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特許7367218リチウム二次電池用正極、この製造方法及び前記正極を含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極、この製造方法及び前記正極を含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/38 20060101AFI20231016BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231016BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231016BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/36 C
H01M4/36 A
H01M10/052
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022530993
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 KR2021010542
(87)【国際公開番号】W WO2022035173
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0100196
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】509329800
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-チャン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソキン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】クォンナム・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ダウン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒソブ・シン
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-065740(JP,A)
【文献】特開2018-016539(JP,A)
【文献】特開2017-160113(JP,A)
【文献】特開2018-046011(JP,A)
【文献】特表2019-510337(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0001098(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/05-10/0587;10/36-10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質;及び
前記正極活物質の表面にコーティングされたボトム‐アップグラフェンオキサイド;を含み、
前記正極活物質は硫黄を含み、
前記正極活物質の表面にコーティングされたボトム‐アップグラフェンオキサイドの含量は、前記正極活物質の総重量に対して2重量%~4重量%であり、
前記ボトム‐アップグラフェンオキサイドは陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物を媒介にして相互間架橋結合されたことを特徴とするリチウム二次電池用正極。
【請求項2】
前記陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物は1個以上の陽イオン性作用基と、2個ないし20個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項3】
前記陽イオン性作用基は窒素陽イオン、酸素陽イオン及び硫黄陽イオンの中で選択される1種以上の陽イオンを含み、リチウムポリスルフィドを捕獲及び吸着することを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項4】
前記陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物は2個以上の陽イオン性作用基と、4個ないし20個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項5】
前記陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物は炭素原子がボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面に結合されたことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項6】
前記陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物は、‐(CH‐NR‐(CH‐NR‐(CH‐構造を持ち、前記l、m、oはそれぞれ独立的に0ないし6の整数であり、R、R、R及びRはそれぞれ独立的に水素または炭素数1ないし4のアルキル基であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項7】
前記陽イオン性作用基に含まれた陽イオンに対する対イオンとしてハロゲン陰イオンがさらに含まれることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項8】
前記正極活物質が硫黄‐炭素複合体を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項9】
前記正極活物質は硫黄‐炭素複合体であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項10】
(a)上方方式(Bottom‐up approach)を通じてボトム‐アップグラフェンオキサイド(Bottom‐up GO)を製造する段階;
(b)前記製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面を窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素基で改質する段階;
(c)2個以上のハロゲン置換炭化水素化合物を溶媒に溶解させた後、前記表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)を入れて混合液を製造する段階;及び
(d)前記製造された混合液を反応させて、前記表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)相互間に架橋結合を形成させると同時に、相互間架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)を前記正極活物質にコーティングさせる段階;
を含み、
前記正極活物質は硫黄を含み、
前記正極活物質の表面にコーティングされたボトム‐アップグラフェンオキサイドの含量は、前記正極活物質の総重量に対して2重量%~4重量%である、リチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項11】
前記(a)段階のボトム‐アップグラフェンオキサイドはクエン酸とタンニン酸を反応させて製造されることを特徴とする、請求項10に記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項12】
前記(b)段階の改質は、ボトム‐アップグラフェンオキサイド表面の‐COOHまたは‐OHと窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素化合物の炭素を有機溶媒及び酸触媒下で反応させて行われることを特徴とする、請求項10又は11に記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項13】
前記炭化水素化合物はアミノ基を含み、前記アミノ基を含む炭化水素化合物は(N,N‐ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、2‐(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項14】
前記(c)段階のハロゲン置換炭化水素化合物は1,4‐ジブロモブタン、1,4‐ジクロロブタン、ジヨードブタン、ジクロロブタン及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極の製造方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極;リチウムメタル負極;前記正極と負極との間に介在される電解質;及び分離膜;を含むリチウム二次電池。
【請求項16】
前記リチウム二次電池はリチウム‐硫黄電池であることを特徴とする、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年08月11日付韓国特許出願第10‐2020‐0100196号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池用正極、この製造方法及び前記正極を含むリチウム二次電池に係り、より詳細には、上方方式(Bottom‐up approach)で製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)をシラン化処理して収得される改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)を正極活物質にコーティングさせることで、リチウムポリスルフィドの湧出を防いで電池性能を向上させることができる、リチウム二次電池用正極、この製造方法及び前記正極を含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギー貯蔵技術に対する関心が段々高くなるにつれ、携帯電話、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)及びカムコーダー、さらに電気自動車(EV)及びハイブリッド電気自動車(HEV)のエネルギーまで適用分野が拡大され、電気化学素子に対する研究及び開発が徐々に増大されている。電気化学素子はこのような側面で最も注目を浴びている分野であり、その中でも充放電可能なリチウム‐硫黄電池のような二次電池の開発は関心の的になっていて、最近はこのような電池を開発するにあたり、エネルギー密度を高めるために新しい電極と電池の設計に対する研究開発につながっている。
【0004】
このような電気化学素子、その中で、リチウムメタルを負極で使用して硫黄を正極で使用するリチウム‐硫黄電池(Li‐S battery)は、既存のリチウムイオン電池対比高い理論容量とエネルギー密度(通常約2,500Wh/kg)を持っていて、なお、自然から容易に得られる硫黄を正極で使用するので経済性まであって、リチウムイオン電池を代替することができる次世代二次電池として脚光を浴びている。このようなリチウム‐硫黄電池内では、放電時に硫黄の還元反応とリチウムメタルの酸化反応が起きるし、この時、硫黄は環構造のSから線形構造のリチウムポリスルフィド(Lithium Polysulfide、LiPS)を形成するようになり、このようなリチウム‐硫黄電池はポリスルフィドが完全にLiSに還元されるまで段階的な放電電圧を示すのが特徴である。
【0005】
しかし、リチウム‐硫黄電池の商業化における最大の障害物は、硫黄系列の化合物を正極活物質で使用してリチウムのようなアルカリ金属を負極活物質で使用する電池で充放電時に発生するリチウムポリスルフィド(LiPS、Li)の湧出及びシャトル現象である。すなわち、言い換えれば、リチウム‐硫黄電池の最大の問題点は、充放電時に正極で生成されるリチウムポリスルフィドの湧出による急激な容量減少である。
【0006】
より具体的に、正極で使われる硫黄が放電時に還元しながら生成されるリチウムポリスルフィドは、特にエーテル系液体電解質に対して高い溶解度を持ち、大きさが小さいため分離膜を通過することができるし、負極で使われるリチウムメタルと会う場合、副反応を起こして界面を不安定にするなどの問題を発生させ、その結果、正極活物質の非可逆的損失による容量の減少及び副反応によるリチウムメタル表面への硫黄粒子蒸着による電池寿命の減少が発生するようになる。したがって、電池駆動の際に正極で生成されるリチウムポリスルフィドが液体電解質に湧出されないように捕まることができる技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上方方式(Bottom‐up approach)で製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)をシラン化処理して収得される改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)を正極活物質にコーティングさせることで、リチウムポリスルフィドの湧出を防いで電池性能を向上させることができる、リチウム二次電池用正極、この製造方法及び前記正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、正極活物質;及び前記正極活物質の表面にコーティングされたボトム‐アップグラフェンオキサイド;を含み、前記ボトム‐アップグラフェンオキサイドは陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物を媒介にして相互間架橋結合されたことを特徴とするリチウム二次電池用正極を提供する。
【0009】
また、本発明は、(a)上方方式(Bottom‐up approach)を通じてボトム‐アップグラフェンオキサイド(Bottom‐up GO)を製造する段階;(b)前記製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面を窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素基で改質する段階;(c)2個以上のハロゲン置換炭化水素化合物を溶媒に溶解させた後、前記表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)を入れて混合液を製造する段階;及び(d)前記製造された混合液を反応させ、前記表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)相互間架橋結合を形成させると同時に、相互間架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)を前記正極活物質にコーティングさせる段階;を含むリチウム二次電池用正極の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用正極;リチウムメタル負極;前記正極と負極の間に介在される電解質;及び分離膜;を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるリチウム二次電池用正極、この製造方法及び前記正極を含むリチウム二次電池によると、上方方式(Bottom‐up approach)で製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)をシラン化処理して収得される改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)を正極活物質にコーティングさせることで、リチウムポリスルフィドの湧出を防いで電池の性能を向上させることができる長所を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例による「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド」の模式図である。
図2】本発明の一実施例によるボトム‐アップグラフェンオキサイドが製造される過程を示す反応式である。
図3】本発明の一実施例による表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドが製造される過程を示す反応式である。
図4】本発明の一実施例によって表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド相互間に陽イオン作用基で結合される過程を示す反応式である。
図5】本発明の一実施例によって製造された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)のH NMR分析結果を示すグラフである。
図6】本発明の一実施例によって製造された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)のFT‐IR分析結果を示すグラフである。
図7】本発明の一実施例によって製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体」のTEMイメージである。
図8】本発明の一実施例によって製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体」のEDSイメージである。
図9】本発明の一実施例によって製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体」のTGA分析グラフ(左図)及びTEM分析イメージ(右図)である。
図10】本発明の一実施例及び比較例によるリチウム‐硫黄電池の放電容量及び寿命特性を比較対照したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0014】
本発明によるリチウム二次電池用正極は、正極活物質及び前記正極活物質の表面にコーティングされたボトム‐アップグラフェンオキサイドを含み、前記ボトム‐アップグラフェンオキサイドは陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物を媒介にして相互間架橋結合されたことを特徴とする。
【0015】
前記ボトム‐アップグラフェンオキサイド(Bottom‐up GO)は、通常のグラフェンオキサイド(GO)に比べてバルク(bulk)あるいはスケール‐アップ(scale‐up)が可能であって単分子炭素物質を巨大分子化することが可能なだけでなく、工程費用などにおいて長所を持つもので、上方方式(Bottom‐up approach)を通じて自然来由物質であるクエン酸(citric acid)とタンニン酸(tannic acid)を反応させて合成したものが好ましいが、本発明の目的を達成することができる程度のグラフェンオキサイドが製造されると、クエン酸とタンニン酸ではない他の成分を通じて製造されたものも可能である。
【0016】
通常、グラフェンまたはグラフェンオキサイドは上方方式(Bottom‐up approach)または下方方式(Top‐down approach)によって製造され、ここで上方方式はCVD(chemical vapor deposition)で約1,000℃ぐらいの非常に高い温度で銅基板などに成長させる方法を代表的に例示することができるし、下方方式は黒鉛のような物質で始めて化学的に剥離する方法を代表的に例示することができる。
【0017】
前記下方方式を通じてグラフェンオキサイドを製造する場合、剥離が難しいなど複数の問題点があるが、前記上方方式を通じてグラフェンオキサイドを製造する方法は、安価の単分子炭素物質を利用して容易で簡単に巨大分子化することが可能であるため、グラファイト(graphite)を粉砕したり化学的方法を利用してグラフェンオキサイド(GO)を製造することに比べて費用的側面とスケール‐アップ(scale‐up)が可能という長所を持つ。ここで、本出願人は、本発明に使われるグラフェンオキサイドを上方方式を通じて製造されたものを使用した。
【0018】
本発明によるリチウム二次電池用正極を構成する「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(すなわち、正極活物質用コーティング材)」に対して具体的に説明する。図1は本発明の一実施例による「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド」の模式図である。図1に示されたように、本発明の正極に含まれる正極活物質用コーティング材は、表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイドが陽イオン性作用基を媒介にして相互間架橋結合された形態を取っていて、このようなコーティング材が正極活物質にコーティングされることで陽イオン性作用基がリチウムポリスルフィドの湧出を抑制するようになる。この時、負電荷を帯びているハロゲン原子は、図1に示されたように正電荷を帯びた窒素原子に帯電された状態で存在することができる。すなわち、言い換えれば、前記陽イオン性作用基に含まれた陽イオンに対する対イオンとしてハロゲン陰イオンがさらに含まれることができる。
【0019】
一方、通常のグラフェンオキサイド(GO)を硫黄‐炭素複合体などの正極活物質にコーティングを試みる場合、GOが溶媒をたくさん含んでいてコーティングが難しく(すなわち、固形分の含量が低くなる問題発生)、これによって電極の製造も容易ではなく、製造されるとしても電極のクラック現象がひどく、目的とするローディングの電極製造が難しい。しかし、本発明はGO表面のOH官能基を陽イオンで処理して大部分を取り除いたし、陽イオン性官能基を利用してLiPS吸着能を向上させたものである。
【0020】
前記陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物は1個以上の陽イオン性作用基と2ないし20個の炭素原子を含むものであり、好ましくは2個以上の陽イオン性作用基と4ないし20個の炭素原子を含むものである。また、前記陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物は炭素原子がボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面に結合されたことを特徴とする。また、前記陽イオン性作用基を含む炭化水素化合物は、例えば‐(CH‐NR‐(CH‐NR‐(CH‐構造を持ち、前記l、m、oはそれぞれ独立的に0ないし6の整数であり、R、R、R及びRはそれぞれ独立的に水素または炭素数1ないし4のアルキル基である。一方、前記陽イオン性作用基は窒素陽イオン、酸素陽イオン及び硫黄陽イオンの中で選択される1種以上の陽イオンを含むものであってもよく、この中で窒素陽イオンを含むものが好ましい。
【0021】
前記正極活物質用コーティング材において、一つの表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドは、他の一つの表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドと結合することもできて、図1に示したように、3ないし5個の表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドと結合されることもできるなど結合数には制限がない。
【0022】
一方、前記正極活物質の表面にコーティングされた表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイドの含量は、前記正極活物質の総重量に対して0.5ないし10重量%、好ましくは1ないし5重量%、より好ましくは2ないし4重量%、最も好ましくは約3重量%である。もし、前記正極活物質の表面にコーティングされた表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイドの含量が前記範囲を脱すれば、本発明の目的を達成することができない恐れがある。
【0023】
このように、表面が改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドを正極活物質にコーティングさせると、コーティング層と正極活物質(特に、硫黄‐炭素複合体)の間の相溶性が高くなって、リチウム‐硫黄電池の充放電時に硫黄の体積膨脹を抑制することができるし、何より本発明のコーティング材が電池駆動時に正極で生成されるリチウムポリスルフィドが液体電解質に湧出されないように、リチウムポリスルフィドを捕獲及び吸着する役目をして電池性能を向上させることができる。
【0024】
前記正極活物質は硫黄(S)原子を含むものが好ましく、硫黄‐炭素複合体のものがさらに好ましい。前記硫黄‐炭素複合体は、硫黄の電気伝導率が5.0×10‐14S/cm程度で不導体に近いため電極で電気化学反応が容易ではなく、非常に大きい過電圧によって実際放電容量及び電圧が理論に遥かに及ばない点を考慮し、電気伝導性を持つ炭素材を組み合わせたものである(すなわち、炭素材の気孔に硫黄が担持された構造体)。
【0025】
このような硫黄‐炭素複合体に含まれる硫黄は、無機硫黄(S)、LiSn(n≧1)、有機硫黄化合物及び炭素‐硫黄ポリマー[(C、x=2.5~50、n≧2]からなる群から選択された1種以上であって、この中で無機硫黄(S)を適用することが好ましい。また、前記硫黄‐炭素複合体を構成する炭素材は多孔性構造であるか、または比表面積が高いものであって、当業界で通用されるものであれば特に制限されずに適用されることができるし、例えば、前記多孔性構造を持つ炭素材では、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)、多重壁炭素ナノチューブ(MWCNT)などの炭素ナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)、活性化炭素ファイバー(ACF)などの炭素繊維;及び活性炭素からなる群から選択された1種以上であってもよいがこれに制限されないし、その形態は、球形、棒形、針状、板状、チューブ型またはバルク型などであって、リチウム二次電池に通常使用されるものであれば制限せずに適用されることができる。
【0026】
前記硫黄‐炭素複合体は、その粒子の大きさが10ないし50μmである。前記硫黄‐炭素複合体の粒子の大きさが10μm未満の場合、粒子間の抵抗が増えてリチウム‐硫黄電池の電極に過電圧が発生することがあるし、50μmを超える場合は単位重量当たり表面積が小くなって電極内の電解液とのウェッティング(wetting)面積及びリチウムイオンとの反応サイト(site)が減少するようになって、複合体の大きさに対比して電子伝達量が少なくなって反応が遅くなるので、電池の放電容量が減少されることがある。
【0027】
次に、本発明によるリチウム二次電池用正極の製造方法について説明する。前記リチウム二次電池用正極の製造方法は、(a)上方方式(Bottom‐up approach)を通じてボトム‐アップグラフェンオキサイド(Bottom‐up GO)を製造する段階、(b)前記製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面を窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素基で改質する段階、(c)2個以上のハロゲン置換炭化水素化合物を溶媒に溶解させた後、前記表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)を入れて混合液を製造する段階、及び(d)前記製造された混合液を反応させ、前記表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)相互間架橋結合を形成させると同時に、相互間架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)を前記正極活物質にコーティングさせる段階を含む。
【0028】
先ず、前記(a)段階は、上方方式(Bottom‐up approach)を通じてボトム‐アップグラフェンオキサイド(Bottom‐up GO)を製造する段階である。すなわち、前記ボトム‐アップグラフェンオキサイドは、上方方式を通じて自然来由物質であるクエン酸とタンニン酸を約200℃の温度で約2時間反応させて合成したものである。一方、クエン酸とタンニン酸を利用して安くて容易にGO(グラフェンオキサイド)と類似なBGO(ボトム‐アップグラフェンオキサイド)に官能基をつけて、目的とする正極コーティング物質を構成することが本発明の核心の一つであるが、本発明の目的を達成することができる程度のグラフェンオキサイドが製造されると、クエン酸とタンニン酸ではなく他の成分を通じて製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイドを使用することもできる。図2は本発明の一実施例によるボトム‐アップグラフェンオキサイドが製造される過程を示す反応式であって、これは前記説明したようにクエン酸とタンニンを反応させる場合に該当する。
【0029】
次に、前記(b)段階は、前記製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面を窒素を含む炭化水素基で改質する段階である。すなわち、前記(b)段階の改質は、ボトム‐アップグラフェンオキサイド表面の‐COOHまたは‐OHと窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素化合物の炭素を有機溶媒(エタノールなどの通常的な有機溶媒を例示することができる)及び酸触媒(塩酸などの通常的な酸触媒を例示することができる)下で反応させて遂行されることができる。ここで、反応温度は50ないし90℃、好ましくは60ないし80℃であって、反応時間は10ないし40時間、好ましくは15ないし30時間である。
【0030】
すなわち、前記反応を通じて、窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素化合物の一部、好ましくは、窒素原子を含む炭化水素基がボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面に一つ以上、好ましくは3ないし5個形成されて作用基としての役目(すなわち、改質された他のボトム‐アップグラフェンオキサイドの作用基と結合)をする。図3は本発明の一実施例による表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドが製造される過程を示す反応式で、図3を通じて、ボトム‐アップグラフェンオキサイドと窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素化合物を反応させることでボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面がどのように改質されるのかを確認することができる。
【0031】
前記炭化水素化合物はアミノ基を含むことが好ましく、この時、前記アミノ基を含む炭化水素化合物では、(N,N‐ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン((N,N‐Dimethylaminopropyl)trimethoxysilane)、2‐(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(2‐(Dimethylamino)ethylmethacrylate)及びこれらの混合物を例示することができる。また、前記窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素化合物の添加量は、前記ボトム‐アップグラフェンオキサイド100重量部に対して200ないし500重量部、好ましくは275ないし350重量部、より好ましくは約300重量部である。もし、前記窒素、酸素及び硫黄の中でいずれか一つ以上を含む炭化水素化合物の添加量が前記ボトム‐アップグラフェンオキサイド100重量部に対して200重量部未満であれば、反応が十分なぐらい行われない恐れがあり、500重量部を超える場合は未反応物質が多くなって洗浄問題が発生することがある。
【0032】
続いて、前記(c)段階は、2個以上のハロゲン置換炭化水素化合物を溶媒に溶解させた後、前記表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)を入れて混合液を製造する段階である。前記ハロゲン置換炭化水素化合物は、好ましくはハロゲン置換アルキル化合物であって、1,4‐ジブロモブタン(1,4‐dibromobutane)、1,4‐ジクロロブタン(1,4‐dichlorobutane)、ジヨードブタン(Diiodobutane)、ジクロロブタン(Dichlorobutane)及びこれらの混合物を例示することができる。
【0033】
前記ハロゲン置換炭化水素化合物の添加量は、前記表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド100重量部に対して95ないし110重量部、好ましくは100ないし105重量部である。もし、前記ハロゲン置換炭化水素化合物の添加量が前記表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド100重量部に対して95重量部未満であれば、反応が十分なぐらいに行われない恐れがあって、110重量部を超える場合は架橋が行われない問題が発生することがある。その他、前記(c)段階で使用される溶媒は通常の有機溶媒であることが好ましい。
【0034】
最後に、前記(d)段階は、前記(c)段階で製造された混合液を反応させて、前記表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)相互間に(陽イオン性作用基を含む)架橋結合を形成させると同時に、相互間架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)を前記正極活物質にコーティングさせて、本発明による正極が製造される段階である。
【0035】
図4は本発明の一実施例によって表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド相互間に陽イオン作用基で結合される過程を示す反応式であって、図4を通じて、表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドとハロゲン置換炭化水素化合物を反応させることで、表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドが相互間にどのように結合するのかを確認することができる。
【0036】
前記表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)とハロゲン置換炭化水素化合物の反応は、均一なコーティング層の形成が可能なin‐situ架橋反応(一つの容器内で反応させる方式)であって、それぞれの(表面改質された)ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)の表面に形成されている窒素原子とハロゲン置換炭化水素化合物のハロゲン原子が反応して、窒素原子は正電荷を帯びるようになってハロゲン原子は負電荷を帯びるようになって、窒素正電荷を通じて表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)の間の結合が行われるだけでなく、このようなコーティング材が正極活物質にコーティングされることで陽イオン性作用基がリチウムポリスルフィドの湧出を抑制するようになる。この時、負電荷を帯びているハロゲン原子は、図4に示されたように正電荷を帯びた窒素原子に帯電された状態で存在することができる。
【0037】
前記正極活物質は硫黄(S)原子を含むことが好ましく、硫黄‐炭素複合体のものがより好ましい。前記硫黄‐炭素複合体は、硫黄の電気伝導率が5.0×10‐14S/cm程度で不導体に近いため、電極で電気化学反応が容易でなく、非常に大きい過電圧によって実際放電容量及び電圧が理論にずっと及ばないという点を考慮し、電気伝導性を持つ炭素材を組み合わせた(すなわち、炭素材の気孔に硫黄が担持された構造体)。
【0038】
このような硫黄‐炭素複合体に含まれる硫黄は、無機硫黄(S)、LiSn(n≧1)、有機硫黄化合物及び炭素‐硫黄ポリマー[(C、x=2.5~50、n≧2]からなる群から選択された1種以上であって、この中で無機硫黄(S)を適用することが好ましい。また、前記硫黄‐炭素複合体を構成する炭素材は多孔性構造であるか、または比表面積が高いものであって、当業界で通用されるものであれば特に制限せずに適用されることができるし、例えば、前記多孔性構造を持つ炭素材では、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)、多重壁炭素ナノチューブ(MWCNT)などの炭素ナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)、活性化炭素ファイバー(ACF)などの炭素繊維;及び活性炭素からなる群から選択された1種以上であるが、これに制限されないし、その形態は、球形、棒形、針状、板状、チューブ型またはバルク型などであって、リチウム二次電池に通常使われるものであれば制限せずに適用されることができる。
【0039】
前記硫黄‐炭素複合体はその粒子の大きさが10ないし50μmである。前記硫黄‐炭素複合体の粒子の大きさが10μm未満の場合、粒子間の抵抗が増えてリチウム‐硫黄電池の電極に過電圧が発生することがあるし、50μmを超える場合は単位重量当たり表面積が小くなって電極内の電解液とのウェッティング(wetting)面積及びリチウムイオンとの反応サイト(site)が減少するようになり、複合体の大きさ対比電子伝達量が少なくなって反応が遅くなり、電池の放電容量が減少する。
【0040】
前記のような製造方法を通じて、一つの表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)と表面改質された他のボトム‐アップグラフェンオキサイドが陽イオン性作用基(窒素陽イオンを含む)で架橋結合された形態を正極活物質の表面に取るようになり、他に表現すれば、全てのボトム‐アップグラフェンオキサイドが表面改質された形態で正極活物質の表面に取っている。すなわち、全てのボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面にはそれぞれ一つ以上の陽イオン性作用基が形成されていて、したがって、本発明の正極活物質上に位置したボトム‐アップグラフェンオキサイド全体が陽イオン性作用基で結合された構造を持つ。
【0041】
このように、架橋構造が導入されて表面が改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイドを正極活物質にコーティングするようになれば、コーティング層と正極活物質(特に、硫黄‐炭素複合体)の間の相溶性が高くなって、リチウム‐硫黄電池の充放電時に硫黄の体積膨脹を抑制することができるし、何より本発明のコーティング材が電池駆動時に正極で生成されるリチウムポリスルフィドが液体電解質に湧出されないようにリチウムポリスルフィドを捕獲及び吸着する役目をして電池の性能を向上させることができる。
【0042】
一方、前記正極の製造方法を通じて製造される正極には、バインダー及び導電材がさらに含まれることができる。前記バインダーは正極活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合に助力する成分として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン‐ポリヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF/HFP)、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、アルキル化ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリメチル(メト)アクリレート、ポリエチル(メト)アクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、スチレン‐ブタジエンゴム、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、スチレン‐ブチレンゴム、フッ素ゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上を使用することができるが、必ずこれに限定されるものではない。
【0043】
前記バインダーは通常正極活物質を含む正極材の総重量100重量部を基準にして1ないし50重量部、好ましくは3ないし15重量部添加される。バインダーの含量が1重量部未満であれば正極活物質と集電体との接着力が不十分になることがあるし、50重量部を超えると接着力は向上されるものの、その分正極活物質の含量が減少して電池容量が低くなる。
【0044】
また、前記導電材はリチウム二次電池の内部環境で副反応を引き起こすことなく、当該電池に化学的変化を引き起こさずに優れる電気伝導性を持つものであれば特に制限されないし、代表的には黒鉛または導電性炭素を使用することができるし、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;結晶構造がグラフェンやグラファイトである炭素系物質;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性酸化物;及びポリフェニレン誘導体などの導電性高分子;を単独で、または2種以上混合して使用することができるが、必ずこれに限定されるものではない。
【0045】
前記導電材は通常正極活物質を含む正極材全体重量100重量部を基準にして0.5ないし50重量部、好ましくは1ないし30重量部で添加される。導電材の含量が0.5重量部未満であまりにも少なすぎると電気伝導性の向上効果を基待しにくいか、または電池の電気化学的特性が低下されることがあるし、導電材の含量が50重量部を超えてあまりにも多すぎると相対的に正極活物質の量が少なくなって容量及びエネルギー密度が低下されることがある。正極材に導電材を含ませる方法はあまり制限されないし、正極活物質へのコーティングなど当分野に公知された通常の方法を利用することができる。また、必要に応じて、正極活物質に導電性の第2被覆層が加えられることによって前記のような導電材の添加に代わることもできる。
【0046】
本発明の正極には正極の膨脹を抑制する成分として充填剤が選択的に添加されることができる。このような充填剤は当該電池に化学的変化を引き起こさずに電極の膨脹を抑制できるものであれば特に制限されないし、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオリフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質;などを使用することができる。
【0047】
前記正極集電体では、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、ステンレススチール(STS)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、カーボン(C)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ITO(In doped SnO)、FTO(F doped SnO)、及びこれらの合金と、アルミニウム(Al)またはステンレススチールの表面にカーボン(C)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)または銀(Ag)を表面処理したものなどを使用することができるが、必ずこれに限定されるものではない。正極集電体の形態は、ホイル、フィルム、シート、打ち抜かれたもの、多孔質体、発泡体などの形態である。
【0048】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用正極、リチウムメタル負極、前記正極と負極との間に介在される電解質及び分離膜を含むリチウム二次電池を提供し、前記リチウム二次電池はリチウム‐硫黄電池であることが好ましい。
【0049】
一般に、リチウム二次電池は正極材と集電体とで構成された正極、負極材と集電体とで構成された負極、及び前記正極と負極との間の電気的接触を遮断してリチウムイオンを移動させる分離膜で構成され、これらに含浸されてリチウムイオンの伝導のための電解液を含む。前記負極は該当技術分野に知られた通常の方法によって製造することができる。例えば、負極活物質、導電材、バインダー、必要に応じて充填剤などを分散媒(溶媒)に分散、混合させてスラリーを作り、これを負極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延して負極を製造することができる。
【0050】
前記負極活物質では、リチウム金属やリチウム合金(例えば、リチウムとアルミニウム、亜鉛、ビスマス、カドミウム、アンチモン、シリコーン、鉛、スズ、ガリウムまたはインジウムなどのような金属との合金)を使用することができる。前記負極集電体では、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、ステンレススチール(STS)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、カーボン(C)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ITO(In doped SnO)、FTO(F doped SnO)、及びこれらの合金と、銅(Cu)またはステンレススチールの表面にカーボン(C)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)または銀(Ag)を表面処理したものなどを使用することができるが、必ずこれに限定されるものではない。負極集電体の形態は、ホイル、フィルム、シート、打ち抜かれたもの、多孔質体、発泡体などの形態である。
【0051】
前記分離膜は正極と負極との間に介在され、これらの間の短絡を防いでリチウムイオンの移動通路を提供する役目をする。分離膜では、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフィン系ポリマー、ガラス繊維などをシート、多重膜、微小多孔性フィルム、織布及び不織布などの形態で使用することができるが、必ずこれに限定されるものではない。一方、電解質としてポリマーなどの固体電解質(例えば、有機固体電解質、無機固体電解質など)が使われる場合は、前記固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。具体的には、高いイオン透過度と機械的強度を持つ絶縁性薄膜を使用する。分離膜の気孔の直径は一般的に0.01ないし10μm、厚さは一般的に5ないし300μm範囲である。
【0052】
前記電解液では非水系電解液(非水系有機溶媒)としてカーボネート、エステル、エーテルまたはケトンを単独で、または2種以上混合して使用することができるが、必ずこれに限定されるものではない。例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ‐ブチロラクトン、n‐メチルアセテート、n‐エチルアセテート、n‐プロピルアセテート、リン酸トリエステル、ジブチルエーテル、N‐メチル‐2‐ピロリジノン、1,2‐ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、2‐メチルテトラヒドロフランのようなテトラヒドロフラン誘導体、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン及びその誘導体、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、トリメトキシメタン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使われることができるが、必ずこれに限定されるものではない。
【0053】
前記電解液にはリチウム塩をさらに添加して使用することができるし(いわゆる、リチウム塩含有非水系電解液)、前記リチウム塩では非水系電解液に溶解されやすい公知の物、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiPF(CFCF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、リチウムイミドなどを挙げることができるが、必ずこれに限定されるものではない。前記(非水系)電解液には充放電特性、難燃性などの改善を目的にして、例えばピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n‐グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されることもできる。必要によっては、不燃性を与えるために四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもできるし、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもできる。
【0054】
本発明のリチウム二次電池は当分野における通常の方法によって製造することができる。例えば、正極と負極との間に多孔性分離膜を入れ、非水電解液を投入することで製造することができる。本発明によるリチウム二次電池は小型デバイスの電源で使用される電池セルに適用されることは勿論、中大型デバイスの電源である電池モジュールの単位電池として特に適するように使われることができる。このような側面で、本発明はまた前記リチウム二次電池2個以上が電気的に連結(直列または並列)されて含まれた電池モジュールを提供する。前記電池モジュールに含まれるリチウム二次電池の数量は、電池モジュールの用途及び容量などを考慮して多様に調節されることができることは勿論である。
【0055】
さらに、本発明は当分野における通常の技術によって前記電池モジュールを電気的に連結した電池パックを提供する。前記電池モジュール及び電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、及びプラグインハイブリッド電気車(Plug‐in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;電気トラック;電気商用車;または電力貯蔵用システムの中でいずれか一つ以上の中大型デバイス電源で利用可能であるが、必ずこれに限定されるものではない。
【0056】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、これは本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0057】
[実施例1]リチウム二次電池用正極の製造
先ず、上方方式(Bottom‐up approach)を通じて自然来由物質であるクエン酸(citric acid)とタンニン酸(tannic acid)を200℃で2時間反応させてボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)を製造した。次いで、前記製造されたボトム‐アップグラフェンオキサイドとともに(N,N‐ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(Sigma‐aldrich社)をエタノール溶媒及び塩酸触媒下で70℃の温度で24時間反応させ、ボトム‐アップグラフェンオキサイドの表面を窒素含有炭化水素基で改質させた。この時、前記(N,N‐ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシランは、ボトム‐アップグラフェンオキサイド100重量部に対して300重量部超、500重量部未満の含量で添加した(反応されていない窒素含有炭化水素基は溶媒を通じて除去)。
【0058】
続いて、前記表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)4mg(すなわち、下記硫黄‐炭素複合体の総重量に対してCSBGOが3重量%になるように設定)と、ジブロモブタン4mgを混合してアセトン溶媒に溶解させて混合液を製造した後、硫黄‐炭素複合体(Elemental sulfur(硫黄)1.4gとsuper P(炭素)0.6gを混合してモルタル(mortar)で磨き、155℃で30分間熱処理して製造)をさらに混合して50℃で15時間撹拌させ、in‐situ架橋反応を行って前記表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)相互間に陽イオン性作用基を含む架橋結合を形成させると同時に、相互間架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)を前記硫黄‐炭素複合体にコーティングさせた。次いで、撹拌が完了された溶液を50℃で乾燥させてアセトン溶媒と未反応されたジブロモブタンを取り除いた。
【0059】
最後に、前記相互間架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体、バインダー(ポリアクリル酸)及び導電材(carbon black)を85:10:5の重量比で混合した後、これにさらに0.5重量%のPVA分散剤を添加し、水相で固形分が18wt%になるように濃度を合わせ、シンキーミキサー(thinky mixer)で混合して正極スラリーを製造した。次いで、前記製造された正極スラリーをアルミニウムホイルに400μmドクターブレード(doctor blade)でコーティングした後、50℃で約14時間乾燥させてリチウム二次電池用正極を製造した。
【0060】
[比較例1]リチウム二次電池用正極の製造
Elemental sulfur(硫黄)とsuper P(炭素)を7:3の重量比で混合してモルタル(mortar)で磨き、155℃で30分間熱処理して製造した硫黄‐炭素複合体、バインダー(ポリアクリル酸)及び導電材(carbon black)を85:10:5の重量比で混合した後、これにさらに0.5重量%のPVA分散剤を添加し、水相で固形分が18wt%になるように濃度を合わせ、シンキーミキサー(thinky mixer)で混合して正極スラリーを製造した。次いで、前記製造された正極スラリーをアルミニウムホイルに400μmドクターブレード(doctor blade)でコーティングした後、50℃で約14時間乾燥させてリチウム二次電池用正極を製造した。
【0061】
[比較例2]リチウム二次電池用正極の製造
表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)とジブロモブタンの使用含量をそれぞれ4mgから2mgに変更(すなわち、硫黄‐炭素複合体の総重量に対してCSBGOが1重量%になるように設定)したことを除いては、前記実施例1と同様に行ってリチウム二次電池用正極を製造した。
【0062】
[比較例3]リチウム二次電池用正極の製造
表面改質されたボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)とジブロモブタンの使用含量をそれぞれ4mgから6mgに変更(すなわち、硫黄‐炭素複合体の総重量に対してCSBGOが5重量%になるように設定)したことを除いては、前記実施例1と同様に行ってリチウム二次電池用正極を製造した。
【0063】
[実験例1]表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)の化学構造分析
前記実施例1で製造された「表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)」がボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)から正常に合成されたのか否かを確認するためにH NMR分析とFT‐IR分析を行った。図5は本発明の一実施例によって製造された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)のH NMR分析結果を示すグラフで、図6は本発明の一実施例によって製造された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)のFT‐IR分析結果を示すグラフである。
【0064】
前記のように、実施例1で製造された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(SBGO)がボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)から正常に合成されたのか否かを確認するためにH NMRとFT‐IR分析を行った結果、図5及び6に示されたように、ボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)の表面に形成された作用基が全て表れ、これを通じてボトム‐アップグラフェンオキサイド(BGO)の表面が異常なく改質されたことを確認することができた。
【0065】
[実験例2]架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体の成分分析
前記実施例1で製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)」が硫黄‐炭素複合体の表面に正常にコーティングされたのか否かを確認するためにTEM分析とEDS分析を行った。図7は本発明の一実施例によって製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体」のTEMイメージで、図8は本発明の一実施例によって製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体」のEDSイメージである。
【0066】
前記のように、実施例1で製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)」が硫黄‐炭素複合体の表面に正常にコーティングされたのか否かを確認するためにTEM分析とEDS分析を行った結果、図7及び8に示されたように、元素C、N、O、Si及びBrの全てが検出されたし、これを通じてin‐situ架橋反応が異常なく行われ、「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)」が硫黄‐炭素複合体の表面に正常にコーティングされたことを確認することができた。
【0067】
一方、図9は本発明の一実施例によって製造された「架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO)がコーティングされた硫黄‐炭素複合体」のTGA分析グラフ(左図)及びTEM分析イメージ(右図)であって、特に、図9の左側図面を通じて確認できるように、硫黄‐炭素複合体の中で硫黄の含量が70重量%であることを確認することができるし、これを通じて、本発明のように製造しても硫黄の含量がよく維持されることを確認することができた。
【0068】
すなわち、言い換えれば、図9はコーティングされた高分子が硫黄担持中に消えたり分解されるか否かを確認するためのものであって(消えたり変化されると硫黄の含量も変わることに起因)、硫黄の含量に変化がないことからみて、コーティングされた高分子が硫黄担持中に消えたり分解されていないことが分かる。
【0069】
[実施例2、比較例4‐6]リチウム‐硫黄電池の製造
前記実施例2及び比較例1ないし3で製造された正極をリチウムメタル負極と対面するように位置させた後、正極と負極との間にCelgard分離膜を介在した。次いで、DOL/DME溶媒にそれぞれ1Mと0.2M濃度でLiTFSIとLiNOが溶解された電解液をケース内部で注入してコインセル形態のリチウム‐硫黄電池を製造した。
【0070】
[実験例3]リチウム二次電池の放電容量及び寿命特性評価
前記実施例2及び比較例4ないし6で製造されたリチウム‐硫黄電池に対して、電流密度を0.2C‐rateで設定して放電容量及び寿命特性を評価した。図10は本発明の一実施例及び比較例によるリチウム‐硫黄電池の放電容量及び寿命特性を比較対照したグラフである。
【0071】
前記のようにリチウム‐硫黄電池の放電容量及び寿命特性を評価した結果、図10に示されたように、架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO、コーティング材)が硫黄‐炭素複合体の総重量に対して3重量%で使用された実施例2(図10の「CSBGO3wt%」に該当)のリチウム‐硫黄電池が正極活物質で通常の硫黄‐炭素複合体のみを適用した比較例4(図10の「Bare」に該当)のリチウム‐硫黄電池に比べてセル性能が向上されたことを確認することができた。
【0072】
ただし、架橋結合された表面改質ボトム‐アップグラフェンオキサイド(CSBGO、コーティング材)を同一に硫黄‐炭素複合体にコーティングさせても、コーティング材の含量が硫黄‐炭素複合体の総重量に対して1重量%の場合(図10の「CSBGO1wt%」に該当)と5重量%の場合(図10の「CSBGO5wt%」に該当)には、むしろ正極活物質で通常の硫黄‐炭素複合体のみを適用した比較例4(図10の「Bare」に該当)のリチウム‐硫黄電池に比べてもセル性能が低下されることが分かった。したがって、本発明の正極活物質用コーティング材を使用しても特定含量範囲内で使えば、セル性能が向上されることが分かる。
図1
図2
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図7
図8
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図10