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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】路面切断装置及び路面切断方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/09 20060101AFI20231016BHJP
【FI】
E01C23/09 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022098911
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2018005052の分割
【原出願日】2018-01-16
(65)【公開番号】P2022120195
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】597008290
【氏名又は名称】志賀産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512038159
【氏名又は名称】株式会社SKY
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】児玉 利治
(72)【発明者】
【氏名】時田 博
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-219422(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01177848(EP,A1)
【文献】特開2001-107314(JP,A)
【文献】特開2017-210781(JP,A)
【文献】特開平06-033420(JP,A)
【文献】米国特許第04998775(US,A)
【文献】特開2002-115208(JP,A)
【文献】特開2014-005601(JP,A)
【文献】特開2013-002073(JP,A)
【文献】実開昭53-000524(JP,U)
【文献】登録実用新案第3192148(JP,U)
【文献】米国特許第06203112(US,B1)
【文献】特開2013-173230(JP,A)
【文献】特開2002-081016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 21/00-23/24
B28D 1/00-7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状のブレードを回転させることにより路面を切断する路面切断装置において、
路面の切断中にブレードの少なくとも一部を収めるための空間を、前記路面との間に設けるためのカバーと、
前記空間に液体を噴霧するための噴霧手段と、
前記空間を吸引するための吸引手段と、
を備え、
前記ブレードは、表面及び裏面と、外周刃が設けられる側面とを備え、
前記噴霧手段は、霧を噴射するためのノズルを備え、
前記ノズルは、前記ブレードを前記表面から見た状態において、前記ブレードの外方に離間した位置であって前記カバーの上半分の領域に設置されており、
前記カバーは、
前記ブレードを収納するための本体部と、
前記本体部の下端から水平方向に広がるように設けられた板状のフリンジ部と、
前記ブレードによる前記路面の切断中に、前記路面に対向する枠部と、
この枠部及び前記フリンジ部に接続し、前記路面に垂直な方向に伸縮できる伸縮部とを備え、
前記枠部に固定され、前記フリンジ部に形成された貫通孔を貫通することにより、前記枠部に対する前記本体部の水平方向の移動を規制するためのシャフトを更に備える
路面切断装置。
【請求項2】
前記ブレードは、球面状の曲面を有する、請求項1に記載の路面切断装置。
【請求項3】
前記ノズルは、前記ブレードの回転軸が存在する斜め下方向を向いて設置され、かつ、前記外周刃が設けられる前記側面に対向するように、前記カバーの側面の前記回転軸方向における中心から離間した位置に設置されている、請求項1に記載の路面切断装置。
【請求項4】
前記ノズルの先端は、前記カバーから突出していない請求項1に記載の路面切断装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記カバー内の粉塵を吸引するための接続部をさらに備え、
前記接続部には、前記カバー内の空間に連通する開口部が設けられており、
前記ブレードの回転軸を含む平面であってかつ、路面に垂直な平面で前記カバー内の空間を二分したときに、前記ノズルと前記開口部は、異なる領域に設けられている
請求項1に記載の路面切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面切断装置及び路面切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化したマンホールの蓋及び受枠を取り替えるために、マンホール周囲の路面を切断して取り除き、新しいマンホールの蓋及び受枠に交換した後に、マンホール周囲の路面を充填剤で充填することが行われている。
【0003】
特許文献1には、曲面状のブレード101が装着される路面カッター100及びこれを収納するカバーを路面に対して上下に傾動させる傾動手段が記載されている。路面カッター100は、モータで回転させたブレード101を路面に向かって傾動して、路面を切り込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-5601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アスファルトなどの路面を切断する際に発生する粉塵を効果的に吸引する方法は、開発途上にある。
【0006】
本出願の発明者らが、ブレードのカバーに吸引手段を接続して、切断により生じた粉塵を吸引する実験をしたところ、路面に凹凸があると、カバーと路面間に大きな間隙が出来てしまうために、粉塵が外部に撒きあがってしまう場合がある。
【0007】
一方で、大量の水を供給しながら路面を切断すれば、粉塵が大気中に撒きあがることを防止できるものの、粉塵が混入した大量の汚濁水が周囲へ流出するため、バキュームでの汚濁水の吸引作業ならびに清掃が必要になってしまう。かといって水を少量にすると、局所的に水が供給されるに過ぎないため、粉塵を効果的に吸引することができないこともわかった。
【0008】
そこで本発明は、路面を切断する際に発生する粉塵を効果的に吸引することができる路面切断装置及び路面切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る路面切断装置は、円形状のブレードを回転させることにより路面を切断する路面切断装置である。そして、路面の切断中にブレードの少なくとも一部を収めるための空間を、路面との間に設けるためのカバーと、空間に液体を噴霧するための噴霧手段と、空間を吸引するための吸引手段と、を備える。
【0010】
この態様によれば、路面の切断中に路面との間に設けられる空間内にブレードの少なくとも一部を収めるためのカバーと、空間に液体を噴霧するための噴霧手段と、空間を吸引するための吸引手段を備えるので、大量の水を要することなく粉塵が撒きあがることを抑制し、粉塵を効果的に吸引することができる。更に、噴霧する液体でブレードを冷却することもできる。
【0011】
ここで、「霧」とは、小さな液体の粒が、多数、空中に浮かんだ状態をいう。ただし、液体は、純水に限られず、水道水や薬液等の水溶液であってもよい。また、霧とともに、霧になっていない液体を供給するようにしてもよい。
【0012】
また、ブレードは、曲面からなる表面及び裏面と、この表面及び裏面を接続する側面に設けられる複数の外周刃とを備え、噴霧手段は、ブレードの側面に向かって霧を供給するように構成されていてもよい。また、表面及び裏面が平面状である、円板のブレードであってもよい。
【0013】
この態様によれば、噴霧手段は、ブレードの側面に向かって霧を供給するので、ブレードの表面側と裏面側の双方に霧を供給することが可能になる。その結果、ブレードの回転に伴って切断溝の両側に水が流れ込むため、粉塵が撒きあがることを効果的に抑制することができる。
【0014】
ここで、「ブレード」の「曲面」とは、ブレードの回転軸を含む断面が、曲線を含むことをいう。曲線は、例えば、円弧又は放物線等の高次曲線を含むが、一部が直線であってもよい。ブレードの回転軸を含む断面が円弧の場合は、ブレードの曲面は、球面を含む。
【0015】
また、カバーは、ブレードによる路面の切断中に、路面に対向する枠部と、この枠部に接続し、路面に垂直な方向に伸縮できる側面部とを備えていてもよい。
【0016】
この態様によれば、枠部の重みと、側面部の伸縮性により、路面に凹凸があっても、カバーと路面との間隙を小さくすることができる。このため、粉塵がカバーの外部に撒きあがることを抑制することができる。
【0017】
ここで、「接続」とは、直接接続している場合に限られず、間に他の物体が介在して間接的に接続される場合も含む。
【0018】
また、本発明の一態様に係る路面切断装置は、円形状のブレードを回転させることにより路面を切断する。そして、路面の切断中にブレードの一部を収めるための空間を、路面との間に設けるためのカバーと、空間に液体を噴霧するための噴霧手段と、を備え、カバーには、空間を吸引するための吸引手段に接続される開口部が設けられる。
【0019】
この態様によれば、開口部に吸引手段を接続することによって、大量の水を要することなく粉塵が撒きあがることを抑制し、粉塵を効果的に吸引することができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る路面切断方法は、円形状のブレードを回転させることにより路面を切断する路面切断方法である。そして、カバーと路面との間に設けられる空間にブレードの一部を収めた状態で、空間に液体を噴霧し、かつ、吸引しながら、ブレードを回転させて、路面を切断するステップと、を含む。
【0021】
この態様によれば、カバー内の空間に液体を噴霧し、かつ、吸引しながら、ブレードを回転させて路面を切断するので、大量の水を要することなく粉塵が撒きあがることを抑制し、粉塵を効果的に吸引することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、粉塵を効果的に吸引することができる路面切断装置及び路面切断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る路面切断装置10の斜視図
図2】第1実施形態に係るブレードカバー14の側面図
図3】第1実施形態に係るブレード12の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0025】
図1は、本実施形態に係る路面切断装置10の斜視図であり、図2は、ブレードカバー14(「カバー」の一例)の側面図であり、図3は、路面を切断するためのブレード12の斜視図である。
【0026】
路面切断装置10は、ブレード12(図3)を収納するためのブレードカバー14と、ブレードカバー14内の空間に液体を噴霧して、霧を供給するための噴霧手段16と、ブレードカバー14内の空間を吸引するための吸引手段18とを備える。
【0027】
噴霧手段16は、タンクから水を吸い上げるためのチューブ16Aと、チューブ16Aを介してタンクから水を吸い上げ、低圧又は高圧で排出するポンプ16Bと、ポンプ16Bから水を排出するためのチューブ16Cと、チューブ16Cを通った水を霧にしてブレードカバー14内に供給するノズル16Dを備えている。ノズル16Dは、低圧又は高圧の水を、断面積の小さな複数の孔から吐出することによって、ブレードカバー14内に霧状の液体を供給する。ノズル16Dの取り付け位置については後述する。
【0028】
図1及び図2に示されるように、ブレードカバー14は、半円筒形の本体部14Aと、本体部14Aの下端から路面と平行な水平方向に広がるように設けられた板状のフリンジ部14Bと、フリンジ部14Bの外縁に接続され、路面と垂直な方向に伸縮する蛇腹14C(「伸縮部」の一例)と、蛇腹14Cの下端に接続される四角形の枠状の安定部14D(「枠部」の一例)と、安定部14Dの4つの角部に固定され、路面と垂直な方向に設けられる4つのシャフト14E1~14E4と、吸引手段18によりブレードカバー14内の粉塵を吸引するための接続部14Fを備えている。
【0029】
本体部14Aは、略半円形の二つの側面と、これら2つの側面を接続する円筒面をなす上面を備える。本体部14Aは、内部にブレード12を収納できるようにブレード12よりもやや大きく設けられており、例えば、ブレード12の側面視における半径よりも10から50mmほど大きい半径を持つように形成されている。本体部14A及びフリンジ部14Bは、樹脂又は金属等で設けることができる。本実施形態では、防音効果がより高い金属で本体部14A及びフリンジ部14Bは設けられている。
【0030】
蛇腹14Cは、布、金属又はプラスチック等から設けられており、山折りと谷折りを繰り返した構造を備えることにより、路面と垂直な方向に伸縮することができる。また、蛇腹14Cの下端に接続される安定部14Dは、路面方向に蛇腹14Cの下端を引っ張るのに十分な重量を有する木材又は金属等から設けられている。
【0031】
また、図1に示されるように、フリンジ部14Bの4つの角部には、貫通孔が形成されている。シャフト14E1~14E4は、各貫通孔をそれぞれ貫通することで、安定部14Dに対してフリンジ部14Bならびにこれと一体的に形成される本体部14Aが水平方向に移動することを規制し、蛇腹14Cの伸縮方向をガイドする機能を有する。また、シャフト14E1~14E4の頂部は、この貫通孔の孔径よりも大きく形成されているため、本体部14Aは、シャフト14E1~14E4の高さ以上に安定部14Dと離れることはないように構成されている。
【0032】
更に、ブレードカバー14内には、ブレード12を回転軸AXで回転可能に支持するための支持部が備わっている。この支持部には、モータが接続されており、ブレード12を、回転軸AXを中心とする矢印AR(図2)の方向に回転させることができる。
【0033】
図2に示されるように、本実施形態において、ノズル16Dは、ブレードカバー14の本体部14Aの円筒面をなす側面に、回転軸AX方向を向いて設置される。ブレード12は回転軸AXを中心に、矢印ARの方向に回転しながら、図面の右又は左方向に移動することで路面を切断する。
【0034】
本実施形態では、ノズル16Dは、回転軸AXを基準として路面から地上にブレード12が出てくるときの角度を0度としたときに、約120度の位置(仰角で約60度の位置)に、回転軸AXが存在する斜め下方向を向いて設けられる。
【0035】
ノズル16Dは、ブレードカバー14の上半分の領域(本実施形態では、ブレードカバー14の高さの約85%の位置)に設けられるから、ブレードカバー14内の空間の幅広い領域に霧を供給することができる。また、これから路面に侵入するブレード12に対して霧を供給するから、ブレード12の切れ味を向上させることが期待できる場合がある。
【0036】
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、回転軸AXの直上である90度の位置から、回転軸AXが存在する真下を向くようにノズル16Dを設置してもよいし、或いは、ブレードカバー14の下半分の領域から、水平方向、又は、斜め上方を向くようにノズル16Dを設けてもよい。また、複数のノズルを設けてもよい。
【0037】
また、ノズル16Dの回転軸AX方向の位置については、ノズル16Dは、ブレード12の外周刃が設けられる側面に対向する位置に設置されることが好ましい。このことにより、ブレード12の表面と裏面の双方に霧を供給することが可能になる。
【0038】
後述するように、本実施形態において、ブレード12は球面状の曲面を有する。このため、ブレード12の中心から離れて外周に近づくほど、回転軸AX方向の位置は進行する。このため、本実施形態においては、ノズル16Dは、本体部14Aの円筒面をなす側面の回転軸AX方向における中心から離間した位置に設けられる。
【0039】
以上のように構成した結果、ブレード12の外周刃が設けられる側面から約10~50mmほど離間した位置に設けられたノズル16Dから、ブレード12の中心に向けて霧が供給される。
【0040】
更に、ブレードカバー14は、吸引手段18によりブレードカバー14内の粉塵を吸引するための接続部14Fを備えている。
【0041】
図2に示されるように、ブレード12は、回転軸AXを中心として矢印ARの方向に回転するので、接続部14Fは、路面から地上にブレード12が出てくる位置に接続部14Fが設けられている。接続部14Fには、ブレードカバー14内の空間に連通し、上方向を向いた開口部が設けられている。従って、この開口部から吸引を行うことにより、ブレード12の回転とともに地上に撒きあがる粉塵を効果的に吸引することができる。
【0042】
また、接続部14Fの開口部と、ノズル16Dは、回転軸AXを含み、路面に垂直な平面でブレードカバー14内の空間を二分したときに、異なる領域に設けられる(図2では、ノズル16Dは、回転軸AXの左側に設けられ、接続部14Fの開口部は、回転軸AXの右側に設けられる)。従って、ノズル16Dから供給される霧が、ブレードカバー14内の空間に拡散されることなく吸引されてしまうことを抑制することができる。
【0043】
ただし、これに限られるものではなく、例えば、ノズル16Dを中央に、複数の開口部を端部に設けて、霧の拡散が促進されるように構成してもよい。
【0044】
図1に示されるように、接続部14Fは、吸引手段18に接続される。吸引手段18は、接続部14Fの開口部に連通するチューブ18Aと、チューブ18Aの他端に連通する分離手段18B(「遠心分離部」の一例)と、分離手段18Bの下方に設けられた集塵ボックス18Cと、分離手段18Bの上方に設けられたチューブ18Dと、チューブ18Dに接続されるポンプ18Eを備える。
【0045】
ポンプ18Eによって、チューブ18Aを介してブレードカバー14内の粉塵を含む汚濁水は、分離手段18Bに流入する。分離手段18Bは、遠心力で分離するサイクロンの原理で汚濁水を分離するためのものであり、下方に向かって緩やかに面積が小さくなる水平方向断面が円形の側面部を備えるとともに、この側面に沿って回転運動する汚濁水のうち、重量が大きいために遠心分離によって下降するものを、集塵ボックス18Cに排出するために、集塵ボックス18Cとの接続部に設けられた開口部(「下方開口部」の一例)と、集塵ボックス18Cには排出されなかった気体や微粒子を上方から排出するために設けられた開口部(「上方開口部」の一例)が形成される。上方開口部は、チューブ18Dに連通しており、チューブ18Dの他端は、ポンプ18Eに連通している。ただし、サイクロン式以外の吸引方式を用いることも可能である。たとえば、ダブルモーター式等のバキュームクリーナーをホースでブレードカバー14に接続して直接的に吸塵してもよい。
【0046】
図3は、ブレード12を示している。ブレード12は、円形状に形成されており、回転軸AXを中心軸として自ら回転しながら、回転軸AX2を中心に旋回することで路面を円形に切断するためのものである。このブレード12は、球面又は曲面をなす表面12A及び裏面12Bと、複数の外周刃が形成された側面12Cを備えている。このブレード12は、ダイヤモンドチップが埋め込まれた銅を主成分とする。ブレード12の径は、用途等に応じて様々なものを適用可能であるが、たとえば、側面視において、250mmの半径を有する。また、ブレードとして、直線的に路面を切断するための円板状のものを用いてもよい。
【0047】
また、路面切断装置10は、ブレード12を回転するためのモータ、ブレード12及びブレードカバー14を移動させるための車輪、ブレード12及びブレードカバー14を路面に対して上下に傾動するための傾動手段などを備えている。
【0048】
以下では、このような路面切断装置10を用いて、補修が必要なマンホールの鉄蓋及び外枠を、周囲の舗装ごと円形球面上に切断する路面切断方法を説明する。
【0049】
まず、対象となるマンホールの中心に路面切断装置10を係合するためのセンター治具を固定し、このセンター治具と路面切断装置10のセンター部を係合させる。
【0050】
そして、ブレードカバー14及びブレードカバー14に上部が収納されたブレード12を、傾動手段を用いて路面方向に下降させながら、ブレード12を、回転軸AXを中心として回転させることで路面の切断を開始する。
【0051】
このとき、ブレード12の下部100mmから200mmが路面の下に潜り、残りは路面上にある。また、ブレードカバー14の下端である安定部14Dは、路面と数ミリメートル程度離間して路面に対向する。また、ブレードカバー14の概ね上半分は、本体部14A内の空間に収納され、ブレードカバー14の下半分のうち路面上にある部分は、蛇腹14Cに囲まれる空間に収納されている。このため、ブレード12のうち、路面から上の部分は、ブレードカバー14と路面で囲まれる空間に収納されている。このため、路面の切断時に発生する高周波のノイズなどの騒音が外部に漏れることを抑制することができる。
【0052】
同時に、ポンプ16Bからノズル16Dに供給された低圧又は高圧の水は、ノズル16Dに設けられた複数の孔を通過して、霧となってブレードカバー14の本体部14A内に供給される。ノズル16Dは、ブレード12の側面12Cに対向しているから、ノズル16Dから噴射される霧の一部はブレード12の表面12A及び裏面12Bの双方に付着し、ブレード12の冷却を促進し、かつ、切れ味が低下することを抑制する。なお、噴霧する手段はこれに限られるものではない。
【0053】
また、ブレード12の表面12A及び裏面12Bに霧が付着するので、切断溝の両側に水が入り込む。こうした水分は、切断により生じるアスファルト粉や骨材粉等の粉塵によって吸収されて湿った粒になるため、粉塵が撒きあがることを抑制する。このため、乾燥した粉塵等が大気中に飛散して生活環境に及ぶことを抑制することができる。
【0054】
ポンプ18Eは、ブレードカバー14の接続部14Fに設けられた開口部から、湿った粉塵等を吸引する。吸引された粉塵等は、分離手段18Bの側面部に沿って回転しながら下降し、下方に設けられた開口部から、集塵ボックス18Cに排出される。このため、切断により生じた粉塵等を効率的に回収し、廃棄することができる。回収されなかった気体や微粒子は、上方に設けられた開口部から、チューブ18Dを介してポンプ18Eに吸引される。
【0055】
そして、マンホールの中心に固定され、マンホールの中心から垂直方向に立設する軸部を備えるセンター治具と係合しながら、路面切断装置10は、マンホールの中心を通過する回転軸AX2を中心に旋回する。これに伴って、ブレードカバー14及びブレード12もマンホールを中心として旋回する。
【0056】
このとき、路面に凹凸や高低差などがあっても、蛇腹14Cが設けられているから、安定部14Dは、路面にあわせて、傾くことができる。このため、路面との間隙を抑えることができる。また、シャフト14E1~14E4が、安定部14Dに対してフリンジ部14Bならびにこれと一体的に形成される本体部14Aが水平方向に移動することを規制するので、蛇腹14Cがスムーズにかつ柔軟に伸縮することが可能となる。
【0057】
マンホールの中心を数周旋回することで、マンホールの鉄蓋及び外枠を、周囲の舗装ごと円形球面上に切断することができる。その後、切断された切断塊を分離して吊り上げ撤去した後、新たなマンホールを設置し、周囲を、モルタル等を用いて充填することで、マンホールの補修が完了する。
【0058】
以上のように、ノズル16Dからブレードカバー14内に霧を供給したので、水を供給する場合と比較して、ブレード12の表面及び裏面に万遍なく水分を供給することが可能になる。その結果、粉塵が撒きあがることを抑制することができる。ただし、ブレード12の表面のみ又は裏面のみに霧を供給するようにしてもよい。また、複数のノズルを用いて霧を供給するようにしてもよい。
【0059】
また、ブレード12が路面から出てくる位置から粉塵等を吸引するようにしたから、粉塵等が拡散することを抑制することができる。ただし、異なる位置から粉塵等を吸引するようにしてもよい。
【0060】
また、分離手段18Bを用いて、サイクロンの原理に基づき、吸引した粉塵等を遠心分離して回収するようにしたから、湿った粉塵等を効率よく回収することが可能になる。その結果、ポンプ18Eへの負荷を下げることができる。また、ポンプ18Eのフィルターの目詰まり等のメンテナンスも軽減される。
【0061】
また、霧を供給するようにしたから、路面に残存する汚濁水も限定的になる。このため、作業後の清掃に要する水の量が少なくなり、清掃の手間も軽減する。
【0062】
ブレードカバー14は、ブレード12の形状にあわせて円筒形状にしたから、ブレードカバー14内の空間の容積を小さくすることが可能になり、粉塵の回収効率を向上させることができる。しかしながら、ブレードカバー14の形状はこれに限られるものではなく、たとえば、四角形状などにして、製造コストの低下を図ってもよい。
【0063】
また、ブレード12は、球面状であったが、これに限られるものではなく、断面が直線状のブレードを用いた路面切断装置に本発明を適用してもよい。
【0064】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…路面切断装置、12…ブレード、12A…表面、12B…裏面、12C…側面、14…ブレードカバー、14A…本体部、14B…フリンジ部、14C…蛇腹、14D…安定部、14F…接続部、16…噴霧手段、16A…チューブ、16B…ポンプ、16C…チューブ、16D…ノズル、18…吸引手段、18A…チューブ、18B…分離手段、18C…集塵ボックス、18D…チューブ、18E…ポンプ
図1
図2
図3