(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】特殊効果可視化手法
(51)【国際特許分類】
A63G 31/16 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A63G31/16
(21)【出願番号】P 2021523075
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 US2019047319
(87)【国際公開番号】W WO2020091877
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァモス クラリス
(72)【発明者】
【氏名】アルター デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘア ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ポール ライアン
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-535425(JP,A)
【文献】特開2018-074281(JP,A)
【文献】特開2004-289434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0190726(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136529(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 31/00-16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置でユーザーの風貌データに基づいて前記ユーザーに関連したデータセットを生成するように構成されたキャプチャシステムと、
前記第1の位置とは異なる第2の位置で1又は2以上の画像を表示するように構成された環境システムであって、前記1又は2以上の画像は前記ユーザーに関連した前記データセットを用いて生成される、環境システムと、
前記第2の位置で特殊効果を引き起こすように構成された特殊効果システムと、
前記キャプチャシステム、前記環境システム、及び前記特殊効果システムに通信可能に接続された制御システムと、
を備える、特殊効果可視化システムであって、
前記制御システムは、
前記第2の位置でユーザーの存在を検出し、
前記第2の位置でユーザーの存在を検出することに応答して、
前記データセットに基づいて前記環境システムに1又は2以上の制御信号を送り、前記1又は2以上の制御信号は、前記ユーザーが前記第2の位置を介して前記第2の位
置とは異なる第3の位置に移動した後に、前記環境システムに前記第2の位置で
観客に対して前記1又は2以上の画像を表示させるように構成され、
1又は2以上の追加の制御信号を前記特殊効果システムに送り、前記1又は2以上の追加の制御信号は、特殊効果システムが、前記第2の位置で前記1又は2以上の画像を表示する間に前記特殊効果を引き起こすようにさせるように構成される、
ように構成される、特殊効果可視化システム
。
【請求項2】
前記環境システムは、前記第2の位置に投影媒体を提供し、前記投影媒体上に前記1又は2以上の画像を表示することで、前記第2の位置に前記1又は2以上の画像を表示するように構成される、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項3】
前記投影媒体は、少なくとも水、煙、霧、氷、液体窒素、液体酸素、又はこれらの組み合わせで構成される、請求項2に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項4】
前記1又は2以上の画像は、前記第2の位置から遠くに移送される前記ユーザーの風貌が少なくとも伸長する、分散する、消えていくように前記データセットの前記風貌データを変更することで生成される、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項5】
前記1又は2以上の画像は、前記ユーザーの風貌を提示する、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項6】
前記1又は2以上の画像は、前記ユーザーの3次元(3D)を含む、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項7】
前記制御システムは、前記ユーザーに関連した前記風貌データの識別可能な特徴を抽出するように構成され、前記1又は2以上の画像は、前記抽出した識別可能な特徴に基づいて生成される、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項8】
前記特殊効果は、少なくとも嗅覚、熱、風、寒さ、触覚、聴覚効果、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項9】
前記風貌データは、少なくとも容積測定データ、深さデータ、空間データ、動きデータ、視覚データ、又は形状データを含む、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項10】
前記キャプチャシステムは、前記制御システムが前記第1の位置での前記ユーザーの存在を検出することに応答して、前記ユーザーの前記風貌データを取得するように構成される、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記第1の位置、前記第2の位置、又はその両方を構成する物理的セットの構成を調整するように構成される、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項12】
前記第2の位置は、部屋への入口又は出口を含む、請求項1に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項13】
第1の位置でユーザーの風貌データを取得して、前記風貌データに基づいてデータセットを生成するように構成されたキャプチャシステムと、
前記ユーザー
が第2の位置を介して前記第2の位置とは異なる第3の位置に移動した後に、前記第1の位置とは異なる
前記第2の位置で、
観客に対して、前記データセットに基づいて前記ユーザーの風貌を含む3次元(3D)表現を表示するように構成された環境システムと、
前記3D表現の表示の
期間に、前記第2の位置で特殊効果を引き起こすように構成された特殊効果システムと、
を備える、特殊効果可視化システム。
【請求項14】
前記第2の位置で前記ユーザーの存在を検出するように構成されたセンサーを備え、前記環境システムは、前記3D表現を表示するように構成され、前記特殊効果システムは、前記センサーが前記第2の位置で前記ユーザーの存在を検出した後に前記特殊効果を引き起こすように構成される、請求項13に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項15】
前記環境システムは、前記3D表現の表示の
期間に前記第2の位置から離れるユーザーの通路をもたらすように可動扉を作動させるように構成される、請求項14に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項16】
前記センサーは、熱センサー、空間センサー、超音波センサー、赤外線センサー、圧力センサー、又はこれらの何らかの組み合わせを含む、請求項14に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項17】
前記3D表現は、少なくとも粒子、煙、炎、又はこれらの何らかの組み合わせを含む、請求項13に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項18】
前記特殊効果は、嗅覚、熱、風、寒さ、触覚、聴覚効果、又はこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項19】
前記3D表現に関連した識別子に基づいて前記データセットを変更するように構成されたリアルタイムグラフィックエンジンを含む、請求項13に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項20】
前記リアルタイムグラフィックエンジンは、少なくとも前記ユーザーの風貌を変形するために前記データセットを変更するように構成される、請求項19に記載の特殊効果可視化システム。
【請求項21】
キャプチャシステムを用いて、第1の位置でユーザーに関連した、前記ユーザーの風貌データを含むデータセットを取得するステップと、
制御システムを用いて、第2の位置で前記ユーザーを検出するステップと、
前記第2の位置で前記ユーザーを検出することに応答して、前記ユーザーが前記第2の位置を介して前記第2の位置とは異なる第3の位置に移動した後に、環境システムを用いて、
観客に対して前記第2の位置で前記データセットから生成された1又は2以上の画像を表示するステップと、
特殊効果システムを用いて、前記第2の位置の前記表示の間に、特殊効果を引き起こすステップと、
を含む方法。
【請求項22】
前記第2の位置で前記データセットから生成された前記1又は2以上の画像を表示するステップは、前記第2の位置に投影媒体を提供して前記投影媒体上に前記1又は2以上の画像を表示するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記投影媒体を提供するステップは、少なくともウォータースクリーン、スモークスクリーン、フォグスクリーン、ミストスクリーン、アイススクリーン、液体窒素スクリーン、液体酸素スクリーン、サンドスクリーン、又はこれらの組み合わせを提供するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記特殊効果を引き起こすステップは、少なくとも嗅覚、熱、風、寒さ、触覚、聴覚効果、又はこれらの組み合わせを引き起こすステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の位置での又は前記第3の位置での前記ユーザーの位置を追跡するステップと、
前記追跡された前記ユーザーの位置に基づいて前記データセットを変更するステップと、
前記第2の位置で前記変更されたデータセットから生成された追加の画像を表示するステップと、
を含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、特殊効果手法に関し、より具体的には、別の位置へのユーザーの移送をシミュレートするために没入型体験をユーザーに提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の形式の錯覚は、姿を消す効果を引き起こす。移送錯覚の観客は、典型的には、錯覚が実行されたときに演者が視野から姿を消すのを見る。観客は、演者がステージ上の又は建物内の異なる位置に一見移送されるように遠くから見物することができる。演者の消滅及び出現は、単一の演技に関して時間調整される。しかしながら、観衆又は観衆のメンバーには、一般に別の位置に移送されるという没入型体験が提供されない。改良されたより没入できる視聴体験が望ましい。
【0003】
このセクションは、読み手に、以下に記載する本開示の種々の態様に関連し得る種々の態様を紹介することを意図している。この考察は、読み手に対して本開示の種々の態様をより理解するのを容易にするための背景情報を提供するのを助けると考えられる。従って、本記載はこの観点から読まれものであり従来技術の自認ではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
当初クレームに記載された主題に相当する特定の実施形態は以下に要約される。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定することが意図されておらす、むしろこれらの実施形態は、特定の開示された実施形態の概要を提示することのみが意図されている。実際には、本開示は、以下に記載の実施形態に類似する又はそれとは異なる場合がある種々の形態を包含することができる。
【0005】
一実施形態において、特殊効果可視化システムは、第1の位置でユーザーの風貌データに基づいてユーザーに関連したデータセットを生成するキャプチャシステムと、第1の位置とは異なる第2の位置で1又は2以上の画像を表示する環境システムと、第2の位置で特殊効果を引き起こす特殊効果システムと、キャプチャシステム、環境システム、及び特殊効果システムに通信可能に接続された制御システムとを備えることができる。制御システムは、第2の位置でユーザーの存在を検出することができ、第2の位置でユーザーの存在を検出することに応答して、データセットに基づいて環境システムに1又は2以上の制御信号を送り、1又は2以上の追加の制御信号を特殊効果システムに送る。制御信号は、環境システムが第2の位置で1又は2以上の画像を表示するようにさせ得る。1又は2以上の画像は、データセットを用いて生成することができる。追加の制御信号は、特殊効果システムが、第2の位置で1又は2以上の画像を表示する間に特殊効果を引き起こすようにさせ得る。
【0006】
他の実施形態において、特殊効果可視化システムは、第1の位置でユーザーの風貌データを取得して、風貌データに基づいてデータセットを生成するキャプチャシステムと、第1の位置とは異なる第2の位置で、データセットに基づいてユーザーの風貌を含む3次元(3D)表現を表示する環境システムと、3D表現の表示の間に、第2の位置で特殊効果を引き起こす特殊効果システムと、を有することができる。3D表現はユーザーの風貌を有することができる。
【0007】
他の実施形態において、方法は、キャプチャシステムを用いて、第1の位置でユーザーに関連した、ユーザーの風貌データを含むデータセットを取得するステップと、制御システムを用いて、第2の位置でユーザーを検出するステップと、環境システムを用いて、第2の位置の又はそこを過ぎたユーザーを検出することに応答して、第2の位置でデータセットから生成された1又は2以上の画像を表示するステップと、特殊効果システムを用いて、第2の位置の又はそこを過ぎたユーザーの検出に応答して第2の位置の表示の間に、特殊効果を引き起こすステップと、を含む。データセットは、ユーザーの画像データを含むことができる。
【0008】
本開示のこれらの及び他の特徴、態様、利点は、図面全体にわたって同様の符号が同様の要素を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことでより良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の態様による、特殊効果可視化システムによって生成された移送錯覚のユーザーが進む経路、及び、経路に沿って特殊効果可視化によって引き起こされた1又は2以上の特殊効果の観客の位置の例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】本開示の態様による、特殊効果可視化システムによって生成された移送錯覚のユーザーが進む経路の別の例示的な実施形態の概略図である。
【
図3】本開示の態様による、特殊効果可視化システムによって生成された移送錯覚のユーザーが進む経路、及び、経路に沿って特殊効果可視化によって引き起こされた1又は2以上の特殊効果の複数のユーザの位置の別の例示的な実施形態の概略図である。
【
図4】本開示の態様による、ユーザーの風貌を捕捉して、ユーザーが経路に沿って進むときにユーザーの風貌に基づいて1又は2以上の特殊効果を表示するように構成された特殊効果可視化システムの例示的な実施形態を示す。
【
図5】本開示の態様による、ユーザーが経路に沿って進むときにユーザーの風貌に基づいて1又は2以上の特殊効果を表示するように構成された
図2の特殊効果可視化システムの一部の例示的な実施形態を示す。
【
図6】本開示の態様による、
図1の特殊効果可視化システムの例示的な実施形態である。
【
図7】本開示の態様による、没入できる及び/又は斬新な可視化システムを提供するプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の開示の1又は2以上の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を与えるために、実際の実施形態の全ての特徴が本明細書で説明されない場合がある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおけるように、いずれのそのような実際の実施形態を開発する時も、システム関連及びビジネス関連の制約の遵守のような開発者の特定の目標を達成するために多くの実施形態特有の判断を行う必要があり、これは実施形態毎に異なる場合があることを理解されたい。更に、そのような開発努力は、複雑で時間のかかる場合があるが、それにもかかわらず、本発明の開示の恩恵を受ける当業者に対して設計、製作、及び製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0011】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1又は2以上があることを意味することが意図されている。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的であり、記載された要素以外の別の要素がある場合があり得ることを意味することが意図されている。本明細書で説明される本発明の実施形態の1又は2以上の特定の実施形態を以下で説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、実際の実施構成の全ての特徴を本明細書で説明するものではない。何らかの工業設計又は設計プロジェクトの場合と同様に、この実際の実施構成の開発において、実施構成の間で様々であろうシステム関連及び事業関連の制約の遵守など開発担当者らの特定の目標を達成するために、数多くの実施構成特有の意思決定を行う必要があることを認識されたい。さらに、このような開発作業は、複雑かつ時間が掛かるものとなり得るが、本開示の恩恵を有する当業者にとって設計、作製、及び製造の日常的な取り組みであることを認識されたい。
【0012】
移送錯覚の演技は、一般的に、視聴する観客に向けて熟練した又は本職の演者によって演じられる。演者は、別の位置への演者、アシスタント、無生物、又は動物の移送を、観客の見地からシミュレートすることができる。しかしながら、演技への観客の限られた参加によって、観客は、単なる傍観者のままとされる。従って、観客が移送錯覚に積極的に参加し(例えば、ユーザーとして)、別のユーザーの移送錯覚を見る(例えば、観客として)ことができるように、没入できる及び/又は斬新な移送錯覚を観客に見せることが望ましいであろう。
【0013】
本開示は、移送錯覚でのユーザー体験及び観客体験を強化するために、機器作動、センサーデータ、及び/又は特殊効果を利用するシステム及び方法に関する。より詳細には、本開示は、画像キャプチャ(例えば、画像、映像、又は空間)及び環境ディスプレイ又は投影システム(例えば、フォグスクリーン(fog screen)又はディスプレイ、ベーパースクリーン(vapor screen)又はディスプレイ、スモークスクリーン(smoke screen)又はディスプレイ、クライオジェニック対応スクリーン(cryogenic-based screen)又はディスプレイ、砂対応スクリーン(sand-based screen)又はディスプレイ、又は、他の粒子状物質対応スクリーン(other particulate-based screen)又はディスプレイ)を含む特殊効果可視化システムに関する。一部の実施形態において、周囲環境(例えば、壁、扉、天井、床、環境内の物体など)のうちの1又は2以上の構成要素は、移送錯覚の表示の一部を形成することもできる。画像キャプチャ及び環境投影システムは、ユーザーの位置から離れたユーザーの移送をシミュレート(例えば、その錯覚を生成)することができる。1つの実施形態において、例えば、キャプチャ及び投影システムは、ユーザーの画像データを取得し、画像データに基づいてユーザーの風貌(likeness)を捕捉し、ユーザーの風貌に基づいて1又は2以上の特殊効果を生成し、ユーザーの風貌を環境内で表示しながら特殊効果を引き起こして、ユーザーに関連した移送錯覚を任意数の観客に見せることができる。すなわち、観客は、ユーザーの風貌が離れた所に移送される(例えば、ユーザーが消える)のを見ることができる。加えて、特殊効果可視化システムは、ユーザーが離れた別の位置に移送される、又はユーザーの環境が変化するという感覚をユーザーに与えるために、1又は2以上の感覚刺激をユーザーに与えることができる。例えば、特殊効果可視化システムは、ユーザーが観客及び範囲内の何らかの複数の観客の両方に移送錯覚を提示する環境を通る経路を歩く際に、1又は2以上の種類の環境効果(例えば、嗅覚、熱、風、寒さ、聴覚、又は触覚)を引き起こすことができる。環境効果は、ユーザーに、移送錯覚の特定の特性(例えば、煙又は炎の中に姿を消す、粒子に分散する、又はワームホール(wormhole)の中に入る)に関連した様々な感覚刺激を与えることができる。従って、特殊効果可視化システムは、没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び観客に提供することによって、移送錯覚を用いてユーザーの体験及び観客の体験を同時に(又は実質的に同時に)強化することができる。さらに、ユーザーの風貌データ及びユーザーにより引き起こされる特殊効果を使用することによって、体験は、台本のある又は予め記録された錯覚とは異なり、個人向けで動的である。
【0014】
特定の実施形態において、開示される特殊効果可視化システムは、遊園地又はテーマパークなど、位置ベースの娯楽会場の中に設けられる。テーマパークは、没入できる及び/又は斬新な体験を強化する忘れられない効果に関連づけることができる制御環境を提供する。すなわち、特定のアトラクション環境は、ユーザーに第1の位置から第2の位置に移送される感覚を与えるために、氷、炎、煙、光、及び特殊効果可視化システムのユーザーのために少なくとも部分的に再現される他のテーマに関する感覚要素を有することができる。従って、本開示の特定の実施形態は、娯楽物語の一部であり、ユーザー又は観客の没入できる及び/又は斬新な娯楽体験を強化する特殊効果との関連において開示される。1つの実施形態において、ユーザーは、異なる身体的特徴を有し、架空の惑星外の環境において作業する宇宙飛行士などの、テーマパーク内のアトラクションに関連したキャラクタを選ぶことができる。従って、コミュニケーション効果及び特殊効果は、所望の物語を深めるために選択され、同時に作動する。コミュニケーション効果及び特殊効果は、他の物語環境を適合するように選択することができ、説明される宇宙飛行士の物語は、単なる例示であることを理解されたい。
【0015】
本明細書で説明する場合、「ユーザー」は、移送錯覚の所望の標的を指す。ユーザーの風貌は、捕捉され、移送錯覚を見る観客の移送錯覚の一部として表示される。一部の実施形態において、ユーザーは、ユーザー自身の移送錯覚を見ることができない場合がある。加えて、本明細書で説明する場合、「観客」は、移送錯覚の所望の観客を指す。一部の実施形態において、観客は、例えば、移送錯覚から少し離れた距離に位置し、例えば、観客は、ユーザーの物理的身体でない移送錯覚を錯覚イベントの少なくとも一部の間に見ることができる範囲にある。さらに、一部の実施形態において、観客は、後続の移送錯覚の所望の標的になることができ、観客は、後続の移送錯覚に関連したユーザーになる。1つの実施形態において、ユーザー、第1の観客、及び第2の観客は、テーマパークでのアトラクションのために整列することができる。ユーザーは、列内で1番目、第1の観客は、列内で2番目、第2の観客は、列内で3番目である。ユーザーは、第1の移送錯覚の所望の標的とすることができ、一方、第1の観客及び/又は第2の観客は、第1の移送錯覚を見ることができる。第1の移送錯覚が完了した後、第1の観客は、第2の移送錯覚に関連したユーザー(例えば、所望の標的)の役割に移行することができ、一方、第2の観客は、第2の移送錯覚を見ることができ、その他もろもろである。特定の移送錯覚及び役割の移行時の(例えば、観客からユーザーへの)ユーザー及び観客の役割に関するさらなる詳細は、
図1~
図4を参照して以下で検討する。
【0016】
ここで図面を参照すると、
図1は、本明細書で提示する移送錯覚を実行することができる錯覚環境100の概略図である。錯覚環境100は、ユーザー106が錯覚環境100を移動する経路108を含み、その後、ユーザー106に関連した移送錯覚104の観客102が経路108に沿って移動する。例示する実施形態において、経路108は、この経路108の第1の領域111を含むことができ、ここでは、観客102は、ユーザー106に関連した移送錯覚104を見るように位置することができる。第1の領域111内には唯一の観客102が位置するように示されているが、任意数の観客102がユーザー106に関連した移送錯覚104を見るために第1の領域111内に位置し得ることに留意されたい。
【0017】
加えて、経路108は、第2の領域112、例えば、移行領域又は画像キャプチャ領域を含むこともでき、ユーザー106は、第2の領域112を通って第3の領域114、例えば錯覚領域に向かって移動することができ、第3の領域114において、特殊効果可視化システム(
図4参照)は、移送錯覚104を第1の領域111の観客102に提示する。本明細書で提示するように、観客102は、先行する移送錯覚104が完了した後にユーザー106の役割に移行することができる。このような移行時に、第2の領域112は、観客102の役割とユーザー106の役割との間の移行が起こる領域に関連づけることができる。例えば、先行する移送錯覚104が完了した後、観客102は、第2の領域112を通って第3の領域114に向かって移動することができる。観客102が第2の領域112に進むと、観客102は、後続の移送錯覚104のためにユーザー106の役割に移行することができる。例えば、特殊効果可視化システムは、ユーザー106(例えば、以前は観客102)に関連した画像データを取得することができる。特殊効果可視化システムは、その後、画像データを使用して、ユーザー106の風貌を捕捉し、第3の領域114において後続の移送錯覚104を第1の領域111に位置する別の観客102にもたらすことができる。ユーザー106に関連した画像データの取得に関する詳細は、
図4を参照して以下で検討する。
【0018】
一部の実施形態において、第2の領域112と第3の領域114は、重なり合うこと又は同じ領域とすることができる。例えば、ユーザー106のキャプチャ領域と、移送錯覚104が提示される領域は、同じ領域であるが領域内の異なる位置とすることができる。
【0019】
ユーザー106が第3の領域114を移動すると、特殊効果可視化システムは、1又は2以上の環境効果(例えば、嗅覚、熱、風、寒さ、聴覚、又は触覚)を引き起こして、ユーザー106に、移送錯覚104の特定の特性(例えば、煙又は炎の中に姿を消す、粒子に分散する、又はワームホールに入る)に関連した様々な感覚刺激を与えることができる。すなわち、特殊効果可視化システムは、環境が変わっているという感覚をユーザー106に与えて、観客102の錯覚を強化し、ユーザー106が第3の領域114を移動するときにユーザー106が別の位置に移送されているという錯覚をもたらすことができる。加えて、特殊効果可視化システムは、ユーザー106が第3の領域114を移動する際に、第3の領域114のユーザー106に関連した移送錯覚104を提示することができる。例えば、特殊効果可視化システムは、1又は2以上の特殊効果を引き起こしし、第3の領域のユーザー106の風貌を表示して、移送錯覚104を第1の領域111内に位置する観客102にもたらすことができる。引き起こされた環境効果、引き起こされた特殊効果、及び特殊効果可視化システムによるユーザー106の風貌の表示に関する詳細は、
図4及び
図5を参照して以下で検討する。
【0020】
移送錯覚104は、第2の領域112とユーザー106のリアルタイム位置との間の第3の領域114の位置115に発生することができる。すなわち、移送錯覚104は、実際のユーザー106が移送錯覚104の一部として表示されたユーザー106の表示された風貌と重なり合うか又は干渉するように、ユーザー106が経路108を移動して移送錯覚104の位置115を過ぎた時点で引き起こされるか又は開始される。
【0021】
ユーザー106が第3の領域114を移動した後、ユーザー106は、経路108の第4の領域116に入ることができる。一部の実施形態において、ユーザー106は、可動壁124を通過して、第3の領域114から第4の領域116に移動することができる。1つの実施形態において、可動壁125は、ユーザー106が第4の領域116に進むことを可能にするために開くか又はスライド(slide)する1又は2以上の扉を含むことができる。扉は、ユーザー106が第4の領域116に入った後に閉じるか又はスライドして所定の位置に戻ることができる。別の実施形態において、可動壁125は、ユーザー106が第4の領域116に進むことを可能にするために左又は右にスライドすることができる。別の実施形態において、ユーザー106は、コーナーを曲がって、又は別の部屋又は廊下に移動して、第4の領域116に入る。いずれの場合でも、ユーザー106は、第4の領域116に入った後、経路108を移動し続けることができる。
【0022】
第3の領域114から第4の領域116へのユーザー106の通過によって、移送錯覚の間に及び/又は移送錯覚の後に、観客104からユーザー106を隠蔽するのが容易になる。
図1は、ユーザー106の隠滅を容易にするのを助ける可動壁124を示すが、観客102が移送錯覚104の間に及び/又は移送錯覚104の後にユーザー106を見えないようにする何らかの他の適切な手段を利用することができることに留意されたい。例えば、ユーザー106は回転式扉又は壁(
図3参照)を通過すること、ユーザー106はプラットフォームによって降下(
図2参照)又は上昇すること、ユーザー106はトラップ扉から落下することができ、可動壁126は、ユーザー106が可動壁126に接近するときに後方に移動することができ、別の壁は、ユーザー106又は観客102の後ろに位置することができ、又は何らかの他の適切な手段はユーザー106を観客から隠蔽することができる。
【0023】
図1に示すように、経路108は、追加的な領域、例えば、第4の領域114の後に位置し、ユーザー106が移動することができる第5の領域118、第6の領域120を有することがで、これは錯覚環境100の他の部分を形成する。しかしながら、一部の実施形態において、経路108は、ユーザー106が通過することができる第4の領域116の後に任意数の領域を含み得ることに留意されたい。一部の実施形態において、経路108は、第3の領域114の前に任意数の領域を含むこともできる。
【0024】
それぞれの領域111、112、114、116、118、120は、経路108の各領域を少なくとも部分的に画定する1又は2以上の壁を有することができる。例示する実施形態において、例えば、第3の領域114は、観客102の焦点を移送錯覚104に直接向けることができるように第3の領域114を部分的に取り囲む壁126、128を有することができる。また、第4の領域116、第5の領域118、及び第6の領域120は、各領域を部分的に取り囲む1又は2以上の壁130を有することができる。例えば、壁130は、移動するユーザー106のための経路108を画定するのを助けること、又は錯覚環境100の他の特徴部を形成することができる。
【0025】
一部の実施形態において、様々な実施構成を利用して、観客102を経路108に案内すること及び/又はユーザー106を経路108から離れるように案内することができる。例えば、エスカレータ、エレベータ、動く通路、階段、又は別の経路を実施することができる。別の実施形態において、観客102を経路に案内するもの及び/又はユーザー106を経路から離れるように案内するものがない場合もある。
【0026】
また、移送錯覚104の観客102の位置は、第1の領域111に限定されないことに留意されたい。一部の実施形態において、観客102が移送錯覚104を見ることができるがユーザー106の物理的な身体は見ることができないように、観客102は、移送錯覚104が発生する第3の領域114の外側の何らかの領域に位置することができる。
【0027】
図2は、ユーザー106が進むことができる経路108及び特殊効果可視化システムによって生成することができる移送錯覚104の別の実施形態の概略図である。ユーザー106は、経路108が続く通路に降下することができる。
図2に示すように、ユーザー106は、第4の領域116内のプラットフォームまで移動することができる。プラットフォームは、観客102がユーザー106の降下時及び/又は降下後にユーザー106を見ることができないように、ユーザー106を降下させることができる。例えば、第3の領域の床、第4の領域の後壁、及び経路108の環境の他の構成要素は、ユーザー106を観客102から隠蔽することができる。
【0028】
図3は、ユーザー106が進むことができる経路108及び特殊効果可視化システムによって生成することができる移送錯覚104の別の実施形態の概略図である。
図3に示すように、移送錯覚104を様々な角度から見ることができる複数の観客102が存在し得る。複数の観客102は、移送錯覚104を見ることができるが、ユーザー106の姿は、経路環境の様々な構成要素(例えば、壁、扉、天井、床、環境内の物体、又はその一部)によって隠蔽することができる。加えて、ユーザー106は、回転壁124を通過して、第3の領域114から第4の領域116に移動することができる。回転壁124は、移送錯覚104の複数の観客102からのユーザー106の隠滅を容易にするのを助ける。
【0029】
図1~3は、経路108、経路環境の構成要素(例えば、壁又は床)、及び、移送錯覚104の表示及び/又は観客102からのユーザー106の隠滅を容易にする様々な実施構成(例えば、可動壁、回転壁又は扉、プラットフォーム)の様々な構成を示すが、経路108、経路環境の構成要素、及び実施構成の何らかの他の適切な構成を使用して、移送錯覚104の表示及び/又は観客102からのユーザー106の隠滅を容易にすることができることに留意されたい。例えば、経路108は、没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー106及び/又は観客に提供する何らかの適切な数の曲がり角、カーブ、高度変化手段を含むことができる。
【0030】
図4は、
図1の錯覚環境100で実施することができ、ユーザー106が経路108を移動する際に、ユーザー106の風貌を捕捉してユーザー106の風貌に基づいて移送錯覚104を提示するように構成された特殊効果可視化システム202の例示的な実施形態の説明
図200である。例示する実施形態において、特殊効果可視化システム202は、通信ネットワーク212を介して通信する制御システム208、環境システム210、及びキャプチャシステム214を含むことができる。データセット(例えば、音声データ、画像データ、空間データ、又はセンサーデータ)は、通信ネットワーク212を介して特殊効果可視化システム202の構成要素の間で送ることができる。通信ネットワーク212は、任意数の入出力(I/O)インターフェース及び/又はネットワークインターフェースを含むことができる。通信ネットワークは、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ブルートゥース、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又は、Wi-Fiなどの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)などの様々な有線又は無線ネットワーク上での、及び/又は、セルラネットワークなどの広域ネットワーク(WAN)のためのデータ伝送を可能することができる。
【0031】
特殊効果可視化システム202のキャプチャシステム214は、経路108の第2の領域112でユーザー106に関連した画像データを取得することができる。キャプチャシステム214は、ユーザー106に関連した画像データを取得する1又は2以上のカメラを含むことができる。例えば、カメラは、ユーザー106に関連した画像データの取得を容易にするために、1又は2以上の2次元(2D)カメラ、1又は2以上の3次元(3D)カメラ、ビデオカメラ、1又は2以上の赤外線(IR)カメラ、1又は2以上の深度カメラ、もしくは、カメラに加えて又はその代わりに何らかの他の適切な受像デバイスを含むことができる。1つの実施形態において、カメラは、ユーザー106より上方に及びその前に位置決めすることができる。別の実施形態において、第2の領域112においてユーザー106の周りの様々な地点に2又は3以上のカメラを配置することができる。さらに別の実施形態において、ユーザー106が第2の領域112を通過するときにカメラが様々な角度から画像データを取得することができるように移動軌道上に2又は3以上のカメラを配置することができる。いずれの場合でも、キャプチャシステム214は、ユーザー106に関連した画像データセットを取得することができる。一部の実施形態において、画像データセットは、動きデータ、熱データ、容積測定データ、形状データ、空間データ、視覚データ、又は、ユーザー106の視覚的な風貌を捕捉するために使用することができるユーザー106に関連した何らかの他の適切なデータを含むことができる。
【0032】
例示する実施形態において、キャプチャシステム214は、経路108の第2の領域112において第2の領域センサー220がユーザー106の存在を検出した後にユーザーに関連した画像データを取得することができる。一部の実施形態において、センサー220は、1又は2以上の超音波センサー、1又は2以上の光センサー、1又は2以上の圧力センサー、1又は2以上の温度センサー、1又は2以上のIRセンサー、1又は2以上の圧電センサー、又は、第2の領域におけるユーザー106の存在を検出する何らかの他の適切な形式のセンサーを含むことができる。
【0033】
一部の実施形態において、キャプチャシステム214は、経路108の第2の領域112以外の領域に配置することができる。例えば、キャプチャシステム214は、移送錯覚104が観客に提示される第3の領域114の前の何らかの適切な領域に配置することができる。1つの実施形態において、キャプチャシステム214は、ユーザー106が経路108の第2の領域112に進む前にユーザー106に関連した画像データセットを所定の時間又は位置で取得することができる。画像データセットは、キャプチャシステム214に通信可能に接続されたデータベースに記憶することができる。このような実施形態において、次に、キャプチャシステム214は、ユーザー106に関連した画像データを、例えば、ユーザー106が第2の領域112を移動する際に取得することができる。一部の実施形態において、取得された画像データは、単に記憶された撮像データセットのサブセットに対応することができる。例えば、キャプチャシステム214は、取得された画像データ内の1又は2以上のユーザー特性を決定することができ、キャプチャシステム214(又はデータベース)は、データベース内の記憶された画像データセットに対する適合を決定するために使用することができる。キャプチャシステム214は、取得された画像データと記憶された画像データセットとの適合を決定した後、データベースから移送錯覚104をもたらすのに用いる適合する記憶された画像データセットを受け取ることができる。
【0034】
キャプチャシステム214がユーザー106に関連した画像データセットを取得した後、キャプチャシステム214は、ユーザー106の視覚的な風貌をユーザーに関連した画像データセットに基づいて捕捉することができる。キャプチャシステム214によって捕捉されたユーザー106の視覚的な風貌は、限定されるものではないが、画像データ、センサーデータなどを含む、ユーザー106の容貌及び/又は存在を伝達する何らかの適切なデジタルデータ及び/又はアナログデータを含むことができる。このように、キャプチャシステム214は、さらなる活用のために、ユーザー106の視覚的な風貌を示すデータセットを特殊効果可視化システム202の何らかの構成要素に送ることができる。
【0035】
1つの実施形態において、表示された風貌は、ユーザー106は経路108に沿って移動しながら移送されているという錯覚104を提示するために、ユーザー106の後部又は背面画像を観客に示すことができる。例えば、捕捉画像が帽子又はバックパックを着用するユーザー106を示した場合、表示された風貌は、バックパックを示すために、生成された表示画像に画像データの一部を使用する。別の実施形態において、1又は複数の画像は、あたかもユーザー106が観客と対面するために向きを変えたかのようにユーザーの顔を示す、画像データから生成されたユーザーの正面を示すことができる。このように、家族集団は、見分けのつく家族達が錯覚を体験しているのを見ることができる。
【0036】
一部の実施形態において、キャプチャシステム214は、ユーザー106の視覚的な風貌を確定するためにユーザー106に関連した画像データセットを修正することができる。例えば、ユーザー106は、キャプチャシステム214がユーザー106に関連した画像データセットを取得したときに望ましくない向き又は位置(例えば、下向きアングルの頭部)にあった可能性がある。キャプチャシステム214は、1又は2以上のアルゴリズムを適用して、キャプチャシステム214が錯覚環境100で使用されるユーザー106の適切な視覚的な風貌をその後に取得することができるように、データセットを処理することができる。
【0037】
特殊効果可視化システム202の環境システム210は、キャプチャシステム214からユーザー106の風貌を示すデータセットを受け取り、第3の領域114においてユーザー106の風貌に基づいて移送錯覚104を表示するか又は他の方法で伝達することができる。例示する実施形態において、環境システム210は、移送錯覚104を壁126、128の間の第3の領域114に表示することができる。しかしながら、一部の実施形態において、第3の領域114は、何らかの壁によって画定されない場合、又は何らかの他の適切な数の壁によって画定される場合がある。
【0038】
環境システム210は、データセットに基づいて生成された1又は2以上の画像を提示又は表示して、ユーザー106の風貌を移送錯覚104の観客に表示又は他の方法で伝達するように動作することができる。加えて、ユーザー106の風貌に関連した画像は、移送錯覚104を第3の領域114にもたらすために1又は2以上の支持特殊効果と合わせて提示することができる。
【0039】
さらに、環境システム210は、観客に移送錯覚104を提示するためにユーザー106の視覚的な風貌を処理又は変更することができる。例えば、画像は、ユーザー106がワームホールに移送されているという錯覚を強化するために変形される(例えば、伸長される又は縁部が薄くなる)ユーザーの顔の特徴を提示することができる。別の実施例において、画像は、ユーザー106が粒子に分散することによって移送されているという錯覚を強化するために、粒子に変わるユーザーの身体の特徴を提示することができる。他の実施形態において、表示画像は、ユーザー106から抽出された識別可能な(例えば、顔の)特徴に基づくことができる。環境システム210は、これらの抽出された特徴をユーザー106に似ている所望のキャラクタアバター(例えば、物語のキャラクタ)に組み込むことができる。特定のキャラクタアバターは、一吹きの煙となって出現する/消えるなど、特定の特殊効果に関連づけることができ、アバター画像の表示と特殊効果の引き起こし(例えば、投影の周りの煙の放出)の組み合わせは、コミュニケーションの特定の物語の特徴を強化することができる。例示する実施形態において、ユーザー106は、宇宙飛行士としてレンダリング又は提示される。
【0040】
環境システム210は、第3の領域センサー222が経路108の第3の領域114でのユーザー106の存在を検出した後に、移送錯覚104をユーザー106の風貌に基づいて表示するか又は他の方法で伝達することができる。一部の実施形態において、センサー220は、第3の領域でのユーザー106の存在を検出する1又は2以上の温度センサー、1又は2以上のIRセンサー、1又は2以上の圧電センサー、又は何らかの他の適切な形式のセンサーを含むことができる。
【0041】
ユーザー106が第4の領域116に進んだ後、環境システム210は、移送錯覚104の表示を中断することができる。1つの実施形態において、第3の領域センサー222は、第3の領域114のユーザー106の存在を常に検出するように動作することができる。第3の領域センサー222が第3の領域114のユーザー106の存在をもはや検出しなくなった後、環境システム210は、移送錯覚104の表示を中断することができる。別の実施形態において、環境システム210は、所定の及び/又は構成可能な時間量が経過した後に移送錯覚104の表示を中断することができる。例えば、キャプチャシステム214は、ユーザー106に関連した画像データに基づいて、経路108に沿ったユーザー106に関連した移動速度を決定することができる。環境システム210は、ユーザー106に関連した移動速度をキャプチャシステム214から受け取り、移動速度に基づいて移送錯覚を表示する適切な期間を決定することができる。
【0042】
例示する実施形態において、可動壁124は、(例えば、壁126、128とともに)第3の領域114の一部を画定する、及び/又は、移送錯覚104の表示のための投影面の機能を果たすことができる。ユーザー106が可動壁124に接近すると、特殊効果可視化システム202の制御システム208は、左部分224及び右部分226をそれぞれの方向228にスライドさせる制御信号を可動壁124に関連した1又は2以上のアクチュエータに送り、ユーザー106が可動壁124を通過して第4の領域116に移動するのを可能にすることができる。1つの実施形態において、制御システム208は、ユーザー106が通過できるように可動壁124の部分224、226の一方のみを摺動させる又は開ける制御信号を可動壁124に関連したアクチュエータに送ることができる。別の実施形態において、制御システム208は、ユーザー106が通過できるように可動壁124全体をスライドさせるか又は開ける制御信号を可動壁124に関連したアクチュエータに送ることができる。
【0043】
図5は、移送錯覚104をユーザーの視覚的な風貌に基づいて経路108の第3の領域114に表示するか又は他の方法で伝達することができる、特殊効果可視化システム202の例示的な実施形態の説明
図300である。例示する実施形態において、特殊効果可視化システム202は、通信ネットワーク212を介して通信することができる制御システム208、環境システム210、リアルタイムグラフィックエンジン302、及び特殊効果システム304を含む。
【0044】
上述したように、環境システム210は、ユーザーが経路108の第2の領域から経路108の第3の領域114に移動した後にユーザー106の視覚的な風貌を示す画像データのデータセットを受け取ることができる。例示する実施形態において、環境システム210は、リアルタイムグラフィックエンジン302がデータセットを処理した後にデータセットをリアルタイムグラフィックエンジン302から受け取ることができる。例えば、リアルタイムグラフィックエンジン302は、メモリ回路、及び、データセットを環境システム210に送る前にデータセットを変更、処理、修正、調整などするために処理回路を含むことができる。データセットは、没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び/又は観客に提供するためにデータセットの処理を促進するために、錯覚識別子などの様々な適切なメタデータを含むことができる。例えば、リアルタイムグラフィックエンジン302は、ワームホールを通って進む宇宙飛行士などのユーザーに関連した所望の物語に対応するようにデータセットを修正するために、ユーザーの視覚的な風貌を示すデータセットを錯覚識別子に基づいて処理することができる。次に、リアルタイムグラフィックエンジン302は、修正データセットに基づいて移送錯覚104を第3の領域114に表示するか又は他の方法で伝達するために、修正データセットを環境システムに送ることができる。データセット及び/又は修正データセットを使用して、移送錯覚104の一部として提示又は表示される1又は2以上の画像を生成することができる。
【0045】
一部の実施形態において、リアルタイムグラフィックエンジン302は、ユーザーの風貌を示す受け取ったデータセットに基づいて、ユーザーの3D風貌を提示することに関連するデータを生成することができる。例えば、リアルタイムグラフィックエンジン302は、容積測定データ、奥行きデータ、形状データ、空間データ、視覚データなどをキャプチャシステムから受け取り、ユーザーの視覚的な風貌を示す受け取ったデータセットを修正してユーザーの3D風貌を提示することができる。他の実施形態において、データセットは、キャプチャシステムによって処理された後に既にユーザーの3D風貌を示すことができる。
【0046】
次に、環境システム210は、ユーザー106の視覚的な風貌を示すデータセットに基づいて、移送錯覚104を第3の領域114に表示するか又は他の方法で伝達することができる。例示する実施形態において、環境システム210は、1又は2以上の投影機、例えば、投影機306、308、及び環境出力装置312を含む。環境システム210は、ユーザー106の視覚的な風貌を示すデータセットに基づいて、物理的要素を第3の領域114に提供するために1又は2以上の制御信号を生成して環境出力装置312に送ることができる。例えば、物理要素は、環境システム210が移送錯覚104を表示するか又は他の方法で伝達することができる投影スクリーン(例えば、投影媒体)を形成することができる。一部の実施形態において、投影スクリーン(及び物理要素)又は表面は、霧、水、煙、砂、氷、もしくは、液体窒素、液体酸素、及び二酸化炭素などの極低温要素、又は何らかの他の適切な粒子状物質要素で構成することができる。本明細書では、移送錯覚104が物理要素スクリーン(例えば、フォグスクリーン、ウォータースクリーン、スモークスクリーン、クライオジェニック対応スクリーン又はディスプレイ、砂対応スクリーン又はディスプレイ、又は、他の粒子状物質対応スクリーン又はディスプレイ)上への画像投影として説明されているが、理解できるように、何らかの適切な投影又は提示手法を利用して、特殊効果可視化システム202を用いて、ユーザーの視覚的な風貌を含む移送錯覚104を提示することができる。例えば、1又は複数の投影機は、錯覚を壁又は従来の表示スクリーン上に投影することができる。
【0047】
一部の実施形態において、第3の領域114の環境の構成要素は、投影媒体の一部として利用することもできる。例えば、環境又は第3の領域の壁、扉、天井、床、1又は2以上の物体、又はその一部は、投影媒体の一部を形成することができる。従って、このような実施形態において、環境システム210は、ユーザー106に関連した移送錯覚104を、投影スクリーン又は媒体、移送錯覚104が表示される環境内の何らかの物体、移送錯覚104が表示される環境内の構成要素、又はその組み合わせの上に提示することができる。
【0048】
また、環境システム210は、ユーザーの視覚的な風貌を示すデータセットに基づいて1又は2以上の画像を提示するために、1又は2以上の制御信号を生成して投影機(例えば、投影機306、308)に送ることができる。例えば、画像は、ユーザーに関連した移送錯覚104を1又は2以上の観客に提示することができる。すなわち、観客は、ユーザーの視覚的な風貌が第3の領域114から離れて移動するのを見ることができる。
【0049】
投影機306、308は、ユーザー106に関連した移送錯覚104の表示を促進するために、投影機306、308の代わりに又はそれに加えて、1又は2以上のデジタル光処理(DLP)投影機、1又は2以上の液晶ディスプレイ(LCD)投影機、1又は2以上の3D投影機、又は何らかの他の適切な画像表示装置を含み得ることに留意されたい。1つの実施形態において、投影機306、308は、経路108の第3の領域114の上方に位置することができる。別の実施形態において、投影機306、308は、ユーザー106に関連した移送錯覚104の表示を促進するために3、4、又は何らかの他の適切な数の投影機を含むことができる。投影機に環境信号によって送られた制御信号は、何らかの適切な物理要素の中に、その上に、その範囲外にユーザーの視覚的な風貌の提示を可能にするために、画素、投影システムなどを制御することができる。
【0050】
一部の実施形態において、環境システム210は、経路108の第3の領域114からのユーザーの移送をシミュレートする制御信号を投影機306、308に送ることができる。移送錯覚104は、ユーザーの視覚的な風貌の2D又は3D表現を含むことができる。例えば、移送錯覚104は、ユーザーの顔及び/又は身体の特徴、ユーザーの顔及び/又は身体の修正された特徴、身体シルエット、又は移送錯覚104に関連した所望の物語に関連した様々な変形を提示する1又は2以上の画像を含むことができる。ユーザーの顔及び/又は身体の修正された特徴は、ユーザーがワームホールに移送されているという錯覚を強化するために変形される(例えば、伸長される、歪曲される、又は消えていく)ユーザーの顔及び/又は身体を含むこと、又は、ユーザーが粒子に分散することによって移送されているという錯覚を強化するために粒子に変わるユーザーの顔及び/又は身体を含むことができる。ユーザーの顔及び/又は身体の視覚的な風貌への何らかの他の適切な修正を利用して、ユーザー106に関連した移送錯覚104を強化することができることに留意されたい。加えて、所望の物語に関連した様々なアニメーション又は表示画像は、ワームホール、扉、煙、炎、粒子のアニメーション、又は所望の物語に関連した何らかの他の適切な視覚効果などの移送錯覚104を強化する視覚効果を含むことができる。
【0051】
加えて、移送錯覚104に関連した画像は、ユーザーに別の位置に移送されているという感覚を与えるために、1又は2以上の特殊効果310(例えば、感覚効果)に合わせて提示することができる。すなわち、特殊効果310又は感覚効果は、ユーザーに、移送錯覚の特定の特性(例えば、煙又は炎の中に姿を消す、粒子に分散する、又はワームホールの中に入る)に関連した様々な感覚刺激を与えることができる。例えば、特殊効果システム304は、移送錯覚104の提示と同時に又は実質的に同時に、ユーザーが経路108の第3の領域114を通り抜ける際に1又は2以上の種類の特殊効果310又は感覚効果(例えば、嗅覚、熱、風、寒さ、聴覚、又は触覚)を引き起こすことができる。1つの実施形態において、特殊効果システム304は、ユーザーの風貌を示すデータセットに関連したメタデータを受け取ることができる。例えば、特殊効果システム304は、錯覚識別子を受け取り、受け取った錯覚識別子に基づいて1又は2以上の特殊効果310又は感覚効果を引き起こすことができる。
【0052】
一部の実施形態において、特殊効果システム304は、ユーザーに関連した所望の物語に基づいて1又は2以上の特殊効果310又は感覚効果を引き起こすことができる。例えば、特殊効果システム304は、ユーザーが突然燃え上がる炎又は煙を通って移送される物語に関しては、燃える匂いを放出すること、又は、熱若しくは煙効果を出すことができる。別の実施例において、特殊効果システム304は、ユーザーが稲妻の中を移送される物語に関しては、雷鳴を生成することができる。いずれの場合でも、特殊効果システム304は、ユーザーに関連した移送錯覚104に基づいて、何らかの適切な特殊効果310又は感覚効果を与えることができる。
【0053】
従って、特殊効果可視化システム202は、没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び観客の両方に提供することによって、移送錯覚を用いてユーザーの体験及び観客の体験を同時に(又は実質的に同時に)強化することができる。すなわち、観客がユーザーの風貌が経路108の第3の領域114に移送されるのを移送錯覚104で見ている間に、ユーザーは、移送錯覚104に関連した1又は2以上の感覚刺激によって、移送されているという錯覚を強化するための環境変化の感覚を体験することができる。
【0054】
以上を考慮して、
図6は、特殊効果可視化システム202のブロック
図400の例示的な実施形態である。特殊効果可視化システム202は、制御システム208、環境システム210、キャプチャシステム214、リアルタイムグラフィックエンジン302、及び特殊効果システム304を含むことができる。上述したように、特殊効果可視化システムの各構成要素208、210、214、302、304は、通信ネットワーク212を介して互いに通信することができる。
【0055】
リアルタイムグラフィックエンジン302及び制御システム208は、特殊効果可視化システム202の様々な構成要素208、210、214、302、304の間で伝達された1又は2以上のデータセットを処理するために、それぞれのメモリ回路410、418及びそれぞれの処理回路412、420を含むことができる。処理回路412、420は、プログラムを実行する、命令を実行する、入力を解釈する、制御信号及び/又は他の同様の機能を生成するために使用することができ、そうするためにハードウェアベース及び/又はソフトウェアベースの機能の組み合わせ又はアプリケーションを含むことができる。メモリ回路410、418は、データ、プログラム、命令、診断データ、及び最終データなどをランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ、ハードドライブ、現在では公知及び未知の両方の将来的なストレージ技術(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)上のデータ記憶)など、様々な適切なメモリ又は記憶形式に記憶するために使用することができる。
【0056】
データセット(例えば、音声データ、画像データ、空間データ、及び追加的なセンサーデータ)は、通信ネットワーク212を介して構成要素208、210、214、302、304の間で送ることができる。通信ネットワーク212は、任意数の入出力(I/O)インターフェース及び/又はネットワークインターフェースを含むことができる。通信ネットワーク212は、様々な有線又は無線ネットワーク上でのデータ送信を可能にすることができる。このよう、データセットは、アナログ又はデジタル領域で記録又は感知して、アナログ又はデジタル領域もしくはその何らかの組み合わせにおいて特殊効果可視化システム202の構成要素208、210、214、302、304の間で送ることができる。
【0057】
制御システム208は、キャプチャシステム214、環境システム210、及び特殊効果システム304を操作して、移送錯覚に関連した没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び観客に提供することができる。このように、制御システム208は、キャプチャシステム214、環境システム210、及び特殊効果システム304の様々な機能をそれぞれ制御する1又は2以上の制御信号を生成することができる。例えば、制御システム208は、少なくとも部分的に制御信号に基づいて1又は2以上の特殊効果を引き起こすために1又は2以上の制御信号を特殊効果システム304に送ることができる。
【0058】
上述したように、キャプチャシステム214は、ユーザーに関連した画像データセットを取得して、ユーザーの視覚的な風貌を捕捉することができる。制御システム208は、ユーザーに関連した画像データセットを取得するために1又は2以上の制御信号を画像キャプチャ装置402に送ることができる。例えば、画像キャプチャ装置は、本明細書で説明するような1又は2以上のカメラを含むことができる。キャプチャシステムは、ユーザーの視覚的な風貌を捕捉した後、通信ネットワーク212を介してユーザーの視覚的な風貌を示す画像データのデータセットを特殊効果可視化システム202の他の構成要素(例えば、210、302、304)に送ることができる。
【0059】
環境システム210は、ユーザーの風貌を示すデータセットをキャプチャシステム214及び/又はリアルタイムグラフィックエンジン302から受け取り、ユーザーの風貌に基づいて移送錯覚を表示すること又は他の方法で伝達することができる。制御システム208は、物理要素(例えば、霧、水、煙、砂、氷、又は極低温要素)で構成された投影スクリーンを提供するために1又は2以上の制御信号を環境出力装置312に送ることができる。また、制御システム208は、移送錯覚を環境出力装置312によって提供された投影スクリーン上に表示するために1又は2以上の制御信号を映像出力装置406(例えば、投影機)に送ることができる。加えて、制御システム208は、移送錯覚に関連した1又は2以上の音をユーザー及び/又は観客に与えるために1又は2以上の制御信号を音声出力装置408(例えば、スピーカ、触覚型トランスデューサ、又は他の適切な装置)に送ることができる。一部の実施形態において、制御信号は、ユーザーの視覚的な風貌を示す受け取ったデータセットに応答する駆動回路などの、環境システム210の下位構成要素によって生成することができる。環境出力装置312、映像出力装置406、及び音声出力装置408は、移送錯覚を表示する又は他の方法で伝達するのと同時に又は実質的に同時に制御システム208によって制御することができる。
【0060】
特殊効果システム304は、1又は2以上の種類の特殊効果310又は感覚効果(例えば、嗅覚、熱、風、寒さ、聴覚、又は触覚)をユーザーに関連した所望の物語に基づいて引き起こすことができる。制御システム208は、ユーザーが自分の位置から移送されているかのように感じることができるように特殊効果又は感覚効果をユーザーに提供する1又は2以上の制御信号を特殊効果システム304に送ることができる。このように、特殊効果又は感覚効果は、移送錯覚での没入できる及び/又は斬新な体験をユーザーに提供することを容易にすることができる。特殊効果システム304は、1又は2以上の特殊効果310(例えば、センサー効果)及び制御装置416を含むことができる。制御装置416は、バルブ、アクチュエータ、レバーなどの、構成要素を作動させるか又は制御して、特殊効果310をもたらすことができる。例えば、制御装置416は、ユーザーの移送錯覚に関連した所望の物語に基づいて、燃える匂いを放出する、熱を出す、雷鳴を生成する、一連の振動を生成するなどを行うことができる。一部の実施形態において、特殊効果310は、部屋に入口又は出口で引き起こすことができる。
【0061】
一部の実施形態において、制御システム208は、経路に沿ってユーザーの位置を監視するキャプチャシステム214の追跡装置404を制御し、ユーザーが適切な位置にいる場合に、1又は2以上の制御信号をキャプチャシステム214、環境システム210、及び/又は特殊効果システム304に送り、各構成要素の動作のうちの1又は2以上を本明細書で説明するように実行することができる。例えば、追跡装置404は、経路の第2の領域内のユーザーの位置を検出して、ユーザーに関連した位置データセットを制御システムに送ることができる。制御システム208は、位置データセットに基づいて、ユーザーの画像データを取得するために1又は2以上の制御信号をキャプチャシステム214に送ることができる。一部の実施形態において、追跡装置404は、位置データセットをキャプチャシステム214に直接送ることができる。別の実施例において、追跡装置404は、第3の領域内のユーザーの位置を検出して、ユーザーに関連した位置データセットを制御システムに送ることができる。制御システム208は、位置データセットに基づいて、1又は2以上の制御信号を環境システム210及び/又は特殊効果システム304に送り、ユーザーの位置に基づいて移送錯覚の1又は2以上の構成要素をアクティブにすることができる。1つの実施形態において、特殊効果システム304は、ユーザーが経路の第4の領域に近づいた場合に、ユーザーに提供された特殊効果(例えば、振動)の強度を高めることができる(例えば、ユーザーが最初にワームホールに引き込まれ、今はワームホールに完全に移送されているように感じさせるために)。一部の実施形態において、制御システム214及び/又はリアルタイムグラフィックエンジン302は、ユーザーの追跡位置に基づいてデータセットを修正することができる。
【0062】
理解できるように、集中的処理を使用して、移送錯覚を用いて没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び観客に提供することができる。リアルタイムグラフィックエンジン302及び制御システム208は、特殊効果可視化システム202の構成要素208、210、214、302、304の間で伝達された1又は2以上のデータセットを処理するそれぞれの処理回路412、420を含むことができる。このように、1又は2以上のデータセットの処理の一部又は全部は、制御システム208とリアルタイムグラフィックエンジン302との間で共有することができる。データセットの処理は、データ送信が続く間に起こり得る。このように、データセットを使用して、制御信号をリアルタイムで生成することができる(例えば、特殊効果を引き起こすために又はユーザーに関連した移送錯覚の提示を引き起こすために)。
【0063】
図7は、移送錯覚を用いて没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び/又は観客に提供するプロセス500の流れ図である。以下では、プロセス500は、特殊効果可視化システム202の制御システム208によって実行されると説明されているが、プロセス500は、本明細書で示すように、特殊効果可視化システム202の何らかの構成要素210、214、302、304によって実行することができることを理解されたい。さらに、プロセス500の以下の説明は、特定の順番で記載されているが、プロセス500は、何らかの適切な順番で実行することができることに留意されたい。
【0064】
ブロック502において、制御システム208は、通路の第2の領域でユーザーの存在を検出することができる。制御システム208は、1又は2以上のセンサーから受け取ったユーザー又はその一部が通路の第2の領域に入ったことを示すデータに応答してユーザーを検出することができる。一部の実施形態において、制御システム208は、ユーザーに関連したコンピューティングデバイスから及び/又は特殊効果可視化システム202に関連した入力装置を介して開始入力を受け取った後にユーザーを検出することができる。開始入力は、制御システム208に対してユーザーに関連した画像データを取得するよう指示することができる。さらに、制御システム208は、1又は2以上の開始入力を特殊効果可視化システム202の他の構成要素210、302、304に送ることができる。
【0065】
ブロック504において、制御システム208は、ユーザーに関連した画像データを取得するために1又は2以上の制御信号をキャプチャシステム214に送ることができる。一部の実施形態において、画像データは、動きデータ、熱データ、容積測定データ、形状データ、空間データ、視覚データ、又はユーザーに関連した何らかの他の適切なデータを含むことができる。ユーザーが通路の第2の領域を移動する際に、キャプチャシステム214は、ユーザーの画像データを取得することができ、画像データに基づいてユーザーの2D表現又は3D表現を生成することができる。
【0066】
ブロック506においてユーザーに関連した画像データを取得した後、制御システム208は、画像データに基づいてユーザーの視覚的な風貌を捕捉するために1又は2以上の制御信号をキャプチャシステム214に送ることができる。例えば、キャプチャシステム214は、画像データに基づいてユーザーの2D表現又は3D表現を決定することができる。一部の実施形態において、ユーザーに関連した画像データを取得した後、キャプチャシステム214は、画像データを自動的に処理して、ユーザーの視覚的な風貌を決定することができる。いずれの場合でも、キャプチャシステム214がユーザーの視覚的な風貌を取得した後、キャプチャシステム214は、ユーザー106の視覚的な風貌を示すデータセットを制御システム208、環境システム210、リアルタイムグラフィックエンジン302、及び/又は特殊効果システム304に送ることができる。
【0067】
ブロック508において、制御システム208は、ユーザー及び/又は観客への移送錯覚の提示に関連した1又は2以上の制御信号を生成するために、1又は2以上の制御信号を環境システム210、リアルタイムグラフィックエンジン302、及び/又は特殊効果システム304に送ることができる。例えば、環境システムは、ユーザーの視覚的な風貌を示すデータセットに基づいてユーザーに関連した移送錯覚を表示するために1又は2以上の制御信号を生成することができる。一部の実施形態において、リアルタイムグラフィックエンジン302は、データセットを環境システム210に送る前に、錯覚識別子に基づいてユーザーの視覚的な風貌を示すデータセットを処理して、ユーザーに関連した所望の物語(例えば、ワームホールを通って進む宇宙飛行士)に対応するようデータセットを修正することができる。
【0068】
また、特殊効果システム304は、ユーザーの視覚的な風貌を示すデータセットに基づいて、1又は2以上の特殊効果又は感覚効果を引き起こすための1又は2以上の制御信号を生成することができる。例えば、特殊効果システム304は、データセットと一緒に錯覚識別子を受け取り、錯覚識別子に基づいて制御信号を生成することができる。例えば、特殊効果システム304は、ユーザーが移送される物語に基づいて燃える匂いを放出する及び/又は熱を出す制御信号を生成することができ、煙又は炎が出る。いずれの場合でも、特殊効果システム304は、ユーザーに関連した移送錯覚に基づいて何らかの適切な特殊効果310又は感覚効果を提供するための1又は2以上の制御信号を生成することができる。
【0069】
一部の実施形態において、特殊効果可視化システム202の制御システム208は、移送錯覚に関連した物語の選択項目を受け取ることができる。物語の選択項目は、ダイヤル、音声制御、タッチパッド、ボタン、表示装置上に提示された図式的、空間的及び/又は物理的ユーザーインターフェースなどのユーザー入力装置を介して受け取ることができる。1つの実施形態において、制御システム208は、ユーザーが経路の第2の領域に入る前に選択項目を受け取ることができる。別の実施形態において、制御システム208は、選択項目を経路の第1の領域、第2の領域、又は第3の領域で受け取ることができる。
【0070】
ブロック510において、制御システム208は、通路の第3の領域内でユーザーの存在を検出することができる。制御システム208は、1又は2以上のセンサーから受け取ったユーザー又はその一部が通路の第3の領域に入ったことを示すデータに応答してユーザーを検出することができる。
【0071】
ブロック512において、制御システム208は、通路の第3の領域内でユーザーの存在を検出することに応答して、本明細書で説明するような1又は2以上のそれぞれの動作を引き起こすために1又は2以上の制御信号を環境システム210及び/又は特殊効果システム304に送ることができる。例えば、環境システム210は、ブロック508で生成された1又は2以上の制御信号に基づいて、ユーザーに関連した移送錯覚を表示することができる。環境システム210は、物理要素(例えば、霧、水、煙、砂、氷、又は極低温要素)の投影スクリーンを提供するために第1の制御信号を環境出力装置312に送ること、投影スクリーン上の移送錯覚に関連した1又は2以上の画像を提供するために第2の制御信号を1又は2以上の映像出力装置(例えば、投影機)に送ること、移送錯覚に関連した音声を提供するために第3の制御信号を1又は2以上の音声出力機器(例えば、スピーカ)に送ること、又はこれらの組み合わせを送ることができる。このように、環境システム210は、1又は2以上の観客が見ること及び/又は聞くことができるユーザーに関連した移送錯覚を提示することができる。
【0072】
加えて、特殊効果システム304は、ブロック508で生成された1又は2以上の制御信号に基づいて、移送錯覚に関連した1又は2以上の特殊効果310(例えば、感覚効果)を引き起こすことができる。すなわち、特殊効果310又は感覚効果は、移送錯覚の特定の特性(例えば、嗅覚、熱、風、寒さ、聴覚、又は触覚)に関連した様々な感覚刺激をユーザーに提供することができる。一部の実施形態において、特殊効果310又は感覚効果は、環境錯覚によって観客に提示される移送錯覚として同時に又は実質的に同時にユーザーに提供することができる。このように、ユーザーは、観客が遠くに移送されているユーザーの風貌を見ている間に、第3の領域を通り抜ける際にあたかも自分が別の位置に移送されるかのように感じることができる。従って、特殊効果可視化システム202は、没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び観客に提供することによって、移送錯覚を用いてユーザーの体験及び観客の体験を同時に(又は実質的に同時に)強化することができる。
【0073】
ブロック514において、制御システム208は、ユーザーが依然として経路の第3の領域にいるか否かを決定することができる。例えば、制御システム208は、ユーザーの存在を、センサーから受け取ったユーザー又はその一部が依然として経路の第3の領域にいることを示すデータに基づいて検出することができる。制御システム208がユーザーは依然として経路の第3の領域にいると決定した場合、プロセス500は、ブロック512に戻ることができ、移送錯覚は、環境システム210及び/又は特殊効果システム304によって生成され続けることができる。制御システム208がユーザーは経路の第3の領域にもはやいないと決定した場合、ブロック518において、制御システム208は、ブロック516でユーザーに関連した移送錯覚を提示するのを停止するために1又は2以上の制御信号を環境システム210及び/又は特殊効果システム304に送ることができる。一部の実施形態において、制御システム208は、停止コマンド信号を移送錯覚に関連したコンピューティングシステムから受け取った後に、制御信号を環境システム210及び/又は特殊効果システム304に送ることができる。
【0074】
加えて、第3の領域において残存する特殊効果310又は環境出力装置312によって生成された物理要素を低減又は排除するために特定の操作を実行することができる。例えば、特殊効果可視化システム202は、後続のユーザー及び/又は後続の観客に移送錯覚に対する中立的な初期体験を提供するために、残存する霧、霧、水、煙、砂、氷、極低温要素又は他の粒状要素を第3の領域から排除又は低減するように動作することができる。このように、後続のユーザー及び/又は後続の観客は、前回の移送錯覚に関連した残存する視覚、音声、又は感覚効果を体験することができない。
【0075】
ユーザーに関連した移送錯覚が中断されて全ての残存効果が最小となった後、プロセス500は、随意的にブロック502に戻って、後続のユーザー及び/又は観客のために移送錯覚を繰り返すことができる。
【0076】
一部の実施形態において、ミラー又は他の反射面などの追加の構成要素は、特殊効果可視化システム202の構成要素を隠蔽する、覆い隠す、強化する、変形させる、又は複製するために特殊効果可視化システム202の中に又はそれに隣接して含めることができる。このように、特殊効果可視化システムは、ユーザーが経路を移動する間にユーザーから隠しておくことができる。特殊効果可視化システム202の1又は2以上を隠しておくことによって、装置を隠蔽しない場合に比べてユーザー体験を向上させることができる。
【0077】
一部の実施形態、顔認識、音声認識、コンテンツキュレーション(例えば、音声からテキストに、テキストから音声に)、及び/又は、コンテンツ検閲のための音声検出(例えば、スラング又は汚い言葉遣い防止)を使用して、ユーザー体験を強化することもできる。加えて、本明細書では1又は2以上のセンサーが説明されるが、温度センサー、空間センサー、超音波センサー、赤外線センサーなどを含む何らかの適切なセンサーを特殊効果可視化システム202内で使用して、移送錯覚を用いで没入できる及び/又は斬新な体験を提供することができることを理解されたい。
【0078】
以上を考慮して、本開示の技術的効果は、移送錯覚を用いて没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び1又は2以上の観客に提供するために、可視化システムの能力を向上させることによる可視化システムの改善を含む。上述の手法は、没入できる及び/又は斬新な体験をユーザー及び観客の両方に提供することによって、移送錯覚を用いてユーザーの体験及び観客の体験を同時に(又は実質的に同時に)強化することができる。すなわち、観客が経路の第3の領域内でユーザーの風貌が移送錯覚で移送されるのを見る間に、ユーザーは、移送錯覚104に関連した1又は2以上の感覚刺激を介して遠くに移送されているという感覚を体験することができる。
【0079】
本明細書では本発明の実施形態の特定の特徴のみを図示して説明したが、当業者であれば多くの修正例及び変更例を想定できるはずである。従って、特許請求の範囲は、本開示の真の精神に該当する全ての当該修正例及び変更例を包含することが意図されていると理解される。
【0080】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0081】
100 錯覚環境
102 観客
104 移送錯覚
106 ユーザー
108 経路
111 第1の領域
112 第2の領域
114 第3の領域
116 第4の領域
118 第5の領域
120 第6の領域
124 可動壁
126 可動壁
128 壁
130 壁