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特許7367437画像処理装置、折り筋形成装置、および折り装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】画像処理装置、折り筋形成装置、および折り装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20231017BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20231017BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20231017BHJP
   B65H 45/30 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H04N1/04 106Z
H04N1/10
G03B27/50 A
B65H45/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019182813
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2021061467
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 賢司
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-177672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04- 1/207
G06T 1/00
G03B 27/50-27/70
B65H 45/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
副走査方向の一方側の光量と他方側の光量が異なる照明部を備える画像読取装置で得られた画像情報を取得し、
取得した前記画像情報から用紙の折り線の位置を特定し、
前記プロセッサの前記取得は、
前記用紙の前記折り線が前記画像読取装置の副走査方向と交差する方向に置かれた第1の状態で前記用紙を読み取って得られた第1画像情報と、前記用紙が前記第1の状態とは反対側を向いた第2の状態で前記用紙を読み取って得られた第2画像情報とを取得することを含み、
前記プロセッサの前記特定は、
前記第1画像情報と前記第2画像情報に基づいて、前記用紙の前記折り線の位置を特定することを含む、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1画像情報と前記第2画像情報は、前記照明部を前記副走査方向に移動させ、前記用紙からの反射光を受光することにより前記画像読取装置で得られた画像情報である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
前記第1の状態は、前記用紙の前記折り線と交差する用紙上辺が一側を向いた状態であり、
前記第2の状態は、前記用紙上辺が前記一側とは反対側を向いた状態である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1画像情報の明度と、前記第2画像情報の明度の大小関係に基づいて、前記用紙の前記折り線の位置を特定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1画像情報の明度と、前記第2画像情報の明度の大小関係に基づいて、前記第1画像情報または前記第2画像情報において明度が所定値以上である第1範囲または第2範囲の前記副走査方向における隣接する2つの位置のうちのいずれかを前記用紙の折り線の位置として特定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が小さく、
前記プロセッサは、
前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて大きい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が小さく、
前記プロセッサは、
前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて小さい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が大きく、
前記プロセッサは、
前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて大きい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が大きく、
前記プロセッサは、
前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて小さい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記折り線は、折り筋である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記折り線は、折り目である、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項10に記載の画像処理装置が特定した前記用紙の折り筋の位置に基づいて、用紙の折り筋形成位置を変更する、
ことを特徴とする折り筋形成装置。
【請求項13】
請求項11に記載の画像処理装置が特定した前記用紙の折り目の位置に基づいて、用紙の折り位置を変更する、
ことを特徴とする折り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、折り筋形成装置、および折り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙を所望の位置できれいに折るため等に用紙に付けられる折り筋の形成処理が自動折り筋形成装置(以下、単に折り筋形成装置と言う)で行われている。また、用紙の折り処理が自動折り装置(以下、単に折り装置と言う)で行われている。折り筋を付けられた用紙の折り筋の位置、または、折られた用紙の折り目の位置(折り位置とも言う)が所望の位置にあるかを把握するためにその用紙を画像読取装置で読み取ることで、折り筋の位置、または、折り目の位置を検知して確かめることができる。
【0003】
特許文献1には、原稿からの反射光を受光する受光部と、原稿の読取方向において受光部を挟んで上流側と下流側にそれぞれ配置された第1の発光部および第2の発光部とを備え、第1の発光部のみを発光させた状態で原稿を読み取って得られた第1の画像と、第2の発光部のみを発光させた状態で原稿を読み取って得られた第2の画像を比較することにより、原稿の折り目の位置を特定する画像読取装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、原稿台上の原稿に光を照射する光源と、原稿からの反射光を受光するセンサとを備える読取装置を制御し、光源の原稿に対する照射角度を複数角度で切り替えることにより、複数の照射角度のそれぞれに対応する原稿の読取画像を取得し、取得された複数の読取画像に基づいて原稿の凹凸部分を検出する読取制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-207398号公報
【文献】特開2015-173350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、用紙の硬さ等の影響等により、用紙に折り筋が弱くつけられている、または、用紙が弱く折られていることで、画像読取装置により折り筋の位置、または、折り目の位置を検知できない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、折り筋が弱くつけられている、または、用紙が弱く折られている場合でも、用紙の折り筋または折り目の位置を特定することができるようにすることにある。以下、折り筋と折り目を含めて「折り線」と言う。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、副走査方向の一方側の光量と他方側の光量が異なる照明部を備える画像読取装置で得られた画像情報を取得し、取得した前記画像情報から用紙の折り線の位置を特定し、前記プロセッサの前記取得は、前記用紙の前記折り線が前記画像読取装置の副走査方向と交差する方向に置かれた第1の状態で前記用紙を読み取って得られた第1画像情報と、前記用紙が前記第1の状態とは反対側を向いた第2の状態で前記用紙を読み取って得られた第2画像情報とを取得することを含み、前記プロセッサの前記特定は、前記第1画像情報と前記第2画像情報に基づいて、前記用紙の前記折り線の位置を特定することを含む、ことを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記第1画像情報と前記第2画像情報は、前記照明部を前記副走査方向に移動させ、前記用紙からの反射光を受光することにより前記画像読取装置で得られた画像情報である、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の画像処理装置であって、前記第1の状態は、前記用紙の前記折り線と交差する用紙上辺が一側を向いた状態であり、前記第2の状態は、前記用紙上辺が前記一側とは反対側を向いた状態である、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、前記プロセッサは、前記第1画像情報の明度と、前記第2画像情報の明度の大小関係に基づいて、前記用紙の前記折り線の位置を特定する、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、前記プロセッサは、前記第1画像情報の明度と、前記第2画像情報の明度の大小関係に基づいて、前記第1画像情報または前記第2画像情報において明度が所定値以上である第1範囲または第2範囲の前記副走査方向における隣接する2つの位置のうちのいずれかを前記用紙の折り線の位置として特定する、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の画像処理装置であって、前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が小さく、前記プロセッサは、前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて大きい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の画像処理装置であって、前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が小さく、前記プロセッサは、前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて小さい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項5に記載の画像処理装置であって、前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が大きく、前記プロセッサは、前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて大きい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、ことを特徴とするものである。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項5に記載の画像処理装置であって、前記照明部は、前記副走査方向の一方側の光量に比べて他方側の光量が大きく、前記プロセッサは、前記第1画像情報の明度が前記第2画像情報の明度に比べて小さい場合には、前記第1範囲の前記副走査方向の他方側に隣接する位置、または、前記第2範囲の前記副走査方向の一方側に隣接する位置を前記用紙の折り線の位置として特定する、ことを特徴とするものである。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、前記折り線は、折り筋である、ことを特徴とするものである。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、前記折り線は、折り目である、ことを特徴とするものである。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項10に記載の画像処理装置が特定した前記用紙の折り筋の位置に基づいて、用紙の折り筋形成位置を変更する、ことを特徴とする折り筋形成装置である。
【0020】
請求項13に係る発明は、請求項11に記載の画像処理装置が特定した前記用紙の折り目の位置に基づいて、用紙の折り位置を変更する、ことを特徴とする折り装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、用紙の折り線が弱い場合であっても折り線の位置が特定される。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、第1画像情報と第2画像情報に、折り線の形状に従った情報が現れる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、第1画像情報と第2画像情報において折り線の急峻な傾斜面に対応した高明度な部分が現れる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、折り線の急峻な傾斜面の領域の副走査方向の一方側と他方側のどちらに折り線の位置があるかが特定される。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、折り線の位置が特定される。
【0026】
請求項6、9に係る発明によれば、第1画像情報の用紙読み取りにおいて副走査方向の一方側に急峻な傾斜面が形成され他方側に緩慢な傾斜面が形成された用紙の折り線の位置が特定される。
【0027】
請求項7、8に係る発明によれば、第1画像情報の用紙読み取りにおいて副走査方向の一方側に緩慢な傾斜面が形成され他方側に急峻な傾斜面が形成された用紙の折り線の位置が特定される。
【0028】
請求項10に係る発明によれば、用紙の折り筋の位置が特定される。
【0029】
請求項11に係る発明によれば、用紙の折り目の位置が特定される。
【0030】
請求項12に係る発明によれば、折り筋の形成位置が所望の位置となるように変更される。
【0031】
請求項13に係る発明によれば、折り位置が所望の位置となるように変更される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
図2A】1回目の用紙読み取りのプラテンガラス上の用紙の置き方の一例を示す図である。
図2B】2回目の用紙読み取りのプラテンガラス上の用紙の置き方の一例を示す図である。
図3A】1回目の用紙読み取りと第1画像情報について説明するための図である。
図3B】2回目の用紙読み取りと第2画像情報について説明するための図である。
図4A】1回目の用紙読み取りと第1画像情報について説明するための図である。
図4B】2回目の用紙読み取りと第2画像情報について説明するための図である。
図5】折り筋の位置を特定する流れを示すフローチャートである。
図6A】別の照明部を用いた1回目の用紙読み取りと第1画像情報について説明するための図である。
図6B】別の照明部を用いた2回目の用紙読み取りと第2画像情報について説明するための図である。
図7A】別の照明部を用いた1回目の用紙読み取りと第1画像情報について説明するための図である。
図7B】別の照明部を用いた2回目の用紙読み取りと第2画像情報について説明するための図である。
図8】別の照明部を用いた場合の折り筋の位置を特定する流れを示すフローチャートである。
図9A】従来技術の強い折り筋を有する用紙の読み取りと画像情報について説明するための図である。
図9B】従来技術の弱い折り筋を有する用紙の読み取りと画像情報について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下で述べる構成は、説明のための例示であって、装置の仕様等に合わせて適宜変更が可能である。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
本発明に係る実施形態は、画像読取装置を用いて用紙の弱い折り筋の位置を特定するものである。従来技術では、画像読取装置を用いて強い折り筋の位置を特定することはできたが、弱い折り筋の位置を特定することが難しかった。図9Aは、従来技術の強い折り筋を有する用紙の読み取りの様子(用紙Pと画像読取装置のプラテンガラス130の断面)と、読み取って得られた画像情報IGを示す図である。なお、図9Aおよび以降説明する図9Bに示す画像情報IGは、用紙Pの折り筋70に沿った方向の一部の領域の画像情報である。図9Aに示すように、強い折り筋が形成された用紙Pには、折り筋70の位置に凹部が存在し、凹部の対向する壁面を形成する2つの急峻な傾斜面72が存在する。例えば、図9Aに示すように、折り筋70の凹部がうつ伏せになるように、かつ、折り筋70が画像読取装置の副走査方向DM(画像読取装置の照明部の移動方向)と交差する方向になるように用紙Pを画像読取装置のプラテンガラス130に置き、用紙Pを読み取ると、読み取って得られた画像情報IGには、2つの急峻な傾斜面72に対応した2つの高明度な部分HBRが現れる。従って、2つの高明度な部分HBRの中央位置CPを、折り筋70の位置と特定することができる。
【0035】
しかし、厚紙のような腰が強い用紙などの折り筋は、弱い折り筋となり、凹部がくっきりと形成されないことがある。図9Bは、従来技術の弱い折り筋を有する用紙の読み取りの様子(用紙Pと画像読取装置のプラテンガラス130の断面)と、読み取って得られた画像情報IGを示す図である。図9Bに示すように、弱い折り筋70は、1つの急峻な傾斜面72と、1つの緩慢な傾斜面74を含んで構成されることが多い。この場合、画像読取装置により用紙Pを読み取ると、読み取って得られた画像情報IGには、1つの急峻な傾斜面72に対応した1つの高明度な部分HBRのみが現れることになるため、画像情報IGから折り筋70の位置(中央位置とも言う)を特定することができない。本発明に係る実施形態は、このような弱い折り筋であっても、折り筋の位置を特定することが可能である。本発明に係る実施形態は、光量バランスが均等でない照明部を備える画像読取装置により用紙Pを2回読み取り、読み取って得られた第1画像情報と第2画像情報に基づいて用紙Pの折り筋の位置を特定する。以下、本発明に係る実施形態について詳細に説明していく。
【0036】
図1は、本発明に係る実施形態の画像形成装置10の概略構成を示す模式図である。画像形成装置10は、画像読取装置12(イメージスキャナとも言う)と、画像処理装置14と、画像形成部18と、後処理装置16を備える。画像形成装置10は、画像形成装置10の外部からジョブが入力され、そのジョブに基づいて、画像形成部18での用紙Pへの画像形成と共に、または、画像形成を経ること無く、後処理装置16で用紙Pに折り筋の形成処理や折り処理を行うことができるように構成される。折り筋は、用紙を所望の位置できれいに折るため等に用紙に付けられるものであり、クリースまたはクリース筋とも言う。
【0037】
後処理装置16は、用紙に折り筋の形成処理を行う折り筋形成装置52と、用紙に折り処理を行う折り装置54を含む。折り筋形成装置52で形成される折り筋70の位置は、所望の位置からずれることがある。そこで、折り筋形成装置52の折り筋形成位置の補正が必要となる。本発明に係る実施形態の画像形成装置10は、折り筋形成装置52で折り筋70が形成された用紙Pを、画像読取装置12で2回読み取り、読み取って得られた第1画像情報と第2画像情報に基づいて、画像処理装置14が折り筋の位置を特定する。特定された折り筋の位置、または、特定された折り筋の位置と所望の折り筋の位置とのずれ量が、折り筋形成装置52へ送られ、折り筋形成装置52はそれらの情報に基づいて用紙の折り筋形成位置を補正する。これにより、以降、折り筋形成装置52により用紙Pに形成される折り筋70の位置が、所望の位置、または、所望の位置により近くなる。
【0038】
画像読取装置12は、折り筋70が形成された用紙Pが置かれるプラテンガラス30と、用紙Pをプラテンガラス30上に押しつけるプラテンカバー32と、プラテンガラス30上に置かれた用紙Pを照明する照明部20と、用紙Pからの反射光を受光するCCD22(Charge Coupled Devices、受光部とも言う)を備える。照明部20は、副走査方向DM(図1の左右方向)に移動するキャリッジ24に搭載され、キャリッジ24の移動に伴って用紙Pを走査し、用紙Pからの反射光は、キャリッジ24に搭載されたミラー26、固定ミラー27、28、およびレンズ29を介してCCD22へ案内される。CCDは、反射光を電気信号に変換して、画像情報を生成する。
【0039】
照明部20は、光源であるランプのみで、または、ランプとランプを取り巻く光学系を含んで構成される。ここで、照明部20は、副走査方向DMの光量バランスが均等でない特徴を有する。この特徴は、例えば、光量バランスが均等でないランプを用いること、光量バランスを不均等にする光学系を用いること、またはこれらの組み合わせ等により実現される。図1に示す照明部20は、副走査方向DMの一方側DirLの光量に比べて他方側DirRの光量が小さくなっている。
【0040】
画像処理装置14は、プロセッサ40とメモリ42を含む。プロセッサ40は、画像読取装置12で得られた画像情報を取得する取得部46と、取得した画像情報から用紙Pの折り筋70の位置を特定する特定部48として機能する。メモリ42は、例えば、半導体素子からなるメモリ(例えばRAM、フラッシュメモリ等)、またはハードディスク等であり、取得した画像情報等を一時的に記憶する。画像処理装置14は、画像読取装置12、画像形成部18、および後処理装置16と電気的に接続され、それらとの間でデータ送受信できるように構成される。
【0041】
画像形成装置10全体の制御は、システムコントローラ(不図示)のプロセッサにより行われる。システムコントローラのプロセッサは、画像形成装置10の外部から入力されるジョブや、画像形成装置10に設けられたタッチパネル等の操作パネル(不図示)からの指示などに従って、画像読取装置12、画像処理装置14、画像形成部18、および後処理装置16を制御する。ただし、このような制御を、画像処理装置14のプロセッサ40が行うとしてもよい。
【0042】
次に、用紙Pの折り筋70の位置の特定処理について説明する。上記したように、用紙Pを2回読み取り、読み取って得られた第1画像情報と第2画像情報に基づいて用紙Pの折り筋70の位置を特定する。
【0043】
図2Aは、1回目の用紙読み取りのプラテンガラス30上の用紙Pの置き方(第1の状態)の一例を示す図であり、図2Bは、2回目の用紙読み取りのプラテンガラス30上の用紙Pの置き方(第2の状態)の一例を示す図である。なお、図2A図2Bの用紙P上のFの文字は、用紙Pの向きの理解を促すために描かれているものであり、必須のものではない。ただし、オペレータ等が用紙Pの向きを理解できるように、Fの文字が用紙Pに印刷されていてもよく、他の文字、記号、模様などが用紙Pの所定箇所に印刷されていてもよい。図2Aに示すように、1回目は、用紙上辺76が主走査方向DH(副走査方向DMと直交する方向)の一方側Dir1を向いた状態(第1の状態)で用紙Pが読み取られ、図2Bに示すように、2回目は、用紙上辺76が主走査方向DHの他方側Dir2を向いた状態(第2の状態、第1の状態とは反対側向いた状態、および1回目の用紙を180度回転させた状態のそれぞれに同じ)で用紙Pが読み取られる。1回目、2回目ともに、折り筋70の凹部がうつ伏せになるように用紙Pがプラテンガラス30上に置かれる。また、1回目、2回目ともに、折り筋70が副走査方向DM(照明部20の移動方向)と交差する方向になるように、用紙Pがプラテンガラス30上に置かれる。
【0044】
なお、図2A図2Bでは、折り筋70が副走査方向DMと直交するように用紙Pがプラテンガラス30上に置かれた状態が示されているが、折り筋70が副走査方向DMと交差するように用紙Pがプラテンガラス30上に置かれればよく、1回目と2回目で用紙Pの向きが厳密に180度異なっている必要はない。すなわち、第1の状態は、用紙Pの折り筋70と交差する用紙上辺76が主走査方向DHの一方側Dir1を向いた状態であればよく、第2の状態は、用紙上辺76が主走査方向DHの他方側Dir2(一方側Dir1とは反対側)を向いた状態であればよい。
【0045】
図3Aは、1回目の用紙読み取りの様子(用紙Pとプラテンガラス30の断面)と、読み取って得られた第1画像情報IG1を示す図である。図3Bは、2回目の用紙読み取りの様子(用紙Pとプラテンガラス30の断面)と、読み取って得られた第2画像情報IG2を示す図である。なお、図3A図3Bおよび以降説明する各図に示す第1画像情報IG1および第2画像情報IG2は、用紙Pの折り筋70に沿った方向の一部の領域の画像情報であり、明度の大小関係がグレースケールで示されている(白に近いほど高い明度であることが示されている)。
【0046】
図3Aには、1回目の用紙読み取りにおいて副走査方向DMの一方側DirLに急峻な傾斜面72が形成され他方側DirRに緩慢な傾斜面74が形成された折り筋70を有する用紙Pが描かれている。2回目の用紙読み取りでは、1回目の用紙読み取りから用紙Pが回転させられるので、図3Bに示すように、副走査方向DMの一方側DirLに緩慢な傾斜面74が配置され、他方側DirRに急峻な傾斜面72が配置されることになる。図3A図3Bにおいて特定されるべき折り筋70の位置は、図3Aにおいて急峻な傾斜面72の右側の位置β(副走査方向DMの他方側DirRの位置)であり、図3Bにおいて急峻な傾斜面72の左側の位置β(副走査方向DMの一方側DirLの位置)である。
【0047】
図3A図3Bに示すように、照明部20は、副走査方向DMの一方側DirLの光量に比べて他方側DirRの光量が小さくなっている。すなわち、用紙Pに対する副走査方向DMの一方側DirLの入射光(以降、一方側入射光IL1と言う)の光量に比べて、用紙Pに対する副走査方向DMの他方側DirRの入射光(以降、他方側入射光IL2と言う)の光量が小さくなっている。なお、以降の説明において、一方側入射光IL1に対する用紙Pの反射光を一方側反射光RL1と、他方側入射光IL2に対する用紙Pの反射光を他方側反射光RL2と言う。なお、図3A図3Bおよび以降説明する各図では、副走査方向DMの一方側DirLと他方側Dir2で光が2つに分かれているように描かれているが、これは説明の都合であって、照明部20の付近で、副走査方向DMに沿って光が存在することに留意すべきである。
【0048】
図3A図3Bに示すように、用紙Pに対する入射光の光量が大きいほど、その入射光に対する反射光の光量が大きくなり、用紙Pの緩慢な傾斜面74に比べて急峻な傾斜面72の方が反射光の光量が大きくなる。図3Aに示すように、光量が大きな一方側入射光IL1が急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が大きな一方側反射光RL1が得られ、第1画像情報IG1に急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR1が現れる。また、図3Bに示すように、光量が比較的小さな他方側入射光IL2ではあるが、急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が比較的大きな他方側反射光RL2が得られ、第2画像情報IG2に急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR2が現れる。ここで、BR1の明度はBR2の明度に比べて大きくなっている。
【0049】
画像処理装置14のプロセッサ40の取得部46は、画像読取装置12から第1画像情報IG1と第2画像情報IG2を取得する。そして、プロセッサ40の特定部48は、第1画像情報IG1において明度が所定値以上である範囲(第1範囲91と言う)を、急峻な傾斜面72に対応する高明度な部分BR1として特定する。次に、プロセッサ40の特定部48は、第1範囲91の副走査方向DMにおける隣接する2つの位置α、βのうちのいずれかを用紙Pの折り筋70の位置として特定する。これは、図5のフローを用いて行う。図5は、折り筋70の位置を特定する流れを示すフローチャートである。図5のS100で、プロセッサ40の特定部48は、BR1の明度がBR2の明度に比べて大きいかを確認する。プロセッサ40の特定部48は、例えば、第1画像情報IG1の用紙Pに対応する領域における最大明度をBR1の明度とし、第2画像情報IG2の用紙Pに対応する領域における最大明度をBR2の明度とする。図3A図3Bの場合には、BR1の明度がBR2の明度に比べて大きいので、S100がYesとなり、S102で、プロセッサ40の特定部48は、第1範囲91の副走査方向DMの他方側DirRに隣接する位置βを折り筋70の位置として特定する。このようにして、用紙Pの弱い折り筋70の位置(中心位置とも言う)が特定される。
【0050】
なお、プロセッサ40の特定部48は、第2画像情報IG2(図3B参照)において明度が所定値以上である範囲(第2範囲92と言う)を、急峻な傾斜面72に対応する高明度な部分BR2として特定し、図5のフローのS102で、第2範囲92の副走査方向DMの一方側DirRに隣接する位置βを折り筋70の位置として特定してもよい。
【0051】
図4Aは、図3Aに示された折り筋70を左右反転した形状の折り筋70を有する用紙Pの1回目の用紙読み取りの様子(用紙Pとプラテンガラス30の断面)と、読み取って得られた第1画像情報IG1を示す図である。図4Aに示す用紙Pは、1回目の用紙読み取りにおいて副走査方向DMの一方側DirLに緩慢な傾斜面74が形成され他方側DirRに急峻な傾斜面72が形成された用紙Pである。図4Bは、図4Aに示す用紙Pの2回目の用紙読み取りの様子(用紙Pとプラテンガラス30の断面)と、読み取って得られた第2画像情報IG2を示す図である。図4A図4Bにおいて特定されるべき折り筋70の位置は、図4Aにおいて急峻な傾斜面72の左側の位置α(副走査方向DMの一方側DirLの位置)であり、図4Bにおいて急峻な傾斜面72の右側の位置α(副走査方向DMの他方側DirRの位置)である。
【0052】
図4Aに示すように、光量が比較的小さな他方側入射光IL2ではあるが、急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が比較的大きな他方側反射光RL2が得られ、第1画像情報IG1には急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR1が現れる。また、図4Bに示すように、光量が大きな一方側入射光IL1が急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が大きな一方側反射光RL1が得られ、第2画像情報IG2には急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR2が現れる。ここで、BR1の明度はBR2の明度に比べて小さくなっている。
【0053】
図3A図3Bを用いて説明した折り筋70の特定処理を、図4A図4Bの第1画像情報IG1、第2画像情報IG2に対して行った場合、図5のフローのS100で、BR1の明度がBR2の明度に比べて小さいので、S100がNoとなる。そして、S104で、プロセッサ40の特定部48は、第1範囲91(図4A参照)の副走査方向DMの一方側DirLに隣接する位置α、または、第2範囲92(図4B参照)の副走査方向DMの他方側DirRに隣接する位置αを折り筋70の位置として特定することになる。このように、本発明に係る実施形態によれば、用紙Pの折り筋70が弱い場合であっても折り筋70の位置が特定される。
【0054】
ここで、図3A図4Aに示した1回目の用紙読み取りに着目する。図3A図4Aに示すように、第1画像情報IG1には急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR1が現れる。また、高明度な部分BR1の明度は、照明部20の光量バランスが均等でないことにより、折り筋70の形状によって変化する。すなわち、図4Aに示すように急峻な傾斜面72が副走査方向DMの他方側DirRにある場合のBR1の明度に比べて、図3Aに示すように急峻な傾斜面72が副走査方向DMの一方側DirLにある場合のBR1の明度は、高くなる。従って、1回の用紙読み取りで折り筋70の位置を特定することも可能なように思える。例えば、明度の閾値THを予め規定しておけば、BR1の明度>閾値THの場合(図3Aの場合)には第1範囲91の副走査方向DMの他方側DirRに隣接する位置βを折り筋70の位置として特定でき、BR1の明度≦閾値THの場合(図4Aの場合)には第1範囲91の副走査方向DMの一方側DirLに隣接する位置αを折り筋70の位置として特定できるように思える。しかし、実際には、例えば急峻な傾斜面72の角度は用紙Pによって異なるので、このような閾値THを予め規定しておくことは難しく、誤った位置を折り筋70の位置として特定しまう可能性が高い。つまり、1回の用紙読み取りだけでは、弱い折り筋70の位置を的確に特定することが難しい。一方、本発明に係る実施形態によれば、上記のような閾値THを予め規定しておく必要はなく、2回用紙Pを読み取って2つの高明度な部分BR1、BR2の明度の大小関係を確認するので、弱い折り筋70の位置を誤り無く、或いは、誤りを抑制して特定することが可能である。
【0055】
なお、折り筋70の位置は、次のように規定することができる。例えば、折り筋70の位置は用紙の左辺78または右辺79(図2A参照)からの距離で規定することができる。図2A図2Bに示すように、プラテンガラス30の端から用紙の左辺78または右辺79を離すことで、第1画像情報と第2画像情報には左辺78または右辺79に対応した位置に明度差が現れる。第1画像情報または第2画像情報において、左辺78または右辺79の明度差の位置から、特定された折り筋70の位置までの画素数を数えることにより、用紙Pの物理的な左辺78または右辺79から折り筋70の位置までの距離を知ることができる。また、例えば、画像処理装置14のメモリ42に所望の折り筋70の位置を予め記憶しておけば、画像処理装置14のプロセッサ40は、特定された折り筋70の位置と所望の折り筋の位置とのずれ量(以下、折り筋のずれ量とも言う)を算出することもできる。
【0056】
特定された折り筋の位置、または、折り筋のずれ量は、折り筋形成装置52へ送られる。折り筋形成装置52は、それらの情報に基づいて、以降処理する用紙Pの折り筋形成位置を補正する。これにより、以降処理される用紙Pにおいて、折り筋70の位置が所望の位置、または、所望の位置により近くなる。なお、画像形成装置10が備える操作パネル等に、特定された折り筋の位置、折り筋のずれ量、または、それらに基づいた情報(折り筋形成装置の調整値など)が表示されてもよい。
【0057】
なお、以上説明したように、画像読取装置12の照明部20は、副走査方向DMの光量バランスが均等ではない。しかし、このことは、必ずしも特別な画像読取装置を用いることを意味するものではない。発明者の確認によると、現在、オフィス等で使われている画像読取装置(イメージスキャナ)の中には、照明部20の副走査方向DMの光量バランスが均等でないものが存在することが分かっている。従って、上記した実施形態において、一般的な画像読取装置を使用できる可能性があることに留意すべきである。
【0058】
次に、変形例について説明する。以上説明した実施形態では、折り筋70の凹部がうつ伏せになるように用紙Pを画像読取装置12のプラテンガラス30に置いて用紙Pを読み取った。しかし、折り筋70の凹部が仰向けになるように用紙Pをプラテンガラス30に置いて用紙Pを読み取ってもよい。この場合でも、第1画像情報IG1と第2画像情報IG2に、用紙Pの凹部の裏側の急峻な傾斜面の位置に対応した高明度な部分BR1、BR2が現れ、折り筋70の位置が特定される。
【0059】
また、以上説明した実施形態では、折り筋の位置を特定するものであったが、折り目の位置(折り位置と同じ)を特定してもよい。画像形成装置10が備える折り装置54(図1参照)で折られた用紙Pを、広げた状態で、折り目の凹部がうつ伏せになるように、または、凹部が仰向けになるようにプラテンガラス30に置いて、読み取りを行う。上記した折り筋の位置の特定処理と同様の処理を行って、折り目の位置を特定する。特定された折り目の位置、または、特定された折り目の位置と所望の折り目の位置とのずれ量(折り目のずれ量とも言う)が、折り装置54へ送られ、折り装置54はそれらの情報に基づいて用紙Pの折り位置を補正する。これにより、以降、折り装置54によって折られる用紙Pの折り目の位置が、所望の位置、または、所望の位置により近くなる。なお、折り筋と折り目を含めて「折り線」と言う。
【0060】
また、以上説明した実施形態では、画像読取装置12、画像処理装置14、画像形成部18、折り筋形成装置52、および折り装置54が一体化されたものであったが、物理的に分離された個別の装置であってもよい。また、画像読取装置12、画像処理装置14、画像形成部18、折り筋形成装置52、および折り装置54のうちのいずれか2つ、3つ、または4つが一体化されて装置を構成していてもよい。これらの場合、装置間のデータの受け渡しは、電気的接続により、または、USBメモリ等の携帯メモリにより行うとしてもよい。また、これらの場合に、表示パネル等に、特定された折り線の位置、折り線のずれ量(折り筋のずれ量、折り目のずれ量を含む)、または、それらに基づいた情報(装置の調整値など)が表示されてもよい。
【0061】
また、以上説明した実施形態では、副走査方向DMの一方側DirLの光量に比べて他方側DirRの光量が小さい照明部20を有する画像読取装置12を用いたが、副走査方向DMの一方側DirLの光量に比べて他方側DirRの光量が大きい照明部20を有する画像読取装置12を用いてもよい。この別の照明部20を用いた折り筋の位置の特定処理を、以下において、図6A図6B図7A図7B、および図8を参照しながら説明する。
【0062】
図6Aには、1回目の用紙読み取りにおいて副走査方向DMの一方側DirLに急峻な傾斜面72が形成され他方側DirRに緩慢な傾斜面74が形成された折り筋70を有する用紙Pが描かれている。2回目の用紙読み取りでは、1回目の用紙読み取りから用紙Pが回転させられるので、図6Bに示すように、副走査方向DMの一方側DirLに緩慢な傾斜面74が配置され、他方側DirRに急峻な傾斜面72が配置されることになる。図6A図6Bにおいて特定されるべき折り筋70の位置は、図6Aにおいて急峻な傾斜面72の右側の位置β(副走査方向DMの他方側DirRの位置)であり、図6Bにおいて急峻な傾斜面72の左側の位置β(副走査方向DMの一方側DirLの位置)である。
【0063】
図6Aに示すように、光量が比較的小さな一方側入射光IL1ではあるが、急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が比較的大きな一方側反射光RL1が得られ、第1画像情報IG1には急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR1が現れる。また、図6Bに示すように、光量が大きな他方側入射光IL2が急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が大きな他方側反射光RL2が得られ、第2画像情報IG2には急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR2が現れる。ここで、BR1の明度はBR2の明度に比べて小さくなっている。
【0064】
図8は、この別の照明部20を用いた場合の折り筋70の位置を特定する流れを示すフローチャートである。図8のS200で、プロセッサ40の特定部48は、BR1の明度がBR2の明度に比べて大きいかを確認する。図6A図6Bの場合には、BR1の明度がBR2の明度に比べて小さいので、S200がNoとなり、S204で、プロセッサ40の特定部48は、第1範囲91(図6A参照)の副走査方向DMの他方側DirRに隣接する位置β、または、第2範囲92(図6B参照)の副走査方向DMの一方側DirLに隣接する位置βを折り筋70の位置として特定する。このようにして、用紙Pの弱い折り筋70の位置(中心位置)が特定される。
【0065】
図7Aは、図6Aに示された折り筋を左右反転した形状の折り筋70を有する用紙Pの1回目の用紙読み取りの様子(用紙Pとプラテンガラス30の断面)と、読み取って得られた第1画像情報IG1を示す図である。図7Aに示す用紙Pは、1回目の用紙読み取りにおいて副走査方向DMの一方側DirLに緩慢な傾斜面74が形成され他方側DirRに急峻な傾斜面72が形成された用紙Pである。図7Bは、図7Aに示す用紙Pの2回目の用紙読み取りの様子(用紙Pとプラテンガラス30の断面)と、読み取って得られた第2画像情報IG2を示す図である。図7A図7Bにおいて特定されるべき折り筋70の位置は、図7Aにおいて急峻な傾斜面72の左側の位置α(副走査方向DMの一方側DirLの位置)であり、図7Bにおいて急峻な傾斜面72の右側の位置α(副走査方向DMの他方側DirRの位置)である。
【0066】
図7Aに示すように、光量が大きな他方側入射光IL2が急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が大きな他方側反射光RL2が得られ、第1画像情報IG1には急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR1が現れる。また、図7Bに示すように、光量が比較的小さな他方側入射光IL1ではあるが、急峻な傾斜面72で反射されるので、光量が比較的大きな一方側反射光RL1が得られ、第2画像情報IG2には急峻な傾斜面72の位置に対応した高明度な部分BR2が現れる。ここで、BR1の明度はBR2の明度に比べて大きくなっている。図7A図7Bの場合には、図8のフローのS200で、BR1の明度がBR2の明度に比べて大きいので、S200がYesとなり、S202で、プロセッサ40の特定部48は、第1範囲91(図7A参照)の副走査方向DMの一方側DirLに隣接する位置α、または、第2範囲92(図7B参照)の副走査方向DMの他方側DirRに隣接する位置αを折り筋70の位置として特定する。このようにして、用紙Pの弱い折り筋70の位置が特定される。
【0067】
なお、以上説明した実施形態では、2回目の用紙読み取りは、1回目の用紙読み取りの用紙Pを回転させることで行った。しかし、2回目の用紙読み取りを、用紙Pを回転させる代わりに、画像読取装置12の照明部20の光を1回目の用紙読み取りとは変化させて行うとしてもよい。例えば、1回目の用紙読み取りは、図3Aに示すように照明部20を副走査方向DMの一方側DirLの光量に比べて他方側DirRの光量が小さい状態にして行い、2回目の用紙読み取りは、1回目の用紙読み取りから用紙Pを回転させずに、図6Aに示すように照明部20を副走査方向DMの一方側DirLの光量に比べて他方側DirRの光量が大きい状態に変化させて行う。
【0068】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0069】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 画像形成装置、12 画像読取装置、14 画像処理装置、16 後処理装置、18 画像形成部、20 照明部、22 CCD(受光部)24 キャリッジ、26,27,28 ミラー、29 レンズ、30 プラテンガラス、32 プラテンカバー、40 プロセッサ、42 メモリ、46 取得部、48 特定部、52 折り筋形成装置、54 折り装置、70 折り筋、72 急峻な傾斜面、74 緩慢な傾斜面、76 上辺、78 左辺、79 右辺、91 第1範囲、92 第2範囲、BR1,BR2,HBR 高明度な部分、CP 中央位置、IG 画像情報、IG1 第1画像情報、IG2 第2画像情報、IL1 一方側入射光、IL2 他方側入射光、RL1 一方側反射光、RL2 他方側反射光、P 用紙。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B