(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-13
(45)【発行日】2023-10-23
(54)【発明の名称】通信管理装置および通信管理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/084 20230101AFI20231016BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20231016BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20231016BHJP
【FI】
H04W28/084
H04W72/0446
H04W72/0453 110
(21)【出願番号】P 2023121355
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-077481(JP,A)
【文献】米国特許第10992396(US,B1)
【文献】Yu ABIKO, et al.,Flexible Resource Block Allocation to Multiple Slices for Radio Access Network Slicing Using Deep Reinforcement Learning,IEEE Access ,2020年04月22日,Volume 8, 2020,pp.68183-68198
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられる複数のネットワークスライスに関する情報を取得するように構成され、前記複数のネットワークスライスに関する情報には、前記複数のネットワークスライスの各々に関連付けられた通信品質に関する要求情報が含まれる、第1取得部と、
前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記無線リソースの前記リソースブロックの数の初期値を取得するように構成された第2取得部と、
前記第2取得部によって取得された前記初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロックの数を出力するように構成された第1演算部と、
前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記最適化されたリソースブロックの数を、基地局に通知するように構成された通知部と
を備える通信管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信管理装置において、
さらに、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の前記初期値を入力として与えた場合に、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の予測値を出力する第1機械学習モデルを記憶するように構成された第1記憶部と、
前記初期値を入力として与えた場合に、前記第1機械学習モデルから出力される前記リソースブロックの数の前記予測値の合計が、前記無線リソースを構成する前記リソースブロックの総数となるように、前記第1機械学習モデルのパラメータを学習するように構成された第1学習部と
を備え、
前記第1記憶部は、さらに、前記第1学習部で構築された前記学習済みの第1機械学習モデルを記憶し、
前記第1演算部は、前記第1記憶部から前記学習済みの第1機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項3】
無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられるネットワークスライスに関する情報を取得するように構成され、前記ネットワークスライスに関する情報には、前記ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、および前記ネットワークスライスに割り当てられた前記リソースブロックの数の設定値が含まれる、第3取得部と、
前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値を未知の入力として学習済みの第2機械学習モデルに与え、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報をリソース要素ごとに出力するように構成された第2演算部と、
前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、基地局に通知するように構成された通知部と
を備え、
前記リソース要素は、周波数要素、時間要素、および空間要素を含む
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信管理装置において、
さらに、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうちのいずれか1つまたは2つの前記リソース要素についての設定された要素数を含む要素情報を取得するように構成された第4取得部と、
前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報を未知の入力として学習済みの第3機械学習モデルに与え、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報を、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記第4取得部によって取得された前記要素情報に係る前記リソース要素以外のリソース要素ごとに出力するように構成される第3演算部と
を備え、
前記通知部は、前記ネットワークスライスに割り当てる、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、前記基地局に通知する
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の通信管理装置において、
さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値と、前記ネットワークスライスに割り当てられる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報との関係を、第2機械学習モデルを用いて学習するように構成された第2学習部と、
前記第2学習部によって構築された前記学習済みの第2機械学習モデルを記憶するように構成された第2記憶部と
を備え、
前記第2演算部は、前記第2記憶部から前記学習済みの第2機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項6】
請求項4に記載の通信管理装置において、
さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報と、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報との関係を、第3機械学習モデルを用いて学習するように構成された第3学習部と、
前記第3学習部によって構築された前記学習済みの第3機械学習モデルを記憶するように構成された第3記憶部と
を備え、
前記第3演算部は、前記第3記憶部から前記学習済みの第3機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信管理装置。
【請求項7】
通信管理装置によって実行される通信管理方法であって、
無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられる複数のネットワークスライスに関する情報を取得する第1取得ステップであって、前記複数のネットワークスライスに関する情報には、前記複数のネットワークスライスの各々に関連付けられた、通信品質に関する要求情報が含まれる、第1取得ステップと、
前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、前記無線リソースの前記リソースブロックの数の初期値を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップで取得された前記初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロックの数を出力する第1演算ステップと、
前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記最適化されたリソースブロックの数を、基地局に通知するように構成された通知ステップと
を備える通信管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の通信管理方法において、
さらに、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の前記初期値を入力として与えた場合に、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の予測値を出力する第1機械学習モデルを第1記憶部に記憶する第1記憶ステップと、
前記初期値を入力として与えた場合に、前記第1機械学習モデルから出力される前記リソースブロックの数の前記予測値の合計が、前記無線リソースを構成する前記リソースブロックの総数となるように、前記第1機械学習モデルのパラメータを学習する第1学習ステップと
を備え、
前記第1記憶ステップは、さらに、前記第1学習ステップで構築された前記学習済みの第1機械学習モデルを前記第1記憶部に記憶し、
前記第1演算ステップは、前記第1記憶部から前記学習済みの第1機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信管理方法。
【請求項9】
通信管理装置によって実行される通信管理方法であって、
無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられるネットワークスライスに関する情報を取得する第3取得ステップであって、前記ネットワークスライスに関する情報には、前記ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、および前記ネットワークスライスに割り当てられた前記リソースブロックの数の設定値が含まれる、第3取得ステップと、
前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値を未知の入力として学習済みの第2機械学習モデルに与え、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報をリソース要素ごとに出力する第2演算ステップと、
前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、基地局に通知する通知ステップと
を備え、
前記リソース要素は、周波数要素、時間要素、および空間要素を含む
ことを特徴とする通信管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の通信管理方法において、
さらに、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうちのいずれか1つまたは2つの前記リソース要素についての設定された要素数を含む要素情報を取得する第4取得ステップと、
前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報を未知の入力として学習済みの第3機械学習モデルに与え、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報を、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記第4取得ステップで取得された前記要素情報に係る前記リソース要素以外のリソース要素ごとに出力するように構成される第3演算ステップと
を備え、
前記通知ステップは、前記ネットワークスライスに割り当てる、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、前記基地局に通知する
ことを特徴とする通信管理方法。
【請求項11】
請求項9に記載の通信管理方法において、
さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値と、前記ネットワークスライスに割り当てられる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報との関係を、第2機械学習モデルを用いて学習する第2学習ステップと、
前記第2学習ステップによって構築された前記学習済みの第2機械学習モデルを第2記憶部に記憶する第2記憶ステップと
を備え、
前記第2演算ステップは、前記第2記憶部から前記学習済みの第2機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信管理方法。
【請求項12】
請求項10に記載の通信管理方法において、
さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報と、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報との関係を、第3機械学習モデルを用いて学習する第3学習ステップと、
前記第3学習ステップによって構築された前記学習済みの第3機械学習モデルを第3記憶部に記憶する第3記憶ステップと
を備え、
前記第3演算ステップは、前記第3記憶部から前記学習済みの第3機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行う
ことを特徴とする通信管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信管理装置および通信管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、SA(Stand Alone)方式の5G(第5世代移動通信システム)で注目される技術として、ネットワークスライシングが知られている。ネットワークスライシングでは、基地局などの無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)からコアネットワークまでの1つの物理的なネットワークを仮想的に分割し、利用用途に応じたネットワークを提供する。
【0003】
ネットワークスライシングによって仮想的に分割された各ネットワークスライスは、同じ物理的なネットワーク上で存在し、サービスの要求等に応じた必要な帯域幅や通信遅延の要件に基づいて、無線リソースが割り当てられる。無線リソースは、
図16に示すように、時間軸と周波数軸とからなる二次元平面上に定義される複数のリソースブロック(Resource Block:RB)から構成される。リソースブロックは、時間軸と周波数軸とからなる平面を最小単位の周波数×時間でマトリックス状に区切ったブロックである。また、リソースブロックの総数は、周波数(サブキャリアの数)×時間(タイムスロットの数)×空間(空間ストリーム数)で与えられる。
【0004】
従来のネットワークスライシング技術では、
図16に示すように、分割された複数のネットワークスライス#1~Nが、無線リソースの全体を共有している。すなわち、複数のネットワークスライスの各々は、各平面上のリソースブロックの全てにアクセスし、使用することが可能な構成を有する。このように、従来の技術では、ネットワークスライス単位で、専用のリソースブロックを有する構成ではない。そのため、例えば、あるネットワークスライスでは高速な無線通信速度を要求されてないにも関わらず、要求以上の通信速度のリソースブロックが割り当てられる場合があった。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1は、基地局において通信サービスごとの通信に割り当てるリソースの量を決定する通信管理システムを開示している。特許文献1に係る通信管理システムでは、基地局から、通信サービスを示す値ごとに集計された、その基地局と通信する1つ以上の通信端末における通信品質に関する情報を取得する。さらに、取得された情報に基づいて、その基地局において通信サービスごとの通信に割り当てるリソースの量を決定し、決定されたリソースの量をその基地局へ通知する。
【0006】
しかし、特許文献1では、ネットワークスライス単位で専用のリソースブロックを有する構成を有さないため、通信品質や要求スループット等の集計に基づいた適切な無線リソースの割り当て処理は複雑化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来の技術では、より簡易な構成により、ネットワークスライスの通信品質に関する要求に応じた無線リソースの割り当てを行うことができなかった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、より簡易な構成により、ネットワークスライスの通信品質に関する要求に応じた無線リソースの割り当てを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信管理装置は、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられる複数のネットワークスライスに関する情報を取得するように構成され、前記複数のネットワークスライスに関する情報には、前記複数のネットワークスライスの各々に関連付けられた通信品質に関する要求情報が含まれる、第1取得部と、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記無線リソースの前記リソースブロックの数の初期値を取得するように構成された第2取得部と、前記第2取得部によって取得された前記初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロックの数を出力するように構成された第1演算部と、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記最適化されたリソースブロックの数を、基地局に通知するように構成された通知部とを備える。
【0011】
また、本発明に係る通信管理装置において、さらに、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の前記初期値を入力として与えた場合に、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の予測値を出力する第1機械学習モデルを記憶するように構成された第1記憶部と、前記初期値を入力として与えた場合に、前記第1機械学習モデルから出力される前記リソースブロックの数の前記予測値の合計が、前記無線リソースを構成する前記リソースブロックの総数となるように、前記第1機械学習モデルのパラメータを学習するように構成された第1学習部とを備え、前記第1記憶部は、さらに、前記第1学習部で構築された前記学習済みの第1機械学習モデルを記憶し、前記第1演算部は、前記第1記憶部から前記学習済みの第1機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信管理装置は、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられるネットワークスライスに関する情報を取得するように構成され、前記ネットワークスライスに関する情報には、前記ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、および前記ネットワークスライスに割り当てられた前記リソースブロックの数の設定値が含まれる、第3取得部と、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値を未知の入力として学習済みの第2機械学習モデルに与え、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報をリソース要素ごとに出力するように構成された第2演算部と、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、基地局に通知するように構成された通知部とを備え、前記リソース要素は、周波数要素、時間要素、および空間要素を含む。
【0013】
また、本発明に係る通信管理装置において、さらに、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうちのいずれか1つまたは2つの前記リソース要素についての設定された要素数を含む要素情報を取得するように構成された第4取得部と、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報を未知の入力として学習済みの第3機械学習モデルに与え、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報を、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記第4取得部によって取得された前記要素情報に係る前記リソース要素以外のリソース要素ごとに出力するように構成される第3演算部とを備え、前記通知部は、前記ネットワークスライスに割り当てる、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、基地局に通知してもよい。
【0014】
また、本発明に係る通信管理装置において、さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値と、前記ネットワークスライスに割り当てられる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報との関係を、第2機械学習モデルを用いて学習するように構成された第2学習部と、前記第2学習部によって構築された前記学習済みの第2機械学習モデルを記憶するように構成された第2記憶部とを備え、前記第2演算部は、前記第2記憶部から前記学習済みの第2機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【0015】
また、本発明に係る通信管理装置において、さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報と、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報との関係を、第3機械学習モデルを用いて学習するように構成された第3学習部と、前記第3学習部によって構築された前記学習済みの第3機械学習モデルを記憶するように構成された第3記憶部とを備え、前記第3演算部は、前記第3記憶部から前記学習済みの第3機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明に係る通信管理方法は、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられる複数のネットワークスライスに関する情報を取得する第1取得ステップであって、前記複数のネットワークスライスに関する情報には、前記複数のネットワークスライスの各々に関連付けられた、通信品質に関する要求情報が含まれる、第1取得ステップと、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、前記無線リソースの前記リソースブロックの数の初期値を取得する第2取得ステップと、前記第2取得ステップで取得された前記初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロックの数を出力する第1演算ステップと、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記最適化されたリソースブロックの数を、基地局に通知するように構成された通知ステップとを備える。
【0017】
また、本発明に係る通信管理方法において、さらに、前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の前記初期値を入力として与えた場合に、前記要求情報が関連付けられた前記複数のネットワークスライスの各々に割り当てる前記リソースブロックの数の予測値を出力する第1機械学習モデルを第1記憶部に記憶する第1記憶ステップと、前記初期値を入力として与えた場合に、前記第1機械学習モデルから出力される前記リソースブロックの数の前記予測値の合計が、前記無線リソースを構成する前記リソースブロックの総数となるように、前記第1機械学習モデルのパラメータを学習する第1学習ステップとを備え、前記第1記憶ステップは、さらに、前記第1学習ステップで構築された前記学習済みの第1機械学習モデルを前記第1記憶部に記憶し、前記第1演算ステップは、前記第1記憶部から前記学習済みの第1機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第1機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【0018】
また、本発明に係る通信管理方法において、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられるネットワークスライスに関する情報を取得する第3取得ステップであって、前記ネットワークスライスに関する情報には、前記ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、および前記ネットワークスライスに割り当てられた前記リソースブロックの数の設定値が含まれる、第3取得ステップと、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値を未知の入力として学習済みの第2機械学習モデルに与え、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報をリソース要素ごとに出力する第2演算ステップと、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、基地局に通知する通知ステップとを備え、前記リソース要素は、周波数要素、時間要素、および空間要素を含む。
【0019】
また、本発明に係る通信管理方法において、さらに、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうちのいずれか1つまたは2つの前記リソース要素についての設定された要素数を含む要素情報を取得する第4取得ステップと、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報を未知の入力として学習済みの第3機械学習モデルに与え、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、前記ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報を、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記第4取得ステップで取得された前記要素情報に係る前記リソース要素以外のリソース要素ごとに出力するように構成される第3演算ステップとを備え、前記通知ステップは、前記ネットワークスライスに割り当てる、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報を、基地局に通知してもよい。
【0020】
また、本発明に係る通信管理方法において、さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報および前記リソースブロックの数の前記設定値と、前記ネットワークスライスに割り当てられる前記リソース要素ごとの前記リソースブロックに関する情報との関係を、第2機械学習モデルを用いて学習する第2学習ステップと、前記第2学習ステップによって構築された前記学習済みの第2機械学習モデルを第2記憶部に記憶する第2記憶ステップとを備え、前記第2演算ステップは、前記第2記憶部から前記学習済みの第2機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第2機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【0021】
また、本発明に係る通信管理方法において、さらに、前記ネットワークスライスに関連付けられた前記要求情報、前記リソースブロックの数の前記設定値、および前記要素情報と、前記周波数要素、前記時間要素、および前記空間要素のうち、前記要素情報に係る前記リソース要素以外の前記リソース要素ごとの、前記ネットワークスライスに割り当てる前記リソースブロックに関する情報との関係を、第3機械学習モデルを用いて学習する第3学習ステップと、前記第3学習ステップによって構築された前記学習済みの第3機械学習モデルを第3記憶部に記憶する第3記憶ステップとを備え、前記第3演算ステップは、前記第3記憶部から前記学習済みの第3機械学習モデルを読み出して、前記学習済みの第3機械学習モデルの演算を行ってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数のネットワークスライスの各々に割り当てる無線リソースのリソースブロックの数の初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、要求情報が関連付けられた複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロックの数を出力する。そのため、より簡易な構成により、ネットワークスライスの通信品質に関する要求に応じた無線リソースの割り当てを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信管理装置を含む通信管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る通信管理装置の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係る通信管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係る学習部による学習処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態に係る通信管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態に係る通信管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態に係る通信管理装置を含む通信管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態に係る学習部による学習処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態に係る通信管理装置の概要を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係る通信管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態に係る通信管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第3の実施の形態に係る通信管理装置を含む通信管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第3の実施の形態に係る学習部による学習処理を説明するための図である。
【
図14】
図14は、第3の実施の形態に係る通信管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第3の実施の形態に係る通信管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、従来例に係るネットワークスライシングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態について、
図1から
図15を参照して詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信管理装置1を備える通信管理システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る通信管理装置1は、通信品質に関する要求情報と関連付けられたネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロック数を求め、リソースブロックの割り当て情報を基地局30に通知する。
【0026】
[通信管理システムの構成]
まず、本発明の実施の形態に係る通信管理装置1を備える通信管理システムの概要について説明する。
図1に示すように、通信管理システムは、例えば、SA方式の5G無線通信システムに対応する通信管理装置1、通信端末2、基地局30を備える無線アクセスネットワーク3、およびコアネットワーク4を備える。
【0027】
通信管理装置1とコアネットワーク4とは、LANやWANなどのネットワークNWを介して接続されている。また、無線アクセスネットワーク3が備える基地局30とコアネットワーク4とは、バックホールリンクなどのネットワークLを介して接続されている。さらに、
図1では一例として、通信管理装置1と基地局30とは、ネットワークNWを介して接続されているが、通信管理装置1と基地局30とは、専用の通信ネットワークを介して接続される構成であってもよい。あるいは、通信管理装置1と基地局30とのネットワークNWによる接続は省略することができる。
【0028】
通信端末2は、SIMを備えるスマートフォンなどの携帯通信端末、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)により実現される。また、通信端末2は、固有のIPアドレスを持ちインターネットに接続可能なIoTデバイスによっても実現される。
【0029】
通信端末2は、無線アクセスネットワーク3を介してコアネットワーク4との通信を行い、コアネットワーク4にサービスを要求する。具体的には、通信端末2は、利用するサービスに応じたサービス特性を示す識別子を設定し、無線アクセスネットワーク3を介してコアネットワーク4へ送信する。通信端末2は、要求するサービスに応じたネットワークスライス内のリソースブロックを利用して、コアネットワーク4との通信を行い、適切なデータネットワークに接続し、サービスに係るデータ通信を行うことができる。
【0030】
通信端末2が要求するサービスには、その用途ごとに異なるネットワークスライスが設定される。例えば、高速大容量に対応するネットワークスライス、多数同時接続に対応するネットワークスライス、高信頼および低遅延に対応するネットワークスライス等が設けられる。すなわち、各ネットワークスライスは、用途に応じた適切な通信速度、通信遅延などの一定の通信品質を要求する。本実施の形態では、サービスタイプや特性に応じて予め設定された数のネットワークスライスが設定されているものとする。
【0031】
また、ネットワークスライスには固有のネットワークスライスIDが割り当てられており、ネットワークスライスIDには、通信の遅延、帯域幅、信頼性等の通信品質に関する要件、およびセキュリティポリシーや認証要件に関する情報が関連付けられている。
【0032】
無線アクセスネットワーク3は、複数の基地局30を備え、各基地局30に在圏する通信端末2とコアネットワーク4との通信を可能とする。
【0033】
基地局30は、5G方式に対応した無線基地局で構成され、在圏する通信端末2とコアネットワーク4との間の通信を中継する。基地局30は、例えば、バスを介して接続されるプロセッサ、主記憶装置、通信インターフェース、補助記憶装置、入出力I/Oを備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0034】
基地局30は、通信端末2が利用するサービスのサービスタイプおよび特性を示す識別子を通信端末2から受信し、コアネットワーク4へ送信する。また、本実施の形態に係る基地局30は、通信管理装置1から、各ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックの割り当て情報の通知を受ける。さらに、本実施の形態に係る基地局30は、通信管理装置1から通知された割り当て情報に基づいて、ネットワークスライスにリソースブロックを割り当てる。さらに、基地局30は、サービスタイプおよび特性を示す識別子をもとに、通信端末2に対して、サービスに応じたネットワークスライス内のリソースブロックを割り当てる。
【0035】
コアネットワーク4は、例えば、SA方式の5Gコアネットワークで構成される。
図1に示すコアネットワーク4は、NSSF(Network Slice Selection Function)40と、AMF(Access and Mobility Management Function)41とを備え、その他の装置および機能は図示を省略している。
【0036】
NSSF40は、通信端末2が基地局30を介してコアネットワーク4に接続する際に、通信端末2が利用するネットワークスライスを選択するネットワーク機能である。NSSF40は、通信端末2が要求するサービスのタイプや特性、契約情報、位置情報、および端末情報などをもとに、利用可能なネットワークスライスの候補を選択し、AMF41に通知する。
【0037】
AMF41は、通信端末2の位置情報や接続状態などの登録や更新および移動管理などを行うネットワーク機能である。また、AMF41は、NSSF40から通知された利用可能なネットワークスライスの候補に基づいて、通信端末2が利用するネットワークスライスの選択や管理を行う。AMF41が選択したネットワークスライスの情報は、基地局30に通知される。
【0038】
[通信管理装置の機能ブロック]
図1に示すように、通信管理装置1は、第1取得部10、第2取得部11、学習部(第1学習部)12、演算部(第1演算部)13、記憶部(第1記憶部)14、および通知部15を備える。
【0039】
第1取得部10は、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられる複数のネットワークスライスに関する情報を取得する。第1取得部10が取得する、複数のネットワークスライスに関する情報には、各ネットワークスライスに関連付けられた、通信品質に関する要求情報が含まれる。要求情報には、通信の遅延、帯域幅、信頼性等を含む通信品質に関する要件が含まれる。
【0040】
第2取得部11は、複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、無線リソースのリソースブロックの数の初期値を取得する。第2取得部11は、例えば、ネットワークNWを介して外部サーバなどからリソースブロック数の初期値を取得することができる。あるいは、第2取得部11は、ユーザによって行われる入力操作の受け付けによってリソースブロック数の初期値を取得することができる。複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、無線リソースのリソースブロック数の初期値は、例えば、無線通信網の管理や運用を行うユーザが、各ネットワークスライスに割り当てることを望むリソースブロック数のおおよその数とすることができる。また、リソースブロック数の初期値は、例えば、無線リソースに設定されているリソースブロックの総数に基づいて設定することができる。
【0041】
学習部12は、複数のネットワークスライスに割り当てるリソースブロックの数の初期値を入力として与えた場合に、第1機械学習モデルから出力されるリソースブロック数の予測値の合計が、無線リソースを構成するリソースブロックの総数となるように、第1機械学習モデルのパラメータを学習する。また、学習部12は、記憶部14の第1モデル記憶部140に記憶されている、学習前の第1機械学習モデルを読み出して学習処理を行う。前述したように、リソースブロックの総数とは、周波数(サブキャリアの数)×時間(タイムスロットの数)×空間(空間ストリーム数)で与えられる値である。
【0042】
学習部12が学習を行う第1機械学習モデルは、複数のネットワークスライスの各々に割り当てるリソースブロック数の初期値を入力として与えた場合に、要求情報と関連付けられた複数のネットワークスライスの各々に割り当てるリソースブロック数の予測値を出力する。学習部12は、第2取得部11によって取得されたリソースブロック数の初期値を学習用のデータとして用いることができる。
【0043】
図4は、学習部12が学習を行う第1機械学習モデルの一例として採用する、ニューラルネットワーク構造を示す。ニューラルネットワークは、入力層x、隠れ層h、および出力層yを備える。
図4の例では入力ノードおよび出力ノードのノード数は同数であり、これらは、サービスの数などに応じて予め設定されているN個のネットワークスライスに対応する。
【0044】
学習部12は、ネットワークスライスの各々に割り当てるリソースブロック数をニューラルネットワークの入力層に与え、入力の重み付け総和に活性化関数を適用し、閾値処理により決定された出力を出力層に渡す。
図4に示すように、入力層の各入力ノードx
1~x
Nには、ネットワークスライス#1~#Nまでのリソースブロック(RB)数の初期値が入力されている。出力層の各出力ノードy
1~y
Nは、入力値に対するニューラルネットワークの予測値である。
【0045】
隠れ層hのレイヤ数、およびニューラルネットワークのノード間の結合の疎密を含む機械学習モデルのサイズや要素は、十分な推論精度が得られる設計であれば限定されず、例えば、ノード間の結合として全結合あるいはスパース化した構造であってもよい。
【0046】
学習部12は、さらに、無線リソースのリソースブロックの総数とニューラルネットワークの予測値yとの間の誤差を評価する目的関数を導入することで、各ネットワークスライスのリソースブロック数の予測値の合計値が、無線リソースを構成するリソースブロックの総数となるように、ニューラルネットワークのパラメータを学習する。
【0047】
学習部12は、次式(1)で表される目的関数Eが最小、つまり0となるように、ニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。
E={(y1+y2+y3+・・・+yN-1+yN)-RB総数}2 ・・・(1)
なお、目的関数として、平均二乗誤差、交差エントロピー、交差共分散、構造類似度、クラスタリング損失などを採用することができる。学習部12は、誤差逆伝搬法や確率的勾配降下法などを用いて、目的関数を勾配法で最適化することができる。
【0048】
図1に戻り、演算部13は、第2取得部11によって取得された、各ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックの数の初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、通信品質に関する要求情報と関連付けられた複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロック数を出力する。
【0049】
前述したように、第2取得部11によって取得される各ネットワークスライスに割り当てられるリソースブロック数の初期値は、リソースブロック数の総数およびネットワークスライスの各々が満たすべき通信品質との関係で、最適なリソースブロック数ではない場合がある。
【0050】
例えば、リソースブロックの総数が300個であった場合、
図4に示すネットワークスライス#1に対するリソースブロック数の初期値が30個、ネットワークスライス#2に対するリソースブロック数の初期値が40個であるとする。このようなリソースブロック数の初期値を学習済みの第1機械学習モデルに入力として与え、学習済みの第1機械学習モデルの演算を行うことで、リソースブロック数の総数およびネットワークスライスの各々が満たすべき通信品質との観点から最適な各ネットワークスライスのリソースブロック数が出力される。例えば、ネットワークスライス#1に対する最適化されたリソースブロック数として32個、ネットワークスライス#2に対する最適化されたリソースブロック数の初期値が38個等として出力される。
【0051】
図2は、各ネットワークスライスに割り当てられるリソースブロックを示す模式図である。
図2は、無線リソースが時間軸と周波数軸とで定義された二次元平面、および空間軸を示している。無線リソースは、
図2に示すように、タイムスロットとサブキャリアとで構成されるリソースブロックに分割されている。本実施の形態では、
図2の「NWスライス#1」から「NWスライス#N」までの各ハッチングの領域に示すように、ネットワークスライス単位で専用のリソースブロックが割り当てられる。また、学習部12による学習処理、および演算部13による学習済みの第1機械学習モデルの演算によって、各ネットワークスライスには最適化された数のリソースブロックが割り当てられる。
【0052】
さらに詳細には、例えば、送信アンテナが2つ、および受信アンテナが2つで構成される2×2のMIMOが設定されている場合、
図2の空間軸に沿って空間ストリームs
1、s
2が設けられる。したがって、空間ストリームs
1に加え、空間ストリームs
2における、最適化されたリソースブロックの数が求められる。
【0053】
また、本実施の形態では、演算部13によって求められた最適化されたリソースブロック数をネットワークスライスに割り当てる際に、割り当て可能なリソースブロックの範囲をネットワークスライスごとに事前に設定することができる。例えば、
図2に示すように、「NWスライス#1」から「NWスライス#N」までのネットワークスライスが、それぞれタイムスロットt
1~t
kまでを利用することができるとする事前の設定を設けることができる。さらに、「NWスライス#1」から「NWスライス#N」の順に、サブキャリアf
1からf
kの順にリソースブロックを順番に割り当てる設定とすることができる。
【0054】
このように、本実施の形態では、各ネットワークスライスに対して、どの範囲のリソースブロックが割り当てられるかを事前に設定することができる。したがって、演算部13によって出力された、最適なリソースブロック数に基づいて、たとえば、「NWスライス#1」から「NWスライス#N」の順に、所定の周波数の範囲において、最適化された数のリソースブロックを割り当てることができる。
【0055】
図1に戻り、記憶部14は、第1モデル記憶部140を備える。記憶部14は、第1取得部10によって取得されたネットワークスライスに関する情報を記憶する。また、記憶部14は、ネットワークスライスのネットワークスライスIDに関連付けられた通信品質に関する要求情報を記憶する。
【0056】
第1モデル記憶部140は、学習前の第1機械学習モデル、および学習済みの第1機械学習モデルを記憶する。
【0057】
通知部15は、複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロックの数を、基地局30に通知する。具体的には、通知部15は、演算部13によって出力された最適化されたリソースブロック数をネットワークスライスIDに関連付けて、ネットワークNWを介して基地局30に通知することができる。
【0058】
[通信管理装置のハードウェア構成]
次に、上述した機能を有する通信管理装置1を実現するハードウェア構成の一例について、
図3を用いて説明する。
【0059】
図3に示すように、通信管理装置1は、例えば、バス101を介して接続されるプロセッサ102、主記憶装置103、通信インターフェース104、補助記憶装置105、入出力I/O106を備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0060】
主記憶装置103には、プロセッサ102が各種制御や演算を行うためのプログラムが予め格納されている。プロセッサ102と主記憶装置103とによって、
図1に示した第1取得部10、第2取得部11、学習部12、演算部13など通信管理装置1の各機能が実現される。
【0061】
通信インターフェース104は、通信管理装置1と各種外部電子機器との間をネットワーク接続するためのインターフェース回路である。
【0062】
補助記憶装置105は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種情報を読み書きするための駆動装置とで構成されている。補助記憶装置105には、記憶媒体としてハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体メモリを使用することができる。
【0063】
補助記憶装置105は、通信管理装置1が実行する通信管理プログラムを格納するプログラム格納領域を有する。また、補助記憶装置105は、第1機械学習モデルの学習を行うための学習プログラムを格納する領域を有する。補助記憶装置105によって、
図1で説明した記憶部14が実現される。さらには、例えば、上述したデータやプログラムなどをバックアップするためのバックアップ領域などを有していてもよい。
【0064】
入出力I/O106は、外部機器からの信号を入力したり、外部機器へ信号を出力したりする入出力装置である。
【0065】
[通信管理装置の動作]
次に、上述した構成を有する通信管理装置1の動作を、
図5および
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
はじめに、
図5を参照して、通信管理装置1による学習処理を説明する。まず、第1取得部10は、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられる複数のネットワークスライスに関する情報を取得する(ステップS1)。ステップS1で取得される複数のネットワークスライスに関する情報には、各ネットワークスライスに関連付けられた、通信品質に関する要求情報が含まれる。
【0067】
次に、第2取得部11は、複数のネットワークスライスの各々に割り当てるリソースブロック数の初期値を取得する(ステップS2)。続いて、学習部12は、ステップS2で取得された初期値を入力として与えた場合に、第1機械学習モデルから出力されるリソースブロック数の予測値の合計が、無線リソースを構成するリソースブロックの総数となるように、第1機械学習モデルのパラメータを学習する(ステップS3)。具体的には、学習部12は、記憶部14の第1モデル記憶部140に記憶されている、第1機械学習モデルを読み出して学習処理を行う。
【0068】
学習部12は、例えば、
図4で示したニューラルネットワーク構造のモデルを第1機械学習モデルとして採用し、上式(1)で表される目的関数Eが最小、つまり0となるように、ニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。学習部12は、誤差逆伝搬法や確率的勾配降下法などを用いて、目的関数を勾配法で最適化することができる。学習部12によって構築された学習済みの第1機械学習モデルは、第1モデル記憶部140に記憶される(ステップS4)。
【0069】
次に、
図6を参照して、通信管理装置1による演算処理を説明する。まず、第2取得部11は、各ネットワークスライスに割り当てるリソースブロック数の初期値を取得する(ステップS10)。次に、演算部13は、第1モデル記憶部140から学習済みの第1機械学習モデルをロードする(ステップS11)。
【0070】
次に、演算部13は、ステップS10で第2取得部11によって取得された、各ネットワークスライスに割り当てるリソースブロック数の初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、通信品質に関する要求情報と関連付けられた複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロック数を出力する(ステップS12)。
【0071】
その後、通知部15は、ステップS12で出力された、ネットワークスライスの各々に割り当てられる最適化されたリソースブロック数を基地局30に通知する(ステップS13)。
【0072】
通知を受けた基地局30は、各ネットワークスライスのネットワークスライスIDに関連付けて、最適化されたリソースブロック数を設定登録する。基地局30は、ネットワークスライスIDに関連付けられたリソースブロック数に基づいて、所定のサービスを利用する通信端末2に対して、通信品質の要求に対応するネットワークスライス内のリソースブロックを割り当てる。さらには、通知部15は、基地局30単位でもネットワークスライスごとのリソースブロックの割り当てを行うことができる。
【0073】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る通信管理装置1によれば、学習済みの第1機械学習モデルを用いて、通信品質に関する要求情報と関連付けられた複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロック数を出力するので、より簡易な構成により、ネットワークスライスの通信品質に関する要求に応じた無線リソースの割り当てを行うことができる。
【0074】
また、第1の実施の形態に係る通信管理装置1によれば、通信品質に関する要求情報と関連付けられた複数のネットワークスライスに割り当てる、最適化されたリソースブロック数を出力するので、ネットワークスライス単位でQoS(Quality of Service)要求に応じた専用のリソースブロックを割り当てることができる。さらには、基地局30単位でQoS要求に応じたネットワークスライスごとのリソースブロックを割り当てることができる。
【0075】
また、第1の実施の形態に係る通信管理装置1によれば、第1機械学習モデルの学習を行って、リソースブロック数の初期値に対して、リソースブロックの総数およびネットワークスライスごとに要求される通信品質において最適化されたリソースブロック数を学習する。そのため、ネットワークスライスIDをキーとした無線リソースのリソースパラメータである、サブキャリアの数、タイムスロット数、および空間ストリーム数の対応付けによる膨大なデータベース容量を必要とせず、データベース要領の削減が可能となる。
【0076】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
第1の実施の形態では、複数のネットワークスライスの各々に割り当てるリソースブロックの数の初期値に対して、リソースブロックの総数に対する最適化されたリソースブロック数を求める場合について説明した。これに対して、第2の実施の形態では、各ネットワークスライスに割り当てるリソースブロック数を固定値として割り当てる場合に、無線リソースの周波数要素、時間要素、および空間要素を含むリソース要素ごとの、ネットワークスライスに対するリソースブロックの割り当て情報を求める。
【0078】
[通信管理装置の機能ブロック]
図7は、第2の実施の形態に係る通信管理装置1Aの構成を示すブロック図である。通信管理装置1Aは、学習部(第2学習部)12A、演算部(第2演算部)13A、記憶部(第2記憶部)14A、通知部15、および第3取得部16を備える。
【0079】
まず、第3取得部16は、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられるネットワークスライスに関する情報を取得する。第3取得部16が取得するネットワークスライスに関する情報には、ネットワークスライスに関連付けられた、通信品質に関する要求情報が含まれる。また、第3取得部16が取得するネットワークスライスに関する情報には、ネットワークスライスに割り当てられたリソースブロック数の設定値が含まれる。リソースブロック数の設定値は、事前に固定値として設定されたネットワークスライスに割り当てるリソースブロック数である。
【0080】
学習部13Aは、ネットワークスライスに関連付けられた要求情報およびリソースブロック数の設定値と、ネットワークスライスに割り当てられる、無線リソースのリソース要素ごとのリソースブロックに関する情報との関係を、第2機械学習モデルを用いて学習する。
【0081】
リソース要素には、無線リソースを定義する周波数軸のサブキャリア(周波数要素)、時間軸のタイムスロット(時間要素)、および空間軸の空間ストリーム(空間要素)が含まれる。
図2の例を用いて説明すると、無線リソースの二次元平面における、周波数軸のサブキャリアf
1~f
k、および時間軸のタイムスロットt
1~t
kがリソース要素に含まれる。さらに、
図2に示す、空間軸の空間ストリームs
1、s
2がリソース要素に含まれる。
【0082】
このように、各リソース要素の数および値は、周波数軸のサブキャリアf1~fk、時間軸のタイムスロットt1~tk、および空間軸の空間ストリームs1、s2の数および値で表すことができる。
【0083】
図8は、学習部12Aが学習を行う第2機械学習モデルの一例として採用する、ニューラルネットワーク構造を示す。ニューラルネットワークは、入力層x、隠れ層h、および出力層yを備える。
図8の例では入力ノードに、ネットワークスライスのネットワークスライスIDである「NWスライスID」および「NWスライスID」に関連付けられている通信品質に関する要求情報が入力される。出力ノードy
1~y
mは、「周波数要素f」、「時間要素t」、および「空間要素s」の値に対応する。
【0084】
例えば、「周波数要素f」の出力ノードとして、周波数軸のサブキャリアf1~fkに対応する出力ノード、「時間要素t」の出力ノードとして、タイムスロットt1~tkに対応する出力ノード、さらには、「空間要素s」の出力ノードとして、空間ストリームs1、s2に対応する出力ノードを設けることができる。なお、出力ノードの各リソース要素の数は、事前の設定により決めることができる。
【0085】
学習部12Aは、ネットワークスライスのネットワークスライスID、ネットワークスライスIDに関連付けられている通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値をニューラルネットワークの入力層に与え、入力の重み付け総和に活性化関数を適用し、閾値処理により決定された出力を出力層に渡す。
【0086】
学習部12Aは、さらに、正解ラベルの値とニューラルネットワークの出力値yとの間の誤差を評価する目的関数を導入することで、ネットワークスライスのネットワークスライスID、ネットワークスライスIDに関連付けられている通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値が、正解ラベルの周波数要素fの値、時間要素tの値、および空間要素sの値となるように、ニューラルネットワークのパラメータを学習する。
【0087】
学習部12Aは、ネットワークスライスIDに関連付けられている通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値の入力値に対して、正解ラベルの周波数要素fの値、時間要素tの値、および空間要素sの値を付与した教師データを用いて、ニューラルネットワークを学習する。
【0088】
学習部12Aは、目的関数が最小、つまり0となるように、ニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。学習部12Aは、誤差逆伝搬法や確率的勾配降下法などを用いて、目的関数を勾配法で最適化することができる。学習部12Aによって構築された学習済みの第2機械学習モデルは、後述の第2モデル記憶部141に記憶される。
【0089】
図7に戻り、演算部13Aは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値を未知の入力として学習済みの第2機械学習モデルに与え、学習済みの第2機械学習モデルの演算を行って、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報をリソース要素ごとに出力する。演算部13Aは、第2モデル記憶部141から学習済みの第2機械学習モデルを読み出して、演算を行う。演算部13Aによって出力されるリソース要素ごとのリソースブロックに関する情報は、通知部15に渡される。
【0090】
図9に示すように、本実施の形態では、時間軸と周波数軸とで構成される二次元平面の無線リソースにおいて、周波数やタイムスロットの順番が連続しないリソースブロックを各ネットワークスライスに割り当てることができる。
図9において、各ハッチング領域のリソースブロックは、各ネットワークスライスに割り当てられたリソースブロックを示している。なお、
図9において、空間軸の空間ストリームs
1、s
2については図示を省略している。
【0091】
記憶部14Aは、第2モデル記憶部141を備える。記憶部14Aは、第3取得部16によって取得されたリソースブロックに関する情報、およびネットワークスライスに関連付けられている通信品質に関する要求情報、およびネットワークスライスに割り当てられたリソースブロック数の設定値を記憶する。
【0092】
第2モデル記憶部141は、学習部12Aによって構築された学習済みの第2機械学習モデルを記憶する。
【0093】
通知部15は、ネットワークスライスに割り当てるリソース要素ごとのリソースブロックに関する情報を、基地局30に通知する。より具体的には、通知部15は、演算部13Aによって求められた、周波数要素、時間要素、および空間要素で特定されるリソースブロックに関する情報を基地局30に通知する。
【0094】
[通信管理装置の動作]
次に、上述した構成を有する通信管理装置1Aの動作を
図10および
図11のフローチャートを参照して説明する。
図10は、通信管理装置1Aによる学習処理を示すフローチャートである。
図11は、通信管理装置1Aによる演算処理を示すフローチャートである。
【0095】
まず、
図10に示すように、学習部12Aは教師データを用意する(ステップS20)。より具体的には、学習部12Aは、ネットワークスライスIDに関連付けられた通信品質に関する要求情報、およびリソースブロック数の設定値の入力値に対して、周波数要素の値、時間要素の値、および空間要素の値で表されるリソースブロックに関する情報を正解ラベルとして与えた教師データを用いて学習を行う。
【0096】
次に、学習部12Aは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値と、ネットワークスライスに割り当てられる、リソース要素ごとのリソースブロックに関する情報との関係を、第2機械学習モデルを用いて学習する(ステップS21)。学習部12Aは、ステップS20で用意された教師データを用いて、第2機械学習モデルを学習する。
【0097】
次に、第2モデル記憶部141は、ステップS21で構築された学習済みの第2機械学習モデルを記憶する(ステップS22)。
【0098】
次に、
図11に示すように、第3取得部16は、無線リソースの分割単位であるリソースブロックが割り当てられるネットワークスライスに関する情報を取得する(ステップS30)。ステップS30で第3取得部16が取得するネットワークスライスに関する情報には、ネットワークスライスに関連付けられた、通信品質に関する要求情報、およびネットワークスライスに割り当てられたリソースブロック数の設定値が含まれる。
【0099】
次に、演算部13Aは、第2モデル記憶部141から、学習済みの第2機械学習モデルをロードする(ステップS31)。続いて、演算部13Aは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値を未知の入力として学習済みの第2機械学習モデルに与え、学習済みの第2機械学習モデルの演算を行って、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報をリソース要素ごとに出力する(ステップS32)。
【0100】
次に、通知部15は、ステップS32で得られた、ネットワークスライスに割り当てる、リソース要素ごとのリソースブロックに関する情報を、基地局30に通知する(ステップS33)。通知部15は、ネットワークスライスIDに関連付けた、周波数要素の値、時間要素の値、および空間要素の値で特定されるリソースブロックの情報を、基地局30に通知することができる。通知を受けた基地局30は、ネットワークスライスIDに係るネットワークスライスに対して、通知に係る特定のリソースブロックを割り当てて登録する。
【0101】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る通信管理装置1Aによれば、ネットワークスライスIDに関連付けられた通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値を未知の入力として学習済みの第2機械学習モデルに与え、学習済みの第2機械学習モデルの演算を行って、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報を周波数要素、時間要素、および空間要素を含むリソース要素ごとに出力する。そのため、リソースブロック数の設定値が固定的に割り当てられているネットワークスライスに対して、周波数要素の値、時間要素の値、および空間要素の値で特定されるリソースブロックを割り当てることができる。
【0102】
また、第2の実施の形態に係る通信管理装置1Aによれば、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報を周波数要素、時間要素、および空間要素を含むリソース要素ごとに出力するので、通信品質に関する要求に対して、より適切なリソースブロックをネットワークスライスに割り当てることができる。
【0103】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第1および第2の実施の形態と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
第2の実施の形態では、ネットワークスライスに対してリソースブロック数を固定的に割り当てた場合の、周波数要素、時間要素、および空間要素を含むリソース要素ごとのリソースブロックに関する情報を求める場合について説明した。これに対して、第3の実施の形態では、さらに、周波数要素、時間要素、および空間要素のうちのいずれか1つまたは2つのリソース要素に関する情報を固定値とした場合に、ネットワークスライスに割り当てる、その他のリソース要素ごとのリソースブロックに関する情報を求める。
【0105】
[通信管理装置の機能ブロック]
図12に示すように、本実施の形態に係る通信管理装置1Bは、学習部(第3学習部)12B、演算部(第3演算部)13B、記憶部(第3記憶部)14B、通知部15、第3取得部16、および第4取得部17を備える。第3の実施の形態に係る通信管理装置1Bは、第4取得部17をさらに備える点で、第2の実施の形態に係る通信管理装置1Aと構成が異なる。以下、第2の実施の形態と異なる構成を中心に説明する。
【0106】
まず、第4取得部17は、周波数要素、時間要素、および空間要素のうちのいずれか1つまたは2つのリソース要素についての設定された要素数を含む要素情報を取得する。例えば、第4取得部17は、周波数要素を固定値として設定する場合に、周波数軸のサブキャリアの数を取得することができる。あるいは、時間要素を固定値として設定する場合に、時間軸のタイムスロットの数を取得することができる。同様に、第4取得部17は、固定値として設定される空間軸の空間ストリーム数を取得することができる。
【0107】
また、第4取得部17は、周波数要素、時間要素、および空間要素の数だけでなく、
図9の例に示すように、特定の周波数要素であるサブキャリアf
1~f
kの値、時間要素であるタイムスロットt
1~t
kの値、および空間要素である空間ストリームs
1、s
2等の値を取得してもよい。
【0108】
学習部12Bは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、ネットワークスライスに割り当てる、リソースブロック数の設定値、および第4取得部17により取得された要素情報と、周波数要素、時間要素、および空間要素のうち、第4取得部17によって取得された要素情報に係るリソース要素以外のリソース要素ごとの、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報との関係を、第3機械学習モデルを用いて学習する。
【0109】
図13は、学習部12Bが学習を行う第3機械学習モデルの一例として採用する、ニューラルネットワーク構造を示す。ニューラルネットワークは、入力層x、隠れ層h、および出力層yを備える。
図13の例では入力ノードx
1に、特定のネットワークスライスのネットワークスライスIDである「NWスライスID」、「NWスライスID」に関連付けられている通信品質に関する要求情報、および固定値として設定されたリソースブロック数が入力される。
【0110】
図13の例では、入力ノードx
2~x
lには、第4取得部17によって取得された「空間要素s」の値が入力される。出力ノードy
1~y
mは、「周波数要素f」、および「時間要素t」の値に対応する。例えば、「周波数要素f」の出力ノードとして、周波数軸のサブキャリアf
1~f
kに対応する出力ノード、「時間要素t」の出力ノードとして、タイムスロットt
1~t
kに対応する出力ノードを設けることができる。なお、出力ノードの各リソース要素の数は、事前の設定により決めることができる。
【0111】
学習部12Bは、ネットワークスライスのネットワークスライスID、ネットワークスライスIDに関連付けられている通信品質に関する要求情報、リソースブロック数の設定値、および第4取得部17によって取得されたリソース要素の要素情報をニューラルネットワークの入力層に与え、入力の重み付け総和に活性化関数を適用し、閾値処理により決定された出力を出力層に渡す。
【0112】
学習部12Bは、さらに、正解ラベルの値とニューラルネットワークの出力値yとの間の誤差を評価する目的関数を導入することで、ネットワークスライスのネットワークスライスID、ネットワークスライスIDに関連付けられている通信品質に関する要求情報、リソースブロック数の設定値、および空間要素の要素情報が、正解ラベルの周波数要素fの値、および時間要素tの値となるように、ニューラルネットワークのパラメータを学習する。
【0113】
学習部12Bは、ネットワークスライスIDに関連付けられている通信品質に関する要求情報およびリソースブロック数の設定値、および要素情報である空間要素sの値s1、s2の入力値に対して、正解ラベルとして周波数要素fの値、および時間要素tの値を付与した教師データを用いて、ニューラルネットワークを学習する。
【0114】
学習部12Bは、目的関数が最小、つまり0となるように、ニューラルネットワークの重みパラメータを調整する。学習部12Bは、誤差逆伝搬法や確率的勾配降下法などを用いて、目的関数を勾配法で最適化することができる。学習部12Bによって構築された学習済みの第3機械学習モデルは、後述の第3モデル記憶部142に記憶される。
【0115】
図12に戻り、演算部13Bは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、ネットワークスライスに固定値として割り当てる、リソースブロック数の設定値、およびリソース要素の要素情報を未知の入力として学習済みの第3機械学習モデルに与え、学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報を、周波数要素、時間要素、および空間要素のうち、第4取得部17によって取得された要素情報に係るリソース要素以外のリソース要素ごとに出力する。
【0116】
記憶部14Bは、第3モデル記憶部142を備える。記憶部14Bは、第4取得部17によって取得された、周波数要素、時間要素、および空間要素のうちの1つまたは2つの要素情報を記憶する。
【0117】
第3モデル記憶部142は、学習部12Bによって構築された学習済みの第3機械学習モデルを記憶する。
【0118】
通知部15は、ネットワークスライスに割り当てる、リソース要素ごとのリソースブロックに関する情報を、基地局30に通知する。より具体的には、通知部15は、演算部13Bによって求められたリソース要素の値で示されるリソースブロックに関する情報を基地局30に通知する。
【0119】
[通信管理装置の動作]
次に、上述した構成を有する通信管理装置1Bの動作を、
図14および
図15のフローチャートを参照して説明する。
図14は、通信管理装置1Bによる学習処理を示すフローチャートである。
図15は、通信管理装置1Bによる演算処理を示すフローチャートである。
【0120】
まず、
図14に示すように、学習部12Bは、要素情報を取得する(ステップS200)。より具体的には、ステップS200において、ネットワークスライスに固定値として割り当てる、周波数要素、時間要素、および空間要素のうちのいずれか1つまたは2つのリソース要素に関する要素情報を取得する。学習部12Bは、第4取得部17によって取得された要素情報を取得することができる。
【0121】
次に、学習部12Bは、学習処理で用いる教師データを用意する(ステップS201)。具体的には、学習部12Bは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、固定値として設定するリソースブロック数の設定値、および固定値として設定するリソース要素の要素情報を含む入力値に対して、固定値として設定するリソース要素以外のリソース要素の値を正解ラベルとして与えた教師データを用意する。
【0122】
次に、学習部12Bは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、固定値として設定するリソースブロック数の設定値、および固定値として設定するリソース要素の要素情報と、周波数要素、時間要素、および空間要素のうち、固定値として設定する要素情報に係るリソース要素以外のリソース要素ごとの、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報との関係を、第3機械学習モデルを用いて学習する(ステップS202)。
【0123】
第3モデル記憶部142は、ステップS202で構築された学習済みの第3機械学習モデルを記憶する(ステップS203)。
【0124】
次に、
図15に示すように、第3取得部16は、リソースブロックが割り当てられるネットワークスライスに関する情報を取得する(ステップS300)。第3取得部16がステップS300で取得するネットワークスライスに関する情報には、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、およびネットワークスライスに割り当てられたリソースブロック数の設定値が含まれる。
【0125】
次に、第4取得部17は、周波数要素、時間要素、および空間要素のうちのいずれか1つまたは2つのリソース要素についての設定された要素数を含む要素情報を取得する(ステップS301)。
図13の例を用いると、ステップS301において、第4取得部17は、空間ストリームs
1、s
2の数あるいは空間ストリームs
1、s
2の値を取得することができる。
【0126】
次に、演算部13Bは、第3モデル記憶部142から、学習済みの第3機械学習モデルをロードする(ステップS302)。次に、演算部13Bは、ネットワークスライスに関連付けられた通信品質に関する要求情報、ネットワークスライスに固定値として割り当てる、リソースブロック数の設定値、およびリソース要素の要素情報を未知の入力として学習済みの第3機械学習モデルに与え、学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報を、周波数要素、時間要素、および空間要素のうち、ステップS301で第4取得部17によって取得された要素情報に係るリソース要素以外のリソース要素ごとに出力する(ステップS303)。
【0127】
図13の例を用いると、ステップS303では、ネットワークスライスIDに関連付けられた通信品質に関する要求情報、固定値として設定されるリソースブロック数、および固定値として設定される空間要素sの数を含む要素情報を未知の入力として、学習済みの第3機械学習モデルに与える。演算部13Bは、学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、周波数要素fの値、および時間要素tの値によって与えられるリソースブロックに関する情報を出力する。
【0128】
次に、通知部15は、ステップS303で求められた、リソース要素ごとのリソースブロックに関する情報を基地局30に通知する(ステップS304)。通知を受けた基地局30は、ネットワークスライスに対してリソースブロックを割り当てて登録する。
図13の例によれば、通知部15は、基地局30に対して、ネットワークスライスIDに関連付けられた周波数要素fの値、および時間要素tの値を通知することができる。
【0129】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る通信管理装置1Bによれば、ネットワークスライスIDに関連付けられた通信品質に関する要求情報、リソースブロック数の設定値、および固定値として設定するリソース要素の要素情報を未知の入力として学習済みの第3機械学習モデルに与え、学習済みの第3機械学習モデルの演算を行って、ネットワークスライスに割り当てるリソースブロックに関する情報を周波数要素、時間要素、および空間要素のうち、固定値として設定されたリソース要素以外のリソース要素ごとに出力する。そのため、リソースブロック数の設定値および特定のリソース要素が固定的に割り当てられているネットワークスライスに対して、固定値として設定したリソース要素以外のリソース要素の値で特定されるリソースブロックを割り当てることができる。
【0130】
なお、上述した第3の実施の形態では、
図13に例示したように、周波数要素、時間要素、および空間要素のうち、1つのリソース要素として空間要素に関する要素情報を固定値として取得し、残りの周波数要素および時間要素に関する値を求める場合について説明した。しかし、前述したように、第3機械学習モデルの入力ノードとして設定するリソース要素は、周波数要素または時間要素であってもよい。さらに、第3機械学習モデルの入力ノードとして設定するリソース要素は、1種類のリソース要素だけでなく、3つのリソース要素のうちから選択された2つのリソース要素を固定値とすることができる。この場合、演算部13Bによって出力されるのは、残り1つのリソース要素の値である。
【0131】
また、上述した実施の形態では、第1機械学習モデル、第2機械学習モデル、および第3機械学習モデルとして、入力層、隠れ層、および出力層を備えるニューラルネットワークモデルを用いる場合について説明した。第2機械学習モデルおよび第3機械学習モデルとして採用するニューラルネットワークモデルとしては、リカレントニューラルネットワーク(RNN)や深層マルチモーダルニューラルネットワークを用いることができる。
【0132】
また、第1機械学習モデル、第2機械学習モデル、および第3機械学習モデルは、上述したニューラルネットワークモデルの他、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、決定木等、さらにニューラルネットワークを多層化したディープラーニングを用いてもよい。また、これらの教師あり学習の他、教師なし学習を行う機械学習モデルとして、敵対的生成ネットワークや変分オードエンコーダ等の生成モデルを用いてもよい。
【0133】
なお、上述の実施の形態では、5Gに準拠する通信管理システムである場合を例示したが、LTEや6Gに準拠する通信管理システムであってもよい。
【0134】
以上、本発明の通信管理装置および通信管理方法における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0135】
1…通信管理装置、10…第1取得部、11…第2取得部、12…学習部、13…演算部、14…記憶部、15…通知部、2…通信端末、3…無線アクセスネットワーク、30…基地局、4…コアネットワーク、NSSF…40、AMF…41、101…バス、102…プロセッサ、103…主記憶装置、104…通信インターフェース、105…補助記憶装置、106…入出力I/O、140…第1モデル記憶部、L、NW…ネットワーク。
【要約】
【課題】より簡易な構成により、ネットワークスライスの通信品質に関する要求に応じた無線リソースの割り当てを行うことを目的とする。
【解決手段】
通信管理装置1は、複数のネットワークスライスに関する情報を取得し、複数のネットワークスライスに関する情報には、複数のネットワークスライスの各々に関連付けられた通信品質に関する要求情報が含まれる、第1取得部10と、リソースブロックの数の初期値を取得する第2取得部11と、初期値を未知の入力として学習済みの第1機械学習モデルに与え、学習済みの第1機械学習モデルの演算を行って、要求情報が関連付けられた複数のネットワークスライスの各々に割り当てる、最適化されたリソースブロックの数を出力する演算部12と、複数のネットワークスライスの各々に割り当てる最適化されたリソースブロックの数を、基地局30に通知する通知部15とを備える。
【選択図】
図1