(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】監視装置及び監視プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20231017BHJP
B41J 29/38 20060101ALN20231017BHJP
B41J 29/42 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
G06F11/07 166
G06F11/07 190
G06F11/07 140A
B41J29/38 205
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2019183963
(22)【出願日】2019-10-04
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 永根
【審査官】武田 広太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/033894(WO,A1)
【文献】特開2006-190138(JP,A)
【文献】特開2004-185138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
B41J 29/38
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
情報処理装置と1つ以上の外部装置がネットワークを介して連携しながら一連の情報処理を実行する場合において、前記1つ以上の外部装置が提供する複数種類の情報処理サービスに関わる動作の確認を行い、
前記ネットワークを介した検索を通じて、前記複数種類の情報処理サービスのうち停止中の情報処理サービスに関する運用の状況を示す運用情報を取得し、
前記運用情報が取得された場合に、前記情報処理装置のユーザ又は管理者に向けて、前記動作を確認した結果を示す動作確認情報と併せて前記運用情報を出力させる出力制御を行
い、
前記出力制御は、前記停止中の情報処理サービスがある場合に、前記停止中の情報処理サービスがない場合と比べて、前記動作確認情報又は前記運用情報を出力させる頻度を高くする制御を含む、
ことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記運用情報は、
前記検索を通じて、他の種類の情報処理サービスと比べて前記停止中の情報処理サービスとの関連性が高い情報を記述するデータを取得する処理と、
前記データを解析し、解析結果に基づいて前記運用情報を作成する処理と、
の実行により取得されることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記運用情報は、前記停止中の情報処理サービスにおける停止時間帯であって、まだ経過していない停止時間帯を含むことを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記データにより特定される第1現地時間と、情報の出力先における第2現地時間との間に時差がある場合、前記運用情報は、前記第2現地時間に対応する停止時間帯を含むことを特徴とする請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記データは、複数種類の言語又は複数種類の現地時間を含む検索条件を用いた前記検索を通じて取得されることを特徴とする請求項
2に記載の監視装置。
【請求項6】
前記出力制御は、前記停止中の情報処理サービスが2種類以上ある場合、予め定められた優先度が相対的に高い停止中の情報処理サービスに関する前記動作確認情報及び前記運用情報のみを出力させる制御を含むことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項7】
前記出力制御は、前記動作確認情報と前記運用情報の間の内容が整合しない場合、前記動作確認情報のみを出力させる制御を含むことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項8】
プロセッサに、
情報処理装置と1つ以上の外部装置がネットワークを介して連携しながら一連の情報処理を実行する場合において、前記1つ以上の外部装置が提供する複数種類の情報処理サービスに関わる動作の確認を行わせ、
前記ネットワークを介した検索を通じて、前記複数種類の情報処理サービスのうち停止中の情報処理サービスに関する運用の状況を示す運用情報を取得させ、
前記運用情報が取得された場合に、前記情報処理装置のユーザ又は管理者に向けて、前記動作を確認した結果を示す動作確認情報と併せて前記運用情報を出力させる
際、前記停止中の情報処理サービスがある場合に、前記停止中の情報処理サービスがない場合と比べて、前記動作確認情報又は前記運用情報を出力させる頻度を高くする、
ことを特徴とする監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置及び監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、監視対象機器の障害が検知された場合に、この監視対象機器により提供されているサービスを特定し、サービスの特定結果又は稼働の確認結果を示す情報を出力する監視装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、巡回先Webページで公開される現在の公開情報と比較しながら、新たな公開情報を特定した場合に、記憶装置に格納される情報を逐次更新するサーバコンピュータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-142091号公報
【文献】特開2006-318138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、情報を処理可能な情報処理装置が、ネットワークを介して1つ以上の外部装置と連携しながら一連の情報処理を実行する場合が想定される。ところが、外部装置の動作を確認した結果を示す動作確認情報を出力する場合に、情報処理装置のユーザ又は管理者は、その出力された動作確認情報を手掛かりに各々の情報処理サービスが利用できるか否かを把握できるにすぎず、さらに詳しい情報を得ることができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、ネットワークを介して1つ以上の外部装置と連携して一連の情報処理を実行する際、情報処理サービスの停止中に、外部装置の動作を確認した結果を示す情報のみを出力する場合と比べて、停止の状況を把握するためのより有用な情報をユーザ又は管理者に与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、情報処理装置と1つ以上の外部装置がネットワークを介して連携しながら一連の情報処理を実行する場合において、前記1つ以上の外部装置が提供する複数種類の情報処理サービスに関わる動作の確認を行い、前記ネットワークを介した検索を通じて、前記複数種類の情報処理サービスのうち停止中の情報処理サービスに関する運用の状況を示す運用情報を取得し、前記運用情報が取得された場合に、前記情報処理装置のユーザ又は管理者に向けて、前記動作を確認した結果を示す動作確認情報と併せて前記運用情報を出力させる出力制御を行い、前記出力制御は、前記停止中の情報処理サービスがある場合に、前記停止中の情報処理サービスがない場合と比べて、前記動作確認情報又は前記運用情報を出力させる頻度を高くする制御を含む監視装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記運用情報は、前記検索を通じて、他の種類の情報処理サービスと比べて前記停止中の情報処理サービスとの関連性が高い情報を記述するデータを取得する処理と、前記データを解析し、解析結果に基づいて前記運用情報を作成する処理と、の実行により取得される、請求項1に記載の監視装置である。
請求項3に記載の発明は、前記運用情報は、前記停止中の情報処理サービスにおける停止時間帯であって、まだ経過していない停止時間帯を含む、請求項2に記載の監視装置である。
請求項4に記載の発明は、前記データにより特定される第1現地時間と、情報の出力先における第2現地時間との間に時差がある場合、前記運用情報は、前記第2現地時間に対応する停止時間帯を含む、請求項3に記載の監視装置である。
請求項5に記載の発明は、前記データは、複数種類の言語又は複数種類の現地時間を含む検索条件を用いた前記検索を通じて取得される、請求項2に記載の監視装置である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、前記出力制御は、前記停止中の情報処理サービスがある場合に、前記停止中の情報処理サービスがない場合と比べて、前記動作確認情報又は前記運用情報を出力させる頻度を高くする制御を含む、請求項1に記載の監視装置である。
請求項7に記載の発明は、前記出力制御は、前記停止中の情報処理サービスが2種類以上ある場合、予め定められた優先度が相対的に高い停止中の情報処理サービスに関する前記動作確認情報及び前記運用情報のみを出力させる制御を含む、請求項1に記載の監視装置である。
【0010】
請求項8に記載の発明は、プロセッサに、情報処理装置と1つ以上の外部装置がネットワークを介して連携しながら一連の情報処理を実行する場合において、前記1つ以上の外部装置が提供する複数種類の情報処理サービスに関わる動作の確認を行わせ、前記ネットワークを介した検索を通じて、前記複数種類の情報処理サービスのうち停止中の情報処理サービスに関する運用の状況を示す運用情報を取得させ、前記運用情報が取得された場合に、前記情報処理装置のユーザ又は管理者に向けて、前記動作を確認した結果を示す動作確認情報と併せて前記運用情報を出力させる際、前記停止中の情報処理サービスがある場合に、前記停止中の情報処理サービスがない場合と比べて、前記動作確認情報又は前記運用情報を出力させる頻度を高くする監視プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,8に記載の発明によれば、ネットワークを介して1つ以上の外部装置と連携して一連の情報処理を実行する際、情報処理サービスの停止中に、外部装置の動作を確認した結果を示す情報のみを出力する場合と比べて、停止の状況を把握するためのより有用な情報がユーザ又は管理者に与えられる。また、停止中の情報処理サービスに関する情報が、出力頻度を常に一定にする場合と比べて、より高い鮮度でユーザ又は管理者に提供される。
請求項2に記載の発明によれば、検索を通じて得たデータをそのまま利用する場合と比べて、より純度が高い情報が得られる。
請求項3に記載の発明によれば、ユーザ又は管理者は、運用情報に停止時間帯が含まれない場合と比べて、情報処理サービスの停止時点又は再開時点をより把握しやすくなる。
請求項4に記載の発明によれば、第1現地時間に対応する停止時間帯を出力する場合と比べて、ユーザ又は管理者による時間の誤認が抑制される。
請求項5に記載の発明によれば、1種類のみの言語又は1種類のみの現地時間を含む検索条件を用いる場合と比べて、言語又は現地時間の違いに起因する検索漏れが抑制されやすくなる。
請求項6に記載の発明によれば、停止中のすべての情報処理サービスに関する情報をすべて出力する場合と比べて、優先度が相対的に高い情報のみをユーザ又は管理者に与えやすくなる。
請求項7に記載の発明によれば、互いに内容が整合しない動作確認情報及び運用情報を出力する場合と比べて、情報を受け取ったユーザ又は管理者の混乱が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における監視装置が組み込まれた情報処理システの全体構成図である。
【
図2】
図1に示す監視装置が有する制御部の機能ブロック図である。
【
図3】監視装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】チェックリストが有するデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】ウェブ検索に用いられる検索テーブルの一例を示す図である。
【
図6】ウェブ検索による検索結果の一例を示す図である。
【
図7】ウェブページを記述するソースコードの一例を示す図である。
【
図8】運用情報リストが有するデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】判断基準時が停止時間帯に属している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における監視装置について、監視プログラムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0014】
[監視装置18の構成]
図1は、本発明の一実施形態における監視装置18が組み込まれた情報処理システム10の全体構成図である。
図2は、
図1に示す監視装置18が有する制御部28の機能ブロック図である。
【0015】
この情報処理システム10は、画像形成装置12と1つ以上のクラウドサーバ16がネットワークNWを介して連携しながら一連の情報処理を実行可能に構成される。具体的には、情報処理システム10は、画像形成装置12(「情報処理装置」に相当)と、クラウド14上に設けられた1つ又は複数のクラウドサーバ16(「外部装置」に相当)と、監視装置18と、を含んで構成される。
【0016】
画像形成装置12は、情報を処理可能に構成される情報処理装置の一態様であり、ここではデジタル複合機(MFP;Multifunction Peripheral)からなる。この画像形成装置12は、本体機能部20と、連携制御部22と、表示部24(「出力装置」に相当)と、を含んで構成される。本体機能部20は、プリンタ機能、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能、及びデータ送信機能のうち少なくとも1つの機能を実行する。連携制御部22は、クラウドサーバ16と連携しながら一連の情報処理を実行するための制御を行う。表示部24は、例えば、画像やメッセージを含む可視情報を出力可能な表示パネルから構成される。
【0017】
各々のクラウドサーバ16は、一連の情報処理のうち画像形成装置12により実行されない情報処理(以下、「情報処理サービス」という)を実行可能に構成されるサーバ装置である。情報処理サービスの一例として、OCR(Optical Character Recognition)処理、データの保存・管理、経費精算処理、認証基盤、IoT(Internet of Things)データの分析などが挙げられる。本図ではクラウドサーバ16を単体のコンピュータとして図示しているが、これに代わって、クラウドサーバ16は、分散システムを構築するコンピュータ群であってもよい。
【0018】
監視装置18は、ネットワークNWに接続されたコンピュータであり、1つ又は複数のクラウドサーバ16の稼働状態を監視する。具体的には、この監視装置18は、通信部26と、制御部28と、記憶部30と、を含んで構成される。
【0019】
通信部26は、外部装置に対して電気信号を送受信するための通信インターフェースである。これにより、監視装置18は、ネットワークNWを通じて、画像形成装置12及びクラウドサーバ16との間で様々なデータのやり取りが可能である。
【0020】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)を含むプロセッサによって構成される。制御部28は、記憶部30に格納された監視プログラムを読み出して実行することで、動作確認部40、検索処理部42、データ収集部44、データ解析部46、及び出力制御部48(
図2参照)として機能する。
【0021】
記憶部30は、非一過性であり、かつ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体で構成されている。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)を含む記憶装置、あるいは、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、フラッシュメモリ等の可搬媒体である。
【0022】
[監視装置18の動作]
この実施形態における監視装置18は、以上のように構成される。続いて、この監視装置18の動作について、
図3のフローチャートを主に参照しながら説明する。
図3のステップS1~S9は監視装置18により、ステップS10は画像形成装置12によりそれぞれ実行される。
【0023】
ステップS1において、監視装置18の制御部28(より詳しくは、動作確認部40)は、1つ以上のクラウドサーバ16が提供する複数種類の情報処理サービスに関わる動作の確認を行う。具体的には、動作確認部40は、予め定められた実行スケジュール(例えば、10分おき)に従って、チェックリスト60に掲載された確認項目毎にいわゆる「ヘルスチェック」を行う。
【0024】
図4は、チェックリスト60が有するデータ構造の一例を示す図である。このチェックリスト60は、リストの掲載順を示す「No」と、情報処理サービスの「名称」と、確認対象の動作を示す「確認項目」と、確認対象であるクラウドサーバ16の所在を示す「サイト」と、確認の「結果」と、確認の「実施時点」と、から構成されるリスト形式のデータである。なお、確認項目の数は、1種類の情報処理サービスにつき1個であってもよいし、2個以上であってもよい。
【0025】
例えば、動作確認部40は、チェックリスト60の掲載順に従って確認を行い、確認の結果が得られた場合に「結果」及び「実施時点」の欄を逐次埋めていく。本図の例では、
動作確認部40は、1~5番目の動作にてサービスA,B,Cはすべて正常であるが、6番目の動作にてサービスDが異常(つまり、サービスの停止中)であることを確認する。この停止の原因として、クラウドサーバ16の障害や、メンテナンスに伴う一時的な稼働停止などが挙げられる。
【0026】
ステップS2において、動作確認部40は、ステップS1での確認結果に基づいて、停止中の情報処理サービスが検出されたか否かを判定する。停止中の情報処理サービスが検出されなかった場合(ステップS2:NO)、ステップS1に戻って、サービスの停止が検出されるまでステップS1,S2を繰り返して実行する。一方、停止中の情報処理サービスが検出された場合(ステップS2:YES)、次のステップS3に進む。
【0027】
ステップS3において、データ収集部44は、停止中の情報処理サービスに関するログデータを収集することで、クラウドサーバ16の動作を確認した結果を示す情報(以下、「動作確認情報Ick」という)を取得する。この動作確認情報Ickには、例えば、情報処理サービスの識別情報、異常の発生時点(年月日や時刻を含む)、エラーコード及びエラーメッセージなどが含まれる。その後、データ収集部44は、自身が取得した動作確認情報Ickを検索処理部42に供給する。
【0028】
ステップS4において、検索処理部42は、ステップS3で取得された動作確認情報Ickを用いて、ネットワークNW上の検索(以下、「ウェブ検索」ともいう)に用いられる検索条件を設定する。具体的には、検索処理部42は、動作確認情報Ickに含まれる文字列(例えば、サービス名、年月日、時刻、障害・メンテナンスなど)から適切な検索ワードを選択し、サービスの停止状況を把握することを目的とした検索条件を設定する。
【0029】
この情報処理サービスが特定の地域のみで提供される場合、検索条件には、その地域内で使用される単一の言語や単一の現地時間が含まれていれば十分である。ところが、この情報処理サービスが世界中で提供される場合、サービス提供側であるクラウドサーバ16と、サービス享受側である画像形成装置12とが地理的に離れた場所に存在する状況があり得る。そこで、検索処理部42は、地域にかかわらず検索範囲が実質的に同一になるように、複数種類の言語又は複数種類の現地時間を含む検索条件を設定してもよい。
【0030】
図5は、ウェブ検索に用いられる検索テーブル62の一例を示す図である。この検索テーブル62は、検索項目及び検索情報から構成されるテーブル形式のデータである。検索項目には、例えば、発生時点、サービス情報、停止理由などが挙げられる。検索情報は、検索対象は実質的に同一であるが、地域に応じて異なっている。例えば、サービス提供側の地域が米国である場合、「発生時点」が米国の現地時間であり、「サービス情報」及び「停止理由」がそれぞれ英語で表記されている。一方、サービス享受側の地域が日本である場合、「発生時点」が日本の現地時間であり、「サービス情報」及び「停止理由」がそれぞれ日本語で表記されている。
【0031】
ステップS5において、検索処理部42は、ステップS4で設定された検索条件を用いて、ネットワークNW上のウェブ検索処理を行う。ここで、ウェブ検索を用いることで、[1]API(Application Programming Interface)が利用できない場合、[2]新規の情報処理サービスにおいてウェブページの構成を把握できない場合、[3]既存の情報処理サービスにおいて指定されたURLが変更された場合であっても、クラウドサーバ16以外の情報源から情報を収集することができる。
【0032】
具体的には、検索処理部42は、クローリングを含む様々な検索手法を用いてウェブ検索を行い、検索スコアが高い順にウェブページの所在(例えば、URL:Uniform Resource Locator)を列挙してリスト化する。
【0033】
図6は、ウェブ検索による検索結果の一例を示す図である。検索結果リスト64は、検索スコアの序列を示す「No」と、ウェブページの所在を示す「URL」と、から構成されるリスト形式のデータである。なお、検索結果リスト64の掲載数(いわゆる、絞り込み件数)は、固定であってもよいし必要に応じて適宜変更されてもよい。
【0034】
ステップS6において、ステップS5にて得られた検索結果リスト64に従って、該当するウェブデータを収集する。このウェブデータには、他の情報処理サービスと比べて相対的に関連性が高い情報、具体的には、停止中の情報処理サービスに関する運用の状況を示す情報(以下、「運用情報Iop」という)が含まれ得る。その後、データ収集部44は、自身がそれぞれ取得したウェブデータ及び動作確認情報Ickをデータ解析部46に供給する。
【0035】
図7は、ウェブページを記述するソースコードの一例を示す図である。このソースコードは、例えば、HTML(HyperText Markup Language)、XML(eXtensible Markup Language)を含むマークアップ言語を用いて記述されている。このソースコードには、
図5に示す検索テーブル62内の「検索情報」と一致又は近似する文字列(例えば、年月日)が含まれる。
【0036】
ステップS7において、データ解析部46は、ステップS6で収集されたウェブデータを解析することで、運用情報Iopのリスト(以下、運用情報リスト66)を作成する。具体的には、データ解析部46は、動作確認情報Ickに含まれる文字列(例えば、サービス名、年月日、時刻、障害・メンテナンスなど)から適切な抽出対象を設定し、ウェブデータの中から抽出対象の文字列を抽出する。
【0037】
図8は、運用情報リスト66が有するデータ構造の一例を示す図である。この運用情報リスト66は、1つ以上の運用情報Iopから構成されるリスト形式のデータである。運用情報Iopには、例えば、年、月日、時間、状態、案内・通知などの各種情報が含まれる。なお、時間を示す文字列の前後にハイフンなどの記号が配置されている場合、当該文字列と一緒に記号も抽出される。
【0038】
ステップS8において、出力制御部48は、ステップS7での解析を通じて作成された運用情報リスト66の中から、出力対象の運用情報Iopを特定する。具体的には、出力制御部48は、ウェブデータの内容又は付帯情報により特定される現地時間にて、判断基準時が停止時間帯に属している運用情報Iopのみを出力対象として特定する。この「判断基準時」は、典型的にはステップS8の実行時であるが、
図3のフローチャートにおける一連の動作(ステップS1~S10)を実行している間の任意の時点であってもよい。
【0039】
図9に示すように、具体的には、[1]停止時間帯の開始時点と終了時点が明示されている場合、判断基準時が開始時点と終了時点の間にあること、[2]停止時間帯の開始時点のみが明示されている場合、判断基準時が開始時点よりも後であること、[3]停止時間帯の終了時点のみが明示されている場合、判断基準時が終了時点よりも前であること、のいずれかの条件を満たせばよい。
図8の例では、判断基準時が「2019年2月23日の18:26」である場合、運用情報リスト66の上から3番目に該当する情報がある。一方、判断基準時が「2019年2月23日の23:10」である場合、運用情報リスト66の中には該当する情報がない。
【0040】
ステップS9において、出力制御部48は、ステップS8で特定された運用情報Iopの出力制御を行う。出力制御部48は、運用情報Iopが取得された場合に動作確認情報Ick及び運用情報Iopの両方の出力を指示する一方、運用情報Iopが取得されなかった場合に動作確認情報Ickのみの出力を指示する出力制御を行う。また、出力制御部48は、様々な条件又は条件の組み合わせに従って情報の出力方針を変更してもよい。
【0041】
(方針1)ユーザに対して理解可能な言語を用いて情報を提供することが望ましい。そこで、出力制御部48は、複数種類の言語を用いて検索が行われた場合、サービス享受側の使用言語に対応する情報のみを出力させてもよい。
(方針2)ユーザに対して誤解を与えることなく時間に関する情報を提供することが望ましい。そこで、出力制御部48は、複数種類の現地時間を用いて検索が行われた場合、サービス享受側の現地時間に対応する情報のみを出力させてもよい。
【0042】
(方針3)停止中の情報処理サービスの種類によって、ユーザに与える影響度が異なる可能性がある。そこで、出力制御部48は、2種類以上のサービスが同時に停止している場合、優先度が相対的に高いサービスに対応する情報のみを出力させてもよい。この優先度は、情報処理サービスの重要度(例えば、ユーザ数、使用頻度の高さ、セキュリティなど)に応じて予め定められる。
【0043】
(方針4)運用情報Iopが不完全である場合、すべての情報を提供することで却ってユーザの混乱を招くおそれがある。そこで、出力制御部48は、運用情報Iopの一部が欠落している場合、内容を特定できる箇所のみを出力させる一方、内容を特定できない箇所を出力させなくてもよい。具体例として、停止時間帯のうち終了時点に関する文字列を特定できなかった場合、「18:00-」なる文字列を出力するなどが挙げられる。
【0044】
(方針5)情報の出所の観点から、動作確認情報Ickに対する信頼度は、運用情報Iopに対する信頼度と比べて相対的に高い場合が多い。そこで、出力制御部48は、動作確認情報Ickと運用情報Iopの間の内容が整合しない場合に動作確認情報Ickのみを出力させてもよい。あるいは、出力制御部48は、該当する運用情報Iopを取得できなかった場合に動作確認情報Ickのみを出力させてもよい。なお、内容の一部のみが整合しない場合、出力制御部48は、部分的に整合する情報のみを出力させてもよい。
【0045】
(方針6)該当する運用情報Iopを取得できなかった場合、当該情報が取得されるまで待機するとその分だけ、情報を出力するタイミングが遅れてしまう。そこで、出力制御部48は、該当する運用情報Iopを取得できなかった場合に動作確認情報Ickのみを出力させてもよい。
【0046】
(方針7)停止中の情報処理サービスがある場合、ユーザに対して鮮度がより高い情報を提供することが望ましい。そこで、出力制御部48は、停止中の情報処理サービスがある場合に、停止中の情報処理サービスがない場合と比べて、動作確認情報Ick又は運用情報Iopを出力させる頻度を高くしてもよい。具体例として、ヘルスチェック(
図3のステップS1)の実行頻度を10分おきから5分おきに短縮するなどが挙げられる。
【0047】
ステップS10において、画像形成装置12は、ステップS9の出力制御に従って情報を出力する。出力に先立ち、監視装置18は、動作確認情報Ick及び/又は運用情報Iopを含む指令信号を画像形成装置12に向けて送信する。画像形成装置12は、ネットワークNWを介して、監視装置18からの指令信号を受信すると、停止中の情報処理サービスに関する可視情報を表示部24の画面80上に表示する。
【0048】
図11に示すように、画面80の欄81内には、サービス名と、当該サービスが停止状態である旨と、サービスの所在と、を含む動作確認情報Ickが表示される。また、画面80の欄82内には、サービス名と、停止時間帯と、メッセージと、を含む運用情報Iopが表示される。ユーザは、画面80の欄81,82内を視認することで、情報処理サービスの停止状況をより詳しく把握することができる。
【0049】
一方、運用情報Iopのうち停止時間帯の終了時点のみが欠落している場合、
図12(a)に示すように欄81内の終了時点が余白になって画面80が表示される。また、運用情報Iopが取得できなかった場合、
図12(b)に示すように、画面80の欄82内には、運用情報Iopに代わって「確認中」という文字が表示される。
【0050】
ここでは、画像形成装置12の表示部24に可視情報を出力しているが、これと併せて又はこれとは別に可聴情報(例えば、音声)を出力してもよい。また、監視装置18は、情報処理装置としての画像形成装置12に情報の出力を指示しているが、これに代えて、出力手段を有する他の装置(例えば、画像形成装置12の管理者が所有する端末)に対して出力を指示してもよいし、監視装置18に設けられた出力手段に対して出力を指示してもよい。
【0051】
ステップS10の終了後、ステップS1に戻る。このように、
図3に示すフローチャートの動作を繰り返すことで、監視装置18による監視動作が逐次行われる。
【0052】
[この実施形態のまとめ]
以上のように、監視装置18が備える制御部28(プロセッサ)は、画像形成装置12(情報処理装置)と1つ以上のクラウドサーバ16(外部装置)がネットワークNWを介して連携しながら一連の情報処理を実行する場合において、1つ以上のクラウドサーバ16が提供する複数種類の情報処理サービスに関わる動作の確認を行い(S1)、ネットワークNWを介した検索を通じて、複数種類の情報処理サービスのうち停止中の情報処理サービスに関する運用の状況を示す運用情報Iopを取得し(S6)、運用情報Iopが取得された場合に、画像形成装置12のユーザ又は管理者に向けて、動作確認情報Ickと併せて運用情報Iopを出力させる出力制御を行う(S9)。
【0053】
このように、ネットワークNWを介した検索を用いて、停止中の情報処理サービスに関する運用情報Iopを取得することで、動作の確認とは異なる別の手段によって停止中の情報処理サービスに関する多角的な情報を入手可能となり、2種類の情報(つまり、動作確認情報Ick及び運用情報Iop)を同時にユーザに提供することができる。これにより、ネットワークNWを介して1つ以上のクラウドサーバ16と連携して一連の情報処理を実行する際、情報処理サービスの停止中に、動作確認情報Ickのみを出力する場合と比べて、停止の状況を把握するためのより有用な情報がユーザ又は管理者に与えられる。
【0054】
この運用情報Iopは、検索を通じて、他の種類の情報処理サービスと比べて停止中の情報処理サービスとの関連性が高い情報を記述するデータを取得する処理(S6)と、データを解析し、解析結果に基づいて運用情報Iopを作成する処理(S7)と、の実行により取得されてもよい。また、運用情報Iopは、停止中の情報処理サービスにおける停止時間帯であって、まだ経過していない停止時間帯を含んでもよい。また、運用情報Iopは、データにより特定される第1現地時間と、情報の出力先における第2現地時間との間に時差がある場合、第2現地時間に対応する停止時間帯が含まれてもよい。
【0055】
[変形例]
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲で各々の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0056】
上記した実施形態における「プロセッサ」は、広義のプロセッサを意味し、汎用的なプロセッサ(CPU又はMPU)のみならず、専用的なプロセッサ(GPU;Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、PLD:Programmable Logic Device)を含み得る。
【0057】
上記した実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサにより行われてもよいし、物理的に離れた位置に設けられた複数のプロセッサが協働して行われてもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、
図3に示すフローチャートの順序のみに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0058】
10 情報処理システム、12 画像形成装置(情報処理装置)、16 クラウドサーバ(外部装置)、18 監視装置、20 本体機能部、22 連携制御部、24 表示部(出力装置)、26 通信部、28 制御部(プロセッサ)、30 記憶部、40 動作確認部、42 検索処理部、44 データ収集部、46 データ解析部、48 出力制御部、60 チェックリスト、62 検索テーブル、64 検索結果リスト、66 運用情報リスト、80 画面、Ick 動作確認情報、Iop 運用情報。