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特許7367146eベイピング装置のための折り畳み可能な繊維基質貯蔵部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】eベイピング装置のための折り畳み可能な繊維基質貯蔵部
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20231016BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20231016BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022128792
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2019503665の分割
【原出願日】2017-08-02
(65)【公開番号】P2022145950
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】15/226,420
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マッコ ジェイソン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リポウィッツ ピーター
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/054476(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0132004(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
eベイピング装置のためのプレベイパー製剤を収容するように構成されたカートリッジであって、
前記プレベイパー製剤を貯蔵するように構成された貯蔵部を備え、
前記貯蔵部が、前記プレベイパー製剤の懸濁液中に複数のポリマー繊維を含有し、
前記貯蔵部がガーゼを含み、前記ガーゼが前記複数の繊維を含み、
前記複数の繊維のそれぞれの長さが、3ミリメートル~7ミリメートルの範囲内であり、前記複数の繊維のそれぞれの直径が、20マイクロメートル~28マイクロメートルの範囲内にあり、
前記複数の繊維が、前記複数の繊維の前記それぞれの長さおよび前記それぞれの直径に基づいて、可動性および実質的に互いに絡み合わないうちの少なくとも一つであるように構成される、カートリッジ。
【請求項2】
前記複数の繊維が、前記貯蔵部の前記ガーゼ内に実質的に均質に分配される、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記貯蔵部が内側ガーゼおよび外側ガーゼを含み、前記複数の繊維が前記貯蔵部の前記外側ガーゼ内に分配される、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記複数の繊維の前記それぞれの長さが5ミリメートルである、請求項1~3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
30パーセントの前記複数の繊維が、3ミリメートルの長さを有し、50パーセントの前記複数の繊維が、5ミリメートルの長さを有し、20パーセントの前記複数の繊維が、7ミリメートルの長さを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
20パーセントの前記複数の繊維が、3ミリメートルの長さを有し、75パーセントの前記複数の繊維が、5ミリメートルの長さを有し、5パーセントの前記複数の繊維が、7ミリメートルの長さを有する、請求項1~のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
30パーセントの前記複数の繊維が、3ミリメートルの長さを有し、60パーセントの前記複数の繊維が、5ミリメートルの長さを有し、10パーセントの前記複数の繊維が、7ミリメートルの長さを有する、請求項1~のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
一つ以上の前記複数の繊維の前記直径が、24マイクロメートルである、請求項1~5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記貯蔵部内の前記ポリマー繊維の濃度が、4重量パーセント未満である、請求項1~8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、概してeベイピング装置のためのプレベイパー製剤貯蔵部、加熱式プレベイパー製剤の量を増加させるように構成された貯蔵部、およびeベイピング装置カートリッジの実用的な寿命を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ベイピング装置はプレベイパー製剤をベイパーへと気化するために使用され、成人eベイピング装置使用者がこの装置の一つ以上の出口を通してベイパーを吸い込むようにする。これらの電子ベイピング装置は、eベイピング装置と呼ばれてもよい。eベイピング装置は典型的に、電源セクションおよびカートリッジなど、いくつかのeベイピング要素を含みうる。電源セクションは、電池を含んでもよく、カートリッジはプレベイパー製剤を貯蔵できる貯蔵部に加えてヒーターを含んでもよい。貯蔵部は、内管または貯蔵部の一部の周りに巻き付けたコットンまたはセルロースガーゼまたは他の繊維材料を含んでもよい。カートリッジは、芯を介してプレベイパー製剤と連通するヒーターを含んでもよく、ヒーターはベイパーを生成するために芯でプレベイパー製剤を加熱するよう構成される。プレベイパー製剤は、ベイパー形成体と同様にニコチンの量を含んでもよく、あるいは水、酸、風味剤、および芳香剤のうちの少なくとも一つを含んでもよい。プレベイパー製剤は、ベイパーへと変わる材料または材料の組み合わせを含んでもよい。例えば、プレベイパー製剤は、水、ビーズ、溶媒、活性成分、エタノール、植物抽出物、天然または人工風味、グリセリンおよびプロピレングリコールのうちの少なくとも一つなどのベイパー形成体、ならびにその組み合わせ(ただしこれらに限定されない)を含む、液体製剤、固体製剤、またはゲル製剤のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【発明の概要】
【0003】
eベイピング装置では、貯蔵部に含まれるプレベイパー製剤は自由流動性形態であってもよく、プレベイパー製剤を囲む円筒形ガーゼと共に所定位置に保持されてもよく、その結果、プレベイパー製剤の量が浪費され得る。例えば、約40パーセントのプレベイパー製剤は、貯蔵部に残ることができ、eベイピング装置の動作中に加熱されるために芯に移されない。
【0004】
少なくとも一つの例示的な実施形態は、プレベイパー製剤溶液を貯蔵するよう構成された不溶性ポリマー繊維を含む、eベイピング装置のカートリッジに関する。
【0005】
少なくとも一つの例示的な実施形態では、eベイピング装置の貯蔵部は、内管または貯蔵部の一部の周りに巻かれた内側および外側の繊維材料を含んでもよい。例えば、コットンガーゼおよび不溶性ポリマー繊維のうちの少なくとも一つのような、例えば、内側繊維材料および外側繊維材料は、プレベイパー製剤を貯蔵することができる。例えば、ポリマー繊維は、プレベイパー製剤の様々な成分と化学的に適合性があり得、例えば、ポリマー繊維は、プレベイパー製剤の様々な成分の存在中で、実質的に化学的に不活性であり得る。ポリマー繊維は、例えば、エチレン酢酸ビニル外筒と共に、例えば、ポリプロピレンコアを含んでもよい。ポリマー繊維は、プレベイパー製剤溶液中に実質的に均等に分配されるように、プレベイパー製剤溶液に加えて攪拌してもよい。
【0006】
少なくとも一つの例示的な実施形態では、ポリマー繊維は、プレベイパー製剤溶液を実質的に吸収または浸すのに十分な量で加えられる。例えば、ポリマー繊維の量は、漏れがなくプレベイパー製剤溶液を実質的に保持するのに十分である。例示的な実施形態では、プレベイパー製剤溶液は、繊維間のすきま空間内に保持される。その結果、ポリマー繊維、およびポリマー繊維が堆積可能なプレベイパー製剤溶液を含有する非均質な混合物である、懸濁液が貯蔵部内に形成される。その結果、ポリマー繊維の存在により、懸濁液はプレベイパー製剤溶液の流れを阻止し得、従ってプレベイパー製剤溶液は、eベイピング装置の貯蔵部から不注意に流れ出るのを妨げられまたは防止され得る。
【0007】
例示的な実施形態では、ポリマー繊維は貯蔵部の外側ガーゼ内に分配されてもよい。例えば、ポリマー繊維は、懸濁液中にプレベイパー製剤を含み、貯蔵部内で繊維の可動性を可能にするのに十分に短く、他の繊維との絡み合いを避け、従って貯蔵部内の芯へのプレベイパー製剤の改良された排出を可能にする。繊維は、eベイピング装置の動作中、空気がeベイピング装置に吸い込まれるとき、毛細管作用によって貯蔵部内で可動となる。さらに、ポリマー繊維内の懸濁液内のプレベイパー製剤を使用することにより、他のeベイピング装置で典型的に使用される外側ガーゼは省略されてもよく、これにより、より低い製造コストに導くことができる。例示的な実施形態では、貯蔵部内のポリマー繊維の濃度は、約4重量パーセント未満であってもよい。
【0008】
例示的な実施形態は、eベイピング装置のためのプレベイパー製剤を収容するよう構成されたカートリッジに関し、このカートリッジは、プレベイパー製剤を貯蔵するよう構成された内側部分および外側部分を含む。外側部分は、可動であるように構成された複数の繊維、実質的に互いに絡み合わないように構成された複数の繊維、またはその両方を、繊維の短い長さの結果として含む。内側部分は、高密度ガーゼを含んでもよい。例示的な実施形態では、eベイピング装置の動作中、空気がeベイピング装置に吸い込まれるとき、毛細管作用を介して繊維が可動となる。
【0009】
例示的な実施形態では、複数の繊維が、十分なプレベイパー製剤を保持し、複数の繊維のそれぞれの長さに基づいて、実質的に互いに絡み合わないよう構成される。例えば、複数の繊維のそれぞれの長さは、約3ミリメートル~約7ミリメートルの範囲内であり得る。例示的な実施形態では、繊維のそれぞれの長さが約3ミリメートルより短い場合、繊維は、eベイピング装置の電池に最も近い貯蔵部の側面などの、貯蔵部の一つ以上の固定された位置で密集し得、従って十分にプレベイパー製剤を保持せず、結果的に漏れを介してプレベイパー製剤の損失の可能性につながる。繊維のそれぞれの長さが、約7ミリメートルより長い場合、繊維は他の繊維と絡み合う可能性があり、結果的に可動が少なくなり、eベイピング装置の動作中に、プレベイパー製剤は貯蔵部の外側部分から貯蔵部の内側部分および芯への流れを妨げられ、ヒーターによって加熱される。複数の繊維のそれぞれの長さはまた、例えば約5ミリメートルであってもよい。
【0010】
例示的な実施形態では、約30パーセントの複数の繊維が、約3ミリメートルの長さを有し、約50パーセントの複数の繊維が、約5ミリメートルの長さを有し、約20パーセントの複数の繊維が、約7ミリメートルの長さを有する。他の例示的な実施形態では、約20パーセントの複数の繊維が、約3ミリメートルの長さを有し、約75パーセントの複数の繊維が、約5ミリメートルの長さを有し、約5パーセントの複数の繊維が、約7ミリメートルの長さを有する。他の例示的な実施形態では、約30パーセントの複数の繊維が、約3ミリメートルの長さを有し、約60パーセントの複数の繊維が、約5ミリメートルの長さを有し、約10パーセントの複数の繊維が、約7ミリメートルの長さを有する。
【0011】
例示的な実施形態では、複数の繊維のそれぞれの直径は、約20マイクロメートル~約28マイクロメートルの範囲内である。例示的な実施形態では、繊維のそれぞれの直径が上記の範囲外にある場合、つまり約20マイクロメートルより小さいかまたは約28マイクロメートルより大きい場合、繊維はプレベイパー製剤を十分に保持するのを阻止されるか、または他の繊維と絡み合うために可動が少なくなるかのどちらかになり得る。その結果、繊維は可動が少なくなり、プレベイパー製剤の流れは、eベイピング装置の動作中に、ヒーターによって加熱されるようにするために、プレベイパー製剤が貯蔵部の外側部分から貯蔵部の内側部分および芯へ流れるのを妨げられる。例えば、複数の繊維の直径は、約24マイクロメートルであってもよい。
【0012】
例示的な実施形態では、複数の繊維の表面積は、約13平方インチ~約17平方インチの範囲内である。例示的な実施形態では、繊維のそれぞれの表面積が上記の範囲外にある場合、つまり約13平方インチより小さいかまたは約17平方インチより大きい場合、繊維はプレベイパー製剤を十分に保持するのを阻止されるか、または他の繊維と絡み合うために可動が少なくなるかのどちらかになり得る。その結果、繊維は可動が少なくなり、プレベイパー製剤の流れは、eベイピング装置の動作中に、ヒーターによって加熱されるようにするために、プレベイパー製剤が貯蔵部の外側部分から貯蔵部の内側部分および芯へ流れるのを妨げられる。例えば、複数の繊維のそれぞれの表面積は、約15平方インチであってもよい。
【0013】
eベイピング装置の製造方法の一例は、繊維がプレベイパー製剤溶液内に実質的に均質に配分され、懸濁液を形成するように、プレベイパー製剤溶液をポリマー繊維と混合すること、およびその懸濁液をeベイピング装置の貯蔵部内に注入することを含む。例示的な実施形態では、ポリマー繊維を含むプレベイパー製剤溶液は、別個に準備され、eベイピング装置の貯蔵部内の懸濁液として、その後注入される。
【0014】
例示的な実施形態では、プレベイパー製剤溶液およびポリマー繊維の懸濁液が、eベイピング装置の芯と接触しているとき、芯はプレベイパー製剤懸濁液から液体を吸収し得、eベイピング装置の動作が遂行される。
【0015】
例示的な実施形態では、風味剤、酸、芳香剤、他の成分、およびその組み合わせが、プレベイパー製剤懸濁液内に含まれてもよい。
【0016】
ポリマー繊維をプレベイパー製剤懸濁液内に含んで溶液を形成した結果、eベイピング装置のカートリッジの実用的な寿命は、ポリマー繊維をプレベイパー製剤溶液の懸濁液内に含まない他のeベイピング装置に比べて増加し得る。例えば、溶液のより大きな割合は、貯蔵部内の繊維のより良い分配により、繊維内に貯蔵されることができ、繊維内に貯蔵された溶液は、eベイピング装置の動作中、プレベイパー製剤溶液内の繊維の可動性により、より効率的に芯に移され、芯によって吸収される。
【0017】
例示的な実施形態の上記および他の特徴および利点は、例示的な実施形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明することによってさらに明らかとなる。添付の図面は、例示的な実施形態を描写することを意図したものであり、意図された特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。添付の図面は、明示的に注記されていない限り、実寸に比例して描かれていると考えられるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の側面図である。
図2図2は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の長手方向の断面図である。
図3図3は、eベイピング装置の別の例示的な実施形態の長手方向の断面図である。
図4図4は、eベイピング装置の別の例示的な実施形態の長手方向の断面図である。
図5A図5Aは、繊維基質を含まない貯蔵部の斜視図である。
図5B図5Bは、少なくとも一つの例示的な実施形態による、繊維基質を含む貯蔵部の斜視図である。
図6A図6Aは、少なくとも一つの例示的な実施形態による、複数の繊維を含む貯蔵部の断面である。
図6B図6Bは、少なくとも一つの例示的な実施形態による、複数の繊維を含む貯蔵部の断面である。
図7A図7Aは、複数の繊維を含まないeベイピング装置の貯蔵部の断面である。
図7B図7Bは、複数の繊維を含まないeベイピング装置の貯蔵部の断面である。
図8図8は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、ポリマー繊維を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの詳細な例示的な実施形態が本明細書で開示されている。しかしながら、本明細書に開示されている特定の構造面および機能面の詳細は、例示的な実施形態を説明することを目的とした単なる典型である。しかしながら、例示的な実施形態は、数多くの代替的な形態で具体化されることができ、本明細書に記載の実施形態のみに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0020】
従って、例示的な実施形態は、様々な修正および代替的形態が可能である一方で、その実施形態は例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明する。ところが、当然のことながら、開示された特定の形態に対する例示的な実施形態に限定する意図はなく、反対に、例示的な実施形態は、例示的な実施形態の範囲の中に収まるあらゆる修正、均等物、代替物が網羅される。同様の数字は、図の説明の全体で同様の要素を意味する。
【0021】
要素または層が別の要素もしくは層「の上にある」、「に接続される」、「に結合される」、または「を覆う」と言及される時、これはもう一方の要素もしくは層の上に直接ある、それに直接的に接続される、それに直接的に結合される、またはそれを直接的に覆う、あるいは介在する要素もしくは層が存在してもよいことが理解されるべきである。対照的に、要素が別の要素もしくは層「の上に直接ある」、「に直接的に接続される」、または「に直接的に結合される」と言及される時、介在する要素もしくは層は存在しない。同様の数字は、明細書の全体で同様の要素を指す。
【0022】
第一の、第二の、第三のなどという用語は、様々な要素、領域、層、またはセクションを記述するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素、領域、層、またはセクションはこれらの用語によって限定されないことを理解するべきである。これらの用語は、一つの要素、領域、層、またはセクションを別の要素、領域、層、またはセクションと区別するためにのみ使用される。それ故、下記で考察される第一の要素、領域、層、またはセクションは、例示的な実施形態の教示内容から逸脱することなく、第二の要素、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0023】
空間的関係の用語(例えば、「下に」、「下方に」、「下部」、「上方に」、「上部」、およびこれに類するもの)は、図中で図示する際に、一つの要素または特徴と他の要素または特徴との間の関係を説明しやすくするために本明細書で使用されてもよい。空間的関係の用語は、図に図示されている方向に加えて、使用時または動作時に装置の異なる方向を包含することが意図されていることを理解するべきである。例えば、図中の装置をひっくり返した場合、他の要素または特徴の「下方に」または「下に」と説明されている要素は、その後は他の要素または特徴の「上方に」方向付けられることになる。従って、用語「下方に」は上方および下方の両方の方向を包含する場合がある。装置は、他の方法で(90度回転して、または他の方向で)方向付けられる場合があり、本明細書で使用される空間的関係の記述語は適宜に解釈される。
【0024】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明する目的のみのものであり、例示的な実施形態の制限を意図しない。単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」は本明細書で使用される場合、複数形も含むことが意図されているが、文脈によって明らかにそうではないことが示される場合はその限りではない。本明細書で使用される時、「含む(includes)」、「含む(including)」「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」という用語は述べられた特徴、整数、工程、動作、または要素の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、またはこれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0025】
例示的な実施形態は、例示的な実施形態の理想的な実施形態の概略図(および中間構造)である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば製造技法または許容差の結果として得られた図の形状からの変化が予想される。従って、例示的な実施形態は、本明細書に図示された領域の形状を限定するものとして解釈されるべきでなく、例えば製造に起因する形状の逸脱を含む。従って、図に図示された領域は、本質的に概略的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を図示することを意図せず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図しない。同じ参照番号は、図面全体を通して、同じ要素を示す。
【0026】
他の方法で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当該技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。用語(一般的に使用されている辞書で定義された用語を含む)は、関連する技術分野の文脈でのそれらの用語の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、理想的なまたは過度に正式な意味で解釈されないが、本明細書で明示的にそのように定義されている場合はその限りではないことがさらに理解されるであろう。
【0027】
本明細書において「約」または「実質的に」という用語を数値と組み合わせて使用する場合、それに伴う数値が、明示した数値の前後±10パーセントの許容度を含むということを意図する。さらに、本明細書において百分率に言及する場合、それら百分率は重さ、すなわち重量百分率に基づくことが意図される。「最大~まで」という表現は、ゼロから、その表現した上限までの量およびその間にあるすべての値を含む。範囲を明記する場合、範囲はその範囲に収まるすべての値(例えば0.1パーセントずつに異なる値)を含む。その上、「一般に」および「実質的に」という単語が幾何学的形状に関連して使用される時、その幾何学的形状の正確さは要求されず、形状の許容範囲が本開示の範囲内であることが意図される。実施形態の管状要素は円筒形でもよいが、正方形、長方形、楕円、三角形およびその他などの他の管状の断面形態も意図されている。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ベイパー形成体」という用語は、使用時にベイパーの形成を促進し、かつベイパー発生装置の動作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性がある任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明する。適切なベイパー形成体は、プロピレングリコールなどの多価アルコール類の様々な組成物からなる。少なくとも一つの実施形態において、ベイパー形成体はプロピレングリコールである。
【0029】
図1は、例示的な実施形態による、eベイピング装置または「紙巻たばこ様(cigalike)」装置60の側面図である。図1では、eベイピング装置60は、ねじ接合部74で、または滑り嵌め、スナップ嵌め、戻り止め、クランプ、留め金またはこれに類するもののうちの少なくとも一つなどの他の接続構造によって相互に結合された、第一のセクションまたはカートリッジ70および第二のセクション72を含む。少なくとも一つの例示的な実施形態では、第一のセクションまたはカートリッジ70は、交換可能なカートリッジでもよく、また第二のセクション72は再使用可能なセクションでもよい。別の方法として、第一のセクションまたはカートリッジ70および第二のセクション72は、一つの部品として一体的に形成されてもよい。少なくとも一つの実施形態では、第二のセクション72は、その遠位端28にLEDを含む。
【0030】
図2は、eベイピング装置の例示的な実施形態の断面図である。図2に示すように、第一のセクションまたはカートリッジ70は、口側端挿入部20、毛細管18、および貯蔵部14を収容することができる。
【0031】
例示的な実施形態では、貯蔵部14は、内管(図示せず)の周りに巻き付けたガーゼを含んでもよい。例えば、貯蔵部14は、内側に巻き付けたガーゼを囲む外側に巻き付けたガーゼで形成されるか、またはこれを含んでもよい。少なくとも一つの例示的な実施形態では、貯蔵部14は、アルミナセラミックで形成されるか、またはばらの粒子、ばらの繊維、または織布もしくは不織布繊維の形態で、これを含んでもよい。別の方法として、貯蔵部14は、コットンもしくはガーゼなどのセルロース系材料、またはばらの繊維を束ねた形態のポリエチレンテレフタラートなどのポリマー材料で形成されるか、またはこれらを含んでもよい。貯蔵部14についてのより詳細な説明を以下に提供する。
【0032】
第二のセクション72は、電源12と、電源12を制御するように構成された制御回路11と、吸煙センサー16とを収容することができる。吸煙センサー16は、成人eベイピング装置使用者がeベイピング装置60で吸引する時に感知するように構成されており、これによって制御回路11を介して電源12の動作を引き起こして、貯蔵部14内に収容されたプレベイパー製剤を加熱して、これによりベイパーを形成する。第二のセクション72のねじ付き部分74は、第一のセクションまたはカートリッジ70に接続されていない時に、電池充電器に接続して電池または電源セクション12を充電することができる。
【0033】
例示的な実施形態では、毛細管18は、導電性材料から形成され、または導電性材料を含み、従って管18を通して電流を流すことによって独自のヒーターとなるように構成され得る。毛細管18は、毛細管18が経験する動作温度において必要な構造的完全性を維持しながらも、加熱、例えば抵抗加熱が可能であり、プレベイパー製剤とは反応しない任意の導電性材料であってもよい。毛細管18を形成するために適切な材料は、ステンレス鋼、銅、銅合金、フィルム抵抗性材料で覆われた多孔性のセラミック材料、ニッケル・クロム合金、およびその組み合わせのうちの一つ以上である。例えば、毛細管18はステンレス鋼毛細管18であり、毛細管18の長さに沿った直流電流または交流電流の通過のためにそれらに取り付けられる電気リード26を介してヒーターとして機能する。従って、ステンレス鋼毛細管18は、例えば抵抗加熱によって加熱される。別の方法として、毛細管18は、例えばガラス管などの非金属管でもよい。こうした実施形態では、毛細管18はまた、例えばガラス管に沿って配置されるステンレス鋼、ニクロームまたはプラチナワイヤなどの導電材料も含み、例えば抵抗的に加熱することができる。ガラス管に沿って配置される導電材料が加熱されると、毛細管18内に存在するプレベイパー製剤は、毛細管18内のプレベイパー製剤を少なくとも部分的に揮発させるのに十分な温度まで加熱される。
【0034】
少なくとも一つの実施形態では、電気リード26が毛細管18の金属部分に結合される。少なくとも一つの実施形態において、1本の電気リード26が毛細管18の第一の上流部分101に結合され、第二の電気リード26が毛細管18の下流の端部102に結合される。
【0035】
動作時、成人eベイピング装置使用者が、eベイピング装置を吸引する時、吸煙センサー16は、成人eベイピング装置使用者の吸引により生じた圧力勾配を検出し、制御回路11は、毛細管18に電力を供給することによって、貯蔵部14内に位置するプレベイパー製剤の加熱を制御する。毛細管18が加熱されると、毛細管18の加熱部分内に含まれるプレベイパー製剤が揮発されて出口63から放出され、ここでプレベイパー製剤が拡張し、空気と混合されて、混合チャンバー240内でベイパーを形成する。
【0036】
図2に示す通り、貯蔵部14は、貯蔵部14内にプレベイパー製剤を維持し、貯蔵部14が圧迫されて、そこに圧力が適用されると開くように構成された弁40を含み、成人eベイピング装置使用者が口側端挿入部20でeベイピング装置を吸引するとき、圧力が生成され、その結果、貯蔵部14が、貯蔵部14の出口62を通してプレベイパー製剤を毛細管18に押し出すことになる。少なくとも一つの実施形態では、臨界の最小圧力に達した時に弁40が開き、プレベイパー製剤が貯蔵部14から不注意に分与されることが回避される。少なくとも一つの実施形態では、圧力スイッチ44を押すのに必要な圧力は十分に高いので、圧力スイッチ44が物理的動作または外側の物体の衝突などの外的要因により不注意に押されることによる偶発的な加熱が回避される。
【0037】
例示的な実施形態の電源12は、eベイピング装置60の第二のセクション72内に配置された電池を含むことができる。電源12は、電圧をかけるように構成され、貯蔵部14内に収容されたプレベイパー製剤を揮発させる。
【0038】
少なくとも一つの実施形態では、毛細管18と電気リード26との間の電気接点は実質的に導電性、かつ温度抵抗性であり、一方で毛細管18は実質的に抵抗性があるので、発熱は接点ではなく主に毛細管18に沿って生じる。
【0039】
電源セクションまたは電池12は再充電可能であってもよく、外部充電装置による電池の充電を可能にする回路を含んでもよい。例示的な実施形態では、回路は充電されたとき、電子ベイピング装置の出口を介して所与の回数の吸引に対して電力を提供し、その後、回路は外部充電装置に再接続しなければならない可能性がある。
【0040】
少なくとも一つの実施形態では、eベイピング装置60は、例えばプリント基板上に搭載することができる制御回路11を含んでもよい。制御回路11は、装置が起動された時に発光するように構成されたヒーター作動灯27も含んでもよい。少なくとも一つの実施形態では、ヒーター作動灯27は、少なくとも一つのLEDを含み、eベイピング装置60の遠位端28にあって、ヒーター作動灯27が、電子ベイピング装置の出口を介して吸引中に、燃焼する石炭の外観をしたキャップを照らすようにする。さらに、ヒーター作動灯27は、成人eベイピング装置使用者から見えるように構成され得る。灯27はまた、所望に応じて、成人eベイピング装置使用者が灯27を有効化する、無効化する、または有効化と無効化の両方を行うことができるように構成することもでき、それによって灯27は所望に応じてベイピング中に有効化しない。
【0041】
少なくとも一つの実施形態では、eベイピング装置60は、少なくとも二つの軸から離れた分岐出口21を有する口側端挿入部20をさらに含み、分岐出口21は口側端挿入部20の周りに一様に分布され、eベイピング装置の動作中、成人eベイピング装置使用者の口内にベイパーを実質的に一様に分布するようにする。少なくとも一つの実施形態では、口側端挿入部20は、少なくとも二つの分岐出口21(例えば、3~8個以上の出口)を含む。少なくとも一つの実施形態では、口側端挿入部20の出口21は、軸から離れた通路23の端部に位置し、eベイピング装置60の長手方向に対して外向きの角度を有する(例えば、分岐状)。本明細書で使用される「軸から離れた」という用語は、eベイピング装置の長手方向に対してある角度を有することを意味する。
【0042】
少なくとも一つの実施形態では、eベイピング装置60は、たばこ由来の製品とほぼ同じサイズである。一部の実施形態では、eベイピング装置60は、約80ミリメートル~約110ミリメートルの長さ、例えば、約80ミリメートル~約100ミリメートルの長さおよび約7ミリメートル~約10ミリメートルの直径としうる。
【0043】
eベイピング装置60の外側円筒形ハウジング22は、適切な任意の材料または材料の組み合わせから形成されるか、これを含んでもよい。少なくとも一つの実施形態において、外側円筒形ハウジング22は、少なくとも部分的に金属で形成され、制御回路11と、電源12と、吸煙センサー16とを接続する電気回路の一部である。
【0044】
図2に示すように、eベイピング装置60は、プレベイパー製剤貯蔵部14および毛細管18を収容することができる中間セクション(第三のセクション)73も含んでもよい。中間セクション73は、第一のセクションまたはカートリッジ70の上流端でねじ接合部74’に嵌合されるように、および第二のセクション72の下流端でねじ接合部74に嵌合されるように構成することができる。この例示的な実施形態では、第一のセクションまたはカートリッジ70は口側端挿入部20を収容し、一方で第二のセクション72は電源12と、電源12を制御するように構成された制御回路11とを収容する。
【0045】
図3は、例示的な実施形態によるeベイピング装置の断面図である。少なくとも一つの実施形態では、毛細管18をクリーニングする必要性を回避するように、第一のセクションまたはカートリッジ70は交換可能である。少なくとも一つの実施形態では、第一のセクションまたはカートリッジ70と、第二のセクション72を、ねじ接続なしで一体として形成して、使い捨て可能なeベイピング装置を形成してもよい。
【0046】
図3に示すように、他の例示的な実施形態では、弁40は二方弁とすることができ、貯蔵部14は加圧することができる。例えば、貯蔵部14は、貯蔵部14に一定の圧力を印加するように構成された加圧機構405を用いて加圧することができる。そのため、貯蔵部14内に収容されているプレベイパー製剤の加熱によって形成されたベイパーの排出が促進される。貯蔵部14に対する圧力が軽減されると弁40は閉じ、加熱された毛細管18は、弁40の下流に残留しているプレベイパー製剤があれば放出する。
【0047】
図4は、eベイピング装置の別の例示的な実施形態の長手方向の断面図である。図4では、eベイピング装置60は、上流シール15内の中央空気通路24を含むことができる。中央空気通路24は、内管65に対して開く。さらに、eベイピング装置60は、プレベイパー製剤を貯蔵するよう構成された貯蔵部14を含む。貯蔵部14は、プレベイパー製剤および随意にその中にプレベイパー製剤を貯蔵するように構成される、ガーゼなどの貯蔵媒体25を含む。ある実施形態では、貯蔵部14は、外側管6と内管65との間の外側環状部の中に収容される。環状部は、プレベイパー製剤の貯蔵部14からの漏れを防止するために、シール15によって上流端部で、およびストッパー10によって下流端部でシールされる。ヒーターが起動される時、芯220の中央部分内に存在するプレベイパー製剤が気化されてベイパーを形成するように、ヒーター19は芯220の中央部分を少なくとも部分的に囲む。ヒーター19は、2本の間隙を介した電気リード26によって電池12へと接続される。eベイピング装置60は、少なくとも二つの出口21を有する口側端挿入部20をさらに含む。口側端挿入部20は、内管65の内部、およびストッパー10を通して延びる中央通路64を介して中央空気通路24と流体連通する。
【0048】
eベイピング装置60は、シール15内の中央空気通路24の下流端82において不浸透性プラグ30を含む、気流ダイバーターを含んでもよい。少なくとも一つの例示的な実施形態では、中央空気通路24は、シール15内の中央通路に軸方向に延在し、シール15は、外側管6と内管65との間の環状部の上流端を密封する。半径方向空気チャネル32は、中央通路20から内管65に向かって外側に空気を方向づける。動作時、成人eベイピング装置使用者が、電子ベイピング装置の出口を介してを吸引する時、吸煙センサー16は、電子ベイピング装置の出口を介して成人eベイピング装置使用者の吸引により生じた圧力勾配を検出し、その結果、制御回路11は、ヒーター19に電力を供給することによって、貯蔵部14内に位置するプレベイパー製剤の加熱を制御する。
【0049】
図5Aは、繊維基質を含まない貯蔵部の斜視図である。図5Aでは、eベイピング装置の典型的な貯蔵部14は、プレベイパー製剤溶液を貯蔵するように構成されたガーゼまたは他の繊維材料110を含み、プレベイパー製剤溶液は、芯220に伝送され、eベイピング装置の動作中、ヒーター19によって加熱される。典型的には、ガーゼまたは繊維材料110は、巻き付けた形態であってもよく、高密度ガーゼである内側ガーゼ、および拡散ガーゼである外側ガーゼを含んでもよい。内側ガーゼおよび外側ガーゼ110は、プレベイパー製剤を貯蔵するように構成されている。
【0050】
図5Bは、少なくとも一つの例示的な実施形態による、繊維基質を含む貯蔵部の斜視図である。図5Bでは、eベイピング装置の貯蔵部14は、プレベイパー製剤溶液(図示せず)を貯蔵するように構成されたガーゼまたは他の繊維材料210を含み、プレベイパー製剤溶液は、芯220に移され、eベイピング装置の動作中、ヒーター19によって加熱される。典型的に、ガーゼまたは繊維材料210は、巻き付けた形態であってもよく、例えば高密度ガーゼを含んでもよい。ガーゼ210は、プレベイパー製剤を含んでもよい。例示的な実施形態では、ガーゼ210は、複数の繊維230の長さに基づいて、実質的に互いに絡み合わないように構成された不溶性ポリマー繊維であってもよい、複数の繊維230の基質を含む。従って、複数の繊維230のそれぞれの長さは、繊維230の間の絡み合いが実質的に防止されるようなものである。例えば、複数の繊維230の長さは、約3ミリメートル~約7ミリメートルの範囲内であり得る。複数の繊維230の長さはまた、約5ミリメートルであってもよい。例示的な実施形態では、繊維230のそれぞれの長さが約3ミリメートルより短い場合、繊維230は、eベイピング装置(図示せず)の電池に最も近い貯蔵部14の側面などの、貯蔵部14の一つ以上の固定された位置で密集し得、従って十分にプレベイパー製剤を保持せず、結果的に漏れを介してプレベイパー製剤の損失の可能性につながる。繊維230のそれぞれの長さが、約7ミリメートルより長い場合、繊維230は他の繊維230と絡み合う可能性があり、結果的に可動が少なくなり得、eベイピング装置の動作中に、プレベイパー製剤は貯蔵部14の外側部分から貯蔵部14の内側部分および芯220へ流れるのを妨げられ、ヒーター19によって加熱される。
【0051】
例示的な実施形態では、約30パーセントの複数の繊維230が、約3ミリメートルの長さを有し、約50パーセントの複数の繊維230が、約5ミリメートルの長さを有し、約20パーセントの複数の繊維230が、約7ミリメートルの長さを有する。他の例示的な実施形態では、約20パーセントの複数の繊維230が、約3ミリメートルの長さを有し、約75パーセントの複数の繊維230が、約5ミリメートルの長さを有し、約5パーセントの複数の繊維230が、約7ミリメートルの長さを有する。他の例示的な実施形態では、約30パーセントの複数の繊維230が、約3ミリメートルの長さを有し、約60パーセントの複数の繊維230が、約5ミリメートルの長さを有し、約10パーセントの複数の繊維230が、約7ミリメートルの長さを有する。
【0052】
例示的な実施形態では、複数の繊維230の直径は、約20マイクロメートル~約28マイクロメートルの範囲内である。例示的な実施形態では、繊維230のそれぞれの直径が上記の範囲外にある場合、つまり約20マイクロメートルより小さいかまたは約28マイクロメートルより大きい場合、繊維230はプレベイパー製剤を十分に保持するのを阻止されるか、または他の繊維230と絡み合うために可動が少なくなるかのどちらかになり得る。その結果、繊維230は可動が少なくなり、プレベイパー製剤の流れは、eベイピング装置の動作中に、ヒーター19によって加熱されるようにするために、プレベイパー製剤が貯蔵部14の外側部分から貯蔵部14の内側部分および芯220へ流れるのを妨げられる。例えば、複数の繊維230の直径は、約24マイクロメートルである。
【0053】
例示的な実施形態では、複数の繊維230の表面積は、約13平方インチ~約17平方インチの範囲内である。例示的な実施形態では、繊維230のそれぞれの表面積が、上記の範囲外にある場合、つまり約13平方インチより小さく、または約17平方インチより大きい場合、繊維230は可動が小さくなり得、他の繊維230と絡み合う可能性があり、結果的に繊維230の可動が少なくなり、従って貯蔵部14の外側部分から貯蔵部14の内側部分および芯220へのプレベイパー製剤の流れを妨げ、eベイピング装置の動作中に、ヒーター19によって加熱される。例えば、複数の繊維230のそれぞれの表面積は、約15平方インチである。
【0054】
図6Aおよび6Bは、少なくとも一つの例示的な実施形態による、プレベイパー製剤溶液内に複数の繊維を含む貯蔵部の断面である。図6Aおよび6Bでは、eベイピング装置の動作中、eベイピング装置の貯蔵部14の半径方向の断面図である。図6Aでは、貯蔵部14が実質的にプレベイパー製剤溶液で満杯の状態を図示し、複数の繊維230は、プレベイパー製剤溶液を貯蔵するよう構成されたガーゼまたは他の繊維材料210内の貯蔵部14内に、実質的に均一に分布される。プレベイパー製剤溶液が貯蔵部14に含まれるとき、実質的にすべてのプレベイパー製剤溶液が複数の繊維230に吸収されるかまたは浸され、結果的に貯蔵部14内のプレベイパー製剤溶液の懸濁液となる。例示的な実施形態では、プレベイパー製剤溶液は、繊維230間のすきま空間内に閉じ込められる。その結果、プレベイパー製剤溶液は、実質的に貯蔵部14内に保持され、プレベイパー製剤溶液の流れは、実質的に貯蔵部14から意図せずに流れ出るのを防止する。従って、プレベイパー製剤溶液の浪費は、低減されるか、または実質的に防止される。
【0055】
図6Bは、プレベイパー製剤溶液が大部分使用され、貯蔵部14が実質的に空である状態を図示する。その結果、複数の繊維230および高密度ガーゼ210は圧縮され、結果として複数の繊維230により事前に浸され、または吸収されたプレベイパー製剤溶液の追加量を表現する。複数の繊維230と高密度ガーゼ210との圧縮は、しぼる動作に類似しており、複数の繊維230によって事前に浸された、または吸収されたプレベイパー製剤溶液の残りの量は、繊維230から吐き出され、芯(図示せず)に移され、ヒーター(図示せず)によって加熱されて、eベイピング装置から吸引される。その結果、貯蔵部14に繊維を含まないeベイピング装置よりも、eベイピング装置の動作中、多くのプレベイパー製剤溶液が使用され、プレベイパー製剤溶液の浪費は低減されるか、または実質的に防止される。
【0056】
様々な例示的な実施形態では、複数の繊維230およびガーゼ210は、図6Bに図示するように、貯蔵部14にわたって一つ以上の位置で、貯蔵部14の中心の周りに放射状に濃縮し、または融合し得る。しぼる動作は、融合場所のそれぞれで起こり得、結果的に残りのプレベイパー製剤溶液を複数の繊維230から吐き出すようにする。
【0057】
図7Aおよび7Bは、複数の繊維を含まないeベイピング装置の貯蔵部の断面である。図7Aおよび7Bでは、eベイピング装置の動作中、eベイピング装置の貯蔵部14’の半径方向の断面図である。図7Aでは、貯蔵部14’が、プレベイパー製剤溶液140で実質的に満杯になっており、プレベイパー製剤溶液140は、ガーゼまたは他の繊維材料110内に実質的に均一に分布される。図7Bは、プレベイパー製剤溶液140が大部分使用され、貯蔵部14’が実質的に空である状態を図示する。その結果、プレベイパー製剤溶液140は、ガーゼ110内の一つ以上の場所で、融合する。しかし、貯蔵部14’内の繊維の存在により形成されたしぼる効果の不在で、プレベイパー製剤溶液140の残量は、ガーゼ110から吐き出されず、芯(図示せず)へ移されて、ヒーター(図示せず)により加熱され、eベイピング装置から吸引される。
【0058】
図8は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、ポリマー繊維を図示したものである。図8では、ポリマー繊維230は、直径「d」および長さ「l」を有する、略長手形状を有してもよい。様々な例示的な実施形態では、ポリマー繊維230の直径「d」は、約20マイクロメートル~約28マイクロメートルの範囲内であり得る。さらに、様々な例示的な実施形態では、ポリマー繊維230の長さ「l」は、約3ミリメートル~約7ミリメートルの範囲内であり得る。繊維の表面積、つまり繊維の外部表面は、約13平方インチ~約17平方インチの範囲内であり得る。
【0059】
従って、例示的な実施形態を説明しており、これらは多くの方法で変形され得ることが明らかであろう。こうした変形は、例示的な実施形態の意図される範囲を逸脱するものと見なされず、当業者にとって明らかであろうすべての変更は、以下の請求項の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8