(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20231017BHJP
H01R 12/85 20110101ALI20231017BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01R12/77
H01R12/85
H01R13/629
(21)【出願番号】P 2019237964
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056338(JP,A)
【文献】中国実用新案第206422267(CN,U)
【文献】特開平04-253176(JP,A)
【文献】実公平06-035413(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3019281(JP,U)
【文献】特開2002-093503(JP,A)
【文献】特開2008-053123(JP,A)
【文献】特開2011-216422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0220013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77-12/79
H01R 13/629
H01R 12/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板収容空間を有するコネクタハウジングと、
前記基板収容空間に臨むように前記コネクタハウジングに取り付けられた端子金具と、
前記基板収容空間に配置されたフレキシブル基板を前記端子金具との間で挟んで保持するリテーナと、を有し、
前記リテーナは、前記フレキシブル基板を前記端子金具に向けて押圧する押圧状態と、前記フレキシブル基板への押圧を解除する非押圧状態とに変化するコネクタであって、
前記リテーナは金属製であり、
前記リテーナが前記押圧状態の際に、前記フレキシブル基板を弾性的に押圧し、前記フレキシブル基板と前記端子金具とを接触させる弾性押圧片が設けられており、
前記コネクタハウジングには、複数の前記端子金具が設けられており、
複数の前記弾性押圧片は、複数の前記端子金具の各々に対応して配置されており、
前記コネクタハウジングは、隣り合う前記端子金具の間を仕切る壁部を有し、
前記フレキシブル基板は、複数の前記端子金具に個別に接続される複数のパターンを有し、
前記フレキシブル基板には、隣り合う前記パターンの間を切欠した形態の挿通部が形成され、
前記挿通部に前記壁部が挿通されているコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1接続端子、及び第1接続端子に対応する第2接続端子がベースに取り付けられているコネクタが開示されている。第1接続端子は、一端に操作受け部を有し他端に第2接続端子に隣り合う可動接点を有する操作接点片を有している。ベースには、操作することによって、操作カムが操作受け部を押し上げる操作レバーが設けられている。このコネクタは、操作レバーを操作することによって、連結部を挟み一方側に位置する操作受け部を操作カムが押し上げ、連結部を挟み他方側の可動接点が第2接続端子に近づく。これによって、FPC(Flexible printed circuits)は可動接点と第2接続端子とによって挟まれて保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成において、例えば第1端子が複数並んで配置されている構成の場合、第1接続端子に接触する操作カム(操作レバー)は例えば、合成樹脂のような導電性を有さない材質にする必要がある。この場合、このコネクタを高温、高湿の雰囲気に長期間さらすと、押し上げられた操作受け部の反力によって操作カムが徐々に変形し、FPCを保持する力が弱くなるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示では高温、高湿の雰囲気であっても基板を良好に保持することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
基板収容空間を有するコネクタハウジングと、
前記基板収容空間に臨むように前記コネクタハウジングに取り付けられた端子金具と、
前記基板収容空間に配置されたフレキシブル基板を前記端子金具との間で挟んで保持するリテーナと、を有し、
前記リテーナは、前記フレキシブル基板を前記端子金具に向けて押圧する押圧状態と、前記フレキシブル基板への押圧を解除する非押圧状態とに変化するコネクタであって、
前記リテーナは金属製である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高温、高湿の雰囲気であっても基板を良好に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のコネクタにおいて、基板収容空間にフレキシブル基板が配置され、リテーナが押圧状態であることを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態2のコネクタにおいて、基板収容空間にフレキシブル基板が配置され、リテーナが押圧状態であることを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態3のコネクタにおいて、基板収容空間にフレキシブル基板が配置され、リテーナが押圧状態であることを示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態4のコネクタにおいて、基板収容空間にフレキシブル基板が配置され、リテーナが押圧状態であることを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)基板収容空間を有するコネクタハウジングと、基板収容空間に臨むようにコネクタハウジングに取り付けられた端子金具と、基板収容空間に配置されたフレキシブル基板を端子金具との間で挟んで保持するリテーナと、を有し、リテーナは、フレキシブル基板を端子金具に向けて押圧する押圧状態と、フレキシブル基板への押圧を解除する非押圧状態とに変化するコネクタであって、リテーナは金属製である。
本開示の構成によれば、リテーナは金属製であるため、このコネクタを高温、高湿の雰囲気に長期間さらしても、リテーナが変形し難い。
【0010】
(2)本開示のコネクタは、リテーナが押圧状態の際に、フレキシブル基板を弾性的に押圧し、フレキシブル基板と端子金具とを接触させる弾性押圧片が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、フレキシブル基板と端子金具との間の寸法がばらついた場合であっても、弾性押圧片によってフレキシブル基板と端子金具とを確実に導通させることができる。
【0011】
(3)本開示のコネクタのコネクタハウジングには、複数の端子金具が設けられており、複数の弾性押圧片は、複数の端子金具の各々に対応して配置されていることが好ましい。
この構成によれば、基板に対する複数の端子金具の位置関係がばらついても、各端子金具に対応した弾性押圧片によって、各端子金具と基板との接続状態を良好に成立させることができる。
【0012】
(4)本開示のコネクタのコネクタハウジングは、隣り合う端子金具の間を仕切る壁部を有し、フレキシブル基板は、複数の端子金具に個別に接続される複数のパターンを有し、フレキシブル基板には、隣り合うパターンの間を切欠した形態の挿通部が形成され、挿通部に壁部が挿通されていることが好ましい。
この構成によれば、壁部によって、フレキシブル基板に形成された隣り合うパターン同士の間の沿面距離を確保することができる。
【0013】
(5)本開示のコネクタの弾性押圧片は、リテーナ及び端子金具の少なくともいずれかに一体に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、フレキシブル基板を挟む構成のいずれかに弾性押圧片を設けるため、別体として設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0014】
(6)本開示のコネクタのコネクタハウジングには、コネクタハウジングを基板に取り付けた状態に保持するペグが取り付けられ、リテーナは、ペグに対して第1配置状態のときに押圧状態となり、ペグに対して第2配置状態のときに非押圧状態になることが好ましい。
この構成によれば、ペグはコネクタハウジングと別体であるため、ペグの材質をコネクタハウジングと異ならせることができる。これによって、ペグの材質として、金属製のリテーナが取り付けられても摩耗、変形しないものを選択することができるので、リテーナを確実に押圧状態に保持することができる。
【0015】
(7)本開示のコネクタのリテーナは、ペグに係止される軸部を有し、リテーナは、軸部周りに回動して、押圧状態と非押圧状態とに変化することが好ましい。
この構成によれば、コネクタハウジングに対してリテーナを位置決めする作業をすることなく、リテーナの状態を容易に非押圧状態から押圧状態に変化させることができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施形態1]
以下、本開示の実施形態1に係るコネクタ1を、
図1から3を参照しつつ説明する。実施形態1に係るコネクタ1は、コネクタハウジング10、端子金具11、ペグ12、及びリテーナ13を備えている。コネクタ1は、フレキシブル基板30と端子金具11とを電気的に接続するものである。なお、以下の説明中、前後方向については、コネクタハウジング10にフレキシブル基板30を挿入する側(
図3における
左側)を前側とし、上下方向については、
図3における
上方、
下方を、上方、下方と定義する。左右方向については、
図2における
左方、
右方を、左方、右方と定義する。
【0017】
[コネクタの構成]
コネクタハウジング10は合成樹脂製であって、ほぼ直方体状をなした端子保持部10Aと、端子保持部10Aの前方に形成された基板挿入部10Bとを有している。端子保持部10Aはキャビティ10Eを有している(
図3参照。)。キャビティ10Eは前後方向に延びており、左右方向に複数が整列して配置されている(
図2参照。)。各キャビティ10Eの前端は閉鎖されている。各キャビティ10Eには、後述する端子金具11が後方から挿入される。コネクタハウジング10には、複数の端子金具11が設けられている。キャビティ10Eの前側には、上側が開放されて基板収容空間S1が形成されている。実施形態1において、基板収容空間S1は、キャビティ10Eの上側が開放された領域である。コネクタハウジング10は基板収容空間S1を有している。
【0018】
基板収容空間S1において、隣り合うキャビティ10Eの間には隣り合うキャビティ10Eを仕切る壁部10Fが設けられている(
図2参照。)。各壁部10Fの前後中央部には、上方向に突出する突出部10Gが設けられている(
図1、2参照。)。各壁部10Fは、隣り合う端子金具11の間を仕切る機能を有している。各突出部10Gの前側は、前方向に下り傾斜する傾斜面10Hが形成されている(
図1参照。)。
【0019】
基板挿入部10Bには、前後方向に貫通し、キャビティ10Eの並び方向に長く形成されたスリット10Dが形成されている(
図3参照。)。スリット10Dの基板挿入部10Bの前端の周縁は、面取りがなされている(
図3参照。)。
【0020】
端子金具11は、導電性の金属板を曲げ加工などして一体に成形されている。端子金具11は、
図3に示すように、全体として前後方向に細長い形状になっている。端子金具11は、筒状の端子本体11Aと、端子本体11Aの後方に圧入部11Cを介して連なる基板接続部11Bとを有している。端子本体11Aは、弾性押圧片である板状のバネ片11Eを有している。バネ片11Eは、基板挿入部10Bから挿入され、基板収容空間S1内に配置されたフレキシブル基板30に形成されたパターンである電極30Bに対して弾性的に接触する。これによって、バネ片11Eは、フレキシブル基板30と端子金具11とを所定の接触圧で接続するための手段として機能する。バネ片11Eは、端子本体11Aの前端縁から折り返されており、後端に向けて延出した形態であり、端子本体11A内に収容されている。バネ片11Eの前後中央部は、上方向に突出して形成されており、端子本体11Aの上面よりも上方に突出している。つまり、複数のバネ片11Eは、複数の端子金具11の各々に対応して配置されている。
【0021】
基板接続部11Bは図示しない基板に形成されたパターンに電気的に接続される。端子金具11は、端子本体11Aと基板接続部11Bとの間に圧入部11Cを有している。圧入部11Cの左右両側面には、複数の突起が設けられている(図示せず。)。圧入部11Cがキャビティ10Eの後端部に圧入されると、各突起がキャビティ10Eの後端部の両側面に食い込んで係止され、端子金具11がコネクタハウジング10に抜け止め状態に保持される。端子金具11の端子本体11Aは、基板収容空間S1に臨んでいる。
【0022】
ペグ12は金属製である。ペグ12は、
図2に示すように、全体として平板状をなしている。ペグ12は、基板収容空間S1の左右両側であって、コネクタハウジング10の左右両側面に沿って1つずつ取り付けられている。ペグ12の下端部は図示しない基板の表面に形成されたパターンに当接して半田付けし易いように横方向に屈曲して形成されている。これによって、コネクタハウジング10は、ペグ12を介して基板の表面に取り付けた状態に保持されるようになっている。ペグ12は、前端と後端の各々に圧入部12Dを有している(
図1参照。)。ペグ12は、コネクタハウジング10の左右両側面部の各々に形成された溝部10Kに圧入部12Dを上方向から圧入することによって、コネクタハウジング10の左右両側面に取り付けられる。これらペグ12は、コネクタハウジング10の左右方向中央を介して線対称な形状になっている。
【0023】
各ペグ12は、複数の被係止部12Bを有している。各ペグ12の各被係止部12Bは、前後方向に延びており、下側が左右外側に向けて切り起こされている。複数の被係止部12Bは、各ペグ12の上側に、上下に並んで配置されている。
【0024】
リテーナ13は、ステンレスなどの金属板を曲げ加工などして一体に成形されている。リテーナ13は、全体として平板状の長方形状に形成されたリテーナ本体13Aと、キャビティ10Eの並び方向のリテーナ本体13Aの両端にそれぞれ設けられた係止部13Bを有している。リテーナ本体13Aには、長手方向に並んで複数の貫通孔13Gが板厚方向に貫通して形成されている。各貫通孔13Gは、コネクタハウジング10の複数の突出部10Gの各々に対応している。リテーナ13をコネクタハウジング10に取り付けた状態において、各貫通孔13Gには、突出部10Gが挿通される(
図2参照。)。
【0025】
各係止部13Bは、内壁部13C、上壁部13D、外壁部13E、及び係止部本体13Fを有している。内壁部13Cは、リテーナ本体13Aの長手方向の両端から上方向に屈曲して延びている。上壁部13Dは、各内壁部13Cの先端から左右外側に向けて延びている。外壁部13Eは、各上壁部13Dの先端から垂下している。係止部本体13Fは各外壁部13Eの下端から左右内側に向けて延びている。各係止部本体13Fは、リテーナ本体13Aよりも下方に位置している。
【0026】
リテーナ13は、基板収容空間S1内にリテーナ本体13A及び内壁部13Cが配置されるようにコネクタハウジング10に取り付けられる。各外壁部13Eは、ペグ12の被係止部12Bを左右外側から覆うように配置される。係止部本体13Fは、上側又は下側の被係止部12Bの下端に下方から係止する。リテーナ13はペグ12を介してコネクタハウジング10に取り付けられる。
【0027】
例えば、基板収容空間S1にフレキシブル基板30を配置していない場合、係止部本体13Fは、上側の被係止部12Bの各々の下端に下方から係止する状態にする。そして、基板収容空間S1にフレキシブル基板30を配置した場合、係止部本体13Fは、下側の被係止部12Bの各々の下端に下方から係止する状態にする。
【0028】
(フレキシブル基板の構成)
フレキシブル基板30には、FPCが採用されている。フレキシブル基板30は、柔軟性を有すると共に変形可能な構成であり、変形した場合にも電気的特性が維持される構成をなす。例えば、フレキシブル基板30のコネクタハウジング10に挿入する端部30Aは、上面に補強板(図示せず)が貼り付けられ、下面に、前後方向に延びて互いに平行に配置された複数の電極30Bが露出して設けられている。フレキシブル基板30には、隣り合う電極30Bの間を切欠した形態の挿通部である複数の挿通孔30Cが貫通して形成されている。各挿通孔30Cは、コネクタハウジング10の複数の突出部10Gの各々に対応している。各挿通孔30Cには、フレキシブル基板30の端部30Aをコネクタハウジング10に挿入した状態において、突出部10Gが挿通される(
図2参照。)。
【0029】
(フレキシブル基板と端子金具との接続)
フレキシブル基板30と端子金具11との接続について説明する。フレキシブル基板30の端部30Aを基板収容空間S1に配置する前の状態において、リテーナ13の係止部本体13Fは、上側の被係止部12Bの各々の下端に下方から係止する状態にされている。
【0030】
次に、フレキシブル基板30の端部30Aを基板挿入部10Bのスリット10Dに挿入する。すると、端部30Aは、コネクタハウジング10の突出部10Gに形成された傾斜面10Hに接触する。さらに、端部30Aの挿入が進むと、端部30Aが突出部10Gに形成された傾斜面10Hによって上方向に持ち上げられる。そして、さらに端部30Aの挿入が進むと、各突出部10Gは各挿通孔30Cに挿通されて、持ち上げられた端部30Aは、元の姿勢に戻るように、下方向に下がる(
図2参照。)。このとき、端部30Aの各電極30Bは、各端子本体11Aのバネ片11Eに接触する。つまり、フレキシブル基板30は、複数の端子金具11に個別に接続される複数の電極30Bを有している。こうして、端部30Aは基板収容空間S1に配置される。このとき、リテーナ13は、ペグ12に対する第2配置状態であり、フレキシブル基板30への押圧を解除した非押圧状態である。
【0031】
次に、リテーナ13をフレキシブル基板30を端子金具11に向けて押圧する押圧状態にする。具体的には、係止部本体13Fを、下側の被係止部12Bの各々の下端に下方から係止する状態にする(
図2参照。)。これによって、リテーナ本体13Aによって、フレキシブル基板30の端部30Aが端子金具11に近づく方向に押圧される。具体的には、フレキシブル基板30の端部30Aがバネ片11Eによって上方向に僅かに持ち上げられた状態になっており、上方向に持ち上げられた端部30Aをリテーナ本体13Aによって下方向に押圧する。つまり、端子金具11には、リテーナ13が押圧状態の際に、フレキシブル基板30を弾性的に押圧し、フレキシブル基板30と端子金具11とを接触させるバネ片11Eが設けられている。このとき、リテーナ本体13Aの貫通孔13Gにコネクタハウジング10の突出部10Gが挿通される(
図2参照。)。このとき、リテーナ13の状態は、ペグ12に対する第1配置状態であり、フレキシブル基板30を押圧する押圧状態である。つまり、リテーナ13は、基板収容空間S1に配置されたフレキシブル基板30を端子金具11との間で挟んで保持する。このとき、フレキシブル基板30は、挿通孔30Cにコネクタハウジング10の突出部10Gが挿通された状態がリテーナ13によって保持されている状態である(
図2参照。)。このため、フレキシブル基板30はコネクタハウジング10から抜けることが規制された状態となる。
【0032】
フレキシブル基板30の隣り合う電極30Bは、挿通孔30Cに挿通される突出部10Gによって、沿面距離が確保される(
図2参照。)。
【0033】
次に、実施形態1の作用効果を説明する。
本開示のコネクタ1は、コネクタハウジング10と、端子金具11と、リテーナ13と、を有している。コネクタハウジング10は、基板収容空間S1を有する。端子金具11は、基板収容空間S1に臨むようにコネクタハウジング10に取り付けられている。リテーナ13は基板収容空間S1に配置されたフレキシブル基板30を端子金具11との間で挟んで保持する。リテーナ13は、フレキシブル基板30を端子金具11に向けて押圧する押圧状態と、フレキシブル基板30への押圧を解除する非押圧状態とに変化する。リテーナ13は金属製である。
本開示の構成によれば、リテーナ13は金属製であるため、コネクタ1を高温、高湿の雰囲気に長期間さらしても、リテーナ13が変形し難い。
【0034】
本開示のコネクタ1には、リテーナ13が押圧状態の際に、フレキシブル基板30を弾性的に押圧し、フレキシブル基板30と端子金具11とを接触させるバネ片11Eが設けられている。
この構成によれば、フレキシブル基板30と端子金具11との間の寸法がばらついた場合であっても、バネ片11Eによってフレキシブル基板30と端子金具11とを確実に導通させることができる。
【0035】
本開示のコネクタ1のコネクタハウジング10には、複数の端子金具11が設けられており、複数のバネ片11Eは、複数の端子金具11の各々に対応して配置されている。
この構成によれば、フレキシブル基板30に対する複数の端子金具11の位置関係がばらついても、各端子金具11に対応したバネ片11Eによって、各端子金具11とフレキシブル基板30との接続状態を良好に成立させることができる。
【0036】
本開示のコネクタ1のコネクタハウジング10は、隣り合う端子金具11の間を仕切る壁部10Fを有している。フレキシブル基板30は、複数の端子金具11に個別に接続される複数の電極30Bを有している。フレキシブル基板30には、隣り合う電極30Bの間を切欠した形態の挿通孔30Cが形成され、挿通孔30Cに壁部10Fの突出部10Gが挿通されている。
この構成によれば、壁部10Fの突出部10Gによって、フレキシブル基板30に形成された隣り合う電極30B同士の間の沿面距離を確保することができる。
【0037】
本開示のコネクタ1のバネ片11Eは、端子金具11に一体に設けられている。
この構成によれば、フレキシブル基板30を挟む構成の内の端子金具11にバネ片11Eを一体に設けるため、別体として設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0038】
本開示のコネクタ1のコネクタハウジング10には、コネクタハウジング10を基板に取り付けた状態に保持するペグ12が取り付けられている。リテーナ13は、ペグ12に対して第1配置状態の際に押圧状態となり、ペグ12に対して第2配置状態の際に非押圧状態になる。
この構成によれば、ペグ12はコネクタハウジング10と別体であるため、ペグ12の材質をコネクタハウジング10と異ならせることができる。これによって、ペグ12の材質として、金属製のリテーナ13が係止されても摩耗、変形しないものを選択することができるので、リテーナ13を確実に押圧状態に保持することができる。
【0039】
[実施形態2]
本開示の実施形態2に係るコネクタ2を、
図4から6を参照して説明する。実施形態2に係るコネクタ2は、端子金具21が帯状である点、リテーナ23に弾性押圧片であるバネ片23Cが設けられている点等が実施形態1と異なる。実施形態1と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。なお、以下の説明中、前後方向については、コネクタハウジング20にフレキシブル基板30を挿入する側(
図6における
左側)を前側とし、上下方向については、
図6における
上方、
下方を、上方、下方と定義する。左右方向については、
図5における
左方、
右方を、左方、右方と定義する。
【0040】
端子金具21は金属製である。端子金具21は、
図6に示すように、全体として帯状をなして前後方向に延びて形成されている。端子金具21の前側は端子本体21Aであり、端子金具21の後側は基板接続部21Bである。端子本体21Aは基板接続部21Bよりも上方に配置されている。端子本体21Aは、基板収容空間S2の底面に沿って配置されている。端子本体21Aは基板収容空間S2に臨んで配置されている。端子本体21Aの前端は、基板挿入部20Bのスリット20Dの後端に対向している。端子本体21Aには、上方向に曲面状に叩き出した形態のエンボス21Fが形成されている。エンボス21Fはフレキシブル基板30の電極30Bに点接触する(
図5参照。)。端子本体21Aと、基板接続部21Bとは、中間部21Cによって連結されている。中間部21Cは、端子本体21Aの後端から基板接続部21Bに向けて下り傾斜している。端子本体21Aの後端部には圧入部21Dが設けられている。圧入部21Dがキャビティ20Eの後端部に圧入されると、圧入部21Dによって端子金具21はコネクタハウジング20に抜け止め状態に保持される。
【0041】
リテーナ23は、
図5に示すように、リテーナ本体23A、係止部23B、及び弾性押圧片であるバネ片23Cを有している。リテーナ本体23Aは、全体として平板状の長方形状に形成されて左右方向に延びている。各係止部23Bはキャビティ20Eの並び方向のリテーナ本体23Aの両端にそれぞれ設けられ垂下している。各係止部23Bの下端には左右内側に向けて延びる係止部本体23Dが設けられている。バネ片23Cは、リテーナ本体23Aの前端縁から折り返されており、後端に向けて延出した形態であり、リテーナ本体23Aの下方に配置されている(
図6参照。)。バネ片23Cの前後中央部は、下方向に湾曲している(
図6参照。)。
【0042】
リテーナ23は、リテーナ本体23Aによって基板収容空間S2の上側を覆うようにコネクタハウジング20に取り付けられる。各係止部23Bは、ペグ12の被係止部12Bを左右外側から覆うように配置される。係止部本体23Dは、上側又は下側の被係止部12Bの下端に下方から係止する。リテーナ23はペグ12を介してコネクタハウジング20に取り付けられる。
【0043】
(フレキシブル基板と端子金具との接続)
フレキシブル基板30と端子金具21との接続について説明する。フレキシブル基板30の端部30Aを基板収容空間S2に配置する前の状態において、リテーナ23の係止部本体23Dは、上側の被係止部12Bの各々の下端に下方から係止する状態にされている。このとき、リテーナ23の状態は、ペグ12に対して第2配置状態である。次に、フレキシブル基板30の端部30Aを基板挿入部20Bのスリット20Dに挿入する。すると、端部30Aの各電極30Bに、各エンボス21Fが接触する。端部30Aは、各電極30Bに各エンボス21Fが接触した状態を維持しながら挿入が進む。そして、端部30Aの先端が基板収容空間S2の後端部に到達したところで、リテーナ23を押圧状態にする。
【0044】
具体的には、係止部本体23Dを、下側の被係止部12Bの各々の下端に下方から係止する状態にする(
図5参照。)。すると、端部30Aの上側の面(補強板が貼り付けられた面)にリテーナ23のバネ片23Cが接触し、バネ片23Cは、リテーナ本体23Aに近づく方向にたわむ。つまり、フレキシブル基板30は、リテーナ23のバネ片23Cによって、フレキシブル基板30の端部30Aが端子金具21に近づく方向に押圧される。つまり、リテーナ23には、リテーナ23が押圧状態の際に、フレキシブル基板30を弾性的に押圧し、フレキシブル基板30と端子金具21とを接触させるバネ片23Cが設けられている。このとき、リテーナ23の状態は、ペグ12に対する第1配置状態であり、フレキシブル基板30を押圧する押圧状態である。
【0045】
本開示のコネクタ2は、リテーナ23が押圧状態の際に、フレキシブル基板30を弾性的に押圧し、フレキシブル基板30と端子金具21とを接触させるバネ片23Cが設けられている。
この構成によれば、フレキシブル基板30と端子金具21との間の寸法がばらついた場合であっても、バネ片23Cによってフレキシブル基板30を確実に端子金具21に導通させることができる。
【0046】
本開示のコネクタ2のバネ片23Cは、リテーナ23に一体に設けられている。
この構成によれば、フレキシブル基板30を挟む構成の内のリテーナ23にバネ片23Cを一体に設けるため、別体として設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0047】
[実施形態3]
本開示の実施形態3に係るコネクタ3を、
図7から9を参照して説明する。実施形態3に係るコネクタ3は、コネクタハウジング40の形態、ペグ22の形態、端子金具31の形態、リテーナ33の形態、及びフレキシブル基板130の形態等が実施形態1、2と異なる。なお、以下の説明中、前後方向については、コネクタハウジング40にフレキシブル基板130が引き出される側(
図9における
左側)を前側とし、上下方向については、
図9における
上方、
下方を、上方、下方と定義する。左右方向については、
図8における
左方、
右方を、左方、右方と定義する。
【0048】
[コネクタの構成]
コネクタハウジング40はほぼ直方体状をなした端子保持部40Aと、端子保持部40Aの前方に形成された基板配置部40Bとを有している。端子保持部40Aはキャビティ40Eを有している(
図9参照。)。隣り合うキャビティ40Eの間には隣り合うキャビティ40Eを仕切る壁部40Fが設けられている(
図8参照。)。各壁部40Fの上端面を形成する各辺は、面取りがなされている(
図8参照。)実施形態3において、基板収容空間S3は、キャビティ40Eの上側が開放された領域、及び基板配置部40Bの上側の領域が含まれる。基板収容空間S3において、各壁部40Fの前端は、基板収容空間S3の前後中央部に位置している。
【0049】
基板収容空間S3において、基板配置部40Bの底面と、キャビティ40Eの底面とは、面一に形成されている(
図9参照。)。基板収容空間S3の左右両側には、上方向に立ち上がる側壁部40Hが設けられている(
図8参照。)。側壁部40Hの上端面の周縁は面取りがなされている(
図8参照。)。基板収容空間S3の壁部40Fの前方には、2つのボス40Dが上方向に突出し、キャビティ40Eの並び方向に並んで設けられている(
図7参照。)。これらボス40Dの外径は同じである。
【0050】
端子金具31は金属製である。端子金具31は、
図9に示すように、全体として帯状をなして前後方向に延びて形成されている。端子金具31の前側は端子本体31Aであり、端子金具31の後側は基板接続部31Bである。端子本体31Aは基板接続部
31Bよりも上方に配置されている。端子本体31Aは、基板収容空間S3の底面に沿って配置されている。端子本体31Aは、基板収容空間S3内に臨んで配置されている。端子本体31Aの前端は、壁部40Fの前端より後方に位置している。端子本体31Aと、基板接続部31Bとは、中間部31Cによって連結されている。中間部31Cは、端子本体31Aの後端から基板接続部31Bに向けて下り傾斜している。端子本体31Aの後端部には圧入部31Dが設けられている。圧入部31Dがキャビティ40Eの後端部に圧入されると、圧入部31Dによって端子金具31は、コネクタハウジング40に抜け止め状態に保持される。
【0051】
ペグ32は金属製である。ペグ32は、
図8に示すように、全体として平板状をなしている。ペグ32は、基板収容空間S3の左右両側であって、コネクタハウジング40の左右両側面に沿って1つずつ取り付けられている。ペグ32の下端部は図示しない基板に形成された貫通孔に挿通される複数の突起32Fが設けられている。これによって、コネクタハウジング40は、ペグ32を介して基板の表面に固定されるようになっている。ペグ32は、前端と後端の各々に圧入部32Dを有している(
図7参照。)。ペグ32は、コネクタハウジング40の左右両側面部の各々に形成された溝部40Kに圧入部32Dを上方向から圧入することによって、コネクタハウジング40の左右両側面に取り付けられる。各ペグ32は、1つの被係止部32Bを有している。各ペグ32がコネクタハウジング40に取り付けられた状態において、各被係止部32Bは、前後方向に延びており、下側が左右外側に向けて切り起こされている。
【0052】
リテーナ33は、
図8に示すように、リテーナ本体33A、複数の係止部33B、及び弾性押圧片である複数のバネ片33Cを有している。リテーナ本体33Aは、全体として平板状の長方形状に形成されている。リテーナ本体33Aの前側には、下方向に窪んで形成された凹部33Gが形成されている(
図9参照。)。凹部33Gには、キャビティ40Eの並んだ方向に並んで2つの貫通孔33Hが形成されている(
図7参照。)。これら貫通孔33Hの内径は互いに同じである。これら貫通孔33Hはボス40Dに対応している。各係止部33Bはキャビティ40Eの並び方向のリテーナ本体33Aの両端にそれぞれ垂下して設けられている。各係止部33Bの下端には左右内側に向けて延びる係止部本体33Dが設けられている。
【0053】
各バネ片33Cは、
図9に示すように、リテーナ本体33Aの前後中央部に形成された開口の後端から折り返されており、後端に向けて延出し、リテーナ本体33Aの下方に配置されている。各バネ片33Cは、各端子金具31に対応している。バネ片33Cは、後方に向かって下方向に傾斜している。バネ片33Cの先端側は、リテーナ本体33Aに向けて屈曲し、前方向に折り返されている。バネ片33Cの基端側には、下方向に曲面状に叩き出した形態のエンボス33Fが形成されている。エンボス33Fはフレキシブル基板130の端部130Aの補強板が貼り付けられた面に点接触する。
【0054】
リテーナ23は、
図8に示すように、基板収容空間S3の上側をリテーナ本体33Aによって覆うようにコネクタハウジング40に取り付けられる。各係止部33Bは、ペグ
32の被係止部
32Bを左右外側から覆うように配置される。係止部本体33Dは、被係止部32Bの下端に下方から係止する。リテーナ33はペグ32を介してコネクタハウジング40に取り付けられる。
【0055】
例えば、基板収容空間S3に端部130Aを配置していない場合、リテーナ33は、コネクタハウジング40に対して取り付けられていない。そして、基板収容空間S3に端部130Aを配置した場合、係止部本体33Dは、被係止部32Bの各々の下端に下方から係止する状態にする。
【0056】
(フレキシブル基板の構成)
フレキシブル基板130のコネクタハウジング40に配置する端部130Aは、上面に補強板(図示せず)が貼り付けられている。フレキシブル基板130の下面には、
図8に示すように、複数の電極130Bが露出して設けられている。これら電極130Bは前後方向に延びて互いに平行に配置されている。端部130Aの隣り合う電極130Bの間には、挿通部であるスリット130Cが形成されている。端部130Aは、これらスリット130Cによって複数の短冊状の形状が左右方向に並んだ形態にされている(図示せず。)。各スリット130Cは、コネクタハウジング40の複数の壁部40Fの各々に対応している。各スリット130Cには、端部130Aを基板収容空間S3に配置した状態において、壁部40Fが挿通される。端部130Aの前側には、2つの挿入孔130Dがフレキシブル基板130の幅方向に並んで形成されている(
図9参照。)。なお、
図9において、挿入孔130Dは、一つのみ図示している。これら挿入孔130Dの内径は互いに同じである。これら挿入孔130Dは2つのボス40Dに各々が対応している。
【0057】
(フレキシブル基板と端子金具との接続)
フレキシブル基板130と端子金具31との接続について説明する。フレキシブル基板130の端部130Aを基板収容空間S3に配置する前の状態において、リテーナ33は、コネクタハウジング40に取り付けられていない状態である。このとき、リテーナ33は、ペグ32に対する第2配置状態であり、フレキシブル基板130への押圧を解除した非押圧状態である。次に、フレキシブル基板130の端部130Aを基板収容空間S3に配置する。このとき、各挿入孔130Dに各ボス40Dを挿通すると共に、各スリット130Cに壁部40Fを挿通する。
【0058】
次に、リテーナ33をコネクタハウジング40に取り付けて押圧状態にする。具体的には、各貫通孔33Hに各ボス40Dを挿通すると共に、各バネ片33Cを各壁部40Fの間に配置する。そして、リテーナ33の係止部本体33Dを、ペグ32の被係止部32Bの各々の下端に下方から係止する状態にする(
図8参照。)。すると、各電極130Bが配置された端部130Aの上側の面(補強板が貼り付けられた面)にリテーナ33の各バネ片33Cが接触し、各バネ片33Cは、リテーナ本体33Aに近づく方向にたわむ。そして、端部130Aの上側の面にエンボス33Fが点接触する。このとき、リテーナ33の状態は、ペグ32に対する第1配置状態であり、フレキシブル基板130を押圧する押圧状態である。このとき、フレキシブル基板130は、挿入孔130Dにコネクタハウジング40のボス40Dが挿通された状態がリテーナ33によって保持されている状態である(
図9参照。)。このため、フレキシブル基板130はコネクタハウジング40から抜けることが規制された状態となる。
【0059】
本開示のコネクタ3のコネクタハウジング40は、隣り合う端子金具31の間を仕切る壁部40Fを有している。フレキシブル基板130は、複数の端子金具31に個別に接続される複数の電極130Bを有している。フレキシブル基板130には、隣り合う電極130Bの間を切欠した形態のスリット130Cが形成され、スリット130Cに壁部40Fが挿通されている。
この構成によれば、壁部40Fによって、フレキシブル基板130に形成された隣り合う電極130B同士の間の沿面距離を確保することができる。
【0060】
本開示のコネクタ3のコネクタハウジング40には、コネクタハウジング40を基板に取り付けた状態に保持するペグ32が取り付けられている。リテーナ33は、ペグ32に対して第1配置状態のときに押圧状態となり、ペグ32に対して第2配置状態のときに非押圧状態になる。
この構成によれば、ペグ32はコネクタハウジング40と別体であるため、ペグ32の材質をコネクタハウジング40と異ならせることができる。これによって、ペグ32の材質として、金属製のリテーナ33が取り付けられても摩耗、変形しないものを選択することができるので、リテーナ33を確実に押圧状態に保持することができる。
【0061】
[実施形態4]
本開示の実施形態4に係るコネクタ4を、
図10から12を参照して説明する。実施形態4に係るコネクタ4は、リテーナ43がペグ42に対して回動自在に取り付けられている点、フレキシブル基板230の隣り合う電極230Bの間に挿通部である長孔230Cが形成されている点等が実施形態1から3と異なる。実施形態1から3と同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。なお、以下の説明中、前後方向については、コネクタハウジング50からフレキシブル基板230が引き出される側(
図12における
左側)を前側とし、上下方向については、
図12における
上方、
下方を、上方、下方と定義する。左右方向については、
図11における
左方、
右方を、左方、右方と定義する。
【0062】
[コネクタの構成]
コネクタハウジング50はほぼ直方体状をなした端子保持部50Aと、端子保持部50Aの前方に形成された基板配置部50Bとを有している。端子保持部50Aはキャビティ50Eを有している(
図12参照。)。キャビティ50Eの前側には、上側が開放されて基板収容空間S4が形成されている。実施形態4において、基板収容空間S4は、キャビティ50Eの上側が開放された領域、及び基板配置部50Bの上側の領域が含まれる。基板収容空間S4において、隣り合うキャビティ50Eの間には隣り合うキャビティ50Eを仕切る壁部50Fが設けられている(
図11参照。)。各壁部50Fの前端は、基板収容空間S4の前端(すなわち、基板配置部50Bの前端)に位置している(
図12参照。)。基板収容空間S4の左右両側には、上方向に立ち上がる側壁部50Hが設けられている(
図11参照。)。
【0063】
端子本体21Aは、基板収容空間S4の底面に沿って配置されている。端子本体21Aは、基板収容空間S4内に臨んで配置されている。端子本体21Aの前端は、基板収容空間S4前後中央部に位置している。エンボス21Fはフレキシブル基板230の電極230Bに点接触する。
【0064】
図11に示すように、ペグ42の下端部は図示しない基板に形成された貫通孔に挿通される複数の突起42Fが設けられている。ペグ42は、コネクタハウジング50の左右両側面部の各々に形成された溝部50Kに圧入部42Dを上方向から圧入することによって、コネクタハウジング50の左右両側面に取り付けられる(
図10参照。)。
【0065】
各ペグ42は、2つの被係止部42Bを有している(
図10参照。)。各被係止部42Bは、前後方向に延びており、下部が左右外側に向けて切り起こされている。各ペグ42において、2つの被係止部42Bは、前後に並んで配置されている。各ペグ42の2つの被係止部42Bの間には貫通孔42Cが貫通して形成されている(
図10参照。)。
【0066】
リテーナ43は、
図10に示すように、リテーナ本体43A、複数の係止部43B、弾性押圧片である複数のバネ片43C、及び複数の軸部43Eを有している。リテーナ本体43Aは、全体として平板状の長方形状に形成されている。各係止部43Bは、
図11に示すように、キャビティ50Eの並び方向のリテーナ本体43Aの両端にそれぞれ垂下して設けられている。各係止部43Bの下端には左右内側に向けて延びる係止部本体43Dが設けられている。
【0067】
各バネ片43Cは、
図12に示すように、リテーナ本体43Aの前端から折り返されており、後端に向けて延出し、リテーナ本体43Aの下方に配置されている。各バネ片43Cは、各端子金具21に対応している。バネ片43Cの先端側は、リテーナ本体43Aに向けて屈曲し、前方向に折り返されている。バネ片43Cの基端側には、下方向に曲面状に叩き出した形態のエンボス43Fが形成されている。
【0068】
各軸部43Eは、各係止部43Bに設けられている。各軸部43Eはペグ42に係止される。各軸部43Eは、各係止部43Bから左右内側に突出する筒状に折り曲げて形成されている。各軸部43Eの外形はペグ42の貫通孔42Cの内径よりも僅かに小さい。
【0069】
リテーナ43は、各軸部43Eをペグ42の貫通孔42Cに左右外側から挿通してコネクタハウジング50に取り付けられる。リテーナ43はペグ42を介してコネクタハウジング50に取り付けられる。
【0070】
例えば、基板収容空間S4にフレキシブル基板230の端部230Aを配置していない場合、リテーナ43は、軸部43Eがペグ42の貫通孔42Cに挿通された状態で、係止部本体43Dが、被係止部42Bに係止しない状態にされる。この場合、リテーナ43は、軸部43E周りに回動自在である。このとき、リテーナ43は、ペグ42に対する第2配置状態であり、フレキシブル基板230への押圧を解除した非押圧状態である。そして、基板収容空間S4に端部230Aを配置した場合、リテーナ43を軸部43E周りに回動させて、リテーナ本体43Aの係止部本体43Dをペグ42の前側に位置する被係止部42Bの各々の下端に下方から係止した状態にする。このとき、リテーナ43の状態は、ペグ42に対する第1配置状態であり、フレキシブル基板230を押圧する押圧状態である。
【0071】
(フレキシブル基板の構成)
フレキシブル基板230の下面には、
図11に示すように、複数の電極230Bが露出して設けられている。これら電極230Bは前後方向に延びて互いに平行に配置されている。フレキシブル基板230の端部230Aの隣り合う電極230Bの間には、前後方向に延びる長孔230Cが貫通して形成されている。各長孔230Cは、コネクタハウジング50の複数の壁部50Fの各々に対応している。各長孔230Cには、端部230Aを基板収容空間S4に配置した状態において、壁部50Fが挿通される。
【0072】
(フレキシブル基板と端子金具との接続)
フレキシブル基板230と端子金具21との接続について説明する。フレキシブル基板230の端部230Aを基板収容空間S4に配置する前の状態において、リテーナ43は、軸部43Eがペグ42の貫通孔42Cに挿通した状態で、係止部本体43Dが、被係止部42Bに係止しない状態にされ、非押圧状態にされている。次に、端部230Aを基板収容空間S4に配置する。このとき、各長孔230Cに各壁部50Fを挿通する。
【0073】
次に、リテーナ43を押圧状態にする。具体的には、軸部43Eをペグ42の貫通孔42Cに挿通した状態で、リテーナ43を軸部43E周りに回動させてリテーナ本体43Aを基板収容空間S4に近づける。そして、係止部本体43Dをペグ42の前側に位置する被係止部42Bの各々の下端に下方から係止した状態にする。このとき、各バネ片43Cは各壁部50Fの間に配置される。(
図11参照。)。すると、各電極230Bが配置された端部230Aの上側の面(補強板が貼り付けられた面)に各バネ片43Cが接触し、各バネ片43Cは、リテーナ本体43Aに近づく方向にたわむ。そして、端部230Aの上側の面にエンボス43Fが点接触する。こうして、リテーナ43は、軸部43E周りに回動して、押圧状態と非押圧状態とに変化するのである。こうして、リテーナ43は、フレキシブル基板230を押圧する押圧状態になる。このとき、フレキシブル基板230は、長孔230Cに壁部50Fが挿通された状態をリテーナ43によって保持されている状態である(
図11参照。)。このため、フレキシブル基板230はコネクタハウジング50から外れることが規制された状態となる。
【0074】
本開示のコネクタ4のリテーナ43は、ペグ42に係止される軸部43Eを有し、リテーナ43は、軸部43E周りに回動して、押圧状態と非押圧状態とに変化する。
この構成によれば、コネクタハウジング50に対してリテーナ43を位置決めする作業をすることなく、リテーナ43の状態を容易に非押圧状態から押圧状態に変化させることができる。
【0075】
[他の実施形態]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
(1)実施形態1では、リテーナの材質にステンレスを用いることが例示されているが、他の種類の金属を用いてもよい。
(2)実施形態1では、リテーナの係止部本体がペグにおける下側の被係止部に係止した状態を第1配置状態とし、リテーナの係止部本体がペグにおける上側の被係止部に係止した状態を第2配置状態としている。これに限らず、リテーナをペグから取り外した状態を第2配置状態としてもよい。
(3)弾性押圧片を、リテーナ及び端子金具の両方に設けた形態であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,2,3,4…コネクタ
10,20,40,50…コネクタハウジング
10A,40A,50A…端子保持部
10B,20B…基板挿入部
10D,20D…スリット
10E,20E,40E,50E…キャビティ
10F,40F,50F…壁部
10G…突出部
10H…傾斜面
10K,40K,50K…溝部
11,21,31…端子金具
11A,21A,31A…端子本体
11B,21B,31B…基板接続部
11C,21D,31D…圧入部
11E,23C,33C,43C…バネ片
12,22,32,42…ペグ
12B,32B,42B…被係止部
12D,32D,42D…圧入部
13,23,33,43…リテーナ
13A,23A,33A,43A…リテーナ本体
13B,23B,33B,43B…係止部
13C…内壁部
13D…上壁部
13E…外壁部
13F,23D,33D,43D…係止部本体
13G…貫通孔
21C,31C…中間部
21F,31F…エンボス
30,130,230…フレキシブル基板
30A,130A,230A…端部
30B,130B,230B…電極(パターン)
30C…挿通孔(挿通部)
32F,42F…突起
33F,43F…エンボス
33G…凹部
33H…貫通孔
40B,50B…基板配置部
40D…ボス
40H,50H…側壁部
42C…貫通孔
43E…軸部
130C…スリット(挿通部)
130D…挿入孔
230C…長孔(挿通部)
S1,S2,S3,S4…基板収容空間