(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】シート積載装置およびそれを備えたシート後処理装置並びに画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/10 20060101AFI20231017BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20231017BHJP
B65H 31/26 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B65H31/10
G03G15/00 460
B65H31/26
(21)【出願番号】P 2019138019
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 隆志
(72)【発明者】
【氏名】岩本 和久
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0225451(US,A1)
【文献】特開2019-127355(JP,A)
【文献】特開2013-032197(JP,A)
【文献】特開2001-130817(JP,A)
【文献】特開2014-210624(JP,A)
【文献】特開2003-312924(JP,A)
【文献】特開2012-246103(JP,A)
【文献】特開2017-100862(JP,A)
【文献】特開平11-322170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/10
G03G 15/00
B65H 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラーと、前記駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーとで構成され、シートを排出する排出ローラー対と、
前記シートの排出方向に対し前記排出ローラー対の下流側に配置され、前記排出ローラー対によって排出された前記シートが積載される積載トレイと、
前記駆動ローラーと同軸上に配置され、前記駆動ローラーと同方向に回転することにより前記排出ローラー対によって排出される前記シートの前記排出方向の上流部に上方から接触するパドル部材と、
前記排出ローラー対の下方に配置され、前記積載トレイに積載された前記シートの前記排出方向の上流部を押さえる押さえ位置と、前記シートの押さえを解除する退避位置との間で揺動可能なシート押さえ部材と、
前記積載トレイを昇降させるトレイ昇降駆動部と、
前記積載トレイのシート積載面若しくは前記シート積載面に積載された前記シートの上面を検知するオン状態と、検知しないオフ状態と、に切り換わる上面検知センサーと、
前記トレイ昇降駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記シート押さえ部材を前記押さえ位置に配置した状態で前記積載トレイを下降させて前記上面検知センサーを前記オフ状態とし、前記積載トレイを上昇させて前記上面検知センサーを前記オン状態とした後、再び前記積載トレイを下降させて前記上面検知センサーを前記オフ状態として前記積載トレイを停止させることにより、前記積載トレイを基準位置に配置する昇降動作を実行可能であり、
前記積載トレイが前記基準位置に配置されたとき、前記積載トレイ上に積載された前記シートの上面と前記パドル部材の回転軌道との間に所定の間隔を設けたことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記シート押さえ部材の先端の揺動軌道は、前記上面検知センサーの検知部に重なっており、
前記制御部は、前記昇降動作の実行時に前記シート押さえ部材を検知しない前記オフ状態から前記積載トレイを上昇させて前記上面検知センサーが前記シート押さえ部材を検知する前記オン状態とし、再び前記積載トレイを下降させて前記上面検知センサーが前記シート押さえ部材を検知しない前記オフ状態とすることを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記上面検知センサーが
前記オフ状態から前記オン状態
となった時点で前記積載トレイを停止させたとき、前記シートの上面と前記パドル部材の回転軌道とが重なっておらず、
前記上面検知センサーを前記オン状態とした後、再び前記積載トレイを下降させて前記上面検知センサーを前記オフ状態として前記積載トレイを停止させるまでの前記積載トレイの下降量をdとするとき、以下の式(1)を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート積載装置。
d>2×t ・・・(1)
ただし、
t;前記積載トレイ上に1度に排出可能な最大枚数のシート束の厚み
である。
【請求項4】
前記積載トレイが下限位置に到達したことを検知する下限検知センサーを備え、
前記制御部は、前記下限検知センサーにより前記積載トレイが前記下限位置に到達したことを検知したとき、前記積載トレイに排出される次回の前記シート束の枚数Aが所定枚数A1以下である場合は次回以降も前記シート束の排出を継続し、前記シート束の枚数Aが所定枚数A1を超える場合は次回以降の前記シート束の排出を停止することを特徴とする請求項3に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記積載トレイが前記下限位置に到達した後に前記積載トレイに排出される前記シート束の累積排出枚数Bを検知し、前記累積排出枚数Bが所定枚数B1を超える場合は次回以降の前記シート束の排出を停止することを特徴とする請求項4に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記パドル部材は、
回転軸が挿入される軸孔が形成された基部と、
前記回転軸の軸線と交差して軸線中心から離れる方向に前記基部から突出するアーム部と、
を有するパドル本体部と、
前記アーム部に取り付けられ、前記アーム部から突出し、前記パドル本体部よりも弾性率が高いパドル弾性部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記排出方向に対し前記排出ローラー対の下流側、且つ前記積載トレイの上方に突出し、前記排出ローラー対によって排出された前記シートが上面に接触する突出位置と、前記排出ローラー対の上流側に退避した退避位置との間で変位する突出部材を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記シートに対して所定の後処理を施す後処理機構と、
前記排出方向に対し前記後処理機構の下流側に配置される前記排出ローラー対を有し、前記後処理機構によって後処理が施された前記シートを、前記排出ローラー対によって前記積載トレイに積載する請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のシート積載装置と、
を備えるシート後処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載のシート後処理装置と、
前記シート後処理装置に連結され、前記シートに画像を形成するとともに画像形成後の前記シートを前記シート後処理装置に搬送する画像形成装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置によって画像形成された用紙等のシートを積載するシート積載装置およびそれを備えたシート後処理装置並びに画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター等の画像形成装置によって画像が形成されたシート(用紙)を複数枚スタックして、スタックされたシート束をまとめてステープルで綴じる綴じ処理、およびパンチ穴形成装置でパンチ穴(穿孔)を空けるパンチ穴形成処理等の後処理を実行可能なシート後処理装置が利用されている。
【0003】
このようなシート後処理装置では、後処理が施されたシートを排出する排出ローラー対と、排出ローラー対によって排出されたシートが積載される積載トレイと、を有するシー卜積載装置を備える。シー卜積載装置としては、排出ローラー対のニップ部を通過したシー卜の排出方向上流部(後端部)を叩いて当該シー卜を積載トレイヘ落下させるパドル部材を備えるものが知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、排紙ローラー(排出ローラー対)の回転軸に対して下方側に配置された回転軸回りに回転可能な押さえ部材を備える用紙排出装置が開示されている。押さえ部材および排紙ローラーは、互いに別体の押さえ部材駆動モーターおよび排紙駆動モーターによって回転駆動される。押さえ部材は、押さえ部材駆動モーターからの駆動力によって回転することにより、排紙ローラーを通過した用紙の排出方向の後端部を上方から叩くように押える。
【0005】
特許文献2には、排出回転体対(排出ローラー対)のうち従動回転される排出コロと同軸に配置され、排出回転体対により排出されるシートによって従動回転される掻き落とし部材を備えるシート排出装置が開示されている。掻き落とし部材は、外周面から突出する複数の可撓性の羽根部材を有する。羽根部材は、排出回転体対を通過したシートの後端部を掻き落とし、さらに積載トレイ上に積載されたシートの後端部を押さえ付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-82550号公報
【文献】特開2008-7207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載される押さえ部材、特許文献2に記載される掻き落とし部材のようなパドル部材は、排出ローラー対から排出されるシートの後端を上方から叩く役割を有するため、その長さは極力長く設定することが望ましい。
【0008】
一方、積載トレイ上にシートを連続して積載していく場合、積載されたシートが後続のシートの排出を妨げないように、積載されるシートの上面をセンサーによって所定のタイミングで検知し、検知結果に応じて積載トレイを上下に移動させてトレイ位置の設定(ポジショニング)を行う必要がある。このとき、センサーがオン状態(上面検知状態)でトレイ位置の設定を終了した場合、オフ状態(上面非検知状態)でトレイ位置の設定を終了した場合に不具合が発生するおそれがあった。
【0009】
例えば、センサーがオン状態となってシートの上面を確認し、積載トレイを下降させてセンサーをオフ状態とした後、再びセンサーがオン状態となったときにトレイ位置の設定を終了した場合、シートの上面がパドル部材の回転軌道に最も近くなる。この状態で、次のトレイ位置の設定タイミングに到達するまでシートが積載され続けると、シートの上面がパドル部材の軌道に重なってしまい、パドル部材がシートの上面に接触して回転不能となるおそれがあった。
【0010】
また、パドル部材とシートの上面との接近を回避するために、センサーが単にオフ状態となったときにトレイ位置の設定を終了した場合、積載されたシートがシートの連続排出中に取り除かれると、次の昇降動作において積載トレイが所定位置まで上昇しない。その結果、排出ローラー対とシートの上面との高低差が大きくなり、例えば排出ローラー対によって排出されるシートの先端が丸まったりするなどシートの排出状態が不安定となり、積載トレイに積載されるシートの整合状態が悪化するおそれがあった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、シートの後端を叩き落とすパドル部材と積載トレイ上のシートとの接触を回避可能なシート積載装置およびそれを備えた後処理装置並びに画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、排出ローラー対と、積載トレイと、パドル部材と、シート押さえ部材と、トレイ昇降駆動部と、上面検知センサーと、制御部と、を備えたシート積載装置である。排出ローラー対は、駆動ローラーと、駆動ローラーに従動して回転する従動ローラーとで構成され、シートを排出する。積載トレイは、シートの排出方向に対し排出ローラー対の下流側に配置され、排出ローラー対によって排出されたシートが積載される。パドル部材は、駆動ローラーと同軸上に配置され、駆動ローラーと同方向に回転することにより排出ローラー対によって排出されるシートの排出方向の上流部に上方から接触する。シート押さえ部材は、排出ローラー対の下方に配置され、積載トレイに積載されたシートの排出方向の上流部を押さえる押さえ位置と、シートの押さえを解除する退避位置との間で揺動可能である。トレイ昇降駆動部は、積載トレイを昇降させる。上面検知センサーは、積載トレイのシート積載面若しくはシート積載面に積載されたシートの上面を検知するオン状態と、検知しないオフ状態と、に切り換わる。制御部は、トレイ昇降駆動部を制御する。制御部は、シート押さえ部材を押さえ位置に配置した状態で積載トレイを下降させて上面検知センサーをオフ状態とし、積載トレイを上昇させて上面検知センサーをオン状態とした後、再び積載トレイを下降させて上面検知センサーをオフ状態として積載トレイを停止させることにより、積載トレイを基準位置に配置する昇降動作を実行可能である。積載トレイが基準位置に配置されたとき、積載トレイ上に積載されたシートの上面とパドル部材の回転軌道との間に所定の間隔が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、上面検知センサーがオフ状態からオン状態、さらにオフ状態となった後に昇降動作が終了し、積載トレイが基準位置に位置決めされる。そのため、上面検知センサーがシートの上面を検知した状態から常に一定距離だけ下降した位置を基準位置として積載トレイが位置決めされるため、上面検知センサーがオン状態となったとき昇降動作を終了する場合に比べてパドル部材の回転軌道とシート上面との間隔を広げることができる。また、上面検知センサーが単にオフ状態となったとき昇降動作を終了する場合に比べて、積載トレイが基準位置まで上昇しない不具合を防止することができる。従って、パドル部材のパドル長を極力長くしつつ、パドル部材が回転不能(ロック状態)となる不具合や、積載されたシートが取り除かれた場合にシートの排出状態が不安定となる不具合を回避することができる。また、シート押さえ部材を押さえ位置に移動させた状態でシートの上面を検知するため、シートの後端の浮き上がりやカールによる上面検知センサーの誤検知を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】画像形成装置200および本発明の一実施形態に係るシート後処理装置5を含む画像形成システムSの概略図
【
図2】本実施形態のシート後処理装置5の内部構造を示す側面断面図
【
図4】本実施形態のシート積載装置10における突出駆動部131の構成を示す斜視図であって、突出部材13が退避位置にある状態を示す図
【
図5】本実施形態のシート積載装置10における突出駆動部131の構成を示す斜視図であって、突出部材13が突出位置にある状態を示す図
【
図6】本実施形態のシート積載装置10における排出駆動部90およびパドル駆動部161の構成を示す斜視図
【
図7】本実施形態のシート積載装置10の排出ローラー対73周辺を示す部分斜視図
【
図8】本実施形態のシート積載装置10によるシート積載動作を示す説明図であって、パドル部材15が退避位置にある状態を示す図
【
図9】本実施形態のシート積載装置10によるシート積載動作を示す説明図であって、
図8の状態からパドル部材15の回転が開始された状態を示す図
【
図10】本実施形態のシート積載装置10によるシート積載動作を示す説明図であって、
図9の状態からパドル部材15が回転してシートPの排出方向上流部に接触した状態を示す図
【
図11】本実施形態のシート積載装置10によるシート積載動作を示す説明図であって、
図10の状態からパドル部材15が回転して退避位置に向かう状態を示す図
【
図12】シート後処理装置5の制御経路の一例を示すブロック図
【
図13】本実施形態のシート積載装置10における積載トレイ11の昇降動作の制御例を示すフローチャート
【
図14】上面検知センサーS3がオフとなった状態を示すシート積載装置10の側面断面図
【
図15】上面検知センサーS3がオンとなった状態を示すシート積載装置10の側面断面図
【
図16】押さえ位置に配置されたシート押さえ部材14の先端に重なる位置に上面検知センサーS3が配置されたシート積載装置10の側面断面図であって、上面検知センサーS3がオフとなった状態を示す図
【
図17】押さえ位置に配置されたシート押さえ部材14の先端に重なる位置に上面検知センサーS3が配置されたシート積載装置10の側面断面図であって、上面検知センサーS3がオンとなった状態を示す図
【
図18】積載トレイ11が基準位置まで下降した状態を示す排出ローラー対73周辺の側面図であって、積載トレイ11の下降距離dを、最大枚数のシート束の厚みtの2倍とした例を示す図
【
図19】下限検知センサーS4により積載トレイ11の下限位置が検知されたときの排出動作の制御例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、画像形成装置200および本発明の一実施形態に係るシート後処理装置5を含む画像形成システムSの概略図である。画像形成システムSは、画像形成装置200およびシート後処理装置5を備える。
【0016】
画像形成装置200は、例えばプリント(印刷)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたモノクロ対応のいわゆる複合機である。画像形成装置200は、
図1に示すように、本体部201の上面に原稿搬送部203が載置される。原稿搬送部203の下方であって本体部201の内部には画像読取部204を備える。原稿搬送部203に積載した原稿の画像、或いは画像読取部204の上面の不図示のコンタクトガラス上に載置した原稿の画像が、画像読取部204によって読み取られる。
【0017】
画像形成装置200は、さらにシート給送部205、シート搬送部206、露光部207、画像形成部208、転写部209、定着部210、シート排出部211、中継部212および本体制御部213を備える。
【0018】
シート給送部205は、複数枚のシートPを収容し、印刷時にシートPを1枚ずつ分離して送り出す。シート搬送部206は、シート給送部205から送り出されたシートPを転写部209および定着部210へと搬送し、さらに定着後のシートPをシート排出部211または中継部212に振り分ける。露光部207は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部208に向かって照射する。
【0019】
画像形成部208は、像担持体である感光体ドラム2081と、現像装置2082と、を備える。画像形成部208では、露光部207から照射されたレーザー光によって感光体ドラム2081の表面に原稿画像の静電潜像を形成される。現像装置2082は、この静電潜像にトナーを供給して現像し、トナー像を形成する。転写部209は、画像形成部208が形成した感光体ドラム2081の表面のトナー像をシートPに転写する。定着部210は、トナー像が転写されたシートPを加熱、加圧してトナー像をシートPに定着させる。
【0020】
定着後のシートPは、シート排出部211または中継部212に送られる。シート排出部211は、画像読取部204の下方に配置される。シート排出部211は、正面に開口を有し、正面側から印刷後の用紙(印刷物)が取り出される。中継部212は、シート排出部211の下部に配置される。中継部212の用紙搬送方向下流端は、シート後処理装置5に連結される。中継部212に送られた印刷後の用紙(印刷物)は、中継部212内を通過し、シート後処理装置5に搬送される。
【0021】
本体制御部213は、不図示のCPU、画像処理部、記憶部、その他の不図示の電子回路および電子部品を含む。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置200に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置200の機能に係る処理を行う。シート給送部205、シート搬送部206、露光部207、画像形成部208、転写部209および定着部210それぞれは、本体制御部213から個別に指令を受け、連動してシートPへの印刷を行う。記憶部は、例えば不図示のプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0022】
シート後処理装置5は、画像形成装置200の側面に対して着脱可能に連結される。シート後処理装置5は、後処理ハウジング50と、後処理ハウジング50内に配置される後処理機構6、シート搬送機構7、処理トレイ8、シート積載装置10および後処理制御部100を備える。
【0023】
後処理ハウジング50の画像形成装置200と対向する側面には、シート搬入口41が設けられている。中継部212を通過したシートPは、シート搬入口41を通過してシート後処理装置5の内部に搬入される。
【0024】
シート搬送路42は、シート搬入口41から処理トレイ8の上方まで、画像形成装置200から離れる方向(
図1における左方向)に延びる。
【0025】
後処理機構6は、シート搬送路42を搬送されるシートPに対して所定の後処理を施す。後処理機構6は、穿孔処理部61およびステープル処理部62を含む。
【0026】
穿孔処理部61は、シート搬送路42のシート搬送方向(
図2の矢印H11方向)の上流端であるシート搬入口41から下流端までの中間部に配置される。穿孔処理部61は、シート搬送路42を搬送されるシートPに対して穿孔処理を施し、パンチ孔(綴じ孔)を形成する穿孔処理を行う。ここでは、シート搬送方向と直交するシートの幅方向の一方側の側端縁に沿ってパンチ孔を穿孔する。
【0027】
ステープル処理部62は、シート搬送路42の下方であって処理トレイ8のシート搬送方向の上流側に配置される。シート後処理装置5は、ステープル処理部62を用いて、処理トレイ8に載置されたシートPの束(以下、単にシート束という)をステープル針で綴じるステープル処理(綴じ処理)を施し、シート束を綴じることができる。ここでは、シート束の角部若しくは端部をステープル針で綴じる、いわゆる端綴じ処理を行う。
【0028】
シート搬送機構7は、シート搬送路42に沿ったシート搬送方向にシートを搬送する。シート搬送機構7は、シート搬送方向の上流側から順に並設される搬送ローラー対71(
図2参照)、中間ローラー対72、排出ローラー対73を有する。
【0029】
処理トレイ8は、シート搬送路42のシート排出方向下流部の下方に配置される。換言すれば、処理トレイ8は、中間ローラー対72よりもシート排出方向下流側の下方に位置する。シート搬送路42を通過して処理トレイ8まで搬送された複数のシートPは、処理トレイ8に載置され、ステープル処理部62によってステープル処理が実施される。
【0030】
シート積載装置10は、処理トレイ8のシート排出方向下流側に隣接して配置される積載トレイ11を有する。処理トレイ8でステープル処理が完了したシート束は、排出ローラー対73によって積載トレイ11に排出され、積載される。なお、ステープル処理部62によるステープル処理が実施されない場合、シートPは、処理トレイ8に積載されることなく積載トレイ11まで搬送される。シート積載装置10の詳細な構成については後述する。
【0031】
後処理制御部100は、不図示のCPU、記憶部、その他の不図示の電子回路および電子部品を含む。後処理制御部100は、本体制御部213と通信可能に接続される。後処理制御部100は、本体制御部213から指令を受け、CPUを用いて記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、シート後処理装置5に設けられた各構成要素の動作を制御してシート後処理装置5の機能に係る処理を行う。後処理機構6、シート搬送機構7、処理トレイ8、シート積載装置10は、それぞれ後処理制御部100から個別に指令を受け、連動してシートPへの後処理を行う。記憶部は、例えば不図示のプログラムROM、データROM、RAM等の記憶装置の組み合わせで構成される。後処理制御部100の詳細な制御経路については後述する。
【0032】
図2は、シート後処理装置5の内部構造を示す側面断面図である。
図3は、
図2における処理トレイ8周辺の構造を示す部分断面図である。搬送ローラー対71は、穿孔処理部61に対し、シート搬送方向(矢印H11方向)の下流側に隣接して配置される。搬送ローラー対71は、穿孔処理後のシート、若しくは穿孔処理が行われなかったシートをシート搬送方向H11の下流側に搬送する。
【0033】
中間ローラー対72は、シート搬送路42において、シート搬送方向の上流側端部と下流側端部との間に配置される。中間ローラー対72は、搬送駆動部70(
図12参照)から駆動力が付与されて回転する第1駆動ローラー721と、第1駆動ローラー721に従動して回転する第1従動ローラー722からなる。第1駆動ローラー721および第1従動ローラー722は、所定のニップ圧で当接しており、シートをニップして搬送する第1ニップ部72Nを形成している。
【0034】
中間ローラー対72の下流側直近には第1シート検知部S1が配置されている。第1シート検知部S1は、シートを光学的に検出するセンサーであり、搬送ローラー対71によって搬送されるシートの先端が中間ローラー対72に進入したことを検出する。また、第1シート検知部S1は、中間ローラー対72によって搬送されるシートが中間ローラー対72を通過したことを検出する。
【0035】
排出ローラー対73は、シート搬送路42のシート搬送方向の下流側に配置される。排出ローラー対73は、排出駆動部90(
図12参照)から駆動力が付与されて回転する第2駆動ローラー731と、第2駆動ローラー731に従動して回転する第2従動ローラー732からなる。第2駆動ローラー731および第2従動ローラー732は、所定のニップ圧で当接しており、シートをニップして搬送する第2ニップ部73Nを形成している。第2ニップ部73Nは、ステープル処理部62によるステープル処理時にニップ解除機構74(
図12参照)によって解除される。
【0036】
排出ローラー対73の下流側直近には第2シート検知部S2が配置されている。第2シート検知部S2は、排出ローラー対73により排出されるシートが接触する接触片と検知片とを有するアクチュエーターと、検知片を挟むように対向配置される発光部および受光部を有するフォトセンサーとで構成される。中間ローラー対72によって搬送されるシートの先端が接触片に接触すると、アクチュエーターが時計回り方向に回動し、検知片が発光部から受光部へ向かう光路の外側に位置する。これにより、シートの先端が排出ローラー対73に進入したこと、および排出ローラー対73によりシートが排出中であることを検知する。一方、シートの後端が接触片を通過すると、アクチュエーターが反時計回り方向に回動し、検知片が発光部から受光部へ向かう光路上に位置する。これにより、シートの後端が排出ローラー対73を通過したことを検知する。
【0037】
シート搬送路42の下方には処理トレイ8が配置されている。処理トレイ8は、排出ローラー対73の第2ニップ部73Nが解除された状態で、中間ローラー対72によって搬送されるシートを受け入れて積載する。処理トレイ8に積載されたシート束はステープル処理部62によりステープル処理が施される。処理トレイ8は、シート搬送方向の下流側端部(
図2の左端部)が排出ローラー対73の近傍に位置し、上流側端部(
図2の右端部)が中間ローラー対72の下方に位置しており、シート搬送方向の下流側端部から上流側端部に向かって下り勾配となるように傾斜している。
【0038】
処理トレイ8には、シート束の上流側端部(後端)を支持する束排出部材81が設けられている。束排出部材81は、処理トレイ8の裏面側に配置された駆動ベルト(図示せず)に固定されており、一部が処理トレイ8の載置面から側面視L字状に突出している。排出駆動部90(
図12参照)によって駆動ベルトを回動させることで、束排出部材81が処理トレイ8の載置面に沿ってシート搬送方向に往復移動する。
【0039】
処理トレイ8に積載され、ステープル処理部62によりステープル処理が施されたシート束は、第2ニップ部73Nが復元された排出ローラー対73、若しくは束排出部材81によって、シート積載装置10へ排出される。
【0040】
シート積載装置10は、後処理機構6により後処理が施されたシートを積載する。シート積載装置10は、積載トレイ11と、一対のカーソル部材12と、突出部材13と、シート押さえ部材14と、パドル部材15とを備える。
【0041】
積載トレイ11は、シート搬送方向(以下、シート排出方向ともいう)に対し排出ローラー対73の下流側に配置され、シート後処理装置5におけるシートの最終的な排出場所である。積載トレイ11は、穿孔処理部61により穿孔処理が施されたシート、またはステープル処理部62によりステープル処理が施されたシート束等の、排出ローラー対73または束排出部材81によって排出されるシートを積載するシート積載面11aを有する。シート積載面11aは、シート排出方向の下流側端部が最も高く、上流側端部に向かって下り勾配となるように傾斜している。
【0042】
シート積載面11aの上流側端部は、排出ローラー対73の下方に位置している。シート積載面11aの上流側直近にはシート受け壁11bが立設されている。シート受け壁11bは、シート積載面11aに沿って滑り落ちるシートの上流側端部(後端)を受け止める。
【0043】
積載トレイ11は、トレイ昇降駆動部113(
図12参照)によって、シート積載面11a上のシート積載量に応じて上下方向に昇降可能に構成されている。積載トレイ11の上流側端部よりも僅かに下流側には上面検知センサーS3が配置されている。上面検知センサーS3は、シート積載面11aまたはシート積載面11a上に積載されたシートの上面を検知するフォトセンサーである。上面検知センサーS3の検知信号に応じてトレイ昇降駆動部113による積載トレイ11の昇降動作(ポジショニング)が制御される。積載トレイ11の昇降動作は、所定の枚数(例えば10枚)毎に、或いは所定の時間間隔(例えば数秒間隔)毎に実行される。これにより、シート積載面11a上のシートの最上面位置が一定の高さに維持される。
【0044】
後処理ハウジング50の下方には積載トレイ11の下限位置を検知する下限検知センサーS4が配置されている。下限検知センサーS4は上面検知センサーS3と同様のフォトセンサーであり、積載トレイ11に突設されたフラグ11cにより検知部の光路が遮断されたとき、積載トレイ11が下限位置まで下降したことを検知可能となっている。なお、上面検知センサーS3および下限検知センサーS4として、フォトセンサー以外の他のセンサーを用いても良い。また、積載トレイ11の具体的な昇降動作については後述する。
【0045】
一対のカーソル部材12は、シャフト122が挿通されたホルダー121に支持されている。シャフト122は、排出ローラー対73の上方でシート幅方向に沿って延びるように、後処理ハウジング50に支持されている。ホルダー121は、シート幅方向に沿って移動可能となるようにシャフト122に支持されている。ホルダー121は、一対のカーソル部材12の先端部が上下方向に揺動可能となるように、一対のカーソル部材12を支持している。
【0046】
突出部材13は、シート幅方向に所定の幅を有し、シート排出方向に円弧状に延びる棒形状の部材であり、シート排出口2の下方に配置される。詳細には、突出部材13は、処理トレイ8の下方であって、処理トレイ8に沿って排出ローラー対73から排出されるシートの排出経路よりも下方に配置される。本実施形態では、突出部材13は、例えば積載トレイ11のシート幅方向の中央部に対し、所定の間隔を設けて、シート幅方向に2つ配置される。なお、突出部材13は、シート幅方向に関してパドル部材15とは異なる位置に配置される。
【0047】
突出部材13は、
図4および
図5に示す突出駆動部131に支持され、突出駆動部131によってシート排出方向に沿って変位される。突出駆動部131は、ガイドレール801、駆動伝達ギア群802、駆動伝達軸803、駆動軸804、駆動伝達ベルト805、駆動ベルト806および駆動モーター807を備える。
【0048】
ガイドレール801、駆動伝達ギア群802、駆動伝達軸803および駆動伝達ベルト805は、2つの突出部材13に対応してそれぞれ2つずつ設けられる。駆動軸804、駆動ベルト806および駆動モーター807は、それぞれ1つずつ設けられる。
【0049】
ガイドレール801は、排出ローラー対73よりもシート排出方向上流側に配置される。ガイドレール801は、突出部材13と同様にシート排出方向に円弧状に延びる、上面が開口した樋形状の部材である。ガイドレール801は、その内側に突出部材13を収容して支持する。
【0050】
駆動伝達ギア群802は、ガイドレール801の下方に配置される。駆動伝達ギア群802は、互いに噛み合う複数のギア群で構成され、ガイドレール801側の末端のピニオンギア8021と、駆動伝達軸803側の末端の駆動伝達ギア8022と、を含む。
【0051】
ピニオンギア8021は、ガイドレール801の直下に配置される。突出部材13の下面側には、ラック・アンド・ピニオン歯車機構のラック(不図示)が形成されている。当該ラックは、シート排出方向に沿って配列された複数の歯を有する。ピニオンギア8012は、突出部材13のラックと噛み合う。なお、ガイドレール801の、ピニオンギア8021が隣接する箇所には、ピニオンギア8021と、突出部材13のラックとが噛み合うための不図示の窓部が設けられる。
【0052】
駆動伝達軸803は、駆動伝達ギア群802の下部に配置される。駆動伝達軸803は、シート幅方向に沿って延びる。駆動伝達ギア群802の駆動伝達ギア8022は、駆動伝達軸803と同軸上に配置され、駆動伝達軸803とともに回転する。
【0053】
駆動軸804は、駆動伝達軸803の下方に配置される。駆動軸804は、シート幅方向に沿って延びる。
【0054】
駆動伝達ベルト805は、プーリーを介し、駆動伝達軸803と、駆動軸804とに巻き掛けられる。詳細には、1つの駆動軸804に対して2つの駆動伝達ベルト805が巻き掛けられ、各駆動伝達ベルト805は、それぞれ別個の駆動伝達軸803に巻き掛けられる。駆動伝達ベルト805は、駆動軸804の回転動力を駆動伝達軸803に伝達する。
【0055】
駆動ベルト806は、プーリーを介し、駆動軸804と、駆動モーター807の回転軸とに巻き掛けられる。駆動ベルト806は、駆動モーター807によって回転される。
【0056】
突出駆動部131において駆動モーター807が回転すると、駆動モーター807の回転動力は、駆動ベルト806を介して駆動軸804に伝達され、駆動軸804が回転する。駆動軸804が回転すると、回転動力は、駆動伝達ベルト805を介して駆動伝達軸803に伝達される。駆動伝達軸803が回転すると、回転動力は、駆動伝達ギア群802を介してピニオンギア8021に伝達される。これにより、2つの突出部材13は、同時にシート排出方向に沿って変位される。突出部材13の変位、すなわち突出駆動部131の動作は、後処理制御部100によって制御される。
【0057】
図3に戻って、シート押さえ部材14は、積載トレイ11のシート排出方向上流側に配置される。シート押さえ部材14は、排出ローラー対73の第2駆動ローラー731の回転軸731aよりも下方に配置される。本実施形態では、シート押さえ部材14は、例えば積載トレイ11のシート幅方向に所定の間隔を設けて、シート幅方向に2つ配置される。なお、シート押さえ部材14は、シート幅方向に関して、パドル部材15とは異なる位置に配置される。
【0058】
シート押さえ部材14は、シート幅方向に所定の幅を有し、略上下方向に延びる棒形状の部材である。シート押さえ部材14は、下端部において、シート幅方向に沿って延びる揺動軸14aを支点として揺動可能に支持される。シート押さえ部材14は、シート押さえ駆動部142(
図12参照)によって、揺動軸14a回りに上側の一端部を自由端としてシート排出方向に揺動する。シート押さえ部材14は、積載トレイ11に積載されたシートの排出方向上流部を上方から押さえる押さえ位置(
図14参照)と、シートの押さえを解除する退避位置(
図3参照)との間で変位する。
【0059】
シート押さえ部材14は、
図3に示すように、シートの排出動作の開始前、積載トレイ11側に突出しない退避位置で停止している。これにより、シート押さえ部材14は、使用しないときにシートの排出を妨げない。
【0060】
続いて、パドル部材15が回転され、パドル部材15が積載トレイ11のシート排出方向上流端を通過する前に、シート押さえ部材14の揺動が開始される。そして、シート押さえ部材14は、
図14に示すように、積載トレイ11に積載されたシートの排出方向上流部を上方から押さえる押さえ位置まで変位する。
【0061】
この構成によれば、カールしたシートの後端を、シート押さえ部材14によって上方から押さえることができる。これにより、積載トレイ11に対するシートの排出、積載が高速化した場合にも対応することができ、積載トレイ11に積載されたシートの排出方向上流部を上方から押さえ、積載トレイ11上のシートを好適に整合させることが可能になる。
【0062】
パドル部材15は、排出ローラー対73と同軸上に配置される。詳細には、パドル部材15は、シート幅方向に沿って延びる第2駆動ローラー731の回転軸731aと同軸上に配置される。さらに詳細には、本実施形態では、2つの第2駆動ローラー731の回転軸731aそれぞれの同軸上に2つずつ、合計4つのパドル部材15が設けられる。
【0063】
図6は、シート積載装置10における排出駆動部90およびパドル駆動部161の構成を示す斜視図である。2つの第2駆動ローラー731は、排出駆動部90によって同時に回転駆動される。排出駆動部90は、
図6に示すように、駆動伝達軸301、第1駆動伝達ベルト302、駆動軸303、第2駆動伝達ベルト304、駆動伝達ギア305、駆動ギア306および駆動モーター307を備える。
【0064】
駆動伝達軸301、第1駆動伝達ベルト302および第2駆動伝達ベルト304は、2つの第2駆動ローラー731の回転軸731aに対応してそれぞれ2つずつ設けられる。駆動軸303、駆動伝達ギア305、駆動ギア306および駆動モーター307は、それぞれ1つずつ設けられる。
【0065】
駆動伝達軸301は、第2駆動ローラー731の回転軸731aの下方に配置される。駆動伝達軸301は、シート幅方向に沿って延びる。
【0066】
第1駆動伝達ベルト302は、プーリーを介し、第2駆動ローラー731の回転軸731aと、駆動伝達軸301とに巻き掛けられる。第1駆動伝達ベルト302は、駆動伝達軸301の回転動力を回転軸731aに伝達する。
【0067】
駆動軸303は、駆動伝達軸301の下方に配置される。駆動軸303は、シート幅方向に沿って延びる。
【0068】
第2駆動伝達ベルト304は、プーリーを介し、駆動伝達軸301と、駆動軸303とに巻き掛けられる。詳細には、1つの駆動軸303に対して2つの第2駆動伝達ベルト304が巻き掛けられ、各第2駆動伝達ベルト304は、それぞれ別個の駆動伝達軸301に巻き掛けられる。第2駆動伝達ベルト304は、駆動軸303の回転動力を駆動伝達軸301に伝達する。
【0069】
駆動伝達ギア305は、駆動軸303に設けられる。駆動伝達ギア305は、駆動軸303と同軸上に配置され、駆動軸303とともに回転する。
【0070】
駆動ギア306は、駆動モーター307の回転軸に設けられる。駆動ギア306は、駆動モーター307によって回転される。駆動ギア306は、駆動伝達ギア305と噛み合う。
【0071】
排出駆動部90において駆動モーター307が回転すると、駆動モーター307の回転動力は、駆動ギア306および駆動伝達ギア305を介して駆動軸303に伝達され、駆動軸303が回転する。駆動軸303が回転すると、回転動力は、第2駆動伝達ベルト304を介して駆動伝達軸301に伝達される。駆動伝達軸301が回転すると、回転動力は、第1駆動伝達ベルト302を介して第2駆動ローラー731の回転軸731aに伝達される。これにより、2つの第2駆動ローラー731は、同時に回転駆動される。第2駆動ローラー731の回転、すなわち排出駆動部90の動作は、後処理制御部100によって制御される。
【0072】
4つのパドル部材15は、パドル駆動部161によって同時に回転駆動される。パドル駆動部161は、
図6に示すように、第1駆動伝達軸501、第1駆動伝達ベルト502、第2駆動伝達軸503、第2駆動伝達ベルト504、駆動軸505、第3駆動伝達ベルト506、駆動伝達ギア507、駆動ギア508および駆動モーター509を備える。
【0073】
第1駆動伝達ベルト502は、4つのパドル部材15に対応して4つ設けられる。第1駆動伝達軸501、第2駆動伝達軸503、第2駆動伝達ベルト504および第3駆動伝達ベルト506は、2つの第2駆動ローラー731の回転軸731aに対応してそれぞれ2つずつ設けられる。駆動軸505、駆動伝達ギア507、駆動ギア508および駆動モーター509は、それぞれ1つずつ設けられる。
【0074】
パドル部材15は、
図7に示すように、パドル本体部51および軸部52を備える。軸部52は、パドル本体部51のシート幅方向の側方に固定される。パドル本体部51および軸部52はそれぞれ、中心軸線がシート幅方向に延びて回転軸731aの軸線に重なる円筒形状で構成される。パドル本体部51の直径は、第2駆動ローラー731の直径よりも小さい。軸部52の直径は、パドル本体部51の直径よりも小さい。回転軸731aは、パドル本体部51および軸部52の径方向中心部をシート幅方向に貫通する。パドル本体部51および軸部52は、回転軸731aとは独立して回転可能である。
【0075】
第1駆動伝達軸501は、第2駆動ローラー731の回転軸731aの下方に配置される。第1駆動伝達軸501は、シート幅方向に沿って延びる。
【0076】
第1駆動伝達ベルト502は、プーリーを介し、パドル部材15の軸部52と、第1駆動伝達軸501とに巻き掛けられる。詳細には、1つの第1駆動伝達軸501に対して2つの第1駆動伝達ベルト502が巻き掛けられ、各第1駆動伝達ベルト502は、それぞれ別個のパドル部材15の軸部52に巻き掛けられる。第1駆動伝達ベルト502は、第1駆動伝達軸501の回転動力をパドル部材15の軸部52に伝達する。
【0077】
第2駆動伝達軸503は、第1駆動伝達軸501の下方に配置される。第2駆動伝達軸503は、シート幅方向に沿って延びる。
【0078】
第2駆動伝達ベルト504は、プーリーを介し、第1駆動伝達軸501と、第2駆動伝達軸503とに巻き掛けられる。第2駆動伝達ベルト504は、第2駆動伝達軸503の回転動力を第1駆動伝達軸501に伝達する。
【0079】
駆動軸505は、第2駆動伝達軸503の下方に配置される。駆動軸505は、シート幅方向に沿って延びる。
【0080】
第3駆動伝達ベルト506は、プーリーを介し、第2駆動伝達軸503と、駆動軸505とに巻き掛けられる。詳細には、1つの駆動軸505に対して2つの第3駆動伝達ベルト506が巻き掛けられ、各第3駆動伝達ベルト506は、それぞれ別個の第2駆動伝達軸503に巻き掛けられる。第3駆動伝達ベルト506は、駆動軸505の回転動力を第2駆動伝達軸503に伝達する。
【0081】
駆動伝達ギア507は、駆動軸505に設けられる。駆動伝達ギア507は、駆動軸505と同軸上に配置され、駆動軸505とともに回転する。
【0082】
駆動ギア508は、駆動モーター509の回転軸に設けられる。駆動ギア508は、駆動モーター509によって回転される。駆動ギア508は、駆動伝達ギア507と噛み合う。
【0083】
パドル駆動部161において駆動モーター509が回転すると、駆動モーター509の回転動力は、駆動ギア508および駆動伝達ギア507を介して駆動軸505に伝達され、駆動軸505が回転する。駆動軸505が回転すると、回転動力は、第3駆動伝達ベルト506を介して第2駆動伝達軸503に伝達される。第2駆動伝達軸503が回転すると、回転動力は、第2駆動伝達ベルト504を介して第1駆動伝達軸501に伝達される。第1駆動伝達軸501が回転すると、回転動力は、第1駆動伝達ベルト502を介してパドル部材15の軸部52に伝達される。これにより、4つのパドル部材15は、同時に回転駆動され、第2駆動ローラー731の回転軸731a回りに、第2駆動ローラー731とは独立して回転可能である。パドル部材15の回転、すなわちパドル駆動部161の動作は、後処理制御部100によって制御される。
【0084】
パドル部材15は、
図7に示すように、パドル本体部51とパドル弾性部53とを備える。パドル本体部51は、回転軸731aが挿入される軸孔が形成された基部511と、基部511の外周面に設けられるアーム部512とを備える。
【0085】
アーム部512は、基部511の回転軸731aの軸線と交差して軸線中心から離れる方向に突出する。詳細には、アーム部512は、基部511の外周面から、当該外周面の略接線方向に外側に向かって突出する。アーム部512は、基部511と一体形成される。アーム部512は、パドル弾性部53よりも剛性率が高い材料で構成される。
【0086】
パドル弾性部53は、パドル本体部51の回転軸731aの軸線と交差して軸線中心から離れる方向にアーム部512よりも長く突出する。詳細には、パドル弾性部53は、アーム部512に取り付けられ、アーム部512が延びる方向と同じ方向に、アーム部512よりも長く突出する。パドル弾性部53は、アーム部512(パドル本体部51)よりも弾性率が高い材料、例えばゴムで構成される。
【0087】
図8~
図11は、シート積載装置10によるシート積載動作を示す説明図である。シート積載装置10におけるパドル部材15の動作について、
図8~
図11を用いて説明する。
【0088】
図8に示すように、パドル部材15は、その動作の開始前、アーム部512およびパドル弾性部53が処理トレイ8側及び積載トレイ11側のいずれにも突出しない退避位置である状態で、回転が停止される。すなわち、パドル部材15は、所定位置で待機する。これにより、パドル部材15は、使用しないときにシートPの排出妨げにならない。排出ローラー対73の回転速度は、シートPの排出方向上流端が排出ローラー対73の第2ニップ部73Nを通過するまでに減速される。すなわち、排出ローラー対73によって排出されるシートPは、シート排出方向の上流端が排出ローラー対73の第2ニップ部73Nを通過するまでに、所定の排出速度に減速される。
【0089】
次に、
図9に示すように、シートPのシート排出方向の上流端(後端)が排出ローラー対73の第2ニップ部73Nを通過し、シートPが積載トレイ11のシート積載面11aに積載される前に、パドル駆動部161によってパドル部材15の回転が開始される。パドル部材15の回転速度は、シートPの排出方向上流端が排出ローラー対73の第2ニップ部73Nを通過するときの排出ローラー対73の回転速度と同じである。
【0090】
パドル部材15は、排出ローラー対73によって排出されるシートPの排出方向上流部(後端)に接触する。これにより、パドル部材15は、排出ローラー対73から排出されたシートPの排出方向上流部を上方から叩くようにして、シート積載面11aに向けて押し下げる。
【0091】
図9の状態からパドル部材15がさらに回転すると、
図10に示すように、パドル弾性部53が、排出されたシートPの排出方向上流部に接触する。これにより、パドル部材15は、シートPを積載トレイ11に沿ってシートPの排出方向上流側に引き寄せる。さらに、パドル部材15は、シートPの排出方向上流部を積載トレイ11のシート受け壁11bに向かって押さえ付ける。
【0092】
そして、シート積載装置5によるシート積載動作が終了すると、
図11に示すように、シートPの排出方向上流端は、積載トレイ11のシート排出方向上流側に設けられたシート受け壁11bに接触する。これにより、シートPは、積載トレイ11上の所定位置に整合される。なお、シート受け壁11bは、パドル部材15の回転軌道上に、パドル部材15が通過可能な不図示のスリット部を有する。これにより、アーム部512およびパドル弾性部53は、積載トレイ11側に突出しない退避位置に到達する。
【0093】
図12は、シート後処理装置5の制御経路の一例を示すブロック図である。後処理制御部100(以下、単に制御部100という)は、シート積載装置10を含むシート後処理装置5の各部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部100は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、シート積載装置10を含めたシート後処理装置5の各部の動作を制御する。
【0094】
制御部100は、後処理機構6の穿孔処理部61による穿孔処理動作、およびステープル処理部62によるステープル処理動作を制御する。制御部100は、搬送駆動部70の駆動を制御することにより、搬送ローラー対71および中間ローラー対72の回転および停止を制御する。制御部100は、排出駆動部90の駆動を制御することにより、排出ローラー対73の回転および停止、または束排出部材81の往復移動を制御する。
【0095】
制御部100は、ニップ解除駆動部91の駆動を制御することにより、ニップ解除機構74による排出ローラー対73の第2ニップ部73Nの解除動作および復元動作を制御する。例えば、所定枚数のシート束に対してステープル処理部62によるステープル処理が行われる場合、制御部100は、1枚目のシートが処理トレイ8に引き込まれた後に、ニップ解除駆動部91によりニップ解除機構74を動作させて第2ニップ部73Nを解除させる。そして、2枚目以降のシートが処理トレイ8に引き込まれ、ステープル処理が実行された後、積載トレイ11にシート束を排出する際に第2ニップ部73Nを復元させる。
【0096】
なお、束排出部材81により積載トレイ11にシート束を排出する場合は、第2ニップ部73Nを解除させた状態で、束排出部材81をシート排出方向下流側に移動させてシート束を積載トレイ11上に押し出して排出する。
【0097】
制御部100は、トレイ昇降駆動部113の駆動を制御することにより、積載トレイ11の昇降動作を制御する。制御部100は、突出駆動部131の駆動を制御することにより、突出部材13のガイドレール801に沿った突出位置と退避位置との間での移動を制御する。制御部100は、シート押さえ駆動部142の駆動を制御することにより、シート押さえ部材14の揺動軸14a回りの回動による押さえ位置と退避位置との間の揺動動作を制御する。
【0098】
制御部100は、パドル駆動部161の駆動を制御することにより、パドル部材15の回転軸731aを中心とした回転による、排出ローラー対73を通過したシートの後端を積載トレイ11に向かって叩く叩き動作と、叩き動作に連続して、積載トレイ11に落下したシートの後端部に上方から接触してシートを上流側に引き込みつつ押さえつける押さえ動作と、を制御する。
【0099】
ところで、積載トレイ11へシートを一枚ずつ連続で積載していくモードにおいて、前述したような積載トレイ11の昇降動作(ポジショニング)を行う場合、落下中のシートやシート後端のカールを上面検知センサーS3で誤検知しないように、シート押さえ部材14で押さえた状態で積載トレイ11を昇降させる。このとき、上面検知センサーS3がオン状態で昇降動作を終了させるか、オフ状態で昇降動作を終了させるかによって、以下の不都合が発生するおそれがある。
【0100】
例えば、上面検知センサーS3のオンを確認してシートの上面を検知し、一旦積載トレイ11を下降させて上面検知センサーS3のオフを確認し、再度積載トレイ11を上昇させて上面検知センサーS3がオンの状態で昇降動作を終了する制御が考えられる。この場合、シートの上面がパドル部材15の回転軌道に最も近くなる。
【0101】
また、パドル部材15はシートの後端を上方から叩くようにして、積載トレイ11のシート積載面11aに向けて押し下げ、シートを積載トレイ11に沿って排出方向上流側に引き寄せ、シートの排出方向上流部を積載トレイ11のシート受け壁11bに向かって押さえ付ける役目があり、パドル長さは極力長く設定するのが望ましい。
【0102】
そのため、上面検知センサーS3がオンの状態で昇降動作を終了すると、次の昇降動作までに積載されたシートの上面がパドル部材15の軌道に重なってしまい、パドル部材15が回転不能(ロック状態)となるおそれがあった。
【0103】
一方、パドル部材15とシートの上面との接近のリスクを回避するために、上面検知センサーS3がオフの状態で昇降動作を終了させた場合、シートの連続排出中に積載されたシートが取り除かれると、次の昇降動作において積載トレイ11が所定位置まで上昇しない。その結果、排出ローラー対72とシートの上面との高低差が大きくなり、例えば排出ローラー対73によって排出されるシートの先端が丸まったり、シートが反転したりするなどシートの排出状態が不安定となり、積載トレイ11に積載されるシートの整合状態が悪化するおそれがあった。
【0104】
そこで、本実施形態では、先ず積載トレイ11を下降させて上面検知センサーS3のオフを確認し、一旦積載トレイ11を上昇させて上面検知センサーS3のオンを確認してシートの上面を検知した後、再度積載トレイ11を下降させて上面検知センサーS3がオフの状態で昇降動作を終了することとしている。
【0105】
図13は、本実施形態のシート積載装置10における積載トレイ11の昇降動作の制御例を示すフローチャートである。必要に応じて
図1~
図12および後述する
図14、
図15を参照しながら、
図13のステップに沿ってシート積載装置10の積載トレイ11を基準位置(ホームポジション)に位置決めする方法について説明する。
【0106】
初めに、シート後処理装置5はシートを一枚ずつ連続処理していくモード(単発処理モード)に設定されており、シート積載装置10の積載トレイ11は基準位置に配置されているものとする。
【0107】
この状態から積載トレイ11上にシートの排出が開始されると(ステップS1)、制御部100は、シートが所定枚数(ここでは10枚)排出されたか否かを判定する(ステップS2)。所定枚数に到達していない場合は(ステップS2でNo)シートの排出が終了したか否かを判定する(ステップS3)。シートの排出が終了していない場合は(ステップS3でNo)ステップS2に戻り、シートの排出を継続する。シートの排出が終了している場合は(ステップS3でYes)処理を終了する。
【0108】
シートが所定枚数排出された場合は(ステップS2でYes)、シート押さえ部材14を退避位置から押さえ位置に移動させる(ステップS4)。そして、積載トレイ11を下降させる(ステップS5)。
【0109】
次に、制御部100は、上面検知センサーS3がオフとなったか否かを判定する(ステップS6)。上面検知センサーS3がオンである場合は(ステップS6でNo)積載トレイ11の下降を継続する。
【0110】
図14は、上面検知センサーS3がオフとなった状態を示すシート積載装置10の側面断面図である。
図14では、シート積載面11aに積載されたシートP1の最上面のシートP1Uが上面検知センサーS3の検知部S3aに重ならない位置まで積載トレイ11が下降している。
図14のように上面検知センサーS3がオフとなった場合は(ステップS6でYes)、積載トレイ11を上昇させる(ステップS7)。
【0111】
次に、制御部100は、上面検知センサーS3がオンとなったか否かを判定する(ステップS8)。上面検知センサーS3がオフである場合は(ステップS8でNo)積載トレイ11の上昇を継続する。
【0112】
図15は、上面検知センサーS3がオンとなった状態を示すシート積載装置10の側面断面図である。
図15では、シート積載面11aに積載されたシートP1の最上面のシートP1Uが上面検知センサーS3の検知部S3aに重なる位置まで積載トレイ11が上昇している。
図15のように上面検知センサーS3がオンとなった場合は(ステップS8でYes)、再び積載トレイ11を下降させる(ステップS9)。
【0113】
次に、制御部100は、上面検知センサーS3がオフとなったか否かを判定する(ステップS10)。上面検知センサーS3がオンである場合は(ステップS10でNo)積載トレイ11の下降を継続する。
図14に示したように上面検知センサーS3がオフとなった場合は(ステップS10でYes)、積載トレイ11を停止させる(ステップS11)。この位置が積載トレイ11の基準位置となる。その後、シート押さえ部材14を退避位置に移動させて(ステップS12)ステップS2に戻り、以下同様の処理を繰り返す。
【0114】
上記の制御例によれば、上面検知センサーS3がオフ→オン→オフとなった状態で積載トレイ11の昇降動作が終了し、積載トレイ11が基準位置に位置決めされる。そのため、上面検知センサーS3がオンとなった状態で昇降動作を終了する場合に比べてパドル部材15の回転軌道とシート上面との間隔を常に一定距離だけ広げることができる。従って、パドル部材15のパドル長を極力長くしつつ、パドル部材15が回転不能(ロック状態)となる不具合や、積載されたシートが取り除かれた場合にシートの排出状態が不安定となる不具合を回避することができる。
【0115】
また、シート押さえ部材14を押さえ位置に移動させた状態でシートの上面を検知するため、シートの後端の浮き上がりやカールによる上面検知センサーS3の誤検知を防止することができる。
【0116】
さらに、
図16および
図17に示すように、押さえ位置に配置されたシート押さえ部材14の先端に重なる位置に上面検知センサーS3を配置することで、シートの上面位置を検知する際に上面検知センサーS3でシート押さえ部材14を検知することができる。
【0117】
この構成によれば、
図16に示す上面検知センサーS3がオフの状態、および
図17に示す上面検知センサーS3がオンの状態のいずれにおいても、
図14および
図15に示したように最上面のシートP1Uを検知する場合に比べてシート押さえ部材14の厚み分だけ実際のシートの上面位置が下がる。その結果、パドル部材15の回転軌道とシート上面との間隔をより広げることができ、パドル部材15の回転に裕度をもたせることができる。従って、排出されるシートの厚みが異なる場合やシートの後端がカールしている場合にも対応可能となる。
【0118】
ところで、積載トレイ11の昇降動作の終了時に下限検知センサーS4がオン状態となる僅かに手前でフラグ11c(
図2参照)が停止している場合、次回の昇降動作において積載トレイ11が下限位置に到達したことが検知される。この場合、次回の昇降動作で積載トレイ11がほとんど下降できないため、次回の昇降動作の終了後に積載されたシートの上面位置が上面検知センサーS3の検知位置(上限位置)を超えてしまい、パドル部材15が回転不能(ロック状態)となる。
【0119】
図18は、本実施形態のシート積載装置10において積載トレイ11が基準位置まで下降した状態を示す排出ローラー対73周辺の側面図である。
図18に示すように、上面検知センサーS3がオフ→オン→オフとなった状態で昇降動作が終了し、積載トレイ11が基準位置に位置決めされたとき、上面検知センサーS3の検知位置(
図18の破線Lで表示)からのシートの上面の下降量(下降距離)をd、処理トレイ8から積載トレイ11に一度に排出される最大枚数(例えば100枚)のシート束の厚みをtとするとき、以下の式(1)を満たすこととしている。
d>2×t ・・・(1)
【0120】
この構成によれば、積載トレイ11の1回の昇降動作において、シート積載面11aにはシート束の最大枚数の2倍を超える枚数の積載量が確保される。そのため、次回の昇降動作において積載トレイ11が下限位置に到達し、積載トレイ11がほとんど下降しなかったときでも、最大枚数のシート束の積載が可能となっている。従って、積載トレイ11が下限位置に到達してもシートの上面位置が上面検知センサーS3の検知位置(上限位置)を超えることがなく、パドル部材15が回転不能(ロック状態)となる不具合を未然に防止することができる。
【0121】
図18に示した構成では、下限検知センサーS4により積載トレイ11が下限位置に到達したことを検知すれば、それ以降の排出動作が停止する。そのため、積載トレイ11が下限位置に到達したときに排出されるシート束の枚数が少ない場合は、積載可能枚数を余した状態で排出動作が停止されることとなり、積載効率(後処理効率)が低下するおそれがあった。
【0122】
そこで、下限検知センサーS4がオン状態となったとき、次に排出されるシート束の枚数に応じて排出動作を停止するか否かの判断を変更する。これにより、積載効率の低下を極力抑えつつ、パドル部材15が回転不能(ロック状態)となる不具合を未然に防止することができる。
【0123】
図19は、下限検知センサーS4により積載トレイ11の下限位置が検知されたときの排出動作の制御例を示すフローチャートである。必要に応じて
図1~
図18を参照しながら、
図19のステップに沿って積載トレイ11の下限位置が検知されたときの排出動作について説明する。
【0124】
初めに、シート後処理装置5は処理トレイ8に積載されたシート束にステープル処理を施すモード(束処理モード)に設定されており、シート積載装置10の積載トレイ11は基準位置に配置されているものとする。
【0125】
この状態から積載トレイ11上にシート束の排出が開始されると(ステップS1)、制御部100は、シート束の枚数Aを検知する(ステップS2)。シート束の枚数は、例えば第1シート検知部S1(または第2シート検知部S2)を通過するシートの枚数をカウントすることにより検知できる。
【0126】
次に、制御部100は、下限検知センサーS4がオン状態であるか否かを判定する(ステップS3)。下限検知センサーS4がオン状態でない場合は(ステップS3でNo)、積載トレイ11が下限位置まで到達していないため、
図13に示した積載トレイ昇降ルーチンに移行する(ステップS4)。具体的には、所定枚数のシート束が排出される毎に積載トレイ11を昇降させ、上面検知センサーS3がオフ→オン→オフとなった状態で昇降動作を終了し、積載トレイ11を基準位置に位置決めする。基準位置は、上面検知センサーS3による検知位置(上限位置)から積載トレイ11に排出される最大枚数(例えば100枚)のシート束の厚みの2倍の距離だけ下降した位置とする。
【0127】
下限検知センサーS4がオン状態である場合は(ステップS3でYes)、排出されるシート束の枚数Aが所定枚数A1(例えば50枚)以下であるか否かを判定する(ステップS5)。A≦A1である場合は(ステップS5でYes)、シート束を排出する(ステップS6)。また、下限検知センサーS4がオン状態となってからの累積排出枚数Bを検知する(ステップS7)。
【0128】
次に、制御部100は、累積排出枚数Bが所定枚数B1以上であるか否かを判定する(ステップS8)。B1は、積載トレイ11が基準位置にあるとき積載可能な最大枚数(最大枚数のシート束の2倍)よりも少ない枚数に設定される。例えば、シート束の最大枚数が100枚である場合、100×2=200枚よりも少ない枚数(例えばB1=150)に設定される。
【0129】
B<B1である場合は(ステップS8でNo)、積載トレイ11上の積載可能枚数に裕度があるため、ステップS2に戻り積載トレイ11へのシートの排出を継続する(ステップS2~S8)。B≧B1である場合は(ステップS8でYes)、積載トレイ11上の積載可能枚数に裕度がなくなっているため、積載トレイ11へのシートの排出を停止する(ステップS9)。
【0130】
一方、ステップS5でA>A1である場合は(ステップS5でNo)、今回のシート束の排出によって積載可能枚数に裕度がなくなると判定し、シート束を排出した後(ステップS10)、排出動作を停止する(ステップS9)。
【0131】
上記の制御によれば、積載トレイ11が下限位置にあると検知された場合、排出されるシート束の枚数が少ないときは、それ以降もシート束の排出が継続される。そのため、積載可能枚数を余した状態で排出動作が停止されることがなくなり、処理効率の低下を抑制することができる。
【0132】
一方、排出されるシート束の枚数が多いときは、それ以降のシート束の排出が停止されるため、積載トレイ11が下降しないことによりパドル部材15が回転不能となる不具合を未然に防止することができる。閾値A1、B1は、1回に排出可能なシート束の最大枚数に応じて適宜設定することができる。
【0133】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、排出ローラー対73によって排出されたシートが上面に接触する突出位置と、シート排出方向上流側に退避した退避位置との間で変位する突出部材13を設けているが、突出部材13を設けない構成も可能である。
【0134】
また、上記実施形態では、画像形成システムSの画像形成装置200をモノクロ印刷用の複合機としたが、これに限定されるものではない。画像形成装置200は、例えばモノクロ複写機、モノクロプリンター等であってもよいし、カラー複写機、カラープリンター等のカラー印刷用の画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0135】
5 シート後処理装置
6 後処理機構
8 処理トレイ
10 シート積載装置
11 積載トレイ
11a シート載置面
13 突出部材
14 シート押さえ部材
15 パドル部材
51 パドル本体部
511 基部
512 アーム部
53 パドル弾性部
61 穿孔処理部
62 ステープル処理部
72 中間ローラー対
73 排出ローラー対
100 後処理制御部(制御部)
113 トレイ昇降駆動部
200 画像形成装置
P シート
S 画像形成システム
S3 上面検知センサー
S4 下限検知センサー