(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】複合粒子および複合粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 25/00 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
C01G25/00
(21)【出願番号】P 2022007182
(22)【出願日】2022-01-20
(62)【分割の表示】P 2019560957の分割
【原出願日】2018-12-06
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2017242608
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226954
【氏名又は名称】日清エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 周
(72)【発明者】
【氏名】上村 直仁
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭太郎
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/059359(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/080528(WO,A1)
【文献】特開2019-026502(JP,A)
【文献】特開昭63-223161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/076
C01G 25/00
B82Y 30/00
B82Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZrNと、Tiとが単一粒子内で複合化され、
前記Tiの含有量
は5.9質量%であることを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
ZrNと、AlおよびTiとが単一粒子内で複合化され、
前記Alの含有量
は2.9質量%であり、前記Tiの含有量
は2.3質量%であることを特徴とする複合粒子。
【請求項3】
ZrNと、Tiとが単一粒子内で複合化された複合粒子の製造方法であって、
窒化ジルコニウムの粉末と、Tiの粉末とを原料粉末として、熱プラズマ法を用いて、ZrNと、Tiとが単一粒子内で複合化され、前記Tiの含有量
が5.9質量%である複合粒子を製造することを特徴とする複合粒子の製造方法。
【請求項4】
ZrNと、AlおよびTiとが単一粒子内で複合化された複合粒子の製造方法であって、
窒化ジルコニウムの粉末と、AlおよびTiの粉末とを原料粉末として、熱プラズマ法を用いて、ZrNと、AlおよびTiとが単一粒子内で複合化され、前記Alの含有量
が2.9質量%であり、前記Tiの含有量
が2.3質量%である複合粒子を製造することを特徴とする複合粒子の製造方法。
【請求項5】
前記熱プラズマ法は、前記原料粉末が分散されたキャリアガスを熱プラズマ炎中に供給する工程と、前記熱プラズマ炎の終端部に、冷却用ガスを供給して、複合粒子を生成する工程とを有する請求項3または4に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項6】
前記熱プラズマ炎は、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち少なくとも一方に由来するものである請求項5に記載の複合粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ジルコニウムの複合粒子および複合粒子の製造方法に関し、特に、光学特性に特徴がある窒化ジルコニウムの複合粒子および複合粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種の微粒子が種々の用途に用いられている。例えば、金属微粒子、酸化物微粒子、窒化物微粒子、炭化物微粒子等の微粒子は、各種電気絶縁部品等の電気絶縁材料、切削工具、機械工作材料、センサ等の機能性材料、焼結材料、燃料電池の電極材料、および触媒に用いられている。
特許文献1には、カラーフィルターのブラックマトリックス等の黒色成分として好適な、高い遮光性を有する黒色複合微粒子が記載されている。黒色複合微粒子は、チタン窒化物粒子と金属微粒子からなる黒色複合微粒子であり、組成式:TiNxOy・zX(組成式中、Tiはチタン原子、Nは窒素原子、Oは酸素原子、Xは金属原子を表す。xは、0より大きく2未満の数、yは0以上2未満の数、zは0より大きく10未満の数を表す)で表される。
【0003】
非特許文献1には、電子ビーム加熱による反応性ガス蒸発法による遷移金属窒化物の超微粒子の成長が記載されており、2~10nmのZrN微粒子が記載されている。特許文献2には、X線回折プロファイルにおいて、低次酸化ジルコニウムのピークと窒化ジルコニウムのピークを有し、比表面積が10~60m2/gである微粒子低次酸化ジルコニウム・窒化ジルコニウム複合体が記載されている。
非特許文献2には、窒素ガス流通下(150~200ml/min)、500℃~1100℃の温度範囲でMg還元によってZrO2から合成されたZrN粉末が記載されている。また、非特許文献2には、ZrN粉末はX線回折試験によりZrN単相であることが確かめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-227282号公報
【文献】特許第4931011号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Saburo lWAMA, Kcrtjt HAYAKAWA and Tetsuya ARIZUMI, GROWTH OF ULTRAFINE PARTICLES OF TRANSITION METAL NITRIDES BY THE REACTIVE GAS EVAPORATION TECHNIQUE WITH ELECTRON BEAM HEATING, Journal of Crystal Growth 66 (1984) 189-194
【文献】池田勉、森利之、野口文雄、飯田武揚、三田村孝、マグネシウム還元によるジルコニアからの窒化ジルコニウム超微粉体の合成、窯業協会誌 93 [9] 1985 505
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように各種の微粒子が種々の用途に用いられており、上述の特許文献1のように、チタン窒化物粒子と金属微粒子からなる黒色複合微粒子が提案されている。また、非特許文献1および非特許文献2に記載されているようにZrN微粒子が知られている。このZrN(窒化ジルコニウム)微粒子の性質として、紫外光領域における透過率が高く、波長400~800nmの可視光領域における透過率が低いことが知られている。しかしながら、工業的には、特許文献2のように窒化ジルコニウム単相が得られていないのが現状である。さらには、微粒子に関し、更なる用途の拡大、および他の機能の付加等が現状では要求されており、現在、窒化ジルコニウム単相が有する光学特性に比して、紫外光領域における高い透過性は維持したまま、可視光領域においてより低い透過率、すなわち、可視光領域においてより高い遮光性が求められている。
【0007】
本発明の目的は、可視光領域において透過率がより低い、すなわち、可視光領域において遮光性がより高い光学特性を有する複合粒子および複合粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、ZrNと、AlおよびTiのうち少なくとも1つとが複合化されたことを特徴とする複合粒子を提供するものである。
ZrNと、Alとが複合化された場合、Alの含有量は0.1~9質量%であることが好ましい。
ZrNと、Tiとが複合化された場合、Tiの含有量は0.1~9質量%であることが好ましい。
ZrNと、AlおよびTiが複合化された場合、AlおよびTiの含有量は、それぞれ0.1~4質量%であることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、ZrNと、AlおよびTiのうち少なくとも1つとが複合化された複合粒子の製造方法であって、窒化ジルコニウムの粉末と、AlおよびTiのうち少なくとも1つの粉末とを原料粉末として、気相法を用いて複合粒子を製造することを特徴とする複合粒子の製造方法を提供するものである。
気相法は、熱プラズマ法、火炎法、アークプラズマ法、マイクロ波加熱法またはパルスワイヤ法であることが好ましい。
熱プラズマ法は、原料粉末が分散されたキャリアガスを熱プラズマ炎中に供給する工程と、熱プラズマ炎の終端部に、冷却用ガスを供給して、複合粒子を生成する工程とを有することが好ましい。
熱プラズマ炎は、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち少なくとも一方に由来するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、可視光領域において透過率がより低い、すなわち、可視光領域において遮光性がより高い光学特性を有する複合粒子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る複合粒子の製造方法に用いられる微粒子製造装置の一例を示す模式図である。
【
図2】窒化ジルコニウムの微粒子、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子、窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子、および窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子の吸光度を示すグラフである。
【
図3】窒化ジルコニウムの微粒子、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子、窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子、および窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子のX線回折法による結晶構造の解析結果を示すグラフである。
【
図4】窒化ジルコニウムの微粒子、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子、窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子、および窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子の吸光度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の複合粒子を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る複合粒子の製造方法に用いられる微粒子製造装置の一例を示す模式図である。
図1に示す微粒子製造装置10(以下、単に製造装置10という)は、窒化ジルコニウムの複合粒子の製造に用いられるものである。
【0013】
複合粒子は、ZrNと、AlおよびTiのうち少なくとも1つとが複合化された粒子のことである。複合化された粒子とは、ZrN、TiN、AlN等の化合物のようにそれぞれの単独粒子の窒化物の粒子が混在して存在するのではなく、ZrNと、AlおよびTiのうち少なくとも1つとが単一粒子内に含まれる窒化物粒子のことである。
複合粒子におけるAlおよびTiの形態は、特に限定されるものではなく、金属単体のみならず、窒化物、酸化物、酸窒化物、不定比酸化物および不定比窒化物等の化合物の形態であってもよい。
複合粒子は、ナノ粒子と呼ばれるものであり、粒子径を1~100nmとすることもできる。粒子径はBET法を用いて測定された平均粒径である。また、複合粒子は、例えば、後述の製造方法で製造され、溶媒内等に分散されている状態ではなく、粒子状態で得られ、複合粒子単独で存在する。このため、溶媒との組合せ等も特に限定されるものではなく、溶媒の選択の自由度は高い。
【0014】
複合粒子では、ZrNと、Alとが複合化された場合、Alの含有量は0.1~9質量%であることが好ましい。Alの含有量が上述の範囲であれば、後述のように可視光領域における透過率が更に低くなり、可視光領域において更に高い遮光性を有する。
また、複合粒子では、ZrNと、Tiとが複合化された場合、Tiの含有量は0.1~9質量%であることが好ましい。Tiの含有量が上述の範囲であれば、後述のように可視光領域における透過率が更に低くなり、可視光領域において更に高い遮光性を有する。
また、複合粒子では、ZrNと、AlおよびTiが複合化された場合、AlおよびTiの含有量は、それぞれ0.1~4質量%であることが好ましい。AlおよびTiの含有量が上述の範囲であれば、後述のように可視光領域における透過率が更に低くなり、可視光領域において更に高い遮光性を有する。
なお、上述の各元素の含有量(質量%)は、XRF(蛍光X線分析)で測定して求めることができるが、各元素の含有量(質量%)は、不純物を省いて得られたものである。
具体的には、Alの含有量の場合、XRF(蛍光X線分析)で測定して求めた各元素の含有量(質量%)からZrとAl以外の元素の含有量(質量%)を省いてZrとAlの合計質量%が100となるようにした際のAlの質量%のことである。
【0015】
製造装置10は、熱プラズマを発生させるプラズマトーチ12と、複合粒子の原料粉末をプラズマトーチ12内へ供給する材料供給装置14と、複合粒子の1次微粒子15を生成させるための冷却槽としての機能を有するチャンバ16と、複合粒子の1次微粒子15から任意に規定された粒径以上の粒径を有する粗大粒子を除去するサイクロン19と、サイクロン19により分級された所望の粒径を有する複合粒子の2次微粒子18を回収する回収部20とを有する。
材料供給装置14、チャンバ16、サイクロン19、回収部20については、例えば、特開2007-138287号公報の各種装置を用いることができる。なお、複合粒子の1次微粒子15のことを単に1次微粒子15ともいう。
【0016】
本実施形態において、複合粒子の製造には、例えば、窒化ジルコニウム(ZrN)の粉末と、AlおよびTiのうち少なくとも1つの粉末とを原料粉末として用いる。例えば、上述の原料粉末から、粒子径が1~100nmのナノサイズの窒化ジルコニウム(ZrN)の複合粒子を得る。
原料粉末に用いる窒化ジルコニウム(ZrN)の粉末と、Alの粉末およびTiの粉末とは、いずれも熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、その平均粒径が適宜設定されるが、平均粒径は、例えば、100μm以下であり、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0017】
プラズマトーチ12は、石英管12aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル12bとで構成されている。プラズマトーチ12の上部には複合粒子の原料粉末をプラズマトーチ12内に供給するための後述する供給管14aがその中央部に設けられている。プラズマガス供給口12cが、供給管14aの周辺部(同一円周上)に形成されており、プラズマガス供給口12cはリング状である。
【0018】
プラズマガス供給源22は、プラズマガスをプラズマトーチ12内に供給するものであり、例えば、気体供給部22aを有する。気体供給部22aは配管22bを介してプラズマガス供給口12cに接続されている。気体供給部22aには、図示はしないが供給量を調整するためのバルブ等の供給量調整部が設けられている。プラズマガスは、プラズマガス供給源22からリング状のプラズマガス供給口12cを経て、矢印Pで示す方向と矢印Sで示す方向からプラズマトーチ12内に供給される。
【0019】
プラズマガスには、例えば、アルゴンガスと窒素ガスの混合ガスが用いられる。熱プラズマ炎は、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方に由来するものである。
気体供給部22aにアルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスが貯蔵される。プラズマガス供給源22の気体供給部22aからアルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスが配管22bを介してプラズマガス供給口12cを経て、矢印Pで示す方向と矢印Sで示す方向からプラズマトーチ12内に供給される。なお、矢印Pで示す方向にはアルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスだけを供給してもよい。
高周波発振用コイル12bに高周波電圧が印加されると、プラズマトーチ12内で熱プラズマ炎24が発生する。
【0020】
熱プラズマ炎24の温度は、原料粉末の沸点よりも高い必要がある。一方、熱プラズマ炎24の温度が高いほど、容易に原料粉末が気相状態となるので好ましいが、特に温度は限定されるものではない。例えば、熱プラズマ炎24の温度を6000℃とすることもできるし、理論上は10000℃程度に達するものと考えられる。
また、プラズマトーチ12内における圧力雰囲気は、大気圧以下であることが好ましい。ここで、大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば、0.5~100kPaである。
また、プラズマガスには、例えば、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスを用いたが、これに限定されるものではなく、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスとヘリウムガスとの組合せ、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスと水素ガスとの組合せでもよい。
【0021】
なお、石英管12aの外側は、同心円状に形成された管(図示されていない)で囲まれており、この管と石英管12aとの間に冷却水を循環させて石英管12aを水冷し、プラズマトーチ12内で発生した熱プラズマ炎24により石英管12aが高温になりすぎるのを防止している。
【0022】
材料供給装置14は、供給管14aを介してプラズマトーチ12の上部に接続されている。材料供給装置14は、例えば、粉末の形態で原料粉末をプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に供給するものである。
【0023】
原料粉末の形態で供給する材料供給装置14としては、例えば、特開2007-138287号公報に開示されているものを用いることができる。この場合、材料供給装置14は、例えば、原料粉末を貯蔵する貯蔵槽(図示せず)と、原料粉末を定量搬送するスクリューフィーダ(図示せず)と、スクリューフィーダで搬送された原料粉末が最終的に散布される前に、これを一次粒子の状態に分散させる分散部(図示せず)と、キャリアガス供給源(図示せず)とを有する。
【0024】
キャリアガス供給源から押出し圧力がかけられたキャリアガスとともに原料粉末は供給管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中へ供給される。
材料供給装置14は、原料粉末の凝集を防止し、分散状態を維持したまま、原料粉末をプラズマトーチ12内に散布することができるものであれば、その構成は特に限定されるものではない。キャリアガスには、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが用いられる。キャリアガス流量は、例えば、フロート式流量計等の流量計を用いて制御することができる。また、キャリアガスの流量値とは、流量計の目盛り値のことである。
【0025】
チャンバ16は、プラズマトーチ12の下方に隣接して設けられており、気体供給装置28が接続されている。チャンバ16内で複合粒子の1次微粒子15が生成される。また、チャンバ16は冷却槽として機能するものである。
【0026】
気体供給装置28は、チャンバ16内に冷却ガスと、窒化ガスとを供給するものである。気体供給装置28は、気体供給源28aと配管28bと配管28dとを有する。配管28bは冷却ガスをチャンバ16内に供給するためのものである。配管28bには気体供給源28aからのガス供給量を制御する圧力制御弁28cが設けられている。配管28dは窒化ガスをチャンバ16内に供給するためのものである。配管28dには気体供給源28aからのガス供給量を制御する圧力制御弁28eが設けられている。なお、冷却ガスのことを冷却用ガスともいう。
気体供給装置28は、さらに、チャンバ16内に供給する冷却ガスに押出し圧力をかけるコンプレッサ、またはブロア等の圧力付与手段(図示せず)を有する。気体供給源28aから圧力付与手段により、配管28bを介して冷却ガスが供給され、配管28dを介して窒化ガスが供給される。
例えば、気体供給源28aにアルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスが貯蔵されている。冷却ガスはアルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスであり、窒化ガスは窒素ガスである。
【0027】
気体供給装置28は、熱プラズマ炎24の尾部、すなわち、プラズマガス供給口12cと反対側の熱プラズマ炎24の端、すなわち、熱プラズマ炎24の終端部に向かって、例えば、45°の角度で、矢印Qの方向に、冷却ガスとしてアルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスを供給し、かつチャンバ16の内側壁16aに沿って上方から下方に向かって、すなわち、
図1に示す矢印Rの方向に上述の冷却ガスを供給する。
【0028】
気体供給装置28からチャンバ16内に供給される冷却ガスにより、熱プラズマ炎24で気相状態にされた原料粉末が急冷されて、複合粒子の1次微粒子15が得られる。これ以外にも上述の冷却ガスはサイクロン19における1次微粒子15の分級に寄与する等の付加的作用を有する。
複合粒子の1次微粒子15の生成直後の微粒子同士が衝突し、凝集体を形成することで粒径の不均一が生じると、品質低下の要因となる。しかしながら、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって矢印Qの方向に供給される冷却ガスが1次微粒子15を希釈することで、微粒子同士が衝突して凝集することが防止される。
また、矢印R方向に冷却ガスにより、1次微粒子15の回収の過程において、1次微粒子15のチャンバ16の内側壁16aへの付着が防止され、生成した1次微粒子15の収率が向上する。
【0029】
さらに、窒化ガスとして窒素ガスを
図1に示す矢印Gの方向に供給する。これにより、1次微粒子15に更に窒素が供給され、安定した窒化が可能になる。なお、冷却ガスに窒素ガスを用いており、冷却ガスにより十分に窒化することができ、複合粒子を得ることができれば、窒化ガスは必ずしも必要がない。
冷却ガスと窒化ガスとは同じであってもよく、違っていてもよい。冷却ガスと窒化ガスとが異なる場合、冷却ガスおよび窒化ガス毎に気体供給源28aを設ける。
【0030】
図1に示すように、チャンバ16には、複合粒子の1次微粒子15を所望の粒径で分級するためのサイクロン19が設けられている。このサイクロン19は、チャンバ16から1次微粒子15を供給する入口管19aと、この入口管19aと接続され、サイクロン19の上部に位置する円筒形状の外筒19bと、この外筒19b下部から下側に向かって連続し、かつ、径が漸減する円錐台部19cと、この円錐台部19c下側に接続され、上述の所望の粒径以上の粒径を有する粗大粒子を回収する粗大粒子回収チャンバ19dと、後に詳述する回収部20に接続され、外筒19bに突設される内管19eとを備えている。
【0031】
サイクロン19の入口管19aから、1次微粒子15を含んだ気流が、外筒19b内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が
図1中に矢印Tで示すように外筒19bの内周壁から円錐台部19c方向に向かって流れることで下降する旋回流が形成される。
そして、上述の下降する旋回流が反転し、上昇流になったとき、遠心力と抗力のバランスにより、粗大粒子は、上昇流にのることができず、円錐台部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。また、遠心力よりも抗力の影響をより受けた微粒子は、円錐台部19c内壁での上昇流とともに内管19eから系外に排出される。
【0032】
また、内管19eを通して、後に詳述する回収部20から負圧(吸引力)が生じるようになっている。そして、この負圧(吸引力)によって、上述の旋回する気流から分離した複合粒子が、符号Uで示すように吸引され、内管19eを通して回収部20に送られるようになっている。
【0033】
サイクロン19内の気流の出口である内管19eの延長上には、所望のナノメートルオーダの粒径を有する2次微粒子18(複合粒子)を回収する回収部20が設けられている。回収部20は、回収室20aと、回収室20a内に設けられたフィルター20bと、回収室20a内下方に設けられた管を介して接続された真空ポンプ30とを備える。サイクロン19から送られた微粒子は、真空ポンプ30で吸引されることにより、回収室20a内に引き込まれ、フィルター20bの表面で留まった状態にされて回収される。
なお、上述の製造装置10において、使用するサイクロンの個数は、1つに限定されず、2つ以上でもよい。
【0034】
次に、複合粒子の製造方法の一例を、上述の製造装置10を用いて説明する。
まず、複合粒子の原料粉末として、窒化ジルコニウム(ZrN)の粉末と、AlおよびTiのうち少なくとも1つの粉末とを用意する。原料粉末を材料供給装置14に投入する。
原料粉末は、作製する複合粒子に応じて適宜決定されるものである。原料粉末としては、例えば、ZrNの粉末とAlの粉末との組合せ、ZrNの粉末とTiの粉末との組合せ、ZrNの粉末とAlの粉末とTiの粉末との組合せがある。
原料粉末は、いずれの粉末も、サイズが製造方法等によって、適宜決定されるものであるが、上述のように熱プラズマ炎を用いる場合には、熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、平均粒径は、例えば、100μm以下であり、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0035】
プラズマガスに、例えば、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスを用いて、高周波発振用コイル12bに高周波電圧を印加し、プラズマトーチ12内に熱プラズマ炎24を発生させる。
また、気体供給装置28から熱プラズマ炎24の尾部、すなわち、熱プラズマ炎24の終端部に、矢印Qの方向に、冷却ガスとして、例えば、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスを供給する。このとき、矢印Rの方向にも、冷却ガスとして、アルゴンガスおよび窒素ガスのうち、少なくとも一方のガスを供給する。さらに、窒化ガスとして、窒素ガスを矢印Gの方向に供給する。
【0036】
次に、キャリアガスとして、例えば、アルゴンガスを用いて原料粉末を気体搬送し、供給管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に供給する。供給された原料粉末は、熱プラズマ炎24中で蒸発して気相状態となり、窒素と反応して窒化され、かつ冷却ガス(冷却用ガス)により急冷されることにより、窒化ジルコニウムの複合粒子の1次微粒子15が得られる。さらに、窒化ガスにより1次微粒子15に十分な窒素が供給され、窒化が安定し、窒化ジルコニウムの複合粒子を安定して得ることができる。
なお、上述のように、原料粉末が分散されたキャリアガスを熱プラズマ炎中に供給する工程と、熱プラズマ炎の終端部に、冷却用ガスを供給して、複合粒子を生成する工程とを有する複合粒子を製造する方法のことを熱プラズマ法という。
【0037】
そして、チャンバ16内で得られた複合粒子の1次微粒子15は、サイクロン19の入口管19aから、気流とともに外筒19bの内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が
図1の矢印Tに示すように外筒19bの内周壁に沿って流れることにより、旋回流を形成して下降する。そして、上述の下降する旋回流が反転し、上昇流になったとき、遠心力と抗力のバランスにより、粗大粒子は、上昇流にのることができず、円錐台部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。また、遠心力よりも抗力の影響をより受けた微粒子は、円錐台部19c内壁での上昇流とともに内壁から系外に排出される。
【0038】
排出された、窒化ジルコニウム(ZrN)の2次微粒子18(複合粒子)は、真空ポンプ30による回収部20からの負圧(吸引力)によって、
図1中、符号Uに示す方向に吸引され、内管19eを通して回収部20に送られ、回収部20のフィルター20bで回収される。このときのサイクロン19内の内圧は、大気圧以下であることが好ましい。また、2次微粒子18(複合粒子)の粒径は、目的に応じて、ナノメートルオーダの任意の粒径が規定される。
このように、窒化ジルコニウム(ZrN)の複合粒子は、窒化ジルコニウム(ZrN)の粉末と、AlおよびTiのうち少なくとも1つの粉末とをプラズマ処理するだけで容易かつ確実に得ることができる。
しかも、本実施形態の複合粒子の製造方法により製造される複合粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち、均一な粒径を有し、1μm以上の粗大粒子の混入が殆どない。
【0039】
原料粉末に用いる、ZrNの粉末と、AlおよびTiのうち少なくとも1つの粉末との割合は、最終的に得る複合粒子の組成に応じて適宜決定されるものである。上述の割合については、例えば、予め最終的に得られる組成と、ZrNの粉末と、Tiの粉末およびAlの粉末との割合を求めておく。求めておいた割合を用いて、所定の組成の複合粒子を得ることができる。
【0040】
なお、熱プラズマ炎を用いた、熱プラズマ法により複合粒子の1次微粒子を形成しているが、気相法を用いて複合粒子の1次微粒子を形成することができる。このため、気相法であれば、熱プラズマ炎を用いた、熱プラズマ法に限定されるものではなく、火炎法、アークプラズマ法、マイクロ波加熱法またはパルスワイヤ法により、複合粒子の1次微粒子を形成する製造方法でもよい。
【0041】
ここで、火炎法とは、火炎を熱源として用い,気相または液相の原料粉末を火炎に通すことにより複合粒子を合成する方法である。火炎法では、原料粉末を気相または液相の状態で、火炎に供給し、そして、冷却ガスを火炎に供給し、火炎の温度を低下させて複合粒子の1次微粒子15を得る。
気相の状態の原料粉末とは、例えば、上述のキャリアガスに原料粉末が分散した状態のことをいう。液相の状態の原料粉末とは、原料粉末が溶媒に分散した状態のことをいう。
なお、冷却ガスは、上述の熱プラズマ炎と同じものを用いることができる。また、原料粉末についても、上述の熱プラズマ炎と同じものを用いることができる。原料粉末としては、例えば、ZrNの粉末とAlの粉末との組合せ、ZrNの粉末とTiの粉末との組合せ、ZrNの粉末とAlの粉末とTiの粉末との組合せを用いることができる。
【0042】
次に、窒化ジルコニウム(ZrN)の複合粒子について説明する。
上述のように、本発明の窒化ジルコニウム(ZrN)の複合粒子は、粒子径が1~100nmであるナノ粒子と呼ばれるものである。粒子径はBET法を用いて測定された平均粒径である。
【0043】
窒化ジルコニウムの複合粒子の光学特性について説明する。
図2は窒化ジルコニウムの微粒子、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子、窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子、および窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子の吸光度を示すグラフである。
図2の横軸は波長であり、縦軸は吸光度である。
図2の測定線で示される吸光度は、後述のi線(波長365nm)での吸光度値で規格化している。
図2の符号56は、波長365nmを示す線である。波長365nmは、i線と呼ばれる紫外域の波長である。
吸光度は、窒化ジルコニウムの微粒子(ZrN微粒子)、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子(ZrN+Al複合粒子)、窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子(ZrN+Ti複合粒子)、および窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子(ZrN+Al+Ti複合粒子)を、それぞれエタノールに超音波で分散させて、紫外可視分光光度計で透過率を測定し、透過率から求めた値である。
【0044】
窒化ジルコニウムの微粒子の吸光度は、
図2に示す測定線50で示され、波長365nmのi線付近の吸光度が小さい。
【0045】
また、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子は、アルミニウムの含有量が6.1質量%であり、吸光度は
図2に示す測定線60で示される。窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子は、チタンの含有量が5.9質量%であり、吸光度は
図2に示す測定線62で示される。窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子は、アルミニウムの含有量が2.9質量%であり、チタンの含有量が2.3質量%であり、吸光度は
図2に示す測定線64で示される。
【0046】
図2に示すように、窒化ジルコニウムの微粒子の吸光度は、波長が400nmよりも短い領域での吸光度が小さく、波長365nmのi線付近(紫外光領域)の光を多く透過させることができる。また、可視光領域における吸光度が大きい。このように、窒化ジルコニウムの微粒子は、紫外光領域における透過率が高く、可視光領域における透過率が低い光学特性を有する。
測定線60で示される窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子、測定線62で示される窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子、および測定線64で示される窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子は、測定線50に示される窒化ジルコニウムの微粒子よりも、可視光領域における吸光度が高く、すなわち、可視光領域における透過率が更に低い光学特性を有し、可視光領域において、更に高い遮光性を有する。
図2に示すようにZrNと、TiおよびAlのうち、少なくとも1つとを複合化することにより、ZrN単体に比して、可視光領域における吸光度を変えることができる。
【0047】
図3は窒化ジルコニウムの微粒子、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子、窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子、および窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子のX線回折法による結晶構造の解析結果を示すグラフであり、縦軸の強度の単位は無次元である。
図3に示すXRDスペクトル50aは
図2に示す測定線50の組成の複合粒子のスペクトルを示し、XRDスペクトル60aは
図2に示す測定線60の組成の複合粒子のスペクトルを示し、XRDスペクトル62aは
図2に示す測定線62の組成の複合粒子のスペクトルを示し、XRDスペクトル64aは
図2に示す測定線64の組成の複合粒子のスペクトルを示す。
図3に示すように、ZrNにAlを複合化させるとZrN単体となることが確認できる。
【0048】
図4は窒化ジルコニウムの微粒子、窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子、窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子、および窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子の吸光度を示すグラフである。
図4の横軸は波長であり、縦軸は吸光度である。
図4の測定線で示される吸光度は、i線(波長365nm)での吸光度値で規格化している。
図4の符号56は波長365nm(i線)を示す線である。
図4に示す測定線100は、チタンの含有量が12質量%の窒化ジルコニウムとチタンとの複合粒子の吸光度を示す。測定線102は、アルミニウムの含有量が7.6質量%、およびチタンの含有量が6.7質量%の窒化ジルコニウムとアルミニウムとチタンとの複合粒子の吸光度を示す。測定線104は、アルミニウムの含有量が19.7質量%の窒化ジルコニウムとアルミニウムとの複合粒子の吸光度を示す。
【0049】
ZrNの微粒子の測定線50に比して、上述のチタンの含有量が12質量%の複合粒子(測定線100)、ならびに上述のアルミニウムの含有量が7.6質量%およびチタンの含有量が6.7質量%の複合粒子(測定線102)、ならびに上述のアルミニウムの含有量が19.7質量%の複合粒子(測定線104)は、可視光領域の吸光度が小さくなり遮光性が低くなる。このように、複合化する元素の種類および元素の含有量により、吸光度、すなわち、遮光性を変えることができる。
図4に示す吸光度は、窒化ジルコニウムの微粒子(ZrN微粒子)、上述のチタンの含有量が12質量%の複合粒子(ZrN+Ti複合粒子)、上述のアルミニウムの含有量が7.6質量%およびチタンの含有量が6.7質量%の複合粒子(ZrN+Al+Ti複合粒子)および上述のアルミニウムの含有量が19.7質量%の複合粒子(ZrN+Al化合物複合粒子)を、それぞれエタノールに超音波で分散させて、紫外可視分光光度計で透過率を測定し、透過率から求めた値である。
【0050】
上述の
図2および
図4に示すように、i線付近(紫外光領域)の吸光度を小さくでき、かつ可視光領域における透過率が更に低くなり、可視光領域において更に高い遮光性が得られることからZrNにAlが複合化された場合、Alの含有量は9質量%以下であることが好ましく、Alの含有量は0.1~9質量%であることが好ましい。
また、i線付近(紫外光領域)の吸光度を小さくでき、かつ可視光領域における透過率が更に低くなり、可視光領域において更に高い遮光性が得られることからZrNにTiが複合化された場合、Tiの含有量は9質量%未満であることが好ましく、Tiの含有量は0.1~9質量%であることが好ましい。
また、i線付近(紫外光領域)の吸光度を小さくでき、かつ可視光領域における透過率が更に低くなり、可視光領域において更に高い遮光性が得られることからZrNにTiおよびAlが複合化された場合、Tiの含有量は4質量%以下であり、Alの含有量は4質量%以下であることが好ましく、AlおよびTiの含有量はそれぞれ0.1~4質量%であることが好ましい。
【0051】
以下、複合粒子の用途について説明する。複合粒子は、可視光領域で遮光が必要な用途、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等のブラックマトリクスで使用することができる。この様な用途では、フォトリソグラフィ技術を利用して基板上にパターンを作成するものがあり、高圧水銀灯の輝線の一つであるi線を利用してパターンが生成されるフォトレジスト樹脂が普及している。複合粒子をフォトレジスト樹脂に分散させたとき、複合粒子がi線を吸収しないため、フォトレジスト樹脂の光化学反応を邪魔せず、良好な可視光域における遮光性能を持ったパターンを基板上に得ることができる。
また、複合粒子は、上述以外に、印刷インク、インクジェットインク、フォトマスク作製材料、印刷用プルーフ作製用材料、エッチングレジスト、ソルダーレジストにも利用することができる。
【0052】
また、上述以外に、複合粒子は、例えば、触媒担体に利用することができ、この場合、粒径を小さくすることができるため、触媒の性能を高めることができる。
また、光電変換素子、および光熱変換素子にも利用することができる。
また、金属、酸化物、プラスチック等と混合し、色調を調整する顔料等にも利用することができる。
その他、半導体基板、プリント基板、各種電気絶縁部品等の電気絶縁材料、切削工具、ダイス、軸受等の高硬度高精度の機械工作材料、粒界コンデンサ、湿度センサ等の機能性材料、精密焼結成形材料等の焼結体の製造、エンジンバルブ等の高温耐摩耗性が要求される材料等の溶射部品製造、さらには燃料電池の電極、電解質材料および各種触媒等に用いることができる。
本実施形態においては、窒化物微粒子の粒径をナノサイズにできるため、例えば、焼結体に利用する場合、焼結性を高めることができ、高い強度の焼結体を得ることができる。これより、例えば、切削性が良好な工具を得ることができる。
【0053】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の複合粒子および複合粒子の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0054】
10 微粒子製造装置(製造装置)
12 プラズマトーチ
14 材料供給装置
15 1次微粒子
16 チャンバ
18 2次微粒子
19 サイクロン
20 回収部
22 プラズマガス供給源
24 熱プラズマ炎
28 気体供給装置
30 真空ポンプ
50、60、62、64 測定線