(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物、並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 323/52 20060101AFI20231016BHJP
C07C 319/28 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
C07C323/52
C07C319/28
(21)【出願番号】P 2022514272
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 CN2020113133
(87)【国際公開番号】W WO2021043188
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】201910830802.8
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517446407
【氏名又は名称】藍星安迪蘇南京有限公司
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR ADISSEO NANJING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.389 Changfenghe Road, Chemical Industry Park Nanjing, Jiangsu210047 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ガイダル、バレンティン
(72)【発明者】
【氏名】牛磊
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス、フランシスコ
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0369434(US,A1)
【文献】国際公開第2018/167405(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109232336(CN,A)
【文献】日本化学会,実験化学講座2 基礎技術II,丸善株式会社,1956年,pp.198,199
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 323/52
C07C 319/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
86-89wt%の
2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーと、
9.2-13.5wt%の水と、
0.5wt%未満の硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムと、
を含む混合物であって、
前記2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーの99.95wt%超えがモノマー、ダイマー及びトライマーであり、かつモノマー:ダイマー:トライマーが重量比で77-80:18.5-19.5:3-4であり、
前記混合物は、10℃での粘度が200mPa・s未満である、混合物。
【請求項2】
モノマー:ダイマー:トライマーは、重量比で77.4-78.5:18.5-19.2:3.2-3.6である、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
10℃での粘度は、170mPa・s未満である、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項4】
9.5-12.5wt%の水、及び/又は
0.4wt%未満の硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウム、
を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項5】
0.4wt%未満の硫酸アンモニウム及び0.1wt%未満の硫酸水素アンモニウムを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項6】
飼料添加剤として使用される請求項1から5のいずれか1項に記載の混合物の使用。
【請求項7】
2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーを含む混合物
を処理
し、請求項1から5のいずれか1項に記載の混合物を得る方法であって、
前記2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーの99.95wt%超えがモノマー、ダイマー及びトライマーであり、かつモノマー:ダイマー:トライマーが重量比で77-80:18.5-19.5:3-4であり、
前記方法は、
混合物をイオン交換樹脂に接触させるステップS1と、
混合物を別のイオン交換樹脂に接触させるステップS2と、
水でステップS1のイオン交換樹脂を洗浄して水性溶離液を取得し、得られた水性溶離液をステップS1の前に
2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーを含む混合物の希釈に使用し、及び/又は
水でステップS2のイオン交換樹脂を洗浄して水性溶離液を取得し、得られた水性溶離液をステップS1の前に
2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーを含む混合物の希釈に使用するステップS3と、
イオン交換樹脂を再生するステップS4と、
を含む
、方法。
【請求項8】
ステップS1は、混合物を陽イオン交換樹脂
に接触させるステップS11を含み、ステップS2は、混合物を陰イオン交換樹脂
に接触させるステップS21を含み、或いは
ステップS1は、混合物を陰イオン交換樹脂
に接触させるステップS12を含み、ステップS2は、混合物を陽イオン交換樹脂
に接触させるステップS22を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップS4は、
酸溶性液
で陽イオン交換樹脂を洗浄して脱着液を取得し、塩基性溶液で陰イオン交換樹脂を洗浄して別の脱着液を取得するステップS41と、
水で陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂を洗浄して洗浄液を取得するステップS42と、
2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーを含む混合物で陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を洗浄するステップS43と、
を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
脱着液及び/又は洗浄液をHMTBAの製造プロセスにおいて循環させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップS41において、硫酸溶液の濃度は5-20wt%
であり、アンモニア水溶液の濃度は2-20wt%
である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
ステップS41において、少なくとも2BV
の硫酸溶液を使用し、及び/又は少なくとも1.2BV
のアンモニア水溶液を使用する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップS41の後、陽イオン交換樹脂からの出口液流のpH値は2未満であり及び/又はNH
4
+は0.1wt%未満であり、並びに/或いは
陰イオン交換樹脂からの出口液流のpH値は10を超え及び/又はSO
4
2-は0.05wt%未満である、請求項
9から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップS42の後、陽イオン交換樹脂からの出口液流のpH値は3-4であり、及び/又は
陰イオン交換樹脂からの出口液流のpH値は9-10であり、及び/又は
ステップS42において、少なくとも2BV
の水でそれぞれの樹脂を洗浄する、請求項
9から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2
つの陰イオン交換樹脂
と2つの陽イオン交換樹脂を同時に用いてステップS1からS4を実施する、請求項7から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ステップS2の後、
2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーを含む混合物のNH
4
+濃度は0.02wt%から0.1wt%の範囲内であり、SO
4
2-濃度は0.04wt%から0.2wt%の範囲内であり、及び/又は25℃でのpH値は0.3-2.5である、請求項7から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ステップS1及びS2は、45℃-55℃の温度で行われ、及び/又は
ステップS4は、40℃-55℃の温度で行われる、請求項7から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ステップS1及びS2は、0.8BV/h-2.5BV/hの速度
で行われ、及び/又は
ステップS3は、1BV/h-3BV/hの速度
で行われ、及び/又は
ステップS4は、1.5BV/h-2.5BV/hの速度
で行われる、請求項7から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ステップS1及びS2のそれぞれにおいて、1BVのイオン交換樹脂を用いて多くとも10BV
の2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸及びそのオリゴマーを含む混合物を処理する、請求項7から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ステップS3において、少なくとも2BVの水を使用する、請求項7から19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸(HMTBA)のようなメチオニンヒドロキシアナログは、液体であり、強酸性を有する有機酸である。液体のヒドロキシメチオニンは、シアノヒドリンの加水分解により製造することができる。具体的には、メチルチオプロパナールとシアン化水素酸とを反応させて2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリル(HMTBN)を製造し、硫酸の作用下で2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを水和することで2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンアミドが生成し、そして硫酸の作用下で加水分解して液体ヒドロキシメチオニン、硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムを含む加水分解生成物が生成する。高純度の液体ヒドロキシメチオニンを得るために、硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムを加水分解生成物から除去する必要がある。
【0003】
輸送、特に冬の低温での輸送、及びその後の処理を容易にするために、液体ヒドロキシメチオニンの粘度の低下が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、メチオニンヒドロキシアナログから塩類、特に硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムを特定の程度に除去することにより、メチオニンヒドロキシアナログのモノマーとオリゴマーのバランスを調整することができるとともに、その量と比率の変動が製品の粘度に予想外に影響を与えることを発見した。
【0005】
一形態では、本発明によれば、
モノマー、ダイマー及びトライマーが99.95wt%を超え、かつモノマー:ダイマー:トライマーが重量比で77-80:18.5-19.5:3-4である86-89wt%のメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーと、
9.2-13.5wt%の水と、
0.5wt%未満の硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムと、
を含む混合物であって、
前記混合物は10℃での粘度が200mPa・s未満である混合物が提供される。
【0006】
他の態様では、本発明によれば、
混合物をイオン交換樹脂に接触させるステップS1と、
混合物を別のイオン交換樹脂に接触させるステップS2と、
ステップS1のイオン交換樹脂を水で洗浄して水性溶離液を取得し、得られた水性溶離液を用いてステップS1の前にメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物を希釈し、及び/又は
ステップS2のイオン交換樹脂を水で洗浄して水性溶離液を取得し、ステップS1の前に水性溶離液を用いてメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物を希釈するステップS3と、
イオン交換樹脂を再生するステップS4と、
を含むメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物の処理方法が提供される。
【0007】
本発明の上記及び他の特徴並びに利点は、以下の実施形態の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲により明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。
【
図1】一実施形態に係る方法を示すフローチャートである。
【
図2】樹脂処理からの脱着液及び/又は洗浄液の循環が導入されたHMTBA製造プロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に明記しない限り、本明細書に使用される各用語の意味及び範囲は、以下の定義により説明及び限定される。
【0010】
本明細書において、用語「混合物」とは、2種類以上の異なる物質の組み合わせを示す。
用語「AS」は、分子式が(NH4)2SO4である硫酸アンモニウムを示す。
用語「BAS」は、分子式がNH4HSO4である硫酸水素アンモニウムを示す。
用語「HMTBA」は、2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸を示し、メチオニンヒドロキシアナログ又は液体メチオニンとも呼ばれる。
用語「ATS」は、2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸(HMTBA)のアンモニウム塩を示す。
用語「MTN」は、メチオニンを示す。
用語「BV」は、ベッドボリュームを示す。
用語「TOS」は、全有機硫黄を示し、サンプル中の硫黄含有有機化合物の含有量を示すものである。
用語「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを示す。
用語「DMW」は、軟化水を示す。
用語「MMP」は、メチルチオプロパナールを示す。
特に明記しない限り、数量及び百分率は、重量によるものである。
【0011】
本発明によれば、メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物、並びにその製造方法が提供される。混合物中の硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムの含有量を0.5wt%未満に減少させ、混合物中の含水量を増加させ、メチオニンヒドロキシアナログのモノマー、ダイマー及びトライマーの総量を増加させることにより、混合物は10℃での粘度が200mPa・s未満になる。
【0012】
シアノヒドリン加水分解法の生成物として、メチオニンヒドロキシアナログを主成分として含む混合物は、硫酸アンモニウム(AS)、硫酸水素アンモニウム(BAS)、2-ヒドロキシ-(4-メチルチオ)酪酸のアンモニウム塩(ATS)などの塩類及びメチオニン(MTN)を含み得る。本発明者らは、塩類が不要の不純物だけではなく、混合物の粘度に影響を与える要素でもあることを発見した。イオン交換樹脂処理によりAS及びBASを混合物から除去することができる。イオン交換樹脂処理を製造プロセスに統合することにより、流出物は循環使用できるようになるため、プロセス全体において廃水の排出がないとともに、取り除かれた塩類は回収できるため、固体廃棄物もない。そのため、このプロセスは、資源を効率的に利用可能であり、環境に優しい。
【0013】
いくつかの実施形態において、シアノヒドリン加水分解法により、塩の総量は約1.3-1.6wt%であり、AS及びBASは主成分であり、総量が1.2-1.4wt%であり、かつATSとMTNの総量が0.2wt%未満、特に0.1wt%未満である混合物が得られる。
【0014】
イオン交換樹脂を用いる方法により混合物を処理してAS及びBASを特定の程度まで除去する。
【0015】
いくつかの実施形態において、混合物を処理することにより、
モノマー、ダイマー及びトライマーが99.95wt%を超え、かつモノマー:ダイマー:トライマーが重量比で77-80:18.5-19.5:3-4である86-89wt%的メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーと、
9.2-13.5wt%の水と、
0.5wt%未満の硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムと、
を含み、
混合物は10℃での粘度が200mPa・s未満である混合物が得られる。
【0016】
いくつかの実施形態において、モノマー:ダイマー:トライマーは重量比で77.4-78.5:18.5-19.2:3.2-3.6である。
【0017】
製品の品質の観点から、モノマーが望ましい。混合物における含有量が比較的低い塩類及び含有量が比較的高い水により、モノマーとオリゴマーのバランスは、モノマーがより多くなる方向へ変化する。ダイマー及びトライマーは、粘度がモノマーよりも高いため、比較的望ましくない。したがって、含有量が比較的高いモノマーは、混合物の粘度の低下に有利である。
【0018】
特に、混合物は、9.5wt%、10wt%、10.5wt%、11wt%、11.5wt%、12wt%、12.5wt%又は13wt%の水、及び/又は0.4wt%未満の硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムを含む。いくつかの実施形態において、混合物は、0.4wt%未満の硫酸アンモニウム及び0.1wt%未満の硫酸水素アンモニウムを含む。
【0019】
塩類含有量の減少及び含水量の増加により、混合物の粘度は、10℃での粘度が200mPa・s未満、特に10℃での粘度が170mPa・s未満となるように改善され得る。いくつかの実施形態において、0℃での粘度が340mPa・s未満である。
【0020】
本発明の混合物は、飼料添加剤として、例えば、動物又はヒト用栄養組成物に使用することができ、また固体に乾燥されてから後続の応用に使用することができる。例えば、混合物を噴霧乾燥することができる。低含有量の塩類及び適宜な粘度は、噴霧乾燥プロセスに存在する沈殿の発生及び処理困難などの問題を解決することができる。
【0021】
図1に示すように、本発明で提供されるメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物の処理方法は、
混合物をイオン交換樹脂に接触させるステップS1と、
混合物を別のイオン交換樹脂に接触させるステップS2と、
水でステップS1のイオン交換樹脂を洗浄して水性溶離液を取得し、得られた水性溶離液をステップS1の前にメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物の希釈に使用し、及び/又は
水でステップS2のイオン交換樹脂を洗浄して水性溶離液を取得し、得られた水性溶離液をステップS1の前にメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物の希釈に使用するステップS3と、
イオン交換樹脂を再生するステップS4と、
を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、ステップS1及びS2は、それぞれ陽イオン交換樹脂処理によりNH4
+を除去し、陰イオン交換樹脂処理によりSO4
2-を除去することを含む。
例えば、ステップS1は、混合物を陽イオン交換樹脂、特に強酸性陽イオン交換樹脂に接触させるステップS11を含み、かつステップS2は、混合物を陰イオン交換樹脂、特に弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触させるステップS21を含み、或いは
ステップS1は、混合物を陰イオン交換樹脂、特に弱塩基性陰イオン交換樹脂に接触させるステップS12を含み、かつステップS2は、混合物を陽イオン交換樹脂、特に強酸性陽イオン交換樹脂に接触させるステップS22を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、ステップS1の前には、メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物は、12wt%未満の水、特に11wt%未満の水と、1wt%を超える硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウム、特に1.2wt%を超える硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウム、さらに特に1.3-1.6wt%の硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウムとを含む。いくつかの実施形態において、ステップS1の前には、メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物は、10℃での粘度が350mPa・sよりも高い。
【0024】
陽イオン交換樹脂は、例えば、スルホン酸基を交換基として有する強酸性陽イオン交換樹脂、又は例えば、カルボキシル基を交換基として有する弱酸性陽イオン交換樹脂であってもよい。特に、陽イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂である。いくつかの実施形態において、陽イオン交換樹脂は、骨格構造がスチレン-ジビニルベンゼン共重合体であり、イオン交換基がスルホン酸基であり、95%以上の粒子の粒径が0.315-1.25mmの範囲内であり、交換容量が≧1.9mmol/mlであり、比表面積が≧50m2/gであり、含水量が50-60%である。陰イオン交換樹脂は、例えば、一級、二級若しくは三級アミン基を交換基として有する弱塩基性陰イオン交換樹脂、又は例えば、四級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性陰イオン交換樹脂であってもよい。特に、陰イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂である。例えば、陰イオン交換樹脂は、骨格構造がアクリル酸メチルポリマーであり、イオン交換基が三級アミン基であり、95%以上の粒子の粒径が0.315-1.25mmの範囲内であり、交換容量が≧1.6mmol/mlであり、比表面積が≧50m2/gであり、含水量が55-65%である。初めて使用する前に、樹脂を活性化させ、例えば、陽イオン交換樹脂の場合、10wt%硫酸で活性化させ、陰イオン交換樹脂の場合、10wt%アンモニア水で活性化させることにより、樹脂はH+又はOH-によって飽和される。
【0025】
イオン交換ステップにおいて、注入試料の溶液を樹脂に通過させることで注入試料から塩類(アンモニウムイオン又は硫酸イオン)を除去する。注入温度、注入速度(単位:BV/h)及び1BV樹脂で処理した注入試料の体積(単位:BV)などのパラメータは、イオン交換の結果に影響を与える可能性がある。
【0026】
処理される混合物の粘度を考慮すると、カラム温度を45℃よりも高くする必要がある。しかし、温度が高すぎると、樹脂の使用寿命が短くなる恐れがある。いくつかの実施形態において、ステップS1及びS2は45℃-55℃の温度で行われ、特に50℃で行われる。
【0027】
注入試料を樹脂カラムに注入する際の速度は、塩類除去効率に影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態において、ステップS1及びS2は、0.8BV/h-2.5BV/hの速度で行われ、特に1BV/h-2BV/hの速度で行われる。
【0028】
樹脂の容量(C;ml/g)は、単位樹脂体積あたりに交換可能なNH4
+及びSO4
2-の量を表し、入口及び出口でのNH4
+%及びSO4
2-%、並びに飽和BVの場合に樹脂を通過する注入試料の重量を測定することによって確定される。例えば、陽イオン交換樹脂の容量は、下式により算出される。
【0029】
【0030】
陰イオン交換樹脂の容量は、下式により算出される。
【0031】
【0032】
樹脂の容量及び樹脂で除去しようとするイオンの数により、処理に必要な樹脂のBVを確定することができる。陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂に使用されるBVは異なっても良い。
【0033】
いくつかの実施形態において、陽イオン交換樹脂の場合、樹脂が10BV、例えば8BVの注入試料溶液を処理する際に飽和し始め、陰イオン交換樹脂の場合、10BV、例えば8BV又は7BVの注入試料溶液を処理する際に飽和し始め、これは1BV樹脂が処理可能な混合物の最大体積である。これ以上の混合物を処理すると、イオン交換樹脂の出口での塩類含有量は要求を満たすことができない。したがって、ステップS1及びS2のそれぞれにおいて、1BVのイオン交換樹脂を用いて多くとも10BV、特に多くとも8BVのメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物を処理する。
【0034】
いくつかの実施形態において、ステップS2の後に、メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物のNH4
+濃度は0.02%から0.1%の範囲内、例えば0.03%から0.08%の範囲内、例えば約0.04%であり、かつSO4
2-濃度は0.02%から0.2%の範囲内、例えば0.05%から0.12%の範囲内、例えば約0.07%であり、及び/又は25℃でのpH値は0.3から2.5の間、例えば0.5から1.5の間、例えば約0.7、約0.8、約0.9若しくは約1.0である。
【0035】
ステップS1及びS2において、イオン交換樹脂が飽和した後、樹脂を水、例えばDMWで洗浄することにより樹脂に残留したTOSを除去する。ステップS3は、水、例えばDMWでステップS1及びS2のそれぞれのイオン交換樹脂を洗浄して水性溶離液を取得し、水性溶離液をステップS1の前にメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物の希釈に使用する。ステップS3で得られた洗浄後の流出物をプロセスに再利用することにより、廃水が発生しない。
【0036】
いくつかの実施形態において、ステップS3に使用される水は、樹脂カラムに入る前に加熱されない。これは、このステップの温度が特に要求されないためである。
【0037】
洗浄用水の体積は、方法の総効率に影響を与える一つの要素である。洗浄ステップに使用される水の体積が不足であると、樹脂にTOSが残留する場合がある。これらのTOSはステップS4中の再生液に入ると、汚染及び製品損失を引き起こす恐れがある。いくつかの実施形態では、ステップS3において少なくとも2BVの水、例えば少なくとも3BVの水でステップS1及びS2のそれぞれのイオン交換樹脂を洗浄する。
【0038】
いくつかの実施形態において、ステップS3は、1BV/h-3BV/hの速度で行われ、特に1.5BV/h-2.5BV/hの速度で行われる。
【0039】
ステップS3の洗浄後、イオン交換樹脂を再生し、次のサイクルの処理に使用する。ここで、再生液を樹脂に通過させることでNH4
+及びSO4
2-を除去し、樹脂は再度H+又はOH-によって飽和される。ステップS4の再生は、
酸性溶液、例えば強酸性溶液、特に硫酸溶液で陽イオン交換樹脂を洗浄して脱着液を取得し、塩基性溶液、例えば、弱塩基性溶液、特にアンモニア水溶液で陰イオン交換樹脂を洗浄して別の脱着液を取得するステップS41と、
水で陽イオン交換樹脂及び/又は陰イオン交換樹脂を洗浄して洗浄液を取得するステップS42と、
メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物、特にステップS1及びS2で処理されたメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物で陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を洗浄するステップS43と、
を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、脱着液及び/又は洗浄液をHMTBAの製造プロセスにおいて循環させる。
【0041】
図2は、樹脂処理からの脱着液及び/又は洗浄液の循環が導入されたHMTBA製造プロセスを示す模式図である。シアノヒドリン加水分解法によるHMTBAの製造は、少なくともシアノヒドリン製造ユニット、HMTBA製造ユニット及びAS製造ユニットを含む。シアノヒドリン(HMTBN)製造ユニットにおいて、シアノヒドリンを製造するためにMMP及びシアン化水素酸(HCN;アンモニアと天然ガスから製造される)が必要とされる。このユニットには、一定量の硫酸及び水も導入される。脱着液及び/又は洗浄液を一部の水の代わりにこのユニットに加えてもよい。HMTBA製造ユニットにおいて、H
2SO
4の作用下でHMTBNからHMTBAを製造する。出口からの製品の液流は、本発明の方法で処理することにより塩類含有量が低いHMTBA含有混合物を得ることができる。AS製造ユニットにおいて、他のユニットからのAS含有液流(異なるAS%濃度を有する)を処理し、水分蒸発及び結晶化により副生成物である精製固体ASを得る。AS含有脱着液及び/又は洗浄液をこのユニットに供給することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、脱着液及び洗浄液は、AS製造ユニットにおいて注入試料溶液として使用することができ、又はシアノヒドリン水解ユニットにおいて注入試料用水として使用することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、硫酸溶液の濃度は5-20wt%、特に8-12wt%であり、アンモニア溶液の濃度は2-20wt%、特に4-12wt%である。硫酸溶液は、98wt%硫酸で製造することができる。アンモニア溶液は、32wt%アンモニア水又はアンモニアガスで製造することができる。
【0044】
再生ステップに使用される再生試薬の体積が足りないと、次のサイクルのイオン交換処理の効率は100%になれない。再生の程度は、例えば、再生出口でのpH値或いはNH4
+及び/又はSO4
2-含有量、再生出口での必要な規格を得るために樹脂を通過する溶液の体積(単位:BV)などのパラメータにより評価することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、ステップS41では、陽イオン交換樹脂から出た出口液流のpH値は2未満であり、及び/又はNH4
+は0.1%未満である。陰イオン交換樹脂から出た出口液流のpH値は10を超え、及び/又はSO4
2-は0.05%未満である。
【0046】
いくつかの実施形態において、ステップS4は40℃-55℃の温度で行われ、及び/又はステップS4は1.5BV/h-2.5BV/h、特に1.8BV/h-2.2BV/hの速度で行われる。
【0047】
いくつかの実施形態において、ステップS41では、少なくとも2BV、特に2.5-3.5BVの上記硫酸溶液を使用し、及び/又は少なくとも1.2BV、特に1.5-2BVの上記アンモニア溶液を使用する。いくつかの実施形態において、3BVの10wt%H2SO4溶液を使用するとともに、1.5-2BVの10wt%アンモニア溶液を使用する。
【0048】
いくつかの実施形態において、出口液流のpH値が2未満になるまで10wt%H2SO4溶液を陽イオン交換樹脂に通過させることで樹脂を再生及び活性化させるとともに、出口液流のpH値が10より高くなるまで10wt%NH3・H2O溶液を陰イオン交換樹脂に通過させることで樹脂を再生及び活性化させる。
【0049】
ステップS41において、再生後に、効果的なイオン交換を確保し、TOSに少量の酸/塩基が混入することを回避するために、カラムに残留したアンモニア水又は硫酸溶液を洗い出す必要がある。ステップS42において、水、例えばDMWを樹脂カラムに通過させることで再生試薬を除去し、陽イオン交換樹脂の出口pH値を3-4にし、及び/又は陰イオン交換樹脂の出口pH値を9-10にし、この洗浄液を収集してプロセスに再利用し、例えば、シアノヒドリン加水分解ユニットにおいて注入試料用水として使用する。いくつかの実施形態において、ステップS42において、少なくとも2BV、特に3BVの水でそれぞれの樹脂を洗浄する。例えば、少なくとも2BV、特に少なくとも3BVの水で陽イオン交換樹脂を洗浄し、少なくとも2BV、特に少なくとも3BVの水で陰イオン交換樹脂を洗浄する。
【0050】
ステップS43において、メチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物で陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を洗浄する。特に、ステップS43において、樹脂で処理されたメチオニンヒドロキシアナログ及びそのオリゴマーを含む混合物、即ちステップS1及びS2で処理された混合物で陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を洗浄し、これによって、次のサイクルの処理による吸着の開始前には、カラムに水ではなく、塩類含有量の低いHMTBA混合物が満たされる。これによって、処理された製品は水により希釈/汚染されることが回避される。
【0051】
いくつかの実施形態において、少なくとも2セットのイオン交換樹脂によりステップS1からS4を同時に実施し、各セットのイオン交換樹脂は、少なくとも1種類の陽イオン交換樹脂及び少なくとも1種類の陰イオン交換樹脂を含む。特に、少なくとも2セットのイオン交換樹脂により同じステップを同時実施しない。さらに特に、少なくとも1セットのイオン交換樹脂によりステップS1又はS2を実施し、少なくとも1セットのイオン交換樹脂によりステップS4を実施し、これによって、常に少なくとも1セットのイオン交換樹脂によりイオン交換処理(ステップS1及びS2)を実施することができる。したがって、処理は、連続方式で実施され、一致した結果を得ることができる。
【0052】
本発明の方法によれば、混合物からAS及びBASを0.5wt%未満まで除去することができる。除去された1kgのASについては、2kgのASが生成する。しかし、除去された塩類及び新たに生成する塩類は、製造プロセスに循環できるとともに、固体AS製造ユニットに入り、処理されて固体AS副生成物となることができる。したがって、この方法では固体廃物が産生されない。
【0053】
実施例
以下、実施例及び比較例により本発明をより分かりやすく説明する。しかし、これらの例は本発明の範囲を制限するものではない。特に断りのない限り、全ての部、百分率、濃度などはいずれも重量によるものである。以下の試験方法及びプロセスは、後の実施例及び比較例の評価に使用される。
【0054】
特徴付け方法
以下、特徴付けの方法を提供する。特に断りのない限り、全ての測定は室温で行われる。
【0055】
試薬と材料
特に断りのない限り、全ての試薬は分析用純度(AR)であり、水は蒸留水又は同等純度の水である。
【0056】
pH値
pH値は、校正したpH計(InLab(登録商標)413Combined Electrode(Mettlerから購入)又は同等物)を用い、溶液中で激しく撹拌しながら直接測定する。いずれの測定前にもpH計を校正し、温度を自動校正する。
【0057】
pH2及びpH4の緩衝液:番号272581及び272168(Panreacから購入)、又は同等物。
【0058】
TOS
TOS(全有機硫黄)は、臭素酸化剤(酸性媒体中の臭化物/臭素酸エステル混合物のインサイチュ生成物)を用いてスルフィド基をスルホキシドに酸素化することにより測定される。当量点は、電位法により測定される。
【0059】
滴定媒体
120g臭化カリウム(番号141489(PANREACから購入)又は同等物)を蒸留水に溶解し、160mLの35%塩酸(番号721019(PANREACから購入)又は同等物)を加えた後、蒸留水を1Lまで加える。
臭素:0.1N,番号182000(PANREACから購入)又は同等物。
【0060】
装置
二重白金針電極(番号DM142)が実装され、分極モジュールDK102(METTLER DL40及びDL25用)が配置されたMETTLER DL25、DL40若しくはDL53滴定ユニット又は同等物。
【0061】
プロセス
分析天秤を用いて約0.2から0.3gの分析される酸相を秤量し、滴定ビーカーに移した。約50mLの滴定媒体を加えて滴定した。
【0062】
AS及びBASの濃度
AS及びBASの含有量は、硫酸イオン及びアンモニウムの測定により計算される。
アンモニウムは、電位差滴定法により水酸化ナトリウムNaOH標準溶液を用いて測定される。
【0063】
原理と反応
アンモニウムの含有量は、既知の当量濃度を有する塩基性化合物を用いる滴定により確定される。滴定は、硫酸水素イオンの存在による電位ステップを強調するために、非水性媒体中で行われる。
【0064】
試薬と材料
水酸化ナトリウム:1N,番号181691(PANREACから購入)、番号SO0441(SCHARLAUから購入)又は同等物。
イソプロピルアルコールQP(工業用純度)
【0065】
装置
滴定装置METTLER DL25、DL53又は同等物。
非水性媒体用のpH電極(DG115又は同等物)が配置されている。
【0066】
プロセス
約1gのサンプルを秤量し、30mLイソプロピルアルコールを加えた。アンモニウムイオンに基づく当量点に達するまで滴定した。
硫酸イオンは、過塩素酸鉛Pb(ClO4)2標準溶液を用いる電位差滴定により測定された。
【0067】
原理と反応
硫酸イオン含有量は、過塩素酸鉛標準化溶液を用いる滴定により確定される。
【0068】
試薬と材料
Pb(ClO4)2溶液:0.02M ORION 948206
装置
電位計(Titrando 905 Metrohm又は同等物)。
-イオン選択性電極、Pb特定(ex:番号Metrohm n°6-0502-170)
-参照電極
飽和カロメル電極(ex:番号Tacussel n°XR160 513 137)又はAg/AgCl(エタノールで飽和したテトラエチルアンモニウム過塩素酸塩が充填されている)。
【0069】
プロセス
約1gのサンプルを秤量し、80mLの1.25/0.75v/vのアセトン/水混合物で希釈した。硫酸イオンの当量点になるまで滴定した。
【0070】
含水量
含水量は、一般的なKarl-Fischer法によりKARL-FISCHER試薬を用いてヨウ素及び無水亜硫酸の無水溶液中で測定された。当量点は、正確な変色により確定された。
【0071】
原理と反応
ヨウ素及び無水亜硫酸の無水溶液中でKARL-FISCHER試薬を用いて滴定することにより測定する。水の存在下でヨウ素は無水亜硫酸を酸化してヨウ化物に還元される。当量点では、過剰な試薬により色は黄色から暗赤色になる。より良好に終点を検出するために、白金分極電極を使用する。
【0072】
試薬及び材料
含水量測定(低含水量)用のメタノール:番号171091(PANREACから購入);HYDRANALの体積Karl Fischer用の溶媒(Solvent for Volumetric Karl Fischer):番号34800(RIEDEL DE HAENから購入)。
【0073】
KARL-FISCHER試薬溶液(1cm3=5mgの水):番号RE0013(SCHARLAUから購入);又はHYDRANALの滴定剤5(Titrant5)(RIEDEL DE HAENから購入):番号34801又は番号171574(PANREACから購入)。
【0074】
装置
二重白金針電極(DM142又はその同等物)及び分極モジュールDK102(DL18のみにある)が実装された滴定装置METTLER DL18又はDL35/DL31。
【0075】
プロセス
滴定ビーカーにおいて媒体を中和、分析した。中和状態に達した後、直ちに0.2gサンプルを滴定ビーカーに加えた。滴定装置を起動し、当量点になるまで滴定した。滴定装置は自動的に停止し、水の%で結果を表示する。
【0076】
メチオニンヒドロキシアナログのモノマー、ダイマー及びトライマーの含有量
HMTBAのモノマー、ダイマー、トライマーは、HPLC(Agilent,HPLC 1260,カラム:Nucleosil 100-5 C18(250x4.6 mm),UV検出器,溶離剤:アセトニトリル/水0.8mL/min,30℃,400bar)により測定された。
【0077】
粘度
標準測定方法により粘度を測定する。透明液体用のCANNON-FENSKEキャピラリー粘度計を使用し、測定される量に適する粘度範囲(300シリーズ)、標準ASTM D445及びISO3104により測定された。この粘度計には校正証明書が付いている。
【0078】
樹脂
実施例に使用される樹脂は、SUNRESINによって提供された。詳細は表1及び表2に示される。
【0079】
【0080】
【0081】
実施例1:樹脂の容量
カラム装置
装置は、2つのジャケット付きガラスカラム(1つが陽イオン交換樹脂、もう1つが陰イオン交換樹脂に使用される)、陽イオン交換樹脂洗浄系、陰イオン交換樹脂洗浄系及び軟化水洗浄系から構成された。ジャケットには、試験に必要な温度の水が充填されていてもよい。カラムには必要な量(即ち、1ベッドボリューム(BV))の樹脂が充填された。処理される混合物、硫酸溶液、アンモニア溶液又は軟化水は、蠕動ポンプによりカラムを通過して再生、イオン交換又は洗浄された。カラムの注入流速は、蠕動ポンプにより正確に制御することができる。
【0082】
プロセス
イオン交換パラメータを2BV/h(1BV=150ml)、50℃に設定した。2つの容量試験を行い、樹脂出口でのpH値、TOS、NH4
+及びSO4
2-を監視した。1260gの包含メチオニンヒドロキシアナログ含有混合物をシステムのそれぞれのカラムに注入し、初期流出物(0-0.5BV)を捨てた。そして、全てのTOS含有流出物(0.5BV後、2BVの洗浄水)を収集した。樹脂の容量は、下式により算出された。結果を表3及び4に示す。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
実施例2:連続イオン交換試験
システム(陽イオン交換樹脂カラムの場合、1BV=125ml;陰イオン交換樹脂カラムの場合、1BV=150ml)に1000gのメチオニンヒドロキシアナログ含有混合物注入試料を連続的に注入し、まず、陽イオン交換樹脂を通過し、さらに陰イオン交換樹脂を通過した。条件は、流速=2BV/h、50℃であった。1BV流出するごとにサンプルを分析した。結果を表5に示す。
【0087】
【0088】
実施例3.1-3.3:モノマーとオリゴマーの比
【0089】
実施例3.1
入口での注入試料に0.32%NH4
+及び0.7%SO4
2-が含まれ、BV=1の場合の流出物を収集した以外、実施例2のプロセスと同様であった。
【0090】
出口でのTOS、水、NH4
+、SO4
2-、pH値を監視して表6にまとめた。
【0091】
【0092】
実施例3.2及び3.3
実施例3.1の方法によりサンプルを処理し、そしてイオン交換樹脂で処理されていない混合物と混合し、異なるAS及びBAS濃度を有する混合物を得た。サンプルを特徴付け、モノマーとオリゴマーのバランスに対する塩類含有量の影響を調べた。実施例3.2は、処理されたサンプルであり、実施例3.3は、処理されたサンプルと処理されていない溶液とを混合したサンプルであり、最終的なAS+BAS含有量は0.464%であった。
【0093】
結果を表7に示す。
【0094】
比較例1:モノマーとオリゴマーの比
イオン樹脂により処理されていない混合物を使用した以外、実施例3.2及び3.3と同様であった。
【0095】
結果を表7に示す。
【0096】
【表7】
結果から分かるように、AS/BAS含有量が減少すると含水量は増加する。M+D+Tの合計は塩類含有量に顕著に影響される。具体的には、塩類含有量の減少に伴ってM+D+T含有量は増加する。低塩類含有量では、M+D+Tの合計は100%に近づく可能性がある。
【0097】
実施例4.1及び4.2:粘度
実施例3.2(実施例4.1)及び3.3(実施例4.2)のサンプルに特徴付け、粘度に対する塩類含有量の影響を調べた。
【0098】
結果を表8に示す。
【0099】
比較例2:粘度
イオン樹脂により処理されていない混合物(約1.1%のAS+BASを含む)を使用した以外、実施例4.1及び4.2と同様であった。
【0100】
結果を表8に示す。
【0101】
【0102】
実施例5:洗浄及び再生
イオン交換処理後、3BVの軟化水を用いて2BV/hでカラムをそれぞれ洗浄した。3BVの10%硫酸を用いて2BV/hで陽イオン交換樹脂を再生し、1.5-2BVの10%NH3・H2Oを用いて2BV/hで陰イオン交換樹脂を再生した。それぞれ3-4BVの軟化水を2BV/hでカラムに注入し、そして樹脂で精製された混合物をカラムに注入した。これによって、カラムは次のサイクルの処理に使用され得た。
【0103】
開示された実施形態は、様々な変形及び代替形式であってもよく、具体例は図面により例示され本明細書で詳しく述べられている。開示された実施形態は開示された特定の形式又は方法に限定されず、逆に、開示された実施形態には全ての変形、同等物及び代替物が含まれることが理解され得るべきである。