(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】自動出荷装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2021115636
(22)【出願日】2021-07-13
【審査請求日】2022-08-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】折原 諭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 郁也
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189426(JP,A)
【文献】特開2018-087083(JP,A)
【文献】特開2015-037992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品と前記商品が載置又は収容される出荷器体とを保管すると共に前記商品と前記出荷器体とを自動出庫することができる自動倉庫部と、
前記自動倉庫部の駆動制御を行う制御部と、
前記自動倉庫部から自動出庫された前記商品が前記出荷器体に載置又は収容されるピッキング作業部と、
を備えた自動出荷装置であって、
前記制御部は、前記商品と前記出荷器体とを
、前記出荷器体を先に出庫し前記商品を後に出庫し、かつ、重い前記商品から順に出庫するように前記自動倉庫部を制御することで、前記出荷器体の重心バランスを安定させると共に、軽い前記商品が重い前記商品に押しつぶされることを防止することを可能とすることを特徴とする自動出荷装置。
【請求項2】
前記ピッキング作業部は、前記自動倉庫部から自動出庫される前記商品及び前記出荷器体が搬送及び一時待機される単一の搬送ラインを有することを特徴とする請求項1に記載の自動出荷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記出荷器体を出荷先毎に出庫して少なくとも1つの前記商品を前記出荷器体に投入できるよう前記自動倉庫
部から前記搬送ライン上に出庫するよう前記自動倉庫部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動出荷装置。
【請求項4】
前記搬送ラインは、出荷先毎に前記出荷器体への全ての前記商品の投入完了を検知する検知センサを有し、
前記制御部は、前記検知センサが投入完了を検知するまで前記搬送ラインを停止し前記商品及び前記出荷器体を一時待機させることを特徴とする請求項2又は3に記載の自動出荷装置。
【請求項5】
前記ピッキング作業部は、前記自動倉庫部から自動出庫される前記商品が搬送及び一時待機される商品出庫ラインと、前記自動倉庫部から自動出庫される前記出荷器体が搬送及び一時待機される出荷器体出庫ラインと、を有することを特徴とする請求項1に記載の自動出荷装置。
【請求項6】
前記制御部は、出荷先毎に、少なくとも1つの前記商品を含む商品グループを前記自動倉庫
部から前記商品出庫ライン上に出庫すると共に、前記出荷先毎に、前記商品グループの出庫と同期して前記出荷器体を前記出荷器体出庫ライン上に出庫することを特徴とする請求項5に記載の自動出荷装置。
【請求項7】
前記出荷器体出庫ラインは、出荷先毎に前記出荷器体への全ての前記商品の投入完了を検知する検知センサを有し、
前記制御部は、前記検知センサが投入完了を検知するまで前記商品出庫ライン及び前記出荷器体出庫ラインを停止し前記商品及び前記出荷器体を一時待機させるよう前記自動倉庫部を制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の自動出荷装置。
【請求項8】
前記検知センサは、前記出荷器体への全ての前記商品の投入完了を、前記出荷器体の重量変化に基づき検知することを特徴とする請求項4又は7に記載の自動出荷装置。
【請求項9】
前記出荷器体は、段ボール箱、樹脂製の箱、金属製の箱、オリコン、パレット、組み立て式の箱、袋、コンテナ又はトレーのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の自動出荷装置。
【請求項10】
前記自動出荷装置は、前記自動倉庫部に接続され前記出荷器体を前記自動倉庫部に供給する出荷器体供給部を更に備え、
前記出荷器体供給部は、段ボールシートを前記段ボール箱の形態に自動製函して前記自動倉庫部に供給することを特徴とする請求項9に記載の自動出荷装置。
【請求項11】
前記自動出荷装置は、前記自動倉庫部に接続され前記出荷器体を前記自動倉庫部に供給する出荷器体供給部を更に備え、
前記出荷器体供給部は、折りたたまれた状態の前記組み立て式の箱を箱状に自動的に組み立てて前記自動倉庫部に供給することを特徴とする請求項9に記載の自動出荷装置。
【請求項12】
前記自動出荷装置は、前記自動倉庫部に接続され前記出荷器体を前記自動倉庫部に供給する出荷器体供給部を更に備え、
前記出荷器体供給部は、給紙部から供給された薄体を箱状に自動的に組み立てて前記自動倉庫部に供給することを特徴とする請求項9に記載の自動出荷装置。
【請求項13】
前記ピッキング作業部は、自動的にピッキングを行う自動ピッキング装置を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の自動出荷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品物流に用いられる自動出荷装置に関し、特に、商品配送センターにおいて、多種多様な商品を多種多様な収容容器に正確かつ迅速にピッキングをすることができる自動出荷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の社会情勢を反映して通信販売等の宅配サービスの利用の機会が増加し、これに対応すべく物流業界では取扱商品の種類と物量が増加し、また、出荷に要する時間の短縮化が求められ、業務負担が増加している。
【0003】
物流業界ではこうした状況に対応すべく、商品配送センターにおける処理量の増加と業務の迅速化を推進しているが、人的努力だけでは限界があった。例えば、人員の増加による対応では、出入庫作業の際の入庫ミスや出庫ミス等の発生を抑制することが出来ず、大きな問題となっていた。
【0004】
一方、近時の通信販売等の宅配サービスの処理量の増加は、コロナ禍によりさらに増加の一途をたどっており、各物流センターの人員確保の難しさも大きな問題となっている。つまり、宅配サービスの処理量増加に対し、省人化を踏まえた上での能力向上が強く求められているのである。
【0005】
そこで、商品配送センターの各構成部分の自動化による作業の迅速化、効率化及び高精度化が進められている。例えば、商品配送センターの倉庫部分について、棚部への物品の出入庫を自動化した自動倉庫システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載の自動倉庫システムは、複数行複数列の収容部を有する棚部と、棚部内を列方向に移動する搬送台車と、棚部内を行方向に移動するスタッカークレーンと、搬送台車及びスタッカークレーンの動作を行う制御部とを備え、搬送台車とスタッカークレーンが制御部による制御の下で商品を搬送することで、商品の出入庫を自動的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、こうした自動倉庫システムの具体的な運用についての考察はなされていなかった。出荷に要する時間に大きな影響を与えるピッキングを迅速化するためには、自動倉庫システムからの商品の出庫順や自動倉庫システムを有する自動出荷装置全体の構成を工夫することが必要であり、こうした工夫が求められていた。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、商品のピッキングを迅速に行うことができる自動出荷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る自動出荷装置は、商品と前記商品が載置又は収容される出荷器体を保管すると共に前記商品と前記出荷器体を自動出庫することができる自動倉庫部と、前記自動倉庫部の駆動制御を行う制御部と、前記自動倉庫部から自動出庫された前記商品が前記出荷器体に載置又は収容されるピッキング作業部と、を備えた自動出荷装置であって、前記制御部は、前記商品と前記出荷器体を所定の順序で出庫する制御を行うことを特徴とする。
【0011】
これにより、商品と折りたたみコンテナ(オリコン)やパレット等の出荷器体を自動倉庫部から出荷先毎に、ピッキングに効率的な順序で出庫することができ、商品のピッキングを迅速に行うことが可能となる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る自動出荷装置は、第1の態様において、前記ピッキング作業部は、前記自動倉庫部から自動出庫される前記商品及び前記出荷器体が搬送及び一時待機される単一の搬送ラインを有することを特徴としてもよい。
【0013】
これにより、簡単な構成の搬送ラインとすることができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係る自動出荷装置は、第1又は第2の態様において、前記制御部は、前記出荷器体を出荷先毎に出庫すると共に少なくとも1つの前記商品を前記出荷器体に投入できるよう前記自動倉庫から前記搬送ライン上に出庫するよう前記自動倉庫部を制御することを特徴としてもよい。
【0015】
これにより、商品と出荷器体をそれぞれ自動倉庫部から搬送ライン上にピッキングに効率的な順序で出庫することができ、商品のピッキングを迅速に行うことが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様に係る自動出荷装置は、第2又は第3の態様において、前記搬送ラインは、出荷先毎に前記出荷器体への全ての前記商品の投入完了を検知する検知センサを有し、前記制御部は、前記検知センサが投入完了を検知するまで前記搬送ラインを停止し前記商品及び前記出荷器体を一時待機させることを特徴としてもよい。
【0017】
これにより、ピッキングのミスを効果的に防止することが可能となる。
【0018】
本発明の第5の態様に係る自動出荷装置は、第1の態様において、前記ピッキング作業部は、前記自動倉庫部から自動出庫される前記商品が搬送及び一時待機される商品出庫ラインと、前記自動倉庫部から自動出庫される前記出荷器体が搬送及び一時待機される出荷器体出庫ラインと、を有することを特徴としてもよい。
【0019】
これにより、効率的なピッキングを可能とする搬送ライン構成(商品出庫ライン、出荷器体出庫ライン)とすることができる。
【0020】
本発明の第6の態様に係る自動出荷装置は、第5の態様において、前記制御部は、出荷先毎に、少なくとも1つの前記商品を含む商品グループを前記自動倉庫から前記商品出庫ライン上に出庫すると共に、前記出荷先毎に、前記商品グループの出庫と同期して前記出荷器体を前記出荷器体出庫ライン上に出庫することを特徴としてもよい。
【0021】
これにより、商品と出荷器体をそれぞれ自動倉庫部から各搬送ライン上にピッキングに効率的な順序で出庫することができ、商品のピッキングを迅速に行うことが可能となる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る自動出荷装置は、第5又は第6の態様において、前記出荷器体出庫ラインは、出荷先毎に前記出荷器体への全ての前記商品の投入完了を検知する検知センサを有し、前記制御部は、前記検知センサが投入完了を検知するまで前記商品出庫ライン及び前記出荷器体出庫ラインを停止し前記商品及び前記出荷器体を一時待機させることを特徴としてもよい。
【0023】
これにより、ピッキングのミスを効果的に防止することが可能となる。
【0024】
本発明の第8の態様に係る自動出荷装置は、第4又は第7の態様において、前記検知センサは、前記出荷器体への全ての前記商品の投入完了を、前記出荷器体の重量変化に基づき検知することを特徴としてもよい。
【0025】
これにより、出荷器体の重量を計測するという簡易な方法により、ピッキングのミスを効果的に防止することが可能となる。
【0026】
本発明の第9の態様に係る自動出荷装置は、第1乃至第8の何れかの態様において、前記制御部は、前記商品について、重い前記商品から順に出庫するように前記自動倉庫部を制御することを特徴としてもよい。
【0027】
これにより、ピッキングに際して出荷器体への商品の収容を効率的に行うことが可能となる。
【0028】
本発明の第10の態様に係る自動出荷装置は、第1乃至第7の何れかの態様において、前記出荷器体は、段ボール箱、樹脂製の箱、金属製の箱、オリコン、パレット、組み立て式の箱、袋、コンテナ又はトレーのうちの少なくとも1つを含むことを特徴としてもよい。
【0029】
これにより、出荷器体として種々の容器を用いることができ、多様な商品に適切に対応した出荷器体を使用することが可能となる。
【0030】
本発明の第11の態様に係る自動出荷装置は、第10の態様において、前記自動出荷装置は、前記自動倉庫部に接続され前記出荷器体を前記自動倉庫部に供給する出荷器体供給部を更に備え、前記出荷器体供給部は、段ボールシートを前記段ボール箱の形態に自動製函して前記自動倉庫部に供給することを特徴としてもよい。
【0031】
これにより、出荷器体として段ボール箱を用いる場合に段ボールシートからの段ボール箱の形成を自動的に行うことができ、商品出荷をより効率的に行うことが可能となる。
【0032】
本発明の第12の態様に係る自動出荷装置は、第10の態様において、前記自動出荷装置は前記自動倉庫部に接続され前記出荷器体を前記自動倉庫部に供給する出荷器体供給部を更に備え、前記出荷器体供給部は折りたたまれた状態の前記組み立て式の箱を箱状に自動的に組み立てて前記自動倉庫部に供給することを特徴としてもよい。
【0033】
これにより、出荷器体として組み立て式の箱を用いる場合に折りたたまれた状態から箱状への組み立てを自動的に行うことができ、商品出荷をより効率的に行うことが可能となる。
【0034】
本発明の第13の態様に係る自動出荷装置は、第10の態様において、前記自動出荷装置は、前記自動倉庫部に接続され前記出荷器体を前記自動倉庫部に供給する出荷器体供給部を更に備え、前記出荷器体供給部は、給紙部から供給された薄体を箱状に自動的に組み立てて前記自動倉庫部に供給することを特徴としてもよい。
【0035】
これにより、出荷器体として薄体を組み立てた箱を用いる場合に薄く伸ばされた状態から箱状への組み立てを自動的に行うことができ、商品出荷をより効率的に行うことが可能となる。
【0036】
本発明の第14の態様に係る自動出荷装置は、第1乃至第13の何れかの態様において、前記ピッキング作業部は、自動的にピッキングを行う自動ピッキング装置を有することを特徴としてもよい。
【0037】
これにより、ピッキングに要する人員を削減することができると共に、ピッキングをより効率的に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0038】
上述した構成からなる本発明によれば、商品と出荷器体を自動倉庫部から出荷先毎に、ピッキングに効率的な順序で出庫することができるため、商品のピッキングを迅速に行うことができ、出荷に要する時間を削減し迅速に出荷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自動出荷装置を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る自動出荷装置に用いられる制御部の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る自動出荷装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動出荷装置1を示す模式図である。
図1に示すように、自動出荷装置1は、出荷器体供給部2と、出荷器体入庫ライン3と、自動倉庫部4と、搬送ライン5と、検知センサ6と、自動封緘機7と、ラベル貼付機8と、出荷ライン9と、これらの駆動を制御する制御部10とを備えて構成されている。
【0042】
出荷器体供給部2は、出荷器体Bを出荷器体入庫ライン3を通じて自動倉庫部4に自動供給する機構である。本実施形態においては、出荷器体Bとして段ボール箱、樹脂製の箱、金属製の箱、オリコン、パレット、組み立て式の箱、袋、コンテナ又はトレーのうちの少なくとも1つが用いられることを想定している。このように、出荷器体供給部2が多様な出荷器体Bを取り扱えることで、出荷器体として種々の容器を用いることができ、多様な商品に適切に対応した出荷器体を使用することが可能となる。
【0043】
そして、出荷器体供給部2は、出荷器体Bが段ボール箱である場合には、展開された状態の段ボールシートを段ボール箱の形状に自動製函して自動倉庫部4に供給する。これにより、出荷器体として段ボール箱を用いる場合に段ボールシートからの段ボール箱の形成を自動的に行うことができ、商品出荷をより効率的に行うことが可能となる。
【0044】
また、自動容器供給部2は、出荷器体Bが再利用可能な組み立て式の箱である場合には、折りたたまれた状態の組み立て式の箱を箱状に自動的に組み立てて自動倉庫部4に供給する。これにより、出荷器体として組み立て式の箱を用いる場合に折りたたまれた状態から箱状への組み立てを自動的に行うことができ、商品出荷をより効率的に行うことが可能となる。
【0045】
さらに、自動容器供給部2は、出荷器体Bが薄体を組み立てた組み立て式の箱である場合には、給紙部から供給された薄体を箱状に組み立てて自動倉庫部4に供給する。これにより、出荷器体として薄体を組み立てた箱を用いる場合に薄く伸ばされた状態から箱状への組み立てを自動的に行うことができ、商品出荷をより効率的に行うことが可能となる。
【0046】
なお、本発明においては上述した出荷器体B以外の種類の出荷器体Bが用いられてもよく、この場合にも出荷器体供給部2による自動供給が可能となっている。また、本発明においては出荷器体供給部2が複数の種類の出荷器体Bを扱うのではなく、1種類の出荷器体Bを扱う態様であってもよい。また、本発明においては出荷器体供給部2を省略し、出荷器体Bの自動倉庫部4への供給を手動で行う態様であってもよい。
【0047】
出荷器体入庫ライン3は、出荷器体供給部2から自動供給された出荷器体Bを自動倉庫部4に搬送するための搬送機構であり、ベルトコンベアやローラーコンベア等の搬送機構を適宜組み合わせて構成されている。
【0048】
自動倉庫部4は、商品Gの格納と入出庫を自動的に行うことが可能なものであれば任意のものを適用することができる。例えば、自動倉庫部4は、図示しない格納部と入出庫部から構成されている。
【0049】
入出庫部は、コンベア等が主体であり、格納部は、格納棚が商品Gや出荷器体Bの出し入れ可能な格納面で所定の空間を隔てて対峙し並置されており、その空間に商品Gや出荷器体Bの移載手段が配置された格納設備が構成単位となっている。
【0050】
移載手段は、商品Gや出荷器体Bを出し入れ可能な、例えば、伸縮アームが備えられた走行台車及び走行レールが、格納棚のY軸方向の各段に備えられて、X軸方向の物品等の自在な往復移動を担い、商品等載置搬送台を付設した昇降機が、Y軸方向の商品Gや出荷器体Bの自在な往復移動を担っているものが挙げられる。
【0051】
こうした移載手段では、更に、走行台車と商品等載置搬送台との商品G等の移載を滞りなく行うため、これらを媒介する仮置き搬送台が、Y軸方向の格段の一端に設けられている。
【0052】
搬送ライン5は、自動倉庫部4から自動供給された商品Gを作業者Pがピッキング作業を行うピッキング作業部Wへと搬送する搬送機構であり、ベルトコンベアやローラーコンベア等の搬送機構を適宜組み合わせて構成されている。ピッキング作業部Wは、具体的には搬送ライン5のうち検知センサ6上及びそれよりも上流部分を示す。後に詳述するように、出荷器体Bと商品Gがピッキング作業部Wに到達すると、搬送ライン5は作業者Pによるピッキングのために一時停止する。
【0053】
検知センサ6は、搬送ライン5と一体化した重量計であり、検知センサ6上に位置する出荷器体Bの重量変化を検知する。そして、検知センサ6は、出荷器体Bの重量が当初重量、すなわち空の状態から、予め制御部10により割り振られている、出荷先別のグループSを構成している出荷器体B及び商品Gの全重量に到達したこと、すなわち出荷器体Gへの商品Gの投入完了を検知すると、制御部10に対し、当該投入完了を通知する。検知センサ6を備えることにより、ピッキングのミスを効果的に防止することが可能となる。
【0054】
なお、本発明においては検知センサ6は重量計に限らず、出荷器体B内の画像を撮影して当該画像に基づき商品Gの投入完了を検知する画像認識手段であってもよい。ただし、検知センサ6が重量計である場合、出荷器体の重量を計測するという簡易な方法により、ピッキングのミスを効果的に防止することが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態においてはピッキング作業は作業者Pにより手動で行われるが、本発明においてはこれに限らず、ピッキング作業を自動的に行う自動ピッキング装置(ロボットアームやロボットハンド等の自動移載装置)を用いて行う態様であってもよい。これにより、ピッキングに要する人員を削減することができると共に、ピッキングをより効率的に行うことが可能となる。
【0056】
自動ピッキング装置は、ピッキング作業部Wに到着した商品Gを保持し、当該商品Gを出荷器体Bへ投入する作業を行う。このとき、出荷器体Bへの商品Gの移載は、制御部10からの情報を入手することで商品Gおよび出荷器体Bがピッキング作業部Wへ到着したことを検出した後で行ってもよく、商品Gおよび出荷器体Bのピッキング作業部Wへの到着を画像認識手段により検知してから行ってもよい。また、画像認識手段を用いて商品Gおよび出荷器体Bのサイズや形状を検出することで、商品Gの保持および移載を最適に行うことが可能となる。
【0057】
自動封緘機7は、商品G投入後の出荷器体Bを封緘する装置である。例えば、出荷器体Bが段ボール箱であれば、自動封緘機7は、段ボール箱の上口フラップの自動封緘を行う。また、出荷器体Bが再利用可能な樹脂製の組み立て式ラック箱である場合には、ラック箱への蓋体の載置を行う。こうして出荷器体Bの蓋部Cが形成される。
【0058】
ラベル貼付機8は、商品Gの顧客宛先、内容物、送り状等の必要な記載を自動印刷したラベルLを出荷器体Bの蓋部Cに貼付又は添付する装置である。自動封緘機7及びラベル貼付機8により、出荷器体Bの封緘及び送り状貼付の人間による作業が不要となる。なお、本実施形態においてはラベルLは蓋部Cに貼付又は添付されるが、本発明においてはこれに限らず、任意の箇所、例えば出荷器体Bの側壁部に貼付される態様であってもよい。
【0059】
出荷ライン9は、商品Gが収容され、ラベルLが貼付又は添付された出荷器体Bを、図示しない出荷作業部、すなわち出荷先別の選別及びトラック等の配送手段への積み込みを行うエリアへの搬送を行うための搬送機構であり、ベルトコンベアやローラーコンベア等の搬送機構を適宜組み合わせて構成されている。
【0060】
制御部10は、出荷器体供給部2、出荷器体入庫ライン3、自動倉庫部4、搬送ライン5、検知センサ6、自動封緘機7、ラベル貼付機8及び出荷ライン9と有線又は無線で接続され、これらの駆動制御を行う。制御部10は、制御部10全体を制御するCPU(Central Processing Unit)と、CPUで動作する制御プログラム等を格納したROM(Read-only Memory)と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory)と、各種データを記憶するための記憶手段とを備えて構成されている。
【0061】
図2は、本発明の第1実施形態に係る自動出荷装置に用いられる制御部の機能ブロック図である。
図2に示すように、制御部10は、CPUがROMに格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、入力部101、出荷器体供給部制御部102、出荷器体入庫ライン制御部103、入庫制御部104、出庫制御部105、搬送ライン制御部106、投入完了判定部107、自動封緘機制御部108、ラベル貼付機制御部109及び出力部110として機能する。
【0062】
入力部101は、出荷器体供給部2、出荷器体入庫ライン3、自動倉庫部4、搬送ライン5、検知センサ6、自動封緘機7、ラベル貼付機8及び出荷ライン9から受信した情報を、出荷器体供給部制御部102、出荷器体入庫ライン制御部103、入庫制御部104、出庫制御部105、搬送ライン制御部106、投入完了判定部107、自動封緘機制御部108、ラベル貼付機制御部109及び出力部110が扱うことのできる形式の情報に変換する。
【0063】
出荷器体供給部制御部102は、出荷器体供給部2の稼働制御を行う。例えば、出荷器体供給部制御部102は、自動倉庫部4内のある種類の出荷器体Bが飽和状態であることを示す情報を自動倉庫部4から受信すると、次に自動倉庫部4からその種類の出荷器体Bを要求する情報を受信するまで、当該種類の出荷器体Bについて出荷器体供給部2による供給を停止する。
【0064】
出荷器体入庫ライン制御部103は、出荷器体入庫ライン3の駆動制御を行う。例えば、出荷器体供給部2からの出荷器体Bの供給が停止している場合には、出荷器体入庫ライン制御部103は、出荷器体入庫ライン3の運転を停止する。これにより、自動出荷装置1の消費電力を削減することができる。
【0065】
入庫制御部104と出庫制御部105は、自動倉庫部4の稼働制御を行う。具体的には、入荷制御部104は、自動倉庫部4への商品G及び出荷器体Bの入庫制御、すなわち、どの格納スペースにどの商品G及び/又は出荷器体Bを、どれだけの数量格納するかについての制御を行う。具体的な格納は、入庫制御部104が自動倉庫部4内の移載手段の駆動制御をすることで行われる。出庫制御部105は、自動倉庫部4からの商品G及び出荷器体Bの出庫制御、すなわち、どの格納スペースからどの商品G及び/又は出荷器体Bを、どれだけの数量出庫するかについての制御を行う。具体的な出庫は、出庫制御部105が自動倉庫部4内の移載手段の駆動制御をすることで行われる。
【0066】
搬送ライン制御部106は、搬送ライン5の駆動制御を行う。例えば、出荷先別のグループSがピッキング作業部Wに到達し、検知センサ6が出荷器体Bを検知すると、搬送ライン制御部106は、グループSを構成する出荷器体Bへの商品Gの収納が完了するまで、搬送ライン5の駆動を停止させる。
【0067】
投入完了判定部107は、検知センサ6により検知された重量に基づき、グループS毎に、全ての商品Gが出荷器体Bに投入されたか否かについての判定を行う。すなわち、グループS毎に出荷器体Bと商品Gの総重量が予め規定されていて、検知センサ6による計量の結果、出荷器体Bについて当該総重量に到達すると、投入完了判定部107は、出荷器体Bへの商品Gの投入が完了したと判定する。そして、投入完了判定部107は、投入が完了すると、搬送ライン制御部106に対して搬送ライン5の駆動を再開させるよう制御する指示を出すと共に、出庫制御部105に対して、次のグループSを出庫するよう指示する。
【0068】
自動封緘機制御部108は、自動封緘機7の駆動制御を行う。具体的には、自動封緘機制御部108は、自動封緘機7に対し、到達する出荷器体Bの種類を通知する。これにより、自動封緘機7は、出荷器体B毎の封緘動作を行うことが可能となる。
【0069】
ラベル貼付機制御部109は、ラベル貼付機8の駆動制御を行う。具体的には、ラベル貼付機制御部109は、ラベル貼付機8に対して、ラベルLに記載される商品Gの顧客宛先、内容物、送り状等の内容を示す情報を送信する。これにより、ラベル貼付機8は、ラベルLを印刷すると共に、印刷されたラベルLを出荷器体Bに貼付又は添付することができる。
【0070】
出力部110は、制御部10内の各機能ブロックから出力された情報について、出荷器体供給部2、出荷器体入庫ライン3、自動倉庫部4、搬送ライン5、検知センサ6、自動封緘機7、ラベル貼付機8及び出荷ライン9が取り扱える形式の情報に変換して、これらの構成に送信する。
【0071】
次に、上述した構成を備える自動出荷装置1による商品出荷の様子について詳述する。まず、制御部10の出庫制御部105は、自動倉庫部4に対して、出荷先毎のグループSを構成する出荷器体B及び全ての商品Gを出荷するよう指示をする。
【0072】
この指示には、どの格納スペースからどの商品G及び/又は出荷器体Bを、どれだけの数量出庫するかについて示す情報、及び、出荷器体Bと商品Gをどのような順に出庫するかについて示す情報が含まれる。
【0073】
例えば、出庫制御部105は、自動倉庫部4に対して、グループS毎に、出荷器体Bを先に出庫し、商品Gを後に出庫するよう指示をする。これにより、作業者Pは、ピッキング作業を効率的に行うことができる。
【0074】
また、例えば出庫制御部105は、自動倉庫部4に対して、グループSに含まれる商品Gのうち、重い商品Gから順に出庫するよう指示をする。出荷器体B内に商品Gを収容する際に、重い商品Gから順に出荷器体Bに収容することで、出荷器体Bの重心バランスを安定させると共に、軽い商品Gが重い商品Gに押しつぶされることを防止することができる。
【0075】
こうした収容は、従来は作業者Pが実際に商品Gを持ち上げ重量を確認しつつ行われていたため迅速なピッキング作業を行うことは困難であった。しかし、本発明においては自動倉庫部4が重い商品Gから順番に出庫することで、作業者Pは出庫された順に商品Gを出荷器体Bに収容すればよく、ピッキング作業をより迅速に行うことが可能となる。
【0076】
次に、搬送ライン制御部106は、出荷先別のグループSがピッキング作業部Wに到達し、検知センサ6が出荷器体Bを検知するまで搬送ライン5を駆動させ、検知センサ6が出荷器体Bを検知すると、搬送ライン5を停止する。搬送ライン制御部106は、グループSを構成する出荷器体Bへの商品Gの収納が完了するまで、搬送ライン5の駆動を停止させる。
【0077】
次に、作業者Pは、ピッキング作業部Wに到達したグループSに含まれる出荷器体Bに、当該グループSに含まれる商品Gを収容する。このとき、検知センサ6は、出荷器体Bへの商品Gの収納に伴う出荷器体Bの重量変化を計測し続ける。
【0078】
次に、検知センサ6が出荷器体Bの重量変化に基づき商品Gの投入完了を検知すると、搬送ライン制御部106は搬送ライン5の駆動を再開し、当該出荷器体Bを自動封緘機7へと搬送する。
【0079】
次に、自動封緘機7は、出荷器体Bの種類に応じた封緘を行う。出荷器体Bの種類は予め自動封緘機制御部108から自動封緘機7に通知されている。そして、封緘後の蓋部Cが形成された出荷器体Bは、ラベル貼付機8に搬送される。
【0080】
次に、ラベル貼付機8は、ラベル貼付機制御部109から送信された情報に基づきラベルLに商品Gの顧客宛先、内容物、送り状等の内容を印刷し、印刷されたラベルLを出荷器体Bの蓋体Cに貼付又は添付する。
【0081】
こうしてラベルLが貼付された出荷器体Bは、出荷ライン9を経て図示しない出荷作業部へと搬送される。
【0082】
上述した構成を備える第1実施形態に係る自動出荷装置1によると、商品Gと出荷器体Bを自動倉庫部4から出荷先毎に、ピッキングに効率的な順序で出庫することができるため、商品Gのピッキングを迅速に行うことができ、出荷に要する時間を削減し迅速に出荷することが可能となる。
【0083】
特に、第1実施形態に係る自動出荷装置1によると、単一の搬送ライン5のみを用いるため、簡単な構成の搬送ライン5とすることができると共に、商品Gと出荷器体Bを自動倉庫部4から搬送ライン5上にピッキングに効率的な順序で出庫することができ、商品Gのピッキングを迅速に行うことが可能となる。
【0084】
次に、本発明の第2実施形態に係る自動出荷装置1Bについて説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係る自動出荷装置を示す模式図である。
【0085】
図3に示すように、第2実施形態に係る自動出荷装置1Bは、第1実施形態に係る自動出荷装置1と異なり、自動倉庫部4からの搬送ラインとして、商品Gが搬送及び一時待機される商品出庫ライン5Aと、出荷器体Bが搬送及び一時待機される出荷器体出庫ライン5Bの2つの搬送ラインを備える。なお、搬送ライン以外については第1実施形態に係る自動出荷装置1の構成と同様であるため、搬送ライン以外の同様の構成については同じ符号を付し、説明は省略する。
【0086】
商品出庫ライン5Aは、商品Gを自動倉庫部4からピッキング作業部Wに搬送する搬送ラインである。商品出庫ライン5Aは、ベルトコンベアやローラーコンベア等の搬送機構を適宜組み合わせて構成されている。
【0087】
上述した第1実施形態に係る自動出荷装置1と同様に、制御部10の出荷制御部105(
図2参照)は、出荷先毎に、重い商品Gから出庫するよう自動倉庫部4を制御する。そして、制御部10の搬送ライン制御部106(
図2参照)は、出荷先毎の商品Gが全て出荷器体Bに投入されるまで、商品出庫ライン5Aの駆動を停止する。これにより、ピッキングのミスを効果的に防止することが可能となる。
【0088】
出荷器体出庫ライン5Bは、出荷器体Bを自動倉庫部4からピッキング作業部W、自動封緘機7及びラベル貼付機8へと搬送する搬送ラインである。出荷器体出庫ライン5Bは、ベルトコンベアやローラーコンベア等の搬送機構を適宜組み合わせて構成されている。
【0089】
次に、上述した構成を備える自動出荷装置1Bによる商品出荷の様子について詳述する。まず、制御部10の出庫制御部105は、自動倉庫部4に対して、出荷先毎のグループを構成する出荷器体B及び全ての商品Gを出荷するよう指示をする。商品Gは、商品出庫ライン5Aにより自動倉庫部4からピッキング作業部Wへと搬送され、一時停止される。出荷器体Bは、出荷器体出庫ライン5Bにより自動倉庫部4からピッキング作業部Wの検知センサ6上へと出荷先毎に搬送され、一時停止される。
【0090】
次に、作業者Pは、検知センサ6上に停止している出荷器体B内に、商品出庫ライン5A上に停止している商品Gを投入する。
【0091】
次に、検知センサ6が出荷器体Bの重量変化に基づき商品Gの投入完了を検知すると、搬送ライン制御部106は出荷器体出庫ライン5Bの駆動を再開し、当該出荷器体Bを自動封緘機7へと搬送する。自動出荷装置1Bによるこれ以降の動作は、上述した自動出荷装置1と同様である。
【0092】
上述した第2実施形態に係る自動出荷装置1Bによると、効率的なピッキングを可能とする搬送ライン構成(商品出庫ライン、出荷器体出庫ライン)とすることができると共に、商品と出荷器体をそれぞれ自動倉庫部から各搬送ライン上にピッキングに効率的な順序で出庫することができ、商品のピッキングを迅速に行うことが可能となる。
【0093】
なお、本発明は上述した第1実施形態に係る自動出荷装置1及び第2実施形態に係る自動出荷装置1Bの態様に限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1、1B 自動出荷装置
2 出荷器体供給部
3 出荷器体入庫ライン
4 自動倉庫部
5 搬送ライン
5A 商品出庫ライン
5B 出荷器体出庫ライン
6 検知センサ
7 自動封緘機
8 ラベル貼付機
9 出荷ライン
10 制御部
101 入力部
102 出荷器体供給部制御部
103 出荷器体入庫ライン制御部
104 入庫制御部
105 出庫制御部
106 搬送ライン制御部
107 投入完了判定部
108 自動封緘機制御部
109 ラベル貼付機制御部
110 出力部
B 出荷器体
G 商品
C 蓋部
L ラベル