(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】表示制御装置及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20231017BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231017BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60W50/14
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2019150300
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】竹森 大祐
(72)【発明者】
【氏名】柳生 明彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 泰博
(72)【発明者】
【氏名】小島 一輝
(72)【発明者】
【氏名】間根山 しおり
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-067369(JP,A)
【文献】特開2017-165277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B60W 50/14
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(A)に設置されるヘッドアップディスプレイ(13)の表示を制御する表示制御装置であって、
前記車両を走行車線内で走行させる車線維持制御機能が実行されている場合に、前記ヘッドアップディスプレイが表示する画像を生成する画像生成部(102)と、
前記画像生成部が生成した画像を前記ヘッドアップディスプレイに提供して表示させる表示制御部(105)とを備え、
前記画像生成部は、前記車両の前方道路がカーブしている場合において、前記車両が前記前方道路を走行すると、前記車線維持制御機能の限界によって前記車両が前記走行車線から逸脱する可能性があるとき、その旨を示す画像コンテンツである逸脱通知コンテンツを有する画像を生成し、
前記表示制御部は、前記逸脱通知コンテンツを有する画像を、前記ヘッドアップディスプレイに提供して表示させ、
前記逸脱通知コンテンツには、前記車線維持制御機能によって前記車両が走行する予定の予定走行ラインを示す画像コンテンツが含まれており、
前記予定走行ラインを示す画像コンテンツは、前記前方道路に沿ったラインから遠心方向に逸れるように表示され、
前記画像生成部は、前記予定走行ラインを示す画像コンテンツと、前記前方道路に沿ったラインを示す画像コンテンツを有する画像を生成し、
前記表示制御部は、これらの画像コンテンツを有する画像を、前記ヘッドアップディスプレイに提供して表示させる、
表示制御装置。
【請求項2】
前記予定走行ラインの表示態様と、前記前方道路に沿ったラインの表示態様が異なる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記逸脱通知コンテンツには、前記車両の運転操作を促す画像コンテンツがさらに含まれる、請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記運転操作を促す画像コンテンツには、前記車両のハンドルの操作を促す画像コンテンツと、前記車両が前記走行車線から逸脱することなく走行するために必要な前記ハンドルの操舵方向を示す画像コンテンツが含まれる、請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、前記予定走行ラインの開始点より手前の前記前方道路に沿ったラインと、前記予定走行ラインとが連続する画像を生成し、
前記表示制御部は、これらのラインが連続する画像を、前記ヘッドアップディスプレイに提供して表示させる、請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項6】
車両(A)に設置されるヘッドアップディスプレイ(13)の表示を制御する表示制御プログラムであって、少なくとも1つのプロセッサ(110)に対し、
前記車両の前方道路がカーブしている場合において、前記車両が前記前方道路を走行すると、前記車両を走行車線内で走行させる車線維持制御機能の限界によって前記車両が前記走行車線から逸脱する可能性があるとき、その旨を示す画像コンテンツである逸脱通知コンテンツを有する画像を生成させ(S105,S109)、
前記逸脱通知コンテンツを有する画像を、前記ヘッドアップディスプレイに提供して表示させる(S106,S110)
ことを含む処理を実行させ、
前記逸脱通知コンテンツには、前記車線維持制御機能によって前記車両が走行する予定の予定走行ラインを示す画像コンテンツが含まれており、
前記予定走行ラインを示す画像コンテンツは、前記前方道路に沿ったラインから遠心方向に逸れるように表示され、
さらに、前記予定走行ラインを示す画像コンテンツと、前記前方道路に沿ったラインを示す画像コンテンツを有する画像を生成し、
これらの画像コンテンツを有する画像を、前記ヘッドアップディスプレイに提供して表示させる
ことを含む処理を実行させる、表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイを制御する表示制御装置及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたヘッドアップディスプレイの表示を制御する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1が開示する車両用表示装置は、自車の走行位置から誘導地点までの経路を示す誘導表示を、運転者の前方視界に重畳表示させることにより、目的地までの経路を運転者に提供することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両を走行車線内に維持して走行させる車線維持制御機能が実用化されている。車線維持制御機能では、走行車線が直線道路である場合には、走行車線の道路線に基づいて車両を走行車線内に維持して走行させることができる。一方、走行車線がカーブしている場合、その曲率半径が、車線維持制御機能によって車両が走行可能な道路の曲率半径よりも小さいときは、車両を走行車線内に維持して走行させることができない。すなわち、車線維持制御機能の限界によって車両が走行車線から逸脱することがある。
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する走行制御装置は、運転者に対して目的地までの経路を提供する技術であるため、車線維持制御機能の限界によって車両が走行車線から逸脱することを運転者に通知することができない。そのため、運転者の利便性が低いという問題があった。
【0006】
本開示は、上記問題点を鑑みてされたものであり、ヘッドアップディスプレイが搭載された車両の車線維持制御機能に関する運転者の利便性を向上させることが可能な表示制御装置及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る車両(A)に設置されるヘッドアップディスプレイ(13)の表示を制御する表示制御装置は、車両を走行車線内で走行させる車線維持制御機能が実行されている場合に、ヘッドアップディスプレイが表示する画像を生成する画像生成部(102)と、画像生成部が生成した画像をヘッドアップディスプレイに提供して表示させる表示制御部(105)とを備え、画像生成部は、車両の前方道路がカーブしている場合において、車両が前方道路を走行すると、車線維持制御機能の限界によって車両が走行車線から逸脱する可能性があるとき、その旨を示す画像コンテンツである逸脱通知コンテンツを有する画像を生成し、表示制御部は、逸脱通知コンテンツを有する画像を、ヘッドアップディスプレイに提供して表示させ、逸脱通知コンテンツには、車線維持制御機能によって車両が走行する予定の予定走行ラインを示す画像コンテンツが含まれており、予定走行ラインを示す画像コンテンツは、前方道路に沿ったラインから遠心方向に逸れるように表示され、画像生成部は、予定走行ラインを示す画像コンテンツと、前方道路に沿ったラインを示す画像コンテンツを有する画像を生成し、表示制御部は、これらの画像コンテンツを有する画像を、ヘッドアップディスプレイに提供して表示させる。
【0008】
また、本開示の一態様に係る車両(A)に設置されるヘッドアップディスプレイ(13)の表示を制御する表示制御プログラムは、少なくとも1つのプロセッサ(110)に対し、車両の前方道路がカーブしている場合において、車両が前方道路を走行すると、車両を走行車線内で走行させる車線維持制御機能の限界によって車両が走行車線から逸脱する可能性があるとき、その旨を示す画像コンテンツである逸脱通知コンテンツを有する画像を生成させ(S105,S109)、逸脱通知コンテンツを有する画像を、ヘッドアップディスプレイに提供して表示させる(S106,S110)ことを含む処理を実行させ、逸脱通知コンテンツには、車線維持制御機能によって車両が走行する予定の予定走行ラインを示す画像コンテンツが含まれており、予定走行ラインを示す画像コンテンツは、前方道路に沿ったラインから遠心方向に逸れるように表示され、さらに、予定走行ラインを示す画像コンテンツと、前方道路に沿ったラインを示す画像コンテンツを有する画像を生成し、これらの画像コンテンツを有する画像を、ヘッドアップディスプレイに提供して表示させることを含む処理を実行させる。
【0009】
これらの態様では、車両の前方道路がカーブしている場合において、車線維持制御機能の限界により、車両が前方道路を走行すると走行車線から逸脱する可能性があるとき、その旨を示す逸脱通知コンテンツが、ヘッドアップディスプレイによって表示される。このため、運転者は、自身の前方に表示された逸脱通知コンテンツを視認することにより、車線維持制御機能の限界によって車両が走行車線から逸脱する可能性があることを把握できる。よって、運転者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】車両に設置されるヘッドアップディスプレイ装置の一例を示す図である。
【
図4】表示制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】表示制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図7に示す仮想三次元空間に基づいて生成された表示画像の一例を示す図である。
【
図9】表示制御装置が生成する表示画像の別の例を示す図である。
【
図10】表示制御装置が生成する表示画像の他の例を示す図である。
【
図11】車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合の仮想三次元空間の一例を示す平面図である。
【
図12】
図11に示す仮想三次元空間に基づいて生成された表示画像の一例を示す図である。
【
図13】車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合の表示画像の別の例を示す図である。
【
図14】車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合の表示画像の他の例を示す図である。
【
図15】車両が走行車線を逸脱する可能性がある場合の表示画像の他の例を示す図である。
【
図16】予定走行ラインと推奨走行ラインが一致した場合の表示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の一態様について説明する。車載システム1は、HMI(Human Machine Interface)システム10と、周辺監視装置20と、ロケータ30と、DCM(Data Communication Module)40と、EPS(Electric Power Steering)ECU(Electronic Control Unit)50と、運転支援ECU60とを含む。これらのノードは、通信バス70を介して、相互にデータを通信する。
【0012】
周辺監視装置20は、車両Aの周辺環境を監視する装置である。周辺監視装置20は、フロントカメラ21と、ミリ波レーダ22とを含む。フロントカメラ21は、車両Aの前方を撮影して撮影画像を生成し、当該撮影画像を、通信バス70を介して、運転支援ECU60及びHMIシステム10の表示制御装置100に送信する。ミリ波レーダ22は、ミリ波又は準ミリ波を用いて、車両Aの周辺の物体との距離、並びに当該物体の相対速度及び方位を算出し、これらの情報を、通信バス70を介して運転支援ECU60に送信する。
【0013】
ロケータ30は、車両Aの位置情報を生成する装置である。ロケータ30は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器31と、慣性センサ32と、地図データベース(以下、「地
図DB」とする)33と、ロケータECU34とを含む。
【0014】
GNSS受信器31は、複数の測位衛星から送信された測位信号を受信する装置である。GNSS受信器31は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムを利用することができる。
【0015】
慣性センサ32は、車両Aの加速度及び角速度を検出する装置である。慣性センサ32の具体例として、加速度センサ及びジャイロセンサ等が挙げられる。
【0016】
地
図DB33は、従来のナビゲーション用の地図情報又は当該地図情報よりも高精度な地図情報(以下、「高精度地図情報」とする)が記録された記憶装置である。高精度地図情報には、道路の三次元形状を示す情報、道路線の位置情報、レーン数の情報、各レーンの進行方向を示す情報等の運転支援に利用可能な情報が含まれている。
【0017】
ロケータECU34は、プロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インタフェースを含むマイクロコンピュータを備える。ロケータECU34は、車両Aの各輪のハブ部分に設けられた車輪速センサの検出信号に基づいて、車両Aの速度情報を生成することができる。また、ロケータECU34は、GNSS受信器31で受信した測位信号、慣性センサ32の検出結果、及び車両Aの速度情報を用いて、車両Aの位置、進行方向及び姿勢情報(すなわち、ロール、ピッチ、ヨー)を逐次算出することができる。
【0018】
ロケータECU34は、算出した車両Aの速度情報、姿勢情報、位置情報及び方角情報を、通信バス70を通じて、他のノードに提供する。また、ロケータECU34は、地図情報を他のノードに提供することができる。
【0019】
DCM40は、車両Aに搭載される通信モジュールである。DCM40は、LTE(Long Term Evolution)及び5G等の通信規格に準拠した無線通信により、車両Aの周辺の基地局との間でデータを送受信する。DCM40は、最新の地図情報を保有するプローブサーバからインターネットを介して、当該地図情報を取得できる。ロケータECU34は、DCM40が取得した最新の地図情報を用いて、地
図DB33に格納されている地図情報を更新することができる。
【0020】
EPSECU50は、電動パワーステアリングシステムを制御するECUであり、プロセッサ、ROM、RAM及び入出力インタフェースを含むマイクロコンピュータを備える。EPSECU50は、ハンドルの操舵角を検出する舵角センサから操舵角を取得し、操舵角を示す情報を運転支援ECU60に提供する。
【0021】
運転支援ECU60は、運転者の運転操作を支援するECUである。運転支援ECU60は、米国自動車技術会が規定する自動運転レベルにおいて、レベル2以下の部分的な自動走行制御を実現する。運転支援ECU60は、プロセッサ、ROM、RAM、及び入出力インタフェースを含むマイクロコンピュータを備える。プロセッサは、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、ACC(Adaptive Cruise Control)制御部61及び車線維持制御部62を実現する。
【0022】
ACC制御部61は、ACCの機能を実現する機能部である。ACC制御部61は、周辺監視装置20が提供した撮影画像及び情報を用いて、運転者が指定した車速で車両Aを走行させ、又は車両Aと前走車との車間距離を維持しつつ、車両Aを前走車に追従走行させる。
【0023】
車線維持制御部62は、車両Aを走行車線内で走行させる車線維持制御機能を実現する機能部である。当該車線維持制御機能は、LTA(Lane Trace Assist)として知られている。車線維持制御機能の状態には、OFF状態、待機状態及び実行状態の3種類がある。ACC機能が実行状態の場合において、運転者が車線維持制御機能の起動スイッチを押下すると、車線維持制御部62は、フロントカメラ21が提供した撮像画像を解析して、車両Aの前方及び前側方の走行車線の道路線の検出を開始する。すなわち、車線維持制御機能がOFF状態から待機状態に遷移する。
【0024】
車線維持制御機能が待機状態である場合に、車線維持制御部62が、車両Aの走行車線の両側の道路線を検出すると、車線維持制御機能が待機状態から実行状態に遷移する。すなわち、車線維持制御部62は、検出した両側の道路線に基づき、車両Aの操舵輪の舵角を制御して車両Aを走行車線内で走行させる。車線維持制御機能が待機状態から実行状態に遷移すると、車線維持制御部62は、車線維持制御機能が待機状態から実行状態になった旨のステータス情報を表示制御装置100に送信する。
【0025】
また、車線維持制御部62は、周辺監視装置20が提供した撮影画像又はロケータECU34が提供した地図情報を解析し、車両Aの前方道路の曲率半径を算出する。次いで、車線維持制御部62は、車両Aの速度と、当該速度で走行可能な道路の曲率半径の最小値とが対応付けて登録されたデータテーブルを参照し、ロケータECU34が提供した車両Aの速度に対応付けられている曲率半径を特定する。そして、車線維持制御部62は、算出した前方道路の曲率半径が、特定した曲率半径よりも小さい場合、車線維持制御機能の限界によって車両Aが走行車線から逸脱する可能性がある旨を示す逸脱情報を表示制御装置100に送信する。このとき、車線維持制御部62は、算出した前方道路の曲率半径を示す情報を、逸脱情報と共に表示制御装置100に送信することができる。
【0026】
さらに、車線維持制御部62は、車両Aが走行する予定のライン(以下、「予定走行ライン」とする)に関する走行ライン情報を表示制御装置100に逐次提供する。予定走行ラインには、(1)車線維持制御機能に基づく予定走行ラインと、(2)運転者のハンドル操作に基づく予定走行ラインとがある。車線維持制御機能に基づく予定走行ラインは、車線維持制御機能によって車両Aが走行する予定の走行ラインである。運転者のハンドル操作に基づく予定走行ラインは、運転者によるハンドル操作量に基づいて車両Aの操舵輪の舵角を制御した場合に予測される車両Aの走行ラインを示す情報である。なお、予定走行ラインには、直線及び/又は曲線が含まれる。
【0027】
さらに、車線維持制御部62は、表示制御装置100に逸脱情報を送信した後、車両Aの運転者がハンドルを操作しなかった場合、警告画像の表示を指示する警告表示指示を表示制御装置100に送信する。車線維持制御部62は、EPSECU50から操舵角を示す情報を受信したか否か判断することにより、車両Aの運転者がハンドルを操作したか否か判断できる。警告画像は、車両Aの運転者に対してハンドルの操作を指示する画像である。
【0028】
HMIシステム10は、車両Aと運転者との間のインタフェースを提供するシステムである。HMIシステム10は、DSM(Driver Status Monitor)11と、操作デバイス12と、表示制御装置100と、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)装置13とを含む。
【0029】
DSM11は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御部とを含む。DSM11は、運転席に着座した状態の運転者の顔を近赤外光源の近赤外光で照射でき、かつ、近赤外カメラで運転者の顔を撮影可能な位置に設置される。例えば、DSM11は、
図2に示すステアリングコラム部8の上面又はインスツルメントパネル9の上面等に設置することができる。近赤外カメラは、30fpm等の周期で運転者の顔を撮影し、撮像画像を生成する。制御部は、撮像画像を解析して運転者の視点位置EPを算出し、視点位置EPを示す視点位置情報を表示制御装置100に逐次提供する。
【0030】
操作デバイス12は、運転者による操作を受け付け可能な装置である。具体的には、ACCの起動及び停止の切り替えを行う装置、車線維持制御機能の起動及び停止の切り替えを行う装置等が挙げられる。操作デバイス12は、ハンドルのスポーク部に設けられたステアスイッチ等によって実現することができる。
【0031】
表示制御装置100は、HUD装置13が投影する画像を生成し、当該画像をHUD装置13に提供して投影させる装置である。表示制御装置100の具体例としては、HUC(HMI Control Unit)等が挙げられる。表示制御装置100は、少なくとも1以上のプロセッサ110と、ROM等の不揮発性記憶装置120と、RAM等の揮発性記憶装置130と、入出力インタフェース140とを含むマイクロコンピュータを備える。
【0032】
プロセッサ110は、種々のプログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置である。不揮発性記憶装置120には、本開示に係る表示制御プログラム等の種々のデータが保存される。プロセッサ110は、不揮発性記憶装置120にアクセスし、表示制御プログラムを揮発性記憶装置130に展開して実行することにより、本開示に係る表示制御方法を実行する。プロセッサ110は、入出力インタフェース140を介して、他のノードと種々のデータを通信することができる。
【0033】
HUD装置13は、車両Aの運転者の前方に画像を表示する装置である。
図2に示すように、HUD装置13は、ウィンドシールドWSの下方のインスツルメントパネル9内の収容空間に設置される。HUD装置13は、プロジェクタ14と、拡大光学系15とを備える。
【0034】
プロジェクタ14は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル及びバックライトを備える。プロジェクタ14は、LCDパネルの表示面を拡大光学系15に向けた状態で固定される。プロジェクタ14は、表示制御装置100から提供された画像をLCDパネルに表示し、バックライトが当該LCDパネルに光を照射することにより、当該画像を形成する光を拡大光学系15へ射出する。
【0035】
拡大光学系15は、光反射性を有する金属を基材表面に蒸着させた凹面鏡を備える。拡大光学系15は、プロジェクタ14が射出した光を反射させ、ウィンドシールドWSに向かって投影する。ウィンドシールドWSに向かって投影された光は、ウィンドシールドWSの投影領域PAにおいて反射し、その反射光が運転席側へ向かって進み、運転者の瞳に到達する。その結果、運転者は、表示制御装置100が生成した画像の虚像VIを、ウィンドシールドWSの先に視認することができる。
【0036】
次に、
図3を参照して、表示制御装置100の機能について説明する。表示制御装置100は、受信部101と、画像生成部102と、時間計測部103と、ライン判定部104と、表示制御部105とを有する。
【0037】
受信部101は、周辺監視装置20、ロケータECU34、DSM11及び運転支援ECU60が提供する情報を受信する機能部である。受信部101は、周辺監視装置20から撮影画像を受信すると、当該撮影画像を揮発性記憶装置130に保存する。また、受信部101は、ロケータECU34から地図情報、車両Aの位置情報、速度情報及び姿勢情報等の情報を受信すると、これらの情報を揮発性記憶装置130に保存する。さらに、受信部101は、DSM11から視点位置情報を受信すると、当該視点位置情報を揮発性記憶装置130に保存する。
【0038】
受信部101は、運転支援ECU60から走行ライン情報を受信すると、当該走行ライン情報を揮発性記憶装置130に保存する。また、受信部101は、運転支援ECU60から車線維持制御機能のステータス情報、逸脱情報、及び警告表示指示を受信すると、その旨を画像生成部102及び時間計測部103に通知する。
【0039】
画像生成部102は、HUD装置13が投影する画像を生成する機能部である。画像生成部102は、HUD装置13が投影する画像を生成する画像生成処理を実行する。表示制御部105は、画像生成部102が生成した投影対象の画像をHUD装置13に送信して投影させる機能部である。
【0040】
ここで、
図6を参照して、画像生成部102が実行する画像生成処理について説明する。ステップS201では、画像生成部102が、仮想三次元空間の道路モデルを生成するために必要な情報(例えば、地図情報、車両Aの位置情報、撮影画像等)を揮発性記憶装置130から取得し、仮想三次元空間に道路モデルを生成する。ステップS202では、画像生成部102は、仮想オブジェクトVOを仮想三次元空間の道路モデルに描画する。仮想オブジェクトVOは、前景の対象物に関連付けて表示される重畳コンテンツに対応する。
【0041】
画像生成部102は、
図7に示すように、車両Aの走行車線の道路線に対応する仮想道路線VRL1,VRL2に沿って、これらの道路線を強調する仮想オブジェクトVO1,VO2を描画する。画像生成部102は、仮想オブジェクトVO1,VO2を、それぞれ仮想道路線VRL1,VRL2が規定する走行車線の内側に描画することができる。また、画像生成部102は、仮想オブジェクトVO1,VO2を、それぞれ仮想道路線VRL1,VRL2上に描画してもよい。さらに、画像生成部102は、仮想オブジェクトVO1,VO2を、それぞれ当該走行車線の外側に描画してもよい。
【0042】
また、画像生成部102は、揮発性記憶装置130に保存されている最新の走行ライン情報を用いて、仮想オブジェクトVOを仮想三次元空間の道路モデルに描画することができる。例えば、
図11に示すように車両Aの前方道路がカーブしている場合、画像生成部102は、運転支援ECU60が提供した曲率半径に対応するカーブの開始位置(以下、「開始位置CP」とする)を特定する。カーブ開始位置CPは、車線維持制御機能によって車両Aを走行車線内で走行させることができないカーブの開始位置に相当する。
【0043】
次いで、画像生成部102は、車両Aを基準にしたカーブ開始位置CPの手前側(すなわち、車両A側)では、仮想道路線VRL1,VRL2に沿って仮想オブジェクトVO1,VO2を描画する。カーブ開始位置CPより先では、画像生成部102は、走行ライン情報を用いて、仮想オブジェクトVO1D,VO2Dを描画する。画像生成部102は、仮想オブジェクトVO1,VO2及び仮想オブジェクトVO1D,VO2Dが連続するように描画する。
【0044】
画像生成部102が、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインを示す走行ライン情報を用いて仮想オブジェクトVO1D,VO2Dを描画した場合、仮想オブジェクトVO1D,VO2Dは、車線維持制御機能によって車両Aが走行可能な予測走行ラインを示す。この場合、仮想オブジェクトVO1D,VO2Dは、仮想道路線VRL1,VRL2に沿ったライン、すなわち、車両Aの前方道路に沿ったラインから遠心方向に逸れるように描画される。一方、画像生成部102が、運転者のハンドル操作に基づく予定走行ラインを示す走行ライン情報を用いて仮想オブジェクトVO1D,VO2Dを描画した場合、仮想オブジェクトVO1D,VO2Dは、運転者によるハンドル操作量に基づいて車両Aが走行する予測走行ラインを示す。
【0045】
仮想オブジェクトVO1,VO2及び仮想オブジェクトVO1D,VO2Dの表示態様は、異なることが好ましい。例えば、仮想オブジェクトVO1,VO2を実線で描画する場合、仮想オブジェクトVO1D,VO2Dを破線又は点線で描画することができる。また、仮想オブジェクトVO1,VO2及び仮想オブジェクトVO1D,VO2Dを異なる表示色で描画することができる。
【0046】
さらに、画像生成部102は、カーブ開始位置CPより先では、仮想オブジェクトVO5,VO6を仮想道路線VRL1,VRL2に沿って描画することができる。仮想オブジェクトVO5,VO6は、車両Aが走行車線内を走行するために推奨される走行ライン(以下、「推奨走行ライン」とする)に相当する。仮想オブジェクトVO1,VO2、仮想オブジェクトVO1D,VO2D、及び仮想オブジェクトVO5,VO6の表示態様は、異なることが好ましい。例えば、仮想オブジェクトVO1,VO2を実線で描画し、仮想オブジェクトVO1D,VO2Dを破線で描画し、仮想オブジェクトVO5,VO6を点線で描画することができる。また、仮想オブジェクトVO1,VO2、仮想オブジェクトVO1D,VO2D、及び仮想オブジェクトVO5,VO6を異なる表示色で描画することができる。
【0047】
ステップS203では、画像生成部102は、揮発性記憶装置130から視点位置情報を取得し、当該視点位置情報に基づく仮想視点位置VEPを仮想三次元空間に設定する。仮想視点位置VEPは、車両Aの運転者の視点位置EPに対応する。
【0048】
ステップS204では、画像生成部102は、仮想三次元空間において、仮想視点位置VEP、画角AoV及び車両Aの姿勢情報によって規定される仮想結像領域VIAの画像を生成する。仮想結像領域VIAは、HUD装置13が現実の三次元空間において虚像VIを結像する結像領域IAに対応する。結像領域IAは、
図2に示すように、視点位置EPから画角AoVで延在する仮想線によって規定される。同様に、仮想結像領域VIAは、仮想視点位置VEPから画角AoVで延在する仮想線によって規定される。画像生成部102が生成した仮想結像領域VIAの画像が、現実の三次元空間の結像領域IAにおいて虚像VIとして結像される。なお、本実施形態では、画角AoVとして、水平画角AoVhが10度、垂直画角AoVvが4度の画角を採用することができる。
【0049】
図7に示す例では、仮想オブジェクトVO1,VO2が仮想領域VAに描画されている。仮想領域VAは、仮想視点位置VEP、画角AoV及び車両Aの姿勢情報によって規定される道路モデル上の領域である。画像生成部102は、
図7に示す仮想領域VA内に描画された仮想オブジェクトVO1,VO2を透視投影変換することにより、仮想結像領域VIAの画像を生成できる。HUD装置13が、当該画像をウィンドシールドWSに向かって投影すると、
図8に示すような画像コンテンツCT1,CT2が、結像領域IAに結像される。画像コンテンツCT1,CT2は、それぞれ仮想オブジェクトVO1,VO2に対応する重畳コンテンツであり、道路線RL1,RL2に関連付けて表示される。車両Aの運転者からは、画像コンテンツCT1,CT2が、走行車線の路面上に道路線RL1,RL2に沿って表示されているように見える。
【0050】
図9は、
図8に示す画像の変形例を示している。
図9に示す画像コンテンツCT3は、車両Aの前方の走行車線の中心線を示す重畳コンテンツである。画像生成部102は、仮想三次元空間において仮想道路線VRL1,VRL2から等距離にある位置に仮想オブジェクトVOを描画する。次いで、画像生成部102は、仮想領域VA内に描画された当該仮想オブジェクトVOを透視投影変換することにより、当該仮想オブジェクトVOが含まれた仮想結像領域VIAの画像を生成できる。HUD装置13が、当該画像をウィンドシールドWSに向かって投影すると、当該仮想オブジェクトVOに対応する画像コンテンツCT3が、結像領域IAに結像される。車両Aの運転者からは、画像コンテンツCT3が、走行車線の中央部の路面上に表示されているように見える。
【0051】
図10は、車両Aの運転者に対して運転操作を促す画像コンテンツの一例を示している。当該画像コンテンツは、車線維持制御機能の限界によって車両Aが走行車線から逸脱する可能性がある旨を示す画像コンテンツ(以下、「逸脱通知コンテンツ」とする)に相当する。なお、画像コンテンツCT4は、非重畳コンテンツである。
【0052】
図10に示す画像コンテンツCT4は、車両Aの運転者に対してハンドル操作を促す画像コンテンツの一例である。画像コンテンツCT4は、車両Aのハンドルを示す画像コンテンツと、車両Aが走行車線から逸脱することなく走行するために必要なハンドルの操舵方向を示す画像コンテンツで構成される。画像生成部102は、当該ハンドルの操舵方向を、仮想三次元空間の道路モデルの形状を用いて決定することができる。例えば、車両Aの前方道路が車両Aから見て右側にカーブしている場合、ハンドルの操舵方向を右方向とすることができる。一方、車両Aの前方道路が車両Aから見て左側にカーブしている場合、ハンドルの操舵方向を左方向とすることができる。
【0053】
画像生成部102は、画像生成処理によって生成した画像コンテンツCT1,CT2を有する画像と、画像コンテンツCT4を有する画像とを合成することにより、
図10に示す画像を生成することができる。表示制御部105が、当該画像をHUD装置13に提供すると、HUD装置13は、当該画像をウィンドシールドWSに向かって投影する。その結果、
図10に示すような画像コンテンツCT1,CT2,CT4が、結像領域IAに結像される。なお、画像生成部102は、
図9に示す画像コンテンツCT3を有する画像と、画像コンテンツCT4を有する画像とを合成し、表示制御部105が、当該画像をHUD装置13に提供して表示させてもよい。
【0054】
図12は、
図11に示す仮想三次元空間に基づいて生成された画像が表示された様子を示している。
図12に示す画像コンテンツCT1D,CT2Dは、それぞれ仮想オブジェクトVO1D,VO2Dに対応する重畳コンテンツであり、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインを示す。車両Aの運転者からは、画像コンテンツCT1D,CT2Dが、車両Aの前方の路面に表示されているように見える。画像コンテンツCT1D,CT2Dは、逸脱通知コンテンツに相当する。
【0055】
画像コンテンツCT5,CT6は、それぞれ仮想オブジェクトVO5,VO6に対応する重畳コンテンツであり、推奨走行ラインを示す。車両Aの運転者からは、画像コンテンツCT1,CT5及び画像コンテンツCT2,CT6が、それぞれ車両Aの前方の道路線RL1,RL2に沿って、連続的に表示されているように見える。
【0056】
画像生成部102が、
図11に示すように、仮想オブジェクトVO1,VO2、仮想オブジェクトVO1D,VO2D、及び仮想オブジェクトVO5,VO6を、異なる表示態様で描画した場合、これらの表示態様に応じて、画像コンテンツCT1,CT2、画像コンテンツCT1D,CT2D、及び画像コンテンツCT5,CT6が表示される。
【0057】
図13は、
図12に示す画像の変形例を示している。
図13に示す例では、推奨走行ラインを示す画像コンテンツCT5,CT6が省略されている。この場合、画像コンテンツCT1,CT2と、画像コンテンツCT1D,CT2Dが、結像領域IAに結像される。
【0058】
図14は、
図12に示す画像の変形例を示している。画像コンテンツCT3は、車両Aの前方の走行車線の中心線を示す重畳コンテンツである。画像コンテンツCT3Dは、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインを示す重畳コンテンツである。画像コンテンツCT7は、推奨走行ラインを示す重畳コンテンツであり、車両Aの走行車線の中心線を示している。車両Aの運転者からは、画像コンテンツCT3,CT3D,CT7画像コンテンツが、車両Aの走行車線の路面上に表示されているように見える。画像コンテンツCT3Dは、車両Aの走行車線の中心線、すなわち、車両Aの前方道路に沿ったラインから遠心方向に逸れるように表示される。画像コンテンツCT3Dは、逸脱通知コンテンツに相当する。
【0059】
図15は、
図14に示す画像の変形例を示す。
図15に示す例では、推奨走行ラインを示す画像コンテンツCT7が省略されている。この場合、画像コンテンツCT3,CT3Dが、結像領域IAに結像される。
【0060】
時間計測部103は、受信部101が逸脱情報を受信したと判断した時点から既定の時間が経過したか否か判断する機能部である。既定の時間は、
図10に示すような車両Aの運転者に対して運転操作を促す画像コンテンツの表示時間に相当する。既定の時間は、受信部101が逸脱情報を受信したと判断した時点から、車両Aがカーブ開始位置CPに到達する迄の時間以下とする。なお、既定の時間は、運転者が当該画像コンテンツを認識できるように、少なくとも1秒以上とすることが好ましい。
【0061】
ライン判定部104は、仮想三次元空間内に描画された予定走行ラインと推奨走行ラインの位置が一致するか否か判断する機能部である。ライン判定部104は、画像生成部102が仮想三次元空間内に描画した予定走行ラインと推奨走行ラインの位置情報を用いて、予定走行ラインと推奨走行ラインの位置が一致するか否か判断することができる。
【0062】
次に、
図4を参照して、表示制御装置100が実行する処理の一例について説明する。ステップS101では、表示制御装置100の受信部101が、運転支援ECU60から車線維持制御機能が実行状態になった旨のステータス情報を受信したか否か判断する。当該ステータス情報を受信していない場合(NO)、ステップS101の処理が再び実行される。一方、当該ステータス情報を受信した場合(YES)、ステップS102に処理が分岐する。
【0063】
ステップS102では、画像生成部102が、
図6に示す画像生成処理を実行して画像を生成する。ステップS102の画像生成処理では、画像生成部102は、
図8又は
図9に示すような画像を生成する。ステップS103では、表示制御部105は、ステップS102の画像生成処理で生成された画像をHUD装置13に送信する。HUD装置13は、当該画像を受信すると、当該画像をウィンドシールドWSに向かって投影する。その結果、
図8又は
図9に示すような画像コンテンツが、結像領域IAに結像される。
【0064】
ステップS104では、受信部101は、運転支援ECU60から逸脱情報を受信したか否か判断する。逸脱情報を受信していない場合(NO)、ステップS102に処理が戻る。一方、逸脱情報を受信した場合(YES)、ステップS105に処理が分岐する。
【0065】
ステップS105では、画像生成部102が、
図6に示す画像生成処理を実行して画像を生成する。ステップS105の画像生成処理では、画像生成部102は、
図10に示すような画像を生成する。ステップS106では、表示制御部105は、ステップS105の画像生成処理で生成された画像をHUD装置13に送信する。HUD装置13は、当該画像を受信すると、当該画像をウィンドシールドWSに向かって投影する。その結果、
図10に示すような画像コンテンツが、結像領域IAに結像される。
【0066】
ステップS107では、時間計測部103が、ステップS104で受信部101が逸脱情報を受信したと判断した時点から既定の時間が経過したか否か判断する。既定の時間が経過していない場合(NO)、ステップS105に処理が戻る。一方、既定の時間が経過した場合(YES)、
図5のステップS108に処理が分岐する。ステップS108では、受信部101は、運転支援ECU60から警告表示指示を受信したか否か判断する。警告表示指示を受信していない場合(NO)、ステップS109に処理が分岐する。
【0067】
ステップS109では、画像生成部102は、揮発性記憶装置130から最新の走行ライン情報を取得し、
図6に示す画像生成処理を実行して画像を生成する。ステップS109の画像生成処理では、画像生成部102は、
図12~
図15に示すような画像を生成する。ステップS110では、表示制御部105は、ステップS109の画像生成処理で生成された画像をHUD装置13に送信する。HUD装置13は、当該画像を受信すると、当該画像をウィンドシールドWSに向かって投影する。その結果、
図12~
図15に示すような画像コンテンツが、結像領域IAに結像される。
【0068】
ステップS111では、ライン判定部104が、ステップS109の画像生成処理で仮想三次元空間内に描画された予定走行ラインと推奨走行ラインの位置が一致するか否か判断する。予定走行ラインと推奨走行ラインの位置が一致しない場合(NO)、ステップS108に処理が戻る。一方、予定走行ラインと推奨走行ラインの位置が一致する場合(YES)、ステップS112に処理が分岐する。
【0069】
ステップS112では、画像生成部102は、揮発性記憶装置130から最新の走行ライン情報を取得し、
図6に示す画像生成処理を実行して画像を生成する。ステップS112の画像生成処理では、画像生成部102は、
図16に示すような画像を生成する。ステップS113では、表示制御部105は、ステップS112の画像生成処理で生成された画像をHUD装置13に送信する。HUD装置13は、当該画像を受信すると、当該画像をウィンドシールドWSに向かって投影する。その結果、
図16に示すような画像コンテンツCT8,CT9が、結像領域IAに結像される。
【0070】
画像コンテンツCT8,CT9は、重畳コンテンツであり、車両Aの前方の道路線RL1,RL2に沿って表示される。画像コンテンツCT8,CT9は、
図12に示す画像コンテンツCT1D,CT2D,CT5,CT6と異なる表示態様とすることが好ましい。例えば、画像コンテンツCT1D,CT2D,CT5,CT6が破線又は点線で表示される場合、画像コンテンツCT8,CT9は実線で表示することができる。また、画像コンテンツCT8,CT9の表示色と、画像コンテンツCT1D,CT2D,CT5,CT6の表示色を異なる色としてもよい。
【0071】
ステップS108において警告表示指示を受信したと判断した場合(YES)、ステップS114に処理が分岐する。ステップS114では、表示制御部105は、車両Aの運転者に対してハンドルの操作を指示する警告画像をHUD装置13に送信し、
図5の処理が終了する。HUD装置13は、当該警告画像を受信すると、当該警告画像をウィンドシールドWSに向かって投影する。その結果、
図17に示すような画像コンテンツCT10が、結像領域IAに結像される。画像コンテンツCT10は、車両Aの運転者に対してハンドルの操作を促す非重畳コンテンツである。
【0072】
上述したように、表示制御装置100は、車線維持制御機能が実行されている状態において、運転支援ECU60から逸脱情報を受信すると、画像生成部102が、逸脱通知コンテンツを有する画像を生成する。そして、表示制御部105は、逸脱通知コンテンツを有する画像を、HUD装置13に提供して表示させる。これにより、逸脱通知コンテンツが、車両Aの運転者の前方に表示される。そのため、運転者は、逸脱通知コンテンツを視認することにより、車線維持制御機能の限界によって車両Aが走行車線から逸脱する可能性があることを把握でき、運転者の利便性が向上する。
【0073】
また、逸脱通知コンテンツには、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインを示す画像コンテンツが含まれる。予定走行ラインは、
図12~
図15に示すように、車両Aの前方道路に沿ったラインから遠心方向に逸れるように表示される。これにより、車両Aが走行車線から逸脱して走行することがより明確になり、運転者は、車線維持制御機能の限界によって車両Aが走行車線から逸脱する可能性があることを把握し易くなる。
【0074】
さらに、画像生成部102は、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインを示す画像コンテンツと、車両Aの前方道路に沿ったラインを示す画像コンテンツを有する画像を生成する。そして、表示制御部105は、これらの画像コンテンツを有する画像を、HUD装置13に提供して表示させる。
【0075】
これにより、車線維持制御機能の限界によって車両Aが走行車線から逸脱する可能性がある場合、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインと、当該予定走行ラインの開始点より先の前方道路に沿ったラインが乖離して表示される。そのため、運転者は、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインと、推奨走行ラインである前方道路に沿ったラインが乖離している状態を視認でき、車線維持制御機能の限界によって車両Aが走行車線から逸脱する可能性があることを把握し易くなる。
【0076】
さらに、画像生成部102は、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインの表示態様と、前方道路に沿ったラインの表示態様が異なるように画像を生成する(
図11)。そして、表示制御部105は、これらのラインを含む画像を、HUD装置13に提供して表示させる(
図12)。これにより、表示態様の異なる予定走行ラインと前方道路に沿ったラインが表示される。そのため、運転者は、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインと、推奨走行ラインである前方道路に沿ったラインが乖離している状態を視認し易くなり、車線維持制御機能の限界によって車両Aが走行車線から逸脱する可能性があることを、より把握し易くなる。
【0077】
さらに、逸脱通知コンテンツには、
図10に示すような車両Aの運転操作を促す画像コンテンツがさらに含まれる。運転操作を促す画像コンテンツには、車両Aのハンドルの操作を促す画像コンテンツと、車両Aが走行車線から逸脱することなく走行するために必要なハンドルの操舵方向を示す画像コンテンツが含まれる。表示制御部105は、当該画像コンテンツを有する画像を、HUD装置13に提供して表示させる。
【0078】
これにより、車両Aの運転操作を促す画像コンテンツが、車両Aの運転者の前方に表示される。そのため、運転者は、当該画像コンテンツを視認することにより、車両の運転操作が必要であることを認識できると共に、車両Aが走行車線から逸脱することなく走行するために必要なハンドルの操舵方向を把握することができる。その結果、車両Aが走行車線から逸脱するのを防ぐことができる。
【0079】
さらに、画像生成部102は、
図11に示すように、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインの開始点に相当するカーブ開始位置CPより手前に位置する前方道路に沿ったラインと、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインとが連続する画像を生成する。そして、表示制御部105は、これらのラインが連続する画像を、HUD装置13に提供して表示させる。これにより、車線維持制御機能に基づく予定走行ラインの開始点より手前に位置する前方道路に沿ったラインと、当該予定走行ラインが不連続になることによって運転者に与える違和感を防ぐことができる。
【0080】
さらに、画像生成部102は、車両Aの前方道路に沿ったラインを示す画像コンテンツと、車両Aの運転者によるハンドル操作に応じて車両Aが走行する予定のラインを示す画像コンテンツを有する画像を生成する。そして、表示制御部105は、当該画像をHUD装置13に提供して表示させる。これにより、運転者は、推奨走行ラインである前方道路に沿ったラインと、自身のハンドル操作に基づく予定走行ラインとを視認することができる。このため、運転者は、推奨走行ラインに沿って車両Aを走行させるために必要なハンドル操作量を視覚的に認識することができ、運転者の利便性が向上する。
【0081】
<その他の実施形態>
本開示は、上述した実施形態に限定されることなく、様々に変更して実施することができる。例えば、他の実施形態では、逸脱通知コンテンツとして、車両Aが走行車線から逸脱する旨を示す文字を採用してもよい。また、他の実施形態では、車両Aの運転者に運転操作を促す画像コンテンツとして、ブレーキ操作を促す画像コンテンツを採用してもよい。さらに、他の実施形態では、警告画像として、ブレーキ操作を指示する画像コンテンツを有する画像を採用してもよい。
【0082】
本開示に記載された機能部及び方法は、コンピュータプログラムに実装される1以上の特定の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成することによって製造された専用コンピュータにより、実現することができる。また、本開示に記載された装置及び方法は、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びASIC(Application Specific Integrated Circuits)等の専用のハードウェア論理回路によって実現してもよい。さらに、本開示に記載された装置及び方法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサを構成することによって製造された1以上の専用コンピュータと、1以上のハードウェア論理回路との組み合わせよって実現してもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行される命令として、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に保存することができる。
【符号の説明】
【0083】
100 表示制御装置、 102 画像生成部、 105 表示制御部、 110 プロセッサ、 13 ヘッドアップディスプレイ、 A 車両