(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】擬似移動層方式クロマト分離方法及び擬似移動層方式クロマト分離システム
(51)【国際特許分類】
B01D 15/00 20060101AFI20231016BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20231016BHJP
【FI】
B01D15/00 101A
G01N30/46 A
(21)【出願番号】P 2022521869
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2021017468
(87)【国際公開番号】W WO2021230144
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2020085028
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】荻野 修大
(72)【発明者】
【氏名】岡田 一夫
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康平
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 俊樹
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-205721(JP,A)
【文献】特開2014-029294(JP,A)
【文献】特開2007-064944(JP,A)
【文献】特開2006-064631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0251912(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0076191(US,A1)
【文献】国際公開第2020/100471(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 15/00
B01D 15/08 - 15/42
G01N 30/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤が充填された3つ以上の単位充填塔が配管を介して直列かつ無端状に連結された循環系を用い、該循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した3つのセクション1~3に区切り、原液中に含まれる、前記吸着剤に対して弱吸着性成分と、強吸着性成分と、両成分の中間的な吸着性の中吸着性成分とを、2種以上の溶離液を用いて分離することを含む擬似移動層方式クロマト分離方法であって、
前記循環系の前記配管には、原液供給口Fと、前記2種以上の各溶離液に対応する2つ以上の溶離液供給口Dと、前記弱吸着性成分を含む弱吸着性画分の抜出口Aと、前記中吸着性成分を含む中吸着性画分の抜出口Bと、前記強吸着性成分を含む強吸着性画分の抜出口Cとが設けられ、該原液供給口F、該抜出口A、該抜出口B及び該抜出口Cの位置を下記(a)~(c)とし:
(a)前記抜出口Bを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
(b)前記抜出口Cを、前記原液供給口Fを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Cを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクションを挟んで上流側に設ける;
(c)前記抜出口Aを、前記抜出口Bを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Aを、前記抜出口Bの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
前記クロマト分離方法は下記ステップ(A)及び(B)を順に繰り返すことを含む、擬似移動層方式クロマト分離方法:
[ステップ(A)]
前記原液供給口Fから原液を、前記2つ以上の溶離液供給口Dから2種以上の溶離液を、それぞれ同時に又は別々に供給し、かつ、前記抜出口Aから弱吸着性画分を、前記抜出口Bから中吸着性画分を、前記抜出口Cから強吸着性画分を、それぞれ同時に又は別々に抜き出すステップ;
[ステップ(B)]
前記ステップ(A)終了後、前記原液供給口F、前記溶離液供給口D、前記抜出口A、前記抜出口B及び前記抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させるステップ。
【請求項2】
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-8)、(A2-8)、(A3-8)及び(A4-8)を行う、請求項1に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-8)>
セクション2の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-8)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A3-8)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-8)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【請求項3】
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-9)、(A2-9)、(A3-9)及び(A4-9)を行う、請求項1に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-9)>
セクション2の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-9)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A3-9)>
前記溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-9)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【請求項4】
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-10)、(A2-10)、(A3-10)及び(A4-10)を行う、請求項1に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-10)>
セクション2の上流側末端を前記原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-10)>
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして、該溶離液供給口D-IVから、前記原液と脱着力が同じ又は前記原液よりも脱着力が強い溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A3-10)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-10)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【請求項5】
吸着剤が充填された5つ以上の単位充填塔が配管を介して直列かつ無端状に連結された循環系を用い、該循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切り、原液中に含まれる、前記吸着剤に対して弱吸着性成分と、強吸着性成分と、両成分の中間的な吸着性の中吸着性成分とを、2種以上の溶離液を用いて分離することを含む擬似移動層方式クロマト分離方法であって、
前記循環系の前記配管には、原液供給口Fと、前記2種以上の各溶離液に対応する2つ以上の溶離液供給口Dと、前記弱吸着性成分を含む弱吸着性画分の抜出口Aと、前記中吸着性成分を含む中吸着性画分の抜出口Bと、前記強吸着性成分を含む強吸着性画分の抜出口Cとが設けられ、該原液供給口F、該抜出口A、該抜出口B及び該抜出口Cの位置を下記(a)~(c)とし:
(a)前記抜出口Bを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
(b)前記抜出口Cを、前記原液供給口Fを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Cを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクション挟んで上流側に設ける;
(c)前記抜出口Aを、前記抜出口Bを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Aを、前記抜出口Bの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
前記クロマト分離方法は下記ステップ(A)及び(B)を順に繰り返すことを含む、擬似移動層方式クロマト分離方法:
[ステップ(A)]
前記原液供給口Fから原液を、前記2つ以上の溶離液供給口Dから2種以上の溶離液を、それぞれ同時に又は別々に供給し、かつ、前記抜出口Aから弱吸着性画分を、前記抜出口Bから中吸着性画分を、前記抜出口Cから強吸着性画分を、それぞれ同時に又は別々に抜き出すステップ;
[ステップ(B)]
前記ステップ(A)終了後、前記原液供給口F、前記溶離液供給口D、前記抜出口A、前記抜出口B及び前記抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させるステップ。
【請求項6】
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-11)、(A2-11)及び(A3-11)を行う、請求項5に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-11)>
セクション3の上流側末端を前記原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、セクション5の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A2-11)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、前記溶離液供給口D-IIIから前記溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A3-11)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【請求項7】
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-12)、(A2-12)、(A3-12)及び(A4-12)を行う、請求項5に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-12)>
セクション3の上流側末端を前記原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション5の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-12)>
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして、該溶離液供給口D-IVから、前記原液と脱着力が同じ又は前記原液よりも脱着力が強い溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A3-12)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-12)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似移動層方式クロマト分離方法及び擬似移動層方式クロマト分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
擬似移動層方式によるクロマト分離では、原液中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔(以下、単に「充填塔」とも称し、「カラム」ということもある。)を、配管を介して直列に連結し、かつ、最下流部の充填塔と最上流部の充填塔を連結して無端状とした循環系を構築する。この循環系に対して原液と溶離液を供給するとともに、循環系内の移動速度が速い画分(弱吸着性画分)と、遅い画分(強吸着性画分)と、必要により移動速度が中間的な画分(中吸着性画分)とをそれぞれ異なる位置から抜き出し、次いで、原液供給位置、溶離液供給位置、弱吸着性画分の抜き出し位置、中吸着性画分の抜き出し位置、及び強吸着性画分の抜き出し位置を、一定の位置関係に保ちながら循環系の流体循環方向に向けて移動させる。この操作を繰り返すことにより、原液供給を連続的に行うことができる移動層の処理操作を擬似的に実現する。
特許文献1には、1系列の改良された擬似移動層装置に、溶離液と原液を供給しながら中吸着性画分を抜き出す工程と、溶離液を供給しながら弱吸着性画分と強吸着性画分を抜き出す工程とを繰り返すことにより、吸着剤に対する親和力が異なる3つ以上の画分を連続的に分離する方法が開示されている。
【0003】
特許文献1記載の技術をはじめ従来の一般的な擬似移動層方式によるクロマト分離では、基本的に1種の溶離液を用いる。したがって、吸着剤に対する吸着性の強い成分を含む原液や、テーリング(濃度分布がブロードになる現象)を生じやすい成分を含む原液を循環系に供給する場合、これらの成分を脱着(脱離)させるために大量の溶離液を用いる必要がある。溶離液の大量使用は、抜出液の濃縮コストの上昇を招き、また、目的の精製物の、吸着剤あたりの生産量の低下にも繋がる。
【0004】
他方、擬似移動層方式によるクロマト分離において、2種以上の溶離液を用いることも報告されている。例えば特許文献2には、脱着力の弱い第1溶離液と、脱着力の強い第2溶離液を用いて、これらの溶離液や原液の供給のタイミングと、弱吸着性画分、中吸着性画分及び強吸着性画分の抜き出しのタイミングとを特定の組み合わせとすることにより、少ない吸着剤量で高い分離性能を実現したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第1998860号公報
【文献】特許第4606092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
擬似移動層方式のクロマト分離は、目的の精製対象物を連続的に、高純度で得ることが可能であるため、医療分野等への適用も検討されている。例えば抗体医薬の製造において、抗体を産生する培養細胞の抽出液や培養液には、目的の抗体の他、抗体が切断等されて生じた抗体として十分に機能しないフラグメントや、抗体が凝集して巨大化した凝集体が生じる。一般に、上記フラグメントは吸着剤との相互作用部位が少なく当該吸着剤に対する吸着性が弱い。逆に、凝集体は吸着剤への吸着性が強い。したがって、擬似移動層方式のクロマト分離を抗体医薬の精製に適用する場合、目的の抗体を、吸着剤に対して中間的な吸着性を示す中吸着性画分として分取する必要がある。他方、弱吸着性画分と強吸着性画分については、いずれも高い除去率で十分に取り除く必要がある。
また、このようなクロマト分離の実用化においては、必要な吸着剤量をできるだけ減らして分離処理効率を高め、低コスト化を実現することも重要である。
しかし、本発明者らが上記各特許文献に記載の技術をはじめ従来の擬似移動層方式によるクロマト分離を検討したところ、上記の目的を十分に達成することが難しいことが分かってきた。
【0007】
そこで本発明は、擬似移動層方式を用いたクロマト分離方法であって、原液中の精製対象成分をより少ない吸着剤の使用量で、高純度に分取することを可能とするクロマト分離方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記クロマト分離方法の実施に好適なクロマト分離システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、擬似移動層方式を用いたクロマト分離方法において、溶離液を2種以上用いて、また循環系における原液供給口、強吸着性画分抜出口、中吸着性画分抜出口、及び弱吸着性画分抜出口を特定の位置関係とすることにより、上記課題の解決が可能となることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
【0009】
本発明の上記課題は下記手段により解決された。
〔1〕
吸着剤が充填された3つ以上の単位充填塔が配管を介して直列かつ無端状に連結された循環系を用い、該循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した3つのセクション1~3に区切り、原液中に含まれる、前記吸着剤に対して弱吸着性成分と、強吸着性成分と、両成分の中間的な吸着性の中吸着性成分とを、2種以上の溶離液を用いて分離することを含む擬似移動層方式クロマト分離方法であって、
前記循環系の前記配管には、原液供給口Fと、前記2種以上の各溶離液に対応する2つ以上の溶離液供給口Dと、前記弱吸着性成分を含む弱吸着性画分の抜出口Aと、前記中吸着性成分を含む中吸着性画分の抜出口Bと、前記強吸着性成分を含む強吸着性画分の抜出口Cとが設けられ、該原液供給口F、該抜出口A、該抜出口B及び該抜出口Cの位置を下記(a)~(c)とし:
(a)前記抜出口Bを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
(b)前記抜出口Cを、前記原液供給口Fを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Cを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクションを挟んで上流側に設ける;
(c)前記抜出口Aを、前記抜出口Bを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Aを、前記抜出口Bの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
前記クロマト分離方法は下記ステップ(A)及び(B)を順に繰り返すことを含む、擬似移動層方式クロマト分離方法:
[ステップ(A)]
前記原液供給口Fから原液を、前記2つ以上の溶離液供給口Dから2種以上の溶離液を、それぞれ同時に又は別々に供給し、かつ、前記抜出口Aから弱吸着性画分を、前記抜出口Bから中吸着性画分を、前記抜出口Cから強吸着性画分を、それぞれ同時に又は別々に抜き出すステップ;
[ステップ(B)]
前記ステップ(A)終了後、前記原液供給口F、前記溶離液供給口D、前記抜出口A、前記抜出口B及び前記抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させるステップ。
〔2〕
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-8)、(A2-8)、(A3-8)及び(A4-8)を行う、〔1〕に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-8)>
セクション2の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-8)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A3-8)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-8)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
〔3〕
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-9)、(A2-9)、(A3-9)及び(A4-9)を行う、〔1〕に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-9)>
セクション2の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-9)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A3-9)>
前記溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-9)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
〔4〕
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-10)、(A2-10)、(A3-10)及び(A4-10)を行う、〔1〕に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-10)>
セクション2の上流側末端を前記原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-10)>
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして、該溶離液供給口D-IVから、前記原液と脱着力が同じ又は前記原液よりも脱着力が強い溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A3-10)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-10)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
〔5〕
吸着剤が充填された5つ以上の単位充填塔が配管を介して直列かつ無端状に連結された循環系を用い、該循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切り、原液中に含まれる、前記吸着剤に対して弱吸着性成分と、強吸着性成分と、両成分の中間的な吸着性の中吸着性成分とを、2種以上の溶離液を用いて分離することを含む擬似移動層方式クロマト分離方法であって、
前記循環系の前記配管には、原液供給口Fと、前記2種以上の各溶離液に対応する2つ以上の溶離液供給口Dと、前記弱吸着性成分を含む弱吸着性画分の抜出口Aと、前記中吸着性成分を含む中吸着性画分の抜出口Bと、前記強吸着性成分を含む強吸着性画分の抜出口Cとが設けられ、該原液供給口F、該抜出口A、該抜出口B及び該抜出口Cの位置を下記(a)~(c)とし:
(a)前記抜出口Bを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
(b)前記抜出口Cを、前記原液供給口Fを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Cを、前記原液供給口Fの、少なくとも1つのセクションを挟んで上流側に設ける;
(c)前記抜出口Aを、前記抜出口Bを有する配管に設けるか、又は、前記抜出口Aを、前記抜出口Bの、少なくとも1つのセクションを挟んで下流側に設ける;
前記クロマト分離方法は下記ステップ(A)及び(B)を順に繰り返すことを含む、擬似移動層方式クロマト分離方法:
[ステップ(A)]
前記原液供給口Fから原液を、前記2つ以上の溶離液供給口Dから2種以上の溶離液を、それぞれ同時に又は別々に供給し、かつ、前記抜出口Aから弱吸着性画分を、前記抜出口Bから中吸着性画分を、前記抜出口Cから強吸着性画分を、それぞれ同時に又は別々に抜き出すステップ;
[ステップ(B)]
前記ステップ(A)終了後、前記原液供給口F、前記溶離液供給口D、前記抜出口A、前記抜出口B及び前記抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させるステップ。
〔6〕
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-11)、(A2-11)及び(A3-11)を行う、〔5〕に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-11)>
セクション3の上流側末端を前記原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、セクション5の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A2-11)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、前記溶離液供給口D-IIIから前記溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A3-11)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
〔7〕
前記の2種以上の溶離液を用いて、前記ステップ(A)において下記サブステップ(A1-12)、(A2-12)、(A3-12)及び(A4-12)を行う、〔5〕に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法:
<サブステップ(A1-12)>
セクション3の上流側末端を前記原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション5の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A2-12)>
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして、該溶離液供給口D-IVから、前記原液と脱着力が同じ又は前記原液よりも脱着力が強い溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す;
<サブステップ(A3-12)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を前記抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする;
<サブステップ(A4-12)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を前記抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0010】
本明細書において、「上流」、「下流」との用語は、循環系内の流体の流通方向に対して用いられる。すなわち、循環系のある部位に対して「上流側」とは、当該部位に向けて流体が流通してくる側を意味し、「下流側」とは、当該部位から流体が流れ出ていく側を意味する。
本明細書において、「強吸着性成分」とは、原液中に含まれる複数成分のうち、吸着剤に対する吸着力が強い成分を意味し、「弱吸着性成分」とは、原液中に含まれる複数成分のうち、吸着剤に対する吸着力が弱い成分を意味し、「中吸着性成分」とは、上記強吸着性成分よりも吸着剤に対する吸着性が弱いが、上記弱吸着性成分よりは吸着剤に対する吸着性が強い成分を意味する。つまり「強吸着性」、「中吸着性」及び「弱吸着性」との用語は、原液中に含まれる各成分の吸着剤に対する吸着力を比較した際の、相対的な吸着力の強さを示すものである。
上記の「強吸着性成分」、「中吸着性成分」及び「弱吸着性成分」は、それぞれ、単一成分からなってもよく、複数の成分からなってもよい。また、当該複数の成分は吸着力が同じでも異なってもよい。
原液中の各成分の、「強吸着性成分」、「中吸着性成分」及び「弱吸着性成分」へのグループ分けは、目的に応じて適宜に設定することができる。原液が4種の成分を含む場合を例にとると、吸着剤に対する吸着力が強い順に2種の成分を合わせて強吸着性成分とし、吸着剤に対する吸着力が3番目に強い成分を中吸着性成分、吸着剤に対する吸着力が最も弱い成分を弱吸着性成分として位置付けることができる。また、吸着剤に対する吸着力が最も強い成分を強吸着性成分、吸着剤に対する吸着力が2番目の成分と3番目の成分を合わせて中吸着性成分、吸着剤に対する吸着力が最も弱い成分を弱吸着性成分として位置付けることもできる。また、吸着剤に対する吸着力が最も強い成分を強吸着性成分、吸着剤に対する吸着力が2番目の成分を中吸着性成分、吸着剤に対する吸着力が3番目の成分と最も弱い成分を合わせて弱吸着性成分として位置付けることもできる。原液が5種以上の成分を含む場合にも、同様に、種々のグループ分けに基づく分離、精製をすることができる。
本発明において、溶離液の「脱着力」とは、吸着剤に吸着した成分を、当該吸着剤から脱離させる作用の強さを意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法によれば、吸着剤の使用量を抑えながら、原液中の精製対象成分を高純度に分取することができる。また、本発明の擬似移動層方式クロマト分離システムは、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法の実施に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離システムの一例を示す系統図である。
【
図2】
図2は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法の一実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図4】
図4は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法の別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図6】
図6は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図8】
図8は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図9】
図9は、
図8に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図10】
図10は、比較例1及び2における単カラム・ステップグラジエントの運転工程を示すフロー図である。
【
図11】
図11は、比較例3における擬似移動相方式クロマト分離の運転工程を示すフロー図である。
【
図12】
図12は、比較例4における擬似移動相方式クロマト分離の運転工程を示すフロー図である。
【
図13】
図13は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図14】
図14は、
図13に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図15】
図15は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図16】
図16は、
図15に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図17】
図17は、本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図18】
図18は、
図17に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図19】
図19は、本発明の疑似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図20】
図20は、
図19に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図21】
図21は、本発明の疑似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図22】
図22は、
図21に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図23】
図23は、本発明の疑似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図24】
図24は、
図23に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図25】
図25は、本発明の疑似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図26】
図26は、
図25に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図27】
図27は、本発明の疑似移動層方式クロマト分離方法のさらに別の実施形態において、ステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【
図28】
図28は、
図27に示すステップ(A)を終了後、ステップ(B)を実施し、その後のステップ(A)を構成する各サブステップのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の擬似移動層方式クロマト分離方法(以下、単に「本発明の方法」ともいう。)の好ましい実施形態について説明する。
【0014】
本発明の方法は、吸着剤が充填された複数の単位充填塔を、配管を介して直列かつ無端状に連結した循環系を用いて実施される。擬似移動層方式に用いられる循環系自体は公知であり、例えば、特開2009-36536号公報や特許第4606092号公報等を参照することができる。
当該循環系について図面を用いて以下に説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外はこれらの態様に限定されるものではない。
なお、以下で言及する図面は本発明の理解を容易にするための説明図であり、各構成のサイズや相対的な大小関係は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された形状、相対的な位置関係等に限定されるものでもない。
また、本発明で規定すること以外の条件、例えば、単位充填塔の容量、配管の管内断面積や長さ、循環系に供給する液の流速等は、目的に応じて適宜に設定することができる。
【0015】
本発明の方法に用いる循環系の好ましい一実施形態を
図1に示す。
図1に示される循環系100は、吸着剤Abが充填された単位充填塔(カラム)を4本(単位充填塔10a、10b、10c、10d)備え、各単位充填塔の出口は、隣接する単位充填塔の入口へと配管1を介して連結され、全体として各単位充填塔が直列に連結されている。
そして、最後部の単位充填塔(例えば単位充填塔10d)の出口は、最前部の単位充填塔(例えば単位充填塔10a)の入口へと配管1を介して連結され、全単位充填塔は無端状に(円環状に)連結されている。かかる構成により、循環系100内に、流体を循環させることが可能となる。単位充填塔10a~10dは、内部の形、サイズ、吸着剤の充填量が互いに同一でも異なっていてもよい。単位充填塔10a~10dは、内部の形、サイズ、吸着剤の充填量がいずれも等価なもの(好ましくは同じもの)を用いることが好ましい。
【0016】
上記循環系100内には、流体を矢印方向に流通させるための循環ポンプP1を配設することができる。循環ポンプP1は定量ポンプであることが好ましい。また、循環系100内において、互いに隣接する2つの単位充填塔の間の配管1には、その下流側の単位充填塔への流体の流通を遮断可能な遮断弁R1、R2、R3、R4が設けられている。
【0017】
各遮断弁R1~R4と、その上流側に位置する各単位充填塔10a~10dの出口との間には、それぞれ、吸着剤Abに対する弱吸着性成分を多く含む画分(本明細書において「吸着剤Abに対する弱吸着性画分」又は単に「弱吸着性画分」という。)を抜き出す弱吸着性画分抜出ライン2a、2b、2c、2dが分岐配設されている。各弱吸着性画分抜出ライン2a、2b、2c、2dには、それぞれ、各弱吸着性画分抜出ラインを開閉可能な弱吸着性画分抜出弁A1、A2、A3、A4が設けられている。各弱吸着性画分抜出ライン2a、2b、2c、2dは、合流されて一つの弱吸着性画分合流管2Jにまとめられる。
【0018】
また同様に、各遮断弁R1~R4と、その上流側に位置する各単位充填塔10a~10dの出口との間には、吸着剤Abに対する中吸着性成分を多く含む画分(本明細書において「吸着剤Abに対する中吸着性画分」又は単に「中吸着性画分」という。)を抜き出す中吸着性画分抜出ライン3a、3b、3c、3dが分岐配設されている。各中吸着性画分抜出ライン3a、3b、3c、3dには、それぞれ、各中吸着性画分抜出ラインを開閉可能な中吸着性画分抜出弁B1、B2、B3、B4が設けられている。各中吸着性画分抜出ライン3a、3b、3c、3dは、合流されて一つの中吸着性画分合流管3Jにまとめられる。
【0019】
また同様に、各遮断弁R1~R4と、その上流側に位置する各単位充填塔10a~10dの出口との間には、吸着剤Abに対する強吸着性成分を多く含む画分(本明細書において「吸着剤Abに対する強吸着性画分」又は単に「強吸着性画分」という。)を抜き出す強吸着性画分抜出ライン4a、4b、4c、4dが分岐配設されている。各強吸着性画分抜出ライン4a、4b、4c、4dには、それぞれ、各強吸着性画分抜出ラインを開閉可能な強吸着性画分抜出弁C1、C2、C3、C4が設けられている。各強吸着性画分抜出ライン4a、4b、4c、4dは、合流されて一つの強吸着性画分合流管4Jにまとめられる。
【0020】
後述するステップ(A)の中で、弱吸着性画分抜出弁A1、A2、A3、A4のいずれかが開弁された状態となる。当該開弁された弱吸着性画分抜出弁が設置された弱吸着性画分抜出ラインと、配管1との連結部位が、後述するステップ(A)における弱吸着性画分の抜出口Aとなる。
また、後述するステップ(A)の中で、中吸着性画分抜出弁B1、B2、B3、B4のいずれかが開弁された状態となる。当該開弁された中吸着性画分抜出弁が設置された中吸着性画分抜出ラインと、配管1との連結部位が、後述するステップ(A)における中吸着性画分の抜出口Bとなる。
また、後述するステップ(A)の中で、強吸着性画分抜出弁C1、C2、C3、C4のいずれかが開弁された状態となる。当該開弁された強吸着性画分抜出弁が設置された強吸着性画分抜出ラインと、配管1との連結部位が、後述するステップ(A)における強吸着性画分の抜出口Cとなる。
【0021】
循環系100には、循環系100の圧力が上昇し過ぎるのを防ぐために、適当な部位に図示していない安全弁(又はリリーフ弁)を設けることができる。また、隣接する2つの単位充填塔の間には、逆流防止用の逆止弁T1、T2、T3、T4を設けることが好ましい。
【0022】
循環系100内は、
図1に示されるように、原液タンク6に収容された原液7が供給可能な構成となっている。また、循環系100内は、2種以上の溶離液が供給可能な構成となっている。
図1では、一例として、4種の溶離液を供給する形態を示した。
原液7は、供給流量を制御可能な原液供給ポンプP2により、原液供給ライン11を介して供給される。原液供給ポンプP2は定量ポンプであることが好ましい。原液供給ライン11は、
図1に示すように4本の原液供給分岐ライン11a、11b、11c、11dに分岐され、各原液供給分岐ライン11a、11b、11c、11dを介して、原液を、それぞれ各単位充填塔10a、10b、10c、10dの入り口へと供給可能な構成となっている。各原液供給分岐ライン11a、11b、11c、11dには、開閉可能な原液供給弁F1、F2、F3、F4が設けられ、開弁された原液供給弁を有する原液供給分岐ラインを通って、その下流に連結する単位充填塔へと原液が供給される。
後述するステップ(A)の中で、上記原液供給弁F1、F2、F3、F4のいずれかが開弁された状態となる。当該開弁された原液供給弁が設置された原液供給分岐ラインと、配管1との連結部位が、後述するステップ(A)における原液供給口Fとなる。
【0023】
図1は、脱着力の異なる4種の溶離液を供給する形態を示す。溶離液タンク8aに収容された溶離液9aは、供給流量を制御可能な溶離液供給ポンプP3により溶離液供給ライン12へと供給される。溶離液タンク8bに収容された溶離液9bは、供給流量を制御可能な溶離液供給ポンプP4により溶離液供給ライン13へと供給される。溶離液タンク8cに収容された溶離液9cは、供給流量を制御可能な溶離液供給ポンプP5により溶離液供給ライン14へと供給される。さらに、溶離液タンク8dに収容された溶離液9dは、供給流量を制御可能な溶離液供給ポンプP6により溶離液供給ライン15へと供給される。
溶離液供給ポンプP3~P6は定量ポンプであることが好ましい。溶離液供給ライン12は、
図1に示すように4本の溶離液供給分岐ライン12a、12b、12c、12dに分岐され、各溶離液供給分岐ライン12a、12b、12c、12dを介して、溶離液を、各単位充填塔10a、10b、10c、10dの入り口へと供給可能な構成となっている。各溶離液供給分岐ライン12a、12b、12c、12dには、開閉可能な溶離液供給弁E1a、E2a、E3a、E4aが設けられ、開弁された溶離液供給弁を有する溶離液供給分岐ラインを通って、その下流に連結する単位充填塔へと溶離液が供給される。
同様に、溶離液供給ライン13は4本の溶離液供給分岐ライン13a、13b、13c、13dに分岐され、溶離液供給ライン14は4本の溶離液供給分岐ライン14a、14b、14c、14dに分岐され、溶離液供給ライン15は4本の溶離液供給分岐ライン15a、15b、15c、15dに分岐され、各溶離液を、各単位充填塔10a、10b、10c、10dの入り口へと供給可能な構成となっている。
溶離液供給分岐ライン13a、13b、13c、13dには、それぞれ、開閉可能な溶離液供給弁E1b、E2b、E3b、E4bが設けられ、溶離液供給分岐ライン14a、14b、14c、14dには、それぞれ、開閉可能な溶離液供給弁E1c、E2c、E3c、E4cが設けられ、溶離液供給分岐ライン15a、15b、15c、15dには、それぞれ、開閉可能な溶離液供給弁E1d、E2d、E3d、E4dが設けられている。
後述するステップ(A)の中で、開弁された溶離液供給弁が設置された溶離液供給分岐ラインと、配管1との連結部位が、溶離液供給口Dとなる。本発明の方法では、溶離液を2種以上用いるため、後述するステップ(A)の中で、開弁される溶離液供給弁は複数ある。したがって、後述するステップ(A)の中で、溶離液供給口Dは、使用する溶離液の種類に応じた数(2つ以上)存在することになる。
【0024】
続いて、上記循環系により本発明の方法を実施する際の、循環系の作動について説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外は、これらの実施態様に限定されるものではない。
本発明の方法において、循環系は、原液供給口Fと、弱吸着性画分の抜出口Aと、中吸着性画分の抜出口Bと、強吸着性画分の抜出口Cの位置を、下記(a)~(c)を満たす関係とする。すなわち、後述するステップ(A)及び(B)の繰り返しにおいて、原液供給口Fと、弱吸着性画分の抜出口Aと、中吸着性画分の抜出口Bと、強吸着性画分の抜出口Cとの、互いの相対的な位置関係が、当該(a)~(c)を常に満たしている。
【0025】
(a)中吸着性画分抜出口Bを、原液供給口Fの、少なくとも1つの単位充填塔(少なくとも1つのセクション)を挟んで下流側に設ける。
【0026】
(b)強吸着性画分抜出口Cを、原液供給口Fを有する配管に設けるか、又は、強吸着性画分抜出口Cを、原液供給口Fの、少なくとも1つの単位充填塔(少なくとも1つのセクション)を挟んで上流側に設ける。
ここで、「強吸着性画分抜出口Cを、原液供給口Fを有する配管に設ける」とは、強吸着性画分抜出口Cと、原液供給口Fとの間に、単位充填塔が配されていないことを意味する。
また、「強吸着性画分抜出口Cを、原液供給口Fを有する配管に設ける」場合、強吸着性画分抜出口Cの方が、原液供給口Fよりも、同じ配管の上流側に設ける。このことは、同じ配管に設けられた抜出口と供給口との関係のすべてに当てはまる。つまり、循環系において、ある抜出口と供給口が同じ配管に設けられている場合(単位充填塔を挟まずに抜出口と供給口が設けられている場合)、抜出口の方を、供給口よりも、同じ配管の上流側に配置する。これは、供給した液がその下流の単位充填塔に届く前に、当該液が抜出口から抜き出されてしまうことを防ぐためである。
上記(b)は、強吸着性画分抜出口Cを、原液供給口Fの、少なくとも1つの単位充填塔(少なくとも1つのセクション)を挟んで上流側に設ける形態であることが好ましい。
【0027】
(c)弱吸着性画分抜出口Aを、中吸着性画分抜出口Bを有する配管に設けるか、又は、弱吸着性画分抜出口Aを、中吸着性画分抜出口Bの、少なくとも1つの単位充填塔(少なくとも1つのセクション)を挟んで下流側に設ける。
ここで、「弱吸着性画分抜出口Aを、中吸着性画分抜出口Bを有する配管に設ける」とは、弱吸着性画分抜出口Aと、中吸着性画分抜出口Bとの間に、単位充填塔が配されていないことを意味する。
上記(c)は、弱吸着性画分抜出口Aを、中吸着性画分抜出口Bの、少なくとも1つの単位充填塔(少なくとも1つのセクション)を挟んで下流側に設ける形態であることが好ましい。
【0028】
本発明の方法では、上記循環系を用いて、下記ステップ(A)及び(B)を順に繰り返す。
【0029】
[ステップ(A)]
原液供給口Fから原液を、2つ以上の溶離液供給口Dから2種以上の溶離液を、それぞれ同時に又は別々に供給し、かつ、弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を、中吸着性画分抜出口Bから中吸着性画分を、強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を、それぞれ同時に又は別々に抜き出すステップ。
ここで、ステップ(A)において、原液供給口Fから供給される原液の量と、溶離液供給口Dから供給される溶離液の量との合計と、弱吸着性画分抜出口Aから抜き出される弱吸着性画分の量と、中吸着性画分抜出口Bから抜き出される中吸着性画分の量と、強吸着性画分抜出口Cから抜き出される強吸着性画分Cの量との合計とは、一致する。すなわち、循環系内に液が供給されている状態においては、それと同じ量だけ、循環系内から液が抜き出される。
より詳細に説明すると、ある供給口(X)から液が供給され、その下流側のある抜出口(Y)から液が抜き出される場合において、Xよりも下流側でYよりも上流側から液が供給されていない場合、Yから抜き出される液の量は、Xから供給される液の量と同じである。また、Xよりも下流側でYよりも上流側から液が供給されている場合には、Yから抜き出される液の量は、Xから供給される液の量と、Xよりも下流側でYよりも上流側から供給されている液の量との合計と同じである。例えば
図2のサブステップ(A1-1)において、溶離液供給口D1から供給する溶離液の供給量と、強吸着性画分抜出口Cから抜き出す強吸着性画分の抜出量は同じである。また、同じくサブステップ(A1-1)において、溶離液供給口D2から供給する溶離液の供給量と原液供給口Fから供給する原液の供給量との合計は、弱吸着性画分抜出口Aから抜き出す弱吸着性画分の量と同じである。
また、上記の「同時に又は別々に供給」するとは、時間的な差を設けず(供給するタイミングをずらさず)に供給するか、又は、時間的な差を設けて(供給するタイミングをずらして)供給することを意味する。ただし、一のステップ(A)内において、同じ配管に2種以上の液を供給する2つ以上の供給口が配される場合(配管に2つ以上の供給口が単位充填塔を挟まずに配され、当該2つ以上の各供給口から異なる液を供給する場合)には、当該2種以上の液の供給は同時には行わない。すなわち、一のステップ(A)の中で、当該2種以上の液の供給を異なるサブステップとして行う。同様に、一のステップ(A)内において、同じ配管に2種以上の画分を抜き出す2つ以上の抜出口が配される場合(配管に2つ以上の抜出口が単位充填塔を挟まずに配され、当該2つ以上の各抜出口から異なる画分を抜き出す場合)には、当該2種以上の画分の抜き出しは同時には行わない。すなわち、一のステップ(A)の中で、当該2種以上の画分の抜き出しを異なるサブステップとして行う。
【0030】
[ステップ(B)]
前記ステップ(A)終了後、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させるステップ。
この下流側への移行は、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま、単位充填塔1個分だけ下流側へと移行させることを意味する。
例えば、ステップ(A)において、原液供給弁F1が設置された原液供給分岐ラインと配管1との連結部位が原液供給口Fであった場合、ステップ(B)により、この原液供給口Fは、原液供給弁F2が設置された原液供給分岐ラインと配管1との連結部位へと移行することになる。このことは、前記溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cについても同様である。また、上記の各供給口及び抜出口の、単位充填塔1個分の下流側への移行は、循環系に配した各種ポンプや各種弁の開閉を調節することにより行うことができる。
ステップ(B)の実施により、続くステップ(A)(ステップ(A2)と称す。)において、当該ステップ(B)の直前のステップ(A)(ステップ(A1)と称す。)において各単位充填塔に対して行ったのと同じように、液の供給及び抜き出しを、ステップ(A1)よりも一つ分だけ下流側の各単位充填塔に対して行うことになる。
【0031】
上記ステップ(A)は、複数のサブステップで構成されていることが好ましい。この場合において、原液供給口Fからの原液の供給、2つ以上の溶離液供給口Dからの2種以上の各溶離液の供給、弱吸着性画分抜出口Aからの弱吸着性画分の抜き出し、中吸着性画分抜出口Bからの中吸着性画分の抜き出し、強吸着性画分抜出口Cからの強吸着性画分の抜き出しを、どのサブステップにおいて行うかは、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて適宜に設定することができる。
なかでも本発明の方法では、上記ステップ(A)は、原液を供給するサブステップと、原液を供給しないサブステップとを含むことが好ましい。すなわち、ステップ(A)の中に、原液を供給する時間と、原液を供給しない時間があることが好ましい。
【0032】
ステップ(A)において、2種以上の溶離液が供給される。これら2種以上の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液の供給口を、強吸着性画分抜出口Cに対し、単位充填塔を挟んで上流側の配管に設けることが好ましい。残りの溶離液の供給口ないし原液供給口については、脱着力が最も強い溶離液の供給口と同じ配管に設けるか、又は、脱着力が最も強い溶離液の供給口よりも、単位充填塔を挟んでさらに上流側に設けることが好ましい。「脱着力が最も強い溶離液の供給口と同じ配管に設けるか、又は、脱着力が最も強い溶離液の供給口よりも、単位充填塔を挟んでさらに上流側に設ける」とは、最も強い溶離液の供給口が設けられた配管を始点として上流側へ進み、強吸着性画分抜出口Cが設けられた配管に到達するまでの間のいずれかの配管に、最も強い溶離液以外の溶離液の供給口ないし原液供給口を設けることを意味する(換言すれば、強吸着性画分抜出口Cが設けられた配管を始点として下流側へ進み、最も強い溶離液の供給口が設けられた配管に到達するまでの間のいずれかの配管に、最も強い溶離液以外の溶離液の供給口ないし原液供給口を設けることを意味する。さらに別の言い方をすれば、最も強い溶離液の供給口と強吸着性画分抜出口Cとの間に単位充填塔が2つ以上設けられている場合において、当該2つ以上の単位充填塔同士を繋ぐ配管には、溶離液の供給口ないし原液供給口を設けないことを意味する)。この場合において、最も強い溶離液以外の溶離液が2種以上ある場合には、これらに対応する2つ以上の供給口は、それらの一部が同じ配管に設けられていてもよいし、それぞれが単位充填塔を挟んだ別々の配管に設けられていてもよい。また、最も強い溶離液以外の溶離液の供給口と原液供給口とが、同じ配管に設けられていてもよい。
なお、脱着力が最も強い溶離液以外の溶離液の供給口のうち1つの供給口を、脱着力が最も強い溶離液の供給口と同じ配管に設けることは、本発明の好ましい一実施形態である。
【0033】
ステップ(A)において、2種以上の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液を供給している間は、その下流から、脱着力が最も強い溶離液の供給量と同じ量の強吸着性画分を抜き出す形態とすることが好ましい。この場合、脱着力が最も強い溶離液の供給口からその下流の強吸着性画分抜出口までの間には、少なくとも1つの単位充填塔が配され、また、当該間には他の供給口は存在しない形態とすることが好ましい。
【0034】
ステップ(A)において、2種以上の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液を供給しながら、その下流から、脱着力が2番目に強い溶離液の供給量と同じ量の中吸着性画分を抜き出す時間帯(サブステップ)を設けることが好ましい。この場合、脱着力が2番目に強い溶離液の供給口からその下流の中吸着性画分抜出口までの間には、少なくとも1つの単位充填塔(好ましくは複数の単位充填塔)が配される。また、脱着力が2番目に強い溶離液の供給口が設けられた配管からその下流側の中吸着性画分抜出口が設けられた配管までの間に他の供給口が存在していたとしても、上記の中吸着性画分を抜き出す時間帯には当該他の供給口からは液を供給しない。
【0035】
ステップ(A)を実施している間は、常に弱吸着性画分を抜き出していることが好ましい。したがって、ステップ(A)を複数のサブステップで構成する場合にも、当該複数のサブステップにおいて、弱吸着性画分は常に抜き出されていることが好ましい。
【0036】
本発明の方法には、互いに脱着力が異なる3種以上の溶離液を用いることが好ましく、互いに脱着力が異なる4種以上の溶離液を用いることがより好ましく、互いに脱着力が異なる4~6種の溶離液を用いることがさらに好ましく、互いに脱着力が異なる4種又は5種の溶離液を用いることが特に好ましい。
溶離液の種類は特に制限されず、吸着剤の種類や原液中の成分の種類との関係により適宜に設定される。例えば、吸着剤としてイオン交換樹脂を用いる場合、溶離液の塩濃度を変えることにより、脱着力が異なる複数の溶離液を調製することができる。例えば、陽イオン交換樹脂を用いる場合には、NaCl濃度を変えた複数の溶離液を、2種以上の溶離液として用いることができる。
【0037】
上記ステップ(A)におけるサブステップの組み合わせの好ましい実施形態について、以下に説明する。これらの形態の実施は、
図1のシステムを用いたり、
図1のシステムに準じる、目的の形態を実施可能なシステムを用いたりして行うことができる。また、下記の実施形態は本発明の一例であり、例えば、相対的な脱着力の観点から、下記の溶離液d-1として位置付けられる2種以上の溶離液を用意し、溶離液d-1を供給するサブステップ間において、使用する溶離液d-1の種類を変えることもできる。このことは、溶離液d-II~d-Vについても同様である。
すなわち本発明では、ある実施形態において「溶離液d-1」という場合、この実施形態において、異なるサブステップで「溶離液d-1」を使用する場合には、異なるサブステップで使用する「溶離液d-1」は互いに同じでもよいし、異なってもよい。このことは、溶離液d-II~d-Vについても同様である。
【0038】
-実施形態1-
実施形態1では、単位充填塔を4つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した4つのセクション1~4に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態1においては、ステップ(A)において下記サブステップ(A1-1)、(A2-1)及び(A3-1)を行う。
本発明において、「ステップ(A)においてサブステップX、Y及びZを行う」とは、ステップ(A)が、サブステップX、Y及びZを含んでいることを意味し、サブステップX,Y及びZを行う順序は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜に設定することができる。また、ステップ(A)は、サブステップX、Y及びZ以外の、他のサブステップを含んでもよい。
「ステップ(A)においてサブステップX、Y及びZを行う」形態として、典型的には、ステップ(A)としてサブステップX、Y及びZを順に行う形態が挙げられるが、本発明はこの形態に限定されない。すなわち、「ステップ(A)においてサブステップX、Y及びZを行う」とは、サブステップXの直後にサブステップYを行い、サブステップYの直後にサブステップZを行い、サブステップZの直後にステップ(B)を行い、ステップ(B)の直後にサブステップXを行う形態に限られない。例えば、上記の他のサブステップを含む形態では、サブステップXの前(ステップ(B)とサブステップXとの間)、サブステップXとYとの間、サブステップYとZとの間、サブステップZとステップ(B)との間の少なくとも1つにおいて、本発明の効果を損なわない範囲で、他のサブステップ(サブステップX、Y及びZ以外のサブステップ)を組み込むことができる。供給流量、流速、溶離液強さ等の調整により、サブステップX,Y及びZ以外の付加的なサブステップを込み込んでも目的の効果が得られる場合があり、このことは本明細書に接した当業者であれば容易に理解することである。
【0039】
<サブステップ(A1-1)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
サブステップ(A1-1)では、上記の各液の供給と、各画分の抜き出しが、連続的に行われる(すなわち、サブステップ(A1-1)では常に、上記の各液の供給と、各画分の抜き出しのすべてが絶え間なく行われている。)。このことは、以降に説明する各サブステップにおいても同様である。
また、本発明ないし本明細書において、各サブステップで説明する溶離液の脱着力の強弱の説明は、当該サブステップ内における溶離液の脱着力の強弱であり、異なるサブステップにおける溶離液の脱着力の強弱を説明するものではない。例えば、ステップ(A)を構成する一のサブステップにおいてセクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くすることが説明され、当該ステップ(A)を構成する別のサブステップにおいてもセクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くすることが説明されている場合、当該一のサブステップにおいてセクション1を流通する溶離液の脱着力と、当該別のサブステップにおいてセクション1を流通する溶離液の脱着力とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
<サブステップ(A2-1)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A2-1)における溶離液供給口D-IIIは、上記サブステップ(A1-1)における原液供給口Fと同じ配管に設けられている。
【0041】
<サブステップ(A3-1)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0042】
上記サブステップ(A2-1)において、セクション3及び4を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A3-1)において、セクション4を流通する溶離液の脱着力と同じであることも好ましい。
【0043】
上記サブステップ(A1-1)の一例として、下記サブステップ(A1-1ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-1)はサブステップ(A1-1ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-1ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0044】
上記サブステップ(A2-1)の一例として、下記サブステップ(A2-1ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-1)はサブステップ(A2-1ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-1ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
このサブステップ(A2-1ex)における溶離液供給口D3は、上記サブステップ(A1-1)における原液供給口Fと同じ配管に設けられている。
【0045】
上記サブステップ(A3-1)の一例として、下記サブステップ(A3-1ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-1)はサブステップ(A3-1ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-1ex)>
前記溶離液供給口D1から溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0046】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-1ex)、(A2-1ex)及び(A3-1ex)を順に行う場合のフロー図を
図2に示す。
図2中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号(左から順に付番した)を示す。
上記サブステップ(A1-1ex)、(A2-1ex)及び(A3-1ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、前記溶離液供給口D、前記弱吸着性画分抜出口A、前記中吸着性画分抜出口B及び前記強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-1ex)、(A2-1ex)及び(A3-1ex)を順に行った場合のフロー図を
図3に示す。
図2に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図3では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図2に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを4セット行うことにより、再び
図2に示す形態に戻ることになる。
【0047】
-実施形態2-
実施形態2も実施形態1と同様に、単位充填塔を4つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した4つのセクション1~4に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態2においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-2)、(A2-2)及び(A3-2)を順に行う。
【0048】
<サブステップ(A1-2)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0049】
<サブステップ(A2-2)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A2-2)における溶離液供給口D-Iは、上記サブステップ(A1-2)における溶離液供給口D-IIと同じ配管に設けられている。また、溶離液供給口D-IIIは、原液供給口Fと同じ配管に設けられている。
このサブステップ(A2-2)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A1-2)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力よりも強いことが好ましい。
【0050】
<サブステップ(A3-2)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、サブステップ(A2-2)における前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0051】
上記サブステップ(A1-2)の一例として、下記サブステップ(A1-2ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-2)はサブステップ(A1-2ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-2ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0052】
上記サブステップ(A2-2)の一例として、下記サブステップ(A2-2ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-2)はサブステップ(A2-2ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-2ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
このサブステップ(A2-2ex)における溶離液供給口D1は、上記サブステップ(A1-2ex)における溶離液供給口D2と同じ配管に設けられている。また、溶離液供給口D3は、上記サブステップ(A1-2ex)における原液供給口Fと同じ配管に設けられている。
【0053】
上記サブステップ(A3-2)の一例として、下記サブステップ(A3-2ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-2)はサブステップ(A3-2ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-2ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
サブステップ(A2-2ex)における前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0054】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-2ex)、(A2-2ex)及び(A3-2ex)を順に行う場合のフロー図を
図4に示す。
図4中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-2ex)、(A2-2ex)及び(A3-2ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-2ex)、(A2-2ex)及び(A3-2ex)を順に行った場合のフロー図を
図5に示す。
図4に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図5では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図4に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを4セット行うことにより、再び
図4に示す形態に戻ることになる。
【0055】
-実施形態3-
実施形態3は、単位充填塔を5つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態3においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-3)、(A2-3)及び(A3-3)を順に行う。
【0056】
<サブステップ(A1-3)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力と同じか又はセクション1及び2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0057】
<サブステップ(A2-3)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、前記溶離液供給口D-IIIから前記溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A2-3)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A1-3)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力よりも強いことが好ましい。
このサブステップ(A2-3)における溶離液供給口D-Iは、上記サブステップ(A1-3)における溶離液供給口D-IIと同じ配管に設けられている。
【0058】
<サブステップ(A3-3)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、サブステップ(A2-3)における前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション5の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0059】
上記サブステップ(A1-3)の一例として、下記サブステップ(A1-3ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-3)はサブステップ(A1-3ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-3ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0060】
上記サブステップ(A2-3)の一例として、下記サブステップ(A2-3ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-3)はサブステップ(A2-3ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-3ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
前記溶離液供給口D3から前記溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
このサブステップ(A2-3ex)における溶離液供給口D1は、上記サブステップ(A1-3ex)における溶離液供給口D2と同じ配管に設けられている。
【0061】
上記サブステップ(A3-3)の一例として、下記サブステップ(A3-3ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-3)はサブステップ(A3-3ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-3ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
サブステップ(A2-3ex)における前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション5の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0062】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-3ex)、(A2-3ex)及び(A3-3ex)を順に行う場合のフロー図を
図6に示す。
図6中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-3ex)、(A2-3ex)及び(A3-3ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-3ex)、(A2-3ex)及び(A3-3ex)を順に行った場合のフロー図を
図7に示す。
図6に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図7では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図6に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを5セット行うことにより、再び
図6に示す形態に戻ることになる。
【0063】
-実施形態4-
実施形態4は、単位充填塔を7つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる5種の溶離液d-I~d-Vを用いる。
この実施形態4においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-4)、(A2-4)及び(A3-4)を順に行う。
【0064】
<サブステップ(A1-4)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、セクション5の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力と同じか又はセクション1及び2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0065】
<サブステップ(A2-4)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A2-4)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A1-4)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力よりも強いことが好ましい。
このサブステップ(A2-4)における溶離液供給口D-Iは、上記サブステップ(A1-4)における溶離液供給口D-IIと同じ配管に設けられている。
【0066】
<サブステップ(A3-4)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、サブステップ(A2-4)における前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション5の上流側末端を溶離液供給口D-Vとして、該溶離液供給口D-Vから溶離液d-Vを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0067】
上記サブステップ(A1-4)の一例として、下記サブステップ(A1-4ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-4)はサブステップ(A1-4ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-4ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から5種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から5種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0068】
上記サブステップ(A3-3)において、セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A3-4)において、セクション5を流通する溶離液の脱着力と同じであることも好ましい。
【0069】
上記サブステップ(A2-4)の一例として、下記サブステップ(A2-4ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-4)はサブステップ(A2-4ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-4ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から5種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から5種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から5種の溶離液のうち脱着力が4番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
このサブステップ(A2-4ex)における溶離液供給口D1は、上記サブステップ(A1-4ex)における溶離液供給口D2と同じ配管に設けられている。
【0070】
上記サブステップ(A3-4)の一例として、下記サブステップ(A3-4ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-4)はサブステップ(A3-4ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-4ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
サブステップ(A2-4ex)における前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション5の上流側末端を溶離液供給口D5として、該溶離液供給口D5から5種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d5を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0071】
上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-4ex)、(A2-4ex)及び(A3-4ex)を順に行う場合のフローの一例を
図8に示す。
図8中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。また、
図8に示す形態は単位充填塔を7つ有し、セクション1に単位充填塔が1つ、セクション2に単位充填塔が2つ、セクション3に単位充填塔が2つ、セクション4に単位充填塔が1つ、セクション5に単位充填塔が1つ含まれている。
上記サブステップ(A1-4ex)、(A2-4ex)及び(A3-4ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-4ex)、(A2-4ex)及び(A3-4ex)を順に行った場合のフロー図を
図9に示す。
図8に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図9では単位充填塔1つ分ずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図8に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを7セット行うことにより、再び
図8に示す形態に戻ることになる。
【0072】
-実施形態5-
実施形態5は、単位充填塔を5つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態5においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-5)、(A2-5)及び(A3-5)を順に行う。
【0073】
<サブステップ(A1-5)>
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0074】
<サブステップ(A2-5)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、前記溶離液供給口D-IIIから前記溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0075】
<サブステップ(A3-5)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション5の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A3-5)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A2-5)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力と同じであることが好ましい。
【0076】
上記サブステップ(A1-5)の一例として、下記サブステップ(A1-5ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-5)はサブステップ(A1-5ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-5ex)>
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0077】
上記サブステップ(A2-5)の一例として、下記サブステップ(A2-5ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-5)はサブステップ(A2-5ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-5ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
前記溶離液供給口D3から前記溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0078】
上記サブステップ(A3-5)の一例として、下記サブステップ(A3-5ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-5)はサブステップ(A3-5ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-5ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション5の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0079】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-5ex)、(A2-5ex)及び(A3-5ex)を順に行う場合のフロー図を
図13に示す。
図13中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-5ex)、(A2-5ex)及び(A3-5ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-5ex)、(A2-5ex)及び(A3-5ex)を順に行った場合のフロー図を
図14に示す。
図13に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図14では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図13に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを5セット行うことにより、再び
図13に示す形態に戻ることになる。
【0080】
-実施形態6-
実施形態6は、単位充填塔を5つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態6においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-6)、(A2-6)及び(A3-6)を順に行う。
【0081】
<サブステップ(A1-6)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1、2及び3を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション1、2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0082】
<サブステップ(A2-6)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を前記原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A2-6)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A1-6)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力よりも強いことが好ましい。
このサブステップ(A2-6)における溶離液供給口D-Iは、上記サブステップ(A1-6)における溶離液供給口D-IIと同じ配管に設けられている。
【0083】
<サブステップ(A3-6)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、前記溶離液供給口D-IIIから前記溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A3-6)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A2-6)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力と同じであることが好ましい。
【0084】
上記サブステップ(A1-6)の一例として、下記サブステップ(A1-6ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-6)はサブステップ(A1-6ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-6ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0085】
上記サブステップ(A2-6)の一例として、下記サブステップ(A2-6ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-6)はサブステップ(A2-6ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-6ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0086】
上記サブステップ(A3-6)の一例として、下記サブステップ(A3-6ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-6)はサブステップ(A3-6ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-6ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
前記溶離液供給口D3から前記溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0087】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-6ex)、(A2-6ex)及び(A3-6ex)を順に行う場合のフロー図を
図15に示す。
図15中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-6ex)、(A2-6ex)及び(A3-6ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-6ex)、(A2-6ex)及び(A3-6ex)を順に行った場合のフロー図を
図16に示す。
図15に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図16では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図15に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを5セット行うことにより、再び
図15に示す形態に戻ることになる。
【0088】
-実施形態7-
実施形態7は、単位充填塔を5つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態7においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-7)、(A2-7)及び(A3-7)を順に行う。
【0089】
<サブステップ(A1-7)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、セクション5の下流側末端を前記抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0090】
<サブステップ(A2-7)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、前記溶離液供給口D-IIIから前記溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0091】
<サブステップ(A3-7)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション5の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2、3及び4を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0092】
上記サブステップ(A1-7)の一例として、下記サブステップ(A1-7ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-7)はサブステップ(A1-7ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-7ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0093】
上記サブステップ(A2-7)の一例として、下記サブステップ(A2-7ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-7)はサブステップ(A2-7ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-7ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D3から前記溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0094】
上記サブステップ(A3-7)の一例として、下記サブステップ(A3-7ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-7)はサブステップ(A3-7ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-7ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション4の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション5の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0095】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-7ex)、(A2-7ex)及び(A3-7ex)を順に行う場合のフロー図を
図17に示す。
図17中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-7ex)、(A2-7ex)及び(A3-7ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-7ex)、(A2-7ex)及び(A3-7ex)を順に行った場合のフロー図を
図18に示す。
図17に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図18では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図17に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを5セット行うことにより、再び
図17に示す形態に戻ることになる。
【0096】
-実施形態8-
実施形態8は、単位充填塔を3つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した3つのセクション1~3に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態8においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-8)、(A2-8)、(A3-8)及び(A4-8)を順に行う。
【0097】
<サブステップ(A1-8)>
セクション2の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0098】
<サブステップ(A2-8)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0099】
<サブステップ(A3-8)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0100】
<サブステップ(A4-8)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A4-8)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A3-8)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力と同じであることが好ましい。
【0101】
上記サブステップ(A2-8)の一例として、下記サブステップ(A2-8ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-8)はサブステップ(A2-8ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-8ex)>
セクション1の上流側末端を溶離供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0102】
上記サブステップ(A3-8)の一例として、下記サブステップ(A3-8ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-8)はサブステップ(A3-8ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-8ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0103】
上記サブステップ(A4-8)の一例として、下記サブステップ(A4-8ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A4-8)はサブステップ(A4-8ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A4-8ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0104】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-8)、(A2-8ex)、(A3-8ex)及び(A4-8ex)を順に行う場合のフロー図を
図19に示す。
図19中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-8)、(A2-8ex)、(A3-8ex)及び(A4-8ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-8)、(A2-8ex)、(A3-8ex)及び(A4-8ex)を順に行った場合のフロー図を
図20に示す。
図19に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図20では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図19に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを3セット行うことにより、再び
図19に示す形態に戻ることになる。
【0105】
-実施形態9-
実施形態9は、単位充填塔を3つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した3つのセクション1~3に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態9においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-9)、(A2-9)、(A3-9)及び(A4-9)を順に行う。
【0106】
<サブステップ(A1-9)>
セクション2の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0107】
<サブステップ(A2-9)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0108】
<サブステップ(A3-9)>
前記溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1及び2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0109】
<サブステップ(A4-9)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0110】
上記サブステップ(A2-9)の一例として、下記サブステップ(A2-9ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-9)はサブステップ(A2-9ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-9ex)>
セクション1の上流側末端を溶離供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0111】
上記サブステップ(A3-9)の一例として、下記サブステップ(A3-9ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-9)はサブステップ(A3-9ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-9ex)>
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0112】
上記サブステップ(A4-9)の一例として、下記サブステップ(A4-9ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A4-9)はサブステップ(A4-9ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A4-9ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0113】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-9)、(A2-9ex)、(A3-9ex)及び(A4-9ex)を順に行う場合のフロー図を
図21に示す。
図21中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-9)、(A2-9ex)、(A3-9ex)及び(A4-9ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-9)、(A2-9ex)、(A3-9ex)及び(A4-9ex)を順に行った場合のフロー図を
図22に示す。
図21に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図22では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図21に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを3セット行うことにより、再び
図21に示す形態に戻ることになる。
【0114】
-実施形態10-
実施形態10は、単位充填塔を3つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した3つのセクション1~3に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態10においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-10)、(A2-10)、(A3-10)及び(A4-10)を順に行う。
【0115】
<サブステップ(A1-10)>
セクション2の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション3の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0116】
<サブステップ(A2-10)>
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。このとき、サブステップ(A1-10)の原液と溶離液d-IVの脱着力の関係が原液≦d-IVとなるように設定する。
【0117】
<サブステップ(A3-10)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0118】
<サブステップ(A4-10)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を、セクション2を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A4-10)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A3-10)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力と同じであることが好ましい。
【0119】
上記サブステップ(A2-10)の一例として、下記サブステップ(A2-10ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-10)はサブステップ(A2-10ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-10ex)>
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0120】
上記サブステップ(A3-10)の一例として、下記サブステップ(A3-10ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-10)はサブステップ(A3-10ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-10ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0121】
上記サブステップ(A4-10)の一例として、下記サブステップ(A4-10ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A4-10)はサブステップ(A4-10ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A4-10ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション2の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0122】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-10)、(A2-10ex)、(A3-10ex)及び(A4-10ex)を順に行う場合のフロー図を
図23に示す。
図23中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-10)、(A2-10ex)、(A3-10ex)及び(A4-10ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-10)、(A2-10ex)、(A3-10ex)及び(A4-10ex)を順に行った場合のフロー図を
図24に示す。
図23に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図24では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図23に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを3セット行うことにより、再び
図23に示す形態に戻ることになる。
【0123】
-実施形態11-
実施形態11は、単位充填塔を5つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態8においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-11)、(A2-11)及び(A3-11)を順に行う。
【0124】
<サブステップ(A1-11)>
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション3を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0125】
<サブステップ(A2-11)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、前記溶離液供給口D-IIIから前記溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0126】
<サブステップ(A3-11)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A3-11)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A2-11)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力と同じであることが好ましい。
【0127】
上記サブステップ(A1-11)の一例として、下記サブステップ(A1-11ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A1-11)はサブステップ(A1-11ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A1-11ex)>
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして、該原液供給口Fから原液を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして、該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0128】
上記サブステップ(A2-11)の一例として、下記サブステップ(A2-11ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-11)はサブステップ(A2-11ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-11ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
前記溶離液供給口D3から前記溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0129】
上記サブステップ(A3-11)の一例として、下記サブステップ(A3-11ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-11)はサブステップ(A3-11ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-11ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0130】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-11ex)、(A2-11ex)及び(A3-11ex)を順に行う場合のフロー図を
図25に示す。
図25中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-11ex)、(A2-11ex)及び(A3-11ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-11ex)、(A2-11ex)及び(A3-11ex)を順に行った場合のフロー図を
図26に示す。
図25に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図26では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図25に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを5セット行うことにより、再び
図25に示す形態に戻ることになる。
【0131】
-実施形態12-
実施形態12は、単位充填塔を5つ以上有する循環系を用いる。そして、この循環系を、各セクションが少なくとも1つの単位充填塔を有するように上流側から下流側に向けて円環状に連続した5つのセクション1~5に区切ったものを想定する。また、溶離液として、脱着力の異なる4種の溶離液d-I~d-IVを用いる。
この実施形態12においては、ステップ(A)として下記サブステップ(A1-12)、(A2-12)、(A3-12)及び(A4-12)を順に行う。
【0132】
<サブステップ(A1-12)>
セクション3の上流側末端を原液供給口Fとして該原液供給口Fから原液を供給し、セクション5の下流側末端を弱吸着性画分抜出口Aとして該抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0133】
<サブステップ(A2-12)>
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。このとき、サブステップ(A1-9)における原液と溶離液d-IVの脱着力の関係が原液≦d-IVとなるように設定する。
【0134】
<サブステップ(A3-12)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D-Iとして該溶離液供給口D-Iから溶離液d-Iを供給し、セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、セクション2の上流側末端を溶離液供給口D-IIとして該溶離液供給口D-IIから溶離液d-IIを供給し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IIIとして該溶離液供給口D-IIIから溶離液d-IIIを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
【0135】
<サブステップ(A4-12)>
前記溶離液供給口D-Iから前記溶離液d-Iを供給し、前記抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、前記溶離液供給口D-IIから前記溶離液d-IIを供給し、セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、セクション4の上流側末端を溶離液供給口D-IVとして該溶離液供給口D-IVから溶離液d-IVを供給し、前記抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出すことにより、
セクション1を流通する溶離液の脱着力を最も強くし、
セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力を、セクション1を流通する溶離液の脱着力よりも弱くし、
セクション4及び5を流通する溶離液の脱着力を、セクション2及び3を流通する溶離液の脱着力よりも弱くする。
このサブステップ(A4-12)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力は、上記サブステップ(A3-12)においてセクション1を流通する溶離液の脱着力と同じであることが好ましい。
【0136】
上記サブステップ(A2-12)の一例として、下記サブステップ(A2-12ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A2-12)はサブステップ(A2-12ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A2-12ex)>
セクション3の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0137】
上記サブステップ(A3-12)の一例として、下記サブステップ(A3-12ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A3-12)はサブステップ(A3-12ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A3-12ex)>
セクション1の上流側末端を溶離液供給口D1として、該溶離液供給口D1から4種の溶離液のうち脱着力が最も強い溶離液d1を供給し、
セクション1の下流側末端を強吸着性画分抜出口Cとして、該抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
セクション2の上流側末端を溶離液供給口D2として、該溶離液供給口D2から4種の溶離液のうち脱着力が2番目に強い溶離液d2を供給し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D3として、該溶離液供給口D3から4種の溶離液のうち脱着力が最も弱い溶離液d3を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0138】
上記サブステップ(A4-12)の一例として、下記サブステップ(A4-12ex)を実施するサブステップが挙げられるが、上記サブステップ(A4-12)はサブステップ(A4-12ex)に限定されるものではない。
<サブステップ(A4-12ex)>
前記溶離液供給口D1から前記溶離液d1を供給し、
前記強吸着性画分抜出口Cから強吸着性画分を抜き出し、
前記溶離液供給口D2から前記溶離液d2を供給し、
セクション3の下流側末端を中吸着性画分抜出口Bとして、該抜出口Bから中吸着性画分を抜き出し、
セクション4の上流側末端を溶離液供給口D4として、該溶離液供給口D4から4種の溶離液のうち脱着力が3番目に強い溶離液d4を供給し、
前記弱吸着性画分抜出口Aから弱吸着性画分を抜き出す。
【0139】
各セクションが単位充填塔を一つ有する場合を例にとり、上記ステップ(A)が上記サブステップ(A1-12)、(A2-12ex)、(A3-12ex)及び(A4-12ex)を順に行う場合のフロー図を
図27に示す。
図27中、四角の囲いは単位充填塔1つ分を示し、当該囲いの中の数字は単位充填塔の番号を示す。
上記サブステップ(A1-12)、(A2-12ex)、(A3-12ex)及び(A4-12ex)を順に行うステップ(A)が終了後、ステップ(B)により、原液供給口F、溶離液供給口D、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったまま下流側へと移行させ、次いで上記サブステップ(A1-12)、(A2-12ex)、(A3-12ex)及び(A4-12ex)を順に行った場合のフロー図を
図28に示す。
図27に示す、各セクションに配される単位充填塔が、
図28では1つずつ下流側のものへとシフトする。この場合、
図27に示すステップ(A)からスタートし、次いでステップ(B)を行うことを1セットとし、これを5セット行うことにより、再び
図27に示す形態に戻ることになる。
【0140】
本発明の方法において、目的の液を目的の場所に供給したり、目的の液を目的の場所から抜き出したりするのは、循環系に設けた各所のポンプの作動、各所の弁の開閉を適宜に調整して行うことができる。すなわち、循環系における目的の流体の供給や目的の画分の抜き出しの方法それ自体は公知である。また、各液の供給流量や抜き出しの流量も、処理効率等の目的に応じて適宜に設定することができる。
【0141】
本発明の方法において、精製対象成分は強吸着性成分、中吸着性成分、弱吸着性成分のいずれであってもよいが、なかでも中吸着性成分を精製するのに好適な方法である。本発明の方法は、タンパク質の精製に好適に用いることができる。本発明の方法により中吸着性成分を高純度に得ることができるため、目的のタンパク質の他にその分解物や凝集体を含む原液から、目的のタンパク質を高純度に得るために好適な方法である。
上記タンパク質に特に制限はなく、例えば、抗体を精製対象成分とすることができる。 本発明において「抗体」とは、天然に存在する抗体でもよく、キメラ抗体であってもよく、酵素等によりフラグメント化された抗体であってもよい(例えば、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント)。また、単鎖抗体やその2量体(ダイアボディー)もしくは3量体(トリアボディー)、又はミニボディーも含まれる。また、シングルドメイン抗体であってもよい。なお、これらは一例であり、抗原に対して特異的な結合能を有するタンパク質ないしその誘導体はすべて、本発明における抗体の概念に含まれるものとする。
本発明の方法で高純度化した抗体は、抗体医薬としての適用も可能である。すなわち、本発明の方法を適用して原液中に含まれる抗体を分取することにより、抗体医薬の製造方法を提供することができる。より具体的には、本発明の方法により、抗体産生細胞の培養液及び/又は抗体産生細胞の抽出液を原液とし、その中に含まれる抗体を分取することにより、抗体医薬を得ることができる。本発明において「抗体産生細胞の培養液」や「抗体産生細胞の抽出液」は、抗体産生細胞の培養液や抗体産生細胞の抽出液を、遠心分離処理やクロマト分離処理等の各種処理に付して、ある程度分画ないし精製等された状態としたものを包含する意味である。
【0142】
本発明の方法において、単位充填塔に充填される吸着剤は、精製対象成分に応じて適宜に選択されるものであり、種々の吸着剤を採用することができる。例えば、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂、合成吸着剤、ゼオライト、シリカゲル、及び官能基修飾されたシリカゲル(好ましくはオクタデシルシリル修飾シリカゲル)、また、その他のゲルろ過クロマトグラフィー材、アフィニティ―吸着材を吸着剤として用いることができる。
精製対象成分がタンパク質の場合、吸着剤はイオン交換樹脂が好ましい。なかでも陽イオン交換樹脂を好適に用いることができる。
【0143】
本発明の擬似移動層方式クロマト分離システムは、本発明の方法を実施するためのシステムである。すなわち、本発明の擬似移動層方式クロマト分離システムは、上述した循環系の構成を有し、当該循環系が、上述したステップ(A)の作動とステップ(B)の作動を順に繰り返すことができるシステムである。
【実施例】
【0144】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0145】
[原液の調製]
ヒトのイムノグロブリンG2(IgG2)を産生する細胞を培養し、その培養液の上澄みを透析により脱塩したのち、NaClを加えて塩濃度を調整したものを原液とした。この上澄み中に含まれる抗体と、そのフラグメント及び凝集体の含有量は下記の通りである。下表中、フラグメント1は分子量5000付近をピークとする分子量が25000未満の画分に含まれるタンパク質とし、フラグメント2は分子量が25000以上50000未満の画分に含まれるタンパク質とした。また、抗体は分子量150000付近をピークとする分子量が50000以上300000未満の画分に含まれるタンパク質とした。また、凝集体は分子量が300000以上の画分に含まれるタンパク質とした。下記成分組成は、分析カラム(東ソーTSKgel G3000SWXL)を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定した。
【0146】
【0147】
[単位充填塔(カラム)に用いる吸着剤]
吸着剤として陽イオン交換樹脂(商品名:Fractogel(登録商標)EMD SO3
-(M)、メルク社製)を用いた。
【0148】
[溶離液]
下記A液及びB液を用いて各種NaCl濃度のリン酸緩衝液を調製し、溶離液として用いた。
<A液>
20mMリン酸緩衝液 pH6.0
<B液>
NaClを0.3M(17.53g/L)の濃度で含有する20mMリン酸緩衝液 pH6.0
【0149】
[比較例1] 単カラム・ステップグラジエント
<カラム>
直径10mm×長さ100mm 1本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.05g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【0150】
【0151】
<運転条件>
下記工程1~6を順に行った。工程1~6のフロー図を
図10に示した。
下記運転条件は、弱吸着性画分へのフラグメント1及びフラグメント2の回収率が98%以上、中吸着性画分への抗体の回収率が98%以上、かつ、強吸着性画分への凝集体の回収率が98%以上となる条件とした。このことは、後記する各比較例及び実施例においても同じである。
【0152】
【0153】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及びフラグメント2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。この回収率は、100×[画分中の質量]/[原液中の質量]により算出される。
【0154】
【0155】
-分離処理効率-
吸着剤の体積(単位:「L(リットル)-R」、RはResinの略)当たり、時間(単位:「h(hour)」当たりの原液の処理量(単位:「L(リットル)-原液」を分離処理効率とした。なお、後述するカラムを複数本用いるマルチカラム系では、吸着剤の体積は、すべてのカラムに含まれる吸着剤の総量である。
比較例1における分離処理効率は、6.04(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0156】
[比較例2] 単カラム・ステップグラジエント
<カラム>
直径10mm×長さ400mm 1本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.05g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【0157】
【0158】
<運転条件>
下記工程1~6を順に行った。工程1~6のフロー図は
図10の通りである。
【0159】
【0160】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及びフラグメント2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0161】
【0162】
-分離処理効率-
比較例2における分離処理効率は、12.51(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0163】
[比較例3] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ100mm 4本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.23g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【0164】
【0165】
<運転条件>
図11に比較例3の運転のフロー図を示す。
図11に示す第1~第4ステップを1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップの間には、原液供給口F、溶離液供給口D(D1~D3)、弱吸着性画分抜出口A、中吸着性画分抜出口B及び強吸着性画分抜出口Cを、これらの相対的な位置関係を保ったままカラム1つ分だけ下流側へと移行させるステップを行っている。
なお、
図11に示す第1~第4ステップは、本発明のステップ(A)に対応するが、当該ステップ(A)とは異なり、複数のサブステップから構成されるものではない(換言すれば、1つのサブステップで1つのステップが構成されている。)。
図11中の「D1」、「D2」及び「D3」はいずれも溶離液供給口であり、それぞれ、溶離液D1、D2及びD3が供給される。
図11中の「C」は強吸着性画分抜出口であり、強吸着性画分が抜き出される。同様に「B」は中吸着性画分抜出口であり、中吸着性画分が抜き出され、「A」は弱吸着性画分抜出口であり、弱吸着性画分が抜き出される。
図11に示す各ステップにおける溶離液(D1~D3)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。なお、下表には抜き出される液の流速を記載していないが、強吸着性画分抜出口Cから抜き出される強吸着性画分の流速は溶離液D1を供給する流速と同じである。また、中吸着性画分抜出口Bから抜き出される中吸着性画分の流速は溶離液D2を供給する流速と同じである。また、弱吸着性画分抜出口Aから抜き出される弱吸着性画分の流速は、溶離液D3を供給する流速と、原液供給口Fから原液を供給する流速の合計となる。つまり、供給流量と抜出流量は常に同じであり、このことは以降の比較例ないし実施例でも同様である。
【0166】
【0167】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及びフラグメント2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0168】
【0169】
-分離処理効率-
比較例3における分離処理効率は、7.11(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0170】
[比較例4] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ100mm 4本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.24g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【0171】
【0172】
<運転条件>
図12に比較例4の運転のフロー図を示す。
図12に示す第1~第4ステップを1サイクルとして、10サイクル実施した。なお、
図12に示す各ステップは、第1サブステップと第2サブステップの2つのサブステップから構成され、第2サブステップは液の供給と抜き出しのいずれも行わずに、循環系内の流体を循環させるものである。
図12に示す各ステップにおける溶離液(D1~D3)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0173】
【0174】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0175】
【0176】
-分離処理効率-
比較例4における分離処理効率は、7.19(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0177】
[実施例1] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ100mm 4本
<原液>
原液中のNaCl濃度は1.93g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【0178】
【0179】
<運転条件>
図2に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを4セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0180】
【0181】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0182】
【0183】
-分離処理効率-
実施例1における分離処理効率は、19.696(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0184】
[実施例2] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ100mm 4本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.02g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【表17】
【0185】
<運転条件>
図4に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを4セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0186】
【0187】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0188】
【0189】
-分離処理効率-
実施例2における分離処理効率は、18.610(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0190】
[実施例3] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ805mm 5本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.46g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【表20】
【0191】
<運転条件>
図6に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを5セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0192】
【0193】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0194】
【0195】
-分離処理効率-
実施例3における分離処理効率は、16.499(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0196】
[実施例4] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ100mm 7本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.57g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【表23】
【0197】
<運転条件>
図8に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを7セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D5)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0198】
【0199】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0200】
【0201】
-分離処理効率-
実施例4における分離処理効率は、15.225(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0202】
上記の通り、擬似移動層方式クロマト分離において、2種以上の溶離液を用いて、循環系における弱吸着性画分抜出口Aと、中吸着性画分抜出口Bと、強吸着性画分抜出口Cと、原液供給口Fとの位置関係を本発明で規定する特定の関係とすることにより、弱吸着性成分と中吸着性成分と強吸着性成分とを、より少ない吸着剤の使用量で、十分に高純度化して分取できることがわかる。本実施例により、目的の抗体を中吸着性画分中に、高純度に、高効率に得られることが示された。
【0203】
[実施例5] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ80mm 5本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.46g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【0204】
【0205】
図13に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを5セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0206】
【0207】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0208】
【0209】
-分離処理効率-
実施例5における分離処理効率は、16.502(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0210】
[実施例6] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ80mm 5本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.55g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【表29】
【0211】
<運転条件>
図15に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを5セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0212】
【0213】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0214】
【0215】
-分離処理効率-
実施例6における分離処理効率は、18.898(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0216】
[実施例7] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ80mm 5本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.55g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【表32】
【0217】
<運転条件>
図17に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを5セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0218】
【0219】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0220】
【0221】
-分離処理効率-
実施例7における分離処理効率は、16.502(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0222】
[実施例8] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ133mm 3本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.21g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【表35】
【0223】
<運転条件>
図19に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを3セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0224】
【0225】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0226】
【0227】
-分離処理効率-
実施例8における分離処理効率は、17.362(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0228】
[実施例9] マルチカラム・グラジエント・擬似移動層方式
<カラム>
直径10mm×長さ133mm 3本
<原液>
原液中のNaCl濃度は2.21g/Lとした。
<溶離液>
下記溶離液を用いた。
【表38】
【0229】
<運転条件>
図21に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した。このステップ(A)とそれに続くステップ(B)を1セットとし、これを3セット行って1サイクルとして、10サイクル実施した。各ステップ(A)における溶離液(D1~D4)と原液(F)の供給流速は下記の通りとした。
【0230】
【0231】
<結果>
-回収率-
弱吸着性画分へのフラグメント1及び2の回収率、中吸着性画分への抗体の回収率、強吸着性画分への凝集体の回収率を下表に示す。
【0232】
【0233】
-分離処理効率-
実施例9における分離処理効率は、18.956(L-原液)/(L-R)・hであった。
【0234】
図23、25及び27に示すサブステップの組み合わせによりステップ(A)を構成した各実施形態についても、上記各実施例と同様にして、マルチカラム・グラジエント・疑似移動層方式により原液のクロマト分離を試みた(実施例10~12)。運転条件は、弱吸着性画分へのフラグメント1及びフラグメント2の回収率が98%以上、中吸着性画分への抗体の回収率が98%以上、かつ、強吸着性画分への凝集体の回収率が98%以上となる条件とした結果、いずれの実施形態においても13(L-原液)/(L-R)・h以上の分離処理効率を実現できた。
【0235】
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
【0236】
本願は、2020年5月14日に日本国で特許出願された特願2020-085028に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
【符号の説明】
【0237】
100 循環系
10a、10b、10c、10d 単位充填塔(カラム)
Ab 吸着剤
R1、R2、R3、R4 遮断弁
2a、2b、2c、2d 弱吸着性画分抜出ライン
A1、A2、A3、A4 弱吸着性画分抜出弁
3a、3b、3c、3d 中吸着性画分抜出ライン
B1、B2、B3、B4 中吸着性画分抜出弁
4a、4b、4c、4d 強吸着性画分抜出ライン
C1、C2、C3、C4 強吸着性画分抜出弁
T1、T2、T3、T4 逆止弁
1 配管
2J 弱吸着性画分合流管
3J 中吸着性画分合流管
4J 強吸着性画分合流管
6 原液タンク
7 原液
8a、8b、8c、8d 溶離液タンク
9a、9b、9c、9d 溶離液
11 原液供給ライン
11a、11b、11c、11d 原液供給分岐ライン
F1、F2、F3、F4 原液供給弁
12、13、14、15 溶離液供給ライン
12a、12b、12c、12d 溶離液供給分岐ライン
13a、13b、13c、13d 溶離液供給分岐ライン
14a、14b、14c、14d 溶離液供給分岐ライン
15a、15b、15c、15d 溶離液供給分岐ライン
E1a、E2a、E3a、E4a 溶離液供給弁
E1b、E2b、E3b、E4b 溶離液供給弁
E1c、E2c、E3c、E4c 溶離液供給弁
E1d、E2d、E3d、E4d 溶離液供給弁
P1 循環ポンプ
P2 原液供給ポンプ
P3、P4、P5、P6 溶離液供給ポンプ