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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20231017BHJP
   G01D 11/28 20060101ALI20231017BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G01D11/24 A
G01D11/28 B
B60K35/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019232246
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021099296
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原賀 孝治
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-150970(JP,A)
【文献】特開2004-253710(JP,A)
【文献】特許第2987503(JP,B1)
【文献】特開2018-103669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/24
G01D 11/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁と、前記外縁の伸びる方向に交わる方向である突出方向に突出する突起と、を有する被支持部材と、
前記被支持部材を支持する支持部と、前記被支持部材を前記支持部上に固定するため前記突起を前記支持部の方向に押さえ、前記突出方向に沿うスリットを有する押さえ部と、を有するケースと、を備え
前記突起は、遮光色の遮光部を有する表示装置。
【請求項2】
前記スリットは、前記突起を挿入するために形成される前記押さえ部の後方部分に位置する空間である挿入口の略中間位置に形成される、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記スリットの前記突出方向に沿う長さは、前記突起の前記突出方向に沿う長さよりも短い、請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前後方向に面する面と、前側を照明する光源と、を有する回路基板と、前記押さえ部を介して前記被支持部材と対向して配置され、前記光源の光により照明される文字板と、を更に備え、
前記被支持部材は、前記光源の光を前記文字板に向けて拡散する拡散板である、請求項1記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の速度やエンジン回転数を表示する表示装置は、文字板やこれを指し示す指針等を介してユーザに情報を提供する。表示装置は、文字板や文字板に付随する部品等の被支持部材を固定し、支持するケースを有する。ケースは、被支持部材をケース上に押さえるため、被支持部材の前側に被支持部材の前側への移動を規制する構造を有する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-60658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースが、被支持部材の前側に上述した構造を有する場合、その構造の分だけケースの前後方向の厚みが大きくなる。例えば、特許文献1の表示装置のように、文字板の後側に文字板と平行して配置される表示パネルがある場合、表示パネルに対するケースの前後方向の高さが大きくなってしまう。これは、表示装置のデザインに制約を課してしまう虞がある。
【0005】
本開示はこのような事情を考慮してなされたもので、デザイン上の制約を低減できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、上述した課題を解決するために、外縁と、前記外縁の伸びる方向に交わる方向である突出方向に突出する突起を有する被支持部材と、前記被支持部材を支持する支持部と、前記被支持部材を前記支持部上に固定するため前記突起を前記支持部の方向に押さえ、前記突出方向に沿うスリットを有する押さえ部と、を有するケースと、を備え、前記突起は、遮光色の遮光部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態としての表示装置の正面図。
図2図1のII-II線に沿う断面図。
図3】中ケースを前方から示す図
図4】中ケースの斜視図。
図5】拡散板を前方から示す図。
図6】中ケースの上押さえ部を特に示す説明図。
図7】中ケースの下押さえ部を特に示す説明図
図8】中ケースに拡散板が支持された状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の表示装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本開示の表示装置は、例えば自動車や二輪車等の車両や、船舶、農業機械、建設機械に搭載される表示装置に適用することができる。
【0009】
図1は、本開示の実施形態としての表示装置1の正面図である。
図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
【0010】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、図1から図5、及び図8における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。尚、表示装置1がユーザに視認される側を「前」とする。
【0011】
表示装置1は、速度計(以下、「SP」という。)2と、エンジン回転数計(以下、「TA」という。)3と、を有する。SP2は、正面視右側に配置され、車両の速度を表示する指針式(機械式)計器である。TA3は、正面視左側に配置され、車両のエンジン回転数を表示する指針式計器である。本実施形態においては、SP2及びTA3は主に共通する構成を有するため、表示装置1に関連するSP2側の構成について説明し、TA3の構成については詳細な説明を省略する。
【0012】
表示装置1は、ケース10と、見返し20と、文字板30と、リング40と、回路基板50と、表示パネル60と、導光体70と、拡散板80と、を主に有する。
【0013】
ケース10は、外ケース11と、中ケース15と、を有する。
【0014】
外ケース11は、黒色等の合成樹脂(例えばポリプロピレン)からなる。外ケース11は、内部空間に文字板30、回路基板50、表示パネル60をはじめとする各種部材を収容する。
【0015】
中ケース15は、文字板30及び拡散板80を外ケース11の内部空間内に固定(載置)したり、光源52の遮光壁として作用したりする。ここで、図3は、中ケース15を前方から示す図である。図4は、中ケース15の斜視図である。
【0016】
中ケース15は、正面視において略正円形状であって、後方に向かってすぼむすり鉢形状を有する部材であり、白色等の合成樹脂(例えばポリプロピレン)からなる。中ケース15の詳細は、後述する。
【0017】
見返し20は、黒色等の遮光性の合成樹脂(例えばポリプロピレン)からなる。見返し20は、外ケース11の前面側を覆い、ケース10内の不要な領域をユーザから遮蔽する。具体的には、見返し20は、正面視において文字板30及び表示パネル60以外の領域を遮蔽する。見返し20は、開口21を前方に有し、開口21は、透光板22に覆われる。
【0018】
文字板30は、薄板状の略正円形状の部材であり、前後方向に面する面方向を有する。文字板30は、基材と、遮光層と、を有する。基材は、例えば透明なポリカーボネート樹脂からなる薄板である。遮光層は、基材の前面(又は背面)に形成された黒色の遮光性インキで印刷された印刷層である。遮光層は、意匠31の形状に対応した抜き文字部分を有する。意匠31は、数字32、記号33、及び目盛34を含む。意匠31は、光源52の光を透過することにより、点灯表示される。
【0019】
リング40は、円環状を有する黒色等の合成樹脂(例えばポリプロピレン)からなる。リング40は、文字板30を保持した状態で、中ケース15に固定される。
【0020】
回路基板50は、文字板30及び中ケース15に対して後方に配置される。また、回路基板50は、表示パネル60の後方に配置され、表示パネル60と電気的に接続される。回路基板50は、指針駆動部51と、光源52と、指針駆動部51や光源52のドライバ等を含む制御部と、を主に有する。
【0021】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有しており、例えば、ROMに書き込まれたプログラムに従って所定の演算処理を実行する。制御部は、例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)から各種車両情報を取得する。制御部は、取得した情報に基づき、指針駆動部51を駆動し、また、光源52を点灯させる。
【0022】
指針駆動部51は、入力された車両の走行速度やエンジン回転数に応じて指針軸54を回転する。指針軸54は、回路基板50に対して垂直に前方に伸びる(伸長する)金属製の棒状部材からなる。指針軸54は、先端において指針55と接続される。指針55は、文字板30の前面上を回転することにより、目盛34を指し示す。
【0023】
光源52は、回路基板50の前面に設けられ、例えばトップビュー型(上面発光型)のLED(Light Emitting Diode)である。光源52は、文字板30の後方に所要数設けられる。
【0024】
表示パネル60(表示素子)は、中ケース15等の支持部材に支持され、SP2及びTA3の間に配置される。表示パネル60は、液晶層を封入する一対のガラス基板を有する。一対のガラス基板は、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極を有する。また、表示パネル60は、一対のガラス基板を挟み込む一対の偏光板(偏光フィルタ)を有する。表示パネル60は、FPC(Flexible Printed Circuits)等の可撓性基板を介して、回路基板50に接続され、制御される。これにより、表示パネル60は、所定の情報を表示する。
【0025】
導光体70は、透明な合成樹脂(例えばポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA、Polymethyl methacrylate))からなる。導光体70は、軸覆い部96(後述)の外周側で中ケース15に固定される。導光体70は、光源52の光を意匠31へ導く。
【0026】
拡散板80は、導光体70の前方に配置され、中心角が約240度の扇形の外縁81(外形)を有する板状部材である。図5は、拡散板80を前方から示す図である。拡散板80は、導光体70に導かれた光源52の光を更に拡散し、意匠31を明るさのムラがないように照明する。拡散板80は、略四角形の突起82を有する。突起82は外縁81の伸びる方向に交わる方向(外縁81と略直交する方向)である突出方向に、外縁81から突出する。突起82は、上方(円弧上)に1箇所、下方(半径上)に2箇所設けられる。
【0027】
拡散板80は、基材と、拡散層と、白色層と、遮光層84と、を有する。基材は、例えば透明なポリカーボネート樹脂からなる薄板である。拡散層は、基材の前面に形成された透明なオーバーコート層である。白色層は、基材の背面に白色のインキで印刷された層(例えばUV(Ultra Violet)印刷層)である。遮光層84(遮光部)は、突起82の表面に遮光色(例えば黒色)のインキで印刷された層である。遮光層84は、後述する中ケース15の上スリット104、下スリット107から光源52の光が漏れないよう、光源52の光を遮光する。
【0028】
次に、中ケース15の詳細について説明する。図3及び4に示すように、中ケース15は、透過孔形成部91と、拡散板収容部95と、を主に有する。透過孔形成部91は、主に透過孔92が形成される領域であり、前方視において下方に配置される。透過孔形成部91は、中心角が約120度の略扇形の外縁93を有する。拡散板収容部95は、前方視において透過孔形成部91以外の領域であり、文字板30、導光体70、及び拡散板80が主に配置される上方に位置する領域である。
【0029】
透過孔92は、前後方向に貫通した筒状の孔である。透過孔92は、文字板30に形成される記号33の位置に対応して形成され、光源52の光を透過させる。
【0030】
拡散板収容部95は、軸覆い部96と、外支持部98と、内支持部99と、上挿入口100と、下挿入口101と、上押さえ部103と、下押さえ部106と、を有する。
【0031】
軸覆い部96は、中ケース15の前方視において略中心位置に設けられ、前後方向に伸びた筒状孔である。軸覆い部96は、指針軸54を収容する。
【0032】
外支持部98及び内支持部99(支持部)は、拡散板80を前後方向に対する直交面上に支持するための構造である。外支持部98は、拡散板収容部95の外縁110の内周側に外縁110よりも後方に先端面が位置するように形成される線状(幅の細い面状)部分である。内支持部99は、軸覆い部96の外縁97(外周)に沿って、外縁97よりも後方に、外支持部98と同一面状に先端面が位置するように形成される線状(幅の細い面状)部分である。
【0033】
上挿入口100及び下挿入口101は、拡散板80の突起82を挿入するために形成される空間である。ここで、図6は、中ケース15の上押さえ部103を特に示す説明図である。図7は、中ケース15の下押さえ部106を特に示す説明図である。図8は、中ケース15に拡散板80が支持された状態の説明図である。
【0034】
上挿入口100は、外縁110(外縁110を形成する部分)の上方位置に形成される四角形状の開口である。下挿入口101は、上挿入口100よりも下方位置であって、拡散板収容部95に面する透過孔形成部91の外縁93に形成される凹部である。
【0035】
上押さえ部103及び下押さえ部106(押さえ部)は、上挿入口100及び下挿入口101に挿入された拡散板80の突起82を、外支持部98上及び内支持部99の方向に押さえるための構造である。
【0036】
上押さえ部103は、外縁110に上挿入口100が形成された結果形成される上挿入口100の前方部分に位置する外縁110の一部である。上押さえ部103は、上スリット104(スリット)を有する。上スリット104は、上押さえ部103の外縁110の伸びる方向における一部が切り欠かれた部分であり、外縁110を分断するように形成される。上スリット104は、中ケース15に配置された拡散板80の外縁81(外縁110)方向に沿う方向における略中間位置に形成される。
【0037】
下押さえ部106は、透過孔形成部91に下挿入口101が形成された結果形成される下挿入口101の前方部分に位置する透過孔形成部91の一部である。下押さえ部106は、下スリット107(スリット)を有する。下スリット107は、下押さえ部106の外縁93の伸びる方向における一部が切り欠かれた部分であり、外縁93を分断するように形成される。下スリット107は、中ケース15に配置された拡散板80の外縁81(外縁93)方向における略中間位置に形成される。
【0038】
このような構造を有する表示装置1は、拡散板80を中ケース15に配置、固定するための構造を有する場合であっても、中ケース15の前後方向の厚みを大きくすることを低減できる。すなわち、拡散板80を中ケース15に配置する際、拡散板80を前方向に移動させないために、拡散板80は突起82を有し、これに対応して中ケース15は上押さえ部103及び下押さえ部106を有する。上押さえ部103及び下押さえ部106の厚みは、中ケース15の前後方向の厚みに寄与する。すなわち、上押さえ部103及び下押さえ部106の厚みを小さくすることにより、中ケース15の厚みは小さくなる。しかしながら、中ケース15を射出成形で形成する場合、所要の厚みを設定しないと、樹脂の流動路が狭くなり樹脂が行き渡らず、ショートショットと呼ばれる成形不良が生じる虞がある。
【0039】
そこで、本実施形態における表示装置1は、上押さえ部103及び下押さえ部106に、上スリット104及び下スリット107を形成する。これにより、特に外縁93、110方向の中間部分であるショートショットが発生する可能性が高い部分を意図的に樹脂を形成しない領域とし、上押さえ部103及び下押さえ部106における樹脂の流動路の長さを短くした。故に、上押さえ部103及び下押さえ部106の厚さを小さくしても、突起82の前方向の移動を規制する部分は好適に形成される。
【0040】
結果として、表示装置1は、拡散板80と文字板30の距離を小さくでき、見返し20や表示パネル60から前方へ張り出す高さを小さくできる。表示装置1は、例えば、表示パネル60とSP2及びTA3との段差が小さくでき、シームレス感を向上できる。故に、表示装置1は、デザイン上の制約を低減できる。
【0041】
また、拡散板80は、遮光層84を有する。このため、拡散板80に到達する光源52の光が、本来であれば光を透過しない領域である、上スリット104及び下スリット107から光が漏れることを防止できる。
【0042】
また、中ケース15及び拡散板80が同色である場合、組立作業者は、突起82が上挿入口100及び下挿入口101に挿入されたか否かの確認が困難になる虞がある。これに対し、拡散板80は黒色の遮光層84を有するため、組立作業者は突起82が挿入されたか否かの確認を容易にできる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0044】
例えば、下挿入口101のように突起82が非貫通となる凹部として挿入口が設けられる場合、下スリット107は、拡散板80の突起82の突出方向に沿う長さが、突起82の突出方向に沿う長さよりも短くなるように形成されてもよい。すなわち、突起82の先端83部分においては、下スリット107が形成されていなくてもよい。突起82の先端83までスリットを設けないことにより、突起82の移動を規制する下押さえ部106の領域を大きくでき、突起82をより確実に支持できる。
【0045】
中ケース15、文字板30の形状や、表示パネル60の配置は、一例であって、これに限らない。特に、突起82や上押さえ部103、下押さえ部106の形状や位置はこれに限らない。
【0046】
被支持部材が拡散板80である例を説明したがこれに限らず、文字板30や他の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 表示装置
2 速度計(SP)
3 エンジン回転数計(TA)
10 ケース
11 外ケース
15 中ケース
20 見返し
21 開口
22 透光板
31 意匠
32 数字
33 記号
34 目盛
30 文字板
40 リング
50 回路基板
51 指針駆動部
52 光源
54 指針軸
55 指針
60 表示パネル
70 導光体
80 拡散板(被支持部材)
81、93、97、110 外縁
82 突起
83 先端
84 遮光層(遮光部)
91 透過孔形成部
92 透過孔
95 拡散板収容部
96 軸覆い部
98 外支持部(支持部)
99 内支持部(支持部)
100 上挿入口
101 下挿入口
103 上押さえ部(押さえ部)
104 上スリット(スリット)
106 下押さえ部(押さえ部)
107 下スリット(スリット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8