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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】筐体、及び取付構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H05K5/02 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019167068
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021044484
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】呉 翰
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-196045(JP,A)
【文献】特開2015-160552(JP,A)
【文献】特開昭60-103696(JP,A)
【文献】特開2012-005240(JP,A)
【文献】特開2005-065422(JP,A)
【文献】特開2001-182732(JP,A)
【文献】特開2000-183551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0132374(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体にネジ止めするための取付足を備えた筐体であって、
前記取付足は、
前記筐体の側壁部から前記筐体の外側へ向かって張り出すと共に、前記ネジを挿通させる貫通孔が形成されたフランジ部と、
前記筐体の側壁部と前記フランジ部とを接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、前記側壁部から前記筐体の外側へ向かって突出して、前記側壁部に沿って延びて前記フランジ部を支持するリブ部を有し、
前記リブ部には、前記ネジの締結時において、前記ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域を回避しつつ、前記通過領域の外周部に沿って前記筐体の外側へ向かって先細りとなるように延びる回避部が形成されている、筐体。
【請求項2】
前記回避部は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面を有する、請求項1に記載された筐体。
【請求項3】
筐体を取付足を介して構造体にネジ止めした取付構造であって、
前記取付足は、
前記筐体の側壁部から前記筐体の外側へ向かって張り出すと共に、前記ネジを挿通させる貫通孔が形成されたフランジ部と、
前記筐体の側壁部と前記フランジ部とを接続する接続部と、を備え、
前記接続部は、前記側壁部から前記筐体の外側へ向かって突出して、前記側壁部に沿って延びて前記フランジ部を支持するリブ部を有し、
前記リブ部には、前記ネジ止めに関わる部材の外周部を回避しつつ、当該外周部に沿って前記筐体の外側へ向かって先細りとなるように延びる回避部が形成されている、取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体、及び取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造体に部材を取付足を介してネジ止めするものが知られている。例えば、特許文献1に記載された取付足は、当該取付足を介してネジを締結することによって、当該部材を構造体に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-65422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、軽量化のために、取付足の機械的強度を確保しながら、小型軽量化を行うことが求められる。また、その場合に、ネジの締結時に、当該ネジの頭部や工具と取付足の補強構造が干渉しないことが求められる。
【0005】
本発明は、ネジ止めの際の干渉を回避しつつ、機械的強度を確保しながら小型軽量化を図ることができる筐体、及び取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る筐体は、構造体にネジ止めするための取付足を備えた筐体であって、取付足は、筐体の側壁部から筐体の外側へ向かって張り出すと共に、ネジを挿通させる貫通孔が形成されたフランジ部と、筐体の側壁部とフランジ部とを接続する接続部と、を備え、接続部は、筐体の外側へ向かって突出して、側壁部に沿って延びてフランジ部を支持するリブ部を有し、リブ部には、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域を回避しつつ、通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びる回避部が形成されている。
【0007】
本発明に係る筐体では、リブ部には、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域を回避しつつ、通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びる回避部が形成されている。回避部は、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域を回避するように構成されている。そのため、取付足は、小型軽量化のために、リブ部をネジの近くに寄せつつも、回避部によってネジ止めの際の干渉を回避することが可能となる。また、回避部は、通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びている。このように、回避部は、通過領域を回避しながらも、当該通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びた部分でフランジ部を支持することができる。すなわち、回避部は、ネジ止めの際の干渉を回避しつつも、可能な限り機械的強度を確保することができる。以上より、ネジ止めの際の干渉を回避しつつ、機械的強度を確保しながら小型軽量化を図ることができる。
【0008】
回避部は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面を有してよい。このような構成によれば、回避部において通過領域の外周部と近接する部分が、当該外周部に沿った形状となる。従って、回避部によってフランジ部を支持する領域をなるべく広く確保できる。
【0009】
本発明に係る筐体は、構造体にネジ止めするための取付足を備えた筐体であって、取付足は、筐体の側壁部から筐体の外側へ向かって張り出すと共に、ネジを挿通させる貫通孔が形成されたフランジ部と、筐体の側壁部とフランジ部とを接続する接続部と、を備え、接続部には、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域を回避しつつ、通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びてフランジ部を支持する回避部が形成されており、回避部は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面を有する。
【0010】
本発明に係る筐体では、接続部には、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域を回避しつつ、通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びる回避部が形成されている。回避部は、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域を回避するように構成されている。そのため、取付足は、小型軽量化のために、接続部をネジの近くに寄せつつも、回避部によってネジ止めの際の干渉を回避することが可能となる。また、回避部は、通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びている。このように、回避部は、通過領域を回避しながらも、当該通過領域の外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びた部分でフランジ部を支持することができる。すなわち、回避部は、ネジ止めの際の干渉を回避しつつも、可能な限り機械的強度を確保することができる。また、回避部は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面を有する。回避部において通過領域の外周部と近接する部分が、当該外周部に沿った形状となる。従って、回避部によってフランジ部を支持する領域をなるべく広く確保できる。以上より、ネジ止めの際の干渉を回避しつつ、機械的強度を確保しながら小型軽量化を図ることができる。
【0011】
本発明に係る取付構造は、筐体を取付足を介して構造体にネジ止めした取付構造であって、取付足は、筐体の側壁部から筐体の外側へ向かって張り出すと共に、ネジを挿通させる貫通孔が形成されたフランジ部と、筐体の側壁部とフランジ部とを接続する接続部と、を備え、接続部は、筐体の外側へ向かって突出して、側壁部に沿って延びてフランジ部を支持するリブ部を有し、リブ部には、ネジ止めに関わる部材の外周部を回避しつつ、当該外周部に沿って筐体の外側へ向かって延びる回避部が形成されている。
【0012】
この取付構造によれば、上述の筐体と同様な作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ネジ止めの際の干渉を回避しつつ、機械的強度を確保しながら小型軽量化を図ることができる筐体、及び取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る筐体を示す斜視図である。
図2図1に示す取付足の斜視図である。
図3図2に示す取付足の平面図である。
図4】取付構造を示す側面図である。
図5】取付構造を示す平面図である。
図6】比較例に係る筐体の取付足を示す平面図である。
図7】変形例に係る筐体の取付足を示す平面図である。
図8】変形例に係る筐体の取付足の回避部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る筐体について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る筐体を示す斜視図である。図2は、図1に示す取付足の斜視図である。図3は、図2に示す取付足の平面図である。
【0016】
図1に示すように、筐体1は、箱状の構造を有しており、内部に対象物を収容することができる部材である。筐体1は、例えば、DC/DCコンバータ、充電器などのユニットを収容することができる。この筐体1は、構造体101(図4参照)に対して取り付けられる。この電子ユニットは、対象物を収容した状態で、車に搭載されることで、様々な振動成分を含んだ振動が継続して印加される、あるいは過大な衝撃が印加される等の機械的に過酷な環境下にて使用される。筐体1が車載用のユニットを収容する場合、構造体101は、車両の部材である。あるいは、構造体101として蓋体や筐体などが採用される場合は、筐体1に構造体101を取り付けた部材全体を車両に搭載する。なお、筐体1に収容される対象物は上述のユニットに限られず、他の電子部品、光学部品、機械的部品が配置されてもよい。
【0017】
筐体1は、内部空間を有すると共に、開口部が形成された部材である。筐体1は、上壁部2と、側壁部3A,3B,3C、3Dと、を有する。筐体1の上壁部2は、矩形状の平板によって構成される。上壁部2と対向する面は、開口部として構成される。側壁部3A,3B,3C、3Dは、上壁部2の四方の縁部から立ち上がるように構成される。側壁部3A,3B,3C,3Dの先端側は、筐体1の開口部10として構成される。なお、上壁部2が広がる方向に対して、X軸方向及びY軸方向を設定する。また、上壁部2の厚さ方向にZ軸方向を設定する。X軸方向は、上壁部2の長辺が延びる方向に設定されている。Y軸方向は、上壁部2の短辺が延びる方向に設定されている。
【0018】
側壁部3A,3Bは、X軸方向において互いに対向している。側壁部3AがX軸方向における負側に配置され、側壁部3BがX軸方向における正側に配置される。側壁部3C,3Dは、Y軸方向において互いに対向している。側壁部3CがY軸方向における負側に配置され、側壁部3DがY軸方向における正側に配置される。側壁部3A,3B,3C,3Dは、上壁部2からZ軸方向における負側へ立ち上がる。
【0019】
側壁部3Cには、筐体1の外側へ向かって複数の取付足4が形成されている。ここでは、取付足4は、X軸方向に互いに離間した状態で二つ設けられている。なお、側壁部3Dにも、取付足4が形成されている。なお、取付足は、側壁部3C、3Dが対向する面だけでなく、側壁部3A、3Bが対向する面に存在する場合もある。)以降、図2及び図3を参照して、側壁部3Cと側壁部3Aとの角部付近に配置される取付足4について詳細に説明する。当該取付足4の趣旨は、他の箇所に設けられる取付足4についても成り立つため、説明を省略する。取付足4は、フランジ部11と、接続部12と、を備える。
【0020】
フランジ部11は、ネジを挿通させる貫通孔13が形成された部分である。フランジ部11は、接続部12から筐体1の外側へ向かって張り出す。筐体1の外側とは、筐体1の内部空間からみて外側へ向かう方向である。図2のフランジ部11においては、Y軸方向の負側が、筐体1の外側に該当する。フランジ部11は、XY平面と平行に拡がる板状の形状を有している。フランジ部11は、側壁部3CよりもY軸方向の負側へ延びるように配置される。
【0021】
フランジ部11は、Z軸方向の正側においてXY平面と平行に拡がる主面11aと、Z軸方向の負側においてXY平面と平行に拡がる主面11bと、を有する。このうち、主面11aは、ネジの頭部を受ける受面として機能する。主面11bは、取付時において取付相手の構造体の取付面と接触する接触面として機能する。フランジ部11には、主面11aと主面11bとの間をZ軸方向に平行に延びる貫通孔13が形成される。なお、主面11aには、貫通孔13の周りに、ネジの頭部を支持する座部14が形成される場合もある。座部14は、主面11aの他の部分よりもZ軸方向の正側に立ち上がる円環状の部分である。
【0022】
接続部12は、筐体1の側壁部3Cとフランジ部11(主面11a側面)とを接続する部分である。接続部12は、少なくとも側壁部3Cの外面と、少なくともフランジ部11(主面11a側面)を一体的につなぐ事によってフランジ部11を支える構造となっている。接続部12は、本体部21と、リブ部22A,22Bと、を備える。本体部21は、側壁部3Cに固定されると共に、フランジ部11における幅方向(X軸方向)の中央部分と固定されるブロック状の部材である。本体部21は、上面21aと、壁面21bと、を有する。上面21aは、側壁部3Cの外面からY軸方向の負側へ拡がる。壁面21bは、側壁部3Cの外面よりもY軸方向の負側に位置し、フランジ部11の主面11aから立ち上がるように設けられる。なお、本体部21は省略されてもよく、リブ部22A,22Bのみによって接続部12が構成されてもよい。
【0023】
リブ部22A,22Bは、側壁部3CからY軸方向の負側へ向かって突出して、側壁部3Cに沿って延びてフランジ部11を支持する部分である。リブ部22A,22Bは、X軸方向に本体部21を挟み込むように設けられている。リブ部22Aは、本体部21に対してX軸方向の正側に隣り合う位置に配置される。リブ部22Aは、下端部において、フランジ部11のX軸方向の正側の端部付近に接続される。これにより、リブ部22Aは、フランジ部11のX軸方向の正側の端部付近を支持し、補強する。リブ部22Bは、下端部において、フランジ部11のX軸方向の負側の端部付近に接続される。これにより、リブ部22Bは、フランジ部11のX軸方向の負側の端部付近を支持し、補強する。
【0024】
リブ部22A,22Bは、上面22aと、端面22bと、本体部21側の側面22cと、本体部21と反対側の側面22dと、湾曲面33(詳細は後述する)と、を有する。上面22aは、側壁部3Cの外面からY軸方向の負側へ拡がる。上面22aは、本体部21の上面21aよりも高い位置に配置されている。なお、上面22aは無くともよい。端面22bは、上面22aからZ軸方向の負側へ向かって延びて、フランジ部11の主面11aと接続される。従って、端面22bは、側壁部3Cの外面よりもY軸方向の負側に位置し、フランジ部11の主面11aから立ち上がるように設けられる。端面22bは、ZX平面に対して傾斜した状態で対向するように拡がる。端面22bは、Z軸方向における正側から負側へ向かうに従って、Y軸方向の負側へ張り出すように傾斜する。端面22bは、本体部21の上面21aよりも低い位置においては、本体部21の壁面21bよりもY軸方向の負側へ張り出した位置に配置される。側面22cは、YZ平面と略平行に拡がり、本体部21と接続される。また、側面22cは、本体部21の壁面21bよりもY軸方向の負側へ延びる。側面22dは、YZ平面と略平行に拡がる。また、側面22dは、本体部21の壁面21bよりもY軸方向の負側へ延びる。
【0025】
次に、図3図5を参照して、リブ部22A,22Bの特徴的な構造について、更に詳細に説明する。図4は、取付構造100を示す側面図である。図5は、取付構造100を示す平面図である。フランジ部11に対しては、通過領域Eという仮想的な領域が設定される。通過領域Eは、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する領域である。「ネジ止めに関わる部材」とは、ネジ、及びネジ止めの補助部材(ワッシャなど)である。通過領域Eは貫通孔13の中心線CLを中心とし、主面11aから上方へ延びる円柱状の三次元的な領域である。通過領域Eの外周部は、ネジの締結作業時において、ネジ止めに関わる部材の最外周部、及び工具の最外周部のうち、最も外周側に配置されるものによって定義される。
【0026】
例えば、図4(a)、図5(a)に示すように、ネジとして六角ボルト51が用いられる場合がある。この場合は、六角ボルト51の頭部51aよりも、ボックスドライバーやボックスレンチなどの工具52の締部53の外周部の方が、外周側に存在する。よって、締部53の外周部が、通過領域Eの外周部を規定する。また、例えば、図4(b)、図5(b)に示すように、ネジとしてプラスドライバーやマイナスドライバーで締結可能なネジ54が、ワッシャ56と共に用いられる場合がある。この場合は、プラスドライバーやマイナスドライバーなどの工具57やネジ54の頭部54aよりも、ワッシャ56の外周部の方が外周側に存在する。よって、ワッシャ56の外周部が、通過領域Eの外周部を規定する。
【0027】
図3に示すように、リブ部22A,22Bには、通過領域Eを回避しつつ、通過領域Eの外周部に沿ってY軸方向の負側へ向かって延びる回避部36が形成されている。回避部36は、リブ部22A,22Bのうち、Y軸方向の負側の先端部のうち、通過領域Eと重なり得る部分を切り欠くと共に、通過領域Eと重ならない部分の肉を残すような構成を有する。回避部36は、通過領域Eの外周部に沿って湾曲する湾曲面33を有する。湾曲面33は、外周側へ窪むように湾曲する。湾曲面33は、貫通孔13の中心線CLを中心としてZ軸方向へ平行に延びるような面によって構成される。湾曲面33は、リブ部22A,22Bの側面22dと、端面22bと、フランジ部11の主面11aとの間の角部に形成され、それぞれの面22d,22b,11aと接続されるように形成される(図2も参照)。
【0028】
上述のような構成により、平面視において、リブ部22A,22Bの先端部のうち、湾曲面33と側面22dとの間に挟まれる箇所が、回避部36となる。リブ部22A,22Bは、回避部36よりもY軸方向の正側の領域では、X軸方向の厚みが略一定となっている。それに対し、回避部36では、Y軸方向における正側から負側へ向かうに従って、湾曲面33がY軸方向において側面22dへ近づくように延びる。従って、回避部36は、Y軸方向における正側から負側へ向かうに従って、先細りとなるような形状となる。回避部36は、本体部21の壁面21bよりもY軸方向における負側に設けられている。従って、回避部36は、本体部21よりもY軸方向における負側の領域にて、フランジ部11を支持することができる。
【0029】
次に、図5を参照して、取付構造100において、回避部36が他の部材とどのような位置関係にあるかを説明する。図5に示すように、回避部36は、ネジ止めに関わる部材の外周部を回避しつつ、当該外周部に沿ってY軸方向の負側へ向かって延びる。具体的には、図5(a)に示すように、回避部36は、六角ボルト51の頭部51aの外周部を回避しつつ、当該外周部に沿ってY軸方向の負側へ向かって延びる。湾曲面33は、六角ボルト51の外周面と対向するように湾曲する。湾曲面33と六角ボルト51の頭部51aとの間には、工具52の締部53(図4(a)参照)を配置できる大きさのギャップが形成される。図5(b)に示すように、回避部36は、ワッシャ56の外周部を回避しつつ、当該外周部に沿ってY軸方向の負側へ向かって延びる。湾曲面33は、ワッシャ56の外周面と対向するように湾曲する。湾曲面33とワッシャ56との間には、図5(a)のようなギャップは形成されなくてよい。なお、ワッシャ56を省略してもよく、その場合は、ネジ54の頭部54aが通過領域Eを規定することになる。
【0030】
次に、本実施形態に係る筐体1、及び取付構造100の作用・効果について説明する。
【0031】
まず、図6を参照して、比較例に係る筐体の取付足204について説明する。取付足204のリブ部222A,222Bは、上述のような回避部を有していない。すなわち、リブ部222A、222Bの端面222bとフランジ部11との接続部222eは、真っ直ぐに延びている。このような取付足204では、図6(a)に示すように、小型軽量化のためにリブ部222A,222Bを中心側に寄せると、リブ部222A,222Bが通過領域E内に含まれてしまう。この場合、ネジ頭や工具などがリブ部222A,222Bと干渉してしまう。また、当該通過領域Eを回避するために、リブ部222A,222Bを短くした場合は、フランジ部11の支持力が低下してしまい、取付足204の機械的強度が低下してしまうという問題がある。一方、図6(b)に示すように、リブ部222A,222Bが通過領域Eを回避できるように構成した場合、取付足204の幅寸法L1及び突出寸法L2の少なくとも一方が大きくなってしまうという問題がある。
【0032】
それに対し、本実施形態発明に係る筐体1の取付足4では、リブ部22A,22Bには、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域Eを回避しつつ、通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びる回避部36が形成されている。回避部36は、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域Eを回避するように構成されている。そのため、取付足4は、小型軽量化のために、リブ部22A,22Bをネジの近くに寄せつつも、回避部36によってネジ止めの際の干渉を回避することが可能となる。また、回避部36は、通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びている。このように、回避部36は、通過領域Eを回避しながらも、当該通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びた部分でフランジ部11を支持することができる。すなわち、回避部36は、ネジ止めの際の干渉を回避しつつも、可能な限り機械的強度を確保することができる。以上より、ネジ止めの際の干渉を回避しつつ、機械的強度を確保しながら小型軽量化を図ることができる。
【0033】
回避部36は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面33を有する。このような構成によれば、回避部36において通過領域Eの外周部と近接する部分が、当該外周部に沿った形状となる。従って、回避部36によってフランジ部11を支持する領域を(例えば、図8(a)に示す変形例などに比して)なるべく広く確保できる。
【0034】
本実施形態に係る筐体1は、構造体101にネジ止めするための取付足4を備えた筐体1であって、取付足4は、筐体1の側壁部3C,3Dから筐体1の外側へ向かって張り出すと共に、ネジを挿通させる貫通孔13が形成されたフランジ部11と、筐体1の側壁部3C,3Dとフランジ部11とを接続する接続部12と、を備え、フランジ部11は、接続部12から筐体1の外側へ向かって張り出し、接続部12には、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域Eを回避しつつ、通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びてフランジ部11を支持する回避部36が形成されており、回避部36は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面33を有する。
【0035】
本実施形態に係る取付足4では、接続部12には、ネジの締結時において、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域Eを回避しつつ、通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びる回避部36が形成されている。回避部36は、ネジ止めに関わる部材及び工具が通過する通過領域Eを回避するように構成されている。そのため、取付足4は、小型軽量化のために、接続部12をネジの近くに寄せつつも、回避部36によってネジ止めの際の干渉を回避することが可能となる。また、回避部36は、通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びている。このように、回避部36は、通過領域Eを回避しながらも、当該通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びた部分でフランジ部11を支持することができる。すなわち、回避部36は、ネジ止めの際の干渉を回避しつつも、可能な限り機械的強度を確保することができる。また、回避部36は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面33を有する。回避部36において通過領域Eの外周部と近接する部分が、当該外周部に沿った形状となる。従って、回避部36によってフランジ部11を支持する領域をなるべく広く確保できる。以上より、ネジ止めの際の干渉を回避しつつ、機械的強度を確保しながら小型軽量化を図ることができる。
【0036】
本実施形態に係る取付構造100は、筐体1を取付足4を介して構造体101にネジ止めした取付構造100であって、取付足4は、筐体1の側壁部3C,3Dから筐体1の外側へ向かって張り出すと共に、ネジを挿通させる貫通孔13が形成されたフランジ部11と、筐体1の側壁部3C,3Dとフランジ部11とを接続する接続部12と、を備え、接続部12は、筐体1の外側へ向かって突出して、側壁部3C,3Dに沿って延びてフランジ部11を支持するリブ部22A,22Bを有し、リブ部22A,22Bには、ネジ止めに関わる部材の外周部を回避しつつ、当該外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びる回避部36が形成されている。
【0037】
この取付構造100によれば、上述の筐体1と同様な作用・効果を得ることができる。
【0038】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0039】
上述の実施形態では、フランジ部11の両端に一対のリブ部22A,22Bが形成されていたが、リブ部の本数や位置などは特に限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、リブ部22A,22B間に、リブ部22Cが設けられていてもよい。リブ部22Cの先端部には、通過領域Eを回避するように、通過領域Eの外周部に沿って湾曲する湾曲面37が形成される。
【0040】
上述の実施形態では、取付足4は、リブ部22A,22Bを備えていたが、リブ部を備えていなくともよい。例えば、接続部121全体が、筐体1の外側へ向かって大きく張り出してもよい。この場合、接続部121には、通過領域Eを回避しつつ、通過領域Eの外周部に沿って筐体1の外側へ向かって延びてフランジ部11を支持する回避部136が形成されており、回避部136は、外周側へ窪むように湾曲する湾曲面133を有する。
【0041】
上述の実施形態では、回避部36は、湾曲面33によって通過領域Eを回避していた。しかし、回避部の回避構造は湾曲面に限定されず、通過領域Eを回避できることができる限り、あらゆる形状が採用されてよい。例えば、図8(a)に示すように、リブ部22Aは、互いに直交する平面233a,233bによる段差構造による回避部236を有してよい。また、図8(b)に示すように、リブ部22Aは、傾斜角度が異なる複数の平面333の組み合わせによる回避部336を有してよい。また、図8(c)に示すように、リブ部22Aは、複数の平面433による階段構造による回避部436を有してよい。
【符号の説明】
【0042】
1…筐体、3C,3D…側壁部、4…取付足、11…フランジ部、12,121…接続部、22A,22B,22C…リブ部、33,37,133…湾曲面、36,236,336,436…回避部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8