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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20231017BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H05K7/20 E
H05K7/20 B
H05K7/20 F
F16B5/10 A
H01L23/40 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019021521
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020129604
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 武
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-117100(JP,A)
【文献】特開2017-199756(JP,A)
【文献】特開2017-174894(JP,A)
【文献】特開平02-138762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
F16B 5/10
H01L 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に固定されたヒートシンクと、
回路基板アセンブリに設けられかつ前記ヒートシンクの内面に接触する熱伝導体と、
前記筐体内にて前記回路基板アセンブリを、前記熱伝導体を介在させて前記ヒートシンクに固定する固定手段と、を有する電子機器であって、
前記固定手段は、
前記熱伝導体の前記ヒートシンクとの接触面に向かって傾斜するテーパ側面を有しかつ前記接触面の法線方向に前記回路基板アセンブリと共に移動可能な移動部材と、
前記移動部材の前記テーパ側面に接触する押圧面を有しかつ前記接触面の法線方向と直交する方向において前記押圧面を介して前記移動部材のテーパ側面に圧力を印加して前記熱伝導体の前記接触面を前記ヒートシンクに押圧固定する押圧固定部材と、を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ヒートシンクは前記筐体の外部へ突出した突出部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記固定手段は、前記テーパ側面と前記テーパ側面に接触する前記押圧面との一対を備え、前記テーパ側面および前記押圧面は、それぞれ前記テーパ側面および前記押圧面の前記一対の中間点に対して対称に形成され、配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記テーパ側面および前記押圧面は、それぞれ前記熱伝導体の前記接触面に対して45度の角度で傾斜している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記移動部材は前記回路基板アセンブリと前記ヒートシンクとの間に配置された前記熱伝導体自体である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項6】
前記移動部材は、前記回路基板アセンブリの前記ヒートシンクに対向する側の反対側の前記回路基板アセンブリの面を押圧するスライダーアセンブリである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器としては、例えば、特許文献1には、図12に示すように、発熱体である電子部品を実装した回路基板が放熱シートを介して放熱フィンに接続され、放熱フィンの一部が露出するように筐体の一面に穴が空けられ、回路基板が封止プラスチックで筐体に一体化された筐体構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-18176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来の電子機器の場合、封止プラスチックで封止された回路基板に故障が発生して回路基板を交換する作業では、電子部品側筐体から封止された回路基板を外す必要があり、交換作業がきわめて困難であるという問題点があった。
【0005】
また、回路基板が封止プラスチックで筐体に一体化された筐体構造の他では、回路基板が放熱シートを介して放熱フィンまたは筐体にネジで固定される構造が知られている。
【0006】
しかしながら、上記ネジ固定の構成装置の場合、回路基板に故障が発生して回路基板を交換する作業の際には、回路基板側からネジを外す作業をするため、ネジを筐体内へ落としたり、ネジに触れるために他の部品を外す必要があることもあり、回路基板の交換作業が困難であった。
【0007】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、回路基板の放熱性能を維持しつつ、回路基板の交換作業性を改善できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、筐体内に固定されたヒートシンクと、
回路基板アセンブリに設けられかつ前記ヒートシンクの内面に接触する熱伝導体と、
前記筐体内にて前記回路基板アセンブリを、前記熱伝導体を介在させて前記ヒートシンクに固定する固定手段と、を有する電子機器であって、
前記固定手段は、
前記熱伝導体の前記ヒートシンクとの接触面に向かって傾斜するテーパ側面を有しかつ前記接触面の法線方向に前記回路基板アセンブリと共に移動可能な移動部材と、
前記移動部材の前記テーパ側面に接触する押圧面を有しかつ前記接触面の法線方向と直交する方向において前記押圧面を介して前記移動部材のテーパ側面に圧力を印加して前記熱伝導体の前記接触面を前記ヒートシンクに押圧固定する押圧固定部材と、を有する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、例えば、その一部を筐体外部へ突出させたヒートシンク(放熱部材)を備えた防水性が求められる密閉型筐体における、熱伝導体を介して回路基板アセンブリ等の発熱部材から熱をヒートシンクへ伝える方式において、熱伝導体をヒートシンクへ容易に押圧固定でき、回路基板の交換作業性を改善できる電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による第一の実施例である電子機器の外観を示す概略斜視図である。
図2】第一の実施例である電子機器の内部を示す概略斜視図である。
図3図2の線xxにおける電子機器の概略断面図である。
図4】第一の実施例である電子機器の内部を示す概略分解斜視図である。
図5】第一の実施例である電子機器の組み立てを示す概略断面図である。
図6】第一の実施例の変形例である電子機器の内部を示す概略斜視図である。
図7図6の線xxにおける電子機器の概略断面図である。
図8】本発明による第二の実施例である電子機器の内部を示す概略斜視図である。
図9】第二の実施例の電子機器におけるスライダーアセンブリの図8の線xxにおける概略断面図である。
図10】本発明による第三の実施例である電子機器の内部を示す概略斜視図である。
図11】第三の実施例の電子機器におけるスライダーアセンブリの図10の線xxにおける概略断面図である。
図12】本発明の解決課題を説明するための電子機器を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例の電子機器について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、実質的に同一の機能および構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例1】
【0012】
(第一の実施例)
(構成の説明)
図1に示すように、本実施例の電子機器10はヒートシンク11を備えた筐体12を有している。筐体12は略長方体形状を有し、その一面を閉塞するように、板状のヒートシンク11が複数のネジSc等により締結され固定されている。なお、説明の便宜上、図に示すように直交XYZ座標軸の各軸の方向をXYZ方向として、筐体の蓋部12R側を前側とし、その反対を後側(Z方向)とし、当該前側から見て左右(Y方向)、上下(X方向)として説明する。本実施例では、筐体右側側面のヒートシンク11は、筐体12の外部へ所定ピッチで突出した突出部の複数のフィンを有し、複数のフィン11bは上下(X方向)に平行に延びるように形成されている。ヒートシンク11は、例えば銅やアルミニウム等の金属やセラミックスから成る。
【0013】
筐体前側の四角形状の蓋部12Rは、筐体12の開口端面に複数のネジSc等により締結されている。筐体12からの蓋部12Rが取り外されたときに、筐体内部SP(図3)にアクセス可能となる。なお、図示しないが、筐体12とヒートシンク11および蓋部12Rとの間にパッキンを挟み込ませて密閉してもよい。
【0014】
図2に示すように、筐体12内側のヒートシンク11の内面上には、これに接触する熱伝導体13を介して、回路基板アセンブリ14が固定手段FXM(後述)により固定されている。回路基板アセンブリ14は、冷却すべき発熱部品を含む電子部品epが実装されたプリント基板を包含する例えば金属製の略長方体形状の剛体のユニットである。図において略長方体形状の回路基板アセンブリ14は、その前面にハンドリングし易いように把手を有した箱体で示されているが、側面を開放したユニットであってもよい。なお、説明を簡略するために、電源、電子部品間のケーブル等を省略して示している。さらに、筐体12や回路基板アセンブリ14における操作パネル等のスイッチ類も省いている。また、図示しないが、筐体12や回路基板アセンブリ14には、外部接続端子を介して電子回路を動作させるための外部の給電ケーブルや入出力ケーブルやアンテナ等を通過させるための接続孔が側壁の一部において設けられている。
【0015】
熱伝導体13は、熱伝導し易いように予め回路基板アセンブリ14にネジ止め固着して設けられた、例えば銅やアルミニウム等の金属やセラミックスから成るバルク体である。このようにして発熱体の回路基板アセンブリ14は熱伝導体13に熱的に接続されている。
【0016】
図3に示すように、熱伝導体13の前後の両側面は、そのヒートシンク11との接触面13S(平坦部)に向かって傾斜するテーパ側面13Tを有している。テーパ側面13Tは、接触面13Sに対して45度の角度θで傾斜している。例えば、前後対のテーパ側面13Tは、一対間の中間点に対して対称に形成されている。
【0017】
図2図3に示すように、熱伝導体13が設けられた回路基板アセンブリ14は、該熱伝導体を介在させてヒートシンク11に、固定手段FXMによって、押し付けて固定されている。なお、熱伝導体13のヒートシンク11との接触面には熱伝導グリス等のサーマルインターフェースマテリアル(Thermal Interface Material)部材が塗布されている。該部材は熱伝導体とヒートシンクとの間の小さな隙間や凸凹を埋め、効率よく熱をヒートシンクに伝える。
【0018】
固定手段FXMは、一対の押圧固定部材15と一対のブラケット16と押圧可動部PFXとから構成されている。ブラケット16の対および押圧固定部材15の対は、熱伝導体13の前後の両側面を挟むような位置に上下に並列するように、ヒートシンク11にネジ止め固定されている。詳しくは、ブラケット16の対は、押圧可動部PFXを介在させて、押圧固定部材15によりヒートシンク11を挟める位置に配置されている。
【0019】
ヒートシンク11にネジ止めされた一対の押圧固定部材15はそれぞれフォーク状部材であって、その先端には熱伝導体13の後側のテーパ側面13Tに接触する押圧面PPが設けられている。押圧固定部材15の押圧面PPは、接触面13Sに対して45度の角度θで傾斜している。該押圧面PPはヒートシンク11との固定面から135度の角度の逆テーパ側面である。
【0020】
押圧可動部PFXは、前側の上下一対のブラケット16に掛け渡される横木部材と、これの中間にネジ止め(PSc)された一対のフォーク状本体とから構成されている。押圧可動部PFXのフォーク状本体の先端には熱伝導体13の前側のテーパ側面13Tに接触する押圧面PPが設けられている。押圧可動部PFXの押圧面PPは、接触面13Sに対して45度の角度θで傾斜している。該押圧面PPはヒートシンク11との固定面から135度の角度の逆テーパ側面である。
【0021】
押圧可動部PFXの横木部材の両端部は、前側の上下一対のブラケット16に掛け渡され、それぞれブラケット16に取付ネジ17で固定されている。ブラケット16には方向に延在する雌ネジ加工されており、取付ネジ17は前から押圧可動部PFXをネジ止めできる。回路基板アセンブリを搭載する際、取付ネジ17又はネジPScの締め付けによる押圧可動部PFXの方向移動(矢印F)により、熱伝導体13と押圧固定部材15および押圧可動部PFXとは、それぞれテーパ側面13Tと押圧面PPにて密着させることができる。熱伝導体13のテーパ側面13Tが押圧固定部材15および押圧可動部PFXの押圧面PPからの圧力を受けることにより、熱伝導体13は方向のヒートシンク11へ移動する。
【0022】
このように、押圧可動部PFXは、熱伝導体13の接触面13Sの法線方向(Y方向)と直交するZ方向において押圧可動部PFXの押圧面PPを介してテーパ側面13Tに向け圧力(矢印F)を印加して、押圧固定部材15の押圧面PPと共に、熱伝導体13を方向(すなわち接触面13Sの法線方向)に付勢して接触面13Sをヒートシンク11に押圧固定することができる。
【0023】
(動作の説明)
図4図5に示すように、組み立てや交換中に回路基板アセンブリ14の熱伝導体13とヒートシンク11を密着させるには、回路基板アセンブリ14を筐体12へ搭載する際に、ヒートシンク11の所定位置に設けられた熱伝導体13部分を案内するガイドGDに沿って、熱伝導体13の前側のテーパ側面13Tを押圧固定部材15の押圧面PPに突き当てながら搭載する。
【0024】
その後、図5(b)に示すように、押圧可動部PFXをブラケット16に取付ネジ17で固定する。以上により、前後から熱伝導体13の前後のテーパ側面13Tを、押圧固定部材15と押圧可動部PFXの押圧面PPがヒートシンク11の表面となすクサビ形状空間で挟み込むことにより、取付ネジ17等のネジ止め後に、熱伝導体13をヒートシンク11へ密着させることができる。
【0025】
(効果の説明)
以上のように第一の実施例によれば、故障が発生して回路基板アセンブリを交換する作業では、ヒートシンク11と熱伝導体13の間を作業者による調整作業が容易になり、密着状態が安定して、冷却効率が安定する。また、取付ネジ17は筐体の手前に有るため、筐体内に落としたり、取付ネジ17に触れる際に他の部品を外す必要も無い。
【0026】
(第一の実施例の変形例)
第一の実施例では、固定手段の一部として熱伝導体13の前後側面を利用しているが、固定手段は、熱伝導体とは別体の回路基板アセンブリ14と共に移動可能な移動部材であってもよい。
【0027】
第一の実施例の変形例は、第一の実施例の筐体12の熱伝導体13に代えて、図6図7に示すように、回路基板アセンブリ14のヒートシンク11との間に熱伝導体シート13Aと、回路基板アセンブリ14のヒートシンク11に対向する側の反対側の回路基板アセンブリ14の面を押圧する移動部材MVMとを設けた構成とした以外、第一の実施例と同一である。また、固定手段FXMの一対の押圧固定部材15Aと一対のブラケット16Aは、それぞれヒートシンク11の固定部分の位置が熱伝導体シート13Aおよび回路基板アセンブリ14の分のヒートシンク11からの高さを増加したものとして構成されている。
【0028】
このように固定手段FXMは、熱伝導体シート13Aのヒートシンク11との接触面13Sに向かって傾斜するテーパ側面13Tを有しかつ回路基板アセンブリ14と共に移動可能な移動部材MVMを有していればよく、これによれば、第一の実施例と同様の効果が得られるだけでなく、薄い熱伝導体シート13Aによって回路基板アセンブリ14とヒートシンク11の距離を短くできるため、熱が速くヒートシンク11へ伝わるため、冷却効率を上げることが期待できる。
【実施例2】
【0029】
(第二の実施例)
(構成の説明)
図8に示すように、本実施例は、第一の実施例の変形例の移動部材MVMに代えてスライダーアセンブリSDA(押圧固定部材21、移動部材22、シャフト23、ピン24、ワッシャ25)とし、押圧固定部材15Aとブラケット16Aに代えて前側ブラケットを無くし後側ブラケット16Bのみを回路基板アセンブリ14の後側に設けた構成とした以外、該変形例と同一である。また、ヒートシンク11に固着された後側ブラケット16Bは、押圧固定部材の固定部分の位置が熱伝導体シート13Aおよび回路基板アセンブリ14の分のヒートシンク11からの高さを増加したものとして構成されている。スライダーアセンブリSDAの各部材要素は板金加工により製造できる。
【0030】
ヒートシンク11と反対側の回路基板アセンブリ14の左側面には、スライダーアセンブリSDAの押圧固定部材21が後側ブラケット16Bにネジ止め固定されている。スライダーアセンブリSDAの移動部材22は、回路基板アセンブリ14と接触している。スライダーアセンブリSDAの押圧固定部材21と移動部材22は45度の角度θのテーパ側面13Tを有して接触している。一端にネジ加工THDを施されたシャフト23は、押圧固定部材21と締結してあり、他端にはすり割りSLTを施し、ピン24を付け、ピン24と移動部材22の表面との間にはワッシャ25(押圧可動部)を取付け、ピン24、ワッシャ25、移動部材22が接触するようにしてある。なお、押圧固定部材21にはシャフト23が通過できる丸孔(RH)が設けられ、移動部材22にはシャフト23が通過する部分として、方向に広い小判孔(LH)が設けられ、ピン24が孔に引っ掛からないようにワッシャ25を設けてある。
【0031】
(動作の説明)
図9に示すように、熱伝導体13Aとヒートシンク11を密着させるには、作業者は回路基板アセンブリ14を筐体12へ搭載後、前面側からシャフト23のすり割りSLTを時計方向に回転させる。シャフト23にはネジ加工THDを施しているため、シャフトが矢印A方向(方向)へ移動する。矢印A方向に移動することにより、スライダーアセンブリSDAの押圧固定部材21、他端側のピン24およびワッシャ25によって、スライダーアセンブリSDAの移動部材22が締めこまれる。押圧固定部材21と移動部材22は45度の角度θのテーパ側面13Tを有しているため、移動部材22は矢印B方向(方向)へ移動し、接触している回路基板アセンブリ14が押圧され、熱伝導体13Aをヒートシンク11へ押し付ける。
【0032】
(効果の説明)
以上のように第二の実施例によれば、熱伝導体13Aを薄くでき、回路基板アセンブリ14とヒートシンク11の距離を短くできるため、熱が速くヒートシンク11へ伝わるため、冷却効率を上げることが期待できる。
【0033】
また、故障が発生して回路基板アセンブリ14を交換する作業では、ヒートシンク11と熱伝導体13Aを固定するネジを無くしたため、ネジを筐体内へ落としたり、他の部品を外す必要が無くなり、交換作業が容易になる。
【実施例3】
【0034】
(第三の実施例)
(構成の説明)
図10に示すように、本実施例は、第二の実施例のスライダーアセンブリSDAに代えて、これを新たなスライダーアセンブリSDA(押圧固定部材31、移動部材33、シャフト23、ピン24、押圧可動部32)とした以外、第二の実施例と同一である。また、ヒートシンク11に固着された後側ブラケット16Bは熱伝導体シート13Aおよび回路基板アセンブリ14の分のヒートシンク11からの高さを増加したものとして構成されている。
【0035】
図11において、スライダーアセンブリSDAのシャフト23が押圧固定部材と移動部材と押圧可動部を介して後側ブラケット16Bにネジ止め固定されている。押圧可動部32は矢印C方向(方向)へ移動する。これにより、移動部材33は矢印D方向(方向)へ移動する。移動部材33は回路基板アセンブリ14と接触している。スライダーアセンブリSDAの押圧固定部材31と移動部材33とは45度の角度θのテーパ側面13Tを有して接触し、押圧可動部32と移動部材33とはそれぞれテーパ側面13Tと押圧面PPにて接触している。移動部材33の屈曲部の面のシャフト23が通過する部分には、方向に広い小判孔(LH)が設けられ、押圧固定部材31および押圧可動部32にはシャフト23が通過できる丸孔(RH)が設けられている。
【0036】
(動作の説明)
図11に示すように、熱伝導体13Aとヒートシンク11を密着させるには、回路基板アセンブリ14を筐体12へ搭載後、シャフト23のすり割りSLTを時計方向に回転させる。シャフト23にはネジ加工THDを施しているため、シャフトが矢印C方向へ移動し、ピン24によって、押圧可動部32も矢印C方向へ移動する。スライダーアセンブリSDAの押圧固定部材31と押圧可動部32によって、移動部材33は締めこまれる。押圧固定部材31と移動部材33とは45度の角度θのテーパ側面13Tを有して接触し、押圧可動部32と移動部材33とはそれぞれテーパ側面13Tと押圧面PPにて接触しているため、移動部材33は矢印D方向へ移動し、接触している回路基板アセンブリ14が押圧され、熱伝導体13Aをヒートシンク11へ押し付ける。
【0037】
(効果の説明)
以上のように第三の実施例によれば、押圧固定部材31と移動部材33は45度の角度θのテーパ側面13Tを有して接触し、押圧可動部32と移動部材33はそれぞれテーパ側面13Tと押圧面PPにて接触しているため、前後に挟まれた移動部材33への接触面積が等しくなり、シャフト23によって締めこまれると、移動部材33はスムーズに可動することが出来る。
【0038】
第二および第三の実施例において後側ブラケット16Bがヒートシンク11に固着されているが、ヒートシンク11が固着され筐体12の内壁に後側ブラケット16Bが固着されるように構成してもよい。また、両実施例によれば、防水性が求められる密閉型筐体について、ヒートシンクの一部を筐体外部へ突出させ、ヒートシンクと熱を伝える熱伝導体とを密着させて冷却する構造で、熱伝導体とヒートシンクとはネジ止め固定を、ヒートシンクと接触する面とは対面側にスライダーアセンブリを設け、作業者は前面側からスライダーアセンブリで押圧することができる。
【0039】
このように、いずれの実施例によっても、筐体の放熱構造において、密閉性を確保し、放熱性および作業性の向上が期待できる。実施例は、防水性が求められる密閉型の筐体について例を説明したが、屋外、屋内のどちらにも設置される筐体に対しても、筐体の大きさに対しても、熱源から発生する熱量に対しても、部品の大きさを変更すれば、どんな装置にも適用可能である。
【0040】
移動部材や熱伝導体の固定手段の可動部が前後に挟まれた時のテーパ側面と押圧面の接触面積を同じ形状とすることで、スムーズに可動することができヒートシンクへ熱伝導体を押圧することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…電子機器
11…ヒートシンク
12…筐体
13…熱伝導体
13S…接触面
13Tテーパ側面
14…回路基板アセンブリ
FXM…固定手段
PFX…押圧固定部材
PP…押圧面
MVM…移動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12