IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】自己注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20231016BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20231016BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
A61M5/158 500Z
A61M5/20 550
A61M5/142 522
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022174827
(22)【出願日】2022-10-31
(62)【分割の表示】P 2019558494の分割
【原出願日】2018-05-04
(65)【公開番号】P2022189966
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】62/502,278
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】アーノット、レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】バートン、スコット
(72)【発明者】
【氏名】バージェス、バート イー.
(72)【発明者】
【氏名】ジルダースリーブ、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ゴラルトチョウク、アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】グリグス、ブライアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ハルビック、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カネル、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ラングレー、トレバー
(72)【発明者】
【氏名】マリノ、アルフレッド
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/074850(WO,A1)
【文献】特表2005-524447(JP,A)
【文献】国際公開第2017/062938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 5/20
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入装置であって、
キャリヤと、
針と、
前記針に結合されたドライバであって、格納構成と展開構成との間で前記キャリヤに対して摺動可能である前記ドライバと、
前記格納構成と前記展開構成との間で前記ドライバを移動させるように、第1の方向において移動するよう構成されたシャトルと、
前記シャトルに結合された弾性部材と、
止め具であって、前記展開構成で前記ドライバを維持するように、前記第1の方向における前記シャトルの移動を妨害する第1の構成から、前記弾性部材の変形により前記シャトルを前記第1の方向においてさらに移動させることを許容し、前記ドライバを移動させて前記針を格納することを可能にする第2の構成へ移動するように構成された、前記止め具と、
前記キャリヤ及び前記ドライバに結合された1つまたは複数の駆動ギヤとを備え、
前記シャトルは、前記1つまたは複数の駆動ギヤに係合するように構成された1つまたは複数のラックギヤを含み、
前記1つまたは複数のラックギヤの前記1つまたは複数の駆動ギヤとの直接的な係合により、前記ドライバを前記格納構成から前記展開構成に移動させ、前記1つまたは複数のラックギヤの前記1つまたは複数の駆動ギヤとの直接的な係合により、前記ドライバを移動させて前記針を格納する、注入装置。
【請求項2】
前記シャトルが第1の位置から第2の位置へ、及び前記第2の位置から第3の位置へ移動可能であり、
前記シャトルが前記第1の位置にあるとき、前記ドライバが前記格納構成にあり、
前記シャトルが前記第2の位置にあるとき、前記ドライバが前記展開構成にあり、
前記シャトルが前記第3の位置にあるとき、前記針が格納されている、
請求項1に記載の注入装置。
【請求項3】
前記第1の位置と前記第3の位置が異なる、請求項2に記載の注入装置。
【請求項4】
前記シャトルが、前記第1の位置から前記第2の位置に、及び前記第2の位置から前記第3の位置に移動するために、軸に沿った一方向で移動する、請求項3に記載の注入装置。
【請求項5】
前記シャトルが、前記一方向にのみ移動するように構成される、請求項4に記載の注入装置。
【請求項6】
前記シャトルが、第1の軸に沿って移動するように構成され、前記ドライバが第2の軸に沿って移動するように構成され、前記第1の軸及び前記第2の軸が互いに垂直である、請求項1に記載の注入装置。
【請求項7】
障害物をさらに含み、起動前、前記ドライバが前記障害物と接触し、前記障害物によって前記ドライバが前記格納構成から動き出すことが妨げられる、請求項1に記載の注入装置。
【請求項8】
前記キャリヤを封入する筐体をさらに含み、前記障害物が前記筐体と一体である、請求項7に記載の注入装置。
【請求項9】
前記障害物に対する前記キャリヤの移動により、前記ドライバが前記障害物と接触しないように移動し、前記ドライバが、前記格納構成から前記展開構成に移動できるようにする、請求項8に記載の注入装置。
【請求項10】
前記ドライバが前記障害物と接触しないように移動した後、前記弾性部材は、第1の圧縮状態から第2の圧縮状態に伸長して、前記シャトルを第1の位置から第2の位置に移動させるように構成される、請求項9に記載の注入装置。
【請求項11】
前記止め具が前記第1の構成から前記第2の構成に移動された後、前記弾性部材が、前記第2の圧縮状態から休止状態に伸長して、前記シャトルを前記第2の位置から第3の位置に移動させるように構成される、請求項10に記載の注入装置。
【請求項12】
前記1つまたは複数の駆動ギヤは、第1の駆動ギヤ及び第2の駆動ギヤを含み、
前記第1の駆動ギヤは、前記ドライバを前記格納構成から前記展開構成に移動させるように構成され、
前記第2の駆動ギヤは、前記ドライバを移動させて前記針を格納するように構成されている、請求項1に記載の注入装置。
【請求項13】
前記1つまたは複数のラックギヤは、第1のラックギヤを含み、前記第1のラックギヤは、前記第1の駆動ギヤ及び前記第2の駆動ギヤの各々に係合するように構成されている、請求項12に記載の注入装置。
【請求項14】
前記ドライバは、第1のドライバラックギヤ及び第2のドライバラックギヤを含み、
前記第1の駆動ギヤは前記第1のドライバラックギヤに係合するように構成されるとともに、前記第2の駆動ギヤは前記第2のドライバラックギヤに係合するように構成されている、請求項12に記載の注入装置。
【請求項15】
前記第1の駆動ギヤ及び前記第2の駆動ギヤは、互いに反対方向に回転するように構成されている、請求項14に記載の注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に従って、2017年5月5日に出願された米国仮特許出願第62/502,278号の利益を主張し、その全体が本明細書に参照により援用される。
【0002】
本開示は、自己注射器(オート・インジェクタ)及び関連する使用方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
利用可能な多様な自己注射器においては、ユーザーによる起動時、針が展開され、流体が針からユーザーの中に送達される。流体送達の完了後、針はユーザーの快適さ、針の安全性、及び製品に対する肯定的認識のために格納されてよい。しかしながら、多くの自己注射器は、注入ステップ及び針除去ステップに別々のバネまたはモータを使用する。さらに、係る注入アセンブリは、概して針の挿入及び除去の両方のために別々のユーザー操作を必要とする。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は注入装置を対象とする。注入装置は、キャリヤ、針、針に結合されたドライバであって、格納構成と展開構成との間でキャリヤに対して摺動可能であるドライバ、格納構成と展開構成との間でドライバを移動するように構成されたシャトル、及び第1の構成から第2の構成に移動させるように構成された止め具を含み、止め具は、展開構成でドライバを維持するように構成され、止め具の第1の構成から第2の構成への移動が、シャトルが展開構成から格納構成へドライバを移動させることを可能にする。
【0005】
シャトルは、第1の位置から第2の位置に、及び第2の位置から第3の位置に移動可能であり、シャトルが第1の位置にあるとき、ドライバは格納構成にあり、シャトルが第2の位置にあるとき、ドライバは展開構成にあり、シャトルが第3の位置にあるとき、ドライバは格納構成にある。第1の位置及び第3の位置は異なる。シャトルは、軸に沿って一方向で移動して、第1の位置から第2の位置へ、及び第2の位置から第3の位置へ移動する。シャトルは、一方向のみで移動するように構成される。また、注入装置は、キャリヤに結合された展開ギヤ及びキャリヤに結合された格納ギヤも含み、ドライバは展開ギヤ及び格納ギヤに結合され、シャトルは展開ギヤ及び格納ギヤに係合するように構成されたラックギヤを含み、ラックギヤの展開ギヤとの直接的な係合は、格納構成から展開構成にドライバを移動させ、ラックギヤの格納ギヤとの直接的な係合は、展開構成から格納構成へドライバを移動させる。ラックギヤは、いかなる時点でも、展開ギヤ及び格納ギヤの一方だけに直接的に接触する。ラックギヤは、格納構成から展開構成へドライバを移動させるために第1の方向で展開ギヤの回転を駆動し、展開構成から格納構成へドライバを移動させるために第1の方向で格納ギヤの回転を駆動するように構成される。ドライバは、第1のラック及び第2のラックを含み、第1のラックは展開ギヤに係合するように構成され、第2のラックは、格納ギヤに係合するように構成される。第1のラック及び第2のラックは、ドライバの両側部に位置する。シャトルは第1の軸に沿って移動するように構成され、ドライバは第2の軸に沿って移動するように構成され、第1の軸及び第2の軸は互いに垂直である。ドライバは、起動前、障害物と接触しており、障害物により格納構成の中から出るのを妨げられる。また、注入装置は、キャリヤを封入する筐体も含み、障害物は、筐体と一体である。キャリヤの筐体に対する移動により、ドライバを障害物と接触しないように移動させ、ドライバが格納構成から展開構成に移動できるようにする。また、注入装置はシャトルに結合された弾性部材も含み、ドライバが障害物と接触しないように移動した後、弾性部材は第1の圧縮状態から第2の圧縮状態に伸長して、シャトルを第1の位置から第2の位置に移動させるように構成する。止め具は、第1の構成から第2の構成へ移動した後、弾性部材は、第2の圧縮状態から休止状態に伸長して、シャトルを第2の位置から第3の位置に移動させるように構成される。
【0006】
別の態様では、本開示は、止め具を含んだキャリヤを含む注入装置を対象とし、止め具は、キャリヤの残りの部分に固定された第1の端部と、自由な第2の端部と、キャリヤに結合された第1のギヤと、針と、キャリヤ、第1のギヤ、及び針に結合されたドライバであって、格納構成と展開構成との間でキャリヤに対して摺動可能であるドライバと、第1のギヤの回転を駆動するように構成されたラックギヤを含んだシャトルとを有し、第1のギヤの回転は、格納構成から展開構成にドライバを移動させ、止め具の自由な第2の端部は、ドライバが展開構成にある間、シャトルの移動を少なくとも一時的に妨げるように構成される。
【0007】
注入装置は、キャリヤに結合された第2のギヤをさらに含み、自由な第2の端部がシャトルと接触している間、止め具の固定された第1の端部の回りでの屈曲により、シャトルを止め具に対して摺動させ、第2のギヤの回転を駆動させ、第2のギヤの回転により、ドライバを展開構成から格納構成に移動させる。
【0008】
別の態様では、本開示は、格納構成と展開構成との間で移動可能な針、針と流体連通するように構成されたバイアル、バイアルの中で移動するように構成されたピストン、ピストンを駆動するように構成されたモータ、及びモータに結合されたコントローラを含む注入装置を対象とし、コントローラは、注入装置がユーザーと接触して配置されている旨の表示を受け取り、表示を受け取った後、ピストンを第1の方向で駆動して針及びバイアルを流体連通させ、針を格納構成から展開構成に移動させるようにモータに信号を送信し、表示を受け取った後にユーザーによるどのような介入も必要とせず、及び第1の方向でモータを駆動するために信号を送信した後、ピストンを第2の方向で駆動して、針を展開構成から格納構成に移動させるようにモータに信号を自動的に送信するように構成される。
【0009】
注入装置は、針が格納構成にあるとき、バイアル、ピストン、モータ、コントローラ、及び針を封入する筐体をさらに含み、針は、展開構成で筐体の中から引き出される。注入装置は、格納構成で針の最末端(distalmost)部分を含むカバーまたはシールドを含んでよい。注入装置は、音声モジュール、視覚モジュール、及び触覚モジュールを含んでよく、モジュールのそれぞれはコントローラに結合され、注入装置のユーザーにフィードバックを提供するように構成される。注入装置は、バイアルの開口部を密封する上部を含んでよく、上部は、滅菌剤を通すゴム材料を含んだ部分を含み、針は、バイアルと結合するように構成された最近端(proxialmost)部分を含み、針及びバイアルが互いに流体連通する前に、針の最近端部分は、ゴム材料から形成される部分の中に配置される。注入装置は、コントローラに結合され、針によって移動可能であるカンチレバーを含んでよく、針が格納構成にあるとき、カンチレバーは、針が格納構成にあることをコントローラに信号で知らせる開回路の部分を形成し、針が展開構成にあるとき、カンチレバーは、針が展開構成にあることをコントローラに信号で知らせる閉回路の部分を形成する。
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書一部を構成する添付図面は、多様な例を示し、説明とともに、開示された例及び実施形態の原則を説明するのに役立つ。
本開示の態様は、添付図面に示された実施形態との関連で実施されてよい。これらの図面は、本開示の異なる態様を示し、適切な場合、異なる図で類似する構造、構成要素、材料、及び/または要素を示す参照番号は、同様に名前を付けられる。明確に示されている構造、構成要素、及び/または要素以外の構造、構成要素、及び/または要素の多様な組み合わせは、本開示の範囲内で意図され、本開示の範囲内にあることが理解される。
【0011】
さらに、本明細書に説明され、図示される多くの実施形態がある。本開示は、任意の単一の態様にも、その実施形態にも、係る態様及び/または実施形態の任意の組み合わせ及び/または入れ替えにも限定されていない。さらに、本開示の態様及び/またはその実施形態のそれぞれは、単独で、または本開示の他の態様及び/またはその実施形態の1つ以上との組み合わせで利用されてよい。簡単にするために、特定の入れ替え及び組み合わせは、本明細書で別々に説明及び/または図示されない。とりわけ、本明細書に「例示的」として説明される実施形態または実施態様は、例えば他の実施形態または実施態様よりも好ましいまたは有利と解釈されるべきではない。むしろ、実施形態(複数可)が「例の」実施形態(複数可)であることを反映または示すことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一例に係る自己注射器の斜視図である。
図2図1の自己注射器の底面図である。
図3】組織に面する表面から離れて引き出される起動スイッチを示す、図1の自己注射器の側面図である。
図4図1の自己注射器の分解図である。
図4A図1の自己注射器の制御システムの概略図である。
図4B】本開示に係る自己注射器の分解図である。
図4C】本開示の態様に係る、筐体及び電子ボードの一部分の斜視図である。
図5】針機構の分解図である。
図6】第1の位置にある図5の針機構の斜視図である。
図7図5の針機構の側面図である。
図8図5の針機構の側面図である。
図9図5の針機構の側面図である。
図10図5の針機構の側面図である。
図11図5の針機構の側面図である。
図12図1の自己注射器の一部分の側面断面図である。
図13】穿孔機構の側面断面図である。
図14】穿孔機構の側面断面図である。
図14A】代替穿孔機構で使用されるキャップの断面図である。
図15】針挿入スイッチの側面図である。
図16】本開示に係る例示的な方法のフローチャートである。
図17】本開示の他の例に係る針機構を示す。
図18】本開示の他の例に係る針機構を示す。
図19】本開示の他の例に係る針機構を示す。
図20】本開示の他の例に係る針機構を示す。
図21】本開示の他の例に係る針機構を示す。
図22】本開示の他の例に係る針機構を示す。
図23】本開示の他の例に係る針機構を示す。
図24図1の自己注射器及び針シールドの断面図である。
図25図24の一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
再び、本明細書で説明され、図示される多くの実施形態がある。本開示は、任意の単一の態様にも、その実施形態にも、係る態様及び/または実施形態の任意の組み合わせ及び/または入れ替えにも限定されていない。本開示の態様、及び/またはその実施形態のそれぞれは、単独で、または本開示の他の態様及び/またはその実施形態の1つ以上との組み合わせで利用されてよい。簡単にするために、それらの組み合わせ及び入れ替えの多くは、本明細書で別々に説明されない。
【0014】
とりわけ、説明を簡略且つ明確にするために、図の特定の態様は、多様な実施形態の一般的な構造及び/または構築の方法を示す。周知の特徴及び技術の説明及び詳細は、他の特徴を不必要に分かりにくくするのを回避するために省略されてよい。図中の要素は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、いくつかの特徴の寸法は、例の実施形態の理解を高めるために他の要素に対して誇張される場合がある。例えば、当業者は、断面図が原寸通りに描かれておらず、異なる構成要素間の比例関係を表すとして見られるべきではないことを理解する。断面図は、示されるアセンブリの多様な構成要素を図示するのに役立ち、互いに対するその相対的な配置を示すために提供される。
【0015】
ここで、添付図面に示される本開示の例を詳細に参照する。可能な限り、同じまたは類似する部分を参照するためには図面を通して同じ参照番号が使用される。続く説明では、例えば「約(about)」、「実質的に(substantially)」、「約(approximately)」他等の相対的な語は、記載される数値の±10%の考えられる変動を示すために使用される。
【0016】
上述したように、既存の自己注射器は、多くの場合、例えば、針を展開するため、及びその後、薬物送達後に針を格納するための別々のユーザーの介在等を含んだ、薬物を自己投与するために複数のユーザーの介在を必要とする。これらの追加のステップは、薬物の自己投与の複雑さを増し、ユーザーのエラーを生じさせ、ユーザーの不快感を引き起こす場合がある。したがって、本開示は、薬物または他の治療薬のユーザーによる自己投与を簡略化する注入装置(例えば、自己注射器)の多様な実施形態を対象とする。具体的には、特定の実施形態によれば、自己注射器は、いったん針がユーザーの中へ皮下に差し込まれると、針を引き出すための追加のユーザーの介入を必要としない場合がある。したがって、本開示の自己注射器は、誤用またはユーザーエラーを妨げるのに役立つために簡略化される。
全体的なシステム
係る自己注射器2の例は、図1図4に示される。自己注射器2は、組織係合(底)面4を有する筐体3を含んでよく、針は、該組織係合面を通して展開され、開口部6(図2)を介して格納されてよい。起動スイッチ1409(図2)は、組織係合面4上に配置されてよく、自己注射器2を起動する、またはそれ以外の場合自己注射器2を「準備完了」モードに入れるように構成されてよい。また、タッチセンサ1410(図2)は、組織係合面4に配置されてよく、自己注射器2のコントローラが、自己注射器2が(自己注射器が針を発射またはそれ以外の場合展開すべきであることを示す)ユーザーの皮膚上に配置されるかどうか、または(自己注射器2の動作が停止されるべきであることを示す)起動スイッチ1409が適切にトリガされたのかどうかを判断するのに役立つように構成されてよい。起動スイッチ1409及びタッチセンサ1410は、図4Aに関して以下にさらに詳細に説明される。また、接続ポート13は、自己注射器2のプログラミングを容易にするために組織係合面4に配置されてもよい。筐体3は、見る人が、筐体3の中に配置された1つ以上のディスプレイまたはLED52(図4Bを参照)を視覚化できるようにするために透明なウィンドウ50を含んでよく、(例えば、スピーカによって)筐体3の中で生成される音の移動を容易にするように構成された複数の開口部51を含んでもよい。LED52は、環状の構成でまたは他の適切な構成で配置されてよい。自己注射器2は、携帯性及びユーザーによるセルフアタッチメント(self-attachment)を可能にするために適した任意の適切な寸法を有してよい。一例では、自己注射器2は、約2.98インチの長さ、約2.07インチの幅、及び約1.07インチの高さを有する場合がある。しかしながら、例えば約0.5インチから約5.0インチの長さ、約0.5インチから約3.0インチの幅、及び0.5インチから約2.0インチの高さを含んだ他の適切な値も利用されてよい。
【0017】
自己注射器2は、長手方向軸40(例えば、X軸)、長手方向軸40に実質的に垂直である側面方向軸42(例えば、Y軸)、及び長手方向軸40と側面方向軸42の両方に実質的に垂直である垂直軸44(例えばZ軸)の回りで配向されてよい。
【0018】
接着パッチ12は、ユーザーの体(例えば、皮膚)に自己注射器2を固定するのに役立つために組織係合面4に結合されてよい。接着パッチ12は、布地または他の適切な材料から形成されてよく、接着剤を含んでよい。接着剤は、水性もしくは溶媒ベースの接着剤であってよい、または例えばホットメルト接着剤であってよい。また、適切な接着剤は、天然エラストマ及び合成エラストマだけではなく、アクリル系、デキストリン系、及びウレタン系の接着剤も含む。いくつかの例では、パッチ12上に設けられる接着剤は、ユーザーの皮膚との接触時に賦活されてよい。また別の例では、パッチ12は、不織ポリエステル基板及びアクリル接着剤またはシリコン接着剤を含んでよい。パッチ12は、例えば両面接着剤によって、または超音波溶接のような他の機構によって筐体3に接合されてよい。パッチ12は、自己注射器2の幅よりも大きい長さ寸法を有してよい。
【0019】
針機構
図5図11を参照すると、針機構20は、第1の位置(図6)と第2の位置(図7)との間で筐体3の中で移動可能(例えば、摺動可能)であるキャリヤ202を含む。また、針機構20は、キャリヤ202に取り付けられ、ユーザーの中に展開されてよく、ドライバ320によって格納される流体管300を含んでもよい。シャトル340(例えば、シャトルアクチュエータ)は、展開ギヤ360及び格納ギヤ362を介してドライバ320を移動させるように構成されてよい。シャトル340は、弾性部材(例えば、バネ370)に結合されてよい。カバー380(図5)は、針機構20の多様な構成要素を封入するためにキャリヤ202に結合されてよい。
【0020】
図5を参照すると、流体管300は、第1の端部302から第2の端部304へ伸長してよい。第1の端部302は、ユーザーに注入されるように構成される針306を含んでよい。針306は、鋭い及び/または傾いた先端を含んでよく、概して軸44に沿ってまたは軸44に平行に伸長してよい。第2の端部304は、針306に実質的に類似する針308を含んでよいが、(図13に示され、以下にさらに詳細に説明される)バイアル1302を貫通してユーザーの中に注入される薬物にアクセスするために自己注射器2の中に配置されてよい。流体管300は、軸40に沿ってまたは軸40に平行に伸長する第1の部分及び軸40に沿ってまたは軸40に平行な第2の部分を含んだ中間部310を含んでよい。中間部310の第1の部分及び第2の部分は、ユーザーの中への展開中及びユーザーの中からの格納中に流体管300の屈曲及び針306の軸44に沿った移動を容易にするコイル312で接合されてよい。コイル312が示されるが、流体管300の屈曲を可能にする、例えば曲がりくねった形状、曲線状の形状、または他の形状等の他の適切な形状も意図される。コイル312、または類似する構造は、針306が展開及び/または格納されると、カンチレバーの機能を果たしてよい。また、コイル312は、流体管300を図5に示される展開構成に偏らせてよい。針308がバイアル1302を貫通し、バイアル1302との流体連通を確立すると(例えば、図14を参照すること)、薬物は、バイアル1302から、針308、中間部310、及び(ユーザーの皮膚を通って穿孔される)針306を通って、及びユーザーの中に移動してよい。いくつかの例では、流体管300は、金属のみまたは金属合金を含んでよい。他の例では、流体管300は、例えばポリマー等の任意の他の適切な材料を含んでよい。針308及び中間部310は、22ゲージまたは23ゲージの薄肉針を画定してよい。一方、針306は27ゲージの針であってよい。また、例えば、6ゲージから34ゲージに及ぶ他の針のサイズは、必要に応じて利用されてよい。流体管300は、薬物と接触する材料の量を削減し、ジョイント及びアセンブリステップを削減し、従来の装置よりも少ない滅菌を要する場合がある。
【0021】
キャリヤ202は、プラスチック(例えば、射出成形プラスチック)、金属、金属合金等から形成されてよく、開口部206、並びにポスト210及び212を有するフランジ204を含んでよい。また、キャリヤ202は、針または他の流体管がそれを通して展開されてよい開口部216を含んでもよい。開口部216は、キャリヤ202の端面から奥まったところに置かれる長穴であってよい、または代替実施形態では、開口部216の外周の全体はキャリヤ202の材料によって画定されてよい。また、キャリヤ202は、ドライバ経路218も含む。ドライバ経路218は、軸44に沿ってまたは軸44に平行に伸長するキャリヤ202内の長穴であってよい。ドライバ経路218は、例えば以下にさらに詳細に説明される突起330等のドライバ320の突起を受け入れるように構成されてよい。また、キャリヤ202は、以下にさらに詳細に説明されるように、それに沿ってシャトル340が移動してよいシャトル経路220を含んでよい。
【0022】
キャリヤ202は、シャトル340に係合するように構成される止め具240を含んでもよい。止め具240は、固定端部241(図8)及び自由端部242(図8)を有するカンチレバーであってよい。止め具240は、(図12を参照して説明される)ランプ1500によって係合されるとき、または押されるとき、止め具240を固定端部241の回りで偏向させる傾いたランプ243(図9及び図12)を含んでよい。第1の位置では、自由端部242は、シャトル340の移動をブロックする、またはそれ以外の場合妨害する場合があり、第2の構成で、シャトル340の移動を可能にしてよい。止め具240とシャトル340の関係は、本願で以下にさらに詳細に説明される。
【0023】
ドライバ320は、互いに平行で、ドライバ320の両側部に配置された2つの(図8に示される)ラック322及び324を含む。ラック322及び324は、歯を含んでよく、それぞれ展開ギヤ360及び格納ギヤ362の回転と係合し、回転を駆動するように構成されてよい。ドライバ320は、流体管300の針306を受け入れるように構成されるルーメン326(つまりトラック、凹部、または他の適切な構造)(図5)を含んでよい。また、ドライバ320は、キャリヤ202のドライバ経路218の中で摺動するように構成される突起330(図6及び図7)を含んでもよい。突起330は、以下にさらに詳細に説明されるように、障害物600を「捕まえる」ことができるフック状の構成を含んでよい。
【0024】
図5を続けて参照すると、シャトル340は、ギヤ360及び362に係合するように構成されたラック342を含んでよい。また、シャトル340は、端面344、及びラック342と同じ方向でシャトル340の長さに沿って延在する凹部346も含んでよい。長穴348(図9)は、凹部346の長さに沿って伸長してよい。長穴348は、凹部346の中央を通って伸長してよく、凹部346の全体または実質的に全体に沿って延在してよい。
【0025】
シャトル340は、第1の開始位置(図8)から第2の中間位置(図9及び図10)へ、及び第2の位置から(図11の第2の構成と第3の構成との間に示される)第3の最終位置へトラック220に沿って移動してよい。シャトル340がトラック220に沿って移動するにつれ、ラック342は、最初に展開ギヤ360に係合し、次いで格納ギヤ362に係合してよい。特定のときに、ラック342は、どんなときでも展開ギヤ360及び格納ギヤ362の多くても1つに係合する。ラック342が展開ギヤ360と格納ギヤ362との間で長手方向に配置されるとき等、いくつかの例では、ラック342は展開ギヤ360及び格納ギヤ362のどちらかと係合されない。シャトル340は、1つの軸(例えば、軸40)に沿ってのみ、及び1つの軸に沿った一方向だけで移動するように構成されてよい。トラック220に沿ってシャトル340を移動するために必要とされる力は、バネ370の伸長によって提供されてよい。バネ370は、休止状態から圧縮されてよく、バネ370の伸長は、上記に説明された一連の位置/構成を通してトラック220に沿ってシャトル340を移動させてよい。シャトル340の多様な位置では、自己注射器2の異なる特徴が、直接的にまたは間接的に、シャトル340の移動をブロックする場合がある。
【0026】
図8に示されるシャトル340の第1の位置は、自己注射器2の未使用の状態、未展開の状態、及び/または新しい状態に対応する場合がある。この第1の位置では、ドライバ320は未展開状態にあってよい。シャトル340は、ドライバ320の経路(図6)内の障害物600の配置によって第1の位置に維持される。筐体3のシェルフまたは別の適切なブロック装置であってよい障害物600は、突起330に係合する及び/または保持することによってドライバ320の移動を妨げてよい。したがって、ドライバ320、展開ギヤ360、及びラック342は互いに結合されるため、ドライバ320の遮断もシャトル340の移動を妨げる。シャトル340は、キャリヤ202に対して障害物600を移動させること(またはその逆)によって第1の位置から第2の位置に移動してよい。一例では、キャリヤ202は、障害物600が静止したままである間に(例えば、図6の左に)移動される。
【0027】
ドライバ320の経路が障害物600(図7)を含まないとき、バネ370は伸長し、トラック220に沿ってシャトル340を移動させてよい。シャトル340のこの線形移動は、ラック342を介して左回りに(または他の例では右回りに)展開ギヤ360を回転させてよく、展開ギヤ360の回転は、ドライバ320のラック322を介して、軸44に沿って下方にドライバ320を移動させてよい。ドライバ320のこの下方の移動は、針306にユーザーの皮膚を穿孔させる。いくつかの例では、ドライバ320は、軸44だけに沿って、キャリヤ202に対して移動するように構成されてよい。
【0028】
シャトル340は、シャトル340が図9及び図10に示される第2の位置に維持されるように、その端面344が止め具240の自由端部に当接するまで、バネ370の伸長によって移動されてよい。この点で、自由端部242は、バネ370の追加の伸長、及びトラック220に沿ったシャトル340の追加の移動を妨げてよい。この第2の位置で、流体管300は、ユーザーの中で展開されてよく、バイアル1302からの流体は、針306を介してユーザーの中に注入されてよい。さらに、シャトル340は第2の位置にある間、ラック342は、針306を展開構成に維持するために展開ギヤ360と係合されてよい。シャトル340は、その固定端部241の回りでの止め具240の屈曲によって第2の位置から第3の位置に移動してよい。この屈曲、図12図14に関して以下にさらに詳細に説明される。止め具240の屈曲は、バネ370が伸長し続け、シャトル340をさらにトラック220に沿って駆り立てることを可能にしてよい。いくつかの例では、止め具240は、シャトル340の凹部346によって及び/またはシャトル340の凹部346の中で受け入れられてよく、ランプ243は、シャトル340が第2の位置から第3の位置に移動するにつれ長穴348の中で摺動してよい。
【0029】
第2の位置から第3の位置へのシャトル340の移動は、ユーザーから筐体3の中への針306の格納に対応してよい。特に、ラック342は、格納ギヤ362と係合し、展開ギヤ360が回転されるにつれ、同じ方向で(例えば、左回りでまたは右回りで)格納ギヤ362を回転させてよい。格納ギヤ362の回転は、ドライバ320を、ラック324を介して格納位置に駆り立てて戻してよい。シャトル340は、その端面344がキャリヤ202の壁に係合するとき、止め具240の自由端部242が凹部346の端部に達するとき、及び/またはバネ370が休止状態に達するとき、ドライバ320が完全に格納される第3の位置に到達してよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、ドライバ320は展開状態から格納状態に後退すると、ドライバ320は、格納状態から出ることを妨げられてよい。結果として、針306は、ユーザーの中への再展開から妨げられる。この構成では、自己注射器2は、使い捨ての装置(例えば、1回の注入完了後に廃棄される)であってよい。他の実施形態では、自己注射器2は、リセットされ、再利用され得る。さらに、展開ギヤ360及び格納ギヤ362は、いくつかの例では、自己注射器2の中に配置された回転ギヤにすぎない場合がある。
穿孔システム及び滅菌コネクタ
図13及び図14は、自己注射器2の穿孔システム1300の特徴を示す。例示的な穿孔システムの追加の詳細は、2016年9月15日に公開されたArnottらに対する米国特許出願公開第2016/0262984 A1号に記載される場合があり、参照によりその全体が本明細書に援用される。穿孔システム1300は、一次容器、チャンバ、注射器、カートリッジ、または第1の端部1304及び第2の端部1306を有するバイアル1302を含む。また、バイアル1302は、第1の端部1304で開かれ、第2の端部1306に向かって伸長する空洞1308を含んでもよい。第2の端部1306は、ネック1310に係合して、第2の端部1306を閉じるキャップ1312を有するネック1310を含んでよい。隔壁1314は、第2の端部1306を閉じることを支援し、針308(例えば、刺された(staked)針)をバイアル1302の中に挿入できるようにするためにバイアル1302とキャップ1312との間に配置されてよい。空洞1308は、ピストン1316によって第1の端部1304で閉じられてよい。
【0031】
任意の他の適切な体積(例えば、1mL~50mL、または2mL~10mL、または3mL~6mL、または2mL~5mL、または別の適切な範囲)も送達される薬物に応じて利用されてよいが、バイアル1302は、いくつかの例では5mLの容量を有してよい。他の例では、バイアル1302は、1mL以上、または2mL以上、または3mL以上、または4mL以上、または5mL以上の容量を有してよい。バイアル1302は、ユーザーへの注入のために薬物を含み、保存してよく、薬物の無菌性を維持するのに役立つ場合がある。バイアル1302は、直径13mmのネック、45mmの長さ、及び19.05mmの内径を有してよい。これらの値は単に例示的であり、他の適切な寸法は、必要に応じて利用されてよい。いくつかの例では、バイアル1302は、従来の材料を使用し、形成されてよく、既存の装置よりも短い場合があり、これは自己注射器2が費用効率が高く、小型のままとなるのに役立つ場合がある。バイアル1302は、短くされたISOの10mLのカートリッジであってよい。
【0032】
隔壁1314は、コーティングされていないブロモブチル材料、または別の適切な材料を含んでよい。ピストン1316は、フッ素重合体でコーティングされたブロモブチル材料を含んでよく、バイアル1302の中の死容積を削減するのに役立つために円錐形の突端1316aを含んでもよい。ピストン1316は、他の材料の中でも、例えばハロブチル(例えば、ブロモブチル、クロロブチル、フルオロブチル)及び/またはニトリル等の1つ以上のゴム材料を含んでよい。
【0033】
また、穿孔システム1300は、第2の端部1306に配置された上部1354を含んでもよい。上部1354は、隔壁1314及びバイアル1302の開口部の上に配置された基部1355を含んでよい。上部1354は、ピストン1316から離れる方向で基部1355から延在するチャンバ1356を含んでよい。チャンバ1356は、空洞1357を画定し、空洞1357と連通する開口部1358を含む。いくつかの実施形態では、上部1354は、隔壁1314と一体化されてよい(例えば、一体または上下続きの構造)。代替実施形態(不図示)では、上部1354は、流体管300の上に設けられてよい、または当初、流体管300上で組み立てられ、バイアル1302上に/バイアル1302と直接的に設置及び/または隔壁1314と統合されていない場合がある。
【0034】
例えば針308、管等の流体管300の一部分は、事前に起動された状態で基部1355を通してではなく、チャンバ1356の開口部1358を通って、及び空洞1357の中に延在してよい。開口部1358は、事前に形成されてよい、またはチャンバ1356を通る針308の貫通によって形成されてよい。チャンバ1356の開口部1358は、病原体または他の汚染物が空洞1357の中に移行するのを妨げられるように、針308の回りで滅菌摺動シールを形成してよい。針308は、その間の滅菌シールを中断させることなく、上部1354に対して移動できる。空洞1357は、空洞1357の内面及び針308が滅菌であるように滅菌または無菌であってよい。別の実施形態では、空洞1357は、針308が開口部1358を通して及び空洞1357の中に挿入された後、滅菌されてよい。代替実施形態では、上部1354よりむしろ、回旋状の撓みやすい(例えば、ゴム)ベローズまたはブラダー部材が空洞1357を形成し、針308に対するバイアル1302(またはその逆)の並進を可能にしてよい。また、可撓部材は、滅菌後、針308の回りで空洞1354を密封または形成してもよい。
【0035】
図14Aに示される代替実施形態では、上部1354aは、上部1354の代わりに穿孔システム1300と使用されてよい。上部1354aは、バイアル1302の開口部上に配置された栓1356a及び基部1355aを含んでよい。栓1356aは、ピストン1316から離れる方向で基部1355aから伸長してよい。事前に起動された状態で、針308は、栓1356aの中に配置されてよい。栓1356aは、任意の穴、空洞、または開口部を書いており、第1のゴム材料から形成されてよい固体の栓から形成されてよい。第1のゴム材料は、例えばエチレンオキシドまたは蒸発した過酸化水素等の殺菌ガスを通してよい。第1のゴム材料は、とりわけイソプレン、エチレンプロピレンジエンモノマー(Mクラス)ゴム(EPDM)、及びスチレンブタジエンのうちの1つ以上を含んでよい。第1のゴム材料の殺菌ガスに対する浸透性は、栓1356aの中に配置される針308を、使用前に滅菌することを可能にしてよい。栓1356aは、針308の回りで成形されてよく、これにより針308は栓1356aの中に突き刺される。基部1355aの殺菌ガスに対する不浸透性は、バイアル1302の中に含まれる薬物の汚染及び/または変質を妨げてよい。基部1355aは、とりわけ例えばハロブチル(例えば、ブロモブチル、クロロブチル、フルオロブチル)及び/またはニトリル等の不浸透性のゴムを含んでよい。
【0036】
ピストン1316は、第2の端部1306に向かう方向でピストン1316及びバイアル1302を並進させるように構成される並進機構1366に結合されてよい。ピストン1316の第2の端部1306への移動は、ピストン1316をバイアル1302の中の内容物(例えば、薬物、薬剤)に対して作用させ、このことが最終的にバイアル1302の第2の端部1306に対する力を伝達し、バイアル1302を長手方向軸40に沿って移動させる。並進機構1366は、5段階ギヤ減速(360:1)を有する12mmのモータを含んでよい。並進機構1366は、関連付けられたプリント基板(例えば、第1の電子ボード1402)との電気接続を生じさせるバネ接点を有してよい。モータは、36rpmで約136mN*mのトルクを生じさせるように構成されてよい。モータのこれらの設計パラメータは単に例示的であり、任意の他の適切なモータが利用されてもよい。
【0037】
並進機構1366は、長手方向軸40の回りの相対的な回転時に軸に沿って伸長するピストン1316に結合された主ネジ機構を含んでよい。この伸縮式の主ネジは、100N出力、20mmストローク、及びピッチが0.75mmの7°/45°のバットレススレッド形状を有してよい。主ネジ機構用の材料は、アセタール及びポリブチレンテレフタレートを含んでよい。主ネジ機構は、ピストン1316の後方のデッドスペースを削減するためにピストン1316の中で伸長してよい。ピストン1316は、長手方向に離間されたスレッドとともに図13及び図14で示されるが、いくつかの例では、係るスレッドは存在しない場合もある。別の例示的な実施形態(不図示)では、並進機構1366は、ピストン1316を移動させるためにユーザーによって手動で操作される、手動で係合可能な面または部材を含んでよい。例えば、穿孔システム1300は、ピストン1316の背面に結合されたカートリッジまたはプランジャを含んでよい。別の例示的な実施形態(不図示)では、並進機構1366は、ピストン1316を移動させるためにユーザーによって作動または始動される空気圧ドライブ部材または油圧ドライブ部材を含んでよい。ドライブ部材は、例えば伸長するベローズ、伸長するブラダー、伸長するダイヤフラム、または摺動するシールもしくはピストンの形をとってよい。直接的な空気圧または油圧は、ピストン1316を移動させるために必要とされる力を提供してよい。
【0038】
また、穿孔システム1300は、第2の端部1306に結合または固定されたカラー1390も含む。カラー1390は、ネック1310に係合し、ネック1310を取り囲む複数の円周上に間隔をあけて置かれたフィンガー1392を含んでよい。カラー1390は、固定されてよい、またはそれ以外の場合第2の端部1306に結合されてよい。カラー1390は、少なくとも部分的にネック1310、第2の端部1306の開口部、キャップ1312、隔壁1314、及び/または上部1354の回りに延在する壁1390aを含んでよい。カラー1390の壁1390aは、ネック1310から半径方向または側面方向に外向きに配置され、ネック1310、キャップ1312、及び隔壁1314を過ぎて長手方向に伸長してよい。
【0039】
図13に示される穿孔システム1300の事前に起動された状態では、カラー1390の端縁1393は、ドライバリテーナ部材1395の対応する半径方向または側面方向に内向きに伸長するカム、ラッチ、または作動部分1394に係合してよい。リテーナ部材1395は、カラー1390に対して摺動可能であってよい。カラー1390及びリテーナ部材1395は、事前に起動された状態または図13に示される配置で、カムまたはリテーナ部材1395の作動部分1394の少なくとも一部分が、リテーナ部材1395の中で摺動可能なドライバ1398の保持部分1399のすぐ後方に配置される。ドライバ1398の壁1391は、リテーナ部材1395の端部キャップ部分1396の中に、及び端部キャップ部分1396を通して、並びにリテーナ部材1395の内部の中に延在してよく、ドライバ1398の保持部分1399は、壁1391から半径方向に外向きに延在してよい。いくつかの実施形態では、ドライバ1398の壁1391は、実質的に円筒形であってよく、ドライバ1398の保持部分1399は、壁1391の端部の回りに延在するフランジであってよい。
【0040】
穿孔システム1300の事前に起動された状態では、弾性的に変形されたバイアス部材または弾性部材1397は、リテーナ部材1395のキャップ部分1396とドライバ1398の保持部分1399との間に配置されてよい。バイアス部材1397は、バイアル1302に向かう方向で作用する穿孔システム1300の事前に起動された状態でドライバ1398に対して力を行使してよい。バイアス部材1397は、図14に関して以下に説明するように、事前に起動された状態で力を印加し、次いで起動時に係る力を放つ際に効果的な任意の部材であってよい。いくつかの実施形態では、バイアス部材1397は、円錐形または平らなバネであってよい。
【0041】
流体管300の針308は、流体管300が、ドライバ1398とともに移動するように、ドライバ1398に固定または結合されてよい。穿孔システム1300の事前に起動された状態では、針308は、上部1354の基部1355、隔壁1314を通してではなく、滅菌空洞1357の中に、かつ/またはバイアル1302の空洞1308の中に配置されてよい。
【0042】
図13の事前に起動された状態から穿孔システム1300を移動させるために、並進機構1366は、第2の端部1306に向かってピストン1316を移動させ、ドライバ1398に向かって長手方向軸40に沿ってバイアル1302を並進させるために起動されてよい。針308は、バイアル1302とまだ流体連通していないため、並進機構1366の起動は、バイアル1302自体に次いで印加される、圧力をバイアル1302に含まれる流体に対して印加する。また、この圧力は、端縁1393を作動部分1394に対して押させ、半径方向外向きに作動部分1394を偏向させる。作動部分1394がその経路をブロックすることなく、保持部分1399及び針308は、バイアス部材1397の伸長によってバイアル1302に向かって移動される。ドライバ1398は、キャリヤ202のフランジ204に結合されてよく、したがってドライバ1398のバイアル1302に向かうこの移動も同じ方向でキャリヤ202を移動させてよい。この移動は、図6及び図7での筐体3に対するキャリヤ202の移動に相当し、このことが、突起330が障害物600を取り除いて針306を注入することを可能にする。
【0043】
また、針308のバイアル1302の第2の端部1306に向かう移動も、針308を上部1354の基部1355、隔壁1314、及び空洞1308を通して穿孔させ、バイアル1302の内容物と流体連通させる。いったん針308がバイアル1302と流体連通すると、第2の端部1306に向かうピストン1316の追加の移動が、針308及び流体管300の残りを通して流体を駆り立てる。いくつかの実施形態では、穿孔システム1300は、起動後、滅菌空洞1357の中にすでに配置された部分よりも針308の多くが空洞1308の中に伸長しないように構成されてよい。これは、針308の非滅菌部分とのバイアル1302の内容物の汚染を妨げるために役立ってよい。
【0044】
バイアス部材1397は、流体管300が、例えば少なくとも約10mm/秒、または少なくとも約40mm/秒の速度で等、高速で上部1354及び/または隔壁1314を穿孔するように、伸長するように構成されてよい。バイアス部材1397を介した上部1354及び/または隔壁1314の相対的に迅速な穿孔が、ピストン1316を介して加圧されてよい、空洞1308の内容物の漏れを妨げるのに役立ってよい。
【0045】
薬物が針306を介してユーザーに送達された後、針306は、ユーザーから自動的に引き出されてよい。図12図14を参照すると、並進機構1366は、主ネジの回転が、挿入ステップと比較して反対方向にあるように、逆モードで操作されてよい。このスピンターン(counter rotation)は、ピストン316に第1の端部1304に向かって戻させ、(流体送達及び針306の挿入の間と比較して)バイアル1302を軸40に沿って反対方向で移動させてもよい。反対方向でのバイアル1302の移動は、(壁1391に付着される)図12のランプ1500に止め具240のランプ243に対して押させてよい。これは、止め具240を、矢印240aの方向でその固定端部241の回りで偏向させ、シャトル340がその第2の位置からその第3の位置に移動して、上述したように針306を格納できるようにさせる場合もある。このようにして、針の引き出し及び患者の中への挿入は、ともに装置の中の単一のバネで達成できる。
【0046】
流体管300が、バイアル1302との流体連通するように構成された自己注射器2の唯一の流体管である場合があることがさらに意図される。したがって、バイアル1302からの薬物は、自己注射器2の正常な動作中に、流体管300を通してのみ、及びユーザーの中に展開されてよい。さらに、針306は、患者の中に展開されるように構成された自己注射器2の唯一の針であってよい。このようにして、金属またはプラスチックの単一の部分品は、バイアル1302から患者へ流体を運ぶために使用できる。
滅菌針シールド
図24及び図25を参照して、自己注射器2は、針306の無菌性を維持するのを助けるように構成される針カバーまたは針シールド2400を含んでよい。針シールド2400は、第1の端部2402から第2の端部2404に延在してよい。フランジ2406は、第1の端部2402に配置されてよく、管状伸長部2408は、フランジ2406を第2の端部2404に向かって伸長してよい。針シールド2400は、伸長部2408を通して伸長するルーメン2412と連絡し得るフランジ2406を通る開口部2410を含んでよい。シール2414は、ルーメン2412の中の第2の端部2404に配置されてよい。シール2414は、ルーメン2412の残りと通信する開口部2416を画定してよい。シール2414は、狭窄部分2414a、中間部2414b、及び内側シーリング部分2414cを含んでよい。中間部2414bは、狭窄部分2414aと内側シーリング部分2414cとの間に配置されてよく、3つの構成要素のうち、狭窄部分2414aは第2の端部2404に最も近く配置されてよい。中間部2414bは、狭窄部分2414aよりも大きい内径を有してよく、狭窄部分2414aは、内側シーリングゾーン2414cよりも大きい内径を有する場合がある。また、針シールド2400は、フランジ2406内の開口部2410を覆う膜2418を含んでもよい。膜2418は、例えば高密度ポリエチレン繊維膜等の液体を通さないガス透過性材料から形成されてよい。一例では、膜2418は、Tyvek(登録商標)ブランド材料であってよい。膜2418は、シール2414を無菌に保つのに役立つ場合があり、これによりシール2414は、針シールド2400が筐体3から切り離されるとき針306を汚染しない。
【0047】
フランジ2406及び伸長部2408は、プラスチックまたは他の適切な材料から形成されてよい。一方、シール2414は、ゴム材料から形成される。また、別の実施形態では、フランジ2406及び伸長部2408はゴムから形成されてもよい。ゴム材料は、上述された栓1356aを形成する材料に実質的に類似してよい。例えばフランジ2406、伸長部2408、及びシール2414を形成するゴム材料は、例えばエチレンオキシドまたは蒸発した過酸化水素等、滅菌剤または殺菌ガスを通す場合がある。ゴム材料は、とりわけイソプレン、エチレンプロピレンジエンモノマー(Mクラス)ゴム(EPDM)、スチレンブタジエン、及び熱可塑性エラストマ(TPE)のうちの1つ以上を含んでよい。一実施形態では、フランジ2406は、滅菌剤を透過するゴム材料から形成されるとき、フランジ2406は開口部2410を含まない場合があり、代わりに材料の固形栓であってよい。
【0048】
針シールド2400は、使用前に、例えば自己注射器2の出荷中、針306の滅菌性を維持するために自己注射器2と結合されてよい。この結合中、針306は、シール2414の内側シーリング部分2414cを穿孔してよく、これによりシール2414は針306の回りにシールを形成する。すなわち、内側シーリング部分2414cは、当初、閉じられ、穿孔可能な膜であってよい。代わりに、内側シーリング部分2414cは、狭窄部分2414aよりも小さい内径を有する狭窄部分であってよく、針306は、このより小さい狭窄部分を通って摺動してよい。シール2414の穿孔部分(内側シーリング部分2414c)は、相対的に薄い場合があり、これにより穿孔部分は針306を著しく鈍くしない。狭窄部分2414aは、導管300の中間部310の一部分に係合し、中間部310の一部分の回りにシールを形成してよい。中間部310は、針306の外径よりも大きい外径を有してよい。さらに、ボリュームまたはギャップ2414dは、中間部2414bの内径と中間部310の外径との間に形成されてよい。
【0049】
自己注射器2は、針シールド2400が自己注射器2に結合された後、殺菌ガス(例えば、エチレンオキシド)への曝露を介して滅菌されてよい。ルーメン2412とギャップ2414dの両方、ルーメン2412及びギャップ2414dを画定する表面、及び(例えば、患者/ユーザーの組織を穿孔する針306の曝露部分等の)その中に含まれる構成要素は、殺菌ガスに対する曝露後に滅菌されてよい。ユーザーは、例えば筐体3から離して針シールド2400を引っ張ることによって、針シールド2400を手作業で除去するように指示されてよい。別の実施形態では、針シールド2400は、自己注射器2の梱包材料と統合される場合があり、これにより自己注射器2が梱包材料から取り外されるとき、針シールド2400は自己注射器2から取り外される。例えば、フランジ2406は、接着剤によって梱包材料(不図示)に固定されてよい。次いで、ユーザーが梱包材料から自己注射器2を引き出すとき、針シールド2400は筐体3から離脱し、これにより針306は、自己注射器2の正常な動作中に自由に展開できる。いくつかの場合、狭窄部分2414aよりも第2の端部2404により近いシール2414の曝露部分(及び/または狭窄部分2414a自体)は、滅菌後汚染される場合がある。したがって、これらの汚染された表面が、自己注射器2からのシールド2400の引き出し中に針306に接触しないことは、重要である場合がある。内側シール部分2414cのより狭い内径は、シールド2400の伸長部2408を取り外し時に中心に置いた状態に保つことによって、これらの潜在的に汚染された部分、特に、患者/ユーザーの組織の中に差し込まれる針306のそれらの部分が、針306に接触しないことを保証するのに役立つ。
【0050】
代替実施形態では、シール2414は、ドライバ320に直接的に結合されてよい。本実施形態では、シール2414は、プラスチックまたは伸長部2408の他の部分に対して密封してよく、針シールド2400が取り除かれるとき、自己注射器2の中に留まるであろう。
電子機器
図4Aは、自己注射器2の制御システム1400を示す。制御システム1400は、第1の電子ボード1402及び第2の電子ボード1404に配置された構成要素を含んでよく、電源1406を含んでもよい。第1の電子ボード1402は、コントローラ1408、起動スイッチ1409、タッチセンサ1410、針挿入スイッチ1412、及びエミッタ1414を含んでよい。第2の電子ボード1404は、検出器1416、音声モジュール1418、視覚モジュール1420、及び触覚モジュール1422を含んでよい。第1の電子ボード1402及び第2の電子ボード1404の構成要素の1つ以上は、コントローラ1408に動作可能なように結合されてよく、電源1406によって電力を供給されてよい。また、コントローラ1408は、並進機構1366に動作可能なように結合されてよく、上述したように、針の挿入及び格納を開始し、制御するために並進機構1366の動作を制御するように構成されてよい。並進機構1366は、バイアル1302が筐体3の中に挿入される最終アセンブリステップの間に1つ以上のバネ接点を介して第1の電子ボード1404に結合されてよい。
【0051】
自己注射器2の組み立ての大半は、例えば製造施設のアセンブリライン上で起こる場合がある。次いで、装置の2つの半分(または部分)は、薬物充填施設または最終組み立て施設に出荷されてよい。実際に、2つの別個の部分1490及び1492は、図4Bに示されるように同じサイズである必要はない。例えば、バイアル1302等の薬物バイアルが薬物または他の薬剤で充填されると、バイアル1302は、自己注射器2の残りと組み立てられてよい。例えば、装置の2つの半分(部分1490及び1492)は、その中の充填された薬物バイアル1302とともに組み立てられてよい。一例では、部分1490及び並進機構1366は、バイアル1302の後方で適所にパチンと嵌められてよい。部分1490は、並進機構1366及びその関連電子機器を含むように構成された基部またはモジュールを含んだ筐体3の部分であってよい。部分1492は、例えば本明細書に説明される針機構、滅菌コネクタ、及び穿孔機構を含んだ、本明細書に説明される他の構成要素の実質的にすべてを含んだ筐体3の一部分であってよい。この例では、並進機構1366のモータの電気接続は、バイアル1302の後方で並進機構1366がパチンと嵌められる間(つまり、部分1490及び1492、ならびにバイアル1302が完全かつ機能的な自己注射器2を形成するために結合される組み立てステップ中)に行われなければならない。係る電気接続に対応するために、並進機構1366のドライブトレインは、(図4Cを参照)1つ以上のバネ接点1494を含んでよく、1つ以上のバネ接点1494は、組み立て時、第1の電子ボード1402上の(やはり図4Cを参照)パッド1495に接触する。したがって、並進機構1366の(コントローラ1408を含んだ)第1の電子ボード1402への接続は、任意の緩んだワイヤまたは他の類似した構造なしに行われてよい。
【0052】
係る組み立てプロセスは、相対的により複雑な最終組み立てプロセスでより簡略な装置(例えば、自己注射器)よりも相対的に簡略であってよい。結果として、本明細書に説明される意図された組み立てプロセスは人件費の削減につながり得る。
【0053】
コントローラ1408は、上述されたシステム及びシステム構成要素から情報を受け入れ、並進機構1366を制御するための制御信号を生成するために多様なアルゴリズムに従って情報を処理するように構成されてよい。プロセッサは、システム及びシステム構成要素から情報を受け入れ、多様なアルゴリズムに従って情報を処理し、ユーザーにシステムステータス、構成要素ステータス、手順ステータス、またはシステムによって監視されている任意の他の有用な情報を知らせるために、音声モジュール1418、視覚モジュール1420、触覚モジュール1422、または例えば第2の電子ボード1404の他のインジケータに向けられる場合がある情報信号を生成してよい。プロセッサは、デジタルICプロセッサ、アナログプロセッサ、または制御アルゴリズムを実施する、任意の他の適切な論理または制御システムであってよい。
【0054】
図2及び図3に関して上述したように、起動スイッチ1409は、自己注射器2の組織係合面4から離れて伸長する機械的プランジャ型スイッチであってよい。起動スイッチ1409は、起動スイッチ1409が押されない限り、破壊される電気回路を含んでよい。例えば、自己注射器2がユーザーの皮膚に取り付けられると、スイッチ1409は押されてよく、電気回路を完了し、コントローラ1408に、自己注射器2が起動されるべきであると示す。電力を節約するためには、自己注射器2の構成要素は、スイッチ1409が起動されるまで休止モードまたはスリープモードにあってよい。さらに別の例では、自己注射器2は、スイッチ1409が起動されるまでまったく電力を供給され得ず、スイッチ1409の停止は、自己注射器2に対する電力を完全に遮断してよい。機械的プランジャ型スイッチが開示される一方、とりわけ、例えば、ユーザーによって押されるボタン、音声信号、別の電子装置からの無線信号を含んだ自己注射器2を起動するための任意の他の適切な機構が、利用されてよい。
【0055】
タッチセンサ1410は、コントローラ1408が、自己注射器2がユーザーの皮膚に適切に展開されているかどうかを判断するのに役立つように構成されてよい。一例では、タッチセンサ1410は、例えば、木材、プラスチック、金属、または別の材料等の他の材料に対する皮膚との接触を区別化するように構成された容量性検知電極または任意の他の装置であってよい。皮膚が容量性の検知電極の近傍にあるとき、係る接触を示す信号は、コントローラ1408に送信されてよい。したがって、タッチセンサ1410は、自己注射器2は、スイッチ1409が押されてもユーザーの皮膚に適切の配置されることを検証するために役立ってよい。タッチセンサ1410は、第1の電子ボード1402に、及び筐体3の内部にも結合された容量性検知電極を含んでよい。筐体3及び接着パッチ12は、ユーザーの皮膚と容量性検知電極との間の誘電体の機能を果たすオーバレイ(絶縁体)の機能を果たしてよい。筐体3及び/または容量性検知電極の近くの接着パッチ12の部分の接点は、電極の容量を、例えば約1~約10pF分増加させてよく、自己注射器2の皮膚表面上での配置を示す。
【0056】
針挿入スイッチ1412は、針306がユーザーの中で展開されている旨の信号をコントローラ1408に送信するように構成されてよい。例えば、図15を参照すると、針挿入スイッチ1412は、第1の接点1512を含んだ曲線状のカンチレバー1510を含んでよい。また、針挿入スイッチ1412は、第2の接点1514を含んでもよい。第1の接点1512は、針306がユーザーの中に展開されるとき、第2の接点1514との電気接触に配置されてよい。針306の展開中、ドライバ320は、軸44に沿って下方に移動し、曲線状のカンチレバー1510及び第1の接点1512を第2の接点1514に向けて偏向してよい。第1の接点1512及び第2の接点1514が互いに接続すると、針306がユーザーの中に無事に展開されたことを示す信号がコントローラ1408に送信されてよい。第1の接点1512及び第2の接点1514の分離は、針306は、ユーザーから格納されることを示してよい。
【0057】
エミッタ1414及び検出器1416は、コントローラ1408が、自己注射器2の状態を決定できるようにするために、光学遮断センサ、つまりフォトインタラプタとして動作してよい。エミッタ1414は、発光ダイオード(LED)または他の適切な発光体であってよく、検出器1416は、例えばエミッタ1414によって発せられた光を受光するように構成されたフォトトランジスタであってよい。一例では、光の他の適切な波長も使用され得るが、エミッタ1414は赤外光を発してよい。赤外光の使用は、外部光からの干渉を削減するのに役立ってよい。エミッタ1414及び検出器1416は、エミッタ1414からバイアル1302を通して検出器1416へ光1430のビームが通過できるようにするために、筐体3の中で互いから全域に配置されてよい。バイアル1302、及びその中に含まれる任意の流体は、ビーム1430がバイアル1302及びその内容物を通過し得るようにビーム1430に少なくとも部分的に透明であってよい。ピストン1316が薬物送達中に第2の端部1306に向かって移動されると(図13及び図14を参照)、ピストン1316、及び特にピストン1316の肩部は、ビーム1430を遮ってよい。検出器1416がビーム1430を検知できないとき、信号がコントローラ1408に送信されてよく、コントローラ1408は、信号が注入の最後(例えば、バイアル1302の中に含まれる薬物のすべてが放出されたこと)を示すと解釈してよい。いくつかの例では、ビーム1430の格納経路は、エミッタ1414及び検出器1416を互いに対して配置するとき検討されてよい。例えば、ビーム1430は、ビーム1430がバイアル1302及びその中に含まれる任意の流体を通過すると屈折してよく、エミッタ1414及び検出器1416は、相応して互いから偏位されてよい。さらに、エミッタ1414及び検出器1416は、ピストン1316の肩部がビーム1430をブロックし得るように筐体3の中心から偏位されてよい。少なくともいくつかの例では、光学遮断センサまたは類似する機構が、ドライブトレイン故障時に偽陽性を回避するのに役立つ場合がある。すなわち、光スイッチは、コントローラ1408が、注入が他の機構よりも高い確度で完了されなかったと判断するのに役立つ場合がある。
【0058】
音声モジュール1418は、ユーザーに音声フィードバックを提供するためにスピーカ等を含んでよい。筐体3内の開口部は、音声モジュール1418からユーザーへの音の移動を容易にしてよい。音声モジュール1418は、注入の開始時及び終了時に、及び/または注入の間に任意の他のベンチマークを示すために、トーンまたは他の音を生成してよい。視覚モジュール1420は、視覚フィードバックをユーザーに提供するために、1つ以上のLEDまたは類似する装置を含んでよい。視覚モジュール1420は、ユーザーに多様なメッセージを提供するために異なる色のLEDを示してよい。例えば、環内に配置された複数の緑のLEDは、経時的に注入の進行を表示するために使用できるであろう。一方、赤のLEDは、ユーザーにエラーを表示するために使用できるであろう。LEDの任意の他の適切な色、組合せ、及び/または数は、多様な例で使用されてよい。例えば、赤、青、及び紫のLEDの組合せが利用されてよい。1つの構成では、16のLEDは、約26.5mmの直径または約10.0mmから約40.0mmの直径を有する円内に配置されてよい。LEDは、注入の進行を示すために円の回りで連続的に起動されてよい(例えば、クロックと同様の方法で配置されたプログレスリング内で-例えば、図4CでのLED52を参照すること)。また、コントローラ1408は、多様なセンサからフィードバックを受け取り、多様なLEDがセンサからのフィードバックに基づいて起動される速度のスケールを変更するように構成されてもよい。例えば、プログレスリング内のLEDは、例えば注入シーケンス起動段階、注入段階、及び格納段階を含んだ3つ以上の動作段階で起動されてよい。当業者は、自己注射器2が上述の3つより多いまたは少ない動作段階を有してよいことを認識する。各段階を完了するための予想時間もあってよいが、自己注射器2の上述の動作段階のいずれかの間に経験される実際の時間のなんらかの変動性がある場合もある。アルゴリズムは、例えば、特定の段階が予想よりも早く終了するとき、LEDの時期尚早な起動を回避するのに役立つために、または特定の段階が予想よりも長くかかるとき、リングに沿った進行を停止させるために利用されてよい。任意の時点で、アルゴリズムは、プログレスリング内の残りのLEDが起動されるべきである速度を決定するために、プログレスリング内の起動されていないLEDの数で、薬物送達の完了に推定される残り時間を除算してよい。
【0059】
例えば、注入シーケンス起動段階の前に、LEDは、プログレスリング内の起動されていないLEDの総数で除算される、全体的な薬物送達プロセスの推定時間(例えば、注入シーケンス起動段階、注入段階、及び格納段階のすべてを完了するために推定される時間)に等しい速度で起動されてよい。別の言い方をすれば、薬物送達プロセス全体の推定時間は、あらゆるすでに起動されたLEDを差し引いた、プログレスリング内のLEDの総数である数で除算されてよい。したがって、例えば、1つのLEDがすでに起動されている場合、薬物送達プロセス全体の推定時間は、プログレスリング内のLEDの総数未満の数で除算されてよい。
【0060】
注入シーケンス起動段階の完了後、LEDは、プログレスリング内の点灯していないLED数で除算される残りの段階(例えば、注入段階及び格納段階)を完了するための推定時間の合計に等しい速度で起動されてよい。注入段階の完了後、LEDは、点灯していないLEDの数で除算される、格納段階を完了するための推定時間に等しい速度で起動されてよい。
【0061】
また、視覚モジュール1420は、ユーザーとの片方向通信または双方向通信を提供するために、表示画面、タッチスクリーン、または他の適切な装置を含んでもよい。視覚モジュール1420は、筐体3内のウィンドウを介して筐体3の外部からユーザーが見ることができてよい。触覚モジュール1422は、例えばユーザーが感じることができる振動を生成するように構成された触覚モータを含んでよい。振動は、注入の開始及び終了を信号で知らせてよい、及び/または追加の情報をユーザーに提供するのに役立ってよい。
【0062】
コントローラ1408は、無線通信モジュール及びアンテナに結合されてよい。無線通信モジュールは、コントローラ1408から、例えばモバイルデバイス、コンピュータ、携帯電話等にデータを送信するように構成されてよい。無線通信モジュールは、とりわけ、例えばBluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)、赤外線、セルラーネットワーク、及び無線ネットワーク等、1つ以上の無線モダリティで情報を送信するように構成されてよい。アンテナは、データ伝送及び/または増幅で無線通信モジュールを支援するように構成された任意の適切な装置であってよい。したがって、コントローラ1408は、ユーザー及び/または自己注射器2の診断情報、注入の完了に関する情報、及び/または自己注射器2のエラー状態に関する情報をユーザーのデバイスへ、またはクラウドへ送信するように構成されてよい。針の挿入及び/または早期の装置除去を示す信号も、無線通信モジュールを介して送信されるであろう。また、コントローラ1408は、無線通信モジュールを介して起動コマンド及び/または遅延コマンドを受け取ってよい。
【0063】
図16は、本開示に係る例示的な方法2000を示す。方法2000は、ユーザーが、組織係合面4が皮膚表面に接触するように、自分の体の上に自己注射器2を配置し得るステップ2002で開始してよい。自己注射器2は、例えば、大腿部、腹部、肩、前腕、上腕、脚、臀部、または別の適切な場所等の任意の適切な場所に取り付けられてよい。自己注射器2は、接着パッチ12によって皮膚に固定されてよい。ステップ2002で自己注射器2の固定が、組織係合面4から外向きに伸長する起動スイッチ1409を押させ、回路を完成させてよい。回路の完成は、節電スリープモードからアクティブモードに遷移するために、信号をコントローラ1408に送信させてよい。代わりに、任意の他の適切な機構は、ステップ2002の前または後に自己注射器2の電源を投入してよい、またはそれ以外の場合起動してよい。
【0064】
自己注射器2がステップ2002で起動されると、方法2000は、コントローラ1408が、組織係合面4が皮膚表面に配置されるかどうかを判断してよい、ステップ2004に進んでよい。ステップ2004で、コントローラ1408は、タッチセンサ1410から、自己注射器2が皮膚または別の表面に配置されるかどうかを示す測定値を受け取ってよい。例えば、タッチセンサ1410から受け取られたキャパシタンス値が所定の範囲内にあるとき、コントローラ1408が、タッチセンサ1410が皮膚と接触すると判断する場合、方法2000はステップ2008に進んでよい。例えばタッチセンサ1410から受け取られたキャパシタンス測定値が、自己注射器2が木材または金属のような皮膚ではない表面に接触していることを示す場合に、コントローラ1408が、タッチセンサが皮膚に接触していないと判断する場合、方法2000はステップ2006に進んでよい。ステップ2006で、自己注射器2はエラー状態に入れられてよい。エラー状態では、LEDは、エラーが発生したことをユーザーに示すために起動されてよい(例えば、赤のLED)、またはメッセージは表示画面に表示されてよい。いくつかの例では、自己注射器2は、注入が完了される前に手動でリセットされる必要がある場合がある。他の例では、自己注射器2は、コントローラ1408が、タッチセンサ1410が皮膚と接触しているかどうかを連続的に判断しようとするステップ2004にループバックしてよい。また、方法2000は、タッチセンサ1410が、注入全体の間皮膚と接触していることを必要とする場合もある。したがって、注入の間の任意の点で、コントローラ1408が、タッチセンサ1410がもはや皮膚と接触していないと判断する場合、コントローラ1408は、(例えば、並進機構1366の追加の移動を停止することによって)注入を停止してよく、エラー信号またはメッセージを生成してよく、針306が伸長されていなかった場合針306を格納してよい。
【0065】
ステップ2008で、コントローラ1408は、並進機構1366を起動するための信号を送信してよい。いったん起動されると、並進機構1366は、バイアル1302の第2の端部1306に向かって移動してよく(図13及び図14を参照)、バイアル1302自体を同じ方向で移動させる。このことが、上述したようにバイアル1302にアクセスするために、針308を反対方向で移動させる場合がある。ドライバ1398及び針308の移動は、キャリヤ202を同じ方向で移動させ、これが、図5図11に説明される機構によってユーザーの中に針306を究極的に展開する一連の事象を説明する。並進機構1366は、バイアル1302の中に含まれる所望される量の薬物がユーザーに計量配分されるまで、第2の端部1306に向かって移動し続ける。
【0066】
方法2000は、コントローラ1408が、注入が完了しているかどうかを判断してよいステップ2010に進んでよい。この判断は、(図4A図13、及び図14に関して説明するように)ピストン1316によるビーム1430の遮断に基づく場合がある。すなわち、ビーム1430が壊される(検出器1416によって受光されない)とき、コントローラ1408は、注入が完了していると判断してよい。コントローラ1408が、注入が完了していると判断すると、コントローラ1408は、主ネジの回転の方向を逆転させるために並進機構1366に信号を送信してよく、このことが、図11に関して上述したように、ランプ1500に止め具240のランプ243を押させ、針306の格納を可能にしてよい。一例では、コントローラ1408は、ビーム1430が遮断された旨の表示を受け取った後遅延を設けてよい。遅延は、例えば0.1~60秒であってよい。追加の端部検出機構は、上述した遮断型センサの代わりに、または遮断型センサと組み合わせて使用されてよい。例えば、並進機構1366のモータの電流は、注入が完了したかどうかを判断するために利用されてよい。すなわち、ピストン1316がバイアル1302の第2の端部1306に到達するとき、モータに対する電流は(例えば、ピストン1316がバイアル1302の端部に係合した結果)増加し、バイアル1302の内容物のすべてまたは実質的にすべての排出を信号で知らせる。1つの例示的な組み合わせは、ビーム1430の遮断が、例えば注入の90~98パーセントが完了されたことを示すビーム1430の使用を含む場合があるであろう。次いで、並進機構1366のモータの電流は、注入の残りの2~10パーセントが完了されたかどうかを判断するために分析されるであろう。別の例では、光スイッチを使用する代わりに、並進機構1366の開始からの遅延が、いつ並進機構1366を逆転させるのかを決定するためにコントローラ1408によって使用されてよい。他の適切な時間も意図されるが、一例では、この遅延は、例えば約1秒~120秒であってよい。いずれにしても、開始からの遅延は、バイアル1302の内容物排出を可能にするほど十分に長い場合がある。
【0067】
いくつかの例では、起動スイッチ1409の初期起動から、薬物送達後のユーザーからの針306の格納までに測定される注入手順のタイミングは、約20秒~約90秒、または約25秒~約60秒、約30秒~約45秒、または約120秒以下、または約90秒以下、または約60秒以下、または約45秒以下、または約30秒以下であってよい。
【0068】
方法2000は、追加のステップを含んでもよい。例えば、方法2000は、バイアル1302の中の薬物がユーザーの中への送達には冷たすぎるかどうか、電源1406が、注入を完了するほど十分なエネルギーを有しているかどうか、針306が時期尚早に展開及び/または格納されているかどうか、並進機構1366のモータの電流が適切な範囲内にあるかどうか、及び注入手順が、最大許容手順時間を超えて拡張したかどうかを判断することを含んでよい。コントローラ1408が上記エラーのいずれかを検知するとき、コントローラ1408は、係るエラーをユーザーに伝達してよく、例えば並進機構1366を休止させるまたは逆転させ、針306をユーザーから格納することによって継続中の注入を終了してよい。
代替実施形態
針機構の別の実施形態は、図17図19に示される。針機構2400は、基部2402及びシャトル2420を含んでよい。基部2402は、基部2402の上面から離れて伸長する伸長部材2404を有してよい。また、基部2402は、(軸40に平行な)基部2402の長手方向軸に沿って伸長し、基部2402の上面の中の奥まったところに置かれたチャネル2406を含んでもよい。チャネル2406は、基部2402の第1の壁2407及び第2の壁2408を通って伸長し、伸長部材2404を通して伸長してもよい。伸長部材2404は、例えば、伸長部材2404の上部から基部2402の一部分を通って基部2402の底面に向かって延在する長穴2410を含んでよい。長穴2410は、概してチャネル2406に垂直に配置され、軸44に平行に伸長してよい。基部2402は、ピン2412及び第2のピン2414をさらに含んでよい。
【0069】
シャトル2420は、第1の側の第1の壁2426、及び第2の側の第2の壁2428に結合された端部材2422を含んでよい。第1の壁2426及び第2の壁2428は、互いに実質的に平行であってよい。第1の及び第2の壁2426、2428は、基部2402がシャトル2420に関して並進するのを可能にするために、基部2402の幅の距離分、間隔をあけて置かれてよい。開口部2424は、シャフト2456の第1の端部を受け入れるように構成されてよい、端部材2422を通って伸長してよい。
【0070】
壁2426は、第1の長穴2430、第2の長穴2432、及び(突起2454が、第1の未展開構成で休止する場合がある)係合部分2434aを有するドライバ部材開口部2434を含んでよい。第1の長穴2430は、第2の長穴2432に隣接し配置され、第2の長穴2432から長手方向に間隔をあけて置かれてよい。第1の長穴2430はピン2412に係合し、第2の長穴2432はピン2414に係合する。長穴2430、2432は、底部からシャトル2420の上部に延在する第1の曲線状の部分または注入斜面、開口部2434の近くに配置されたピーク、及びピークからシャトル2420の底部近くの位置に延在する第2の曲線状の部分または除去斜面を含んでよい。上記の針機構2400から見られるとき、第1の曲線状の部分は、例えば凸形状を有し、第2の曲線状の部分は、例えば凹形状を有する場合がある。注入斜面は、例えば除去斜面の角度及び湾曲未満の角度及び湾曲を有してよい。より浅い注入斜面は、機械的な優位点を提供し得る。一方、部分は休止し、静摩擦を克服するのに役立つ。第1の曲線状の部分は、薬剤の投与のためにユーザーの中への針(例えば、上述された針306)の挿入を可能にし、第2の曲線状の部分は、ユーザーからの針306の除去を可能にする。また、第2の壁2428は、長穴2430および2432、ならびに開口部2434に類似する2つの長穴及び開口部を含んでよい。第2の壁2428の長穴及び開口部は、壁2426に配置される長穴及び開口部に類似したまたは同一の方法で配置されてよい。
【0071】
また、針機構2400は、シャフト2456に結合される弾力部材またはバネ(不図示)を含んでもよい。シャフト2456は、シャトル2420の開口部2424に配置されてよい。シャフト2456は、突起2454に結合されてよい。突起2454は、伸長部材2404の長穴2410を通って摺動してよく、針306に結合されてよい。
【0072】
図17に示す未展開構成から図18に示す展開構成に移動するために、バネは伸長して、シャトル2420を、長手方向軸40に沿ってシャフト2456に対して長手方向に摺動させることができる場合がある。長穴2430及び2432の湾曲のため、シャトル2420に印加される長手方向の力もシャトル2420を下方に押す。また、この下方の動きは、突起2454を長穴2410を通って下方に移動させ、針306を展開する。針機構2400が展開構成にあるとき、ピン2412及び2414は、ピークまたは長穴2430及び2432の注入斜面と除去斜面との間の接続部に配置される。さらに、突起2454は、開口部2434の中央または中心近くに配置される。また、突起2454は、伸長部材2404の上面と長穴2410の底部との間の長穴2410の中央近くに配置される。シャフト2456は、シャトル2420の端部を越えて開口部2424の中から伸長してよい。
【0073】
薬剤が投与されると、注入針470は、バネがさらに伸長するのを可能にすることによって取り除かれてよい。バネの追加の伸長は、シャトル2420を長手方向軸40に沿ってシャフト2456に対してさらに長手方向に摺動させる。長穴2430及び2432の湾曲のため、シャトル2420に印加された追加の長手方向の力はシャトル2420を上方に押す。また、この上方の動きは、突起2454を長穴2410を通して上方に移動させ、針306を格納する。突起2454は、端面2422に最も近い端部でドライブ部材開口部2434に配置されてよい。さらに、突起2454は、長穴2410の上部近くに配置される。シャフト2456は、シャトル2420の端部を越えて開口部2424の中からなおさらに伸長してよい。
【0074】
針アセンブリの別の実施形態は図20に示される。針アセンブリ3300は、キャリヤ3302、ドライバ3320、シャトル3340、ギヤ3360、及びバネ(弾性部材)3370を含む。ドライバ3320は、(例えば、上述された流体管300等の)流体管に結合されてよく、その流体管の端部にある針をユーザーの中に駆動するように構成されてよい。ドライバ3320は、ギヤ3360によって駆動されるように構成されるただ1つのラックギヤ3222を含んでよい点を除き、ドライバ320に類似してよい。シャトル3340は、それが第1のラック3342及び第2のラック3344を含んでよい点を除き、シャトル340に類似してよい。第1のラック3342及び第2のラック3344は、長手方向に間隔をあけて置かれてよいが、実質的に互いに平行であってよく、異なるときにギヤ3360に係合してよい。いくつかの例では、第1のラック3342及び第2のラック3344は、異なるときにだけギヤ3360に係合するように構成されてよい。シャトル3340が長手方向軸40に沿った方向3380で移動するとき、第2のラック3344は、ギヤ3360を第1の方向で(例えば、左回りで)回転させてよい。一方、第1のラック3342は、シャトル3340が方向3380で移動するとき、ギヤ3360を第1の方向に反対の第2の方向で(例えば、右回りで)移動させてよい。ギヤ3360の第1の方向での回転は、ラック3222を介して下方にドライバ3320を移動させ、針をユーザーの中に駆り立ててよく、第2の方向でのギヤ3360の回転は、ドライバ3320を上方に移動させて、ユーザーの中から針を格納してよい。キャリヤ3302とシャトル3340の内面の両方に結合されてよいバネ3370の伸長は、針の展開及び以後の格納を開始するために方向3380でシャトル3340を移動させてよい。さらに、止め具240に類似する止め具は、ドライバ3320(及び関連付けられた針)が展開構成にあるとき、シャトル3340の長手方向の移動を妨害するために使用されてよいことが意図される。止め具は、次いでシャトル3340の経路の中から移動して、ドライバ3320及びその関連付けられた針の格納を可能にするであろう。
【0075】
針アセンブリのさらに別の実施形態は、図21に示される。針アセンブリ4000は、キャリヤ4202及び(突起330を介してしか図示されない)ドライバを含む。また、針アセンブリ4000は、図示されないが、例えばシャトル、展開ギヤ及び格納ギヤ、ならびにバネ等の同じ名前で上述された構成要素に実質的に類似する場合がある、以下の構成要素を含んでよい。針アセンブリ4000のドライバは、(例えば流体管300等の)流体管に結合されてよく、その流体管の端部の針をユーザーの中に動かすように構成されてよい。(図21に示される)未展開構成では、ドライバの突起330は、障害物4600によってブロックされてよい。キャリヤ4202は、突起330がランプ4602を下方に摺動し、ドライバ及び関連付けられた針を格納構成から展開構成へ移動させることを可能にするために方向4002で駆り立てられてよい。キャリヤ4202は、キャリヤ202に関して上述したのと実質的に類似した方法で、例えば並進機構1366及びバイアル1302によって方向4002で駆り立てられてよい。
【0076】
針アセンブリ4000は、キャリヤ4202とは別個である止め具4240を含んでよい。止め具4240は、バネ4241によって方向4004で駆り立てられてよい。止め具4240の端部は、突起330の格納経路をブロックすることによってドライバを展開構成に維持するのに役立つ場合があるオーバーハング4242を含んでよい。したがって、ドライバが展開されるとき、突起330は、止め具4240のオーバーハング4242の真下に配置されてよく、止め具4240が移動されるまでドライバの格納を妨げる。ドライバ及び針の格納は、1つ以上の機械的結合(不図示)を介して、方向4002で止め具4240に対して力を印加してバネ4241を圧縮してよい、例えば並進機構1366のモータを逆転させることによって達成されてよい。方向4002での止め具4240の移動は、突起330が格納構成に移動して戻るための隙間を提供してよい。
【0077】
針アセンブリのさらに別の実施形態は、図22及び図23に示される。針アセンブリ5300は、キャリヤ5302を含む。本実施形態では、止め具5240は、針アセンブリのシャトルまたはドライバのどちらかを直接的に妨害する代わりに、展開ギヤ及び/または格納ギヤ5360の回転を直接的に妨害するように構成されてよい。本実施形態では、ギヤ5360は、シャフト5361を介してトグル5362に結合されてよい。ギヤ5360は、関連付けられたドライバ及び/または針の展開及び/または格納を容易にするために軸5364の回りで回転してよい。トグル5362は、軸5364に実質的に垂直に伸長する長さを有してよく、軸5364の回りで回転してもよい。
【0078】
止め具5240は、トグル5362がそれを通して配置されてよい開口部5380を含んでよい。開口部5380は、円形部分5382及び制限部分5384を含んでよい。円形部分5382は、トグル5362(及びギヤ5360)の妨害されない回転を可能にするために、トグル5362の長さよりも大きい直径を有してよい。一方、トグル5362は、円形部分5382の中に配置される。止め具5240は、任意の適切な機構によってキャリヤ5302に対して摺動可能であってよい。止め具5240及びキャリヤ5302が互いに対して摺動されるとき、トグル5362は、トグル5362(及びギヤ5360)の回転を制限する大きさにされてよい制限部分5384の中で摺動してよい。例えば、トグル5362が、示されるように概して矩形であるとき、制限部分5384は矩形であってもよい。
【0079】
とりわけ、本明細書での「一実施形態」または「実施形態」に対する参照は、実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の実施形態の1つ、いくつか、またはすべてに含まれてよい、利用されてよい、及び/または組み込まれてよいことを意味する。明細書内の句「一実施形態で」または「別の実施形態で」の使用または出現は、同じ実施形態を参照しているのではなく、別個のまたは代替の実施形態は、1つ以上の他の実施形態を必ずしも相互に除外するのではなく、単一の独占的な実施形態に限定されるものでもない。同は、用語「実施態様」及び「例」にも適用する。本開示は、任意の単一の態様にもその実施形態にも限定されず、係る態様及び/または実施形態のあらゆる組み合わせ及び/または入れ替えにも限定されない。さらに、本開示の態様、及び/またはその実施形態のそれぞれは、単独で、または本開示の他の態様及び/またはその実施形態の1つ以上と組み合わせて利用されてよい。簡単にするために、特定の入れ替え及び組み合わせは、本明細書に別個に説明及び/または図示されない。
【0080】
さらに、上記に示したように、本明細書に「例示的」として説明される実施形態または実施態様は、例えば他の実施形態または実施態様に優って好ましいまたは有利と解釈されるべきではない。むしろ、1つまたは複数の実施形態が例の実施形態(複数可)であることを伝達または示すことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図14A
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25