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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20231017BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20231017BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20231017BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B60C13/00 E
B60C1/00 B
B60C15/06 C
B60C11/00 A
B60C11/00 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019191394
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021066270
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】今井 大樹
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-050813(JP,A)
【文献】特開2001-138719(JP,A)
【文献】特開平04-362404(JP,A)
【文献】特開平09-272306(JP,A)
【文献】特開平04-108008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と一対のサイドウォール部を経て一対のビード部間に跨るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された一対のサイドウォールゴムとを含む空気入りタイヤであって、
前記サイドウォールゴムは、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された第1ゴムと、前記第1ゴムのタイヤ軸方向外側に配された第2ゴムと、前記第2ゴムのタイヤ軸方向外側に配されて前記サイドウォール部の外側面に露出する第3ゴムとを含み、
前記第2ゴムの硬度H2は、前記第3ゴムの硬度H3よりも大きく、前記第1ゴムの硬度H1は、前記硬度H2よりも大きく、
前記ビード部には、タイヤがリムに装着されたときに前記リムと接触するクリンチゴムが配されており、
前記サイドウォールゴムのタイヤ半径方向の内側部は、前記クリンチゴムに連なり、
前記第1ゴムは、前記クリンチゴムのタイヤ軸方向内側に配され、
前記第2ゴム及び前記第3ゴムは、前記クリンチゴムのタイヤ軸方向外側に配される、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
トレッド部と一対のサイドウォール部を経て一対のビード部間に跨るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された一対のサイドウォールゴムとを含む空気入りタイヤであって、
前記サイドウォールゴムは、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された第1ゴムと、前記第1ゴムのタイヤ軸方向外側に配された第2ゴムと、前記第2ゴムのタイヤ軸方向外側に配されて前記サイドウォール部の外側面に露出する第3ゴムとを含み、
前記第2ゴムの硬度H2は、前記第3ゴムの硬度H3よりも大きく、前記第1ゴムの硬度H1は、前記硬度H2よりも大きく、
前記第1ゴムの体積固有抵抗は、前記第3ゴムの体積固有抵抗よりも小さく、前記第3ゴムの前記体積固有抵抗は、前記第2ゴムの体積固有抵抗よりも小さい、
空気入りタイヤ。
【請求項3】
トレッド部と一対のサイドウォール部を経て一対のビード部間に跨るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された一対のサイドウォールゴムとを含む空気入りタイヤであって、
前記サイドウォールゴムは、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された第1ゴムと、前記第1ゴムのタイヤ軸方向外側に配された第2ゴムと、前記第2ゴムのタイヤ軸方向外側に配されて前記サイドウォール部の外側面に露出する第3ゴムとを含み、
前記第2ゴムの硬度H2は、前記第3ゴムの硬度H3よりも大きく、前記第1ゴムの硬度H1は、前記硬度H2よりも大きく、
前記第1ゴムは、ゴム成分100質量部に対して、導電性カーボンブラックを1.0~10.0質量部配合されてなる、
空気入りタイヤ。
【請求項4】
トレッド部と一対のサイドウォール部を経て一対のビード部間に跨るカーカスと、
前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された一対のサイドウォールゴムとを含む空気入りタイヤであって、
前記サイドウォールゴムは、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された第1ゴムと、前記第1ゴムのタイヤ軸方向外側に配された第2ゴムと、前記第2ゴムのタイヤ軸方向外側に配されて前記サイドウォール部の外側面に露出する第3ゴムとを含み、
前記第2ゴムの硬度H2は、前記第3ゴムの硬度H3よりも大きく、前記第1ゴムの硬度H1は、前記硬度H2よりも大きく、
前記第3ゴムの損失正接tanδは、前記第1ゴム及び前記第2ゴムの前記損失正接tanδよりも大きい、
空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記硬度H1と前記硬度H2との比H1/H2は、1.1以下である、請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記硬度H2と前記硬度H3との比H2/H3は、1.2以下である、請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記硬度H1と前記硬度H3との比H1/H3は、1.3以下である、請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記第3ゴムは、ブチルゴム及びエチレン-プロピレン-ジエンゴムを含有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記第3ゴムは、老化防止剤を含有しない、請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記第3ゴム及び前記クリンチゴムは、体積固有抵抗が1.0×10 8 Ωcm未満の導電性ゴム材からなる、請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記第1ゴムと前記クリンチゴムとは、ビードベースラインから前記クリンチゴムのタイヤ半径方向の外端までのタイヤ半径方向距離の5%~60%の長さで接触している、請求項1又は10に記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記カーカスのタイヤ半径方向外側に配されたトレッドゴムをさらに含み、
前記トレッドゴムは、前記体積固有抵抗が1.0×10 8 Ωcm未満の導電性ゴム材を少なくとも一部に含み、
前記第3ゴムは、前記導電性ゴム材と導通するように配されている、請求項10記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記第2ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記第3ゴムのタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向外側に配され、
前記第1ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記第2ゴムの前記外端よりもタイヤ半径方向外側に配されている、請求項12記載の空気入りタイヤ。
【請求項14】
前記第3ゴムの前記外端は、前記トレッドゴムのタイヤ軸方向の外端よりもタイヤ半径方向内側に配されている、請求項13記載の空気入りタイヤ。
【請求項15】
前記第3ゴムの前記外端と前記トレッドゴムの前記外端との間の前記サイドウォール部の外側面に、前記第2ゴムが露出している、請求項14記載の空気入りタイヤ。
【請求項16】
前記トレッドゴムの前記外端と前記第3ゴムの前記外端との距離は、タイヤ断面高さの5%~10%である、請求項15記載の空気入りタイヤ。
【請求項17】
タイヤ最大幅位置において、前記第1ゴムの厚さT1と前記第2ゴムの厚さT2との比T2/T1は、1.0~5.0である、請求項1乃至16のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項18】
タイヤ最大幅位置において、前記第3ゴムの厚さT3と前記第2ゴムの厚さT2との比T2/T3は、1.0~5.0である、請求項1乃至17のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サイドウォールゴムを3層構造とした空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-213747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている空気入りタイヤでは、中間ゴムのゴム硬度が内側ゴム及び外側ゴムよりも硬く設定されている。しかしながら、上記空気入りタイヤにあっても、操縦安定性能及び乗り心地性能の更なる向上が期待されている。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、操縦安定性能及び乗り心地性能をバランスよく向上させることが可能な空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部と一対のサイドウォール部を経て一対のビード部間に跨るカーカスと、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された一対のサイドウォールゴムとを含む空気入りタイヤであって、前記サイドウォールゴムは、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された第1ゴムと、前記第1ゴムのタイヤ軸方向外側に配された第2ゴムと、前記第2ゴムのタイヤ軸方向外側に配されて前記サイドウォール部の外側面に露出する第3ゴムとを含み、前記第2ゴムの硬度H2は、前記第3ゴムの硬度H3よりも大きく、前記第1ゴムの硬度H1は、前記硬度H2よりも大きい。
【0007】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記硬度H1と前記硬度H2との比H1/H2は、1.1以下である、ことが望ましい。
【0008】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記硬度H2と前記硬度H3との比H2/H3は、1.2以下である、ことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記硬度H1と前記硬度H3との比H1/H3は、1.3以下である、ことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第3ゴムは、ブチルゴム及びエチレン-プロピレン-ジエンゴムを含有する、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第3ゴムは、老化防止剤を含有しない、ことが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記ビード部には、タイヤがリムに装着されたときに前記リムと接触するクリンチゴムが配されており、前記サイドウォールゴムのタイヤ半径方向の内側部は、前記クリンチゴムに連なり、前記第1ゴムは、前記クリンチゴムのタイヤ軸方向内側に配され、前記第2ゴム及び前記第3ゴムは、前記クリンチゴムのタイヤ軸方向外側に配される、ことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第3ゴム及び前記クリンチゴムは、体積固有抵抗が1.0×108Ωcm未満の導電性ゴム材からなる、ことが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第1ゴムと前記クリンチゴムとは、ビードベースラインから前記クリンチゴムのタイヤ半径方向の外端までのタイヤ半径方向距離の5%~60%の長さで接触している、ことが望ましい。
【0015】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第1ゴムの体積固有抵抗は、前記第3ゴムの体積固有抵抗よりも小さく、前記第3ゴムの前記体積固有抵抗は、前記第2ゴムの体積固有抵抗よりも小さい、ことが望ましい。
【0016】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第1ゴムは、ゴム成分100質量部に対して、導電性カーボンブラックを1.0~10.0質量部配合されてなる、ことが望ましい。
【0017】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第3ゴムの損失正接tanδは、前記第1ゴム及び前記第2ゴムの前記損失正接tanδよりも大きい、ことが望ましい。
【0018】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記カーカスのタイヤ半径方向外側に配されたトレッドゴムをさらに含み、前記トレッドゴムは、前記体積固有抵抗が1.0×108Ωcm未満の導電性ゴム材を少なくとも一部に含み、前記第3ゴムは、前記導電性ゴム材と導通するように配されている、ことが望ましい。
【0019】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第2ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記第3ゴムのタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向外側に配され、前記第1ゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記第2ゴムの前記外端よりもタイヤ半径方向外側に配されている、ことが望ましい。
【0020】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第3ゴムの前記外端は、前記トレッドゴムのタイヤ軸方向の外端よりもタイヤ半径方向内側に配されている、ことが望ましい。
【0021】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第3ゴムの前記外端と前記トレッドゴムの前記外端との間の前記サイドウォール部の外側面に、前記第2ゴムが露出している、ことが望ましい。
【0022】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記トレッドゴムの前記外端と前記第3ゴムの前記外端との距離は、タイヤ断面高さの5%~10%である、ことが望ましい。
【0023】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、タイヤ最大幅位置において、前記第1ゴムの厚さT1と前記第2ゴムの厚さT2との比T2/T1は、1.0~5.0である、ことが望ましい。
【0024】
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、タイヤ最大幅位置において、前記第3ゴムの厚さT3と前記第2ゴムの厚さT2との比T2/T3は、1.0~5.0である、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の前記空気入りタイヤの前記サイドウォールゴムは、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配された前記第1ゴムと、前記第1ゴムのタイヤ軸方向外側に配された前記第2ゴムと、前記第2ゴムのタイヤ軸方向外側に配されて前記サイドウォール部の前記外側面に露出する前記第3ゴムとを含む、少なくとも3層の構造を有する。前記第2ゴムの硬度H2は、前記第3ゴムの硬度H3よりも大きく、前記第1ゴムの前記硬度H1は、前記硬度H2よりも大きい。すなわち、前記サイドウォール部の前記外側面から前記カーカスに向って、ゴム硬度が大きくなる。
【0026】
従って、本発明では、前記カーカスに近い前記第1ゴムの前記硬さH1が前記第2ゴムの前記硬さH2及び前記第3ゴムの前記硬さH3よりも大きいことにより、前記タイヤに前後力、横力及びスリップ角が付与されたときの前記カーカスの変形が抑制され、容易に操縦安定性能が高められる。一方、前記カーカスから遠い前記第3ゴムの前記硬さH3が前記第2ゴムの前記硬さH2及び前記第1ゴムの前記硬さH1よりも小さいことにより、縦荷重を受けたとき前記サイドウォール部が柔軟に変形し、容易に乗り心地性能が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の空気入りタイヤの一実施形態の断面図である。
図2図1のサイドウォール部及びビード部の拡大図である。
図3図2の拡大図である。
図4図1のトレッド部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1の子午断面図である。本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2と一対のサイドウォール部3を経て一対のビード部4に跨るトロイド状のカーカス6と、サイドウォール部3のカーカス6のタイヤ軸方向外側に配されたサイドウォールゴム3Gとを含む。
【0029】
本実施形態の空気入りタイヤ1では、ビード部4、4間にはカーカス6が架け渡されると共に、トレッド部2の内部でカーカス6の外側にはベルト層7が配されている。
【0030】
カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば75゜~90゜の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから構成される。カーカスコードには、例えば、芳香族ポリアミド、レーヨンなどの有機繊維コードが好適に採用されている。カーカスプライ6Aは、ビード部4、4間を跨る本体部6aの両端に、ビード部4のビードコア5の廻りで内側から外側に折り返して係止される折返し部6bを有する。本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向の外側に先細状にのびるビード部補強用のビードエーペックスゴム8が配置される。
【0031】
ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば15~45°の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから構成される。ベルトコードには、例えば、スチール、アラミド又はレーヨン等が好適に採用されている。複数のベルトコードがトッピングゴムで被覆されることにより、ベルトプライ7A、7Bが構成される。ベルトプライ7A、7Bが積層され、各コードがプライ間相互で交差することにより、トレッド部2が高い剛性で補強される。
【0032】
ベルト層7のタイヤ半径方向外側には、高速耐久性や操縦安定性を向上させる目的で、バンドコードを周方向に螺旋巻きしたバンドプライからなるバンド層9が設けられている。バンドコードには、本例ではナイロン等の有機繊維が好適に採用されている。バンド層9は、省略されていてもよい。
【0033】
バンド層9のタイヤ半径方向外側には、トレッドゴム2Gが配されている。また、サイドウォール部3において、カーカス6のタイヤ半径方向外側及びタイヤ軸方向外側には、サイドウォールゴム3Gが配されている。
【0034】
以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等は正規状態で測定された値である。ここで、「正規状態」とは、タイヤを正規リム(図示省略)にリム組みし、かつ、正規内圧を充填した無負荷の状態である。
【0035】
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0036】
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。タイヤが乗用車用である場合、正規内圧は、例えば、180kPaである。
【0037】
図2は、一方のサイドウォール部3及びビード部4を拡大した断面図である。図2では、タイヤ赤道C(図1参照)に対して一方側のみを示している(後述する図3、4についても同様とする)。
【0038】
各サイドウォールゴム3Gは、カーカス6のタイヤ軸方向外側に配された第1ゴム31と、第1ゴム31のタイヤ軸方向外側に配された第2ゴム32と、第2ゴム32のタイヤ軸方向外側に配された第3ゴム33とを含む、少なくも3層の構造を有する。第3ゴム33は、サイドウォール部3の外側面に露出している。
【0039】
第2ゴム32の硬度H2は、第3ゴム33の硬度H3よりも大きく、第1ゴム31の硬度H1は、第2ゴム32の硬度H2よりも大きい。すなわち、本実施形態のサイドウォール部は、その外側面からカーカス6に向って、ゴム硬度が大きくなる。
【0040】
本明細書において、「ゴム硬度」とは、JIS-K6253に準拠して、温度23℃の試験室で測定されたデュロメータータイプAによる硬さである。
【0041】
従って、カーカス6に近い第1ゴム31の硬さH1が第2ゴム32の硬さH2及び第3ゴム33の硬さH3よりも大きいことにより、空気入りタイヤ1に前後力、横力及びスリップ角が付与されたときのカーカス6の変形が抑制され、容易に操縦安定性能が高められる。
【0042】
一方、カーカス6から遠い第3ゴム33は、空気入りタイヤ1への縦荷重の負荷によりサイドウォール部3が撓んだとき、大きく伸張される。本実施形態では、第3ゴム33の硬さH3が第2ゴムの硬さH2及び第1ゴムの硬さH1よりも小さいことにより、空気入りタイヤ1が縦荷重を受けたときサイドウォール部3が柔軟に変形し、容易に乗り心地性能が高められる。
【0043】
第1ゴム31の硬度H1と第2ゴム32の硬度H2との比H1/H2は、1.1以下が望ましい。比H1/H2が1.1以下であることにより、空気入りタイヤ1に前後力、横力及びスリップ角が付与されたときのカーカス6の変形がより一層抑制され、容易に操縦安定性能が高められる。また、空気入りタイヤ1が縦荷重を受けたときサイドウォール部3がより一層柔軟に変形し、容易に乗り心地性能が高められる。
【0044】
第2ゴム32の硬度H2と第3ゴム33の硬度H3との比H2/H3は、1.2以下が望ましい。比H2/H3は、1.2以下であることにより、サイドウォールゴム3Gの耐久性能が容易に確保される。また、空気入りタイヤ1が縦荷重を受けたときサイドウォール部3がより一層柔軟に変形し、容易に乗り心地性能が高められる。
【0045】
上記観点から、第1ゴム31の硬度H1と第3ゴム33の硬度H3との比H1/H3は、1.3以下が望ましい。
【0046】
第3ゴム33は、ブチルゴム及びエチレン-プロピレン-ジエンゴムを含有している、ことが望ましい。上記成分によって、第3ゴム33の耐オゾンクラック性能が高められる。
【0047】
第3ゴム33は、老化防止剤を含有しない、ことが望ましい。これにより、第3ゴム33が茶色に変色することが抑制され、空気入りタイヤ1の外観性能が長期にわたって良好に維持される。
【0048】
すなわち、ブチルゴム及びエチレン-プロピレン-ジエンゴムを含有し、老化防止剤を含有しないゴム材料によって第3ゴム33を構成することにより、サイドウォールゴム3Gの耐候性が容易に高められる。
【0049】
ビード部4には、空気入りタイヤ1がリムR(図1参照)に装着されたときに、リムRのフランジ部分と接触するクリンチゴム4Gが配されている。クリンチゴム4Gは、リムRとの接触によるビード部4の摩耗や損傷を防ぐのに適した配合のゴム、より具体的には高硬度なゴムが適用されている。
【0050】
クリンチゴム4Gは、タイヤ軸方向外側に配され、サイドウォールゴム3Gのタイヤ半径方向の内側部に連なっている。
【0051】
サイドウォールゴム3Gのうち、第1ゴム31は、クリンチゴム4Gのタイヤ軸方向内側に配される。これにより、クリンチゴム4Gからサイドウォールゴム3Gに至る導電経路が容易に確保される。また、第1ゴム31とカーカス6との接触面積が大きくなり、上述したカーカス6の変形がより一層抑制され、容易に操縦安定性能が高められる。
【0052】
一方、第2ゴム32及び第3ゴム33は、クリンチゴム4Gのタイヤ軸方向外側に配される。これにより、硬度の高いクリンチゴム4Gによってビード部4の損傷を抑制しつつ、空気入りタイヤ1が縦荷重を受けたときサイドウォール部3がより一層柔軟に変形し、容易に乗り心地性能が高められる。
【0053】
第3ゴム33及びクリンチゴム4Gは、体積固有抵抗が1.0×108Ωcm未満の導電性ゴム材からなる、のが望ましい。これにより、車両に帯電した電荷が、リムR、クリンチゴム4G及び第3ゴム33を介して、トレッドゴム2Gに移動しやすくなり、車両が除電されやすくなる。なお、本明細書において、体積固有抵抗は、15cm四方かつ厚さ2mmのゴムの試料を用い、印加電圧500V、気温25℃、湿度50%の条件で電気抵抗測定器を用いて測定した値とする。
【0054】
図3は、図2のサイドウォール部3の一部及びビード部4をさらに拡大した断面を示している。第1ゴム31とクリンチゴム4Gとは、ビードベースラインBLからクリンチゴム4Gのタイヤ半径方向の外端4oまでのタイヤ半径方向距離Dの5%~60%の長さで接触している、のが望ましい。ここで、「ビードベースライン」は、空気入りタイヤ1が基づく規格で定まるリム径位置を通るタイヤ軸方向線である。
【0055】
第1ゴム31とクリンチゴム4Gとの接触長さL1が上記距離Dの5%以上であることにより、上記電荷がクリンチゴム4Gから第3ゴム33に移動し易くなり、車両の除電が促進される。一方、上記接触長さL1が上記距離Dの60%未満であることにより、 ビード部4のゴムボリュームが減少し、空気入りタイヤ1の転がり抵抗の低減に貢献する。 。
【0056】
第1ゴム31の体積固有抵抗は、第3ゴム33の体積固有抵抗よりも小さい、ことが望ましい。これにより、車両に帯電した電荷が、導電経路が短い第1ゴム31内を移動しやすくなり、除電されやすくなる。
【0057】
また、第3ゴム33の体積固有抵抗は、第2ゴム32の体積固有抵抗よりも小さい、換言すると、第2ゴム32の体積固有抵抗は、第3ゴム33の体積固有抵抗よりも大きい、ことが望ましい。これにより、例えば、第2ゴム32として、ヒステリシスロスの小さいゴムを採用することが容易となり、空気入りタイヤ1の転がり抵抗の低減に貢献する。
【0058】
第1ゴム31は、ゴム成分100質量部に対して、導電性カーボンブラックを1.0~10.0質量部配合されてなる、ことが望ましい。導電性カーボンブラックの配合割合が1.0質量部以上であることにより、第1ゴム31の体積固有抵抗を容易に低下させることが可能となる。一方、導電性カーボンブラックの配合割合が10.0質量部以下であることにより、十分な除電効果を確保しつつ、第1ゴム31のヒステリシスロスが抑制され、空気入りタイヤ1の転がり抵抗が容易に低減される。
【0059】
第3ゴム33の損失正接tanδは、第1ゴム31及び第2ゴム32の損失正接tanδよりも大きい、ことが望ましい。本明細書において、「損失正接tanδ」とは、JISK6394に準拠して、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用い、以下に示される条件下で測定された値である。
初期歪:10%
振幅:±2%
周波数:10Hz
変形モード:引張
温度:70℃
【0060】
第3ゴム33の損失正接tanδが、第1ゴム31及び第2ゴム32の損失正接tanδよりも大きいことにより、例えば、第3ゴム33における導電性カーボンブラックの配合割合を大きくして、第3ゴム33の体積固有抵抗を容易に低下させることが可能となる。
【0061】
空気入りタイヤ1は、トレッド部2にトレッドゴム2Gをさらに含んでいる。トレッドゴム2Gは、カーカス6のタイヤ半径方向外側、本実施形態では、バンド層9のタイヤ半径方向外側に配されている。
【0062】
トレッドゴム2Gは、バンド層9の外周面に巻回されたベースゴム21と、ベースゴム21のタイヤ半径方向外側に配されたキャップゴム22と、少なくともキャップゴム22を厚さ方向に貫通するように配された導電端子ゴム23と、トレッドゴム2Gのタイヤ軸方向の両端に配されたウイングゴム24とを有している。
【0063】
ベースゴム21には、体積固有抵抗が1.0×108Ωcm未満の導電性ゴム材が適用されている。このようなベースゴム21は、例えば、導電性カーボンブラックの配合割合を大きくすることにより、容易に実現できる。
【0064】
ベースゴム21のタイヤ軸方向の両端は、ベルト層7及びバンド層9のタイヤ軸方向の外端よりもタイヤ軸方向の外側に形成され、ベースゴム21の端部にてサイドウォールゴム3Gの第1ゴム31と接している。これにより、第1ゴム31とベースゴム21とが導通し、車両に帯電した電荷が、ベースゴム21まで移動可能となる。
【0065】
キャップゴム22には、例えば、耐摩耗性能に優れたゴムが適用される。キャップゴム22として、シリカを多く配合したいわゆるシリカリッチ配合ゴムを適用することにより、空気入りタイヤ1の転がり抵抗を低減させながら、ウエットグリップ性能を高めることが可能となる。
【0066】
導電端子ゴム23には、体積固有抵抗が1.0×108Ωcm未満の導電性ゴム材が適用されている。ベースゴム21と同様に、このような導電端子ゴム23は、例えば、導電性カーボンブラックの配合割合を大きくすることにより、容易に実現できる。
【0067】
導電端子ゴム23は、タイヤ周方向に連続し、トレッド部2の踏面(外周面)からベースゴム21にわたって途切れることなく形成されている。本実施形態の導電端子ゴム23は、トレッドゴム2Gを厚さ方向に貫通するように形成されている。これにより、ベースゴム21と導電端子ゴム23とが導通し、車両に帯電した電荷が、トレッド部2の踏面2Sまで移動可能となる。
【0068】
上述した構成のトレッドゴム2Gは、体積固有抵抗が1.0×108Ωcm未満の導電性ゴム材を少なくとも一部に含む。本実施形態では、既に述べたように、ベースゴム21及び導電端子ゴム23に導電性ゴム材が適用されている。なお、本発明では、キャップゴム22にも体積固有抵抗が1.0×108Ωcm未満の導電性ゴム材が適用されていてもよい。
【0069】
本実施形態では、第2ゴム32のタイヤ半径方向の外端32oは、第3ゴム33のタイヤ半径方向外端33oよりもタイヤ半径方向外側に配されている、のが望ましい。これにより、歪の大きいバットレス領域での外端32o及び外端33oの集中が回避され、バットレス領域の耐久性能が容易に向上する。
【0070】
一方、第1ゴム31のタイヤ半径方向の外端31oは、第2ゴム32の外端32oよりもタイヤ半径方向外側に配されている、のが望ましい。本実施形態では、第1ゴム31の外端31oは、ベルト層7のタイヤ軸方向の両端よりもタイヤ軸方向の内側に配されている。これにより、第1ゴム31とベースゴム21との間での導通性が向上する。また、ベルト層7の両端近傍とカーカス6との間に配された第1ゴム31がクッションとして機能し、ベルト層7の耐久性能が向上する。
【0071】
第3ゴム33の外端33oは、トレッドゴム2Gのタイヤ軸方向の外端2oよりもタイヤ半径方向内側に配されている、のが望ましい。これにより、変形の大きいバットレス領域で、タイヤ半径方向外方に向って、第3ゴム33、第2ゴム32、トレッドゴム2Gが順次配列され、ゴム物性の変化がなだらかとなり、空気入りタイヤ1の耐久性能が向上する。
【0072】
第3ゴム33の外端33oとトレッドゴム2Gの外端2oとの間のサイドウォール部3の外側面に、第2ゴム32が露出している、のが望ましい。これにより、歪の大きいバットレス領域での外端33oと外端2oの集中が回避され、バットレス領域の耐久性能が容易に向上する。
【0073】
トレッドゴム2Gの外端2oと第3ゴム33の外端33oとの距離L2は、タイヤ断面高さH(図1参照)の5%~10%が望ましい。上記距離L2がタイヤ断面高さHの5%以上であることにより、外端2oと外端33oとの分散により、バットレス領域の耐久性能が容易に向上する。一方、上記距離L2がタイヤ断面高さHの10%以下であることにより、空気入りタイヤ1の外観性能が長期にわたって容易に維持される。
【0074】
図4に示される断面において、第1ゴム31と第2ゴム32との界面は、円弧状に形成されている。これにより、バットレス領域での第2ゴム32のボリュームが相対的に増加し、空気入りタイヤ1の転がり抵抗を容易に低減することが可能となる。
【0075】
図3に示すように、タイヤ最大幅位置35において、第1ゴム31の厚さT1と第2ゴム32の厚さT2との比T2/T1は、1.0~5.0が望ましい。比T2/T1が1.0以上であることにより、空気入りタイヤ1の転がり抵抗を容易に低減することが可能となる。一方、比T2/T1が5.0以下であることにより、第3ゴム33での電荷の移動を良好に確保しつつ、タイヤ最大幅位置35でのサイドウォールゴム3Gのボリュームの過度な増加が抑制され、空気入りタイヤ1の転がり抵抗が低減される。
【0076】
また、タイヤ最大幅位置35において、第3ゴム33の厚さT3と第2ゴム32の厚さT2との比T2/T3は、1.0~5.0が望ましい。比T2/T3が1.0以上であることにより、空気入りタイヤ1の転がり抵抗を容易に低減することが可能となる。一方、比T2/T3が5.0以下であることにより、サイドウォールゴム3Gの耐候性が高めつつ、タイヤ最大幅位置35でのサイドウォールゴム3Gのボリュームの過度な増加が抑制され、空気入りタイヤ1の転がり抵抗が低減される。
【0077】
以上、本発明の空気入りタイヤ1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。例えば、図1では、一対のサイドウォールゴム3Gが、上述した3層構造を有しているが、一方のサイドウォールゴム3Gのみが3層構造を有していてもよい。このような空気入りタイヤ1は、例えば、車両に対する装着の向きが指定された非対称トレッドパターンを有する形態に好適に用いられる。
【実施例
【0078】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。試作されたタイヤを用いて、操縦安定性能及び乗り心地性能が評価された。各評価方法は、以下の通りである。
【0079】
<操縦安定性能>
試作タイヤが全輪に装着された前輪駆動の小型乗用車のテスト車両(排気量:2000cc)にテストドライバー1名が乗車し、ドライアスファルトのテストコースを走行し、ハンドル応答性、剛性感、グリップ等に関する特性がドライバーの官能により評価された。評価は、比較例1を100とする評点でされ、数値が大きいほど良好である。
【0080】
<乗り心地性能>
試作タイヤが全輪に装着された上記テスト車両にテストドライバー1名が乗車し、テストコースを走行し、ドライバーの官能により、ゴツゴツ感、突き上げ及びダンピングを総合評価し、比較例1を100とする評点で表示した。数値が大きいほど良好である。
【0081】
テストの結果が表1に示される。
【表1】
【0082】
表1から明らかなように、実施例のタイヤでは、比較例1に比べて操縦安定性能及び乗り心地性能がバランスよく有意に向上していることが確認できた。
【0083】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが、第3ゴムの配合に関し表2の仕様に基づき試作された。試作されたタイヤを用いて、耐オゾンクラック性能及び耐変色性能が評価された。各評価方法は、以下の通りである。
【0084】
<耐オゾンクラック性能>
試作タイヤが、4ヶ月間にわたる屋外での放置により、日光に暴露され、暴露後のタイヤの外観が試験者の目視によって確認され、サイドウォール部のオゾンクラックの発生度合いが評価された。評価は、実施例5を100とする評点で表され、数値が大きいほど良好である。
【0085】
<耐変色性能>
上記暴露後のタイヤの外観が試験者の目視によって確認され、サイドウォール部の変色度合いが評価された。評価は、実施例5を100とする評点で表され、数値が大きいほど良好である。
【0086】
テストの結果が表2に示される。
【表2】
【0087】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが、表3の仕様に基づき試作された。試作されたタイヤを用いて、除電性能、燃費性能及び外観性能が評価された。各評価方法は、以下の通りである。
【0088】
<除電性能>
JATMAに基づいて、タイヤの電気抵抗が測定された。即ち、台板に対して絶縁状態で取付けられた水平な鋼板の上に、内圧230kPaで15×5.5Jのリムに装着された空気入りタイヤのトレッド部を接地させ、リムと鋼板との間の電気抵抗が、抵抗測定器を用いて測定された。評価は、実施例10を100とする指数で表され、数値が大きいほど、除電性能が良好である。
【0089】
<燃費性能>
試作タイヤが転がり抵抗試験機に装着され、内圧:230kPa、荷重3.43kN、速度80km/hで走行させたときの転がり抵抗が測定された。結果は、実施例9を100とする指数で表され、数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、燃費性能に優れていることを示す。
【0090】
<外観性能>
表2のタイヤと同様に、耐オゾンクラック性能及び耐変色性能が評価され、それらを総合評価することにより、外観性能が評価された。評価は、実施例8を100とする評点で表され、数値が大きいほど良好である。
【0091】
テストの結果が表3に示される。
【表3】
【0092】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが、表4の仕様に基づき試作された。試作されたタイヤを用いて、バットレス領域の耐久性能及び外観性能が評価された。各評価方法は、以下の通りである。
【0093】
<バットレス領域の耐久性能>
試作タイヤが全輪に装着された上記テスト車両にテストドライバー1名が乗車し、テストコースを走行し、その後のバットレス領域の損傷が目視によって評価された。評価は、実施例12を100とする評点で表され、数値が大きいほど損傷が少なく良好である。
【0094】
<外観性能>
表2のタイヤと同様に、耐オゾンクラック性能及び耐変色性能が評価され、それらを総合評価することにより、外観性能が評価された。評価は、実施例12を100とする評点で表され、数値が大きいほど良好である。
【0095】
テストの結果が表4に示される。
【表4】
【0096】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが、表5の仕様に基づき試作された。試作されたタイヤを用いて、燃費性能及びタイヤの電気抵抗が評価された。各評価方法は、以下の通りである。
【0097】
<燃費性能>
試作タイヤが転がり抵抗試験機に装着され、内圧:230kPa、荷重3.43kN、速度80km/hで走行させたときの転がり抵抗が測定された。結果は、実施例18を100とする指数で表され、数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、燃費性能に優れていることを示す。
【0098】
<除電性能>
上記と同じ方法により、タイヤの電気抵抗が評価された。評価は、実施例18を100とする指数で表され、数値が大きいほど、除電性能が良好である。
【0099】
テストの結果が表5に示される。
【表5】
【0100】
図1の基本構造を有するサイズ:195/65R15の空気入りタイヤが、表6の仕様に基づき試作された。試作されたタイヤを用いて、燃費性能及び外観性能が評価された。各評価方法は、以下の通りである。
【0101】
<燃費性能>
上記と同じ方法により、転がり抵抗が測定された。結果は、実施例23を100とする指数で表され、数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、燃費性能に優れていることを示す。
【0102】
<外観性能>
上記と同じ方法により、外観性能が評価された。評価は、実施例23を100とする評点で表され、数値が大きいほど良好である。
【0103】
テストの結果が表6に示される。
【表6】
【符号の説明】
【0104】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
2G トレッドゴム
2o 外端
3 サイドウォール部
3G サイドウォールゴム
4 ビード部
4G クリンチゴム
4o 外端
6 カーカス
21 ベースゴム(導電性ゴム材)
23 導電端子ゴム(導電性ゴム材)
31 第1ゴム
31o 外端
32 第2ゴム
32o 外端
33 第3ゴム
33o 外端
35 タイヤ最大幅位置
BL ビードベースライン
H タイヤ断面高さ
L2 距離
D タイヤ半径方向距離
R リム
T1 厚さ
T2 厚さ
T3 厚さ
図1
図2
図3
図4