(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】モジュール式眼内レンズ設計および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
A61F2/16
(21)【出願番号】P 2022072844
(22)【出願日】2022-04-27
(62)【分割の表示】P 2020172272の分割
【原出願日】2014-05-12
【審査請求日】2022-05-18
(32)【優先日】2013-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514185747
【氏名又は名称】クラービスタ メディカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CLARVISTA MEDICAL,INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】308032460
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】カフーク、マリック ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】マンダバ、ナレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】サスマン、グレン
(72)【発明者】
【氏名】マクレーン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】アトキンソン、ロバート イー.
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】特表平04-505715(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01138282(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内への挿入用のデバイスであって、基部を備え、
前記基部が、
第1開口部を有する
不連続の前方リムと、
第2開口部を有する
不連続の後方リムと、
前記前方リムの後方
面、前記後方リムの前方
面、および前記基部の径方向内側に面する壁により画定される凹陥溝と、
前記前方リムの前記第1開口部から前記後方リムの前記第2開口部に延びる通路と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記基部の前記第1開口部が、約6.0mmの径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記基部の前記第2開口部が、約5.5mmの径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
一対のハプティクスをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記凹陥溝が、1つまたは複数のキー付き部分を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記1つまたは複数のキー付き部分が、一対のキー付き部分である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記一対のキー付き部分が、径方向で対向している、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記1つまたは複数のキー付き部分が、前記前方リムの後方表面と前記後方リムの前方表面との間を延びている、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
眼内挿入用のデバイスであって、基部を備え、
前記基部が、
本体と、
1つまたは複数のハプティクスと、
内周部を有する中心穴と、
前記内周部にわたって延びる環状凹部と、
不連続の前方リムと、
不連続の後方リムと、
前後方向に延びる通路と、を備え、
前記環状凹部が、前記通路を囲んでいるとともに、前記環状凹部が、前方に面する後方壁、径方向内側に面する側方壁、および後方に面する前方壁によって画定されて
おり、
前記不連続の前方リムの内径が、前記不連続の後方リムの内径よりも大きい、デバイス。
【請求項10】
前記前方リムが、約6.0mmの内径を有する、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記後方リムが、約5.5mmの内径を有する、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記基部が、約8.0mmの径を有する、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数のハプティクスが、前記基部から径方向外側に延びている、請求項
9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して眼内レンズ(IOL)の実施形態に関する。より詳細には、本開示は、モジュール式IOL設計および方法の実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの眼は、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過し、水晶体を通って網膜上に像を結ぶことによって視覚を提供するように機能する。結ばれる像の質は、眼のサイズおよび形状ならびに角膜および水晶体の透明度を含む多くの要素によって決まる。
【0003】
年齢または疾患により水晶体の透明度が低下する(たとえば、濁る)と、網膜まで透過することができる光が減少するため、視力が低下する。眼の水晶体におけるこの不具合は、白内障として医学的に知られている。この状態に対する許容される治療は、水晶体嚢からの水晶体の外科的除去、および水晶体嚢内の人工眼内レンズの配置である。米国では、白内障の水晶体の大部分は、水晶体乳化吸引術と呼ばれる外科技法によって除去される。この処置の間、水晶体嚢の前側に開口部(嚢切開部)が形成され、細い水晶体乳化吸引切開チップが罹患した水晶体内に挿入され、超音波によって振動する。振動する切開チップは、水晶体嚢から水晶体を吸引することができるように、水晶体を液化または乳化する。罹患した水晶体は、除去されると、IOLに置換される。
【0004】
IOLを埋入する白内障手術の後、視覚的結果は準最適である可能性があり、または経時的に調整が必要である可能性がある。たとえば、処置の直後、屈折矯正が間違っており、それにより、「予想外の屈折(refractive surprise)」と呼ばれるものに至ると判断される可能性がある。またたとえば、処置後しばらくして、患者が、より強い屈折矯正、乱視矯正または多焦点矯正等、異なる矯正を必要とするかまたは望むと判断される場合がある。
【0005】
これらの場合の各々において、外科医は、水晶体嚢からの準最適なIOLの除去および新たなIOLとの交換を試みたがらない可能性がある。一般に、IOLを除去する水晶体嚢の操作は、後 嚢破裂を含む水晶体嚢に対する損傷を与えるリスクがある。このリスクは、水晶体嚢がIOLの外周部でつぶれ、組織内方成長がIOLのハプティクスを包囲するに従い、経時的に増大する。したがって、IOLを除去するかまたは水晶体嚢を操作することを必要とせずに視覚的結果を矯正するかまたは修正することができることが望ましい。
【0006】
上述した欠点に対処するために、種々の二次レンズが提案されてきた。たとえば、1つのあり得る解決法は、毛様溝に係合するハプティクスを有する、水晶体嚢の前方に存在する二次レンズを含む。この設計には、水晶体嚢の操作を回避するという利点があり得るが、その主な不都合は、毛様溝に係合することである。毛様溝は、ハプティクスまたは他の材料によって係合されると創傷を受け易い軟質の血管新生組織から構成されている。こうした創傷により、出血、炎症および前房出血等の合併症がもたらされる可能性がある。したがって、一般に、合併症の可能性を回避するために、毛様溝に二次レンズを配置しないようにすることが望ましい可能性がある。
【0007】
別のあり得る解決法は、毛様溝に関連するあり得る問題を回避するレンズシステムを含むことができる。このレンズシステムは、一次レンズおよび二次レンズを含むことができ、一次レンズに二次レンズを、ともに水晶体嚢内で取り付けることができる。一次レンズは、二次レンズの縁を取り付けるために挿入することができる凹部を有することができる。凹部は、好ましくは、光透過を妨げないように、水晶体嚢の開口部(嚢切開部)の半径方向外側に位置する。二次レンズをインサイチュで取り付けるために、一次レンズの凹部にアクセスするように、嚢切開部の外周部の周囲で水晶体嚢を操作しなければならない。上述したように、水晶体嚢の操作は、関連するリスクを考慮すると望ましくない可能性がある。したがって、こうしたレンズシステムは、一次レンズおよび二次レンズをともに水晶体嚢内に埋入することにより、毛様溝への創傷に対する可能性を回避することができるが、これらのシステムは、二次レンズを取り付けるための水晶体嚢の操作を回避することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、水晶体嚢の操作を必要とせずに基礎レンズまたは一次レンズに取り付けることができるレンズを使用して、視覚的結果の矯正または修正を可能にするIOLシステムおよび方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態は、眼内視力矯正デバイスを結合時に形成する眼内一次構成要素および二次構成要素を含むモジュール式IOLシステムを提供する。一次構成要素は、眼内基部を備えることができ、二次構成要素は、眼内レンズを備えることができ、基部は眼内レンズを解除可能に受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、基部はレンズとして構成することができ、その場合、モジュール式IOLシステムは、一次レンズおよび二次レンズを含むものとして述べることができる。一次構成要素(たとえば、基部または一次レンズ)は、従来の白内障手術技法を用いて水晶体嚢内に配置することができる。一次構成要素は、嚢切開部の直径より大きい直径を有することにより、水晶体嚢内に一次構成要素を保持することができる。二次構成要素(たとえば、二次レンズ)は、嚢切開部の直径未満の直径を有することができ、それにより、水晶体嚢を操作することなく、一次構成要素に二次構成要素を取り付けることができる。二次構成要素はまた、一次構成要素を除去する必要なく、かつ水晶体嚢を操作する必要なく、術中または術後、視覚的結果を矯正または修正するように、二次構成要素を操作することも可能である。たとえば、視覚的結果を矯正し、修正しかつ/または微調整するために、二次構成要素を除去し、再配置し、かつ/または交換することができる。
【0010】
二次構成要素を交換する一般的な兆候は、残余屈折異常(たとえば、単焦点レンズの場合)、術後治癒による偏位誤差(たとえば、多焦点レンズの場合)、手術によって引き起こされる乱視誤差(たとえば、トーリックレンズの場合)、進行性疾患による視力矯正の必要の変化、生活様式の変化、創傷、年齢等による視力矯正の要求の変化であり得る。
【0011】
一次構成要素は、水晶体嚢におけるセンタリング(centration)のために、そこから延在するハプティクス(たとえば、突起)を有することができ、二次構成要素は、ハプティクスを排除することができ、代りに、安定性は一次構成要素への取付に依存する。二次構成要素は、嚢切開部の外周部の半径方向内側に存在することができ、それにより、二次構成要素を操作するかまたは交換するために水晶体嚢を乱す必要がなくなる。一次構成要素と二次構成要素との間の取付部は、嚢切開部の外周部の半径方向内側に、かつ視野の半径方向外側に存在して、光透過との干渉を回避することができる。別法としてまたはさらに、取付部は、光透過における干渉の可能性を最小限にするために、二次構成要素の外周部のわずかな部分(たとえば、20%未満)を含むことができる。
【0012】
一次構成要素は、流体進入、組織内方成長および/または光学的干渉を防止するように二次構成要素の後面と密に接触する前面を有することができる。たとえば、機械的取付および/または化学誘引により、一次構成要素に二次構成要素を取外し可能に固定することができる。一次構成要素および二次構成要素の各々に対応する嵌合構造または噛合構造により、機械的取付を容易にすることができる。こうした構造は、たとえば、成形あるいは切削によって事前に形成するか、またはたとえばレーザエッチングによってインサイチュで形成することができる。たとえば、表面処理によって活性化される平滑な表面仕上げを施した同様の材料を使用することにより、化学誘引を容易にすることができる。場合によっては、化学誘引を低減させ、安定性のために機械的取付により依存することが望ましい場合もある。この場合、一次構成要素および二次構成要素は、異なる材料から形成することができ、あるいは化学誘引を有していない隣接面を有することができる。
【0013】
本開示の実施形態によるモジュール式IOLシステムおよび方法は、固定単焦点、多焦点、トーリック、調節可能およびそれらの組合せを含む種々のIOLタイプに適用することができる。さらに、本開示の実施形態によるモジュール式IOLシステムおよび方法を用いて、たとえば、白内障、近視、遠視および乱視眼における大きい視覚的誤差、水晶体偏位、無水晶体、偽水晶体および核硬化症を治療することができる。
【0014】
本開示の実施形態の他の様々な態様は、以下の詳細な説明および図面において記載されている。
図面は、本開示の実施形態例を示す。図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、同じ番号が付されている同様の要素を含む場合があり、必ずしも限定ではなく例として、寸法(ミリメートル)および角度(度)を含む場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2A】本開示の実施形態による水晶体嚢内に配置されたモジュール式IOLの正面図。
【
図2B】本開示の実施形態による水晶体嚢内に配置されたモジュール式IOLの側断面図。
【
図3A】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す正面図。
【
図3B】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す正面図。
【
図3C】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す正面図。
【
図3D】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す正面図。
【
図4A】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す側断面図。
【
図4B】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す側断面図。
【
図4C】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す側断面図。
【
図4D】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを埋入する方法を概略的に示す側断面図。
【
図5】本開示の実施形態による、一次レンズと二次レンズとの間の接続のために表面下取付機構が設けられているモジュール式IOLの正面図。
【
図6A】表面下取付機構の2つの実施形態を示す、
図5の線6-6に沿って取り出された断面図。
【
図6B】表面下取付機構の2つの実施形態を示す、
図5の線6-6に沿って取り出された断面図。
【
図7】本開示の実施形態による、一次レンズおよび二次レンズを接続するために拡張取付機構が設けられているモジュール式IOLの正面図。
【
図8A】拡張取付機構の3つの実施形態を示す、
図7の線8-8に沿って取り出された断面図。
【
図8B】拡張取付機構の3つの実施形態を示す、
図7の線8-8に沿って取り出された断面図。
【
図8C】拡張取付機構の3つの実施形態を示す、
図7の線8-8に沿って取り出された断面図。
【
図9A】一次レンズに対して二次レンズの位置を調整する取付機構の様々な位置を示す正面図。
【
図9B】一次レンズに対して二次レンズの位置を調整する取付機構の様々な位置を示す正面図。
【
図9C】一次レンズに対して二次レンズの位置を調整する取付機構の様々な位置を示す正面図。
【
図9D】一次レンズに対して二次レンズの位置を調整する取付機構の様々な位置を示す正面図。
【
図10】本開示の実施形態による、一次レンズと二次レンズとの間の接続のためにエッチングされた表面下取付機構が設けられているモジュール式IOLの正面図。
【
図11A】エッチングされた表面下取付機構の様々な実施形態を示す、
図10に示すモジュール式IOLの断面図。
【
図11B】エッチングされた表面下取付機構の様々な実施形態を示す、
図10に示すモジュール式IOLの断面図。
【
図11C】エッチングされた表面下取付機構の様々な実施形態を示す、
図10に示すモジュール式IOLの断面図。
【
図11D】エッチングされた表面下取付機構の様々な実施形態を示す、
図10に示すモジュール式IOLの断面図。
【
図11E】エッチングされた表面下取付機構の様々な実施形態を示す、
図10に示すモジュール式IOLの断面図。
【
図11F】エッチングされた表面下取付機構の様々な実施形態を示す、
図10に示すモジュール式IOLの断面図。
【
図12A】本開示の実施形態による、代替的なモジュール式IOLの正面の概略図。
【
図12B】本開示の実施形態による、代替的なモジュール式IOLの断面の概略図。
【
図12C】本開示の実施形態による、代替的なモジュール式IOLの詳細図。
【
図13A】レーザエッチングによって形成された溝(矢印参照)の倍率4倍での代表的な顕微鏡写真を示す図。
【
図13B】レーザエッチングによって形成された溝(矢印参照)の倍率40倍での代表的な顕微鏡写真を示す図。
【
図14】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図14A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図14の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図14B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図14の線B-Bに沿って取り出された断面図。
【
図14C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図14Bの円Cの詳細図。
【
図15】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図15A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図15の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図15B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図15の線B-Bに沿って取り出された断面図。
【
図15C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図15Bの円Cの詳細図。
【
図15D】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図15Bの円Cの代替的な詳細図。
【
図16】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図16A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図16の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図16B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図16の線B-Bに沿って取り出された断面図。
【
図16C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図16Bの円Cの詳細図。
【
図16D】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図16Bの円Dの詳細図。
【
図17】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図17A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図17の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図17B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図17Aの円Bの詳細図。
【
図17C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、組み立てられた構成要素の等角図。
【
図18】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図18A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図18の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図18B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図18Aの円Bの詳細図。
【
図18C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、組み立てられた構成要素の等角図。
【
図19】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図19A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図19の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図19B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図19Aの円Bの詳細図。
【
図19C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、構成要素の分解等角図。
【
図19D】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、構成要素の組立等角図。
【
図20】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図20A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図20の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図20B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図20Aの円Bの詳細図。
【
図20C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、構成要素の分解等角図。
【
図20D】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、構成要素の組立等角図。
【
図20E】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、レンズの側面図。
【
図20F】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、レンズの後面の背面図。
【
図20G】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図20Eの円Gの詳細図。
【
図20H】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、基部の前面の正面図。
【
図20I】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図20Hの円Iの詳細図。
【
図21】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図21A】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図21の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図21B】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図21の線B-Bに沿って取り出された断面図。
【
図21C】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図21Aの円Cの詳細図。
【
図21D】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図であって、
図21Bの円Dの詳細図。
【
図21E】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図22】本開示の実施形態による代替的なモジュール式IOLの様々な図。
【
図23A】本開示の実施形態によるモジュール式IOL用のレンズ除去システムの概略図であって、レンズ除去システムの側面図。
【
図23B】本開示の実施形態によるモジュール式IOL用のレンズ除去システムの概略図であって、レンズ除去システムの上面図。
【
図23C】本開示の実施形態によるモジュール式IOL用のレンズ除去システムの概略図であって、レンズ除去システムの上面図。
【
図23D】本開示の実施形態によるモジュール式IOL用のレンズ除去システムの概略図であって、レンズ除去システムの上面図。
【
図24】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用する方法であって、術中に検出される準最適な視覚的結果が二次レンズの交換の動機となる方法の概略フローチャート。
【
図25】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用する方法であって、術後に検出される準最適な視覚的結果が二次レンズの交換の動機となる方法の概略フローチャート。
【
図26】本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用する方法であって、インサイチュで取付手段を形成することによって二次レンズが一次レンズに取り付けられる方法の概略フローチャート。
【
図27】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図。
【
図27A】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図27の線A-Aに沿って取り出された断面図。
【
図27B】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図27の線B-Bに沿って取り出された断面図。
【
図27C】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図27Aの円Cの詳細図。
【
図27D】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図27Bの円Dの詳細図。
【
図28A】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、基部の正面図。
【
図28B】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図28Aの線B-Bに沿って取り出された断面図。
【
図28C】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図28Aの線C-Cに沿って取り出された断面図。
【
図28D】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、基部の斜面図。
【
図28E】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、レンズの正面図。
【
図28F】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図28Eの線F-Fに沿って取り出された断面図。
【
図28G】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、レンズの斜視図。
【
図29A】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、基部の正面図。
【
図29B】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図29Aの線B-Bに沿って取り出された断面図。
【
図29C】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、基部の斜視図。
【
図29D】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、レンズの正面図。
【
図29E】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図29Dの線E-Eに沿って取り出された断面図。
【
図29F】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、レンズの斜視図。
【
図30】本開示によるモジュール式IOLのさらなる実施形態の様々な図であって、
図30のAは基部の正面図であり、
図30のBはレンズの斜視図。
【
図31A】本開示の実施形態による、モジュール式IOL用の代替的なレンズ除去システムの概略図。
【
図31B】本開示の実施形態による、モジュール式IOL用の代替的なレンズ除去システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、ヒトの眼10が断面で示されている。眼10は、いくつかの目的で光に反応する器官として述べられてきた。意識的な感覚器官として、眼は視覚を可能にする。網膜24の桿体細胞および錐体細胞が、色の識別および奥行の感覚を含む意識的な光の知覚および視覚を可能にする。さらに、ヒトの眼の網膜24の非像形成感光性神経節細胞が、瞳孔のサイズの調整、ホルモンメラトニンの調節および抑制ならびに体内時計の同調に影響を与える光信号を受け取る。
【0017】
眼10は、厳密には球体ではなく、むしろ融合した2部分のユニットである。角膜12と呼ばれる、相対的に湾曲した小さい方の正面ユニットは、それより大きい強膜14と呼ばれるユニットに連結されている。角膜部12は、通常、半径が約8mm(0.3インチ)である。強膜14は、残りの5/6を構成しており、その半径は通常約12mmである。角膜12および強膜14は、角膜縁と呼ばれるリングによって接続されている。角膜12が透明であるため、角膜12の代りに、眼の色である虹彩16とその黒い中心である瞳孔とが見える。眼10の内側を見るためには、光が反射しないので検眼鏡が必要である。黄斑28を含む眼底(瞳孔の反対側の領域)は、特有の蒼白な視神経乳頭(乳頭)を示し、そこでは、眼に入る血管が通過し、視神経線維18が眼球から出る。
【0018】
したがって、眼10は、3つの透明な構造を封止する3つの膜から構成されている。最外層は、角膜12および強膜14から構成されている。中間層は、脈絡膜20、毛様体22および虹彩16から構成されている。最内層は、網膜24である。網膜24は、脈略膜20の血管とともに網膜血管から血液を循環させ、それは検眼鏡内で見ることができる。これらの膜内には、眼房水、硝子体26および可撓性の水晶体30がある。眼房水は、2つの領域に収容される透明な流体であり、その2つの領域は、角膜12と虹彩16と水晶体30の露出領域との間の前房、および虹彩16と水晶体30との間の後房である。水晶体30は、微細な透明線維から構成された毛様小帯32(チン小帯)によって毛様体22に吊り下げられている。硝子体26は、眼房水よりはるかに大きい透明なゼリーである。
【0019】
水晶体30は、角膜12とともに光を網膜24に結ばれるように屈折させるのに役立つ、眼の中の透明な両凸構造である。レンズ30は、その形状を変えることにより、眼の焦点距離を変化させるように機能し、それにより、様々な距離で物体に焦点を合わせることができ、したがって、対象の物体の鮮明な実像が網膜24に形成されるのを可能にする。この水晶体30の調整は、遠近調節として知られ、写真用カメラのそのレンズの移動を介するピント合わせに類似している。
【0020】
水晶体は、3つの主な部分、すなわち水晶体包、水晶体上皮および水晶体線維を有している。水晶体包は、水晶体の最外層を形成し、水晶体線維は、水晶体の内部の大部分を形成している。水晶体包と水晶体線維の最外層との間に位置する水晶体上皮の細胞は、主に水晶体の前側に見られるが、赤道部をわずかに越えて後方に延在している。
【0021】
水晶体包は、水晶体を完全に包囲する滑らかな、透明な基底膜である。水晶体包は、弾性があり、コラーゲンから構成されている。それは、水晶体上皮によって統合され、その主な成分は、IV型コラーゲンおよび硫酸グリコサミノグリカン(GAG)である。水晶体包は、非常に弾性があり、そのため、水晶体包を毛様体22に接続する毛様小帯線維の張力がかかっていないとき、水晶体はより球形の形状となる。水晶体包は、厚さがおよそ2マイクロメートルから28マイクロメートルの間で変化し、それは、赤道部の近くで最も厚く、後極部の近くで最も薄い。水晶体包は、水晶体の後部より前部の曲率が高いことに関与している可能性がある。
【0022】
水晶体30の様々な疾患および障害は、IOLによって治療することができる。必ずしも限定ではなく例として、本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用して、白内障、近視、遠視および乱視における大きい視覚誤差、水晶体偏位、無水晶体、偽水晶体および核硬化症を治療することができる。しかしながら、説明の目的で、本開示のモジュール式IOL実施形態は、白内障に関して説明する。
【0023】
以下の詳細な説明は、一次眼内構成要素および二次眼内構成要素、すなわち、眼内レンズを解除可能に受け入れるように構成された眼内基部を含む、モジュール式IOLシステムの様々な実施形態について記載する。いくつかの実施形態では、基部は、光学補正を可能にするように構成することができ、その場合、モジュール式IOLシステムは、一次レンズおよび二次レンズを含むものとして述べることができる。基部が光学補正のために構成されている実施形態に関して記載する原理および特徴は、基部が光学補正に対して構成されていない実施形態に適用することができ、その逆も可能である。より広く述べると、任意の1つの実施形態に関して説明する特徴は、他の実施形態に適用しかつ組み込むことができる。
【0024】
図2Aおよび
図2Bを参照すると、嚢切開部36が形成された水晶体30の水晶体嚢34に埋入されたモジュール式IOLシステム50/60が示されている。モジュール式IOLシステムは、一次レンズ50および二次レンズ60を含むことができる。一次レンズ50は、本体部52と、水晶体嚢34において一次レンズ50を固定し中心合せするための一対のハプティクス54と、二次レンズ60に取り付ける手段(ここには示さないが後述する)とを含むことができる。二次レンズ60は、光学本体部62を含み、ハプティクスは含まず、一次レンズ50に取り付けるための対応する手段(ここには示さないが後述する)を含むことができる。一次レンズ50の本体部52の前面は、二次レンズ60の本体部62の後面と、間にいかなる介在物質(たとえば、接着剤、眼房水、内方成長等)もなく密に接触することができる。たとえば、本体部52の前面は、本体部62の後面と直接接触することができる。一次レンズ50が水晶体30の水晶体嚢34内にあり続けている間に二次レンズ60の交換を容易にするように、一次レンズ50に二次レンズ60を急性的にかつ長期的に解除可能に取り付けることができる。
【0025】
一次レンズ50の本体部52は、幾分かの屈折矯正を提供することができるが、それは最適な視覚的結果に対して必要を満たすものではない。最適な視覚的結果は、一次レンズ50の光学本体部52によって提供される矯正とともに二次レンズ60の光学本体部62の組合せによって提供することができる。たとえば、二次レンズ60の光学本体部62は、屈折力(単焦点矯正のため)、トーリック機能(乱視矯正のため)および/または回折機能(多焦点矯正のため)を変更する(たとえば、追加するまたは減ずる)ことができる。
【0026】
二次レンズ60は、外径d1を有することができ、嚢切開部36は内径d2を有することができ、一次レンズ50の本体52は外径d3を有することができ、d1<d2≦d3である。この配置により、二次レンズ60と嚢切開部36の外周部との間に間隙が設けられ、それにより、水晶体嚢34のいかなる部分にも接触することなく、あるいは水晶体嚢34のいかなる部分も乱すことなく、二次レンズ60を一次レンズ50に取り付けるかまたはそこから取り外すことができる。限定ではなく例として、嚢切開部がおよそ5mmから6mmの直径であると想定すると、一次レンズの本体(すなわち、ハプティクスを除く)は、およそ5mmから8mmの直径を有することができ、二次レンズは、およそ3mmから5mm未満の直径を有することができ、それにより、二次レンズと嚢切開部の外周部との間に最大およそ1.5mmの半径方向間隙が設けられる。この例に関らず、二次レンズを一次レンズに取り付けるように水晶体包を操作する必要を軽減するために、二次レンズと嚢切開部の外周部との間に間隙を設けるように、あらゆる好適な寸法を選択することができる。
【0027】
図3A~
図3D(正面図)および
図4A~
図4D(側断面図)を参照すると、モジュール式IOLシステム50/60を埋入する方法が概略的に示されている。
図3Aおよび
図4Aに示すように、白内障の水晶体30は、水晶体嚢34内部に不透明なまたは濁った中心部38を含む。白内障手術のための水晶体30へのアクセスは、角膜における1つまたは複数の側方切開によって提供することができる。手動器具またはフェムト秒レーザを用いて、前水晶体嚢34に嚢切開部(円形穴)36を形成することができる。
図3Bおよび
図4Bに示すように、不透明な中心部38は、嚢切開部36を通して水晶体乳化吸引術および/または吸引によって除去される。一次レンズ50は、嚢切開部36を通して水晶体嚢34内に挿入されるチューブを用いて、丸められた形態で送達される。一次レンズ50は、送達チューブから放出されかつ広がることができる。緩やかな操作により、
図3Cおよび
図4Cに示すように、一次レンズのハプティクス54が水晶体嚢34の内側赤道部に係合し、嚢切開部36に対してレンズ本体52を中心合せする。二次レンズ60は、チューブを用いて丸められた形態で送達され、その先端チップを一次レンズ50に隣接して配置する。二次レンズ60は、送達チューブから放出されかつ広がることができる。緩やかな操作により、二次レンズ60は嚢切開部36に対して中心合せされる。水晶体嚢34または一次レンズ50を操作することなく、
図3Dおよび
図4Dに示すように、二次レンズ60は一次レンズ50に取り付けられる。必要な場合は、適宜ステップを逆にして、二次レンズ60を同様に取り外しかつ/または交換することができる。別法として、一次レンズ50および二次レンズ60をユニットとして埋入することができ、それにより一送達ステップがなくなる。
【0028】
二次レンズ60のいずれの側が一次レンズ50に面するべきであるかを確認することが困難である可能性があるため、二次レンズは、適切な位置を示すマーキングを含むことができる。たとえば、二次レンズ60の前面の外周部に沿って、右回り方向の矢印を配置することができ、それは、正しい側を上にして配置された場合は右回り方向の矢印として現れ、間違った側を上にして配置された場合は左回り方向の矢印として現れる。別法として、二次レンズ60の前面の外周部に沿って2層カラーマーキングを配置することができ、それは、正しい側を上にして配置された場合は第1色として現れ、間違った側を下にして配置された場合は第2色として現れる。二次レンズ60に対して位置を示す他のマーキングを採用することができ、一次レンズ50に対して同様のマーキング方式を適用することができる。
【0029】
図5を参照すると、二次レンズ60を一次レンズ50に解除可能に固定するために、表面下取付機構70を用いることができる。取付機構70は、光透過を妨げないように、嚢切開部36の外周部の径方向内側に、かつ視野の径方向外側に配置することができる。別法としてまたはさらに、取付機構70は、光透過を乱す可能性を最小限にするために、二次レンズ50の外周部のわずかな部分(たとえば、10%~20%未満)に限定された半径方向および横方向の広がりを有することができる。2つの反対側に配置された機構70が示されているが、二次レンズ60の周縁に均一にまたは不均一に分散されたあらゆる好適な数の取付機構70を使用することができる。
【0030】
一次レンズ50および二次レンズ60が同時に送達される場合、取付機構70を丸め軸80と位置合せすることが望ましい場合があり、丸め軸80を中心として、送達器具によって挿入されるためにレンズ50および60を丸めることができる。二次レンズ60は、軸80を中心に丸められるときに一次レンズ50に対してシフトする可能性があるため、丸め軸80に沿って取付機構70を設けることにより、取付機構70に対する応力が最小限になる。この目的で、取付機構70を、丸め軸80に対して同軸に位置合せすることができ、軸80から限られた距離(たとえば、二次レンズ60の外周部の10%~20%未満)に広がるように構成することができる。
【0031】
図6Aおよび
図6Bに示すように、嵌合構造または噛合構造を有するように取付機構70を構成することができる。概して、その構造は、解除可能に接続可能なオス部分およびメス部分を含む。メス部分は、オス部分を受け入れ、少なくとも2次元(たとえば、上下および左右)に一次レンズ50と二次レンズ60との間の相対移動を制限するように構成されている。メス部分およびオス部分は、一次レンズ50と二次レンズ60との間の相対移動が3次元(たとえば、上下、左右、前後)に制限されるような噛合構造を有するように構成することができる。直交する力を後方向に加え(押し)前方向に加える(引っ張る)ことにより、取付機構70をそれぞれ係合させかつ係合解除することができる。取付機構70は、たとえば、成形、切削、エッチングまたはそれらの組合せによって事前に形成することができる。
【0032】
図示する例では、各取付機構70は、噛み合う円筒状突起72と円筒状凹部または溝74とを備えている。他の嵌合構造または噛合構造を同様に使用することができる。図示する円筒状構造には、送達のために丸められると、一次レンズ50に対する二次レンズ60のわずかな回転が可能になり、それにより一次レンズに対する応力がさらに低減するという利点がある。
図6Aに示すように、円筒状突起72は、一次レンズ50の本体52の前面から前方に延在することができ、円筒状凹部74は、二次レンズ60の本体62のその半径方向周辺ゾーンに隣接する後面を通って前方に延在することができる。別法として、
図6Bに示すように、円筒状突起72が、二次レンズ60の本体62のその半径方向周辺ゾーンに隣接する後面から後方に延在することができ、円筒状凹部74が、一次レンズ50の本体52の前面を通って後方に延在することができる。
図6Bに示す構成は、一次レンズ50が既存の埋入されたIOLであり、その中に、たとえばレーザによってインサイチュで凹部74をエッチングすることができる場合、特に適している可能性がある。
【0033】
図7を参照すると、一次レンズ50を二次レンズ60に解除可能に接続するために、拡張取付機構90を使用することができる。拡張取付機構90は、図示し記載することを除き、表面下取付機構70と同様とすることができる。拡張取付機構90は、二次レンズ60の外周部から半径方向に延在することができ、各々が嵌合構造または噛合構造を含み、その例を
図8A~
図8Cに示す。
図8Aにおいて、円筒状部分92は、二次レンズ60の外縁から延在し、円筒状凹部94は、一次レンズ50の外縁から延在している。
図8Bには、一次レンズ50の外縁から延在する円筒状部分92と、二次レンズ60の外縁から延在する円筒状凹部94とを有する形が示されている。
図8Aおよび
図8Bに示す両実施形態では、直交する力を後方に加え(押し)前方に加える(引っ張る)ことにより、それぞれ取付機構90を係合させ係合解除することができる。別法として、
図8Cに示す実施形態では、円筒状部分92および円筒状凹部94の各々にいずれのレンズ50/60が取り付けられるかに応じて、回転力を右回り方向または左回り方向に加えることにより、取付機構90を係合させ係合解除することができる。さらに、
図7の実施形態は2つの取付機構90の使用のみを示すが、本開示の原理の範囲内で、あらゆる好適な数の取付機構90を利用することができる。
【0034】
図9A~
図9Dを参照すると、二次レンズ60に関連する取付機構90の部分は、二次レンズ60の中心が一次レンズ50の中心に位置合せされるように配置することができる。別法として、術後治癒が不均衡であることによる一次レンズ50の位置合せ不良を調整するために、たとえば、二次レンズ60に関連する取付機構90の部分を、
図9B~
図9Dに示すようにずらす(オフセットする)ことができる。
図9Bでは、二次レンズ60に関連する取付機構90の部分は、回転方向にずれている。
図9Cでは、二次レンズ60に関連する取付機構90の部分は、上方にずれている。
図9Dでは、二次レンズ60に関連する取付機構90の部分は、横方向にずれている。
図11Cおよび
図11Fに関してより詳細に記載するように、前後のずれも採用することができる。
図9B、
図9C、
図9D、
図11Cおよび
図11Fに示す実施形態の各々は、例として提供されており、一次レンズ50の位置合せ不良に応じて変化する大きさに対して、あらゆる方向(前方、後方、上方、下方、右、左、右回り、左回り)にまたはそれらの組合せでずらすことができる。さらに、取付機構90は例として示されており、本明細書に記載する他の取付手段に同じ原理を適用することができる。
【0035】
図10を参照すると、一次レンズ60に二次レンズ50を解除可能に接続するために、代替的な表面下取付機構100を使用することができる。表面下取付機構100は、図示し記載することを除いて表面下取付機構70と同様であり得る。表面下取付機構100は、二次レンズ60の周縁に隣接する弓形経路に沿って延在する嵌合構造または噛合構造を備えることができる。表面下取付機構100は、突起102と、突起102を受け入れることができる対応する凹部または溝104とを含むことができる。突起102は、二次レンズ60の後面から延在することができ、対応する凹部または溝104は、
図11A(分離されている)および
図11D(取り付けられている)に示すように、一次レンズ50の前面内に延在することができる。別法として、突起102は、一次レンズ50の前面から延在することができ、対応する凹部または溝104は、
図11B(分離されている)および
図11E(取り付けられている)に示すように、二次レンズ60の後面内に延在することができる。いずれの実施形態も、突起102の前後寸法は、一次レンズ50の前面と二次レンズ60の後面との間に密な接触を提供するように、凹部または溝104の同じ寸法に一致することができる。別法として、突起102の前後寸法は、
図11C(分離されている)および
図11F(取り付けられている)に示すように、前後のずれを提供するように、凹部または溝104の同じ寸法を超えることができる。さらに、当業者は、本開示の原理の範囲内であらゆる好適な数の取付機構100を利用することができることを容易に理解するであろう。
【0036】
図12Aを参照すると、二次レンズ60を一次レンズ50に接続するために、代替的な表面下取付機構105を使用することができる。図示しかつ記載することを除き、表面下取付機構105は表面下取付機構100と同様であり得る。
図12Aの線B-Bに沿って取り出された断面図である
図12Bを参照すると、表面下取付機構105は、突起107と、突起107を受け入れることができる一続きの穴109とを含む、嵌合構造または噛合構造を備えることができる。
図12AのボックスCのいくつかの代替的な詳細図を示す
図12Cに示すようなパターンで、穴109を分散させることができる。
図12Cでは、突起107は、黒色円として示す穴109に存在し、一方で、白色円として示される残りの穴109は開放したままである。この配置により、一次レンズ50と二次レンズ60との間の所望の位置合せを達成するために、穴109の対応する対に突起107を配置することができる。たとえば、続けて
図12Cを参照すると、一次レンズ50と二次レンズ60との間で、中心(標準)、右へシフト、左へシフト、上にシフト、下にシフト、右回りに回転または左回りに回転(それぞれC1~C7と付す)位置合せを達成するように、穴109の対応する対の中に突起107を配置することができる。この配置は、
図9A~
図9Dを参照して上述したように様々な範囲の調整を可能にする。さらに、レンズ50および60の外周部に、あらゆる好適な数の取付機構105を均一にまたは不均一に配置することができる。
【0037】
本明細書に記載する様々な表面下取付手段のすべてまたは一部を、成形、切削、フライス加工、エッチング、またはそれらの組合せによって形成することができる。たとえば、特に
図11Aを参照すると、既存の埋入された一次レンズ50をインサイチュでレーザエッチングすることにより、溝104を形成することができ、二次レンズ60を成形し、フライス加工しまたは切削することにより、突起を事前に形成することができる。
【0038】
インサイチュエッチングで使用することができるレーザの例としては、フェムト秒レーザ、チタン/サファイアレーザ、ダイオードレーザ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、および可視領域、赤外領域および紫外領域での他のレーザが挙げられる。こうしたレーザは、所望のエッチング形状およびパターンを達成するために、エネルギー出力、空間制御および時間制御に関して制御することができる。たとえば、外部レーザ源からのレーザビームを、角膜を通して瞳孔を越えて伝送することにより、インサイチュエッチングを達成することができる。別法として、眼球内に挿入された可撓性光ファイバプローブからレーザビームを伝送することにより、インサイチュエッチングを達成することができる。
【0039】
図13Aおよび
図13Bを参照すると、それぞれ倍率4倍および40倍の顕微鏡写真が、レーザエッチングによって一次レンズに溝(矢印を参照)がいかに実験的にエッチングされたかを示す。溝をエッチングするために、以下の範囲内で設定されたフェムト秒レーザを使用することができる。すなわち、1nJから100μJの出力、20fsからピコ秒範囲のパルス持続時間および1kHzから250kHzの周波数である。
【0040】
本明細書に開示するモジュール式IOLシステムの一次構成要素および二次構成要素は、同じ材料、同様の材料または異なる材料で形成することができる。好適な材料としては、たとえば、アクリレート系材料、シリコーン材料、疎水性ポリマーまたは親水性ポリマーを挙げることができ、こうした材料は、形状記憶特性を有することができる。たとえば、モジュール式レンズシステムの光学部分を構成する材料は、シリコーン、PMMA、ヒドロゲル、疎水性アクリル樹脂、親水性アクリル樹脂、または眼内レンズに対して一般に使用される他の透明材料であり得る。モジュール式IOLの非光学構成要素は、ニチノール、ポリエチレンスルホンおよび/またはポリイミドを含むことができる。
【0041】
モジュール式レンズシステムのいくつかの特徴、特に上述したように一次レンズおよび二次レンズに必要な取付機構および取外し機構の性能を補助するように、材料を選択することができる。所定の材料選択によって強化することができるモジュール式レンズの他の特徴としては、製造性、術中および術後の取扱、固定(術中および術後修正時の両方)、達成される微小切開サイズ(≦2.4mm)、および交換可能性(水晶体の外植片に対する最小の外傷)が挙げられる。
【0042】
たとえば、一実施形態では、一次レンズおよび二次レンズは、ガラス転移温度が5℃と30℃との間であり屈折率が約1.41~1.60である疎水性アクリル樹脂材料から作製される。別の実施形態では、モジュール式システムの固定および取外し特性を補助するために、一次レンズおよび二次レンズを、ガラス転移温度および機械的特性が異なる、異なる材料から作製することができる。別の実施形態では、モジュール式レンズシステムの両方または一方は、およそ2.4mm以下の外径の圧縮を可能にする材料から作製される。
【0043】
モジュール式IOLシステムで一般に望ましい材料特性としては、グリスニングの形成が最小限であるかまたはないこと、YAGレーザ照射にさらされたときのピッチングが最小限であること、および標準MEM溶出試験および業界標準による他の生体適合性試験に合格することが挙げられる。材料は、基材の紫外線遮断能力を向上させる様々な発色団を含むことができる。概して、400nmより下の波長は、濃度≦1%での標準発色団によって遮断される。別法としてまたはさらに、材料は、青色光遮断発色団、たとえば、青色光スペクトルの所望の領域を遮断する黄色色素を含むことができる。好適な材料は、概して、標準埋入技法において機械的外傷によって引き起こされる損傷、たとえば、表面摩耗、亀裂または曇りに対して耐性がある。
【0044】
成形、切削、フライス加工、エッチングまたはそれらの組合せ等の従来の技法により、モジュール式IOLの構成要素を形成することができる。
機械的取付に対する別法として、一次構成要素と二次構成要素との間の化学誘引を利用することができる。平滑な表面仕上げがなされた同様の材料を使用することにより、化学誘引を促進することができる。プラズマまたは化学活性化等の表面活性化技法により、化学誘引を促進することができる。場合によっては、材料の間の粘着を回避するために化学誘引を低減させ、安定性のために機械的取付により依存することが望ましい可能性がある。この場合、一次構成要素および二次構成要素は、異なる材料から形成されるか、あるいは、化学誘引を有していない隣接する面を有することができる。
【0045】
図14~
図14Cを参照すると、代替的なモジュール式IOL140が、それぞれ正面図、断面図および詳細図で示されている。
図14Aは、
図14の線A-Aに沿って取り出された断面図を示し、
図14Bは、
図14の線B-Bに沿って取り出された断面図を示し、
図14Cは、
図14Bの円Cの詳細図を示す。モジュール式IOL140は、ハプティクス54を備えた一次レンズ50と二次レンズ60とを含むことができる。一次レンズ50の境界面(前面)および二次レンズ60の境界面(後面)は、
図14Aおよび
図14Bに最もよく示すように、密に接触することができる。密な接触を維持し(すなわち、間隙を回避し)、または一次レンズ50および二次レンズ60の境界面間に一貫した間隙を維持することにより、惹起乱視の可能性を低減させることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、レンズ50および60のそれぞれの表面の間に物質(たとえば、接着剤)を配置することができる。二次レンズ60に円形拡張部を形成することができ、一次レンズ50に対応するサイズおよび形状の円形凹部が形成されてそれらの間に締り嵌めを形成し、したがって、2つの構成要素を固定して接続する。一次レンズ50における凹部の深さは、二次レンズ60の厚さの一部とすることができ、二次レンズ60の円形拡張部は、一次レンズ50の一部の上に延在し、それにより、
図14Cに最もよく示すように、オーバラップ接合部142を形成する。オーバラップ接合部142は、図示するように二次レンズ60の円周に360度、またはその一部に延在することができる。二次レンズ60の円形拡張部は、一次レンズ50の前面の上方に伸びて隆起部を形成する。いくつかの実施形態では、隆起部は、半径方向先細り形態を有することができる。一次レンズ50および二次レンズ60の接続および分離を容易にするために、隆起部を鉗子で半径方向に圧縮することができる。二次レンズ60を一次レンズ50に挿入するために半径方向圧縮を用いることにより、挿入中に水晶体嚢に加えられる前後の力が低減し、それにより、嚢破裂のリスクが低減する。
【0046】
図15~
図15Dを参照すると、代替的なモジュール式IOL150が、それぞれ正面図、断面図および詳細図で示されている。
図15Aは、
図15の線A-Aに沿って取り出された断面図を示し、
図15Bは、
図15の線B-Bに沿って取り出された断面図を示し、
図15Cは、
図15Bの円Cの詳細図を示し、
図15Dは、
図15Bの円Cの代替的な詳細図を示す。モジュール式IOL150は、ハプティクス54を備えた一次レンズ50と二次レンズ60とを含むことができる。一次レンズ50の境界面(前面)および二次レンズ60の境界面(後面)は、
図15Aおよび
図15Bに最もよく示すように、密に接触することができる。一次レンズ50は、壁を画定する凹部を含むことができ、その中に、対応するサイズおよび形状の円形二次レンズ60を配置することができる。一次レンズ50の凹部によって画定される壁は、2つの反対側に配置された間隙152を除き、一次レンズの全周に延在することができる。したがって、間隙152は、
図15Aに示すように二次レンズ60の周縁を露出させ、それにより、たとえば鉗子を用いる二次レンズ60の半径方向圧縮による挿入および除去を容易にする。一次レンズの凹部によって画定される壁の残りの部分は、
図15Bおよび
図15Cに示すように、面一接合部を提供し、そこでは、二次レンズ60の前面は一次レンズ50の前面と同一平面にあり得る。
図15Cに示すように、一次レンズ50の凹部によって画定される壁と二次レンズ60の連結縁とに内側に傾斜を付けて、確実な機械的捕捉およびそれらの間の確実な接続がある接合部154を提供することができる。別法として、
図15Dに示すように、一次レンズ50の凹部によって画定される壁と二次レンズ60の連結縁とが「S」字型であって、確実な機械的捕捉およびそれらの間の確実な接続がある接合部156を提供することができる。代替的な噛合構造を採用することができる。
【0047】
図16~
図16Dを参照すると、代替的なモジュール式IOL160が、それぞれ正面図、断面図および詳細図で示されている。
図16Aは、
図16の線A-Aに沿って取り出された断面図を示し、
図16Bは、
図16の線B-Bに沿った断面図を示し、
図16Cは、
図16Bの円Cの詳細図を示し、
図16Dは、
図16Aの円Dの詳細図を示す。モジュール式IOL160は、
図15~
図15Dに示すモジュール式IOL150と同様に構成することができ、一次レンズ50は、壁を画定する凹部を含み、その中に、対応するサイズおよび形状の円形二次レンズ60を配置することができる。しかしながら、この実施形態では、二次レンズ60の外周部の一部に沿って、(間隙152ではなく)角度付き間隙162が設けられている。二次レンズ60の周縁の円周部分によって画定される壁は、一次レンズ50の凹部によって画定される壁と同じ形状を有し、
図16Cに最もよく示すような面一接合部154を提供することができる。二次レンズ60の周縁の別の(たとえば、残りの)円周部分によって画定される壁は、より内向きに角度が付けられた形状を有し、
図16Dに最もよく示すように角度付き間隙162を提供することができる。したがって、角度付き間隙162は、
図16Dに示すように二次レンズ60の周縁を露出させ、その中に、鉗子を配置して、二次レンズ60の半径方向圧縮による挿入および除去を容易にすることができる。代替的な間隙形状を採用することができる。
【0048】
図17~
図17Cを参照すると、代替的なモジュール式IOL170が、それぞれ正面図、断面図、詳細図および等角図で示されている。
図17Aは、
図17の線A-Aに沿って取り出された断面図を示し、
図17Bは、
図17Aの円Bの詳細図を示し、
図17Cは、組み立てられた構成要素の等角図を示す。モジュール式IOL170は、
図15~
図15Dに示すモジュール式IOL150と同様に構成することができ、一次レンズ50は壁を画定する凹部を含み、その中に、対応するサイズおよび形状の円形二次レンズ60を配置することができる。しかしながら、この実施形態では、一次レンズ50の凹部を画定する壁は、2つの反対側に配置されたタブ172を画定するように削り落とされている部分を含む。タブ172の内側周壁は、
図17Bに示すような面一接合部174を提供し、それにより、二次レンズ60の前面は、一次レンズ50の前面と同一平面である。タブ172に沿った接合部174の境界面を、たとえば、傾斜させ、「S」字型にし、または図示するように「C」字型とすることができる。タブ172から離れた、外周部に沿った別の場所では、壁が削り落とされた領域において、
図17Cに示すように二次レンズ60の周縁が露出し、たとえば鉗子を用いる半径方向圧縮により、二次レンズ60の挿入および除去を容易にすることができる。
【0049】
図18~
図18Cを参照すると、代替的なモジュール式IOL180が、それぞれ正面図、断面図、詳細図および等角図で示されている。
図18Aは、
図18の線A-Aに沿って取り出された断面図を示し、
図18Bは、
図18Aの円Bの詳細図を示し、
図18Cは、組み立てられた構成要素の等角図を示す。モジュール式IOL180は、
図17~
図17Cに示すモジュール式IOL170と同様に構成することができ、一次レンズ50は、部分壁を画定する凹部を含み、その中に、対応するサイズおよび形状の円形二次レンズ60を配置することができ、タブ172の面一接合部174を介して噛み合う。しかしながら、この実施形態では、タブ172の各々に、かつ二次レンズ60の隣接する部分に、把持凹部または穴182が設けられている。一実施形態では、把持凹部または穴182は、一次レンズ50および二次レンズ60の厚さ全体を通して延在していなくてもよい。二次レンズ60の把持穴182は、たとえば鉗子を用いる二次レンズ60の半径方向圧縮による挿入および除去を容易にする。たとえば鉗子を用いる接合部174のそれぞれ接続および分離を容易にするために、タブ部分172および二次レンズ60の隣接する把持穴182を半径方向に合わせて引っ張るかまたは押し離すことができる。
【0050】
把持穴182を介して加えられる半径方向の力を使用して一次レンズ50と二次レンズ60との間の接合部174を接続しかつ分離する(または係止させかつ係止解除する)ことにより、水晶体嚢に加えられる前後の力が低減し、それにより、嚢破裂のリスクが低減する。把持穴182はまた、前後の力を最小限にしながら異なる噛合構造の接続および分離を容易にすることも可能である。たとえば、一次レンズ50の凹部は、二次レンズ60の周縁の対応する雄ねじに係合する雌ねじを含むことができる。この実施形態では、把持穴182内に挿入される鉗子を用いて、一次レンズ50および二次レンズ60をねじ込みかつゆるめるように、一次レンズ50に対する二次レンズ60の回転を容易にすることができる。代替実施形態では、二次レンズ60のキー付き拡張部を一次レンズ50のキー付き開口部内に挿入し、把持穴182内に挿入された鉗子を用いて回転させて、一次レンズ50および二次レンズ60を係止させかつ係止解除する。別の代替実施形態では、二次レンズ60の穴を通して鉗子等を後方に挿入して、ハンドル(図示せず)のような一次レンズ50の前方突起を把持し、その後、一次レンズ50を固定して保持しながら二次レンズ60に後方圧力をかけることができる。把持穴182はまた、たとえばトーリック用途において回転調整の目的で、一次レンズ50に対して二次レンズ60を回転させるために使用することも可能である。
【0051】
図19~
図19Dを参照すると、代替的なモジュール式IOL190が、それぞれ正面図、断面図、詳細図、分解等角図および組立等角図が示されている。
図19Aは、
図19の線A-Aに沿って取り出された断面図を示し、
図19Bは、
図19Aの円Bの詳細図を示し、
図19Cは、構成要素の分解等角図を示し、
図19Dは、構成要素の組立等角図を示す。モジュール式IOL190は、一次構成要素が基部55としての役割を果たすが必ずしも視力矯正を提供せず、一方で二次構成要素がレンズ65としての役割を果たしかつ視力矯正を提供するという点で、上述した実施形態のうちのいくつかとは異なる。基部55は、前後方向に中心開口部57が延在している環またはリングの形状で構成することができる。いくつかの実施形態では、基部55は、完全なリングまたは環を画定しない場合がある。基部55はまたハプティクス59も含むことができ、それは、上述したハプティクス54と機能は同様であるが、幾何学的形状が異なる。概して、ハプティクス54/59は、水晶体嚢において基部55を中心合せするように機能する。こうしたハプティクスはまた、対称的な治癒を補助し基部のセンタリングを維持するように、水晶体嚢拡張リングと同様に、水晶体嚢の内側赤道面に対して外向きの張力を加えるようにも構成することも可能である。ハプティクス59は、1つまたは複数の開口部を含むことができる。
【0052】
基部55が中心開口部57を含むため、レンズ65の後方光学面は基部55と接触しない。レンズ65に円形拡張部を形成することができ、基部55に対応するサイズおよび形状の円形凹部が形成されて、基部55の棚状突起および部分的に重なる接合部192が形成され、それらの間に締り嵌めおよび/または摩擦嵌合があり、したがって、2つの構成要素が確実に接続される。別法として、部分的に重なる接合部192の形状は、間に噛合を形成するように、上述したような傾斜した角度または「S」字形状を形成することができる。接合部または結合部192は、結合部192によってもたらされる光散乱を低減させるように変更された面を含むことができる。たとえば、接合部192の境界面のうちの一方または両方は、結合部192によってもたらされる光散乱を低減させるように部分的にまたは完全に不透明または艶消し(すなわち、粗面)とすることができる。
【0053】
基部55における凹部の深さは、レンズ65の円形拡張部と同じ厚さとすることができ、それにより、レンズ65の前面および基部55の前面は、
図19Bに示すように同一平面である。この配置により、レンズ65の後面は、基部55の前面より後方に延在する。しかしながら、いくつかの実施形態では、レンズ65の前面は、基部55の前面より相対的に高くまたは低く配置することができる。基部55の凹部および対応する棚状突起の寸法は、レンズ65の最後面の少なくとも一部が基部55の最後面と同一平面上であるように、またはレンズ65の最後面の少なくとも一部が基部55の最後面より後方であるように、レンズ65の厚さに対して選択することができる。
【0054】
先の実施形態と同様に、術中にまたは術後にレンズを異なるレンズに交換することができる。これは、たとえば、第1レンズが所望の屈折矯正を提供しない場合に望ましい可能性があり、その場合、第1レンズは、水晶体包を乱すことなく、屈折矯正の異なる第2レンズと交換することができる。レンズ65が、たとえば基部の移動またはミスアライメントのために所望の光学アライメントを有していない場合、基部55に対してずれているように製造される光学部分を備えた異なるレンズと交換することができる。たとえば、第2レンズの光学部分は、
図9A~
図9Dを参照して記載した実施形態と同様に、回転方向、横方向および/または軸方向にずれていても(オフセットされていても)よい。この一般的な概念は、一次構成要素(基部)と比較して二次構成要素(たとえば、レンズ)が限定された位置調整性を有する本明細書における他の実施形態に適用することができる。
【0055】
多数の利点が本実施形態での全般的な構成に関連しており、そのうちのいくつかについて以下に述べる。たとえば、レンズ65の後方光学面が基部55と接触しないため、それらの間に異物が閉じ込められる可能性がなくなる。また、例として、基部55は、材料のない中心開口部57を含むので、上述したような一次レンズ50よりも小さい直径まで基部55を丸めることができ、角膜におけるより小さい切開部を介する送達を容易にする。あるいは、基部55は、より大きい外径を有し、かつ一次レンズ50と同様の直径まで丸めることができる。たとえば、基部レンズ55は、およそ8mmの外径(ハプティクスは除く)を有し、かつ、外径が6mmである一次レンズ50と同じ直径まで丸めることができる。これにより、基部55とレンズ65との間の接合部の少なくとも一部を、通常は直径が5mm~6mmである嚢切開部の周方向外周部から半径方向外側に移動させることができる。基部55とレンズ65との間の接合部の少なくとも一部を嚢切開部の外周部から半径方向外側に移動させることにより、視界にある結合部の量を低減させ、したがって、それによって光散乱または光学収差(たとえば、異常光視症)が生じる可能性を低減させることができる。当然ながら、この例に関らず、レンズ65を基部55に接続するかまたは基部55から分離するように水晶体包を操作する必要を軽減するために、レンズ65と嚢切開部の周縁との間に間隙を提供するために、あらゆる好適な寸法を選択することができる。
【0056】
図20~
図20Dを参照すると、代替的なモジュール式IOL200が、それぞれ正面図、断面図、詳細図、分解等角図および組立等角図で示されている。
図20Aは、
図20の線A-Aに沿って取り出された断面図を示し、
図20Bは、
図20Aの円Bの詳細図を示し、
図20Cは、構成要素の分解等角図を示し、
図20Dは、構成要素の組立等角図を示す。モジュール式IOL200は、関連するハプティクス59を備えた基部55とレンズ65とを含む。基部55は、中心穴57を含み、それにより、レンズ65の後方光学面が基部55に接触しない。レンズ65は、基部55の棚状突起および部分的に重なる接合部202を形成するように基部55に形成された円形凹部に適合するサイズおよび形状である円形拡張部を含む。部分的に重なる接合部202は、2つの構成要素を確実に接続するように「S」字型境界面があるように構成することができる。したがって、基部55とレンズ65との間の接合部202がペグ-穴構成を含むことができることを除き、モジュール式IOL200は、モジュール式IOL190と同様である。この構成では、一対の反対側に配置されたペグ204が、レンズ65の後方外周部から後方に延在し、基部55の接合部202の棚状突起に形成された一続きの穴206から選択された一対の穴206内に適合することができる。
【0057】
図20E~
図20Iは、モジュール式IOL200のさらなる詳細を示す。
図20Eは、レンズ65の側面図を示し、
図20Fは、レンズ65の後面の背面図を示し、
図20Gは、
図20Eの円Gの詳細図であり、
図20Hは、基部55の前面の正面図であり、
図20Iは、
図20Hの円Iの詳細図である。
図20E~
図20Fに示すように、一対の反対側に配置されたペグ204は、レンズ65の後方外周部から後方に延在することができる。
図20H~
図20Iに示すように、接合部202の棚状突起に沿った基部55の内径は、一続きの穴206を含み、その選択された対の中に一対のペグ204を挿入することができる。この構成により、たとえば、トーリック用途における回転調整の目的で、レンズ65を基部55に対して選択的に回転させることができる。
【0058】
図21~
図21Eを参照すると、代替的なモジュール式IOL210が、それぞれ正面図、断面図、詳細図および等角図で示されている。
図21Aおよび
図21Bは、
図21のそれぞれ線A-Aおよび線B-Bに沿って取り出された断面図を示す。
図21Cおよび
図21Dは、それぞれ
図21Aの円Cおよび
図21Bの円Dの詳細図を示す。
図21Eは、モジュール式IOL210の組み立てられた構成要素の等角図を示す。モジュール式IOL210は、
図19~
図19Dに示すモジュール式IOL190および
図17~
図17Cに示すモジュール式IOL170の組合せと同様に構成することができる。モジュール式IOL190と同様に、モジュール式IOL210は、中心開口部と壁を画定する凹部とを備えた環またはリングの形状に構成された基部55を含み、凹部内には、対応するサイズおよび形状の円形レンズ65を配置することができる。モジュール式IOL170と同様に、凹部を画定する壁は、基部55の内周部に沿って延在し、その一部は、2つの反対側に配置されたタブ212を画定するように削り落とされている。タブ212の内側周壁は、
図21Cに示すような面一接合部214を提供し、それにより、レンズ65の前面は基部55の前面と同一平面である。タブ212に沿った接合部214の境界面は、たとえば、傾斜させ、「S」字型にし、または図示するように「C」字型とすることができる。タブ212から離れた、外周部に沿った別の場所では、壁が削り落とされた領域において、レンズ65の周縁が
図21Dに示すように露出して、たとえば鉗子を用いる半径方向圧縮によりレンズ65の挿入および除去を容易にする。
【0059】
図22~
図22Dを参照すると、代替的なモジュール式IOL220が、それぞれ正面図、断面図および詳細図で示されている。
図22Aは、
図22の線A-Aに沿って取り出された断面図であり、
図22Bは、
図22の線B-Bに沿って取り出された断面図を示し、
図22Cは、
図22Aの円Cの詳細図を示し、
図22Dは、
図22Bの円Dの詳細図を示す。モジュール式IOL220は、関連するハプティクス59を備えた基部55とレンズ65とを含む。基部55は、中心穴を含み、それにより、レンズ65の後方光学面が基部55と接触しない。レンズ65の外周部は、基部55の棚状突起および面一接合部222を形成するように、基部55に形成された円形凹部に適合するようなサイズおよび形状である。面一接合部222は、2つの構成要素を確実に接続するように、「S」字型境界面を有するように構成することができる。一対のペグ224が、基部55のその内周部に隣接する部分から、レンズ65の外周部に隣接する一対の弧状スロット226を通って前方に延在している。弧状スロットは、
図22に示すように、レンズ65の円周の一部に沿って延在することができる。この配置により、たとえばトーリック用途における回転調整の目的で、レンズ65を基部55に対して選択的に回転させることができる。
【0060】
図22Cに示すように、ペグ224は、レンズ65の前面の上に出るようなサイズとし構成することができる。ハンドルのようにペグ224を把持するために、レンズ65の弧状スロット226を通して鉗子等を後方に挿入し、その後、ペグ224を固定して保持しながらレンズ65に後方圧力を加えることができる。レンズ65の基部55への接続中にペグ224を保持し、したがって基部55を安定させることにより、水晶体嚢に加えられる前後の力が低減し、それにより、嚢破裂のリスクが低減する。
【0061】
図23A~
図23Dを参照すると、本開示の実施形態によるモジュール式IOL用のレンズ除去システムが概略的に示されている。
図23Aおよび
図23Bは、レンズ除去システムのそれぞれ側面図および上面図である。
図23Cおよび
図23Dは、レンズ60/65を除去するためにレンズ除去システムをいかに使用することができるかを示す上面図である。レンズ除去または摘出器システムは、カニューレ230および一対の鉗子235を含むことができる。カニューレ230は、鉗子235を摺動可能に受け入れるようなサイズの内腔を含むことができる。カニューレ230は、管状シャフト部分232および傾斜した先端開口部234を含むことができる。カニューレ230は、たとえば、従来のIOL挿入デバイスと同様に形成し構成することができる。鉗子235は、一対の非侵襲性把持チップ237と管状シャフト239とを含む。管状シャフト239は、チップ237を圧縮しレンズ60/65を把持するように進められることができる。鉗子235は、たとえば、レンズ60/65に対する損傷を回避するためにチップ237を比較的軟質のポリマー材料から形成するかまたはそれで覆うことができることを除き、従来の眼科用鉗子と同様に形成しかつ構成することができる。概して、本明細書に記載するモジュール式IOL構成要素を操作するために使用されるいかなるデバイスも、その構成要素に対する損傷を回避するように、比較的軟質のポリマー材料から形成するかまたはそれによって覆うことができる。
【0062】
図23Cおよび
図23Dを参照すると、カニューレ230は、その先端部が嚢切開部に隣接するまで角膜切開部を通して挿入することができる。先端チップ237がカニューレ230の先端部を越えて遠位に延在するまで、カニューレ230内にかつカニューレ230を通して鉗子235を挿入することができる。摘出されるべきレンズ60/65は、
図23Cに示すように、鉗子235によって把持することができる。レンズ60/65が鉗子235によって確実に保持された状態で、鉗子235をカニューレ230内に基端側に後退させることができる。鉗子235がカニューレ230内に後退すると、レンズ60/65は傾斜した開口部234に入る。傾斜した開口部234は、
図23Dに示すように、レンズ60/65の縁が丸まって折り畳まれることを促進する。カニューレ230内に鉗子235が完全に後退すると、レンズ60/65がカニューレ230の内腔内に安全に取り込まれ、その後、眼内からカニューレ230を取り除くことができる。また、同様の手法を、関連するステップを逆にして、レンズ60/65を挿入するために使用することができる。
【0063】
図24~
図26は、本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用する方法例を記載している。例として一次レンズおよび二次レンズに関して記載しているが、必ずしも限定されるものではなく、基部およびレンズを備える本明細書に記載するモジュール式IOL実施形態を含む他のモジュール式IOL実施形態に、同じかまたは同様の方法を適用することができる。
【0064】
図24を参照すると、本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用する方法が、概略フローチャートで示されている。この例では、術中に準最適な視覚的結果が検出された場合に、二次レンズを交換することができる。白内障手術等のIOL埋入処置は、従来の手法に従って開始することができる110。そして、角膜アクセス切開部を形成するステップ、前水晶体嚢に嚢切開部を切開するステップ、および水晶体乳化吸引術によって白内障水晶体を除去するステップ等、従来のステップを用いて、モジュール式IOLを受け入れるように本来の水晶体を準備することができる112。そして、水晶体包内に基部レンズ(すなわち、一次レンズ50)が配置される114。そして、水晶体嚢に接触することなく、あるいはそれを乱すことなく、嚢切開部の外周部内で基部レンズの上に二次レンズ(すなわち、二次レンズ60)が配置される。そして、二次レンズを基部レンズに解除可能に接続するように、取付手段が係合する118。別法として、二次レンズを、水晶体包に配置する前に基部レンズに取り付けることができ、それにより、基部レンズおよび二次レンズはユニットとして共に挿入される。基部レンズおよび二次レンズの両方が適所に置かれると、たとえば、術中収差測定によって、視覚的結果を測定することができる120。視覚的結果は、屈折矯正、中心性、トーリック矯正等を考慮することができる。そして、視覚的結果が最適であるかまたは準最適であるかに関する判断122が行われる。視覚的結果が最適であるかあるいは適切である場合、IOL処置は完了する124。しかしながら、視覚的結果が準最適であり、不適切であり、かつ/または患者が他の理由で満足しない場合、取付手段を係合解除することができ126、二次レンズを除去することができる128。そして、図示する同じ後続するステップに従って、基部レンズの上に異なる二次レンズを配置することができる116。異なる二次レンズは、たとえば、屈折誤差を矯正するための異なる屈折力、偏位を矯正するための異なるオフセット、またはトーリック誤差を矯正するための異なるトーリック屈折力(toric power)を有することができる。
【0065】
図25を参照すると、本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用する代替方法が、概略フローチャートで示されている。この例では、準最適視覚的結果が術後に検出された場合に、二次レンズを交換することができる。患者が、たとえば、1週間~4週間またはそれより長い期間、モジュール式IOLに順応することができる130ことを除き、上述したように同じステップ110~118および124を行うことができる。再診時、視覚的結果が測定され120、視覚的結果が最適であるか準最適であるかに関する判断122が行われる。視覚的結果が最適であるかあるいは適切である場合、処置は停止される132。視覚的結果が準最適であり、不適切であり、かつ/または患者が他の理由で満足しない場合、上述したようにステップ126、128、116および118に従って二次レンズを交換するように、修正処置を開始することができる134。
【0066】
この方法により、視覚的結果が十分であるか否かを判断する前に、水晶体包が治癒することができ、これは、治癒プロセスによって一次レンズおよび/または二次レンズの位置が変化するという点で有利であり得る。この方法はまた、長期的に適用することも可能であり、その場合、患者の視覚的必要または要求が、より長い期間(たとえば、>1年)の過程にわたって変化する。この例では、患者は、より強力な屈折矯正、トーリック矯正または多焦点矯正等の異なる矯正を必要とするかまたは望む場合があり、それらの各々は、異なる二次レンズで対処することができる。
【0067】
図26を参照すると、本開示の実施形態によるモジュール式IOLを使用する別の代替方法が、概略フローチャートに示されている。この例では、視覚的に準最適であるかまたは他の理由で患者の必要または要求を満たさない既存のIOLを有する患者138に、二次レンズを埋入することができる。処置が開始した110後、たとえばレーザエッチングを用いて上述したような溝を形成することにより、既存の(基部)IOLにインサイチュで取付機構を形成することができる(ステップ140)。水晶体包に接触しないか、あるいはそれを乱すことがないように、事前に切開された嚢切開部の外周部内において溝の形成を行うことができる。そして、嚢切開部の外周部内において基部レンズの上に二次レンズを配置することができ116、二次レンズを基部レンズに接続するように取付手段を係合させることができ118、上述したように処置を完了することができる124。
【0068】
図27~
図27Dを参照すると、代替的なモジュール式IOL270が、それぞれ正面図、断面図および詳細図で示されている。
図27Aおよび
図27Bは、
図27においてそれぞれ線A-Aおよび線B-Bに沿って取り出された断面図を示す。
図27Cおよび
図27Dは、それぞれ
図27Aの円Cおよび
図27Bの円Dの詳細図を示す。モジュール式IOL270は、
図21~
図21Dに示すモジュール式IOL210と同様に構成することができる。モジュール式IOL210と同様に、モジュール式IOL270は、中心開口部と壁を画定する凹部とを備えた、環またはリングの形状で構成された基部55を含み、凹部内に、対応するサイズおよび形状の円形レンズ65を配置することができる。また、モジュール式IOL210と同様に、凹部を画定する壁は、基部55の内周部に沿って延在し、その一部は、2つの反対側に配置されたタブ272を画定するように削り落とされている。
図27Cに示すように、タブ272の内側周壁は面一接合部274を提供し、それにより、レンズ65の前面は基部55の前面と同一平面になる。タブ272に沿った接合部274の境界面は、たとえば、傾斜させ、「S」字型にし、または図示するように「C」字型にすることができる。タブ272から離れた、外周部に沿った別の場所では、壁が削り落とされた領域において、
図27Dに示すように、レンズ65の周縁が露出されて、たとえば鉗子を用いる半径方向圧縮によるレンズ65の挿入および除去が容易になる。
【0069】
基部55は、材料のない中心開口部を含むため、たとえばおよそ8mmのより大きい光学外径(ハプティクスを除く)を有し、依然として、たとえばおよそ2.4mm未満の角膜切開部を通して適合するのに十分小さい送達輪郭になるように丸めることができる。これにより、基部55とレンズ65との間の結合部の少なくとも一部を、通常、直径が5mm~6mmである嚢切開部の周方向外周部から半径方向外側に移動させるのを可能にすることができる。基部55とレンズ65との間の結合部の少なくとも一部を嚢切開部の外周部から半径方向外側に移動させることにより、視野内にある結合部の量を低減させ、したがって、光散乱または光学収差(たとえば、異常光視症)が生じる可能性を低減させることができる。
【0070】
この利点をさらに例示するために、典型的には、従来のレンズの光学直径を有する標準(単一構成要素)IOLが6mmであると考える。6mm径の光学部品を有するIOLは、丸めて2.2mmの角膜切開部を通して送達することができる。水晶体嚢内に標準IOLを固定するために、嚢切開部は、通常、嚢がつぶれて癒着した後に、水晶体嚢が標準IOLを完全に捕捉することができるようなサイズである。これにより、外科医は、およそ4.5mmから5.5mmの直径を有する嚢切開部を形成することになる。
【0071】
ここで、比較としてIOL270を考慮する。IOL270のモジュール式(2部品)特徴と基部55の穴とにより、両構成要素(基部55およびレンズ65)を丸めて、小さい角膜切開部(たとえば、2.2mm)を通して送達することができるが、4.5mmから5.5mmの嚢切開部は不要である。反対に、基部が8mmの直径(ハプティクスを除く)を有するため、嚢切開部の直径をより大きくすることができ(たとえば、6.0mmから6.5mm)、それにより、レンズ65を、嚢切開部の外周部の内側に快適に適合させることができ、かつ光散乱をさらに最小限にするように、結合部274をより周辺部にあるようにすることができる。当然ながら、これらの例に関らず、レンズ65を基部55に接続するかまたは基部55から分離するように水晶体包を操作する必要を軽減するために、レンズ65と嚢切開部の周縁との間に間隙を設けるように、あらゆる好適な寸法を選択することができる。
【0072】
図28A~
図28Gを参照すると、代替的なモジュール式IOL280が示されている。モジュール式IOL280は、必ずしも限定ではなく例として図面に示すような寸法を有することができる。モジュール式IOL280は、本明細書に記載する他のモジュール式IOL実施形態と機能および利点に関して同じかまたは同様であり得る。モジュール式IOL280は、以下より詳細に記載するように基部およびレンズを接続するために使用される代替的な噛合機構を提供する。
【0073】
【0074】
特に
図28A~
図28Dを参照すると、モジュール式IOL280の基部55部分は、一対のハプティクス54および中心穴57を含み、それにより、レンズ65が基部55に取り付けられたときに、レンズ65の後方光学面のすべてまたは大部分が基部55と接触しない。レンズ65を受け入れるようなサイズでありかつそのように構成された、凹陥した棚状突起282が、穴57の外周を画定する。棚状突起282は、レンズ65のタブ286を受け入れるようなサイズでありかつそのように構成される1つまたは複数のキー付き部分284を含むことができる。
【0075】
特に
図28E~
図28Gを参照すると、レンズ65は、光学部分287と、各々に貫通穴288を有する1つまたは複数のタブ286とを含む。タブ286は、基部のキー付き部分284内に適合するようなサイズである。より詳細には、タブ286は、キー付き部分284の開口部(棚状突起282の不連続部)と位置合せされ、キー付き部分284内の棚状突起282の下方部分283に当接するように後方に移動することができる。タブ286の穴288と係合するように、プローブまたはより小さいデバイスを使用することができ、タブ286がキー付き部分284内の棚状突起282の上方部分285の下に部分的に存在するまで、キー付き部分284においてタブ286を摺動させるように(たとえば、図示するように右回りに)回転させることができ、それにより、レンズ65が基部55に接続される。その後、逆のステップを行って、基部55からレンズ65を分離することができる。
【0076】
図29A~
図29Fを参照すると、代替的なモジュール式IOL290が示されている。モジュール式IOL290は、必ずしも限定ではなく例として図面に示すような寸法を有することができる。モジュール式IOL290は、本明細書に記載する他のモジュール式IOL実施形態と機能および利点に関して同じかまたは同様であり得る。モジュール式IOL290は、以下より詳細に記載するように、基部およびレンズを接続するために使用される代替的な噛合機構を提供する。
【0077】
【0078】
特に
図29A~
図29Cを参照すると、モジュール式IOL290の基部55部分は、一対のハプティクス54および中心穴57を含み、それにより、レンズ65が基部55に取り付けられたとき、最外部分を除き、レンズ65の後方光学面は基部55と接触しない。レンズ65のタブ部分295および296を受け入れるサイズでありかつそのように構成されている凹陥溝293が、穴57の外周を画定している。
【0079】
凹陥溝292は、下部リム291および上部リム293を含む。上部リム293は、レンズ65が基部55の穴57の内部に載ることができるように、レンズ65の外径より大きい内径を有することができる。下部リム291のすべてまたは一部は、下部リム291が、基部55の穴57内に配置されたときにレンズ65用の逆転防止装置として作用するように、レンズ65の外径より小さい内径を有することができる。必ずしも限定ではなく例として、上部リム293は、約6.0mmの内径を有することができ、下部リム291は、約5.5mmの内径を有することができ、レンズ65は、
図29Dに示すように、約7.125mmの長手方向の径(タブ295および296を含む)を有することができる。また、
図29Dに示されるように、光学本体部分297は、約5.8mmの外径を有することができる。さらに、
図29Bに示すように、本体は、約0.615mmの厚さを有することができる。上部リム293は、約0.45mmの長さを有することができる。下部リム291は、約0.55
mmの長さを有する前面と約0.75mmの長さを有する後面とを有することができる。
【0080】
溝292を画定する下部リム291および上部リム293は、穴57の外周のすべてまたは一部に連続して延在することができる。別法として、溝292を画定する下部リム291および上部リム293は、穴57の外周のすべてまたは一部に不連続で延在することができる。不連続配置の一例は、下部リム291および上部リム293の交互セグメントであり、それは、単一部品で基部55をクライオ加工するのに非常に役立つことができる。図示するように、基部55を、後に接合される(たとえば、接着剤または溶剤接合)下部または後方部分55Aおよび上部または前方部分55Bを含む、2つの部品でクライオ加工することができ、それは、連続した溝292を画定するのに非常に役立つことができる。化学特性および機械特性の適合性を維持するために、接着剤および基部55の部品55A/55Bは、同じモノマー配合またはポリマー配合を含むことができる。たとえば、基部55の疎水性アクリル樹脂部品55A/55Bを作製するために用いられるものと同じアクリルモノマーから、接着剤を配合することができる。本技術分野において周知である代替的な製造方法もまた採用することができる。
【0081】
任意選択的に、基部後方部分55Aは、穴57がある環状リングではなく中実ディスクとすることができ、それにより、レンズ65の後側が接触する後面を画定する。後面は、平坦とするか、またはレンズ65の後方輪郭に一致するように湾曲させることができる。これは、レンズ65に対して逆転防止装置を提供するという利点を有することができ、それにより、基部55内のレンズ65の送達および配置がより容易になる。これはまた、後嚢混濁の割合を低減させるという利点も提供することができる。
【0082】
特に
図29D~
図29Fを参照すると、モジュール式IOL290のレンズ65は、光学本体部分297(本明細書で「光学部分」ともいう)と1つまたは複数のタブ295および296とを含む。
図29Eに示すように、タブ296は、約0.25mmの厚さを有することができ、光学本体は、約0.78mmの厚さを有することができる。図示するように、タブ295は固定されているが、タブ296は作動させることができる。別法として、固定タブ295の代りに、(たとえば、タブ296のような)作動可能タブを使用することができる。固定タブ295は、貫通穴298を含むことができ、それにより、穴288に係合しタブ295を操作するために、プローブまたは同様のデバイスを使用することができる。貫通穴298は、約0.231mmの径を有することができる。作動可能タブ296は、基部55の穴57内への送達用の圧縮位置と、基部55の溝292内への展開用の非圧縮拡張位置(図示する)との間で作動させることができ、それにより、基部55とレンズ65との間に噛合接続が形成される。
【0083】
固定タブ295の外側湾曲は、溝292の内側半径に一致する半径を有することができる。同様に、作動可能タブ296の外側湾曲は、作動可能タブ296がその非圧縮拡張位置にあるときに溝292の内側半径に一致する半径を有することができる。この配置により、一度接続された基部55とレンズ65との間の相対移動が制限される。
【0084】
任意選択的に、レンズ65は、円形ではなく楕円形または長円形であってもよく、タブ295および296は長軸に隣接して配置される。したがって、この配置により、レンズ65のその短軸に沿った縁と基部55の溝292の上部リム293の内周部との間に間隙が画定される。間隙は、分離が必要である場合、レンズ65を基部55から引き離すためにプローブまたは同様のデバイスに対するアクセスを提供するという利点を有することができる。
【0085】
作動可能タブ296は、図示するように(板ばねのように)中間部分ではレンズ65に接触せず、2つの端部においてレンズ65に取り付けられかつレンズ65から延在することができる。別法として、作動可能タブ296は、(カンチレバーばねのように)他端が自由であって一端においてレンズ65に取り付けられかつそこから延在することができる。機械技術分野において既知であるように、他のばね構成を採用することができる。
【0086】
作動可能タブ296は、その圧縮位置まで(たとえば、内側横方向の力を加えることにより)弾性的に変形することができる。小さい力での圧縮を容易にするために、ばねにヒンジを形成するようにタブの外側(および/または内側)湾曲部にくぼみ299を設けることができる。
【0087】
上述したように、最初に基部55を水晶体嚢内に送達することにより、モジュール式IOL290を埋入することができる。基部55が、送達され水晶体嚢内で広げられると、最初に固定タブ295を溝292内に挿入することにより、基部55にレンズ65を接続することができる。そして、プローブまたは同様のデバイスを用いて横方向の力を加えることにより、作動可能タブ296を圧縮することができ、それにより、レンズ65および基部55が同一平面であるように、レンズ65を基部55の穴57内に進めることができる。そして、作動可能タブ296から圧縮力を解除することができ、作動可能タブ296が基部55の溝292内に弾性的に拡張することができ、したがって、レンズ65が基部55に接続される。噛合機構を圧縮するために前後の力ではなく横方向の力を使用することにより、水晶体嚢の後嚢破裂のリスクが低減する。続いて逆のステップを行うことにより、基部55からレンズ65を分離することができる。
【0088】
作動可能タブ296および溝292を、基部55とレンズ65との間に噛合接続を提供する噛合部材として述べることができ、ここで、噛合部材の対の少なくとも一方が、それらの間の接続を係止または係止解除するように作動可能である。より概略的には、基部とレンズとの間に1つまたは複数の噛合接続部を設けることができる。各噛合接続部は、一対の噛合部材を含むことができ、ここで、噛合部材の一方または両方が作動可能である。作動可能噛合部材を、
図29A~
図29Fにおけるモジュール式IOL290を参照して記載したようなレンズと関連付けることができる。別法として、作動可能噛合部材を、
図30Aおよび
図30Bに示すモジュール式IOL300に関連して記載したような基部55と関連付けることができる。
【0089】
図30Aおよび
図30Bは、基部55およびレンズ65を含む代替的なモジュール式IOL300を示す。
図30Aは、基部55の正面図を示し、
図30Bは、レンズ65の斜視図を示す。基部55は、上述したように中心穴57および一対のハプティクス54を含むことができる。基部55はまた、レンズ65の溝304内に適合するようなサイズでありかつそのように構成された1つまたは複数の作動可能タブ302も含むことができる。図示するように、基部55は、一対の作動可能タブ302を含むが、タブのうちの1つは固定されていて(すなわち、作動可能ではない)もよい。レンズ65は、光学部分307と、下部リム303および上部リム305によって画定される1つまたは複数の溝304とを含む。レンズ65を、溝304が存在する外周部において比較的薄くすることができるので、図示するように下部リム303および上部リム305を延在させることにより、溝304を画定することができる。当業者によって理解することができるように、作動可能タブ302および溝304は、この実施形態では、同じかまたは同様の機能、使用、変形および利点を含む、先の実施形態に記載した作動可能タブ296および溝292と同じかまたは同様であり得る。
【0090】
図31Aおよび
図31Bを参照すると、本開示の実施形態によるモジュール式IOL用のレンズ除去または摘出器システム310が概略的に示されている。
図31Aは、レンズ60/65が捕捉されている摘出器システム310の斜視図を示し、図は、レンズ60/65が横に切断されている摘出器システム310の斜視図を示す。摘出器システム310は、単に例示の目的で、短縮遠近図で示されている。摘出器システム310の長さおよび直径は、従来のレンズカートリッジの寸法等、従来の角膜切開部によるマニュアル操作のために選択することができる。
【0091】
摘出器システムは、ハンドル314とハンドル314から先端側に延在するスリーブ312とを含む。スリーブ312は、内部が中空であり、レンズ60/65を支持する舌状拡張部313を含む。
【0092】
つかみ具316が、スリーブ312から遠位に延在し、ハンドル314を通って基端側に延在する作動部材(図示せず)によってスリーブ312内に後退可能である。つかみ具316は、レンズ60/65と係合しかつそれを引っ張るように、先端フック、鉗子または他の機構を含むことができる。この例では、つかみ具316は、レンズ60/65の先端(反対側の)縁と係合する。別法として、マイクロ鉗子を使用して、レンズ60/65の基端縁を把持することができ、または鋭利な器具を用いて、基端縁の近くでレンズ60/65の前面を貫通することができる。これは、鋭利な先端がスリーブ312を通して導入されるとともに拡張舌状部315が眼の構造を保護するため、安全に行うことができる。
【0093】
一対の刃318が、図示するように、舌状拡張部313の基端部の両側においてスリーブ312の先端部をわずかに越えて延在することができる。刃アクチュエータ319を用いて、
図31Aに示すように、刃318を、切断するために前進させることができ、または
図31Bに示すように、切断しないようにスリーブ312内に後退させることができる。
【0094】
使用時、レンズ60/65が水晶体嚢(図示せず)において基部から除去され、前嚢に存在する状態で、角膜切開部を通してスリーブ312を挿入することができ、摘出されるレンズ60/65の下に舌状拡張部313を配置することができる。そして、レンズ60/65の向こうへつかみ具316を進めることができる。切断するために刃318が伸長した状態で、スリーブ312内につかみ具316を後退させて、レンズを中心部と2つの側方部とに分割する切れ目をレンズ60/65に形成することができる。つかみ具316は、切れ目がレンズの直径を横切って部分的に(たとえば、80%)伸長するまで後退させることができ、したがって、中心部と2つの側方部との間の接続が保持される。この時点で、アクチュエータ319を用いて刃318を後退させることができる。そして、つかみ具316をさらに後退させて、レンズ60/65の中心部がスリーブ312内に引き込まれ、レンズ60/65の側方部が反転するかまたは回転するようにする。つかみ具316のさらなる後退により、レンズ60/65の側方部は部分的に重なり、中心部についてスリーブ312内に入る。そして、角膜切開部から摘出器システム310を除去することができ、したがって、レンズ60/65は眼から摘出される。摘出器システム310はまた、ハプティクスを備えた光学部品を含む他の光学部品を摘出するために使用することも可能であり、その場合、ハプティクスは側方部についてスリーブ内に入る。
【0095】
本発明の上述した考察は、例示および説明の目的で提示されている。上述したことは、本発明を本明細書に開示した1つまたは複数の形態に限定するようには意図されていない。本発明の記載は、1つまたは複数の実施形態ならびにいくつかの変形および変更の説明を含んでいたが、本開示を理解した後、たとえば、当業者の技能および知識の範囲内にあり得るように、他の変形および変更が本発明の範囲内にある。請求項にかかるものに対する代替的な、交換可能なかつ/または等価な構造、機能、範囲またはステップを含む、許可される範囲内で代替実施形態を含む権利を、こうした代替的な、交換可能なかつ/または等価な構造、機能、範囲またはステップが、本明細書に開示されていてもいなくても、いかなる特許性のある主題も公衆に提供するように意図することなく、取得するように意図されている。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、記載する。
[項目1]
ある周辺長を有する嚢切開部を有する眼の水晶体包内に埋入するための眼内レンズシステムであって、
a.本体、1つまたは複数のハプティクス、および第1噛合部材を有する眼内一次構成要素であって、前記水晶体包内に適合するように構成されており、前記本体が、前記嚢切開部の前記周辺長より大きいかまたはそれに等しい赤道部周辺長を有する、眼内一次構成要素と、
b.第2噛合部材、および、前記嚢切開部の前記周辺長より小さい赤道部周辺長を有する光学本体を有する眼内二次構成要素と、
を備え、
c.前記一次構成要素の前記第1噛合部材が、前記二次構成要素の前記第2噛合部材を解除可能に受け入れかつ該第2噛合部材と連結して、それらの間の噛合接続を形成するように構成され、前記第1噛合部材および前記第2噛合部材のうちの少なくとも一方が作動可能である、眼内レンズシステム。
[項目2]
前記一次構成要素が、前後方向に延在する中心穴を含み、前記穴が、前記二次構成要素を受け入れるようなサイズでありかつ該二次構成要素を受け入れるように構成されている、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記一次構成要素が基部であり、前記二次構成要素がレンズである、項目1に記載のシステム。
[項目4]
前記一次構成要素が一次レンズであり、前記二次構成要素が二次レンズである、項目1に記載のシステム。
[項目5]
前記第1噛合部材が作動可能であり、前記第2噛合部材が固定されている、項目1に記載のシステム。
[項目6]
前記第1噛合部材が固定されており、前記第2噛合部材が作動可能である、項目1に記載のシステム。
[項目7]
前記作動可能噛合部材がばね機構を含む、項目6に記載のシステム。
[項目8]
前記ばね機構がカンチレバーばねを含む、項目7に記載のシステム。
[項目9]
前記ばね機構が板ばねを含む、項目7に記載のシステム。
[項目10]
作動可能な前記噛合部材が拡張部を含み、固定された前記噛合部材が凹部を含む、項目7に記載のシステム。
[項目11]
ある内側寸法を有する嚢切開部を有する眼の水晶体包内に埋入するための眼内レンズ(IOL)システムであって、
a.1つまたは複数のハプティクスが延出している本体を有する基部であって、前記嚢切開部の前記内側寸法より大きい外側寸法を前記本体が有する、基部と、
b.前記嚢切開部の前記内側寸法より小さい直径を備えた光学本体を有するレンズと、を備え、
c.前記基部および前記レンズが、前記基部および前記レンズの各々に関連する噛合部材によって接続されており、前記噛合部材のうちの少なくとも一方が作動可能である、IOLシステム。
[項目12]
前記基部が光学部分を含む、項目11に記載のIOLシステム。
[項目13]
前記基部が、内部に前記レンズを受け入れるようなサイズでありかつ該レンズを受け入れるように構成された穴を画定する環状である、項目11に記載のIOLシステム。
[項目14]
前記基部が作動可能な前記噛合部材を含む、項目11に記載のIOLシステム。
[項目15]
前記レンズが作動可能な前記噛合部材を含む、項目11に記載のIOLシステム。
[項目16]
作動可能な前記噛合部材が拡張部を含み、他方の前記噛合部材が凹部を含む、項目11に記載のIOLシステム。
[項目17]
眼の水晶体包にモジュール式眼内レンズ(IOL)を埋入するための方法であって、前記モジュール式IOLが、少なくとも1つの作動可能なコネクタによって二次構成要素に解除可能に取り付けられる一次構成要素を含む、方法であって、
a.嚢切開部を形成することを含む、IOLを埋入するために前記水晶体包を準備することと、
b.前記水晶体包内に前記一次構成要素を配置することと、
c.前記コネクタを作動させることにより、前記嚢切開部の外周部内で前記二次構成要素を前記一次構成要素に固定することと、
を含む方法。
[項目18]
前記水晶体包から前記一次構成要素を取り除くことなく、前記一次構成要素から前記二次構成要素を取り除くこと
をさらに含む、項目17に記載の方法。
[項目19]
前記水晶体包から前記一次構成要素を取り除くことなく、異なる光学特性を有する異なる二次構成要素を前記一次構成要素に固定すること
をさらに含む、項目18に記載の方法。
[項目20]
前記コネクタを作動させることが、前記水晶体包に加えられる後方圧力を低減させるように横方向の力を加えることを含む、項目17に記載の方法。