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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】移動式クレーンおよび遠隔端末装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20231017BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20231017BHJP
   B66C 13/46 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B66C13/48 J
B66C13/00 D
B66C13/46 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019162054
(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2021038086
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】林 洋幸
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-133681(JP,A)
【文献】特開2016-153335(JP,A)
【文献】特開2018-090366(JP,A)
【文献】特開2016-166086(JP,A)
【文献】特開2013-120176(JP,A)
【文献】特開昭64-043498(JP,A)
【文献】特開2019-094177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/48
B66C 13/00
B66C 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回、起伏および伸縮可能なブームと、
前記ブームの先端部にウインチによって巻上および巻下可能なワイヤロープによって吊り下げられたフックと、
前記ブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ワイヤロープの繰り出し長さから前記フックの位置情報を取得する位置取得部と、
前記ブームの先端部に接続され且つ前記フックを含む映像を撮影する吊り荷カメラと、
前記吊り荷カメラが撮影した映像を表示する表示部と、
前記位置取得部が取得した位置情報から前記フックの高さ方向における位置の単位時間あたり変化量を算出し、前記変化量を前記表示部に表示する制御部と、
を備える、
移動式クレーン。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式クレーンにおいて、
前記制御部は、
前記変化量が所定値以上になると、前記変化量が前記所定値未満になるように、前記ブームおよび前記ウインチの少なくとも一つを制御する、
移動式クレーン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の移動式クレーンにおいて、
前記制御部は、
前記変化量が所定値以上になると、前記変化量を前記所定値未満にするための指示である、前記ブームの起伏、前記ブームの伸縮、ならびに、前記ワイヤロープの巻上および巻下に関する指示のうち少なくとも一つを前記表示部に表示する、
移動式クレーン。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動式クレーンにおいて、
前記制御部は、
前記フックの高さ方向における移動方向および前記変化量によって異なる態様で、前記変化量を前記表示部に画像で表示する、
移動式クレーン。
【請求項5】
請求項4に記載の移動式クレーンにおいて、
前記画像は前記フックの水平方向の移動方向を示す図形である、
移動式クレーン。
【請求項6】
旋回、起伏および伸縮可能なブームと、前記ブームの先端部にウインチによって巻上および巻下可能なワイヤロープによって吊り下げられたフックと、前記ブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ワイヤロープの繰り出し長さから前記フックの位置情報を取得する位置取得部と、前記ブームの先端部に接続され且つ前記フックを含む映像を撮影する吊り荷カメラと、を備える移動式クレーンの遠隔操作端末であって、
前記吊り荷カメラが撮影した映像を表示する表示部と、
前記移動式クレーンの制御装置と通信可能に構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記位置取得部が取得した位置情報から前記フックの高さ方向における位置の単位時間あたり変化量を算出し、前記変化量を前記表示部に表示する、
遠隔操作端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式クレーンおよび遠隔端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブームの先端部にフックを含む映像を撮影する吊り荷カメラが取り付けられているクレーンが知られている。前記クレーンでは、クレーンの操縦者は、操作室に設置されたモニタに映し出された前記映像を確認しながら、ブームの旋回、起伏および伸縮操作、並びに、ワイヤロープの巻上および巻下操作を行うことができる。
【0003】
前記モニタには、吊り荷カメラが撮影した映像の他にフックの位置および移動方向に関する情報を、さらに表示させることができる。前記モニタに表示された情報により、操縦者は、フックに吊られた荷物の移動状況を確認することができる。
【0004】
特許文献1には、吊り荷カメラが撮影した映像にフックの上下の移動方向を示す矢印を重畳させてモニタに表示する画像表示装置が開示されている。前記画像表示装置では、前記矢印は、水平面に対するフックの移動方向を示している。したがって、前記画像表示装置では、ブームの倒伏操作を行っているときでも、ワイヤロープの巻上げによるフックの上向きの移動量がブームの倒伏操作によるフックの下向きに移動量よりも大きければ、上向きの矢印が表示される。また、前記画像表示装置では、ブームの起立操作を行っているときでも、ワイヤロープの巻下げによるフックの下向きの移動量がブームの起立操作によるフックの上向きの移動量よりも大きければ、下向きの矢印が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-166087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、クレーンの操作において、荷物の高さ位置を一定の割合で変化させながら、荷物を移動させたい場合がある。このとき、操縦者は、モニタに表示される映像や、フックの位置等に関する情報を確認しながら、クレーンの操作を行う。特許文献1に開示の矢印の表示では、荷物の高さ位置の変化を把握することができるが、高さ位置の変化の割合は把握できない。したがって、従来のような映像や矢印の情報を用いて、荷物の高さ位置を一定の割合で変化させながら、荷物を水平に移動させるべくクレーンを操作することは難しかった。
【0007】
本発明の目的は、荷物の高さ方向における位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動可能なクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
第1の発明は、旋回、起伏および伸縮可能なブームと、前記ブームの先端部にウインチによって巻上および巻下可能なワイヤロープによって吊り下げられたフックと、前記ブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ワイヤロープの繰り出し長さから前記フックの位置情報を取得する位置取得部と、前記ブームの先端部に接続され且つ前記フックを含む映像を撮影する吊り荷カメラと、前記吊り荷カメラが撮影した映像を表示する表示部と、前記位置取得部が取得した位置情報から前記フックの高さ方向における位置の単位時間あたり変化量を算出し、前記変化量を前記表示部に表示する制御部と、を備える移動式クレーンである。
【0010】
第2の発明は、前記変化量が所定値以上になると、前記変化量が前記所定値未満になるように、前記ブームおよび前記ウインチの少なくとも一つを制御する、制御部を備える移動式クレーンである。
【0011】
第3の発明は、前記変化量が所定値以上になると、前記変化量を所定値未満にするための指示である、前記ブームの起伏、前記ブームの伸縮、ならびに、前記ワイヤロープの巻上および巻下に関する指示のうち少なくとも一つを前記表示部に表示する、制御部を備える移動式クレーンである。
【0012】
第4の発明は、前記フックの高さ方向における移動方向および前記変化量によって異なる態様で、前記変化量を前記表示部に画像で表示する、制御部を備える移動式クレーンである。
【0013】
第5の発明は、前記変化量を表示する前記画像は前記フックの水平方向の移動方向を示す、移動式クレーンである。
【0014】
第6の発明は、旋回、起伏および伸縮可能なブームと、前記ブームの先端部にウインチによって巻上および巻下可能なワイヤロープによって吊り下げられたフックと、前記ブームの長さ、前記ブームの起伏角度及び前記ワイヤロープの繰り出し長さから前記フックの位置情報を取得する位置取得部と、前記ブームの先端部に接続され且つ前記フックを含む映像を撮影する吊り荷カメラと、を備える移動式クレーンの遠隔操作端末である。前記遠隔操作端末は、前記吊り荷カメラが撮影した映像を表示する表示部と、前記移動式クレーンの制御装置と通信可能に構成された制御部と、を備える。前記制御部は、前記位置取得部が取得した位置情報から前記フックの高さ方向における位置の単位時間あたり変化量を算出し、前記変化量を前記表示部に表示する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
第1の発明では、高さ方向におけるフックの位置の変化が表示部に表示される。これにより、操縦者は、フックに吊られた荷物の高さ方向における変化の割合を把握できるため、荷物の高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動させるようクレーンを操作することができる。
【0017】
第2の発明では、フックの高さ位置の変化の割合が所定値未満に収まるようにブームまたはウインチの少なくとも一つが制御される。これにより、操縦者は、フックの高さ位置の予期しない変動を抑制し、荷物の高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動させるようクレーンを制御することができる。
【0018】
第3の発明では、フックの高さ位置の変化の割合を所定値未満に収めるための適切な操作を操縦者に提示する。これにより、操縦者は、フックの高さ位置の予期しない変動を抑制し、荷物の高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動させるようクレーンを制御することができる。
【0019】
第4の発明では、高さ方向におけるフックの位置の変化が画像で表示される。これにより、操縦者は、荷物の高さ位置の変化の割合を視覚的に容易に把握できるため荷物の高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動させるようクレーンを操作することができる。
【0020】
第5の発明では、水平方向および高さ方向におけるフックの位置の変化が、一つの画像で表現される。これにより、操縦者は、荷物の高さ方向の位置の変化に併せて水平方向の移動方向を把握できるため荷物の高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動させるようクレーンを操作することができる。
【0021】
第6の発明では、高さ方向におけるフックの位置の変化が遠隔操作端末の表示部に表示される。これにより、操縦者は、遠隔で、荷物の高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物が移動するようにクレーンを操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、クレーンの全体構成を示す側面図である。
図2図2は、実施形態1に係るクレーンの制御構成を示すブロック図である。
図3図3は、クレーンの操縦席を示す平面図である。
図4図4は、実施形態1に係る画像処理部の構成を示すブロック図である。
図5図5は、カメラモニタの表示内容を示す図である。
図6図6は、カメラモニタの表示内容を示す図である。
図7図7は、実施形態1に係る画像処理部の処理フロー図である。
図8図8は、実施形態2に係る画像処理部の構成を示すブロック図である。
図9図9は、カメラモニタの表示内容を示す図である。
図10図10は、実施形態3に係るクレーンの制御構成を示すブロック図である。
図11図11は、遠隔操作端末の概略構成を示す平面図である。
図12図12は、実施形態3に係る画像処理部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態1)
以下に、図1から図3を用いて、本発明の実施形態1に係る移動式クレーンであるクレーン1について説明する。なお、本実施形態においては、ラフテレーンクレーンついて説明を行うが、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、積載型トラッククレーン、高所作業車等でもよい。
【0024】
以下の説明において、高さ方向とは、鉛直方向を意味する。また、高さ位置とは、クレーン1を基準とした高さ方向の位置を言う。
【0025】
図1に示すように、クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、車両2、作業装置であるクレーン装置6および制御装置31(図2参照)を有する。
【0026】
車両2は、クレーン装置6を搬送する移動体である。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン4を動力源として走行する。車両2には、アウトリガ5が設けられている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
【0027】
クレーン装置6は、荷物Wをワイヤロープによって吊り上げる装置である。クレーン装置6は、旋回台7、ブーム9、ジブ9a、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16およびキャビン17等を具備する。
【0028】
旋回台7は、クレーン装置6を旋回する装置である。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。旋回台7には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ8が設けられている。旋回台7は、旋回用油圧モータ8によって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
【0029】
アクチュエータである旋回用油圧モータ8は、電磁比例切換弁である旋回用バルブ23(図2参照)によって回転操作される。旋回用バルブ23は、旋回用油圧モータ8に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。旋回台7には、旋回台7の旋回位置(角度)と旋回速度とを検出する旋回用センサ27(図2参照)が設けられている。
【0030】
ブーム9は、荷物Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持する梁部材である。ブーム9は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。ブーム9は、各ブーム部材をアクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。また、ブーム9には、ジブ9aが設けられている。
【0031】
アクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダは、電磁比例切換弁である伸縮用バルブ24(図2参照)によって伸縮操作される。ブーム9には、ブーム9の長さを検出する伸縮用センサ28や荷物Wの重量を検出する重量センサ等が設けられている。
【0032】
吊り荷カメラ9b(図2参照)は、荷物Wおよび荷物W周辺の地物を撮影する撮影装置である。吊り荷カメラ9bは、ブーム9の先端部に設けられている。吊り荷カメラ9bは、荷物Wの鉛直上方から荷物Wおよびクレーン1周辺の地物や地形を撮影可能に構成されている。
【0033】
メインフックブロック10とサブフックブロック11とは、荷物Wを吊る部材である。メインフックブロック10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、荷物Wを吊るメインフック10aとが設けられている。サブフックブロック11には、荷物Wを吊るサブフック11aが設けられている。
【0034】
起伏用油圧シリンダ12は、ブーム9を起立および倒伏させ、ブーム9の姿勢を保持するアクチュエータである。起伏用油圧シリンダ12は、電磁比例切換弁である起伏用バルブ25(図2参照)によって起伏操作される。ブーム9には、ブーム9の起伏角度を検出する起伏用センサ29(図2参照)が設けられている。
【0035】
メインウインチ13は、メインワイヤロープ14の繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行う。メインウインチ13は、メインワイヤロープ14が巻きつけられるメインドラムがアクチュエータである図示しないメイン用油圧モータによって回転されるように構成されている。
【0036】
サブウインチ15は、サブワイヤロープ16の繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行う。サブウインチ15は、サブワイヤロープ16が巻きつけられるサブドラムがアクチュエータである図示しないサブ用油圧モータによって回転されるように構成されている。
【0037】
メイン用油圧モータは、電磁比例切換弁であるメイン用バルブ26m(図2参照)によって回転操作される。メインウインチ13は、メイン用バルブ26mによってメイン用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。同様に、サブウインチ15は、電磁比例切換弁であるサブ用バルブ26s(図2参照)によってサブ用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。
【0038】
前記メインドラムには、メインワイヤロープ14の繰り入れおよび繰り出し量を検出するメインワイヤロープ繰り出し用センサ30m(図2参照)が設けられている。前記サブドラムには、サブワイヤロープ16の繰り入れおよび繰り出し量を検出するサブワイヤロープ繰り出し用センサ30s(図2参照)が設けられている。
【0039】
キャビン17は、旋回台7に搭載されている。図3に示すように、キャビン17の内部には、操縦席22が設けられている。操縦席22には、車両2を走行操作するための操作具や旋回台7の旋回操作およびブーム9の伸縮操作を行う旋回伸縮操作具18、メインウインチ13およびサブウインチ15の繰り入れ繰り出し操作、ならびに、ブーム9の起伏操作を行う起伏操作具19等が設けられている。
【0040】
旋回伸縮操作具18は、左右方向に傾倒することでクレーン装置6を旋回させる指示が入力され、前後方向に傾倒することでブーム9を伸縮させる指示が入力される操作具である。起伏操作具19は、左右方向に傾倒することでメインウインチ13またはサブウインチ15を回転させる指示が入力され、前後方向に傾倒することでブーム9を起伏させる指示が入力される操作具である。
【0041】
操縦席の前方には、操作盤が配置されている。前記操作盤には、メインモニタ40、および表示部であるカメラモニタ41が備えられている。メインモニタ40およびカメラモニタ41は、液晶画面等の表示装置から構成されている。メインモニタ40には、クレーン1の姿勢情報や荷物Wの情報等の様々な情報が表示される。
【0042】
表示部であるカメラモニタ41には、吊り荷カメラ9bが撮影した映像Gが表示される。カメラモニタ41には、さらに、後述する画像処理部33から出力される情報が、映像Gに重畳されて表示される。カメラモニタ41の表示内容の詳細については後述する。
【0043】
図2に示すように、制御装置31は、各操作弁を介してクレーン1のアクチュエータを制御する装置である。制御装置31は、キャビン17内に設けられている。制御装置31は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置31は、各アクチュエータや切換え弁、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0044】
制御装置31は、吊り荷カメラ9b、旋回伸縮操作具18および起伏操作具19に接続され、吊り荷カメラ9bの映像Gを取得し、旋回伸縮操作具18および起伏操作具19のそれぞれの操作量を取得することができる。
【0045】
制御装置31は、旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに接続され、旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに制御信号を伝達することができる。
【0046】
制御装置31は、旋回用センサ27、伸縮用センサ28、起伏用センサ29、メインワイヤロープ繰り出し用センサ30m、およびサブワイヤロープ繰り出し用センサ30sに接続され、旋回台7の旋回位置、ブーム長さ、起伏角度等の姿勢情報、荷物Wの重量、メインワイヤロープの繰り出し長さ、およびサブワイヤロープの繰り出し長さを取得することができる。
【0047】
制御装置31は、旋回伸縮操作具18および起伏操作具19の傾倒方向および傾倒量に基づいて各操作具に対応した制御信号を生成する。
【0048】
制御装置31は、位置取得部32および画像処理部33を有する。位置取得部32は、旋回用センサ27、伸縮用センサ28、起伏用センサ29、メインワイヤロープ繰り出し用センサ30m、およびサブワイヤロープ繰り出し用センサ30sが取得した、旋回台7の旋回位置、ブーム9の長さおよび起伏角度、メインワイヤロープ14またはサブワイヤロープ16の繰り出し長さから、ブーム9の基端部に対するメインフック10aおよびサブフック11aの位置である位置情報を取得する。
【0049】
画像処理部33は、メインフック10aおよびサブフック11aの高さ方向における位置の単位時間あたりの変化量をカメラモニタ41に表示する。画像処理部33の詳細な構成については後述する。
【0050】
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏操作具19の前後方向の傾倒操作によって起伏用油圧シリンダ12でブーム9を任意の起伏角度に起立させて、旋回伸縮操作具18の前後方向の傾倒操作によってブーム9を任意のブーム長さに延伸させることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。また、クレーン1は、起伏操作具19の左右方向の傾倒操作によって荷物Wを吊り上げて、旋回伸縮操作具18の左右方向の傾倒操作によって旋回台7を旋回させることで荷物Wを搬送することができる。なお、クレーン1は、搬送物の重量および所望する吊り上げ速度に応じてメインウインチ13を使用するかサブウインチ15を使用するか選択することができる。
【0051】
(画像処理部)
次に、図4から図6を用いて制御部である画像処理部33について、詳細に説明する。画像処理部33は、クレーン1に吊られた荷物Wの高さ方向における位置の単位時間あたり変化量を算出して、前記変化量をカメラモニタ41に表示する。以下の説明では、画像処理部33が、サブフック11aに吊られた荷物Wの前記変化量を算出する場合について説明する。なお、画像処理部33は、同様に、メインフック10aに吊られた荷物Wの前記変化量を算出することもできる。メインフック10aに荷物Wが吊られる場合の画像処理部33の構成は、サブフック11aに荷物Wが吊られる場合の画像処理部33の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
画像処理部33は、図4に示すように、移動方向取得部34、変化量算出部35、判定部36、制御指示生成部37、図形生成部38、および設定部39を有する。
【0053】
移動方向取得部34は、旋回伸縮操作具18および起伏操作具19の各操作信号から、サブフック11aの水平方向の移動方向を取得して、図形生成部38に前記移動方向を出力する。
【0054】
変化量算出部35は、位置取得部32が取得したサブフック11aに関する位置情報から、サブフック11aの高さ方向における位置の単位時間あたり変化量を算出する。つまり、変化量算出部35は、高さ方向における、サブフック11aに吊られた荷物Wの移動速度を算出できる。以下の説明では、サブフック11aの高さ方向における位置の単位時間あたり変化量を、単に変化量Vと呼ぶ。
【0055】
変化量Vには、サブフック11aの高さ方向(上下方向)の移動方向を示す「+」または「-」の符号が付加される。例えば、高さ方向において、上方向に移動するサブフック11aの変化量Vを示す値には、+の符号が付加され、下方向に移動するサブフック11aの変化量Vを示す値には、-の符号が付加される。変化量算出部35は、判定部36および図形生成部38に変化量Vを出力する。
【0056】
判定部36は、変化量Vが設定部39に設定された変化量閾値Th以上であるかを判定する。判定部36は、判定結果を、制御指示生成部37に出力する。
【0057】
制御指示生成部37は、変化量Vが変化量閾値Th以上であるとき、変化量Vを変化量閾値Th未満にするためのクレーン1の操作に関する指示を生成する。具体的には、制御指示生成部37は、ブーム9を起立または倒伏する指示、ブーム9を短縮または延伸する指示、サブワイヤロープ16を繰り入れまたは繰り出す指示のうち少なくとも一つを生成する。例えば、変化量Vに+の符号が付加されている場合、制御指示生成部37は、荷物Wの高さ位置を下方向に移動させる指示である、ブーム9を倒伏する指示、ブーム9を短縮する指示、サブワイヤロープ16を繰り入れているときは、繰り入れの操作量を小さくする指示、サブワイヤロープ16を繰り出しているときは、繰り出しの操作量を大きくする指示のうち少なくとも一つを生成する。制御指示生成部37は、前記生成した指示を指示信号として図形生成部38に出力する。
【0058】
図形生成部38は、カメラモニタ41に表示する画像である図形Sを生成する。図形Sは、本実施形態では、幅のある矢印の図形である。図形Sにおいて、矢印の先端は、移動方向取得部34が取得したサブフック11aの水平方向の移動方向を指し示す。なお、図形Sの形状は、サブフック11aの水平方向の移動方向を認識可能であれば、矢印でなくてもよい。
【0059】
図形Sは、本実施形態では、変化量算出部35が算出した変化量Vに応じて異なる色で表現される。例えば、図形Sは、+の変化量Vが任意に定めた色変更値よりも大きいときは赤色、+の変化量Vが前記色変更値よりも小さく且つ0よりも大きいときはピンク、変化量Vが0のときは白色で表現される。また、図形Sは、-の変化量Vが任意に定めた色変更値よりも大きいときは青色、-の変化量Vが前記色変更値よりも小さく且つ0よりも大きいときは水色で表現される。このように、図形Sは、任意に定めた色変更値を基準として、変化量Vの方向と大きさにより複数の段階(本実施形態において5段階)で表示される。また、図形Sは、変化量Vの方向と大きさに比例して赤色から青色の間で無段階に変化するようにしてもよい。これにより、図形生成部38は、一つの図形で、水平方向の移動方向を示すとともに、変化量Vを多段階または無段階の色の変化で表示することができる。なお、図形Sの表示の態様を異ならせる手段は、異なる色を使用するものに限られず、例えば、異なる大きさの矢印を使用するものでもよいし、単一の色を異なる濃度で表示するものであってもよい。あるいは、点滅パターンによるものであってもよい。
【0060】
図形生成部38は、生成した図形Sをカメラモニタ41に出力する。また、図形生成部38は、制御指示生成部37からの指示信号があるときは、指示内容をカメラモニタ41に出力する。
【0061】
設定部39は、色変更値や変化量閾値Thが設定される。設定部39は、図示しない入力装置から入力された色変更値や変化量閾値Thの値を取得し、保持する。また、設定部39は、図形生成部38が生成する図形の形状や、図形の表示態様を保持してもよい。
【0062】
次に、画像処理部33からの出力が表示されたカメラモニタ41の表示内容について説明する。
【0063】
図5は、カメラモニタ41の表示内容の一例を示す図である。カメラモニタ41には、吊り荷カメラ9bが撮影している映像Gが表示される。カメラモニタ41は、画面の中央にサブフック11aに吊り下げられている荷物Wが表示されるように制御装置31によって出力位置が調整されている。
【0064】
カメラモニタ41には、画像処理部33から出力された図形Sが、吊り荷カメラ9bが取得した映像Gに重畳して表示される。
【0065】
図5(A)は、一例として、サブフック11aに吊られている荷物Wが前方に移動し、荷物Wの高さ位置が変動していないときのカメラモニタ41の表示である。図5(A)に示すように、カメラモニタ41には、荷物Wの移動方向である前方を示す矢印が、荷物Wの高さ位置が変動していないことを示す白色(白塗矢印参照)で表示される。図5(B)は、一例として、荷物Wが前方に移動し、高さ方向において、荷物Wが設定部39に設定された変化量閾値Thよりも小さい速度で、且つ色変更値よりも大きい-の変化量Vで移動しているときのカメラモニタ41の表示である。図5(B)に示すように、カメラモニタ41には、荷物Wの移動方向である前方を示す矢印が、荷物Wが色変更値よりも大きい-の変化量Vで移動していることを示す青色(黒塗矢印参照)で表示される。
【0066】
このように、上述の構成を有する画像処理部33は、吊り荷カメラ9bが撮影した映像Gが表示されるカメラモニタ41に、サブフック11aの移動方向を示す矢印の図形Sを重畳して表示させる。また、画像処理部33は、図形Sをサブフック11aの変化量Vの方向と値に応じて異なる色で表示する。
【0067】
変化量Vが所定の変化量閾値Th以上の場合、画像処理部33は、変化量Vが前記所定の変化量閾値Th未満になるようにサブフック11aの高さ位置を変えるための指示をカメラモニタ41に表示する。図6は、一例として、荷物Wが前方向に移動し、高さ方向において、荷物Wが設定部39に設定された変化量閾値Th以上の速度で下方向に移動しているときのカメラモニタ41の表示である。図6に示すように、カメラモニタ41には、荷物Wの移動方向である前方を示す矢印の図形Sが、色変更値よりも大きい-の変化量Vで下方向に移動していることを示す青色(黒塗矢印参照)で表示される。また、カメラモニタ41には、操縦者に対するワイヤロープの操作に関する指示が提示される。
【0068】
(画像処理)
次に、図7を用いて、画像処理部33による画像処理について説明する。図7は、画像処理部33による処理を示すフロー図である。
【0069】
図7に示すフローがスタートすると、移動方向取得部34は、旋回伸縮操作具18および起伏操作具19の操作信号から、サブフック11aの水平方向の移動方向を取得する(ステップS1)。図形生成部38は、移動方向取得部34が取得した前記移動方向を指し示す矢印の図形Sを生成する(ステップS2)。
【0070】
次に、変化量算出部35は、位置取得部32が取得したサブフック11aの位置情報から、サブフック11aの変化量Vを算出する(ステップS3)。
【0071】
図形生成部38は、設定部39に設定された色変更値を参照して、変化量Vに応じた色を取得する(ステップS4)。図形生成部38は、図形Sの色を前記取得した色に変更する(ステップS5)。
【0072】
次に、判定部36は、取得した変化量Vが設定部39に設定された変化量閾値Th以上か否かを判定する(ステップS6)。
【0073】
ステップS6での判定結果がYESのとき、制御指示生成部37は、変化量Vを小さくするためのクレーン1の操作に関する操作指示を生成し(ステップS7)、前記操作指示を図形生成部38に出力する(ステップS8)。
【0074】
ステップS6での判定結果がNOのとき、および、ステップS8の処理の後に、図形生成部38は、図形Sをカメラモニタ41に出力して(ステップS9)、フローを終了する。
【0075】
以上の構成を有する画像処理部33を備えたクレーン1では、サブフック11aの変化量Vに応じて異なる態様の図形Sがカメラモニタ41に表示される。よって、操縦者は、図形Sの態様によって、サブフック11aに吊られた荷物Wの高さ方向における変化の方向および変化の割合を把握できるため、容易に荷物Wの高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動させることができる。
【0076】
例えば、操縦者は、カメラモニタ41に前方を指し示す白色の矢印が表示されていることを確認しながら、クレーン1を操縦することで、高さ位置を変えずに荷物Wを水平に移動させることができる。また、操縦者は、荷物Wの高さ方向の移動速度(変化量V)を速度V1よりも小さい速度で下方向に移動させたい場合、図形Sが水色で表示される範囲を設定する色変更値を速度V1に設定する。操縦者は、カメラモニタ41に前方を指し示す水色の矢印が表示されていることを確認しながら、クレーン1を操縦することで、高さ位置を速度V1よりも小さい速度で変化させながら荷物を移動させることができる。なお、本実施形態において、変化量Vは、図形Sの色で表示されているが、カメラモニタ41における画面の少なくとも一部を変化量Vに対応する色で表示したり、図形Sと別の図形で表示したりする構成であってもよい。
【0077】
また、荷物Wの高さ位置の変化の割合が変化量閾値Th以上になるような操作を操縦者が行ったとき、画像処理部33は、サブフック11aの変化量Vを小さくさせるための適切な操作を操縦者に提示する。これにより、操縦者は、フックの高さ位置の予期しない変動を抑制し、荷物Wの高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物を移動させるようクレーン1を制御することができる。
【0078】
また、本実施形態では、クレーン1は、サブフック11aの水平方向の移動方向および高さ方向における位置の変化の割合を、一つの図形Sで表現することができる。よって、操縦者は、荷物Wの水平方向の位置の変化に併せて高さ位置の変化の割合を視覚的に把握することができため、荷物の位置の変動を容易に制御することができる。したがって、荷物Wの高さ方向における位置を、容易に任意の割合で変化させながら荷物を移動することができるクレーンを提供することができる。
【0079】
(実施形態2)
次に、図8および図9を用いて、本発明の実施形態2に係るクレーン1について説明する。本実施形態では、クレーン1の制御装置31が有する画像処理部133の制御指示生成部137は、変化量Vが変化量閾値Th以上になると、ブーム9、および、メインウインチ13またはサブウインチ15の少なくとも一つを自動で制御する点で、実施形態1の構成とは異なる。以下の説明では、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同一の符号を付して、説明を省略する。
【0080】
画像処理部133は、図8に示すように、移動方向取得部34、変化量算出部35、判定部36、制御指示生成部137、図形生成部138、および設定部39を有する。
【0081】
制御指示生成部137は、変化量Vが変化量閾値Th以上であるとき、変化量Vを変化量閾値Th未満にするためのブーム9、および、メインウインチ13またはサブウインチ15の少なくとも一つを制御する制御信号をクレーン1の制御装置31に出力する。具体的には、制御指示生成部137は、ブーム9を起立または倒伏する制御信号、ブーム9を短縮または延伸する制御信号、および、メインワイヤロープ14またはサブワイヤロープ16を繰り入れまたは繰り出す制御信号を、クレーン1の制御装置31に出力する。また、制御指示生成部137は、前記制御信号を制御装置31に出力しているとき、出力中の制御信号の内容を制御内容信号として図形生成部138に出力する。
【0082】
図形生成部138は、実施形態1と同様の図形Sを生成するとともに、制御指示生成部137からの制御内容信号があるときは、図形Sを点滅させる。図形生成部138は、生成した図形Sをカメラモニタ41に出力する。また、図形生成部138は、制御指示生成部137からの制御内容信号があるときは、制御内容をカメラモニタ41に出力する。なお、変化量Vが変化量閾値Th以上であるときに図形生成部138がカメラモニタ41に出力する図形の態様等は、クレーン1が自動で制御されていることを操縦者に認識させることができれば、上記以外の手段であってもよい。図9に、変化量Vが変化量閾値Th以上であるときのカメラモニタ41の表示内容の一例を示す。
【0083】
上記以外の画像処理部133の構成は、実施形態1の画像処理部33の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
本実施形態の構成によると、変化量Vが変化量閾値Th以上になるような操作を操縦者が行ったとき、メインフック10aまたはサブフック11aの変化量Vが所定値未満に収まるようにブーム9、および、メインウインチ13またはサブウインチ15の少なくとも一つが制御される。これにより、操縦者は、メインフック10aまたはサブフック11aの高さ位置の予期しない変動を抑制し、荷物Wの高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物Wを移動させるようクレーン1を制御することができる。
【0085】
本実施形態では、制御指示生成部137は、クレーン1の制御装置31に制御信号を出力するとともに、図形生成部138に制御内容信号を出力する。しかしながら、制御指示生成部137は、実施形態1と同様に、クレーン1の操作に関する指示を生成し、前記制御内容信号に変えて、前記生成した指示を指示信号として図形生成部138に出力する構成であってもよい。すなわち、変化量Vが変化量閾値Th以上の場合、変化量Vが変化量閾値Th未満になるようにクレーン1が自動で制御されるとともに、カメラモニタ41に操縦者に対するクレーン1の操作指示が提示される構成であってもよい。
【0086】
(実施形態3)
次に、図10から図12を用いて、本発明の実施形態3に係るクレーン1について説明する。クレーン1は、車両2、作業装置であるクレーン装置6、通信機222、制御装置231およびクレーン装置6を遠隔操作可能な遠隔操作端末250を有する。本実施形態では、クレーン装置6は、遠隔操作端末250で遠隔操作可能である点で、実施形態1の構成とは異なる。以下の説明では、実施形態1と同様の構成については、実施形態1と同一の符号を付して、説明を省略する。
【0087】
図10は、クレーン1の制御構成を示すブロック図である。通信機222は、遠隔操作端末250からの制御信号を広域情報通信網等を介して受信し、クレーン装置6からの制御情報等を広域情報通信網等を介して送信する装置である。通信機222は、キャビン17内に設けられている。通信機222は、遠隔操作端末250からの制御信号等を受信するとクレーン1の制御装置231に転送するように構成されている。また、通信機222は、制御装置231からの制御情報や吊り荷カメラ9bからの映像Gを遠隔操作端末250に転送するように構成されている。
【0088】
制御装置231は、通信機222に接続され、遠隔操作端末250からの制御信号を取得し、クレーン装置6からの制御情報や吊り荷カメラ9bからの映像G等を送信することができる。制御装置231のその他の構成は実施形態1における制御装置31と同様であるため、その他の構成についての説明は省略する。
【0089】
図11は、クレーン1を遠隔操作する遠隔操作端末250の平面図である。図11に示すように、遠隔操作端末250は、クレーン1を遠隔操作する際に使用する装置である。遠隔操作端末250は、筐体251、筐体251の操作面に設けられる吊り荷移動操作具252、端末側旋回操作具253、端末側伸縮操作具254、端末側メインドラム操作具255m、端末側サブドラム操作具255s、端末側起伏操作具256、表示部である端末側表示部257、端末側通信機261および端末側制御装置262等を具備する。遠隔操作端末250は、吊り荷移動操作具252または各種操作具の操作により荷物Wを移動させる各アクチュエータの操作バルブの制御信号を広域情報通信網(インターネット等)を介してクレーン装置6に送信する。
【0090】
筐体251は、遠隔操作端末250の主たる構成部材である。筐体251は、操縦者が手で保持可能な大きさに構成されている。筐体251には、操作面に吊り荷移動操作具252、端末側旋回操作具253、端末側伸縮操作具254、端末側メインドラム操作具255m、端末側サブドラム操作具255s、端末側起伏操作具256、端末側表示部257および端末側通信機261が設けられている。
【0091】
吊り荷移動操作具252は、荷物Wを移動させる指示が入力される操作具である。端末側旋回操作具253は、クレーン装置6を旋回させる指示が入力される操作具である。端末側伸縮操作具254は、ブーム9を伸縮させる指示が入力される操作具である。端末側メインドラム操作具255mは、メインウインチ13を回転させる指示が入力される操作具である。端末側サブドラム操作具255sは、サブウインチ15を回転させる指示が入力される操作具である。端末側起伏操作具256は、ブーム9を起伏させる指示が入力される操作具である。各操作具は、筐体251の操作面から起立した操作スティックおよびその傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。
【0092】
表示部である端末側表示部257は、クレーン1の姿勢情報や荷物Wの情報等の様々な情報を表示する表示部である。端末側表示部257は、液晶画面等の表示装置から構成されている。端末側表示部257は筐体251の操作面に設けられている。端末側表示部257には、吊り荷カメラ9bからの映像Gに、後述する画像処理部233から出力された図形Sおよび操作指示が重畳して表示される。なお、本実施形態において、端末側表示部257は、遠隔操作端末250に設けられているが、遠隔操作端末250と分離したモニタでもよい。
【0093】
図10に示すように、端末側通信機261は、広域情報通信網等を介してクレーン装置6の制御情報等を受信し、遠隔操作端末250からの制御情報等をクレーン装置6に送信する装置である。端末側通信機261は、筐体251の内部に設けられている。端末側通信機261は、クレーン装置6の吊り荷カメラ9bからの映像Gや制御信号等を受信すると端末側制御装置262に伝達するように構成されている。また、端末側通信機261は、端末側制御装置262からの制御情報を広域情報通信網等からクレーン1の通信機222を介してクレーン装置6に送信するように構成されている。
【0094】
端末側制御装置262は、遠隔操作端末250を制御する装置である。端末側制御装置262は、遠隔操作端末250の筐体251の内部に設けられている。端末側制御装置262は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
【0095】
端末側制御装置262は、吊り荷移動操作具252、端末側旋回操作具253、端末側伸縮操作具254、端末側メインドラム操作具255m、端末側サブドラム操作具255s、端末側起伏操作具256、端末側表示部257、端末側通信機261等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0096】
端末側制御装置262は、吊り荷移動操作具252、端末側旋回操作具253、端末側伸縮操作具254、端末側メインドラム操作具255m、端末側サブドラム操作具255sおよび端末側起伏操作具256に接続され、各操作具の操作スティックの傾倒方向および傾倒量からなる操作信号を取得することができる。
【0097】
端末側制御装置262は、端末側通信機261に接続され、広域情報通信網を介して接続されるクレーン装置6の通信機222を通じて制御装置231との間で各種情報を送受信することができる。具体的には、端末側制御装置262の映像取得部263は、吊り荷カメラ9bが撮影した映像Gを取得することができる。
【0098】
端末側制御装置262は、端末側旋回操作具253、端末側伸縮操作具254、端末側メインドラム操作具255m、端末側サブドラム操作具255sおよび端末側起伏操作具256の各センサから取得した各操作スティックの操作信号から、対応する旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sの制御信号を生成することができる。
【0099】
端末側制御装置262は、端末側表示部257に接続され、端末側表示部257に現在のクレーン1の姿勢におけるクレーン1の模式画像、吊り荷カメラ9bからの映像Gおよび後述する画像処理部233から出力された図形Sや指示内容を表示させることができる。
【0100】
端末側制御装置262は、位置取得部232および制御部である画像処理部233を有する。位置取得部232は、吊り荷移動操作具252、端末側旋回操作具253、端末側伸縮操作具254、端末側メインドラム操作具255m、端末側サブドラム操作具255sおよび端末側起伏操作具256の各センサから取得した操作信号から、旋回台7の旋回位置、ブーム9の長さおよび起伏角度、メインワイヤロープ14またはサブワイヤロープ16の繰り出し長さを算出し、ブーム9の基端部に対するメインフック10aおよびサブフック11aの位置である位置情報を取得する。
【0101】
制御部である画像処理部233は、図12に示すように、移動方向取得部234、変化量算出部35、判定部36、制御指示生成部37、図形生成部38、および設定部39を有する。
【0102】
移動方向取得部234は、遠隔操作端末250が具備する端末側旋回操作具253、端末側伸縮操作具254および端末側起伏操作具256の各操作信号から、メインフック10aまたはサブフック11aの水平方向の移動方向を取得して、図形生成部38に出力する。変化量算出部35は、位置取得部232が取得したメインフック10aまたはサブフック11aに関する位置情報から、メインフック10aまたはサブフック11aの変化量Vを算出する。
【0103】
上記以外の画像処理部233の構成は、実施形態1の画像処理部33の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0104】
以上の構成を有する遠隔操作端末250によって遠隔操作されるクレーン1においても、荷物Wの高さ方向における位置の変化の割合が端末側表示部257に表示される。よって、操縦者は、遠隔で、荷物Wの高さ位置を任意の割合で変化させながら荷物Wが移動するようにクレーン1を操作することができる。
【0105】
したがって、荷物Wの高さ方向における位置を、容易に一定の割合で変化させながら荷物を移動可能なクレーンを提供することができる。
【0106】
本実施形態では、制御指示生成部37は、実施形態1と同様、変化量Vが変化量閾値Th以上の場合、クレーン1の操作に関する指示を生成し、前記生成した指示を指示信号として図形生成部38に出力する。しかしながら、制御指示生成部37は、実施形態2と同様、変化量Vが変化量閾値Th以上の場合、クレーン1の制御装置231に制御信号を出力する構成であってもよい。また、制御指示生成部37は、前記指示信号を図形生成部38に出力するとともに、前記制御信号を制御装置231に出力する構成であってもよい。
【0107】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、カメラモニタ41および端末側表示部257には、吊り荷カメラ9bからの映像Gが表示されている。しかしながら、カメラモニタおよび端末側表示部には、荷物Wと地物および地表面の位置関係を認識することができれば、レーザースキャナ等の装置によって取得された画像が表示される構成であってもよい。
【0108】
前記実施形態2では、変化量Vが変化量閾値Th以上の場合、クレーン1は自動で制御される。しかしながら、変化量Vが変化量閾値Th以上の場合、クレーンが自動で制御されるようにするか否かをあらかじめ操縦者が設定することができる構成であってもよい。
【0109】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0110】
1 クレーン
7 旋回台
9 ブーム
9b 吊り荷カメラ
10 メインフックブロック
10a メインフック(フック)
11 サブフックブロック
11a サブフック(フック)
13 メインウインチ
14 メインワイヤロープ
15 サブウインチ
16 サブワイヤロープ
18 旋回伸縮操作具
19 起伏操作具
31、231 制御装置
32、232 位置取得部
33、133、233 画像処理部(制御部)
34、234 移動方向取得部
35 変化量算出部
36 判定部
37、137 制御指示生成部
38、138 図形生成部
39 設定部
41 カメラモニタ(表示部)
222 通信機
250 遠隔操作端末
257 端末側表示部(表示部)
262 端末側制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12