(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】殺菌装置を駆動操作する方法
(51)【国際特許分類】
A23L 3/04 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A23L3/04
(21)【出願番号】P 2021575519
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2020066997
(87)【国際公開番号】W WO2020254510
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-12-17
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518430889
【氏名又は名称】レッド ブル アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ローラント コンツィン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン リンデラー
(72)【発明者】
【氏名】クレーメンス ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト エーダー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ トーンハウザー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヘルツォーク
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-078885(JP,A)
【文献】特開2018-038942(JP,A)
【文献】特開2016-193417(JP,A)
【文献】特開2007-017056(JP,A)
【文献】特開2005-021687(JP,A)
【文献】国際公開第2011/131963(WO,A2)
【文献】独国特許出願公開第102017111791(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00- 3/3598
C02F 1/00- 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖された容器(2)内に満たされた食品を低温殺菌するための殺菌装置(1)を駆動操作する方法であって、
食品で満たされて閉鎖された容器(2)を、移送手段(7)を用いて移送方向(9)に複数の処理ゾーン(3)を通して移送するステップと、
前記処理ゾーン(3)内で、前記容器(2)の外側(6)へ温度調節された水性の処理液(5)を供給することにより、前記食品を処理するステップであって、各処理ゾーン(3)へ供給導管(15)を介して所定の温度を有する処理液(5)は、次のように、すなわち閉鎖された前記容器(2)内の前記食品が、移送方向(9)において少なくとも1つの加熱ゾーン(10、11)内で予熱され、移送方向(9)において次に少なくとも1つの殺菌ゾーン(12)内で殺菌温度に加熱され、移送方向(9)において次に少なくとも1つの冷却ゾーン(13、14)内で冷却されるように供給され、
前記処理液(5)は、容器(2)へ供給された後に、前記処理ゾーン(3)内で集められ、集められた処理液(5)は、再利用のために、循環回路(23)の循環導管(24)を介して少なくとも1つの処理ゾーン(
3)へ再び供給され、
前記処理液(5)に、少なくとも1つのプロセス化学薬品が添加される、ステップと、
を有する方法において、
添加された少なくとも1つのプロセス化学薬品の、及び/又は添加された少なくとも1つの内部標準物質の、濃度の少なくとも1つの実際値は、少なくとも1つの測定部(33)において少なくとも1つの濃度測定センサ(32)によって検出され、かつ少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品の濃度は、少なくとも1つの測定部(33)において少なくとも1つの濃度測定センサ(32)によって検出された実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部(35)において少なくとも1つの配量装置(34)を用いて少なくとも1つの添加されるプロセス化学薬品を配量することによって、少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加される内部標準物質の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して、調節され
、
前記処理液(5)のpH値の少なくとも1つの実際値は、少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つのpH測定センサ(32、41)を用いて検出され、かつ前記処理液(5)の前記pH値は、検出されたpH値の前記実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、42)を用いて、有機又は無機の酸を含む少なくとも1つのpHレギュレータを配量することにより、前記処理液(5)のpH値のための少なくとも1つのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節され、
前記処理液(5)の前記pH値は、前記少なくとも1つのpHレギュレータを配量することによって3.5~7.0に設定され、
前記処理液(5)のpH値の前記少なくとも1つの実際値は、前記処理液(5)が40℃~90℃の温度で流れる少なくとも1つの測定部(33)において検出される、
ことを特徴とする殺菌装置を駆動操作する方法。
【請求項2】
少なくとも1つのプロセス化学薬品は、前記循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置された少なくとも1つの配量部(35)において少なくとも1つの配量装置(34)を用いて配量される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の少なくとも1つの実際値が、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において少なくとも1つの濃度測定センサ(32)を用いて検出される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
処理液内の少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の第1の実際値と第2の実際値は、少なくとも2つの互いに離隔した測定部(33)において、第1の濃度測定センサ(32)を用いて、及び第2の濃度測定センサ(32)を用いて検出され、かつ少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度が、第1の濃度測定センサ(32)を用いて検出された実際値に基づいて、及び/又は第2の濃度測定センサ(32)を用いて検出された実際値に基づいて、少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節される、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の実際値は、処理液の流れ方向に関して配量装置(34)の上流に隣接して配置された第1の濃度測定センサ(32)を用いて検出され、かつ前記第2の実際値は、処理液の流れ方向に関して第1の濃度測定センサ(32)から少なくとも5メートル上流に離隔して配置された第2の濃度測定センサ(32)によって検出される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品は、殺菌剤、pHレギュレータ、スケール防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤からなるグループから選択され、及び/又はこのグループから選択されたプロセス化学薬品の混合物が配量される、ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
殺菌剤によって形成される少なくとも1つのプロセス化学薬品は、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて、処理液に配量される、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
殺菌剤は、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて前記処理液
(5)の体積流に配量され、前記処理液
(5)の体積流は、流体動力学的に冷却ゾーン(14)へ通じる循環導管(24)内を流れる、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
殺菌剤濃度の実際値は、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つの殺菌剤濃度測定センサ(32、39)を用いて検出され、処理液(5)は前記測定部(33)において20℃から55℃の温度で流れる、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
殺菌剤は、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて処理液(5)に配量され、処理液(5)は配量部(35)において20℃から55℃の温度で流れる、ことを特徴とする請求項7~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
二酸化塩素が、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて、殺菌剤として処理液に配量される、ことを特徴とする請求項7~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのpHレギュレータは、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、グルコヘプタン酸からなるグループから選択された少なくとも1つの酸又はこのグループから選択された酸の混合物を有している、ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
腐食抑制剤によって形成されるプロセス化学薬品は、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いて処理液(5)に配量される、ことを特徴とする請求項1~
12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの腐食抑制剤は、少なくとも1つの錯化合物を形成するホスホン酸塩及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、
及び/又は二価の亜鉛塩及び/又はリン酸エステルを有している、ことを特徴とする請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの腐食抑制剤は、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いて配量され、処理液(5)は前記配量部(35)において55℃から95℃の温度で流れる、ことを特徴とする請求項
13又は14に記載の方法。
【請求項16】
供給される新しい処理液の伝導率の実際値は、新しい処理液のための供給導管(37)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において検出され、少なくとも部分的又は主として、供給された新しい処理液の伝導率の検出された実際値に基づいて、少なくとも1つのプロセス化学薬品の濃度のための目標値は設定され、及び/又はプロセス化学薬品の配量は調整される、ことを特徴とする請求項1~
15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
処理液の水硬度の実際値は、少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つのCa
2+及び/又はMg
2+測定センサ(32、45)を用いて検出され、かつ検出された水硬度の実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いてスケール防止剤が、スケール防止剤の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して配量される、ことを特徴とする請求項1~
16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記処理液
(5)の水硬度の実際値は、新しい処理液用の供給導管(37)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つのCa
2+及び/又はMg
2+測定センサ(32、45)を用いて検出され、
スケール防止剤は、新しい処理液のためのこの供給導管(37)内に配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いて配量される、ことを特徴とする請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記スケール防止剤は、少なくとも1つの錯化合物を形成するホスホン酸塩、及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、
及び/又は、ポリリン酸塩、水溶性のポリアクリレート、及びマレイン酸とアクリル酸からなるコポリマーからなるグループから選択された少なくとも1つのオリゴマー又はポリマー物質を有している、ことを特徴とする請求項
17又は18に記載の方法。
【請求項20】
配量されたプロセス化学薬品の濃度のあらかじめ定められた目標値の超過が検出された場合に、
ガス雰囲気が前記処理ゾーン(3)と作用接続された吸い出し装置(46)を用いて処理ゾーン(3)から吸い出される、ことを特徴とする請求項1~
19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つの液体取り出し手段(26)を用いて、循環回路(23)内で循環している処理液(5)から、又は処理ゾーン(3)内の処理液(5)から、処理液(5)の少なくとも1つの部分流を形成するために、連続的に処理液の部分量が取り出され、少なくとも1つの部分流は、少なくとも1つのバイパス(28)の供給導管(27)を介して、少なくとも1つのバイパス(28)内に配置されているメンブレン濾過装置(29)へ供給されて、濾過され、次に、再び循環回路(23)内へ、又は処理ゾーン(3)内へ戻される、ことを特徴とする請求項1~
20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
殺菌剤は、プロセス化学薬品として、少なくとも1つのバイパス(28)内で流体動力学的にメンブレン濾過装置(29)に続いて配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて処理液(5)に配量される、ことを特徴とする請求項
21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖された容器内に充填された食品を低温殺菌するための殺菌装置を駆動操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
殺菌は、主として食品を所望に温度調節することによって食品を保つようにするための方法である。食品は、増殖可能な生きた微生物を除去するために、通常高い温度レベルに加熱される。しばしば食品は、殺菌する前に容器内に満たされ、その容器が閉鎖され、かつ食品を温度調節し、又は殺菌するために温度調節された、又は加熱された処理液が容器の外側へ供給される。このようにして、すでに保管又は販売の用意ができた製品を提供することができる。
【0003】
このような場合において、大体においていわゆるトンネル殺菌装置が使用され、それにおいて食品を充填されて閉鎖された容器が複数の処理ゾーンを通して案内されて、それぞれの処理ゾーン内で温度調節された処理液が注がれ、又は吹き付けられる。広く普及している設備において、食品はまずゾーン内で逐次加熱されて、次に他のゾーン内で逐次冷却される。通常、そのために使用される水性の処理液は、少なくとも大部分、処理ゾーンを循環して流れて、持続的に再使用される。これはまず、リソースを大切にして新しい水の需要をできるだけ抑えるためである。他方で、このようにして処理液を温度調節するために必要なエネルギ消費も抑えることができる。
【0004】
もちろん、このように水性の処理液を持続的に再使用し、又は処理液を持続的に循環して流す場合には、時間とともに水性の処理液内へ汚れが入り込み、それによって処理液又は処理水がだんだんと汚れ、したがって汚染されることも避けられない。汚れ及び微生物も持ち込まれる源は、たとえば周囲空気、必要に応じて処理液を冷却するための冷却塔、操作者、容器の移送手段からの剥がれ、又はたとえば容器自体、たとえば印刷のマイクロ粒子、ラベル又はレッテル、そして又は、たとえば容器が損傷した場合の、容器の内容物であり得る。
【0005】
このような殺菌装置内で処理液が汚染される傾向は、まず、循環される、又は常に再利用される処理液に栄養素が溜まり、さらに殺菌すべき物への散水に基づいて高有酸素性となり、又は酸素で飽和されることが原因である。さらに、この種のトンネル殺菌装置内では配管と処理ゾーン内に少なくともゾーン的に、たとえばプロセス水の効果的な温度レベルに基づいて、微生物の増殖を支援する、水パラメータが存在する。これがさらに、特にいわゆるバイオフィルムの形式の、堆積の形成をもたらし、それは所定の時間インターバルにおいて製造停止と保守又は清掃及びそれに連続する殺菌設備の新規充填を必要とすることになる。
【0006】
この問題点及び処理水に対する他の要請、特に殺菌装置における衛生的要請を考慮するために、従来技術に基づく処理液には、水性の処理液又はプロセス水を安定させ、かつ所望のプロセス調節を得るために、化学薬品が添加される。その場合にこの化学薬品の添加は、従来技術によれば、時間制御及び/又は体積制御で行われる。もちろん、この種の殺菌装置内の高い温度負荷に基づいて、この種のプロセス化学薬品の高い、又は迅速な化学的分解がもたらされる。付加的に、化学的分解及びそれに伴ってプロセス化学薬品の濃度の緩慢な減少は、プロセス化学薬品の互いに対する化学的反応により、又はプロセス化学薬品の分解生成物によって、又は処理液内に溶解した他の物質によってもたらされることもある。付加的な問題点は、たとえば、食品を充填された容器の散水により、又はこの種の殺菌装置の循環回路から、循環する水性の処理液の部分量が絶え間なく蒸発することによって、失われ、そしてこの部分量を新しい処理液又は新しい水に代えなければならないことから生じる。その場合にはしばしば、異なる新鮮水源を利用しなければならず、その場合に様々な源からの新鮮水は、著しく変化する品質又は著しく変化する水パラメータをもつ可能性がある。さらに、新鮮水の供給によって、循環する水性の処理液の希釈がもたらされる。
【0007】
プロセス化学薬品の化学的分解又は異なる新鮮水源のような、上述したこれらの問題点に対処するために、従来技術によれば、所望のプロセス効果を確実に得るために、大量の、又は特に過剰な量のプロセス化学薬品が添加される。特に、水性の処理液には、原則的に必要とされるよりもずっと多くの量のプロセス化学薬品が添加され、又はプロセス化学薬品が過剰投与される。しかし化学薬品のこの激しい使用は、経済的な観点においても、エコロジカルな観点においても不都合である。特に大量の化学薬品及びその保管のために多大なコストが生じる。さらにプロセス化学薬品のこのような過剰な使用は、望ましくない副作用をもたらすことがある。たとえば設備構成要素における腐食、及び処理される容器との望ましくない反応をもたらすことがある。
【0008】
過去においてすでに、殺菌設備の持続的に再使用される処理液を安定させるために化学薬品使用を減少させる措置が、提案されている。主として浄化するための措置が提案されており、それはまず、濾過可能及び/又は沈殿可能な個々の物質の除去を目指している。この種の措置は、例えば特許文献1に記載されているように、主として粒子の大きい物質の濾過又は重力支援の沈降によるその分離に関する。さらに他の措置も提案されており、それによれば、細かい物質から微生物を含む最も細かい物質までが、循環して流れる処理液から除去可能である。これに関しては、例えば特許文献2に提案されている措置によって、良好な結果を得ることができる。
【0009】
それにもかかわらず、従来技術に鑑みて、常に再使用される、又は循環して流れる処理液の浄化と除菌に関して殺菌装置とそれを操作する方法について、改良の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許出願公開第2722089(A1)号明細書
【文献】国際公開第2016/100996(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、従来技術に比較して改良された、殺菌装置を操作する方法と改良された殺菌装置を提供することであって、それによってできるだけ少ない化学薬品の使用により連続的に再使用される処理液の効率的な安定化を得ることができるので、できる限り長い期間にわたって保守又は浄化のための中断なしで、持続的に中断されない操作が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項に記載された方法によって解決される。
【0013】
閉鎖された容器内に満たされた食品を低温殺菌するための殺菌装置を操作する方法は、食品を満たされて閉鎖された容器を移送手段を用いて移送方向に複数の処理ゾーンを通して移送することを有している。食品は処理ゾーン内で、温度調節された処理液を容器の外側へ供給することによって処理される。その場合に各処理ゾーンに、供給導管を介して所定の温度を有する処理液が供給される。
【0014】
これは、閉鎖された容器内の食品が移送方向において少なくとも1つの加熱ゾーン内で予熱され、移送方向において次に少なくとも1つの殺菌ゾーン内で殺菌温度に加熱されて、移送方向において次に少なくとも1つの冷却ゾーン内で冷却されるように行われる。処理液は、容器へ供給された後に処理ゾーン内で集められて、集められた処理液が再使用するために循環回路の循環導管を介して少なくとも1つの処理ゾーンへ再び供給される。
【0015】
処理液には、水を安定させるため、又は所望の方法技術的効果を得るために、少なくとも1つのプロセス化学薬品が添加される。
【0016】
処理液内に含まれる、又は溶けている少なくとも1つの化学物質又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品又は添加された少なくとも1つの内部標準物質の濃度の少なくとも1つの実際値が、少なくとも1つの測定部において、又は少なくとも1つの測定部において、少なくとも1つの濃度測定センサによって検出される。
【0017】
さらに、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質、及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は添加された内部標準物質の濃度が、少なくとも1つの測定部において少なくとも1つの濃度測定センサによって検出された実際値に基づいて、少なくとも1つの配量箇所において少なくとも1つの配量装置を用いて少なくとも1つのプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加されるプロセス化学薬品を配量することによって、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して、調節される。
【0018】
言い換えると、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は処理液内に添加された少なくとも1つのプロセス化学薬品の濃度が、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のための目標値に関して、少なくとも1つの配量装置による少なくとも1つのプロセス化学薬品及び/又は単位時間あたりの少なくとも1つのプロセス化学薬品の配量を制御することによって調節することができる。その場合にプロセス化学薬品の配量は、処理液内に含まれる化学物質の濃度の検出された実際値にしたがって、及び/又はプロセス化学薬品自体の濃度の検出された実際値に従って、及び/又は間接的に、添加された内部標準物質の検出された実際値にしたがって、制御することができる。プロセス化学薬品の配量によって、このプロセス化学薬品自体の濃度を、このプロセス化学薬品の濃度のための目標値に関して調節することができる。代替的又は付加的に、プロセス化学薬品の配量によって、まず、処理液内に含まれる1つ又は複数の化学物質の濃度を調節することができる。
【0019】
処理液内に含まれる、又は溶けている化学物質というのは、それ自体水性の溶液内に含まれており、かつ添加されない化学物質である。処理液内に含まれるこの種の物質は、特に新しい処理液又は新しい水が殺菌装置内へ供給されることによってもたらされる。ここで重要な例として、処理液のpH値を定めるH3O+イオン及び水性の処理液の水硬度を定める、アルカリ塩とアルカリ土類塩、特にCa塩とMg塩が挙げられる。
【0020】
プロセス化学薬品というのは、処理液に配量される化学薬品であって、その場合にそれぞれのプロセス化学薬品の配量によってプロセス化学薬品自体の濃度又は処理液に含まれる化学物質の濃度が調節される。具体的な殺菌方法のために良好な特性を有するプロセス化学薬品の例について、以下でさらに詳細に説明する。複数のプロセス化学薬品を配量する場合においては、好ましくは、互いに対して化学的に反応する傾向ができるだけ少ないプロセス化学薬品を選択することができる。それによって、プロセス化学薬品の損失又は処理液内のプロセス化学薬品の濃度の低下を阻止することができる。互いに化学反応に対して少ない傾向を示すしかるべき化学薬品の例については、以下でさらに詳細に説明する。
【0021】
内部標準物質というのは、それ自体知られているように、既知の濃度又は量において処理液へ添加され、かつその濃度を、この種の内部標準物質の検出に適したしかるべき濃度測定センサを用いて正確かつ特に検出限界が低い場合でも検出することができる、物質である。内部標準物質は、たとえば色素、特に蛍光色素によって形成することができる。適切な内部標準物質として、フルオレセイン、ローダミン又は好ましくは1、3、6、8ピレンテトラスルフォンサン、ナトリウム塩(PTSA)が挙げられる。
【0022】
その場合に内部標準物質を処理液内へ添加することは、原則的にプロセス化学薬品の添加とは別に行うことができる。しかし好ましくは、内部標準物質は処理液に、少なくとも1つのプロセス化学薬品と共に、かつ特に、内部標準物質の濃度を検出することによりその濃度を推定すべき、プロセス化学薬品と共に、混合される。したがって特に、プロセス化学薬品と内部標準物質は共通に、配量装置によって処理液に配量することができる。この種の添加された内部標準物質を用いて、特に、たとえばすでに上で説明したように、容器への散水による、又は特に殺菌ゾーン内の、処理液の蒸発による、かつ新しい処理液と代えることによる、プロセス化学薬品の損失を検出することができる。
【0023】
既知の濃度で処理液に添加又は配量された内部標準物質の濃度の実際値を定めること、又は検出することは、きわめて原則的に、すべての添加又は配量されたプロセス化学薬品の目標値を設定するためのベースとして利用することができる。この場合においては、プロセス化学薬品の濃度の損失又は低下は、処理液自体の損失とは異なる効果によって、直接検出することはできない。プロセス化学薬品のこの種の他の損失は、たとえばプロセス化学薬品の、処理液内に含まれ、又は溶けている化学物質との、又は互いに対する化学反応に基づいて、又は殺菌剤が配量された場合には、たとえば微生物の死滅によって、もたらされることがあり得る。したがって少なくとも1つの化学薬品を配量するためのベースとして、添加され、又は配量された内部標準物質の濃度を検出する場合には、少なくとも1つのプロセス化学薬品の濃度のための目標値は、内部標準物質の濃度の検出された実際値に基づいて、補正係数を用いて高めることができ、かつ少なくとも1つの化学薬品の配量は、補正係数を用いて高められた、プロセス化学薬品のためのあらかじめ定められたこの目標値に関して行うことができる。その場合に少なくとも1つのプロセス化学薬品の濃度のための目標値を高めるということは、このように高めること、又は補正係数が、内部標準物質の濃度の実際に検出された実際値から計算により生じた目標値に対する補正をもたらすことである。言い換えると、目標値を設定するためのベースとして内部標準物質の濃度の実際値を検出する場合に、少なくとも1つのプロセス化学薬品は、目標値のための過度な高さ、又は補正係数に基づいて、内部標準物質の濃度の実際に検出された実際値から生じるよりも多い量において配量することができる。
【0024】
それとは関係なく、きわめて原則的に、プロセス化学薬品の量的に重要な配量を制御するための測定ベース又は測定参照として、少なくとも1つの濃度測定センサを用いて検出された、濃度の少なくとも1つの実際値が用いられる。濃度の適切に設定された目標値よりも低い、プロセス化学薬品又は処理液内に含まれる化学物質及び/又は添加された内部標準物質の濃度の実際値が検出された場合に、配量、したがって単位時間あたり処理液に配量されるプロセス化学薬品の量を高めることができる。逆に、濃度の設定された目標値よりも高い実際値が検出された場合には、単位時間あたりのプロセス化学薬品の配量を減少させることができ、又は少なくとも時々完全に停止させることができる。プロセス化学薬品は、たとえば、処理液内へプロセス化学薬品の濃縮された水性の溶液を供給又は容量測定的に配量することによって、行うことができる。あらかじめ定められた目標値を得るために必要な、1つ又は複数のプロセス化学薬品の配量を検出すること、又は決定することは、それ自体知られたやり方で、各配量されたプロセス化学薬品について、化学量論的計算を用いて、及び/又はたとえばラボ実験又は殺菌装置における実験によって前もって経験的に行うことができる。
【0025】
1つ又は複数のプロセス化学薬品の配量を制御するために必要なすべての計算操作は、それ自体知られたやり方で、制御装置又は制御装置のコンピュータ実装されたプログラム内で形成することができる。そのためにこの種の制御装置は、少なくとも1つの濃度測定センサと、かつ操作のために少なくとも1つの配量装置と、信号接続することができる。プロセス化学薬品の配量の制御は、それ自体知られているように、たとえば操作可能な配量弁を用いて行うことができる。しかし、きわめて原則的に、1つ又は複数のプロセス化学薬品の配量の手動の調整を、行うこともできる。
【0026】
特に殺菌装置の大きさと形態にしたがって、1つの測定部又は1つの測定部において、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のための実際値が検出されると、原則的に充分であり得る。まったく同様に、少なくとも1つのプロセス化学薬品が1つの配量箇所又は配量部のみにおいて、処理液に配量されると、きわめて原則的に有意義であり、かつ充分であり得る。しかしまた、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の複数の実際値を、複数の測定部又は複数の測定個所において、検出することが、好ましい場合もあり、その場合に検出された実際値は、もちろん異なっていてもよい。たとえば処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加された少なくとも1つのプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の少なくとも1つの実際値を、循環回路又は処理ゾーン内に配置された少なくとも1つの測定部において検出することができる。しかしまた、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の少なくとも1つの実際値が、新しい処理液用の供給導管内に配置されている少なくとも1つの測定部において検出されることも、効果的であり得る。
【0027】
もちろんまったく同様に、処理液に少なくとも1つのプロセス化学薬品を、1つ又は複数の配量装置を用いて複数の配量箇所又は配量部において配量することも、有意義であり得る。原則的に、たとえば、少なくとも1つのプロセス化学薬品を、循環回路又は処理ゾーン内に配置された少なくとも1つの配量箇所において、少なくとも1つの配量装置を用いて配量することができる。しかしまた、少なくとも1つのプロセス化学薬品が処理液に、新しい処理液用の供給導管内に配置された少なくとも1つの配量箇所において配量されることも、目的達成に役立つことができる。
【0028】
きわめて原則的に、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のための1つ又は複数の目標値の設定を、可変に行うことも、もちろんできる。さらに、様々な測定部又は測定セションのために、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のための様々な目標値を設定することも、まったくもって可能である。これは特に、殺菌装置内でゾーン的にきわめて異なるパラメータ、特に処理液の異なる温度に関する。好ましい方法ガイドの例を、以下でさらに詳細に説明する。
【0029】
もちろん処理液に、複数の配量箇所において複数のプロセス化学薬品を配量することもでき、かつ処理液内に含まれる複数の化学物質及び/又は複数のプロセス化学薬品の濃度の複数の実際値を検出することができる。次に、それぞれ検出された実際値に基づいて、複数のプロセス化学薬品の制御された配量を行うことができる。処理液に配量することができるプロセス化学薬品の例を、以下でさらに詳細に説明する。その場合にプロセス化学薬品の選択は、それぞれの要請によって行うことができ、かつたとえば容器の種類、たとえばガラスビン又はアルミニウム缶、それぞれ調節すべき殺菌温度及び他のファクターに依存することができる。
【0030】
きわめて原則的に、さらに、プロセス化学薬品は複数の化学物質又は成分を有することができ、かつプロセス化学薬品の個々の物質は、複数の効果に関しても目的達成に役立つことができる。すなわちプロセス化学薬品の個々の成分は、たとえば無機の堆積を阻止するためのスケール防止剤としても、腐食抑制剤としても有効となることができ、これについては以下で適切なプロセス化学薬品の例を用いてさらに説明する。
【0031】
記載の措置によって、処理液の安定を改良した効率的な方法を提供することができる。プロセス化学薬品の配量は、1つ又は複数のプロセス化学薬品のできる限り少ない量でも改良された安定が可能になるように、所望に行うことができる。さらに記載の措置によって、プロセス化学薬品の望ましくない、欠点となる過剰配量を阻止することができる。過去においては、この種の過剰配量により、プロセス化学薬品によって高い負荷を受けた処理液を除去して、新しい処理液と交換することが必要になることが、多かった。
【0032】
明らかにされたように、記載の措置によって殺菌装置の駆動効率の改良を得ることができる。特に、殺菌装置の中断されない長い駆動を可能にすることができ、その場合にたとえばバイオフィルム又は一般的に堆積の形成に基づく、保守操作及び/又は清掃操作による、通常の殺菌工程の中断は、有効に阻止することができる。
【0033】
本方法の展開において、少なくとも1つのプロセス化学薬品は、循環回路又は処理ゾーン内に配置されている少なくとも1つの配量箇所において、少なくとも1つの配量装置を用いて配量することができる。この措置によって、特に、循環回路内で処理ゾーンを廻って流れる処理液を安定させることができ、かつそのようにして殺菌装置のできる限り長い、中断のない操作を提供することができる。きわめて原則的に、プロセス化学薬品の配量は、他の配量箇所においても、例えば新しい処理液又は新しい水のための供給導管内でも、可能である。
【0034】
さらに、少なくとも1つの含まれる化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の少なくとも1つの実際値を、少なくとも1つの濃度測定センサを用いて、循環回路又は処理ゾーン内に配置されている少なくとも1つの測定部において検出することができる。それによって、処理ゾーンを廻って循環する処理液は、濃度について効率的に監視することができ、かつ濃度のための1つ又は複数のあらかじめ定められた目標値に関して、プロセス化学薬品の配量によって、濃度の調節を所望に行うことができる。
【0035】
処理液内の少なくとも1つの含まれる化学物質及び/又は少なくとも1の添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の第1の実際値と第2の実際値が、少なくとも2つの互いに離隔した測定部において、第1の濃度測定センサを用いて、かつ第2の濃度測定センサを用いて検出され、かつ少なくとも1つの含まれる化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品の濃度が、第1の濃度測定センサを用いて検出された実際値に基づいて、及び/又は第2の濃度測定センサを用いて検出された実際値に基づいて、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節される場合も、効果的であり得る。
【0036】
この措置は、高い殺菌容量と処理液の長い移送区間とを有する大型の殺菌装置において、特に効果的であることが明らかにされている。特に、この措置によって、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質、及び/又はプロセス化学薬品及び/又は内部標準物質の濃度の減少を、効率的に監視することができ、かつ必要な場合においては、1つ又は複数のプロセス化学薬品の配量をしかるべく適合させることができる。その場合に検出された複数の実際値又は検出された実際値のそれぞれ1つだけを、プロセス化学薬品の配量の制御に利用することができる。
【0037】
例えば、第1の実際値は、処理液の流れ方向に関して配量装置の上流に隣接して配置された第1の濃度測定センサによって検出することができ、第2の実際値は、処理液の流れ方向に関して第1の濃度測定センサから上流に少なくとも5メートル離隔して配置された第2の濃度測定センサを用いて検出することができる。
【0038】
その後、プロセス化学薬品の配量は、例えば検出された2つの実際値の重み付けに基づいて実施することができる。例えば、第2のセンサを用いて検出する実際値は、殺菌装置にバイオフィルム形成又は腐食の発生が非常に生じやすい測定部において、検出することができる。このような場合において、第2の実際値には、例えば90%の重み付けを割り当てることができ、かつ第1のセンサによって検出された実際値は、例えば10%の重み付けがなされる。
【0039】
濃度センサを用いて検出された実際値に基づいて配量装置を用いて処理液へ配量される、少なくとも1つのプロセス化学薬品は、例えば、殺菌剤、pHレギュレータ、スケール防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤からなるグループから選択することができ、及び/又はこのグループから選択されたプロセス化学薬品の混合物が配量される。挙げられたプロセス化学薬品は、それぞれ互いに独立して、かつ互いに組み合わせても、殺菌装置と処理ゾーン内で処理される容器の保護に関して、好ましいことが明らかにされている。もちろん上述したプロセス化学薬品の複数を配量することも、目的にかない、かつ有意義な場合もあり、かつこれは、大体の場合において、推奨に値するものである。その場合に個々のプロセス化学薬品は、それぞれ互いに別々に配置されている配量箇所において配量することができる。しかし、複数のプロセス化学薬品が1つの同じ配量箇所において、共通の配量装置を用いて処理液へ配量され、それによって原則的により効率的な配量が得られることも、もちろん可能である。
【0040】
本方法において、特に、低温殺菌すべき食品は、金属、特にアルミニウムを有する容器、例えば金属を含む栓、例えばねじキャップを有するビン、又は例えば既知のアルミニウム飲料缶、へ詰め替えることができる。まさに、金属を有する容器の場合に、容器内の食品を低温殺菌するために温度調節された処理液で処理することによって、容器への処理液の作用が連続することに基づいて、容器の、金属を有する箇所に変色がもたらされることがある。アルミニウム缶の場合には、これは、いわゆる井水ブラックとして知られている。明らかにされているように、水性の処理液のパラメータメータ又は組成、例えばそのpH値と化学薬品含有量が主要な役割を果たし、かつ、プロセス化学薬品のより小さい濃度と適切な選択によって、金属、特にアルミニウムを有する容器の変色に対処することができ、又はこの種の変色を水性の処理液による処理によって防止することができる。
【0041】
方法の好ましい実施形態において、少なくとも1つの配量装置を用いて少なくとも1つの配量箇所において処理液に、殺菌剤によって形成される少なくとも1つのプロセス化学薬品を配量することができる。それによって特に、バイオフィルムの形成に対抗することができ、この種のバイオフィルムを除去するために、場合によって必要な浄化措置は、少なくとも遅延させることができる。好ましい殺菌剤の例として、二酸化塩素、次亜塩素酸塩、過酢酸又はブロノポールが挙げられる。
【0042】
その場合に、殺菌剤が少なくとも1つの配量装置を用いて処理液の体積流に配量され、その処理液の体積流が流体動力学的に冷却ゾーンへ通じる循環導管内で流れると、効果的であり得る。
【0043】
明らかにされているように、まさに冷却ゾーンの領域内で、バイオフィルムを形成する高い傾向が検出可能であり、それは、場合によっては特にこの冷却ゾーンの領域内で凝縮する処理液が原因である。冷却ゾーンの領域内での殺菌剤の配量が特に有効であり、かつバイオフィルム形成を阻止することが、明らかにされている。これは、冷却ゾーンへの移送区間が長いことに基づく殺菌剤の消耗又は損失を、この種の措置によって阻止できるからでもある。
【0044】
本方法において、きわめて一般的に、少なくとも1つの殺菌剤濃度測定センサを用いて、循環回路又は処理ゾーン内に配置されている少なくとも1つの測定部において、殺菌剤濃度の少なくとも1つの実際値を検出することもでき、その測定部において20℃から55℃の温度を有する処理液が流れる。
【0045】
処理液の温度レベルのための記載された領域を有する殺菌装置の測定部又は測定個所において、処理液内の殺菌剤濃度を監視することは、特に、この種の箇所において処理液内に、微生物の成長又は繁殖を原則的に可能にし、又は特に支援する、温度条件が与えられているので、効果的である。したがってまた、この種の箇所又はセクションにおいてバイオフィルムの形成の確率が特に高い。好ましくは、少なくとも1つの濃度センサを用いて、少なくとも1つの測定部又は少なくとも1つの測定個所において殺菌剤濃度の少なくとも1つの実際値を検出することができ、その測定部又はその測定個所において、30℃から45℃の温度を有する処理液が流れる。
【0046】
しかしまた、ある方法ガイドも効果的であって、それにおいて処理液に、循環回路又は処理ゾーン内に配置されている少なくとも1つの配量箇所において、少なくとも1つの配量装置を用いて殺菌剤が配量され、その配量箇所において20℃から55℃の温度を有する処理液が流れる。
【0047】
この措置において、まず第1に、特にバイオフィルム形成が生じやすい配量箇所又は配量部において処理液内に充分に高い濃度の殺菌剤を提供し、かつ維持できることも、保証することができる。したがって長い移送区間に沿った処理液内で殺菌剤が著しく消耗する、可能な問題点を、回避することができる。好ましくは処理液に、少なくとも1つの配量箇所又は少なくとも1つの配量部において、少なくとも1つの配量装置を用いて殺菌剤を配量することができ、その配量箇所又はその配量部において30℃から45℃の温度を有する処理液が流れる。
【0048】
本方法の好ましい展開において、処理液に少なくとも1つの二酸化塩素配量装置を用いて少なくとも1つの二酸化塩素配量箇所において、殺菌剤として二酸化塩素を配量することができる。
【0049】
二酸化塩素は、殺菌剤として原則的に他の殺菌剤に比較して、例えば高い効率又は少ない腐食傾向のような、いくつかの利点を提供し、かつエコロジー的にも有意義な殺菌剤である。驚くべきことに、処理液の循環ガイドを有する記載の殺菌方法において、殺菌剤としての二酸化塩素の使用は、きわめて有効であることが、明らかにされている。これは、一方で、処理ゾーン及び循環回路内でゾーン的に循環する処理液の温度レベルがきわめて高いにもかかわらないものであって、その温度は部分的に約45℃の二酸化塩素の分解温度よりもずっと高い。
【0050】
また、二酸化塩素は、驚くべきことに、循環回路内で持続的に流れる処理液内できわめて良好な殺菌作用を示す。これは、二酸化塩素がその殺菌作用について消耗が大きいにもかかわらないことである。驚くべきことに、記載される方法において、処理液内の二酸化塩素は循環回路内の充分に広い移送区間にわたっても可能であるので、殺菌装置の少なくともバイオフィルムの形成に関して敏感な箇所において、所望の殺菌作用が得られる。
【0051】
その場合に二酸化塩素濃度の目標値は、必要に応じて、例えば汚れ度合にしたがって、及び/又は例えば処理液内で検出された菌数にしたがって変化させ、又は可変に設定することができる。例えば二酸化塩素濃度の目標値は、0.5mg/Lから10mg/L、好ましくは1mg/Lから5mg/L、そして特に1.5mg/Lから4mg/Lの領域から選択することができる。
【0052】
さらに、ある方法ガイドを適用することができ、それにおいて二酸化塩素が準備装置を用いてその場で化学的に形成されて、配量装置のために準備される。
【0053】
それによって、1つ又は複数の配量装置のための二酸化塩素の準備を必要に応じて行うことができる。その場合に二酸化塩素の形成は、それ自体知られた方法を用いて、例えば塩酸-亜塩素酸塩方法又は過硫酸塩-亜塩素酸塩方法又はペルオキソ二硫酸塩-亜塩素酸塩方法によって、行うことができる。特に好ましくは、二酸化塩素準備方法として、一成分-固体方法が適用され、それにおいて二酸化塩素を化学的に形成するために必要な成分は不活性で圧縮されて存在し、それを水に溶かすことができる。後者の準備方法は、特に、製品の時間安定性が長いことと取り扱いが容易なことに基づいて優先される。
【0054】
本方法の展開において、少なくとも1つのpH測定センサを用いて、少なくとも1つの測定部において処理液のpH値の少なくとも1つの実際値を検出することができ、かつ処理液のpH値は、検出されたpH値の実際値に基づいて、少なくとも1つの有機又は無機の酸を有する少なくとも1つのpHレギュレータを、少なくとも1つの配量箇所において、少なくとも1つの配量装置を用いて配量することによって、処理液のpH値のための少なくとも1つのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節することができる。
【0055】
処理液のpH値の適切な管理は、多数の方法ファクターに関してきわめて重要であることが、明らかにされている。処理液のpH値は、例えば無機又は有機の堆積の形成に影響を示し、かつ処理ゾーン内で処理される、金属を有する容器における変色を回避する際にも大きい役割を果たす。
【0056】
好ましくは、少なくとも1つのpHレギュレータは、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、グルコヘプタン酸からなるグループから選択された少なくとも1つの酸、又はこのグループから選択された酸の混合物を有することができる。
【0057】
挙げられた酸は、特に、殺菌装置における腐食を阻止するために有効であって、さらに、金属を有する容器の変色を阻止するのに適していることが、明らかにされている。
【0058】
特に、好ましくは、処理液のpH値は、少なくとも1つのpHレギュレータを配量することによって、3.5から7.0、特に.4.0から6.5に調節することができる。
【0059】
さらに、処理液のpH値の少なくとも1つの実際値を、少なくとも1つの測定部において検出することができ、その測定部において40℃から90℃の温度を有する処理液が流れる。
【0060】
この種の測定部におけるpH値の測定は、特に腐食技術的な観点において好ましいことが明らかにされている。この種のpH値測定部において検出されたpHの実際値に基づいて、処理液のpHの目標値に関して処理液のpH値を調節することは、殺菌装置内の腐食を阻止するために効果的であり得る
【0061】
方法の他の実施形態において、処理液に、少なくとも1つの配量装置を用いて少なくとも1つの配量箇所において、腐食抑制剤によって形成された少なくとも1つのプロセス化学薬品を配量することができる。
【0062】
その場合に特に、少なくとも1つの腐食抑制剤が、少なくとも1つの錯化合物を形成するホスホン酸塩及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、特にホスホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸及び/又は二価の亜鉛塩及び/又はリン酸エステルを有していると、有意義であり得る。
【0063】
この種の腐食抑制剤によって、特に処理液と接触する、例えば配管と収集槽のような、殺菌装置の構成要素、そして金属を有する容器も、腐食から有効に保護することができる。適切なホスホン酸又はホスホン酸塩の例として、1-ヒドロキシエタン-(1、1-ジホスホン酸)(HEDP)及び3-カルボキシ-3-ホスホノアジピン酸(PBTC)又はその塩を、挙げることができる。
【0064】
これに関連して、少なくとも1つの腐食抑制剤を、循環回路又は処理ゾーン内に配置された少なくとも1つの配量箇所において、少なくとも1つの配量装置を用いて、配量し、その配量箇所において55℃から95℃の温度を有する処理液が流れると、好ましい場合もある。
【0065】
この措置によって、充分な濃度の腐食抑制剤が、殺菌装置の特に腐食が生じやすい箇所に与えられていることを、保証することができる。
【0066】
本方法の他の実施形態において、新しい処理液のための供給導管内に配置されている少なくとも1つの測定部において、供給された新しい処理液の伝導率の実際値を検出することができ、かつ少なくとも部分的に、又は主として、供給された新しい処理液の伝導率の検出された実際値に基づいて、少なくとも1つのプロセス化学薬品の濃度のための目標値を設定することができ、及び/又は少なくとも1つのプロセス化学薬品の配量を適合させることができる。
【0067】
原則的に、新しい処理液の伝導率は、手動で、測定部において試料を取り出して、次にラボ測定することにより検出することができる。好ましくは、伝導率は、伝導率センサとして形成されている濃度測定センサを用いて、検出することができる。その場合に新しい処理液の伝導率を検出することは、新しく供給された処理液内に溶けたイオンの合計濃度を表す。記載の措置によって、特に、供給された新しい処理液の変化する品質又は組成に反応することができる。次に、この措置によって、1つ又は複数のプロセス化学薬品の配量を、所望に、かつ少なくとも部分的に、又は主として、供給された新しい処理液又はその中に含まれ、又は溶けている化学物質又はイオン物質にしたがって行うことができる。
【0068】
方法の他の実施形態において、少なくとも1つのCa2+及び/又はMg2+測定センサを用いて、少なくとも1つの測定部において処理液の水硬度の実際値を検出することができ、検出された水硬度の実際値に基づいて、スケール防止剤を少なくとも1つの配量箇所において、少なくとも1つの配量装置を用いて、スケール防止剤の濃度のためのあらかじめ定めることのできる少なくとも1つの目標値に関して、配量することができる。
【0069】
この措置によって、特に、無機の堆積の形成、特にスケール形成、特に殺菌装置内の石灰形成に対抗することができる。スケール防止剤を用いて、それ自体知られているように、硬度形成物Ca2+とMg2+をマスキングすることができる。Ca2+及び/又はMg2+濃度を検出するためのセンサは、特にイオン選択的な電極を有することができる。
【0070】
その場合に特に、少なくとも1つのCa2+及び/又はMg2+測定センサを用いて、新しい処理液のための供給導管内に配置されている少なくとも1つの測定部において、処理液の水硬度の実際値を検出することができ、かつ新しい処理液のための供給導管内に配置されている少なくとも1つの配量箇所において、少なくとも1つの配量装置を用いてスケール防止剤を配量することができる。
【0071】
スケール防止剤は、少なくとも1つの錯化合物を形成するホスホン酸塩及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、特にホスホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸及び/又は、ポリリン酸塩、水溶性のポリアクリレートからなるグループから選択された、少なくとも1つのオリゴマー又はポリマー物質及びマレイン酸とアクリル酸からなるコポリマーを有することができる。すでに上で説明したように、挙げられた化学薬品のいくつかは、腐食保護に関しても、よく適していることが明らかにされている。
【0072】
方法の展開において、配量されたプロセス化学薬品、特に配量された殺菌剤の濃度のあらかじめ定められた目標値を超えたことが検出された場合に、処理ゾーンと作用接続された吸い出し装置を用いて、処理ゾーンからガス雰囲気を吸い出すことができる。これは、特に、処理ゾーンが周囲に対して完全に分離されていない場合に、殺菌装置から周囲への殺菌剤の流出を阻止するために、有意義であり得る。この措置は、特に循環回路内で処理液の循環が行われない、障害場合において、効果的であり得る。
【0073】
好ましくはある方法ガイドを設けることができ、それにおいて少なくとも1つの液体取り出し手段を用いて、循環回路内で循環される処理液から、又は処理ゾーン内の処理液から、処理液の少なくとも1つの部分流を形成するために、連続的に処理液の部分量が取り出され、その少なくとも1つの部分流が少なくとも1つのバイパスの供給導管を介して、少なくとも1つのバイパス内に配置されているメンブレン濾過装置へ供給されて、濾過され、そして次に再び循環回路内、又は処理ゾーン内へ供給される。
【0074】
この措置によって、連続的な操作において処理液から連続的に、微生物を含む個々の汚れを濾過することができる。それによって、配量されたプロセス化学薬品の、特に配量され殺菌剤の、効率を著しく改良することができ、かつそれによって、充分な有効性のために必要な、プロセス化学薬品の濃度のさらなる低下をさらに減少させることができる。その場合にバイパスは、循環回路の構成要素である。
【0075】
特に、これに関連して、少なくとも1つの配量装置を用いて処理液に、プロセス化学薬品として殺菌剤を、少なくとも1つのバイパス内で流体動力学的にメンブレン濾過装置に続いて配置されている少なくとも1つの配量箇所において配量することができる。
【0076】
これは、殺菌剤を配量するための特に有効な措置である。というのは、殺菌剤は、きわめて少ない汚れが存在するか、又は個々の汚れが実際には存在しない、直前に浄化されている処理液内へ混合され、又は配量されるからである。それによっても、殺菌剤の消耗をきわめて小さく抑えることができ、かつ循環される処理液全体への殺菌剤の良好な移送又は良好な分配をもたらすことができる。
【0077】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
【0078】
図は、著しく簡略化された図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】殺菌装置を駆動操作する方法を説明するための、殺菌装置の実施例の図式的な表示である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、例えば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。
【0081】
図1には、閉鎖された容器2内へ満たされた食品を低温殺菌するための殺菌装置1の実施例が図式的に示されており、それを用いて殺菌装置を駆動操作するための方法を実施することができる。殺菌装置1は、閉鎖された容器6の外側
2上へ処理液5を供給するための散水手段4を備えた複数の処理ゾーン3を有している。
図1に示す実施例においては、純粋に例として、かつ見やすくする理由から5つの処理ゾーン3のみが示されており、その場合にそれぞれ殺菌装置1の要請と設計に応じて、より少ない処理ゾーン3も、より多いそれも設けることができるのは、自明である。すなわち10、15又はそれ以上の処理ゾーン3を有する殺菌装置が、きわめて一般的である。
【0082】
殺菌装置1の駆動操作において、食品の低温殺菌は、前もって食品が容器2内へ充填され、かつ容器が閉鎖されるようにして、実施される。食品を充填されて閉鎖された容器2の処理は、それぞれの処理ゾーン3内で、散水手段4を介して容器2の外側6上へ水性の処理液5を供給することによって実施される。それぞれの処理ゾーン3の散水手段4は、例えばスプリンクラー状又はノズル形状の散水手段により、又は一般的にそれぞれの処理ゾーン3内で処理液を分配するための手段によって、形成することができる。温度調節された水性の処理液5が、このようにして容器2の外側6上へ供給され、それによって容器2とそれに伴って容器2内へ満たされた食品を所望に温度調節して、低温殺菌することができる。容器2は、例えばビン、缶他は他のコンテナによって形成することができ、かつ原則的に様々な材料から構成することができ、場合によってはコーティングし、又はプリントすることができる。
【0083】
この方法において、特に、低温殺菌すべき食品は、例えば金属を含む栓を備えたビンのような、金属、特にアルミニウムを有する容器2内へ詰め替えることができる。具体的には、容器2は、
図1にも示唆されるように、アルミニウム飲料缶2によって形成することができる。
【0084】
処理ゾーン3を通して容器2を移送するために、移送手段7が設けられている。
図1に示す実施例において、移送手段7は2つの駆動されるコンベアベルト8を有しており、それによって食品を充填されて閉鎖された容器2は、図示される実施例において、殺菌装置1の駆動中に2つの平面内で処理ゾーン3を通して移送される。これは、
図1に矢印で示す移送方向9に、例えば左から右へ、行うことができる。
【0085】
殺菌装置1の駆動において、例えば、容器2内の食品は1つの処理ゾーン3又は複数の処理ゾーン3を内でまず温められ、移送方向9において次に1つ又は複数の処理ゾーン3内で低温殺菌温度へ加熱されて、保持され、移送方向9において次に、1つ又は複数の処理ゾーン3内で所望に冷却することができる。
【0086】
図1に示す、殺菌装置1の実施例において、例えば、移送方向9に見て、まず加熱ゾーン10、11として形成された2つの処理ゾーン3が設けられており、その中で食品又は容器2が装置1の駆動においてまず逐次予熱される。図示される実施例において、食品を低温殺菌するために移送方向9において加熱ゾーン10、11に続いて殺菌ゾーン12が設けられている。この処理ゾーン3又は殺菌ゾーン12内で、食品は、低温殺菌に適するように温度調節された処理液5の供給と、容器2の外側6上への散水によって低温殺菌される。移送方向9においてそれに続いて、
図1の実施例において、冷却ゾーン13、14として形成された2つの処理ゾーン3が設けられており、それらの処理ゾーン13、14内で食品又は容器は殺菌装置1の駆動において、それぞれ容器
2の冷却に適した温度を有する処理液5の供給によって順次冷却される。
【0087】
図1から明らかなように、殺菌装置1は各処理ゾーン3のために、それぞれの散水手段4へ温度調節された処理液の体積流を供給するために、各処理ゾーン3用の供給導管15を有している。さらに
図1に示す実施例において、殺菌装置1は、処理液5を温度調節するため、又は処理ゾーン3へ供給される処理液5の個々の体積流を温度調節するための温度調節手段16を有している。
図1に示す実施例において、温度調節手段16として、例えば弁17、特に流量調整弁が設けられており、それを介して処理ゾーン3へ供給された処理液5のいくつかの体積流に、温度調節するためにそれぞれ温水タンク18から熱い処理液又は冷水タンク19から冷たい処理液を混合することができる。処理液を温め、又は加熱するために、さらに、
図1に示すように、一般的な温度調節手段16として加熱手段20、例えば熱蒸気熱交換器のような熱交換器を設けることができる。処理液5を一般的に冷却するために、同様に冷却手段21、例えば冷水熱交換器を設けることができる。殺菌装置1の駆動において、この種の温度調節手段16を用いて各処理ゾーン3へそれぞれの供給導管15を介して、所定の温度を有する処理液5を供給することができる。
【0088】
図1に実施例として示す殺菌装置1の駆動において、移送方向9においてまず配置されている加熱ゾーン10へ、例えば20℃から45℃の温度を有する処理液5を供給することができる。移送方向9においてそれに続く加熱ゾーン11には、例えば、45℃から65℃の温度を有する処理液5を供給することができる。殺菌ゾーン12には、65℃から95℃の温度を有する処理液5を供給することができる。
【0089】
移送方向9において殺菌ゾーン12の後ろに配置されている冷却ゾーン13には、例えば40から60℃の温度を有する処理液を、そして移送方向9においてそれに続いて配置されている冷却ゾーン14には、25から40℃の温度を有する処理液を供給することができる。例えば処理ゾーンの数のような、殺菌装置の様々な実施形態にしたがって、又はまた食品の種類又はその要請にしたがって、処理ゾーン3のために他の温度を選択することも、もちろんできる。
【0090】
図1に示す殺菌装置1は、処理液を容器2へ供給した後にそれを集めるために、各処理ゾーン3内に、例えば処理ゾーン3の下方の床領域内に配置された収集槽のような、収集要素22を有している。さらに、集めた処理液5を処理ゾーン3内へ還流させることによって処理液5を再使用するために、循環導管24と移送手段25とを有する循環回路23が設けられている。循環導管24はパイプによって、そして移送手段25は移送ポンプによって形成することができる。したがって殺菌装置1の駆動において、処理液5は容器2への供給後に処理ゾーン3内に集められて、集められた処理液5は再使用するために、循環回路23の循環導管24を介して少なくとも1つの処理ゾーン3へ再び供給される。
【0091】
図1に示す実施例において、循環回路23は、殺菌ゾーン12の処理液が循環して再び殺菌ゾーン12内へ戻ることができるように、形成されている。冷却ゾーン13又は14内に集められた処理液5は、殺菌装置1の駆動において、循環導管24又は復熱導管を介して加熱ゾーン11又は10へ供給することができる。逆に、
図1から明らかなように、加熱ゾーン10又は11内で集められた処理液は、循環導管24又は復熱導管を介して冷却ゾーン14又は13へ供給することができる。その場合に、ゾーン11、12内で容器2を予熱することによる処理液5の冷却に基づいて、集められた処理液5がそれぞれ冷却ゾーン13又は14に適した温度レベルを有していることが、効果的である。これは逆に、ゾーン12又は11に関して、冷却ゾーン13又は14内の冷却によって温められた処理液5についても、言えることである。しかし、処理ゾーン3内で集められた処理液5の部分量は、水タンク18、19へ供給することもでき、かつこれらの水タンク18、19からの処理液と代えることができる。これは特に、供給導管15を介して処理ゾーン3内へ供給するために処理液5のそれぞれの温度を調節するために用いることができる。
【0092】
殺菌装置1の循環回路23は、詳細において、
図1に示す実施例とは異なるように形成できることも、自明である。例えば、1つの処理ゾーン3から他の処理ゾーン3へ通じる循環導管24を設けず、例えば個々の処理ゾーン3を廻る循環ガイド、又は処理液収集タンクを介しての循環ガイドを設けることができる。完全に原則的に、本発明は、所定の循環ガイド又は循環形態に限定されるものではなく、循環回路23の各種の形態において適用することができる。
【0093】
図1から明らかなように、殺菌装置1は、循環回路23から、又は処理ゾーン3から、処理液5の部分量を持続的に取り出すための、少なくとも1つの液体取り出し手段26を有することができる。この液体取り出し手段26は、少なくとも1つのバイパス28からの供給導管27と流体動力学的に接続することができる。
【0094】
さらに、バイパス28内に配置されたメンブレン濾過装置29を形成することができ、その場合に取り出された処理液5の部分流を、少なくとも1つのバイパス28内に配置されているメンブレン濾過装置29へ供給するために、少なくとも1つのバイパス29の供給導管27を設けることができる。循環回路23と、又は処理ゾーン3と接続されている、少なくとも1つのバイパス29の排出導管30は、濾過された処理液5の部分流を処理ゾーン3内へ、及び/又は循環回路23内へ戻すために、
図1から明らかなように、同様に設けることができる。
【0095】
殺菌装置1の駆動において、液体取り出し手段26を用いて、循環回路23内で循環している処理液5から、又は処理ゾーン3内の処理液5から、連続的に処理液5の部分量を、処理液5の少なくとも1つの部分流を形成するために、取り出すことができ、かつこの少なくとも1つの部分流は、少なくとも1つのバイパス29の供給導管27を介して、少なくとも1つのバイパス29内に配置されているメンブレン濾過装置29へ供給して、濾過することができる。次に、このように浄化された部分流を、再び循環回路23内へ、又は処理ゾーン3内へ戻すことができる。
【0096】
きわめて原則的に、メンブレン濾過装置29へ供給するための処理液の部分量の取り出しは、循環回路23の各箇所で行うことができる。まったく同様に、処理ゾーン3から、又は循環回路23内に組み込まれている水タンク18、19からの取り出しが、可能である。好ましくは、
図1にも示すように、処理液5の部分流を形成するための部分量は、循環回路23から取り出すことができる。というのは、それによって処理液の部分量を取り出すための付加的なポンプを省くことができるからである。液体取り出し手段26は、例えば、循環回路23内に配置されている、液体流分配のためのT字片を有することができる。付加的に、単位時間あたり連続的に取り出す処理液の部分量を制御するために、付加的に取り出し手段26が例えば流量調整弁31を有することができ、これも
図1に示されている。好ましくはバイパス28を介して形成し、かつ案内するために、50℃以下の処理液5を取り出すことができる。
【0097】
図1に示す実施例において、例えば2つの箇所において処理液が取り出されて、2つのバイパス28へ供給される。バイパス28のそれぞれの供給導管27は、図示される実施例において、移送方向9において最初に配置されている加熱ゾーン10へ通じる循環導管24又は移送方向9において最後に配置されている冷却ゾーン14へ通じる循環導管24と接続されている。これら2つの循環導管24内で、殺菌装置1の駆動において、比較的低い温度を有する処理液5を流すことができる。さらに
図1から明らかなように、処理液の濾過された部分流は、好ましくは再び処理ゾーン3内へ戻すことができ、その処理ゾーン3は、戻された処理液の部分流の温度に少なくとも実質的に相当する温度レベルを有する処理液を維持する。もちろん殺菌装置の大きさにしたがって、又は処理液のそれぞれの汚れ度合にしたがって、循環し、常に再使用される処理液の部分量を連続的に浄化するために、1つのバイパスだけに、又は2つより多いバイパスに、メンブレン濾過装置29を設けることができる。この種のバイパス28は、
図1から認識されるように、循環回路23の構成要素である。
【0098】
殺菌装置1を駆動操作する方法において、処理液5に少なくとも1つのプロセス化学薬品が添加される。その場合に1つ又は複数のプロセス化学薬品の添加は、きわめて一般的に、好ましくは濃縮された水性の溶液の形式で行うことができる。
【0099】
特に本方法において、少なくとも1つの測定箇所又は測定部33において少なくとも1つの濃度測定センサ32を用いて、処理液5内に含まれる、又は溶けている少なくとも1つの化学物質の、及び/又は少なくとも1つの供給されたプロセス化学薬品の、及び/又は少なくとも1つの供給された内部標準物質の、濃度の少なくとも1つの実際値が検出される。そのために、
図1に示す殺菌装置1の実施例において、複数の測定部33に濃度測定センサ32が示されており、その濃度測定センサ32を用いて、それぞれ1つ又は複数のプロセス化学薬品の濃度の実際値を検出することができる。その場合にきわめて原則的に、処理液5内に含まれる、又は溶解された所定の化学物質及び/又は所定の添加されたプロセス化学薬品及び/又は所定の添加された内部標準物質の濃度の実際値を、複数の測定部33においてそれぞれ濃度測定センサ32を用いて検出することも、効果的であり得る。濃度を検出するための適切な、又は好ましい解決の例を、以下でさらに説明する。
【0100】
同様に
図1の実施例を用いて明らかにされているように、殺菌装置1を駆動操作する方法において、少なくとも1つの配量装置34を用いて少なくとも1つの配量箇所又は配量部35において、少なくとも1つのプロセス化学薬品が配量される。その場合に少なくとも1つの含まれる化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品の濃度は、少なくとも1つの測定部33において少なくとも1つの濃度測定センサ32を用いて検出された実際値に基づいて、少なくとも1つの配量装置34を用いて少なくとも1つの配量箇所又は配量部35において少なくとも1つのプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品を配量することによって、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節される。
【0101】
そのために、
図1に示す殺菌装置1の実施例において、複数の配量部35に配置された配量装置34が示されている。配量装置34は、好ましくはそれ自体知られているように、プロセス化学薬品の既知の濃度を有する1つ又は複数のプロセス化学薬品の濃縮された水性の溶液を配量するように形成することができる。そのために配量装置34は、例えば配量弁を有することができる。もちろん代替的に、固体又はガス状のプロセス化学薬品の配量も、原則的に可能である。
【0102】
図1に示す実施例において、配量装置34は、原則的に1つのプロセス化学薬品のみを配量するために設けることができる。しかし、水性の処理液に配量装置34を用いて複数のプロセス化学薬品を配量できることも、もちろんである。その場合に種々のプロセス化学薬品について、例えば、それぞれ選択され配量部35にしたがって、以下でさらに詳細に説明する利点が生じることがある。
【0103】
濃度又は量のわかっている内部標準物質を処理液内へ添加することは、原則的に、プロセス化学薬品の添加とは別に行うことができる。しかし好ましくは、内部標準物質が少なくとも1つのプロセス化学薬品と共に、かつ特に1つ又は複数のプロセス化学薬品と共に処理液へ添加され、そのプロセス化学薬品の濃度は、内部標準物質の濃度を検出することによって推定される。したがって具体的に、プロセス化学薬品と内部標準物質は共通に、1つ又は複数の配量装置34を用いて処理液へ配量することができる。この種の添加される内部標準物質を用いて、特に、すでに上述したように、特に殺菌ゾーン内の、容器への散水による、又は処理液の蒸発による、かつ新しい処理液と代えることによるプロセス化学薬品の損失を、検出することができる。
【0104】
内部標準物質として、例えば色素、特に蛍光色素を配量することができる。適切な内部標準物質として、フルオレセイン、ローダミン又は好ましくは1、3、6、8ピレンテトラスルフォンサン、ナトリウム塩(PTSA)が挙げられる。その後、内部標準物質の濃度の実際値を検出することは、例えば内部標準物質の適切な蛍光波長において蛍光を測定することによって行うことができ、かつそのために例えば蛍光測定センサ36として形成されたた濃度測定センサ32を殺菌装置1内に配置することができる。その場合に例えばこの種の蛍光測定センサ36を用いて、内部標準物質の濃度を検出することは、好ましくは複数の測定部33において行うことができ、これも
図1に示されている。
【0105】
原則的にすべての添加されるプロセス化学薬品の配量は、1つ又は複数の検出された、内部標準物質の濃度の実際値に基づいて、1つ又は複数のしかるべき目標値を設定することによって行うことができる。しかし、上ですでに説明したように、それによっては、処理液それ自体の損失に基づいてプロセス化学薬品の損失しか検出できないので、この場合においては、内部標準物質の濃度の検出された実際値から純粋に計算により生じるよりも、多いプロセス化学薬品の配量を行うことができる。さらに、少なくともいくつかのプロセス化学薬品については、濃度の実際値を直接検出することが効果的であり得る。これは、同様に説明したように、特にプロセス化学薬品に当てはまり、そのプロセス化学薬品の濃度は、処理液5内の化学反応により、特に微生物、又は処理液内に含まれる、又は溶解された物質との反応によって、連続的に減少する。
【0106】
きわめて原則的に、処理液に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のための1つ又は複数の目標値の設定は、1つ又は複数の実際値に基づいて、もちろん可変に行うことができる。さらに、様々な測定箇所、又は測定部33のために、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のための様々な目標値を設定することも、まったくもって可能である。
【0107】
図1に示すように、さらに完全に原則的に、少なくとも1つのプロセス化学薬品を、循環回路23又は処理ゾーン3内に配置されている少なくとも1つの配量部35において少なくとも1つの配量装置34を用いて配量することができる。しかし特に、プロセス化学薬品の種類にしたがって、少なくとも1つのプロセス化学薬品が、新しい処理液のための供給導管37内に配置されている少なくとも1つの配量部35において配量装置34によって処理液に配量されると、有意義であり得る。所定のプロセス化学薬品のための好ましい配量部35の例について、以下で
図1に示す実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0108】
さらに
図1に示すように、本方法において、少なくとも1つの含まれる化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の少なくとも1つの実際値は、少なくとも1つの濃度測定センサ32を用いて、循環回路23又は処理ゾーン3内に配置されている少なくとも1つの測定部33において検出することができる。しかしここでは同様に、しかるべき実際値を少なくとも1つの濃度測定センサ32を用いて、供給導管37内に配置されている少なくとも1つの測定部33において検出することも、もちろん可能である。これは特に、新しい処理液又は新鮮水内に含まれる、又は溶解されている化学物質の濃度の実際値を検出することに関して、効果的であり得る。
【0109】
ある方法ガイドも効果的であることができ、それにおいて処理液内の少なくとも1つの含まれる化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の第1の実際値と第2の実際値が、少なくとも2つの互いに離隔した測定部33において第1の濃度測定センサ32と第2の濃度測定センサ32によって検出され、これが
図1から図式的に認識できる。それに続いて、少なくとも1つの含まれる化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、標準の濃度を、第1の濃度測定センサ32によって検出された実際値に基づいて、及び/又は第2の濃度測定センサ32によって検出された実際値に基づいて、処理液内に含まれる少なくとも1つの化学物質及び/又は少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のための設定可能な目標値に関して調節することができる。これに関連して、例えば、第1の実際値が、処理液の流れ方向に関して配量装置34の上流に隣接して配置された第1の濃度測定センサ32によって検出され、かつ第2の実際値が、処理液の流れ方向に関して上流に、第1の濃度測定センサ32から少なくとも5メートル離隔して配置された、第2の濃度測定センサ32によって検出されると、効果的であり得る。
【0110】
少なくとも1つの配量されるプロセス化学薬品は、殺菌剤、pHレギュレータ、スケール防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤からなるグループから選択することができ、及び/又はこのグループから選択されたプロセス化学薬品の混合物が配量される。
【0111】
特に、処理液に少なくとも1つの配量装置34、38を用いて少なくとも1つの配量部35において、殺菌剤によって形成された少なくとも1つのプロセス化学薬品を配量することができる。これは特に、いわゆるバイオフィルムの意味における有機の堆積物の形成を阻止するために、効果的である。その場合に、
図1を用いて示すように、殺菌剤は少なくとも1つの配量装置34、38を用いて、処理液の体積流へ配量することができ、その処理液の体積流は流体動力学的に冷却ゾーン14へ通じる循環導管24内に流れる。
【0112】
さらに
図1から認識できるように、少なくとも1つの殺菌剤濃度測定センサ32、39を用いて、循環回路23又は処理ゾーン3内に配置されている少なくとも1つの測定部33において殺菌剤濃度の少なくとも1つの実際値を検出することができ、その測定部33において20℃から55℃の温度を有する処理液5が流れる。きわめて原則的に、処理液5内の殺菌剤濃度の複数の実際値が、殺菌装置1の複数の測定部33において、例えば循環回路23又はその循環導管24及び/又は処理ゾーン3内で、複数の殺菌剤濃度測定センサ32、39を用いて検出されると、効果的であることができ、これも同様に
図1に示されている。好ましくは少なくとも1つの濃度測定センサ32、39を用いて殺菌剤濃度の少なくとも1つの実際値を、少なくとも1つの測定部33又は少なくとも1つの測定部33において検出することができ、その測定部33、又はその測定センサにおいて30℃から45℃の温度を有する処理液5が流れる。
【0113】
さらに処理液5に、循環回路23又は処理ゾーン3内に配置されている少なくとも1つの配量部35において、少なくとも1つの配量装置34、38を用いて殺菌剤を配量することができ、その配量部35において20℃から55℃の温度を有する処理液5が流れる。これらの措置は、殺菌装置1のこの種の領域内では、微生物の著しい増殖に基づくバイオフィルムの形成を特に支援する条件が支配しているので、特に効果的である。好ましくは処理液5に、少なくとも1つの配量箇所又は少なくとも1つの配量部35において、少なくとも1つの配量装置34、38を用いて殺菌剤を配量することができ、この配量部35において、又はこの配量部35において、30℃から45℃の温度を有する処理液5が流れる。
【0114】
本方法の好ましい形態において、
図1に示すように、少なくとも1つの配量装置34、38を用いて処理液5にプロセス化学薬品として殺菌剤を、少なくとも1つのバイパス28内で流体動力学的にメンブレン濾過装置29に続いて配置されている少なくとも1つの配量部35において、配量することができる。
【0115】
それとは関係なく、処理液に、少なくとも1つの配量装置34、38を用いて、少なくとも1つの配量部35において殺菌剤として二酸化塩素を配量することができる。
【0116】
二酸化塩素は、殺菌装置を駆動操作する方法において、処理液内のきわめてわずかな濃度においてすでに、微生物成長とバイオフィルム形成の抑圧に関してきわめて効果的であることが明らかにされている。
【0117】
この種の場合において、二酸化塩素濃度の少なくとも1つの実際値を少なくとも1つの測定箇所又は測定部33において、二酸化塩素を定めるように形成された濃度測定センサ32を用いて検出することができる。二酸化塩素を測定するための濃度測定センサ32は、それ自体知られている。原則的に、二酸化塩素濃度は、様々な測定方法又は測定原理を用いて検出することができる。すなわち例えば、アンペロメトリック、蛍光定量的又は光学的な、光吸収を測定するセンサ32を使用することができる。
【0118】
二酸化塩素濃度の目標値は、徹底的に必要に依存しており、例えば汚れ度合にしたがって、及び/又は例えば処理液内で検出された菌数に従って変化し、又は可変に設定することができる。例えば二酸化塩素濃度の目標値は、0.5mg/Lから10mg/L、好ましくは1mg/Lから5mg/L、かつ特に好ましくは1.5mg/Lから4mg/Lの領域から選択することができる。
【0119】
好ましくは1つの配量装置34、38又は複数の配量装置34、38は、
図1の実施例に示されるように、殺菌剤として二酸化塩素を使用する場合には、二酸化塩素用の準備装置40と接続されている。この種の準備装置40は、配量装置34、38用の二酸化塩素を化学的に形成して準備するように形成されているので、殺菌装置1の駆動操作において、二酸化塩素は準備装置40によってその場で化学的に形成されて、配量装置34、38のために準備することができる。その場合に準備装置40は、例えば塩酸-亜塩素酸塩方法又は過硫酸塩-亜塩素酸塩方法又はペルオキソ二硫酸塩-亜塩素酸塩方法のような、それ自体知られた方法に従って二酸化塩素を化学的に生成するように形成することができる。好ましくは準備装置40は、いわゆる一成分固体方法にしたがって二酸化塩素を形成するように、形成することができる。
【0120】
図1に示すように、この方法において、さらに、少なくとも1つのpH測定センサ32、41を用いて少なくとも1つの測定部33において処理液のpH値の実際値を検出して、処理液のpH値を、検出されたpH値の実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部35において少なくとも1つの配量装置34、42を用いて、有機又は無機の酸を有する少なくとも1つのpHレギュレータを配量することによって、処理液5のpH値のための少なくとも1つのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節することができる。既知のように、pH測定センサによって、処理液内に含まれる、又は溶解されているH
3O
+イオンの濃度が検出可能である。
【0121】
処理液のpH値は、処理液の他の特性への、かつ特に処理液によってもたらされる望ましくない副作用への大きい影響を示す。金属を含む容器、特にアルミニウムを含む容器又はアルミニウム缶を処理する場合に、1つには、処理液のpH値それ自体が、容器における変色を防止するための重要なパラメータであることが、明らかにされている。そしてさらに、pH調整のために使用される1つ又は複数の酸の選択も、容器における変色、特にいわゆる井水ブラックの形成に関して重要であることが、明らかにされている。
【0122】
処理液のpH値は、少なくとも1つのpHレギュレータの配量によって、3.5から7.0に、特に4.0から6.5に調節することができる。少なくとも1つのpHレギュレータは、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、グルコヘプタン酸からなるグループから選択された少なくとも1つの酸、又はこのグループから選択された酸の混合物を有することができる。
【0123】
図1によって明らかなように、好ましくは、処理液5のpH値の少なくとも1つの実際値を、少なくとも1つの測定部33において検出することができ、その測定部33において、40℃から90℃の温度を有する処理液が流れる。
【0124】
さらに、
図1に示すように、処理液5に、少なくとも1つの配量部35において少なくとも1つの配量装置34,43を用いて、腐食抑制剤によって形成される少なくとも1つのプロセス化学薬品を配量することができる。その場合に少なくとも1つの腐食抑制剤は、少なくとも1つの錯化合物形成するホスホン酸塩及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、特にホスホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸及び/又は二価の亜鉛塩及び/又はリン酸エステルを含むことができる。適切なホスホン酸又はホスホン酸塩の例として、1-ヒドロキシエタン-(1、1-ジホスホン酸)(HEDP)及び3-カルボキシ-3-ホスホノアジピン酸(PBTC)又はその塩が挙げられる。
【0125】
少なくとも1つの腐食抑制剤は、特に、循環回路23又は処理ゾーン3内に配置された少なくとも1つの配量部35において、少なくとも1つの配量装置34,43を用いて配量することができ、その配量部35において、55℃から95℃の温度を有する処理液5が流れる。
図1に示す殺菌装置1の実施例において、少なくとも1つの腐食抑制剤は、循環回路23内に配置されている温水タンク18へ配量され、その場合に
図1には、腐食抑制剤が付加的にもちろん、他の配量部35においても、例えば新しい処理液のための供給導管37において、又はその中で、処理液へ配量できることが、示されている。
【0126】
殺菌装置1を駆動操作する方法において、さらに、新しい処理液のための供給導管37内に配置されている少なくとも1つの測定部33において、供給された新しい処理液の伝導率の実際値を検出することができ、かつ少なくとも1つのプロセス化学薬品の濃度のための目標値を、少なくとも部分的に、又は主として、供給された新しい処理液の伝導率の検出された実際値に基づいて設定することができ、及び/又は少なくとも1つのプロセス化学薬品の配量を適合させることができる。原則的に、新しい処理液の伝導率は、手動で測定部において試料を取り出して、次にラボ測定することによって検出することができる。好ましくは、伝導率は、伝導率センサ44によって形成される濃度測定センサ32を用いて検出することができ、これも、
図1から明らかである。
【0127】
その場合に新しい処理液の伝導率を検出することは、新しく供給された処理液内に溶けたイオンの合計濃度を表す。
【0128】
したがって伝導率を検出することは、供給された新しい処理液内に含まれる、溶けたイオン物質の実際値を提供することであり、それは、処理液による処理の過程における、堆積の形成又は変色に関して重要であり得る。このように検出された、供給された新しい処理液の伝導率の実際値に基づいて、その後、目標値の設定を行うことができる。例えば検出された伝導率の実際値が高いか、又は大きい場合には、プロセス化学薬品の1つの目標値又は複数の目標値が高められ、又は処理液5内に含まれる1つ又は複数の化学物質のための目標値が低くされる。検出された伝導率の実際値が低く、又は小さい場合には、逆のことを行うことができる。又はそれに続いて、その後、少なくとも1つのプロセス化学薬品の配量を高め又は低くすることができる。
【0129】
図1によって明らかなように、他の方法ガイドにおいて、少なくとも1つのCa
2+及び/又はMg
2+測定センサ32、45を用いて、少なくとも1つの測定部33において処理液の水硬度の実際値を検出することができ、検出された水硬度の実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部35において、少なくとも1つの配量装置34、43を用いて、スケール防止剤を、スケール防止剤の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して、配量することができる。スケール防止剤を用いて、それ自体知られているように、硬度形成するCa
2+とMg
2+をマスキングし、又は堆積の形成を阻止することができる。その場合に特に、Ca
2+及び/又はMg
2+濃度を検出するためのセンサは、イオン選択的な電極とすることができる。
【0130】
図1に基づく実施例を用いて示すように、特にCa
2+及び/又はMg
2+測定センサ32、45を用いて、新しい処理液のための供給導管37内に配置されている少なくとも1つの測定部33において、処理液の水硬度の実際値を検出することができる。それに続いて、同様に
図1から明らかなように、新しい処理液用のこの供給導管37内に配置されている少なくとも1つの配量部35において、少なくとも1つの配量装置34、43を用いてスケール防止剤を配量することができる。
【0131】
その場合にスケール防止剤は、少なくとも1つの錯化合物を形成するホスホン酸塩及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、特にホスホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸及び/又は、ポリリン酸塩、水溶性のポリアクリレートからなるグループから選択された、少なくとも1つのオリゴマー又はポリマー物質及びマレイン酸とアクリル酸からなるコポリマーを有することができる。
図1によって明らかなように、図示される実施例において、処理液に、腐食抑制剤によっても、スケール防止剤によっても有効な、プロセス化学薬品として複数の錯形成試薬を、配量装置34、43を用いて配量することができる。
【0132】
図1に示す実施例を用いて明らかにするように、本方法において安全上の観点において、配量されたプロセス化学薬品、特に配量された殺菌剤の濃度のあらかじめ定められた目標値を越えたことが検出された場合に、処理ゾーン3と作用接続されている吸い出し装置46を用いて処理ゾーン3からガス雰囲気を吸い出すことができる。
【0133】
同様に
図1に示すように、プロセス化学薬品の配量を自動的に制御するために、それ自体知られているように、制御装置47を設けることができる。この種の制御装置47は、見てわかるように、少なくとも1つの濃度測定センサ32及び少なくとも1つの配量装置34と信号接続することができ、又は複数の、又はすべての存在する濃度測定センサ32及び配量装置34と、そしてまた殺菌装置1の他の構成要素とも、信号接続することができる
【0134】
最後に指摘しておくが、実施例は、可能な実施変形例を示しており、その場合にここに記録しておくが、本発明は具体的に示された実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であり、これらの変形可能性はこの発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この技術分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。
【0135】
保護領域は、請求項によって定められる。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用されるべきである。図示され、かつ説明された様々な実施例からなる個別特徴及び特徴の組合せは、それ自体自立した進歩的解決を表すことができる。自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0136】
具体的な説明内の値領域についてのすべての記載は、その任意の部分領域とすべての部分領域を共に含むものであって、例えば記載1から10は、下限の1と上限の10から始まるすべての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、例えば1から1.7、または3.2から8.1、又は5.5から10のすべての部分領域、を一緒に含んでいるものとする。
【0137】
最後に形式的に指摘しておくが、構造を理解しやすくするために、部材は部分的に縮尺どおりではなく、拡大及び/又は縮小して示されている。
なお、本発明の構成として以下に示すものがある。
[構成1]
閉鎖された容器(2)内に満たされた食品を低温殺菌するための殺菌装置(1)を駆動操作する方法であって、
食品で満たされて閉鎖された容器(2)を、移送手段(7)を用いて移送方向(9)に複数の処理ゾーン(3)を通して移送するステップと、
前記処理ゾーン(3)内で、前記容器(2)の外側(6)へ温度調節された水性の処理液(5)を供給することにより、前記食品を処理するステップであって、各処理ゾーン(3)へ供給導管(15)を介して所定の温度を有する処理液(5)は、次のように、すなわち閉鎖された前記容器(2)内の前記食品が、移送方向(9)において少なくとも1つの加熱ゾーン(10、11)内で予熱され、移送方向(9)において次に少なくとも1つの殺菌ゾーン(12)内で殺菌温度に加熱され、移送方向(9)において次に少なくとも1つの冷却ゾーン(13、14)内で冷却されるように供給され、
前記処理液(5)は、容器(2)へ供給された後に、前記処理ゾーン(3)内で集められ、集められた処理液(5)は、再利用のために、循環回路(23)の循環導管(24)を介して少なくとも1つの処理ゾーン(5)へ再び供給され、
前記処理液(5)に、少なくとも1つのプロセス化学薬品が添加される、ステップと、
を有する方法において、
添加された少なくとも1つのプロセス化学薬品の、及び/又は添加された少なくとも1つの内部標準物質の、濃度の少なくとも1つの実際値は、少なくとも1つの測定部(33)において少なくとも1つの濃度測定センサ(32)によって検出され、かつ少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品の濃度は、少なくとも1つの測定部(33)において少なくとも1つの濃度測定センサ(32)によって検出された実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部(35)において少なくとも1つの配量装置(34)を用いて少なくとも1つの添加されるプロセス化学薬品を配量することによって、少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加される内部標準物質の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して、調節される、ことを特徴とする殺菌装置を駆動操作する方法。
[構成2]
少なくとも1つのプロセス化学薬品は、前記循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置された少なくとも1つの配量部(35)において少なくとも1つの配量装置(34)を用いて配量される、ことを特徴とする構成1に記載の方法。
[構成3]
少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の少なくとも1つの実際値が、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において少なくとも1つの濃度測定センサ(32)を用いて検出される、ことを特徴とする構成1又は2に記載の方法。
[構成4]
処理液内の少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度の第1の実際値と第2の実際値は、少なくとも2つの互いに離隔した測定部(33)において、第1の濃度測定センサ(32)を用いて、及び第2の濃度測定センサ(32)を用いて検出され、かつ少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度が、第1の濃度測定センサ(32)を用いて検出された実際値に基づいて、及び/又は第2の濃度測定センサ(32)を用いて検出された実際値に基づいて、少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品、及び/又は少なくとも1つの添加された内部標準物質の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節される、ことを特徴とする構成1~3の何れか一項に記載の方法。
[構成5]
前記第1の実際値は、処理液の流れ方向に関して配量装置(34)の上流に隣接して配置された第1の濃度測定センサ(32)を用いて検出され、かつ前記第2の実際値は、処理液の流れ方向に関して第1の濃度測定センサ(32)から少なくとも5メートル上流に離隔して配置された第2の濃度測定センサ(32)によって検出される、ことを特徴とする構成4に記載の方法。
[構成6]
少なくとも1つの添加されたプロセス化学薬品は、殺菌剤、pHレギュレータ、スケール防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤からなるグループから選択され、及び/又はこのグループから選択されたプロセス化学薬品の混合物が配量される、ことを特徴とする構成1~5の何れか一項に記載の方法。
[構成7]
殺菌剤によって形成される少なくとも1つのプロセス化学薬品は、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて、処理液に配量される、ことを特徴とする構成1~6の何れか一項に記載の方法。
[構成8]
殺菌剤は、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて前記処理液の体積流に配量され、前記処理液の体積流は、流体動力学的に冷却ゾーン(14)へ通じる循環導管(24)内を流れる、ことを特徴とする構成7に記載の方法。
[構成9]
殺菌剤濃度の実際値は、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つの殺菌剤濃度測定センサ(32、39)を用いて検出され、処理液(5)は前記測定部(33)において20℃から55℃の温度で流れる、ことを特徴とする構成7又は8に記載の方法。
[構成10]
殺菌剤は、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて処理液(5)に配量され、処理液(5)は配量部(35)において20℃から55℃の温度で流れる、ことを特徴とする構成7~9の何れか一項に記載の方法。
[構成11]
二酸化塩素が、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて、殺菌剤として処理液に配量される、ことを特徴とする構成7~10の何れか一項に記載の方法。
[構成12]
前記処理液のpH値の少なくとも1つの実際値は、少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つのpH測定センサ(32、41)を用いて検出され、かつ前記処理液の前記pH値は、検出されたpH値の実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、42)を用いて、有機又は無機の酸を含む少なくとも1つのpHレギュレータを配量することにより、処理液(5)のpH値のための少なくとも1つのあらかじめ定めることのできる目標値に関して調節される、ことを特徴とする構成1~11の何れか一項に記載の方法。
[構成13]
少なくとも1つのpHレギュレータは、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、グルコヘプタン酸からなるグループから選択された少なくとも1つの酸又はこのグループから選択された酸の混合物を有している、ことを特徴とする構成12に記載の方法。
[構成14]
前記処理液の前記pH値は、少なくとも1つのpHレギュレータの配量によって、3.5から7.0に設定される、ことを特徴とする構成12又は13に記載の方法。
[構成15]
前記処理液(5)のpH値の少なくとも1つの実際値は、少なくとも1つの測定部(33)において検出され、前記処理液(5)は前記測定部(33)において40℃から90℃の温度で流れる、ことを特徴とする構成12に記載の方法。
[構成16]
腐食抑制剤によって形成されるプロセス化学薬品は、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いて処理液(5)に配量される、ことを特徴とする構成1~15の何れか一項に記載の方法。
[構成17]
少なくとも1つの腐食抑制剤は、少なくとも1つの錯化合物を形成するホスホン酸塩及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、特にホスホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸及び/又は二価の亜鉛塩及び/又はリン酸エステルを有している、ことを特徴とする構成16に記載の方法。
[構成18]
少なくとも1つの腐食抑制剤は、循環回路(23)又は処理ゾーン(3)内に配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いて配量され、処理液(5)は前記配量部(35)において55℃から95℃の温度で流れる、ことを特徴とする構成16又は17に記載の方法。
[構成19]
供給される新しい処理液の伝導率の実際値は、新しい処理液のための供給導管(37)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において検出され、少なくとも部分的又は主として、供給された新しい処理液の伝導率の検出された実際値に基づいて、少なくとも1つのプロセス化学薬品の濃度のための目標値は設定され、及び/又はプロセス化学薬品の配量は調整される、ことを特徴とする構成1~18の何れか一項に記載の方法。
[構成20]
処理液の水硬度の実際値は、少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つのCa2+及び/又はMg2+測定センサ(32、45)を用いて検出され、かつ検出された水硬度の実際値に基づいて、少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いてスケール防止剤が、スケール防止剤の濃度のためのあらかじめ定めることのできる目標値に関して配量される、ことを特徴とする構成1~19の何れか一項に記載の方法。
[構成21]
前記処理液の水硬度の実際値は、新しい処理液用の供給導管(37)内に配置されている少なくとも1つの測定部(33)において、少なくとも1つのCa2+及び/又はMg2+測定センサ(32、45)を用いて検出され、
スケール防止剤は、新しい処理液のためのこの供給導管(37)内に配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、43)を用いて配量される、ことを特徴とする構成20に記載の方法。
[構成22]
前記スケール防止剤は、少なくとも1つの錯化合物を形成するホスホン酸塩、及び/又は少なくとも1つの錯化合物を形成する有機酸、特にホスホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸、及び/又は、ポリリン酸塩、水溶性のポリアクリレート、及びマレイン酸とアクリル酸からなるコポリマーからなるグループから選択された少なくとも1つのオリゴマー又はポリマー物質を有している、ことを特徴とする構成20又は21に記載の方法。
[構成23]
配量されたプロセス化学薬品、特に配量された殺菌剤の濃度のあらかじめ定められた目標値の超過が検出された場合に、ガス雰囲気が前記処理ゾーン(3)と作用接続された吸い出し装置(46)を用いて処理ゾーン(3)から吸い出される、ことを特徴とする構成1~22の何れか一項に記載の方法。
[構成24]
少なくとも1つの液体取り出し手段(26)を用いて、循環回路(23)内で循環している処理液(5)から、又は処理ゾーン(3)内の処理液(5)から、処理液(5)の少なくとも1つの部分流を形成するために、連続的に処理液の部分量が取り出され、少なくとも1つの部分流は、少なくとも1つのバイパス(28)の供給導管(27)を介して、少なくとも1つのバイパス(28)内に配置されているメンブレン濾過装置(29)へ供給されて、濾過され、次に、再び循環回路(23)内へ、又は処理ゾーン(3)内へ戻される、ことを特徴とする構成1~23の何れか一項に記載の方法。
[構成25]
殺菌剤は、プロセス化学薬品として、少なくとも1つのバイパス(28)内で流体動力学的にメンブレン濾過装置(29)に続いて配置されている少なくとも1つの配量部(35)において、少なくとも1つの配量装置(34、38)を用いて処理液(5)に配量される、ことを特徴とする構成24に記載の方法。
【符号の説明】
【0138】
1 殺菌装置
2 容器
3 処理ゾーン
4 散水手段
5 処理液
6 外側
7 移送手段
8 コンベアベルト
9 移送方向
10 加熱ゾーン
11 加熱ゾーン
12 殺菌ゾーン
13 冷却ゾーン
14 冷却ゾーン
15 供給導管
16 温度調節手段
17 弁
18 温水タンク
19 冷水タンク
20 加熱手段
21 冷却手段
22 収集要素
23 循環回路
24 循環導管
25 移送手段
26 取り出し手段
27 供給導管
28 バイパス
29 メンブレン濾過装置
30 排出導管
31 流量調整弁
32 濃度測定センサ
33 測定部
34 配量装置
35 配量部
36 蛍光測定センサ
37 供給導管
38 配量装置
39 殺菌剤濃度測定センサ
40 準備装置
41 pH測定センサ
42 配量装置
43 配量装置
44 伝導率センサ
45 Ca2+及び/又はMg2+測定センサ
46 吸い出し装置
47 制御装置