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特許7367097エレベーター制御装置、エレベーターシステム及びエレベーターの停電時避難運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】エレベーター制御装置、エレベーターシステム及びエレベーターの停電時避難運転方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20231016BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B66B5/02 H
B66B3/00 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022031015
(22)【出願日】2022-03-01
(65)【公開番号】P2023127305
(43)【公開日】2023-09-13
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】有澤 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉川 侑二郎
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-254096(JP,A)
【文献】特開平02-249880(JP,A)
【文献】特開2013-039991(JP,A)
【文献】特開2006-131381(JP,A)
【文献】特開2014-156331(JP,A)
【文献】特開2017-124916(JP,A)
【文献】特開2017-218286(JP,A)
【文献】特開2014-172670(JP,A)
【文献】特開昭63-082294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-5/28;
13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかご内の乗客の有無を検出する乗客検出装置と、停電時に前記エレベーターの電源供給が停止した場合、補助電源を供給して前記エレベーターを最寄階に着床させ乗客を避難させる停電時自動着床装置と、にそれぞれ接続され、停電時に対応した走行制御を実施するエレベーター制御装置であって、
停電時に前記停電時自動着床装置による最寄階着床時に、前記乗客検出装置からの検出信号に基づき、最寄階到着後に乗りかご内から乗客が降りているか否かを判断する判断手段と、
乗りかごから乗客が降車していない場合、当該乗客を避難困難者と認定する避難困難者認定手段と、
避難困難者が認定された場合、停電前に乗場呼び登録があった階に移動し、移動後に戸開する戸開制御手段と、
避難困難者が認定された場合、停電前に乗場呼びが無い場合には、乗りかご内に避難困難者がいることを外部に報知する報知手段と、を備えるエレベーター制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーター制御装置と、
乗場に設置され運転状況を報知する乗場報知部と、乗りかご内に設置され運転状況を報知するかご内報知部と、を備え、
乗りかご内に避難困難者がいると判断し、停電前の乗場呼び登録があった階までエレベーターを移動する場合、前記乗場報知部を介して乗場の待機者に避難困難者がいる旨を報知するとともに、かご内報知部を介して乗りかご内の避難困難者に報知する、エレベーターシステム。
【請求項3】
前記乗場報知部は、乗場の乗客にメッセージを伝える乗場表示装置であり、
避難困難者がいると判断した場合、停電前の乗場呼びの登録があった階までエレベーターを移動する際に、前記乗場表示装置により視覚的に報知する、請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記乗場報知部は、点滅及び点灯可能な戸開ボタンであり、
避難困難者がいると判断した場合、停電前の乗場呼びの登録があった階までエレベーターが到着した後、戸開後戸閉した際、前記戸開ボタンを点滅又は点灯させる、請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
エレベーターの乗りかご内の乗客の有無を検出する乗客検出装置と、停電時に前記エレベーターの電源供給が停止した場合、補助電源を供給して前記エレベーターを最寄階に着床させ乗客を避難させる停電時自動着床装置と、にそれぞれ接続されたエレベーター制御装置で実行される停電時避難運転方法であって、
停電時に前記停電時自動着床装置による最寄階着床時に、前記乗客検出装置からの検出信号に基づき、最寄階到着後に乗りかご内から乗客が降りているか否かを判断し、
乗りかごから乗客が降車していない場合、当該乗客を避難困難者と認定し、
避難困難者が認定された場合、停電前に乗場呼び登録があった階に移動し、移動後に戸開させ、
避難困難者が認定された場合、停電前に乗場呼びが無い場合には、乗りかご内に避難困難者がいることを外部に報知する、エレベーターの停電時避難運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター制御装置、エレベーターシステム及びエレベーターの停電時避難運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
停電時自動着床装置が付属しているエレベーターがある。停電時自動着床装置は、停電が発生すると、バックアップ電源にて一時的にエレベーターを最寄階に着床させ、戸開して乗客を降車させる制御を実施する。
【0003】
しかし、乗りかご内に盲ろう者(視覚障害と聴覚障害の両方を持った方)が乗車していると、停電の状況や一時的に最寄階に着床していることが分からず、乗りかご内に閉じ込められてしまう可能性がある。また、子供等が一人で乗車している場合、状況が判断できず、乗りかごから降りずに戸閉してしまうとパニック状態となり、自力でエレベーターから降車できないことも想定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-197126号公報
【文献】特開2012-86922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来のエレベーターシステムでは、停電発生時に、盲ろう者や子供等が乗りかご内から自力で降車することができず、乗りかご内に取り残されてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、停電発生時において盲ろう者や子供等が自力で降車できない場合、乗場にいる乗客や管理人の協力を求めて、閉じ込めを防止し、乗客を救助することができるエレベーター制御装置、エレベーターシステム及びエレベーターの停電時避難運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための実施形態は、エレベーターの乗りかご内の乗客の有無を検出する乗客検出装置と、停電時に前記エレベーターの電源供給が停止した場合、補助電源を供給して前記エレベーターを最寄階に着床させ乗客を避難させる停電時自動着床装置と、にそれぞれ接続されたエレベーター制御装置で実行される停電時避難運転方法であって、停電時に前記停電時自動着床装置による最寄階着床時に、前記乗客検出装置からの検出信号に基づき、最寄階到着後に乗りかご内から乗客が降りているか否かを判断し、乗りかごから乗客が降車していない場合、当該乗客を避難困難者と認定し、避難困難者が認定された場合、停電前に乗場呼び登録があった階に移動し、移動後に戸開させ、避難困難者が認定された場合、停電前に乗場呼びが無い場合には、乗りかご内に避難困難者がいることを外部に報知する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの全体構成を示すブロック図。
図2】本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの処理手順を示すフローチャート。
図3】本発明の第2実施形態に係るエレベーターシステムの全体構成を示すブロック図。
図4】本発明の第2実施形態に係るエレベーターシステムの処理手順を示すフローチャート。
図5】本発明の第3実施形態に係るエレベーターシステムの全体構成を示すブロック図。
図6】本発明の第3実施形態に係るエレベーターシステムの処理手順を示すフローチャート。
図7】本発明の第4実施形態に係るエレベーターシステムの全体構成を示すブロック図。
図8】本発明の第4実施形態に係るエレベーターシステムの処理手順を示すフローチャート。
図9】本発明の第5実施形態に係るエレベーターシステムの全体構成を示すブロック図。
図10】本発明の第5実施形態に係るエレベーターシステムの処理手順を示すフローチャート。
図11】本発明の第6実施形態に係るエレベーターシステムの全体構成を示すブロック図。
図12】本発明の第6実施形態に係るエレベーターシステムの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
《第1実施形態の構成》
図1は、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステム100の全体構成を示している。
【0010】
同図に示すように、乗りかご1は、主ロープ2を介して巻上機3により駆動され、昇降路4内を昇降する。乗りかご1には、かご操作盤5が設置され、また、乗りかご1内の乗客の有無を判断する荷重検出装置6が設置されている。なお、かご内カメラで乗りかご1内の乗客の有無を判断するようにしても良い。
【0011】
また、乗場階11には乗場ドア12が設置され、乗場ドア12近傍には乗場操作盤13が設置されている。
【0012】
また、エレベーターシステム100は乗りかご1の走行制御を実行するエレベーター制御装置20と、停電発生時に乗りかご1を自動着床させる停電時自動着床装置30とを備え、エレベーター制御装置20と停電時自動着床装置30とは信号線を介して接続されている。
【0013】
かご操作盤5の操作により、エレベーター制御装置20が呼び登録を受け付け、エレベーター制御装置20からの指令で巻上機3が駆動し乗りかご1は昇降路4を昇降しながら目的階へ移動する。乗場階11の乗場操作盤13を操作することにより、乗りかご1を乗場階11に呼ぶことができる。
【0014】
停電時には停電時自動着床装置30により、エレベーター制御装置20と巻上機3、乗りかご1に電力を供給し乗りかご1を最寄階に着床させ、戸開させて乗客を降車させる停電時運転を行う。
【0015】
《第1実施形態の処理手順》
次に、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステム100の処理手順を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0016】
図2に示すように、停電が発生すると、エレベーターに動力電源が供給できずに緊急停止する(ステップS1 YES)。
【0017】
停電時には、エレベーターに動力電源を供給する停電時自動着床装置30が起動し、乗りかご1が最寄階に着床後、乗場ドア12が戸開する(ステップS2)。
【0018】
乗りかご1が最寄階に着床後、十数秒間ドアが戸開し、乗客を避難させる。その後、乗場ドア12が戸閉して荷重検出装置6で乗りかご1内の乗客の有無を確認する(ステップS3)。
【0019】
乗りかご1に乗客がいることを荷重検出装置6が検出した場合(ステップS3 NO)、エレベーター制御装置20は避難困難者がいると判断する(ステップS4)。
【0020】
避難困難者がいると判断した場合、エレベーター制御装置20は停電前の他階における乗場呼び登録の有無を確認する(ステップS5)。
【0021】
停電前に他階乗場で呼び登録があった場合(ステップS5 YES)、現在停止している位置から乗場呼び登録のあった最も近い階に乗りかご1を移動させる(ステップS6)。
【0022】
乗場呼び登録のあった最も近い階に乗りかご1を移動後、エレベータードアを戸開させ、乗場の待機者が乗客を降車させる(ステップS7)。
【0023】
停電前に他階乗場で呼びが無かった場合(ステップS5 NO)、又は最も近い乗場呼び登録があった階に着床しても乗客が降車しなかったと判断した場合(ステップS7 NO)、エレベーター制御装置20は、乗りかご1内に避難困難者がいることをビル管理センター等の外部に通知する(ステップS8)。
【0024】
このように第1実施形態によれば、地震発生時に一人では乗りかご1内から自力で避難できない盲ろう者や子供等に対し、乗場にいる待機者や外部に援助を要請することで乗りかご1内に閉じ込められる状況を防ぐことができる。また、暗い乗りかご1内から自力避難しようとして転倒・負傷することを防止することができる。
【0025】
<第2実施形態>
《第2実施形態の構成》
図3は、本発明の第2実施形態に係るエレベーターシステム200の全体構成を示している。第2実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、乗場階11に乗場報知装置14と、乗りかご1内にかご報知装置7が設置される。
【0026】
《第2実施形態の処理手順》
次に、本発明の第2実施形態に係るエレベーターシステム200の処理手順を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0027】
図4に示すように、停電が発生すると、エレベーターに動力電源が供給できずに緊急停止する(ステップS11 YES)。
【0028】
停電時には、エレベーターに動力電源を供給する停電時自動着床装置30が起動し、乗りかご1が最寄階に着床後、乗場ドア12が戸開する(ステップS12)。
【0029】
乗りかご1が最寄階に着床後、十数秒間ドアが戸開し、乗客を避難させる。その後、ドアが閉じ、荷重検出装置6で乗りかご1内の乗客の有無を確認する(ステップS13)。
【0030】
乗りかご1に乗客がいることを荷重検出装置6が検出した場合(ステップS13 NO)、エレベーター制御装置20は避難困難者がいると判断する(ステップS14)。
【0031】
避難困難者がいると判断した場合、エレベーター制御装置20は停電前の他階における乗場呼び登録の有無を確認する(ステップS15)。
【0032】
停電前に他階乗場で呼び登録があった場合(ステップS15 YES)、現在停止している位置から乗場呼び登録のあった最も近い階に乗りかご1を移動させる(ステップS16)。
【0033】
エレベーターの移動中に、エレベーター制御装置20は、乗りかご1の運行状況を乗場報知装置14とかご報知装置7にそれぞれ報知する(ステップS17)。
【0034】
そして、乗場呼び登録のあった最も近い階に乗りかご1が移動すると、エレベータードアを戸開させ、乗場報知装置14により報知を聞いた乗場待機者が乗客を救出する(ステップS18)。
【0035】
一方、停電前に他階乗場で呼びが無かった場合(ステップS15 NO)、又は最も近い乗場呼び登録があった階に着床しても乗客が降車しなかったと判断した場合(ステップS19 NO)、エレベーター制御装置20は外部避難困難者がいることをビル管理センター等の外部に通知する(ステップS20)。
【0036】
このように第2実施形態によればでは、乗場報知装置14により乗りかご1内に避難困難者がいることを報知することで、乗場待機者に対して、乗場階11を去らずに避難困難者の救助をするよう求めることができる。
【0037】
また、乗りかご1内の避難困難者に対して待機者のいる階へ向かうことを、かご報知装置7から報知し、エレベーターの運転状況を理解してもらうことで避難困難者の不安を解消することができる。
【0038】
<第3実施形態>
《第3実施形態の構成》
図5は、本発明の第3実施形態に係るエレベーターシステム300の全体構成を示している。第2実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、乗場階11に乗場表示灯15が設置される。
【0039】
《第3実施形態の処理手順》
次に、本発明の第3実施形態に係るエレベーターシステム300の処理手順を図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0040】
図6に示すように、停電が発生すると、エレベーターに動力電源が供給できずに緊急停止する(ステップS21 YES)。
【0041】
停電時には、エレベーターに動力電源を供給する停電時自動着床装置30が起動し、乗りかご1が最寄階に着床後、乗場ドア12が戸開する(ステップS22)。
【0042】
乗りかご1が最寄階に着床後、十数秒間ドアが戸開し、乗客を避難させる。その後、乗場ドア12が閉じ、荷重検出装置6で乗りかご1内の乗客の有無を確認する(ステップS23)。
【0043】
乗りかご1に乗客がいることを荷重検出装置6が検出した場合(ステップS23 NO)、エレベーター制御装置20は避難困難者がいると判断する(ステップS24)。
【0044】
避難困難者がいると判断した場合、エレベーター制御装置20は停電前の他階における乗場呼び登録の有無を確認する(ステップS25)。
【0045】
停電前に他階乗場で呼び登録があった場合(ステップS25 YES)、現在停止している位置から乗場呼び登録のあった最も近い階に乗りかご1を移動させる(ステップS26)。
【0046】
エレベーターの移動中に、エレベーター制御装置20は、他階の乗場表示灯15によりエレベーター内に避難困難者がいることを報知する(ステップS27)。
【0047】
そして、乗場呼び登録のあった最も近い階に乗りかご1が移動すると、エレベータードアを戸開させ、報知を聞いた乗場待機者が乗客を救出する(ステップS28)。
【0048】
一方、停電前に他階乗場で呼びが無かった場合(ステップS25 NO)、又は最も近い乗場呼び登録があった階に着床しても乗客が降車しなかったと判断した場合(ステップS29 NO)、エレベーター制御装置20は外部避難困難者がいることをビル管理センター等の外部に通知する(ステップS30)。
【0049】
このように第3実施形態によれば、乗場表示灯15で乗場の乗客にメッセージを伝えることで、騒音でアナウンス等が聞こえないような状況でも、乗場待機者に乗場階11を去らずに避難困難者の救助を求めることができる。
【0050】
<第4実施形態>
《第4実施形態の構成》
図7は、本発明の第4実施形態に係るエレベーターシステム400の全体構成を示している。第4実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、乗場階11に戸開ボタン16が設置され、乗りかご1内に避難困難者が閉じ込められている場合に、戸開ボタン16が点滅するように構成されている。
【0051】
《第4実施形態の処理手順》
図8は第4実施形態のエレベーターシステム400の動作を示すフローチャートである。
【0052】
図8に示すように、停電が発生すると、エレベーターに動力電源が供給できずに緊急停止する(ステップS31 YES)。
【0053】
停電時には、エレベーターに動力電源を供給する停電時自動着床装置30が起動し、乗りかご1が最寄階に着床後、乗場ドア12が戸開する(ステップS32)。
【0054】
乗りかご1が最寄階に着床後、十数秒間ドアが戸開し、乗客を避難させる。その後、ドアが閉じ、荷重検出装置6で乗りかご1内の乗客の有無を確認する(ステップS33)。
【0055】
乗りかご1に乗客がいることを荷重検出装置6が検出した場合(ステップS33 NO)、エレベーター制御装置20は避難困難者がいると判断する(ステップS34)。
【0056】
避難困難者がいると判断した場合、エレベーター制御装置20は停電前の他階における乗場呼び登録の有無を確認する(ステップS35)。
【0057】
停電前に他階乗場で呼び登録があった場合(ステップS35 YES)、現在停止している位置から乗場呼び登録のあった最も近い階に乗りかご1を移動させる(ステップS36)。
【0058】
エレベーターの到着後に他階乗場の戸開ボタン16が点滅する。これにより、戸閉してしまった場合にも乗場待機者に乗場側から戸開できることを知らせる(ステップS37)。これにより、乗場待機者が戸開ボタン16を押して戸開させ、乗客を救出する(ステップS38)。
【0059】
一方、停電前に他階乗場で呼びが無かった場合(ステップS35 NO)、又は最も近い乗場呼び登録があった階に着床しても乗客が降車しなかったと判断した場合(ステップS39 NO)、エレベーター制御装置20は外部避難困難者がいることをビル管理センター等の外部に通知する(ステップS40)。
【0060】
このように第4実施形態によれば、戸開ボタン16を点滅又は点灯させることで、エレベーター内に乗客が閉じ込められている場合でも、乗場の待機者に戸開ボタン16を押して避難困難者を救助することを視覚的に伝えることができる。
【0061】
なお、点滅又は点灯させるボタンは、戸開ボタン16に限られず、乗場操作盤13に設置される上方向呼びボタンや下方向呼びボタンであっても良い。
【0062】
<第5実施形態>
《第5実施形態の構成》
図9は、本発明の第5実施形態に係るエレベーターシステム500の全体構成を示している。
【0063】
第5実施形態の乗りかご1は、かご操作盤5、かご内の乗客の有無を判断するための荷重検出装置6に加えて、かご内の照明装置であるかご内電灯8を備える。そして、停電時には乗りかご1を最寄階51に着床させた際、乗りかご1に乗客がいる場合は一定時間、最寄階ドア52の戸開を継続し、かご内電灯8の点灯を継続させるようにする。
【0064】
《第5実施形態の処理手順》
次に、本発明の第5実施形態に係るエレベーターシステム500の処理手順を図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0065】
図10に示すように、停電が発生すると、エレベーターに動力電源が供給できずに緊急停止する(ステップS41 YES)。
【0066】
停電時には、エレベーターに動力電源を供給する停電時自動着床装置30が起動し、乗りかご1が最寄階に着床後、乗場ドア12が戸開する(ステップS42)。
【0067】
エレベータードアが戸開してから、荷重検出装置6でかご内の乗客の有無を確認する(ステップS43)。
【0068】
乗りかご1に乗客がいる場合は一定時間戸開を継続し、かご内電灯8を点灯させたままとする(ステップS44)。
【0069】
乗りかご1内に乗客が残っていない場合(ステップS43 NO)、エレベータードアを戸閉してかご内電灯8を消灯する(ステップS45)。
【0070】
このように第5実施形態によれば、最寄階51に到着後、避難困難者に対して、最寄階の乗場ドア52を継続して戸開させ、かご内電灯8を点灯させたままにすることにより、避難困難者が乗りかご1内に閉じ込められるのを未然に防止することができる。
【0071】
<第6実施形態>
《第6実施形態の構成》
図11は、本発明の第6実施形態に係るエレベーターシステム600の全体構成を示している。
【0072】
第6実施形態では、かご操作盤5に非常呼びボタン9が設置され、乗りかご1内避難困難者がいる場合には、エレベーター制御装置20の制御により非常呼びボタン9を動作させ、救助要請をするよう構成されている。
【0073】
《第6実施形態の処理手順》
次に、本発明の第6実施形態に係るエレベーターシステム600の処理手順を図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0074】
図12に示すように、停電が発生すると、エレベーターに動力電源が供給できずに緊急停止する(ステップS51 YES)。
【0075】
停電時には、エレベーターに動力電源を供給する停電時自動着床装置30が起動し、乗りかご1が最寄階51に着床後、最寄階ドア52が戸開する(ステップS52)。
【0076】
乗りかご1が最寄階51に着床後、十数秒間ドアが戸開し、乗客を避難させる。その後、ドアが閉じ、荷重検出装置6で乗りかご1内の乗客の有無を確認する(ステップS53)。
【0077】
乗りかご1に乗客がいることを荷重検出装置6が検出した場合、エレベーター制御装置20は乗りかご1内に避難困難者がいると判断する(ステップS54)。そして、乗りかご1内の非常呼びボタン9を動作させ、ビル管理センター等の外部に救助を要請する(ステップS55)。
【0078】
このように第6実施形態によれば、最寄階到着後で避難困難者に対して、自動的に乗りかご1内の非常呼びボタン9が動作することで、避難困難者が乗りかご1内で身動きできなくても外部の方に救助を要請することができる。
【0079】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1…乗りかご、2…主ロープ、3…巻上機、4…昇降路、5…かご操作盤、6…荷重検出装置(乗客検出装置)、7…かご報知装置、8…かご内電灯(かご内照明)、9…非常呼びボタン、11…乗場階、12…乗場ドア、13…乗場操作盤、14…乗場報知装置、15…乗場表示灯、16…戸開ボタン、20…エレベーター制御装置、30…停電時自動着床装置、51…最寄階、52…最寄階ドア、100,200,300,400,500,600…エレベーターシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12