(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電動車両の下部車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20231017BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231017BHJP
B60K 20/02 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B60K1/04 Z
B60K20/02 A
(21)【出願番号】P 2019092094
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】松田 大和
(72)【発明者】
【氏名】中山 伸之
(72)【発明者】
【氏名】山田 守英
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1974818(KR,B1)
【文献】実開昭64-35136(JP,U)
【文献】国際公開第2011/013717(WO,A1)
【文献】特開2019-31219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0050607(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014016530(DE,A1)
【文献】米国特許第6267217(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00- 25/08
B62D 25/14- 29/04
B60K 1/00- 6/12
B60K 7/00- 8/00
B60K 16/00
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の出力を駆動力とする電動車両の下部車体構造であって、
車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、
該サイドシルの間に配設された略平坦なフロアパネルと、
乗員が着席する前席の前部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバと、
前記前席の後部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバと、
前記フロアパネルの後端から車両上方へ段上げされたキックアップ部と、
前部が車両前方側の車体に連結され、後部が前記キックアップ部に連結されるとともに、センターコンソールを支持するコンソール支持ブラケットとを備え、
該コンソール支持ブラケットが、
車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部と、該ブラケット側壁部の上端を連結するブラケット上面部とで、断面略門型形状に形成され、
前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット側壁部が、
その下端から車幅方向外側へ延設されたフランジ部を備え、
前記コンソール支持ブラケットの前記フランジ部が、
前記第1フロアクロスメンバ及び前記第2フロアクロスメンバに締結固定された
電動車両の下部車体構造。
【請求項2】
回転電機の出力を駆動力とする電動車両の下部車体構造であって、
車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、
該サイドシルの間に配設された略平坦なフロアパネルと、
乗員が着席する前席の前部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバと、
前記前席の後部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバと、
前記フロアパネルの後端から車両上方へ段上げされたキックアップ部と、
前部が車両前方側の車体に連結され、後部が前記キックアップ部に連結され、下部が前記第1フロアクロスメンバ及び前記第2フロアクロスメンバに固定されるとともに、センターコンソールを支持するコンソール支持ブラケットと、
前記キックアップ部の車幅方向略中央と、その前方の前記フロアパネルとを連結するキックアップ補強部とを備え、
前記コンソール支持ブラケットが、
車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部と、該ブラケット側壁部の上端を連結するブラケット上面部とで、断面略門型形状に形成され、
前記キックアップ補強部が、
車幅方向で対向する左右一対の側壁部と、
該側壁部の前端を連結する前壁部と、
前記側壁部の上端を連結する上面部とで一体形成され、
前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部が、
前記キックアップ補強部の前記上面部に締結固定され、
前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット側壁部が、
前記キックアップ補強部の前記側壁部に締結固定された
電動車両の下部車体構造。
【請求項3】
回転電機の出力を駆動力とする電動車両の下部車体構造であって、
車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、
該サイドシルの間に配設された略平坦なフロアパネルと、
乗員が着席する前席の前部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバと、
前記前席の後部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバと、
前記フロアパネルの後端から車両上方へ段上げされたキックアップ部と、
前部が車両前方側の車体に連結され、後部が前記キックアップ部に連結され、下部が前記第1フロアクロスメンバ及び前記第2フロアクロスメンバに固定されるとともに、センターコンソールを支持するコンソール支持ブラケットと、
前記第1フロアクロスメンバと前記第2フロアクロスメンバとの間における前記フロアパネルに、車両上方へ向けて立設された立設ブラケットとを備え、
前記コンソール支持ブラケットが、
車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部と、該ブラケット側壁部の上端を連結するブラケット上面部とで、断面略門型形状に形成され、
前記立設ブラケットが、
前記フロアパネルに固定される左右一対の脚部と、
該脚部の上端を連結する上面部とで構成され、
前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部が、
前記立設ブラケットの前記上面部に締結固定された
電動車両の下部車体構造。
【請求項4】
前記第1フロアクロスメンバ、及び前記第2フロアクロスメンバが、
車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向端部近傍の上面に対して車両上方に上面が位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部を、それぞれ備え、
前記コンソール支持ブラケットの前記フランジ部が、
前記第1フロアクロスメンバの前記上方拡大断面部、及び前記第2フロアクロスメンバの前記上方拡大断面部に締結固定された
請求項1に記載の電動車両の下部車体構造。
【請求項5】
前記フロアパネルが、
前記第1フロアクロスメンバよりも車両前方において、車両上方へ膨出した膨出部を備え、
前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部、及び左右の前記ブラケット側壁部が、
前記フロアパネルの前記膨出部に固定された
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の電動車両の下部車体構造。
【請求項6】
前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部に固定されるとともに、シフトレバーを支持するシフトレバー支持ブラケットを備え、
前記第1フロアクロスメンバに対して前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部、及び
前記ブラケット側壁部の下端から車幅方向外側へ延設されたフランジ部が固定され、
前記立設ブラケットに対して前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部が固定され、
前記第2フロアクロスメンバに対して前記コンソール支持ブラケットの前記フランジ部が固定された
請求項3に記載の電動車両の下部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばフロアパネルの車両下方に排気管を備えていないような電動車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ガソリンなどを燃料とする内燃機関に替えて、回転電機の出力を駆動力とする電動車両が増加している。このような電動車両は、回転電機に電力を供給する車載バッテリが、例えば、車室床面をなすフロアパネルの車両下方に配設されている(特許文献1、及び特許文献2参照)。
【0003】
ところで、特許文献1には、フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右のサイドシルを車幅方向に連結するフロアクロスメンバが、フロアパネルの車幅方向略中央に設けたトンネル部を挟んで配設された車体構造が開示されている。
一方、特許文献2には、フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右のサイドシルを車幅方向に連結フロアクロスメンバが、フロアパネルの車幅方向略中央に設けたトンネル部を跨ぐように配設された車体構造が開示されている。
【0004】
このように特許文献1、及び特許文献2には、フロアパネルの車幅方向略中央に、車両上方へ突出するとともに、車両前後方向に延びるトンネル部が形成されている。
このようなフロアパネルのトンネル部は、従来、内燃機関で発生した排気を車両後部から車外に排出する排気管の配置スペースとして用いられていたため、排気管が不要な電動車両には不要であった。
【0005】
さらに、排気管が不要な電動車両では、トンネル部を不要にすることで、車両重量の軽減や、乗員の足元における空間、すなわち乗員の足元空間の拡大を期待できる。
そこで、排気管が不要な電動車両では、排気管の配置スペースとしてのトンネル部を不要にして、比較的平坦なフロアパネルとフロアクロスメンバとで車室床面を構成することが検討されている。
【0006】
しかしながら、従来のトンネル部が、車両前方からの衝突荷重を車両後方に伝達する伝達部材としても機能していたため、フロアパネルのトンネル部を不要にした場合、所望される前突性能を確保するために、トンネル部にかわる荷重伝達経路を設けて、車両前方からの衝突荷重を車両後方へ伝達させる必要があった。
【0007】
さらに、従来のトンネル部が、センターコンソールを支持する支持部としても機能していたため、フロアパネルのトンネル部を不要にした場合、センターコンソールを支持する支持部材を別途設ける必要があった。
一方で、所望される前突性能やセンターコンソールの支持構造を、トンネル部と同じような構造で確保すると、トンネル部を不要にしたことによる重量軽減効果が得られないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2012/063393号
【文献】特開2013-147137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑み、重量増加を抑えて、所望される前突性能を確保できるとともに、センターコンソールの支持構造の軽量化を図れる電動車両の下部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、回転電機の出力を駆動力とする電動車両の下部車体構造であって、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、該サイドシルの間に配設された略平坦なフロアパネルと、乗員が着席する前席の前部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバと、前記前席の後部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバと、前記フロアパネルの後端から車両上方へ段上げされたキックアップ部と、前部が車両前方側の車体に連結され、後部が前記キックアップ部に連結されるとともに、センターコンソールを支持するコンソール支持ブラケットとを備え、該コンソール支持ブラケットが、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部と、該ブラケット側壁部の上端を連結するブラケット上面部とで、断面略門型形状に形成され、前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット側壁部が、その下端から車幅方向外側へ延設されたフランジ部を備え、前記コンソール支持ブラケットの前記フランジ部が、前記第1フロアクロスメンバ及び前記第2フロアクロスメンバに締結固定されたことを特徴する。
上記略平坦なフロアパネルとは、車両上方へ突出するとともに、車両前後方向に延びるトンネル部が設けられていないフロアパネルのことをいう。
【0011】
この発明により、重量増加を抑えて、所望される前突性能を確保できるとともに、センターコンソールの支持構造の軽量化を図ることができる。
具体的には、左右のサイドシルを車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバ、及び第2フロアクロスメンバに、車両前後方向に延びるコンソール支持ブラケットが固定されているため、電動車両の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ、及び第2フロアクロスメンバに作用した車両側方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケットを介して車両前後方向に分散伝達することができる。
【0012】
さらに、コンソール支持ブラケットの前部が車両前方側の車体に連結され、コンソール支持ブラケットの後部がキックアップ部に連結されているため、電動車両の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケットを介して車両後方に伝達することができる。
【0013】
この際、電動車両の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、第1フロアクロスメンバ、及び第2フロアクロスメンバを介して分散伝達することができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重、及び車両前方からの衝突荷重に対する車室床面の剛性を確保することができる。
【0014】
加えて、コンソール支持ブラケットの下部が、第1フロアクロスメンバと第2フロアクロスメンバとに固定されたことにより、電動車両の下部車体構造は、コンソール支持ブラケットにおける車両上下方向の長さを、コンソール支持ブラケットをフロアパネルに固定した場合に比べて短くすることができる。
【0015】
このため、例えば、フロアトンネルにトンネル部を設けた場合におけるトンネル部の車両前後方向の長さと、コンソール支持ブラケットの車両前後方向の長さが略同じであっても、電動車両の下部車体構造は、車両上下方向の長さの分だけ、コンソール支持ブラケットの軽量化を図ることができる。
従って、電動車両の下部車体構造は、重量増加を抑えて、所望される前突性能を確保できるとともに、センターコンソールの支持構造の軽量化を図ることができる。
【0016】
さらにこの発明は、前記コンソール支持ブラケットが、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部と、該ブラケット側壁部の上端を連結するブラケット上面部とで、断面略門型形状に形成されたことを特徴とする。
この発明により、電動車両の下部車体構造は、ブラケット側壁部とブラケット上面部との角部に、車両前後方向へ略一直線状に延びる稜線を形成することができる。
【0017】
このため、電動車両の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケットの稜線に沿って、効率よく車両後方へ伝達することができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、センターコンソールの支持構造の軽量化を図るとともに、安定した前突性能を確保することができる。
【0018】
加えてこの発明は、前記コンソール支持ブラケットのブラケット側壁部が、その下端から車幅方向外側へ延設されたフランジ部を備えたことを特徴とする。
この発明により、電動車両の下部車体構造は、フランジ部の基部に、車両前後方向へ略一直線状に延びる稜線を形成することができる。
【0019】
このため、電動車両の下部車体構造は、ブラケット側壁部とブラケット上面部との角部の稜線と、フランジ部の基部の稜線とに沿って、車両前方からの衝突荷重を、さらに効率よく車両後方へ伝達することができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、センターコンソールの支持構造の軽量化を図るとともに、より安定した前突性能を確保することができる。
【0020】
さらにまた、この発明は、前記コンソール支持ブラケットの前記フランジ部が、前記第1フロアクロスメンバ、及び前記第2フロアクロスメンバに締結固定されたことを特徴とする。
この発明により、電動車両の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ、及び第2フロアクロスメンバに対して、コンソール支持ブラケットを効率よく固定することができる。
【0021】
またこの発明は、回転電機の出力を駆動力とする電動車両の下部車体構造であって、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、該サイドシルの間に配設された略平坦なフロアパネルと、乗員が着席する前席の前部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバと、前記前席の後部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバと、前記フロアパネルの後端から車両上方へ段上げされたキックアップ部と、前部が車両前方側の車体に連結され、後部が前記キックアップ部に連結され、下部が前記第1フロアクロスメンバ及び前記第2フロアクロスメンバに固定されるとともに、センターコンソールを支持するコンソール支持ブラケットと、前記キックアップ部の車幅方向略中央と、その前方の前記フロアパネルとを連結するキックアップ補強部とを備え、前記コンソール支持ブラケットが、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部と、該ブラケット側壁部の上端を連結するブラケット上面部とで、断面略門型形状に形成され、前記キックアップ補強部が、車幅方向で対向する左右一対の側壁部と、該側壁部の前端を連結する前壁部と、前記側壁部の上端を連結する上面部とで一体形成され、前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部が、前記キックアップ補強部の前記上面部に締結固定され、前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット側壁部が、前記キックアップ補強部の前記側壁部に締結固定されたことを特徴とする。
【0022】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、例えば、キックアップ補強部に対してコンソール支持ブラケットのブラケット上面部だけを固定した場合に比べて、コンソール支持ブラケットの後部における支持剛性を向上することができる。
【0023】
さらに、キックアップ部とフロアパネルとを連結補強するキックアップ補強部を備えたことにより、電動車両の下部車体構造は、車両前後方向の荷重に対するキックアップ部の支持剛性を向上することができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、キックアップ部を介して車両後方のより遠方へ効率よく伝達することができる。
【0024】
加えて、電動車両の下部車体構造は、車両後方からの衝突荷重が作用した際、車両後方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケットを介して車両前方へ伝達できるとともに、キックアップ補強部を介してフロアパネルに分散伝達することができる。
【0025】
このため、電動車両の下部車体構造は、例えば、車両後方からの衝突荷重が作用した際、キックアップ部の車両後方に連結されたリヤフロアパネルが、キックアップ部の下端を支点にして車両上方へ向けて回動するように変形することを抑制できる。
従って、電動車両の下部車体構造は、重量増加を抑えて、安定した前突性能と後突性能とを両立して確保することができる。
【0026】
またこの発明は、回転電機の出力を駆動力とする電動車両の下部車体構造であって、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、該サイドシルの間に配設された略平坦なフロアパネルと、乗員が着席する前席の前部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバと、前記前席の後部下方に位置する前記フロアパネルの上面に配設されるとともに、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバと、前記フロアパネルの後端から車両上方へ段上げされたキックアップ部と、前部が車両前方側の車体に連結され、後部が前記キックアップ部に連結され、下部が前記第1フロアクロスメンバ及び前記第2フロアクロスメンバに固定されるとともに、センターコンソールを支持するコンソール支持ブラケットと、前記第1フロアクロスメンバと前記第2フロアクロスメンバとの間における前記フロアパネルに、車両上方へ向けて立設された立設ブラケットとを備え、前記コンソール支持ブラケットが、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部と、該ブラケット側壁部の上端を連結するブラケット上面部とで、断面略門型形状に形成され、前記立設ブラケットが、前記フロアパネルに固定される左右一対の脚部と、該脚部の上端を連結する上面部とで構成され、前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部が、前記立設ブラケットの前記上面部に締結固定されたことを特徴とする。
【0027】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバと第2フロアクロスメンバとの間におけるコンソール支持ブラケットの支持剛性を、立設ブラケットによって向上することができる。
さらに、コンソール支持ブラケット、及び立設ブラケットを介して、フロアパネルを支持できるため、電動車両の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバと第2フロアクロスメンバとの間におけるフロアパネルの剛性を向上することができる。
【0028】
このため、電動車両の下部車体構造は、例えば、走行時の車体振動を起振力とするフロアパネルの膜振動を、立設ブラケットとコンソール支持ブラケットとによって抑制することができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、より一層安定した前突性能を確保できるとともに、フロアパネルの膜振動による振動騒音を抑えることができる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記第1フロアクロスメンバ、及び前記第2フロアクロスメンバが、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向端部近傍の上面に対して車両上方に上面が位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部を、それぞれ備え、前記コンソール支持ブラケットの前記フランジ部が、前記第1フロアクロスメンバの前記上方拡大断面部、及び前記第2フロアクロスメンバの前記上方拡大断面部に締結固定されてもよい。
この発明により、電動車両の下部車体構造は、安定した側突性能を確保できるとともに、センターコンソールの支持構造をより軽量化することができる。
【0030】
具体的には、第1フロアクロスメンバ、及び第2フロアクロスメンバが、それぞれ上方拡大断面部を備えたことにより、電動車両の下部車体構造は、車幅方向に長い第1フロアクロスメンバ、及び第2フロアクロスメンバにおける車幅方向略中央近傍の剛性を向上することができる。このため、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重に対する車室床面の剛性を向上することができる。
【0031】
さらに、コンソール支持ブラケットのフランジ部が、第1フロアクロスメンバの上方拡大断面部、及び第2フロアクロスメンバの上方拡大断面部に締結固定されるため、電動車両の下部車体構造は、コンソール支持ブラケットのフランジ部を、上方拡大断面部に対して車幅方向で隣接する上面に締結固定した場合に比べて、コンソール支持ブラケットの車両上下方向の長さを短くすることができる。
従って、電動車両の下部車体構造は、安定した側突性能を確保できるとともに、センターコンソールの支持構造をより軽量化することができる。
【0032】
また、この発明の態様として、前記フロアパネルが、前記第1フロアクロスメンバよりも車両前方において、車両上方へ膨出した膨出部を備え、前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部、及び左右の前記ブラケット側壁部が、前記フロアパネルの前記膨出部に固定されてもよい。
【0033】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、例えば、フロアパネルの膨出部に対してコンソール支持ブラケットのブラケット上面部だけを固定した場合に比べて、コンソール支持ブラケットの前部における支持剛性を向上することができる。
【0034】
さらに、電動車両の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、フロアパネルの膨出部とブラケット上面部との固定部位、及びフロアパネルの膨出部とブラケット側壁部との固定部位を介して、コンソール支持ブラケットに伝達することができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケットに効率よく伝達できるため、さらに安定した前突性能を確保することができる。
【0035】
また、この発明の態様として、前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部に固定されるとともに、シフトレバーを支持するシフトレバー支持ブラケットを備え、前記第1フロアクロスメンバに対して前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部、及び前記ブラケット側壁部の下端から車幅方向外側へ延設されたフランジ部が固定され、前記立設ブラケットに対して前記コンソール支持ブラケットの前記ブラケット上面部が固定され、前記第2フロアクロスメンバに対して前記コンソール支持ブラケットの前記フランジ部が固定されてもよい。
この発明により、電動車両の下部車体構造は、コンソール支持ブラケットの撓み変形を抑えて、センターコンソールの支持構造を軽量化することができる。
【0036】
具体的には、コンソール支持ブラケットには、シフトレバーに加わった車両前後方向の荷重、車幅方向の荷重、及び車両上下方向の荷重が、シフトレバー支持ブラケットを介して作用する。このため、コンソール支持ブラケットが、シフトレバーに加わった荷重によって撓み変形することで、例えば、シフトフィーリングが悪化する、あるいは意図しない振動騒音が発生するおそれがあった。
【0037】
そこで、第1フロアクロスメンバに対してコンソール支持ブラケットのブラケット上面部、及びフランジ部が固定されたことにより、電動車両の下部車体構造は、シフトレバーに比較的近い高剛性な部位でコンソール支持ブラケットを支持することができる。
【0038】
さらに、立設ブラケットに対してコンソール支持ブラケットのブラケット上面部を固定することにより、電動車両の下部車体構造は、シフトレバーに比較的近い第1フロアクロスメンバと立設ブラケットとの協働によって、コンソール支持ブラケットの支持剛性を向上できるとともに、コンソール支持ブラケットのブラケット上面部における撓み変形を抑えることができる。
【0039】
一方で、第2フロアクロスメンバに対して、コンソール支持ブラケットのフランジ部を固定することで、電動車両の下部車体構造は、シフトレバーからコンソール支持ブラケットに作用した荷重を、立設ブラケットと第2フロアクロスメンバとに分散伝達することができる。
【0040】
この際、シフトレバーからコンソール支持ブラケットに作用した荷重が車両後方ほど小さいため、電動車両の下部車体構造は、コンソール支持ブラケットの支持剛性を損なうことなく、立設ブラケットに対する固定部位の数、及び第2フロアクロスメンバに対する固定部位の数を、第1フロアクロスメンバに対する固定部位の数よりも少なくできる。
【0041】
これにより、電動車両の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ、立設ブラケット、及び第2フロアクロスメンバに対するコンソール支持ブラケットの組付け工数を削減できるとともに、コンソール支持ブラケットの固定箇所増加による重量増加を抑えることができる。
従って、電動車両の下部車体構造は、コンソール支持ブラケットの撓み変形を抑えて、センターコンソールの支持構造を軽量化することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、重量増加を抑えて、所望される前突性能を確保できるとともに、センターコンソールの支持構造の軽量化を図れる電動車両の下部車体構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】電動車両の車室部分における外観を示す外観斜視図。
【
図2】電動車両の下部車体における外観を示す外観斜視図。
【
図3】平面視における下部車体の外観を示す平面図。
【
図5】膨出部材における車両後方視の外観を示す外観斜視図。
【
図8】
図4中における車両前方側の要部の拡大断面を示す拡大断面図。
【
図9】キックアップ補強部材における車両前方視の外観を示す外観斜視図。
【
図10】
図4中における車両後方側の要部の拡大断面を示す拡大断面図。
【
図13】第2支持ブラケットにおける車両後方視の外観を示す外観斜視図。
【
図15】立設ブラケットにおける車両後方視の外観を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の車両は、例えば、リチウムイオン二次電池などのバッテリユニットと、バッテリユニットからの電力供給によって回動する回転電機とを備えるともに、回転電機の出力を駆動力とする電動車両である。このような電動車両1の車室部分における下部車体構造について、
図1から
図15を用いて詳しく説明する。
【0045】
なお、
図1は電動車両1の車室部分における外観斜視図を示す、
図2は電動車両1の下部車体における外観斜視図を示し、
図3は下部車体の平面図を示し、
図4は
図3中のA-A矢視断面図を示し、
図5は膨出部材14における車両後方視の外観斜視図を示している。
【0046】
さらに、
図6は
図3中のB-B矢視断面図を示し、
図7は
図3中のC-C矢視断面図を示し、
図8は
図4中における車両前方側の要部の拡大断面図を示し、
図9はキックアップ補強部材50における車両前方視の外観斜視図を示し、
図10は
図4中における車両後方側の要部の拡大断面図を示している。
【0047】
加えて、
図11は
図3中のD-D矢視断面図を示し、
図12は
図3中のE-E矢視断面図を示し、
図13は第2支持ブラケット62における車両後方視の外観斜視図を示し、
図14は
図3中のF-F矢視断面図を示し、
図15は立設ブラケット70における車両後方視の外観斜視図を示している。
【0048】
また、図示を明確にするため、
図1、
図2、及び
図3中において、サイドシルアウタ7Aの図示を省略するとともに、
図4、
図6から
図8、
図10、及び
図14中において、フロントフロアパネル8の車両下方に配設されたバッテリユニット16の詳細な図示を省略している。
【0049】
また、図中において、矢印Fr及び矢印Rrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。さらに、矢印Rh及び矢印Lhは車幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示している。
【0050】
電動車両1の車室には、
図1に示すように、車室前部にインストルメントパネル2が配設され、インストルメントパネル2における車幅方向略中央の車両下方にセンターコンソール3、及びシフトレバー4が配設されている。
なお、詳細な図示を省略するが、電動車両1の車室には、センターコンソール3を挟んで2つの前席が配設され、センターコンソール3よりも車両後方に後席が配設されているものとする。
【0051】
また、センターコンソール3は、
図1に示すように、インストルメントパネル2の車両下方に位置するセンターコンソール前部3Aと、センターコンソール前部3Aの車両後方側に連結されたセンターコンソール後部3Bとで構成されている。
このセンターコンソール後部3Bには、
図1に示すように、シフトレバー4の基部を覆う意匠パネルが一体的に設けられ、その車両後方に、カップホルダー3a、及びアームレスト3bがこの順番で配設されている。
【0052】
また、シフトレバー4は、
図2に示すように、シフトレバー支持ブラケット5を介して、後述するコンソール支持ブラケット60に載置固定されている。このシフトレバー支持ブラケット5は、その前部が後述する第1フロアクロスメンバ30の上面に締結固定され、後部が後述する立設ブラケット70の上面に締結固定されている。
【0053】
このような電動車両1の車室部分における下部車体は、
図1及び
図2に示すように、モータルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネル6と、ダッシュパネル6における車幅方向両端の下部から車両後方に延びる左右一対のサイドシル7と、左右のサイドシル7の間に配設され、車室床面をなすフロントフロアパネル8と、フロントフロアパネル8の後端から車両上方に段上げされたキックアップ部9と、キックアップ部9の後端に連結されたリヤフロアパネル10とを備えている。
【0054】
さらに、電動車両1の下部車体は、
図1及び
図2に示すように、ダッシュパネル6、及びフロントフロアパネル8に跨って車両前後方向に延びる左右一対のフロアフレームアッパ11と、フロアフレームアッパ11の後端から車両後方に延びる左右一対のフロアフレームロア12(
図3参照)と、左右のサイドシル7を車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40とを備えている。
【0055】
加えて、電動車両1の下部車体は、
図1及び
図2に示すように、フロントフロアパネル8の後端近傍とキックアップ部9とを連結するキックアップ補強部材50と、シフトレバー4、及びセンターコンソール3を支持するコンソール支持ブラケット60と、コンソール支持ブラケット60を車両下方から支持する立設ブラケット70とを備えている。
【0056】
具体的には、ダッシュパネル6は、車両前後方向に厚みを有するパネル部材であって、その下部が車両後方へ向けて湾曲した形状に形成されている。このダッシュパネル6には、
図2から
図4に示すように、車幅方向略中央近傍に、車両前方上方から車両後方下方へ向けて延びる略トンネル状に膨出させたトンネル形状部6aが形成されている。
トンネル形状部6aは、ダッシュパネル6における車幅方向略中央近傍を切欠いた開口を覆う別部材で構成され、ダッシュパネル6に接合されることで、ダッシュパネル6に一体的に形成されている。
【0057】
また、左右のサイドシル7は、車幅方向沿った縦断面における断面形状が、断面略矩形の閉断面をなすように構成されている(
図6参照)。
より詳しくは、サイドシル7は、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向外側に突出した断面略ハット状のサイドシルアウタ7A(
図6参照)と、車幅方向内側に突出した断面略ハット状のサイドシルインナ7B(
図6参照)とで構成されている。
【0058】
また、フロントフロアパネル8は、
図2から
図4に示すように、車両上下方向に厚みを有する略平坦なパネル部材であって、その前端がダッシュパネル6の下端に接合され、後端が後述するキックアップ部9の下端に接合されている。
【0059】
このフロントフロアパネル8の前部には、
図4に示すように、車幅方向略中央近傍を、ダッシュパネル6におけるトンネル形状部6aの内部空間に連続するように切欠いた前方開口S1が開口形成されている。
一方、フロントフロアパネル8の後部には、
図4に示すように、車幅方向略中央近傍を、後述するキックアップ補強部材50の内部空間に連続するように切欠いた後方開口S2が開口形成されている。
【0060】
そして、上述したフロントフロアパネル8には、
図2から
図4に示すように、前方開口S1を覆うとともに、ダッシュパネル6のトンネル形状部6aから連続するように車両上方に膨出した膨出部材14が接合されている。なお、膨出部材14は、フロントフロアパネル8の前端から後述する第1フロアクロスメンバ30の前端に至る車両前後方向の長さで形成されている。
【0061】
より詳しくは、膨出部材14は、
図4及び
図5に示すように、車幅方向で対向する側面視略三角形状の左右一対の側壁部14aと、前端に対して後端が車両下方に位置するように傾斜した後壁部14bと、側壁部14aの下端、及び後壁部14bの下端に沿ったフランジ部14cとで、車両前方、及び車両下方が開口した略ボックス状に形成されている。
【0062】
この膨出部材14は、側壁部14aの前部、及び後壁部14bの前部が、ダッシュパネル6のトンネル形状部6aに接合され、フランジ部14cがフロントフロアパネル8の上面に接合されることで、ダッシュパネル6のトンネル形状部6aに連続する略トンネル状の空間を形成している。
【0063】
また、キックアップ部9は、
図2から
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、フロントフロアパネル8の後端から車両上方へ向けて延設されたキックアップ前面部分9aと、キックアップ前面部分9aの上端から車両後方へ向けて延びるキックアップ上面部分9bとで、断面略L字状に形成されている。
【0064】
このキックアップ部9の下面には、
図4に示すように、キックアップ前面部分9aの上部とキックアップ上面部分9bの前部とに跨って、車幅方向に延びる第3クロスメンバ15が接合されている。この第3クロスメンバ15は、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両後方下方に角部を有する断面略L字状であって、キックアップ部9とで、車幅方向に延びる断面略矩形の閉断面をなすように形成されている。
【0065】
また、リヤフロアパネル10は、車両上下方向に厚みを有するパネル部材であって、キックアップ部9のキックアップ上面部分9bの後端に接合されている。なお、詳細な図示を省略するが、リヤフロアパネル10の上面には、後席の座面部分が載置固定されるものとする。
【0066】
また、フロアフレームアッパ11は、
図2及び
図3に示すように、ダッシュパネル6の下部における車室内側の面と、フロントフロアパネル8の上面とに跨って配設されている。このフロアフレームアッパ11は、詳細な図示を省略するが、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が車両上方に突出した断面略ハット状であって、ダッシュパネル6、及びフロントフロアパネル8に接合されることで、車両前後方向に延びる断面略矩形の閉断面を形成している。
【0067】
なお、フロアフレームアッパ11は、
図3に示すように、平面視において、サイドシル7の近傍をとおるように、車幅方向外側近傍に配設されるとともに、前端に対して後端が車幅方向外側に位置するように配設されている。
【0068】
また、フロアフレームロア12は、
図3に示すように、平面視において、フロアフレームアッパ11から連続するように、フロントフロアパネル8の下面に配設されている。
より詳しくは、フロアフレームロア12は、
図3に示すように、前端に対して後端が車幅方向外側に位置するように配設されている。換言すると、フロアフレームロア12は、左右のサイドシル7の近傍をとおるように配設されている。
【0069】
このフロアフレームロア12は、
図6に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が車両下方に突出した断面略ハット状であって、フロントフロアパネル8の下面に接合されることで、車両前後方向に延びる断面略矩形の閉断面を形成している。
【0070】
そして、フロントフロアパネル8の車両下方側におけるフロアフレームロア12の間には、
図3及び
図4に示すように、フロントフロアパネル8の前端近傍からリヤフロアパネル10に至る範囲に、回転電機に電力を供給するバッテリユニット16が配設されている。
【0071】
また、第1フロアクロスメンバ30は、
図2及び
図3に示すように、フロントフロアパネル8における膨出部材14の後端に対して車両後方側に隣接する位置で、左右のサイドシル7を略直線的に連結している。
この第1フロアクロスメンバ30は、
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、フロントフロアパネル8とで車幅方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0072】
さらに、第1フロアクロスメンバ30は、
図6に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向略中央近傍の上面が、車幅方向外側の上面に対して車両上方に位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を、車両上方に拡大させた上方拡大断面部30aを有する形状に形成されている。
【0073】
また、第2フロアクロスメンバ40は、
図2及び
図3に示すように、第1フロアクロスメンバ30に対して車両後方に所定間隔を隔てた位置において、左右のサイドシル7を略直線的に連結している。
この第2フロアクロスメンバ40は、
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、フロントフロアパネル8とで車幅方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0074】
さらに、第2フロアクロスメンバ40は、
図7に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向略中央近傍の上面が、車幅方向外側の上面に対して車両上方に位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部40aを有する形状に形成されている。
【0075】
また、キックアップ補強部材50は、
図2から
図4に示すように、車幅方向略中央において、フロントフロアパネル8の後方開口S2を覆うとともに、キックアップ部9のキックアップ前面部分9aとフロントフロアパネル8とを連結している。
【0076】
また、コンソール支持ブラケット60は、
図2から
図4に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14と、キックアップ補強部材50とを車両前後方向に連結している。
さらに、コンソール支持ブラケット60は、第1フロアクロスメンバ30の上面、第2フロアクロスメンバ40の上面、及び立設ブラケット70の上面にそれぞれ締結固定されている。
【0077】
なお、コンソール支持ブラケット60には、
図1、
図2、及び
図4に示すように、シフトレバー4を支持するシフトレバー支持ブラケット5が載置固定されるとともに、センターコンソール後部3Bが載置固定されている。
また、立設ブラケット70は、
図2及び
図4に示すように、第1フロアクロスメンバ30と第2フロアクロスメンバ40との間において、フロントフロアパネル8の上面と、コンソール支持ブラケット60の上面とを連結支持している。
【0078】
引き続き、上述した第1フロアクロスメンバ30、第2フロアクロスメンバ40、キックアップ補強部材50、コンソール支持ブラケット60、及び立設ブラケット70について、さらに詳しく説明する。
第1フロアクロスメンバ30は、
図3及び
図6に示すように、フロアフレームロア12の間を車幅方向に延びる一部材である中央メンバ部材31と、中央メンバ部材31の車幅方向両端に接合された左右一対の端部メンバ部材32と、上方拡大断面部30aをなすクロスメンバ補強部材33と、車幅方向外側のシートスライドレール17の前部が載置固定される左右一対の前席外側固定部材34とで構成されている。
なお、シートスライドレール17は、前席18を支持する左右一対のシートスライドレール17とする。
【0079】
中央メンバ部材31は、
図8に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状に形成されている。
具体的には、中央メンバ部材31は、
図6及び
図8に示すように、車両前方側の面をなすメンバ前面部31aと、車両後方側の面をなすメンバ後面部31bと、車両上方の面をなすメンバ上面部31cと、メンバ前面部31aの下端から車両前方に延設した前方フランジ部31dと、メンバ後面部31bの下端から車両後方へ延設した後方フランジ部31eとで一体形成されている。
【0080】
この中央メンバ部材31は、
図6及び
図8に示すように、前方フランジ部31d、及び後方フランジ部31eがフロントフロアパネル8の上面に接合されている。
このような中央メンバ部材31のメンバ上面部31cは、
図3及び
図6に示すように、平面視略矩形の略平板状であって、サイドシルインナ7Bのインナ上面部7aに略同じ車両上下方向の位置に形成されている。
【0081】
一方、左右の端部メンバ部材32は、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状で、中央メンバ部材31から連続して車幅方向に延びる形状に形成されている。
具体的には、端部メンバ部材32は、
図3及び
図6に示すように、中央メンバ部材31のメンバ上面部31cに略同じ車両上下方向の位置に位置するメンバ上面部32aと、メンバ上面部32aの前端から車両下方へ延設されたメンバ前面部32b(
図3参照)と、メンバ上面部32aの後端から車両下方へ延設されたメンバ後面部32cと、メンバ前面部32bの下端から車両前方に延設した前方フランジ部と、メンバ後面部32cの下端から車両後方へ延設した後方フランジ部とで一体形成されている。
【0082】
この端部メンバ部材32は、前方フランジ部、及び後方フランジ部が、フロントフロアパネル8の上面に接合され、メンバ上面部32aを車幅方向外側へ延設した延設部分が、サイドシル7のインナ上面部7aに接合されている。
【0083】
このような端部メンバ部材32のメンバ上面部32aは、
図6に示すように、中央メンバ部材31のメンバ上面部31cにおける車両前後方向の長さに略同じ車両前後方向の長さを有する平面視略矩形の略平板状に形成されている。
【0084】
また、クロスメンバ補強部材33は、
図8に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両下方が開口した断面略門型形状に形成され、中央メンバ部材31とで車幅方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0085】
具体的には、クロスメンバ補強部材33は、
図6及び
図8に示すように、中央メンバ部材31のメンバ上面部31cよりも車両上方に位置する上面部33aと、上面部33aの前端から車両下方へ延設された前面部33bと、上面部33aの後端から車両下方へ延設された後面部33cと、上面部33aにおける車幅方向の両端から車両下方へ延設された左右一対の側面部33dとで一体形成されている。
【0086】
さらに、クロスメンバ補強部材33は、
図6に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面ハット状をなすとともに、中央メンバ部材31のメンバ上面部31cとで閉断面をなすように、側面部33dの下端から車幅方向外側へ延設された左右一対の側方フランジ部33eが一体形成されている。
【0087】
そして、クロスメンバ補強部材33は、
図6及び
図8に示すように、前面部33bが中央メンバ部材31のメンバ前面部31aに接合され、後面部33cが中央メンバ部材31のメンバ後面部31bに接合され、側方フランジ部33eが中央メンバ部材31のメンバ上面部31cに接合されている。
【0088】
このようなクロスメンバ補強部材33の上面部33a、及び側面部33dは、
図3、
図6、及び
図8に示すように、中央メンバ部材31のメンバ上面部31cに略同じ車両前後方向の長さを有する平面視略矩形に形成されている。
【0089】
さらに、上面部33aの車幅方向両端には、
図6に示すように、車幅方向内側のシートスライドレール17の前部が締結固定される前席内側固定部33fが一体形成されている。この前席内側固定部33fは、上面部33aにおける車幅方向略中央部分と略同じ車両上下方向の位置に形成されている。
【0090】
加えて、上面部33aには、
図6及び
図8に示すように、前席内側固定部33fよりも車幅方向内側に、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面略M字状の締結ブラケット35が締結ボルトT1を介して締結固定されている。
【0091】
なお、締結ブラケット35の上面には、
図8に示すように、2つのウエルドボルト36が車両上方へ向けて突出するように接合されている。このウエルドボルト36には、
図8に示すように、シフトレバー支持ブラケット5、及びコンソール支持ブラケット60(後述する第2支持ブラケット62のブラケット上面部672)が共締めされる。
また、前席外側固定部材34は、
図2及び
図6に示すように、端部メンバ部材32のメンバ上面部32aに対して車両上方に膨出した略ボックス状に形成されている。
【0092】
また、第2フロアクロスメンバ40は、
図3及び
図7に示すように、フロアフレームロア12の間を車幅方向に延びる一部材である中央メンバ部材41と、中央メンバ部材41の車幅方向両端に接合された左右一対の端部メンバ部材42と、上方拡大断面部40aをなすクロスメンバ補強部材43とで構成されている。
【0093】
中央メンバ部材41は、
図8に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状に形成されている。
具体的には、中央メンバ部材41は、
図7及び
図8に示すように、車両前方側の面をなすメンバ前面部41aと、車両後方側の面をなすメンバ後面部41bと、車両上方の面をなすメンバ上面部41cと、メンバ前面部41aの下端から車両前方に延設した前方フランジ部41dと、メンバ後面部41bの下端から車両後方へ延設した後方フランジ部41eとで一体形成されている。
【0094】
この中央メンバ部材41は、
図7及び
図8に示すように、前方フランジ部41d、及び後方フランジ部41eがフロントフロアパネル8の上面に接合されている。
このような中央メンバ部材41のメンバ上面部41cは、
図3及び
図7に示すように、平面視略矩形の略平板状であって、サイドシルインナ7Bのインナ上面部7aよりも車両下方の位置に形成されている。
【0095】
一方、左右の端部メンバ部材42は、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状であって、中央メンバ部材41から連続して車幅方向に延びる形状に形成されている。
【0096】
具体的には、端部メンバ部材42は、
図3及び
図7に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cに略同じ車両上下方向の位置に位置するメンバ上面部42aと、メンバ上面部42aの前端から車両下方へ延設されたメンバ前面部42b(
図3参照)と、メンバ上面部42aの後端から車両下方へ延設されたメンバ後面部42cと、メンバ前面部42bの下端から車両前方に延設した前方フランジ部と、メンバ後面部42cの下端から車両後方へ延設した後方フランジ部とで一体形成されている。
【0097】
この端部メンバ部材42は、前方フランジ部、及び後方フランジ部が、フロントフロアパネル8の上面に接合され、メンバ上面部42a(後述する前席外側固定部分42f)を車幅方向外側へ延設した延設部分が、サイドシル7のインナ上面部7aに接合されている。
【0098】
このような端部メンバ部材42のメンバ上面部42aは、
図3及び
図7に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cにおける車両前後方向の長さに略同じ車両前後方向の長さを有する平面視略矩形の略平板状に形成されている。
【0099】
さらに、メンバ上面部42aの車幅方向外側には、
図3及び
図7に示すように、車幅方向外側のシートスライドレール17が締結固定される前席外側固定部分42fが、車両上方に膨出させて一体形成されている。
【0100】
また、クロスメンバ補強部材43は、
図7及び
図8に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状に形成され、中央メンバ部材41とで車幅方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0101】
具体的には、クロスメンバ補強部材43は、
図7及び
図8に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cよりも車両上方に位置する上面部43aと、上面部43aの前端から車両下方へ延設された前面部43bと、上面部43aの後端から車両下方へ延設された後面部43cと、上面部43aにおける車幅方向の両端から車両下方へ延設された左右一対の側面部43dと、前面部43bの下端から車両前方に延設された前方フランジ部43eと、後面部43cの下端から車両後方に延設された後方フランジ部43fとで一体形成されている。
【0102】
さらに、クロスメンバ補強部材43は、
図7に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面ハット状をなすとともに、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cとで閉断面をなすように、側面部43dの下端から車幅方向外側へ延設された左右一対の側方フランジ部43gが一体形成されている。
【0103】
そして、クロスメンバ補強部材43は、
図7及び
図8に示すように、前方フランジ部43eが中央メンバ部材41の前方フランジ部41dを介して、フロントフロアパネル8の上面に接合され、後方フランジ部43fが中央メンバ部材41の後方フランジ部41eを介して、フロントフロアパネル8の上面に接合され、側方フランジ部43gが中央メンバ部材41のメンバ上面部41cに接合されている。
【0104】
このようなクロスメンバ補強部材43の上面部43a、及び側面部43dは、
図3、
図7、及び
図8に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cに略同じ車両前後方向の長さを有する平面視略矩形に形成されている。
【0105】
さらに、上面部43aにおける車幅方向両端には、
図7に示すように、車幅方向内側のシートスライドレール17の後部が締結固定される前席内側固定部43hが、上面部43aにおける車幅方向略中央部分と略同じ車両上下方向の位置に一体形成されている。
【0106】
加えて、上面部43aの下面には、
図7に示すように、前席内側固定部43hよりも車幅方向内側において、締結ボルトT2が螺合する2つのウエルドナット44が、車幅方向に所定間隔を隔てて接合されている。このウエルドナット44には、
図7に示すように、コンソール支持ブラケット60(後述する第2支持ブラケット62の第2固定部分673b)が、締結ボルトT2を介して締結固定される。
【0107】
また、キックアップ補強部材50は、
図9及び
図10に示すように、キックアップ部9のキックアップ前面部分9a、及びその車両前方下方のフロントフロアパネル8の上面に接合された本体部材51と、本体部材51の上面に着脱自在に設けたカバー部材52とで構成されている。
【0108】
本体部材51は、
図9から
図11に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が断面略L字状で、かつ車幅方向に沿った縦断面における断面形状が車両上方へ突出した断面略ハット状に形成されている。換言すると、本体部材51は、車両下方、及び車両後方が開口した略ボックス状に形成されている。
【0109】
より詳しくは、本体部材51は、
図9から
図11に示すように、キックアップ部9におけるキックアップ前面部分9aの下端に略同じ車両上下方向の位置に形成された上面部51aと、上面部51aの車幅方向両端から車両下方へ延設した左右一対の側壁部51bと、上面部51aの前端から車両下方へ延設した前壁部51cとで、フロントフロアパネル8の後方開口S2を覆う略ボック状に一体形成されている。
【0110】
さらに、本体部材51には、側壁部51bの下端を車幅方向外側へフランジ状に延設した部分と、前壁部51cの下端を車両前方へフランジ状に延設した部分とで、左右の側壁部51bの下端、及び前壁部51cの下端に沿った平面視略U字状のフランジ部51dが一体形成されている。
【0111】
そして、本体部材51は、上面部51a、及び左右の側壁部51bがキックアップ部9のキックアップ前面部分9aに接合され、フランジ部51dがフロントフロアパネル8の上面に接合されている。
【0112】
このような本体部材51の側壁部51bには、
図9及び
図11に示すように、車両前方、かつ車両上方の位置に設けた開口を介して、締結ボルトT3が螺合するウエルドナット53が内面に接合されている。このウエルドナット53には、コンソール支持ブラケット60の後部が、締結ボルトT3を介して締結固定される。
【0113】
また、上面部51aには、
図10に示すように、フロントフロアパネル8の後方開口S2に対向する部分を、平面視略矩形に開口した開口部S3が開口形成されている。
さらに、上面部51aには、
図9及び
図11に示すように、開口部S3の周囲に車両上方に突出したウエルドボルト54が4つ接合されている。このウエルドボルト54には、コンソール支持ブラケット60の後部、及びカバー部材52が共締めされる。
【0114】
一方、カバー部材52は、
図9及び
図10に示すように、車両上下方向に所定の厚みを有するとともに、本体部材51の開口部S3を覆う略平板状に形成されている。このカバー部材52は、
図10及び
図11に示すように、コンソール支持ブラケット60の後部を挟んで、本体部材51のウエルドボルト54に共締めされている。
【0115】
また、コンソール支持ブラケット60は、
図2及び
図3に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14と、キックアップ補強部材50とを車両前後方向に連結している。このコンソール支持ブラケット60は、
図1から
図4に示すように、電動車両1の車室内において、センターコンソール前部3Aを支持する第1支持ブラケット61と、シフトレバー4、及びセンターコンソール後部3Bを支持する第2支持ブラケット62とで構成されている。
【0116】
第1支持ブラケット61は、
図5に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14に接合されるブラケット本体63と、ブラケット本体63の後部を補強する後部レインフォースメント64とで構成されている。
なお、第1支持ブラケット61は、
図4及び
図5に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14における車両前後方向の長さに略同じ車両前後方向の長さで形成されている。
【0117】
具体的には、ブラケット本体63は、
図5及び
図12に示すように、車幅方向で対面する左右一対のブラケット側壁部631と、ブラケット側壁部631の上端を連結するブラケット上面部632とで、正面視略門型形状に形成されている。
【0118】
ブラケット上面部632は、
図5及び
図12に示すように、車両下方に凹設されるとともに、車両前後方向に延びる略凹溝状の凹溝部632aを、車幅方向略中央近傍に有する形状に形成されている。この凹溝部632aは、ブラケット上面部632における車両前後方向の略中央近傍から後端にかけて凹設されている。
【0119】
なお、ブラケット本体63は、
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、後述する後部レインフォースメント64よりも車両前方で、膨出部材14の後壁部14bに対して離間した位置のブラケット上面部632が、断面略Z字状の連結ブラケット19を介して、膨出部材14の後壁部14bに連結されている。
【0120】
一方、第1支持ブラケット61の後部レインフォースメント64は、
図5に示すように、ブラケット本体63の後部における内面に接合されている。この後部レインフォースメント64は、
図5及び
図12に示すように、ブラケット本体63のブラケット側壁部631の上部に接合された左右一対の側面部641と、ブラケット本体63のブラケット上面部632に接合された上面部642とで一体形成されている。
【0121】
このような後部レインフォースメント64における側面部641の後部には、
図5及び
図12に示すように、ブラケット本体63のブラケット側壁部631に設けた開口を介して、締結ボルトT4が螺合するウエルドナット65が溶接されている。このウエルドナット65には、第2支持ブラケット62の前部が、締結ボルトT4を介して締結固定される。
【0122】
さらに、上面部642の後部には、
図5及び
図12に示すように、ブラケット本体63のブラケット上面部632に設けた開口を介して、車両上方に突出するウエルドボルト66が、車幅方向に所定間隔を隔てて接合されている。このウエルドボルト66には、第2支持ブラケット62の前部が締結固定される。
【0123】
また、第2支持ブラケット62は、
図13に示すように、第1支持ブラケット61の後部に連結されるブラケット本体67と、ブラケット本体67の前部を補強する前部レインフォースメント68とで構成されている。
【0124】
ブラケット本体67は、
図11から
図13に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、車両下方が開口した断面略門型形状であって、車幅方向で対面する左右一対のブラケット側壁部671と、ブラケット側壁部671の上端を車幅方向に連結するブラケット上面部672とで一体形成されている。
【0125】
左右のブラケット側壁部671は、
図13に示すように、車両上下方向の長さに対して車両前後方向の長さが長い略平板状に形成されている。なお、ブラケット側壁部671は、ブラケット上面部672からフロントフロアパネル8の上面に至る車両上下方向の長さよりも短い車両上下方向の長さで形成されている。
【0126】
さらに、ブラケット側壁部671の下端には、
図13に示すように、前端から後端にかけて、車幅方向外側に延設されたフランジ部673が一体形成されている。
このフランジ部673には、車両前後方向に所定間隔を隔てた位置において、第1フロアクロスメンバ30の上面に締結固定される第1固定部分673aと、第2フロアクロスメンバ40の上面に締結固定される第2固定部分673bとが、さらにフランジ部として車幅方向外側に向けて延設されている。
【0127】
このようなブラケット側壁部671には、
図11から
図13に示すように、締結ボルトT4の挿通を許容するボルト挿通孔671aが、前端近傍に開口形成され、締結ボルトT3の挿通を許容するボルト挿通孔671bが、後端近傍に開口形成されている。
【0128】
また、ブラケット本体67のブラケット上面部672は、
図2から
図4に示すように、その前部において、シフトレバー4を車両下方から支持するシフトレバー支持ブラケット5と、センターコンソール後部3Bとが、車両前方からこの順番で載置固定されている。
【0129】
このブラケット上面部672は、
図3及び
図13に示すように、車幅方向の長さが略一定で車両前後方向に長い平面視略矩形の平板状に形成されている。
このため、第2支持ブラケット62のブラケット本体67には、ブラケット側壁部671とブラケット上面部672との角部、及びブラケット側壁部671とフランジ部673との角部に、少なくとも平面視において、車両前後方向へ略一直線状に延びる稜線が形成されている。
【0130】
さらに、ブラケット上面部672は、
図12及び
図13に示すように、第1支持ブラケット61の凹溝部632aに連続するように、車両下方に凹設されるとともに、車両前後方向に延びる凹溝部672aが、車幅方向略中央近傍に形成されている。
【0131】
このブラケット上面部672の凹溝部672aは、
図3及び
図13に示すように、ブラケット上面部672の前端から第2固定部分673b近傍に至る車両前後方向の長さで凹設されている。
なお、第1支持ブラケット61の凹溝部632a、及び第2支持ブラケット62の凹溝部672aは、第1支持ブラケット61、及び第2支持ブラケット62の剛性を向上させるだけでなく、車室内を車両前後方向に沿って配索されるワイヤーハーネス(図示省略)を収容する収容空間として形成されている。
【0132】
このようなブラケット上面部672には、
図8、
図12、及び
図13に示すように、第1支持ブラケット61のウエルドボルト66の挿通を許容する2つのボルト挿通孔672bが、前端近傍に開口形成され、第1フロアクロスメンバ30における締結ブラケット35のウエルドボルト36の挿通を許容する2つのボルト挿通孔672cが、第1固定部分673aに略同じ車両前後方向の位置に開口形成されている。
【0133】
さらに、ブラケット上面部672には、
図11及び
図13に示すように、後述する立設ブラケット70のウエルドボルト76の挿通を許容する複数のボルト挿通孔672dが、第1固定部分673aと第2固定部分673bとの間に開口形成され、キックアップ補強部材50の4つのウエルドボルト54のうち、車両前方側の2つのウエルドボルト54の挿通を許容する2つのボルト挿通孔672eが、後端近傍に開口形成されている。
【0134】
第2支持ブラケット62の前部レインフォースメント68は、
図12及び
図13に示すように、ブラケット本体67の前部における内面に接合されている。この前部レインフォースメント68は、
図12及び
図13に示すように、ブラケット本体67のブラケット側壁部671に接合された左右一対の側面部681と、ブラケット本体67のブラケット上面部672に接合された上面部682とで、正面視略門型形状に一体形成されている。
【0135】
上述した構成のコンソール支持ブラケット60は、
図12に示すように、第1支持ブラケット61のブラケット側壁部631の後部と第2支持ブラケット62のブラケット側壁部671の前部が、締結ボルトT4を介して締結固定されるとともに、第1支持ブラケット61のブラケット上面部632の後部と第2支持ブラケット62のブラケット上面部672の前部とが、ウエルドボルト66を介して締結固定されることで、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とを車両前後方向に連結している。
【0136】
さらに、コンソール支持ブラケット60は、第1支持ブラケット61のブラケット側壁部631、及びブラケット上面部632が、それぞれ膨出部材14の側壁部14a、及び後壁部14bに接合されることで、膨出部材14に連結されている。
【0137】
加えて、コンソール支持ブラケット60は、
図11に示すように、第2支持ブラケット62のブラケット側壁部671が、締結ボルトT3を介してキックアップ補強部材50の側壁部51bに締結固定され、第2支持ブラケット62のブラケット上面部672が、ウエルドボルト54を介して、キックアップ補強部材50の上面部51aにカバー部材52とともに共締めされている。
【0138】
これにより、コンソール支持ブラケット60は、フロントフロアパネル8の膨出部材14とキックアップ補強部材50とを車両前後方向に連結している。
さらに、コンソール支持ブラケット60は、第2支持ブラケット62のブラケット上面部672が、ウエルドボルト36を介して、第1フロアクロスメンバ30の締結ブラケット35に、シフトレバー支持ブラケット5の前部とともに共締めされている。
【0139】
そして、コンソール支持ブラケット60は、
図6及び
図7に示すように、第2支持ブラケット62の第1固定部分673aが、締結ボルトT1を介して、第1フロアクロスメンバ30のクロスメンバ補強部材33に締結固定され、第2支持ブラケット62の第2固定部分673bが、締結ボルトT2を介して、第2フロアクロスメンバ40のクロスメンバ補強部材43に締結固定されている。
【0140】
また、立設ブラケット70は、
図14及び
図15に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面略M字状であって、第1フロアクロスメンバ30と第2フロアクロスメンバ40との間におけるフロントフロアパネル8の上面に接合されている。
【0141】
この立設ブラケット70は、
図14及び
図15に示すように、車幅方向略中央近傍において、車幅方向で対面する左右一対の内側面部71と、内側面部71の下端同士を車幅方向に連結する略平板状の底部72と、内側面部71の上端から車幅方向外側に延設された上面部73と、上面部73の車幅方向外側から車両下方に延設されるとともに、左右の内側面部71を挟んで対向する脚部74と、脚部74の下端から車幅方向外側へ延設した左右の側方フランジ部75とで一体形成されている。
【0142】
左右の内側面部71には、車幅方向内側へ向けて突出するとともに、車両上下方向に延びるビード71aが、車両前後方向に所定間隔を隔てて形成されている。
左右の脚部74には、車幅方向外側へ向けて突出するとともに、車両上下方向に延びるビード74aが、車両前後方向に所定間隔を隔てて形成されている。
左右の上面部73には、
図6に示すように、第2支持ブラケット62のブラケット上面部672に設けたボルト挿通孔672dを介して、車両上方に突出する複数のウエルドボルト76が接合されている。
【0143】
このウエルドボルト76には、
図14に示すように、第2支持ブラケット62のブラケット上面部672が締結固定される。なお、複数のウエルドボルト76のうち、車両前方側の2つのウエルドボルト76には、
図8に示すように、第2支持ブラケット62のブラケット上面部672と、シフトレバー支持ブラケット5の後部とが共締めされている。
【0144】
以上のように、回転電機の出力を駆動力とする電動車両1の下部車体構造は、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシル7と、サイドシル7の間に配設された略平坦なフロントフロアパネル8と、乗員が着席する前席の前部下方に位置するフロントフロアパネル8の上面に配設されるとともに、左右のサイドシル7を車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバ30と、前席の後部下方に位置するフロントフロアパネル8の上面に配設されるとともに、左右のサイドシル7を車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバ40と、フロントフロアパネル8の後端から車両上方へ段上げされたキックアップ部9と、前部が車両前方側の車体に連結され、後部がキックアップ部9に連結されるとともに、センターコンソール3を支持するコンソール支持ブラケット60とを備え、コンソール支持ブラケット60の下部が、第1フロアクロスメンバ30と、第2フロアクロスメンバ40とに固定されたことにより、重量増加を抑えて、所望される前突性能を確保できるとともに、センターコンソール3の支持構造の軽量化を図ることができる。
【0145】
具体的には、左右のサイドシル7を車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40に、車両前後方向に延びるコンソール支持ブラケット60が固定されているため、電動車両1の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40に作用した車両側方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケット60を介して車両前後方向に分散伝達することができる。
【0146】
さらに、コンソール支持ブラケット60の前部が車両前方側の車体に連結され、コンソール支持ブラケット60の後部がキックアップ部9に連結されているため、電動車両1の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケット60を介して車両後方に伝達することができる。
【0147】
この際、電動車両1の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40を介して分散伝達することができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重、及び車両前方からの衝突荷重に対する車室床面の剛性を確保することができる。
【0148】
加えて、コンソール支持ブラケット60の下部が、第1フロアクロスメンバ30と第2フロアクロスメンバ40とに固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、コンソール支持ブラケット60における車両上下方向の長さを、コンソール支持ブラケット60をフロントフロアパネル8に固定した場合に比べて短くすることができる。
【0149】
このため、例えば、フロアトンネルにトンネル部を設けた場合におけるトンネル部の車両前後方向の長さと、コンソール支持ブラケット60の車両前後方向の長さが略同じであっても、電動車両1の下部車体構造は、車両上下方向の長さの分だけ、コンソール支持ブラケット60の軽量化を図ることができる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、重量増加を抑えて、所望される前突性能を確保できるとともに、センターコンソール3の支持構造の軽量化を図ることができる。
【0150】
また、コンソール支持ブラケット60が、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向で対向する左右一対のブラケット側壁部671と、ブラケット側壁部671の上端を連結するブラケット上面部672とで、断面略門型形状に形成されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、ブラケット側壁部671とブラケット上面部672との角部に、車両前後方向へ略一直線状に延びる稜線を形成することができる。
【0151】
このため、電動車両1の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケット60の稜線に沿って、効率よく車両後方へ伝達することができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、センターコンソール3の支持構造の軽量化を図るとともに、安定した前突性能を確保することができる。
【0152】
また、コンソール支持ブラケット60のブラケット側壁部671が、その下端から車幅方向外側へ延設されたフランジ部673を備えたことにより、電動車両1の下部車体構造は、フランジ部673の基部に、車両前後方向へ略一直線状に延びる稜線を形成することができる。
【0153】
このため、電動車両1の下部車体構造は、ブラケット側壁部671とブラケット上面部672との角部の稜線と、フランジ部673の基部の稜線とに沿って、車両前方からの衝突荷重を、さらに効率よく車両後方へ伝達することができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、センターコンソール3の支持構造の軽量化を図るとともに、より安定した前突性能を確保することができる。
【0154】
また、コンソール支持ブラケット60のフランジ部673が、第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40に締結固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40に対して、コンソール支持ブラケット60を効率よく固定することができる。
【0155】
また、第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40が、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向端部近傍の上面に対して車両上方に上面が位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部30a,40aを、それぞれ備え、コンソール支持ブラケット60のフランジ部673が、第1フロアクロスメンバ30の上方拡大断面部30a,40a、及び第2フロアクロスメンバ40の上方拡大断面部40aに締結固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、安定した側突性能を確保できるとともに、センターコンソール3の支持構造をより軽量化することができる。
【0156】
具体的には、第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40が、それぞれ上方拡大断面部30a,40aを備えたことにより、電動車両1の下部車体構造は、車幅方向に長い第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40における車幅方向略中央近傍の剛性を向上することができる。このため、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重に対する車室床面の剛性を向上することができる。
【0157】
さらに、コンソール支持ブラケット60のフランジ部673が、第1フロアクロスメンバ30の上方拡大断面部30a、及び第2フロアクロスメンバ40の上方拡大断面部40aに締結固定されるため、電動車両1の下部車体構造は、コンソール支持ブラケット60のフランジ部673を、上方拡大断面部30a,40aに隣接するメンバ上面部31c,41cに締結固定した場合に比べて、コンソール支持ブラケット60の車両上下方向の長さを短くすることができる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、安定した側突性能を確保できるとともに、センターコンソール3の支持構造をより軽量化することができる。
【0158】
また、フロントフロアパネル8が、第1フロアクロスメンバ30よりも車両前方において、車両上方へ膨出した膨出部材14を備え、コンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672、及び左右のブラケット側壁部671が、フロントフロアパネル8の膨出部材14に固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、例えば、フロントフロアパネル8の膨出部材14に対してコンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672だけを固定した場合に比べて、コンソール支持ブラケット60の前部における支持剛性を向上することができる。
【0159】
さらに、電動車両1の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、フロントフロアパネル8の膨出部材14とブラケット上面部672との固定部位、及びフロントフロアパネル8の膨出部材14とブラケット側壁部671との固定部位を介して、コンソール支持ブラケット60に伝達することができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケット60に効率よく伝達できるため、さらに安定した前突性能を確保することができる。
【0160】
また、キックアップ部9の車幅方向略中央と、その前方のフロントフロアパネル8とを連結するキックアップ補強部材50を備え、キックアップ補強部材50が、車幅方向で対向する左右一対の側壁部51bと、側壁部51bの前端を連結する前壁部51cと、側壁部51bの上端を連結する上面部51aとで一体形成され、コンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672が、キックアップ補強部材50の上面部51aに締結固定され、コンソール支持ブラケット60のブラケット側壁部671が、キックアップ補強部材50の側壁部51bに締結固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、例えば、キックアップ補強部材50に対してコンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672だけを固定した場合に比べて、コンソール支持ブラケット60の後部における支持剛性を向上することができる。
【0161】
さらに、キックアップ部9とフロントフロアパネル8とを連結補強するキックアップ補強部材50を備えたことにより、電動車両1の下部車体構造は、車両前後方向の荷重に対するキックアップ部9の支持剛性を向上することができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、車両前方からの衝突荷重を、キックアップ部9を介して車両後方のより遠方へ効率よく伝達することができる。
【0162】
加えて、電動車両1の下部車体構造は、車両後方からの衝突荷重が作用した際、車両後方からの衝突荷重を、コンソール支持ブラケット60を介して車両前方へ伝達できるとともに、キックアップ補強部材50を介してフロントフロアパネル8に分散伝達することができる。
【0163】
このため、電動車両1の下部車体構造は、例えば、車両後方からの衝突荷重が作用した際、キックアップ部9の車両後方に連結されたリヤフロアパネル10が、キックアップ部9の下端を支点にして車両上方へ向けて回動するように変形することを抑制できる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、重量増加を抑えて、安定した前突性能と後突性能とを両立して確保することができる。
【0164】
また、第1フロアクロスメンバ30と第2フロアクロスメンバ40との間におけるフロントフロアパネル8に、車両上方へ向けて立設された立設ブラケット70を備え、立設ブラケット70が、フロントフロアパネル8に固定される左右一対の脚部74と、脚部74の上端を連結する上面部73とで構成され、コンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672が、立設ブラケット70の上面部73に締結固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ30と第2フロアクロスメンバ40との間におけるコンソール支持ブラケット60の支持剛性を、立設ブラケット70によって向上することができる。
【0165】
さらに、コンソール支持ブラケット60、及び立設ブラケット70を介して、フロントフロアパネル8を支持できるため、電動車両1の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ30と第2フロアクロスメンバ40との間におけるフロントフロアパネル8の剛性を向上することができる。
【0166】
このため、電動車両1の下部車体構造は、例えば、走行時の車体振動を起振力とするフロントフロアパネル8の膜振動を、立設ブラケット70とコンソール支持ブラケット60とによって抑制することができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、より一層安定した前突性能を確保できるとともに、フロントフロアパネル8の膜振動による振動騒音を抑えることができる。
【0167】
また、コンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672に固定されるとともに、シフトレバー4を支持するシフトレバー支持ブラケット5を備え、第1フロアクロスメンバ30に対してコンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672、及びフランジ部673が固定され、立設ブラケット70に対してコンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672が固定され、第2フロアクロスメンバ40に対してコンソール支持ブラケット60のフランジ部673が固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、コンソール支持ブラケット60の撓み変形を抑えて、センターコンソール3の支持構造を軽量化することができる。
【0168】
具体的には、コンソール支持ブラケット60には、シフトレバー4に加わった車両前後方向の荷重、車幅方向の荷重、及び車両上下方向の荷重が、シフトレバー支持ブラケット5を介して作用する。このため、コンソール支持ブラケット60が、シフトレバー4に加わった荷重によって撓み変形することで、例えば、シフトフィーリングが悪化する、あるいは意図しない振動騒音が発生するおそれがあった。
【0169】
そこで、第1フロアクロスメンバ30に対してコンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672、及びフランジ部673が固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、シフトレバー4に比較的近い高剛性な部位でコンソール支持ブラケット60を支持することができる。
【0170】
さらに、立設ブラケット70に対してコンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672を固定することにより、電動車両1の下部車体構造は、シフトレバー4に比較的近い第1フロアクロスメンバ30と立設ブラケット70との協働によって、コンソール支持ブラケット60の支持剛性を向上できるとともに、コンソール支持ブラケット60のブラケット上面部672における撓み変形を抑えることができる。
【0171】
一方で、第2フロアクロスメンバ40に対して、コンソール支持ブラケット60のフランジ部673を固定することで、電動車両1の下部車体構造は、シフトレバー4からコンソール支持ブラケット60に作用した荷重を、立設ブラケット70と第2フロアクロスメンバ40とに分散伝達することができる。
【0172】
この際、シフトレバー4からコンソール支持ブラケット60に作用した荷重が車両後方ほど小さいため、電動車両1の下部車体構造は、コンソール支持ブラケット60の支持剛性を損なうことなく、立設ブラケット70に対する固定部位の数、及び第2フロアクロスメンバ40に対する固定部位の数を、第1フロアクロスメンバ30に対する固定部位の数よりも少なくできる。
【0173】
これにより、電動車両1の下部車体構造は、第1フロアクロスメンバ30、立設ブラケット70、及び第2フロアクロスメンバ40に対するコンソール支持ブラケット60の組付け工数を削減できるとともに、コンソール支持ブラケット60の固定箇所増加による重量増加を抑えることができる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、コンソール支持ブラケット60の撓み変形を抑えて、センターコンソール3の支持構造を軽量化することができる。
【0174】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のフロアパネルは、実施形態のフロントフロアパネル8に対応し、
以下同様に、
膨出部は、膨出部材14に対応し、
キックアップ補強部は、キックアップ補強部材50に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0175】
例えば、上述した実施形態において、フロントフロアパネル8の前部に別体で構成した膨出部材14を接合した構成としたが、これに限定せず、フロントフロアパネル8の前部における車幅方向略中央近傍を車両上方に膨出させて、フロントフロアパネル8に膨出部材14を一体形成してもよい。
【0176】
また、フロントフロアパネル8の後部とキックアップ部9とを連結するキックアップ補強部材50を別体で構成したが、これに限定せず、キックアップ補強部材50をフロントフロアパネル8、またはキックアップ部9に一体形成してもよい。
【0177】
また、第1フロアクロスメンバ30を、中央メンバ部材31、左右一対の端部メンバ部材32、及びクロスメンバ補強部材33で構成したが、これに限定せず、中央メンバ部材31と左右の端部メンバ部材32とが一体形成された第1フロアクロスメンバとしてもよい。あるいは、中央メンバ部材31とクロスメンバ補強部材33とが一体形成された、もしくは中央メンバ部材31、左右一対の端部メンバ部材32、及びクロスメンバ補強部材33が一体形成された第1フロアクロスメンバとしてもよい。
【0178】
また、第2フロアクロスメンバ40を、中央メンバ部材41、左右一対の端部メンバ部材42、及びクロスメンバ補強部材43で構成したが、これに限定せず、例えば、中央メンバ部材41と左右の端部メンバ部材42とが一体形成された第2フロアクロスメンバとしてもよい。あるいは、中央メンバ部材41とクロスメンバ補強部材43とが一体形成された、もしくは中央メンバ部材41、左右一対の端部メンバ部材42、及びクロスメンバ補強部材43が一体形成された第2フロアクロスメンバとしてもよい。
【0179】
また、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とが締結固定されたコンソール支持ブラケット60としたが、これに限定せず、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とが接合されたコンソール支持ブラケットとしてもよい。
また、コンソール支持ブラケット60を第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とで構成したが、これに限定せず、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とが一体形成されたコンソール支持ブラケットとしてもよい。
【符号の説明】
【0180】
1…電動車両
3…センターコンソール
5…シフトレバー支持ブラケット
7…サイドシル
8…フロントフロアパネル
9…キックアップ部
14…膨出部材
18…前席
30…第1フロアクロスメンバ
30a…上方拡大断面部
40…第2フロアクロスメンバ
40a…上方拡大断面部
50…キックアップ補強部材
51a…上面部
51b…側壁部
51c…前壁部
60…コンソール支持ブラケット
70…立設ブラケット
73…上面部
74…脚部
671…ブラケット側壁部
672…ブラケット上面部
673…フランジ部