議論の便宜上使用される。用語、前部または前方へは、一般的に、使用中(例えば、採掘中)の法線移動方向を示すために使用され、上部またはトップ部は、一般的に、例えば、材料がバケット内に集められる場合にそれが上を通過する表面への基準として使用される。それにもかかわらず、様々な土工機器の動作において、摩耗アセンブリは、使用中に様々な方向に向けられ、あらゆる種類の方向に移動する可能性があることが認識される。
【0021】
図1を参照すると、例示の実施例では、本開示による摩耗アセンブリ10は、バケットの縁8に取り付けられた掘削歯10である。本明細書に開示される相違点を除いて、例示の歯10は、米国特許第9,222,243号に開示されているのと同じ一般的な構造を有し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、歯10は、縁8に溶接されたアダプタ12、アダプタ12に取り付けられた中間アダプタ14、およびアダプタ14に取り付けられた先端部(先端または摩耗部材とも呼ばれる)16を備える。一つの歯の構造が示されているが、他の歯の配置は可能である。単なる例として、摩耗アセンブリはアダプタ12の代わりに縁から突出するノーズを有してもよく、アダプタ12はロックアセンブリによって固定されてもよく、先端部は中間アダプタなしで、ノーズまたはアダプタ上に直接取り付けてもよく、構成要素は異なる構造等を有してもよい。
【0022】
中間アダプタ14は、アダプタ12の前端部のノーズ12Aを受け入れるために後方に開放する空洞14Cを備える。アダプタ14は、取り付け先端部16への前方に突出するノーズ14Aを備える。先端部16は、ノーズ14Aを受け入れるための後方に開放する空洞16C、および地面を突き刺すための前端部を備える。ロック20は、摩耗部材または先端部16をアダプタ14に固定し、アダプタ14をベース12に固定するために使用される。
【0023】
中央の穴16Bは、摩耗部材16に形成され、空洞16Cへ通じる。アダプタ14のノーズ14Aは、摩耗部材16がノーズ14Aに取り付けられる場合に、穴16Bと整列する穴14Bを備える。ロック20は、摩耗部材16をアダプタ14に保持するために、穴16Bおよび14B内に収容される。
【0024】
それぞれのロック20を受け入れるために、アダプタ14の両側に穴14Dが設けられる。さらに、穴12Bは、穴14Bと同様に、ノーズ12Aの両側に設けられる。穴12Bは、好ましくは閉じられているが、ノーズ12Aを通って相互接続されてもよい。アダプタ14がベース14のノーズ12Aに取り付けられる場合、穴12B、14Dは整列する。ロック20は、アダプタ14をベース12に固定するために、各側面上の整列した穴12B、14D内に収容される。
【0025】
この実施形態では、全てのロック20は同じであるが、それらは異なる構造を有することができる。例えば、アダプタをベースに固定するロックは、先端部をアダプタに固定するロックとは異なるサイズおよび/または構造である場合がある。ロックは、摩耗部材をベースに固定するために使用される。歯10に関して、先端部16は、中間アダプタ14の形態でベースに固定される摩耗部材と見なされる。同様に、中間アダプタ14は、アダプタ12の形態でベースに固定される摩耗部材とみなすことができる。
【0026】
図2-7Bを参照すると、例示の実施例では、ロック20はピン22およびカラー26を備えることができる。カラー26は、ピン22を受け入れるための開口部26Aを備える。開口部26Aは、ピン22の合致するねじ部22Bと螺合するためのねじ部26Bを備える。カラー26は、単一のユニット(一体または単一体として組み立てられる)であることが好ましく、強度および簡略化のために一体構造であることが好ましい。この実施例では、内側シール30は、カラー内の壁形成開口部26Aの凹部30Aに保持される(図4B)。シール30は弾性Oリングであってもよいが、別の種類のシールを使用してもよい。あるいは、ねじ部26Bは、別のカラー部材なしで、ロック開口部14D、16Bの壁内に形成されてもよい。このような場合、凹部30Aは内側シール30を受け入れる(図7Bを参照)。
【0027】
ピン22は、ピン22を回転させるための工具受け構造部22Cを備える。例示の実施例では、構造部22Cは、例えば六角レンチを受け入れるために、ヘッド22Aに面25を有する穴23を備える。ピン22は、ねじ部22Bを有するヘッドから離れる方向に延在する遠位テーパーシャンク24を備えることができる。この実施例では、外側シール28は、凹部28A内で、ヘッド22Aの内側に向かってピン22上に保持される(図4)。外側シール28および内側シール30は、組み立てられたロックに密閉されたねじ部空間を提供する。シールは、内側シールがピン上にあり、外側シールがカラー上にあるように逆であってもよい。別の実施形態では、シール28、30のいずれかは、カラーまたはピン上に配置されてもよい。一例にすぎないが、シールは、トップ面31および底面33からそれぞれ0cm~5cmの間に配置されることができる(これは限定することを意図するものではない)。
【0028】
ピン22がカラー26に収容されると、ねじ部22Bはねじ部26Bと螺合し、ピン22は回転して、カラーの開口部26A内に前進する。テーパーシャンク24は、シール30内に前進すると、シャンク24の増加する直径がシール30と係合して、凹部30Aとシャンク24との間のシール30を圧縮する。ピン22がさらに前進すると、外側シール28は、カラー外面26Cと接触し、棚状面31と外面26Cとの間で圧縮され、その結果、空隙37が生成される(例えば、非限定的な例として、0.01cm~5cm、好ましくは0.01cm~1cmの間)。あるいは、外表面26Cは、外側シール28を受け入れ、増加した表面積を提供して空隙なしにシール28と完全に係合する凹部で形成されることができる。ヘッドとカラーとの間の外側シールを圧縮することが好ましいが、ヘッドを省略しても、または外側シールをヘッドから離間してもよく、ピンとカラーとの間でシールを圧縮する。別の実施例では、内側シール30または外側シール28のいずれかは、微粉の侵入を制限するための唯一のシールであってもよい。ピン22がカラー26に完全に挿入されている状態で、外側シール28および内側シール30は、ロックアセンブリ20のトップ部および底部から螺合されたねじ部を封止する。このシールの配置は、ねじ部内への微粉の侵入を制限し、ねじ部の固着を制限する。シール28、30は、ロック20の組み立て時に圧縮される。
【0029】
シール28、30は、異なる配置であってもよい。例えば、内側シール30および外側シール28は、組み立て前に、両方ともカラー26に固定されても、または両方ともピン22に固定されてもよい。外側ピン28は、ピンに固定されたカラーおよび内側シール30に固定されてもよい。一例では、ピン22は、カラーに固定された内側シール28および外側シール30の両方を圧縮するためにテーパーが付いてもよい。図面には二つのシール28、30が示されているが、必要に応じて追加のシールを設けてもよい。
【0030】
別の代替例では、ピンシャンク24は円筒形状であってもよい。シール28、30は、ねじ部22Bの両側に設けられて、微粉の侵入を制限することができる。しかし、締まりばめによって圧縮されるOリングシールを備える円筒形の開口部内にスライドする円筒形本体を使用すると、Oリングの制限された圧縮のみを提供する場合があり、したがってテーパーシャンク24を内側シール30を通して前進させることによって得られることができるシールほど完全なシールを提供しない場合があるので、テーパーシャンク24が好ましい。シーリングは、外側シール28上に(すなわち、ヘッドとカラーとの間に)蓋型のシールを使用することによっても改善される。例示の実施形態では、内部シール30を圧縮するテーパーシャンクと、カラーに対して外側シールを圧縮するヘッドとを組み合わせて使用することにより、良好なシールが得られ、僅かな微粉しか操作中にねじ部空間に侵入しない。その他の配置が可能である。
【0031】
ピンシャンク24は、ノーズ14A(または穴12B)の穴部14Bに収容するために、その先端部27上にねじがないことが好ましい。ピン22は、ピン端部27が先端部であり、ピンねじ部22Bがカラーねじ部26Bと螺合するように、摩耗部材の外側からカラー26内に取り付けられる。六角ソケット23(または他の工具係合構造)は、カラー26内のピン22を回転させる工具を受け入れるために、近位端のヘッド22A内に形成される。先端部27は、完全に挿入される場合、摩耗部材をベースに固定するために穴12Bまたは14Bに係合する。後端部は、ヘッドなしで形成されることができ、その場合、外側シール(設けられる場合)は、ピンシャンクとロック開口部の壁との間で圧縮される。
【0032】
図5を参照すると、例示のカラー26を、それぞれ、溶接、ねじ付きカラーおよびねじ付き穴、締まりばめ、対応するテーパー付きカラー26を受け入れるテーパー付き穴、および他の方法を含む様々な方法で、アダプタ14の穴14D、16B、および先端部16内に取り付けることができる。カラー26は、米国特許第9,222,243号に開示されているように、突起部およびクリップによってロック開口部14B、16Bに固定されることができる。
【0033】
図8を参照すると、ロックアセンブリを汚染物質から保護するロックアセンブリ20を組み立てるためのプロセス200が開示されている。工程201では、第一のシールは、ピンの第一の凹部28A内に配置される。第一のシールは、リング形状または弾性のOリングであってもよい。第一の凹部28Aは、ピンのヘッド22Aに隣接して設置されてもよく、または下側に設置されてもよい。工程203では、第二のシール30は、カラー26の第二の凹部30A内に設置される。工程205では、ピン22および第一のシール28は、カラー26の穴23内に設置される。ロックアセンブリ20は、ピン22とカラー26との係合により形成される。工程207では、第一のシール28Aは、カラー26およびピン22のヘッド27に対して(または、シールがヘッドから離間している場合は、ピンとカラーとの間で)圧縮される。一例では、カラー26とピン22との間の係合は、ヘッド22Aとカラー26のトップ面26Cとの間に空隙37を残す場合がある。あるいは、カラー26とピン22との間の係合は、ヘッド22Aとカラー26のトップ面26Cとの間で完全に係合する場合がある。工程209では、第二のシール30は、ピン22のシャンク25および第二の凹部30Aに対して圧縮される。いくつかの実施例では、シャンク25は、シャンク25のより広い部分がカラー26の穴23内にさらに下降するにつれて、第二のシール30がさらに圧縮されるように、テーパー付きであってもよい。シール28、30は、さらに、ロックアセンブリ20に土微粉が侵入することおよび詰まることを制限する。工程211では、ロックアセンブリ20は、摩耗アセンブリ10の開口部内に配置される。工程207、209および211は、考察を容易にするために別個の工程として論じられるが、それらは全て同時に生じることが好ましい。すなわち、先端部27が穴12B、14Bに収容されると、内側シールと外側シールの両方が同時に圧縮される。それにもかかわらず、ピンシャンクと開口部の壁との間のシールの圧縮は、先端部が穴12B、14Bに完全に固定される前に生じる可能性がある。
【0034】
図9~10に示す一実施形態では、カラー126は、カラーの外側表面から放射状に延在する突起部132、134および136を備える。カラー126を受け入れるための摩耗アセンブリの穴は、ロックカラー126のラグ132、134、および136と係合して、ロックカラー126を穴に保持する、ショルダーを有する保持構造(図示せず)を備えることができる。次に、カラー126は、カラー126内で前進して構成要素を一緒に固定するピン122を受け入れる。ピン126は、カラー内で前進すると内部Oリング130と係合し、ピンヘッド122Aが上記のようにカラー126のトップ面126Cと係合すると外側Oリング128を圧縮する。
【0035】
ねじ付きピン122は、周囲のねじ122Bを超えて突出するように一方に偏した、部分的なラッチング歯または戻り止め127を備えることができる。ラッチング戻り止め127が外側ポケット138と位置合わせをして外側ポケット138に挿入される場合、ねじ付きピン122がカラー126に対して特定の位置に固定されるように、対応する外側ポケットまたは凹部138は、カラー126のねじ部126Bに形成され、戻り止め127を受け入れる。外側ポケット138内のラッチ戻り止め127の係合は、ねじ付きピン122をカラー126に対して解放位置に保持し、このことは、ピン122を空洞16Cの外側(または少なくともノーズ14Aに十分なクリアランスを有する穴14Bの外側)に保持する。そのため、摩耗部材16は、ノーズ14Aに取り付けられる(およびノーズ14Aから取り外される)ことができる。あるいは、戻り止めはカラーに設けられることができ、およびポケットまたはラッチ開口部はピンに設けられることができる。ピン122は、好ましくは、摩耗部材16を設置する状態にあるように、解放位置で出荷および保管される。
【0036】
ラッチ戻り止め127がカラーのねじ部126Bと係合する場合、ピン122は、ピンを解放位置から保持位置に移動させるためにカラー126内にねじ込むように回される。一実施形態では、戻り止め127がポケット140に係合すると、顕著なクリック音または「鈍い音(thunk)」があり、触覚および/または可聴フィードバックをユーザに提供し、ピン122が適切な使用位置に完全に固定されているかをユーザが判断するのを助ける。この触覚フィードバックは、本組み合わされたカラーおよびピンアセンブリ120を使用して、摩耗部品のより信頼性の高い設置をもたらす。同様に、ピン122を回転させてピンを外側に動かし、ロックを解放して摩耗部材をベースから取り外すことができる。ピンは、ラッチ127が再びポケット138内に受け入れられるまで、またはピンが完全に取り外されるまで移動されることができる。
【0037】
ねじ部122B、126B内への微粉の侵入を制限するために、ポケットまたは凹部138および140は、好ましくは、カラー126の壁137、139を貫いて外表面135へ通じるようには延在しない。いくつかの実施形態では、凹部138、140は、壁137、139を貫いて延在し、カラー126の外表面135へ通じることができる。プラグは、必要に応じてこのような凹部138、140に使用され、微粉の侵入を制限することができる。
【0038】
例示の実施形態は掘削歯であるが、アダプタ14上の摩耗部材16のロックに関連する機構は、土工機器用の様々な摩耗アセンブリに使用されることができる。例えば、シュラウド、ランナー、ライナー、摩耗板、ピック、粉砕機先端部などは、本明細書に開示されるようなロックで固定されることができる。このようなロックは、様々な摩耗部材を、例えばドラッグラインバケット、ディッパー、フェースショベル、油圧ショベル用バケット、せん断ドラム機械、連続的マイナー、ロールクラッシャー、シュート、コンベヤー、トラック本体等を含む様々な種類の土工機器に固定するために使用されることができる。本明細書に開示されるロックは、摩耗部材が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第2015/0314297号に開示されるようなベースに固定されている他の研磨環境でも使用されることができる。ねじの使用が好ましいが、ピンおよびカラーは、他の方法で、例えば保持ピンまたは止めねじにより固定されてもよく、またはピンはくさび形状を有してもよい。このような代替品では、微粉の侵入を制限するためにシールを使用することは、ロックの解除を容易におよび/またはスピードアップするのに(すなわち、ロックの取り外しまたは解除位置へのロックの移動によって)さらに有用であることができる。
【0039】
本明細書に記載の本開示は、独立した有用性を有する複数の別個の発明を包含する。これらの発明の各々は、その好ましい形態で開示されているが、本明細書に開示および例示されるその特定の実施形態は、多数の変形が可能であるため、限定的な意味とはみなされない。各実施例は、前述の開示に開示された実施形態を記載するが、いかなる実施例も、最終的に請求項に記載の全ての機構または組み合わせを必ずしも包含するものではない。記載が、“一つの”または“第一の”要素、またはそれらの等価物を列挙する場合、このような記載は、一つまたは複数のこのような要素を含み、二つ以上のこのような要素を要求も排除もしない。さらに、特に明記されない限り、序数標識、例えば、識別された要素の第一の、第二の、または第三の、は、要素間で区別するために使用され、このような要素の必須の数も限定された数も示しておらず、このような要素の特定の位置も順序も示していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10