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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】固定具及び振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   G10K 9/122 20060101AFI20231017BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G10K9/122 150
H04R17/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019215653
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021087135
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】安部 瑠之輔
(72)【発明者】
【氏名】任 ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】成田 薫
(72)【発明者】
【氏名】安藤 兼一郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 佳生
(72)【発明者】
【氏名】武田 明丈
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 久光
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特表平05-502285(JP,A)
【文献】特開2005-086136(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125370(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/122-9/125
H04R 17/00-17/10
H05K 7/12-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一主面を有する圧電素体と、前記第一主面上に配置された一対の外部電極と、を有する圧電素子と、
前記第一主面上で前記一対の外部電極に接続された帯状の第一配線部材と、
互いに対向している第二主面及び第三主面を有し、前記第一配線部材に接続された板状の第二配線部材と、
前記第二配線部材が配置されたケースと、を備え、
前記第二配線部材には、前記第二配線部材を前記第二主面及び前記第三主面の対向方向に貫通している複数の貫通孔が設けられており、
前記ケースは、
前記第三主面と対向している第四主面を有し、前記第二配線部材が配置された配置部と、
前記配置部と一体的に構成され、前記第二配線部材を前記配置部に固定している複数の固定部と、を有し、
複数の前記固定部のそれぞれは、
前記第四主面から一方向に沿って突出し、前記貫通孔に挿通された軸部と、
前記軸部の前記一方向の一端部に設けられ、前記第主面に係止された頭部と、を有し、
前記頭部は、
前記軸部の前記一端部に接続されている第一頭部と、
前記第一頭部と接続されていると共に前記第一頭部から前記一方向において前記軸部の他端部側に延在しており、前記軸部の外周面と所定の間隔をあけて対向して配置されている第二頭部と、を有する、振動デバイス。
【請求項2】
複数の前記固定部のそれぞれは、前記頭部の前記第二頭部の形状が異なっている、請求項に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具及び振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素体及び一対の外部電極を有する圧電素子を備える振動デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような振動デバイスにおいて、圧電素体の一方の主面上に一対の外部電極を配置し、一方の主面上で一対の外部電極と配線部とを接続する構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-33774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成の振動デバイスでは、配線部がケースに固定される場合がある。配線部とケースとは、ケースに設けられている固定部(固定具)によって固定される。固定部は、ケースから突出している軸部と、軸部に接続されていると共に配線部に係止された頭部と、を有している。固定部は、配線部の貫通孔に軸部が挿通され、貫通孔よりも外形の大きい頭部によって配線部をケースに対して固定している。振動デバイスでは、圧電素子の振動によって、配線部が頭部を押し上げたりすることがある。これにより、軸部と頭部との接続部分(軸部と頭部とが成す隅部)を起点としてクラックが発生するおそれがある。クラックが発生によって頭部が破損すると、配線部を固定できなくなり得る。これにより、振動デバイスの信頼性が低下し得る。
【0005】
本発明の一側面は、信頼性の向上が図れる固定具及び振動デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る固定具は、一方向に沿って延在する軸部と、軸部の一方向の一端部に設けられている頭部と、を有し、一方向から見て、頭部の外形は、軸部の外形よりも大きく、頭部は、軸部の一端部に接続されている第一頭部と、第一頭部と接続されていると共に第一頭部から一方向において軸部の他端部側に延在しており、軸部の外周面と所定の間隔をあけて対向して配置されている第二頭部と、を有する。
【0007】
本発明の一側面に係る固定具では、頭部は、第一頭部及び第二頭部を有している。第二頭部は、第一頭部と接続されていると共に第一頭部から軸部の一方向の他端部側に延在しており、軸部の外周面と所定の間隔をあけて対向して配置されている。すなわち、第二頭部は、軸部から離間して設けられている。これにより、固定具では、第二頭部が配線部等によって押し上げられた場合であっても、第二頭部において外部からの応力を分散させることができる。そのため、固定具では、軸部と頭部との接続部分を起点としてクラックが発生することを抑制できる。したがって、固定具では、頭部が破損することを抑制できる。その結果、固定具では、信頼性の向上が図れる。
【0008】
一実施形態においては、第二頭部は、軸部の外周面の全周を囲うように配置されていてもよい。この構成では、第二頭部において、外部からの応力をより効果的に分散させることができる。
【0009】
一実施形態においては、第二頭部の先端部は、湾曲部分を有していてもよい。この構成では、配線部等に接触(当接)する第二頭部の先端部が角部を有していないため、第二頭部が接触し得る配線部等が損傷することを抑制できる。
【0010】
本発明の一側面に係る振動デバイスは、第一主面を有する圧電素体と、第一主面上に配置された一対の外部電極と、を有する圧電素子と、第一主面上で一対の外部電極に接続された帯状の第一配線部材と、互いに対向している第二主面及び第三主面を有し、第一配線部材に接続された板状の第二配線部材と、第二配線部材が配置されたケースと、を備え、第二配線部材には、第二配線部材を第二主面及び第三主面の対向方向に貫通している複数の貫通孔が設けられており、ケースは、第三主面と対向している第四主面を有し、第二配線部材が配置された配置部と、配置部と一体的に構成され、第二配線部材を配置部に固定している複数の固定部と、を有し、複数の固定部のそれぞれは、第四主面から一方向に沿って突出し、貫通孔に挿通された軸部と、軸部の一方向の一端部に設けられ、第三主面に係止された頭部と、を有し、頭部は、軸部の一端部に接続されている第一頭部と、第一頭部と接続されていると共に第一頭部から一方向において軸部の他端部側に延在しており、軸部の外周面と所定の間隔をあけて対向して配置されている第二頭部と、を有する。
【0011】
本発明の一側面に係る振動デバイスでは、ケースが複数の固定部を有している。固定部は、軸部及び頭部を有している。頭部は、第一頭部及び第二頭部を有している。第二頭部は、第一頭部と接続されていると共に第一頭部から軸部の一方向の他端部側に延在しており、軸部の外周面と所定の間隔をあけて対向して配置されている。すなわち、第二頭部は、軸部から離間して設けられている。これにより、振動デバイスでは、第二頭部が第二配線部材によって押し上げられた場合であっても、第二頭部において外部からの応力を分散させることができる。そのため、振動デバイスでは、軸部と頭部との接続部分を起点としてクラックが発生することを抑制できる。したがって、振動デバイスでは、頭部が破損することを抑制できる。その結果、振動デバイスでは、信頼性の向上が図れる。
【0012】
一実施形態においては、複数の固定部のそれぞれは、頭部の第二頭部の形状が異なっていてもよい。この構成では、各固定部の第二頭部と第二配線部材との接触の頻度が異なり得る。これにより、振動デバイスでは、各固定部の耐久性(寿命)が異なり得る。そのため、全ての固定部が同時に破損することを回避できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態に係る振動デバイスの断面図である。
図2図2は、図1の一部拡大図である。
図3図3は、振動部の斜視図である。
図4図4は、振動部の分解斜視図である。
図5図5は、振動部の上面図である。
図6図6は、圧電素子の分解斜視図である。
図7図7は、配線部材の下面図である。
図8図8は、図5のVIII-VIII線に沿っての断面図である。
図9図9は、図5のIX-IX線に沿っての断面図である。
図10図10は、図9の一部拡大図である。
図11図11(a)、図11(b)、図11(c)及び図11(d)は、固定部の断面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、第二配線部材を底板に固定する方法について説明するための断面図である。
図13図13は、従来の固定部の断面図である。
図14図14(a)及び図14(b)は、変形例に係る固定部の断面図である。
図15図15は、変形例に係る固定部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1図5に示される振動デバイス100は、例えば、スピーカー、又はブザーとして用いられる音響デバイスである。振動デバイス100は、振動部1と、振動部1に接続された配線部2と、振動部1が配置される音響空間を形成するケース3と、接合部材70と、接合部材71とを備えている。振動デバイス100は、図1に示されるように、被取付部材200の被取付面200aに取り付けられる。被取付部材200は、例えば、テレビ、スマートフォン等の電子機器である。
【0017】
振動部1は、圧電素子10と、振動部材12と、を有している。振動部材12は、例えば、Ni-Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼等金属からなる。振動部材12は、板状部材である。振動部材12は、圧電素子10が設けられた主面12aと、主面12aと厚さ方向で対向している主面12bと、を有している。主面12a,12bは、長方形状を呈している。つまり、厚さ方向から見て、振動部材12は、長方形状を呈している。ここで、長方形状には、例えば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。長方形状には、正方形状も含まれる。本実施形態では、主面12a,12bは、例えば、一辺の長さが21mm以上29mm以下の正方形状を呈している。振動部材12の厚さは、例えば、0.06mm以上0.15mm以下である。
【0018】
図6は、圧電素子の分解斜視図である。図6に示されるように、圧電素子10は、圧電素体11と、互いに極性が異なる一対の外部電極13,15と、を有している。圧電素体11は、直方体形状を呈している。直方体形状には、例えば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。圧電素体11は、互いに対向している主面(第一主面)11a及び主面11bを有している。主面11aには、一対の外部電極13,15が設けられている。主面11bは、主面12a(図2参照)と対向し、接合部材71によって主面12aの中央部に接合(接着)されている。
【0019】
主面11a,11bは、長方形状を呈している。以下では、主面11a,11bの長辺方向をX方向、主面11a,11bの短辺方向をY方向、主面11a,11bの対向方向をZ方向とする。主面11a,11bの長辺方向、短辺方向及び対向方向は、それぞれ主面12a,12bの長辺方向、短辺方向及び対向方向と一致している。圧電素子10のX方向での長さは、例えば、20mmである。圧電素子10のY方向での長さは、例えば、10mmである。圧電素子10のZ方向での長さは、例えば、0.45mmである。
【0020】
圧電素体11は、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されて構成されている。すなわち、圧電素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向がZ方向と一致している。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。
【0021】
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、例えば、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、例えば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0022】
圧電素子10は、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。各内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料には、例えば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。各内部電極19,21,23は、例えば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、各内部電極19,21,23の外形形状は、長方形状である。
【0023】
各内部電極19,21,23は、Z方向において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、Z方向に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、Z方向に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、各側面には露出していない。各内部電極19,21,23は、Z方向から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
【0024】
一対の外部電極13,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13と外部電極15とは、X方向に並んでいる。外部電極13と外部電極15とは、X方向で隣り合っている。一対の外部電極13,15は、主面11aの中央部に配置されている。一対の外部電極13,15は、Z方向から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、Z方向から見て、長方形状を呈している。各外部電極13,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、例えば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。各外部電極13,15は、例えば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0025】
外部電極13は、ビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、内部電極19の内側に位置している。内部電極19には、Z方向から見て、外部電極13に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体25は、内部電極19に形成されている開口内に位置している。Z方向から見て、接続導体25の全縁が、内部電極19で囲まれている。
【0026】
接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、Z方向で、外部電極13と対向している。ビア導体31は、外部電極13と接続されていると共に、接続導体25と接続されている。接続導体25は、ビア導体33を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、Z方向で、内部電極21と対向している。ビア導体33は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
【0027】
内部電極21は、ビア導体35を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、内部電極23と同じ層に位置している。接続導体27は、内部電極23の内側に位置している。内部電極23には、Z方向から見て、外部電極13(接続導体25)に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体27は、内部電極23に形成されている開口内に位置している。Z方向から見て、接続導体27の全縁が、内部電極23で囲まれている。
【0028】
外部電極15は、ビア導体37を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、Z方向で、外部電極15と対向している。ビア導体37は、外部電極15と接続されていると共に、内部電極19と接続されている。
【0029】
内部電極19は、ビア導体39を通して接続導体29と電気的に接続されている。接続導体29は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体29は、内部電極21の内側に位置している。内部電極21には、Z方向から見て、外部電極15に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体29は、内部電極21に形成されている開口内に位置している。Z方向から見て、接続導体29の全縁が、内部電極21で囲まれている。
【0030】
接続導体29は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体29とは、離間している。接続導体29は、Z方向で、内部電極19と対向している。ビア導体39は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体29と接続されている。接続導体29は、ビア導体41を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体29は、Z方向で、内部電極23と対向している。ビア導体41は、接続導体29と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
【0031】
外部電極13は、ビア導体31、接続導体25、及び、ビア導体33を通して、内部電極21と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37を通して、内部電極19と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37、内部電極19、ビア導体39、接続導体29、及び、ビア導体41を通して、内部電極23と電気的に接続されている。
【0032】
接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、導電性材料からなる。ビア導体31,33,35,37,39,41のそれぞれは、複数のビア導体からなるビア導体群であるが、単体のビア導体であってもよい。Z方向で互いに隣り合う圧電体層17a,17bに配置されたビア導体31,33は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。圧電体層17a,17bに配置されたビア導体37,39は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。Z方向で互いに隣り合う圧電体層17b,17cに配置されたビア導体33,35は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。圧電体層17b,17cに配置されたビア導体39,41は、Z方向から見て互いに離間し、重ならないように配置されている。
【0033】
導電性材料には、例えば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、例えば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27,29は、長方形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39,41は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0034】
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、主面11bをZ方向から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
【0035】
圧電素体11の各側面にも、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、圧電素体11の各側面をX方向及びY方向から見たとき、各側面の全体が露出している。本実施形態では、これらの各側面も、自然面である。
【0036】
圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な領域を構成する。本実施形態では、圧電的に活性な領域は、Z方向から見て、一対の外部電極13,15を囲むように位置している。Z方向から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を含んでいる。Z方向から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15とが位置している領域の外側にも、圧電的に活性な領域を含んでいる。
【0037】
図1図5に示されるように、配線部2は、主面11a上で一対の外部電極13,15に接続された帯状の第一配線部材50と、第一配線部材50に接続された板状の第二配線部材60と、接合部材72と、を有している。
【0038】
第一配線部材50は、主面11aに直交する直交方向(Z方向)から見て、主面11aの長辺に沿って延在して、主面11aの短辺と直交している。第一配線部材50は、X方向に延在し、Y方向と直交している。第一配線部材50は、第二配線部材60と電気的かつ物理的に接続される一端部50aと、圧電素子10と電気的かつ物理的に接続されている他端部50bと、を有している。第一配線部材50は、一端部50aと他端部50bとの間に幅(Y方向の長さ)が狭くされた幅狭部50cを有している。幅狭部50cは、一端部50aと隣り合って設けられている。第一配線部材50は、幅狭部50c以外の部分において一定の幅を有している。幅狭部50cの幅は、例えば、幅狭部50c以外の部分の幅の56%以上83%以下である。
【0039】
第一配線部材50の他端部50bは、接合部材70によって一対の外部電極13,15に接合されている。接合部材70は、一対の外部電極13,15と他端部50bとの間に配置され、一対の外部電極13,15と他端部50bとを接合している。接合部材70は、複数の導電性粒子(不図示)を含む樹脂層である。導電性粒子は、例えば、金属粒子、金めっき粒子である。接合部材70は、例えば熱硬化性エラストマーを含んでいる。接合部材70は、例えば、異方性導電ペースト又は異方性導電性膜が硬化することにより形成される。接合部材70は、一対の外部電極13,15と他端部50bとを電気的に接続している。Z方向から見て、接合部材70は、一対の外部電極13,15を一体的に覆っている。Z方向から見て、接合部材70は、他端部50bに設けられた後述の一対の端部53b,55b(図7参照)を一体的に覆っている。
【0040】
第一配線部材50は、接合部材71によって主面11a及び主面12aに接合されている。接合部材71は、導電性粒子を含んでおらず、電気絶縁性を有する樹脂層である。接合部材71は、例えば、反応型フェノール樹脂とニトリルゴムを主成分にしたホットメルト樹脂である。接合部材71は、接合部材70に含まれる樹脂材料と同じ樹脂材料を含んでいてもよい。接合部材71は、主面11aの一方の短辺に沿って配置されている。接合部材71は、第一配線部材50の幅方向(Y方向)の全体を主面11a及び主面12aに接合している。接合部材71は、接合部材70からX方向において離間している。
【0041】
第一配線部材50の一端部50aは、接合部材72によって第二配線部材60に接合されている。接合部材72は、後述の一対の導体層63,65(図4参照)と一端部50aとの間に配置され、一対の導体層63,65と一端部50aとを接合している。接合部材72は、複数の導電性粒子(不図示)を含む樹脂層である。導電性粒子は、例えば、金属粒子、金めっき粒子である。接合部材72は、例えば熱硬化性エラストマーを含んでいる。接合部材72は、例えば、異方性導電ペースト又は異方性導電性膜が硬化することにより形成される。接合部材72は、例えば、接合部材70と同じ材料で構成されている。接合部材72は、一対の導体層63,65と一端部50aとを電気的に接続している。Z方向から見て、接合部材70は、一対の導体層63,65を一体的に覆っている。Z方向から見て、接合部材70は、他端部50bに設けられた後述の一対の端部53a,55aを一体的に覆っている。
【0042】
接合部材70,71,72は、厚さ方向(Z方向)からみて、いずれも長方形状を呈している。接合部材70の長手方向は、後述の一対の端部53b,55b(図7参照)の並ぶ方向(X方向)と一致している。接合部材71の長手方向は、主面11aの短辺方向(Y方向)と一致している。接合部材72の長手方向は、後述の一対の導体層63,65(図4参照)の並ぶ方向(Y方向)と一致している。接合部材70の長手方向と、接合部材71,72の長手方向とは互いに交差(直交)している。
【0043】
図1及び図7に示されるように、第一配線部材50は、ベース51、一対の導体層53,55、カバー57、及び補強部59を有している。第一配線部材50は、可撓性を有し、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。
【0044】
ベース51は、帯状を呈し、互いに対向している一対の主面51a,51bを有している。ベース51は、電気絶縁性を有している。ベース51は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。ベース51の厚さは、例えば100μmである。
【0045】
各導体層53,55は、ベース51の主面51a上に配置されている。各導体層53,55は、接着層(不図示)によって、主面51aに接合(接着)されている。各導体層53,55は、例えば、Cuからなる。各導体層53,55は、例えば、Cu層上にNiメッキ層及びAuメッキ層がこの順に設けられた構成であってもよい。導体層53と導体層55とは、互いに離間して配置されている。各導体層53,55の厚さは、例えば20μmである。
【0046】
導体層53は、第二配線部材60に接続された端部53aと、外部電極13に接続された端部53bと、端部53aと端部53bとを接続している接続部53cと、を含んでいる。接続部53cは、第一配線部材50が延在している方向(X方向)に延在している。端部53aは、接続部53cの一端部と、第一配線部材50が延在している方向において隣り合っている。端部53bは、接続部53cの他端部と、第一配線部材50の幅方向(Y方向)において隣り合っている。
【0047】
導体層55は、第二配線部材60に接続された端部55aと、外部電極15に接続された端部55bと、端部55aと端部55bとを接続している接続部55cと、を含んでいる。接続部55cは、第一配線部材50が延在している方向(X方向)に延在している。端部55aは、接続部55cの一端部と、第一配線部材50が延在している方向において隣り合っている。端部55bは、接続部55cの他端部と、第一配線部材50の幅方向(Y方向)において隣り合っている。
【0048】
端部53aと端部55aとは、第一配線部材50の幅方向において互いに離間して配置されている。端部53bと端部55bとは、第一配線部材50の延在している方向において互いに離間して配置されている。接続部53cと接続部55cとは、互いに平行、かつ、第一配線部材50の幅方向において互いに離間して配置されている。
【0049】
端部53bと外部電極13との間には、接合部材70が存在している。端部53bと外部電極13とは、接合部材70に含まれる導電性粒子を通じて電気的に接続されている。端部55bと外部電極15との間には、接合部材70が存在している。端部55bと外部電極15とは、接合部材70に含まれる導電性粒子を通じて電気的に接続されている。
【0050】
カバー57は、主面51a上に配置されている。カバー57は、各導体層53,55と、主面51aとを覆っている。カバー57は、各導体層53,55と、主面51aのうち、各導体層53,55から露出している領域とに接着層(不図示)によって接合(接着)されている。カバー57は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。カバー57の厚さは、例えば25μmである。導体層53の端部53a,53bと、導体層55の端部55a,55bと、主面51aにおける各端部53a,53b,55a,55bの近傍領域とは、カバー57から露出している。
【0051】
補強部59は、ベース51の主面51b上に配置されている。補強部59は、接着層(不図示)によって、主面51bに接合(接着)されている。補強部59は、少なくとも幅狭部50cに設けられている。補強部59は、Z方向から見て、第一配線部材50のうち、第二配線部材60と重なる部分、及び、第二配線部材60と重ならない部分の両方にまたがって設けられている。補強部59は、例えば、ポリイミドからなる樹脂層である。補強部59の厚さは、例えば200μmである。
【0052】
図4及び図8に示されるように、第二配線部材60は、基板61と、一対の導体層63,65と、一対のレジスト層67,69と、を有している。第二配線部材60は、矩形板状を呈し、厚さ方向(Z方向)で互いに対向している主面60a(第二主面)及び主面60b(第三主面)を有している。主面60aは、後述の主面61aと、一対の導体層63,65の表面と、レジスト層67の表面と、を含んでいる。主面60bは、レジスト層69の表面を含んでいる。
【0053】
第二配線部材60には、第二配線部材60を主面60a及び主面60bの対向方向(Z方向)に貫通している複数の貫通孔60cが設けられている。貫通孔60cは、断面円形状を呈している。第二配線部材60は、第一配線部材50よりも硬く、可撓性を有していない。第二配線部材60は、例えば、プリント基板(PCB:Print Circuit Board)である。第二配線部材60は、ケース3よりも硬い。
【0054】
基板61は、矩形板状を呈している。基板61は、例えば、ガラスからなり、電気絶縁性を有している。基板61は、互いに対向している矩形状の一対の主面61a,61bを有している。一対の主面61a,61bの長辺方向(X方向)の長さは、例えば17mmである。一対の主面61a,61bの短辺方向(Y方向)の長さは、例えば10.9mmである。基板61の厚さ(基板61のZ方向の長さ)は、例えば0.8mmである。
【0055】
各導体層63,65は、主面61a上に設けられている。各導体層63,65は、例えば、Cuからなる。各導体層63,65は、例えば、Cu層上にNiメッキ層及びAuメッキ層がこの順に設けられた構成であってもよい。導体層63と導体層65とは、互いに離間して配置されている。各導体層63,65の厚さは、例えば20μmである。レジスト層67は、基板61の主面61a及び各導体層63,65を覆っている。レジスト層67の厚さは、例えば1μmである。レジスト層69は、基板61の主面61bを覆っている。レジスト層69の厚さは、例えば1μmである。
【0056】
導体層63は、レジスト層67から露出した端部63aを有している。端部63aと端部53aとの間には接合部材72が存在している。端部63aは、端部53aと接合部材72により接合されている。導体層63は、接合部材72に含まれる導電性粒子を通じて端部53aと電気的に接続されている。導体層65は、レジスト層67から露出した端部65aを有している。端部65aと端部55aとの間には接合部材72が存在している。端部65aは、端部55aと接合部材72により接合されている。導体層65は、接合部材72に含まれる導電性粒子を通じて端部55aと電気的に接続されている。図示を省略するが、第二配線部材60は、基板61の下面に設けられ、各導体層63,65とスルーホール導体で接続された一対の導体層を更に有している。
【0057】
図1図5に示されるケース3は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、成型樹脂等の樹脂材料からなる。ケース3は、振動部1が収容される第一収容部3a、及び配線部2が収容される第二収容部3bを有している。ケース3には、振動部1及び配線部2が配置される。
【0058】
第一収容部3aは、例えば、上面(被取付部材200側の面)が開放された直方体形状の箱部材である。第一収容部3aは、底板4と、一対の側板5と、一対の側板6と、支持部7と、を有している。
【0059】
底板4は、振動部材12の主面12bと対向している主面4a(第三主面)を有している。主面4aは、例えば、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。ここで、長方形状には、例えば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。長方形状には、正方形状も含まれる。主面4aの長辺方向はX方向、主面4aの短辺方向はY方向、底板4の厚さ方向はZ方向とそれぞれ一致している。主面4aは、主面12a,12bよりも大きく、Z方向から見て、主面4aの外縁は、主面12a,12bから離間して主面12a,12bの外側に位置している。底板4の厚さ(Z方向での長さ)は、例えば、1.2mm以上1.4mm以下である。
【0060】
本実施形態では、主面4aは、例えば、主面12a,12bの形状と相似形状であり、一辺の長さが30mm以上33mm以下の正方形状を呈している。なお、主面4aは、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状であるか否かの点で主面12a,12bと異なるが、相似形状は、このような場合も含むとする。つまり、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状であるかを考慮せず、主面4aの概形と、主面12a,12bの概形とが相似形状であれば、主面4aは、主面12a,12bの形状と相似形状であるとする。
【0061】
一対の側板5は、底板4のX方向の両端に配置され、X方向で互いに対向している。側板5は、厚さ方向(X方向)から見て、長方形状を呈している。一方の側板5には、一対の貫通孔5aがY方向に並んで設けられている。貫通孔5aは、長方形状を呈し、一方の側板5をX方向に貫通している。一対の貫通孔5aは、互いに同形状を呈している。振動デバイス100で発生した音は、主に貫通孔5aを通じてケース3の外部に伝わる。他方の側板5は、第二収容部3bに接続されている。他方の側板5の上端(底板4と反対側の端)には、切り欠き状の凹部5bが形成されている。
【0062】
一対の側板6は、底板4のY方向の両端に配置され、Y方向で互いに対向している。側板6は、一対の側板5を互いに接続している。側板6は、厚さ方向(Y方向)から見て、長方形状を呈している。一対の側板6は、互いに同形状を呈している。
【0063】
支持部7は、底板4の主面4aから突出し、振動部材12の主面12bの周縁部12cを支持している。支持部7の上面は、主面12bの周縁部12cと接合されている。支持部7は、矩形枠状を呈する凸部(突条部)である。支持部7の幅は、例えば、3mmである。支持部7は、四つの辺部7aを有し、主面12bの四辺を支持している。四つの辺部7aのうち、Y方向で互いに対向する一対の辺部7aの上面には、それぞれ長さ方向(X方向)の中央に連通部7bが設けられている。連通部7bは、辺部7aを幅方向(Y方向)に横切る切り欠き状の凹部である。連通部7bは、辺部7aの幅全体に設けられている。辺部7aの長さ方向における連通部7bの長さは、例えば、辺部7aの長さよりも短く、2.5mm以上3.5mm以下である。
【0064】
主面12b及び主面4aの対向方向(Z方向)から見て、支持部7は、圧電素子10から離間している。Z方向から見て、圧電素子10は、支持部7の内側の領域のX方向及びY方向の中央に配置されている。つまり、X方向における圧電素子10の一端と支持部7の一端との間の距離は、X方向における圧電素子10の他端と支持部7の他端との間の距離と等しい。Y方向における圧電素子10の一端と支持部7の一端との間の距離は、Y方向における圧電素子10の他端と支持部7の他端との間の距離と等しい。このような圧電素子10の配置によれば、圧電素子10をバランスよく振動させることができる。
【0065】
第二収容部3bは、他方の側板5に取り付けられている。第二収容部3bは、断面U字状の溝形状を有している。第二収容部3bの内部空間は、凹部5bを介して第一収容部3aの内部空間と連通している。第二収容部3bは、配線部2が配置された底板8(配置部)と、一対の側板9と、を有している。
【0066】
図4図5及び図9に示されるように、底板8は、第二配線部材60の主面60bとZ方向で対向している主面8a(第四主面)を有している。主面60bと主面8aとの間には、隙間Gが形成されている。主面8aには、第二配線部材60の厚さに相当する段差が設けられている。これにより、第一配線部材50のうち、第二配線部材60上に配置された部分と、それ以外の部分との間には段差がない。よって、第一配線部材50は湾曲せず直線状に配置されている。底板8は、厚さ方向(Z方向)から見て、長方形状を呈している。一対の側板9は、底板8のY方向の両端に配置され、Y方向で互いに対向している。一対の側板9は、厚さ方向(Y方向)から見て、長方形状を呈している。
【0067】
第二収容部3bは、底板8と一体的に構成され、第二配線部材60を底板8に固定している複数(ここでは四つ)の固定部(固定具)8b,8c,8d,8eを有している。固定部8b,8c,8d,8eのそれぞれは、軸部80と、頭部81と、を有している。軸部80及び頭部81は、一体に形成されている。
【0068】
図10に示されるように、軸部80は、一方向に沿って延在している。軸部80は、主面8aから突出し(主面8aに立設され)ている。軸部80は、延在方向の他端部が主面8aに接続されている。軸部80は、円柱状であり、断面円形を呈している。軸部80は、対応する貫通孔60cに挿通されている。貫通孔60cの内径d1は、軸部80の外径d2と同等であり、例えば、1.55mm以上1.65mm以下である。軸部80の外周面80aと貫通孔10cの内周面とは、互いに面接触している。ここでは、軸部80の外周面80aの全体と貫通孔10cの内周面の全体とは、互いに面接触している。
【0069】
頭部81は、軸部80と接続され、第二配線部材60の主面60aに係止されている。頭部81は、円板形状を呈している。頭部81の外径d3は、貫通孔60cの内径d1よりも大きい。頭部81は、第一頭部81aと、第二頭部81bと、を有している。第一頭部81a及び第二頭部81bは、一体に形成されている。第一頭部81aは、軸部80の一端部に接続されている。第一頭部81aは、円板形状を呈している。第一頭部81aの上面は、例えば、平坦面である。
【0070】
第二頭部81bは、第一頭部81aと接続されている。第二頭部81bは、第一頭部81aにおいて、軸部80よりも径方向に張り出した部分の下面に接続されている。第二頭部81bは、第一頭部81aから一方向において軸部80の他端部側に延在している。すなわち、第二頭部81bは、第一頭部81aから第二配線部材60(主面8a)側に向かって延在している。第二頭部81bは、軸部80の外周面80aと所定の間隔をあけて対向して配置されている。すなわち、第二頭部81bの内面81bsは、軸部80の外周面80aと対向して配置されている。第二頭部81bと軸部80との間には、空隙(間隙)が形成されている。
【0071】
第二頭部81bは、軸部80の外周面80aの全周を囲うように配置されている。すなわち、第二頭部81bは、円環状を呈している。第二頭部81bの先端部(第一頭部81aに接続されている端部とは反対側の端部)は、湾曲部分を有している。すなわち、第二頭部81bでは、第二配線部材60の主面60bと接触し得る端部に角部が形成されていない。
【0072】
本実施形態では、複数の固定部8b,8c,8d,8eのそれぞれは、頭部81の第二頭部81bの形状が異なっている。図11(a)に示されるように、固定部8cでは、頭部81の第二頭部81bは、第二配線部材60の主面60aと当接していない。図11(b)に示されるように、固定部8bでは、頭部81の第二頭部81bは、第二配線部材60の主面60aと当接している。図11(c)に示されるように、固定部8eでは、頭部81の第二頭部81bの一部は、第二配線部材60の主面60aと当接し、第二頭部81bの一部は、第二配線部材60の主面60aと当接していない。図11(d)に示されるように、固定部8dでは、頭部81の第二頭部81bの一部は、第二配線部材60の主面60aと当接し、第二頭部81bの一部は、第二配線部材60の主面60aと当接していない。
【0073】
続いて、配線部2を底板8に固定する方法について説明する。図12(a)に示されるように、配線部2が固定される前の固定部8b0は、配線部2が固定された後の固定部8bと異なる形状を有している。配線部2が固定される前の軸部800は、例えば、貫通孔60cの内径d1よりも大きい。配線部2が固定される前の頭部810は、軸部800から遠ざかるにしたがって先窄まりとなるテーパ状に形成されている。頭部810の先端部の外径は、貫通孔60cの内径d1よりも小さい。
【0074】
配線部2を底板8に固定する際、まず、第二配線部材60の貫通孔60cが対応する固定部8b0上に配置されるよう、配線部2を底板8に対して位置合わせして、軸部800に貫通孔60cを挿通させる。続いて、図12(b)に示されるように、固定部8b0をプレス板Pにより主面8aに向かって押圧する。プレス板Pは、加熱されている。これにより、樹脂から成る頭部810は、プレス板Pにより溶融さて潰され、頭部81となる。
【0075】
ケース3は、図2に示されるように、被取付部材200の被取付面200aに取りけられ、被取付面200aのとの間に振動部1が配置される音響空間Sを形成する。音響空間Sは、連通部7bを通じて互いに連通する第一空間S1及び第二空間S2を有する。第一空間S1は、被取付面200aと主面12aとの間に形成される。第二空間S2は、ケース3と主面12bとの間に形成される。第一空間S1は、例えば、第二空間S2よりも広い。
【0076】
圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sは、可聴域(例えば、2kHz以上20kHz以下の範囲)において互いに異なる共振周波数(共振点)をそれぞれ有するように構成されている。例えば、圧電素子10及び振動部材12の共振周波数は、圧電素子10及び振動部材12の外形を小さくすると高くなり、圧電素子10及び振動部材12の外形を大きくすると低くなる。圧電素子10及び振動部材12の共振周波数は、例えば、圧電素子10及び振動部材12を構成する材料、又は、圧電素子10及び振動部材12の形状等によっても調整される。音響空間Sの共振周波数は、例えば、音響空間Sの大きさや形状等を調整することにより調整される。音響空間Sの共振周波数は、音響空間Sを画定するケース3や被取付部材200等の部材を構成する材料によっても調整される。なお、共振周波数は、音圧が共振によって最大となる周波数である。
【0077】
圧電素子10は、例えば、2000Hz以上3000Hz以下の範囲に共振周波数を有するように構成されている。音響空間Sは、例えば、3000Hz以上6000Hz以下の範囲に共振周波数を有するように構成されている。振動部材12は、例えば、13000Hz以上17000Hz以下の範囲に共振周波数を有するように構成されている。圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sは、可聴域において互いに異なる範囲(互いに重ならない範囲)に共振周波数を有する。圧電素子10、振動部材12、及び音響空間Sの共振周波数は、少なくとも互いに500Hz以上の差を有して分散するように調整されている。圧電素子10の共振周波数と振動部材12の共振周波数との差は、例えば、10000Hz以上である。振動部材12の共振周波数と音響空間Sの共振周波数との差は、例えば、7000Hz以上である。
【0078】
図13に示されるように、従来の固定部8Pは、軸部80Pと、頭部81Pと、を有している。頭部81Pは、平板形状を呈している。固定部8Pでは、圧電素子の振動によって、第二配線部材60が頭部81Pを押し上げたりすることがある。これにより、軸部80Pと頭部81Pとの接続部分(軸部80の外周面80Paと頭部81Pの下面とが成す隅部)を起点としてクラックが発生するおそれがある。クラックが発生によって頭部81Pが破損すると、第二配線部材60を固定できなくなり得る。これにより、振動デバイスの信頼性が低下し得る。
【0079】
本実施形態に係る振動デバイス100では、ケース3が複数の固定部8b,8c,8d,8eを有している。固定部8b,8c,8d,8eのそれぞれは、軸部80及び頭部81を有している。頭部81は、第一頭部81a及び第二頭部81bを有している。第二頭部81bは、第一頭部81aと接続されていると共に第一頭部81aから軸部80の一方向の他端部側に延在しており、軸部80の外周面80aと所定の間隔をあけて対向して配置されている。すなわち、第二頭部81bは、軸部80から離間して設けられている。これにより、振動デバイス100では、第二頭部81bが第二配線部材60によって押し上げられた場合であっても、第二頭部81bにおいて外部からの応力を分散させることができる。そのため、振動デバイス100では、軸部80と頭部81との接続部分を起点としてクラックが発生することを抑制できる。したがって、振動デバイス100では、頭部81が破損することを抑制できる。その結果、振動デバイス100では、信頼性の向上が図れる。
【0080】
本実施形態では、固定部8b,8c,8d,8eは、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、成型樹脂等の樹脂材料からなる。そのため、第二頭部81bは、柔軟性を有しているため、外力が加えられると撓んだりする。これにより、振動デバイス100では、第二頭部81bが第二配線部材60によって押し上げられた場合、第二頭部81bにおいて外部からの応力を効果的に分散させることができる。
【0081】
本実施形態に係る振動デバイス100では、第二頭部81bは、軸部80の外周面80aの全周を囲うように配置されている。この構成では、第二頭部81bにおいて、外部からの応力をより効果的に分散させることができる。
【0082】
本実施形態に係る振動デバイス100では、第二頭部81bの先端部は、湾曲部分を有している。この構成では、第二配線部材60に接触(当接)する第二頭部81bの先端部が角部を有していないため、第二頭部81bが接触し得る第二配線部材60(主面60a)が損傷することを抑制できる。
【0083】
本実施形態に係る振動デバイス100では、複数の固定部8b,8c,8d,8eのそれぞれは、頭部81の第二頭部81bの形状が異なっている。この構成では、固定部8b,8c,8d,8eのそれぞれの第二頭部81bと第二配線部材60との接触の頻度が異なり得る。これにより、振動デバイス100では、固定部8b,8c,8d,8eの耐久性(寿命)が異なり得る。そのため、全ての固定部8b,8c,8d,8eが同時に破損することを回避できる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0085】
上記実施形態では、固定部8b,8c,8d,8eの頭部81の第二頭部81bの上面が平坦面である形態を一例に説明した。頭部81の形状はこれに限定されない。図14(a)に示されるように、固定部8Abは、軸部80と、頭部81Aと、を有している。頭部81Aは、第一頭部81Aaと、第二頭部81Abと、を有している。第一頭部81Aaの上面は、例えば、湾曲面である。第一頭部81Aaは、半球形状を呈している。第一頭部81Aaは、いわゆるシングルマウント形状を呈している。第二頭部81Abは、軸部80の外周面80aと所定の間隔をあけて対向して配置されている。すなわち、第二頭部81Abの内面81Absは、軸部80の外周面80aと対向して配置されている。
【0086】
図14(b)に示されるように、固定部8Bbは、軸部80と、頭部81BCと、を有している。頭部81Bは、第一頭部81Baと、第二頭部81Bbと、を有している。第一頭部81Baの上面は、例えば、湾曲面である。第一頭部81Baは、中央部が窪んだ半球形状を呈している。第一頭部81Baは、いわゆるダブルマウント形状を呈している。第二頭部81Bbは、軸部80の外周面80aと所定の間隔をあけて対向して配置されている。すなわち、第二頭部81Bbの内面81Bbsは、軸部80の外周面80aと対向して配置されている。
【0087】
上記実施形態では、固定部8b,8c,8d,8eの軸部80と頭部81とが一体に形成されている形態を一例に説明した。しかし、図15に示されるように、固定部8Cbは、軸部80と頭部81Cとは、別体で設けられていてもよい。頭部81Cは、第一頭部81Aaと、第二頭部81Abと、を有している。頭部81Cは、ボルト82によって、軸部80に固定されている。これにより、第二頭部81Cbは、軸部80の外周面80aと所定の間隔をあけて対向して配置されている。すなわち、第二頭部81Cbの内面81Cbsは、軸部80の外周面80aと対向して配置されている。
【0088】
上記実施形態では、頭部81の第二頭部81bが、軸部80の外周面80aの全周を囲うように配置されている形態を一例に説明した。しかし、第二頭部81bは、軸部80の外周面80aの一部を囲うように配置されていてもよい。
【0089】
上記実施形態では、図10に示されるように、軸部80の外周面80aと第二頭部81bとが所定の間隔をあけて対向して配置されている形態を一例に説明した。すなわち、軸部80と第二頭部81bとの間に空間が形成されている形態を一例に説明した。しかし、所定の間隔を開けて対向して配置されているとは、軸部と頭部(第二頭部)との間に少なくとも間隙が存在していればよい。ここで言う間隙は、軸部と第二頭部との間に存在して軸部と第二頭部とを区画するものであればよい。そのため、間隙は、例えば、ウェルドラインのように線状であってもよい。固定具(固定部)では、このような間隙を設けることにより、万が一軸部と頭部との接続部分を起点としてクラックが発生したとしても、そのクラックの延伸を抑制することができる。また、固定具では、上記間隙を設けることにより、頭部が完全に破損する前に当該構造が顕著になり、完全に破損することを抑制できる。
【0090】
上記実施形態では、複数の固定部8b,8c,8d,8eのそれぞれが、頭部81の第二頭部81bの形状が異なっている形態を一例に説明した。しかし、複数の固定部8b,8c,8d,8eのそれぞれの頭部81の第二頭部81bの形状が同じであってもよい。また、複数の固定部8b,8c,8d,8eのうち、2つの固定部において、頭部81の第二頭部81bの形状が異なっていてもよい。
【0091】
上記実施形態では、軸部80が円柱状であり、頭部81が円板形状である形態を一例に説明した。しかし、軸部は、角柱状であってもよい。また、頭部は、矩形板状を呈していてもよい。
【0092】
上記実施形態では、固定具(固定部8b,8c,8d,8e)が振動デバイス100に適用されている形態を一例に説明した。しかし、固定具は、他の装置(構造)に適用されてもよい。また、固定具は、単体で用いられてもよい。
【0093】
上記実施形態では、図10において、頭部81の第二頭部81bの厚みを均等に示している。しかし、第二頭部81bは、厚みが均等でなくてもよい。すなわち、第二頭部81bは、肉厚な部分及び肉薄な部分を有していてもよい。
【符号の説明】
【0094】
3…ケース、8…底板(配置部)、8a…主面(第四主面)、8b…固定部(固定具)、10…圧電素子、11…圧電素体、11a…主面、13,15…外部電極、50…第一配線部材、50c…幅狭部、59…補強部、60…第二配線部材、60a…主面(第二主面)、60b…主面(第三主面)、60c…貫通孔、80…軸部、80a…外周面、81…頭部、81a…第一頭部、81b…第二頭部、100…振動デバイス。
図1
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