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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20231017BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231017BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 401
B41J2/155
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019161540
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021037722
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100182051
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 直宏
(72)【発明者】
【氏名】井上 春
(72)【発明者】
【氏名】菅原 宏人
(72)【発明者】
【氏名】永野 太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輝
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-177760(JP,A)
【文献】特開2008-162261(JP,A)
【文献】特開2008-276087(JP,A)
【文献】特開2005-199592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、
前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、
前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1方向に前記第2グループと隣接する第1ノズル列を含み、
前記情報は、
前記第1グループに対応付けられた複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、且つ、
前記第1ノズル列に対応付けられた複数のノズルには、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれており、且つ、
前記第1グループに対応付けられ且つ前記第1電源回路に対応付けられたノズルの数が、前記第1グループに対応付けられ且つ前記第2電源回路に対応付けられたノズルの数よりも多いことを示す印刷装置。
【請求項2】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、
前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、
前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1方向に前記第2グループと隣接する第1ノズル列を含み、
前記情報は、
前記第1グループに対応付けられた複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、且つ、
前記第1ノズル列に対応付けられた複数のノズルには、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれていることを示し、
前記複数の電源回路の数は、前記複数のグループの数以下である印刷装置。
【請求項3】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、
前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、
前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1方向に前記第2グループと隣接する第1ノズル列と、第2ノズル列と、前記第2ノズル列よりも前記第2グループから前記第1方向に離れている第3ノズル列とを含み、
前記情報は、
前記第1グループに対応付けられた複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、且つ、
前記第1ノズル列に対応付けられた複数のノズルには、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれており、且つ、
前記第3ノズル列に対応付けられ且つ前記第2電源回路に対応付けられたノズルの数が、前記第2ノズル列に対応付けられ且つ前記第2電源回路に対応付けられたノズルの数以下であることを示す印刷装置。
【請求項4】
前記第2グループは、第4ノズル列と、前記第4ノズル列よりも前記第1グループから前記第1方向に離れている第5ノズル列とを含み、
前記情報は、
前記第5ノズル列に対応付けられ且つ前記第1電源回路に対応付けられたノズルの数が、前記第4ノズル列に対応付けられ且つ前記第1電源回路に対応付けられたノズルの数以下であることを示す請求項に記載の印刷装置。
【請求項5】
少なくとも第1電源回路、第2電源回路及び第3電源回路を含む複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、
前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、
前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループと、前記第1方向において前記第1グループに対して前記第2グループとは反対側に隣接する第3グループとを含み、
前記情報は、
前記第1グループに対応付けられた複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズル、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズル、及び前記第3電源回路に対応付けられた複数のノズルが含まれており、且つ、
前記第1グループに対応付けられ且つ前記第1電源回路に対応付けられたノズルの数が、前記第1グループに対応付けられ且つ前記第3電源回路に対応付けられたノズルの数よりも多いことを示す印刷装置。
【請求項6】
少なくとも第1電源回路、第2電源回路、第3電源回路及び第4電源回路を含む複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、
前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、
前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、
前記複数のノズルは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループと、前記第1方向において前記第1グループに対して前記第2グループとは反対側に隣接する第3グループと、前記第1グループに対して前記第2方向に隣接する第4グループとを形成し、
前記情報は、
前記第1グループに対応付けられた複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズル、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズル、前記第3電源回路に対応付けられた複数のノズル、及び前記第4電源回路に対応付けられた複数のノズルが含まれていることを示す印刷装置。
【請求項7】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、
複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のノズル列を形成し、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、
前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、
前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、
前記情報は、
前記複数のノズル列には、
前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルによって形成される、少なくとも1つの境界ノズル列と、
前記少なくとも1つの境界ノズル列に対して前記第1方向の一方側に位置し、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルのみによって形成される少なくとも1つのノズル列と、
前記少なくとも1つの境界ノズル列に対して前記第1方向の他方側に位置し、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルのみによって形成される少なくとも1つのノズル列とが含まれることを示す印刷装置。
【請求項8】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドから、シートに対して液体を吐出することと、
前記ノズルに対して前記シートを相対的に移動することとを含み、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1方向に前記第2グループと隣接する第1ノズル列を含み、
前記第1グループに含まれる複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、
前記第1ノズル列に含まれる複数のノズルには、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれており、
前記第1グループに対応付けられ且つ前記第1電源回路に対応付けられたノズルの数が、前記第1グループに対応付けられ且つ前記第2電源回路に対応付けられたノズルの数よりも多い印刷方法。
【請求項9】
少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドから、シートに対して液体を吐出することと、
前記ノズルに対して前記シートを相対的に移動することとを含み、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、
前記第1グループは、前記第1方向に前記第2グループと隣接する第1ノズル列と、第2ノズル列と、前記第2ノズル列よりも前記第2グループから前記第1方向に離れている第3ノズル列とを含み、
前記第1グループに含まれる複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、
前記第1ノズル列に含まれる複数のノズルには、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれており、
前記第3ノズル列に対応付けられ且つ前記第2電源回路に対応付けられたノズルの数が、前記第2ノズル列に対応付けられ且つ前記第2電源回路に対応付けられたノズルの数以下である印刷方法。
【請求項10】
少なくとも第1電源回路、第2電源回路及び第3電源回路を含む複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドから、シートに対して液体を吐出することと、
前記ノズルに対して前記シートを相対的に移動することとを含み、
前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループと、前記第1方向において前記第1グループに対して前記第2グループとは反対側に隣接する第3グループとを含み、
前記第1グループに含まれる複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第3電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、
前記第1グループに対応付けられ且つ前記第1電源回路に対応付けられたノズルの数が、前記第1グループに対応付けられ且つ前記第3電源回路に対応付けられたノズルの数よりも多い印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインクを吐出する印刷装置、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各ノズルに対応して設けられ、駆動信号に対応する量のインクをノズルから吐出させるアクチュエータと、各ノズルからのインク吐出量を平準化するための補正データを記憶する記憶部と、補正データに基づいて複数の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する選択部と、選択された駆動信号をアクチュエータに出力する駆動部とを備えるインクジェットヘッド駆動装置が知られている(特許文献1参照)。このインクジェットヘッド駆動装置では、ノズルのインク吐出量特性に応じて、インクジェットヘッドのノズルが複数のグループに分類されている。そして、複数のグループの境界部分での濃度差を目立たなくするため、複数のグループ毎に駆動電圧が補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-162261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のグループ毎に駆動電圧を補正するためには、上記インクジェットヘッド駆動装置の電源回路は、出力電圧値を調整可能に構成されている必要がある。そして、電源回路の出力電圧値を調整可能に構成する場合、製造コストが増加するという問題があった。
【0005】
本発明は、吐出特性に応じて複数のノズルが複数のグループに分類されているインクジェットヘッドを有する印刷装置において、電源回路の出力電圧値を調整することなく、複数のグループの境界部分での濃度差を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、前記第1グループは、前記第1方向に前記第2グループと隣接する第1ノズル列を含み、前記情報は、前記第1グループに対応付けられた複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、且つ、前記第1ノズル列に対応付けられた複数のノズルには、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれていることを示す印刷装置が提供される。
【0007】
本発明の第1の態様に係る印刷装置が備えるメモリに記憶されている情報によれば、第1グループに対応付けられた複数のノズルには、第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、第1ノズル列に対応付けられた複数のノズルには、第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれている。つまり、第1ノズル列には、第1電源回路に対応付けられたノズルと第2電源回路に対応付けられたノズルとが混在する。これにより、第1電源回路及び第2電源回路の出力電圧を調整することなく、第1グループと第2グループの境界部分における濃度差を緩和できる。
【0008】
本発明の第2の態様に従えば、少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のグループとの対応関係を示す情報が記憶されたメモリとを備え、前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、前記複数のグループは、第1グループと、前記第1グループに対して前記第1方向の両側にそれぞれ隣接する第2グループ及び第3グループとを含み、前記情報は、前記第1グループに対応付けられた複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられたノズルと、前記第2電源回路に対応付けられたノズルとが、少なくとも1つずつ含まれ、前記第2グループに対応付けられた複数のノズルは全て、前記第1電源回路に対応付けられており、前記第3グループに対応付けられた複数のノズルは全て、前記第2電源回路に対応付けられていることを示す印刷装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様に係る印刷装置が備えるメモリに記憶されている情報によれば、第2グループと第3グループの境界部分である第1グループには、第1電源回路に対応付けられたノズルと第2電源回路に対応付けられたノズルとが混在する。これにより、第1電源回路及び第2電源回路の出力電圧を調整することなく、第2グループと第3グループの境界部分である第1グループにおける濃度差を緩和できる。
【0010】
本発明の第3の態様に従えば、少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のノズル列を形成し、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドと、前記複数のノズルと前記複数の電源回路との対応関係、及び前記複数のノズルと前記複数のノズル列との対応関係を示す情報が記憶されているメモリとを備え、前記情報に基づき前記ヘッドを駆動させて、印刷を行い、前記情報は、前記複数のノズル列には、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルによって形成される、少なくとも1つの境界ノズル列と、前記少なくとも1つの境界ノズル列に対して前記第1方向の一方側に位置し、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルのみによって形成される少なくとも1つのノズル列と、前記少なくとも1つの境界ノズル列に対して前記第1方向の他方側に位置し、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルのみによって形成される少なくとも1つのノズル列とが含まれることを示す印刷装置が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様に係る印刷装置が備えるメモリに記憶されている情報によれば、第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが混在する境界ノズル列と、境界ノズル列の第1方向の一方側に位置し、第1電源回路に対応付けられた複数のノズルのみを含むノズル列と、境界ノズル列の第1方向の他方側に位置し、第2電源回路に対応付けられた複数のノズルのみを含むノズル列とが形成されている。これにより、第1電源回路及び第2電源回路の出力電圧を調整することなく、境界ノズル列における濃度差を緩和できる。
【0012】
本発明の第4の態様に従えば、少なくとも第1電源回路及び第2電源回路を含む複数の電源回路と、複数のノズルを有するヘッドであって、前記複数のノズルは第1方向に並べられた複数のグループを形成し、前記複数のグループの各々は前記第1方向に並べられた複数のノズル列を含み、前記複数のノズル列の各々は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記複数のノズルの各々には前記複数の電源回路の何れかが対応付けられているヘッドから、シートに対して液体を吐出することと、前記ノズルに対して前記シートを相対的に移動することとを含み、前記複数のグループは、前記第1方向に隣接する第1グループ及び第2グループを含み、前記第1グループは、前記第1方向に前記第2グループと隣接する第1ノズル列を含み、前記第1グループに含まれる複数のノズルには、前記第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、前記第1ノズル列に含まれる複数のノズルには、前記第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれている印刷方法が提供される。
【0013】
本発明の第4の態様に係る印刷方法に用いられるヘッドにおいて、第1グループには、第1電源回路に対応付けられた複数のノズルと、第2電源回路に対応付けられた複数のノズルとが含まれており、第1ノズル列には、第2電源回路に対応付けられた複数のノズルの一部が含まれている。つまり、第1ノズル列には、第1電源回路に対応付けられたノズルと第2電源回路に対応付けられたノズルとが混在する。これにより、第1電源回路及び第2電源回路の出力電圧を調整することなく、第1グループと第2グループの境界部分における濃度差を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の印刷装置の要部構成の一例を示す平面図である。
図2】本実施形態のヘッドの一例を示す底面図である。
図3】本実施形態のヘッドが備える第2基板と、第2基板と接続されたフレキシブル回路基板との構成の一例を示すブロック図である。
図4】ドライバICが備える回路構成の一例を示す図である。
図5】本実施形態のヘッドが備える波形生成回路の構成の一例を示す回路図である。
図6】本実施形態の印刷方法の概要を示すフローチャートである。
図7】本実施形態の印刷方法の仮設定工程において複数のノズルを複数のグループに分類した様子を示す図である。
図8】本実施形態のヘッドの不揮発性メモリに記憶される情報の一例を示す図である。
図9】本実施形態の印刷方法の設定調整工程において、一部のノズルに対する電源回路の割り当てを変更した状態を示す図である。
図10】本実施形態における電源回路の割り当ての変更方法の一つの変形例を示す図である。
図11】本実施形態における電源回路の割り当ての変更方法の他の変形例を示す図である。
図12】本実施形態の印刷装置の要部構成の一変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置について、図1~9を参照しつつ説明する。
【0016】
図1において、シートPの搬送方向上流側を印刷装置1の前方、搬送方向下流側を印刷装置1の後方と定義する。また、シートPが搬送される面(図1の紙面と平行な面)と平行で、且つ、前記搬送方向と直交する方向をシート幅方向と定義する。尚、図の左側が印刷装置1の左方、図の右側が印刷装置1の右方である。さらに、シートPの搬送面と直交する方向(図1の紙面に直交する方向)を、印刷装置1の上下方向と定義する。図1において、紙面表側が上方、紙面裏側が下方である。以下では、前後左右上下を適宜使用して説明する。なお、シート幅方向は本発明の「第1方向」の一例であり、搬送方向は本発明の「第2方向」の一例である。
【0017】
図1に示すように、印刷装置1は、筐体2と、プラテン3と、4個のラインヘッド4と、2個の搬送ローラ5A、5Bと、制御装置7とを備える。
【0018】
プラテン3は筐体2内に平置きされている。プラテン3の上面には、シートPが載置される。4個のラインヘッド4は、プラテン3の上方に前後方向に並設されている。2個の搬送ローラ5A、5Bは、プラテン3に対して前側と後側にそれぞれ配置されている。2個の搬送ローラ5A、5Bは、図示しないモータによってそれぞれ駆動され、プラテン3上のシートPを後方へ搬送する。なお、本実施形態では、4個のラインヘッド4を備える構成であるが、ラインヘッド4の数は4個に限定されない。
【0019】
図3に示すように、制御装置7は第1基板71を備える。第1基板71は、FPGA(Field Programmable Gate Array)711の他に、不図示のROM(Read Only Memory)、不図示のRAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)712などを備える。制御装置7は、パーソナルコンピュータ等の外部装置9と相互に通信が可能である。制御装置7は、外部装置9又は印刷装置1が具備する操作部(不図示)からの指示により、当該ROMに格納されたプログラムに従って各ラインヘッド4及び搬送ローラ5A、5Bの動作を制御する。なお、FPGA711に代えてCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Microprocessor Unit)を使用してもよい。
【0020】
例えば制御装置7は、搬送ローラ5A、5Bを駆動するモータを制御して、搬送ローラ5A、5BにシートPを搬送方向に搬送させる。また、制御装置7は、各ラインヘッド4を制御してシートPに向けてインクを吐出させる。これにより、シートPに画像が印刷される。なお、シートPは、搬送方向の上流端を含む供給ロールと、搬送方向の下流端を含む回収ロールとからなるロール状のシートであってもよい。この場合、供給ロールは搬送方向上流側の搬送ローラ5Aに取り付けられてもよく、回収ロールは搬送方向下流側の搬送ローラ5Bに取り付けられてもよい。あるいは、シートPは、搬送方向の上流端を含む供給ロールのみを含むロール状のシートであってもよい。この場合、供給ロールは搬送方向上流側の搬送ローラ5Aに取り付けられてもよい。
【0021】
筐体2には、4個のラインヘッド4に対応して、4個のヘッド保持部8が取り付けられている。4個のヘッド保持部8は、プラテン3の上方で、且つ、搬送ローラ5A、5Bの間の位置において、前後に並設されている。各ヘッド保持部8によって、1個のラインヘッド4が保持される。
【0022】
4個のラインヘッド4は、それぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを吐出する。各ラインヘッド4には、図示しないインクタンクから、対応する1色のインクが供給される。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の各ラインヘッド4は、10個のヘッド11を備える。10個のヘッド11は、シート幅方向に沿って千鳥状に2列に配置されている。1つのラインヘッド4には1色のインクが供給されるので、当該1つのラインヘッド4に含まれる10個のヘッド11からは、当該1色のインクが吐出される。なお、本実施形態では、ラインヘッド4が10個のヘッド11を備える構成であるが、ヘッド11の数は10個に限定されない。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の各ヘッド11の底面には、1680個のノズル11aが開口しており、1680個のノズル11aは、シート幅方向に並べられた70列のノズル列c01~c70を形成している。そして、各ノズル列は、搬送方向に並べられた24個のノズル11aにより形成されている。各ノズル11aの搬送方向の位置は、搬送方向の前方から後方に向かってr01~r24と定義されている。各ヘッド11における各ノズル11aの位置は、当該ノズル11aが属するノズル列と搬送方向の位置とによって、一意に特定される。なお、本実施形態では、各ヘッド11が1680個のノズル11aを備える構成であるが、ノズル11aの数は1680個に限定されない。
【0025】
また、各ヘッド11には、ノズル11aと同数の駆動素子111(後述)と、第2基板50及びフレキシブル回路基板60とが備えられている。本実施形態の印刷装置1は4個のラインヘッド4を備え、各ラインヘッド4は10個のヘッド11を備えるので、印刷装置1は、40個のヘッド11を備える。従って、第2基板50の数も40個となり、第2基板50と接続されたフレキシブル回路基板60の数も40個となる。図3に示すように、制御装置7の第1基板71は、40個の第2基板50に接続される。なお図3では、便宜上、1個の第2基板50と1個のフレキシブル回路基板60のみを示している。
【0026】
第2基板50は、コントローラとしてのFPGA51、EEPROMなどの不揮発性メモリ52、D/Aコンバータ20、電源回路21~26などを備える。なお、本実施形態において、第2基板50は6個の電源回路21~26を備えているが、電源回路の数は6個には限定されない。また、フレキシブル回路基板60は、EEPROMなどの不揮発性メモリ62、ドライバIC27などを備える。
【0027】
FPGA51は、第1基板71に設けられたFPGA711の制御の下、電源回路21~26の出力電圧を設定するためのデジタルの設定信号を、D/Aコンバータ20に出力する。
【0028】
D/Aコンバータ20は、FPGA51が出力するデジタルの設定信号をアナログの設定信号に変換して電源回路21~26に出力する。
【0029】
電源回路21~26は、例えば、FET、インダクタ、抵抗、電解コンデンサ等の複数の電子部品で構成されるDC/DCコンバータとすることができる。各電源回路21~26は、設定信号で指定された、出力電圧をドライバIC27に出力する。本実施形態において、電源回路21~26は全て、出力電圧が異なるように設定されている。
【0030】
ドライバIC27は、配線VDD1を介して電源回路21と接続され、配線VDD2を介して電源回路22と接続され、配線VDD3を介して電源回路23と接続され、配線VDD4を介して電源回路24と接続され、配線VDD5を介して電源回路25と接続され、配線HVDDを介して電源回路26と接続されている。なお、電源回路26は、後述の駆動素子111と配線VCOMを介して接続されている。配線HVDDと配線VCOMは、電源回路26から引き出された配線が、経路の途中で2つの配線に分岐したものである。
【0031】
電源回路21~26は、ドライバIC27の内部に形成された波形生成回路30(1)~波形生成回路30(n)(nは2以上の自然数であり、本実施形態では、ヘッド11が有する駆動素子111の数、即ち1680に等しい)に接続されている。
【0032】
波形生成回路30(1)~30(n)は、各ヘッド11が備えているn個の駆動素子111にそれぞれ対応して備えられている。つまり、波形生成回路30(1)~30(n)は、各ヘッド11が備えているn個のノズル11aにそれぞれ対応して備えられている。ドライバIC27は、n本の信号線34(1)~(n)と接続されている。ドライバIC27は、n本の信号線34(1)~(n)を介して、n個の駆動素子111と接続されている。各信号線34は、駆動素子111の個別電極と接続されている。
【0033】
また、ドライバIC27は、n個の駆動素子111に対応して設けられたn個のセレクタ90(1)~90(n)を備える。各セレクタ90は、ドライバIC27の内部に形成された複数のFETなどから構成されるハードウェアの構成要素である。
【0034】
電源回路26は、駆動素子111のVCOM用電源電圧、あるいは後述のPMOSトランジスタ311~315のHVDD(ハイサイド側バックゲート電圧)として使用することができる。
【0035】
不揮発性メモリ62には、各ノズル11aを識別するノズルID、複数のノズル11aによって構成されるノズルグループ(後述)を識別するグループID、複数のノズル列を識別する列ID、ノズル11aの搬送方向の位置を識別する行IDなどが記憶されている。また、不揮発性メモリ52には、例えば図8に示されるように、n個のノズル11aと5個の電源回路21~25との対応関係、n個のノズル11aと複数のグループ(グループID)g10~g70との対応関係、n個のノズル11aと複数のノズル列(列ID)c01~c70との対応関係、n個のノズル11aと搬送方向の位置(行ID)r01~r24などが、テーブルTとして記憶されている。なお、テーブルTは不揮発性メモリ52ではなく、フレキシブル回路基板60に設けられた不揮発性メモリ62に記憶されていてもよい。
【0036】
また、ドライバIC27は、n本の制御線33(1)~33(n)及び制御線40を介してFPGA51と接続されている。制御線33(1)~(n)は、上述のn個の波形生成回路30(1)~(n)に対応して設けられた制御線である。各制御線33には、各波形生成回路30に備えられたFETを制御するための信号が伝播される。この信号に従って、波形生成回路30は、駆動素子111を駆動する駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、信号線34を介して駆動素子111に出力する。
【0037】
また、制御線40には、ドライバIC27が有するn個のセレクタ90(1)~90(n)を制御するための制御信号が伝送される。FPGA51は、n個のセレクタ90(1)~90(n)を制御することで、各信号線34に出力する駆動信号を生成するための電源回路を選択する。
【0038】
次に、ドライバIC27が備える回路構成の一例を、図4を参照しつつ説明する。図4に示されるように、ドライバIC27は、n個の波形生成回路30(1)~30(n)と、波形生成回路30(1)~30(n)にそれぞれ対応して備えられたn個のセレクタ90(1)~90(n)を備える。
【0039】
ドライバIC27は、同様の構成をノズルの数と同じn個分備えているので、以下では、代表して制御線33(1)と、信号線34(1)との間に備えられた回路構成について説明する。ドライバIC27には、制御線33(1)と信号線34(1)と間に、セレクタ90(1)と波形生成回路30(1)が形成されている。
【0040】
FPGA51からの制御線33(1)は、セレクタ90(1)と接続されている。制御線33(1)はFPGA51とセレクタ90(1)とを結ぶ経路の途中で分岐しており、制御線33(1)から分岐した制御線SB(1)は波形生成回路30(1)と接続されている。
【0041】
セレクタ90(1)と波形生成回路30(1)とは、5本の制御線S1(1)、S2(1)、S3(1)、S4(1)、及びS5(1)で接続されている。セレクタ90(1)は、FPGA51からの指示に従って、5本の制御線S1(1)、S2(1)、S3(1)、S4(1)、及びS5(1)の中から選択されるいずれか一つの制御線を、制御線33(1)と接続する。
【0042】
波形生成回路30(1)には、上述の配線VDD1~VDD5と接続される5つの配線と、配線HVDDと接続される配線と、配線GNDと接続される配線とが接続されている。
【0043】
次に、本実施形態のヘッド11が備える波形生成回路30(1)~30(n)の構成の一例について、図5を参照しつつ説明する。なお、波形生成回路30(1)~30(n)は、同様の構成を有するので、以下では、波形生成回路30(1)について説明する。波形生成回路30(1)は、5個のPMOS(P-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ311~315(図5では、2つのみ図示)、1個のNMOS(N-type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ32、抵抗35などを備える。波形生成回路30(1)は、信号線34(1)を介して、駆動素子111の個別電極と接続されている。
【0044】
本実施形態の駆動素子111は、一つの圧力室に対して、個別電極と第1の定電位電極との間に挟まれる第1活性部と、個別電極と第2の定電位電極との間に挟まれる第2活性部とを備える圧電素子である。このため、駆動素子111は、キャパシタ111bと、キャパシタ111b′を備える。
【0045】
5つのPMOSトランジスタ311~315の5つのソース端子311a~315aにはそれぞれ、配線VDD1~VDD5が接続されている。NMOSトランジスタ32のソース端子32aは、グランドに接続されている。つまり、PMOSトランジスタ311は、配線VDD1を介して電源回路21と接続されている。PMOSトランジスタ312は、配線VDD2を介して電源回路22と接続されている。PMOSトランジスタ313は、配線VDD3を介して電源回路23と接続されている。PMOSトランジスタ314は、配線VDD4を介して電源回路24と接続されている。PMOSトランジスタ315は、配線VDD5を介して電源回路25と接続されている。
【0046】
PMOSトランジスタ311のゲート端子311cには、制御線S1(1)が接続されている。PMOSトランジスタ312のゲート端子312cには、制御線S2(1)が接続されている。PMOSトランジスタ313のゲート端子313cには、制御線S3(1)が接続されている。PMOSトランジスタ314のゲート端子314cには、制御線S4(1)が接続されている。PMOSトランジスタ315のゲート端子315cには、制御線S5(1)が接続されている。また、NMOSトランジスタ32のゲート端子32cには、制御線SB(1)が接続されている。
【0047】
また、5つのPMOSトランジスタ311~315のドレイン端子311b~315bは、抵抗35の一端に接続されている。また、NMOSトランジスタ32のドレイン端子32bは、抵抗35の一端に接続されている。抵抗35の他端は、駆動素子111の個別電極(キャパシタ111b′の他端及びキャパシタ111bの一端)に接続されている。駆動素子111の第1の定電位電極(キャパシタ111b′の一端)はVCOMに接続され、駆動素子111の第2の定電位電極(キャパシタ111bの他端)はグラウンドに接続されている。
【0048】
FPGA51が、制御線33(1)にローレベル(「L」)の信号を出力すると、PMOSトランジスタ311~315のうち、上述のセレクタ90(1)で選択された信号線と接続されたいずれか一つのPMOSトランジスタはオン状態となる。電源回路21~25のいずれか一つから供給される電圧によってキャパシタ111bが充電され、キャパシタ111b′が放電される。一方、FPGA51が、制御線33(1)にハイレベル(「H」)の信号を出力すると、NMOSトランジスタ32はオン状態となり、電源回路21~25のうちのいずれか一つから出力される電圧によってキャパシタ111b′が充電され、キャパシタ111bが放電される。キャパシタ111b、111b′が交互に充電及び放電を行うことによって、駆動素子111は変形し、ノズルの吐出口11aからインクが吐出される。
【0049】
すなわち、信号線34(1)には駆動素子111を駆動する駆動信号が出力される。セレクタ90(1)が、5つの制御線S1(1)~S5(1)のうちから接続する制御線を一つ選択することで、駆動信号を生成する電源回路を電源回路21~25の中から選択することができる。
【0050】
次に、本実施形態の印刷装置1を用いた印刷方法について説明する。図6に示すように、本実施形態の印刷装置1を用いた印刷方法は、主に、仮設定工程S10、テスト印刷工程S20、設定調整工程S30、及び、本印刷工程S40を含む。
【0051】
まず、仮設定工程S10では、図7に示すように、1680個のノズル11aを、10列のノズル列ごとに7個のグループg10~g70に分類する。つまり、ノズル列c01~c10を構成するノズル11aを、グループg10に対応付ける。ノズル列c11~c20を構成するノズル11aを、グループg20に対応付ける。ノズル列c21~c30を構成するノズル11aを、グループg30に対応付ける。ノズル列c31~c40を構成するノズル11aを、グループg40に対応付ける。ノズル列c41~c50を構成するノズル11aを、グループg50に対応付ける。ノズル列c51~c60を構成するノズル11aを、グループg60に対応付ける。ノズル列c61~c70を構成するノズル11aを、グループg70に対応付ける。なお、本実施形態において、電源回路21~26の数は6個であり、グループg10~g70の数である7個よりも少ないが、電源回路の数は、グループの数と同じであってもよい。
【0052】
次に、各ノズル11aから吐出されたインク滴によって形成されるドットの濃度が、7個のグループ間で均一になるように、各グループに対して、電源回路21~25のいずれかを割り当てる。例えば、グループg10には電源回路21を割り当て、グループg20には電源回路22を割り当て、グループg30~g50には電源回路23を割り当て、グループg60には電源回路24を割り当て、グループg70には電源回路25を割り当てる。なお、1680個のノズル11aの吐出特性は、ノズル11aの径の僅かな誤差、駆動素子111の製造誤差、製造時に発生するヘッド11内部の残留応力などの影響により、シート幅方向及び搬送方向の位置に応じて緩やかに変化している。このため、仮に全グループに同じ電源回路を割り当てたとしても、形成されるドットの濃度は必ずしも均一になるとは限らない。
【0053】
そして、図8に示されるように、1680個のノズル11aの各々について、当該ノズル11aの位置(列ID、行ID)、当該ノズル11aが属するグループ、及び当該ノズル11aに割り当てられた電源回路に関する情報を、不揮発性メモリ52に記憶させる。なお、図8において、v01~v05はそれぞれ、電源回路21~25の識別子を表している。
【0054】
次に、テスト印刷工程S20では、仮設定工程S10で設定した電源回路の割り当てに従って、シートPに対してテスト印刷を行う。具体的には、グループg10に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路21から電圧を供給する。グループg20に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路22から電圧を供給する。グループg30~g50に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路23から電圧を供給する。グループg60に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路24から電圧を供給する。グループg70に含まれるノズル11aに対応する駆動素子111には、電源回路25から電圧を供給する。そして、グループg10~グループg70に含まれる1680個のノズル11aからインク滴を吐出させることにより、シートPに対してテスト印刷を行う。
【0055】
次に、設定調整工程S30では、テスト印刷工程S20における印刷結果に基づいて、仮設定工程S10で設定した電源回路の割り当てを修正する。仮設定工程S10では、グループ毎に電源回路を割り当てている。このため、同じグループに含まれるノズル11aから吐出されるインク滴によって形成されるドットは、濃度のバラツキが少ない。しかしながら、シート幅方向に隣接する2つのグループ(例えば、第1グループg10と第2グループg20)において異なる電源回路が割り当てられている場合、2つのグループの境界付近(例えば、ノズル列c10とノズル列c11)のノズル11aから吐出されたインク滴によって形成されるドットには、肉眼で識別できる程度の濃度差が生じる場合がある。そこで、設定調整工程S30では、ユーザが、テスト印刷工程S20における印刷結果を肉眼で観察し、シート幅方向に隣接する2つのグループの境界部分に沿って濃度差が生じていないか判断する。そのような濃度差が生じていない(ユーザの肉眼では識別できない)場合は、仮設定工程S10における電源回路の割り当てを維持し、次の本印刷工程S40を行う。一方、そのような濃度差が生じている(ユーザの肉眼で識別できる)場合は、仮設定工程S10における電源回路の割り当てを調整する。以下、具体例に沿って説明する。
【0056】
例えば、テスト印刷工程S20における印刷結果を肉眼で観察した結果、図7に示すグループg20とグループg30の境界部分に沿って濃度差が生じていると認識された場合、グループg20に含まれるノズル列c20と、グループg30に含まれるノズル列c21において、電源回路の割り当てを調整する。例えば、図9に示すように、ノズル列c20とノズル列c21の一部の行(r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21)において、割り当てられている電源回路を入れ替える。つまり、ノズル列c20において、行r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21に位置するノズル11aに割り当てられている電源回路22を、隣接するグループg30に割り当てられている電源回路23に変更する。また、ノズル列c21において、行r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21に位置するノズル11aに割り当てられている電源回路23を、隣接するグループg20に割り当てられている電源回路22に変更する。このとき、グループg20に対応付けられ且つ電源回路22が割り当てられたノズル11aの数は、グループg20に対応付けられ且つ電源回路23が割り当てられたノズル11aの数よりも多い。さらに、図7に示すグループg10とグループg20の境界部分においても濃度差が生じていると認識された場合、グループg10に含まれるノズル列c10と、グループg20に含まれるノズル列c11において、電源回路の割り当てを調整する。つまり、ノズル列c10において、行r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21に位置するノズル11aに割り当てられている電源回路21を、隣接するグループg20に割り当てられている電源回路22に変更する。また、ノズル列c11において、行r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21に位置するノズル11aに割り当てられている電源回路22を、隣接するグループg10に割り当てられている電源回路21に変更する。このとき、グループg20に対応付けられ且つ電源回路22が割り当てられたノズル11aの数は、グループg20に対応付けられ且つ電源回路21が割り当てられたノズル11aの数よりも多い。なお、図9において、ノズル11aを示す円内の数字は、当該ノズルに割り当てられている電源回路の番号の下一桁の数字を表しており、ハッチングが付されているノズル11aは、電源回路の割り当てが変更されたノズル11aを表している。また、割り当てられている電源回路の変更は、図8に示される不揮発性メモリ52に記憶されている電源回路IDを、該当するノズル11aについて書き換えることにより行われる。
【0057】
上記の具体例において、グループg20は本発明の「第1グループ」の一例であり、グループg30は本発明の「第2グループ」の一例であり、グループg10は本発明の「第3グループ」の一例である。また、仮設定工程S10において、グループg20に割り当てられた電源回路22は本発明の「第1電源回路」の一例であり、グループg30に割り当てられた電源回路23は本発明の「第2電源回路」の一例であり、グループg10に割り当てられた電源回路21は本発明の「第3電源回路」の一例である。また、グループg20に含まれ且つグループg30と隣接するノズル列c20は本発明の「第1ノズル列」の一例である。
【0058】
そして、本印刷工程S40では、不揮発性メモリ52に記憶されている電源回路の割り当て情報に従って、各ノズル11aに対応する駆動素子111に電圧を供給する。そして、グループg10~グループg70に含まれる1680個のノズル11aからインク滴を吐出させることにより、シートPに対して印刷を行う。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、テスト印刷工程S20における印刷結果を肉眼で観察した結果、シート幅方向に隣接するいずれか2つのグループの境界部分に沿って濃度差が生じていると認識された場合、境界を形成する一部のノズルにおいて、電源回路の割り当てが変更される。具体的には、一方のグループに含まれ且つ他方のグループに隣接するノズル列では、一部のノズル11aに対して他方のグループに割り当てられている電源回路が割り当てられる。また、他方のグループに含まれ且つ一方のグループに隣接するノズル列では、一部のノズル11aに対して一方のグループに割り当てられている電源回路が割り当てられる。これにより、2つのグループの境界部分の濃度差を緩和できる。
【0060】
また、上記実施形態によれば、電源回路自体の出力電圧値を補正するのではなく、予め設定した電源回路の割り当てを調整することにより、2つのグループの境界部分の濃度差を緩和できる。電源回路の出力電圧値を調整可能に構成する必要がないため、製造コストの増加を抑制できる。
【0061】
以上説明した実施形態は、本発明の例示に過ぎず、適宜変形し得る。上記実施形態では、ノズル列c20及びノズル列c21のうち、搬送方向の特定の位置(r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21)に位置するノズル11aに対して電源回路を入れ替えたが、2つのノズル列において、電源回路を入れ替えるノズル11aの搬送方向の位置及び数は、適宜変更し得る。
【0062】
また、上記実施形態では、ノズル列c20及びノズル列c21において、電源回路を入れ替えるノズル11aの搬送方向の位置は同じであったが、2つのノズル列において、電源回路を入れ替えるノズル11aの搬送方向の位置が異なっていてもよい。例えば、ノズル列c20では行r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21に位置するノズル11aの電源回路を入れ替え、ノズル列c21では行r04、r07、r10、r13、r16、r19、r22に位置するノズル11aの電源回路を入れ替えてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ノズル列c20とノズル列c21の両方において、電源回路を入れ替えたが、2つのノズル列の一方のみにおいて、電源回路入れ替えてもよい。例えば、ノズル列c21では電源回路の割り当ては変更せず、ノズル列c20に含まれる一部のノズル11aに対してのみ、電源回路の割り当てを変更してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、グループg20に含まれるノズル列c20と、グループg30に含まれるノズル列c21において、電源回路の割り当てを調整したが、グループg20に含まれる複数のノズル列と、グループg30に含まれる複数のノズル列において、電源回路の割り当てを調整してもよい。例えば図10に示されるように、グループg20においては、ノズル列c20だけではなく、ノズル列c19及びノズル列c18においても、電源回路の割り当てを調整してもよい。同様に、グループg20に隣接するグループg30においても、ノズル列c21だけでなく、ノズル列c22等において電源回路の割り当てを調整してもよい。この場合、ノズル列c20では7つの行r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21に電源回路23が割り当てられ、ノズル列c19では4つの行r04、r10、r16、r22に電源回路23が割り当てられ、ノズル列c18では2つの行r11、r17に電源回路23が割り当てられている。同様に、ノズル列c21では7つの行r03、r06、r09、r12、r15、r18、r21に電源回路22が割り当てられ、ノズル列c22では4つの行r04、r10、r16、r22に電源回路22が割り当てられている。つまり、グループg20において、電源回路23が割り当てられるノズル11aの数は、グループg30からシート幅方向に離れるにつれて少なくなっている。同様に、グループg30において、電源回路22が割り当てられるノズル11aの数は、グループg20からシート幅方向に離れるにつれて少なくなっている。
【0065】
なお、ノズル列c19において電源回路の割り当てが調整されるノズル11aの数は、ノズル列c20において電源回路の割り当てが調整されるノズル11aの数以下であればよい。また、ノズル列c18において電源回路の割り当てが調整されるノズル11aの数は、ノズル列c19において電源回路の割り当てが調整されるノズル11aの数以下であればよい。グループg30についても同様に、ノズル列c22において電源回路の割り当てが調整されるノズル11aの数は、ノズル列c21において電源回路の割り当てが調整されるノズル11aの数以下であればよい。
【0066】
図10に示す変形例において、グループg20に含まれるノズル列c19は本発明の「第2ノズル列」の一例である。グループg20に含まれ、且つ、ノズル列c19よりもグループg30からシート幅方向に離れているノズル列c18は、本発明の「第3ノズル列」の一例である。また、グループg30に含まれるノズル列c21は本発明の「第4ノズル列」の一例である。グループg30に含まれ、且つ、ノズル列c21よりもグループg20からシート幅方向に離れているノズル列c22は、本発明の「第5ノズル列」の一例である。
【0067】
また上記実施形態の仮設定工程S10では、1680個のノズル11aを、10列のノズル列ごとに7個のグループg10~g70に分類したが、7個のグループg10~g70の各々を、搬送方向に沿って複数行ごとにさらに細かく分類してもよい。例えば、図11に示されるように、グループg20では、行r01~r08をグループg21、行r09~r16をグループg22、行r17~r24をグループg23と定義し、グループg21には電源回路22を割り当て、グループg22には電源回路23を割り当て、グループg23には電源回路24を割り当ててもよい。そして、設定調整工程S30では、テスト印刷工程S20における印刷結果に基づいて、搬送方向に隣接する2つのグループの境界部分においても、電源回路の割り当てを調整してもよい。例えば、図11においてハッチングが付されているノズル11aに対して、電源回路の割り当てを調整してもよい。つまり、グループg21では、行r08に位置するノズル11aの一部に割り当てられた電源回路22を電源回路23に変更し、グループg22では、行r09に位置するノズル11aの一部に割り当てられた電源回路23を電源回路22に変更する。同様に、グループg22では、行r16に位置するノズル11aの一部に割り当てられた電源回路23を電源回路24に変更し、グループg23では、行r17に位置するノズル11aの一部に割り当てられた電源回路24を電源回路23に変更する。この変形例において、グループg22は本発明の「第1グループ」の一例であり、グループg23は本発明の「第4グループ」の一例である。また、電源回路24は本発明の「第4電源回路」の一例である。
【0068】
また、上記実施形態では、図9に示されるように、例えばグループg01に含まれるノズル列c10、グループg02に含まれるノズル列c11、c20、グループg03に含まれるノズル列c21等において電源回路の割り当ての調整が行われるが、それ以外のノズル列では電源回路の割り当ての調整が行われない。このため、仮設定工程S10では、予め、電源回路の割り当ての調整を行わないグループと、電源回路の割り当ての調整を許容するグループとを定義してもよい。例えば、シート幅方向に隣接するノズル列c10とc11の組、ノズル列c20とc21の組、ノズル列c30とc31の組、ノズル列c40とc41の組、ノズル列c50とc51の組、及びノズル列c60とc61の組をそれぞれ、電源回路の割り当ての調整を許容するグループg15、g25、g35、g45、g55、g65と定義し、それ以外のノズル列を、電源回路の割り当ての調整を行わないグループg10、g20、g30、g40、g50、g60、g70と定義してもよい。この場合、例えばノズル列c20とc21の組からなるグループg25では、グループg20に割り当てられた電源回路22と、グループg30に割り当てられた電源回路23とが混在する。この変形例において、例えばグループg25は本発明の「第1グループ」の一例であり、グループg20は本発明の「第2グループ」の一例であり、グループg30は本発明の「第3グループ」の一例である。また、グループg20に割り当てられた電源回路22は本発明の「第1電源回路」の一例であり、グループg30に割り当てられた電源回路23は本発明の「第2電源回路」の一例である。
【0069】
また、上記実施形態の仮設定工程S10では、10列のノズル列ごとに7個のグループg10~g70を定義し、各グループに対して電源回路21~25のいずれか一つを割り当てたが、必ずしもグループを定義する必要はなく、ノズル列ごとに電源回路21~25のいずれか一つ割り当ててもよい。例えば、ノズル列c11~c20の各々には電源回路22を割り当て、ノズル列c21~c30の各々には電源回路23を割り当ててもよい。そして、設定調整工程S30では、例えば、ノズル列c12~c19の各々を構成するノズル11aに対しては電源回路22の割り当てを変えず、ノズル列c20及びc21を構成するノズル11aの一部において電源回路22と電源回路23との割り当てを入れ替え、ノズル列c22~c29の各々を構成するノズル11aに対しては電源回路23の割り当てを変えなくてもよい。この場合、ノズル列c20及びc21は、本発明の「少なくとも1つの境界ノズル列」の一例である。なお、上記のようにノズル列ごとに電源回路21~25のいずれか一つを割り当てる場合、調整設定工程S30では、ノズル列c20においてのみ、一部のノズル11aに割り当てられている電源回路を電源回路23に変更してもよい。つまり、調整設定工程S30の後、ノズル列c20には、電源回路22が割り当てられているノズル11aと電源回路23が割り当てられているノズル11aとが混在してもよい。
【0070】
上記実施形態では、仮設定工程S10において電源回路の割り当てを仮設定した後、テスト印刷工程S20においてテスト印刷を行った。そして、設定調整工程S30では、テスト印刷工程S20における印刷結果に基づいて電源回路の割り当てを調整した。しかし、これには限られない。例えば、仮設定工程S10の後、テスト印刷工程S20や設定調整工程S30を行わずに本印刷工程S40を行ってもよく、本印刷工程S40を行っている最中に、印刷結果に応じて電源回路の割り当てを調整してもよい。この場合、例えば図12に示すように、4つのラインヘッド4に対して搬送方向の下流側に濃度センサ6を設け、本印刷中に、濃度センサ6によってシート幅方向の複数の位置で濃度を検出してもよい。そして、搬送方向に隣接する2つの位置における濃度の差が所定の閾値を超えた場合、当該2つの位置に相当するノズル列において、電源回路の割り当てを変更してもよい。
【0071】
上記実施形態において、印刷装置1は、印刷装置1に対して固定されたシート幅方向に長いラインヘッド4からインクを吐出する所謂ラインヘッド方式で、シートPへの印刷を行う。しかし、印刷装置1は、キャリッジによってヘッド11をシート幅方向に移動させる所謂シリアルヘッド方式で、シートPへの印刷を行ってもよい。
【0072】
上記実施形態では、印刷装置1にラインヘッド4が固定され、シートPが搬送されていたが、ラインヘッド4に対してシートPが相対的に移動していればよく、例えば、固定されたシートPに対してラインヘッド4が移動するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 印刷装置
4 ラインヘッド
5A,5B 搬送ローラ
7 制御装置
11 ヘッド
11a ノズル
21~26 電源回路
27 ドライバIC
50 第2基板
51 FPGA
52 不揮発性メモリ
60 フレキシブル回路基板
62 不揮発性メモリ
71 第1基板
711 FPGA
712 EEPROM
T テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12