(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】変速時のエンジン制御方法およびエンジン制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 29/00 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
F02D29/00 F
F02D29/00 G
(21)【出願番号】P 2020012113
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】入山 正浩
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-32341(JP,A)
【文献】特開2008-286087(JP,A)
【文献】特表2009-533625(JP,A)
【文献】特開2011-189890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/00
F02D 41/00-45/00
F16H 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンを制御するエンジン制御装置と、
前記エンジンの出力側にクラッチを介して接続され、シフトレバーのストローク操作方向中立位置でのセレクト操作と、クラッチペダルの操作により、前記クラッチが開放されたときの前記中立位置からのストローク操作とで、対応するギヤ位置への変速が可能な手動変速機と、
前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサと、
前記クラッチペダルの操作を検出するクラッチペダル操作センサと、
アクセルペダルの操作を検出するアクセルペダル操作センサと、
車速を検出する車速センサと、
を備える車両であって、
前記エンジン制御装置は、前記クラッチペダルおよびアクセルペダルの操作を検出し、
前記クラッチペダルのみの操作を検出した場合には、車速とエンジン回転数から算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分アップシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、
前記クラッチペダルおよびアクセルペダルの操作を検出した場合には、車速とエンジン回転数から算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分ダウンシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、
前記算出した目標ギヤ位置から目標エンジン回転数を算出し、前記クラッチペダルの操作中に、エンジン回転数を前記目標エンジン回転数にフィードバック制御する、
ことを特徴とする変速時のエンジン制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の変速時のエンジン制御方法において、
前記アクセルペダルが複数回操作された場合には、
前記操作回数分ダウンシフト判定して、前記目標ギヤ位置を算出する、
ことを特徴とする変速時のエンジン制御方法。
【請求項3】
エンジンと、
前記エンジンを制御するエンジン制御装置と、
前記エンジンの出力側にクラッチを介して接続され、シフトレバーのストローク操作方向中立位置でのセレクト操作と、クラッチペダルの操作により、前記クラッチが開放されたときの前記中立位置からのストローク操作とで、対応するギヤ位置への変速が可能な手動変速機と、
前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサと、
前記クラッチペダルの操作を検出するクラッチペダル操作センサと、
アクセルペダルの操作を検出するアクセルペダル操作センサと、
車速を検出する車速センサと、
を備える車両であって、
前記エンジン制御装置は回転同期制御手段を備え、
前記回転同期制御手段は、前記クラッチペダルおよびアクセルペダルの操作を検出し、
前記クラッチペダルのみの操作を検出した場合には、車速とエンジン回転数から算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分アップシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、
前記クラッチペダルおよびアクセルペダルの操作を検出した場合には、車速とエンジン回転数から算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分ダウンシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、
前記算出した目標ギヤ位置から目標エンジン回転数を算出し、前記クラッチペダルの操作中に、エンジン回転数を前記目標エンジン回転数にフィードバック制御する、
ことを特徴とする変速時のエンジン制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速時のエンジン制御方法およびエンジン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンの出力側にクラッチを介して接続される手動変速機を備える車両での変速時の制御装置及び制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、シフトレバー機構に設けたシフト位置センサが、専用のセンサのため、著しくコストが高くなってしまう。
本発明の目的は、コストの上昇を抑制した変速時のエンジン制御方法およびエンジン制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の変速時のエンジン制御方法およびエンジン制御装置は、クラッチペダルおよびアクセルペダルの操作を検出し、クラッチペダルのみの操作を検出した場合には、車速とエンジン回転数から算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分アップシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、クラッチペダルおよびアクセルペダルの操作を検出した場合には、車速とエンジン回転数から算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分ダウンシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、算出した目標ギヤ位置から目標エンジン回転数を算出し、クラッチペダルの操作中に、エンジン回転数を目標エンジン回転数にフィードバック制御するようにした。
【発明の効果】
【0006】
よって、コストの上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1の手動変速機を備える車両のシステム図である。
【
図2】実施形態1の制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態1の制御処理実行時の一例を示すタイムチャートである。
【
図4】実施形態2の制御処理実行時の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1の手動変速機を備える車両のシステム図である。
【0009】
車両100に搭載されるエンジン1は、その吸気通路2に吸入空気量制御用の電制スロットル弁3を備え、その開度は、エンジン制御装置4により制御される。
エンジン1の燃料供給系については図示及び説明を省略するが、エンジン制御装置4により吸入空気量に対し所望の空燃比となるように供給燃料量が制御される。
【0010】
エンジン1の出力側には、クラッチ5を介して、手動変速機6が接続されている。クラッチ5は、ドライバのクラッチペダル操作によって、開放・締結され、踏込み時に開放される。
手動変速機は、ドライバのシフトレバー6aの操作によってギヤ位置を切換えられる。
ECU4には、各種センサより信号が入力され、変速時のエンジン制御(以下、回転同期フィードバック制御という)を実行する回転同期制御手段4aを備えている。
【0011】
アクセルペダル操作センサ11は、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)APOを検出し、対応する信号を出力する。
クランク角センサ12(エンジン回転数センサ)は、エンジン1のクランク軸の回転に同期した信号を出力するもので、この信号からエンジン回転数Neを検出可能である。
車速センサ13は、車両100の車速(変速機6の出力軸回転数)Vを検出し、対応する信号を出力する。
【0012】
クラッチペダルスイッチ(クラッチペダル操作センサ)14は、クラッチペダルの位置に応じたON・OFF信号を出力するもので、クラッチ開放時(クラッチペダル操作時)にONとなる。
中立位置スイッチ16は、シフトレバー6aがニュートラル領域にあるときにONとなるものである。
【0013】
エンジン制御装置4では、アクセル開度APO(及びエンジン回転数Ne)に基づいてドライバ要求トルクを定め、通常(非変速中)は、目標エンジントルクtTe=ドライバ要求トルクとする。
そして、目標エンジントルクtTe(及びエンジン回転数Ne)に基づいて、これを得るための目標スロットル開度tTVOを算出し、この目標スロットル開度tTVOに従って電制スロットル弁3の開度を制御する。
【0014】
その一方、変速時には、目標エンジントルクtTeの算出に際し、回転同期フィードバック制御を行う。
エンジン制御装置4の回転同期制御手段4aによる回転同期フィードバック制御について、
図2のフローチャートにより、説明する。
図2は、実施形態1の制御処理の流れを示すフローチャートであり、所定の演算周期で繰り返し実行される。
【0015】
ステップS1では、車両100の車速Vが所定車速V0より大きいか否かを判定する。
所定車速V0は、例えば、車両100の車速Vが、あまり低いと現在ギヤ位置の算定の精度が悪化するため、20~30km/hに設定している。
車両100の車速Vが所定車速V0より大きいときには、ステッS2へ進み、車両100の車速Vが所定車速V0より大きくないときには、ステッS19へ進む。
ステップS2では、中立位置スイッチ15がONになっているか、すなわち、手動変速機6が中立位置にいるか否かを判定する。
手動変速機6が中立位置にいるときには、ステップS15へ進み、手動変速機6が中立位置にいないときには、ステップS3へ進む。
【0016】
ステップS3では、クラッチペダルスイッチ14がONになっているか、すなわち、クラッチペダルの操作が行われているか否かを判定する。
クラッチペダルの操作が行われているときには、ステップS4へ進み、クラッチペダルの操作が行われていないときには、ステップS19へ進む。
ステップS4では、回転同期フィードバッ制御フラグFa=1(回転同期フィードバック制御中)か否かを判定する。
回転同期フィードバック制御フラグFa=1で、回転同期フィードバック制御中のときには、ステップS16へ進み、回転同期フィードバッ制御フラグFa=0で、回転同期フィードバック制御中でないときには、ステップS5へ進む。
【0017】
ステップS5では、回転同期フィードバッ制御フラグFa=1にセットする。
ステップS6では、車両100の車速Vとエンジン回転数Neから現在ギヤ位置を算出する。
ステップS7では、目標ギヤ位置を(現在ギヤ位置+1)に設定する。
すなわち、現在ギヤ位置から、1段分アップシフトしたギヤ位置を、目標ギヤ位置とする。
ステップS8では、目標ギヤ位置と手動変速機6の最大ギヤ位置(例えば、前進6速の手動変速機であれば、6速)の小さい方のギヤ位置を、目標ギヤ位置とする。
すなわち、手動変速機6が有していないギヤ位置を目標ギヤ位置から排除するためである。
【0018】
ステップS9では、アクセルペダル操作センサ11からの信号により、アクセルペダルが操作されたか否かを判定する。
アクセルペダルが操作されたときには、ステップS10へ進み、アクセルペダルが操作されていないときには、ステップS13へ進む。
ステップS10では、ダウンシフト判断フラグFd=1にセットする。
ステップS11では、目標ギヤ位置を(現在ギヤ位置-1)に設定する。
すなわち、現在ギヤ位置から、1段分ダウンシフトしたギヤ位置を、目標ギヤ位置とする。
ステップS12では、目標ギヤ位置と手動変速機6の最小ギヤ位置(例えば、前進6速の手動変速機であれば、1速)の大きい方のギヤ位置を、目標ギヤ位置とする。
すなわち、手動変速機6が有していないギヤ位置を目標ギヤ位置から排除するためである。
【0019】
ステップS13では、確定した目標ギヤ位置と車速Vにより、目標エンジン回転数を算出する。
ステップS14では、目標エンジン回転数を達成するために、回転同期フィードバック制御を実行する。
【0020】
ステップS15では、回転同期フィードバック制御フラグFa=1(回転同期フィードバック制御中)か否かを判定する。
回転同期フィードバック制御フラグFa=1で、回転同期フィードバック制御中のときには、ステップS16へ進み、回転同期フィードバッ制御フラグFa=0で、回転同期フィードバック制御中でないときには、制御を終了する。
【0021】
ステップS16では、ダウンシフト判断フラグFd=1か否かを判定する。
ダウンシフト判断フラグFd=1のときには、ステップS17へ進み、ダウンシフト判断フラグFd=1でない(ダウンシフト判断フラグFd=0)のときには、ステップS9へ進む。
すなわち、ダウンシフト判断フラグFd=1のときには、目標ギヤ位置が(現在ギヤ位置―1)に設定、すなわち、1段分ダウンシフトしたギヤ位置に設定されているので、再度アクセルペダルの操作が行われたか否かを確認するため、ステップS17へ進む。
また、ダウンシフト判断フラグFd=1でない(ダウンシフト判断フラグFd=0)のときには、目標ギヤ位置が(現在ギヤ位置+1)に設定、すなわち、1段分アップシフトしたギヤ位置に設定されているので、アクセルペダル操作の有無を確認するため、ステップS9へ進む。
ステップS17では、再度アクセルペダルの操作が行われたか否かを判定する。
再度アクセルペダルの操作が行われたときには、ステップS18へ進み、再度アクセルペダルの操作が行われていないときには、現在の回転同期フィードバック制御を継続し、制御を終了する。
ステップS18では、再度アクセルペダルの操作が行われたので、目標ギヤ位置を(目標ギヤ位置―1)、すなわち、更に1段分ダウンシフトしたギヤ位置に設定、更新し、ステップS13に進む。
【0022】
ステップS19では、回転同期フィードバッ制御フラグFa=0にセットする。
ステップS20では、車速Vとエンジン回転数Neから現在ギヤ位置を算出し、現在ギヤ位置を更新する。
ステップS21では、目標ギヤ位置を現在ギヤ位置に設定する。
ステップS22では、ダウンシフト判断フラグFd=0にセットし、制御を終了する。
【0023】
図3は、実施形態1の制御処理実行時の一例を示すタイムチャートである。
横軸は、時間であり、一番上が手動変速機6のギヤ位置(実線は現在ギヤ位置、破線は中立位置、一点鎖線は目標ギヤ位置を示す)、その下がアクセルペダル操作量APO、クラッチペダルの操作状態、中立位置スイッチのON-OFF状態、回転同期フィードバック制御フラグFa、ダウンシフト判断フラグFd、エンジン回転数Ne(実線は実エンジン回転数、一点鎖線が目標エンジン回転数を示す)の変化を示している。
【0024】
時刻t1で、ドライバがクラッチペダルを操作し、クラッチ5が開放される。
このとき、目標ギヤ位置を、現在ギヤ位置(3速)から1段分アップシフトしたギヤ位置(4速)として、目標エンジン回転数Ne0を算出し、回転同期フィードバック制御フラグFa=1にセットする。
同時に、回転同期制御手段4aが、エンジン回転数Neを目標エンジン回転数Ne0にするためのフィードバック制御を開始する。
時刻t2で、ドライバのアクセルペダルの1回の操作を検知する。
このとき、目標ギヤ位置を、現在ギヤ位置(3速)から1段分ダウンシフトしたギヤ位置(2速)として、目標エンジン回転数Ne0を算出、更新し、ダウンシフト判断フラグFd=1にセットする。
なお、目標エンジン回転数Ne0は車速Vに対応して、随時更新される。
時刻t3で、中立位置スイッチ15のONを検出する。
このとき、回転同期制御手段4aが、エンジン回転数Neを更新した目標エンジン回転数Ne0にするためのフィードバック制御を継続する。
【0025】
時刻t4で、中立位置スイッチ15のOFFを検出する。
すなわち、ドライバが1段ダウンシフトした目標ギヤ位置(2速)へのシフトを開始する。
このとき、エンジン回転数Neは目標エンジン回転数Ne0と一致している。
時刻t5で、ドライバの1段ダウンシフトしたギヤ位置(2速)へのシフトが完了し、クラッチペダルの操作を終了して、クラッチ5が締結される。
なお、回転同期フィードバック制御フラグFa=0、ダウンシフト判断フラグFd=0にセットする。
このとき、目標ギヤ位置(2速)と車速Vに対応したエンジン回転数Neなので、締結ショックもなく、スムーズにダウンシフトを完了することができる。
【0026】
図4は、実施形態1の制御処理実行時の他の例を示すタイムチャートである。
横軸は、時間であり、一番上が手動変速機6のギヤ位置(実線は現在ギヤ位置、破線は中立位置、一点鎖線は目標ギヤ位置を示す)、その下がアクセルペダル操作量APO、クラッチペダルの操作状態、中立位置スイッチのON-OFF状態、回転同期フィードバック制御フラグFa、ダウンシフト判断フラグFd、エンジン回転数Ne(実線は実エンジン回転数、一点鎖線が目標エンジン回転数を示す)の変化を示している。
【0027】
時刻t1で、ドライバがクラッチペダルを操作し、クラッチ5が開放される。
このとき、目標ギヤ位置を、現在ギヤ位置(5速)から1段分アップシフトしたギヤ位置(6速)として、目標エンジン回転数Ne0を算出し、回転同期フィードバック制御フラグFa=1にセットする。
同時に、回転同期制御手段4aが、エンジン回転数Neを目標エンジン回転数Ne0にするためのフィードバック制御を開始する。
時刻t2で、中立位置スイッチ15のONを検出する。
時刻t3で、ドライバのアクセルペダルの1回目の操作を検知する。
このとき、目標ギヤ位置を、現在ギヤ位置(5速)から1段分ダウンシフトしたギヤ位置(4速)として、目標エンジン回転数Ne0を算出、更新し、ダウンシフト判断フラグFd=1にセットする。
同時に、回転同期制御手段4aが、エンジン回転数Neを更新した目標エンジン回転数Ne0にするためのフィードバック制御を継続する。
時刻t4で、ドライバのアクセルペダルの2回目の操作を検知する。
このとき、目標ギヤ位置を、現在ギヤ位置(5速)から2段分ダウンシフトしたギヤ位置(3速)として、目標エンジン回転数Ne0を算出、更新する。
同時に、回転同期制御手段4aが、エンジン回転数Neを更新した目標エンジン回転数Ne0にするためのフィードバック制御を継続する。
時刻t5で、ドライバのアクセルペダルの3回目の操作を検知する。
このとき、目標ギヤ位置を、現在ギヤ位置(5速)から3段分ダウンシフトしたギヤ位置(2速)として、目標エンジン回転数Ne0を算出、更新する。
同時に、回転同期制御手段4aが、エンジン回転数Neを更新した目標エンジン回転数Ne0にするためのフィードバック制御を継続する。
なお、目標エンジン回転数Ne0は車速Vに対応して、随時更新される。
【0028】
時刻t6で、中立位置スイッチ15のOFFを検出する。
すなわち、ドライバが3段ダウンシフトした目標ギヤ位置(2速)へのシフトを開始する。
このとき、エンジン回転数Neは目標エンジン回転数Ne0と一致している。
時刻t7で、ドライバの3段ダウンシフトしたギヤ位置(2速)へのシフトが完了し、クラッチペダルの操作を終了して、クラッチ5が締結される。
同時に、回転同期フィードバック制御フラグFa=0、ダウンシフト判断フラグFd=0にセットする。
このとき、目標ギヤ位置(2速)と車速Vに対応したエンジン回転数Neなので、締結ショックもなく、スムーズにダウンシフトを完了することができる。
【0029】
次に、作用効果を説明する。
実施形態1の変速時のエンジン制御方法およびエンジン制御装置にあっては、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0030】
(1)クラッチペダルスイッチ14およびアクセルペダル操作センサ11により、それぞれの操作を検出し、クラッチペダルのみの操作を検出した場合には、車速Vとエンジン回転数Neから算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分アップシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、クラッチペダルおよびアクセルペダルの操作を検出した場合には、車速Vとエンジン回転数Neから算出した現在ギヤ位置を基準にして、1段分ダウンシフト判定して目標ギヤ位置を算出し、算出した目標ギヤ位置から目標エンジン回転数を算出し、クラッチペダルの操作中に、エンジン回転数を目標エンジン回転数にフィードバック制御するようにした。
一般的に、ダウンシフト時にアクセルペダル操作でエンジン回転数を調整するブリッピングが行われることがあるが、正確にエンジン回転数を調整するのは難しいので、変速ショックが生じたり半クラッチ操作で吸収して変速時間が長くなることがある。しかし、本実施形態によれば、どのようなアクセルペダル操作でも正確にエンジン回転数が調整されるため、正確で素早いダウンシフトが可能となる。
また、高価な専用のシフトレバー機構に設けたシフト位置センサを使わず、既存の安価なクランク角センサ12、車速センサ13を使用してギヤ位置を算出するようにしたので、コストの上昇を抑制することができる。
【0031】
(2)クラッチペダルの操作中に、ドライバが複数回アクセルペダルを操作した場合には、操作回数分ダウンシフト判定して、目標ギヤ位置を算出するようにした。
よって、ドライバの意図に的確に対応することができ、スムーズなダウンシフトをすることができる。
【0032】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための形態を実施形態に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 エンジン
4 エンジン制御装置
4a 回転同期制御手段
5 クラッチ
6 手動変速機
6a シフトレバー
11 アクセルペダル操作センサ
12 クランク角センサ(エンジン回転数センサ)
13 車速センサ
14 クラッチペダルスイッチ(クラッチペダル操作センサ)
100 車両