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特許7367283歩行者誘導システム及び歩行者誘導ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】歩行者誘導システム及び歩行者誘導ロボット
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0955 20060101AFI20231017BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231017BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20231017BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20231017BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20231017BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G08G1/0955 B
G08G1/09 P
G08B25/00 510M
G08B21/00 E
G08B21/24
G08B25/04 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019208074
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2020091854
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2018218875
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518233501
【氏名又は名称】株式会社VOLLMONTホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 武治
(72)【発明者】
【氏名】石黒 周
(72)【発明者】
【氏名】山崎 文敬
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-049797(JP,A)
【文献】特開2002-216294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/0955
G08G 1/09
G08B 25/00
G08B 21/00
G08B 21/24
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサ、集音マイク、通話用マイクを含む入力系機器と、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆を含む出力系機器と、制御装置と、通信装置が設置された歩行者誘導ロボットと、
携帯端末、インカム、誘導ロボット操作装置を備えた誘導管理者用の装着装置と、
歩行者誘導ロボットと誘導管理者用の装着装置を通信回線で接続した歩行者誘導システムであって、
画像センサの検知データと集音マイクの音は誘導管理者用の装着装置に通知されており、通話用マイクとインカムが通信可能に繋がっていて、
歩行者誘導ロボット側において緊急事態が生じた場合、歩行者誘導ロボットは誘導管理者に緊急事態の発生を通知することを特徴とする歩行者誘導システム。
【請求項2】
歩行者誘導ロボットは少なくとも誘導路の一方に配置され、携帯端末とインカムとを備えた誘導管理者は少なくとも他方に配置されていることを特徴とする歩行者誘導システム。
【請求項3】
さらに、集中監視センターを備え、
集中監視センターは、歩行者誘導ロボットと誘導管理者用の装着装置に繋がっており、
集中監視センターは、歩行者誘導ロボットの制御装置を備え、歩行者誘導ロボットの画像と音声を記録し、歩行者誘導ロボットと誘導管理者用の装着装置との通信装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の歩行者誘導システム。
【請求項4】
緊急事態は、少なくとも、通行者からの問い合わせ時、工事現場への人の侵入時、不審者の発見時、交通弱者(車椅子、杖をつく人、歩行に障害のある人、幼児等の子供、ベビーカー)の接近時のいずれかであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の歩行者誘導システム。
【請求項5】
歩行者誘導ロボットにおいて画像センサの検知データにより検知された歩行者の種類に応じてプログラムされた手順で誘導し、
歩行者誘導ロボットにおいて緊急事態が生じた場合、誘導管理者に通知し、緊急事態に応じた適切な誘導を行い、
画像センサの検知データから不審な行動と判定された場合、誘導管理者に通知し、誘導路利用者の種類別に集計し、誘導管理者の応対を記録し、集中監視センターへ通知すること、を特徴とする請求項3又は4に記載の歩行者誘導システム。
【請求項6】
入力系機器と出力系機器と制御装置と通信機器を備えた歩行者誘導ロボットであり、
入力系機器は、画像センサ、集音マイク、通話用マイクを有し、
出力系機器は、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆を有し、
画像センサは、カメラあるいはLidar(light detection and ranging)であり、
誘導杆は、上下動可能なエアチューブ製であり、
プロジェクタは、路面投影用であり、
通信機器は、誘導管理者用端末と通信可能であり、
制御装置は、画像センサから取得された情報に基づいて感知した人物から誘導路の状態に応じて介添えが必要な者と不審な行動をとる不審者を判別する機能を備えていることを特徴とする歩行者誘導ロボット。
【請求項7】
誘導杆は、アクチエータが機体の内面あるいは背面に設置されていることを特徴とする請求項6記載の歩行者誘導ロボット。
【請求項8】
誘導杆は、LEDが設置されていることを特徴とする請求項6又は7記載の歩行者誘導ロボット。
【請求項9】
制御装置は、画像センサで得られた映像から誘導路利用者を判別するAIを搭載しており、
誘導路利用者別に統計処理し記録する機能を備えたことを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
【請求項10】
歩行者誘導ロボットは、下部機体と下部機体から立ち上げた人の背丈ほどの高さの上部機体を備えており、
下部機体には、コンプレッサー及び重量物が配置され、
上部機体には、入力系機器と出力系機器と制御装置、通信機器が配置され、
入力系機器は、画像センサ、集音マイク、通話用マイクを有し、
出力系機器は、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆を有し、
誘導杆は、アクチエータにエアチューブ製の誘導棒が取り付けられており、該アクチエータは上部機体の筐体内部あるいは背面に設置されており、
目線の高さの位置にデジタルサイネージが設けられており、デジタルサイネージより下方に路面方向に投影するプロジェクタが設けられており、デジタルサイネージより上方に画像センサが設けられていることを、
特徴とする請求項6~9のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
【請求項11】
下部機体には、取っ手と車輪が設置されており、
上部機体には、取っ手が設置されていることを特徴とする請求項10記載の歩行者誘導ロボット。
【請求項12】
人型をしていることを特徴とする請求項6~11のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
【請求項13】
デジタルサイネージ表示情報として、QRコード(登録商標)を含むことを特徴とする請求項6~12のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
【請求項14】
請求項1~5のいずれかに記載の歩行者誘導システムを用いた歩行者誘導方法であって、次の工程の順によって歩行者を誘導する方法。
A工程:誘導路を利用する対象者を確認する工程であって、対象者が歩行者である場合はB工程へ、対象者が二輪車である場合はE工程へ
B工程:歩行者の種別を判定する工程
C工程:行者誘導を行う工程
D工程:不審者を認識する工程であって、不審者である場合はH工程へ
E工程:誘導路を利用する対象者が二輪車であるか否かを認識する工程
F工程:対象者が二輪車である場合は、二輪車誘導を行う工程
G工程:対象二輪車が不審者であるか認識する工程
H工程:認識した不審者を誘導管理者に通報する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事などに伴って必要となる歩行者の誘導技術に関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事をする場合は、工事区間の前後などに交通誘導員を配置して、通交車輌や通行者を誘導する必要がある。炎天下の作業であり、人手不足や危険を伴う作業であるので、この交通誘導を補助する交通誘導ロボットがいくつか提案されている。
特許文献1(特開平6-301889号公報)には、 交通誘導員の遠隔操作によって複数種類の誘導動作を行うように構成された交通誘導ロボットが提案されている。
特許文献2(特開2002-74586号公報)には、道路工事等が行われ交通誘導が必要な箇所に設置される人間様の誘導人形と、誘導人形に配置され車両等交通誘導対象に進め、止まれ等種々の交通誘導の情報を表示する誘導表示部と、誘導表示部が設置される箇所又はその周辺を撮影可能な監視カメラと、監視カメラからの情報をモニターし誘導表示部の誘導表示の内容を変更可能な制御装置とから構成される交通誘導装置が開示されている。
特許文献3(特開2011-94372号公報)には、表示板本体と、本体に設けた、人や自転車の接近を感知するセンサーと、音声メッセージ発生装置と、複数の音声メッセージを記憶した記憶装置と、上記接近した物体の種類に応じて上記記憶装置に記憶した複数の音声メッセージのうちの一つが選択される選択スイッチと、上記センサーが人や自転車の接近を感知した時に、上記選択スイッチにより選択された一の音声メッセージを上記音声メッセージ発生装置から発生せしめる作動装置とよりなる歩行者誘導表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-301889号公報
【文献】特開2002-74586号公報
【文献】特開2011-94372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、工事等に伴う歩行者を誘導するロボット及び誘導システムを開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.画像センサ、集音マイク、通話用マイクを含む入力系機器と、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆を含む出力系機器と、制御装置と、通信装置が設置された歩行者誘導ロボットと、
携帯端末、インカム、誘導ロボット操作装置を備えた誘導管理者用の装着装置と、
歩行者誘導ロボットと誘導管理者用の装着装置を通信回線で接続した歩行者誘導システムであって、
画像センサの検知データと集音マイクの音は誘導管理者用の装着装置に通知されており、通話用マイクとインカムが通信可能に繋がっていて、
歩行者誘導ロボット側において緊急事態が生じた場合、歩行者誘導ロボットは誘導管理者に緊急事態の発生を通知することを特徴とする歩行者誘導システム。
2.歩行者誘導ロボットは少なくとも誘導路の一方に配置され、携帯端末とインカムとを備えた誘導管理者は少なくとも他方に配置されていることを特徴とする歩行者誘導システム。
3.さらに、集中監視センターを備え、
集中監視センターは、歩行者誘導ロボットと誘導管理者用の装着装置に繋がっており、
集中監視センターは、歩行者誘導ロボットの制御装置を備え、歩行者誘導ロボットの画像と音声を記録し、歩行者誘導ロボットと誘導管理者用の装着装置との通信装置を備えていることを特徴とする1.又は2.記載の歩行者誘導システム。
4.緊急事態は、少なくとも、通行者からの問い合わせ時、工事現場への人の侵入時、不審者の発見時、交通弱者(車椅子、杖をつく人、歩行に障害のある人、幼児等の子供、ベビーカー)の接近時のいずれかであることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の歩行者誘導システム。
5.歩行者誘導ロボットにおいて画像センサの検知データにより検知された歩行者の種類に応じてプログラムされた手順で誘導し、
歩行者誘導ロボットにおいて緊急事態が生じた場合、誘導管理者に通知し、緊急事態に応じた適切な誘導を行い、
画像センサの検知データから不審な行動と判定された場合、誘導管理者に通知し、誘導路利用者の種類別に集計し、誘導管理者の応対を記録し、集中監視センターへ通知すること、を特徴とする3.又は4.に記載の歩行者誘導システム。
6.入力系機器と出力系機器と制御装置と通信機器を備えた歩行者誘導ロボットであり、
入力系機器は、画像センサ、集音マイク、通話用マイクを有し、
出力系機器は、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆を有し、
画像センサは、カメラあるいはLidar(light detection and ranging)であり、
誘導杆は、上下動可能なエアチューブ製であり、
プロジェクタは、路面投影用であり、
通信機器は、誘導管理者用端末と通信可能であり、
制御装置は、画像センサから取得された情報に基づいて感知した人物から誘導路の状態に応じて介添えが必要な者と不審な行動をとる不審者を判別する機能を備えていることを特徴とする歩行者誘導ロボット。
7.誘導杆は、アクチエータが機体の内面あるいは背面に設置されていることを特徴とする6.記載の歩行者誘導ロボット。
8.誘導杆は、LEDが設置されていることを特徴とする6.又は7.記載の歩行者誘導ロボット。
9.制御装置は、画像センサで得られた映像から誘導路利用者を判別するAIを搭載しており、
誘導路利用者別に統計処理し記録する機能を備えたことを特徴とする6.~8.のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
10.歩行者誘導ロボットは、下部機体と下部機体から立ち上げた人の背丈ほどの高さの上部機体を備えており、
下部機体には、コンプレッサー及び重量物が配置され、
上部機体には、入力系機器と出力系機器と制御装置、通信機器が配置され、
入力系機器は、画像センサ、集音マイク、通話用マイクを有し、
出力系機器は、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆を有し、
誘導杆は、アクチエータにエアチューブ製の誘導棒が取り付けられており、該アクチエータは上部機体の筐体内部あるいは背面に設置されており、
目線の高さの位置にデジタルサイネージが設けられており、デジタルサイネージより下方に路面方向に投影するプロジェクタが設けられており、デジタルサイネージより上方に画像センサが設けられていることを、
特徴とする6.~9.のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
11.下部機体には、取っ手と車輪が設置されており、
上部機体には、取っ手が設置されていることを特徴とする10.記載の歩行者誘導ロボット。
12.人型をしていることを特徴とする6.~11.のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
13.デジタルサイネージ表示情報として、QRコード(登録商標)を含むことを特徴とする6.~12.のいずれかに記載の歩行者誘導ロボット。
14.1.~5.のいずれかに記載の歩行者誘導システムを用いた歩行者誘導方法であって、次の工程の順によって歩行者を誘導する方法。
A工程:誘導路を利用する対象者を確認する工程であって、対象者が歩行者である場合はB工程へ、対象者が二輪車である場合はE工程へ
B工程:歩行者の種別を判定する工程
C工程:行者誘導を行う工程
D工程:不審者を認識する工程であって、不審者である場合はH工程へ
E工程:誘導路を利用する対象者が二輪車であるか否かを認識する工程
F工程:対象者が二輪車である場合は、二輪車誘導を行う工程
G工程:対象二輪車が不審者であるか認識する工程
H工程:認識した不審者を誘導管理者に通報する工程
【発明の効果】
【0006】
1.本発明は、道路工事などに伴う歩行者誘導システム及び歩行者誘導ロボットを実現した。この歩行者誘導システムは、歩行者誘導ロボットと誘導管理者が装着する装着装置とを備えていて、誘導路の一方側に誘導ロボットを配置し、他方側に誘導管理者を配置して、緊急時には誘導管理者が対応できるシステムである。本発明は、工事現場の警備誘導の一部に誘導ロボットを導入し、誘導管理者と共同して工事現場の警備、誘導を図るので、省力化と安全性を確保できる。
道路工事に伴う警備や誘導を行う係員を工事区間の前後や中間などに配置する必要があるが、極暑、極寒等の気象条件や人手不足で係員が手当てできず、工事が進められない状況も起きている。本発明は、誘導ロボットと誘導管理者をセットで配置するシステムであって、緊急事態などには人間が対処できるシステムであるので、配置する人員の削減を図りつつ工事現場の警備を安全に行うことができる。
誘導管理者は、携帯端末とインカムとを備えており、誘導管理者はインカムを通して、音データで異常を察し、ディスプレイで状況を確認できる。マイクとスピーカを利用して、歩行者誘導ロボット側と応答することができると共に、必要なときは出向いて対応することができる。誘導管理者も出口などで誘導案内を行っているので、常時ディスプレイを観察していることができないので、インカムを装着して音で誘導ロボット側に異常がないか把握する。
歩行者誘導ロボットを少なくとも、誘導路の一方側に設置するが、誘導路の他方あるいは中間部にも設置することができる。誘導管理者は、誘導路の他方又は中間部あるいは離れた場所に配置することができる。誘導管理者は、1人あるいは複数人配置することができる。現状では、誘導現場に少なくとも誘導管理者1名を配置することが好ましい。誘導管理者を複数配置する場合は、一人を管理責任者にすることができる。
2.歩行者誘導ロボットは、カメラやマイクなどの入力機器とデジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆などの出力機器とを備え、歩行者を検知し適切な案内と誘導を行うことができる。この歩行者誘導ロボットは、一方的に表示案内するものではなく、補助が必要な者やとまどっている者などとは誘導管理者が遠隔で対応し、必要があれば、誘導管理者が出向くことが可能な臨機応変性と双方向性を備えており、安全に歩行者誘導を行うことができる。
デジタルサイネージには、QRコード(登録商標)を表示して、QRコード(登録商標)から各種のサイトに誘導し、迂回路案内、工事情報、近隣のイベント、コマーシャルなどの案内に活用することができる。歩行者以外に進入禁止や停止中のドライバーなどの利便性が向上する。
また、誘導杆は、エアチューブ製の誘導棒を備えており、歩行者などが衝突してもけがの危険が少なく、また、誘導杆が破損することがないので、継続して安全に誘導することができる。そして、誘導杆を駆動するアクチエータは筐体の内部や背面に設けてあるので、歩行者などと直接接触する恐れは無く、駆動部分の故障も防止する構成であるので、無人の夜間などの誘導の信頼性も向上する。
3.この歩行者誘導ロボットは、誘導路の付近にいる者を判別し、誘導対象者か誘導対象者外か、あるいは、子供、乳母車、車椅子、障害者などの補助が必要な者を判別する機能を制御装置は備えており、さらにAI機能を利用して、判別能力を向上させて、利用者に応じた誘導サービスを提供できる。
歩行者誘導ロボットの形状は、機能性発揮型の外、人型やキャラクター型にデザインすることができる。住宅地では親しみやすいぽっちゃり形、幹線道路では警備員形など使用する環境に応じたデザインをそろえ、利用者が注意を払うデザインにする。
利用者に応じた誘導サービスは、事前設定したプログラムを利用する。
交通弱者(車椅子、杖をつく人、歩行に障害のある人、幼児等の子供、ベビーカー)等の補助が必要な者、通行者からの問い合わせ対応、工事現場への人の侵入時、不審者の発見時等を緊急時対応として、記録し、日報等の記録や統計報告書を作成する。報告書は、誘導管理者あるいは監視センターに通知する。
4.歩行者誘導システムには、集中監視センターが設けられ、全体を監視するシステムを備えることができる。また、管理や記録DBを備えたサーバを独立(クラウドなど)あるいは、集中監視センターに設置する。これによって、現場対応が困難なときなどに、監視センターから指示をすること、及びセンターから誘導管理者を派遣することができる。誘導路を複数設けるような大きな工事現場などには現場管理部署を設置して、工事現場を管理することができる。
また、この監視センターは、複数の歩行者誘導監視システムをつなげることができ、複数の現場をモニタリングすることができる。監視センターでは、各誘導路の記録をデータベースに残す。工事現場は、工事が終了すれば、歩行者誘導ロボットなどが撤去されるので、その工事現場の記録は、サーバに記録する。この記録は、工事記録として施主側に提出し、工事記録の一部とすることができる。
5.また、歩行者誘導ロボットは、安定性と可搬性と利用性を勘案した構造となっている。コンプレッサーなどの重量機器を下部に設け、上部側にセンサーやデジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ等の軽量物を配置し、誘導杆にエアチューブを利用して軽量化している。
歩行者誘導ロボットは、道路工事現場などに設置されるので、可搬性を備えていることが好ましく、また、工事などの進捗に応じて設置位置を変更する必要があるので、車輪と取っ手を設けて、持ち運びと移動性を確保した。
6.本発明の誘導方法は、工事等に伴って設けられた誘導路を利用する者と不審者を認識し、誘導路利用者を安全に誘導するとともに、不審者から工事現場などの規制区域の安全性を確保できるように、監視し誘導する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】歩行者誘導システム構成図
図2】歩行者誘導概略図
図3】誘導ロボットの例1
図4】誘導ロボットの例2
図5】誘導路利用者誘導工程
図6】歩行者誘導フロー図
図7】歩行者誘導システムの例
図8】誘導ロボットの他の例
図9】誘導竿の作動例を示す図
図10】車両に知らせる情報コードの表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
道路工事に伴って、仮歩道を設けて歩行者等を誘導するために誘導員が配置されている。現状は、誘導員の配置が規定されており、少なくとも、工事区間の両端部に配置する必要があって、2名から5名程度を必要としている。極暑、極寒等の厳しい屋外状況と人手不足が相俟って、誘導員が確保できず道路工事の進捗に悪影響が出かねない状況になっている。
本発明は、道路工事などに伴って発生する歩道を利用する者を誘導するシステムであって、歩行者誘導ロボットと誘導管理者をセットに配置した誘導システムであり、その誘導システムに用いられる誘導ロボット及び誘導システムを用いた誘導方法である。
本発明は、歩行者誘導ロボットと誘導管理者をセットに配置して、歩行者誘導ロボットでは対処できない状況が発生した場合に迅速に誘導管理者が対処できるようにした発明であり、誘導人員の省力化と誘導の安全性を確保した発明である。
集中監視センターを設けて、各所に設けられている工事箇所の歩行者誘導の全管理を向上させ、また、工事終了後も記録を残し、施主等への報告、あるいは、AI学習の基礎データとして活用する。
【0009】
本発明の歩行者誘導システムは、歩行者誘導ロボットと誘導管理者用の装着装置から構成されている。歩行者誘導ロボットは誘導路の一端に配置され、他端に誘導管理者が配置され、誘導ロボットから誘導管理者が装着している装着装置との間には通信が可能になっている。
誘導ロボットは、機能面充実の外、人型スタイルやキャラクタースタイルなど歩行者等に注目される外形を備えることも有効である。
【0010】
歩行者誘導ロボットには、入力系機器と出力系機器と制御装置と通信機器等が装着されている。入力系機器は、誘導路を利用する者を認識する機器類である。出力系機器は、誘導路利用者に対して、適切な情報を提供する機器類である。制御装置は、入力された情報に基づいて、利用者の判別を行い出力系機器に適切な指示を出し、また、緊急時などに誘導管理者に通知する機能を果たす。交通弱者等の利用者の判別は、ディープラーニング手段を用いて、判別精度の向上を図る。
入力系機器は、歩行者誘導ロボットが設置される付近の画像と音を入手する機器と誘導路利用者が緊急時などに誘導管理者と通話する機器等である。入力系機器は、画像センサ、集音マイク、通話用マイク等である。画像センサは、カメラあるいはLidar(light detection and ranging)が挙げられる。例えば、誘導路に近づいてくる者を誘導路利用者として判別する場合には、Lidarは1台でよいが、カメラは複数台配置する。画像センサは、誘導路に進入する者を認識するために、誘導ロボットの前面側に配置されている。さらに、反対側から侵入してくる者を検知するように誘導ロボットの背面に画像センサを追加配置することができ、反対側から来る者が、大勢あるいは幅をとる荷車などである場合は、誘導ロボット側からに侵入を制限する必要がある。
画像センサ情報をもとに、誘導路利用者か否かを認識すること、誘導路利用者の種類を認識することを行う。誘導路利用者は、主に歩行者であり、次に自転車利用者である。自転車利用者には、降りて歩行してもらう旨案内するために、少なくとも、歩行者のみか自転車を含む利用者か判別する機能を設ける。
さらに、歩行者の種類を判別する機能を設けることができる。種別としては、乳母車、車椅子、杖利用者等である。
これらの判別にはAI機能を用いて、ディープラーニングして判別精度を向上させることができる。
要介護者などは誘導路の状況によっては、通過に介添えが必要な場合があり、そのような場合には、誘導管理者に通報することとする。通報対象者の設定は、誘導路の状況に応じて設定することができる。
さらに、工事現場(作業現場)側の映像を入手する工事現場用画像センサを配置することができ、工事現場への出入りも監視することができる。例えば、ヘルメットを着用していない者は不審者とみなす、あるいは、工事休止中に侵入する者を不審者としてみなして、誘導管理者、誘導管理責任者(現場管理部署を含む)、集中監視センターなどに通知する構成を付加することができる。
あるいは、通行者を検知し、バウンディングボックスでその通行者を追尾しつづけ、その通行者のバウンディングボックスの過半が画像内の工事帯領域に入った場合を侵入とする。通行路側から工事関係者が工事帯に入った場合は区別がつかないが、その場合は侵入者として扱われる。しかし、工事関係者は識別発信器等を着用することにより、区別することができる。
【0011】
出力系機器は、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆、LEDなどである。出力機器は、誘導路利用者に対して、様々な情報を提供するとともに、安全に通行できるように視覚、聴覚、物理的開閉などに訴える機器である。
デジタルサイネージは、工事中であること等を表示するディスプレイである。
スピーカは、音声による誘導案内等を行う。
プロジェクタは、路面に投影して情報を提供する機器である。特に、夜間に足下に表示されるので、注意を喚起することができる。
誘導杆は、上下に回動し、誘導路の通交を物理的に開閉する機器である。誘導路は、通常は双方向から歩行することができるが、車椅子などによっては、利用を一時一方向に限定する必要もある。また、工事現場への工事車両の出入り等の工事の進捗によって、誘導路を閉鎖する必要がある。
誘導杆としては、棒、板、エアチューブなどを用いることができる。誘導杆は、倒伏する機構等を設けて衝突しても怪我しないような安全策を取ることが適している。特に、エアチューブは、安全性が高く、適している。
アクチエータをロボットの筐体の内側や背面に設けて、通行者に接触するリスクを少なくし、安全と機器の故障防止を図ることができる。
LEDは、特に夜間の表示用に優れている。誘導杆に取り付けて、夜間に目立たせることができる。その他、ロボットの筐体に取り付けて、注意喚起をすることができる。
【0012】
誘導管理者側の装着装置は、緊急事態などに人間が対処できるように携帯する装置であり、少なくともインカムと携帯端末を含み、歩行者誘導ロボットの手動操作装置などがある。歩行者誘導ロボットの反対側に配置された誘導員が、誘導管理者の一員となる。誘導管理者も、誘導路の監視と案内を行っているので、常時ディスプレイを観察できない。イヤホンとマイクを備えたインカムをヘルメットに装着する。インカムによって、誘導ロボット側から音声情報を入手することができ、緊急時にはディスプレイで状況を確認し、スピーカを通して、警告することができ、さらに、ロボット側に備えてあるマイクを通して通話することができる。
さらに、誘導管理者による直接の関与が必要な場合には、迅速に駆けつけることができる。なお、誘導管理員と誘導ロボットの配置数と配置箇所は、大きくなれば、配置人員も複数必要であり、大規模になった場合でも、誘導ロボットに近いところに誘導管理者を配置することができるので、駆けつける態勢を取ることができる。また、誘導管理責任者や現場管理部署を設置して、工事現場全体の誘導路を管理する体制を取ることができる。
【0013】
本発明は、誘導路付近に設定したエリアに人などが立ち入った場合に、画像センサで情報を取得、制御装置は、その者が誘導路を利用する者か否かを判別して、利用者であると判断した場合は、「ご迷惑をおかけします。ご注意してお進みください」などと案内する音声をスピーカから流す。
誘導路付近をうろうろするなど、不審な行動を取る者には、「工事中に付きご注意ください」等とアナウンスするほか、誘導管理者に不審者の存在を通報する。不審者の判定は、例えば、ロボットの画像センサで取得できる画像内に一定時間以上滞留している人を不審者として認定することとする。
その他、誘導路利用者には、自転車通行者、車椅子、白杖者、乳母車などあり、凹凸の多い誘導路など、誘導路の状態に応じて介添えが必要な場合には、誘導管理者に通知する。
デジタルサイネージには、「工事中につき誘導路をご利用ください」「誘導路の状態の画像」「その他の注意情報」等を表示する。
さらに、QRコード(登録商標)を表示することにより、各種の情報を詳しく伝えることができる。例えば、工事関係の情報、利用者の意見サイト表示、迂回路などの地図情報、近所のイベントなどの広告情報、キャラクターなどのダウンロード情報などがあげられる。
誘導路は通常開放していても良いが、誘導路を閉鎖する必要がある場合は、スピーカ及びデジタルサイネージに閉鎖中であることを表示し、歩行者誘導ロボットの誘導杆を水平にして、物理的に進入不可であることを示すこととする。閉鎖の指示は、誘導管理者等から行うことができる。閉鎖する状況は、工事車輌の出入り、重機の使用などがある。また、狭い誘導路では、車椅子などを通すときに一方通行にする必要がある場合が発生する。
これらの制御は制御装置で行うほか、誘導管理者が操作装置を用いてマニュアルで行うことができる。
なお、これらの制御を集中監視センターや現場管理部署からも行うことができるようにする。
【0014】
<デジタルサイネージ 情報表示の例>
デジタルサイネージに表示する情報の例を挙げる。
(工事情報)
工事情報サイトを表示して、工事情報サイトに繋がるようにする。看板では、スペースが限られ、わずかな情報しか伝えていないがウェブにつなげれば詳細な情報やリアルタイムな情報(工事の進捗など)を伝えられる。
ご意見サイトを表示して、ご意見サイトに繋がるようにして工事や警備に対するクレームなどを吸い上げるようにすることができる。警備員を通してしか伝わってこなかった貴重情報を、通行人から直接吸い上げることが可能となる。
【0015】
(QRコード(登録商標)の活用)
前述した工事情報サイトも含め、QRコード(登録商標)をデジタルサイネージに表示(図10参照)して、歩行者や運転手のスマートフォンを通して各種情報を伝えることができる。
(QRコード(登録商標)の活用によるルート情報)
工事に伴う道路情報、最短路情報、迂回路情報を提供する。
例えば、1車線の道路で工事する場合、車両は進入禁止となることがあり、迂回路などの道路情報が必要になることがある。ロボットの前に一定時間停車する車を認識してディスプレイの表示が「迂回路地図+QRコード(登録商標)」(図10参照)に切り替わり、迂回路を示し音声でもナビしつつ、QRコード(登録商標)をドライバが撮影するとグーグルマップに接続し、スマートフォンのGPSと連動して迂回路地図が音声と地図を用いてナビをする。
これまでは、車両通行止めで地図が看板に貼ってあっても、車の運転席からでは小さすぎて見えない、警備員に聞いても地元の人ではないので迂回路の説明がよくわからないということもあるので、直接手元表示できることは貴重である。
【0016】
図10にQRコード(登録商標)表示を利用した迂回路の案内例を示す。
誘導ロボットのデジタルサイネージに迂回路表示のQRコード(登録商標)を表示し、スマートフォンで読み取ると迂回路がスマートフォンに表示されることとなる。
【0017】
(QRコード(登録商標)の活用によるコマーシャル情報)
キャラクター画像やキャラクターストーリーのダウンロードにつながるQRコード(登録商標)を表示する。若い人を中心に情報はスマートフォンのみに依存する人が増加している。スマートフォンを介せばブームを起こす機会につながる。ポケモンGo、LINEスタンプ、アニメ化などの例がある。
近くのショップの広告や タイムセール情報(SP会社とタイアップ)をQRコード(登録商標)を介して表示する。リアルタイムなお店の情報やお得情報もウェブサイト+スマートフォンが基本なので広告効果を期待できる。
【0018】
これらの案内誘導は、識別と誘導をある程度プログラム化することができる。
車椅子、杖、歩行カート、ベビーカー、幼児など誘導路利用者の判別は、深層学習により認識し、識別した交通弱者に応じてプログラミングされた方法によって、適切な案内誘導を行うこととする。例えば、識別された交通弱者に対して、まず誘導杆を動かすことによりロボットに対して注意を喚起した後、デジタルサイネージ上に足元注意などの注意喚起の表示とスピーカを通して注意喚起の呼びかけ、プロジェクタで道路上に注意喚起の表示を投影すると同時に誘導管理者に対して交通弱者が通行中であることを伝え、誘導管理者に対して画像センサを通して交通弱者の様子を誘導管理者の携帯端末に映し出すことがプログラムされている。
【0019】
制御装置は、例えば、次のような働きをする。
制御装置は、画像データの解析やシステム制御、機器制御を行う。
システムの開始(初期化)、終了、及び動作中に全体制御を行う。
接続されている各種機器及び装置との通信・同期制御を行う。歩行者誘導用の出力装置に音声による注意喚起を行う。誘導管理者側のインカムに音声による注意喚起を行う。携帯端末に誘導ロボット側の映像を送信する。インカムへ通行人からの問い合わせの送信と応答を行う。誘導管理者が行う誘導ロボットの操作を実行する。接続している各種機器、装置の異常、システムの異常を検知する。画像センサ、集音マイクにより得られた画像や音を記録する。
集中監視センターを設けた歩行者誘導システムの場合は、工事現場に設置されている歩行者誘導ロボットの出力と誘導管理者の出力は、サーバに記録を残し、集中監視センターへ通知されており、誘導ロボットに対して誘導管理者と同様の制御を行うことができる。サーバの記録は、ディープラーニングの材料に供され、成果は各ロボットが共有できる。あるいは、判別や制御機能などソフトはクラウドなどに集中させ、ロボットはハード機能とすることもできる。
【0020】
<歩行者誘導システム>
本発明の例について、図を参照して説明する。
図1は、歩行者誘導システムのシステム構成例を示している。図2は、歩行者誘導路の概略を示している。図3は、歩行者誘導ロボットの例を示す。
歩行者誘導システムAは、歩行者誘導ロボット1と誘導管理者の装着装置2とそれらを繋ぐ無線LANなどの通信装置9で形成されている。
歩行者誘導ロボット1は、誘導路を利用する者を安全に誘導する機能を果たす。そのための機器として、誘導路利用者を認識する機器類である入力系機器6と、誘導する注意情報などを発する出力系機器7と、これらを制御する制御装置8を搭載している。
入力系機器6は、画像センサ、集音マイク、人感センサ、通話装置である。
出力系機器7は、デジタルサイネージ、スピーカ、プロジェクタ、誘導杆である。
制御装置8は、画像センサなどから入力された画像データから利用者の判別を行い、スピーカなどの出力機器に指示を送る。また、誘導管理者に不審者などについて通知する。 また、制御装置にAI機能を搭載して、利用者の識別力を向上させることができる。
【0021】
図2に歩行者誘導システムを用いた歩行者誘導路の例を示す。
本例は歩道を伴う片側1車線の道路であって、歩道部分を工事するための工事帯111が設けられ、工事帯部分に誘導路112を設けている例である。図2(a)は本発明の歩行者誘導システムAであり、図2(b)は誘導員による従来の歩行者誘導Bである。
図2(b)に示すように、従来は少なくとも工事帯3の両端に歩行者誘導員2を配置して仮歩道である誘導路112を安全に通行できるように監視と案内をしていた。
本システムでは、図2(a)に示すように工事帯111の一端に歩行者誘導ロボット1を配置し、他端に誘導管理者20を配置している。
歩行者誘導ロボット1は、工事帯111の一端に設置されており、歩行者誘導ロボットの前方側に歩道を中心とする監視域12が設定されている。
歩行者誘導ロボット1は、監視域12を監視するとともに、工事帯111があることを表示することと、誘導路112の利用者と非利用者を判別し、安全な誘導を行う。
監視域は、少なくとも、歩行者などが誘導路にさしかかる前に判別するために必要な範囲に設定される。例えば、画像センサが検知して、制御装置が歩行者を判別する時間が必要である。主な利用者である歩行者(4Km/h)や自転車(8Km/h)の速度を参考にし、処理時間を1000ミリ秒とすると、長さは、5~10mと設定される。幅は、歩道をカバーする約5m程度とする。
【0022】
<歩行者誘導ロボット>
歩行者誘導ロボットの例を図3に示す。
歩行者誘導ロボット1は、通常は、監視域の検知と工事中であることと、歩行者に注意を訴える表示や音声を流している。このロボットの外形は、図示限定されるものではなく、人型、キャラクター型など適宜設計できる。
歩行者誘導ロボット1は、監視域12に存在する物体を検知して、誘導路を利用する対象か否か、対象者の種別を判別する。誘導路利用対象に対しては、出力機器を操作して適切な誘導を行う。また、誘導対象外で不審と判断した者に対しては、注意喚起と誘導管理者20に通報する。
歩行者誘導ロボット1が備えている誘導杆を回動して、誘導路を閉鎖する必要がある場合は、誘導杆を水平にして通せんぼの姿勢を取る。
【0023】
歩行者誘導ロボットは、人型の外形にすることができる。人型ロボットとすることにより、歩行者の注目を惹きつけ、誘導内容を周知しやすくなる。人型として、警備員スタイル、キャラクタースタイルなど、注目されやすい形が好ましい。
歩行者用誘導ロボットは、上部機体と下部機体に分けて構成することができる。下部機体は基台と重量のあるエアコンプレッサやバッテリを配置して、ロボットの安定性をはかることができる。また、基台に車輪を付けると移動調整が容易である。上部機体は、入力系機器、出力系機器、制御装置、通信装置などの電気、電子系の機器を装備することが適している。上下に性格の違う機器を配置するとメンテナンスを別々にできるなど、管理が容易である。また、上下分離して持ち運びができるようにすることもできる。
【0024】
歩行者誘導ロボット1は前述した入力系機器6、出力系機器7、制御装置8、通信装置9をロボット筐体11に装備している。
図3に示す歩行者用誘導ロボット1のロボット筐体11は、基本構成を備えた縦長の直方体の形状で示している。ロボット筐体11の形状は様々な形状をとることができる。図3に示す歩行者誘導ロボットは、機能を示すことに重点を置いており、外形は用途や注目性を考慮して、デザインされる。
ロボット筐体11は130~200cm程度の高さで、幅と奥行きは20~90cm程度とする。ほぼ人間のボリューム感程度の大きさである。
ロボット筐体11には、基礎的漢字が読める小学三年生程度の子供が読みやすい位置から上方にかけて大きめのデジタルサイネージ71を配置している。このデジタルサイネージ71は、ロボット筐体11の中央部から高めに位置することとなり、100~160cmの位置になる。
ロボット筐体11の側面中央に誘導杆73が設けられている。
ロボット筐体11のトップ側に歩行者誘導ロボット1の存在を知らせる警告灯65が設けられ、上部側にスピーカ72と人感センサ75が設置されている。音声が周囲に届きやすいこと、人が重ならずに感知できるように高い部分に設置することが適している。スピーカや人感センサは外部に目立つ必要はない。
デジタルサイネージ71の下方には、集音マイク62と通話用マイク63とプロジェクタ74が配置してある。通話用マイク63は、しゃべりやすい高さに設けることが適しているので、デジタルサネージの横でも良いが、車椅子や子供でも利用できるようにやや低い位置に設置してある。あるいは、上下に複数設けることもできる。集音マイクは目立つ必要は無いが、通話用マイクは分かり易い表示にする。集音マイクと兼用することもできる。
プロジェクタ74の投影箇所は路面であるので下方に設置してある。また正面の側面にも設置して、誘導路を的確に案内することができる。プロジェクタ74も目立つ必要は無い。
また、ロボット筐体の背面側などに工事現場側の映像を入手する工事現場用画像センサを設けて、工事現場への人の出入り等を監視することができる。工事を休止している夜間や休日に工事現場内へ立ち入る者を不審者として、警告することや誘導管理責任者や集中監視センターへ通報する。
【0025】
誘導杆73は、上下に揺動するようにアクチエータ73bに誘導棒73aが取り付けられている。誘導棒73aは、通交の可否の表示と通行人がぶつかっても怪我しないような安全性を備えていることが重要である。
誘導杆73の長さは任意であるが、50~150cm程度である。誘導杆の長さは、歩行者の注意を惹くように仮歩道の幅の半分以上が適している。通常では仮歩道の幅は60~200cm程であるので、幅に応じて交換することができるように長さの異なる誘導杆を準備することができる。
図示の例では、誘導杆73は筐体の左右の側面に設けて、誘導路の左右どちら側にも歩行者用誘導ロボット1を設置できるようにしている。誘導路が広ければ、誘導路の中央に設置することもできる。ただし、通常では仮歩道の幅は60~200cm程で、真ん中に置く余裕はない。
誘導杆73は、上下に複数本設けて、子供や大人など利用者にあわせた目線の高さの位置に配置することができる。
【0026】
誘導杆73の根本にあるアクチエータ73bに誘導棒73aが取り付けられている。アクチエータ73bは誘導棒73aを上下に回動させて、誘導路を開閉できるようにする。また、誘導杆73は、誘導棒73aに歩行者等が接触しても、歩行者が怪我をせず、また、誘導杆73が破損しないように前後に倒れる構造にすることが好ましい。
例えば、誘導棒73aの取付け構造として、垂直軸と水平軸の2軸構成、あるいは玉継ぎ手を用いると、前後と上下に振れる構成とすることができる。これにバネなどで定位置保持構成を適用して、怪我防止と破損防止構成を構築することができる。
また、エアチューブを用いることで、怪我防止と破損防止を実現することができる。エアチューブは、軽く、アクチエータを小さくすることができ、動力負荷も小さくできるので適している。
誘導棒73aの材質は、プラスチック、金属、ゴム、木材、エアチューブ、分割体等を用いることができる。軽量で安全性が重要で、中空体、発泡成形体等が好ましい。
また、誘導杆73が水平位置になって、誘導路を閉鎖することは、誘導路内では危険な作業等が行われている状況なので、目立つことが重要である。図示の例ではLEDを長手方向に多数取り付けて、夜間の注意喚起をしている。夜間工事が行われる都市部では重要である。
また、誘導棒の本体を細い棒として、その下方に暖簾状に布を取り付ける構造とすると、広幅の誘導棒ができ日中でも目立つこととなる。さらに、暖簾が風を受け流し、揺れるので、軽量で目立つ動きのサインにもなる。
【0027】
分割体として、個々は弱いバネで屈曲可能で衝突の衝撃回避とすることもできる。
エアチューブでも、一本のチューブのほか、長い複数本に分割したエアチューブ、あるいは、エアセルで構成したエアチューブなどの構造として、エア漏れによる破損対策をすることができる。
これ等の材質、構造を組み合わせて誘導杆を構成することができる。
材質も、形の決まった袋のほか、膨らんだ状態でも伸縮力を保持できるゴム風船性もある。布引や網を被覆して補強したエアチューブを用いることができる。
また、細径部分を設けて、屈曲部分を作り、安全性と破損防止とすることができる。
例えば、アクチエータ側の根元部分を肉厚部とし、その先を薄肉部とすると同じ空気圧では薄肉部の方が膨張し硬くなり、根元部は細径部で柔らかく伸縮性が残っているので、根元部が倒れやすく、歩行者などが衝突しても曲がって、怪我防止とエアチューブの破損を防止することができる。
【0028】
<歩行者誘導ロボットB>
図4に他の例である歩行者誘導ロボット1Bを示す。
この歩行者誘導ロボット1Bは図3に示す歩行者誘導ロボット1と同じ機器類を装備している。このロボットの外形は、図示限定されるものではなく、人型、キャラクター型など適宜設計できる。用途に応じて、注目をひくデザインを準備することができる。
歩行者誘導ロボット1Bは、上部機体13と下部機体14とから構成され、上部機体13は細長い細身の躯体であり電子機器が主に取り付けられており、下部機体14は幅広の躯体で、動力源などの重量物が収納されている。上部機体と下部機体は分離可能に構成することもできる。分離可能とすることにより、持ち運びが容易になること、装着機器の種類が電子系と機械系に分かれるので、メンテナンスも別々に行うことができる。この歩行者誘導ロボットは、低重心で安定しており、細身の上部機体は風抵抗が小さく、転倒などの危険が少ない。
上部機体13は、細身にして、センサなどの軽量機器と誘導杆73を配置する。装着機器として、誘導杆73、警告灯65、画像センサ61、デジタルサイネージ71、プロジェクタ74が図示されているが、このほかスピーカ、集音マイク、通話用マイク、人感センサなどが装着されている。
【0029】
下部機体14には、エアコンプレッサーやバッテリーなど重量物を配置して、重心をさげ歩行者用誘導ロボット1Bのアンカーの役割も果たす。また、下部機体14には、車輪15が取り付けられている。車輪15は左右の側部後端部に設け、機体を傾けたときに車輪が接地し、移動しやすい状態になっている。機体を傾けて操作できるように取っ手16が上部機体13に取り付けられている。取っ手16は、不使用時に折り畳んで、いたずら防止とする。
歩行者誘導ロボットは仮設物であり、誘導路の付け替えなど設置箇所も一定ではないので、車輪と取っ手をつけて移動調整を容易とする。
【0030】
誘導杆73は、上部機体13の背面にアクチエータ73bを取り付け、このアクチエータ73bに誘導棒73aを取り付けている。アクチエータが背面にあるので、通行者にぶつかる恐れがなく、安全である。本例では、エアチューブ製の誘導棒を採用している。誘導杆73は、左右に回動できるように構成され、誘導路が左右どちらにあっても対応できる構成である。エアチューブで軽量なので、軽量な上部機体13に取り付けても、誘導棒の回動に伴う反力も小さく、影響が少ない。
エアチューブは密閉型でもよいが、本例では、下部機体に設けたエアコンプレッサーから圧縮空気を供給するタイプにしている。エアチューブの先端に小孔を設けて常時エアを供給して膨張を維持する構造とすると、誘導棒に衝突しても容易に変形するとともに、復帰も容易になる。
【0031】
<歩行者誘導ロボットC>
図8、9に人型にデザインした歩行者誘導ロボット1を表示する。図8は、(a)正面、(b)側面、(c)背面を示している。
頭部17を設けた上部機体13は、全体としてふっくら、ぽっちゃり形で、卵型をした親しみやすいデザインとなっている。中央部にデジタルサイネージを設け、その側部は色違い(本例では、白いスリーブ調)に配色して、側部に腕があって、デジタルサイネージを抱えているイメージを出している。肩からデジタルサイネージの周囲の色(本例では、黄色)を変えて、エプロンをかけているイメージになっている。側面視は、薄くしてあって、風圧が弱くなるようにしている。背面も黄色のベストと白のスリーブ姿の人型に見えるようにイメージしてある。
この親しみやすいデザインは、特に、女性や子供、老人が頻繁に利用する住宅地の道路工事などに適している。歩行者誘導ロボットの使用箇所に応じた形態にデザインすることができ、幹線道路の工事には、警備員スタイルのデザインも検討される。
【0032】
この歩行者誘導ロボットは、上部機体13を人の腰から頭部に似せ、下部機体14との連結部18を棒状としたものである。搭載している機器、機能は前述した図3に示される歩行者誘導ロボット1と同様であるので、説明を省略する。
基台19の下に車輪15が取り付けられており、基台19の上にはバッテリやエアコンプレッサー等の重量物を搭載している。車輪にはロック機構を設けて、固定箇所では安定性を確保する。下部機体14には取っ手16が取り付けられており、歩行者誘導ロボット1の場所移動が容易である。工事車両の進入など移動の必要性が多々あるので、機動性を確保することは重要である。
上部機体13には、デジタルサイネージ71などの機器や設備を装備する。デジタルサイネージ71は、胸から腹にかけて大きなサイズを備えている。デジタルサイネージ71の下には、プロジェクタやスピーカ、通話用マイクなどを配置することができる。目状の印がついた頭部17は、人間の注目をひきやすい。頭部17には、画像センサ、集音マイク、警告灯などを配置することができる。
誘導竿73は、背中に回動する基端部を設け、頭部から突き出る長さを備えている。
【0033】
図9に誘導竿73の作動例を示す。誘導竿73は通常直立して、先端部は頭より上に出ている。歩行者に進入禁止を知らせるときは、誘導竿73を回動して水平位置にする。デジタルサイネージには、通行可の表示と通行不可の表示あるいは図柄を表示する。
【0034】
<歩行者誘導工程>
図5に歩行者誘導の工程例を示す。
本発明は、誘導路を利用する者を認識し、利用者の種類を識別して、利用者に応じた誘導を行うことと、誘導路や工事帯の安全を図るために不審者を判別して、誘導管理者が対応する。
A工程は、誘導路利用者確認工程である。
歩行者誘導ロボットの前面に設けられた監視域に接近してくる人や自転車を画像センサと人感センサで感知する。接近してくる人や自転車に注意喚起をスピーカとデジタルサイネージで行う。接近する者がいないときは、スピーカから音声を出す必要はない。注意喚起は、工事中であること、誘導路を利用することを基本とする。
また、遠ざかる人や自転車を検知した場合は、誘導路に入る者ではないと判断し、スピーカの音声を流さない(ただし、接近者が一人でもいる場合は、接近者優先とする)。
なお、画像は、歩行者誘導管理者の携帯端末へ送信している。
自転車を検知した場合は、E工程に移行する。歩行者を検知した場合は、B工程に移行する。
【0035】
B工程は、歩行者認識工程である。
歩行者認識工程では、必要に応じて、歩行者の種別を判定する。ベビーカー、白杖、車椅子、小児などを判別する。ケアが必要な可能性のある者については、誘導管理者のインカムへ「補助が必要と思われる方が接近しています」等と通報する。
C工程は、歩行者に対する誘導を行う。例えば、「こちらにお進みください」、「段差がありますので気をつけてお進みください」などの注意喚起の音声を流す。あるいは、夜間には、プロジェクタから路面に誘導方向を示す矢印を投影する。
D工程は、不審者を認識する工程である。例えば、監視域に入る人物がうろうろしている状態のとき(監視域から遠ざかりもせず、誘導路にも入らない状態など)不審者と認識する。
H工程は、不審者を誘導管理者側のインカムへ通報する工程である。
誘導管理者は、携帯端末の画像を見て、対処する必要があるか判断する。必要がある場合は、スピーカを利用しての呼びかけ、あるいは、出向いて対応する。危険な状態である場合は、誘導棒を延ばして一旦誘導路の使用を停止する。
【0036】
E工程は、二輪車を認識する工程である。歩道を利用する自転車があるので、誘導路の状態では、降りて通行する必要がある場合があるので、識別する。
F工程は、二輪車を誘導する工程である。気をつけてお進みください、あるいは、降りて通行してください等の音声を流す。また、段差や狭い誘導路では、降りてもらうために、「狭くなっていますので降りてください」のアナウンスとともに誘導棒を延ばして、一旦停止の要請をする。
G工程は、D工程と同様であり、うろうろして立ち去りもせず、誘導路を利用もしない二輪車があれば、不審者と判断する工程である。不審者は、H工程において、誘導管理者側のインカムへ通報する。
【0037】
図6に、図5に示した工程図に基づいた歩行者誘導フローの例を示す。
ステップ(100)で、監視域を常時、画像センサでモニタリングしており、監視域に歩行者あるいは自転車がいるか否かをステップ(110)で判断し、いなければ誘導不要(120)となる。
ステップ(110)で、歩行者あるいは自転車を検知した場合、ステップ(130)において、歩行者であるか判断し、歩行者でない場合はステップ(140)で二輪車と認識し、ステップで(150)で二輪車が近づいてくるか否かを判断して、近づいてこない場合は誘導不要のステップ(120)に戻す。近づいて来ない場合で、遠ざかりもせずうろうろしているような場合はステップ(200)の誘導管理者通知を行うことになるが、省略し、破線でそのようなケースがあることを示している。
ステップ(150)で近づいてくる自転車がいる場合はステップ(210)で二輪車誘導工程に移る。
【0038】
ステップ(130)で、歩行者を検知した場合、ステップ(160)において、歩行者が近づいてくるか否かを判断し、近づいてくる者がいればステップ(190)に移行して歩行者誘導工程に入る。なお、さらに、補助がいる者を判断するステップを設けることもあり、図示は省略しているが、破線でそのような場合、管理者誘導工程(200)、誘導管理者対応工程(220)になることがあるので破線で示している。
ステップ(160)で近づいてくる者でないと判断された者について、ステップ(170)で、さらに遠ざかっているか判断し、遠ざかる者であれば、誘導路を利用しない者とみなして、ステップ(120)へ送り、誘導不要とする。
ステップ(170)で、遠ざかる者に該当しないとされた者は、不審者と見なし、不審者認識工程(180)へ移行し、誘導管理者通知(200)を行い、さらに誘導管理者対応工程(220)に移る。
【0039】
このほか、随時、誘導管理者側からマニュアルによる操作が入る。夜間に行われるプロジェクタによる路面表示、誘導杆の制御、デジタルサイネージの表示、集音マイクによる検知情報の処理、通話マイクを使用した誘導管理者と通行者との通話、などが行われる。
また、AIを搭載して、検知した画像に基づく、歩行者の識別精度を高めて、補助を必要とする歩行者などに対する誘導サービスを向上させる。
本発明によって、工事現場に配置する誘導員や現場監視員を減らしても、仮歩道である誘導路を安全に歩行者等が通行することができる。
【0040】
<歩行者誘導システムB>
図7に複数の工事現場を集中監視する集中監視センターを備えた歩行者誘導システムBの例を示す。
歩行者誘導システムBは、歩行者誘導を行う複数の工事現場、サーバ、集中監視センター、工事現場管理部署を備えている。なお、サーバは集中監視センター内に設置することも可能である。
工事現場210には、複数の歩行者誘導を行う工事現場211、212、213・・がある。
サーバ220は、工事現場210と集中監視センター230、現場管理部署240、間の中継と、データの蓄積をするサーバである。
データの蓄積は、現場が作成した交通量レポートを蓄積し、整理をし、利用に提供する。例えば、(a)交通弱者の種類と通過した数と時間帯をサーバにアップロードする、(b)現場ロボットのマイクを通した問い合わせ数と時間帯をサーバにアップロードする、(c)アップロードしたデータを集計しグラフで表示する、(d)過去の記録を日付、現場名で検索できる、(e)サーバに記録されたデータは、工事記録として施主に提出する資料等に利用され、工事の安全管理報告などになる。
【0041】
集中監視センター230は、各工事現場の映像を表示するディスプレイを備えており、現場の状況に応じて必要な指示を出すことができる。工事中の現場対応は現場管理部署240の管理の下で行われるが、夜間など工事を行っていないときや、現場対応できない事項について対応する。
例えば、集中監視センターと現場ロボットシステムの間では、次のような機能を備える。
(a)画像認識した交通弱者の対象を画像上枠で囲んで監視センターのモニター上に表示する。
(b)監視センター側から歩行者誘導ロボットの録画機能をONにして必要な動画や静止画を記録する。
(c)現場の歩行者誘導ロボットのスピーカを通して監視センターから音声を流す。
(d)監視センターから現場の歩行者誘導ロボットのアームの角度やLEDのコントロールをする。
(e)現場の歩行者誘導ロボットのサイネージに表示する内容を監視センターの端末から入力する。
(f)現場の歩行者誘導ロボットのプロジェクタを通して投影するコンテンツを監視センターから流す。
【0042】
現場管理部署240は、情報に基づいて工事現場管理を行う。
現場管理部署240は、工事現場毎に設置されており、工事期間中の管理を行う。
現場の歩行者誘導ロボットの映像、音声が現場管理部署に表示される。現場管理部署は、緊急事態に必要な対応を行う。また、交通量レポートに基づいて、通行時間等の現場管理の調整を行う。例えば、乳母車が多い時間帯、自転車が多い時間帯などの傾向があれば、その現場の事情に応じたプログラミングなどの調整を行いスムーズな歩行者誘導を行うことができる。
このような現場事象は、幼児が通行する時間帯、保育園が近いなど時間帯依存度が高い。また、時間帯だけではなく、時間帯ごとの現場の平均的な通行量(これは各現場データを蓄積していくと現場での通行に関する情報が蓄積していくのでそのビッグデータ処理を行うことによって得られる)に比べて通行量が多い時間帯なども、現場の休憩時間の設定などにも反映することができる。
また、現場管理部署は、工事現場の規模によって、小規模現場では誘導管理者や誘導管理責任者がその機能を果たす場合がある。
【0043】
各工事現場211、212、213には、歩行者誘導ロボットと誘導管理者が設置されており、それぞれの設備、機能に付いては前述のとおりである。各工事現場に配置された歩行者誘導ロボットによって、カメラ等による監視映像250が撮られ、ライブ映像配信257がサーバへ送られる。また、歩行者誘導ロボットが備える歩行者と二輪車検知機能260によって得られた情報に基づいて、交通量レポート261を作成し、サーバへ送られる。
歩行者誘導ロボットから、カメラによる監視映像や音声をサーバを経由して、集中監視センター230と現場管理部署240に送る。映像や音声データは、サーバに蓄積される。また、歩行者誘導ロボットから、歩行者や二輪車など識別した種別の数量を交通量レポートに整理してサーバに送付する。交通量レポートは、時間単位などでそれぞれの種別にカウントされる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・歩行者誘導ロボット
11・・・ロボット筐体
12・・・監視域
13・・・上部機体
14・・・下部機体
15・・・車輪
16・・・取っ手
17・・・頭部
18・・・連結部
19・・・基台
2・・・装着装置
20・・・誘導管理者
21・・・携帯端末
22・・・インカム
23・・・誘導ロボット操作装置

3・・・工事帯
6・・・入力系機器
61・・・画像センサ
62・・・集音マイク
63・・・通話用マイク
65・・・警告灯
66・・・LED
7・・・出力系機器
71・・・デジタルサイネージ
72・・・スピーカ
73・・・誘導杆
73a・・・誘導棒
73b・・・アクチエータ
74・・・プロジェクタ
75・・・人感センサ

8・・・制御装置
9・・・通信装置
111・・・工事帯
112・・・誘導路
210、211、212、213・・・工事現場
220・・・サーバ
230・・・集中監視センター
240・・・現場管理部署

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