IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コイル構造 図1
  • 特許-コイル構造 図2
  • 特許-コイル構造 図3
  • 特許-コイル構造 図4
  • 特許-コイル構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】コイル構造
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/32 20060101AFI20231017BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20231017BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20231017BHJP
   H01F 27/30 20060101ALI20231017BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20231017BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20231017BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01F27/32 140
H01F37/00 T
H01F37/00 H
H01F27/28 176
H01F27/30 160
H01F37/00 S
H01F17/04 N
H01F17/04 F
H01F27/28 104
H01F37/00 D
H01F27/26 130W
H01F27/24 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019232038
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021100079
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】李 戈
(72)【発明者】
【氏名】澤山 純平
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-038941(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0115564(US,A1)
【文献】特開2019-047105(JP,A)
【文献】特開2018-148020(JP,A)
【文献】特開2011-182500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0364245(US,A1)
【文献】実開平02-035413(JP,U)
【文献】特開2015-228436(JP,A)
【文献】実開平05-079910(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/26
H01F 37/00
H01F 27/32
H01F 27/28
H01F 27/30
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル導体を有する基板と、
前記基板の一方の主面側に配置される第1のコアと、
前記基板の他方の主面側に配置される第2のコアと、
絶縁性の材料によって形成される絶縁部材と、を備え、
前記第1のコアは、
前記基板の主面に沿った第1の方向に延びる本体部と、
前記本体部から前記基板を貫通して前記第2のコアへ延びる第1の足部と、
前記第1の足部との間で前記第1の方向に前記コイル導体を挟む位置にて、前記本体部から前記基板を貫通して前記第2のコアへ延びる第2の足部と、を有し、
前記絶縁部材は、
少なくとも前記第1の足部と前記第2のコアとの間にそれぞれ介在する底壁部と、
前記第1の足部及び前記第2の足部の少なくとも何れかの足部に沿って延びると共に、前記何れかの足部と前記コイル導体との間に介在する側壁部と、を有し、
前記第2の足部と前記第2のコアとの間の隙間には、放熱材が配置されている、コイル構造。
【請求項2】
一対の前記第1の足部が、前記第1の方向における前記本体部の両端側から延びており、
前記第2の足部は、一対の前記第1の足部間において、前記コイル導体の内周側に配置される、請求項1に記載のコイル構造。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記第1の足部の前記第1の方向における内側の側面に沿って延びると共に、前記第1の足部と前記コイル導体との間に介在する第1の側壁部を有する、請求項1又は2に記載のコイル構造。
【請求項4】
前記絶縁部材は、前記第2の足部の前記第1の方向の側面に沿って延びると共に、前記第2の足部と前記コイル導体との間に介在する第2の側壁部を有する、請求項1~3の何れか一項に記載のコイル構造。
【請求項5】
前記基板の前記主面に沿った方向であって、前記第1の方向と交差する方向を第2の方向とし、
前記絶縁部材は、前記第2の足部の前記第2の方向の側面に沿って延びると共に、前記第2の足部と前記コイル導体との間に介在する第3の側壁部を有する、請求項1~4の何れか一項に記載のコイル構造。
【請求項6】
前記絶縁部材は、前記第1の足部と前記第2の足部との間で、前記本体部に沿って前記第1の方向に延びる上壁部を有する、請求項1~5の何れか一項に記載のコイル構造。
【請求項7】
前記絶縁部材は、前記第1の足部の前記第1の方向における外側の側面に沿って延びる第4の側壁部を有する、請求項1~6の何れか一項に記載のコイル構造。
【請求項8】
前記絶縁部材は、前記第2の足部の前記第1の方向の側面に沿って延びると共に、前記第2の足部と前記コイル導体との間に介在する第2の側壁部を有し、
前記第2の側壁部は、前記第2の足部の下面よりも前記第2のコア側まで延びる、請求項1~7の何れか一項に記載のコイル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイル構造として、特許文献1に記載されたものが知られている。このコイル構造は、コイル導体を有する基板と、基板の一方側に配置される第1のコアと、基板の他方側に配置される第2のコアと、を備える。第1のコアはE型のコアであり、第2のコアはI型のコアである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/193504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のようなコイル構造においては、小型化を図ると共に、性能を向上させることが求められていた。
【0005】
本発明は、小型化を図ると共に、性能を向上させることができるコイル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコイル構造は、コイル導体を有する基板と、基板の一方の主面側に配置される第1のコアと、基板の他方の主面側に配置される第2のコアと、絶縁性の材料によって形成される絶縁部材と、を備え、第1のコアは、基板の主面に沿った第1の方向に延びる本体部と、本体部から基板を貫通して第2のコアへ延びる第1の足部と、第1の足部との間で第1の方向にコイル導体を挟む位置にて、本体部から基板を貫通して第2のコアへ延びる第2の足部と、を有し、絶縁部材は、少なくとも第1の足部と第2のコアとの間にそれぞれ介在する底壁部と、第1の足部及び第2の足部の少なくとも何れかの足部に沿って延びると共に、何れかの足部とコイル導体との間に介在する側壁部と、を有する。
【0007】
本発明に係るコイル構造では、絶縁部材が、第1の足部と第2のコアとの間にそれぞれ介在する底壁部を有する。これにより、絶縁部材は、第1のコアと第2のコアとのL値を調整することができる。ここで、絶縁部材は、第1の足部及び第2の足部の少なくとも何れかの足部に沿って延びると共に、何れかの足部とコイル導体との間に介在する側壁部を有する。この場合、側壁部が、第1のコアに対する位置決め部として機能することができる。従って、第1のコアの第1の足部と第2のコアとの間のギャップを形成するときには、絶縁部材の固定、位置決め、確認を容易に行うことができる。このように、工程を容易に行うことができるため、部材間のずれなどを防止し、コイル構造の性能を向上することができる。また、側壁部は、何れかの足部とコイル導体との間に介在する。この場合、足部とコイル導体との間の絶縁距離を確保する必要がある場合に、足部とコイル導体との間に絶縁部材が配置されるため、足部とコイル導体との間の距離を短くすることができる。これにより、コイル構造の小型化を図ることができる。
【0008】
一対の第1の足部が、第1の方向における本体部の両端側から延びており、第2の足部は、一対の第1の足部間において、コイル導体の内周側に配置されてよい。この場合、EIコアに対して本発明のコイル構造を適用することができる。
【0009】
絶縁部材は、第1の足部の第1の方向における内側の側面に沿って延びると共に、第1の足部とコイル導体との間に介在する第1の側壁部を有してよい。これにより、第1の足部とコイル導体との間の第1の方向における距離を短くできる。
【0010】
絶縁部材は、第2の足部の第1の方向の側面に沿って延びると共に、第2の足部とコイル導体との間に介在する第2の側壁部を有してよい。これにより、第2の足部とコイル導体との間の第1の方向における距離を短くできる。
【0011】
基板の主面に沿った方向であって、第1の方向と交差する方向を第2の方向とし、絶縁部材は、第2の足部の第2の方向の側面に沿って延びると共に、第2の足部とコイル導体との間に介在する第3の側壁部を有してよい。この場合、第2の足部とコイル導体との間の第2の方向における距離を短くできる。
【0012】
絶縁部材は、第1の足部と第2の足部との間で、本体部に沿って第1の方向に延びる上壁部を有してよい。この場合、本体部とコイル導体との間の距離を短くできる。
【0013】
絶縁部材は、第1の足部の第1の方向における外側の側面に沿って延びる第4の側壁部を有してよい。この場合、第1の足部の第1の方向における外側に他の導体が存在している場合に、当該導体と第1の足部との間の第1の方向における距離を短くできる。
【0014】
第2の足部と第2のコアとの間の隙間には、放熱材が配置されていてよい。これにより、熱が溜まりやすい第2の足部と第2のコアとの間に放熱経路を形成することができる。
【0015】
絶縁部材は、第2の足部の第1の方向の側面に沿って延びると共に、第2の足部とコイル導体との間に介在する第2の側壁部を有し、第2の側壁部は、第2の足部の下面よりも第2のコア側まで延びてよい。この場合、第2の側壁部の第2のコア側の端部付近が、放熱材を堰き止めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型化を図ると共に、性能を向上させることができるコイル構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るコイル構造を示す斜視図である。
図2】コイル構造の展開斜視図である。
図3図2に示す第1のコア及び絶縁部材の拡大斜視図である。
図4図1のIV-IV線に沿った拡大断面図である。
図5】比較例に係るコイル構造の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図4を参照して、本発明の実施形態に係るコイル構造について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るコイル構造100を示す斜視図である。図2は、コイル構造100の展開斜視図である。図3は、図2に示す第1のコア1及び絶縁部材3の拡大斜視図である。図4は、図1のIV-IV線に沿った拡大断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、コイル構造100は、基板50と、第1のコア1と、第2のコア2と、絶縁部材3と、を備える。第1のコア1と第2のコア2とが対向する対向方向をZ軸方向とする。なお、第1のコア1側をZ軸方向における正側とする。Z軸方向に垂直な方向、すなわち基板50に沿った方向をX軸方向とし、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向をY軸方向とする。なお、本実施形態では、X軸方向が請求項における「第1の方向」に対応するものとし、Y軸方向が請求項における「第2の方向」に対応するものとする。しかし、当該対応関係に限定されない。
【0020】
基板50は、XY平面に広がる板状の部材である。基板50は、Z軸方向の正側の主面50aと、Z軸方向の負側の主面50bと、を有する。基板50には、矩形状の貫通部51が形成される。また、基板50には、貫通部51からX軸方向の負側に離間した位置に、矩形状の貫通部52Aが形成される。基板50には、貫通部51からX軸方向の正側に離間した位置に、矩形状の貫通部52Bが形成される。基板50は、コイル導体53を主面50a上に有する。コイル導体53は、貫通部51を取り囲むように矩形状に巻かれる巻線部を構成する。
【0021】
図2に示すように、具体的に、コイル導体53は、辺部53a,53b,53c,53dを有する。辺部53aは、貫通部51に対してX軸方向の負側に配置される。辺部53bは、貫通部51に対してX軸方向の正側に配置される。辺部53cは、貫通部51に対してY軸方向の負側に配置される。辺部53dは、貫通部51に対してY軸方向の正側に配置される。なお、辺部53c,53dの一部は、X軸方向において、貫通部52A,52Bに対応する位置まで延びている。
【0022】
第1のコア1は、E字型のコアである。第1のコア1は、基板50の主面50a側に配置される。第1のコア1は、本体部6と、一対の第1の足部7A,7Bと、第2の足部8と、を備える。第1の足部7A,7Bは、基板50を貫通して第2のコア2へ延びる。第1の足部7A,7Bは、基板50の貫通部52A,52Bに挿入される。第2の足部8は、基板50を貫通して第2のコア2へ延びる。第2の足部8は、基板50の貫通部51に挿入される。
【0023】
第1の足部7A,7Bは、本体部6からZ軸方向の負側へ向かって突出する。第1の足部7Aは、本体部6のX軸方向の負側の端部に設けられる。第1の足部7Bは、本体部6のX軸方向の正側の端部に設けられる。第1の足部7Aと第1の足部7Bとは、互いにX軸方向において離間している。第2の足部8は、第1の足部7A,7B間において、本体部6からZ軸方向の負側へ向かって突出する。第2の足部8は、本体部6のX軸方向における中央位置に配置される。第2の足部8は、第1の足部7AからX軸方向の正側に離間した位置に配置される。第2の足部8は、第1の足部7BからX軸方向の負側に離間した位置に配置される。第1のコア1の更なる詳細な説明は、後述する。
【0024】
第2のコア2は、I字型のコアである。第2のコア2は、基板50の主面50b側に配置される。第2のコア2は、足部7A,7B,8を介して第1のコア1と磁気的に接続される。第2のコア2は、XY平面と平行に広がる矩形板状の形状を有している。第2のコア2は、上面2a、下面2b、及び側面2c,2d,2e,2fを有する。上面2aは、Z軸方向の正側の位置においてXY平面と平行に広がる。下面2bは、Z軸方向の負側の位置においてXY平面と平行に広がる。側面2c,2dは、Y軸方向の正側及び負側の位置において、それぞれXZ平面と平行に広がる。側面2e,2fは、X軸方向の正側及び負側の位置においてYZ平面と平行に広がる。
【0025】
絶縁部材3は、絶縁性の材料によって形成される部材である。絶縁性の材料とは、絶縁体を構成する材料のことであり、例えば、フェノール樹脂などが採用される。絶縁部材3は、第1のコア1と他の部品との間の絶縁性を確保するための部材である。また、絶縁部材3は、第1のコア1の第1の足部7A,7Bと第2のコア2との間にギャップを形成すると共に、第1のコア1の位置決めを行うことを可能とする部材である。絶縁部材3は、一対の収容部11A,11Bと、収容部12と、一対の連結部13A,13Bと、を備える。第1の収容部11A,11Bは、第1のコア1の第1の足部7A,7Bを収容する部分である。第2の収容部12は、第1のコア1の第2の足部8を収容する部分である。連結部13Aは、第1の収容部11Aと第2の収容部12とを連結する部分である。連結部13Bは、第1の収容部11Bと第2の収容部12とを連結する部分である。絶縁部材3の更なる詳細な説明は、後述する。
【0026】
次に、図3を参照して、第1のコア1の詳細な構成について説明する。本体部6は、X軸方向に長手方向を有する直方体をなしている。本体部6は、下面6a、上面6b、側面6c,6d、及び端面6e,6fを有する。下面6aは、Z軸方向の負側の位置においてXY平面と平行に広がる。上面6bは、Z軸方向の正側の位置においてXY平面と平行に広がる。側面6c,6dは、Y軸方向の正側及び負側の位置において、それぞれXZ平面と平行に広がる。端面6e,6fは、X軸方向の正側及び負側の位置においてYZ平面と平行に広がる。
【0027】
第1の足部7A,7Bは、Z軸方向から見て矩形状をなしている。第1の足部7A,7Bは、側面7a,7b,7c,7d、及び下面7eをそれぞれ有している。側面7a,7bは、Y軸方向の正側及び負側のそれぞれの位置においてXZ平面と平行に広がる。側面7c,7dは、X軸方向における外側及び内側のそれぞれの位置においてYZ平面と平行に広がる。なお、X軸方向における外側とは、本体部6の長手方向を基準としており、端面6e,6f側を指す。下面7eは、基板50よりZ軸方向の負側の位置においてXY平面と平行に広がる。本実施形態では、第1の足部7A,7Bの側面7a,7bは、本体部6の側面6c,6dとそれぞれ同一平面をなしている。第1の足部7Aの側面7cは、本体部6の端面6eと同一平面をなしている。第1の足部7Bの側面7cは、本体部6の端面6fと同一平面をなしている。
【0028】
第2の足部8は、Z軸方向から見て矩形状をなしている。第2の足部8は、側面8a,8b,8c,8d、及び下面8eをそれぞれ有している。側面8a,8bは、Y軸方向の正側及び負側のそれぞれの位置においてXZ平面と平行に広がる。側面8c,8dは、X軸方向における正側及び負側のそれぞれの位置においてYZ平面と平行に広がる。下面8eは、基板50よりZ軸方向の負側の位置においてXY平面と平行に広がる。本実施形態では、第2の足部8の側面8a,8bは、本体部6の側面6c,6dとそれぞれ同一平面をなしている。ただし、第1の足部7A,7B、及び第2の足部8の形状や本体部6との位置関係などは特に限定されるものではない。
【0029】
第1のコア1の第1の足部7A,7Bの下面7e、及び第2の足部8の下面8eは、第2のコア2の上面2aと平行をなすように、近接するように配置される。なお、第1の足部7A,7Bの下面7e、及び第2の足部8の下面8eのZ軸方向における位置は、同一であるが、若干ずれていてもよい。
【0030】
次に、図3及び図4を参照して、絶縁部材3の詳細な構成について説明する。なお、絶縁部材3、第1のコア1、及び第2のコア2は、Y軸方向から見たときに、X軸方向の中心線に対して線対称な構成を有している。従って、図4ではX軸方向の負側の構成のみ示されているが、X軸方向の正側の構成も同趣旨の構成が成り立つ。なお、以降の説明においては、第1のコア1に絶縁部材3を組み付けた状態(図1及び図4に示す状態)について、説明するものとする。
【0031】
図3に示すように、収容部11Aは、側壁部21(側壁部、第1の側壁部)と、側壁部22(第4の側壁部)と、側壁部23,24(側壁部)と、底壁部25と、を備える。
【0032】
収容部11Aの側壁部21は、第1の足部7AのX軸方向における内側の側面7dに沿って延びると共に、第1の足部7Aとコイル導体53との間に介在する。側壁部21は、側面7dに対してX軸方向の正側の位置で、当該側面7dを覆うようにYZ平面と平行に広がる。収容部11Aの側壁部21は、側面7dと、貫通部51の縁部及びコイル導体53の辺部53a(図2参照)との間に介在する。
【0033】
収容部11Aの側壁部22は、第1の足部7AのX軸方向における外側の側面7cに沿って延びる。側壁部22は、側面7cに対してX軸方向の負側の位置で、当該側面7cを覆うようにYZ平面と平行に広がる。
【0034】
収容部11Aの側壁部23は、第1の足部7AのY軸方向における正側の側面7aに沿って延びる。側壁部23は、側面7aに対してY軸方向の正側の位置で、当該側面7aを覆うようにXZ平面と平行に広がる。側壁部23のX軸方向における両端部は、それぞれ、側壁部21,22のY軸方向の正側の端部に連結される。収容部11Aの側壁部23は、側面7aと、貫通部52Aの縁部及びコイル導体53の辺部53dの延長部分(図2参照)との間に介在する。従って、本実施形態では、収容部11Aの側壁部23は、第1の足部7Aとコイル導体53との間に介在する。
【0035】
収容部11Aの側壁部24は、第1の足部7AのY軸方向における負側の側面7bに沿って延びる。側壁部24は、側面7bに対してY軸方向の負側の位置で、当該側面7bを覆うようにXZ平面と平行に広がる。側壁部24のX軸方向における両端部は、それぞれ、側壁部21,22のY軸方向の負側の端部に連結される。収容部11Aの側壁部24は、側面7bと、貫通部52Aの縁部及びコイル導体53の辺部53cの延長部分(図2参照)との間に介在する。従って、本実施形態では、収容部11Aの側壁部24は、第1の足部7Aとコイル導体53との間に介在する。
【0036】
収容部11Aの底壁部25は、第1の足部7Aの下面7eに沿って延びる。底壁部25は、第1の足部7Aと第2のコア2との間に介在する。底壁部25は、下面7eに対してZ軸方向の負側の位置で、当該下面7eを覆うようにXY平面と平行に広がる。底壁部25は、上面側で第1の足部7Aの下面7eと接触し、下面側で第2のコア2の上面2aと接触する。底壁部25のX軸方向における両端部は、それぞれ、側壁部21,22のZ軸方向の負側の端部に連結される。底壁部25のY軸方向における両端部は、それぞれ、側壁部23,24のZ軸方向の負側の端部に連結される。
【0037】
収容部11Bは、側壁部21(側壁部、第1の側壁部)と、側壁部22(第4の側壁部)と、側壁部23,24(側壁部、第3の側壁部)と、底壁部25と、を備える。収容部11Bは、側壁部21が第2の足部8に対してX軸方向の負側に配置され、側壁部22が第2の足部8に対してX軸方向の正側に配置される点以外は、収容部11Aと同趣旨の構成を有する。
【0038】
収容部12は、側壁部31,32(側壁部、第2の側壁部)と、側壁部33,34(側壁部、第3の側壁部)と、を備える。
【0039】
収容部12の側壁部31は、第2の足部8のX軸方向における負側の側面8cに沿って延びると共に、第2の足部8とコイル導体53との間に介在する。側壁部31は、側面8cに対してX軸方向の負側の位置で、当該側面8cを覆うようにYZ平面と平行に広がる。収容部12の側壁部31は、側面8cと、貫通部51の縁部及びコイル導体53の辺部53a(図2参照)との間に介在する。
【0040】
収容部12の側壁部32は、第2の足部8のX軸方向における正側の側面8dに沿って延びると共に、第2の足部8とコイル導体53との間に介在する。側壁部32は、側面8dに対してX軸方向の正側の位置で、当該側面8dを覆うようにYZ平面と平行に広がる。収容部12の側壁部32は、側面8dと、貫通部51の縁部及びコイル導体53の辺部53b(図2参照)との間に介在する。
【0041】
収容部12の側壁部33は、第2の足部8のY軸方向における正側の側面8aに沿って延びると共に、第2の足部8とコイル導体53との間に介在する。側壁部33は、側面8aに対してY軸方向の正側の位置で、当該側面8aを覆うようにXZ平面と平行に広がる。側壁部33のX軸方向における両端部は、それぞれ、側壁部31,32のY軸方向の正側の端部に連結される。収容部12の側壁部33は、側面8aと、貫通部51の縁部及びコイル導体53の辺部53d(図2参照)との間に介在する。
【0042】
収容部12の側壁部34は、第2の足部8のY軸方向における負側の側面8bに沿って延びると共に、第2の足部8とコイル導体53との間に介在する。側壁部34は、側面8bに対してY軸方向の負側の位置で、当該側面8bを覆うようにXZ平面と平行に広がる。側壁部34のX軸方向における両端部は、それぞれ、側壁部31,32のY軸方向の負側の端部に連結される。収容部12の側壁部34は、側面8bと、貫通部51の縁部及びコイル導体53の辺部53c(図2参照)との間に介在する。
【0043】
各側壁部31,32,33,34のZ軸方向の負側の端部には、底壁部が設けられることなく、自由端部となっている。これにより、収容部12の底面側には、開口部35が形成されている。第2の足部8の下面8eと第2のコア2の上面2aとは、開口部35を介して互いにZ軸方向に離間した状態で対向する。これにより、第2の足部8と第2のコア2との間には隙間GPが形成される。図4に示すように、当該隙間GPには、放熱材60が配置される。放熱材60は、第2の足部8の下面8e及び第2のコア2の上面2aと接触する。放熱材60は、第2の足部8の下面8eと第2のコア2の上面2aとを熱的に連結するように形成される。放熱材60は、流動性のある状態で隙間GPに充填され、硬化されることによって形成される。なお、放熱材60は、絶縁部材3、及び一般的なギャップシートよりも熱伝導率が高い材料で構成され、例えばギャップフィラーなどが採用される。
【0044】
各側壁部31,32,33,34は、基板50及び第2の足部8の下面8eよりも第2のコア2側(すなわちZ軸方向の負側)まで延びる。各側壁部31,32,33,34の下端部は、第2のコア2の上面2aから僅かに離間する位置に配置される。これにより、各側壁部31,32,33,34は、下面8eの四方の縁部からZ軸方向に突出する。各側壁部31,32,33,34は、隙間GPを取り囲んで仕切るように配置される。従って、側壁部31,32,33,34は、放熱材60を隙間GPに充填した際に、硬化前に放熱材60が流れ出ることを抑制できる。
【0045】
図3に示すように、連結部13Aは、上壁部41と、側壁部43,44と、を備える。連結部13Bは、上壁部41と、側壁部43,44と、を備える。なお、連結部13Bの構成は、連結部13Aと同趣旨であるため説明を省略する。
【0046】
上壁部41は、第1の足部7Aと第2の足部8との間で、本体部6に沿ってX軸方向に延びる。上壁部41は、本体部6とコイル導体53との間に介在する。上壁部41は、本体部6の下面6aに対してZ軸方向の負側の位置で、当該下面6aを覆うようにXY平面と平行に広がる。上壁部41のX軸方向における両端部は、それぞれ、側壁部21,31のZ軸方向の正側の端部に連結される。上壁部41は、下面6aと、コイル導体53の辺部53a(図2参照)との間に介在する。
【0047】
側壁部43は、上壁部41のY軸方向の正側の端部からZ軸方向の正側に立ち上がる。側壁部43は、本体部6の側面6cとY軸方向に対向する。側壁部43は、側壁部23、及び側壁部33と同一面を形成するように側壁部23,33と連結される。側壁部44は、上壁部41のY軸方向の負側の端部からZ軸方向の正側に立ち上がる。側壁部44は、本体部6の側面6dとY軸方向に対向する。側壁部44は、側壁部24、及び側壁部34と同一面を形成するように側壁部24,34と連結される。
【0048】
次に、本実施形態に係るコイル構造100の作用・効果について説明する。
【0049】
本発明に係るコイル構造100では、絶縁部材3が、一対の第1の足部7A,7Bと第2のコア2との間にそれぞれ介在する底壁部25を有する。これにより、絶縁部材3は、第1の足部7A,7Bと第2のコア2とのL値を調整することができる。
【0050】
ここで、図5に示す比較例に係るコイル構造では、第1の足部7A,7Bと第2のコア2とのギャップを調整するために、ギャップシート130が用いられている。しかしながら、このようなギャップシート130を用いる場合、当該ギャップシート130に対する第1のコア1の位置決め及び固定が困難である。従って、第2のコア2に対して第1のコア1の位置がずれる可能性がある。また、当該位置ずれの確認も難しくなる。
【0051】
これに対し、本実施形態では、絶縁部材3は、一対の第1の足部7A,7B及び第2の足部8に沿って延びると共に、これらの足部7A,7B,8とコイル導体53との間に介在する側壁部21,23,24,31,32,33,34を有する。この場合、側壁部21,23,24,31,32,33,34が、第1のコア1に対する位置決め部として機能することができる。従って、第1のコア1の第1の足部7A,7Bと第2のコア2との間のギャップを形成するときには、絶縁部材3の固定、位置決め、確認を容易に行うことができる。このように、工程を容易に行うことができるため、部材間のずれなどを防止し、コイル構造100の性能を向上することができる。
【0052】
ここで、例えば、車用DCDCコンバータの構造などにおいては、安全規格の観点から見た場合、コア1,2とコイル導体53とは、全部が回路の1次側の電圧(危険電圧)という設定になるはずである。しかし、コア1,2の放熱のため、放熱部材(第2のコア2の下面側に設けられる)に接触させる必要がある。従って、コイル導体53の部分は1次側の電圧となり、コア1,2が2次側の電圧(安全電圧)となる。ここで、DCDCコンバータの安全距離基準は、例えば2.6mmと決められる場合がある。図5に示す比較例に係るコイル構造では、コイル導体53と第1のコア1との間には空間が形成されているだけである。従って、コイル導体53と足部7A,7B,8の各側面との間には、基準に従った安全距離を確保する必要がある。例えば、図5に示される距離としては、第1の足部7Aの側面7dとコイル導体53との間の距離、第2の足部8とコイル導体53との間の距離、及び本体部6の下面6aとコイル導体53との間の距離を大きく確保する必要がある。これにより、コイル構造が大きくなるという問題が生じる。
【0053】
これに対し、本実施形態では、側壁部21,23,24,31,32,33,34は、足部7A,7B,8とコイル導体53との間に介在する。この場合、足部7A,7B,8とコイル導体53との間に絶縁部材3が配置されるため、足部7A,7B,8とコイル導体53との間の距離を短くすることができる。これにより、コイル構造100の小型化を図ることができる。
【0054】
一対の第1の足部7A,7Bが、X軸方向における本体部6の両端側から延びており、第2の足部8は、一対の第1の足部7A,7B間において、コイル導体53の内周側に配置されてよい。この場合、EIコアに対して本発明のコイル構造100を適用することができる。
【0055】
絶縁部材3は、第1の足部7A,7BのX軸方向における内側の側面7dに沿って延びると共に、第1の足部7A,7Bとコイル導体53との間に介在する側壁部21を有している。これにより、第1の足部7A,7Bとコイル導体53との間のX軸方向における距離を短くできる。
【0056】
絶縁部材3は、第2の足部8のX軸方向の側面8c,8dに沿って延びると共に、第2の足部8とコイル導体53との間に介在する側壁部31,32を有する。これにより、第2の足部8とコイル導体53との間のX軸方向における距離を短くできる。
【0057】
絶縁部材3は、第2の足部8のY軸方向の側面8a,8bに沿って延びると共に、第2の足部8とコイル導体53との間に介在する側壁部33,34を有する。この場合、第2の足部8とコイル導体53との間のY軸方向における距離を短くできる。
【0058】
絶縁部材3は、第1の足部7A,7Bと第2の足部8との間で、本体部6に沿ってX軸方向に延びる上壁部41を有する。この場合、本体部6とコイル導体53との間の距離を短くできる。
【0059】
絶縁部材3は、第1の足部7A,7BのX軸方向における外側の側面7cに沿って延びる側壁部22を有する。この場合、第1の足部7A,7BのX軸方向における外側に他の導体が存在している場合に、当該導体と第1の足部7A,7Bとの間のX軸方向における距離を短くできる。
【0060】
第2の足部8と第2のコア2との間の隙間GPには、放熱材60が配置されていてよい。これにより、熱が溜まりやすい第2の足部8と第2のコア2との間に放熱経路を形成することができる。
【0061】
絶縁部材3は、第2の足部8のX軸方向の側面8c,8dに沿って延びると共に、第2の足部8とコイル導体53との間に介在する側壁部31,32を有し、側壁部31,32は、第2の足部8の下面8eよりも第2のコア2側まで延びる。この場合、側壁部31,32の第2のコア2側の端部付近が、放熱材70を堰き止めることができる。
【0062】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0063】
絶縁部材3の構成は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、絶縁部材3から、側壁部22,23,24,43,44を省略してもよい。また、絶縁部材3は、第1の足部及び第2の足部の少なくとも何れかの足部に沿って延びると共に、何れかの足部とコイル導体53との間に介在する側壁部を少なくとも1つ有していればよい。
【0064】
上述の実施形態では、EIコアを例示して説明した。しかし、本発明のコイル構造は、コアのタイプは特に限定されず、UIコア、EEコア、UUコアなどでも適用可能である。
【0065】
UIコアの場合のコイル構造は、上述の実施形態から、第1の足部7B、及びそれに対応する絶縁部材3の箇所を取り除いた構成となる。具体的に、第1のコア1から、第1の足部7B、及び本体部6のうちの第2の足部8よりもX軸方向の正側の部分が省略されることで、U字型の第1のコアが構成される。また、絶縁部材3から、第1の収容部11B及び連結部13Bが省略される。
【0066】
EEコアの場合のコイル構造は、上述の実施形態において、第2のコアとして、I字型のコアに代えて、第1のコア1と同様な構成を有するE字型のコアが採用される。この場合、第2のコアは、第1のコア1をZ軸方向において逆さまにした状態で配置される。これにより、第1のコア1の足部7A,7B,8は、第2のコアの足部7A,7B,8と接続される。なお、第2のコアに対しても、絶縁部材3が設けられてよい。UUコアの場合のコイル構造は、UIコアで説明したU字型のコアを第1のコイル及び第2のコイルとして用いた構成となる。
【符号の説明】
【0067】
1…第1のコア、2…第2のコア、3…絶縁部材、7A,7B…第1の足部、6…本体部、7A,7B…第1の足部、8…第2の足部、21…側壁部(側壁部、第1の側壁部)、22…側壁部(第4の側壁部)、23,24…側壁部(側壁部)、25…底壁部、31,32…側壁部(側壁部、第2の側壁部)、33,34…側壁部(側壁部、第3の側壁部)、41…上壁部、100…コイル構造。
図1
図2
図3
図4
図5