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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20231017BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20231017BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231017BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231017BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20231017BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231017BHJP
   G03G 15/36 20060101ALI20231017BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B41J29/00 Z
H04N1/387 110
H04N1/00 838
B41J29/38 601
B41J21/00 Z
G03G21/00 570
G03G15/36
B41J3/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019096522
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020116938
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2019012460
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】蜷川 貴康
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-158175(JP,A)
【文献】特開2016-224166(JP,A)
【文献】特開2017-183781(JP,A)
【文献】特開2009-116210(JP,A)
【文献】特開2010-276771(JP,A)
【文献】特開2017-019242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
B41J 5/00-5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
給紙部から供給される裏紙の印刷済み面の画像である第1画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られる前記第1画像の内容をOCR解析して、規格化された文字又は記号を示す規格画像を認識する解析処理部と、
規格化された文字又は記号を示す規格画像に重畳させた場合に当該規格画像の視認性を低下させる候補画像を、当該規格画像ごとに関連付けて予め記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記候補画像のうち前記解析処理部により認識される前記規格画像に関連付けられた前記候補画像を用いて、前記規格画像の視認性を低下させる第2画像を生成する生成処理部と、
前記生成処理部により生成される前記第2画像を前記第1画像に重畳させて前記印刷済み面に形成する印刷処理を前記画像形成部に実行させる印刷処理部と、
を備え
前記印刷済み面の前記第1画像に同一内容の複数の前記規格画像が含まれる場合において、
前記生成処理部は、前記規格画像に関連付けられた複数の前記候補画像の中から、前記印刷済み面における前記規格画像が配置される位置に基づいて前記候補画像を取得し、当該候補画像を用いて前記第2画像を生成する、画像形成装置。
【請求項2】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
給紙部から供給される裏紙の印刷済み面の画像である第1画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られる前記第1画像の内容をOCR解析して、規格化された文字又は記号を示す規格画像を認識する解析処理部と、
規格化された文字又は記号を示す規格画像に重畳させた場合に当該規格画像の視認性を低下させる候補画像を、当該規格画像ごとに関連付けて予め記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記候補画像のうち前記解析処理部により認識される前記規格画像に関連付けられた前記候補画像を用いて、前記規格画像の視認性を低下させる第2画像を生成する生成処理部と、
前記生成処理部により生成される前記第2画像を前記第1画像に重畳させて前記印刷済み面に形成する印刷処理を前記画像形成部に実行させる印刷処理部と、
前記第2画像を印刷する位置を補正する補正処理部と、
を備え、
前記生成処理部は、前記第1画像に含まれる複数の文字のうち少なくとも一つの特定文字に対して重畳されないように前記第2画像を生成し、
前記画像読取部は、前記画像形成部により前記第1画像に前記第2画像が重畳されて印刷された印刷画像を読み取り、
前記補正処理部は、前記画像読取部により読み取られた前記印刷画像の読取画像に含まれる前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記第2画像を印刷する位置を補正する、画像形成装置。
【請求項3】
前記補正処理部は、前記生成処理部により生成される前記第2画像を前記第1画像に仮想的に重畳させた場合に、所定位置に対する前記特定文字の相対的な位置である第1位置と、前記画像読取部により読み取られた前記印刷画像の前記読取画像において、前記所定位置に対する前記特定文字の相対的な位置である第2位置とを検出し、さらに、前記第1位置と前記第2位置との差に基づいて前記所定位置を補正し、
前記印刷処理部は、前記補正処理部により補正される前記所定位置に基づいて前記印刷処理を前記画像形成部に実行させる、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記生成処理部は、前記第2画像から所定距離だけ離れた、前記第1画像に重畳されない前記所定位置に、特定画像を生成する、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
給紙部から供給される裏紙の印刷済み面の画像である第1画像を読み取る画像読取部により読み取られる前記第1画像の内容をOCR解析して、規格化された文字又は記号を示す規格画像を認識する解析ステップと、
規格化された文字又は記号を示す規格画像に重畳させた場合に当該規格画像の視認性を低下させる候補画像を当該規格画像ごとに関連付けて予め記憶する記憶部を参照して、前記記憶部に記憶された前記候補画像のうち前記解析ステップにより認識される前記規格画像に関連付けられた前記候補画像を用いて、前記規格画像の視認性を低下させる第2画像を生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成される前記第2画像を前記第1画像に重畳させて前記印刷済み面に形成する印刷処理を、用紙に画像を形成する画像形成部に実行させる印刷ステップと、
を含み、
前記印刷済み面の前記第1画像に同一内容の複数の前記規格画像が含まれる場合において、
前記生成ステップにおいて、前記規格画像に関連付けられた複数の前記候補画像の中から、前記印刷済み面における前記規格画像が配置される位置に基づいて前記候補画像を取得し、当該候補画像を用いて前記第2画像を生成する、画像形成方法。
【請求項6】
給紙部から供給される裏紙の印刷済み面の画像である第1画像を読み取る画像読取部により読み取られる前記第1画像の内容をOCR解析して、規格化された文字又は記号を示す規格画像を認識する解析ステップと、
規格化された文字又は記号を示す規格画像に重畳させた場合に当該規格画像の視認性を低下させる候補画像を当該規格画像ごとに関連付けて予め記憶する記憶部を参照して、前記記憶部に記憶された前記候補画像のうち前記解析ステップにより認識される前記規格画像に関連付けられた前記候補画像を用いて、前記規格画像の視認性を低下させる第2画像を生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成される前記第2画像を前記第1画像に重畳させて前記印刷済み面に形成する印刷処理を、用紙に画像を形成する画像形成部に実行させる印刷ステップと、
前記第2画像を印刷する位置を補正する補正ステップと、
を含み、
前記生成ステップにおいて、前記第1画像に含まれる複数の文字のうち少なくとも一つの特定文字に対して重畳されないように前記第2画像を生成し、
前記補正ステップにおいて、前記画像形成部により前記第1画像に前記第2画像が重畳されて印刷された印刷画像を前記画像読取部が読み取った読取画像に含まれる前記第1画像及び前記第2画像に基づいて、前記第2画像を印刷する位置を補正する、画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取って画像データを生成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、多機能プリンター、複合機などのMFP(Multifunction Peripheral)である画像形成装置においては、省資源化の観点から、裏紙を利用することがある。この場合、印刷済み面に個人情報、社外秘情報、及び部外秘情報などの重要情報が印刷されている用紙を裏紙として利用すると、当該重要情報が外部に漏れてしまうことがある。このような情報漏洩を防ぐために、前記重要情報に所定のダミーデータを重ねて印刷する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-276771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記重要情報に所定のダミーデータを重ねる方法では、前記重要情報が視認可能な場合がある。そこで、前記重要情報を黒色のベタパターンで塗りつぶす方法が考えられる。しかし、この方法では、トナーの使用量が増加してしまう。
【0005】
本発明の目的は、トナーの使用量を増加させることなく、裏紙に形成された画像の情報漏洩を防ぐことが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、画像形成部と、画像読取部と、解析処理部と、生成処理部と、印刷処理部とを備える。前記画像形成部は、用紙に画像を形成する。前記画像読取部は、給紙部から供給される裏紙の印刷済み面の画像である第1画像を読み取る。前記解析処理部は、前記画像読取部により読み取られる前記第1画像の内容を解析する。前記生成処理部は、前記解析処理部により解析される前記第1画像の内容に基づいて、前記第1画像に重畳させた場合に前記第1画像の視認性を低下させる第2画像を生成する。前記印刷処理部は、前記生成処理部により生成される前記第2画像を前記第1画像に重畳させて前記印刷済み面に形成する印刷処理を前記画像形成部に実行させる。
【0007】
本発明の他の局面に係る画像形成方法は、解析ステップと、生成ステップと、印刷ステップとを含む。前記解析ステップでは、給紙部から供給される裏紙の印刷済み面の画像である第1画像を読み取る画像読取部により読み取られる前記第1画像の内容を解析する。前記生成ステップでは、前記解析ステップにより解析される前記第1画像の内容に基づいて、前記第1画像に重畳させた場合に前記第1画像の視認性を低下させる第2画像を生成する。前記印刷ステップでは、前記生成ステップにより生成される前記第2画像を前記第1画像に重畳させて前記印刷済み面に形成する印刷処理を、用紙に画像を形成する画像形成部に実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トナーの使用量を増加させることなく、裏紙に形成された画像の情報漏洩を防ぐことが可能な画像形成装置及び画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で用いられる画像情報の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねて印刷したときの印刷結果の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねて印刷したときの印刷結果の他の例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねて印刷したときの印刷結果の他の例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において実行される裏紙印刷処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねて印刷したときの印刷結果の他の例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の他の構成を示す機能ブロック図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねて印刷したときの印刷結果の他の例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねた処理を実行した場合の状態を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねて印刷した印刷結果を読み取った読取画像の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、裏紙画像に重畳画像を重ねて印刷したときの印刷結果の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像読取部1、ADF2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、及び操作表示部6などを備える画像形成装置である。画像読取部1は、コンタクトガラス11、読取ユニット12、ミラー13、14、光学レンズ15、及びCCD(Charge Coupled Device)16などを備える画像読取部である。
【0012】
ADF2は、原稿セット部21、複数の搬送ローラー22、原稿押さえ23、及び排紙部24などを備え、複数の原稿を順次搬送可能な自動原稿搬送装置である。ADF2は、搬送ローラー22各々を不図示のモーターで駆動させることにより、原稿セット部21にセットされた一又は複数の原稿Pをコンタクトガラス11上の読取位置12Aを通過させて排紙部24まで搬送させる。この際に、画像読取部1により読取位置12Aを通過する原稿P各々から画像データが順次読み取られる。
【0013】
画像形成部3は、画像読取部1で読み取られる画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力される画像データに基づいて、用紙収容部41から供給される用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部である。具体的に、画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電装置32、裏紙読取部33、現像装置34、転写ローラー35、除電装置36、定着ローラー37、及び加圧ローラー38などを備える。なお、画像形成部3は、インクジェット方式の画像形成部であってもよい。
【0014】
給紙部4は、用紙搬送路40、再搬送路40A、用紙収容部41、ピックアップローラー42、搬送ローラー43、レジストローラー44、排紙トレイ45、搬送切替部46、用紙反転部47、及び搬送ローラー48などを備えている。給紙部4は、制御部5によって制御されることにより、用紙収容部41に収容された用紙を、画像形成部3を通過させて排紙トレイ45に排出する。
【0015】
用紙搬送路40は、用紙収容部41から画像形成部3を経て排紙トレイ45に続いており、搬送ローラー43各々によって用紙が搬送される際の用紙搬送路である。用紙収容部41各々に収容されている用紙は、不図示の駆動モーターによって駆動されるピックアップローラー42によって用紙搬送路40に順に送り出される。
【0016】
搬送ローラー43及びレジストローラー44は、制御部5によって駆動が制御される不図示の駆動モーターにギアなどの駆動伝達部を介して連結されている。そして、搬送ローラー43は、用紙を挟持した状態で不図示の駆動モーターによって回転駆動されることにより用紙搬送路40上において用紙を搬送する。また、レジストローラー44は、画像形成部3よりも用紙の搬送方向における上流側の位置に設けられている。そして、レジストローラー44は、回転の有無を制御可能なクラッチ等を介して前記駆動伝達部に接続されており、用紙搬送路40上の用紙の搬送の有無を切り替え可能である。
【0017】
具体的に、制御部5は、画像形成処理(後述の裏紙印刷処理を含む)の開始に際してピックアップローラー42及び搬送ローラー43を制御して用紙を用紙収容部41からレジストローラー44まで移動させる。そして、制御部5は、用紙がレジストローラー44まで到達すると、当該レジストローラー44を停止させる。その後、制御部5は、画像データに基づく画像形成処理が可能となった場合に、レジストローラー44の駆動を開始させて用紙の搬送を再開すると共に、感光体ドラム31への静電潜像の形成等の処理を開始し、当該用紙に画像データに基づく画像を形成する。
【0018】
また、制御部5は、ADF2で搬送される原稿各々から順次画像データを読み取ると共に当該画像データに基づく画像形成処理を実行する連続複写処理を実行することが可能である。
【0019】
搬送切替部46は、用紙搬送路40上の用紙の搬送先を排紙トレイ45と再搬送路40Aとのいずれかに切り替える。搬送切替部46は、例えば制御部5によって駆動が制御されるソレノイド等の駆動部と、前記駆動部によって作動して用紙搬送路40上の用紙の搬送先を排紙トレイ45及び再搬送路40Aのいずれかに切り替える切替爪とを備える。
【0020】
再搬送路40Aは、画像形成部3により一方の面に画像が形成された後の用紙を画像形成部3に向けて再搬送可能な搬送路である。また、再搬送路40Aには、用紙搬送路40と重複することなく少なくとも画像形成装置10で使用可能な最大サイズの用紙が1枚収容可能である。
【0021】
用紙反転部47は、再搬送路40Aで搬送される用紙の表裏面を反転させることが可能である。そして、画像形成装置10では、画像形成部3により用紙の表面に画像を形成した後、その用紙の表裏面を反転させて画像形成部3に再搬送し、画像形成部3で当該用紙の裏面に画像を形成する両面印刷が実行可能である。なお、再搬送路40Aは、用紙の表裏面を反転させることなく当該用紙を画像形成部3に再搬送可能であってもよい。
【0022】
記憶部7は、ハードディスク又はEEPROM(登録商標)などの不揮発性の記憶部である。記憶部7には、制御部5に後述の裏紙印刷処理(図7参照)を実行させるための画像形成プログラムなどの各種の制御プログラム、及び各種のデータなどが記憶される。
【0023】
また記憶部7には、画像情報D1が記憶される。図3は画像情報D1の一例を示すデータベースである。画像情報D1には、対象画像と、1又は複数の候補画像とが予め関連付けられて記憶されている。前記対象画像は、文字、記号、図形など規格化された規格画像、すなわち文字、記号、図形として認識可能な画像であり、具体的には「ひらがな」、「カタカナ」、「漢字」、「アルファベット」、「記号」、「図形」などである。前記対象画像は、裏紙の印刷済み面に形成された裏紙画像に対応する画像である。前記対象画像は、本発明の第1画像の情報の一例であり、前記候補画像は、本発明の第2画像の情報の一例である。
【0024】
前記候補画像は、規格化された前記規格画像であってもよいし、規格化されていない非規格化画像、すなわち文字、記号、図形として認識可能ではない画像であってもよい。前記候補画像は、裏紙の印刷済み面に、前記裏紙画像に重畳させて印刷される重畳画像に対応する画像である。また前記候補画像は、前記重畳画像を前記裏紙画像に重畳させた場合に前記裏紙画像の視認性を低下させる又は認識不能にする画像である。なお、前記重畳画像を前記裏紙画像に重畳して印刷した場合の前記裏紙画像の視認性の判定には、人による目視の結果を利用してもよいし、OCR(Optical Character Recognition)解析の結果を利用してもよい。画像情報D1において、1つの前記対象画像に対して、1つの前記候補画像が関連付けられて登録されてもよいし、複数の前記候補画像が関連付けられて登録されてもよい。1つの前記対象画像に複数の前記候補画像が関連付けられる場合、各候補画像に優先順位を設定してもよい。例えば、各候補画像について、前記重畳画像を前記裏紙画像に重畳させた場合に前記裏紙画像の視認性が低いほど優先順位が高くなるように設定する。
【0025】
制御部5は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶部である。
【0026】
ところで、画像形成装置において、裏紙の印刷済み面に印刷された画像の情報漏洩を防ぐために、前記画像を黒色のベタパターンで塗りつぶす方法が考えられる。しかし、この方法では、トナーの使用量が増加してしまう。これに対し、本実施形態に係る画像形成装置10では、トナーの使用量を増加させることなく、裏紙に形成された画像の情報漏洩を防ぐことが可能である。
【0027】
具体的に、図2に示されるように、制御部5は、判定処理部51、搬送処理部52、読取処理部53、解析処理部54、生成処理部55、印刷処理部56を含む。制御部5は、前記ROMに記憶されているプログラムに従った処理を前記CPUで実行することにより、判定処理部51、搬送処理部52、読取処理部53、解析処理部54、生成処理部55、印刷処理部56として機能する。なお、判定処理部51、搬送処理部52、読取処理部53、解析処理部54、生成処理部55、印刷処理部56のいずれか一又は複数がASICなどの電子回路であってもよい。
【0028】
判定処理部51は、操作表示部6において裏紙印刷の設定が行われたか否かを判定する。例えばユーザーは、操作表示部6に表示される印刷モードの設定画面において、「通常印刷モード」及び「裏紙印刷モード」のうち、「裏紙印刷モード」を選択する。なお、裏紙の第1面(印刷済み面)には文字、図形などの画像(裏紙画像)が形成(印刷)されており、裏紙の第2面(未使用面)には画像が形成されていない。
【0029】
搬送処理部52は、裏紙印刷の設定が行われた場合に、裏紙が収容されている用紙収容部41から裏紙を搬送させる。裏紙は、駆動モーターによって駆動されるピックアップローラー42によって用紙搬送路40に順に送り出される。
【0030】
読取処理部53は、裏紙読取部33に裏紙の印刷済み面の画像である前記裏紙画像を読み取らせる読取処理を実行させる。裏紙読取部33は、給紙部4から供給される前記裏紙の前記印刷済み面の前記裏紙画像を読み取る画像読取部であり、本発明の画像読取部の一例である。前記裏紙画像は、本発明の第1画像の一例である。裏紙読取部33は、例えばスキャナー装置である。読取処理部53は、裏紙読取部33により読み取られた前記裏紙画像を取得する。
【0031】
解析処理部54は、裏紙読取部33により読み取られた前記裏紙画像の内容を解析する。解析処理部54は、本発明の解析処理部の一例である。具体的には、解析処理部54は、前記裏紙画像をOCR解析して、文字、記号、図形などを認識する。解析処理部54は、一文字ずつ認識してもよいし、単語、文章又は段落ごとに認識してもよい。また、解析処理部54は、予め設定されたキーワード(個人情報など)を認識してもよい。
【0032】
生成処理部55は、解析処理部54により解析される前記裏紙画像の内容に基づいて、前記裏紙画像に重畳させた場合に前記裏紙画像の視認性を低下させる又は認識不能にする前記重畳画像を生成する画像生成処理を実行する。生成処理部55は、本発明の生成処理部の一例である。前記重畳画像は、本発明の第2画像の一例である。具体的には、生成処理部55は、記憶部7の画像情報D1を参照して、前記裏紙画像に対応する前記対象画像に関連付けられた前記候補画像を取得し、当該候補画像に基づいて前記重畳画像を生成する。
【0033】
生成処理部55は、前記裏紙画像が文字の画像である場合には、前記裏紙画像に重畳させた場合に前記文字の視認性を低下させる前記重畳画像を生成する。例えば、解析処理部54が前記裏紙画像を解析して文字「あ」を認識した場合、生成処理部55は、前記裏紙画像の文字「あ」に関連付けられた前記候補画像の文字「な」を取得し、文字「な」に対応する前記重畳画像を生成する。また生成処理部55は、生成した前記重畳画像の文字「な」の大きさを、前記裏紙画像の文字「あ」の大きさと同じ大きさに設定してもよい。また生成処理部55は、生成した前記重畳画像の文字「な」の色を、前記裏紙画像の文字「あ」の色と同じ色に設定してもよい。また生成処理部55は、生成した前記重畳画像の文字「な」の濃度を、前記裏紙画像の文字「あ」の濃度と同じ濃度に設定してもよい。また生成処理部55は、生成した前記重畳画像の文字「な」の線幅を、前記裏紙画像の文字「あ」の線幅と同じ線幅に設定してもよい。また生成処理部55は、生成した前記重畳画像の文字「な」の書体を、前記裏紙画像の文字「あ」の書体と同じ書体に設定してもよい。すなわち、生成処理部55は、取得した前記候補画像において、大きさ、色、濃度、線幅、及び書体の少なくともいずれかの要素が前記裏紙画像と同一である前記重畳画像を生成してもよい。
【0034】
ここで、1つの前記対象画像に複数の前記候補画像が関連付けられる場合、生成処理部55は、複数の前記候補画像の中から、所定の条件に従って1つの前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成してもよいし、ランダムに1つの前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成してもよい。例えば、解析処理部54により認識された画像が、個人情報などの重要情報を含む画像である場合には、生成処理部55は、複数の前記候補画像の中から、優先順位が高い前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成する。これに対し、解析処理部54により認識された画像が、個人情報などの重要情報を含まない画像である場合には、生成処理部55は、複数の前記候補画像の中から、優先順位が低い前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成する。生成処理部55は、複数の前記候補画像の中から、前記裏紙画像の重要度が高い程、前記優先順位が高い前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成してもよい。このように、生成処理部55は、前記裏紙画像の内容の重要度に応じて前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成してもよい。なお、前記重要度は、個人情報等の重要情報の内容、割合、数等に基づいて設定される。
【0035】
また、1枚の裏紙において、解析処理部54により認識された画像と同一内容の画像が複数含まれる場合には、生成処理部55は、複数の前記候補画像を順に取得してそれぞれに対応する前記重畳画像を生成してもよい。例えば、解析処理部54により認識された画像に、「あ」、「あ」、「あ」の画像が含まれる場合に、生成処理部55は、画像情報D1から順に「な」、「み」、「き」の前記候補画像を取得して、それぞれに対応する前記重畳画像を生成する。このように、生成処理部55は、前記印刷済み面に複数の前記裏紙画像が含まれる場合において、隣り合う前記裏紙画像に対して、互いに異なる内容の前記重畳画像を生成することが好ましい。
【0036】
また、1枚の裏紙において、解析処理部54により認識された画像と同一内容の画像が複数含まれる場合には、生成処理部55は、当該同一内容の画像が配置される位置に基づいて前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成してもよい。例えば、1枚の裏紙において、隣り合う2つの「あ」の画像の間に他の画像が配置されている場合には、生成処理部55は、2つの「あ」の画像に対して、「な」の前記候補画像を取得して前記重畳画像を生成する。これに対して、例えば、1枚の裏紙において、2つの「あ」の画像が隣接して配置されている場合には、生成処理部55は、2つの「あ」の画像に対して、「な」及び「み」の前記候補画像を取得してそれぞれに対応する前記重畳画像を生成する。
【0037】
なお、生成処理部55は、前記重畳画像が前記裏紙画像に重畳して印刷された場合に前記裏紙の未使用面に形成される画像の視認性を低下させない前記重畳画像を生成することが好ましい。例えば、前記対象画像に複数の前記候補画像が関連付けられている場合に(図3参照)、生成処理部55は、前記重畳画像が前記裏紙画像に重畳して印刷された場合に前記裏紙の未使用面に形成される画像の視認性を低下させない前記候補画像を取得し、取得した前記候補画像に基づいて前記重畳画像を生成する。
【0038】
印刷処理部56は、生成処理部55により生成される前記重畳画像を前記裏紙画像に重畳させて前記裏紙の前記印刷済み面に形成する印刷処理を画像形成部3に実行させる。印刷処理部56は、本発明の印刷処理部の一例である。例えば図4に示すように、解析処理部54により裏紙S0の印刷済み面S1の裏紙画像P1が認識され、生成処理部55により重畳画像P2が生成された場合に、印刷処理部56は、重畳画像P2を裏紙画像P1に重畳するように印刷済み面S1に形成する印刷処理を画像形成部3に実行させる。画像形成部3による印刷処理が実行されると、図4に示す画像P3が出力される。
【0039】
また例えば図5に示すように、裏紙S0の印刷済み面S1に図形の裏紙画像P11,P12が含まれる場合に、印刷処理部56は、生成処理部55により生成された重畳画像P21,P22を裏紙画像P11,P12に重畳するように印刷済み面S1に形成する印刷処理を画像形成部3に実行させる。画像形成部3による印刷処理が実行されると、図5に示す画像P31,P32が出力される。
【0040】
なお、前記裏紙画像に、重要ではなく情報漏洩の可能性が低い画像が含まれる場合には、当該画像について、生成処理部55は前記重畳画像を生成しない構成であってもよい。例えば、図6に示すように、裏紙S0の印刷済み面S1に含まれる画像のうち、文字の裏紙画像P1が重要情報であり、図形の裏紙画像P11,P12が情報漏洩の可能性が低い情報である場合には、生成処理部55は、裏紙画像P1に対して重畳画像P2を生成し、裏紙画像P11,P12に対しては前記重畳画像を生成しない。これにより、画像形成部3による印刷処理が実行されると、図6に示す画像P3,P11,P12が出力される。
【0041】
[裏紙印刷処理]
以下、図7のフローチャートを参照しつつ、画像形成装置10において制御部5が実行する裏紙印刷処理の手順の一例について説明する。なお、制御部5によって実行される各処理工程をステップS11、S12、・・・と称する。例えば、前記裏紙印刷処理は、ADF2で搬送される原稿から読み取られる画像データに基づいて画像を形成する画像形成処理が実行される場合に当該画像形成処理と共に実行される。
【0042】
なお、ここで説明する前記裏紙印刷処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。また、前記裏紙印刷処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは画像形成装置10の制御部5によって前記裏紙印刷処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では、他の複数のプロセッサーによって前記裏紙印刷処理における各ステップが分散して実行されてもよい。
【0043】
ここで、本発明は、前記裏紙印刷処理に含まれる一又は複数のステップを実行する画像形成方法の発明として捉えることができる。
【0044】
先ず、ステップS11において、制御部5は、操作表示部6において裏紙印刷の設定が行われたか否かを判定する。制御部5は、前記裏紙印刷の設定が行われるまで待機し(S11:NO)、前記裏紙印刷の設定が行われた場合にステップS12に移行する。
【0045】
次にステップS12において、制御部5は、駆動モーターによってピックアップローラー42を駆動して用紙収容部41から裏紙をピックアップし、用紙搬送路40に順に送り出す。
【0046】
次にステップS13において、制御部5は、裏紙読取部33に前記裏紙の印刷済み面の画像である前記裏紙画像を読み取らせる読取処理を実行させ、読取処理が行われたか否かを判定する。制御部5は、裏紙読取部33による読取処理が行われるまで待機し(S13:NO)、前記読取処理が行われた場合にステップS14に移行する。
【0047】
次にステップS14において、制御部5は、前記裏紙の印刷済み面に前記裏紙画像が存在するか否かを判定する。例えば、制御部5は、裏紙読取部33が読み取った画像データから前記裏紙画像の有無を判定する。制御部5は、前記裏紙の印刷済み面に前記裏紙画像が存在すると判定した場合(S14:YES)、ステップS15に移行する。これに対し、制御部5は、前記裏紙の印刷済み面に前記裏紙画像が存在しないと判定した場合(S14:NO)、ステップS19に移行する。
【0048】
次にステップS15において、制御部5は、裏紙読取部33により読み取られた前記裏紙画像の内容を解析する。具体的には、制御部5は、前記裏紙画像をOCR解析して、文字、記号、図形などを認識する。ステップS15は、本発明の解析ステップの一例である。
【0049】
次にステップS16において、制御部5は、認識した前記裏紙画像の内容に基づいて、当該裏紙画像に重畳させる画像である前記重畳画像を生成する画像生成処理を実行する。具体的には、制御部5は、記憶部7の画像情報D1(図3)を参照して、前記裏紙画像に対応する前記対象画像に関連付けられた前記候補画像の中から所定の前記候補画像を取得し、当該候補画像に基づいて前記重畳画像を生成する。ステップS16は、本発明の生成ステップの一例である。
【0050】
次にステップS17において、制御部5は、生成した前記重畳画像を前記裏紙画像に重畳するように、前記裏紙の前記印刷済み面に形成する印刷処理を画像形成部3に実行させる。これにより、例えば図4に示す、印刷結果が出力される。ステップS17は、本発明の印刷ステップの一例である。
【0051】
次にステップS18において、制御部5は、用紙反転部47に、再搬送路40Aで搬送される前記裏紙の表裏面(前記第1面及び前記第2面)を反転させて画像形成部3に再搬送させる。
【0052】
次にステップS19において、制御部5は、画像読取部1で読み取られた画像データに基づいて、前記裏紙の未使用面に画像を形成する印刷処理を実行する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置10では、前記裏紙の印刷済み面に印刷された前記裏紙画像の内容に応じた前記重畳画像を重畳して印刷することにより、前記裏紙画像の視認性を低下させて、情報漏洩を防止する。すなわち、画像形成装置10によれば、前記裏紙画像の情報漏洩を防ぐために、前記裏紙画像を黒色のベタパターンなどで塗りつぶす必要がない。このため、トナーの使用量の増加を防ぐことができる。よって、画像形成装置10によれば、トナーの使用量を増加させることなく、前記裏紙に形成された前記裏紙画像の情報漏洩を防ぐことが可能である。また、画像形成装置10は、隣り合う前記裏紙画像に対して互いに異なる内容の前記重畳画像を印刷することが可能である。このため、例えば前記印刷済み面に同一文字の前記裏紙画像が並ぶ場合に、前記重畳画像を印刷した印刷結果において、前記裏紙画像の視認性をより低下させることができる。
【0054】
本発明の画像形成装置は上記実施形態に限定されない。例えば、画像形成装置10は、前記印刷済み面に含まれる複数の前記裏紙画像のうち、一部の裏紙画像について前記重畳画像を生成してもよい。例えば、前記印刷済み面に第1裏紙画像、第2裏紙画像、及び第3裏紙画像が含まれ、前記第1裏紙画像、前記第2裏紙画像、及び前記第3裏紙画像を合わせて一つの意味が成立する場合において、前記第2裏紙画像について前記重畳画像を生成し、前記重畳画像を前記第2裏紙画像に重ねて印刷した場合に当該意味を認識できなくなる場合には、画像形成装置10は、前記第2裏紙画像についてのみ前記重畳画像を生成すればよい。すなわち、画像形成装置10は、前記印刷済み面に含まれる全ての前記裏紙画像について前記重畳画像を生成する必要はなく、前記裏紙画像の内容、位置などに応じて、少なくとも一部の前記裏紙画像について前記重畳画像を生成すればよい。
【0055】
また上述の実施形態では、前記裏紙画像の文字、記号、又は図形の内容に応じて前記重畳画像を形成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、生成処理部55は、予め設定された所定のパターン画像を用いて前記重畳画像を生成する。具体的には、生成処理部55は、大きさ、色、濃度、線幅、及び書体の少なくともいずれかの要素が前記裏紙画像と同一である所定の前記重畳画像を生成する。例えば、前記パターン画像として「×」の画像を用いる場合、生成処理部55は、前記裏紙画像の色と同じ色の「×」の画像を生成する。このように、生成処理部55は、解析処理部54により解析される前記裏紙画像の内容に基づいて前記重畳画像を生成する。また、前記裏紙画像の内容には、文字、大きさ、色、濃度、線幅、及び書体の少なくともいずれかの要素が含まれる。
【0056】
ところで、前記重畳画像を、前記裏紙画像に重畳するように前記裏紙の前記印刷済み面に形成する印刷処理を実行したときに、位置ズレ(印刷ズレ)が生じた場合には、図8に示すように、裏紙画像P1を完全に隠すことができず、情報が漏洩してしまう可能性がある。前記位置ズレは、画像形成装置10の製造誤差、原稿の搬送誤差など個体差に起因して生じ得る。前記位置ズレによる情報漏洩を防止するために、画像形成装置10は、さらに前記位置ズレを補正する補正処理を実行してもよい。
【0057】
具体的には、図9に示すように、画像形成装置10において、制御部5は、さらに補正処理部57を含む。以下、制御部5が実行する補正処理について、図10に示す具体例を挙げて説明する。
【0058】
読取処理部53は、裏紙読取部33に裏紙S0の印刷済み面S1の画像である裏紙画像P1を読み取らせる読取処理を実行させる。解析処理部54は、裏紙読取部33により読み取られた裏紙画像P1の内容を解析する。
【0059】
生成処理部55は、解析処理部54により解析される裏紙画像P1の内容に基づいて、裏紙画像P1に重畳させた場合に裏紙画像P1の視認性を低下させる又は認識不能にする重畳画像を生成する画像生成処理を実行する。図10では、便宜上、前記重畳画像を、矩形を塗り潰した画像で表しているが、実際には、生成処理部55は、記憶部7の画像情報D1を参照して、裏紙画像P1に対応する前記対象画像に関連付けられた前記候補画像を取得し、当該候補画像に基づいて前記重畳画像を生成する。
【0060】
また、生成処理部55は、裏紙画像P1に含まれる複数の文字のうち少なくとも一つの特定文字に対して重畳されないように重畳画像P2を生成する。例えば生成処理部55は、裏紙画像P1に含まれる文字のうち少なくとも一つの特定文字については、前記候補画像の文字を取得しないで空白領域(非重畳領域)を生成する。図10に示す例では、生成処理部55は、裏紙画像P1の文字のうち「へ」(第1特定文字)及び「ぬ」(第2特定文字)に重畳する領域を空白領域とした重畳画像P2を生成する。前記特定文字は、例えばそれ自体では意味を認識することが困難な文字である。さらに、生成処理部55は、裏紙画像P1に重畳しない所定位置に特定画像を生成する。例えば図10に示すように、生成処理部55は、左上端部に「★」の特定画像を含む重畳画像P2を生成する。なお、生成処理部55は、前記特定画像に対する重畳画像は生成しない。このように、生成処理部55は、重畳画像P2から所定距離だけ離れた、裏紙画像P1に重畳されない前記所定位置に、前記特定画像を生成する。
【0061】
補正処理部57は、前記特定画像に対する前記特定文字の相対的な位置を検出する。具体的には、図11に示すように、補正処理部57は、内部処理において、裏紙画像P1に重畳画像P2を重畳させる重畳処理を仮想的に行って、前記特定画像の位置座標(X0,Y0)を基準とした、第1特定文字「へ」の位置座標(X1,Y1)と、第2特定文字「ぬ」の位置座標(X2,Y2)とを検出する。なお前記位置座標は、前記特定画像の中心の位置座標、前記特定文字の中心の位置座標である。
【0062】
印刷処理部56は、生成処理部55により生成される重畳画像P2を裏紙画像P1に重畳させて裏紙S0の印刷済み面S1に形成する印刷処理を画像形成部3に実行させる。その後、読取処理部53は、裏紙画像P1に重畳画像P2が重畳されて印刷された印刷画像P3を裏紙読取部33に読み取らせる読取処理を実行させる。すなわち、読取処理部53は、搬送される原稿(裏紙S0)の印刷済み面の画像(裏紙画像)を読み取らせる読取処理と、裏紙画像P1に重畳画像P2が重畳されて印刷された印刷画像P3を再度読み取らせる再読取処理とを実行させる。
【0063】
図12には、読取処理により読み取られた読取画像P4を示している。次に、補正処理部57は、読取画像P4において、前記特定画像に対する前記特定文字の相対的な位置を検出する。具体的には、図12に示すように、補正処理部57は、読取画像P4において、前記特定画像の位置座標(X0,Y0)を基準とした、第1特定文字「へ」の位置座標(X11,Y11)と、第2特定文字「ぬ」の位置座標(X22,Y22)とを検出する。そして、補正処理部57は、前記重畳処理に基づいて算出した位置と、読取画像P4に基づいて算出した位置とを比較して、これらの差である位置ズレ量(補正量)を算出する。具体的には、補正処理部57は、位置座標(X1,Y1)と位置座標(X11,Y11)との差(|X1-X11|,|Y1-Y11|)(第1補正量)と、位置座標(X2,Y2)と位置座標(X22,Y22)との差(|X2-X22|,|Y2-Y22|)(第2補正量)とを算出する。
【0064】
そして、補正処理部57は、前記補正量に基づいて前記特定画像の位置を補正する。具体的には、補正処理部57は、前記特定画像「★」の位置座標(X0,Y0)を、前記差(|X1-X11|,|Y1-Y11|)である第1補正量だけ位置補正する。また、補正処理部57は、前記特定画像「★」の位置座標(X0,Y0)を、前記差(|X2-X22|,|Y2-Y22|)である第2補正量だけ位置補正する。なお、補正処理部57は、第1特定文字(第1補正量)及び第2特定文字(第2補正量)の両方に基づいて前記特定画像の位置を補正してもよいし、第1特定文字(第1補正量)及び第2特定文字(第2補正量)のいずれか一方に基づいて前記特定画像の位置を補正してもよい。補正処理部57は、前記特定画像の前記補正量の情報(補正情報)を記憶部7に記憶する。
【0065】
このように、補正処理部57は、裏紙読取部33により読み取られた印刷画像P3の読取画像P4に含まれる裏紙画像P1及び重畳画像P2に基づいて、重畳画像P2を印刷する位置を補正するための補正処理を実行する。具体的には、補正処理部57は、生成処理部55により生成される重畳画像P2を裏紙画像P1に仮想的に重畳させた場合に、前記所定位置に対する前記特定文字の相対的な位置である第1位置と、裏紙読取部33により読み取られた印刷画像P3の読取画像P4において、前記所定位置に対する前記特定文字の相対的な位置である第2位置とを検出し、さらに、前記第1位置と前記第2位置との差(補正量)を算出する。そして補正処理部57は、前記補正量に基づいて前記特定画像の位置を補正する。
【0066】
その後、印刷処理部56は、補正された前記特定画像の位置に基づいて、生成処理部55により生成される重畳画像P2を裏紙画像P1に重畳させて裏紙S0の印刷済み面S1に形成する印刷処理を画像形成部3に実行させる。具体的には、印刷処理部56は、前記特定画像「★」を補正後の位置座標(X01,Y01)に配置して重畳画像P2を裏紙画像P1に重畳させて印刷させる。これにより、重畳画像P2の位置が前記補正量に応じた分だけ補正されることにより、図13に示すように、重畳画像P2が裏紙画像P1の適切な位置に重畳配置される。
【0067】
上述の構成によれば、前記位置ズレによる情報漏洩を防止することが可能となる。また、第1特定文字(第1補正量)及び第2特定文字(第2補正量)の両方に基づいて前記特定画像の位置を補正する構成によれば、位置補正の精度を高めることができるため、重畳画像P2を確実に裏紙画像P1に重畳させることができる。なお、前記第1特定文字及び前記第2特定文字は、前記特定画像から見て異なる方向に位置することが好ましい。これにより、水平方向、垂直方向、及び斜め方向に対する前記位置ズレを補正することが可能となる。
【0068】
なお、上述の実施形態では、補正処理部57は、前記特定画像に対する前記特定文字の相対的な位置を検出しているが、他の実施形態として、補正処理部57は、裏紙P0の紙面の端部に対する前記特定文字の相対的な位置を検出してもよい。例えば、補正処理部57は、紙面の角部を原点(X0,Y0)として前記特定文字の位置座標を検出してもよい。
【0069】
画像形成装置10は、予め設定された周期で前記補正処理を実行してもよい。また画像形成装置10は、前記位置ズレ量(補正量)を常時監視し、当該位置ズレ量が予め設定された閾値を超えた場合に前記補正処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 :画像読取部
3 :画像形成部
4 :給紙部
5 :制御部
6 :操作表示部
7 :記憶部
10 :画像形成装置
33 :裏紙読取部
40 :用紙搬送路
40A :再搬送路
41 :用紙収容部
46 :搬送切替部
47 :用紙反転部
51 :判定処理部
52 :搬送処理部
53 :読取処理部
54 :解析処理部
55 :生成処理部
56 :印刷処理部
57 :補正処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13