(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】現像装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20231017BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G03G15/08 366
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2019188563
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 遼
(72)【発明者】
【氏名】神山 雄二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 侑
(72)【発明者】
【氏名】牧江 郁雄
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-178405(JP,A)
【文献】特開平10-207199(JP,A)
【文献】特開2017-102383(JP,A)
【文献】特開2016-066055(JP,A)
【文献】特開2003-043794(JP,A)
【文献】特開2005-283685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0153578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、
前記現像容器内の前記トナーを表面に担持する現像剤担持体と、
前記現像容器に回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸の外周面に形成される攪拌羽根と、を有し、現像容器内の前記現像剤を攪拌、搬送する攪拌搬送部材と、
を備え
、印字速度の異なる複数の画像形成装置に搭載可能な現像装置において、
前記攪拌搬送部材は、前記回転軸の軸径が異なる複数種の前記攪拌搬送部材から選択して使用可能であ
り、
前記印字速度が相対的に遅い前記画像形成装置に搭載する場合は、前記印字速度が相対的に速い前記画像形成装置に搭載する場合に比べて前記回転軸の軸径が太い前記攪拌搬送部材が選択されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、
前記現像容器内の前記トナーを表面に担持する現像剤担持体と、
前記現像容器に回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸の外周面に形成される攪拌羽根と、を有し、現像容器内の前記現像剤を攪拌、搬送する攪拌搬送部材と、
を備え、現像装置のユニット寿命の異なる複数の画像形成装置に搭載可能な現像装置において、
前記攪拌搬送部材は、前記回転軸の軸径が異なる複数種の前記攪拌搬送部材から選択して使用可能であり、
前記ユニット寿命が相対的に短い前記画像形成装置に搭載する場合は、前記ユニット寿命が相対的に長い前記画像形成装置に搭載する場合に比べて前記回転軸の軸径が太い前記攪拌搬送部材が選択されることを特徴とす
る現像装置。
【請求項3】
トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、
前記現像容器内の前記トナーを表面に担持する現像剤担持体と、
前記現像容器に回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸の外周面に形成される攪拌羽根と、を有し、現像容器内の前記現像剤を攪拌、搬送する攪拌搬送部材と、
を備え、異なる複数色の画像に対応した複数の画像形成部を備えた画像形成装置の、前記複数の画像形成部にそれぞれ搭載可能な現像装置において、
前記攪拌搬送部材は、前記回転軸の軸径が異なる複数種の前記攪拌搬送部材から選択して使用可能であり、
前記トナーの消費量が相対的に少ない前記画像形成部に搭載する場合は、前記トナーの消費量が相対的に多い前記画像形成部に搭載する場合に比べて前記回転軸の軸径が太い前記攪拌搬送部材が選択されることを特徴とす
る現像装置。
【請求項4】
イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の画像に対応した4つの前記画像形成部にそれぞれ搭載可能であり、
ブラックの画像に対応した前記画像形成部に搭載する場合は、ブラック以外の画像に対応した前記画像形成部に搭載する場合に比べて前記回転軸の軸径が細い前記攪拌搬送部材が選択されることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
複数種の前記攪拌搬送部材は、前記攪拌羽根の外径が同一であることを特徴とする請求項
1乃至請求項4
のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
複数種の前記攪拌搬送部材のうち、前記回転軸の軸径が最も細い前記攪拌搬送部材以外の前記攪拌搬送部材は、前記回転軸の軸方向端部の軸径が他の部分の軸径よりも細いことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記回転軸の軸径が最も細い前記攪拌搬送部材以外の前記攪拌搬送部材は、前記回転軸の軸方向端部の軸径が、前記回転軸の軸径が最も細い前記攪拌搬送部材の前記回転軸の軸径と同一であることを特徴とする請求項
6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記攪拌搬送部材は、現像剤の搬送方向に対し下流側端部に、前記回転軸の外周面に形成された前記攪拌羽根と逆位相の攪拌羽根からなる逆搬送部を有することを特徴とする請求項
6又は請求項
7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像容器は、第1搬送室と、仕切り部を挟んで前記第1搬送室と並列に配置される第2搬送室と、前記仕切り部の長手方向の両端部側で前記第1搬送室および前記第2搬送室を連通させる連通部と、を有し、
前記攪拌搬送部材は、前記第1搬送室内の前記現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌搬送部材と、前記第2搬送室内の前記現像剤を攪拌しながら前記第1攪拌搬送部材と逆方向に搬送する第2攪拌搬送部材と、を有し、
前記現像剤担持体は、前記第2攪拌搬送部材の上方に配置されることを特徴とする
請求項1乃至請求項8
のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像剤が、前記トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤であり、
前記現像容器内の前記二成分現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度センサーを備え、
前記トナー濃度センサーは、前記第1攪拌搬送室内の前記現像剤の搬送方向に対し前記第1攪拌搬送室の下流側に配置されることを特徴とする請求項
9に記載の現像装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかの現像装置が搭載される画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に搭載され、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材を備えた現像装置、およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体等からなる像担持体上に形成した潜像を、現像装置により現像しトナー像として可視化する。現像装置は、現像容器内にトナーを含む現像剤を収容し、像担持体に現像剤を供給する現像ローラーを配設するとともに、現像容器内部の現像剤を搬送攪拌しながら現像ローラーへと供給する攪拌搬送部材を配設している。
【0003】
例えば特許文献1には、2つの現像剤攪拌搬送部材と2つの現像剤収容部とを有する現像装置において、第1現像剤収容部内の現像剤を攪拌、搬送する第1現像剤攪拌搬送部材の体積を、第2現像剤収容部内の現像剤を攪拌、搬送する第2現像剤攪拌搬送部材の体積よりも大きくすることにより、現像剤担持体に現像剤を供給する第1現像剤収容部内の現像剤の嵩が、上部よりトナーの補給を受ける第2現像剤収容部内の現像剤の嵩よりも高くなるようにした現像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像式の現像装置では、印字速度が遅い(単位時間当たりの印字枚数が少ない)場合は単位時間当たりのトナー消費量も少ない。そのため、現像容器内に充填される現像剤量が少なくても画像品質の維持に必要なトナー濃度(キャリアに対するトナーの割合、T/C)を保持するためのトナー補給を容易に行うことができる。
【0006】
一方、印字速度が速い(単位時間当たりの印字枚数が多い)場合は、少ない現像剤量で画像品質を維持するためにはトナー補給量または補給回数を多くする必要がある。この場合、トナーの過剰な補給を行うと現像剤の攪拌不足が発生し易くなり、トナーの帯電不足による画像かぶりやトナー飛散等の弊害が発生する。また、現像容器内の現像剤量が少ない状態で現像ローラーに現像剤を供給するためには、攪拌搬送部材の回転速度を上げて現像剤の循環速度を速くする必要がある。その結果、攪拌搬送部材の軸受の摩耗や、摩擦熱による現像剤へのストレスの増加による現像剤の劣化に繋がるおそれがあった。
【0007】
以上のような理由により、印字速度が速い画像形成装置に搭載される現像装置は、画像形成装置本体の耐用期間も長く、現像装置のユニット寿命(現像装置が耐用期間の終期に到達するまでに印字可能な枚数)も長いため、現像容器内の現像剤充填量も多く設定される。そのため、印字速度が遅い画像形成装置に搭載される現像剤充填量の少ない現像装置を、印字速度の速い画像形成装置の現像装置として共用することは困難であった。
【0008】
逆に、印字速度が速い画像形成装置に搭載される現像剤充填量の多い現像装置を、印字速度の遅い画像形成装置の現像装置として共用することは可能であるが、現像装置のユニット寿命を考慮すると、不必要な現像剤が充填されることとなりコスト面で不利となる。また、単純に現像容器内の現像剤充填量を減らして使用した場合、現像剤の嵩が低下して現像ローラーへの汲み上げ不良が発生し、スクリューむら等の画像不良の原因となる。
【0009】
特許文献1の構成では、或る特定の印字速度の画像形成装置に搭載される場合、または特定の耐用期間を有する画像形成装置に搭載される場合には有効であるが、印字速度の異なる画像形成装置、或いは耐用期間の異なる画像形成装置に搭載した場合には所望の効果を得られないという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、印字速度や現像装置のユニット寿命に応じて、現像容器内の現像剤充填率を減少させずに現像剤充填量を最適化できる現像装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、現像容器と、現像剤担持体と、攪拌搬送部材と、を備えた現像装置である。現像容器は、トナーを含む現像剤を収容する。現像剤担持体は、現像容器内のトナーを表面に担持する。攪拌搬送部材は、現像容器に回転可能に支持される回転軸と、回転軸の外周面に形成される攪拌羽根と、を有し、現像容器内の現像剤を攪拌、搬送する。攪拌搬送部材は、回転軸の軸径が異なる複数種の攪拌搬送部材から選択して使用可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、回転軸の軸径が異なる攪拌搬送部材を選択して使用することにより、攪拌搬送部材の体積を変化させて現像容器の容量を変化させることができる。その結果、現像容器内の現像剤充填率を変動させずに現像剤充填量を変更することができるため、画像形成装置の印字速度や現像装置のユニット寿命、トナー消費量等に応じた同一形状の現像装置を簡便に製造することができ、部品点数の増加や画像形成装置内のレイアウト変更等も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る現像装置3a~3dが搭載される画像形成装置100の概略断面図
【
図3】本実施形態の現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図
【
図4】画像形成装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図
【
図5】画像形成装置100における現像装置3a~3dのユニット寿命と現像装置3a~3d内の現像剤充填量との関係を示すグラフ
【
図6】本実施形態の現像装置3a~3dに用いる攪拌搬送スクリュー25のうち、回転軸25bの軸径の細いものを示す部分側面図
【
図7】本実施形態の現像装置3a~3dに用いる攪拌搬送スクリュー25のうち、回転軸25bの軸径の太いものを示す部分側面図
【
図8】現像容器20内の現像剤充填率を60%、80%としたときの、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転軸25b、26bの軸径と現像容器20内の現像剤充填量との関係を示すグラフ
【
図9】像容器20内の現像剤充填量を150gとしたときの攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転軸25b、26bの軸径と現像容器20内の現像剤充填率との関係を示すグラフ
【
図10】回転軸25b、26bの軸径が太い攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を装着した現像装置3aの側面断面図
【
図11】回転軸25bの軸径が太い攪拌搬送スクリュー25の逆搬送部25c付近の部分側面図
【
図12】本実施形態の現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図であって、トナー濃度センサー27の配置によるトナー濃度とセンサー出力値との関係を調査するための領域A~Cを示す図
【
図13】
図12の領域Aにトナー濃度センサー27を配置したときのトナー濃度とセンサー出力値との関係を示すグラフ
【
図14】
図12の領域Bにトナー濃度センサー27を配置したときのトナー濃度とセンサー出力値との関係を示すグラフ
【
図15】
図12の領域Cにトナー濃度センサー27を配置したときのトナー濃度とセンサー出力値との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る現像装置3a~3dが搭載される画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(
図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0015】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらに
図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙S上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Sは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。メインモーター40(
図4参照)により感光体ドラム1a~1dを
図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0016】
トナー像が二次転写される転写紙Sは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0017】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0018】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0019】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0020】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙S上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Sは定着部13へと搬送される。
【0021】
定着部13に搬送された転写紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0022】
図2は、本実施形態の現像装置3aの側面断面図である。なお、以下の説明では
図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0023】
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21および供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(
図1参照)から供給されるトナーを磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26がそれぞれ回転可能に配設されている。
【0024】
そして、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26によって現像剤が攪拌されつつ軸方向(
図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された連通部20b、20c(いずれも
図3参照)を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、連通部20b、20cによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0025】
現像容器20は
図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー26の右斜め上方には現像ローラー31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20eから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、
図2において反時計回り方向に回転する。攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26、および現像ローラー31は、メインモーター40(
図4参照)からの駆動力によって所定の回転速度で回転する。
【0026】
現像ローラー31は、
図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(図示せず)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブ、更には、ローレット加工や凹形状の形成に加えてブラスト加工を施したものや、メッキ処理を施したものを用いることもできる。
【0027】
また、現像容器20には規制ブレード33が現像ローラー31の長手方向(
図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード33の先端部と現像ローラー31の表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0028】
現像装置3aには、電圧制御回路51を介して現像電圧電源53(いずれも
図4参照)が接続されている。現像電圧電源53は、直流電圧および交流電圧を重畳させた現像電圧を現像ローラー31に印加する。現像電圧および現像ローラー31内のマグネットの磁力により、現像ローラー31の表面に現像剤を付着(担持)させて磁気ブラシを形成する。
【0029】
攪拌搬送室21には、攪拌搬送スクリュー25と対向してトナー濃度センサー27が配置されている。トナー濃度センサー27は、現像容器20内における現像剤の透磁率を検出し、現像剤中のトナー濃度(現像剤中のキャリアに対するトナーの混合比率;T/C)を検知する。制御部90は、トナー補給モーター41(いずれも
図4参照)に制御信号を送信し、現像容器20内の現像剤のトナー濃度が基準トナー濃度となるように、トナー濃度センサー27で検知されるトナー濃度に応じてトナーコンテナ4a(
図1参照)からトナー補給部35(
図3参照)を介して現像容器20内にトナーを補給する。
【0030】
次に、現像装置3aの攪拌部の構成について詳細に説明する。
図3は、本実施形態の現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図である。現像容器20には、前述のように、攪拌搬送室21と、供給搬送室22と、仕切壁20aと、上流側連通部20b、および下流側連通部20cが形成され、その他に、トナー補給部35が形成されている。なお、攪拌搬送室21において、
図3の左側を上流側、
図3の右側を下流側とし、また、供給搬送室22において、
図3の右側を上流側、
図3の左側を下流側とする。従って、連通部は供給搬送室22を基準として上流側および下流側と呼称している。
【0031】
仕切壁20aは、現像容器20の長手方向に延びて攪拌搬送室21と供給搬送室22を並列させるように区画している。仕切壁20aの長手方向の右側端部は、現像容器20の内壁部とともに上流側連通部20bを形成している。仕切壁20aの長手方向の左側端部は、現像容器20の内壁部とともに下流側連通部20cを形成している。
【0032】
攪拌搬送スクリュー25は、回転軸25bと、回転軸25bに一体に設けられ、回転軸25bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される螺旋羽根25aとを有する。螺旋羽根25aは、攪拌搬送室21の長手方向の両端部側まで延び、上流側連通部20bおよび下流側連通部20cにも対向して設けられている。
【0033】
供給搬送スクリュー26は、回転軸26bと、回転軸26bに一体に設けられ、回転軸26bの軸方向に螺旋羽根25aと同じピッチで螺旋羽根25aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される螺旋羽根26aとを有する。螺旋羽根26aは、現像ローラー31の軸方向長さ以上の長さを有し、上流側連通部20bおよび下流側連通部20cにも対向して設けられている。
【0034】
回転軸25a、26bは、互いに平行に配置され、現像容器20の長手方向両端部に設けられた軸受部28に回転可能に軸支されている。軸受部28には現像容器20内の現像剤の進入を防止するためのシール部材(図示せず)が設けられている。なお、回転軸25bの上流側端部(
図3の左端部)を支持する軸受部28(図示せず)はトナー補給部35の上流側に設けられる。
【0035】
攪拌搬送室21内の現像剤搬送方向(矢印P方向)に対し攪拌搬送スクリュー25の下流側端部には逆搬送部25cが形成されている。同様に、供給搬送室22内の現像剤搬送方向(矢印Q方向)に対し供給搬送スクリュー26の下流側端部には逆搬送部26cが形成されている。逆搬送部25c、26cは、それぞれ螺旋羽根25a、螺旋羽根26aと逆向き(逆位相)の螺旋羽根で構成される。
【0036】
逆搬送部25c、26cは、螺旋羽根25a、螺旋羽根26aにより搬送されてきた現像剤に逆向きの搬送力を作用させることで、現像剤を塞き止めて押し戻す。これにより、攪拌搬送スクリュー25の回転軸25b、供給搬送スクリュー26の回転軸26bの軸受部28に現像剤が入り込むことによる回転トルクの上昇や、摩擦熱による現像剤の固化を抑制する。また、逆搬送部25cの逆向きの搬送力によって攪拌搬送室21の下流側端部付近に滞留した現像剤が、上流側連通部20bに向かって送出される。同様に、逆搬送部26cの逆向きの搬送力によって供給搬送室22の下流側端部付近に滞留した現像剤が、下流側連通部20cに向かって送出される。
【0037】
また、攪拌搬送室21の上流側(
図3の左側)にはトナー補給部35が設けられている。トナー補給部35は、トナー補給経路(図示せず)を介してトナーコンテナ4a(
図1参照)に接続されており、トナーコンテナ4aに収容された新たなトナーを現像容器20内に補給する。攪拌搬送スクリュー25の回転軸25bはトナー補給部35の内部まで延在している。回転軸25bのトナー補給部35内に配置された部分には、回転軸25bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される補給羽根25dが一体形成されている。
【0038】
このように、現像剤は攪拌搬送室21から上流側連通部20b、供給搬送室22、および下流側連通部20cと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤が現像ローラー31に供給される。現像によってトナーが消費されると、トナー補給モーター41(
図4参照)によりトナーコンテナ4aからトナー補給部35を介して攪拌搬送室21内にトナーが補給される。
【0039】
次に、画像形成装置100の制御経路について説明する。
図4は、画像形成装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0040】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部80からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、画像形成装置100の本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0041】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。
【0042】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa~Pd、露光装置5、一次転写ローラー6a~6d、二次転写ローラー9、メインモーター40、トナー補給モーター41、電圧制御回路51、操作部80等が挙げられる。
【0043】
画像入力部60は、画像形成装置100にパソコン等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部60より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0044】
電圧制御回路51は、帯電電圧電源52、現像電圧電源53、転写電圧電源54と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させる。これらの各電源は、電圧制御回路51からの制御信号によって、帯電電圧電源52は帯電装置2a~2dに、現像電圧電源53は現像装置3a~3d内の現像ローラー31に、転写電圧電源54は一次転写ローラー6a~6dおよび二次転写ローラー9に、それぞれ所定の電圧を印加する。
【0045】
操作部80には、液晶表示部81、送受信部82が設けられている。液晶表示部81は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。送受信部82は、電話回線やインターネット回線を用いて外部との通信を行う。
【0046】
図5は、画像形成装置100における現像装置3a~3dのユニット寿命と現像装置3a~3d内の現像剤充填量との関係を示すグラフである。
図5に示すように、画像形成装置100の印字速度が20枚/分の場合(aのプロット)は現像剤充填量90gで10万枚の印字が可能である。印字速度が30枚/分の場合(bのプロット)は現像剤充填量150gで20万枚の印字が可能である。印字速度が40枚/分の場合(cのプロット)は現像剤充填量250gで30万枚の印字が可能である。このように、印字速度が速くなるにつれて現像装置3a~3dのユニット寿命も長くなる。そのため、印字速度が速くなるほど現像装置3a~3d内の現像剤充填量を多くする必要が生じる。
【0047】
しかし、画像形成装置100の印字速度に応じて現像剤容量の異なる複数種の現像容器20を用意した場合、現像容器20に合わせて複数種の攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26、現像ローラー31等を作製する必要が生じ、部品点数の増加に繋がる。また、現像装置3a~3dの外寸の変化に合わせた画像形成装置100内のレイアウト変更等も必要になる。
【0048】
そこで、本実施形態では、現像装置3a~3dに装着される攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26として、予め回転軸25b、26bの軸径の異なる複数種の攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を用意しておき、現像装置3a~3dが搭載される画像形成装置100の印字速度に応じて最適な攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を選択することとしている。
【0049】
図6は、本実施形態の現像装置3a~3dに用いる攪拌搬送スクリュー25のうち、回転軸25bの軸径が細いものを示す部分側面図である。
図6に示す攪拌搬送スクリュー25は、外径(螺旋羽根25aの直径)d1が20mm、回転軸25bの軸径d2が8mm、羽根高さhが6mm、ピッチpが30mmであり、螺旋羽根25aの条数(巻き数)は2条巻きである。
【0050】
図7は、本実施形態の現像装置3a~3dに用いる攪拌搬送スクリュー25のうち、回転軸25bの軸径が太いものを示す部分側面図である。
図7に示す攪拌搬送スクリュー25は、外径(螺旋羽根25aの直径)d1が20mm、回転軸25bの軸径d2が14mm、羽根高さhが3mm、ピッチpが30mmであり、螺旋羽根25aの条数は2条巻きである。
【0051】
図6および
図7に示した攪拌搬送スクリュー25は、回転軸25bの軸径d2(および軸径に伴って変化する羽根高さh)が異なる以外は、外径d1、ピッチp、条数は同一である。外径d1は、攪拌搬送スクリュー25を現像容器20の攪拌搬送室21に配置したとき、螺旋羽根25aの外周縁と攪拌搬送室21の内壁面との隙間が1.5mmとなるように調整されている。なお、ここでは図示しないが、供給搬送室22に配置される供給搬送スクリュー26についても、
図6および
図7に示した攪拌搬送スクリュー25と同一の構成の2種類が用意されている。
【0052】
図8は、現像容器20内の現像剤充填率を60%、80%としたときの、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転軸25b、26bの軸径と現像容器20内の現像剤充填量との関係を示すグラフである。
図9は、現像容器20内の現像剤充填量を150gとしたときの攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転軸25b、26bの軸径と現像容器20内の現像剤充填率との関係を示すグラフである。
【0053】
なお、現像剤充填率は以下の式(1)で表される。
現像剤充填率(%)=現像剤充填量(g)/{(現像容器の容量-スクリュー体積)(cm3)×現像剤密度(g/cm3)}×100 ・・・(1)
【0054】
図8に示すように、充填率60%(
図8の△のデータ系列)および充填率80%(
図8の●のデータ系列)のいずれにおいても、攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転軸25b、26bの軸径と現像剤充填量とは相関関係を示しており、回転軸25b、26bの軸径が太くなるほど充填率60%、80%とするために必要な現像剤充填量が減少している。これは、回転軸25b、26bの軸径が太くなると、上記の式(1)においてスクリュー体積が増加するため、右辺の分母が小さくなり、所定の現像剤充填率とするための現像剤充填量が減少することによる。
【0055】
図9に示すように、現像容器20内の現像剤充填量を一定(150g)としたとき、回転軸25b、26bの軸径が太くなるほど現像剤充填率が上昇している。これは、回転軸25b、26bの軸径が太くなると、上記の式(1)においてスクリュー体積が増加するため、右辺の分母が小さくなり、現像剤充填量が一定の場合は現像剤充填率が上昇することによる。
【0056】
現像容器20内の現像剤と補給トナーとの混合性能(攪拌性)を確保するためには、充填率を60~80%の範囲内に設定する必要がある。
図9より、現像剤充填量を150gとした場合は攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の回転軸25b、26bの軸径を8mmから14mmに変更することで充填率60%を確保可能となる。
【0057】
また、
図5に示したように、印字速度が30枚/分の画像形成装置100では現像剤充填量150gで20万枚の印字が可能となり、印字速度が40枚/分の画像形成装置100では現像剤充填量250gで30万枚の印字が可能となる。そこで、印字速度が30枚/分の画像形成装置100では
図7に示した攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を使用して現像剤充填量を150gとし、印字速度が40枚/分の画像形成装置100では
図6に示した攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を使用して現像剤充填量を250gとすることで、充填率を60~80%の範囲内に設定することができる。即ち、印字速度が40枚/分から30枚/分までの画像形成装置100に対し同一の現像装置3a~3dで対応可能となる。
【0058】
図10は、
図7に示した回転軸25b、26bの軸径が太い攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を装着した現像装置3aの側面断面図である。現像装置3aの他の部分の構成は
図2および
図3と同様である。
図10に示した現像装置3a~3dを印字速度の遅い画像形成装置100に搭載することにより、現像容器20内の現像剤充填率(現像剤の嵩)を下げることなく現像剤充填量を少なくすることができる。
【0059】
これにより、現像装置3a~3dのトナーの消費速度に応じて現像剤充填量を減少させることができ、不必要な現像剤を充填しておく必要がなくなるため、現像剤を劣化させることなく効率的に消費することができる。また、現像剤充填率は低下しないため、現像ローラー31への現像剤の汲み上げ不良によるスクリューむら等の発生を防止することができ、長期間に亘って良好な画像を得ることができる。
【0060】
また、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を選択するだけで、画像形成装置100の印字速度に応じた同一形状の現像装置3a~3dを簡便に製造することができ、部品点数の増加を抑制できるとともに画像形成装置100内のレイアウト変更等も不要となる。
【0061】
図11は、回転軸25bの軸径が太い攪拌搬送スクリュー25の逆搬送部25c付近の部分側面図である。
図11に示すように、逆搬送部25cの形成されている下流側端部の回転軸25bの軸径d2′は他の部分の軸径d2(14mm)よりも細くなっている。より詳細には、軸径d2′は回転軸25bの軸径が細い攪拌搬送スクリュー25(
図6参照)の回転軸25bの軸径と同一(8mm)である。
【0062】
これにより、回転軸25bの軸径が細い攪拌搬送スクリュー25と太い攪拌搬送スクリュー25とで軸受部28(
図3参照)の構成を共通化することができ、軸受部28への現像剤の進入を防ぐシール部材も同一のものを使用することができる。
【0063】
また、回転軸25bの軸径が太くなると、逆搬送部25cを構成する螺旋羽根の高さも小さくなり、逆向きの搬送力が低下する。その結果、逆搬送部25cによる現像剤を塞き止めて押し戻す効果も弱くなる。
図11の構成によれば、逆搬送部25cによる逆向きの搬送力を確保することができ、軸受部28への現像剤の進入を効果的に防止することができる。
図11では攪拌搬送スクリュー25の逆搬送部25c付近の構成について図示しているが、供給搬送スクリュー26の逆搬送部26c付近の構成についても同様である。
【0064】
なお、ここでは印字速度が遅い場合に回転軸25b、26bの軸径が太い攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26(
図7、
図11参照)を選択し、印字速度が速い場合に回転軸25b、26bの軸径が細い攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26(
図6参照)を選択する例について示したが、本発明はこれに限られない。
【0065】
例えば、
図1に示した画像形成装置100の場合は異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応した画像形成部Pa~Pdに、それぞれ現像装置3a~3dが搭載されるが、トナー消費量は色毎に異なる。具体的には、モノクロ印字にも用いられるブラックのトナー消費量が最も多く、他の3色はトナー消費量が少なくなる。トナー消費量の多いブラックは現像剤寿命を考慮すると多くの現像剤が必要となる。
【0066】
そこで、ブラックの画像に対応した画像形成部Pdに搭載される現像装置3dのみを回転軸25b、26bの軸径が細い攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を選択した
図2に示す構成とし、他の3色の画像に対応する画像形成部Pa~Pcに搭載される現像装置3a~3cは、回転軸25b、26bの軸径が太い攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を選択した
図10に示す構成とする。これにより、トナー消費量の多いブラックの現像装置3dの現像剤充填量を増加させ、トナー消費量の少ないシアン、マゼンタ、イエローの現像装置3a~3cの現像剤充填量を減少させて現像剤の劣化を抑制することができる
【0067】
ところで、攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26の回転軸25b、26bの軸径を変更すると、現像剤の攪拌、搬送状態が変化するため、トナー濃度センサー27の出力値が変化してしまう。そのため、通常はトナー濃度センサー27の変更または補正制御が必要となる。
【0068】
そこで、回転軸25b、26bの軸径を変更した場合でもトナー濃度センサー27の出力値の変化が小さい場所に配置することが好ましい。トナー濃度センサー27の最適な配置を決定するために、
図12に示す現像容器20の攪拌搬送室21内の領域A~Cにトナー濃度センサー27を配置し、現像剤中のトナー濃度(T/C)を変化させたときのセンサー出力値の変化を調べた。
【0069】
領域Aは、攪拌搬送室21内の現像剤の搬送方向(矢印P方向)に対し下流側の領域であり、現像剤が攪拌搬送室21から供給搬送室22に受け渡される直前の部分である。領域Cは、攪拌搬送室21内の現像剤の搬送方向に対し上流側の領域であり、現像剤が供給搬送室22から攪拌搬送室21に受け渡された直後の部分である。領域Bは、領域Aと領域Cの間に位置する攪拌搬送室21の中央部である。
【0070】
図13~15は、
図12の領域A~Cにトナー濃度センサー27を配置したときのトナー濃度とセンサー出力値との関係を示すグラフである。トナー濃度センサー27を領域Aに配置した場合、
図13に示すように、回転軸25b、26bの軸径が8mmの場合(△のデータ系列)、14mmの場合(○のデータ系列)のいずれにおいても、実際のトナー濃度(実T/C)とセンサー出力値(出力T/C)とがよく一致していた。これは、攪拌搬送室21内の現像剤の搬送方向に対し下流側である領域Aでは、トナー補給部35から最も離れているため、トナー濃度センサー27に到達するまでに補給トナーが現像容器20内の現像剤と十分に攪拌、混合されているためと考えられる。
【0071】
一方、トナー濃度センサー27を領域B、領域Cに配置した場合、
図14および
図15に示すように、回転軸25b、26bの軸径が14mmの場合(○のデータ系列)において実際のトナー濃度とセンサー出力値との乖離が認められた。これは、攪拌搬送室21内の中央である領域B、現像剤の搬送方向に対し上流側である領域Cでは、トナー補給部35からの距離が近いために、特に回転軸25b、26bの軸径が14mmと太く攪拌性能が低い攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26を用いた場合に補給トナーが現像容器20内の現像剤と十分に攪拌、混合されないためと考えられる。
【0072】
以上の結果より、トナー濃度センサー27を攪拌搬送室21内の現像剤の搬送方向(矢印P方向)に対し下流側の領域Aに配置することでセンサー出力値を安定化することができ、現像剤中のトナー濃度を精度よく検知することができることが確認された。
【0073】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では回転軸25b、26bの軸径の異なる2種類の攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を選択的に使用することとしたが、回転軸25b、26bの軸径の異なる3種類以上の攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26を選択的に使用することで、印字速度や現像剤寿命に応じたより適切な現像剤充填量の調整が可能となる。
【0074】
また、上記実施形態では磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像式の現像装置3a~3dを例に挙げて説明したが、現像装置は二成分現像式に限定されるものではない。例えば、磁性トナーのみからなる磁性一成分現像剤を用いる一成分現像式の現像装置においても本発明を同様に適用可能である。
【0075】
また、上記実施形態では攪拌搬送室21と供給搬送室22が仕切壁20aを挟んで並列に配置された現像容器20を有する現像装置3a~3dについて説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、仕切壁を挟んで攪拌搬送室の上方に供給搬送室が配置された現像装置や、攪拌搬送室および供給搬送室に加えて、現像ローラー31から剥離された現像剤を回収する回収搬送室を備えた現像装置等、攪拌搬送部材が配置される搬送室が1つ又は3つ以上の現像装置にも本発明を同様に適用可能である。
【0076】
また、本発明は
図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンター、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌搬送部材を備えた現像装置に利用することができる。本発明の利用により、印字速度や現像剤の寿命に応じて、現像容器内の現像剤充填率を減少させずに現像剤充填量を最適化できる現像装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0078】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
3a~3d 現像装置
20 現像容器
20a 仕切壁(仕切り部)
20b、20c 連通部
21 攪拌搬送室(第1搬送室)
22 供給搬送室(第2搬送室)
25 攪拌搬送スクリュー(第1攪拌搬送部材)
26 供給搬送スクリュー(第2攪拌搬送部材)
25a、26a 螺旋羽根(攪拌羽根)
25b、26b 回転軸
25c、26c 逆搬送部
27 トナー濃度センサー
28 軸受部
31 現像ローラー(現像剤担持体)
33 規制ブレード
100 画像形成装置
Pa~Pd 画像形成部