(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】レジーム・シフトの識別及び分析のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20231016BHJP
G06Q 10/0635 20230101ALI20231016BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/0635
(21)【出願番号】P 2022515485
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(86)【国際出願番号】 IN2020050745
(87)【国際公開番号】W WO2021059291
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】201921039286
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
【住所又は居所原語表記】Nirmal Building,9th Floor,Nariman Point,Mumbai 400021,Maharashtra,India.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマール、ラジャン
(72)【発明者】
【氏名】クマール、ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】パリハール、マネンドラ シン
(72)【発明者】
【氏名】ランカナ、ヴェンカタラマナ
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527413(JP,A)
【文献】特開2017-161991(JP,A)
【文献】特開2018-195308(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0142154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジーム・シフトの識別及び分析のためのプロセッサにより実施する方法であって、前記方法は、
1つ又は複数のソースから複数の入力データを受信し、前処理するステップ(302)と、
網羅的な領域知識及び特徴選択技術を用いて、前記前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)及び関連した特徴のセットを識別するステップ(304)と、
機械学習技術に基づいて、前記識別されたKPI及び前記識別された特徴のセットを用いてレジーム・シフト識別(RSI)モデルを作成するステップ(306)と、
1つ又は複数のソースから複数のリアル・タイム入力データを受信し、前処理するステップ(308)と、
前記作成されたRSIモデル及び前記複数のリアル・タイム入力データを用いて前記レジーム・シフトを識別するステップ(310)と、
要因パラメータを識別することによって前記識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するステップ(312)と、
前記識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するステップ(314)と、
を含
み、
前記識別されたレジーム・シフトを補正するための前記補正作用は、最適化技術又は所定のルール・エンジン・ベースの技術を含み、最適化に基づく前記補正作用は、領域知識及び識別されたRCAに基づいて、目的関数及び制約関数を動的に定義することによって実行される、方法。
【請求項2】
前記レジーム・シフトの識別及び分析は、レジーム・シフト識別(RSI)、前記識別されたレジーム・シフトの根本原因分析、及び前記識別されたレジーム・シフトを補正するための推奨装置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別されたレジーム・シフト、前記根本原因及び前記補正作用は、ディスプレイ・モジュール上に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ソースは、原料品質、組成&供給速度、プロセス・パラメータ、器材の条件、環境放出パラメータ、製品品質及び製造量を含む多変量データを送信するエンタープライズ・リソース・プラニング(ERP)、分散制御システム(DCS)、ラボ情報管理システム(LIMS)を含む産業プラント装置を意味する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前処理の前記ステップは、マルチレベルの異常値モデル及びクラスタリング分類のそれぞれに基づいて、異常値を除去し、欠測入力データを置換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記領域知識は、産業プラント装置を含むさまざまなソースの網羅的な領域知識によって動的に更新される領域知識データベースから受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記前処理された入力データから識別される前記複数のKPIは、測定KPI及び導出KPIを含み、前記測定KPI及び導出KPIは、領域知識に基づいて識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記特徴選択は、後にランク付け及び統合が続く、相関技術、統計及び機械学習技術を含む複数の技術に基づいて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記レジーム・シフトは、統計技術又は機械学習技術に基づいて識別され、前記統計技術は、仮説技術を含み、前記機械学習技術は、自動エンコーダ技術を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
根本原因分析(RCA)は、測定KPI及び導出KPIに対して個々に実行され、測定KPIのためのRCAは、前記要因パラメータの識別に基づいて識別され、前記導出KPIは、前記要因パラメータ及びRCA統合技術に基づいて識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記要因パラメータは、再構成誤差及び平均仮説技術を含むさまざまな技術を用いて、前記モデルに基づいて識別される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
導出KPIにおけるRCAを識別するための前記RCA統合技術は、重みを割り当て、前記複数の領域知識に基づいてランク付けすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
システム(100)であって、前記システム(100)は、
レジーム・シフト分析装置(102)と、
命令を記憶するためのメモリ(104)と、
1つ又は複数の通信インタフェース(106)と、
前記1つ又は複数の通信インタフェースを用いて、前記メモリに通信可能に結合された1つ又は複数のハードウェア・プロセッサ(108)と、
を備え、前記1つ又は複数のハードウェア・プロセッサは、前記命令によって、レジーム・シフトの識別及び根本原因分析のために、前記レジーム・シフト分析装置(102)
の1つ又は複数のモジュールを実行するように構成され、前記システムは、
1つ又は複数のソースから複数の入力データ及び複数のリアル・タイム入力データを受信するように構成された入力モジュール(202)と、
前記受信した複数の入力データ及び前記複数のリアル・タイム入力データを前処理するように構成された前処理モジュール(204)と、
動的に更新された領域知識を前記システム(100)と共有するように構成された領域知識データベース(206)と、
RSIモデル・モジュール(208)と、
を備え、
前記RSIモデル・モジュール(208)は、
網羅的な領域知識を用いて前記前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)を識別するように構成されたKPIモジュール(210)と、
特徴選択技術及び領域知識に基づいて、特徴のセットを前記識別された複数のKPIから選択するように構成された特徴選択モジュール(212)と、
機械学習技術を用いて前記選択された特徴のセットを用いてモデルを作成するように構成されたRSIモデル作成モジュール(214)と、
をさらに備え、前記システムは、
前記作成されたモデル及び前記複数のリアル・タイム入力データを用いて前記レジーム・シフトを識別するように構成されたRSIモジュール(216)と、
要因パラメータを識別することによって、前記識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するように構成されたRCAモジュール(218)と、
前記識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するように構成された推奨モジュール(220)
であって、前記識別されたレジーム・シフトを補正するための前記補正作用は、最適化技術又は所定のルール・エンジン・ベースの技術を含み、最適化に基づく前記補正作用は、領域知識及び識別されたRCAに基づいて、目的関数及び制約関数を動的に定義することによって実行される、推奨モジュール(220)と、
前記識別されたレジーム・シフト、前記根本原因及び前記補正作用を表示するように構成されたディスプレイ・モジュール(222)と、
を備えるシステム(100)。
【請求項14】
レジーム・シフトの識別及び根本原因分析のためのコンピュータ可読プログラムが組み入れられた非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読プログラムは、1つ又は複数のハードウェア・プロセッサによって実行されるとき、
1つ又は複数のソースから複数の入力データを受信し、前処理するステップと、
網羅的な領域知識及び特徴選択技術を用いて、前記前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)及び関連した特徴のセットを識別するステップと、
機械学習技術に基づいて、前記識別されたKPI及び前記識別された特徴のセットを用いてレジーム・シフト識別(RSI)モデルを作成するステップと、
1つ又は複数のソースから複数のリアル・タイム入力データを受信し、前処理するステップと、
前記作成されたRSIモデル及び前記複数のリアル・タイム入力データを用いて前記レジーム・シフトを識別するステップと、
要因パラメータを識別することによって前記識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するステップと、
前記識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するステップと、
を行わ
せ、
前記識別されたレジーム・シフトを補正するための前記補正作用は、最適化技術又は所定のルール・エンジン・ベースの技術を含み、最適化に基づく前記補正作用は、領域知識及び識別されたRCAに基づいて、目的関数及び制約関数を動的に定義することによって実行される、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照及び優先権
本出願は、2019年9月27日に出願されたインド仮特許出願第201921039286号の優先権を主張する。
【0002】
本明細書における開示は、一般に、レジーム・シフト分析の分野に関するものであり、より詳しくは、レジーム・シフト識別(RSI:regime shift identification)、識別されたレジーム・シフトの根本原因分析、及び識別されたレジーム・シフトを補正する推奨装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
レジームは、フィードバック又は相互に補強されたプロセスによって維持されるシステムの特性挙動である。システムの特性挙動のいずれかの変化又はシフトによって、レジーム・シフトが生じ、レジーム・シフトは、たいてい、完全に異なるシステム挙動を誘発する少なくとも1つの妨害(外部衝撃)によって、又は、内部プロセス(フィードバック)の滑らかな変化によって発生する。
【0004】
種々の産業/製造ユニットのシステムは、最大効率を与える所望の範囲において動作するように設計されているが、システムが所望の範囲の外側で動作を開始し、長期間、所望の範囲の外側で動作を継続する場合、それは結果として、金銭、原料及び他のリソースに関して巨大な損失を生じさせる。さらに、システムをモニタするための増加した数のセンサ及び複雑な動作パラメータを用いて、レジーム・シフトを識別するためのデータを手動で分析することは、時間がかかり非効率的である。さらに、レジーム・シフトを識別するための単純な統計技術はまた、分析される大きいデータを考慮すると、あまり効果的ではない。さらに、レジーム・シフトを識別するためのいくつかの他の既存の技術は、一変量データには効果的であるが、多変量データに、又は、複数のソースから受信されるデータにはあまり効果的ではない場合がある。それゆえ、レジーム・シフトがプロセス及び製品の品質を低下させ、システムをより非効率にするので、システムをモニタし、レジーム・シフトを識別することは重要である。加えて、識別されたレジーム・シフトの根本原因分析、並びに故障解析の感度及び/又は特異性を改善する推奨装置があれば、システムがより効率的になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例は、従来のシステムにおいて発明者によって認識される上述の技術課題の1つ又は複数に対する解決法として技術的改善を提示する。例えば、一実施例において、レジーム・シフトの識別及び分析のための方法及びシステムが提供される。任意のシステムにおけるレジーム・シフトの存在は、プロセス及び製品の品質を低下させ、システムをより非効率にするので、本開示は、システムを連続的にモニタし、リアル・タイムにレジーム・シフトを識別することを提案する。レジーム・シフトは、機械学習技術を用いて、重要性能評価指標(KPI:key performance indicator)、関連した特徴のセット及びリアル・タイム入力データに基づいてリアル・タイムに識別される。さらに、本開示はまた、識別されたレジーム・シフトの少なくとも1つの根本原因を検出するための技術を提案し、また、最適化技術に基づいて識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨する。
【0006】
他の態様において、レジーム・シフトの識別及び分析のための方法が提供される。方法は、1つ又は複数のソースから複数の入力データを受信し、前処理するステップを含む。方法は、網羅的な領域知識及び特徴選択技術を用いて前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)及び関連した特徴のセットを識別するステップをさらに含む。方法は、機械学習技術に基づいて、識別されたKPI及び識別された特徴のセットを用いてレジーム・シフト識別(RSI)モデルを作成するステップをさらに含む。方法は、1つ又は複数のソースから複数のリアル・タイム入力データを受信し、前処理するステップをさらに含む。方法は、作成されたRSIモデル及び複数のリアル・タイム入力データを用いてレジーム・シフトを識別するステップをさらに含む。方法は、要因パラメータを識別することによって識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するステップと、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するステップと、をさらに含む。
【0007】
他の態様において、レジーム・シフトの識別及び分析のためのシステムが提供される。システムは、命令を記憶するメモリと、集中型データベースと、1つ又は複数の通信インタフェースと、1つ又は複数の通信インタフェースを介してメモリに結合された1つ又は複数のハードウェア・プロセッサとを備え、1つ又は複数のハードウェア・プロセッサは、1つ又は複数のソースから複数の入力データ及び複数のリアル・タイム入力データを受信するように構成された入力モジュールを備える。入力モジュールは、受信した複数の入力データ及び複数のリアル・タイム入力データを前処理するように構成された前処理モジュールを備える。システムは、動的に更新された領域知識をシステムと共有するように構成された領域知識データベースをさらに備える。システムは、KPIモジュール、特徴選択モジュール及びRSIモデル作成モジュールをさらに備えるRSIモデル・モジュールをさらに含み、KPIモジュールは、網羅的な領域知識を用いて前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)を識別するように構成され、特徴選択モジュールは、特徴選択技術及び領域知識に基づいて、識別された複数のKPIのための特徴のセットを選択するように構成され、RSIモデル作成モジュールは、機械学習技術を用いて選択された特徴のセットを用いてモデルを作成するように構成される。システムは、作成されたモデル及び複数のリアル・タイム入力データを用いてレジーム・シフトを識別するように構成されたRSIモジュールをさらに備える。システムは、要因パラメータを識別することによって、識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するように構成されたRCA(root cause analysis)モジュールをさらに備える。システムは、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するように構成された推奨モジュールと、識別されたレジーム・シフト、根本原因及び補正作用を表示するように構成されたディスプレイ・モジュールと、をさらに備える。
【0008】
さらに他の態様では、レジーム・シフトの識別及び分析のための非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。プログラムは、1つ又は複数のソースから複数の入力データを受信し、前処理するステップを含む。プログラムは、網羅的な領域知識及び特徴選択技術を用いて前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)及び関連した特徴のセットを識別するステップをさらに含む。プログラムは、機械学習技術に基づいて、識別されたKPI及び識別された特徴のセットを用いてレジーム・シフト識別(RSI)モデルを作成するステップをさらに含む。プログラムは、1つ又は複数のソースから複数のリアル・タイム入力データを受信し、前処理するステップをさらに含む。プログラムは、作成されたRSIモデル及び複数のリアル・タイム入力データを用いてレジーム・シフトを識別するステップをさらに含む。プログラムは、要因パラメータを識別することによって識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するステップと、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するステップと、をさらに含む。
【0009】
前述の概説及び以下の詳細な説明の両方が例示的であり説明のために過ぎず、主張されるように本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0010】
この開示内に組み込まれ、一部を構成する添付の図面は、例示的な実施例を図示し、説明とともに開示された原則を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のいくつかの実施例に従う、レジーム・シフトの識別及び分析のためのシステムの例示的なブロック図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施例に従う、
図1のシステム内に記憶されるさまざまなモジュールの機能ブロック図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施例に従う、レジーム・シフトの識別及び分析のための例示的なフロー図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施例に従う、レジーム・シフトの識別及び分析のための例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施例が、添付の図面を参照して記載される。図面において、参照番号の最も左の数字は、その参照番号が最初に現れる図面を識別する。好都合な限り、同じ又は同様の部分を指すために図面全体を通して同じ参照番号が用いられる。開示される原理の実例及び特徴が本明細書に記載されるが、変更、適応及び他の実施が、開示される実施例の要旨及び範囲から逸脱することなく可能である。以下の詳細な説明は、単に例示とみなされ、真の範囲及び要旨は、添付の請求項によって示されることが意図されている。
【0013】
任意のシステムにおけるレジーム・シフトの存在は、プロセス及び製品の品質を低下させ、システムをより非効率にするので、本開示は、システムを連続的にモニタし、リアル・タイムにレジーム・シフトを識別することを提案する。レジーム・シフトは、機械学習技術を用いて、重要性能評価指標(KPI)、関連した特徴のセット及びリアル・タイム入力データに基づいてリアル・タイムに識別される。さらに、開示はまた、識別されたレジーム・シフトの少なくとも1つの根本原因を検出するための技術を提案し、また、最適化技術に基づいて識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨する。
【0014】
重要性能評価指標(KPI)は、性能に関する目標を達成することに対するシステム/プロセス/工業プラント/組織の成功を評価するために用いられる定量化可能な尺度である。分析目的のために、KPIは、測定KPI及び導出KPIに大きく分類されうる。測定KPIは、測定可能な形態で直接入手できるか、又は、そのデータはセンサ又は他の媒体を通して直接収集され、一方、導出KPIは、直接測定することはできず、測定可能な形態のサブKPIから導出されるが、プラットフォーム/プロセスをモニタするための表現測定基準として用いられる。
【0015】
図面を次に参照すると、より具体的には
図1から
図3A及び
図3Bを参照すると、類似の参照符号は、図面全体にわたり一貫して対応する特徴を意味し、好ましい実施例が示され、これらの実施例は、以下の例示システム及び/又は方法のコンテキストに記載されている。
【0016】
図1は、一例の実施例に従う、レジーム・シフトの識別及び分析のためのシステム100のブロック図である。システム100は、レジーム・シフトの識別及び根本原因分析のためのレジーム・シフト分析装置(102)を含み、レジーム・シフトの識別及び分析は、レジーム・シフト識別(RSI)、識別されたレジーム・シフトの根本原因分析及び識別されたレジーム・シフトを補正する推奨装置を意味する。レジーム・シフト分析装置(102)は、メモリ(104)、通信インタフェース(106)及びプロセッサ(108)を含むか又はさもなければこれらと通信する。メモリ104、通信インタフェース(106)及びプロセッサ(108)は、システム・バス(110)又は類似のメカニズムによって結合されてもよい。
図1は、クラウド移行推定装置(102)の例示的コンポーネントを示すが、他の実施態様では、システム100は、
図1において描写されるより少ないコンポーネント、追加のコンポーネント、異なるコンポーネント又は異なって配置されたコンポーネントを含んでもよい。
【0017】
プロセッサ(108)は、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、状態機械、論理回路及び/又は分子の制御放出のための高分子担体を設計するのを容易にする任意のデバイスとして実装されてもよい。さらに、プロセッサ(108)は、マルチコア・アーキテクチャを備えてもよい。他の能力の中で、プロセッサ(108)は、メモリ(104)内に記憶されたコンピュータ可読命令又はモジュールをフェッチし実行するように構成される。プロセッサ(108)は、とりわけ、通信に関連した音声及びロジック機能を実装する回路を含んでもよい。例えば、プロセッサ(108)は、1つ又は複数のデジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数の特殊用途のコンピュータ・チップ、1つ又は複数のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、1つ又は複数のコンピュータ、さまざまなアナログ・デジタル変換器、デジタル・アナログ変換器及び/又は他のサポート回路を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。したがって、プロセッサ(108)はまた、メッセージ及び/又はデータ若しくは情報をコード化する機能も含んでもよい。プロセッサ(108)はまた、とりわけ、クロック、演算論理装置(ALU:arithmetic logic unit)及びプロセッサ(108)の動作をサポートするように構成された論理ゲートを含んでもよい。さらに、プロセッサ(108)は、メモリ(104)内に記憶される又はプロセッサ(108)にとって他の方法でアクセス可能であり得る1つ又は複数のソフトウェア・プログラムを実行する機能を含んでもよい。
【0018】
メモリ(104)は、システム(100)の機能を実装するために、システム(100)により用いられる任意の数の情報及びデータを記憶してもよい。メモリ(104)は、例えば、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM:static random access memory)及びダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM:dynamic random access memory)のような揮発性メモリ並びに/又は読み取り専用メモリ(ROM:read only memory)、消去可能なプログラマブルROM、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスク、光ディスク及び磁気テープのような不揮発性メモリを含む当技術分野で知られる任意のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。揮発性メモリの実例は、揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)を含んでもよいが、これに限定されるものではない。不揮発性メモリは、電気的消去可能PROM(EEPROM:electrically erasable programmable read only memory)、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスクなどを追加的に又は代替的に備えてもよい。メモリ(104)は、システム(100)がさまざまな例示的実施例に従ってさまざまな機能を実行することを可能にするための情報、データ、アプリケーション、命令などを記憶するように構成されてもよい。追加的に又は代替的に、メモリ(104)は、プロセッサ(108)によって実行されるとき、システム100にさまざまな実施例にて説明したような方法で動作させる命令を記憶するように構成されてもよい。
【0019】
通信インタフェース(106)は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)、ケーブルなどの有線ネットワーク、及び無線LAN(WLAN:Wireless LAN)、セルラー方式又は衛星などの無線ネットワークを含む、多種多様なネットワーク及びプロトコル・タイプの範囲内で複数の通信を容易にすることができる。目的のために、通信インタフェース(106)は、1つ又は複数のポートを含んでもよい。システム100及びそのコンポーネントの1つ又は複数の機能は、
図2に記載されているブロック図に関してさらに詳細に説明される。
【0020】
図2は、
図1を参照して、本開示の実施例に従う、
図1のシステム100のメモリ(104)内に記憶されるレジーム・シフト分析装置(102)のさまざまなモジュールのブロック図である。本開示の実施例では、システム(100)は、1つ又は複数のソースから複数の入力データ及び複数のリアル・タイム入力データを受信するように構成された入力モジュール(202)を備える。入力モジュール(202)は、受信した複数の入力データ及び複数のリアル・タイム入力データを前処理するように構成された前処理モジュール(204)を備える。システム(100)は、動的に更新された領域知識をシステム(100)と共有するように構成された領域知識データベース(206)をさらに備える。システム(100)は、RSIモデル・モジュール(208)をさらに含み、RSIモデル・モジュール(208)は、KPIモジュール(210)、特徴選択モジュール(212)及びRSIモデル作成モジュール(214)をさらに備え、KPIモジュール(210)は、網羅的な領域知識を用いて前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)を識別するように構成され、特徴選択モジュール(212)は、特徴選択技術及び領域知識に基づいて、識別された複数のKPIのための特徴のセットを選択するように構成され、RSIモデル作成モジュール(214)は、機械学習技術を用いて選択された特徴のセットを用いてモデルを作成するように構成される。システム(100)は、作成されたモデル及び複数のリアル・タイム入力データを用いて、レジーム・シフトを識別するように構成されたRSIモジュール(216)をさらに備える。システム(100)は、要因パラメータを識別することによって識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するように構成されたRCAモジュール(218)をさらに備える。システム(100)は、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するように構成された推奨モジュール(220)と、識別されたレジーム・シフト根本原因及び補正作用を表示するように構成されたディスプレイ・モジュール(222)と、をさらに備え、これらは、ソフトウェア・プログラムの論理的に自己充足的な部分、自己充足的なハードウェア・コンポーネント及び/又は、実行されるときに、本明細書に記載されている上記の方法を実行する、各ハードウェア・コンポーネント内に埋め込まれるソフトウェア・プログラムの論理的に自己充足的な部分を有する自己充足的なハードウェア・コンポーネントの少なくとも1つとして実施される。
【0021】
本開示の一実施例によれば、システム100は、受信した複数の入力データ及び複数のリアル・タイム入力データを前処理するように構成された前処理モジュール(204)を備える入力モジュール(202)を備える。一実施例では、ソースは、原料品質、組成&供給速度、プロセス・パラメータ、器材の条件、環境放出パラメータ、製品品質及び製造量などの複数の特徴を備える多変量データを入力として送信するエンタープライズ・リソース・プラニング(ERP:Enterprise Resource Planning)、分散制御システム(DCS:Distributed Control System)、ラボ情報管理システム(LIMS:Laboratory information management system)を含む複数の動作ユニットを有する任意の産業プラント装置を意味する。
【0022】
本開示の一実施例によれば、システム100は、受信した複数の入力データ及び複数のリアル・タイム入力データを前処理するように構成された前処理モジュール(204)をさらに備える。一実施例では、前処理のステップは、マルチレベルの異常値モデル及びクラスタリング分類のそれぞれに基づいて、異常値を除去し、欠測入力データを置換することを含む。
【0023】
一実施例において、前処理は、製造プロセスに関連付けられた入力データを前処理するための繰り返しを実行することを含む。各繰り返しは、マルチレベルの異常値モデルを用いて入力データから異常値を除去し、フィルタ処理済データを取得することを含む。フィルタ処理済データは、複数のカテゴリに分類され、さまざまなパラメータの発生の頻度に基づいて、欠測データを識別する。欠測データは、複数のカテゴリに基づいて、選択的に帰属され、所定の基準に基づいてさまざまなデータ・クラスタに分けられている帰属データを取得する。繰り返しごとに、現在の繰り返しに関連付けられた帰属データが以前の繰り返しに関連付けられるのと同じデータ・クラスタに分けられるかが決定される。前回の繰り返しのデータ・クラスタと現在の繰り返しのデータ・クラスタが類似し、最終的に前処理された入力データをもたらすまで、さまざまな繰り返しが実行される。
【0024】
本開示の一実施例によれば、システム100は、動的に更新された領域知識をシステム(100)と共有するように構成された領域知識データベース(206)をさらに備える。領域知識データベース(206)は、原料品質、組成&供給速度、プロセス・パラメータ、器材の条件、環境放出パラメータ、製品品質及び製造量を含む多変量データを送信するエンタープライズ・リソース・プラニング(ERP)、分散制御システム(DCS)、ラボ情報管理システム(LIMS)を含むさまざまなソースの網羅的な領域知識によって動的に更新される。
【0025】
開示の一実施例によれば、システム100は、RSIモデル・モジュール(208)をさらに備える。RSIモデル・モジュール(208)は、KPIモジュール(210)、特徴選択モジュール(212)及びRSIモデル作成モジュール(214)をさらに備える。KPIモジュール(210)は、網羅的な領域知識を用いて前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)を識別するように構成される。特徴選択モジュール(212)は、特徴選択技術及び領域知識に基づいて、特徴のセットを識別された複数のKPIから選択するように構成され、RSIモデル作成モジュール(214)は、機械学習技術を用いて選択された特徴のセットを用いてモデルを作成するように構成される。
【0026】
一実施例において、複数のKPIは、KPIモジュール(210)において前処理された入力データから識別される。識別された複数のKPIは、測定KPI及び導出KPIを含み、測定KPI及び導出KPIは、領域知識データベース(206)から受信される領域知識に基づいて識別される。
【0027】
一実施例では、関連した特徴のセットを前処理された複数の入力データから選択するための特徴選択は、特徴選択モジュール(212)において実行される。特徴選択は、後にランク付け及び統合が続く、相関技術、統計及び機械学習技術を含む複数の技術に基づいて実施される。
【0028】
一実施例において、相関技術は、相関係数を計算するステップと、計算した相関値に基づいて関連した特徴をランク付けするステップと、を含むいくつかのステップで実装され、相関値が高いほど、特徴の重要性が高い。相関技術は、以下に示すように表されてもよい。
【数1】
ここで、r
xyは、相関係数であり、
x
iは、特徴であり、y
iは、任意の時間間隔tでのKPIである。
一実施例において、段階的回帰、ラッソ回帰(LASSO:least absolute shrinkage and selection operator)、ランダム・フォレスト及びサポート・ベクター・マシン(SVM:Support Vector Machine)のような機械学習技術は、モデルを構築し、構築されたモデルに基づいて特徴をさらにランク付けすることを含むいくつかのステップで実装される。モデルの相関に基づいて特徴をランク付けするステップでは、計算係数が高いほど、重要性は高く、特徴jのランクは、特徴jのランク及び頻度に基づいて計算される動的平均ランク付けパラメータに基づいて統合され、それは以下に示すように表すことができる。
【数2】
ここで、r
j,kは、機械学習技術kを用いた特徴jのランクであり、f
jは、k技術の間で選択される特徴の頻度である。
【0029】
一実施例において、レジーム・シフト識別(RSI)モデルを作成することは、識別されたKPIのための機械学習技術に基づいて、関連した特徴の識別されたセットを用いて、RSIモデル作成モジュール(214)において作成される。
【0030】
開示の一実施例によれば、システム100は、領域知識に基づいて、作成されたモデル及び複数のリアル・タイム入力データを用いてレジーム・シフトを識別するように構成されたRSIモジュール(216)をさらに備える。レジーム・シフトは、領域知識により決定されるソースの性質に基づいて、統計技術又は機械学習技術を用いて識別され、統計技術は仮説技術を含み、機械学習技術は、自動エンコーダ技術を含む。
【0031】
一実施例において、レジーム・シフトは、いくつかのステップにおいて仮説技術を含む統計技術に基づいて識別される。仮説技術に基づいてレジーム・シフトを識別するためのステップは、領域知識に基づいて、全履歴データ/データのウィンドウ及びレジーム・シフト長の短い連続を識別するステップを含む。さらに、仮説検定は、識別された履歴データとレジーム・シフト長の短い連続との間に実行され、レジーム・シフトを識別する。
【0032】
他の実施例では、レジーム・シフトは、機械学習技術に基づいて識別され、ニューラル・ネットワーク・ベースの自動エンコーダ・モデルは、レジーム・シフトを識別するために利用される。KPI及び他のパラメータのための閾値は、以下に示すように表される自動エンコーダの再構成誤差に基づいて動的に定義される。
再構成誤差=実際の観察されたデータ-モデルにより再構成されたデータ
さらに、以下に示すように表される閾値が計算される。
閾値=誤差の平均±誤差の標準偏差
計算された閾値にさらに基づいて、レジーム・シフトは、リアルタイム・データ入力と計算された閾値との比較に基づいて識別される。
【0033】
本開示の一実施例によれば、システム100は、要因パラメータを識別することによって識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するように構成されたRCAモジュール(218)をさらに備える。
【0034】
一実施例において、要因パラメータは、レジーム・シフトを識別するために用いられ、再構成誤差及び平均仮説技術を含むさまざまな技術を用いて、モデルに基づいてリアル・タイムで識別される複数の操作された要因パラメータ及び複数のプロセス・パラメータを含む。一実施例において、要因パラメータが識別される間、再構成誤差及び平均仮説技術を実行し、RSIの識別の間アクティブであるKPIが、要因パラメータとして識別され、アクティブは、閾値を越えてそのレジームをシフトしているKPIを意味する。
【0035】
根本原因分析(RCA)は、測定KPI及び導出KPIに対して個々に実行され、測定KPIのためのRCAは、要因パラメータの識別に基づいて識別され、導出KPIは、要因パラメータ及びRCA統合技術に基づいて識別される。導出KPIにおけるRCAを識別するためのRCA統合技術は、重みを割り当て、領域知識データベース(206)から受信される複数の領域知識に基づいてランク付けすることを含む。
【0036】
一実施例において、導出KPIにおけるRCAを識別するための統合技術は、重みを割り当て、領域知識データベース(206)から受信される複数の領域知識に基づいてランク付けすることを含む。重みを割り当てるプロセスは、所定の重みを各KPIに割り当てることと、以下に示すように表すことができる重みスコアに基づいて要因パラメータをさらにランク付けすることと、を含む。
【数3】
ここで、WS
jは、重みスコアであり、
W
iはi番目のKPIの重みであり、
S
jiは、KPIiの要因パラメータjの重要度スコアである。
KPI1及びKPI2として表現される2つのKPIの使用事例を考えると、KPI1の重みは、W1であり、要因パラメータは、スコアS11及びS21を有するP1及びP2であり、KPI2の重みは、W2であり、要因となる特徴は、スコアS21及びS22を有するP1及びP2であり、重みスコアは上記の式を用いて計算され、少なくとも1つの要因パラメータは、計算された重みスコアの中で識別され、重みスコアは低いほど好ましい。
【0037】
本開示の一実施例によれば、システム100は、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するように構成された推奨モジュール(220)をさらに備える。
【0038】
一実施例において、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用は、最適化技術又は所定のルール・エンジン・ベースの技術を含む。最適化に基づく補正作用は、領域知識及び識別されたRCAに基づいて、目的関数及び制約関数を動的に定義することによって実行される。
【0039】
一実施例において、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用は、いくつかのステップで所定のルール・エンジンに基づいて実行される。それは、識別された要因パラメータの平均値を計算することと、領域知識及び計算された平均値に基づいて理想的な値をさらに生成し、理想的な値に基づいて要因パラメータの値を変え、識別されたレジーム・シフトを推奨作用として軽減することと、を含む。
【0040】
一実施例において、識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用は、最適化に基づいて実行され、最適化は、領域知識及び識別されたRCAに基づいて、目的関数及び制約関数を動的に定義することに基づいて実行される。目的関数は、識別されたKPIに基づいて定義され、以下に示すように表すことができる。
O=(KPI-KPI’)2
ここで、Oは目的関数であり、
KPIは重要性能評価指標であり、
KPI’は、重要性能評価指標のベース値である。
さらに、制約関数は、操作された要因パラメータ及びプロセスに要因パラメータの所定の上限及び下限に基づいて定義され、所定の動作の点を維持し、以下のように表される。
CmnL<Cmn<CmnU
ここで、CmnLは、操作された要因パラメータの下限であり、
Cmnは、制約関数であり、
CmnUは、操作された要因パラメータの上限であり、
CpnL<Cpn<CpnU
ここで、CmnLは、プロセスの要因パラメータの下限であり、
Cmnは、制約関数であり、
CmnUは、プロセスの要因パラメータの上限である。
定義された目的関数及び制約関数は、識別されたRSI及びRCAに基づいて最適化され、補正作用を推奨する。
【0041】
本開示の一実施例によれば、システム100は、識別されたレジーム・シフト、根本原因及び補正作用を表示するように構成されたディスプレイ・モジュール(222)をさらに備える。
【0042】
図3A及び
図3Bは、
図1から
図2を参照して、本開示の一実施例に従う
図1のシステム100を用いてレジーム・シフトの識別及び分析のための方法を示す例示的なフロー図である。一実施例において、システム100は、1つ又は複数のハードウェア・プロセッサ108に動作可能に結合され、1つ又は複数のプロセッサ108によって方法のステップを実行するための命令を記憶するように構成された1つ又は複数のデータ記憶装置又はメモリ104を備える。本開示の方法のステップは、以下、
図1から
図2に描写されたシステム100のコンポーネント及びモジュール(202-222)並びに
図3A及び
図3Bに描写されたフロー図を参照して説明される。
【0043】
ステップ302において、入力モジュール(202)によって1つ又は複数のソースから複数の入力データを受信し、前処理するステップを含む。入力モジュール(202)によって受信される複数の入力データは、前処理モジュール(204)で前処理される。一実施例では、ソースは、原料品質、組成&供給速度、プロセス・パラメータ、器材の条件、環境放出パラメータ、製品品質及び製造量を含む多変量データを入力として送信するエンタープライズ・リソース・プラニング(ERP)、分散制御システム(DCS)、ラボ情報管理システム(LIMS)を含む複数の動作ユニットを有する任意の産業プラント装置を意味する。
【0044】
次のステップ304において、RSIモデル・モジュール(208)のKPIモジュール(210)及び特徴選択モジュール(212)で前処理された複数の入力データから複数の重要性能評価指標(KPI)及び関連した特徴のセットを識別するステップを含む。KPIモジュール(210)で前処理された入力データから識別される複数のKPIは、測定KPI及び導出KPIを含み、測定KPI及び導出KPIは、領域知識データベース(206)から受信される領域知識に基づいて識別される。さらに、特徴選択モジュール(212)において前処理された複数の入力データから関連した特徴のセットを選択するための特徴選択は、後にランク付け及び統合が続く、相関技術、統計及び機械学習技術を含む複数の技術に基づいて実行される。
【0045】
次のステップ306において、RSIモデル作成モジュール(214)において、レジーム・シフト識別(RSI)モデルを作成するステップを含む。RSIモデルは、機械学習技術に基づいて、識別されたKPI及び識別された特徴のセットを用いて作成される。
【0046】
次のステップ308において、入力モジュール(202)によって、1つ又は複数のソースから複数のリアル・タイム入力データを受信し、前処理するステップを含む。入力モジュール(202)によって受信される複数のリアル・タイム入力データは、前処理モジュール(204)で前処理される。一実施例では、ソースは、原料品質、組成&供給速度、プロセス・パラメータ、器材の条件、環境放出パラメータ、製品品質及び製造量を含む多変量データを入力として送信するエンタープライズ・リソース・プラニング(ERP)、分散制御システム(DCS)、ラボ情報管理システム(LIMS)を含む複数の動作ユニットを含む任意の産業プラント装置を意味する。
【0047】
次のステップ310において、RSIモジュール(216)において、作成されたRSIモデル及び複数のリアル・タイム入力データを用いてレジーム・シフトを識別するステップを含む。レジーム・シフトは、統計技術又は機械学習技術に基づいて識別され、統計技術は、仮説技術を含み、機械学習技術は、自動エンコーダ技術を含む。
【0048】
次のステップ312において、RCAモジュール(218)において、要因パラメータを識別することによって識別されたレジーム・シフトの複数の根本原因を検出するステップを含む。要因パラメータは、再構成誤差及び平均仮説技術を含むさまざまな技術を用いて、モデルに基づいて識別される。根本原因分析(RCA)は、測定KPI及び導出KPIに対して個々に実行され、測定KPIのためのRCAは、要因パラメータの識別に基づいて識別され、導出KPIは、要因パラメータ及びRCA統合技術に基づいて識別される。導出KPIにおいてRCAを識別するためのRCA統合技術は、重みを割り当て、複数の領域知識に基づいてランク付けすることを含む。
【0049】
次のステップ314において、推奨モジュール(220)によって識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨するステップを含む。識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用は、最適化技術又は所定のルール・エンジン・ベースの技術を含む。最適化に基づく補正作用は、領域知識及び識別されたRCAに基づいて、目的関数及び制約関数を動的に定義することによって実行される。
【0050】
識別されたレジーム・シフト、根本原因及び補正作用は、ディスプレイ・モジュール(222)上に表示される。
【0051】
記載された説明は、任意の当業者が実施例を作成及び使用できるように、本明細書における主題を記載する。主題の実施例の範囲は、請求項によって定義され、当業者が思いつく他の変更を含みうる。他の変更は、請求項の文字通りの文言と相違しない類似の要素を有する場合、又は、請求項の文字通りの文言との実質的に相違しない均等の要素を含む場合、請求項の範囲内であることを意図する。
【0052】
それゆえ、レジーム・シフトの識別及び分析のための方法及びシステムが提供される。レジーム・シフトの識別及び分析は、レジーム・シフト識別(RSI)、識別されたレジーム・シフトの根本原因分析及び識別されたレジーム・シフトを補正するための推奨装置を含む。任意のシステムにおけるレジーム・シフトの存在は、プロセス及び製品の品質を低下させ、システムをより非効率にするので、本開示は、システムを連続的にモニタし、リアル・タイムにレジーム・シフトを識別することを提案する。レジーム・シフトは、機械学習技術を用いて、重要性能評価指標(KPI)、関連した特徴のセット及びリアル・タイム入力データに基づいてリアル・タイムに識別される。さらに、本開示はまた、識別されたレジーム・シフトの少なくとも1つの根本原因を検出するための技術を提案し、また、最適化技術に基づいて識別されたレジーム・シフトを補正するための補正作用を推奨する。
【0053】
保護の範囲は、このようなプログラム及びさらに内部にメッセージを有するコンピュータ可読手段に及び、このようなコンピュータ可読記憶手段は、サーバ、モバイル装置又はいずれかの好適なプログラマブル装置上でプログラムが実行されたときに方法の1つ又は複数のステップを実行するためのプログラムコード手段を含むと理解されたい。ハードウェア装置は、例えばサーバ若しくはパーソナル・コンピュータなどのあらゆる種類のコンピュータ又はこれらのあらゆる組み合わせを含む、プログラム可能なあらゆる種類の装置とすることができる。装置は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのハードウェア手段、或いはASICとFPGAとの組み合わせ又は少なくとも1つのマイクロプロセッサとソフトウェア・モジュールを含む少なくとも1つのメモリとの組み合わせなどの、ハードウェアとソフトウェア手段との組み合わせとすることができる手段を含むこともできる。したがって、これらの手段は、ハードウェア手段とソフトウェア手段の両方を含むことができる。本明細書で説明した方法の実施例は、ハードウェア及びソフトウェアに実装することができる。装置は、ソフトウェア手段を含むこともできる。或いは、例えば複数のCPUを使用して異なるハードウェア装置上に実施例を実装することもできる。
【0054】
本明細書の実施例は、ハードウェア要素及びソフトウェア要素を含むことができる。ソフトウェアに実装される実施例は、限定するわけではないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む。本明細書で説明したさまざまなモジュールによって実行される機能は、他のモジュール又は他のモジュールの組み合わせに実装することもできる。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスによって又はこれらと関連して使用されるプログラムを含み、記憶し、通信し、伝播し又は移送できるあらゆる装置とすることができる。
【0055】
図示のステップは、図示の例示的な実施例を説明するために示したものであり、特定の機能の実行方法は継続中の技術的発展によって変化すると理解すべきである。本明細書では、これらの実例を限定ではなく例示目的で提示する。さらに、本明細書では、説明の便宜上、機能的構築ブロックの境界を任意に定めている。これらの構築ブロックの指定された機能及び関係が適切に実行される限り、別の境界を定めることもできる。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づいて(本明細書で説明したものの同等形態、拡張形態、変形形態、偏差形態などを含む)代替例が明らかになるであろう。このような代替例も、開示した実施例の範囲及び趣旨に含まれる。また、「備える」、「有する」、「含有する」、「含む」という単語及び他の同等の形態は、意味的に同等であるように意図されており、これらの単語のうちのいずれか1つに続く1又は複数の項目がこのような1又は複数の項目の完全な列挙であるようには意図されておらず、或いは列挙された1又は複数の項目のみに限定されるように意図されていないという点で拡張可能である。なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈において別途明確に示されていない限り複数形の参照を含む。
【0056】
さらに、本開示に一致する実施例を実装する上で1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体を使用することもできる。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサが読み取ることができる情報又はデータを記憶できるあらゆるタイプの物理的メモリを意味する。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で説明した実施例に一致するステップ又は段階を(単複の)プロセッサに実行させる命令を含む、1つ又は複数のプロセッサが実行するための命令を記憶することができる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、有形アイテムを含んで搬送波及び過度信号を除外し、すなわち非一時的なものであると理解されたい。一例としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハード・ドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュ・ドライブ、ディスク及び他のいずれかの既知の物理的記憶媒体が挙げられる。
【0057】
なお、本開示及び実例は、単なる例示とみなすべきであり、開示した実施例の実際の範囲及び要旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。