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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/32 20060101AFI20231017BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20231017BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20231017BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20231017BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20231017BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20231017BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231017BHJP
【FI】
H01G4/32 531
H01G4/32 540
H01G4/224 200
H01G2/10 K
H01G2/02 101E
H01G4/228 S
H01G17/00
H01G4/228 Q
H02M7/48 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019143941
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021027173
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-11-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(72)【発明者】
【氏名】井村 嘉宏
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033845(JP,A)
【文献】実開昭61-009826(JP,U)
【文献】特開2008-288242(JP,A)
【文献】特開2005-302859(JP,A)
【文献】国際公開第2017/146013(WO,A1)
【文献】特開2010-251400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/32
H01G 4/224
H01G 2/10
H01G 2/02
H01G 4/228
H01G 17/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極(307)と第2電極(308)を備えるコンデンサ(306)と、
前記第1電極に接続される第1接続部位(303a)と前記コンデンサから離れる長さ方向に延びる第1延伸部位(303b)を備える第1バスバ(303)と、
第2電極(308)に接続される第2接続部位(304a)と前記コンデンサから離れる前記長さ方向に延びて前記第1延伸部位と一方向(x)に離間して対向する第2延伸部位(304d)を備える第2バスバ(304)と、
前記第1延伸部位と前記第2延伸部位の間に位置して前記長さ方向に延びるとともに前記一方向に厚みを有する板状の絶縁部材(700)と、
前記コンデンサ、前記第1接続部位、前記第2接続部位、前記第1延伸部位、前記第2延伸部位、および、前記絶縁部材それぞれを被覆する、前記絶縁部材よりも絶縁性の低い被覆樹脂(900)と、を有し、
前記第1延伸部位と前記第2延伸部位と前記絶縁部材それぞれの一部が前記被覆樹脂の外気にさらされる露出面(910)から露出され、
前記第1延伸部位における、前記コンデンサ側の根元部位、および、前記第2延伸部位における、前記コンデンサ側の根元部位が、前記被覆樹脂に封止され、
前記第1延伸部位における、前記コンデンサから離れた先端部位、および、前記第2延伸部位における、前記コンデンサから離れた先端部位が、前記露出面から露出され、
前記第1延伸部位と前記第2延伸部位が、それぞれの前記根元部位からそれぞれの前記先端部位に渡って、対向する延伸部位(303b、304d)と前記一方向に離間して対向し、
前記絶縁部材が、前記被覆樹脂内における前記第1延伸部位の前記露出面側と、前記被覆樹脂内における前記第2延伸部位の前記露出面側の間に位置し、
前記被覆樹脂内における、前記第1延伸部位の前記コンデンサ側と前記第2延伸部位の前記コンデンサ側との離間距離が、前記第1延伸部位の前記露出面側と前記第2延伸部位の前記露出面側との離間距離よりも長くなっており、
前記コンデンサと前記第2バスバの間に位置する中継絶縁部材(710)を有し、
前記第2バスバは前記第2延伸部位と前記第2接続部位を連結する中継部位(304b,304c)を有し、
前記中継絶縁部材が前記コンデンサと前記中継部位の間に位置し、
前記絶縁部材と前記中継絶縁部材との間に、前記被覆樹脂における前記コンデンサ側と前記露出面側とを連通する空間がある電力変換装置。
【請求項2】
第1電極(307)と第2電極(308)を備えるコンデンサ(306)と、
前記第1電極に接続される第1接続部位(303a)と前記コンデンサから離れる長さ方向に延びる第1延伸部位(303b)を備える第1バスバ(303)と、
第2電極(308)に接続される第2接続部位(304a)と前記コンデンサから離れる前記長さ方向に延びる第2延伸部位(304d)を備える第2バスバ(304)と、
前記第1延伸部位と前記第2延伸部位の間に位置して前記長さ方向に延びる絶縁部材(700)と、
前記コンデンサ、前記第1接続部位、前記第2接続部位、前記第1延伸部位、前記第2延伸部位、および、前記絶縁部材それぞれを被覆する、前記絶縁部材よりも絶縁性の低い被覆樹脂(900)と、
前記コンデンサと前記第2バスバの間に位置する中継絶縁部材(710)と、を有し、
前記第2バスバは前記第2延伸部位と前記第2接続部位を連結する中継部位(304b,304c)を有し、
前記第1延伸部位と前記第2延伸部位と前記絶縁部材それぞれの一部が前記被覆樹脂の外気にさらされる露出面(910)から露出され、
前記絶縁部材が、前記被覆樹脂内における前記第1延伸部位の前記露出面側と、前記被覆樹脂内における前記第2延伸部位の前記露出面側の間に位置し、
前記被覆樹脂内における、前記第1延伸部位の前記コンデンサ側と前記第2延伸部位の前記コンデンサ側との離間距離が、前記第1延伸部位の前記露出面側と前記第2延伸部位の前記露出面側との離間距離よりも長くなっており、
前記中継絶縁部材が前記コンデンサと前記中継部位の間に位置し、
前記絶縁部材と前記中継絶縁部材との間に、前記被覆樹脂における前記コンデンサ側と前記露出面側とを連通する空間がある電力変換装置。
【請求項3】
前記露出面における、前記第1延伸部位と前記絶縁部材の間の第1露出面積と、前記露出面における、前記第2延伸部位と前記絶縁部材の間の第2露出面積を加えた第1合計面積が、前記露出面から前記長さ方向に前記コンデンサから離れた所定位置における、前記第1延伸部位と前記絶縁部材の間で前記長さ方向に直交する第1断面積と、前記所定位置における、前記第2延伸部位と前記絶縁部材の間で前記長さ方向に直交する第2断面積を加えた第2合計面積よりも大きい請求項1または2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、コンデンサを有する電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたケースモールド型コンデンサのコンデンサ素子は端側の両端面それぞれに電極を備えている。これら2つの電極それぞれに銅板などで形成された2つのバスバーの一端が接続されている。
【0003】
コンデンサ素子は2つの電極それぞれにバスバーの一端が接続された状態で、ケースの収納空間に収納されている。収納空間に収納されたコンデンサ素子が、収納空間に充填された絶縁性の充填樹脂によって封止されている。
【0004】
2つのバスバーそれぞれはコンデンサ素子の電極からケースの開口側へ向かって延びている。2つのバスバーそれぞれのケースの開口側の他端側は、互いに対向する重複部を備えている。
【0005】
対向する2つの重複部の間に平板状の絶縁板が設けられている。絶縁板を介して対向する重複部の一部が充填樹脂で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-251400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のケースモールド型コンデンサでは、絶縁板のコンデンサ側の端部がコンデンサ素子と離れている。そのために2つの重複部の間には絶縁板と充填樹脂の両方が介在される領域と、充填樹脂のみが介在される領域と、がある。
【0008】
この充填樹脂のみが介在される領域における、2つのバスバをつなぐルートに位置する充填樹脂に、ボイドが含まれる場合、2つのバスバの間に介在される充填樹脂の厚みが局所的に狭まる。これによって2つのバスバの間の絶縁性が落ちる虞がある。この結果、2つのバスバで絶縁不良が生じる虞がある。
【0009】
そこで本明細書に記載の開示は、被覆樹脂に覆われた第1バスバと第2バスバの絶縁不良が抑制された電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の1つは、
第1電極(307)と第2電極(308)を備えるコンデンサ(306)と、
第1電極に接続される第1接続部位(303a)とコンデンサから離れる長さ方向に延びる第1延伸部位(303b)を備える第1バスバ(303)と、
第2電極(308)に接続される第2接続部位(304a)とコンデンサから離れる長さ方向に延びて第1延伸部位と一方向(x)に離間して対向する第2延伸部位(304d)を備える第2バスバ(304)と、
第1延伸部位と第2延伸部位の間に位置して長さ方向に延びるとともに一方向に厚みを有する板状の絶縁部材(700)と、
コンデンサ、第1接続部位、第2接続部位、第1延伸部位、第2延伸部位、および、絶縁部材それぞれを被覆する、絶縁部材よりも絶縁性の低い被覆樹脂(900)と、を有し、
第1延伸部位と第2延伸部位と絶縁部材それぞれの一部が被覆樹脂の外気にさらされる露出面(910)から露出され、
第1延伸部位における、コンデンサ側の根元部位、および、第2延伸部位における、コンデンサ側の根元部位が、被覆樹脂に封止され、
第1延伸部位における、コンデンサから離れた先端部位、および、第2延伸部位における、コンデンサから離れた先端部位が、露出面から露出され、
第1延伸部位と第2延伸部位が、それぞれの根元部位からそれぞれの先端部位に渡って、対向する延伸部位(303b、304d)と一方向に離間して対向し、
絶縁部材が、被覆樹脂内における第1延伸部位の露出面側と、被覆樹脂内における第2延伸部位の露出面側の間に位置し、
被覆樹脂内における、第1延伸部位のコンデンサ側と第2延伸部位のコンデンサ側との離間距離が、第1延伸部位の露出面側と第2延伸部位の露出面側との離間距離よりも長くなっており、
コンデンサと第2バスバの間に位置する中継絶縁部材(710)を有し、
第2バスバは第2延伸部位と第2接続部位を連結する中継部位(304b,304c)を有し、
中継絶縁部材がコンデンサと中継部位の間に位置し、
絶縁部材と中継絶縁部材との間に、被覆樹脂におけるコンデンサ側と露出面側とを連通する空間がある。
また別の開示の1つは、
第1電極(307)と第2電極(308)を備えるコンデンサ(306)と、
第1電極に接続される第1接続部位(303a)とコンデンサから離れる長さ方向に延びる第1延伸部位(303b)を備える第1バスバ(303)と、
第2電極(308)に接続される第2接続部位(304a)とコンデンサから離れる長さ方向に延びる第2延伸部位(304d)を備える第2バスバ(304)と、
第1延伸部位と第2延伸部位の間に位置して長さ方向に延びる絶縁部材(700)と、
コンデンサ、第1接続部位、第2接続部位、第1延伸部位、第2延伸部位、および、絶縁部材それぞれを被覆する、絶縁部材よりも絶縁性の低い被覆樹脂(900)と、
コンデンサと第2バスバの間に位置する中継絶縁部材(710)と、を有し、
第2バスバは第2延伸部位と第2接続部位を連結する中継部位(304b,304c)を有し、
第1延伸部位と第2延伸部位と絶縁部材それぞれの一部が被覆樹脂の外気にさらされる露出面(910)から露出され、
絶縁部材が、被覆樹脂内における第1延伸部位の露出面側と、被覆樹脂内における第2延伸部位の露出面側の間に位置し、
被覆樹脂内における、第1延伸部位のコンデンサ側と第2延伸部位のコンデンサ側との離間距離が、第1延伸部位の露出面側と第2延伸部位の露出面側との離間距離よりも長くなっており、
中継絶縁部材がコンデンサと中継部位の間に位置し、
絶縁部材と中継絶縁部材との間に、被覆樹脂におけるコンデンサ側と露出面側とを連通する空間がある。
【0011】
被覆樹脂(900)内における、第1延伸部位(303b)の露出面(910)側と第2延伸部位(304d)の露出面(910)側の間の領域に絶縁部材(700)が位置している。この領域の被覆樹脂(900)にボイドが生じたとしても、第1延伸部位(303b)と第2延伸部位(304d)の間の領域に絶縁部材(700)が位置しているために、被覆樹脂(900)内における、第1延伸部位(303b)の露出面(910)側と第2延伸部位(304d)の露出面(910)側との絶縁性が破壊されずに保たれている。
【0012】
被覆樹脂(900)内における、第1延伸部位(303b)のコンデンサ(306)側と第2延伸部位(304d)のコンデンサ(306)側との離間距離は、被覆樹脂(900)内における、第1延伸部位(303b)の露出面(910)側と第2延伸部位(304d)の露出面(910)側との離間距離よりも長くなっている。
【0013】
第1延伸部位(303b)のコンデンサ(306)側と第2延伸部位(304d)のコンデンサ(306)側の間の被覆樹脂(900)にボイドがあることで、ボイドと延伸部位(303b,304d)との間に介在される被覆樹脂(900)の厚さが薄くなったとしても、第1延伸部位(303b)と第2延伸部位(304d)の絶縁性が低下することが抑制される。その結果、第1延伸部位(303b)と第2延伸部位(304d)との間で絶縁不良の生じることが抑制される。
【0014】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】車載システムを示す回路図である。
図2】電力変換装置の機械的構成を示す断面図である。
図3】変形例を説明するための断面図である。
図4】変形例を説明するための断面図である。
図5】変形例を説明するための断面図である。
図6】変形例を説明するための断面図である。
図7】変形例を説明するための断面図である。
図8】変形例を説明するための断面図である。
図9】変形例を説明するための断面図である。
図10】変形例を説明するための断面図である。
図11】第5絶縁板を説明するための図である。
図12】変形例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態を図に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
先ず、図1に基づいて電力変換装置300の設けられる車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100はバッテリ200、電力変換装置300、および、モータ400を有する。
【0018】
また車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは強調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の回生と力行が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0019】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0020】
電力変換装置300はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置300はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。電力変換装置300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルの直流電力に変換する。
【0021】
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
【0022】
モータ400は電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。これにより走行輪への推進力の付与が成される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0023】
<電力変換装置>
次に電力変換装置300を説明する。電力変換装置300はコンバータ500とインバータ600を備えている。コンバータ500はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルに昇圧する。インバータ600はこの直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ400に供給される。またインバータ600はモータ400で生成された交流電力を直流電力に変換する。コンバータ500はこの直流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
【0024】
<コンバータの回路構成>
図1に示すようにコンバータ500は第1給電バスバ301と第2給電バスバ302を介してバッテリ200と電気的に接続されている。第1給電バスバ301はバッテリ200の正極に接続されている。第2給電バスバ302はバッテリ200の負極に接続されている。そしてコンバータ500は第3給電バスバ303と第4給電バスバ304を介してインバータ600と電気的に接続されている。
【0025】
コンバータ500は第1コンデンサ305、リアクトル510、および、A相レグ520を有する。A相レグ520は第3給電バスバ303と第4給電バスバ304との間で直列接続されている。
【0026】
第1コンデンサ305の有する2つの電極のうち一方が第1給電バスバ301に接続されている。第1コンデンサ305の有する2つの電極のうち他方が第2給電バスバ302に接続されている。
【0027】
リアクトル510は第1給電バスバ301に接続されている。リアクトル510とA相レグ520とが連結バスバ530を介して電気的に接続されている。
【0028】
A相レグ520は第3給電バスバ303と第4給電バスバ304それぞれに接続されている。A相レグ520は上記のECUおよびゲートドライバによって駆動制御されている。
【0029】
A相レグ520は半導体素子として、第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522、および、第1ハイサイドダイオード521aと第1ローサイドダイオード522aを有する。
【0030】
図1に示すように第1ハイサイドスイッチ521のコレクタ電極が第3給電バスバ303に接続されている。第1ハイサイドスイッチ521のエミッタ電極と第1ローサイドスイッチ522のコレクタ電極とが接続されている。第1ローサイドスイッチ522のエミッタ電極が第4給電バスバ304に接続されている。これにより第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522は第3給電バスバ303から第4給電バスバ304へ向かって順に直列接続されている。
【0031】
また、第1ハイサイドスイッチ521のコレクタ電極に第1ハイサイドダイオード521aのカソード電極が接続されている。第1ハイサイドスイッチ521のエミッタ電極に第1ハイサイドダイオード521aのアノード電極が接続されている。これにより第1ハイサイドスイッチ521に第1ハイサイドダイオード521aが逆並列接続されている。
【0032】
同様にして、第1ローサイドスイッチ522のコレクタ電極に第1ローサイドダイオード522aのカソード電極が接続されている。第1ローサイドスイッチ522のエミッタ電極に第1ローサイドダイオード522aのアノード電極が接続されている。これにより第1ローサイドスイッチ522に第1ローサイドダイオード522aが逆並列接続されている。
【0033】
A相レグ520の第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522との間の中点に上記したリアクトル510が連結バスバ530を介して接続される。以上により、リアクトル510はバッテリ200の正極と、A相レグ520の第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522との間の中点とに接続されている。
【0034】
A相レグ520の第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522はECUとゲートドライバによって開閉制御される。ECUは制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは制御信号を増幅してスイッチのゲート電極に出力する。これによりECUはコンバータ500に入力される直流電力の電圧レベルを昇降圧する。
【0035】
ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整することで直流電力の昇降圧レベルを調整している。
【0036】
バッテリ200の直流電力を昇圧する場合、ECUは第1ハイサイドスイッチ521と第1ローサイドスイッチ522それぞれを交互に開閉する。これとは反対にインバータ600から供給された直流電力を降圧する場合、ECUは第1ローサイドスイッチ522に出力する制御信号をローレベルに固定する。それとともにECUは第1ハイサイドスイッチ521に出力する制御信号をハイレベルとローレベルに順次切り換える。
【0037】
<インバータの構成回路>
インバータ600は第2コンデンサ306とスイッチレグ群610を有する。第2コンデンサ306の有する2つの電極のうち一方が第3給電バスバ303に接続されている。第2コンデンサ306の有する2つの電極のうち他方が第4給電バスバ304に接続されている。スイッチレグ群610は第3給電バスバ303と第4給電バスバ304それぞれに接続されている。
【0038】
スイッチレグ群610はU相レグ613、V相レグ614、および、W相レグ615を有する。これら3相のレグそれぞれは直列接続された2つのスイッチ素子を有する。
【0039】
U相レグ613~W相レグ615それぞれは、スイッチ素子として、第2ハイサイドスイッチ611と第2ローサイドスイッチ612を有する。またU相レグ613~W相レグ615それぞれは、第2ハイサイドダイオード611aと第2ローサイドダイオード612aを有する。
【0040】
図1に示すように第2ハイサイドスイッチ611のコレクタ電極は第3給電バスバ303に接続されている。第2ハイサイドスイッチ611のエミッタ電極と第2ローサイドスイッチ612のコレクタ電極とが接続されている。第2ローサイドスイッチ612のエミッタ電極が第4給電バスバ304に接続されている。これにより第2ハイサイドスイッチ611と第2ローサイドスイッチ612は第3給電バスバ303から第4給電バスバ304へ向かって順に直列接続されている。
【0041】
そしてU相レグ613の備える第2ハイサイドスイッチ611と第2ローサイドスイッチ612との間の中点がモータ400のU相ステータコイルに接続されている。V相レグ614の備える第2ハイサイドスイッチ611と第2ローサイドスイッチ612との間の中点がモータ400のV相ステータコイルに接続されている。W相レグ615の備える第2ハイサイドスイッチ611と第2ローサイドスイッチ612との間の中点がモータ400のW相ステータコイルに接続されている。
【0042】
また、第2ハイサイドスイッチ611のコレクタ電極に第2ハイサイドダイオード611aのカソード電極が接続されている。第2ハイサイドスイッチ611のエミッタ電極に第2ハイサイドダイオード611aのアノード電極が接続されている。これにより第2ハイサイドスイッチ611に第2ハイサイドダイオード611aが逆並列接続されている。
【0043】
同様にして、第2ローサイドスイッチ612のコレクタ電極に第2ローサイドダイオード612aのカソード電極が接続されている。第2ローサイドスイッチ612のエミッタ電極に第2ローサイドダイオード612aのアノード電極が接続されている。これにより第2ローサイドスイッチ612に第2ローサイドダイオード612aが逆並列接続されている。
【0044】
これまでに説明したように、インバータ600はモータ400のU相ステータコイル~W相ステータコイルそれぞれに対応する3相のレグを有する。これら3相のレグの備える第2ハイサイドスイッチ611と第2ローサイドスイッチ612それぞれのゲート電極に、ゲートドライバによって増幅されたECUの制御信号が入力される。
【0045】
モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号によって3相のレグの備える第2ハイサイドスイッチ611と第2ローサイドスイッチ612それぞれがPWM制御される。これによりインバータ600で3相交流が生成される。モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これによりモータ400の発電によって生成された交流電力が3相レグの備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
【0046】
なお本実施形態では、コンバータ500の第1ハイサイドスイッチ521、および、第1ローサイドスイッチ522と、インバータ600の第2ハイサイドスイッチ611、および、第2ローサイドスイッチ612としてnチャネル型のIGBTを採用している。なお、これらスイッチ素子として、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。これらスイッチ素子としてMOSFETを採用する場合、上記のダイオードはなくともよい。
【0047】
これらスイッチ素子は、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
【0048】
更に言えば、A相レグ520、U相613~W相レグ615それぞれの有するスイッチ素子の種類と構成材料は異なっていてもよい。例えば、A相レグ520の備えるスイッチ素子がSiCから構成されるMOSFET、U相レグ613~W相レグ615それぞれの備えるスイッチ素子がSiから構成されるIGBTであってもよい。
【0049】
なお、本実施形態における第2コンデンサ306はフィルムコンデンサである。フィルムコンデンサは誘電体フィルムに金属蒸着電極が設けられ、金属蒸着電極が対向するように誘電体フィルムが巻き回しされたものである。巻回しされた両端面に金属が溶射されて、正電極307と負電極308それぞれがフィルムコンデンサに形成されている。第2コンデンサ306がコンデンサに相当する。
【0050】
<電力変換装置の構成>
次に、電力変換装置300の構成を説明する。以下において直交の関係にある3方向をx方向、y方向、z方向とする。z方向は長さ方向に相当する。
【0051】
電力変換装置300は上記した構成要素の他に、ケース800と、第1絶縁板700と、第2絶縁板710と、被覆樹脂900と、を有する。被覆樹脂900は絶縁性である。第1絶縁板700と第2絶縁板710それぞれは被覆樹脂900よりも絶縁性が高くなっている。第1絶縁板700は絶縁部材に相当する。第2絶縁板710は中継絶縁部材に相当する。
【0052】
図2に示すようにケース800はz方向に厚さの薄い底部810と、底部810の内底面810aの縁部からz方向に環状に起立した側部820を有する。底部810と側部820によってケース800の中空が区画されている。
【0053】
側部820はx方向で互いに離間して対向する第1側壁821と第2側壁822、および、y方向で互いに離間して対向する第3側壁と第4側壁を有する。第1側壁821、第3側壁、第2側壁822、第4側壁はz方向の周方向で順に環状に連結されている。
【0054】
ケース800の中空に第2コンデンサ306が収納される。図2に示すように、第2コンデンサ306における、ケース800の開口側の上面306aに、正電極307が設けられている。第2コンデンサ306における、ケース800の底部810側の下面306bに、負電極308が設けられている。正電極307に第3給電バスバ303の一部が溶接などによって接続されている。負電極308に第4給電バスバ304の一部が溶接などによって接続されている。正電極307が第1電極に相当する。負電極308が第2電極に相当する。
【0055】
<給電バスバ>
第3給電バスバ303は第1接続部位303aと第1延伸部位303bを有する。第2コンデンサ306の正電極307に第1接続部位303aが接続されている。第1接続部位303aは第2側壁822から第1側壁821に向かって延びている。第1接続部位303aの第1側壁821側の一端に第1延伸部位303bが接続されている。第1延伸部位303bは第1接続部位303aの第1側壁821側の一端からケース800の開口に向かってz方向に延びている。第3給電バスバ303は第1バスバに相当する。
【0056】
第4給電バスバ304は第2接続部位304a、第1中継部位304b、第2中継部位304c、および、第2延伸部位304dを有する。第2コンデンサ306の負電極308に第2接続部位304aが接続されている。第2接続部位304aは第2側壁822から第1側壁821に向かって延びている。第2接続部位304aにおける第1側壁821側の一端が第2コンデンサ306の第1側壁821側の一端よりも第1側壁821側に位置している。第4給電バスバ304は第2バスバに相当する。
【0057】
第2接続部位304aの第1側壁821側の一端に第1中継部位304bが接続されている。第1中継部位304bは第2接続部位304aの第1側壁821側の一端からケース800の開口に向かってz方向に延びている。第1中継部位304bにおけるケース800の開口側の一端は第2コンデンサ306の正電極307よりもケース800の開口側に位置している。
【0058】
第1中継部位304bにおけるケース800の開口側の一端に第2中継部位304cが接続されている。第2中継部位304cは第1側壁821から第2側壁822に向かって延びている。第2中継部位304cにおける第2側壁822側の一端に第2延伸部位304dが接続されている。
【0059】
第2延伸部位304dは伸長部304eと屈曲部304fを有する。伸長部304eと屈曲部304fはz方向に並んで、連結されている。屈曲部304fは伸長部304eよりも第2コンデンサ306側に位置している。
【0060】
第2中継部位304cにおける第2側壁822側の一端に、屈曲部304fが接続されている。屈曲部304fは、第2中継部位304cの第2側壁822側の一端から、第2側壁822側にx方向に延びるに伴って、開口側に向かってz方向に延びている。屈曲部304fにおける開口側の一端に伸長部304eが接続されている。伸長部304eは屈曲部304fにおけるケース800の開口側の一端からz方向に正電極307から離れるように延びている。
【0061】
これまでに示した第1延伸部位303bと第2延伸部位304dはx方向に離間して対向している。x方向における、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの離間距離が、x方向における、伸長部304eと第1延伸部位303bとの離間距離よりも長くなっている。
【0062】
<絶縁板>
第1絶縁板700はx方向に厚みを有する扁平形状を成している。図2に示すように第1絶縁板700はz方向に延びている。伸長部304eと第1延伸部位303bとのx方向の離間距離は、第1絶縁板700のx方向の厚みよりも長くなっている。なお、第1絶縁板700は板でなくてもよい。絶縁性を備える紙でもあってもよい。
【0063】
第1延伸部位303bと第2延伸部位304dの間に、第1絶縁板700が介在されている。具体的に言えば、伸長部304eと第1延伸部位303bとの間に第1絶縁板700の一部が介在されている。屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間に第1絶縁板700の残りが介在されている。屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間に位置する第1絶縁板700については後で詳説する。
【0064】
第2絶縁板710は延びる方向に対して直交する方向に厚みの薄い扁平形状を成している。図2に示すように第2絶縁板710はz方向に延びる第3絶縁板710aと、x方向に延びる第4絶縁板710bと、を有する。z方向に延びる第3絶縁板710aの開口側の一端に、第4絶縁板710bが接続されている。第4絶縁板710bは第3絶縁板710aの開口側の一端から第2側壁822に向かってx方向に延びている。なお、第2絶縁板710は板でなくてもよい。絶縁性を備える紙でもあってもよい。
【0065】
第1中継部位304bと第2コンデンサ306とのx方向の離間距離は、第3絶縁板710aの厚みよりも長くなっている。第2中継部位304cと正電極307とのz方向の離間距離は、第4絶縁板710bの厚みよりも長くなっている。
【0066】
第1中継部位304bおよび第2中継部位304cと、第2コンデンサ306の間に、第2絶縁板710が介在されている。具体的に言えば、第1中継部位304bと第2コンデンサ306の間に第3絶縁板710aが介在されている。第2中継部位304cと正電極307との間に第4絶縁板710bが介在されている。
【0067】
<ケースの収納形態>
上記した態様で第2コンデンサ306がケース800の中空に収納される。ケース800の中空に被覆樹脂900が充填される。そのために第2コンデンサ306、第3給電バスバ303の一部、第4給電バスバ304の一部、第1絶縁板700の一部、および、第2絶縁板710それぞれが被覆樹脂900によって被覆される。被覆樹脂900によってこれらはケース800に連結される。
【0068】
第3給電バスバ303の一部とは具体的に、第1接続部位303aと第1延伸部位303bの第2コンデンサ306側に位置する部位である。第4給電バスバ304の一部とは具体的に、第2接続部位304a、第1中継部位304b、第2中継部位304c、および、屈曲部304fの第2コンデンサ306側に位置する部位である。第1絶縁板700の一部とは具体的に、第2コンデンサ306側に位置する部位である。
【0069】
図2に示すように第1延伸部位303bにおける第2コンデンサ306側の部位が被覆樹脂900によって被覆されている。第1延伸部位303bにおけるケース800の開口側の残りが被覆樹脂900における外気に晒される露出面910から露出されている。
【0070】
屈曲部304fの第2コンデンサ306側の一部が被覆樹脂900によって被覆されている。屈曲部304fの開口側の残りが露出面910から露出されている。屈曲部304fにおける露出面910から露出された開口側の一端に伸長部304eが接続されている。伸長部304eのすべてが露出面910から露出されている。
【0071】
被覆樹脂900に覆われた露出面910側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間に、上記した第1絶縁板700が位置している。第1絶縁板700が位置する、被覆樹脂900に覆われた露出面910側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間の領域を露出面側領域920と示す。
【0072】
被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間には第1絶縁板700が位置していない。第1絶縁板700が位置しない、被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間の領域を第2コンデンサ側領域930と示す。図2において第2コンデンサ側領域930を区画する境界線を破線で示している。
【0073】
上記したように第2絶縁板710は被覆樹脂900に覆われている。第2絶縁板710の備える第3絶縁板710aの開口側の一端に、第2絶縁板710の備える第4絶縁板710bが接続されている。第4絶縁板710bは第3絶縁板710aの開口側の一端から第2側壁822に向かってx方向に延びている。露出面側領域920に位置する第1絶縁板700の第2コンデンサ306側の端部と、第4絶縁板710bの第2側壁822側の端部とがx方向とz方向それぞれに離間している。
【0074】
<第1延伸部位と第2延伸部位>
第1延伸部位303bと第2延伸部位304dとがx方向で離間している。被覆樹脂900に覆われた露出面910側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bのx方向の離間距離は、被覆樹脂900から露出されたケース800の開口側に位置する、屈曲部304fと第1延伸部位303bのx方向の離間距離よりも長くなっている。
【0075】
被覆樹脂900に覆われた露出面910側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bのx方向の離間距離は、被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bのx方向の離間距離よりも短くなっている。被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bのx方向の離間距離は被覆樹脂900を介して絶縁性が保てる程度に離間している。
【0076】
露出面910における第1延伸部位303bと第1絶縁板700との間の面積を第1露出面積とする。露出面910における屈曲部304fと第1絶縁板700との間の面積を第2露出面積とする。
【0077】
露出面910からz方向に開口側に第2コンデンサ306から離れた位置における、第1延伸部位303bと第1絶縁板700との間に位置する、z方向に直交する面積を第1面積とする。x方向における第1延伸部位303bと第1絶縁板700との離間距離はz方向におけるどの位置においても一定になっている。
【0078】
露出面910からz方向に開口側に第2コンデンサ306から離れた位置における、屈曲部304fと第1絶縁板700との間に位置する、z方向に直交する面積を第2面積とする。露出面910からz方向に開口側に第2コンデンサ306から離れた位置における、伸長部304eと第1絶縁板700との間に位置する、z方向に直交する面積を第3面積とする。露出面910からz方向に開口側に第2コンデンサ306から離れた位置が所定位置に相当する。第1面積が第1断面積に相当する。第2面積と第3面積それぞれが第2断面積に相当する。
【0079】
第1露出面積と第2露出面積とが合算された第1合算面積が、第1面積と第2面積とが合算された第2合算面積よりも大きくなっている。第1露出面積と第2露出面積とが合算された第1合算面積が、第1面積と第3面積とが合算された第3合算面積よりも大きくなっている。第1合算面積が第1合計面積に相当する。第2合算面積と第3合算面積それぞれが第2合計面積に相当する。
【0080】
<作用効果>
これまでに示したように被覆樹脂900に覆われた露出面側領域920に第1絶縁板700が位置している。そのために被覆樹脂900に覆われた露出面910側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの絶縁性が保持されている。
【0081】
被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ側領域930には第1絶縁板700が位置せず、被覆樹脂900のみがある。被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとのx方向の離間距離は被覆樹脂900を介して絶縁性が保てる程度に離間している。そのために被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの絶縁性が保持されている。
【0082】
上記したようにケース800に被覆樹脂900が充填されている。被覆樹脂900は外部の複数のノズルなどによってケース800内に吐出される。複数のノズルからケース800内に被覆樹脂900が吐出される際に、被覆樹脂900同士の合流箇所で空気が巻き込まれる。それによって被覆樹脂900内にボイド940が生じる。
【0083】
また、被覆樹脂900に被覆される第2コンデンサ306は誘電体フィルムが巻き回されたフィルムコンデンサである。巻き回された誘電体フィルム同士の間に空気が内包されている。そのために第2コンデンサ306が被覆樹脂900に充填されると、第2コンデンサ306に内包された空気が被覆樹脂900に流出する。その結果、被覆樹脂900内にボイド940が生じやすくなっている。
【0084】
被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとのx方向の離間距離は、被覆樹脂900に覆われた露出面910側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとのx方向の離間距離よりも長くなっている。そのためにボイド940が第2コンデンサ側領域930に位置していたとしても、ボイド940と延伸部位との間に介在される被覆樹脂900の厚さが薄くなることが抑制される。ボイド940と延伸部位との最短離間距離が短くなることが抑制される。
【0085】
その結果、被覆樹脂900に覆われた第1延伸部位303bと第2延伸部位304dの絶縁性が低下することが抑制される。第1延伸部位303bと第2延伸部位304dとの間で絶縁不良の生じることが抑制される。
【0086】
上記したように第1露出面積と第2露出面積とが合算された第1合算面積が、第1面積と第2面積とが合算された第2合算面積よりも大きくなっている。第1露出面積と第2露出面積とが合算された第1合算面積が、第1面積と第3面積とが合算された第3合算面積よりも大きくなっている。第1合算面積が第2合算面積と第3合算面積のどちらよりも大きくなっている。そのために露出面910から空気が抜けやすくなっている。その結果、被覆樹脂900にボイド940が含まれ難くなる。被覆樹脂900内における屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間の絶縁性不良が抑制されやすくなっている。
【0087】
上記したように第1中継部位304bと第2コンデンサ306とのx方向の離間距離は、第3絶縁板710aの厚みよりも長くなっている。第2中継部位304cと正電極307とのz方向の離間距離は、第4絶縁板710bの厚みよりも長くなっている。そのためにボイド940は第2コンデンサ306と第2絶縁板710との間の隙間と、中継部位と第2絶縁板710との間の隙間それぞれに位置する虞がある。
【0088】
上記したように露出面側領域920に位置する第1絶縁板700の第2コンデンサ306側の端部と、第4絶縁板710bの第2側壁822側の端部とがx方向とz方向それぞれに離間している。第4絶縁板710bと第1絶縁板700の間に空間が介在されている。この空間を通って、第2コンデンサ306と第2絶縁板710との間の隙間に位置するボイド940が、第2コンデンサ306側の被覆樹脂900から、露出面側領域920における屈曲部304fと第1絶縁板700との間の領域に移動できるようになる。
【0089】
また上記した空間を通って、中継部位と第2絶縁板710との間の隙間に位置するボイド940が、第2コンデンサ306側の被覆樹脂900から、露出面側領域920における第1延伸部位303bと第1絶縁板700との間の領域に移動できるようになる。
【0090】
そのために第1絶縁板700と第2絶縁板710とが連結されている構成と比べて、第2コンデンサ306側の被覆樹脂900から、露出面側領域920における、屈曲部304fと第1絶縁板700との間の領域にボイド940が移動しやすくなっている。第2コンデンサ306側の被覆樹脂900から、露出面側領域920における第1延伸部位303bと第1絶縁板700との間の領域にボイド940が移動しやすくなっている。そのために露出面910から空気が抜けやすくなっている。被覆樹脂900内における第1延伸部位303bと第2延伸部位304dとの間の絶縁性不良が抑制されやすくなっている。
【0091】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0092】
(変形例)
本実施形態では図2に示すように屈曲部304fと第1延伸部位303bそれぞれの第2コンデンサ306側の部位が被覆樹脂900に被覆され、屈曲部304fと第1延伸部位303bそれぞれのz方向の残りの部位が露出面910から露出された構成を示した。しかしながら図3に示すように屈曲部304fの全てと、屈曲部304fに連結された屈曲部304f側の伸長部304eと、これらそれぞれにx方向で対向する第1延伸部位303bの一部とがそれぞれ被覆樹脂900に被覆されていてもよい。
【0093】
本実施形態では図2に示すように被覆樹脂900に覆われた露出面910側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間のみに第1絶縁板700が位置している構成を示した。しかしながら図4に示すように被覆樹脂900に覆われた第2コンデンサ306側の、屈曲部304fと第1延伸部位303bとの間の領域に、第1絶縁板700が位置していてもよい。
【0094】
その場合、屈曲部304fと第1延伸部位303bをつなぐルートに位置する被覆樹脂900にボイド940が位置していたとしても、ボイド940と延伸部位との間に介在される被覆樹脂900の厚さが薄くなることが抑制される。ボイド940と延伸部位との最短離間距離が短くなることが抑制される。その結果、第1延伸部位303bと第2延伸部位304dとの間で絶縁不良の生じることが抑制される。
【0095】
本実施形態では図2に示すように屈曲部304fが第2中継部位304cの第2側壁822側の一端から、第2側壁822側にx方向に延びるに伴って、開口側に向かってz方向に延びている構成を示した。しかしながら屈曲部304fはx方向に延びるに伴ってz方向に延びていなくてもよい。図5に示すように屈曲部304fは第2側壁822側の一端から開口側に向かってz方向に延びていてもよい。
【0096】
その場合、図5に示すように第1延伸部位303bの第2コンデンサ306側に位置する部位が、第1接続部位303aの第1側壁821側の一端から第1側壁821にx方向に延びるに伴って、開口側に向かってz方向に延びていればよい。なお、図6に示すように屈曲部304fの全てと、屈曲部304fに連結された屈曲部304f側の伸長部304eと、これらそれぞれにx方向で対向する第1延伸部位303bの一部とがそれぞれ被覆樹脂900に被覆されていてもよい。
【0097】
また図7に示すように屈曲部304fと第2コンデンサ306側に位置する第1延伸部位303bそれぞれが、第2コンデンサ306側から開口側に延びるに伴って互いの離間距離が短くなるようにz方向に延びていてもよい。具体的には屈曲部304fが第2中継部位304cの第2側壁822側の一端から、第2側壁822側にx方向に延びるに伴って、開口側に向かってz方向に延びていてもよい。第1延伸部位303bの第2コンデンサ306側に位置する部位が、第1接続部位303aの第1側壁821側の一端から第1側壁821にx方向に延びるに伴って、開口側に向かってz方向に延びていてもよい。
【0098】
なお、その場合第2絶縁板710の第4絶縁板710bがx方向に第2側壁822側に延びて、第2中継部位304c、屈曲部304f、および、第2コンデンサ306側に位置する第1延伸部位303bと、正電極307との間に介在されていてもよい。なお、図8に示すように屈曲部304fの全てと、屈曲部304fに連結された屈曲部304f側の伸長部304eと、これらそれぞれにx方向で対向する第1延伸部位303bの一部とがそれぞれ被覆樹脂900に被覆されていてもよい。
【0099】
本実施形態では図2に示すように露出面側領域920に位置する第1絶縁板700の第2コンデンサ306側の端部と、第2絶縁板710の備える第4絶縁板710bの第2側壁822側の端部とがx方向とz方向それぞれに離間している構成を示した。しかしながら図9に示すように絶縁板は第1絶縁板700と第2絶縁板710とが別々に設けられていなくてもよい。第1絶縁板700と第2絶縁板710とが一体に連結されていてもよい。一体に連結された絶縁板を第5絶縁板720と示す。
【0100】
図9図11に示すように第5絶縁板720は少なくとも第2コンデンサ側領域930に位置する部位に、第2コンデンサ306側の被覆樹脂900から露出面側領域920の被覆樹脂900へとボイド940が移動できる連通孔720aを有していればよい。図9図11において連通孔720aを一点鎖線で囲って示している。図11において第1絶縁板700と第4絶縁板710bとの境界を破線で示している。第4絶縁板710bと第3絶縁板710aとの境界を破線で示している。なお、図10に示すように屈曲部304fの全てと、屈曲部304fに連結された屈曲部304f側の伸長部304eと、これらそれぞれにx方向で対向する第1延伸部位303bの一部とがそれぞれ被覆樹脂900に被覆されていてもよい。
【0101】
本実施形態では図2に示すように第2コンデンサ306の上面306aに正電極307が設けられ、第2コンデンサ306の下面306bに負電極308が設けられる構成を示した。しかしながら正電極307は上面306aに設けられていなくてもよい。負電極308は下面306bに設けられていなくてもよい。図12に示すように正電極307は第2コンデンサ306の第2側壁822側に設けられていてもよい。負電極308は第2コンデンサ306の第1側壁821側に設けられていてもよい。その場合、第2絶縁板710は設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0102】
303…第3給電バスバ、303a…第1接続部位、303b…第1延伸部位、304…第4給電バスバ、304a…第2接続部位、304b…第1中継部位、304c…第2中継部位、304d…第2延伸部位、306…第2コンデンサ、307…正電極、308…負電極、700…第1絶縁板、710…第2絶縁板、900…被覆樹脂、910…露出面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12