(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/42 20060101AFI20231017BHJP
B41M 5/323 20060101ALI20231017BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B41M5/42 211
B41M5/323 220
B41M5/44 210
(21)【出願番号】P 2020035978
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋元 真也
(72)【発明者】
【氏名】諸藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹村 尚
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-180040(JP,A)
【文献】特開2008-062527(JP,A)
【文献】特開2003-080846(JP,A)
【文献】特開2009-279833(JP,A)
【文献】国際公開第2009/122850(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/26-5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一方の面に形成された下塗り層と、当該下塗り層の上に形成された感熱記録層とを備えた感熱記録体であって、
前記感熱記録層は、ロイコ染料と呈色剤とを含有し、
前記下塗り層は、中空粒子と結着樹脂とを含有し、
前記中空粒子は、少なくとも大粒子径中空粒子と小粒子径中空粒子の2種類の中空粒子からなり、
前記大粒子径中空粒子は最大粒子径(D100)が10~80μm、50容積%頻度の粒子径(D50)が7.5~25μmであり、
前記小粒子径中空粒子は50容積%頻度の粒子径(D50)が0.7~6μmであ
り、
前記大粒子径中空粒子の中空率が80~98%であり、
前記小粒子径中空粒子の中空率が80%未満である
ことを特徴とする感熱記録体。
【請求項2】
前記大粒子径中空粒子の最大粒子径(D100)が10~50μm、50容積%頻度の粒子径(D50)が7.5~15μmであることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記大粒子径中空粒子は、D100/D50が1.8~10.0であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記下塗り層は、前記大粒子径中空粒子を5~40質量%含有することを特徴とする請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【請求項5】
前記下塗り層の乾燥後の塗布量が2.0~10g/m
2であることを特徴とする請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【請求項6】
前記大粒子径中空粒子1質量部に対して、前記小粒子径中空粒子0.1~10質量部の比率で含有することを特徴とする請求項1~請求
項5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【請求項7】
前記小粒子径中空粒子は最大粒子径(D100)が1~7μmであることを特徴とする請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【請求項8】
前記結着樹脂として、少なくともスチレン・ブタジエンラテックスを含有することを特徴とする請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【請求項9】
前記スチレン・ブタジエンラテックスのTgが-10℃以下であることを特徴とする請求項
8に記載の感熱記録体。
【請求項10】
前記スチレン・ブタジエンラテックスのTgが-30℃以下であることを特徴とする請求項
8に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無色または淡色のロイコ染料と、フェノール類または有機酸との加熱発色反応を利用して発色画像を記録する感熱記録体は、広く実用化されている。このような感熱記録体は、単に加熱するだけで発色画像が形成されるため、記録装置をコンパクトにでき、記録装置の保守も容易で、騒音の発生が少ないなどの利点を有している。そのため感熱記録体は、ラベルプリンタ等の発行機、自動券売機、CD・ATM、飲食店等の注文伝票出力機、科学研究用機器のデータ出力機等における各種情報記録材料として広範囲に使用されている。
【0003】
感熱記録体が多様な用途に展開されるに伴い、感熱記録体の性能向上に対する要請も高くなってきている。具体的には、画像が濃く鮮明に発色する、白抜け(印字欠け)が発生せず高画質である、中間調印字濃度に優れている、といった品質上の要望が存在している。
【0004】
このような要望に対して、多くの改良技術が開発されている。例えば、感熱記録体の支持体と感熱記録層との間に設けられた下塗り層に中空粒子を含有させることにより、下塗り層の断熱性を高め、感熱記録体の感度を向上させるという方法が知られている。下塗り層に中空粒子を含有させる方法については、さらに多くの改良技術が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、中空粒子として粒径が1μm以下、中空率が80%以下の中空粒子Aと粒径が3~10μm、中空率が80%以上の中空粒子Bとを混合して用いた感熱記録材料が開示されている。
また、特許文献2には、中空粒子と結着樹脂とを含有する下塗り層において、中空率が60~98%であり、最大粒子径(D100)が5.0~10.0μmであり、最大粒子径(D100)と50容積%頻度の粒子径(D50)との比率D100/D50が1.5~3.0である中空粒子を用いた感熱記録材料が開示されている。
また、特許文献3には、下塗り層に用いる熱膨張性樹脂粒子としては、未膨張時の平均粒子径が好ましくは1~25μmであり、加熱により体積が10~50倍に膨張し、中空率が80%以上となるものが好ましいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許3176693号公報
【文献】特許4108380号公報
【文献】特許5781885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の感熱記録材料は、中空粒子の粒径が小さく断熱性が不十分なことから、印字エネルギーが拡散し易く、記録濃度に改善の余地を有するものであった。また中空粒子の粒径が小さく塗工層のクッション性低かったことから、印画画質に改善の余地を有するものであった。
また、特許文献2に記載の感熱記録材料は、中空粒子の最大粒子径(D100)が5.0~10.0μmと小さく、断熱性が不十分なことから、印字エネルギーが拡散しやすく、記録濃度に改善の余地を有するものであった。
また、特許文献3に記載の感熱記録材料は、発泡後の粒子径のばらつきが大きいことにより、下塗り層の表面の平滑性が低下するため、画質に改善の余地を有するものであった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、印字欠けが少ない優れた画質を有し、中間調印字濃度に優れた感熱記録体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、下塗り層に用いる中空粒子についての検討を進めた。その結果、最大粒子径が異なる2種類の中空粒子を含有し、それらの中空粒子を特定の粒度分布で特定量含有する下塗り層を形成することにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明はこのような知見を踏まえて完成するに至ったものである。すなわち、本発明は以下のような構成を有している。
【0010】
(1)支持体の一方の面に形成された下塗り層と、当該下塗り層の上に形成された感熱記録層とを備えた感熱記録体であって、前記感熱記録層は、ロイコ染料と呈色剤とを含有し、前記下塗り層は、中空粒子と結着樹脂とを含有し、前記中空粒子は、少なくとも大粒子径中空粒子と小粒子径中空粒子の2種類の中空粒子を有し、前記大粒子径中空粒子は最大粒子径(D100)が10~80μm、50容積%頻度の粒子径(D50)が7.5~25μmであり、前記小粒子径中空粒子は50容積%頻度の粒子径(D50)が0.7~6μmであることを特徴とする感熱記録体
【0011】
(2)前記大粒子径中空粒子の最大粒子径(D100)が10~50μm、50容積%頻度の粒子径(D50)が7.5~15μmであることを特徴とする前記(1)に記載の感熱記録体。
【0012】
(3)前記大粒子径中空粒子は、D100/D50が1.8~10.0であることを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載の感熱記録体。
【0013】
(4)前記大粒子径中空粒子の中空率が80~98%であり、前記小粒子径中空粒子の中空率が80%未満であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【0014】
(5)前記下塗り層は、前記大粒子径中空粒子を5~40質量%含有することを特徴とする前記(1)~(4)のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【0015】
(6)前記下塗り層の乾燥後の塗布量が2.0~10g/m2であることを特徴とする前記(1)~(5)のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【0016】
(7)前記大粒子径中空粒子1質量部に対して、前記小粒子径中空粒子0.1~10質量部の比率で含有することを特徴とする前記(1)~(6)のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【0017】
(8)前記小粒子径中空粒子は最大粒子径(D100)が1~7μmであることを特徴とする前記(1)~(7)のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【0018】
(9)前記結着樹脂として、少なくともスチレン・ブタジエンラテックスを含有することを特徴とする前記(1)~(8)のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【0019】
(10)前記スチレン・ブタジエンラテックスのTgが-10℃以下であることを特徴とする前記(9)に記載の感熱記録体。
【0020】
(11)前記スチレン・ブタジエンラテックスのTgが-30℃以下であることを特徴とする前記(9)に記載の感熱記録体。
【発明の効果】
【0021】
本発明の感熱記録体は、印字欠けが少ない優れた画質を有し、中間調印字濃度に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
本実施形態の感熱記録体は、支持体の一方の面に形成された下塗り層と、当該下塗り層の上に形成された感熱記録層とを備えている。感熱記録層は、熱を加えられるとその部位が発色することにより、文字、図案等が表示される層である。下塗り層は、感熱記録層の定着の向上、前記熱を拡散させないための断熱性の向上等の役割を持つ層である。
以下、感熱記録体を構成する材料について説明する。
【0024】
[支持体]
支持体は、種類、形状、寸法等に格別の制限はなく、例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等の中から適宜選択して使用することができる。支持体の厚みは特に制限されないが、通常、20~200μm程度である。また、支持体の密度も特に制限されないが、0.60~0.85g/cm3程度が好ましい。
【0025】
[下塗り層]
下塗り層は、支持体と感熱記録層との間に設けられている。下塗り層は、中空粒子と結着樹脂とを含有している。下塗り層はさらに、増粘剤を含有することが好ましい。
【0026】
(中空粒子)
有機樹脂からなる中空粒子は、下塗り層に含有させることによって、下塗り層の断熱性を高めることができる。高い断熱性を有する下塗り層は、感熱記録層に加えられた熱の拡散を防ぎ、感熱記録体としての感度を高めることができる。
【0027】
有機樹脂からなる中空粒子は、その製造方法の違いによって、発泡タイプと非発泡タイプとに分けることができる。これら二種のうち、発泡タイプの中空粒子は、下塗り層の断熱性の向上に適した性質を持つ。
【0028】
以下に、発泡タイプの中空粒子の代表的な製造方法を記載する。
まず、樹脂の内部に揮発性液体を封じ込めた粒子を作製する。その後、加熱により前記樹脂を軟化させると共に、前記粒子の内部の液体を気化・膨張させると、中空粒子が得られる。
【0029】
発泡タイプの中空粒子は、中空率が大きくなり、高い断熱性が得られるため、感熱紙の感度を高め、記録濃度を向上させることができる。感度の向上は、特に、感熱記録層に加えられる熱エネルギーが小さい中間調領域を発色させる場合に重要である。
また、断熱性の高い下塗り層を介して感熱記録層を形成すれば、感熱記録層に加えられた熱の拡散を防ぐことができ、その結果、画像の滲みを防止し、画質を向上させることができる。
そのため、本実施形態では、下塗り層の断熱性の向上に優れた発泡タイプの中空粒子を用いる。
【0030】
発泡タイプの中空粒子に用いることができる樹脂としては、スチレン?アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリロニトリルを構成成分とするアクリル系樹脂)、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等、ポリ塩化ビニリデンとアクリルニトリルを主体とする共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。発泡タイプの中空粒子の内部に含まれる気体としては、プロパン、ブタン、イソブタン、空気等が一般的である。
中空粒子に用いる樹脂としては、上記の種々の樹脂の中でも発泡粒子の形状を維持する強度の観点から、アクリロニトリル樹脂やポリ塩化ビニリデンとアクリルニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
【0031】
本実施形態における下塗り層は、中空粒子として少なくとも、最大粒子径の異なる大粒径中空粒子(以下、第一中空粒子ともいう。)と小粒径中空粒子(以下、第二中空粒子ともいう。)を含有している。
第一中空粒子の最大粒子径は10~80μmであり、10~65μmであることが好ましく、10~50μmであることがより好ましい。最大粒子径は、分布の最大粒子径であり、D100とも呼称される。
第一中空粒子の最大粒子径が10μm未満であると下塗り層のクッション性が低下するため、印刷時における感熱紙のサーマルヘッドへの密着性が低下し、高画質が得られ難い。一方、第一中空粒子の最大粒子径が80μm超であると下塗り層の平滑性が低下するため、下塗り層上に設ける感熱記録層を均一にすることが難しく、発色濃度が低下する。
【0032】
一方、第二中空粒子は、最大粒子径が1~7μmであることが好ましく、2~5μmであることがより好ましい。
中空粒子の最大粒子径(D100)は、レーザー回析式粒度分布測定装置によって測定することができる。また、電子顕微鏡を用いて実測することも可能である。
【0033】
第二中空粒子は第一中空粒子よりも最大粒子径が小さいものであるため、両者を併用すると、下塗り層の第一中空粒子の隙間に第二中空粒子を充填することができる。第一中空粒子の隙間に第二中空粒子を充填することにより、下塗り層をより一層断熱性に優れたものとすることができ、高画質で中間調印字濃度に優れた感熱記録体とすることができる。第一中空粒子と第二中空粒子の混合比率は、第一中空粒子1質量部に対して、第二中空粒子0.1~10質量部の比率で含有することが好ましく、第二中空粒子0.5~5質量部の比率で含有することがより好ましい。
【0034】
粉体をある粒子径で2つに分けたとき、大きい側の粒子と小さい側の粒子の占める容積が等量となる径、つまり50容積%頻度の粒子径を、メジアン径という。メジアン径は、D50とも呼称される。
第一中空粒子のメジアン径(D50)は、7.5~25μmであり、7.5~15μmであることが好ましい。第一中空粒子のメジアン径(D50)が7.5μm未満であると、下塗り層のクッション性が低下するため、印刷時における感熱紙のサーマルヘッドへの密着性が低下し、高画質が得られ難い。一方、第一中空粒子のメジアン径(D50)が25μmを超えると、下塗り層の平滑性が低下するため、下塗り層上に設ける感熱記録層を均一にすることが難しく、発色濃度が低下する。
第二中空粒子は、メジアン径(D50)が0.7~6μmであり、0.7~4μmであることが好ましく、0.7~3μmであることがより好ましい。
中空粒子のメジアン径(D50)は、レーザー回析式粒度分布測定装置によって測定することができる。また、電子顕微鏡を用いて実測することも可能である。
【0035】
最大粒子径(D100)とメジアン径(D50)との比D100/D50は、粒度分布の程度を示す指標である。第一中空粒子のD100/D50は、1.8~10.0であることが好ましく、1.8~5.0であることがより好ましく、1.8~3.0であることがさらに好ましい。
第一中空粒子のD100/D50が1.8未満であると粒度分布が非常にシャープになり、製造が困難になるおそれがある。一方、第一中空粒子のD100/D50が10.0超であると最大粒子径が大きくなりすぎるため、下塗り層の平滑性が低下し、発色濃度が低下するおそれがある。
【0036】
第一中空粒子は、中空率が80~98%であることが好ましく、90~98%であることがより好ましい。中空粒子の中空率が80%以上であると、中空粒子を含有する下塗り層に高い断熱性を付与することができる。一方、中空粒子の中空率が98%以下であると、中空部を包む膜の強度を向上することにより、下塗り層形成時にも潰れない中空粒子とすることができる。
一方、第二中空粒子は、中空率が80%未満であることが好ましく、60%未満であることがより好ましい。第二中空粒子の中空率が80%未満であると、中空粒子の発泡タイプや非発泡タイプに関わらず粒子製造が容易で安価であるといったメリットが生じる。
【0037】
第一中空粒子と第二中空粒子を含む中空粒子の混合物の含有量は、下塗り層の全固形分に対して、5~75質量%であり、7~50質量%であることが好ましい。
中空粒子の混合物の含有量が5質量%未満であると、断熱性を向上させることが難しい。一方、中空粒子の混合物の含有量が75質量%超であると、塗工性等の面で問題が生じ易い。
また、第一中空粒子の含有量は、下塗り層の全固形分に対して、5~40質量%であり、5~30質量%であることが好ましい。
【0038】
(増粘剤)
増粘剤は、下塗り層用塗工液に含有させることが好ましい。下塗り層用塗工液に増粘剤を含有させると、下塗り層用塗工液中の中空粒子の偏りを抑止することができる。増粘剤としては、例えば、セルロースおよびその誘導体、高分子多糖類、ポリアクリル酸変性物、アルギン酸ソーダ、および無水マレイン酸共重合体など各種公知の材料を適宜使用することができる。上記の中でも、カルボキシメチルセルロース(CMC)のようなセルロース誘導体や、高分子多糖類が増粘剤として好適である。
【0039】
第一中空粒子は最大粒子径が大きいため、浮力が大きく、粘性の低い液体中では上方に集まってしまう傾向にある。下塗り層用塗工液の増粘剤としてセルロース誘導体や高分子多糖類を用いると、第一中空粒子が下塗り層用塗工液中で浮き上がり難くなり、第一中空粒子の分散性が向上する。第一中空粒子の分散性が向上すれば下塗り層の平滑性が向上するため、下塗り層を介して設けられる感熱記録層を均一にすることができ、画像の白抜け等を抑止することができる。
【0040】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、後記する感熱記録層に使用されるバインダーの中から適宜選択することができる。例えば、酸化澱粉、澱粉-酢酸ビニルグラフト共重合体、カルボキシメチル化セルロース、ポリビニルアルコール、ラテックス等が挙げられ、中でもラテックスが好ましい。
【0041】
ラテックスとしては、特に制限はないが、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリル化ウレタン、アクリル-シリコン複合体、及びアクリル-シリコン-ウレタン複合体、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の水不溶性重合体が挙げられる。ラテックスの中でも、少なくともスチレン-ブタジエン共重合体(スチレン・ブタジエンラテックス)を含有することが好ましい。
【0042】
また、スチレン・ブタジエンラテックスのTgは、-10℃以下であることが好ましく、-30℃以下であることがより好ましい。スチレン・ブタジエンラテックスのTgがより低温であると、画質をより向上させる効果がある。
【0043】
下塗り層は、一般に水を媒体として、中空粒子、結着樹脂、必要により吸油性顔料、助剤等を混合・攪拌することにより調製された下塗り層用塗液を、支持体上に塗布及び乾燥することにより形成される。下塗り層用塗液の塗布量は、特に限定されるものではないが、乾燥後の塗布量で、2.0~10g/m2であることが好ましく、2.5~7g/m2がより好ましい。
【0044】
[感熱記録層]
(染料前駆体)
感熱記録層は、一般に、染料前駆体および呈色剤(顕色剤)を含有している。代表的な染料前駆体として、無色又は淡色のロイコ染料がある。ロイコ染料には、トリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系化合物などがあり、適宜選択して使用することができる。また、ロイコ染料には、赤、朱、マゼンタ、青、シアン、黄、緑、黒等の発色色調を有する染料があり、適宜選択して使用することができる。
【0045】
染料前駆体としては、例えば3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、フルオラン等の青発色性染料、3-(N-エチル-N-p-トリル)アミノ-7-N-メチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン等の緑発色性染料、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-アニリノラクタム、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン等の赤発色性染料、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロフェニルアミノ)フルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-6-メチル-7-(p-トルイジノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2,2-ビス{4-〔6’-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-3’-メチルスピロ〔フタリド-3,9’-キサンテン-2’-イルアミノ〕フェニル}プロパン、3-ジエチルアミノ-7-(3’-トリフルオロメチルフェニル)アミノフルオラン等の黒発色性染料、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-p-(p-ジメチルアミノアニリノ)アニリノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-p-(p-クロロアニリノ)アニリノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3’-(6’-ジメチルアミノ)フタリド等の近赤外領域に吸収波長を有する染料等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて2種以上を併用することもできる。なかでも、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、及び3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランは記録感度、印字保存性に優れているため、好ましく用いられる。
【0046】
染料前駆体の含有量は、感熱記録層の全固形分に対して5~30質量%が好ましく、7~30質量%がより好ましく、7~25質量%が更に好ましい。染料前駆体の含有量を5質量%以上にすると発色濃度が向上し、染料前駆体の含有量を30質量%以下にすると耐熱性が向上する。また、感熱記録層中における染料前駆体の単位面積あたりの含有量は、好ましくは0.2~2.0g/m2、より好ましくは0.4~1.5g/m2である。染料前駆体の単位面積あたりの含有量は、高速液体クロマトグラフィー法等により測定することができる。
【0047】
(呈色剤)
呈色剤(顕色剤)の具体例としては、例えば、4-tert-ブチルフェノール、4-アセチルフェノール、4-tert-オクチルフェノール、4,4’-sec-ブチリデンジフェノール、4-フェニルフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、4,4’-シクロヘキシリデンジフェニル、4,4’-シクロヘキシリデンジフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、4,4’-ビス(p-トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ビス〔4-(4-ヒドロキシフェニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-n-プロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ベンジルオキシジフェニルスルホン、3,3’-ジアリル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-メチルジフェニルスルホン、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン、3,4-ジヒドロキシフェニル-4’-メチルフェニルスルホン等のフェノール性化合物等のフェノール性化合物、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸-sec-ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェニル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、4-ヒドロキシ安息香酸トリル、4-ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル等のフェノール性化合物、又は安息香酸、p-クロロ安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3-tert-ブチルサリチル酸、3-イソプロピルサリチル酸、3-ベンジルサリチル酸、3-(α-メチルベンジル)サリチル酸、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸、4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、4-{3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属との塩、更にはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等の有機酸性物質、N-p-トルエンスルホニル-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N-p-トルエンスルホニル-N’-p-ブトキシカルボニルフェニルウレア、N-p-トリルスルホニル-N’-フェニルウレア、4,4’-ビス(p-トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン等のウレア化合物、N,N’-ジ-m-クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、N-(p-トルエンスルホニル)カルバモイル酸p-クミルフェニルエステル、N-(p-トルエンスルホニル)カルバモイル酸p-ベンジルオキシフェニルエステル、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-(o-トルオイル)-p-トルエンスルホアミド等の分子内に-SO2NH-結合を有する有機化合物、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質等が挙げられる。
【0048】
さらに、呈色剤の具体例としては、下記一般式(1)で表される4,4’-ビス〔(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、4,4’-ビス〔(2-メチル-5-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、4-(2-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド-4’-(4-メチル-5-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイドジフェニルスルホン等のウレアウレタン誘導体、下記一般式(2)で表されるジフェニルスルホン誘導体等が挙げられる。もちろん、呈色剤はこれらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
【化1】
【化2】
(式中、nは1~6の整数を表す。)
【0049】
呈色剤の含有量は、特に制限されず、使用されるロイコ染料に応じて調整すればよい。呈色剤の含有量は一般に、ロイコ染料1質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましく、1.2質量部以上がより一層好ましく、1.5質量部以上が特に好ましい。また、呈色剤の含有量は、ロイコ染料1質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、4質量部以下が更に好ましく、3.5質量部以下が特に好ましい。呈色剤の含有量を0.5質量部以上とすることにより、記録性能を高めることができる。一方、呈色剤の含有量を10質量部以下とすることにより、高温環境下での地肌カブリを効果的に抑えることができる。
【0050】
本実施形態では、感熱記録層中に、主に発色像の保存性をより一層高めるために、保存性改良剤を更に含有させることができる。このような保存性改良剤としては、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビスフェノール、4,4’-〔1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビスフェノール等のフェノール化合物;4-ベンジルオキシフェニル-4’-(2-メチル-2,3-エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4-(2-メチル-1,2-エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4-(2-エチル-1,2-エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物;並びに1,3,5-トリス(2,6-ジメチルベンジル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸化合物から選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。もちろん、これらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
【0051】
保存性改良剤を使用する場合、その使用量は、保存性改良のために有効な量とすればよく、通常は、感熱記録層の全固形量中、1~30質量%程度が好ましく、5~20質量%程度がより好ましい。
【0052】
本実施形態における感熱記録層中には増感剤を含有させることもできる。これにより、記録感度を高めることができる。増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、メトキシカルボニル-N-ステアリン酸ベンズアミルド、N-ベンゾイルステアリン酸アミド、N-エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N-メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、ジフェニルスルホン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸フェニル、2-ナフチルベンジルエーテル、m-ターフェニル、p-ベンジルビフェニル、シュウ酸ジ-p-クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル、p-トリルビフェニルエーテル、ジ(p-メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-メトキシフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-クロロフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシエタン、1-(4-メトキシフェノキシ)-2-(3-メチルフェノキシ)エタン、p-メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4-ジ(フェニルチオ)ブタン、p-アセトトルイジド、p-アセトフェネチジド、N-アセトアセチル-p-トルイジン、1,2-ジフェノキシメチルベンゼン、ジ(β-ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p-ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1-イソプロピルフェニル-2-フェニルエタン、アジピン酸ジ-o-クロルベンジル、1,2-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、1,3-ビス(2-ナフトキシ)プロパン、ジフェニル、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらは支障のない範囲で併用できる。増感剤の含有割合は、増感のために有効な量とすればよく、通常は、感熱記録層の全固形量中、2~40質量%程度が好ましく、5~25質量%程度がより好ましい。
【0053】
感熱記録層には、バインダーを含有させることができる。感熱記録層用塗液に使用されるバインダーとしては、例えば、水溶性接着剤及び水分散性接着剤のいずれの水性接着剤を使用できる。水溶性接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体塩、スチレン-アクリル酸共重合体塩、スチレン-無水マレイン酸共重合体塩、エチレン-無水マレイン酸共重合体塩、アクリル酸アミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド-アクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム等が挙げられる。水分散性接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリル化ウレタン、アクリル-シリコン複合体、及びアクリル-シリコン-ウレタン複合体、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の水不溶性重合体のラテックス等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を併用して使用することができる。これらの少なくとも1種を、感熱記録層の全固形分中、好ましくは5~50質量%程度、より好ましくは10~40質量%程度の範囲で配合される。
【0054】
感熱記録層には、感熱記録層またはその他の層のバインダーを硬化させる架橋剤を含有させることができる。感熱記録層に架橋剤を含有させることにより、感熱記録層の耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、グリオキシル酸塩、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物;過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、四硼酸ソーダ、四硼酸カリウム等の無機化合物;硼酸、硼酸トリエステル、硼素系ポリマー、ヒドラジド化合物、グリオキシル酸塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。架橋剤の使用量は、感熱記録層の全固形量100質量部に対し、1~10質量部程度の範囲が好ましい。
【0055】
感熱記録層には、必要に応じて、発明の効果を損なわない範囲内で、公知のワックス類、金属石鹸、有色染料、有色顔料、蛍光染料、撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等を含有させることができる。
【0056】
ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類;例えば、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、及びその誘導体等を挙げることができる。
【0057】
金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、及びオレイン酸亜鉛等を挙げることができる。
【0058】
また、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、感熱記録層中に、更に撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等の各種助剤を添加することができる。
【0059】
感熱記録層用の塗工液は、例えば、水を分散媒体とし、染料前駆体および呈色剤の微粒子、バインダー、保存性改良剤、増感剤等を共に、或いは別々に分散した分散液を用いて、調製される。感熱記録層用塗工液は、乾燥重量で好ましくは2~12g/m2、より好ましくは2~8g/m2、更に好ましくは2~7g/m2となるように支持体上に塗布される。
【0060】
[保護層]
感熱記録層の上にさらに保護層を設けることができる。保護層は、例えば、バインダー、必要により顔料、ワックス、架橋剤、その他助剤等を混合することにより調製される。バインダー及び顔料としては、前記の感熱記録層で例示したような材料を使用することができる。顔料やワックスを含有させることにより、サーマルヘッドに対するカス付着、及びスティッキング防止することができる。また、保護層に架橋剤を添加することによって、保護層に耐水性を付与することが可能である。保護層は、水を分散媒体として、保護層用塗工液を、乾燥重量で好ましくは0.1~15g/m2、より好ましくは0.5~8g/m2となるように、感熱記録層上に塗布して形成される。
【0061】
[その他の層]
本実施形態では、感熱記録体の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等による塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙とすることができる。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット記録用紙、ノーカーボン用紙、静電記録用紙、ゼオグラフィー用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん、両面感熱記録体とすることもできる。また、感熱記録体裏面からの油や可塑剤の浸透を抑制したり、カールコントロールや帯電防止のためにバック層を設けることもできる。保護層上にシリコーンを含有した剥離層を塗布加工し、裏面に粘着剤を塗布加工することにより、剥離紙を必要としないライナーレスラベルとすることも可能である。
【0062】
[感熱記録体]
支持体上に上記の各層を形成する方法としては、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法、スロットダイ法、スライドダイ法、エクストルージョン法等の既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。また、各塗工液は1層ずつ塗布及び乾燥して各層を形成してもよく、同一の塗工液を2層以上に分けて塗布してもよい。さらに、2つ以上の層を同時に塗布する同時多層塗布を行ってもよい。
【0063】
記録感度を高め、白抜け等を抑止する観点から、各層の形成終了後、又は全ての層の形成終了後に、スーパーカレンダーやソフトカレンダー等の既知の方法を用いて平滑化処理することが好ましい。
【実施例】
【0064】
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
【0065】
実施例、比較例に用いた材料は以下のとおりである。
(1)中空粒子
(i)中空粒子A:商品名エクスパンセル 461WE20d36、アクゾノーベル社製の中空粒子、メジアン径(D50)20μm、最大粒子径(D100)80μm、中空率95%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%
(ii)中空粒子B:メジアン径(D50)12μm、最大粒子径(D100)45μm、中空率94%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%
(iii)中空粒子C:メジアン径(D50)11μm、最大粒子径(D100)23μm、中空率93%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%
(iv)中空粒子D:メジアン径(D50)8.1μm、最大粒子径(D100)20μm、中空率90%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%
(v)中空粒子E:メジアン径(D50)7.5μm、最大粒子径(D100)15μm、中空率85%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%
(vi)中空粒子F:メジアン径(D50)12μm、最大粒子径(D100)124μm、中空率94%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%
(vii)中空粒子G:メジアン径(D50)6.2μm、最大粒子径(D100)15μm、中空率77%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%
(viii)中空粒子H:商品名A-380、三水社製の中空粒子、メジアン径(D50)3.8μm、最大粒子径(D100)6.5μm、中空率78%、粒子径2.0μm以下の中空粒子の割合1.5容積%、固形分濃度13.0%
(ix)中空粒子I:メジアン径(D50)5.0μm、最大粒子径(D100)13.5μm、中空率90%、2μm以下の粒子の割合0.2体積%、固形分濃度15.0%
(x)中空粒子J:商品名ローペイクSN-1055、ダウ・ケミカル社製、メジアン径(D50)1.0μm、最大粒子径(D100)2.0μm、中空率55%、粒子径2.0μm以下の中空粒子の割合100容積%、固形分濃度26.5%
(2)ラテックス
(i)ラテックスA:スチレン・ブタジエンラテックス開発品(Tg:-10℃、粒子径190nm、固形分濃度48%)
(ii)ラテックスB:スチレン・ブタジエンラテックス開発品(Tg:-35℃、粒子径300nm、固形分濃度48%)
(iii)ラテックスC:スチレン・ブタジエンラテックス(商品名L-1571、旭化成社製、Tg=-3℃、粒子径190nm、固形分濃度48%)
【0066】
(実施例1)
(1)下塗り層用塗工液の調製
中空粒子A120.0部、中空粒子Jを135.8部、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)18.0部、ラテックスAを25部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンAGガム、第一工業製薬社製)3.0部、及び水75.0部を混合攪拌して、下塗り層用塗工液を得た。
【0067】
(2)ロイコ染料分散液(A液)調製
3-ジ-(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.5μmになるまで粉砕してロイコ染料分散液(A液)を得た。
【0068】
(3)呈色剤分散液(B液)調製
4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン (日本曹達社製、D-8)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して呈色剤分散液(B液)を得た。
【0069】
(4)増感剤分散液(C液)調製
シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル(商品名:HS-3520、DIC社製)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して増感剤分散液(C液)を得た。
【0070】
(5)感熱記録層用塗工液の調製
A液29.5部、B液59.1部、C液45.4部、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの5%水溶液20部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、鹸化度:99モル%、平均重合度:1000、クラレ社製)の10%水溶液46部、ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名:L-1571、旭化成社製、固形分濃度48%)9.4部、軽質炭酸カルシウム(商品名:Brilliant-15、白石工業社製)25.4部、パラフィンワックス(商品名:ハイドリンL-700、中京油脂社製、固形分濃度30%)11.7部、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)2部、及び水120部を混合撹拌して感熱記録層用塗工液を得た。
【0071】
(6)保護層用塗工液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセネックスZ-200、鹸化度:99.4モル%、平均重合度:1000、変性度:5モル%、日本合成化学工業社製)の12%水溶液300部、カオリン(商品名:HYDRAGLOSS90、KaMinLLC社製)19部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH-42M、昭和電工社製)35部、シリカ(商品名:ミズカシルP-527、水澤化学社製)4部、ポリエチレンワックス(商品名:ケミパールW-400、三井化学社製、固形分濃度40%)2.5部、及び水114.5部からなる組成物を混合撹拌して保護層用塗工液を得た。
【0072】
(7)感熱記録体の作製
坪量60g/m2の上質紙の片面上に、下塗り層用塗工液、感熱記録層用塗工液、及び保護層記録用塗工液を乾燥後の塗布量がそれぞれ4.0g/m2、4.0g/m2、2.0g/m2になるように塗布・乾燥して、下塗り層、感熱記録層、及び保護層を順次形成した後、スーパーカレンダーで表面を平滑化して感熱記録体を得た。
【0073】
(実施例2)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Aを中空粒子Bとした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0074】
(実施例3)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Aを中空粒子Cとした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0075】
(実施例4)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Aを中空粒子Dとした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0076】
(実施例5)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Cを40.0部、焼成カオリンを30.0部に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0077】
(実施例6)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Cを186.7部、焼成カオリンを8.0部に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0078】
(実施例7)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Cを26.7部、焼成カオリンを32.0部に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0079】
(実施例8)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Cを213.3部、焼成カオリンを4.0部に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0080】
(実施例9)
実施例3の感熱記録体の作製において、下塗り層の乾燥後の塗布量を4.0g/m2から12.0g/m2に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0081】
(実施例10)
実施例3の感熱記録体の作製において、下塗り層の乾燥後の塗布量を4.0g/m2から8.0g/m2に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0082】
(実施例11)
実施例3の感熱記録体の作製において、下塗り層の乾燥後の塗布量を4.0g/m2から2.0g/m2に変更した以外は、実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0083】
(実施例12)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Cを40.0部、中空粒子Jを249.1部、焼成カオリンを0部に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0084】
(実施例13)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Cを186.7部、中空粒子Jを22.6部、焼成カオリンを38.0部に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0085】
(実施例14)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Cを186.7部、中空粒子Jを7.5部、焼成カオリンを42.0部に変更した以外は、実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0086】
(実施例15)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、ラテックスAをラテックスBに変更した以外は実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0087】
(実施例16)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、ラテックスAをラテックスCに変更した以外は実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0088】
(実施例17)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子J135.8部の代わりに、中空粒子Hを276.9部を用いた以外は実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0089】
(実施例18)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子J135.8部の代わりに、中空粒子Iを240.0部を用いた以外は実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0090】
(実施例19)
実施例3の呈色剤分散液調製において、4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン (日本曹達社製、D-8)の代わりに、4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホン(三菱ケミカル社製、トミラックKN)を用いた以外は実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0091】
(実施例20)
実施例3の呈色剤分散液調製において、4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン (日本曹達社製、D-8)の代わりに、2-フェニルスルホニルアミノーN,N’-ジフェニルウレア(日本曹達社製、NKK-1304)を用いた以外は実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
【0092】
(実施例21)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Aを中空粒Eとした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0093】
(比較例1)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Aの代わりに中空粒子Fを用いた以外は実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0094】
(比較例2)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Aの代わりに中空粒子Gを用いた以外は実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0095】
(比較例3)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子A120.0部の代わりに中空粒子Hを138.5部用いた以外は実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0096】
(比較例4)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Aの代わりに中空粒子Iを用いた以外は実施例1と同様に感熱記録体を得た。
【0097】
(比較例5)
実施例3の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子Jを0部、アンシレックス93を54.0部に変更した以外は実施例3と同様に感熱記録体を得た。
【0098】
得られた実施例1~21および比較例1~5の各感熱記録体について、以下の性能評価を行い、結果を表1に示した。
【0099】
[中間調記録濃度]
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.16mJ/dotの中間調エネルギー領域にて各感熱記録体を記録し、得られた印字部をマクベス濃度計(RD-914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。数値が大きい程、印字の濃度が濃いことを示している。
【0100】
[印字画質]
ラベルプリンタ(商品名:L-2000、株式会社イシダ製)を用いてバーコードを記録し、その記録画質を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:画像の白抜けやバーコードの太りがなく、特に優れている。
○:画像の白抜けやバーコードの太りがなく、問題ない。
△:画像の白抜けやバーコードの太りがほとんどなく、実用上問題ない。
×:画像の白抜けやバーコードの太りがあり、実用上問題となる。
【0101】
【0102】
表1から分かるように、実施例1~21の感熱記録体は、中間調記録濃度、印字画質共に優れたものであった。
比較例1の感熱記録体は、第一中空粒子の最大粒子径(D100)が80μmを超えるため、下塗り層の平滑性が低下し、感熱記録層用塗工液が均一に塗布されず、中間調記録濃度が劣るものであった。
比較例2~4の感熱記録体は、第一中空粒子のメジアン径(D50)が7.5μm未満であるため、下塗り層の断熱性が不十分であり、、印字画質が劣るものであった。
特に比較例3の感熱記録体は、第一中空粒子の最大粒子径(D100)が10μm未満であり、クッション性が低下し、中間調記録濃度も劣るものであった。
比較例5の感熱記録体は、第二中空粒子を用いていないものであり、下塗り層の平滑性が低下し、感熱記録層用塗工液が均一に塗布されず、中間調記録濃度が劣るものであった。