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特許7367200デバイスの位置を決定する方法、システム、および通信デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】デバイスの位置を決定する方法、システム、および通信デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/02 20060101AFI20231016BHJP
   G01S 5/16 20060101ALI20231016BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20231016BHJP
【FI】
G01C21/02
G01S5/16
H04W64/00
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022518243
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 SE2019050915
(87)【国際公開番号】W WO2021061030
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス エスクデーロ, アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブロンクビスト, ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンデル, ウルフ
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0088725(US,A1)
【文献】特開2012-088073(JP,A)
【文献】特開2014-185908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01S 5/16
G09B 29/00
H04W 64/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク(100)に接続されたデバイス(140;170)の位置を決定するシステム(120)によって遂行される方法であって、
第1の位置推定サービスに基づいて前記デバイスの地理的エリアを取得すること(202)と、
一定期間にわたる前記デバイス上の光度の情報を取得すること(204)と、
前記地理的エリアと前記光度の情報とに基づいて、前記一定期間にわたる前記光度の情報を前記地理的エリアの3Dモデルと比較することによって前記デバイスの第2の位置推定を決定すること(210)と
を含み、前記3Dモデルが、前記地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光のモデルとを含む、方法。
【請求項2】
前記デバイスの前記一定期間にわたる前記取得した(204)光度の情報から前記一定期間にわたる光度変動を検出すること(205)をさらに含み、
前記3Dモデルは、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光の前記モデルによって引き起こされる前記一定期間にわたるモデル化された光度変動を含み、
前記一定期間にわたる前記光度の情報を前記地理的エリアの前記3Dモデルと比較することによって前記デバイスの前記第2の位置推定を決定すること(210)は、
前記デバイスの前記一定期間にわたる前記検出された光度変動を前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動と比較すること(210a)と、
前記比較から、前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動が前記一定期間にわたる前記検出された光度変動と最もよく一致する、前記3Dモデル内の前記モデル化された3Dオブジェクトのうちの1つまたは複数の3Dオブジェクトまたは1つまたは複数の候補位置を選択すること(210b)とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3Dモデルが、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光の前記モデルによって引き起こされる前記地理的エリアの各位置における前記一定期間にわたるモデル化された光度変動を含み、前記デバイスの前記一定期間にわたる前記検出された光度変動が前記各位置における前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動と比較され(210a)、前記比較に基づいて、前記地理的エリアの前記各位置の前記1つまたは複数の候補位置が選択される(210b)、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デバイスの前記一定期間にわたる前記検出された光度変動が、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルによって引き起こされる前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動と比較され(210a)、前記比較に基づいて、前記モデル化された3Dオブジェクトのうちの前記1つまたは複数の3Dオブジェクトが選択され(210b)、前記第2の位置推定が、前記選択された1つまたは複数の3Dオブジェクトの近くであると決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記一定期間にわたる前記デバイス上の前記取得した(204)光度の情報に基づいて、第1の光度レベルから、前記第1の光度レベルとは大幅に異なる第2の光度レベルへの遷移時間を決定すること(206)をさらに含み、
前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光の前記モデルによって引き起こされる前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動が、前記3Dオブジェクトの前記モデルによって引き起こされる前記第1の光度レベルから前記第2の光度レベルへの遷移時間を含み、前記比較すること(210a)が、前記決定された遷移時間を前記3Dオブジェクトの前記モデルによって引き起こされる前記遷移時間と比較することを含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記地理的エリア内の既知の地理的位置に配置されたいくつかの参照センサに対する前記一定期間にわたる光度の情報を取得すること(207)をさらに含み、
前記デバイスの前記第2の位置推定が、前記参照センサからの前記光度の情報と前記参照センサの前記既知の地理的位置とにも基づいて決定される(210)、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
雲量を含む気象情報を取得すること(208)をさらに含み、前記デバイスの前記第2の位置推定を決定すること(210)が前記気象情報にも基づく、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記3Dモデルが、前記モデルのいずれかの3Dオブジェクトによって、または月によって、前記地理的エリアに向けて反射される太陽光のモデルをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記3Dモデルが前記地理的エリア内の人工光源のモデルをさらに含み、前記デバイスの前記第2の位置推定がさらに、前記デバイスの前記取得した光度情報を光強度と比較することに基づいて、さらに場合によっては前記モデル化された人工光源のスペクトルにも基づいて、決定される(210)、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイス上の前記光度の情報を取得する(204)ための前記一定期間を決定すること(203)をさらに含み、これにより、前記光度の情報が、閾値を上回る前記一定期間にわたる光度の変化を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
通信ネットワーク(100)に接続されたデバイス(140;170)によって遂行される位置決定方法であって、前記デバイスが光度センサを有し、前記方法が、
一定期間にわたって前記光度センサにおいて光度を決定すること(302)と、
前記一定期間にわたって前記決定された光度の情報を前記通信ネットワークに接続されたシステムへ送信すること(304)とを含み、前記決定されて送信される光度の情報が、前記デバイスの位置を決定するのに適しており、
それにより、前記システムは、第1の位置推定サービスに基づいて取得された前記デバイスの地理的エリアと前記光度の情報とに基づいて、前記一定期間にわたる前記光度の情報を、前記地理的エリアの3Dモデルであって、前記地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光のモデルとを含む3Dモデルと比較することによって、前記デバイスのために第2の位置推定を決定する、方法。
【請求項12】
前記システムへ送信される(304)前記デバイス上の前記光度の情報が、閾値を上回る前記一定期間にわたる光度の変化を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
通信ネットワーク(100)に接続されたデバイス(140;170)の位置を決定するように設定されたシステム(120)であって、前記システム(120)が処理回路(603)とメモリ(604)とを備え、前記メモリが前記処理回路によって実行可能な命令を含み、これにより前記システム(120)が、
第1の位置推定サービスに基づいて前記デバイスの地理的エリアを取得し、
一定期間にわたる前記デバイス上の光度の情報を取得し、
前記地理的エリアと前記光度の情報とに基づいて、前記一定期間にわたる前記光度の情報を前記地理的エリアの3Dモデルと比較することによって前記デバイスの第2の位置推定を決定する
ように動作可能であり、前記3Dモデルが、前記地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光のモデルとを含む、システム。
【請求項14】
前記システムがさらに、前記デバイスの前記一定期間にわたる前記取得した光度の情報から前記一定期間にわたる光度変動を検出するように動作可能であり、前記3Dモデルが、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光の前記モデルによって引き起こされる前記一定期間にわたるモデル化された光度変動を含み、
前記システムが、
前記デバイスの前記一定期間にわたる前記検出された光度変動を前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動と比較すること、および、
前記比較から、前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動が前記一定期間にわたる前記検出された光度変動に最もよく一致する、前記3Dモデル内の前記モデル化された3Dオブジェクトのうちの1つまたは複数の3Dオブジェクトまたは1つまたは複数の候補位置を選択すること
によって、前記一定期間にわたる前記光度の情報を前記地理的エリアの前記3Dモデルと比較することによって前記デバイスの前記第2の位置推定を決定するように動作可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記3Dモデルが、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光の前記モデルによって引き起こされる前記地理的エリアの各位置における前記一定期間にわたるモデル化された光度変動を含み、前記システムが、前記デバイスの前記一定期間にわたる前記検出された光度変動を前記各位置における前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動と比較し、前記比較に基づいて、前記地理的エリアの前記各位置の前記1つまたは複数の候補位置を選択するように動作可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、前記デバイスの前記一定期間にわたる前記検出された光度変動を前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルによって引き起こされる前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動と比較し、前記比較に基づいて、前記モデル化された3Dオブジェクトのうちの前記1つまたは複数の3Dオブジェクトを選択するように動作可能であり、前記第2の位置推定が、前記選択された1つまたは複数の3Dオブジェクトの近くであると決定される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムがさらに、
前記一定期間にわたる前記デバイス上の前記取得した光度の情報に基づいて、第1の光度レベルから、前記第1の光度レベルとは大幅に異なる第2の光度レベルへの遷移時間を決定するように動作可能であり、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光の前記モデルによって引き起こされる前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動が、前記3Dオブジェクトの前記モデルによって引き起こされる前記第1の光度レベルから前記第2の光度レベルへの遷移時間を含み、前記システムが、前記決定された遷移時間を前記3Dオブジェクトの前記モデルによって引き起こされる前記遷移時間と比較することによって、前記デバイスの前記一定期間にわたる前記検出された光度変動を前記一定期間にわたる前記モデル化された光度変動と比較するように動作可能である、請求項14から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムがさらに、
前記地理的エリア内の既知の地理的位置に配置されたいくつかの参照センサに対する前記一定期間にわたる光度の情報を取得するように動作可能であり、
前記システムが、前記参照センサからの前記光度の情報と前記参照センサの前記既知の地理的位置とにも基づいて、前記デバイスの前記第2の位置推定を決定するように動作可能である、請求項13から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムがさらに、
雲量を含む気象情報を取得するように動作可能であり、前記システムが、前記気象情報にも基づいて前記デバイスの前記第2の位置推定を決定するように動作可能である、請求項13から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記3Dモデルが、前記モデルのいずれかの3Dオブジェクトによって、または月によって、前記地理的エリアに向けて反射される太陽光のモデルをさらに含む、請求項13から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記3Dモデルが前記地理的エリア内の人工光源のモデルをさらに含み、前記システムが、前記デバイスの前記取得した光度情報を光強度と比較することに基づいて、さらに場合によっては前記モデル化された人工光源のスペクトルにも基づいて、前記デバイスの前記第2の位置推定を決定するように動作可能である、請求項13から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムがさらに、
前記デバイス上の前記光度の情報を取得するための前記一定期間を決定するように動作可能であり、これにより、前記光度の情報が、閾値を上回る前記一定期間にわたる光度の変化を含む、請求項13から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
通信ネットワーク(100)に接続するように設定されたデバイス(140;170)であって、前記デバイスが光度センサ(706)を有し、前記デバイスが処理回路(703)とメモリ(704)とを備え、前記メモリが前記処理回路によって実行可能な命令を含み、これにより前記デバイが、
一定期間にわたって前記光度センサにおいて光度を決定し、
前記一定期間にわたって前記決定された光度の情報を前記通信ネットワークに接続されたシステムへ送信する
ように動作可能であり、前記決定されて送信される光度の情報が、前記デバイスの位置を決定するのに適しており、
それにより、前記システムは、第1の位置推定サービスに基づいて取得された前記デバイスの地理的エリアと前記光度の情報とに基づいて、前記一定期間にわたる前記光度の情報を、前記地理的エリアの3Dモデルであって、前記地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光のモデルとを含む3Dモデルと比較することによって、前記デバイスのために第2の位置推定を決定する、デバイス。
【請求項24】
前記デバイス上の前記光度の情報を、閾値を上回る前記一定期間にわたる光度の変化を含む前記情報と併せて、前記システムへ送信するように動作可能である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
命令を含むコンピュータプログラム(605)であって、前記命令は、通信ネットワーク(100)に接続されたデバイス(140;170)の位置を決定するシステム(120)の少なくとも1つの処理回路によって実行されると、前記システム(120)に、
第1の位置推定サービスに基づいて前記デバイスの地理的エリアを取得するステップと、
一定期間にわたる前記デバイス上の光度の情報を取得するステップと、
前記地理的エリアと前記光度の情報とに基づいて、前記一定期間にわたる前記光度の情報を前記地理的エリアの3Dモデルと比較することによって前記デバイスの第2の位置推定を決定するステップと
を遂行させ、前記3Dモデルが、前記地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光のモデルとを含む、コンピュータプログラム(605)。
【請求項26】
請求項25に記載の前記コンピュータプログラム(605)を含む、コンピュータ可読記憶媒体
【請求項27】
命令を含むコンピュータプログラム(705)であって、前記命令は、通信ネットワーク(100)に接続するように設定されたデバイス(140;170)の少なくとも1つの処理回路によって実行されると、前記デバイスに
一定期間にわたって光度センサにおいて光度を決定するステップと、
前記一定期間にわたって前記決定された光度の情報を前記通信ネットワークに接続されたシステムへ送信するステップと
を遂行させ、前記決定されて送信される光度の情報が、前記デバイスの位置を決定するのに適しており、
それにより、前記システムは、第1の位置推定サービスに基づいて取得された前記デバイスの地理的エリアと前記光度の情報とに基づいて、前記一定期間にわたる前記光度の情報を、前記地理的エリアの3Dモデルであって、前記地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと前記一定期間にわたって前記3Dオブジェクトの前記モデルを照らす太陽光のモデルとを含む3Dモデルと比較することによって、前記デバイスのために第2の位置推定を決定する、コンピュータプログラム(705)。
【請求項28】
請求項27に記載の前記コンピュータプログラム(705)を含む、コンピュータ可読記憶媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、通信ネットワークに接続されたデバイスの位置を決定する方法、システム、および通信デバイスに関する。本開示はさらに、上記の方法、システム、およびデバイスに対応するコンピュータプログラムとキャリアとに関する。
【背景技術】
【0002】
無線測位システムは、無線ネットワークインフラを利用して通信デバイスなどのデバイスの位置を推定することを目指す。無線通信ネットワークサービスに対する需要の急増にともない、最も急速な成長を遂げている分野の1つがロケーションベースサービス(LBS)である。LBSの応用範囲は急速に拡大しており、無線通信ネットワークにおける測位は増大しているユースケースである。モノのインターネット(IoT)デバイスを含むセンサネットワークに対する需要の増大にともない、これらのIoTデバイスを測位する安価で拡張性がありエネルギー効率に優れる方法が肝要となっている。
【0003】
無線通信ネットワークにおける測位のニーズに対応して、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域CDMA(WCDMA)、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)などの第2および第3世代ネットワークは、数通りの測位技術のためのサポートを追加している。そのような測位技術には、簡素なネットワークベースの方式から複雑な三辺測量や衛星をベースとするソリューションまである。現在のLong Term Evolution(LTE)規格は、支援型全地球航法衛星システム(A-GNSS)など、無線通信デバイスをベースとする多数の測位技術をサポートしている。観測到達時間差(OTDOA)、セルID(CID)、および改良セルID(ECID)など、ネットワークをベースとする測位技術もある。
【0004】
CIDは、ユーザ機器(UE)の別名でも知られる無線通信デバイスが留まっているセルのIDの情報を使用して、UEの簡易な位置推定を取得する。UEの位置は、UEが接続されている基地局の位置として推定されるため、この位置推定の精度はかなり低い。
【0005】
ECID測位はCIDを改良したものである。ECIDでは、基地局とUEとの間のラウンドトリップタイム(RTT)を、UEにおける受信電力レベルの測定値である参照信号受信電力(RSRP)と併せて使用して、UEまでの距離を推定する。加えて、ネットワークはUEから基地局によって受信される信号の到来角(AoA)を使用して、UEに方向情報を提供することもできる。ECIDはCIDと比べてより良い精度を提供できるが、より複雑なシステムという代償を払うことになる。
【0006】
A-GNSSは、全地球測位システム(GPS)のような全地球航法衛星システムを使用する技術である。スタンドアロンGNSSでは、UE内の受信機が単独で受信とそのロケーションの計算の両方を担当する。受信機は探索プロセスを通じて衛星信号を得て、その位置の計算に進まなければならない。このプロセスはUEの処理パワーと遅延の点で非常に高くつくが、非常に高い精度を提供する。A-GNSSでは、ネットワークによって提供されるデータによって衛星信号を得るプロセスが加速される。
【0007】
観測到達時間差(OTDOA)測位は、UEが複数の基地局からのダウンリンク信号の時間差を測定する技術である。ネットワークは、基地局の位置と時間差の知識をもとにしてUEの推定位置を計算できる。UEが接続される基地局が多ければ多いほど、精度は良くなる。OTDOAはECIDと比べてより良い精度を提供するが、A-GNSSと比べると劣る。
【0008】
センサをベースとする測位技術は、UEに設けられたセンサのデータを利用してUEの測位情報を得る。ロケーションサーバは、センサをベースとする方法でUEにセンサ情報を要求できる。この情報は、ロケーションサーバがモーションセンサからのデータで計算できるUEの動きである場合がある。言及される他のセンサは、気圧計、近接センサ、または距離センサである。高度の計算や他のより複雑な計算を支援できるようにするために、ロケーションサーバが支援データを提供することも可能である。
【0009】
例えば都会の状況では、建物やその他の障害物が無線信号強度の測定に影響を及ぼし、これが、信号測定を頼りとするOTDOAなどの測位システムに悪影響を及ぼす。標準的な測位技術の複雑さや遅延やその他の欠点は、標準的な測位技術がどのシステムにでも応用可能であるとは限らないことを意味する。さらに、GNSS受信機のコストは、例えばIoTデバイスで使用するにあたっては、高くつきすぎる。さらに、動作センサや気圧計などに依存するセンサベースの測位は、たとえ他の測位方法と併せて運用した場合でも、正確な測位を提供しない。それ故、エネルギー効率と費用効率に優れ、デバイスの位置を正確に決定することができる、新しいデバイス位置決定方法が求められている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、上述した問題と課題の少なくともいくつかに対処することである。これらの目的とその他の目的は、添付の独立クレームで規定されている方法、システム、および通信デバイスを使用することによって達成可能である。
【0011】
一態様によると、通信ネットワークに接続されたデバイスの位置を決定するシステムによって遂行される方法が提供される。この方法は、第1の位置推定サービスに基づいてデバイスの地理的エリアを取得することと、一定期間にわたるデバイス上の光度の情報を取得することとを含む。この方法は、地理的エリアと光度の情報とに基づいて、一定期間にわたる光度の情報を地理的エリアの3Dモデルと比較することによってデバイスの第2の位置推定を決定することをさらに含み、この3Dモデルは、地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルとを含む。
【0012】
別の態様によると、通信ネットワークに接続された通信デバイスによって遂行される位置決定方法が提供される。通信デバイスは光度センサを有する。この方法は、一定期間にわたって光度センサにおいて光度を決定することと、一定期間にわたって決定された光度の情報を通信ネットワークに接続されたシステムへ送信することとを含み、決定されて送信される光度の情報は、通信デバイスの位置を決定するのに適している。
【0013】
別の態様によると、通信ネットワークに接続されたデバイスの位置を決定するように設定されたシステムが提供される。このシステムは処理回路とメモリとを備える。メモリは前記処理回路によって実行可能な命令を含み、これによりこのシステムは、第1の位置推定サービスに基づいてデバイスの地理的エリアを取得し、一定期間にわたるデバイス上の光度の情報を取得し、地理的エリアと光度の情報とに基づいて、一定期間にわたる光度の情報を地理的エリアの3Dモデルと比較することによってデバイスの第2の位置推定を決定するように動作可能であり、3Dモデルが、地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルとを含む。
【0014】
別の態様によると、通信ネットワークに接続するように設定された通信デバイスが提供される。この通信デバイスは光度センサを有する。この通信デバイスは処理回路とメモリとを備える。メモリは前記処理回路によって実行可能な命令を含み、これによりこの通信デバイスは、一定期間にわたって光度センサにおいて光度を決定し、一定期間にわたって決定された光度の情報を通信ネットワークに接続されたシステムへ送信するように動作可能であり、決定されて送信される光度の情報は、通信デバイスの位置を決定するのに適している。
【0015】
他の態様によると、コンピュータプログラムとキャリアも提供され、これらの詳細については、特許請求の範囲と発明を実施するための形態で説明する。
【0016】
このソリューションのさらなる可能な特徴と利点は、以下の発明を実施するための形態から明らかになる。
【0017】
これより、添付の図面を参照しながら例示的な実施形態によってソリューションをより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を使用できる無線通信ネットワークの概略ブロック図である。
図2】本発明を使用できる別の無線通信ネットワークの概略ブロック図である。
図3】可能な実施形態による、システムによって遂行される方法を示すフローチャートである。
図4】可能な実施形態による、システムによって遂行される方法を示すフローチャートである。
図5】可能な実施形態による、デバイスによって遂行される方法を示すフローチャートである。
図6】可能な実施形態による、システムによって遂行される別の方法を示すフローチャートである。
図7】地理的エリア、太陽の動きのモデル、および太陽光が原因で物体によって投じられる影の斜視図である。
図8】物体の後ろの様々な量の影と比較した直射日光における光度変動の概略図である。
図9】実施形態による、システムの概略ブロック図である。
図10】実施形態による、デバイスの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
簡潔に説明すると、本発明の実施形態は、通信ネットワークのデバイスの位置決定精度向上に取り組むものであって、まずは比較的粗い位置推定方法を用いてデバイスが位置する地理的エリアを取得する。その後、一定期間にわたるデバイスの光度変動を取得し、建物などのエリア内のモデル化された3Dオブジェクトと、一定期間中の空における太陽の動きのモデルとを含む、取得した地理的エリアの3Dモデルを使用する。一定期間中に動いて3Dオブジェクトを照らす太陽のモデルから3Dモデル内で「動く」影が生成される。実際のデバイスから取得される光度変動として、3Dモデルの各位置における同様の光度変動を検出するために3Dモデル内の、または3Dオブジェクトによって生成される動く影と、実際のデバイスで取得された光度変動が比較される。一致が見つかる場合、これはデバイスの可能な位置、またはデバイスの前にあるかもしれない可能な3Dオブジェクトのシグナルである。
【0020】
図1は、本発明を使用できる無線通信ネットワーク100の一例を示す。この無線通信ネットワークは、無線通信デバイス140と無線通信する、または無線通信デバイス140との無線通信に適した、無線アクセスネットワークノード130を含む。無線アクセスネットワークノード130は、無線通信デバイス140が存在する地理的セル135に無線カバレッジを提供する。無線アクセスネットワークノード130は、実施形態による無線通信デバイス140の位置を決定するシステム120にさらに接続される。代替の実施形態において、デバイスの位置を決定するシステムは、デバイスそのものの中に存在してもよい。
【0021】
図2は、本発明を使用できる無線通信ネットワーク100の別の例を示す。このネットワークは、例えば電線で相互に接続された中央ユニット(CU)180と分散ユニット(DU)170とを含む、基地局システム160を含む。CU180は上位層とコアネットワークへの通信とを処理し、DU170は下位層と無線通信デバイス140への通信とを処理する。さらに、DUには、またはDUの近くには、アンテナ171が位置する。CU180は、他の無線アクセスネットワーク(RAN)ノードとコアネットワーク190とにさらに接続される。実施形態による無線通信デバイス140などのデバイスの位置を決定するシステム120は、例えば、CU180内、またはRAN内、またはコアネットワーク190内にあってよい。代替の実施形態において、デバイスの位置を決定するシステムは、デバイスそのものの中に存在してもよく、またはクラウドソリューションとして実現されてもよい。無線通信デバイス140を除き、位置が決定され得るデバイスは、DU170またはアンテナ171であってもよい。
【0022】
無線通信ネットワーク100は、無線通信デバイスへの無線アクセスを提供できる任意の種類の無線通信ネットワークであってよい。このような無線通信ネットワークの例は、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、GSMエボリューションのための改良データレート(EDGE)、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)、符号分割多元接続2000(CDMA 2000)、Long Term Evolution(LTE)、LTEアドバンスト、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WiMAX)、WiMAXアドバンスト、ならびに新無線(New Radio:NR)などの技術に基づく第5世代無線通信ネットワークである。
【0023】
無線アクセスネットワークノード130は、単独で、または別のネットワークノードと組んで、無線通信デバイス140への無線アクセスを提供する任意の種類のネットワークノードであってよい。無線アクセスネットワークノード130の例は、基地局(BS)、無線BS(RBS)、ベーストランシーバステーション、BSコントローラ、ネットワークコントローラ、ノードB(NB)、エボルブドノードB(eNB)、NR BS、マルチセル/マルチキャストコーディネーションエンティティ、リレーノード、アクセスポイント(AP)、無線AP、リモートラジオユニット(RRU)、リモート無線ヘッド(RRH)、およびマルチスタンダードBS(MSR BS)である。
【0024】
無線通信デバイス140は、無線信号を使用して無線アクセスネットワークノード130またはDU170と無線通信できる任意のタイプのデバイスであってよい。例えば、無線通信デバイス140は、ユーザ機器(UE)、マシン型UEまたはマシン間(M2M)通信が可能なUE、センサ、タブレット、モバイル端末、スマートフォン、ラップトップ組込み装備(LEE)、ラップトップ搭載機器(LME)、USBドングル、顧客構内機器(CPE)、モノのインターネット(IoT)デバイスなどであってよい。
【0025】
図3は、図1または2と共に、通信ネットワーク100に接続されたデバイス140;170の位置を決定するシステム120によって遂行される方法を説明するものである。この方法は、第1の位置推定サービスに基づいてデバイスの地理的エリアを取得すること(202)と、一定期間にわたるデバイス上の光度の情報を取得すること(204)とを含む。この方法は、地理的エリアと光度の情報とに基づいて、一定期間にわたる光度の情報を地理的エリアの3Dモデルと比較することによってデバイス140;170の第2の位置推定を決定すること(210)をさらに含み、この3Dモデルは、地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルとを含む。
【0026】
3Dモデルが、地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、一定期間にわたって3Dオブジェクトを照らす太陽光のモデルとを含むということは、3Dモデルが、一昼夜と年間にわたる太陽の動きのモデルと、地理的エリア内の3Dオブジェクトのサイズおよび位置のモデルとを含むことを意味する。ここで、一定期間中に太陽によって照らされたときに3Dオブジェクトによって投じられる影は、3Dモデルの中でモデル化される。デバイスを測位する第1の位置推定サービスは、デバイスを探す場所となる、多少粗い、地理的エリアを決定する。次いで、モデル内のモデル化された影の変化と、デバイスの取得した光度情報との類似点を探すことによって、この決定された地理的エリアの中でデバイスの位置が決定される。第2の位置推定は、一定期間にわたって取得されるデバイスの光度の変化を、一定期間にわたる地理的エリアの中の3Dモデル内の様々な可能位置のモデル化された影の変化と比較することによって、決定される。次いで、様々な可能位置のうち、デバイスの光度変化に最もよく一致する位置が、第2の位置推定であると決定される。このようにして、正確な測位方法が成し遂げられる。さらに、この方法は実際のデバイスの中に高価な測位機器を必要としない。したがってこれは、費用効率的であることが求められるIoTデバイスなどの小型デバイスの位置を決定するにあたってとりわけ有用である。このようなソリューションのさらなる利点として、これは、低費用且つ低電力なやり方でデバイスの精密測位を可能にし、これは、例えば密度の高い都市環境の場合にGNSSなどの他のより精密な測位方法が現実的ではないときにでも使用でき、このソリューションは、光度情報を受け取るためのデバイスへのアドオンとして、光センサ、光電池もしくは他種フォトダイオード、またはフォトレジスタなどの光度センサのみを必要とする。
【0027】
デバイス140、170は通信ネットワーク100に通信可能なように接続される、すなわち、デバイスは、通信ネットワークと通信できるようにネットワークとの通信接続を有する。デバイスは、無線通信デバイス、すなわち、通信ネットワークの基地局と無線通信するように配置されたUEまたは同様のデバイスであってよい。そして、デバイスはネットワークに無線接続される。デバイスは、通信ネットワークに無線接続されるか有線接続されるIoTデバイスであってもよい。あるいは、デバイスは、アンテナを備えた、またはアンテナに直接接続された、基地局の一部であってもよく、例えば、基地局の無線ユニットであってもよい。デバイスは通常は静止しており、またはデバイスは、少なくとも一定期間とも呼ばれる測定期間中は静止していると見なされる、すなわち準静止デバイスである。しかしながら、デバイスは可動であってもよい。デバイスは、電線によって分離された「デバイス」ユニットと通信ユニットとに分けることができる。これは通常は通信ユニットである、すなわち、測位されるべきアンテナを有するユニットである。デバイスは、ネットワークへ光度値または光度情報を送信するための通信ユニットを、またはシステムがデバイス内にある場合は、ネットワークへ第2の位置推定を送信するための通信ユニットを、有する。第1の一定期間は、時刻を別にすれば、時季をも含む。これは、例えば、時季に応じて変化する太陽の黄道の水平線上の高さに対応するためである。3Dオブジェクトは建物などの地球上の物体である。システムは、例えば、デバイス内、RANノード、コアネットワークノード、測位ノード、例えばサービングモバイルロケーションセンタ(SMLC)、拡張SMLC(E-SMLC)、無線通信ネットワークのロケーション管理機能(LMF)などの通信ネットワークのネットワークノード内、または、例えばサービスネットワークの、例えばインターネットの、アプリケーションサーバ内、または上記のいずれかの組合せに、存在してよい。あるいは、この方法を遂行するシステムはネットワークノードから成るグループであってもよく、ここで、この方法を遂行する機能は別々の物理的または仮想ネットワークノードに分散される。後者は「クラウドソリューション」と呼ばれることがある。
【0028】
取得される(202)地理的エリアのサイズは位置推定サービスに左右される。望ましくは、第1の位置推定サービスは費用効率とエネルギー効率に優れた位置推定サービスである。このようなサービスは、通常はやや粗い。第1の位置推定サービスの例は、セルID(CID)に関する情報であってよい。他の代案は改良CIDである。デバイスを探す場所となる、すなわち第2のさらに正確な位置推定を行う場所となる、限られた地理的エリアは、このような第1の位置推定サービスから決定される。地理的エリアは、例えば0.1km~10kmであってよいが、より大きいエリアが使用される場合もある。一定期間にわたる光度の情報は、デバイス上に、またはデバイスに、配置された、光度検出器によって、すなわち、フォトセンサや光電池などの感光センサによって、検出される、実際の光度であってよい。感光センサが光電池である場合は、光度の測定のみならずデバイスへの電力供給にもこれを利用できる。あるいは、デバイスの温度は光度の間接的な尺度になり得るため、光度の情報はデバイスの検出温度に基づいて決定することもできる。また、他の同様の光度関連情報を使用することもできる。
【0029】
一実施形態によると、この方法は、デバイスの一定期間にわたる取得した(204)光度情報から一定期間にわたる光度変動を検出すること(205)をさらに含む。さらに、3Dモデルは、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルによって引き起こされる一定期間にわたるモデル化された光度変動を含む。また、一定期間にわたる光度の情報を地理的エリアの3Dモデルと比較することによってデバイスの第2の位置推定を決定すること(210)は、デバイスの一定期間にわたる検出された光度変動を一定期間にわたるモデル化された光度変動と比較すること(210a)(図4参照)と、この比較に基づいて、一定期間にわたるモデル化された光度変動が一定期間にわたる検出された光度変動と最もよく一致する、3Dモデル内のモデル化された3Dオブジェクトのうちの1つもしくは複数の3Dオブジェクトまたは1つもしくは複数の候補位置を選択すること(210b)(図4参照)とを含む。
【0030】
太陽は一定期間中に空を移動し、物体によって投じられる影は「動く」ので、一定期間にわたる光度変動はシャドウシグネチャと見なすことができる。そのような一定期間にわたって観測される光度変動をモデル内の物体のシャドウシグネチャと比較することによって、デバイスのいくつかの可能位置を決定することができる。これらの位置は実際の位置であってよく、または、この比較に基づき、デバイスの前にある可能性が最も高いモデル化された3Dオブジェクトがどれかという情報であってもよい。シャドウシグネチャは、とりわけ、物体のサイズと、物体から一定期間にわたって光度が検出される位置までの距離とに左右される。
【0031】
別の実施形態によると、3Dモデルは、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルによって引き起こされる地理的エリアの各位置における一定期間にわたるモデル化された光度変動を含む。さらに、デバイスの一定期間にわたる検出された光度変動が各位置における一定期間にわたるモデル化された光度変動と比較され(210a)、この比較に基づいて、地理的エリアの各位置の1つまたは複数の候補位置が選択される(210b)。
【0032】
ここで、モデルの様々な位置におけるモデル化された光度変動は、実際の検出された光度変動と比較される。様々な位置のうちのいずれか1つまたは複数のうち、検出された光度変動に最もよく一致する位置が、決定された第2の位置推定として選択される。様々な位置はその位置に模擬センサを有すると見なすことができ、この模擬センサがモデルの中で光度変動を検出する。
【0033】
別の実施形態によると、デバイスの一定期間にわたる検出された光度変動は、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルによって引き起こされる一定期間にわたるモデル化された光度変動と比較され(210a)、この比較に基づいて、モデル化された3Dオブジェクトのうちの1つまたは複数の3Dオブジェクトが選択され(210b)、第2の位置推定は、選択された1つまたは複数の3Dオブジェクトの近くであると決定される。
【0034】
このようにして、3Dオブジェクトのシャドウシグネチャを検出された光度変動と比較することで、デバイスがどの3Dオブジェクトの後ろにあり得るかを判断する。そして、第2の位置推定は選択された3Dオブジェクトの後ろの位置にある。
【0035】
別の実施形態によると、この方法は、一定期間にわたるデバイス上の光度の取得した(204)情報に基づいて、第1の光度レベルから、第1の光度レベルとは大幅に異なる第2の光度レベルへの遷移時間を決定すること(206)をさらに含む。さらに、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルによって引き起こされる一定期間にわたるモデル化された光度変動は、3Dオブジェクトのモデルによって引き起こされる第1の光度レベルから第2の光度レベルへの遷移時間を含む。さらに、比較すること(210a)は、決定された遷移時間を3Dオブジェクトのモデルによって引き起こされる遷移時間と比較することを含む。
【0036】
太陽は光の点ではないため、太陽が部分的にのみ遮られる半影と呼ばれる影領域がある。この領域の大きさは、太陽を遮る物体までの距離と、物体が有する縁のタイプに左右されるものとして概算できる。直射日光から影への、または影から直射日光への、すなわち第1の光度レベルから、第1の光度レベルとは大幅に異なる第2の光度レベルへの、遷移期間をプロファイリングすることにより、無線デバイスの位置推定をさらに向上させることができる。例えば、測定された遷移時間にモデルが最もよく一致する個々の3Dオブジェクトを、デバイスの前にある3Dオブジェクトとして選択できる。
【0037】
別の実施形態によると、この方法は、地理的エリア内の既知の地理的位置に配置されたいくつかの参照センサに対する一定期間にわたる光度の情報を取得すること(207)をさらに含む。さらに、デバイスの第2の位置推定は、参照センサからの光度の情報と参照センサの既知の地理的位置とにも基づいて決定される(210)。
【0038】
既知の位置にある参照センサからでも第2の位置推定を決定することによって、第2の位置推定をさらに正確なものにすることができる。例えば、参照センサにおける一定期間にわたる光度パターンを一定期間にわたってデバイスで観測される光度パターンと比較することができ、一致がある場合は、これをデバイスの位置を推定するのに使用することができる。
【0039】
別の実施形態によると、この方法は、雲量などの気象情報を取得すること(208)をさらに含み、第2の位置推定を決定すること(210)は気象情報にも基づく。
【0040】
例えば、曇りであることを気象情報が示す場合は、晴れの日に比べて曇りの日には建物の影の中と影の外との光度差が少ないことを考慮に入れることができる。別の代案として、気象情報が曇りを示す場合には、データが除外されてよく、曇りではない場合には、別の一定期間が代わりに選択される。
【0041】
別の実施形態によると、3Dモデルは、モデルのいずれかの3Dオブジェクトによって、または月によって、地理的エリアに向けて反射される太陽光のモデルをさらに含む。都市部では、直射日光から影になっている位置にも他の建物からの反射によって太陽光が落ちる場合が多々ある。このような拡張モデルは、直射日光だけを考慮に入れる場合に見落とされる可能性のあるこのような間接/反射太陽光をも考慮に入れる。日中は別として、月からの太陽光反射も考慮に入れる場合は、かなりの月光がある晴れた夜にもこの方法を使用することができる。
【0042】
別の実施形態によると、3Dモデルは地理的エリア内の人工光源のモデルをさらに含み、デバイスの第2の位置推定はさらに、デバイスの取得した光度情報を光強度と比較することに基づいて、さらに場合によってはモデル化された人工光源のスペクトルにも基づいて、決定される(210)。
【0043】
ここでは、街灯や近くの道路を通過する車といった人工光源もモデル化し、比較できる。人工光源が太陽光とは異なる(太陽光より限られた)スペクトルを有し、それ故、区別できることに注意されたい。
【0044】
一実施形態によると、一定期間にわたるデバイス上の光度の情報を取得すること(204)は、デバイスから受け取られる。
【0045】
別の実施形態によると、この方法は、デバイス上の光度の情報を取得する(204)ための一定期間を決定すること(203)をさらに含み、これにより、光度の情報は、閾値を上回る一定期間にわたる光度の変化を含む。
【0046】
この閾値は、太陽光から影への、またはその逆の、遷移が、光度の変化に反映されるように設定するべきである。一定期間は、地理的エリアの3Dモデルからの予測に基づいて事前に設定できる。あるいは、より長い第2の一定期間にわたってデバイスにおいて光度値を決定してもよく、第2の位置を決定するために光度情報を取得するための一定期間は、このような光度の変化を含む第2の一定期間の一部である。測位に使用できるほとんどの光度情報は、光から影への、またはその逆の、遷移にあるので、このような決定は第2の位置の決定を向上させる。また、デバイスからシステムへ送信する必要があるデータの量は、第2の一定期間の全てのデータを送信する場合に比べて少ない。同様に、デバイスは、例えば、連続的に、一定の時間に、または上述した閾値などの閾値もしくは条件が満たされる場合に、など、光度情報をいつシステムに報告するかの様々な代案を有するように設定できる。
【0047】
別の実施形態によると、デバイス上の光度の情報は、デバイスによって様々なやり方でシステムに報告されてよい。一実施形態によると、光度の情報は、例えば全期間にわたって、または一定期間の一部分にわたって、周期的に報告されてよい。別の実施形態によると、報告はイベント方式であってもよい。例えば、光度値について所定の閾値または条件が満たされると、閾値または条件が満たされたときの時間を含む一定期間にわたる光度の情報がシステムに送信される。さらに、周期的報告からのデータは、決定された光度変動に基本的に直接的に加えることができ、モデル化された光度変動との比較を簡単にすることもできる。イベント方式の報告は、デバイスとシステムとの間のシグナリングを最小限に抑える上で有用である。また、システムは、周期的な報告を、またはイベント方式の報告を、行うようにデバイスを設定できる。
【0048】
図5は、図1または2と共に、通信ネットワーク100に接続された通信デバイス140;170によって遂行される位置決定方法を説明するものであり、通信デバイス140;170は光度センサを有する。この方法は、一定期間にわたって光度センサにおいて光度を決定すること(302)と、一定期間にわたって決定された光度の情報を通信ネットワークに接続されたシステムへ送信すること(304)とを含み、決定されて送信される光度の情報は、通信デバイスの位置を決定するのに適している。
【0049】
システムへ送信される光度の情報は実際の光度値であってよく、または光度値に関係する何らかの情報であってよい。システムへ送信される光度の情報がデバイスの位置を決定するのに適していることは、光度の情報が一定期間にわたって取得される複数の光度値を含むことを含むので、所定の期間にわたって光度の変化を決定することができる。通信ネットワークに接続され、決定された光度の情報の送信先にあたるシステムは、測位サーバや測位ノードなどの測位システムであってよい。
【0050】
一実施形態によると、システムへ送信される(304)デバイス140;170上の光度の情報は、閾値を上回る一定期間にわたる光度の変化を含む。
【0051】
以下では、図6を参照しながら本発明の他の実施形態を説明する。まず、CIDなどの既存の測位方法を用いてデバイスの位置の粗い推定を取得する(402)。この推定は、使用する方法の精度と環境条件に応じて数百メートルまで外れることが見込まれる。例えば、CIDは通常、150メートル以上の粗さを提供する。粗い位置推定が取得されたら、例えば通信ネットワーク内のノードまたはシステムが、デバイス上の光度センサから、または光度と相関した情報を取得する他の何らかのセンサから、光度情報を取得すること(404)を開始する。直射日光に晒されるとデバイス内の温度は上昇し、それ故、間接的でおそらくは正確さに劣る光度情報源として使用できるため、別のセンサの一例は温度センサである。センサは、連続的に、または所定の時にだけ、データを収集するように設定できる。まばらな測定は、デバイスの電力要求を軽減するのに役立てることができる。測定値を収集しない理由は、散光を引き起こす厚い雲量、夜間、またはデバイスが大きい物体の影エリア内にあるため過剰な測定が無駄になるという想定である。
【0052】
さらに、推定された(402)粗い位置をカバーする地理的エリアの3Dモデルが取得される(406)。この目的のためにこのような3Dモデルが別個に作られてよく、または既存の3Dモデルが使用されてもよい。今日、地形、建物、および木の3Dモデルはかなり一般的で完全であり、今後数年間にこれらのデータベースの数が増え完成度が高まると予測することは可能である。既存の3Dモデルを含むデータベースの一例はGoogle(登録商標) Earthであり、https://www.google.com/earth/を参照されたい。取得される3Dモデルは、地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルとを含む。そして、モデル内の光/影プロファイルと取得した光度情報との相関を取得する(408)ために、デバイスのセンサによって検出される一定期間にわたる取得した光度情報が、同じ期間にわたる地理的エリアの3Dモデルのモデル化された光度変動と比較される。3Dモデル内に、または3Dモデル内の3Dオブジェクトとの間に、位置についての相関がある場合は、この位置がデバイスの候補位置であり、またはこの3Dオブジェクトがデバイスの前にある候補物体である。
【0053】
図7は、地理的エリアの一例と、太陽が、木450によって投じられる影が第1の位置45に位置する第1の位置45から、木450によって投じられる影が第2の位置45にある第2の位置45へと、そして最後に第3の位置45へと、移動し、太陽が第1の太陽位置にある第1の位置45から、木450によって投じられる影が第3の位置45にある第2の位置45に移動する様子を示す。さらに、第2の影位置45では、この場合は基地局のアンテナであるデバイス440が、影の中にある。そして、本発明による光度関連センサが装備されたデバイス440が、第1および第3の影位置より低い光度を決定する。
【0054】
一実施形態によると、測位されるべきデバイスからの光度情報は、地理的エリア内の既知の位置に配置された1つまたは複数の参照センサの光度情報と相関または分類できる。さらに、デバイスの位置を決定するために、デバイスの受信光度情報と参照センサの光度情報とで相関を行うことができる。
【0055】
上記と組み合わされてよい別の実施形態によると、地理的エリアの3Dモデルの様々な位置にある模擬デバイスが使用され、デバイスの受信光度情報と、このような模擬デバイスのモデル内の各位置におけるモデル内の模擬光度変動との相関が決定される。
【0056】
上記のいずれかと組み合わされてよい別の実施形態では、測位されるべきデバイスからの光度情報を使用して、観測シャドウシグネチャ(すなわち、一定期間にわたる光度変化)を引き起こす一連の可能な障害物を作ることができる。この情報に基づいて、一連のデバイスの可能なロケーションを導き出すことができる。
【0057】
シャドウシグネチャは、例えば、光から影までの、すなわち高光度値から高値よりかなり低い低光度値までの、例えば、第1の閾値を上回る値から第1の閾値より低い第2の閾値を下回る値までの、遷移時間を測定することによって決定することができる。太陽は点光源ではないため、太陽が部分的にのみ遮られる影領域が生じる。これは図8で説明されており、ここでは、直立した棒の形をした物体502が太陽によって照らされている。太陽が完全に遮られている物体502の後ろの第1の領域504は、本影と呼ばれる。太陽が部分的にのみ遮られている物体502の後ろの第2の領域506は、半影と呼ばれる。物体の後ろの或る位置における第2の領域506のサイズは、この位置と物体502との間の距離と、物体502が有する縁のタイプに左右されるものとして概算できる。遷移期間をプロファイリングすることにより、デバイスと影を生じさせている物体との間の距離を計算することによって位置推定のさらなる向上を達成できる。これは図8の下部で説明されている。第1のUEであるUEは物体502から第1の距離に位置し、第2のUEであるUEは物体から第2の距離に位置し、第2の距離は第1の距離より大きい。図1の下部の図に見られるように、半影506は物体502から遠く離れるほど大きいため、直射日光における高光度レベルaから半影における低光度レベルbへの変化は、およびその逆の変化は、UEの場合よりUEの場合のほうが速く進む。さらに、図8の最下部において、UEが多少なり一定の低光度レベルになる、UEと呼ばれる、UEが本影内にある時間、高光度レベルaから低光度レベルbに変化する、UEと呼ばれる、UEが半影内にある時間、ならびに第2のUEの対応する時間、UEおよびUEは、取得した光度レベルとこれらの測定値の時点から決定することができる。そして、このような決定された時間を使用して、各UEが位置する物体からの距離を決定することができる、すなわち第1の距離と第2の距離を決定することができる。
【0058】
上述した様々な実施形態のいずれかからの結果は、1組の可能なデバイス位置と、関連する確率であってよい。この時点でこの方法を締めくくることができ、またはこの方法を繰り返すことによって収束および/または精度を向上させるために、デバイスから追加の測定を要求することができる。
【0059】
別の実施形態によると、街灯からの光など、人工光を考慮に入れることができる。そのような人工光から受け取られる光量を使用して、デバイス位置の推定をさらに向上させることができる。また、別の実施形態によると、人工光からの情報を角度/加速度計デートに組み合わせることで、光源を区別できる。人工光源は静的または動的であってよく、例えば、夜間に道路を走行する車のライトであってよく、これらは、同じセンサのみならず他の光センサまたは他のプロセスによって検出できる。
【0060】
デバイス位置を推定したら、該当する遷移時間中に測定を行うことによって、一定期間にわたって位置が変わっていないことの確認を成し遂げることができる。
【0061】
一実施形態によると、この方法は静止デバイスと可動デバイスの両方に使用できる。
【0062】
例として、雲、ドローン、または飛行機の場合に、動く物体が一定の条件下で地面上に明確な動く影のパターンを生じさせることがある。これらの影は、風やその他の現象によって、ロケーションに対して時間の中で変化する。これらの影は上述した実施形態への追加になり得る。
【0063】
別の実施形態によると、このような光度変化を検出できるデバイスから成るネットワークを、各デバイスの既知の光度プロファイルと併せて使用して、影の経路を推定でき、他のデバイスが準静止である場合、または既知の速度または相対経路を有する場合、例えばジャイロスコープ制御ナビゲーションである場合は、これを使用して他のデバイスのロケーションを見つけることができる。
【0064】
全指向的または指向的に測定するために、センサを設置できる。この指向性測定は、壁内の物体の影を、例えば既知のポールまたはマストなどの影を、指し示すことによって、物体からのデバイスの方向を較正するために使用できる。
【0065】
センサは単一のセンサで構成されてよく、または、1つまたは複数の方向に向き、1つまたは複数の光周波数に、または受け取られる全電力に(フォトレジスタの場合など)、感応する、複数センサからなるアレイであってもよい。
【0066】
複数の光周波数または複数の方向を検出できるセンサの場合は、これを使用して光の出所を検出できる。例えば、光が太陽から出ているか街灯から出ているかを決める。
【0067】
無線通信ネットワークの場合、一実施形態は、デバイスがネットワークに光度情報を提供し、ネットワークが情報を処理する。これは、例えば、RBSで、E-SMLCもしくはモビリティ管理エンティティ(MME)で、または他の何らかのネットワークノードで、行われる。例えば、デバイスそのもので、予め設定された情報/モデルを通じて、またはネットワークによって提供されるデータから、計算が行われる場合、ノードは仮想ノードであってよい。
【0068】
デバイスは、そのセンサからネットワークへデータを連続的に、または要約して、提供できる。要約する場合、データは時間と範囲の両方で圧縮できる。デバイスは、変化もしくはトリガに応じて、一定の間隔で、または両方の組合せで報告するように設定できる。
【0069】
別の実施形態によると、光度情報は、そこから導き出される情報、例えば、太陽光内のデバイスから導き出される温度の変化を、含んでよい。
【0070】
さらに、光度情報および/または3Dモデルは、3GPP無線通信ネットワーク仕様に含まれてよい。3Dモデルは、物体のポリゴン、頂点、および/または形状を示す1組の点として含められてよい。ネットワーク内のノードおよびデバイス間でこの種の情報の転送を可能にするために、特定のメッセージに情報要素(IE)を加えることができ、または特定のメッセージで情報要素(IE)を修正することができる。
【0071】
LTE測位プロトコル付属書(LPPa)またはNR測位プロトコル付属書(NRPPa)プロトコルの場合、この情報を加えることができる、1組の可能な、ただし限定されない、IEは次の通りである。
下記における改良UMTS地上無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)アクセスポイントセンサデータIE
a.下記におけるE-UTRANアクセスポイント位置IE
i.LPPa/NRPPaメッセージE-CID MEASUREMENT INITIATION RESPONSEおよびE-CID MEASUREMENT REPORTのE-CID測定結果IE
ii.LPPa/NRPPaメッセージOTDOA MEASUREMENT RESPONSE内のOTDOAセル情報IEリストOTDOAセルおよび追加OTDOAセルにおけるCHOICE観測到達時間差(OTDOA)セル情報項目IEリスト
b.下記におけるセンサデータセル情報項目IEリスト
i.LPPaメッセージアップリンク到達時間差(UTDOA)INFORMATION RESPONSE
ii.LPPaメッセージUTDOA INFORMATION UPDATE
iii.LPPaメッセージASSISTANCE INFORMATION CONTROL。
iv.LPPaメッセージASSISTANCE INFORMATION FEEDBACK。
v.LPPaメッセージPRIVATE MESSAGE
c.センサデータセル情報項目IE
LPPプロトコルの場合、下記は例である。
センサ位置情報要素
Sensor-MeasurementInformation
このIE Sensor-MeasurementInformationは、ロケーションサーバにUEセンサ測定値を提供するためにターゲットデバイスによって使用されてよい。
センサ位置情報要求
- Sensor-RequestLocationInformation
このIE Sensor-RequestLocationInformationは、センサベースの方法でターゲットデバイスにロケーション情報を要求するためにロケーションサーバによって使用されてよい。
- Sensor-AssistanceDataList
このIE Sensor-AssistanceDataListは、UEにセンサ固有支援データを提供するためにロケーションサーバによって使用されてよい。
【0072】
図9は、図1または2と共に、通信ネットワーク100に接続されたデバイス140;170の位置を決定するように設定されたシステム120を示す。処理回路603とメモリ604とを備えるシステム120。メモリは前記処理回路によって実行可能な命令を含み、これによりシステム120は、第1の位置推定サービスに基づいてデバイスの地理的エリアを取得し、一定期間にわたるデバイス上の光度の情報を取得し、地理的エリアと光度の情報とに基づいて、一定期間にわたる光度の情報を地理的エリアの3Dモデルと比較することによってデバイス140;170の第2の位置推定を決定するように動作可能であり、この3Dモデルは、地理的エリアの3Dオブジェクトのモデルと、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルとを含む。
【0073】
システム120は、例えば、デバイス内、RANノード、コアネットワークノード、測位ノード、例えばサービングモバイルロケーションセンタ(SMLC)、拡張SMLC(E-SMLC)、無線通信ネットワークのロケーション管理機能(LMF)などの通信ネットワークのネットワークノード内、または、例えばサービスネットワークの、例えばインターネットの、アプリケーションサーバ内、または上記のいずれかの組合せに、存在してよい。あるいは、システム120はネットワークノードから成るグループであってもよく、ここで、この方法を遂行する機能は別々の物理的または仮想ネットワークノードに分散される。後者は「クラウドソリューション」と呼ばれることがある。
【0074】
一実施形態によると、システムはさらに、デバイスの一定期間にわたる光度の取得した情報から一定期間にわたる光度変動を検出するように動作可能であり、3Dモデルは、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルによって引き起こされる一定期間にわたるモデル化された光度変動を含む。さらに、システムは、デバイスの一定期間にわたる検出された光度変動を一定期間にわたるモデル化された光度変動と比較すること、および、この比較から、一定期間にわたるモデル化された光度変動が一定期間にわたる検出された光度変動に最もよく一致する、3Dモデル内のモデル化された3Dオブジェクトのうちの1つもしくは複数の3Dオブジェクトまたは1つもしくは複数の候補位置を選択することによって、一定期間にわたる光度の情報を地理的エリアの3Dモデルと比較することによって、デバイスの第2の位置推定を決定するように動作可能である。
【0075】
一実施形態によると、3Dモデルは、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルによって引き起こされる地理的エリアの各位置における一定期間にわたるモデル化された光度変動を含む。さらに、システムは、デバイスの一定期間にわたる検出された光度変動を各位置における一定期間にわたるモデル化された光度変動と比較し、この比較に基づいて、地理的エリアの各位置の1つまたは複数の候補位置を選択するように動作可能である。
【0076】
別の実施形態によると、システムは、デバイスの一定期間にわたる検出された光度変動を一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルによって引き起こされる一定期間にわたるモデル化された光度変動と比較し、この比較に基づいて、モデル化された3Dオブジェクトのうちの1つまたは複数の3Dオブジェクトを選択するように動作可能であり、第2の位置推定は、選択された1つまたは複数の3Dオブジェクトの近くであると決定される。
【0077】
別の実施形態によると、システムはさらに、一定期間にわたるデバイス上の光度の取得した情報に基づいて、第1の光度レベルから、第1の光度レベルとは大幅に異なる第2の光度レベルへの遷移時間を決定するように動作可能である。さらに、一定期間にわたって3Dオブジェクトのモデルを照らす太陽光のモデルによって引き起こされる一定期間にわたるモデル化された光度変動は、3Dオブジェクトのモデルによって引き起こされる第1の光度レベルから第2の光度レベルへの遷移時間を含む。また、システムは、決定された遷移時間を3Dオブジェクトのモデルによって引き起こされる遷移時間と比較することによって、デバイスの一定期間にわたる検出された光度変動を一定期間にわたるモデル化された光度変動と比較するように動作可能である。
【0078】
別の実施形態によると、システムはさらに、地理的エリア内の既知の地理的位置に配置されたいくつかの参照センサに対する一定期間にわたる光度の情報を取得するように動作可能である。さらに、システムは、参照センサからの光度の情報と参照センサの既知の地理的位置とにも基づいて、デバイスの第2の位置推定を決定するように動作可能である。
【0079】
別の実施形態によると、システムはさらに、雲量などの気象情報を取得するように動作可能である。さらに、システムは、気象情報にも基づいてデバイスの第2の位置推定を決定するように動作可能である。
【0080】
さらに別の実施形態によると、3Dモデルは、モデルのいずれかの3Dオブジェクトによって、または月によって、地理的エリアに向けて反射される太陽光のモデルをさらに含む。
【0081】
さらに別の実施形態によると、3Dモデルは地理的エリア内の人工光源のモデルをさらに含む。さらに、システムは、デバイスの取得した光度情報を光強度と比較することに基づいて、さらに場合によってはモデル化された人工光源のスペクトルにも基づいて、デバイスの第2の位置推定を決定するように動作可能である。
【0082】
さらに別の実施形態によると、システムはさらに、デバイス上の光度の情報を取得するための一定期間を決定するように動作可能であり、これにより、光度の情報は、閾値を上回る一定期間にわたる光度の変化を含む。
【0083】
他の実施形態によると、システム120は通信ユニット602をさらに備えてよく、通信ユニット602は、システムがデバイス内にない場合は、デバイスなどの通信システムの部分と、および通信システムの他の部品と、無線通信するための従来の手段を備えると考えられてよい。前記処理回路603によって実行可能な命令は、例えば、前記メモリ604内に記憶されるコンピュータプログラム605として配置されてよい。処理回路603とメモリ604は、サブアレンジメント601に配置されてよい。サブアレンジメント601は、マイクロプロセッサおよび適切なソフトウェアおよびストレージ、したがって、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、または上述した方法を遂行するように設定された他の電子部品/処理回路であってよい。処理回路603は、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または命令を実行するのに適したこれらの組合せを備えてよい。
【0084】
コンピュータプログラム605は、その命令が処理回路で実行されると、システム120およびその方法の説明されている実施形態のいずれかで説明されているステップをシステム120に遂行させるように配置されてよい。コンピュータプログラム605は、処理回路603に接続可能なコンピュータプログラム製品によって保持されてよい。コンピュータプログラム製品はメモリ604であってよく、または少なくともメモリ内に配置されてよい。メモリ604は、例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み取り専用メモリ)、またはEEPROM(電気的消去可能プログラム可能ROM)として実現されてよい。さらに、コンピュータプログラム605は、CD、DVD、またはフラッシュメモリなどの別個のコンピュータ可読媒体によって保持されてもよく、そこからメモリ604の中にプログラムがダウンロードされてよい。あるいは、コンピュータプログラムは、システム120が通信ユニット602を通じてアクセスできるサーバや他の何らかのエンティティに記憶されてもよい。そして、コンピュータプログラム605はサーバからメモリ604の中にダウンロードされてよい。
【0085】
図10は、通信ネットワーク100に接続するように設定された通信デバイス140;170を説明するものであり、通信デバイス140;170は光度センサ706を有する。通信デバイス140;170は、処理回路703とメモリ704とを備える。メモリは前記処理回路によって実行可能な命令を含み、これにより通信デバイス140;170は、一定期間にわたって光度センサにおいて光度を決定し、一定期間にわたって決定された光度の情報を通信ネットワークに接続されたシステムへ送信するように動作可能であり、決定されて送信される光度の情報は、通信デバイスの位置を決定するのに適している。通信ネットワークは無線通信ネットワークであってよい。通信ネットワークに接続され、決定された光度の情報の送信先にあたるシステムは、測位サーバや測位ノードなどの測位システムであってよい。システムは通信ネットワークの一部分であってもなくてもよい。
【0086】
一実施形態によると、通信デバイス140;170は、デバイス140;170上の光度の情報を、閾値を上回る一定期間にわたる光度の変化を含む情報と併せて、システムへ送信するように動作可能である。
【0087】
他の実施形態によると、通信デバイス140;170は通信ユニット702をさらに備えてよく、通信ユニット702は、無線通信ネットワーク100と通信するための従来の手段を備えると考えられてよい。通信デバイス140、170がUEなどの無線通信デバイスである場合は、通信ユニット702は、ネットワークの無線アクセスネットワークノードを相手に信号の無線送受信を行うためのトランシーバなどの無線通信手段を備える。デバイスがDU170である、または無線アクセスネットワークノードのアンテナに直接接続された他のユニットである場合は、通信ユニット702は、CU180など、無線通信ネットワーク100の他の無線アクセスネットワークノードと通信するための従来の手段を備えてよい。前記処理回路703によって実行可能な命令は、例えば、前記メモリ704内に記憶されるコンピュータプログラム705として配置されてよい。処理回路703とメモリ704は、サブアレンジメント701に配置されてよい。サブアレンジメント701は、マイクロプロセッサおよび適切なソフトウェアおよびストレージ、したがって、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、または上述した方法を遂行するように設定された他の電子部品/処理回路であってよい。処理回路703は、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、または命令を実行するのに適したこれらの組合せを備えてよい。
【0088】
コンピュータプログラム705は、その命令が処理回路で実行されると、通信デバイス140;170およびその方法の説明されている実施形態のいずれかで説明されているステップを通信デバイス140、170に遂行させるように配置されてよい。コンピュータプログラム705は、処理回路703に接続可能なコンピュータプログラム製品によって保持されてよい。コンピュータプログラム製品はメモリ704であってよく、または少なくともメモリ内に配置されてよい。メモリ704は、例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み取り専用メモリ)、またはEEPROM(電気的消去可能プログラム可能ROM)として実現されてよい。さらに、コンピュータプログラム705は、CD、DVD、またはフラッシュメモリなどの別個のコンピュータ可読媒体によって保持されてもよく、そこからメモリ704の中にプログラムがダウンロードされてよい。あるいは、コンピュータプログラムは、通信デバイス140;170が通信ユニット702を通じてアクセスできるサーバや他の何らかのエンティティに記憶されてもよい。そして、コンピュータプログラム705はサーバからメモリ704の中にダウンロードされてよい。
【0089】
上記の説明は複数の特定性を含んでいるが、これらは、ここで説明されている概念の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、ただ単に説明されている概念のいくつかの例示的な実施形態の例証を提供するものとして解釈されるべきである。現在説明されている概念の範囲が当業者にとって明白となり得る他の実施形態を完全に包含すること、そして相応に現在説明されている概念の範囲が制限されないことは理解されよう。単数形の要素への言及は、ただ1つであることが明記されている場合を除き、「ただ1つ」を意味することを意図しておらず、むしろ「1つまたは複数」を意味することを意図している。当業者が知っている上述の実施形態の要素と構造的および機能的に同等のものは全て、参照により本明細書に明確に組み入れられ、本明細書により包含されることを意図する。さらに、装置または方法は、本明細書により包含されるために、現在説明されている概念によって解決が試みられているありとあらゆる問題に対処する必要はない。例示的な図において、破線は概して破線の中の内容が任意であることを意味する。
図1
図2
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図6
図7
図8
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図10