(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】制御装置、情報処理装置、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231017BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231017BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20231017BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20231017BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 H
B60W30/14
B60W30/10
B60W40/04
(21)【出願番号】P 2020078015
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 高宏
(72)【発明者】
【氏名】西口 哲平
(72)【発明者】
【氏名】小森谷 一記
(72)【発明者】
【氏名】伊原 智章
(72)【発明者】
【氏名】東村 美優
(72)【発明者】
【氏名】中一 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】岡坂 和遵
(72)【発明者】
【氏名】服部 亮
(72)【発明者】
【氏名】谷川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】金原 良平
(72)【発明者】
【氏名】中村 彦志
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-162987(JP,A)
【文献】特開2017-207907(JP,A)
【文献】特開2017-167669(JP,A)
【文献】特開2006-131044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/09
B60W 30/14
B60W 30/10
B60W 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
追従走行機能を有する第1車両が分離可能に結合または積載される第2車両に搭載された制御装置であって、
前記第2車両が前記第1車両を結合または積載している状態のときに、前記第2車両から所定の範囲内に存在する他車両であって、走行予定経路の一部または全部が前記第2車両から前記第1車両が分離してからの前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両を検出することと、
検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両が前記追従走行機能によって走行するように、追従指令情報を前記第1車両に送信するとともに、前記第1車両を前記第2車両から分離させることと、
を実行する制御部を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と、走行予定経路の一部または全部とが同じである前記他車両が前記第2車両から前記所定の範囲内に複数存在する場合、前記複数の他車両のうち、前記第1車両の走行予定経路と走行予定経路が同じになる距離がより長い前記他車両を自動追従する先行車両として選択することをさらに実行する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1車両は、自律走行機能をさらに有しており、
前記第1車両は、前記第2車両から分離されると、前記追従指令情報に基づいて、検出された前記他車両を自動追従することが可能となる位置まで前記自律走行機能によって走行し、
その後、
前記第1車両は、前記第1車両の走行機能を前記自律走行機能から前記追従走行機能に切り替える、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1車両は、自律走行機能をさらに有しており、
前記制御部が前記第1車両に送信する前記追従指令情報には、前記第1車両の走行予定
経路と前記他車両の走行予定経路とが同じでなくなる分岐地点に関する分岐情報が含まれており、
前記分岐情報に基づい
て前記第1車両が前記分岐地点に到達したときに、
前記第1車両は、前記第1車両の走行機能を前記追従走行機能から前記自律走行機能に切り替える、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記第1車両の走行予定経路を含む経路情報と前記他車両の走行予定経路を含む経路情報とを格納するデータベースを備え、
前記制御部は、
前記データベースに格納された前記第1車両の経路情報と前記他車両の経路情報とに基づいて、走行予定経路の一部または全部が前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ前記他車両を検出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記他車両の経路情報を前記他車両から車車間通信によって受信することと、
受信した前記他車両の経路情報を前記データベースに格納することと、
をさらに実行する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記他車両の走行予定経路および現在位置を管理するサーバ装置から、前記他車両の経路情報を受信することと、
受信した前記他車両の経路情報を前記データベースに格納することと、
をさらに実行する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
追従走行機能を有する第1車両が分離可能に結合または積載される第2車両を管理する情報処理装置であって、
前記第2車両が前記第1車両を結合または積載している状態のときに、前記第2車両から所定の範囲内に存在する他車両であって、走行予定経路の一部または全部が前記第2車両から前記第1車両が分離してからの前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両を検出することと、
検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両を前記追従走行機能によって走行させるように、指令情報を前記第2車両に送信することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と、走行予定経路の一部または全部とが同じである前記他車両が前記第2車両から前記所定の範囲内に複数存在する場合、前記複数の他車両のうち、前記第1車両の走行予定経路と走行予定経路が同じになる距離がより長い前記他車両を自動追従する先行車両として選択することをさらに実行する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、
前記第1車両の走行予定経路を含む経路情報と前記他車両の走行予定経路を含む経路情報とを格納するデータベースを備え、
前記制御部は、
前記データベースに格納された前記第1車両の経路情報と前記他車両の経路情報とに基
づいて、走行予定経路の一部または全部が前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ前記他車両を検出する、
請求項8または9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第1車両の経路情報を前記第2車両から受信することと、
前記他車両の経路情報を前記他車両から受信することと、
受信した前記第1車両の経路情報と前記他車両の経路情報とを前記データベースに格納することと、
をさらに実行する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2車両は、
前記指令情報に基づいて、検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両が前記追従走行機能によって走行するように、追従指令情報を前記第1車両に送信するとともに、前記第1車両を前記第2車両から分離させる、
請求項8から11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1車両は、自律走行機能をさらに有しており、
前記第1車両は、前記第2車両から分離されると、前記追従指令情報に基づいて、検出された前記他車両を自動追従することが可能となる位置まで前記自律走行機能によって走行し、
その後、
前記第1車両は、前記第1車両の走行機能を前記自律走行機能から前記追従走行機能に切り替える、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1車両は、自律走行機能をさらに有しており、
前記第2車両が前記第1車両に送信する前記追従指令情報には、前記第1車両の走行予定経路と前記他車両の走行予定経路とが同じでなくなる分岐地点に関する分岐情報が含まれており、
前記追従指令情報に含まれる前記分岐情報に基づい
て前記第1車両が前記分岐地点に到達したときに、
前記第1車両は、前記第1車両の走行機能を前記追従走行機能から前記自律走行機能に切り替える、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
追従走行機能を有する第1車両が分離可能に結合または積載される第2車両を制御する制御装置を含むシステムが有するコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記第2車両が前記第1車両を結合または積載している状態のときに、前記第2車両から所定の範囲内に存在する他車両であって、走行予定経路の一部または全部が前記第2車両から前記第1車両が分離してからの前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両を検出することと、
検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両が前記追従走行機能によって走行するように、前記制御装置から追従指令情報を前記第1車両に送信するとともに、前記制御装置によって前記第1車両を前記第2車両から分離させることと、
を含む情報処理方法。
【請求項16】
前記システムは、前記他車両を検出する情報処理装置をさらに含み、
前記情報処理方法は、
検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両を前記追従走行機能によって走行させるように、指令情報を前記情報処理装置から前記第2車両に送信すること、
をさらに含み、
前記指令情報に基づいて、前記制御装置から前記追従指令情報を前記第1車両に送信する、
請求項15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と、走行予定経路の一部または全部とが同じである前記他車両が前記第2車両から前記所定の範囲内に複数存在する場合、前記複数の他車両のうち、前記第1車両の走行予定経路と走行予定経路が同じになる距離がより長い前記他車両を自動追従する先行車両として選択すること、
をさらに含む、
請求項15または16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記第1車両は、自律走行機能をさらに有しており、
前記第1車両は、前記第2車両から分離されると、前記追従指令情報に基づいて、検出された前記他車両を先行車両として自動追従することが可能となる位置まで前記自律走行機能によって走行し、
その後、前記第1車両は、前記第1車両の走行機能を前記自律走行機能から前記追従走行機能に切り替える、
請求項15から17のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記第1車両は、自律走行機能をさらに有しており、
前記追従指令情報には、前記第1車両の走行予定経路と前記他車両の走行予定経路とが同じでなくなる分岐地点に関する分岐情報が含まれており、
前記分岐情報に基づい
て前記第1車両が前記分岐地点に到達したときに、
前記第1車両は、前記第1車両の走行機能を前記追従走行機能から前記自律走行機能に切り替える、
請求項15から17のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記システムは、
前記第1車両の走行予定経路を含む経路情報と前記他車両の走行予定経路を含む経路情報とを格納するデータベースを備え、
前記データベースに格納された前記第1車両の経路情報と前記他車両の経路情報とに基づいて、走行予定経路の一部または全部が前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ前記他車両を検出する、
請求項15から19のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の走行制御装置が開示されている。特許文献1における走行制御装置は、車間距離測定手段により先行車との車間距離を測定し、測定される車間距離が所定の距離となるよう車速を制御する追尾走行制御手段と、先行車が捕捉されないときには予め設定された設定車速で走行する定速走行制御手段とを備えている。また、走行制御装置は、追尾走行制御及び定速走行制御の開始指令信号を出力する操作スイッチと、定速走行時の設定車速を開始指令信号が出力されたときの車速に設定する第1の車速設定手段と、追尾走行時の設定車速を開始指令信号が出力されたときの車速よりも大きな所定値に設定する第2の車速設定手段と、をさらに備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両の効率的な移動を可能にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る制御装置は、
追従走行機能を有する第1車両が分離可能に結合または積載される第2車両に搭載された制御装置であって、
前記第2車両が前記第1車両を結合または積載している状態のときに、前記第2車両から所定の範囲内に存在する他車両であって、走行予定経路の一部または全部が前記第2車両から前記第1車両が分離してからの前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両を検出することと、
検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両が前記追従走行機能によって走行するように、追従指令情報を前記第1車両に送信するとともに、前記第1車両を前記第2車両から分離させることと、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、
追従走行機能を有する第1車両が分離可能に結合または積載される第2車両を管理する情報処理装置であって、
前記第2車両が前記第1車両を結合または積載している状態のときに、前記第2車両から所定の範囲内に存在する他車両であって、走行予定経路の一部または全部が前記第2車両から前記第1車両が分離してからの前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両を検出することと、
検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両を前記追従走行機能によって走行させるように、指令情報を前記第2車両に送信することと、
を実行する制御部を備える。
【0007】
本開示の第1の態様に係る情報処理方法は、
追従走行機能を有する第1車両が分離可能に結合または積載される第2車両を制御する
制御装置を含むシステムが有するコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記第2車両が前記第1車両を結合または積載している状態のときに、前記第2車両から所定の範囲内に存在する他車両であって、走行予定経路の一部または全部が前記第2車両から前記第1車両が分離してからの前記第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両を検出することと、
検出された前記他車両を先行車両として前記第1車両が前記追従走行機能によって走行するように、前記制御装置から追従指令情報を前記第1車両に送信するとともに、前記制御装置によって前記第1車両を前記第2車両から分離させることと、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、車両の効率的な移動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る制御システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第2車両に複数の第1車両が連結している状態と分離している状態との一例を示す図である。
【
図3】第2車両と第2車両に連結した複数の第1車両と他車両とが走行している状況の一例を示す図である。
【
図4】最後尾車両が第2車両から分離し、他車両を自動追従している状態の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態における制御システムを構成する、走行制御装置、制御装置、および車載装置の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態における追従指令処理のフローチャートである。
【
図9】第1車両が第2車両に積載されている状態と第2車両から分離している状態との一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る制御システムの概略構成を示す図である。
【
図11】第2実施形態における制御システムを構成する、走行制御装置、制御装置、車載装置、および管理サーバの機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図13】第2実施形態における追従指令処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の態様に係る制御装置は、第2車両に搭載された制御装置である。ここで、第2車両は、追従走行機能を有する第1車両が分離可能に結合または積載される車両である。第2車両は第1車両を結合または積載した状態で走行する。これにより、第1車両は、自身の目的地に至る経路の途中まで、第2車両に結合または積載された状態で移動することができる。そして、第1車両は、第2車両から分離した後には、追従走行機能によって先行車両を自動追従する。
【0011】
本開示の第1の態様に係る制御装置においては、制御部が、第2車両が第1車両を結合または積載している状態のときに、第2車両の周囲に存在する他車両を検出する。このとき、第2車両から所定の範囲内に存在する他車両であって、走行予定経路の一部または全部が第2車両から第1車両が分離してからの第1車両の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両が検出される。そして、制御部は、検出された他車両を先行車両として第1車両が追従走行機能によって走行するように、追従指令情報を第2車両に送信する。また、このとき、制御部は、検出された他車両を先行車両として第1車両が追従走行機能によって走行するように、第1車両を第2車両から分離させる。これにより、第1車両は、第2
車両から分離された後、走行予定経路の一部または全部が同じ他車両を自動追従することができる。
【0012】
以上説明したように、第1車両は、第2車両に結合または積載されて自身の目的地に至る経路の途中まで移動する。そして、第2車両から所定の範囲内に存在する先行車両となり得る他車両(すなわち、走行予定経路の一部または全部が同じ他車両)が検出されると、第1車両は第2車両から分離する。そして、第1車両は、検出された他車両を自動追従する。このように、第1車両は、自身の目的地に至る経路の途中までは第2車両に結合または積載された状態で移動することができ、且つ、該経路の途中からは第2車両以外の車両を自動追従することで自身の目的地に向けて移動することができる。その結果、第1車両は、効率的な移動をすることが可能となる。
【0013】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<第1実施形態>
(システムの概略)
本実施形態における制御システム1について、
図1に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る制御システム1の概略構成を示す図である。制御システム1は、複数の第1車両10それぞれに搭載された走行制御装置100、第2車両20に搭載された制御装置200、および他車両30に搭載された車載装置300を含んで構成される。
【0015】
第2車両20は、複数の第1車両10が分離可能に結合される車両である。ただし、第2車両20に結合される第1車両10は、必ずしも複数である必要はない。第2車両20は、1台の第1車両10と結合、または、複数の第1車両10と連結することができる。第2車両20は、第2車両20に結合している1台、または、第2車両20に連結している複数の第1車両10を牽引して走行する。
図2は、第2車両20に複数の第1車両10が連結している状態と分離している状態との一例を示す図である。
図2に示すように、第1車両10は、結合部11を含んで構成される。また、第2車両20は、結合部21を含んで構成される。第1車両10の結合部11と第2車両20の結合部21とが互いに結合することで、第1車両10と第2車両20とが結合する。また、2台の第1車両10それぞれの結合部11が互いに結合することで、第1車両10同士が結合する。これにより、複数の第1車両10が第2車両20に連結することができる。また、
図2に示すように、結合部11同士の結合または結合部11と結合部21との結合が解除されることで、第1車両10は第2車両20から分離する。
【0016】
なお、結合部11および結合部21の構造は、特に限定されず、結合および分離が可能な構造であればよい。例えば、結合部11および結合部21の構造としては、結合部間が電磁石の磁力によって結合される構造を採用することができる。この場合、結合部11または結合部21への通電を停止することによって、第1車両10は第2車両20から分離することができる。なお、第2車両20は、運転者によって制御される車両であってもよい。または、第2車両20は自律走行機能を有する車両であってもよい。
【0017】
第1車両10は、自律走行機能と追従走行機能とで走行機能を切り替え可能な車両である。第1車両10は、第2車両20から分離すると、自律走行機能または追従走行機能によって走行する。ここで、自律走行機能は、人の操縦によらずに第1車両10が自律して走行する機能である。また、追従走行機能は、第1車両10と先行車両との間の車間距離を一定に保ちながら、第1車両10に先行車両を自動追従させる機能である。
【0018】
また、制御システム1においては、走行制御装置100と制御装置200とが直接通信することで第1車両10と第2車両20との間で車車間通信を行うことができる。また、制御装置200と車載装置300とが直接通信することで第1車両10と他車両30との間で車車間通信を行うことができる。
【0019】
第2車両20に搭載された制御装置200は、第2車両20の制御を行う装置である。制御装置200は、プロセッサ210、主記憶部220、補助記憶部230、および車車間通信インタフェース(通信I/F)240を有するコンピュータを含んで構成される。プロセッサ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)である。主記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。補助記憶部230は、例えば、ROM(Read Only Memory)である。また、補助記憶部230は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、またはCD-ROM、DVDディスク、もしくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。また、補助記憶部230は、リムーバブルメディア(可搬記憶媒体)であってもよい。ここで、リムーバブルメディアとして、例えば、USBメモリまたはSDカードが例示される。車車間通信I/F240は、第1車両10、および、第2車両20の周囲を走行する車両における無線通信装置と通信を行うことで該車両との間で車車間通信を行うためのインタフェースである。車車間通信I/F240は、例えば、無線通信のための無線通信回路である。
【0020】
制御装置200において、補助記憶部230には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。また、制御装置200において、プロセッサ210が、補助記憶部230に記憶されたプログラムを主記憶部220にロードして実行することによって、後述するような各種の機能を実現することができる。ただし、制御装置200における一部または全部の機能はASICまたはFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、制御装置200は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。なお、第1車両10における走行制御装置100と他車両30における車載装置300とは、制御装置200と同様、コンピュータを含んで構成される。
【0021】
(第1車両の分離)
ここで、第1車両10が第2車両20から分離するときの制御について
図3および
図4に基づいて説明する。第2車両20に複数の第1車両10が連結しているときに、第2車両20から所定の範囲内に、複数の第1車両10のうちのいずれかの先行車両となり得る他車両30が存在する場合、第1車両10が第2車両20から分離する。ここで、先行車両となり得る他車両30とは、第1車両10の走行予定経路(第2車両20から分離してからの走行予定経路)の一部または全部と走行予定経路の一部または全部が同じ車両である。そして、第2車両20から分離した第1車両10は、自動走行機能によって他車両30を自動追従する。
【0022】
図3は、第2車両20と第2車両20に連結した複数の第1車両10と他車両30とが走行している状況の一例を示す図である。
図3に示すように、他車両30は第2車両20から所定の範囲内に存在する。また、
図3に示す例において、他車両30の走行予定経路の一部または全部が、第2車両20に連結している複数の第1車両10のうち最も後方に位置する第1車両10(以下、「最後尾車両10A」と称する場合がある。)の走行予定経路の一部または全部と同じであると想定する。つまり、
図3に示す他車両30が、最後尾車両10Aの先行車両となり得る車両と想定する。なお、他車両30とは、運転者によって制御される車両であってもよい。または、他車両30は自律走行機能を有する車両で
あってもよい。
【0023】
このとき、最後尾車両10Aは、第2車両20から分離して、先行車両となる他車両30を自動追従する。
図4は、最後尾車両10Aが第2車両20から分離し、他車両30を自動追従している状態の一例を示す図である。このとき、第2車両20から分離した最後尾車両10Aは、まず自律走行機能によって、自動追従の対象となっている他車両30を自動追従することが可能となる位置まで走行する。その後、最後尾車両10Aは、走行機能を追従走行機能に切り替えて、先行車両となる他車両30を自動追従する。なお、第2車両20は、分離した最後尾車両10A以外の第1車両10を連結して、第2車両20の走行予定経路に沿って走行する。
【0024】
(システム構成)
次に、制御システム1を構成する、走行制御装置100、制御装置200、および車載装置300の機能構成について
図5に基づいて説明する。
図5は、本実施形態における制御システム1を構成する、走行制御装置100、制御装置200、および車載装置300の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0025】
(車載装置)
他車両30に搭載された車載装置300は、他車両30の走行予定経路の管理を行う装置である。車載装置300として、他車両30に搭載されたカーナビゲーションシステムが例示できる。車載装置300は、制御部301、通信部302、および走行予定経路データベース(走行予定DB)303を含んで構成される。制御部301は、車載装置300を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部301は、車載装置300におけるプロセッサによって実現できる。
【0026】
走行予定経路DB303は、他車両30の走行予定経路を含む経路情報を格納するデータベースである。走行予定経路DB303は、車載装置300における補助記憶部によって実現できる。通信部302は、第2車両20に搭載された制御装置200と通信することで第2車両20との間で車車間通信を行う機能を有する。通信部302は、他車両30における車車間通信I/Fによって実現できる。制御部301は、通信部302を経由して、他車両30の経路情報を制御装置200に送信する。
【0027】
(走行制御装置)
第1車両10に搭載された走行制御装置100は、第1車両10の走行を制御する装置である。走行制御装置100は、制御部101、通信部102、および走行予定経路DB103を含んで構成される。通信部102は、第2車両20に搭載された制御装置200と通信することで第2車両20との間で車車間通信を行う機能を有する。通信部102は、走行制御装置100における車車間通信I/Fによって実現できる。走行予定経路DB103は、第1車両10の経路情報を格納するデータベースである。走行予定経路DB103は、第1車両10における補助記憶部によって実現できる。走行予定経路DB103には、第1車両10の走行予定経路を含む経路情報が予め格納されている。
【0028】
制御部101は、第1車両10を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部101は第1車両10におけるプロセッサによって実現できる。また、制御部101は、機能モジュールとして、自律走行実行部1011と、追従走行実行部1012を有している。自律走行実行部1011は、第1車両10が自律走行するための処理を実行する。自律走行実行部1011によって、第1車両10は自律走行機能を有することができる。また、追従走行実行部1012は、第1車両10が先行車両を自動追従するための処理を実行する。追従走行実行部1012によって、第1車両10は追従走行機能を有することができる。自律走行実行部1011および追従走行実行部1012が第1車両10を走行さ
せるために実行する処理として、公知の処理が採用できる。
【0029】
(制御装置)
第2車両20に搭載された制御装置200は、第2車両20を制御する装置である。制御装置200は、制御部201、通信部202、および走行予定経路DB203を含んで構成される。通信部202は、第1車両10における走行制御装置100と通信することによって第1車両10との間で車車間通信を行う機能を有する。また、通信部202は、他車両30における車載装置300と通信することによって他車両30との間で車車間通信を行う機能を有する。通信部202は、車車間通信I/F240によって実行できる。
【0030】
制御部201は、制御装置200を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部201はプロセッサ210によって実現できる。走行予定経路DB203は、第2車両20に連結している各第1車両10の経路情報と他車両30の経路情報とを格納するデータベースである。走行予定経路DB203は、補助記憶部230によって実現できる。第2車両20に連結している各第1車両10の経路情報は、走行予定経路DB203に予め格納されている。また、制御部201は、通信部202を経由して、第2車両20から所定の範囲内に存在する一または複数の他車両30の経路情報を車載装置300から受信する。制御部201は、車載装置300から受信した一または複数の他車両30の経路情報を走行予定経路DB203に格納する。なお、各第1車両10の経路情報は、通信部202を経由して、各第1車両10における走行制御装置100から受信されてもよい。
【0031】
制御部201は、機能モジュールとして、検出部2011を有している。検出部2011は、走行予定経路DB203に格納されている、第2車両20に連結している各第1車両10の経路情報と一または複数の他車両30の経路情報とに基づいて、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30を検出する。より具体的には、検出部2011は、走行予定経路DB203に格納されている一または複数の他車両30(すなわち、第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30)の走行予定経路の一部または全部が、複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じであるか否かを判別する。このようにして、検出部2011は、第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30であって、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30を検出する。
【0032】
そして、制御部201は、通信部202を経由して、検出部2011によって検出された他車両30(以下、「検出車両30」と称する場合がある。)を先行車両として追従走行機能によって走行させる追従指令情報を、検出車両30の走行予定経路の一部または全部と走行予定経路の一部または全部が同じ第1車両10(以下、「特定第1車両10」と称する場合がある。)における走行制御装置100に送信する。ここで、追従指令情報には、検出車両30についての情報が含まれている。第1車両10は、追従指令情報に基づいて、追従走行機能によって検出車両30を先行車両として追従走行機能によって走行することができる。また、このとき、制御部201は、特定第1車両10を第2車両20から分離させる。このようにして、第2車両20から分離された特定第1車両10は、追従指令情報に基づいて、検出車両30を自動追従する。
【0033】
(追従指令処理)
次に、制御装置200における制御部201によって実行される追従指令処理について、
図6に基づいて説明する。
図6は、本実施形態における追従指令処理のフローチャートである。本実施形態における追従指令処理は、制御装置200が、特定第1車両10に検出車両30を先行車両として追従走行機能によって走行させる指令をするための処理である。追従指令処理は、第2車両20が複数の第1車両10を牽引して走行しているとき、
または第2車両20が複数の第1車両10と連結して停車しているときに実行される。つまり、追従指令処理は、第2車両20が第1車両10と結合している状態のときに実行される。
【0034】
追従指令処理では、まず、S101において走行予定経路DB203に格納されている、第2車両20に連結している各第1車両10の経路情報が取得される。次に、S102において、走行予定経路DB203に格納されている一または複数の他車両30の経路情報が取得される。そして、S103において、各第1車両10の経路情報と一または複数の他車両30の経路情報とに基づいて、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30(検出車両30)が検出される。次に、S104において、特定第1車両10における走行制御装置100に追従指令情報が送信される。次に、S105において、特定第1車両10が第2車両20から分離される。なお、S103において、走行予定経路の一部または全部が同じ他車両30が検出されなかった第1車両10は、自身の走行予定経路と第2車両20の走行予定経路とが分岐する地点において第2車両20から分離され、自律走行機能によって走行してもよい。
【0035】
(追従処理)
次に、特定第1車両10の走行制御装置100における制御部101によって実行される追従処理について
図7に基づいて説明する。
図7は、追従処理のフローチャートである。追従処理は、第2車両20から分離された特定第1車両10に検出車両30を自動追従させるための処理である。追従処理は、特定第1車両10における走行制御装置100が追従指令情報を受信し、特定第1車両10が第2車両20から分離されたときに実行される。
【0036】
追従処理では、まず、S201において、追従指令情報に基づいて、検出車両30を第2車両20から分離した第1車両10が自動追従することが可能となる位置まで走行させるための自律走行制御が行われる。ここで、自律走行制御は、制御部101における自律走行実行部1011が追従指令情報に基づいて特定第1車両10を自律走行機能によって走行させることによって実行される。検出車両30を自動追従することが可能となる位置まで特定第1車両10が自律走行機能によって走行すると、次にS202において、特定第1車両10の走行機能が自律走行機能から追従走行機能に切り替えられる。つまり、特定第1車両10の走行の制御が、自律走行実行部1011による制御から追従走行実行部1012による制御に切り替えられる。その後、特定第1車両10は、追従走行機能によって、検出車両30を自動追従する。
【0037】
第1車両10(特定第1車両10)が自律走行機能によって走行する場合には、第1車両10が先行車両を自動追従する場合よりも、多くの情報が処理されることが必要となる。したがって、第1車両10が自律走行機能によって走行する場合、第1車両10が先行車両を自動追従する場合よりも、走行制御装置100における、第1車両10の走行を実現するための演算による負荷が大きくなる。そのため、上述のように特定第1車両10が検出車両30を自動追従することによって、走行制御装置100における、特定第1車両10の走行を実現するための演算による負荷を軽減することが可能となる。
【0038】
(切り替え処理)
特定第1車両10の走行予定経路の一部が、特定第1車両10が先行車両として自動追従する検出車両30の走行予定経路の一部または全部と同じである場合がある。この場合、検出車両30を自動追従する特定第1車両10は、検出車両30とは異なる走行経路を自律走行機能によって走行する必要がある。そこで、特定第1車両10が、特定第1車両10の走行予定経路と他車両30の走行予定経路が同じでなくなる地点(以下、「分岐地
点」と称する場合がある。)に到達したときに、特定第1車両10の走行機能を追従走行機能から自律走行機能に切り替え、特定第1車両10の走行予定経路に沿って特定第1車両10を自律走行させるための切り替え処理が行われる。
【0039】
ここで、制御装置200の制御部201は、検出車両30の経路情報と、特定第1車両10の経路情報とに基づいて、分岐地点の位置に関する分岐情報を生成する。そして、制御部201は、追従指令処理のS104において、特定第1車両10における走行制御装置100に分岐情報が含まれた追従指令情報を送信する。走行制御装置100は、受信した追従指令情報に含まれる分岐情報を走行予定経路DB103に格納する。これにより、走行制御装置100は、分岐地点を把握することができる。
【0040】
次に、特定第1車両10の走行制御装置100における制御部101によって実行される切り替え処理について、
図8に基づいて説明する。
図8は、切り替え処理のフローチャートである。切り替え処理は、検出車両30を先行車両として特定第1車両10が追従走行機能によって走行しているときに周期的に実行される。
【0041】
切り替え処理においては、まず、S301において、走行予定経路DB103に格納された分岐情報に基づいて、特定第1車両10の現在位置が分岐地点であるか否かが判別される。S301において否定判定がされた場合、特定第1車両10は分岐地点に到達していないため、切り替え処理は終了される。つまり、特定第1車両10が検出車両30を先行車両として追従走行機能によって走行している状態が維持される。また、S301において肯定判定がされた場合には、特定第1車両10は分岐地点に到達しているため、S302において、特定第1車両10の走行機能が追従走行機能から自律走行機能に切り替えられ、切り替え処理は終了される。その結果、特定第1車両10は自律走行機能による走行を開始する。これにより、特定第1車両10は自身の目的地まで走行することが可能となる。
【0042】
以上説明したように、特定第1車両10は、第2車両20に結合または積載されて自身の目的地に至る経路の途中まで移動する。そして、第2車両20から所定の範囲内に存在する先行車両となり得る他車両30(検出車両30)が検出されると、特定第1車両10は第2車両20から分離する。そして、特定第1車両10は、検出車両30を自動追従する。このように、特定第1車両10は、自身の目的地に至る経路の途中までは第2車両20に結合または積載された状態で移動することができ、且つ、該経路の途中からは第2車両20以外の車両を自動追従することで自身の目的地に向けて移動することができる。その結果、特定第1車両10(第1車両10)は、効率的な移動をすることが可能となる。
【0043】
(変形例)
なお、本実施形態においては、第2車両20に搭載された制御装置200は、第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30の経路情報を車車間通信によって他車両30における車載装置300から受信する。しかしながら、制御装置200は、車載装置300からではなく、サーバ装置から他車両30の経路情報を受信してもよい。この場合において、サーバ装置は、他車両30の経路情報と他車両30の現在位置とを車載装置300から受信する。また、サーバ装置は、第2車両20の現在位置を制御装置200から受信する。これにより、サーバ装置は、第2車両20の現在位置と、他車両30の現在位置とから、第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30を把握することができる。そこで、サーバ装置は、制御装置200からの要求があったとき、第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30の経路情報を制御装置200に送信する。そして、制御装置200の検出部2011は、サーバ装置から受信した他車両30の経路情報に基づいて、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30を検出する。
【0044】
また、第2車両20から所定の範囲内に、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30が複数存在する場合がある。このとき、制御装置200は、第2車両20から所定の範囲内に存在する複数の他車両30の経路情報を車車間通信によって他車両30における車載装置300から受信する。そして、制御装置200は、これら複数の他車両30のうち、第1車両10の走行予定経路と同じになる距離がより長い他車両30を自動追従する先行車両として選択してもよい。これにより、第1車両10は、第1車両10の走行予定経路と同じになる距離がより長い他車両30を自動追従することができる。
【0045】
また、第2車両20と第1車両10の結合の形態は、
図2に示すような形態には限られない。
図9は、第1車両10が第2車両20に積載されている状態と第2車両20から分離している状態との一例を示す図である。
図9に示す例においては、第2車両20は、複数の第1車両10を積載した状態で走行する。そして、第1車両10は、第2車両20に設けられているスロープを用いて第2車両20から分離する。
【0046】
<第2実施形態>
第2実施形態においては、第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30であって、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30(検出車両30)を管理サーバが検出する。そして、管理サーバが、検出車両30を先行車両として第1車両10に追従走行機能によって走行させる指令情報を第2車両20に搭載された制御装置200に送信する。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0047】
(システムの概略)
本実施形態における制御システム2について、
図10に基づいて説明する。
図10は、本実施形態に係る制御システム2の概略構成を示す図である。制御システム2は、走行制御装置100、制御装置200、車載装置300、および管理サーバ400を含んで構成される。制御システム2においては、制御装置200、車載装置300、および管理サーバ400がネットワークN1によって相互に接続される。ネットワークN1には、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)または、携帯電話等の電話通信網が採用されてもよい。また、走行制御装置100と制御装置200とが直接通信することで第1車両10と第2車両20との間で車車間通信を行うことができる。なお、本実施形態における管理サーバ400が、本開示の第2の態様に係る「情報処理装置」に相当する。
【0048】
本実施形態において、制御装置200は、通信I/F250をさらに備えている。通信I/F250は、制御装置200をネットワークN1に接続するためのインタフェースである。通信I/F250は、例えば、無線通信のための通信回路である。なお、走行制御装置100と車載装置300とは、制御装置200と同様、コンピュータを含んで構成される。
【0049】
また、管理サーバ400は、第2車両20と他車両30とを含む複数の車両の現在位置と走行予定経路とを管理するサーバである。管理サーバ400におけるプロセッサ410、主記憶部420、および補助記憶部430はそれぞれ、制御装置200におけるプロセッサ210、主記憶部220、および補助記憶部230と同様である。管理サーバ400における通信I/F440は、管理サーバ400をネットワークN1に接続するためのインタフェースである。通信I/F440は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、または無線通信のための無線通信回路である。
【0050】
(システム構成)
次に、制御システム2を構成する、走行制御装置100、制御装置200、車載装置300、および管理サーバ400の機能構成について、
図11に基づいて説明する。
図11は、本実施形態における制御システム2を構成する、走行制御装置100、制御装置200、車載装置300、および管理サーバ400の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0051】
(車載装置)
本実施形態においては、他車両30に搭載されている車載装置300は、第1実施形態における通信部302に代えて、通信部304を含んでいる。通信部304は、車載装置300をネットワークN1に接続する機能を有する。通信部304は、車載装置300における通信I/Fによって実現できる。そして、制御部301は、通信部304を経由して、他車両30の現在位置とともに、走行予定経路DB303に格納されている他車両30の経路情報を管理サーバ400に送信する。
【0052】
(制御装置)
本実施形態においては、第2車両20に搭載された制御装置200は、通信部204をさらに含んでいる。通信部204は、制御装置200をネットワークN1に接続する機能を有する。通信部204は、通信I/F250によって実現できる。制御部201は、通信部204を経由して、第2車両20の現在位置とともに、走行予定経路DB205に格納されている第1車両10の経路情報を管理サーバ400に送信する。
【0053】
(管理サーバ)
管理サーバ400は、制御部401、通信部402、および走行予定経路DB403を含んで構成される。通信部402は、管理サーバ400をネットワークN1に接続する機能を有する。通信部402は、通信I/F440によって実現できる。
【0054】
走行予定経路DB403は、第2車両20の現在位置と、第2車両20に連結している各第1車両10の経路情報と、他車両30の現在位置および経路情報と、を格納するデータベースである。走行予定経路DB403は、補助記憶部430によって実現できる。制御部401は、通信部402を経由して、第2車両20の現在位置ととともに、第2車両20に連結している各第1車両10の経路情報を制御装置200から受信する。制御部401は、第2車両20の現在位置と各第1車両10の経路情報とを走行予定経路DB403に格納する。また、制御部401は、通信部402を経由して、他車両30の現在位置と経路情報とを車載装置300から受信する。制御部401は、他車両30の現在位置と経路情報とを走行予定経路DB403に格納する。
【0055】
また、制御部401は、機能モジュールとして、検出部4011を有している。検出部4011は、走行予定経路DB403に格納されている第2車両20の現在位置と他車両30の現在位置とに基づいて、第2車両20から所定の範囲内に存在する一または複数の他車両30の経路情報を取得する。そして、検出部4011は、走行予定経路DB403に格納されている各第1車両10の経路情報と、取得された一または複数の第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30の経路情報に基づいて、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30(検出車両30)を検出する。このとき、検出部4011は、第1実施形態における制御装置200の検出部2011と同様の方法で、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30を検出する。このようにして、検出部4011は、第2車両20から所定の範囲内に存在する他車両30であって、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30を検出する。そして、制御部
401は、通信部402を経由して、指令情報を制御装置200に送信する。
【0056】
(指令処理)
管理サーバ400における制御部401によって実行される指令処理について、
図12に基づいて説明する。
図12は、指令処理のフローチャートである。指令処理は、指令情報を制御装置200に送信するための処理である。指令処理は、第1実施形態と同様に、第2車両20が複数の第1車両10を牽引して走行しているとき、または第2車両20が複数の第1車両10と連結して停車しているときに実行される。なお、第2車両20が複数の第1車両10を牽引して走行している、または第2車両20が複数の第1車両10と連結して停車していることを示す情報が、第2車両20の制御装置200から管理サーバ400に送信されてもよい。
【0057】
指令処理では、まず、S401において、走行予定経路DB403に格納されている各第1車両10の経路情報が取得される。次に、S402において、走行予定経路DB403に格納されている第2車両20と他車両30との現在位置に基づいて、第2車両20から所定の範囲内に存在する一または複数の他車両30の経路情報が走行予定経路DB403から取得される。次に、S403において、取得された第1車両10の経路情報と他車両30の経路情報とに基づいて、走行予定経路の一部または全部がいずれかの第1車両10の走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30(検出車両30)が検出される。そして、S404において、検出車両30を先行車両として追従走行機能によって走行するように、指令情報が第2車両20における制御装置200に送信される。
【0058】
(追従指令処理)
第2車両20に搭載された制御装置200における制御部201は、通信部204を経由して、指令情報を管理サーバ400から受信すると、追従指令処理を実行する。
図13は、本実施形態における追従指令処理のフローチャートである。追従指令処理は、本実施形態における追従指令処理は、制御装置200が、検出車両30を先行車両として第1車両10に追従走行機能によって走行させる指令をするための処理である。追従指令処理は、第2車両20に搭載された制御装置200が指令情報を受信すると開始される。
【0059】
追従指令処理では、まず、S501において、指令情報に基づいて、検出車両30を先行車両として追従させる追従指令情報が、特定第1車両10における走行制御装置100に送信される。そして、S502において、特定第1車両10が第2車両20から分離され、追従指令処理は終了される。追従指令情報を受信した第1車両10における走行制御装置100は、第1実施形態と同様、追従処理を実行する。
【0060】
上記のように、本実施形態に係る制御システム2によっても、第1車両10は、効率的な移動をすることが可能となる。
【0061】
(変形例)
なお、第1実施形態の変形例に係る制御装置200と同様、管理サーバ400は、第2車両20から所定の範囲内に、走行予定経路の一部または全部が複数の第1車両10のうちのいずれかの走行予定経路の一部または全部と同じ他車両30が複数存在する場合、該複数の他車両30のうち、第1車両10の走行予定経路と同じになる距離がより長い他車両30を自動追従する先行車両として選択してもよい。
【0062】
また、管理サーバ400は、分岐情報が含まれた指令情報を制御装置200に送信する。そして、制御装置200は、指令情報に基づいて、分岐情報が含まれた追従指令情報を、特定第1車両10における走行制御装置100に送信する。これにより、特定第1車両10における走行制御装置100は、分岐地点の位置を把握することができる。そのため
、検出車両30を自動追従している特定第1車両10における走行制御装置100は、特定第1車両10が分岐地点に到達したときに、特定第1車両10の走行機能を追従走行機能から自律走行機能に切り替えることができる。その結果、特定第1車両10は、特定第1車両10の走行予定経路に沿って自律走行させることが可能となる。
【0063】
<その他の実施形態>
上述の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理および手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0064】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0065】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、またはハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、またはブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0066】
1・・・・・制御システム
2・・・・・制御システム
10・・・・第1車両
100・・・走行制御装置
101・・・制御部
1011・・自律走行実行部
1012・・追従走行実行部
20・・・・第2車両
200・・・制御装置
201・・・制御部
2011・・検出部
203・・・走行予定経路データベース
30・・・・他車両
300・・・車載装置
400・・・管理サーバ
401・・・制御部
4011・・検出部
403・・・走行予定経路データベース