(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20231017BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20231017BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G03G15/08 320
G03G21/20
G03G21/00 510
G03G15/08 321
(21)【出願番号】P 2019190181
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 道雄
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-015255(JP,A)
【文献】特開2015-230409(JP,A)
【文献】特開平07-056432(JP,A)
【文献】特開2012-073390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、
前記現像装置内の現像剤のトナー濃度を検出するトナー濃度検出部と、
前記現像装置内の現像剤を流動させる流動部と、
前記流動部が停止状態であった前回の停止期間を取得する停止期間取得部と、
前記トナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断するトナー濃度異常判断部を備え、
前記トナー濃度異常判断部は、
前記停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間未満の場合には、前記トナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断し、前記停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間以上の場合には、前記トナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断せず、
所定条件に基づいて前記所定期間を調整する期間調整部と、
前記流動部が停止状態となる前のトナー濃度を記憶するトナー濃度記憶部とをさらに備え、
前記期間調整部は、前記トナー濃度記憶部に記憶されたトナー濃度に基づいて前記所定期間を調整する、画像形成装置。
【請求項2】
湿度もしくは温度を取得する環境情報取得部をさらに備え、
前記期間調整部は、前記環境情報取得部で取得される湿度もしくは温度に基づいて前記所定期間を調整する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置が停止する前の前記流動部が動作状態であった動作期間を取得する動作期間取得部をさらに備え、
前記期間調整部は、前記動作期間取得部で取得した動作期間に基づいて前記所定期間を調整する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー濃度異常判断部は、前記停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間以上の場合には、前記流動部で前記現像装置内の前記現像剤を流動させた後にトナー濃度異常を判断する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
現像されたトナー像を記録媒体に転写して出力するプリント形成部をさらに備え、
前記プリント形成部は、前記トナー濃度異常判断部が前記トナー濃度検出部で検出した前記トナー濃度が所定範囲に収まっていないと判断した場合には、
処理を中断する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数の前記像担持体が設けられ、
前記複数の像担持体にそれぞれ対応する複数の前記現像装置が設けられ、
前記複数の現像装置にそれぞれ対応する複数の前記トナー濃度検出部が設けられ、
前記複数の現像装置にそれぞれ対応する複数の前記流動部が設けられ、
複数の流動部にそれぞれ対応し、対応する流動部が停止状態であった前回の停止期間を取得する複数の前記停止期間取得部が設けられ、
複数の停止期間取得部にそれぞれ対応する複数のトナー濃度異常判断部が設けられ、
各前記トナー濃度異常判断部は、対応する前記停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間未満の場合には、対応する前記トナー濃度検出部で検出した前記トナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断し、対応する前記停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間以上の場合には、対応する前記トナー濃度検出部で検出した前記トナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断しない、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像装置内の現像剤は、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤である、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、前記現像装置内の現像剤を流動させる流動部とを含む画像形成装置の制御方法であって、
前記現像装置内の現像剤のトナー濃度を検出するステップと、
前記流動部が停止状態であった前回の停止期間を取得するステップと、
検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断するステップとを備え、
前記判断するステップは、取得した停止期間が所定期間未満の場合には、検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断し、取得した停止期間が所定期間以上の場合には、検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断せず、
所定条件に基づいて前記所定期間を調整するステップと、
前記流動部が停止状態となる前のトナー濃度を記憶するステップと、
記憶されたトナー濃度に基づいて前記所定期間を調整するステップとをさらに備える、画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関し、特にトナー濃度の検知に関する。
【背景技術】
【0002】
現像装置内の2成分現像剤は、長時間放置された場合には十分に撹拌された場合に比べてかさが低くなり(かさ密度が大きくなり)、このため、トナー濃度検出センサーの出力特性(現像装置内の現像剤のトナー濃度とトナー濃度検出センサーの出力値との関係)が現像装置内の現像剤の状態により変化する可能性がある。つまり、トナー濃度検出センサーは、現像装置内の現像剤のトナー濃度が同じであっても、長時間放置された現像剤のトナー濃度を、十分に撹拌された現像剤のトナー濃度に比べて低く検出する可能性がある。
【0003】
この現象の防止策として、現像装置の放置時間と湿度に応じて、ウォームアップ時に所定時間、現像装置を撹拌することで、トナーのかさ密度を最適化した後にトナー濃度検知を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、撹拌時間分だけウォームアップ動作が伸びることで、ユーザーに余分な待ち時間が発生する。そこでトナー濃度を正確に検知するために、以下のように補正する技術が知られている。
【0005】
例えば、長時間放置後の所定枚数はトナー濃度検出センサーの入力電圧をオフセットする方式が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
別の方式として、あらかじめ複数の絶対湿度環境におけるトナー濃度に対する入力電圧を記憶しておき、検知された絶対湿度とあらかじめ記憶しておいた入力電圧との差で線形補完してトナー濃度を算出する方式が提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
さらに別の方式として、新品トナーにおいては補給量が安定しないため、新品トナー装着後所定時間または所定枚数はトナーエンプティを通知しない方式が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-212343号公報
【文献】特開2008-116757号公報
【文献】特開2008-122466号公報
【文献】特開2003-215902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、湿度や放置時間によって現像装置内のトナーの沈殿量が異なるため、トナー濃度を補正しきれず濃度異常を誤検知してしまう可能性があり、プリントできる状態にもかかわらず、異常検知によってプリント禁止状態に陥ってしまう可能性がある。
【0010】
本開示は、上述のような背景に鑑みてなされたものであって、簡易な方式でトナー濃度異常の誤検知を防止する画像形成装置および画像形成装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ある局面に従う画像形成装置は、静電潜像が形成される像担持体と、像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、現像装置内の現像剤のトナー濃度を検出するトナー濃度検出部と、現像装置内の現像剤を流動させる流動部と、流動部が停止状態であった停止期間を取得する停止期間取得部と、停止期間取得部が取得した停止期間の長さに応じて、トナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断するトナー濃度異常判断部とを備える。
【0012】
好ましくは、トナー濃度異常判断部は、停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間未満の場合には、トナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断し、停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間以上の場合には、トナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断しない。
【0013】
好ましくは、所定条件に基づいて所定期間を調整する期間調整部をさらに備える。
好ましくは、湿度もしくは温度を取得する環境情報取得部をさらに備える。期間調整部は、環境情報取得部で取得される湿度もしくは温度に基づいて所定期間を調整する。
【0014】
好ましくは、流動部が動作状態であった動作期間を取得する動作期間取得部をさらに備える。期間調整部は、動作期間取得部で取得した動作期間に基づいて所定期間を調整する。
【0015】
好ましくは、流動部が停止状態のトナー濃度を記憶するトナー濃度記憶部をさらに備える。期間調整部は、トナー濃度記憶部に記憶されたトナー濃度に基づいて所定期間を調整する。
【0016】
好ましくは、トナー濃度異常判断部は、停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間以上の場合には、流動部で現像装置内の現像剤を流動させた後にトナー濃度異常を判断する。
【0017】
好ましくは、現像されたトナー像を記録媒体に転写して出力するプリント形成部をさらに備える。プリント形成部は、トナー濃度異常判断部がトナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっていないと判断した場合には、現像されたトナー像を記録媒体に転写して出力しない。
【0018】
好ましくは、複数の像担持体が設けられる。複数の像担持体にそれぞれ対応する複数の現像装置が設けられる。複数の現像装置にそれぞれ対応する複数のトナー濃度検出部が設けられる。複数の現像装置にそれぞれ対応する複数の流動部が設けられる。複数の流動部にそれぞれ対応する複数の停止期間取得部が設けられる。複数の停止期間取得部にそれぞれ対応する複数のトナー濃度異常判断部が設けられる。各トナー濃度異常判断部は、対応する停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間未満の場合には、対応するトナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断し、対応する停止期間取得部で取得した停止期間が所定期間以上の場合には、対応するトナー濃度検出部で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断しない。
【0019】
好ましくは、現像剤は、トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤である。
ある局面に従う静電潜像が形成される像担持体と、像担持体上の静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、現像装置内の現像剤を流動させる流動部とを含む画像形成装置の制御方法であって、現像装置内の現像剤のトナー濃度を検出するステップと、流動部が停止状態であった停止期間を取得するステップと、取得した停止期間の長さに応じて、検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断するステップとを備える。
【0020】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に基づく画像形成装置1の外観を説明する図である。
【
図2】実施形態に基づく画像形成装置1の機能ブロックを説明する図である。
【
図3】実施形態に従う現像装置412の構成を説明する図である。
【
図4】実施形態に従うトナー濃度検出制御を実行する機能ブロック図である。
【
図5】実施形態に従う画像形成装置における停止期間とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【
図6】実施形態に従う画像形成装置におけるトナー濃度検出制御処理を説明するフロー図である。
【
図7】実施形態の変形例1に従う画像形成装置における湿度とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【
図8】実施形態の変形例2に従う画像形成装置における停止期間とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【
図9】実施形態の変形例3に従う画像形成装置における停止期間とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0023】
以下の実施形態では、画像形成装置としては、たとえばMFP、プリンター、複写機、またはファクシミリなどが挙げられる。
【0024】
図1は、実施形態に基づく画像形成装置1の外観を説明する図である。
図2は、実施形態に基づく画像形成装置1の機能ブロックを説明する図である。
【0025】
図1及び
図2を参照して、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に1次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、記録用紙に2次転写することにより、画像を形成する。
【0026】
画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に1回の手順で各色のトナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0027】
画像形成装置1は、画像読み取り部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、搬送部50、定着部60および制御部70を備えている。
【0028】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)73、クロック74等を備える。
【0029】
CPU71は、ROM72から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM73に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を制御する。このとき、記憶部82に格納されている各種データが参照される。
【0030】
記憶部82は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)またはハードディスクドライブにより構成される。
【0031】
制御部70は、通信部81を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で、各種データの送受信を行う。
【0032】
制御部70は、例えば、外部装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて記録用紙に画像を形成させる。通信部81は、例えばLANカード等の通信制御カードにより構成される。
【0033】
画像読み取り部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備えている。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。
【0034】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dの画像を連続して読み取ることができる。
【0035】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。
【0036】
画像読み取り部10は、原稿画像走査装置12による読み取り結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0037】
操作表示部20は、例えばタッチパネルを有する液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)により構成され、表示部21および操作部22として機能する。
【0038】
表示部21は、制御部70から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。なお、表示部21は、報知部として機能する。
【0039】
操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備える。操作部22は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、その入力操作に対応する操作信号を制御部70に出力する。なお、操作信号は、通信部81を介して外部装置から制御部70に出力される場合もある。
【0040】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調画像処理を行う回路等を備えている。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正等の各種補正処理または、圧縮処理等を行う。これらの処理が行われた画像データに基づいて、画像形成部40は制御される。
【0041】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42およびトナー画像濃度検出センサー43等を備えている。
【0042】
Y成分、M成分、C成分、K成分の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、使用するトナーの色を除いて同様の構成を有する。図示および説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、Kを添えて示すこととする。
【0043】
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0044】
次に、画像形成ユニット41の構成を画像形成ユニット41Yにより説明する。画像形成ユニット41Yは、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413(像担持体)、帯電装置414およびクリーニング装置415等を備えている。
【0045】
感光体ドラム413は、例えば、アルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(Charge Generation Layer)、電荷輸送層(Charge Transport Layer)、オーバーコート層(OCL:Over Coat Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo conductor)である。なお、感光体ドラム413は、ローラ形状の感光体でなく、ベルト形状の感光体でも良い。
【0046】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。帯電装置414の帯電方式は、接触型のローラ帯電方式、非接触型のコロナ帯電方式の何れでも良い。
【0047】
露光装置411は、例えば半導体レーザーにより構成され、感光体ドラム413に対してY成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差によりY成分の静電潜像が形成される。
【0048】
現像装置412は、Y成分の現像剤を収容している。現像剤は、小粒径のトナーとキャリアとからなる2成分現像剤である。現像装置412は、
図3に示すように、現像ローラ108を回転駆動させることによって感光体ドラム413の表面にY成分のトナーを付着させる。これにより、現像装置412は、静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412において使用されるトナー粒子は、通常、バインダー樹脂中に着色剤を混合し、また、必要に応じて荷電制御剤、離型剤等を混合して所定の粒径に造粒した後に、外添剤をコーティング処理することによって3~15[μm]程度の粒径とされる。トナー粒子の造粒には、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の一般的な公知の方法が採用される。
【0049】
クリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。1次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって除去される。なお、クリーニング装置415は、クリーニングブラシ、クリーニングローラまたはその他の手段の組み合わせによる複合クリーニング方式のクリーニング手段でも良い。または、クリーニング装置415を廃し、現像装置412により転写残トナーの回収を行うクリーナーレス方式でも良い。
【0050】
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、1次転写ローラ422、2次転写ローラ423、駆動ローラ424、従動ローラ425およびクリーニング装置426等を備えている。
【0051】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、駆動ローラ424および従動ローラ425に張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラ424の回転により矢印A方向に一定速度で走行する。1次転写ローラ422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が順次重ねて1次転写される。そして、中間転写ベルト421が2次転写ローラ423によって記録用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト421に1次転写されたトナー像が記録用紙Sに2次転写される。なお、転写手段として、中間転写ベルト421を用いた転写方式でなく、転写チャージャーや転写ローラ等を用いても良い。感光体ドラム413から記録用紙Sへ直接トナー像を転写する直接転写方式でも良い。
【0052】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。2次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。なお、ベルトクリーニング装置426は、クリーニングブラシ、クリーニングローラまたはその他の手段の組み合わせによる複合クリーニング方式のクリーニング手段でも良い。
【0053】
トナー画像濃度検出センサー43は、
図1に示すように、トナー像が記録用紙Sに2次転写される2次転写位置よりも中間転写ベルト421の回転方向下流側で、中間転写ベルト421に対向して配置される。
【0054】
トナー画像濃度検出センサー43は、例えば中間転写ベルト421の幅方向(つまり、中間転写ベルト421の回転方向と直交する方向、主走査方向)の両側部のそれぞれに対向して2つ配置される。トナー画像濃度検出センサー43は、階調補正データを生成する際に用いられる。階調補正データの生成処理は、例えば電源スイッチがオンされたとき、所定枚数のプリントが実行される毎、装置周辺環境(温湿度など)の変動量が所定範囲を超えたとき、故障などのトラブルからの復帰時、入力画像を出力画像に安定して再現させるための画像安定化制御の実行時などに実行される。
【0055】
トナー画像濃度検出センサー43は、中間転写ベルト421の回転によってトナー画像濃度検出センサー43と対向するように、中間転写ベルト421の非画像形成領域(中間転写ベルト421の幅方向両側部)に形成された階調補正用のパッチ画像の濃度を検出し、検出した濃度を制御部70に出力する。パッチ画像の大きさは、例えば、主走査方向20[mm]×副操作方向18[mm]である。
【0056】
トナー画像濃度検出センサー43には、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などの発光素子と、フォトダイオード(PD:Photodiode)などの受光素子とを備え、パッチ画像のトナー付着量(濃度)を検出する反射型の光センサーを適用することができる。中間転写ベルト421上に形成されたパッチ画像のトナー付着量が多いほど、受光素子における受光量が減少して反射光量は小さくなり、トナー画像濃度検出センサー43から出力されるセンサー出力値は小さくなる。逆に、中間転写ベルト421上に形成されたパッチ画像のトナー付着量が少ないほど、受光素子における受光量が増加して反射光量は大きくなり、トナー画像濃度検出センサー43から出力されるセンサー出力値は大きくなる。
【0057】
なお、トナー画像濃度検出センサー43の配置位置は上述した態様に限定されない。例えば、トナー画像濃度検出センサー43は、2次転写位置よりも中間転写ベルト421の回転方向上流側に配置されても良い。要は、トナー画像濃度検出センサー43が中間転写ベルト421上に形成されたパッチ画像のトナー付着量を検出できるように配置されていれば良い。また、中間転写ベルト421が透光性の材料で構成されている場合には、トナー画像濃度検出センサー43として、発光素子と受光素子とが中間転写ベルト421を挟んで対向配置される透過型の光センサーを適用することができる。
【0058】
定着部60は、ベルト加熱方式により構成される。定着部60は、定着ニップ部を形成する上側加圧部と下側加圧部とを有する。上側加圧部は、加熱ローラと定着ローラとを有する。加熱ローラと定着ローラとの間には、無端状の定着ベルトが所定のベルト張力で張架されている。下側加圧部は、加圧ローラを有する。加圧ローラは定着ベルトを介して定着ローラに所定の定着荷重で押圧される。このようにして、定着ローラと加圧ローラとの間には、記録用紙Sを狭持して搬送する定着ニップ部が形成される。定着部60は、搬送されてきた記録用紙Sを定着ニップ部で加熱、加圧することにより、記録用紙Sにトナー像を定着させる。なお、定着部60は、ローラ加熱方式により構成しても良く、加熱ランプやヒータ等の熱源を用いて非接触で記録用紙Sを加熱する非接触型の定着手段でも良い。
【0059】
搬送部50は、給紙部51、搬送機構52および排紙部53等を備えている。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、記録用紙の坪量やサイズ等に基づいて識別された記録用紙S(例えば、規格用紙または特殊用紙等)があらかじめ設定された種類毎に収容される。
【0060】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている記録用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラ52a等の複数の搬送ローラを備えた搬送機構52により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラ52aが配設されたレジスト部により、給紙された記録用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が記録用紙Sの画像形成面に一括して二次転写され、定着部60において定着処理が行われる。定着処理が行われた記録用紙Sは、排紙ローラ53aを備えた排紙部53により画像形成装置1の外に排紙される。
【0061】
[現像装置412の構成]
図3は、実施形態に従う現像装置412の構成を説明する図である。
【0062】
図3に示すように、現像装置412は、現像剤を収容するハウジング101(現像剤収容部)を備えている。ハウジング101の内部は、隔壁102によって撹拌槽103と供給槽104とに区画されており、トナーとキャリアとを含む現像剤が収容されている。撹拌スクリュー105は、撹拌槽103内に配設されており、トナーとキャリアとを図中左方向に搬送しながら撹拌して当該トナーを摩擦帯電させる。供給スクリュー106は、供給槽104内に配設されており、帯電したトナーを含む現像剤を図中右方向に搬送しながら、現像ローラ108に供給する。
【0063】
現像ローラ108では、固定配置された磁石ローラの周囲をスリーブローラが回転しており、供給スクリュー106によってスリーブローラの外周面に現像剤が供給される。スリーブローラの外周面に供給される現像剤がスリーブローラの外周面を移動する際、磁石ローラに設けられた磁極の磁力によってキャリアが磁気ブラシを形成する。磁気ブラシに付着したトナーは、感光体ドラム413上の静電潜像に付着する。すなわち、感光体ドラム413の静電潜像がトナーによって現像される。
【0064】
磁石ローラは、スリーブローラの回転方向に沿って、N1,S1,N2,N3,S2の5つの磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、感光体ドラム413と対向する位置に配置されている。スリーブローラ上の現像剤を剥離するための反発磁界を発生させる同極部のN2,N3は、現像装置412内部に対向した位置に配置されている。スリーブローラの回転方向は、感光体ドラム413の回転方向と同じ(すなわち、スリーブローラと感光体ドラム413との対向部において互いに反対)になるように設定されている。
【0065】
供給スクリュー106および撹拌スクリュー105は、シャフト(回転軸)のほぼ全域に亘って、所定の螺旋ピッチの螺旋羽根110,112がそれぞれ設けられたスパイラルスクリューになっている。
【0066】
現像ローラ108、供給スクリュー106および撹拌スクリュー105は、回転軸が互いに平行になるように配置されている。
【0067】
隔壁102の両端側には、撹拌槽103と供給槽104との間で現像剤を受け渡すための連通口114,116が設けられている。これにより、ハウジング101の内部に収容された現像剤が、撹拌スクリュー105および供給スクリュー106によって撹拌されながら撹拌槽103と供給槽104との間を、連通口114,116を通じて循環移動する循環路が形成される。
【0068】
なお、ハウジング101の内部に形成される循環路は、縦型または3軸の循環路であっても良い。
【0069】
撹拌槽103の現像剤搬送方向における上流側には、トナー補給口122が設けられている。
【0070】
トナー補給口122では、トナーが充填されているトナーホッパー124を介してトナーの補給を受ける。なお、トナーホッパー124は、トナーの他にキャリアが充填され、トナーとキャリアが一緒に補給される構成であっても良い。撹拌槽103の現像剤搬送方向における下流側の底面部には、ハウジング101内のトナー濃度(現像剤のうちトナーの比率)を検出するトナー濃度検出センサー140が設けられている。
【0071】
TCRセンサーとも呼ばれるトナー濃度検出センサー140は、検出したトナー濃度を制御部70に出力する。具体的には、トナー濃度検出センサー140は、トナー濃度の大きさに比例したカウント値を含むセンサー信号を出力する。制御部70は、トナー濃度検出センサー140から出力されたセンサー信号に含まれるカウント値からトナー濃度の大きさを特定することができる。
【0072】
トナー濃度検出センサー140は、キャリアが常磁性体であることを利用して現像剤の透磁率の変化を測定することにより、単位体積中のキャリア量からトナー濃度を検出する磁気式センサーである。
【0073】
トナー濃度検出センサー140は、透磁率の変化による2つのコイルのインダクタンスの変化を、トナー濃度として検出する。なお、トナー濃度検出センサー140としては、磁気式センサーに限らず、トナー画像濃度検出センサー43と同様の反射型の光センサーを適用することができる。
【0074】
供給スクリュー106のシャフトは、連通口116よりもさらに現像剤搬送方向の下流側に向って延びており、当該シャフトにおける現像剤搬送方向の下流側端部は、供給槽104における現像剤搬送方向の下流側に向って突出した現像剤排出部126内に位置している。供給スクリュー106のシャフトには、現像剤搬送方向の下流側に、螺旋羽根110とは螺旋の向きが逆向きになった逆巻き螺旋羽根128が設けられている。
【0075】
逆巻き螺旋羽根128は、螺旋羽根110の螺旋ピッチよりも小さな螺旋ピッチになっている。逆巻き螺旋羽根128は、供給スクリュー106の現像剤搬送方向における現像剤の搬送を規制して当該現像剤を連通口116へ送り込む。
【0076】
現像剤排出部126内に位置する供給スクリュー106のシャフトには、螺旋羽根110と螺旋の向きが同じであって、螺旋羽根110よりも小さな螺旋ピッチの螺旋羽根130が設けられている。
【0077】
現像剤排出部126の底面には、現像剤を排出するための現像剤排出口132が設けられている。
【0078】
螺旋羽根130は、逆巻き螺旋羽根128を越えて移動した現像剤を現像剤排出口132へ送り込む。
【0079】
現像剤排出口132には、現像剤回収容器134が装着される。本実施の形態のように、現像剤排出口132は、補給されたトナーがすぐに排出されないように、当該補給されたトナーがハウジング101内の現像剤に十分混ざった位置(現像剤搬送方向の最下流位置)に設けられることが望ましい。
【0080】
供給スクリュー106の逆巻き螺旋羽根128、螺旋羽根130および現像剤排出部126は、ハウジング101内の現像剤量が多くなると余剰の現像剤を現像剤排出口132から排出するトリクル排出機構を構成する。
【0081】
なお、現像剤の排出機構は、ハウジング101の高さを現像剤排出口132だけ低くしておき、ハウジング101内の余剰の現像剤が現像剤排出口132から排出されるように構成しても良い。
【0082】
[トナー補給動作制御]
制御部70は、トナー濃度検出センサー140のカウント値を検出しトナー濃度を算出し、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲内に収まっているか否かについて判定する。なお、所定のトナー濃度以上であるか否かについて判定するようにしてもよい。所定のトナー濃度以上でない場合、トナー補給を要求するトナー補給制御信号をトナーホッパー124に出力する。その結果、トナーホッパー124からトナー補給口122にトナーの補給が行われる。所定のトナー濃度以上であれば、トナー補給制御信号は出力しない。
【0083】
現像ローラ108から感光体ドラム413にトナーを現像すると、トナー濃度は低下するが、トナー濃度検出センサー140で検出するまでに時間が掛かるため、入力画像データに応じてトナー補給を行う。まず、画像読み取り部10は、原稿画像走査装置12による読み取り結果に基づいて入力画像データを生成する。次に、画像処理部30は、画像読み取り部10により生成された入力画像データに対して各種のデジタル画像処理を行い、画像処理後の画像信号を出力画像情報として出力する。次に、制御部70は、画像処理部30から出力された出力画像情報に基づいて、画像形成部40による画像形成処理に伴うトナー消費量を算出する。最後に、制御部70は、算出したトナー消費量に応じて、トナーを補給することを要求するトナー補給制御信号をトナーホッパー124に出力する。
【0084】
その結果、トナーホッパー124からトナー補給口122に、トナーの補給が行われる。
【0085】
なお、本実施の形態では、制御部70は、出力画像情報に基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーの消費量を算出し、当該算出した消費量に相当する分のトナーを現像装置412に補給させるように制御する。
【0086】
[トナー補給の動作確認]
制御部70は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲内に収まっているか否かについて判定する。なお、所定のトナー濃度(許容できる下限のトナー濃度)以上であるか否かについて判定するようにしてもよい。この判定の結果、所定のトナー濃度以上である場合、制御部70は、トナー補給動作が正常に行われたと判定する。そして、トナー補給の確認動作は終了する。
【0087】
一方、制御部70は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定のトナー濃度以上でない場合、トナー補給動作が正常に行われていないと判定し、トナー補給機構の修復や、トナーホッパー124の上方に設けられトナーホッパー124にトナーを供給するトナーボトルの交換が必要である旨(トナー補給エラー)を表示部21に表示させ、トナー補給の確認動作は終了する。なお、制御部70は、トナー補給エラーを示す音声情報をスピーカーに出力しても、トナー濃度異常を表示部21に表示させ画像印字を中断しても良い。
【0088】
[トナー濃度検出制御]
図4は、実施形態に従うトナー濃度検出制御を実行する機能ブロック図である。
【0089】
図4を参照して、CPU71は、停止期間取得部90と、動作期間取得部92と、期間調整部94と、トナー濃度異常判断部96と、環境情報取得部98と、トナー濃度記憶部99とを含む。
【0090】
停止期間取得部90は、現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間を取得する。具体的には、停止期間取得部90は、現像装置412の状態を定期的(10ms毎)に監視し、撹拌スクリュー105の停止状態の期間を取得する。例えば、停止期間取得部90は、現像装置412の状態を定期的に監視し、クロック74を用いて現像装置412が停止した時刻を記憶部82等に格納し、現像装置412が次に動作した時刻との差に基づいて現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間を取得するようにしてもよい。
【0091】
動作期間取得部92は、現像装置412の撹拌スクリュー105の動作期間を取得する。具体的には、動作期間取得部92は、現像装置412の状態を定期的(10ms毎)に監視し、撹拌スクリュー105の動作状態の期間を取得する。例えば、動作期間取得部92は、現像装置412の状態を定期的に監視し、クロック74を用いて現像装置412が動作を開始した時刻を記憶部82等に格納し、現在時刻との差に基づいて現像装置412の撹拌スクリュー105の動作期間を取得するようにしてもよいし、あるいは、現像装置412が動作を開始した時刻と現像装置412の撹拌スクリュー105の停止した時刻との差に基づいて動作期間を取得してもよい。
【0092】
トナー濃度異常判断部96は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かについて判定する。なお、所定のトナー濃度(許容できる下限のトナー濃度)以上であるか否かについて判定するようにしてもよい。
【0093】
また、本例においては、トナー濃度異常判断部96は、停止期間取得部90が取得した停止期間の長さに応じて、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断する。より具体的には、トナー濃度異常判断部96は、停止期間取得部90で取得した停止期間が所定期間未満の場合には、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断し、停止期間取得部90で取得した停止期間が所定期間以上の場合には、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断しない。
【0094】
環境情報取得部98は、温度計あるいは湿度計等を用いて現像装置412の周辺の温度あるいは湿度もしくはその両方等の環境情報を取得する。
【0095】
トナー濃度記憶部99は、現像装置412が停止状態となる前のトナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度を記憶部82等に記憶する。
【0096】
期間調整部94は、所定条件に基づいてトナー濃度異常判断部96が判断する所定期間の値を調整する。
【0097】
図5は、実施形態に従う画像形成装置における停止期間とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【0098】
図5に示されるように、現像装置412の停止期間が長くなればなるほどトナー濃度は低くなる。
【0099】
トナー濃度検出センサー140は、現像装置412内の現像剤のトナー濃度が同じであっても、長時間放置された現像剤のトナー濃度を、十分に撹拌された現像剤のトナー濃度に比べて低く検出する。
【0100】
したがって、本例においては、現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間が長い場合には、精度の高いトナー濃度の検出ができない可能性があるためトナー濃度の判定処理を実行しない。
【0101】
図6は、実施形態に従う画像形成装置におけるトナー濃度検出制御処理を説明するフロー図である。
【0102】
図6を参照して、制御部70は、画像形成装置1の電源がONされたか否かを判断する(ステップS0)。
【0103】
ステップS0において、制御部70は、画像形成装置1の電源がONされた場合(ステップS0においてYES)には、流動停止期間を取得する(ステップS2)。停止期間取得部90は、現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間を取得する。停止期間取得部90は、クロック74から現在の時刻情報を取得する。停止期間取得部90は、記憶部82等に格納されている現像装置412が停止した前回の時刻情報を取得する。そして、停止期間取得部90は、記憶部82等に格納されている現像装置412が停止した時刻と現在の時刻情報との差に基づいて現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間を取得する。
【0104】
次に、制御部70は、判定閾値となる期間を設定する(ステップS8)。期間調整部94は、判定閾値となる期間を設定する。例えば、判定閾値となる所定期間として一例として10時間に設定しても良い。当該所定期間は所定条件に基づいて調整することが可能である。
【0105】
次に、制御部70は、トナー濃度を検出する(ステップS10)。トナー濃度検出センサー140は、現像装置412のトナー濃度を検出する。
【0106】
次に、制御部70は、現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間が判定閾値の期間よりも長いか否かを判定する(ステップS12)。トナー濃度異常判断部96は、停止期間取得部90で取得した停止期間が所定期間(10時間)よりも長いか否かを判定する。
【0107】
ステップS12において、制御部70は、現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間が判定閾値の期間よりも長くないと判定した場合(ステップS12においてNO)には、ステップS22に進む。ステップS22において、制御部70は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かについて判定する(ステップS22)。トナー濃度異常判断部96は、停止期間取得部90で取得した停止期間が所定期間(10時間)よりも長くないと判定した場合には、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かを判断する。すなわち、この場合には、通常のトナー濃度検出制御を実行する。
【0108】
次に、ステップS22において、制御部70は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっていると判定した場合(ステップS22においてYES)には、ステップS16に進む。トナー濃度異常判断部96は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっていると判定した場合には、正常であるため異常処理に進むことなく動作を継続する。すなわち、この場合には、通常のトナー濃度検出制御を実行する。
【0109】
一方、ステップS22において、制御部70は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっていないと判定した場合(ステップS22においてNO)には、ステップS26に進む。ステップS26において、制御部70は、トナー濃度の異常処理を実行する。具体的には、トナー濃度異常判断部96は、異常と判断した場合にトナー補給機構の修復や、トナーホッパー124の上方に設けられトナーホッパー124にトナーを供給するトナーボトルの交換が必要である旨(トナー補給エラー)を表示部21に表示させるようにしてもよい。あるいは、トナー濃度異常判断部96は、トナー補給エラーを示す音声情報をスピーカーに出力しても、トナー濃度異常を表示部21に表示させるとともに、画像形成部40に指示して画像印字を中断しても良い。これにより、トナー濃度が所定範囲に収まっていないと判断した場合には、現像されたトナー像を記録媒体に転写して出力しないようにしてもよい。
【0110】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS12において、制御部70は、現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間が判定閾値の期間よりも長いと判定した場合(ステップS12においてYES)には、現像装置412の撹拌スクリュー105による流動動作期間を取得する(ステップS13)。動作期間取得部92は、記憶部82等に格納されている現像装置412が動作を開始した時刻と現在時刻との差に基づいて現像装置412の撹拌スクリュー105の流動動作期間を取得する。
【0111】
次に、制御部70は、現像装置412の撹拌スクリュー105による流動動作期間が復帰閾値の期間よりも長いか否かを判定する(ステップS14)。トナー濃度異常判断部96は、動作期間取得部92で取得した流動動作期間が復帰閾値の期間である所定期間(10分)よりも長いか否かを判定する。
【0112】
制御部70は、現像装置412の撹拌スクリュー105による流動動作期間が復帰閾値の期間よりも長いと判定した場合(ステップS14においてYES)には、ステップS22に進み、制御部70は、トナー濃度検出センサー140で検出したトナー濃度が所定範囲に収まっているか否かについて判定する(ステップS22)。以降の処理については同様である。すなわち、現像装置412の撹拌スクリュー105による流動動作期間が復帰閾値の期間よりも長い場合には、現像装置412の撹拌スクリュー105により現像剤は十分に撹拌された状態であると判断されるため通常のトナー濃度異常の判定処理を実行する。
【0113】
一方、ステップS14において、制御部70は、現像装置412の撹拌スクリュー105による流動動作期間が復帰閾値の期間よりも長くないと判定した場合には、トナー濃度異常の判定処理を実行することなく、ステップS16に進む。すなわち、本例においては、現像装置412の撹拌スクリュー105による流動動作期間が復帰閾値の期間よりも長くない場合には、現像剤は十分に撹拌さていない状態であると判断されるため通常のトナー濃度異常の判定処理を実行しない。
【0114】
ステップS16において、制御部70は、現像剤が流動しているか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、制御部70は、現像装置412の撹拌スクリュー105が動作しているか否かを判定する。
【0115】
制御部70は、現像剤が流動していると判定した場合(ステップS16においてYES)には、流動時間を計測する(ステップS18)。具体的には、動作期間取得部92は、クロック74を用いて現像装置412が動作を開始した時刻を記憶部82等に格納する。
【0116】
そして、次のステップS20に進み、処理が終了しているか否かを判定する(ステップS20)。
【0117】
ステップS20において、処理が終了していないと判定した場合(ステップS20においてNO)には、ステップS10に戻り、上記処理を繰り返す。
【0118】
一方、ステップS20において、処理が終了していると判定した場合(ステップS20においてYES)には、処理を終了する(エンド)
一方、ステップS16において、制御部70は、現像剤が流動していないと判定した場合(ステップS16においてNO)には、停止時間を記憶する(ステップS28)。停止期間取得部90は、クロック74を用いて現像装置412が停止した時刻を記憶部82等に格納する。
【0119】
そして、ステップS20に進み、処理が終了しているか否かを判定する(ステップS20)。以降の処理については上記で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0120】
当該処理により、現像装置412の撹拌スクリュー105の停止期間が長い場合には、精度の高いトナー濃度の検出ができない可能性があるためトナー濃度の判定処理を実行しない。当該簡易な方式でトナー濃度異常の誤検知を防止することが可能である。
【0121】
なお、本例においては、電源ONの場合に上記処理が実行される場合について説明したが、これに限られず例えばスリープ復帰やエラー復帰の場合にも同様に適用可能である。
【0122】
(変形例1)
図7は、実施形態の変形例1に従う画像形成装置における湿度とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【0123】
図7に示されるように、トナー濃度検出センサー140は、湿度が大きければ大きいほど現像装置412内の現像剤のトナー濃度が同じであっても、湿度が低い場合の現像剤のトナー濃度に比べて低く検出する。なお、温度に関しても同様である。
【0124】
したがって、湿度もしくは温度等の環境情報を取得して、当該環境情報に基づいて判定閾値となる期間を設定するようにしてもよい。具体的には、期間調整部94は、環境情報を取得して例えば高温高湿である場合には、所定期間を10時間よりも短く期間を設定するように調整してもよい。
【0125】
当該処理により、環境情報を考慮することによりさらにトナー濃度の誤検知を抑制することが可能である。
【0126】
(変形例2)
図8は、実施形態の変形例2に従う画像形成装置における停止期間とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【0127】
図8に示されるように、2種類の特性が示されており、点線の波形は、現像装置412の現像剤の流動期間が長い場合の特性である。実線の波形は、現像装置412の現像剤の流動期間が短い場合の特性である。
【0128】
トナー濃度検出センサー140は、現像装置412内の現像剤のトナー濃度が同じであっても、長時間放置された(停止期間が長い)現像剤のトナー濃度を、十分に撹拌された現像剤のトナー濃度に比べて低く検出する。
【0129】
一方で、停止期間が長い現像剤のトナー濃度に関して、停止する前の現像装置412の現像剤の流動期間が長い状態の場合には、停止する前の現像装置412の現像剤の流動期間が短い状態の場合よりも、変化の度合いが小さい。
【0130】
したがって、停止する前の現像装置412の現像剤の流動期間の情報を取得して、当該流動期間の情報に基づいて判定閾値となる期間を設定するようにしてもよい。具体的には、期間調整部94は、現像装置412の現像剤の流動期間の情報を取得して例えば流動期間が長い状態であった場合には、所定期間を10時間よりも長い期間に設定するように調整してもよい。
【0131】
当該処理により、停止する前の現像装置412の現像剤の流動期間を考慮することによりさらにトナー濃度の誤検知を抑制することが可能である。
【0132】
(変形例3)
図9は、実施形態の変形例3に従う画像形成装置における停止期間とトナー濃度レベルとの関係について説明する図である。
【0133】
図9に示されるように、2種類の特性が示されており、点線の波形は、現像装置412の現像剤のトナー濃度が高い場合の特性である。実線の波形は、現像装置412の現像剤のトナー濃度が低い場合の特性である。
【0134】
トナー濃度検出センサー140は、現像装置412内の現像剤のトナー濃度が同じであっても、長時間放置された(停止期間が長い)現像剤のトナー濃度を、十分に撹拌された現像剤のトナー濃度に比べて低く検出する。
【0135】
一方で、現像装置412の現像剤のトナー濃度の値が高い状態の場合と、現像装置412の現像剤のトナー濃度の値が低い状態の場合とでは、現像装置412の現像剤のトナー濃度の値が高い状態の場合には、現像装置412の現像剤のトナー濃度の値が低い状態の場合よりも、変化の度合いが小さい。
【0136】
したがって、現像剤のトナー濃度の値の情報を取得して、現像剤のトナー濃度の値の情報に基づいて判定閾値となる期間を設定するようにしてもよい。具体的には、期間調整部94は、トナー濃度記憶部99が記憶部82等に記憶したトナー濃度の情報を取得する。期間調整部94は、現像剤のトナー濃度の値の情報を取得して例えば現像剤のトナー濃度の値が高い場合には、所定期間を10時間よりも長い期間に設定するように調整してもよい。
【0137】
当該処理により、現像剤のトナー濃度の値の情報を考慮することによりトナー濃度の誤検知をさらに抑制することが可能である。
【0138】
上記したように、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K毎に現像装置412が設けられるているため各画像形成ユニット毎に上記の処理を実行することが可能である。
【0139】
また、一部の画像形成ユニット41に関してトナー濃度の異常が判断された場合には、当該異常と判断された画像形成ユニット41を除いて画像形成処理を実行するようにしても良い。例えば、Y成分の現像装置412のトナー濃度の異常が判断された場合には、カラープリントを禁止しモノクロプリントのみ動作するモードでプリント動作可能としてもよい。
【0140】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
1 画像形成装置、10 画像読み取り部、11 自動原稿給紙装置、12 原稿画像走査装置、21 表示部、22 操作部、30 画像処理部、40 画像形成部、41 画像形成ユニット、42 中間転写ユニット、43 トナー画像濃度検出センサー、50 搬送部、51 給紙部、52 搬送機構、53 排紙部、60 定着部、70 制御部、72 ROM、73 RAM、74 クロック、81 通信部、82 記憶部、90 停止期間取得部、92 動作期間取得部、94 期間調整部、96 トナー濃度異常判断部、98 環境情報取得部、99 トナー濃度記憶部。