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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/228 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
H01G4/228 F
H01G4/228 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020085931
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021180284
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】井口 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲徳▼久
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢也
(72)【発明者】
【氏名】松永 香葉
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229867(JP,A)
【文献】特開2015-008270(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0239621(US,A1)
【文献】特開2018-018938(JP,A)
【文献】特開2019-050309(JP,A)
【文献】特開昭63-204634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/228- 4/252
H01G 4/30
H01C 1/14 - 1/148
H01F 27/29
H05K 1/18
H01L 23/48 -23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体に配置されている外部電極と、
前記外部電極にはんだによって接続されている金属端子と、を備え、
前記金属端子は、
互いに対向している第一面及び第二面と、前記第一面と前記第二面とを連結している一対の第三面と、を有している基体と、
前記第一面上に配置されていると共に、前記はんだに接続されている第一金属層と、
前記第二面上に配置されている第二金属層と、
各前記第三面上に配置されている被覆層と
前記第一面と前記第三面とで画成される稜に対応する位置に、前記第二面から前記第一面に向かう方向に突き出した稜部と、を有しており、
前記第一金属層及び前記第二金属層は、Snを含んでいる最外層をそれぞれ有し、
前記被覆層は、前記第一金属層及び前記第二金属層の各前記最外層のはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を有している最外層を有している、電子部品。
【請求項2】
前記被覆層の前記最外層は、酸化膜からなる、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記基体は、ステンレス鋼からなる、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記金属端子は、前記外部電極と対向していると共に前記はんだを介して前記外部電極と接続されている接続部と、前記接続部から延在している脚部と、を有し、
前記脚部が前記接続部から延在する方向とは反対の方向に見て、前記金属端子の端縁は、前記外部電極の端縁より突出している、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第一面と前記第二面とが互いに対向している方向から見て、前記素体の面積に対する前記はんだの面積の割合は、90%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第一面と前記第二面とが互いに対向している方向から見て、前記はんだの最外周縁は、前記一対の第三面が互いに対向している方向での前記金属端子の最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している、請求項1~のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
素体と、素体に配置されている外部電極と、外部電極にはんだによって接続されている金属端子と、を備えている電子部品が知られている(たとえば、特許文献1参照)。以下、本明細書では、外部電極と金属端子とを接続するはんだを「第一はんだ」と称することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-303736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電子部品が電子機器に実装される場合、金属端子が電子機器にはんだによって接続される。電子部品は、たとえば、リフローはんだ付けにより電子機器に実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は別の電子部品を含む。以下、本明細書では、金属端子と電子機器とを接続するはんだを「第二はんだ」と称することがある。
一般に、第一はんだの融点は、第二はんだの融点より高い。しかしながら、電子部品が電子機器に実装される際に、第一はんだが溶融することがある。第一はんだが溶融する場合、第一はんだが金属端子上を濡れ伝わり、第二はんだと混合するおそれがある。第二はんだが金属端子上を濡れ伝わり、第一はんだと混合するおそれもある。第一はんだと第二はんだとが混合する場合、各はんだの特性が変化し、各はんだによる接続強度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の一つの態様の目的は、外部電極と金属端子とを接続するはんだと、実装の際に使用されるはんだとの混合を抑制する電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る電子部品は、素体と、素体に配置されている外部電極と、外部電極にはんだによって接続されている金属端子と、を備えている。金属端子は、互いに対向している第一面及び第二面と、第一面と第二面とを連結している一対の第三面と、を有している基体と、第一面上に配置されていると共に、はんだに接続されている第一金属層と、第二面上に配置されている第二金属層と、各第三面上に配置されている被覆層と、を有している。第一金属層及び第二金属層は、Snを含んでいる最外層をそれぞれ有し、被覆層は、第一金属層及び第二金属層の各最外層のはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を有している最外層を有している。
【0007】
上記一つの態様によれば、第一面上の第一金属層の最外層がはんだに濡れやすいSnを含んでいるので、外部電極と金属端子とが、はんだによって確実に接続される。金属端子を電子機器に実装する場合には、第二面上に配置されている第二金属層をはんだに接続するためのはんだ付けが行われる。このはんだ付けを行うときに、第一面上の第一金属層に接続されているはんだの一部が溶け出した場合でも、第三面上にある被覆層の最外層の濡れ性が低いことから、第一面上のはんだは、第三面上の被覆層を越えて第二面上の第二金属層に到達しがたい。第二面上のはんだはんだも、溶け出した後に、第三面上の被覆層によって第一面上の第一金属層に到達しがたい。外部電極と金属端子とを接続するはんだと、実装の際に使用されるはんだとの混合が抑制される。
【0008】
上記一つの態様では、被覆層の最外層は、酸化膜からなってもよい。この場合、被覆層の最外層が、第一及び第二金属層の最外層のはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を確実に有する。
【0009】
上記一つの態様では、基体は、ステンレス鋼からなってもよい。この場合、被覆層が第一金属層及び第二金属層の各最外層のはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を有している構成が容易に得られる。
【0010】
上記一つの態様では、金属端子は、外部電極と対向していると共にはんだを介して外部電極と接続されている接続部と、接続部から延在している脚部と、を有し、脚部が接続部から延在する方向とは反対の方向に見て、金属端子の端縁は、外部電極の端縁より突出してもよい。
この場合、電子部品の、脚部が接続部から延在する方向とは反対の方向に沿った長さが、金属端子の長さにより規定されるので、電子部品ごとの上記長さばらつきが生じがたい。
【0011】
上記一つの態様では、金属端子は、第一面と第三面とで画成される稜に対応する位置に、第二面から第一面に向かう方向に突き出した稜部を有してもよい。
この場合、金属端子を電子機器と接続するためのはんだ付けを行うときに、外部電極と金属端子(第一面上の第一金属層)とを接続しているはんだの一部が溶け出しても、突き出した稜部によって、溶け出したはんだが第二面上の第二金属層により到達しがたい。外部電極と金属端子とを接続するはんだと、実装の際に使用されるはんだとの混合が確実に抑制される。
【0012】
上記一つの態様では、第一面と第二面とが互いに対向している方向から見て、素体の面積に対するはんだの面積の割合は、90%以下であってもよい。
この場合、金属端子を電子機器と接続するためのはんだ付けを行うときに、外部電極と金属端子(第一面上の第一金属層)とを接続しているはんだの一部が溶け出しても、溶け出したはんだが第二面上の第二金属層に到達することがより抑制される。
【0013】
上記一つの態様は、第一面と第二面とが互いに対向している方向から見て、はんだの最外周縁は、一対の第三面が互いに対向している方向での金属端子の最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間してもよい。
この場合、外部電極と金属端子(第一面上の第一金属層)とを接続するはんだの最外周縁が金属端子の最外縁から離間している。したがって、金属端子を電子機器と接続するためのはんだ付けを行うときに、溶け出したはんだが第二面上の第二金属層に到達することがより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様によれば、外部電極と金属端子とを接続するはんだと、実装の際に使用されるはんだとの混合を抑制する電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る金属端子の輪郭形状を示す図である。
図4】第1実施形態に係る第一はんだ及び素体を第二方向から見た構成を示す図である。
図5】第2実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図6】第3実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図7】第3実施形態に係る電子部品を第二方向から見た構成を示す図である。
図8】第3実施形態に係る金属端子の輪郭形状を示す図である。
図9】第3実施形態に係る第一はんだ及び金属端子を第二方向から見た構成を示す図である。
図10】第4実施形態に係る電子部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る電子部品1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る電子部品1の斜視図である。図2は、第1実施形態に係る電子部品1の断面構成を示す図である。本実施形態では、電子部品1は、積層コンデンサLC1と、金属端子T1と、金属端子T2とを備えている。図1に示されるように、積層コンデンサLC1は、素体10を備えている。素体10は、第一方向D1に複数の誘電体層が積層されて構成されている。各誘電体層は、誘電体材料を含むセラミックの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、(Ba,Ca)TiO系、CaZrO系、又は(Ca,Sr)ZrO系である。実際の素体10では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0018】
素体10は、直方体形状を呈している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。素体10は、一対の主面10a,10bと、一対の端面10c,10dと、一対の側面10e,10fと、を有している。主面10a,10b、端面10c,10d、及び側面10e,10fは、素体10の表面を構成する。主面10a,10bは、第一方向D1で互いに対向している。端面10c,10dは、第一方向D1に交差する第二方向D2で互いに対向している。側面10e,10fは、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D10で互いに対向している。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D10は、互いに直交している。素体10の第一方向D1の長さは、たとえば、約2.0mmである。素体10の第二方向D2の長さは、たとえば、約5.7mmである。素体10の第三方向D3の長さは、たとえば、約5.0mmである。
【0019】
図2に示されるように、積層コンデンサLC1は、複数の内部電極11,12を備えている。内部電極11,12は、導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、Ni又はCuである。この導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体が、内部電極11,12を構成している。還元雰囲気で焼結体が形成される場合、ペースト中の導電性材料の表面の一部は、酸化していてもよい。酸化した表面の一部は、電気絶縁体である。内部電極11と内部電極12とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極11と内部電極12とは、素体10内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極11と内部電極12とは、互いに極性が異なる。
【0020】
本実施形態では、内部電極11と内部電極12は、共に、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。内部電極11と内部電極12は、共に、第二方向D2を長辺方向とし、第三方向D3を短辺方向としている。内部電極11は、端面10cに露出し、端面10dに露出していない。内部電極11は、主面10a,10b及び側面10e,10fにも露出していない。内部電極12は、端面10dに露出し、端面10cに露出していない。内部電極12は、主面10a,10b及び側面10e,10fにも露出していない。
【0021】
積層コンデンサLC1は、外部電極13,14を更に備えている。外部電極13,14は、素体10に配置されており、たとえば、素体10の端面を覆うように設けられている。本実施形態では、外部電極13は、端面10cに配置され、外部電極14は、端面10dに配置されている。外部電極13,14は、第二方向D2で互いに対向している。
【0022】
外部電極13は、素体10の端面10cに配置されている。本実施形態では、外部電極13は、端面10cを覆うように配置されている。外部電極13は、主面10a,10bの両主面上と、側面10e,10fの両側面上とにも配置されている。外部電極13は、4つの角部C10を覆っている。4つの角部C10は、素体10の端面10cと、他の4面(主面10a,10b及び側面10e,10f)とによって形成されている。端面10cでは、4つの角部C10を互いに結んでいる各稜線部も、外部電極13によって覆われている。外部電極13は、素体10の端面10cにおいて、端面10cに露出した内部電極11と接続されている。
【0023】
外部電極14は、素体10の端面10dに配置されている。本実施形態では、外部電極14は、端面10dを覆うように配置されている。外部電極13は、主面10a,10bの両主面上と、側面10e,10fの両側面上とにも配置されている。外部電極14は、4つの角部C20を覆っている。4つの角部C20は、素体10の端面10dと、他の4面(主面10a,10b及び側面10e,10f)とによって形成されている。端面10dでは、4つの角部C20を互いに結んでいる各稜線部も、外部電極14によって覆われている。外部電極14は、素体10の端面10dにおいて、端面10dに露出した内部電極12と接続されている。
【0024】
外部電極13,14は、焼付導体層を有している。焼付導体層は、たとえば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを素体10の外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。導電性ペーストは、金属粉末に、たとえば、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合した混合物である。導電性ペースト中の金属粉末は、還元雰囲気で焼き付けられる場合、酸化していてもよい。外部電極13,14は、焼付導体層上に形成されるめっき層を有していてもよい。本実施形態では、Niめっき層及びSnめっき層がこの順に焼付導体層上に形成されている。
【0025】
電子部品1は、積層コンデンサLC1に接続された金属端子T1,T2と、金属端子T1を積層コンデンサLC1に接続するためのはんだ(第一はんだ2)と、金属端子T2を積層コンデンサLC1に接続するためのはんだ(第一はんだ3)と、を備えている。本実施形態では、金属端子T1は、外部電極13と第一はんだ2によって接続され、金属端子T2は、外部電極14と第一はんだ3によって接続されている。電子部品1は、当該電子部品1を電子機器ED1に接続するためのはんだ(第二はんだ4,5)を更に備えている。本実施形態では、電子機器ED1は、回路基板又は別の電子部品である。
【0026】
金属端子T1,T2は、共に、金属材料からなる。この金属材料は、たとえば、ステンレス鋼である。本実施形態では、金属端子T1,T2は、共に、フェライト系のステンレス鋼、マルテンサイト系のステンレス鋼、又はオーステナイト系のステンレス鋼からなる。
【0027】
金属端子T1は、接続部20と、脚部21とを備えている。接続部20は、外部電極13と対向していると共に、第一はんだ2を介して外部電極13と接続されている。接続部20は、第一方向D1及び第三方向D3に延びており、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。
【0028】
脚部21は、接続部20から延在している。脚部21は、第一部分22と第二部分23とを有している。第一部分22は、接続部20の一端と第二部分23の一端とを連結するように、第一方向D1に延びている。本実施形態では、第一部分22は、接続部20と同一平面上で一体化されている。一体化された接続部20と第一部分22とは、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。接続部20と第二部分23とは、第一方向D1に見て、第一部分22の長さ分離れて位置している。接続部20と脚部21(第一部分22及び第二部分23)とは、一体的に形成されている。
【0029】
第二部分23は、第一部分22の一端から第二方向D2に延びている。第一方向D1から見て、第二部分23は、矩形状を呈している。本実施形態では、第二部分23と、第一部分22とは、互いに直交している。第二面41上において、第二部分23の第二金属層48は、第二はんだ4に接続されている。第二部分23は、第二はんだ4を介して、電子機器ED1に接続されている。第二部分23は、電子機器ED1に接続される実装領域として機能する。
【0030】
金属端子T2は、接続部30と、脚部31とを備えている。接続部30は、外部電極14と対向していると共に、第一はんだ3を介して外部電極14と接続されている。接続部30は、第一方向D1及び第三方向D3に延びており、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。
【0031】
脚部31は、接続部30から延在している。脚部31は、第一部分32と第二部分33とを有している。第一部分32は、接続部30の一端と第二部分33の一端とを連結するように、第一方向D1に延びている。本実施形態では、第一部分32は、接続部30と同一平面上で一体化されている。一体化された接続部30と第一部分32とは、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。接続部30と第二部分33とは、第一方向D1に見て、第一部分32の長さ分離れて位置している。接続部30と脚部31(第一部分32及び第二部分33)とは、一体的に形成されている。
【0032】
第二部分33は、第一部分32の一端から第二方向D2に延びている。第一方向D1から見て、第二部分33は、矩形状を呈している。本実施形態では、第二部分33と、第一部分32とは、互いに直交している。第二面51上において、第二部分33の第二金属層58は、第二はんだ5に接続されている。第二部分33は、第二はんだ5を介して、電子機器ED1に接続されている。第二部分33は、電子機器ED1に接続される実装領域として機能する。第二部分33は、金属端子T1の第二部分23と略同一平面上に位置している。
【0033】
金属端子T1は、基体7を有する。基体7は、互いに対向している第一面40及び第二面41を有している。第一面40は、第二面41よりも積層コンデンサLC1に近い。第一面40及び第二面41は、共に、接続部20から脚部21まで延びている。
【0034】
基体7は、第一面40と第二面41とを連結している面42を更に有している。面42は、第三面43と、第三面44と、第二方向D2で互いに対向する一対の第三面45,46からなる。第三面43は、第三方向D3に延びており、一対の第三面45,46を連結している。第三面43は、接続部20の上端縁に位置している。第三面44は、第三方向D3に延びており、一対の第三面45,46を連結している。第三面44は、脚部21の第二部分23の外端縁に位置している。第三面45,46は、共に、接続部20の上端縁から第二部分23の外端縁まで延びている。
【0035】
金属端子T1は、第一面40上に配置されている第一金属層47を有している。第一金属層47は、第一はんだ2に接続されている。金属端子T1は、第二面41上に配置されている第二金属層48を有している。第一金属層47及び第二金属層48は、Snを含んでいる最外層47a,48aをそれぞれ有している。金属端子T1では、第一金属層47及び第二金属層48は、複数の層からなっていてもよい。この場合、第一金属層47及び第二金属層48を構成する複数の層のうち、最外に位置する層が、Snを含んでいる。第一金属層47及び第二金属層48では、Snを含んでいる層の下に、別の層が位置していてもよい。金属端子T1では、第一金属層47及び第二金属層48と基体7との間に、第一金属層47及び第二金属層48とは別に導電性を有する層が存在していてもよい。
【0036】
金属端子T1は、各第三面45,46上に配置されている被覆層49を有している。被覆層49は、第一金属層47及び第二金属層48の各最外層47a,48aのはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を有している最外層49aを有している。本実施形態では、被覆層49の最外層49aは、酸化膜からなる。被覆層49は、第三面45,46上に配置され、更に、第三面43及び第三面44の少なくとも一つの面上に配置されてもよい。被覆層49は、面42の全ての面上に配置されてもよい。金属端子T1では、面42上に被覆層49と基体7との間に、被覆層49とは別の層が存在していてもよい。
【0037】
金属端子T2は、基体8を有する。基体8は、互いに対向している第一面50及び第二面51を有している。第一面50は、第二面51よりも積層コンデンサLC1に近い。第一面50及び第二面51は、共に、接続部30から脚部31まで延びている。
【0038】
基体8は、第一面50と第二面51とを連結している面52を更に有している。面52は、第三面53と、第三面54と、第二方向D2で互いに対向する一対の第三面55,56からなる。第三面53は、第三方向D3に延びており、一対の第三面55,56を連結している。第三面53は、接続部30の上端縁に位置している。第三面54は、第三方向D3に延びており、一対の第三面55,56を連結している。第三面54は、脚部31の第二部分33の外端縁に位置している。第三面55,56は、共に、接続部30の上端縁から第二部分33の外端縁まで延びている。
【0039】
金属端子T2は、第一面50上に配置されている第一金属層57を有している。第一金属層57は、第一はんだ3に接続されている。金属端子T2は、第二面51上に配置されている第二金属層58を有している。第一金属層57及び第二金属層58は、Snを含んでいる最外層57a,58aをそれぞれ有している。金属端子T2では、第一金属層57及び第二金属層58は、複数の層からなっていてもよい。この場合、第一金属層57及び第二金属層58を構成する複数の層のうち、最外に位置する層が、Snを含んでいる。第一金属層57及び第二金属層58では、Snを含んでいる層の下に、別の層が位置していてもよい。金属端子T2では、第一金属層57及び第二金属層58と基体8との間に、第一金属層57及び第二金属層58とは別に導電性を有する層が存在していてもよい。
【0040】
金属端子T2は、各第三面55,56上に配置されている被覆層59を有している。被覆層59は、第一金属層57及び第二金属層58の各最外層57a,58aのはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を有している最外層59aを有している。本実施形態では、被覆層59の最外層59aは、酸化膜からなる。被覆層59は、第三面55,56上に配置され、更に、第三面53及び第三面54の少なくとも一つの面上に配置されてもよい。被覆層59は、面52の全ての面上に配置されてもよい。金属端子T2では、面52上に被覆層59の下層として、他の層が形成されていてもよい。金属端子T2では、面52上に被覆層59と基体8との間に、被覆層59とは別の層が存在していてもよい。
【0041】
本実施形態では、金属端子T1,T2において、第一金属層47,57の最外層47a,57a及び第二金属層48,58の最外層48a,58aは、Snめっき層である。第一金属層47,57及び第二金属層48,58では、Snを含んでいる層の下に、たとえば、Niめっき層及びNiSn層の少なくとも一つが位置していてもよい。めっき層の形成方法としては、めっき法が用いられる。めっき法は、たとえば、スパッタリング法、蒸着法、又は電解めっき法を含む。第一金属層47,57及び第二金属層48,58の厚さは、たとえば、5μm程度である。
【0042】
本実施形態では、金属端子T1,T2において、被覆層49,59の酸化膜は、たとえば、Fe-Cr酸化物である。被覆層49と基体7との間に、たとえば、Niめっき層が存在していてもよい。酸化膜の形成方法としては、たとえば、熱酸化法がある。被覆層49,59は、自然酸化膜であってもよい。被覆層49,59の厚さは、たとえば、2nm程度である。
【0043】
続いて、本実施形態で用いられているはんだについて説明する。第一はんだ2及び第一はんだ3のはんだは、いわゆる高温系の鉛フリーはんだである。高温系のはんだは、たとえば、Sn-Sb系はんだ又はSn-Cu系はんだ(融点227℃)である。Sn-Sb系はんだの融点は、はんだに含まれるSbの含有量によって変化する。たとえば、Sn-5Sbはんだの融点は240℃であり、Sn-10Sbはんだの融点は245℃である。本実施形態では、高温系のSn-Sb系はんだが用いられている。本明細書において、はんだの融点は、はんだの固相線温度を示している。
【0044】
第一はんだ2は、金属端子T1の接続部20と、外部電極13とを接続している。第一はんだ3は、金属端子T2の接続部30と、外部電極14とを接続している。第一はんだ2及び第一はんだ3の形成は、たとえば、リフローはんだ付けによって行われる。本実施形態では、Sn-Sb系のはんだペーストが、たとえば、ディスペンサーにより、互いに接続される面上の所定の位置に付与される。Sn-Sb系のはんだペーストは、Sn及びSbとフラックスとを含んでいる。はんだペーストには、溶剤が含まれてもよい。フラックスには、たとえばロジンが使用される。はんだペーストの塗布後に、積層コンデンサLC1と金属端子T1,T2とを、Sn-Sb系はんだの融点以上となる温度まで加熱し、はんだペーストに含まれるSn-Sb系はんだを溶融させる。本実施形態では、温度140~220℃での余熱処理を行った後に、温度255~310℃まで加熱することによって、Sn-Sb系はんだを溶融させる。溶融したはんだペーストは冷却され、はんだペーストが固化する。これにより、第一はんだ2及び第一はんだ3が形成され、金属端子T1,T2と外部電極13,14とが接続される。
【0045】
第二はんだ4は、金属端子T1の第二部分23と、電子機器ED1とを接続するために用いられる。第二はんだ5は、金属端子T2の第二部分33と、電子機器ED1とを接続するために用いられる。第二はんだ4及び第二はんだ5のはんだは、いわゆる中温系あるいは低温系の鉛フリーはんだである。中温系及び低温系のはんだは、たとえば、Sn-Ag-Cu系はんだ(融点217℃)、Sn-Zn系はんだ(融点198℃)、Bi-Sn系はんだ(融点139℃)、又はSn-In系はんだ(融点119℃)である。本実施形態では、中温系はんだのSn-Ag-Cu系はんだ(融点217℃)が用いられている。
【0046】
本実施形態では、第二はんだ4及び第二はんだ5の形成は、たとえば、リフローはんだ付けによって行われる。本実施形態では、Sn-Ag-Cu系のはんだペーストが、たとえば、印刷法により、互いに接続される面上の所定の位置に付与される。はんだペーストは、Sn、Cu及びAgとフラックスとを含んでいる。はんだペーストには、溶剤が含まれてもよい。フラックスには、たとえばロジンが使用される。はんだペーストの塗布後に、積層コンデンサLC1と金属端子T1,T2とを、Sn-Ag-Cu系はんだの融点以上、かつ、Sn-Sb系はんだの融点未満となる温度まで加熱し、はんだペーストに含まれるSn-Ag-Cu系はんだを溶融させる。本実施形態では、Sn-Sb系はんだの融点未満となる温度でのリフローによって、Sn-Ag-Cu系はんだを溶融させる。溶融したはんだペーストは冷却され、はんだペーストが固化する。これにより、第二はんだ4及び第二はんだ5が形成され、金属端子T1,T2が電子機器ED1に接続される。
【0047】
図2に示されるように、金属端子T1の端縁24は、脚部21が接続部20から延在する方向とは反対の方向に見て、外部電極13の端縁16より突出していてもよい。金属端子T1の端縁24は、第三面43上の被覆層49の最外縁に一致している。脚部21が接続部20から延在する方向は、第一方向D1に一致している。脚部21が接続部20から延在する方向と反対の方向は、脚部21の第一部分22から接続部20に向かう方向に一致している。
【0048】
本実施形態では、金属端子T1の高さは、外部電極13の高さより高くなっている。これらの高さは、第二部分23にある第二金属層48の最外縁を含む基準面RP1からの距離で規定される。金属端子T1の高さH1は、基準面RP1から金属端子T1の端縁24までの距離で規定される。外部電極13の高さH13は、基準面RP1から外部電極13の端縁16までの距離で規定される。本実施形態では、高さH1と高さH13との差DF1は、0.1mmである。
【0049】
金属端子T2においても、金属端子T1の端縁34は、脚部31が接続部30から延在する方向とは反対の方向に見て、外部電極14の端縁17より突出してもよい。すなわち、金属端子T2の高さH2は、外部電極14の高さH14より高くてよい。高さH2と高さH14との差DF2は、金属端子T1の差DF1と同等である。
【0050】
図3の(a)は、本実施形態に係る金属端子T1の中央領域を第一方向D1から見た輪郭形状を示す図である。金属端子T1は、第一面40と第三面45,46とで画成される稜に対応する位置に稜部61,62を有している。すなわち、金属端子T1は、第一面40と第三面45とで画成される稜に対応する位置に稜部61を有している。金属端子T1は、第一面40と第三面46とで画成される稜に対応する位置に稜部62を有している。稜部61,62は、第二面41から第一面40に向かう方向に突き出している。稜部61,62は、共に、第一面40と第三面43とで画成される稜に対応する位置から、第一面40と第三面44とで画成される稜に対応する位置まで延びている。
【0051】
図3の(b)は、本実施形態に係る金属端子T1の中央領域の輪郭形状を第三方向D3から見た輪郭形状を示す図である。金属端子T1は、第一面40と第三面43とで画成される稜に対応する位置に稜部63を有している。稜部63は、第一面40と第三面45とで画成される稜に対応する位置から、第一面40と第三面46とで画成される稜に対応する位置まで延びている。金属端子T1は、第一面40と第三面44とで画成される稜に対応する位置に稜部64を有している。稜部64は、第一面40と第三面45とで画成される稜に対応する位置から、第一面40と第三面46とで画成される稜に対応する位置まで延びている。稜部63,64は、共に、第二面41から第一面40に向かう方向に突き出している。
【0052】
金属端子T1では、その作製時に、稜部61~64が形成される。金属端子T1は、たとえば、金型を用いた打ち抜き加工によって形成され、打ち抜き加工では、金属端子T1は、当該金属端子T1の第二面41から第一面40に向かって打ち抜かれる。打ち抜きによって、稜部61~64が形成される。金属端子T2においても、金属端子T1と同様の稜部が形成されている。
【0053】
図4は、本実施形態に係る第一はんだ2及び素体10を第二方向D2から見た構成を示す図である。図4では、外部電極13が省略され、第一はんだ2の断面と素体10とが示されている。本実施形態では、第二方向D2は、接続部20において、第一面40と第二面41とが互いに対向している方向に一致している。第一はんだ2の断面の形状は、第二方向D2から見て、たとえば、角部が丸められている矩形、又は、円形である。図4では、角部が丸められている矩形の第一はんだ2の断面が示されている。第二方向D2から見て、第一はんだ2の最外周縁6は、素体10の領域18内に位置している。本実施形態では、素体10の領域18は、素体10を第二方向D2から見たときに、一対の主面10a,10b及び一対の側面10e,10fで画成される。第一はんだ2の最外周縁6は、領域18の最外縁より内側に位置し、当該領域18の最外縁から離間している。
【0054】
素体10の面積に対する第一はんだ2の面積の割合は、90%以下である。素体10の面積は、領域18の面積で規定される。第一はんだ2の面積は、第二方向D2から見た第一はんだ2の最外周縁6に囲まれた領域の面積よって規定される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、電子部品1は、素体10と、素体10に配置されている外部電極13と、外部電極13にはんだ(第一はんだ2)によって接続されている金属端子T1と、を備えている。
本実施形態では、第一面40上の第一金属層47の最外層47aがはんだに濡れやすいSnを含んでいるので、外部電極13と金属端子T1とが、はんだによって確実に接続される。金属端子T1を電子機器ED1に実装する場合には、第二面41上に配置されている第二金属層48をはんだ(第一はんだ2)に接続するためのはんだ付けが行われる。このはんだ付けを行うときに、第一面40上の第一金属層47に接続されている第一はんだ2の一部が溶け出した場合でも、第三面45,46上にある被覆層49の最外層49aの濡れ性が低いことから、第一面40上の第一はんだ2は、第三面45,46上の被覆層49を越えて第二面41上の第二金属層48に到達しがたい。第二面41上のはんだ(第二はんだ4)も、溶け出した後に、第三面45,46上の被覆層49によって第一面40上の第一金属層47に到達しがたい。外部電極13と金属端子T1とを接続する第一はんだ2と、実装の際に使用される第二はんだ4との混合が抑制される。
【0056】
本実施形態では、被覆層49の最外層49aは、酸化膜からなる。この場合、被覆層49の最外層49aが、第一及び第二金属層47,48の最外層47a,48aのはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を確実に有する。
【0057】
本実施形態では、基体7は、ステンレス鋼からなる。この場合、被覆層49が第一金属層47及び第二金属層48の各最外層47a,48aのはんだ濡れ性より低いはんだ濡れ性を有している構成が容易に得られる。
【0058】
本実施形態では、基体7は、外部電極13と対向していると共に第一はんだ2を介して外部電極13と接続されている接続部20と、接続部20から延在している脚部21と、を有し、脚部21が接続部20から延在する方向とは反対の方向に見て、金属端子T1の端縁24は、外部電極13の端縁16より突出している。
この場合、電子部品1の、脚部21が接続部20から延在する方向とは反対の方向に沿った長さが、金属端子T1の長さにより規定されるので、電子部品ごとの上記長さばらつきが生じがたい。
脚部21の第二部分23は、第二方向D2において、第一はんだ2より積層コンデンサLC1の近くまで延びている。このため、第二面41上に配置されている第二金属層47を第一はんだ2に接続するためのはんだ付けが行なわれるとき、溶け出した第一はんだ2の一部が下方に向かって濡れ伝わった場合でも、脚部21の第二部分23が障壁となって、溶け出した第一はんだ2は、第一面40上の第一金属層47から第二面41上の第二金属層48に回り込み難いがたい。
【0059】
本実施形態では、金属端子T1は、第一面40と第三面45,46とで画成される稜に対応する位置に、第二面41から第一面40に向かう方向に突き出した稜部61,62を有している。
この場合、金属端子T1を電子機器ED1と接続するためのはんだ付けを行うときに、外部電極13と金属端子T1(第一面40上の第一金属層47)とを接続しているはんだ(第一はんだ2)の一部が溶け出しても、突き出した稜部61,62によって、溶け出した第一はんだ2が第二面41上の第二金属層48により到達しがたい。外部電極13と金属端子T1とを接続する第一はんだ2と、実装の際に使用される第二はんだ4との混合が確実に抑制される。
【0060】
本実施形態では、第一面40と第二面41とが互いに対向している方向から見て、素体10の面積に対する第一はんだ2の面積の割合は、90%以下である。
この場合、金属端子T1を電子機器ED1と接続するためのはんだ付けを行うときに、外部電極13と金属端子T1(第一面40上の第一金属層47)とを接続しているはんだ(第一はんだ2)の一部が溶け出しても、溶け出した第一はんだ2が第二面41上の第二金属層48に到達することがより抑制される。
【0061】
(第2実施形態)
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る電子部品1pの構成を説明する。図5は、第2実施形態に係る電子部品1pの斜視図である。本実施形態では、二つの積層コンデンサLC1,LC2が、第一方向D1に並ぶように設けられている。金属端子T1p,T2pでは、二つの積層コンデンサLC1,LC2を接続するために、接続部20p,30pの第一方向D1の幅が、一の積層コンデンサLC1を接続する第1実施形態での幅に比べて大きくなっている。金属端子T1pは、二つの第一はんだ2pを介して、二つの積層コンデンサLC1,LC2に接続されている。金属端子T1pも同様である。
【0062】
本実施形態では、素体10の面積に対する第一はんだ2pの面積の割合は、90%以下である。素体10の面積は、素体10を第二方向D2から見たときに、一対の主面10a,10b及び一対の側面10e,10fで画成される領域の面積で規定される。第一はんだ2pの面積は、第二方向D2から見た二つの第一はんだ2pの最外周縁6pに囲まれた領域の面積の合計によって規定される。
【0063】
第一はんだ2pは、Sn-Sb系はんだからなる。金属端子T1p,T2pは、Snめっき層の最外層を有している。二つの積層コンデンサLC1,LC2は、第一はんだ2p及び金属端子T1p,T2pを介して、互いに電気的に接続されている。金属端子T1p,T2pは、非磁性のステンレス鋼からなる。本実施形態では、金属端子T1p,T2pの材料は、オーステナイト系のステンレス鋼である。第二はんだ4pは、Sn-Ag-Cu系はんだからなる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、図6図9を参照して、第3実施形態に係る電子部品の構成を説明する。図6は、第3実施形態に係る電子部品1qの斜視図である。本実施形態では、金属端子T1q,T2qの形状が、第1実施形態の金属端子T1,T2と異なっている。金属端子T1qの第三面43qは、金属端子T1の第三面43の形状と異なり、金属端子T1qの内側に後退する窪み65qを有している。窪み65qは、接続部20q内を脚部21qの第一部分22qに向かって延びている。金属端子T1q,T2qの材料は、第1実施形態の金属端子T1,T2の材料と同様である。
【0065】
金属端子T1qの接続部20q及び一部の第一部分22qは、一対のアーム部25q,26qを有する。アーム部25q,26qは、第三方向D3において、窪み65qによって、互いに離間している。一のアーム部25q、窪み65q、及び別のアーム部26qが、この順に第三方向D3で並んでいる。アーム部25q,26qの第三方向D3における幅は、互いにほぼ等しくてもよい。
【0066】
第一はんだ2qは、二つのはんだからなる。一のアーム部25qは、一の第一はんだ2qを介して、外部電極13の端面15に接続されている。別のアーム部26qは、別の第一はんだ2qを介して、外部電極13の端面15の別位置に接続されている。本実施形態では、第一はんだ2qは、Sn-Sb系はんだからなる。
【0067】
図7は、第二方向D2から見た電子部品1qを示す図である。金属端子T1qの第三面43qは、第三面43q1,43q2、一対の第三面43q3,43q4、及び第三面43q5を有する。第三面45q、第三面43q1及び第三面43q3は、一のアーム部25qの外周を規定している。第三面46q、第三面43q2及び第三面43q4は、別のアーム部26qの外周を規定している。本実施形態では、第三面43q5は、窪み65qにおける第三面43qの最下部に位置し、第三面43q5の高さH3qは、外部電極13における最下端19qの高さH19qより低い。高さH3qは、基準面RP1から第三面43q5までの距離で規定される。高さH19qは、基準面RP1から外部電極13の最下端19qまでの距離で規定される。本実施形態では、高さH19qと高さH3qとの差DF3qは、0.1mmである。金属端子T2qにおいても、金属端子T1の差DF1qと同様の差を有する。
【0068】
図8の(a)は、本実施形態に係る金属端子T1qの中央領域を第一方向D1から見た輪郭形状を示す図である。この図は、一対のアーム部25q,26qの輪郭形状を示している。金属端子T1qは、一のアーム部25qの第一面40qと第三面45qとで画成される稜に対応する位置に稜部61qを有し、別のアーム部26qの第一面40qと第三面46qとで画成される稜に対応する位置に稜部62qを有している。稜部61q,62qは、共に、第二面41qから第一面40qに向かう方向に突き出している。稜部61qは、第一面40qと第三面43q1とで画成される稜に対応する位置から、第一面40qと第三面44qとで画成される稜に対応する位置まで延びている。稜部62qは、第一面40qと第三面43q2とで画成される稜に対応する位置から、第一面40qと第三面44qとで画成される稜に対応する位置まで延びている。
【0069】
金属端子T1qは、一のアーム部25qの第一面40qと第三面43q3とで画成される稜に対応する位置に稜部66qを有し、別のアーム部26qの第一面40qと第三面43q4とで画成される稜に対応する位置に稜部67qを有している。稜部66q,67qは、共に、第二面41qから第一面40qに向かう方向に突き出している。稜部66qは、第一面40qと、一のアーム部25qの第三面43q1とで画成される稜に対応する位置から、第一面40qと第三面43q5とで画成される稜に対応する位置まで延びている。稜部67qは、第一面40qと、別のアーム部26qの第三面43q2とで画成される稜に対応する位置から、第一面40qと第三面43q5とで画成される稜に対応する位置まで延びている。
【0070】
図8の(b)は、本実施形態に係る金属端子T1qの中央領域を第三方向D3から見た輪郭形状を示す図である。金属端子T1qは、第一面40qと第三面43q5とで画成される稜に対応する位置に稜部63qを有している。稜部63qは、第一面40qと第三面43q3とで画成される稜に対応する位置から、第一面40と第三面43q4とで画成される稜に対応する位置まで延びている。金属端子T1qは、第一面40qと第三面44qとで画成される稜に対応する位置に稜部64qを有している。稜部64qは、第一面40qと第三面45qとで画成される稜に対応する位置から、第一面40と第三面46qとで画成される稜に対応する位置まで延びている。稜部63q,64qは、共に、第二面41qから第一面40qに向かう方向に突き出している。
【0071】
図9は、本実施形態に係る第一はんだ2q及び金属端子T1qを第二方向D2から見た構成を示す図である。図9では、第一はんだ2qの断面と、金属端子T1qの接続部20qとが示されている。一のアーム部25qには、第一はんだ2qが設けられている。第二方向D2から見て、第一はんだ2qの最外周縁6qは、第三方向D3での金属端子T1qの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。第二方向D2は、接続部20qにおいて、第一面40qと第二面41qとが互いに対向している方向に一致している。第三方向D3は、一対の第三面45q,46qが互いに対向している方向に一致している。本実施形態では、第一はんだ2qの最外周縁6qは、第三方向D3での金属端子T1qの第三面45q及び第三面43q3より内側に位置し、当該第三面45q及び第三面43q3から離間している。別のアーム部26qには、別の第一はんだ2qが設けられている。第二方向D2から見て、別の第一はんだ2qの最外周縁6qは、第三方向D3での金属端子T1qの第三面46q及び第三面43q4より内側に位置し、当該第三面46q及び第三面43q4から離間している。
【0072】
一のアーム部25qでは、第三方向D3において、第三面43q3と、第一はんだ2qの第三面43q3に近い最外周縁6qとの距離W43qは、第三面45qと、第一はんだ2qの第三面45qに近い最外周縁6qとの距離W45qに比べて小さい。距離W43qは、たとえば、0.05mmである。別のアーム部26qでは、第三方向D3において、第三面43q4と、第一はんだ2qの第三面43q4に近い最外周縁6qとの距離は、第三面46qと、第一はんだ2qの第三面46qに近い最外周縁6qとの距離に比べて小さい。
【0073】
本実施形態では、素体10の面積に対する第一はんだ2qの面積の割合は、70%以下である。素体10の面積は、素体10を第二方向D2から見たときに、一対の主面10a,10b及び一対の側面10e,10fで画成される領域の面積で規定される。第一はんだ2qの面積は、第二方向D2から見た二つの第一はんだ2qの最外周縁6qに囲まれた領域の面積の合計によって規定される。第二はんだ4q,5qは、共に、Sn-Ag-Cu系はんだからなる。
【0074】
本実施形態では、第一面40qと第二面41qとが互いに対向している方向から見て、第一はんだ2qの最外周縁6qは、一対の第三面45q、46qが互いに対向している方向での金属端子T1qの最外縁より内側に位置し、当該最外縁から離間している。
この場合、外部電極13と金属端子T1q(第一面40q上の第一金属層47q)とを接続するはんだ(第一はんだ2q)の最外周縁6qが金属端子T1qの最外縁から離間している。したがって、金属端子T1qを電子機器ED1と接続するためのはんだ付けを行うときに、溶け出した第一はんだ2qが第二面41q上の第二金属層48qに到達することがより確実に抑制される。
【0075】
(第4実施形態)
次に、図10を参照して、第4実施形態に係る電子部品の構成を説明する。図10は、第4実施形態に係る電子部品1rの斜視図である。本実施形態では、二つの積層コンデンサLC1,LC2が、第一方向D1に並ぶように設けられている。金属端子T1r,T2rでは、二つの積層コンデンサLC1,LC2を接続するために、接続部20r,30rの第一方向D1の幅が、一の積層コンデンサLC1を接続する第1実施形態での幅に比べて大きくなっている。金属端子T1rは、四つの第一はんだ2rを介して、二つの積層コンデンサLC1,LC2に接続されている。金属端子T2rも同様である。
【0076】
第一はんだ2rは、上側の第一はんだ2rと、下側の第一はんだ2rを有する。一のアーム部25rは、上側の第一はんだ2rを介して、上側に位置する積層コンデンサLC1の外部電極13の端面15に接続されている。また、一のアーム部25rは、下側の第一はんだ2rを介して、下側に位置する積層コンデンサLC1の外部電極13の端面15に接続されている。別のアーム部26rは、上側の第一はんだ2rを介して、上側に位置する積層コンデンサLC1の外部電極13の端面15に接続されている。別のアーム部26rは、下側の第一はんだ2rを介して、下側に位置する積層コンデンサLC1の外部電極13の端面15の別位置に接続されている。
【0077】
本実施形態では、素体10の面積に対する第一はんだ2rの面積の割合は、70%以下である。素体10の面積は、素体10を第二方向D2から見たときに、一対の主面10a,10b及び一対の側面10e,10fで画成される領域の面積で規定される。第一はんだ2rの面積は、第二方向D2から見た四つの第一はんだ2rの最外周縁6rに囲まれた領域の面積の合計によって規定される。本実施形態でも、金属端子T1r,T2rは、第2実施形態の金属端子T1p,T2pと同様の稜部を有している。
【0078】
本実施形態では、第一はんだ2は、Sn-Sb系はんだからなる。金属端子T1r,T2rは、Snめっき層の最外層を有している。二つの積層コンデンサLC1,LC2は、第一はんだ2r及び金属端子T1r,T2rを介して、互いに電気的に接続されている。金属端子T1r,T2rは、非磁性のステンレス鋼からなる。本実施形態では、金属端子T1r,T2rの材料は、オーステナイト系のステンレス鋼である。第二はんだ4r,5rは、Sn-Ag-Cu系はんだからなる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
本実施形態では、電子部品に含まれる部品として積層コンデンサLC1,LC2を例に説明したが、適用可能な部品は、積層コンデンサに限られない。適用可能な部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の部品である。
【符号の説明】
【0080】
1…電子部品、2…第一はんだ、3…第一はんだ、7…基体、8…基体、10…素体、13…外部電極、14…外部電極、16…端縁、17…端縁、20…接続部、21…脚部、24…端縁、30…接続部、31…脚部、34…端縁、40…第一面、41…第二面、45…第三面、46…第三面、47…第一金属層、47a…最外層、48…第二金属層、48a…最外層、49…被覆層、49a…最外層、50…第一面、51…第二面、55…第三面、56…第三面、61…稜部、62…稜部、63…稜部、64…稜部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10