IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許7367521画像形成装置、画像読取装置及び較正方法
<>
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図1
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図2
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図3
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図4
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図5
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図6
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図7
  • 特許-画像形成装置、画像読取装置及び較正方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像読取装置及び較正方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20231017BHJP
   G01J 3/52 20060101ALI20231017BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20231017BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20231017BHJP
   H04N 1/191 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G06T1/00 460E
G01J3/52
G01J3/02 C
H04N1/04 D
H04N1/04 106Z
H04N1/191
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019233960
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103401
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯川 宏
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-267359(JP,A)
【文献】特開2016-104544(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163266(WO,A1)
【文献】特開2019-165340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G01J 3/52
G01J 3/02
H04N 1/04
H04N 1/191
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送経路で媒体を移動させる搬送部と、
複数の撮像センサーを有し、前記搬送経路上で前記媒体の表面を撮像する撮像部と、
前記搬送経路上で前記媒体の表面を測色する測色部と、
制御部と、
を備え、
前記複数の撮像センサーの各々による撮像範囲は、前記搬送経路に沿った搬送方向に直交する幅方向について隣り合う前記撮像センサーの間で重複部分を有し、
前記制御部は、前記重複部分に位置する所定の検査画像の前記撮像部による撮像結果及び前記測色部による測色結果に基づいて前記撮像センサーの較正動作を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記測色部による測色範囲を前記幅方向に移動させる測色移動部を備え、
前記撮像部は、前記撮像センサーを3個以上有し、
前記制御部は、複数の前記検査画像の形成位置のそれぞれに前記測色範囲を移動させて、各々前記測色部による測色を行わせる
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送経路上で前記媒体の表面に画像を形成する形成動作部を備え、
前記制御部は、前記搬送部による前記媒体の搬送速度と、前記測色移動部による前記測色範囲の移動速度とに基づいて複数の前記検査画像の前記搬送方向についての位置のずれ量を定めて、前記形成動作部により複数の前記検査画像をそれぞれ形成させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記搬送部による前記媒体の搬送速度を変更可能であり、前記測色移動部による前記測色範囲の移動速度と、複数の前記検査画像の前記搬送方向についての位置のずれ量とに基づいて、前記搬送部による前記媒体の搬送速度を定めることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記媒体が前記測色部による測色範囲を複数回通過するように当該媒体を搬送可能であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送経路上で前記媒体の表面に画像を形成する形成動作部を備え、
前記制御部は、前記形成動作部により前記重複部分に前記検査画像を形成させる
ことを特徴とする請求項1、2、5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記搬送部による前記媒体の搬送速度を変更可能であることを特徴とする請求項1、2、5、6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
所定の搬送経路で媒体を移動させる搬送部と、
複数の撮像センサーを有し、前記搬送経路上で前記媒体の表面を撮像する撮像部と、
前記搬送経路上で前記媒体の表面を測色する測色部と、
制御部と、
を備え、
前記複数の撮像センサーの各々による撮像範囲は、前記搬送経路に沿った搬送方向に直交する幅方向について隣り合う前記撮像センサーの間で重複部分を有し、
前記制御部は、前記重複部分に位置する所定の検査画像の前記撮像部による撮像結果及び前記測色部による測色結果に基づいて前記撮像センサーの較正動作を行う
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
所定の搬送経路で媒体を移動させる搬送部と、複数の撮像センサーを有し前記搬送経路上で前記媒体の表面を撮像する撮像部と、を備え、前記搬送経路に沿った搬送方向に直交する幅方向について隣り合う前記撮像センサーの間で重複部分を有する画像形成装置における前記撮像センサーの較正方法であって、
前記画像形成装置は、前記搬送経路上で前記媒体の表面を測色する測色部を備え、
前記重複部分に位置する所定の検査画像の前記撮像部による撮像結果及び前記測色部による測色結果に基づいて前記撮像センサーの較正動作を行う較正実行ステップを含むことを特徴とする較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、画像読取装置及び較正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体上に画像を形成する画像形成装置、特に、商業用といった高品質を要求する用途に用いられるものには、高精度の較正(キャリブレーション)や速やかな異常の検出が必要になる。そのため、形成した画像を撮像して濃度むらの検出や画質不良の検出などを行う技術がある。撮像には、媒体の搬送方向に平行な面内で当該搬送方向と交差する向きに媒体の搬送方向と直交する幅にわたって複数の撮像素子が並ぶ撮像センサーが用いられて、二次元画像が取得される。
【0003】
このような画像形成装置において、単一の撮像センサーを形成画像のサイズに合わせて長尺化すると、コストが増大したり、製造時の歩留まりが悪くなったりするという問題がある。これに対し、複数の撮像センサーを並べて並列に撮像を行うことで、全体として媒体の全幅の撮像を行う技術がある(特許文献1)。この場合、撮像センサー間で感度特性をそろえる調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-4868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画質の向上に応じて色合いなどの絶対値の調整が必要になってくると、撮像センサー間の調整では不十分であり、従来、画像形成装置の外部で処理を行う手間などが必要となっているという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、より容易かつ精度よく各撮像センサーの較正を行うことができる画像形成装置、画像読取装置及び較正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
所定の搬送経路で媒体を移動させる搬送部と、
複数の撮像センサーを有し、前記搬送経路上で前記媒体の表面を撮像する撮像部と、
前記搬送経路上で前記媒体の表面を測色する測色部と、
制御部と、
を備え、
前記複数の撮像センサーの各々による撮像範囲は、前記搬送経路に沿った搬送方向に直交する幅方向について隣り合う前記撮像センサーの間で重複部分を有し、
前記制御部は、前記重複部分に位置する所定の検査画像の前記撮像部による撮像結果及び前記測色部による測色結果に基づいて前記撮像センサーの較正動作を行う
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、
前記測色部による測色範囲を前記幅方向に移動させる測色移動部を備え、
前記撮像部は、前記撮像センサーを3個以上有し、
前記制御部は、複数の前記検査画像の形成位置のそれぞれに前記測色範囲を移動させて、各々前記測色部による測色を行わせる
ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、
前記搬送経路上で前記媒体の表面に画像を形成する形成動作部を備え、
前記制御部は、前記搬送部による前記媒体の搬送速度と、前記測色移動部による前記測色範囲の移動速度とに基づいて複数の前記検査画像の前記搬送方向についての位置のずれ量を定めて、前記形成動作部により複数の前記検査画像をそれぞれ形成させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記搬送部による前記媒体の搬送速度を変更可能であり、前記測色移動部による前記測色範囲の移動速度と、複数の前記検査画像の前記搬送方向についての位置のずれ量とに基づいて、前記搬送部による前記媒体の搬送速度を定めることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、
前記搬送部は、前記媒体が前記測色部による測色範囲を複数回通過するように当該媒体を搬送可能であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、請求項1、2、5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記搬送経路上で前記媒体の表面に画像を形成する形成動作部を備え、
前記制御部は、前記形成動作部により前記重複部分に前記検査画像を形成させる
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、請求項1、2、5、6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記搬送部による前記媒体の搬送速度を変更可能であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、
所定の搬送経路で媒体を移動させる搬送部と、
複数の撮像センサーを有し、前記搬送経路上で前記媒体の表面を撮像する撮像部と、
前記搬送経路上で前記媒体の表面を測色する測色部と、
制御部と、
を備え、
前記複数の撮像センサーの各々による撮像範囲は、前記搬送経路に沿った搬送方向に直交する幅方向について隣り合う前記撮像センサーの間で重複部分を有し、
前記制御部は、前記重複部分に位置する所定の検査画像の前記撮像部による撮像結果及び前記測色部による測色結果に基づいて前記撮像センサーの較正動作を行う
ことを特徴とする画像読取装置である。
【0015】
また、請求項9記載の発明は、
所定の搬送経路で媒体を移動させる搬送部と、複数の撮像センサーを有し前記搬送経路上で前記媒体の表面を撮像する撮像部と、を備え、前記搬送経路に沿った搬送方向に直交する幅方向について隣り合う前記撮像センサーの間で重複部分を有する画像形成装置における前記撮像センサーの較正方法であって、
前記画像形成装置は、前記搬送経路上で前記媒体の表面を測色する測色部を備え、
前記重複部分に位置する所定の検査画像の前記撮像部による撮像結果及び前記測色部による測色結果に基づいて前記撮像センサーの較正動作を行う較正実行ステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従うと、より容易かつ精度よく各撮像センサーの較正を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の画像形成装置の全体構成を正面から見た模式図である。
図2】ヘッドユニット、撮像部及び測色部について説明する図である。
図3】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】較正用検査画像の生成及び読取について説明する図である。
図5】2つの検査用画像の位置関係について説明する図である。
図6】較正制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】2つの検査用画像の形成位置の変形例を示す図である。
図8】変形例の較正制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置1の全体構成を正面から見た模式図である。
【0019】
画像形成装置1は、媒体供給部10と、形成部20と、媒体排出部30と、制御部40(図3参照)などを備えている。この画像形成装置1では、制御部40による制御動作に基づいて、画像が形成される媒体Mが媒体供給部10から形成部20に送出され、画像が形成された後に媒体排出部30に排出される。
【0020】
媒体供給部10は、媒体供給トレー11と供給搬送部12などを有する。
媒体供給トレー11は、媒体Mを一又は複数載置可能に設けられた板状部材である。媒体供給トレー11は、載置された媒体Mの量に応じて上下動し、媒体Mのうち一番上のものが供給搬送部12による搬送開始位置に保持される。
媒体Mとしては、種々の厚さの印刷用紙、セル、フィルムや布帛など種々のものが用いられる。媒体Mは、インクが内部に浸透しない非吸収性の材質の表面を有するものであってもよい。
【0021】
供給搬送部12は、複数(例えば、2本)のローラー121、122と、内側面でローラー121、122により支持された輪状のベルト123と、媒体供給トレー11上に載置された媒体Mのうち一番上のものをベルト123に受け渡す図示略の供給部と、を有する。供給搬送部12は、ローラー121、122の回転によるベルト123の周回移動に従って供給部によりベルト123上に受け渡された媒体Mを搬送して形成部20へ送る。
【0022】
形成部20は、画像形成ドラム21と、受け渡しユニット22と、ヘッドユニット23(形成動作部)と、定着部24と、撮像部25と、測色部26と、デリバリー部27などを備える。
【0023】
画像形成ドラム21は、円筒状の外周形状を有し、当該外周面(搬送面)上に媒体Mを担持して、その回転動作に応じた(所定の)搬送経路で媒体Mを移動させる。この画像形成ドラム21の内面側には、ヒーターが設けられ、搬送面上に載置された媒体Mが所定の設定温度になるように搬送面を加熱し得る。
【0024】
受け渡しユニット22は、供給搬送部12から受け渡された媒体Mを画像形成ドラム21に受け渡す。受け渡しユニット22は、媒体供給部10の供給搬送部12と画像形成ドラム21との間の位置に設けられている。受け渡しユニット22は、供給搬送部12により送られてきた媒体Mの一端を把持する爪部221と、爪部221に把持された媒体Mを誘導する円筒状の受け渡しドラム222などを有する。爪部221により供給搬送部12から取得された媒体Mは、受け渡しドラム222に送られると回転する受け渡しドラム222の外周面に沿って移動し、そのまま画像形成ドラム21の外周面に誘導されて受け渡される。
【0025】
ヘッドユニット23は、媒体Mが担持された画像形成ドラム21の回転に応じて搬送経路上を移動していく当該媒体Mの表面の各所に対し、媒体Mと対向するインク吐出面に設けられた複数のノズル開口からインクの液滴を吐出していくことで画像を形成する。本実施形態の画像形成装置1では、ヘッドユニット23は、画像形成ドラム21の外周面から予め設定された距離だけ離隔されて、所定の間隔で4つ配置されている。4つのヘッドユニット23は、例えば、CMYK4色(シアン、マゼンタ、イエロー、黒色)のインクをそれぞれ出力する。ここでは、媒体Mの搬送方向(第2方向)について上流側から順番にC、M、Y、Kの各色インクがそれぞれ吐出されるが、これに限られない。インクとしては、任意のものが用いられ得るが、ここでは、温度に応じてゾル状態とゲル状態との間で相変化し、また、所定の活性エネルギー線、例えば、紫外線の照射により硬化、定着するインクが用いられる。ゾル状態でヘッドユニット23から吐出されたインクは、媒体M上に着弾すると温度が低下して速やかにゲル化して粘度が増大し、定着部24から照射される紫外線によりインクが媒体Mに定着する。
ヘッドユニット23の各々は、ここでは、画像形成ドラム21の回転との組み合わせにより媒体M上の画像形成幅にわたって一度に画像を形成可能なラインヘッドを有する。
【0026】
定着部24は、媒体Mの表面に対して所定の活性エネルギー線、ここでは、上述のように紫外線を照射する。定着部24は、例えば、紫外線発光するLEDランプなどを有する。定着部24は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転により搬送される媒体M上にヘッドユニット23からインクの吐出がなされた後、媒体Mが画像形成ドラム21からデリバリー部27に渡る前の範囲で当該媒体Mに紫外線を照射可能に配置されている。定着部24は、遮蔽部材を有し、搬送面上の媒体Mの所定の範囲以外への紫外線の照射量を当該所定の範囲と比較して十分に低下させている。
【0027】
撮像部25は、搬送経路上の搬送方向についてヘッドユニット23及び定着部24の下流側で、媒体Mの表面を撮像して、読み取りデータとして制御部40に出力する。撮像部25は、ラインセンサー(撮像センサー)を複数有している。ラインセンサーは、特には限られないが、例えばCMOSセンサーなどであってよい。撮像部25は、RGBの3波長での光の入射量を計測し、それぞれ輝度値として取得する。
【0028】
測色部26は、搬送経路上の搬送方向についてヘッドユニット23及び定着部24の下流側、ここでは撮像部25よりもさらに下流側で、媒体Mの表面の測色を行い、測色結果を制御部40に出力する。例えば、測色部26の測色位置は、画像形成ドラム21上ではなく、デリバリー部27のベルト273上であるが、これに限るものではない。測色部26の計測により得られる色空間は、変更可能であってよく、例えば、L*a*b*座標系で色値を出力することができる。
【0029】
デリバリー部27は、インクが吐出、定着された媒体Mを画像形成ドラム21から媒体排出部30に搬送する。デリバリー部27は、複数(例えば、2本)のローラー271、272と、内側面でローラー271、272に支持された輪状のベルト273と、円筒状の受け渡しローラー274などを有する。デリバリー部27は、受け渡しローラー274により画像形成ドラム21上の媒体Mをベルト273上に誘導し、受け渡された媒体Mをローラー271、272の回転に伴い周回移動するベルト273と共に移動させることで搬送して媒体排出部30に送り出す。
【0030】
媒体排出部30は、形成部20から送り出された画像形成後の媒体Mをユーザーにより取り出されるまで格納する。媒体排出部30は、デリバリー部27により搬送された媒体Mが載置される板状の媒体排出トレー31などを有する。
【0031】
図2は、ヘッドユニット23を画像形成ドラム21の搬送面側から見た底面図(a)、撮像部25の光入射面を画像形成ドラム21の外周面に対向する側から見た図(b)、及び測色部26をベルト273の外周面の上方から見た図(c)である。
【0032】
図2(a)に示すように、ヘッドユニット23は、複数のノズルNの開口が所定の範囲内(配列範囲)に配列されたインクジェットヘッド231を複数有する。ここでは、一つのヘッドユニット23が8個のインクジェットヘッド231を有しているが、これに限られない。8個のインクジェットヘッド231には、それぞれ幅方向にノズルNの開口が並ぶノズル列が搬送方向に2列に配列され、これら2列のノズルNの開口位置は、それぞれ幅方向について互い違いの千鳥格子状となっている。なお、ノズルNの開口のサイズ及び数は、ここでは説明のために大きくかつ少なく示しており、実際とは異なっている。
【0033】
図2(b)に示すように、撮像部25は、複数の撮像素子Pへの光入射口(撮像範囲)が幅方向について所定の範囲に位置する撮像センサー251を複数有する。撮像部25は、複数、ここでは4個の撮像センサー251を有しているが、これに限られない。撮像センサー251は、千鳥格子状に位置しており、各撮像センサー251の撮像範囲は、幅方向について隣り合う撮像センサー251同士で重複部分D1~D3を有する。各撮像素子Pの光入射口の位置と各々の受光センサーの位置とは、幅方向について同一であってもよいし、受光センサーが幅方向中心付近にまとめて位置するようにミラー及びレンズなどによる縮小光学系をなしていてもよい。また、ラインセンサーの撮像素子Pは、主にRGBによるカラー撮像を行う場合、幅方向にのみ一次元配列されている必要はない。なお、光入射口は、ここでは説明のために大きくいくつかに区切って示しているが、実際にはひとつながりであってよく、あるいは、受光センサーの解像度(素子数)などに応じてより細かく各々区切られていてもよい。撮像部25の撮像解像度とヘッドユニット23の画像形成解像度との大小関係は、ここでは特には限られない。
【0034】
図2(c)に示すように、測色部26の測色計は、幅方向について媒体Mの一部のエリア(測色範囲)における測色を行う。測色計は、支持部材261に沿って幅方向に移動可能である。支持部材261には、例えば、レールとベルトなどが設けられ、ベルトの移動に応じて測色計がレール上を往復運動することができてよい。測色計は、測色時には固定されて測色範囲の測色を行う。
【0035】
図3は、本実施形態の画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、上述の形成部20に加えて、制御部40と、搬送駆動部45と、画像処理部46と、記憶部50と、通信部61と、表示部62と、操作受付部63と、バス90などを備える。
【0036】
形成部20は、上述の撮像部25、測色部26及びノズルN(ヘッドユニット23に含まれる)に加えて、ノズルNからインクを吐出させるヘッド駆動部28と、定着部24を動作させる定着駆動部29などを有する。
【0037】
ヘッド駆動部28は、各ノズルNに連通してインクを供給するインク流路において、当該インクに圧力を加える機構を動作させて、ヘッドユニット23(インクジェットヘッド231)に画像形成動作を行わせる。例えば、ヘッド駆動部28は、インク流路中に設けられた加圧部(圧力室)の壁面を変形させる圧電素子に対する駆動電圧信号を生成して当該圧電素子に出力する。ヘッド駆動部28は、制御部40からの制御信号に基づいて予め記憶された電圧波形パターンを選択して電力増幅した駆動電圧信号を生成し、記憶部50から入力された形成対象画像データに応じて各圧電素子に対する駆動電圧信号の出力可否をそれぞれ切り替える。圧電素子の変形により圧力室が変形してインクに対して所定パターンで圧力変動が与えられ、これに応じてノズルNの開口から所定のインク着弾位置(平面視位置)に対して、所望の液量のインク液滴が所望の速度で吐出される。
【0038】
定着駆動部29は、定着部24に駆動信号を出力して、所定の活性エネルギー線(ここでは紫外線)を出射(発光)させる。
【0039】
制御部40は、画像形成装置1の全体動作を統括し、各部の動作を制御する。制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)と、RAM42(Random Access Memory)などを備える。
【0040】
CPU41は、各種演算処理を行い、画像形成装置1における媒体Mの搬送、インクの供給、温度管理及び吐出、撮像、測色、並びにメンテナンス動作などの制御を行う。また、CPU41は、記憶部50から読み出されたプログラムに従って画像データ、各部のステータス信号やクロック信号などに基づく画像形成に係る種々の処理を行う。
【0041】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM42には、不揮発性メモリーが含まれていてもよく、この不揮発性メモリーに記憶されるデータと記憶部50に記憶されるデータとは、適宜割り振られる。
【0042】
画像処理部46は、撮像部25及び測色部26の計測結果に基づいて撮像センサー251の較正に係る処理を行う。画像処理部46は、CPU及びRAMを有していてもよいし、これに加えて又は代えて専用のハードウェア回路などを有していてもよい。また、画像処理部46のハードウェアとしての構成は、制御部40のCPU41及びRAM42が兼用するものであってもよい。
【0043】
画像処理部46は、媒体M上に形成された通常の画像などが撮像部25により撮像された場合には、複数の撮像センサー251により各々得られた画像をつなげて1つの撮像データを生成する。図2に示した重複部分D1~D3では、それぞれ隣り合う2個の撮像センサー251のうちいずれにより撮像されたデータを用いるかの境界位置を予め定めておき、当該境界位置よりも両端側の撮像素子により得られたデータは廃棄される。
【0044】
記憶部50は、通信部61を介して外部から取得された画像形成に係るジョブデータ52、並びに制御部40及び画像処理部46の各種制御動作に係る制御プログラム及び設定データなどを記憶する。ジョブデータ52やその処理データを一時記憶する構成としては、主にDRAMが用いられ、制御プログラムや設定データを記憶する構成としては、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリーなどが用いられるが、これに限られない。例えば、ジョブデータ52が不揮発性メモリーに記憶されてもよいし、初期プログラムや初期設定データなどは、書き換え更新のできないマスクROMなどに記憶されてもよい。また、通常の画像ではなく、検査用などの特定の画像のデータ及び当該特定の画像を形成させる設定データなどは、不揮発性メモリーに記憶されていてもよい。制御プログラムには、撮像センサー251間の感度調整を行う較正用のプログラム51が含まれる。
【0045】
また、記憶部50に記憶されるデータには、プログラム51の実行により得られた較正データ53が含まれる。例えば、撮像部25による撮像データは、較正データ53により較正されてから解析処理される。
【0046】
搬送駆動部45は、供給搬送部12、画像形成ドラム21、受け渡しユニット22及びデリバリー部27など、媒体Mを搬送する各部の動作を行わせる媒体搬送部71と、測色部26による測色範囲(測色計)を移動させる測色移動部72とを有する。
【0047】
媒体搬送部71は、各ローラーやドラムなどを回転動作させ、また爪部221の動作を行わせるモーターなどを備える。これらのうち、少なくとも画像形成ドラム21及び搬送駆動部45が本実施形態の画像形成装置1における搬送部を構成する。
【0048】
測色移動部72は、測色部26の測色計(測色範囲)を幅方向に移動させる。例えば、支持部材261に対して上述のようにレール及びベルトが設けられている場合、測色移動部72は、ベルトを所定の速度で所望の距離移動させることで、ベルトに固定された測色範囲も同距離移動させる。
【0049】
通信部61は、外部機器との間での通信動作を制御する通信インターフェイスである。通信インターフェイスとしては、例えば、LANカードなど、各種通信プロトコルに対応したものが一又は複数含まれる。通信部61は、制御部40の制御に基づいて外部機器から形成対象の元画像データや画像形成に係る設定データ(ジョブデータ)を取得し、また、外部機器に対してステータス情報などを送信することができる。
【0050】
表示部62は、制御部40からの制御信号に応じて、画像形成装置1のステータスや操作メニューなどの表示を行う。表示部62は、液晶画面といった表示画面などを有する。また、表示部62は、報知動作に用いられるLEDなどを有していてもよい。
【0051】
また、操作受付部63は、ユーザーの操作を受け付けて制御部40に出力する。操作受付部63は、例えば、表示画面と重ねて設けられるタッチセンサーなどを有する。制御部40は、表示画面に表示させたメニューの内容や位置の情報と、操作受付部63が受け付けたユーザーのタッチ操作の種別や位置の情報とを対応付けて、操作に応じた処理を画像形成装置1の各部に行わせる制御動作を行う。操作受付部63は、押しボタンスイッチやテンキーなどを備えていてもよい。
【0052】
バス90は、制御部40と上記の各構成との間を電気的に接続して信号のやり取りを行う信号伝送経路である。
上記各構成のうち、上記搬送部と、撮像部25と、測色部26と、制御部40とにより本実施形態の画像読取装置が構成される。また、この実施形態の画像読取装置には、測色移動部72が含まれてよい。
【0053】
次に、本実施形態の画像形成装置1における撮像センサー251の較正動作について説明する。
上述のように、較正動作は、所定色のテスト画像を撮像センサー251と測色部26によりそれぞれ読み取り、撮像結果と測色結果との差に基づいて画像処理部46により各撮像センサー251の較正量を決定することで行われる。例えば、画像処理部46は、撮像センサー251で計測されたRBG各波長の輝度値をL*a*b*座標系の色値に変換処理し、測色部26の計測により得られるL*a*b*座標系での色値と比較する。比較結果に基づく較正量の算出は、従来周知の手法のうちいずれかが用いられてよい。
【0054】
図4は、較正用検査画像の生成及び読取について説明する図である。
ヘッドユニット23は、媒体M上において、隣り合う撮像センサー251の撮像領域の重複部分を含むように検査用画像It(検査画像)を生成する。検査用画像Itは、例えば、各色のパッチ画像が順に搬送方向に配列されたものである。まず、検査用画像It1は、図4(a)に示すように、重複部分D1を含むように生成され、当該重複部分D1に係る撮像センサー2511、2512の両方で撮像される。測色部26による測色範囲をこの重複部分D1に合わせて位置させて、検査用画像It1の測色を行う。このような一つの検査用画像It1の一度の生成及び読取により、2個の撮像センサー2511、2512の較正を行うことができる。
【0055】
次いで、図4(b)に示すように、撮像センサー2513、2514の重複部分D3を含むように検査用画像It1と同一の検査用画像It2が形成されて、撮像センサー2513、2514により撮像される。この間に、測色部26の測色範囲が測色移動部72により幅方向に移動されて、重複部分D3の測色を行うように変更される。
【0056】
測色範囲が移動すると、測色計により検査用画像It2の測色が行われて、撮像センサー2513、2514の撮像結果とそれぞれ比較されて各撮像センサー2513、2514の較正量が決定される。
なお、重複部分D2については、それぞれ撮像センサー2512、2513による撮像が重複部分D1、D3により行われるので、検査用画像の生成、撮像及び測色が省略されてよい。
【0057】
図5は、検査用画像It1、It2の位置関係について説明する図である。
測色移動部72による移動速度V2は定まっているので、検査用画像It1の搬送方向上流端と、検査用画像It2の搬送方向下流端との間には、媒体搬送部71による媒体Mの移動速度V1(搬送速度)、測色移動部72の移動速度V2、及び重複部分D1、D3の間の幅方向についての距離dw13に依存した(基づく)搬送方向についての距離dt12が必要である。すなわち、距離dt12は、dt12≧dw13×(V1/V2)と定められ、画像形成時には、検査用画像It2は、搬送方向について検査用画像It1の長さと距離dt12の長さの和(ずれ量)だけ検査用画像It1の位置からずれて形成される。実際には、測色移動部72の移動開始及び終了時の速度変化及び測色計の安定などに要する時間が必要となるので、距離dt12は、上記式の右辺よりも多少大きく設定される。大きすぎると媒体Mの1枚のうちに入らないなど、媒体Mが無駄になるので、必要以上に大きくしなくてよい。なお、この較正動作を行う場合には、移動速度V1を通常の画像形成時よりも低下させることで、距離dt12を小さくすることができる。媒体搬送部71は、移動速度V1、すなわち、媒体の搬送速度を変更可能であってよく、距離dt12に応じて搬送速度を定めてもよい。
【0058】
図6は、本実施形態の画像形成装置1で実行される較正制御処理の制御部40による制御手順を示すフローチャートである。この較正制御処理は、本実施形態の較正方法に係る較正実行ステップを構成し、例えば、通信部61又は操作受付部63からユーザーなどによる所定の起動命令が取得されることにより開始される。
【0059】
較正制御処理が開始されると、制御部40は、測色移動部72に制御信号を出力して、測色範囲を重複部分D1の位置に合わせる(ステップS101)。制御部40は、搬送速度を設定し(通常の画像形成時よりも低速であってもよい)、媒体搬送部71により媒体Mを送出、設定された速度で搬送させながら、検査用画像It1、It2の画像データに基づいてヘッド駆動部28を動作させ、検査用画像It1、It2を媒体Mに形成させる動作を開始する(ステップS102)。
【0060】
制御部40は、媒体Mが移動して検査用画像It1が撮像センサー2511、2512の撮像位置に到達する期間、及び検査用画像It2が撮像センサー2513、2514の撮像位置に到達する期間にそれぞれ合わせて撮像動作を行わせる(ステップS103)。また、制御部40は、さらに媒体Mが移動して検査用画像It1が測色範囲に到達した後、各パッチ画像の測色を行わせる(ステップS104)。
【0061】
制御部40は、測色移動部72に制御信号を出力して、測色範囲を重複部分D2の位置へ移動させる(ステップS105)。制御部40は、測色範囲が検査用画像It2の所定位置に到達した後に検査用画像It2の各パッチ画像の測色を行わせる(ステップS106)。
【0062】
制御部40は、各撮像センサー251から画像処理部46に出力されたRGB形式の撮像データを当該画像処理部46により、色空間のデータ、例えば、L*a*b*座標系の各成分(明度、彩度及び色相など)に変換させる(ステップS107)。制御部40は、画像処理部46により、撮像結果の上記変換結果と測色結果とを比較して、その差異に基づいて各撮像センサー251の計測値の補正量を算出させる(ステップS108)。制御部40は、画像処理部46により、算出された補正量に基づいて較正設定を定めさせ、較正データ53に記憶させる(ステップS109)。そして、制御部40は、較正制御処理を終了する。
【0063】
なお、ステップS102~S107の処理内容は、検査用画像It1の処理のタイミングと検査用画像It2の処理のタイミングとで順番が適宜入れ替わって、及び/又は並行して行われてよく、記載の順番で全て直列に行われることを意味しない。
【0064】
[変形例]
図7は、検査用画像It1、It2の形成位置の変形例を示す図である。
上記実施の形態では、媒体Mの搬送に合わせて検査用画像It1、It2を搬送方向について異なる位置に形成したが、検査用画像It1を読み取った媒体Mを一度逆送させて、搬送方向について所定の測色範囲を複数回媒体Mが通過するように媒体搬送部71を動作させることができる場合には、媒体Mの搬送方向について同一位置に検査用画像It1、It2が形成されてもよい。あるいは、画像形成ドラム21上で媒体M上の画像を測色できるように測色部26を画像形成ドラム21の外周面に対向させて位置させることで、媒体Mを画像形成ドラム21から剥離させずに複数回周回させながら媒体Mの搬送方向について同一位置における検査用画像It1、It2を各周回で測色させてもよい。
【0065】
図8は、この変形例の検査用画像It1、It2に係る較正制御処理の制御部40による制御手順を示すフローチャートである。この較正制御処理は、上記実施形態の較正制御処理に対してステップS111、S112の処理が追加され、また、ステップS103の処理がステップS103aの処理に置き換えられた点を除き、処理内容は同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0066】
ステップS102の処理で、検査用画像It1、It2を媒体Mに形成開始させたのち、媒体Mが撮像センサー251の撮像位置に到達した期間で、制御部40は、撮像部25に制御信号を出力して、検査用画像It1、It2を並行して撮像させる(ステップS103a)。それから、制御部40の処理は、ステップS104に移行する。
【0067】
ステップS104の処理で、検査用画像It1の測色が終了した後、媒体Mの上流端が受け渡しローラー274(及び画像形成ドラム21の外周面)から離れる前に、制御部40は、媒体搬送部71による通常の搬送方向への搬送動作を中止させ、媒体Mを、検査用画像It2の下流端(先頭)が測色部26の測色範囲よりも搬送方向について上流側に戻るまで逆送させる(ステップS111)。それから、制御部40の処理は、ステップS105の処理に移行する。なお、ステップS111、S105の処理は、並行して行われてよい。その後、制御部40は、媒体搬送部71による媒体Mの搬送方向への搬送動作を再開させる(ステップS112)。それから、制御部40の処理は、ステップS106へ移行する。
【0068】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、所定の搬送経路で媒体Mを移動させる搬送部としての媒体搬送部71及び画像形成ドラム21と、複数の撮像センサー2511~2514を有し、搬送経路上で媒体Mの表面を撮像する撮像部25と、搬送経路上で媒体Mの表面を測色する測色部26と、制御部40と、を備える。複数の撮像センサー251(2511~2514)の各々による撮像範囲は、搬送経路に沿った搬送方向に直交する幅方向(通常は、搬送面と平行な面内)について隣り合う撮像センサーの間で重複部分D1~D3を有し、制御部40は、重複部分D1、D3に位置する所定の検査用画像It1、It2の撮像部25による撮像結果及び測色部26による測色結果に基づいて撮像センサー251の較正動作を行う。
このように、画像形成装置1が測色部26を有することで、より容易かつ高精度に撮像センサーの較正を行うことができる。したがって、この撮像センサーを利用してより適切にヘッドユニット23による形成画像の色を監視、調整することができる。また、このときに、2個の撮像センサーの重複部分に合わせて検査用画像を形成して、当該2個の撮像センサーの較正をまとめて行うことで、より効率よく容易に較正の精度を向上させることができる。
【0069】
また、画像形成装置1は、測色部26による測色範囲を幅方向に移動させる測色移動部72を備える。撮像部25は、撮像センサー251を3個以上有し、制御部40は、複数の検査用画像の形成位置のそれぞれに測色範囲を移動させて、測色部26による測色を行わせる。測色計は撮像センサーほど広い範囲を一度に測色せず、また、撮像センサーほど使用頻度も高くないので、移動可能とすることで、効率よく較正を行うことができる。
【0070】
また、画像形成装置1は、搬送経路上で媒体Mの表面に画像を形成するヘッドユニット23を備える。制御部40は、搬送部による媒体Mの移動速度V1と、測色移動部72による測色範囲の移動速度V2とに基づいて複数の検査用画像の搬送方向についての位置のずれ量(特に、距離dt12)を定めて、ヘッドユニット23により複数の検査用画像をそれぞれ形成させる。これにより、単一の測色部26により通常方向に搬送させながら手間をかけずに複数の検査用画像の測色を行うことができる。
【0071】
また、制御部40は、搬送部による媒体Mの搬送速度を変更可能であり、測色移動部72による測色範囲の移動速度V2と、複数の検査用画像It1、It2の搬送方向についての位置のずれ量(距離dt12でもよい)とに基づいて、搬送部による媒体Mの移動速度V1(搬送速度)を定める。したがって、媒体Mのサイズなどに応じて検査用画像It1、It2が予め定まっている場合に、当該検査用画像It1、It2の配置に搬送速度を合わせることができる。
【0072】
また、搬送部は、媒体Mが測色部26による測色範囲を複数回通過するように当該媒体Mを搬送可能である。すなわち、搬送部は、媒体Mを逆送させたり、周回経路を複数回周回させたりすることで、周回ごとに幅方向について異なる位置の検査用画像の測色を行うことができる。これにより、上記のように複数の検査用画像を搬送方向について異なる位置に形成しなくてもよいので、検査用画像の形成に必要な搬送方向についての長さを短くすることができる。
【0073】
また、画像形成装置1は、搬送経路上で媒体Mの表面に画像を形成するヘッドユニット23を備え、制御部40は、ヘッドユニット23により重複部分D1、D3に所定の検査用画像It1、It2を形成させる。このように、画像形成装置1自身で検査用画像It1、It2を形成することで、検査用画像It1、It2の位置関係を画像形成装置1に合わせて調整しやすい。
【0074】
また、制御部40は、搬送部による媒体Mの移動速度V1を変更可能である。したがって、上述のように予め距離dt12が定まっている場合に限らず、測色部26による測色に必要な時間に応じて搬送速度を減速させたり、減速させることで上記の距離dt12を小さくして、検査に必要な媒体Mの搬送方向についての長さを削減したりすることができる。
【0075】
また、上記構成のうちヘッドユニット23を分離した画像読取装置によっても、測色部26を有することで、より容易かつ高精度に撮像センサーの較正を行うことができる。したがって、この撮像センサーを利用してより適切にヘッドユニット23による形成画像の色を監視、調整することができる。また、このときに、2個の撮像センサーの重複部分に合わせて検査用画像を形成して、当該2個の撮像センサーの較正をまとめて行うことで、より効率よく容易に較正の精度を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態の撮像センサーの較正方法は、画像形成装置1が測色部26を備え、重複部分D1、D3に位置する所定の検査用画像It1、It2の撮像部25による撮像結果及び測色部26による測色結果に基づいて撮像センサー2511、2512の較正動作を行う較正実行ステップを含む。これにより、より容易かつ高精度に画像形成装置1における撮像センサーの較正を行うことができる。したがって、この撮像センサーを利用してより適切にヘッドユニット23による形成画像の色を監視、調整することができる。また、このときに、2個の撮像センサーの重複部分に合わせて検査用画像を形成して、当該2個の撮像センサーの較正をまとめて行うことで、より効率よく容易に較正の精度を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、複数の撮像センサー251は、千鳥格子状に配置されるものとして説明したが、幅方向について重複部分を有する配置であれば、特には限られない。
【0078】
また、上記実施の形態では、撮像センサーをラインセンサーとして説明したが、搬送方向にも所定の幅でまとめて撮像可能な二次元センサーであってもよい。また、測色計は一つに限られず、複数の重複部分に合わせて各々設けられていてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、測色移動部72による移動速度V2を一定であるものとして説明したが、移動開始時に速度が漸増し、移動終了時に速度が漸減するようなものであってもよい。一方で、媒体搬送部71による媒体Mの移動速度V1は、可変でなくてもよい。ここでいう可変とは、複数の速度のいずれかで選択的に搬送可能なものをいい、搬送開始時及び終了時に速度を漸増/漸減させる部分を考慮しない。
【0080】
また、上記実施の形態では、検査用画像を重複部分D1、D3にのみ形成させたが、これらの部分を含んでいれば、幅方向に連続して形成されていてもよい。この場合、測色されない部分の画像は、較正には用いられない。あるいは、重複部分D1、D3以外の部分や、重複部分D1、D3の部分でも、測色範囲ではない部分には、測色を必要としない他の目的の検査に利用される検査用画像が形成されてもよい。撮像自体は撮像センサーにより全体を一度に行うことが可能であるので、まとめて画像形成及び撮像を行うことで、効率よく各種検査を行うことができる。
【0081】
また、上記実施の形態では、4個のラインセンサーに対し、2か所の重複部分D1、D3での検査用画像It1、It2の形成並びにその撮像及び測色により、4個のラインセンサーの較正動作を行ったが、ラインセンサーの数が異なる場合には、数に応じた箇所数の検査用画像が形成されて較正に利用されればよい。ラインセンサーが2個の場合には、検査用画像が一個でよいので、他の用途での利用がなければ測色移動部72を備えなくてもよく、単一の重複部分に合わせて測色部26の測色範囲が固定される。
【0082】
また、上記実施の形態では、各重複部分D1、D3においてそれぞれ1か所ずつ検査用画像It1、It2を形成し、それぞれ1か所の撮像結果と対応する部分の測色結果を用いて構成を行うこととしたが、重複部分D1、D3の幅などによっては、これに限られなくてもよい。例えば、重複部分D1、D3内のそれぞれ異なる2か所で測色を行い、得られた結果の代表値(例えば平均値など)を取得してもよい。
【0083】
また、上記変形例では、媒体Mを逆送させて、再度順方向に搬送している途中で2回目以降の測色を行うこととしたが、逆送中に測色が行われてもよい。特に、3回以上の測色を行う場合には、往路と復路の両方で測色を可能とすることで、往復回数を低減させることができる。
【0084】
また、検査用画像It1、It2は、画像形成装置1自身で形成されたものに限らない。重複部分D1、D3との位置合わせが適正に可能であれば、予め用意された検査用紙上の検査用画像It1、It2が撮像、測色されてもよく、また、一度形成された検査用紙を複数回再利用してもよい。
【0085】
また、上記実施の形態でいう画像形成は、有色インクによる平面画像に限られない。無色のインクや透明な(光透過性の)インクが含まれていてもよく、また、立体的な構造を有するものであってもよい。媒体Mの搬送は、円筒状の画像形成ドラム21ではなくてもよく、平面に沿って媒体Mを搬送するベルト部材などが用いられてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、ラインヘッドを有する画像形成装置を例に挙げて説明したが、ヘッドユニット23を媒体Mに対してスキャン(走査)させながら画像を形成させるタイプのものであっても、複数の撮像センサーをつないで長尺の撮像部25を構成しているものの較正に上記開示の内容を適用することができる。
【0087】
また、上記実施の形態では、画像形成装置としてインクジェット方式のもの(インクジェット記録装置)を例に挙げて説明したが、その他の方式による画像形成装置、例えば、電子写真方式によるものなどであってもよい。また、インク吐出の方式は、圧電素子を用いたピエゾ式や発熱体を用いたサーマル式など、任意のものであってよい。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0088】
1 画像形成装置
10 媒体供給部
11 媒体供給トレー
12 供給搬送部
20 形成部
21 画像形成ドラム
22 受け渡しユニット
23 ヘッドユニット
231 インクジェットヘッド
24 定着部
25 撮像部
251、2511~2514 撮像センサー
26 測色部
261 支持部材
27 デリバリー部
28 ヘッド駆動部
29 定着駆動部
30 媒体排出部
31 媒体排出トレー
40 制御部
41 CPU
42 RAM
45 搬送駆動部
46 画像処理部
50 記憶部
51 プログラム
52 ジョブデータ
53 較正データ
61 通信部
62 表示部
63 操作受付部
71 媒体搬送部
72 測色移動部
90 バス
D1、D3 重複部分
It、It1、It2 検査用画像
M 媒体
N ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8