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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20231017BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B60H1/00 102G
B60H1/22 671
B60H1/00 101Z
B60H1/00 101F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020126392
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023445
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】島内 隆行
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-036723(JP,A)
【文献】国際公開第2001/015922(WO,A1)
【文献】特開2019-196032(JP,A)
【文献】特開2019-119437(JP,A)
【文献】特開2010-280352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0165830(US,A1)
【文献】特開2012-076516(JP,A)
【文献】特開2020-079037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B60H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調運転の吸込口モードとして車室内に外気を導入する外気導入モードと車室内の空気を循環させる内気循環モードとの間で切り替えが可能な車両用空調装置において、
前記車室内の内装品の下方または該内装品の内部に設置された電気部品または電子部品で成るデバイスと、該デバイスの温度を検出可能な温度検出手段とを備え、
車両の制御モードが、乗員によるマイルームモード設定操作によって、車両の走行が禁止され且つ当該車両用空調装置を含む補機装置と前記デバイスとの作動を許容するマイルームモード中であることを条件として、
車室内の空調運転時に車室内温度が所定温度に達するまでは、前記外気導入モードでの空調運転に比べて空調負荷を低くするために前記吸込口モードを前記内気循環モードに設定し、
当該車室内の空調運転によって車室内温度が所定温度に達した状態で、前記温度検出手段によって検出された前記デバイスの温度が、予め設定された所定値を超えた場合に、前記吸込口モードを前記内気循環モードから前記外気導入モードに切り替える空調切り替え動作を行うことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用空調装置において、
空調運転の吹き出しモードとして乗員に向かうFACEモードが設定可能であり、
前記空調切り替え動作では、前記吹き出しモードが前記FACEモードに設定されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用空調装置において、
前記車室内には前記内装品として前部座席および後部座席が配置されていると共に、前記前部座席に向けて空調風を吹き出す前部空調ユニットと、前記後部座席に向けて空調風を吹き出す後部空調ユニットとを備えており、
前記デバイスは、前記後部座席の下方または内部に設置されていて、
前記空調切り替え動作では、前記後部空調ユニットの吸込口モードが前記外気導入モードに設定され且つ該後部空調ユニットの空調能力が高められることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車両用空調装置において、
前記電気部品は、電力を受けて充電される二次電池であり、前記電子部品は、電子機器が接続されて前記電力を当該電子機器に向けて供給する電装品であり、
前記二次電池の充電中であって、且つ前記電力を前記電装品を経て前記電子機器に向けて供給しているときに、前記温度検出手段によって検出された前記二次電池の温度および前記電装品の温度のうち少なくとも一方の温度が予め設定された所定値を超えたことを条件として前記空調切り替え動作が行われることを特徴とする車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用空調装置に係る。特に、本発明は、車室内の快適性を高めるための対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置では、車室内の環境等に応じた空調制御を行うことで車室内の快適性を高めることが行われている。特許文献1には、空調風の吹き出し方向が変更可能な風向変更手段を備えた車両用空調装置であって、車室内全体の温度分布をCCDカメラや赤外線センサによって検出し、その温度分布の検出結果に基づいて、空調風の吹き出し方向を変更することが開示されている。具体的には、車室内において表面温度が所定温度以上の領域が存在する場合に、最も温度が高い高温位置を検出し、この高温位置に向けて、温度調整された空調風を吹き出すことで、乗員の感覚に応じた快適な空調を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-252023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている車両用空調装置は、車室内におけるシート等の内装品の表面やシートに着座している乗員の表面の温度分布を検出している。このため、内装品の表面や乗員の表面の温度が高くならない限り、高温位置としては検出されず、この高温位置が検出されるまで空調風の吹き出し方向は変更されないものとなっている。このため、内装品の下方や内部に存在する電気部品等が発熱するような場合には、その部品が発熱して内装品の表面の温度や、その発熱を受けた乗員(例えばシートの下方や内部に存在する部品が発熱する場合に当該シートに着座している乗員)の表面の温度が高くなるまで、高温位置として検出されず、空調風の吹き出し方向は変更されないことになる。つまり、表面の温度が高くなって乗員が不快に感じるまで空調風の吹き出し方向は変更されないため、空調風の吹き出し方向が変更されてから乗員が快適に感じるまでに時間を要してしまうことになり、車室内の快適性を高める上で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発熱する部品が車室内の内装品の内部や下方に設置されている場合であっても車室内の快適性を高めることができる車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、空調運転の吸込口モードとして車室内に外気を導入する外気導入モードと車室内の空気を循環させる内気循環モードとの間で切り替えが可能な車両用空調装置を前提とする。そして、この車両用空調装置は、前記車室内の内装品の下方または該内装品の内部に設置された電気部品または電子部品で成るデバイスと、該デバイスの温度を検出可能な温度検出手段とを備え、車両の制御モードが、乗員によるマイルームモード設定操作によって、車両の走行が禁止され且つ当該車両用空調装置を含む補機装置と前記デバイスとの作動を許容するマイルームモード中であることを条件として、車室内の空調運転時に車室内温度が所定温度に達するまでは、前記外気導入モードでの空調運転に比べて空調負荷を低くするために前記吸込口モードを前記内気循環モードに設定し、当該車室内の空調運転時によって車室内温度が所定温度に達した状態で、前記温度検出手段によって検出された前記デバイスの温度が、予め設定された所定値を超えた場合に、前記吸込口モードを前記内気循環モードから前記外気導入モードに切り替える空調切り替え動作を行うことを特徴とする。
【0007】
なお、ここでいう「車室内温度が所定温度に達する」とは、車室内の冷房運転時には車室内温度が所定温度(例えば目標とする車室内温度)以下に達したことを意味し、車室内の暖房運転時には車室内温度が所定温度以上に達したことを意味している。つまり、車室内温度が車室内の快適性を確保できる温度に達していることを意味している。
この特定事項により、車室内温度が所定温度に達した状態で、車室内の内装品の下方または該内装品の内部に設置されたデバイスの温度(温度検出手段によって検出されたデバイスの温度)が、予め設定された所定値を超えた場合には空調切り替え動作を行い、吸込口モードが外気導入モードに設定される。つまり、外気導入モードによって車室内の換気が行われる。これにより、デバイスが発した熱によって乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまう前段階で、外気導入によって当該周辺温度の上昇を抑制し、乗員が不快に感じる状況を回避することで車室内の快適性を維持することができる。
また、外気導入モードでは、導入された外気を温度調整することで(例えば高温の外気を目標温度まで冷却することで)空調風を生成して車室内に吹き出すことになる。このため、この外気導入モードの場合、車室内の空気を循環させながら空調風を生成する内気循環モードの場合に比べて空調負荷が大きい。本解決手段では、車室内の空調運転時に車室内温度が所定温度に達するまで、つまり、車室内温度が車室内の快適性を確保できる温度に達するまでは、吸込口モードとして内気循環モードに設定し、車室内温度が所定温度に達した状態で、デバイスの温度が、予め設定された所定値を超えた場合に、空調切り替え動作を行うようにしている。このため、車室内の快適性の確保と、空調負荷を可及的に低く抑えることによるエネルギ効率の向上とを両立することができる。
【0008】
また、空調運転の吹き出しモードとして乗員に向かうFACEモードが設定可能であり、前記空調切り替え動作では、前記吹き出しモードが前記FACEモードに設定されるようにしている。
【0009】
これによれば、前記空調切り替え動作にあっては、前記換気用の外気が乗員に向かって(特に乗員の上半身に向かって)吹き出されることになり、デバイスが発した熱によって乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまうといったことを確実に回避することができ、車室内の快適性の維持に寄与させることができる。また、一般にFACEモードは、他の吹き出しモードに比べてダクト内での圧力損失が小さく、送風量が多く得られる吹き出しモードである。これによってもFACEモードに設定したことによる車室内の快適性の維持に寄与させることができる。
【0010】
また、前記車室内には前記内装品として前部座席および後部座席が配置されていると共に、前記前部座席に向けて空調風を吹き出す前部空調ユニットと、前記後部座席に向けて空調風を吹き出す後部空調ユニットとを備えており、前記デバイスは、前記後部座席の下方または内部に設置されていて、前記空調切り替え動作では、前記後部空調ユニットの吸込口モードが前記外気導入モードに設定され且つ該後部空調ユニットの空調能力が高められるようにしている。
【0011】
これによれば、後部座席の下方または内部に設置されているデバイスの温度が、予め設定された所定値を超えた場合には、後部空調ユニットが空調切り替え動作を行い、吸込口モードが外気導入モードに設定され且つ空調能力が高められる。例えば、後部空調ユニットが作動を開始して後部座席に向けて(後部座席に着座している乗員に向けて)空調風を吹き出す。これにより、後部座席に着座している乗員の周辺温度がデバイスからの熱によって大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまう前段階で、後部空調ユニットによって当該周辺温度の上昇を抑制し、乗員が不快に感じる状況を回避することで車室内の快適性を維持することができる。
【0012】
また、前記電気部品は、電力を受けて充電される二次電池であり、前記電子部品は、電子機器が接続されて前記電力を当該電子機器に向けて供給する電装品であり、前記二次電池の充電中であって、且つ前記電力を前記電装品を経て前記電子機器に向けて供給しているときに、前記温度検出手段によって検出された前記二次電池の温度および前記電装品の温度のうち少なくとも一方の温度が予め設定された所定値を超えたことを条件として前記空調切り替え動作が行われるようにしている。
【0013】
例えばプラグインハイブリッド車両において、外部電源からの電力により二次電池を充電しながら、この外部電源からの電力の一部を電装品を経て電子機器(ゲーム機等)に向けて供給して当該電子機器を作動させることで、車室内を住居と同様の空間として利用することが行われている(一般にマイルーム充電モードと呼ばれる)。また、内燃機関からの動力を利用して発電された電力により二次電池を充電しながら、この電力の一部を電装品を経て電子機器に向けて供給して当該電子機器を作動させることも行われている(一般にマイルーム発電モードと呼ばれる)。このような車両の利用形態にあっては、充電に起因して二次電池の発熱量が多くなり、電子機器の利用に起因して電装品の発熱量も多くなる傾向がある。つまり、乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまう可能性が高い利用形態となっている。本解決手段では、このような利用形態である場合に、所定の条件(デバイスの温度が所定値を超えたこと)を満たした場合に空調切り替え動作が実施される。これにより、マイルームモード(マイルーム充電モードやマイルーム発電モード)での車室内の快適性を高く維持することができ、このマイルームモードの実用性の改善を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、車室内の内装品の下方または該内装品の内部に設置されたデバイスの温度が所定値を超えた場合に、吸込口モードを外気導入モードに設定する空調切り替え動作を行うことで、車室内の換気を行うようにしている。このため、デバイスが発した熱によって乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまう前段階で、外気導入によって当該周辺温度の上昇を抑制し、乗員が不快に感じる状況を回避することで車室内の快適性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るプラグインハイブリッド車両の概略構成を示す図である。
図2】車両の後部座席およびその周辺を示す側面図である。
図3】車両に搭載された空調装置の概略構成を示す図である。
図4】空調装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図5】空調切り替え動作の手順を示すフローチャート図である。
図6】変形例における空調切り替え動作の手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、プラグインハイブリッド車両に本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
-プラグインハイブリッド車両の概略構成-
図1は、本実施形態に係るプラグインハイブリッド車両1(以下、単に車両という)の概略構成を示す図である。この図1に示すように車両1は、車外の給電装置2に充電ケーブル21を介して接続可能であり、この給電装置2から交流電力の供給を受けて車載の蓄電装置(駆動用バッテリ)10を充電する外部充電が可能な構成とされている。
【0021】
車両1の主たる構成要素としては、前記蓄電装置10と、監視ユニット11と、システムメインリレー12(以下、SMR:System Main Relayという)と、パワーコントロールユニット13(以下PCU:Power Control Unitという)と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジンEと、動力分割装置14と、駆動軸15と、駆動輪16と、HMI(Human Machine Interface)装置3と、アクセルペダルセンサ41と、シフトレバー42と、シフトポジションセンサ43と、スタートスイッチ44と、制御装置5とを備えている。更に、車両1は、メインDC/DCコンバータ61と、補機電池62と、低圧補機負荷63と、高圧補機負荷64と、充電リレー65と、充電装置66と、インレット67と、サブDC/DCコンバータ68とを備えている。
【0022】
蓄電装置10は、積層された複数の電池を含んで構成されている。電池は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池である。また、電池は、正極と負極との間に液体電解質を有する電池であってもよいし、固体電解質を有する電池(全固体電池)であってもよい。なお、蓄電装置10は、大容量のキャパシタであってもよい。
【0023】
監視ユニット11は、蓄電装置10の状態(電圧、電流、温度等)を監視し、その結果を制御装置5に出力する。
【0024】
PCU13は、制御装置5からの制御信号に応じ、蓄電装置10とモータジェネレータMG1,MG2との間で電力変換を行うことによって、モータジェネレータMG1,MG2をそれぞれ別々に制御可能に構成されている。このPCU13は、モータジェネレータMG1,MG2に対応して設けられた2つのインバータと、各インバータに供給される直流電圧を蓄電装置10の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成されている。
【0025】
各モータジェネレータMG1,MG2は、交流の回転電機であり、例えば、三相交流回転電機で構成されている。モータジェネレータMG1は、動力分割装置14を介してエンジンEのクランク軸に連結されている。モータジェネレータMG1は、エンジンEを始動する際に蓄電装置10の電力を用いてエンジンEのクランク軸を回転させる。また、モータジェネレータMG1は、車両1の走行中および停車中において、エンジンEの動力を用いて発電することも可能である。モータジェネレータMG1によって発電された交流電力は、PCU13により直流電力に変換されて蓄電装置10に充電される。また、モータジェネレータMG1によって発電された交流電力は、モータジェネレータMG2に供給される場合もある。
【0026】
モータジェネレータMG2は、蓄電装置10からの電力およびモータジェネレータMG1により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動軸15を回転させる。また、モータジェネレータMG2は、制動時や加速度低下時には、回生制動によって発電することが可能である。モータジェネレータMG2によって発電された交流電力は、PCU13によって直流電力に変換されて蓄電装置10に充電される。
【0027】
エンジンEは、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジンEは、制御装置5からの制御信号によって制御される。
【0028】
動力分割装置14は、例えば、遊星歯車機構で構成されており、エンジンEが発生した動力を、駆動輪16に伝達される動力と、モータジェネレータMG1に伝達される動力とに分割する。
【0029】
HMI装置3は、車両1に関するさまざまな情報をユーザに提供したり、ユーザの操作を受け付けたりする装置である。HMI装置3は、車室内に設けられたディスプレイ、スピーカ等を含む。
【0030】
アクセルペダルセンサ41は、ユーザによるアクセルペダル(図示せず)の操作量を検出し、その結果を制御装置5に出力する。
【0031】
シフトポジションセンサ43は、ユーザによって操作されるシフトレバー42の位置(シフトポジション)を検出し、その結果を制御装置5に出力する。制御装置5は、前進(D)レンジ、後進(R)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、駐車(P)レンジ等を含む複数のシフトレンジのうちから、シフトポジションに対応するレンジを選択し、選択されたレンジを車両1のシフトレンジに設定する。なお、駐車(P)レンジにおいては、駆動軸15の回転が物理的に固定(ロック)される。
【0032】
スタートスイッチ44は、ユーザが車両1の制御システムをReady-ON状態およびReady-OFF状態のどちらかの状態にする操作を入力するための手動スイッチである。例えばユーザが図示しないブレーキペダルを踏み込んでいる状態でスタートスイッチ44が押されることでReady-ON状態となり、このReady-ON状態からスタートスイッチ44が押されることでReady-OFF状態となる。Ready-ON状態では、ユーザのアクセルペダル操作に基づくエンジンEおよびモータジェネレータMG1,MG2の作動が許容され、車両1が走行可能な状態となる。一方、Ready-OFF状態では、ユーザのアクセルペダル操作に基づくエンジンEおよびモータジェネレータMG1,MG2の作動が禁止され、車両1の走行が禁止された状態となる。また、後述するマイルームモードの設定時にもスタートスイッチ44は操作される。例えばユーザがブレーキペダルを踏み込んでいない状態でスタートスイッチ44が押されることでマイルームモードへの切り替えが可能な状態となり、HMI装置3の操作によってマイルームモードを設定することができる。このマイルームモードの詳細については後述する。
【0033】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、各種信号が入出力される入出力ポート(図示せず)とを含んで構成される。制御装置5は、各センサ等からの信号の入力および各機器への制御信号の出力を行うとともに、各機器の制御を行う。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限らず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。制御装置5は、例えば、PCU13、エンジンE、SMR12等を制御することにより、車両1の走行制御を実行する。
【0034】
補機電池62は、低電圧線ELに接続され、車両1に搭載される低圧補機負荷63を作動するための電力を蓄える。補機電池62は、例えば、鉛蓄電池を含んで構成される。補機電池62の電圧は、蓄電装置10の電圧よりも低く、例えば、12V程度である。
【0035】
低圧補機負荷63は、低電圧線ELに接続され、低電圧線ELから供給される電力で作動する。低圧補機負荷63は、例えば、照明装置、ワイパー装置、オーディオ装置、ナビゲーションシステム、ヘッドライト、車室内コンセントに接続される電子機器等の電気負荷である。
【0036】
高圧補機負荷64は、SMR12とPCU13とを結ぶ高電圧線PL,NLに接続され、高電圧線PL,NLから供給される電力で作動する。高圧補機負荷64は、例えば、空調装置等の電気負荷である。
【0037】
メインDC/DCコンバータ61は、高電圧線PL,NLと低電圧線ELとの間に接続され、高電圧線PL,NLから供給される電力を降圧して低電圧線ELに供給する。メインDC/DCコンバータ61は、制御装置5によって制御される。なお、メインDC/DCコンバータ61は、PCU13に内蔵されてもよい。
【0038】
インレット67は、充電ケーブル21を介して給電装置2に接続可能となっている。インレット67に充電ケーブル21が接続された場合、インレット67に充電ケーブル21が接続されたことを示す信号がインレット67から制御装置5に出力される。
【0039】
充電装置66は、インレット67と充電リレー65との間に接続されている。充電装置66は、給電装置2から充電ケーブル21およびインレット67を介して供給される交流電力を直流電力に変換して充電リレー65に出力する。
【0040】
充電リレー65は、蓄電装置10と充電装置66とを結ぶ高電圧線PL,NLに電気的に接続されている。充電リレー65は、制御装置5からの制御信号に応じて、開閉状態が切り替えられる。
【0041】
サブDC/DCコンバータ68は、充電装置66と低電圧線ELとの間に接続され、インレット67から供給される電力を降圧して低電圧線ELに供給する。サブDC/DCコンバータ68は、制御装置5によって制御される。なお、サブDC/DCコンバータ68は、充電装置66に内蔵されてもよい。
【0042】
図2は、車両1の後部座席81およびその周辺を示す側面図である。この図2に示すように、本実施形態に係る車両1では、後部座席81の下方に蓄電装置(電気部品)10や電装品(電子部品)EDが配設されている。これら蓄電装置10や電装品EDが本発明でいうデバイスに相当する。具体的に、この後部座席81の下方に配設される電装品EDとしては、前記DC/DCコンバータ61,68や後述する自動運転モジュール7が挙げられる。
【0043】
後部座席81は、車両1のリヤフロアパネル82の上面に固定されている。この後部座席81は、座部(シートクッション)81aおよび背凭れ部(シートバック)81bを備えている。
【0044】
蓄電装置10や電装品EDは、後部座席81の座部81aの下方においてリヤフロアパネル82の上面に取り付けられている。蓄電装置10は、前述したように充放電が可能な二次電池で構成されている。電装品EDに含まれる自動運転モジュール7は、車両の自動運転を行うための複数の電子部品がモジュール化されて構成されたものであり、モジュールケースの内部に複数の電子部品が収容された構成となっている。この自動運転モジュール7を構成する複数の電子部品としては、自動運転制御ECUや地図情報ECU等が含まれている。これらECUについては公知であるため、ここでの説明は省略する。自動運転制御ECUによって、車両1の自動運転の制御や、自動運転と手動運転との切替制御が行われるようになっている。
【0045】
そして、本実施形態の特徴の一つとして、前記蓄電装置10の温度を検出する蓄電装置温度センサ83(本発明でいう温度検出手段)、および、電装品EDの温度を検出する電装品温度センサ84(同じく本発明でいう温度検出手段)が設けられている。蓄電装置温度センサ83は、例えば蓄電装置10のケースの外面に取り付けられている。または、蓄電装置10の内部に配設されていてもよい。また、電装品温度センサ84は、電装品EDのケースに取り付けられている。または、電装品EDの内部に配設されていてもよい。これら温度センサ83,84は例えばサーミスタで構成されており、蓄電装置温度センサ83は検出した蓄電装置10の温度の情報を出力し、電装品温度センサ84は検出した電装品EDの温度の情報を出力するようになっている。
【0046】
-マイルームモード-
本実施形態に係る車両1は、停車中の制御モードとして、マイルームモードを有している。具体的には、シフトレンジが駐車レンジである状態でユーザがHMI装置3に対して所定の操作(マイルームモードの設定操作)を行うことにより、制御装置5は、車両1の制御モードをマイルームモードに設定する。
【0047】
マイルームモード中においては、制御装置5は、車両1の走行を禁止し、且つ補機装置(低圧補機負荷63、高圧補機負荷64等)の作動を許容する。これにより、ユーザは、車室内において、空調装置を作動させながら休憩したり、オーディオ装置を作動させて音楽鑑賞したり、ユーザが車室内に持ち込んだ電子機器(ゲーム機等)を車室内コンセントに接続して使用したりすることができる。
【0048】
マイルームモード中における車両1の走行禁止は、例えば、アクセルペダルの操作量に関わらずアクセルペダルセンサ41の出力をゼロに固定するとともに、シフトレバー42の位置(シフトポジション)に関わらずシフトレンジを駐車レンジに固定することによって実現される。これにより、マイルームモード中においては、モータジェネレータMG2が停止されるとともに、駆動輪16が固定(ロック)される。
【0049】
本実施形態に係る車両1は、マイルームモードとして、「マイルーム充電モード」と、「マイルーム発電モード」とを有している。以下、これらマイルーム充電モードおよびマイルーム発電モードについて説明する。
【0050】
(マイルーム充電モード)
マイルーム充電モードは、給電装置2が充電ケーブル21を介して車両1のインレット67に接続された状態で設定可能である。つまり、インレット67に充電ケーブル21が接続されたことを示す信号がインレット67から制御装置5に出力された状態で、ユーザがHMI装置3に対してマイルームモードの設定操作を行うことにより、マイルーム充電モードとなる。
【0051】
マイルーム充電モード中においては、制御装置5は、前述のように車両1の走行を禁止し、且つ、給電装置2からインレット67が受けた電力で外部充電を実行しながら補機装置(低圧補機負荷63、高圧補機負荷64等)の作動を許容する。
【0052】
具体的には、制御装置5は、マイルーム充電モード中において、充電リレー65を閉じ、充電装置66およびサブDC/DCコンバータ68を必要に応じて作動させる。これにより、給電装置2からインレット67が受けた電力で蓄電装置10が充電されるとともに、給電装置2からインレット67が受けた電力の一部がサブDC/DCコンバータ68から低電圧線ELを介して低圧補機負荷63に供給される。
【0053】
マイルーム充電モード中に高圧補機負荷64を作動させる場合(例えば空調装置を作動させる場合)には、制御装置5は、更にSMR12を閉じる。これにより、給電装置2からインレット67が受けた電力の一部がSMR12および高電圧線PL,NLを介して高圧補機負荷64に供給される。また、マイルーム充電モード中に低圧補機負荷63の消費電力がサブDC/DCコンバータ68の容量(出力可能電力)を超える場合には、制御装置5は、SMR12を閉じ、メインDC/DCコンバータ61を作動させる。これにより、低圧補機負荷63の作動電力が確保される。
【0054】
(マイルーム発電モード)
前述のマイルーム充電モードは、給電装置2が車両1に接続された状態でのみ設定可能であった。これに対し、マイルーム発電モードでは、車両1の停車中にエンジンEの動力を用いてモータジェネレータMG1によって発電を行う。つまり、マイルーム発電モードは、給電装置2が車両1に接続されていない状態において設定可能となっている。インレット67に充電ケーブル21が接続されたことを示す信号がインレット67から制御装置5に出力されていない状態で、ユーザがHMI装置3に対してマイルームモードの設定操作を行うことにより、マイルーム発電モードとなる。
【0055】
マイルーム発電モード中においては、制御装置5は、前述のように車両1の走行を禁止し、且つ、エンジンEの動力を用いてモータジェネレータMG1が発電した電力で補機装置(低圧補機負荷63、高圧補機負荷64等)の作動を許容する。
【0056】
具体的には、制御装置5は、マイルーム発電モード中において、SMR12を閉じ、メインDC/DCコンバータ61を必要に応じて作動させる。これにより、蓄電装置10に蓄えられた電力が、高圧補機負荷64に供給されるとともに、メインDC/DCコンバータ61から低電圧線ELを介して低圧補機負荷63に供給される。
【0057】
マイルーム発電モード中において、蓄電装置10の蓄電量が所定の閾値よりも大きい場合には、制御装置5は、エンジンEの動力を用いたモータジェネレータMG1の発電(以下「エンジン発電」ともいう)を停止する。つまり、エンジンE、PCU13、モータジェネレータMG1が停止される。
【0058】
一方、マイルーム発電モード中において、蓄電装置10の蓄電量が所定の閾値よりも低下した場合には、制御装置5は、前述のエンジン発電を行う。すなわち、制御装置5は、エンジンEを作動させてエンジン発電を行い、エンジン発電で得られた電力が高電圧線PL,NLに供給されるように、エンジンE、PCU13、モータジェネレータMG1を制御する。これにより、エンジン発電で得られた電力が、高電圧線PL,NLを介して高圧補機負荷64に供給されると共に、高電圧線PL,NL、メインDC/DCコンバータ61、低電圧線ELを介して低圧補機負荷63に供給される。これにより、低圧補機負荷63および高圧補機負荷64の作動電力が確保される。
【0059】
また、エンジン発電で得られた電力は、高電圧線PL,NLおよびSMR12を介して蓄電装置10に供給され、蓄電装置10が充電される。そして、蓄電装置10の蓄電量が所定の閾値よりも大きくなると、制御装置5は、エンジン発電を停止する。
【0060】
-空調装置の概略構成-
次に、車両1に搭載された空調装置について説明する。図3は、車両1に搭載された空調装置100の概略構成を示す図である。
【0061】
この図3に示すように、車両1に搭載された空調装置100は、前部座席に向けて空調風を吹き出すための前部空調ユニット200と、後部座席81に向けて空調風を吹き出すための後部空調ユニット300とを備えている。
【0062】
(前部空調ユニット)
図3に示すように、前部空調ユニット200は、車室内に(前部座席に向けて)空調空気(空調風)を導くための空気通路を形成する空調ダクト210、この空調ダクト210内において空気流を発生させる遠心式送風機(空調用送風機)220、空調ダクト210内を流れる空気を冷却するための冷媒循環回路230、および、空調ダクト210内を流れる空気を加熱するための冷却水回路240(図3では冷却水回路240の一部のみを示している)等を備えている。
【0063】
空調ダクト210の最も上流側(風上側)は、吸込口切替箱(内外気切替箱)を構成する部分であって、車室内空気(内気)を取り入れる内気吸込口211、および、車室外空気(外気)を取り入れる外気吸込口212を有している。
【0064】
更に、内気吸込口211および外気吸込口212の内側には、内外気切替ドア213が回動自在に取り付けられている。この内外気切替ドア213は、サーボモータ等のアクチュエータ213a(図4を参照)により駆動されて、吸込口モードを内気循環モードと外気導入モードとの間で切り替える。
【0065】
また、空調ダクト210の最も下流側(風下側)は、吹出口切替箱を構成する部分であって、デフロスタ(DEF)開口部214、フェイス(FACE)開口部215、および、フット(FOOT)開口部216を有している。また、図示しないが車幅方向の両側に位置するサイド開口部も有している。
【0066】
前記DEF開口部214には、DEFダクト214aが設けられ、このDEFダクト214aの最下流端には、車両1のフロントガラスFWの内面に向かって空調空気を吹き出すDEF吹出口214bが形成されている。
【0067】
また、FACE開口部215には、FACEダクト215aが設けられ、このFACEダクト215aの最下流端には、乗員の頭部および胸部に向かって空調空気を吹き出すFACE吹出口215bが形成されている。
【0068】
更に、FOOT開口部216には、FOOTダクト216aが設けられ、このFOOTダクト216aの最下流端には、乗員の足元部に向かって空調空気を吹き出すFOOT吹出口216bが形成されている。
【0069】
そして、各吹出口214b,215b,216bの内側には、吹出口切替ドア217,218が回動自在に取り付けられている。これら吹出口切替ドア217,218は、サーボモータ等のアクチュエータ217a,218a(図4を参照)によりそれぞれ駆動されて、吹出口モードを、FACEモード、バイレベル(B/L)モード、FOOTモード、フットデフ(F/D)モードおよびDEFモードの何れかに切り替える。
【0070】
前記遠心式送風機220は、空調ダクト210と一体的に構成されたスクロールケースに回転自在に収容されたブロア221、および、このブロア221を回転駆動するブロアモータ222を有している。
【0071】
そして、ブロアモータ222は、ブロア駆動回路222a(図4を参照)を介して印加されるブロア端子電圧に基づいて、ブロア風量(ブロア221の回転速度)が制御される。
【0072】
冷媒循環回路230は、圧縮機231、この圧縮機231の吐出口より吐出された冷媒が流入する凝縮器232、凝縮液化された冷媒を気液分離して液冷媒のみを下流に流すレシーバ233、液冷媒を減圧膨張させるエキスパンションバルブ234、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させる蒸発器235、および、これらを環状に接続する冷媒配管236等から構成されている。
【0073】
前記蒸発器235は、空気通路の長手方向の一部分においてその通路内の全体に亘って配設されている。
【0074】
圧縮機231は、吸入した冷媒を圧縮して吐出するもので、電動モータ237によって駆動される電動圧縮機として構成されている。電動モータ237は、図示しないインバータから出力される交流電圧によって、その作動(回転速度)が制御される交流モータである。この電動モータ237の作動に伴う動力が圧縮機231に伝達されることにより、冷媒循環回路230を冷媒が循環し、蒸発器235における冷媒の蒸発気化に伴って空気の冷却が行われる。また、電動モータ237が停止すると圧縮機231も停止し、冷媒循環回路230での冷媒の循環も行われなくなる。
【0075】
また、凝縮器232は、圧縮機231で圧縮された冷媒を凝縮液化させる。具体的に、この凝縮器232は、冷却ファン238により送風される外気および走行風(車両走行時)と冷媒との間で熱交換を行うことで冷媒を凝縮液化させる。
【0076】
前記冷却水回路240は、図示しないウォータポンプによって、エンジンEのウォータジャケット内で暖められた冷却水を循環させる回路であって、ヒータコア241を有している。
【0077】
このヒータコア241は、内部にエンジン冷却水が流れ、このエンジン冷却水を暖房用熱源として空気を加熱する。なお、この冷却水回路240には、前記ヒータコア241の他に、エンジン冷却水の熱を大気に放出するためのラジエータや、冷却水の循環経路を切り替えるためのサーモスタット(何れも図示省略)等が備えられている。これらの構成については周知であるため、ここでの説明は省略する。
【0078】
前記ヒータコア241は、蒸発器235よりも下流側の空気通路の一部分(例えば空気通路の長手方向の一部分においてその通路の下側半分)に配設されている。
【0079】
また、ヒータコア241の上流側には、エアミックス(A/M)ドア242が回動自在に取り付けられている。このエアミックスドア242は、サーボモータ等のアクチュエータ242a(図4を参照)によって駆動されて、ヒータコア241に対し空気を全て迂回させるMAX・COOL位置から、ヒータコア241に空気を全て通すMAX・HOT位置までの間でその停止位置によって、ヒータコア241を通過する空気量とヒータコア241を迂回する空気量との割合を変更して、車室内へ吹き出す空気の温度を調整する。
【0080】
(後部空調ユニット)
次に、後部空調ユニット300について説明する。図3に示すように、後部空調ユニット300は、後部座席81に向けて空調空気を導くための空気通路を形成する空調ダクト310、この空調ダクト310内において空気流を発生させる遠心式送風機320、前記冷媒循環回路230に接続された冷媒配管330に備えられたエキスパンションバルブ334および蒸発器335、前記冷却水回路240に接続された冷却水配管340に備えられたヒータコア341等を備えている。
【0081】
前述した前部空調ユニット200と同様に、空調ダクト310の最も上流側には、内気吸込口311および外気吸込口312が設けられている。これら内気吸込口311および外気吸込口312の内側には、内外気切替ドア313が回動自在に取り付けられ、アクチュエータ313a(図4を参照)の駆動により、吸込口モードが内気循環モードと外気導入モードとで切り替え可能となっている。
【0082】
また、空調ダクト310の最も下流側には、FACE開口部315およびFOOT開口部316が設けられている。また、図示しないが車幅方向の両側に位置するサイド開口部も有している。
【0083】
前記FACE開口部315には、FACEダクト315aが設けられ、このFACEダクト315aの最下流端には、後部座席81に着座している乗員の頭部および胸部に向かって空調空気を吹き出すFACE吹出口315bが形成されている。
【0084】
また、FOOT開口部316には、FOOTダクト316aが設けられ、このFOOTダクト316aの最下流端には、後部座席81に着座している乗員の足元部に向かって空調空気を吹き出すFOOT吹出口316bが形成されている。
【0085】
そして、各吹出口315b,316bの内側には、吹出口切替ドア317が回動自在に取り付けられている。この吹出口切替ドア317は、アクチュエータ317a(図4を参照)により駆動されて、吹出口モードを、FACEモード、FOOTモードの何れかに切り替える。
【0086】
前記遠心式送風機320は、ブロア321およびブロアモータ322を有している。ブロアモータ322は、ブロア駆動回路322a(図4を参照)を介して印加されるブロア端子電圧に基づいて、ブロア風量(ブロア321の回転速度)が制御される。
【0087】
冷媒配管330に備えられたエキスパンションバルブ334および蒸発器335は、前部空調ユニット200に備えられたエキスパンションバルブ234および蒸発器235と同様の動作を行う。後部空調ユニット300の空調動作(後部座席81への冷風の供給)が行われる場合には、エキスパンションバルブ334が所定開度に調整される一方、後部空調ユニット300の空調動作が行われない場合には、エキスパンションバルブ334が全閉とされる。
【0088】
冷却水配管340に備えられたヒータコア341は、内部にエンジン冷却水が流れ、このエンジン冷却水を暖房用熱源として空気を加熱する。
【0089】
また、ヒータコア341の上流側には、エアミックス(A/M)ドア342が回動自在に取り付けられている。このエアミックスドア342は、アクチュエータ342a(図4を参照)によって駆動されて、MAX・COOL位置とMAX・HOT位置との間で回動することで、ヒータコア341を通過する空気量とヒータコア341を迂回する空気量との割合を変更して、後部座席81に向けて吹き出す空気の温度を調整する。
【0090】
-エアコンECU-
図4に示すように、エアコンECU400は、車室内の空調要求に応じて前記圧縮機231(電動モータ237)や各アクチュエータ213a,217a,218a,242a,313a,317a,342a等を制御するものである。このエアコンECU400は、図示していないが、一般的に公知のECU(Electronic Control Unit)とされており、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAM等を備えている。
【0091】
ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジンEの停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
【0092】
図4に示すように、エアコンECU400には、車室内前面(インストルメントパネル)に設けられたディスプレイ(HMI装置3)に表示されたエアコン操作パネル401上の各種スイッチからのスイッチ信号、および各種センサからのセンサ信号が入力される。
【0093】
エアコン操作パネル401上に設けられた各種スイッチとしては、各空調ユニット200,300を自動制御するためのオート(AUTO)スイッチ、圧縮機231を強制作動させるためのエアコン(A/C)スイッチ、吸込口モードを切り替えるための吸込口切替スイッチ、車室内の温度を所望の温度に設定するための温度設定スイッチ、ブロア221,321の送風量をマニュアルモードで設定するための送風量切替スイッチ、および、吹出口モードを切り替えるための吹出口切替スイッチ等が備えられている。
【0094】
また、エアコンECU400に接続される各種センサとしては、車室内の空気温度を検出する内気温度センサ510、車室外の空気温度を検出する外気温度センサ511、車室内に照射される日射量を検出する日射センサ512、蒸発器235,335の温度を検出する蒸発器温度センサ513、ヒータコア241,341に流入するエンジン冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ514、および、冷媒循環回路230の高圧圧力(吐出圧力)を検出する冷媒圧力センサ515等がある。
【0095】
また、エアコンECU400には、前記蓄電装置温度センサ83および電装品温度センサ84からの温度検出信号も入力されるようになっている。つまり、蓄電装置温度センサ83によって検出された蓄電装置10の温度の情報、および、電装品温度センサ84によって検出された電装品EDの温度の情報がエアコンECU400に入力されるようになっている。
【0096】
また、エアコンECU400には、前記電動モータ237および前記各アクチュエータ213a,217a,218a,242a,313a,317a,342a、ブロア駆動回路222a,322aが接続されており、車室内の空調要求に応じてこれらを制御する。
【0097】
-実施形態の特徴-
前述したように、従来技術(前記特許文献1)における車両用空調装置は、車室内におけるシート等の内装品の表面やシートに着座している乗員の表面の温度分布を検出し、その検出温度に応じて空調制御(例えば空調風の吹き出し方向の変更)を行うようにしていた。このため、内装品の表面や乗員の表面の温度が高くならない限り、空調風の吹き出し方向は変更されず、空調風の吹き出し方向が変更されてから乗員が快適に感じるまでに時間を要してしまうことになり、車室内の快適性を高める上で改善の余地があった。
【0098】
本実施形態では、この点に鑑み、車室内の内装品である後部座席81の下方に配設されている蓄電装置10の温度を蓄電装置温度センサ83によって検出しておくと共に、同じく後部座席81の下方に配設されている電装品EDの温度を電装品温度センサ84によって検出しておき(各デバイスの温度を検出しておき)、これら検出されている温度のうち少なくとも一方の温度が予め設定された所定温度を超えた場合には、後部座席81の周辺温度が高くなることを抑制するための空調切り替え動作を行うようにしている。この空調切り替え動作として具体的には、後部空調ユニット300の吸込口モードを外気導入モードに設定し、吹き出しモードをFACEモードに設定すると共に、該後部空調ユニット300の空調能力を高めるようにしている。つまり、後部空調ユニット300の吸込口モードが内気循環モードであった場合には外気導入モードに切り替え、吹き出しモードがFACEモード以外のモード(例えばFOOTモード)であった場合にはFACEモードに切り替える。また、ここでいう後部空調ユニット300の空調能力を高めるとは、停止していた後部空調ユニット300の作動を開始させて送風を行う(後部空調ユニット300の冷媒配管330に冷媒を循環させることなく遠心式送風機320を作動させる)こと、停止していた後部空調ユニット300の作動を開始させて冷風の供給を行う(後部空調ユニット300の冷媒配管330に冷媒を循環させると共に、遠心式送風機320を作動させる)こと、送風を行っていた後部空調ユニット300を冷風の供給に切り替える(冷媒配管330に冷媒を循環させて冷風を生成する)こと等を含んでいる。
【0099】
以下、この空調切り替え動作について図5のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、予め定められた条件が成立する毎(例えば所定周期毎)に繰り返し実行される。また、このフローチャートでは、空調装置100が内気循環モードで空調運転を行っている状態から空調切り替え動作に切り替えられる場合を例に挙げて説明する。この内気循環モードで空調運転を行っている状態としては、前部空調ユニット200が内気循環モードで空調運転(例えば冷房運転)を行っており、後部空調ユニット300が停止している状態、または、前部空調ユニット200が内気循環モードで空調運転(例えば冷房運転)を行っており、後部空調ユニット300が内気循環モードで送風運転を行っている場合の両方を含む。
【0100】
先ず、ステップST1において、車両が停車中であって制御モードがマイルームモードとなっているか否かを判定する。ここでいうマイルームモードは、前記マイルーム充電モードおよび前記マイルーム発電モードの両方を含んでいる。つまり、制御モードがマイルーム充電モードとなっている場合およびマイルーム発電モードとなっている場合の何れにおいてもステップST1ではYES判定されることになる。
【0101】
制御モードがマイルームモードとなっておらず、ステップST1でNO判定された場合には、ステップST2に移り、現在の空調状態(前述した内気循環モードでの空調運転)を維持する。
【0102】
一方、制御モードがマイルームモードとなっており、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST3に移り、現在の車室内の温度が所定値に達しているか否かを判定する。車室内の温度は前記内気温度センサ510によって検出されている。また、ここでいう「所定値に達する」とは、車室内の冷房運転時には目標とする車室内温度以下に達したことを意味し、車室内の暖房運転時には目標とする車室内温度以上に達したことを意味している。つまり、このステップST3は、車室内温度が冷房要求または暖房要求に応じた適正な温度であって車室内の快適性を確保できる温度に達しているか否かを判定するステップである。
【0103】
現在の車室内の温度が未だ所定値に達しておらず、ステップST3でNO判定された場合には、ステップST2に移り、現在の空調状態(前述した内気循環モードでの空調運転)を維持する。つまり、冷房要求または暖房要求に応じた適正な車室内温度となるように現在の空調状態を維持する。
【0104】
一方、現在の車室内の温度が所定値に達しており、ステップST3でYES判定された場合には、ステップST4に移り、蓄電装置温度センサ83によって検出されている蓄電装置(後部座席81の下方に配設されている蓄電装置)10の温度の情報を取得し、この蓄電装置10の温度が予め設定された所定値αを超えているか否かを判定する。
【0105】
蓄電装置10の温度が予め設定された所定値αを超えており、ステップST4でYES判定された場合には、ステップST6に移り、前述した空調切り替え動作を実施する。つまり、後部空調ユニット300の吸込口モードを外気導入モードに設定し、吹き出しモードをFACEモードに設定すると共に、該後部空調ユニット300の空調能力を高める。この場合の後部空調ユニット300の空調能力を高める制御としては、前述したように、後部空調ユニット300が停止していた場合には、該後部空調ユニット300の作動を開始させて送風を行う(後部空調ユニット300の冷媒配管330に冷媒を循環させることなく遠心式送風機320を作動させる)ようにしてもよいし、後部空調ユニット300の作動を開始させて冷風の供給を行う(後部空調ユニット300の冷媒配管330に冷媒を循環させると共に、遠心式送風機320を作動させる)ようにしてもよい。また、後部空調ユニット300が送風を行っていた場合には、後部空調ユニット300を冷風の供給に切り替える(冷媒配管330に冷媒を循環させて冷風を生成する)ことになる。
【0106】
この後部空調ユニット300を冷風の供給に切り替えることに関し、車室内の暖房運転時には、外気温度が低いため、吸込口モードを外気導入モードに設定して外気(温度の低い外気)を車室内に導入することで車室内の快適性を確保できる場合には、必ずしも、後部空調ユニット300を冷風の供給に切り替える(冷媒配管330に冷媒を循環させて冷風を生成する)状態に切り替えることは必要としない。例えば、後部空調ユニット300の目標吹き出し温度(車室内の快適性を確保するために予め設定された目標吹き出し温度)が、外気を導入することのみで達成できる場合には、後部空調ユニット300を冷風の供給に切り替えることは必要ない。
【0107】
一方、蓄電装置10の温度が予め設定された所定値αを超えておらず、ステップST4でNO判定された場合には、ステップST5に移り、電装品温度センサ84によって検出されている電装品(後部座席81の下方に配設されている電装品)EDの温度の情報を取得し、この電装品EDの温度が予め設定された所定値βを超えているか否かを判定する。
【0108】
電装品EDの温度が予め設定された所定値βを超えており、ステップST5でYES判定された場合には、ステップST6に移り、前述した空調切り替え動作を実施する。つまり、前述したように、後部空調ユニット300の吸込口モードを外気導入モードに設定し、吹き出しモードをFACEモードに設定すると共に、該後部空調ユニット300の空調能力を高める。
【0109】
なお、ステップST4およびステップST5における判定のための所定値(閾値)α,βは、蓄電装置10と電装品EDとで同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。異なる値とする場合、蓄電装置10に対する閾値よりも電装品EDに対する閾値の方が高く設定される。
【0110】
電装品EDの温度が予め設定された所定値βを超えておらず、ステップST5でNO判定された場合(蓄電装置10および電装品EDが共に所定値を超えていない場合)には、ステップST2に移り、現在の空調状態(前述した内気循環モードでの空調運転)を維持する。つまり、冷房要求または暖房要求に応じた適正な車室内温度となるように現在の空調状態を維持する。
【0111】
なお、一旦、空調切り替え動作が開始された後、蓄電装置10および電装品EDが共に所定値を超えない状態となった場合には、ステップST4およびステップST5で共にNO判定され、ステップST2に移って、前述した内気循環モードでの空調運転に戻されることになる。以上の動作が繰り返される。
【0112】
-実施形態の効果-
以上説明したように、本実施形態では、後部座席81の下方に配設された蓄電装置10や電装品EDの温度が所定値を超えた場合に、後部空調ユニット300の吸込口モードを外気導入モードに設定する空調切り替え動作を行って、車室内の換気を行うようにしている。このため、蓄電装置10や電装品EDが発した熱によって、後部座席81に着座している乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまう前段階で、外気導入によって当該周辺温度の上昇を抑制し、乗員が不快に感じる状況を回避することで車室内の快適性を維持することができる。
【0113】
更に、本実施形態では、前記空調切り替え動作として、吹き出しモードをFACEモードに設定するようにしている。このため、空調切り替え動作にあっては、換気用の外気が、後部座席81に着座している乗員に向かって(特に乗員の上半身に向かって)吹き出されることになり、蓄電装置10や電装品EDが発した熱によって乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまうといったことを確実に回避することができ、車室内の快適性の維持に寄与させることができる。また、一般にFACEモードは、他の吹き出しモードに比べて空調ダクト310内での圧力損失が小さく、送風量が多く得られる吹き出しモードである。これによってもFACEモードに設定したことによる車室内の快適性の維持に寄与させることができる。
【0114】
特に、本実施形態では、制御モードがマイルームモードとなっている場合に、蓄電装置10の温度および電装品EDの温度のうち少なくとも一方の温度が予め設定された所定値を超えたことを条件として空調切り替え動作を行うようにしている。マイルームモードにあっては、充電に起因して蓄電装置10の発熱量が多くなり、電子機器の利用に起因して電装品ED(特に、DC/DCコンバータ61,68等)の発熱量も多くなる傾向がある。つまり、後部座席81に着座している乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまう可能性が高い利用形態となっている。本実施形態では、このようなマイルームモード中に、所定の条件(蓄電装置10の温度および電装品EDの温度のうち少なくとも一方の温度が予め設定された所定値を超えたこと)を満たした場合に空調切り替え動作が実施されるようにしている。これにより、マイルームモード(マイルーム充電モードやマイルーム発電モード)での車室内の快適性を高く維持することができ、このマイルームモードの実用性の改善を図ることができる。
【0115】
また、本実施形態では、車室内の空調運転時に車室内温度が所定温度に達するまでは、吸込口モードとして内気循環モードに設定し、車室内の空調運転時に車室内温度が所定温度に達した状態で、蓄電装置10の温度および電装品EDの温度のうち少なくとも一方の温度が予め設定された所定値を超えた場合に空調切り替え動作を行うようにしている。外気導入モードでは、導入された外気を温度調整することで(例えば高温の外気を目標温度まで冷却することで)空調風を生成して車室内に吹き出すことになる。このため、この外気導入モードの場合、内気循環モードの場合に比べて空調負荷が大きい。本実施形態では、車室内の空調運転時に車室内温度が所定温度に達するまで、つまり、車室内温度が車室内の快適性を確保できる温度に達するまでは、吸込口モードとして内気循環モードに設定し、車室内温度が所定温度に達した状態で、蓄電装置10の温度や電装品EDの温度が、予め設定された所定値を超えた場合に空調切り替え動作を行うようにしている。このため、車室内の快適性の確保と、空調負荷を可及的に低く抑えることによるエネルギ効率の向上とを両立することができる。
【0116】
-変形例-
次に、変形例について説明する。前述した実施形態では、車両1の制御モードがマイルームモードとなっている場合を例に挙げて説明した。つまり、車両1の走行が禁止された状態での空調切り替え動作について説明した。本変形例では、ユーザがスタートスイッチ44を押した(例えばブレーキペダルを踏み込んだ状態でスタートスイッチ44を押した)ことで車両1の制御システムがReady-ON状態となっている場合における空調切り替え動作について説明する。その他の構成および制御動作は前述した実施形態の場合と同様であるため、ここでは前述した実施形態との相違点についてのみ説明する。なお、本変形例における蓄電装置10の充電のための発電や電子機器に給電するための発電としては、エンジンEからの動力を利用した発電(モータジェネレータMG1による発電)や回生制動による発電(モータジェネレータMG2による発電)が挙げられる。
【0117】
図6は、本変形例における空調切り替え動作の手順を示すフローチャートである。このフローチャートも、予め定められた条件が成立する毎(例えば所定周期毎)に繰り返し実行される。
【0118】
先ず、ステップST11において、車両1の制御システムがReady-ON状態となっているか否かを判定する。つまり、前述したように、ユーザがブレーキペダルを踏み込んだ状態でスタートスイッチ44を押したことで車両1の制御システムがReady-ON状態となっているか否かを判定する。
【0119】
車両1の制御システムがReady-ON状態となっておらず(例えば電装品の作動のみを許容するONモードとなっている状態)であって、ステップST1でNO判定された場合には、ステップST2に移り、現在の制御モード(例えばONモード)において空調状態(前述した内気循環モードでの空調運転)を維持する。
【0120】
一方、車両1の制御システムがReady-ON状態となっており、ステップST11でYES判定された場合には、ステップST3に移り、現在の車室内の温度が所定値に達しているか否かを判定する。このステップST3以降の動作は、前述した実施形態の場合と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0121】
本変形例においても、前述した実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。つまり、蓄電装置10や電装品EDが発した熱によって、後部座席81に着座している乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまう前段階で、外気導入によって当該周辺温度の上昇を抑制し、乗員が不快に感じる状況を回避することで車室内の快適性を維持することができる。また、空調切り替え動作にあっては、換気用の外気が、後部座席81に着座している乗員に向かって吹き出されることになるため、蓄電装置10や電装品EDが発した熱によって乗員の周辺温度が大幅に上昇して乗員が不快に感じてしまうといったことを確実に回避することができ、車室内の快適性の維持に寄与させることができる。また、車室内の快適性の確保と、空調負荷を可及的に低く抑えることによるエネルギ効率の向上とを両立することができる。
【0122】
-他の実施形態-
なお、本発明は、前記実施形態および前記変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0123】
例えば、前記実施形態および前記変形例では、プラグインハイブリッド車両1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、電気自動車、ハイブリッド車両、コンベンショナル車両等に適用することも可能である。なお、ハイブリッド車両およびコンベンショナル車両は、給電装置(外部電源)から交流電力の供給を受けて車載の蓄電装置を充電するものではないため、例えばマイルームモードとして前記マイルーム発電モードが可能な車両に対して本発明は適用されることになる。
【0124】
また、前記実施形態および前記変形例では、蓄電装置10や電装品EDが後部座席81の座部81aの下方に配設されている場合に、空調切り替え動作として後部空調ユニット300を制御するようにしていた。本発明はこれに限らず、蓄電装置10や電装品EDが前部座席の座部の下方に配設されている場合に、空調切り替え動作として前部空調ユニット200を制御するようにしてもよい。つまり、前部座席の座部の下方に配設されているデバイス(蓄電装置10や電装品ED)の温度が所定値を超えた場合に、前部空調ユニット200の吸込口モードを外気導入モードに切り替えたり、それに加えて、吹き出しモードをFACEモードに切り替えたり、空調能力を高めたりするものである。また、蓄電装置10や電装品EDが後部座席81の座部81aの下方に配設されている場合に、空調切り替え動作として後部空調ユニット300だけでなく前部空調ユニット200も制御するようにしてもよい。つまり、後部座席81の座部81aの下方に配設されているデバイスの温度が所定値を超えた場合に、後部空調ユニット300および前部空調ユニット200それぞれの吸込口モードを外気導入モードに切り替えたり、それに加えて、吹き出しモードをFACEモードに切り替えたり、空調能力を高めたりするものである。
【0125】
また、前記実施形態および前記変形例では、蓄電装置10や電装品EDが後部座席81の座部81aの下方に配設されている場合について説明した。本発明はこれに限らず、これら蓄電装置10や電装品EDが後部座席81の内部に配設されている場合や、前部座席の内部に配設されている場合や、その他の内装品(例えばセンタコンソールボックス等)の下方や内部に配設されている場合にも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、マイルームモードが実施可能なプラグインハイブリッド車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 プラグインハイブリッド車両
10 蓄電装置(電気部品、二次電池)
61,68 DC/DCコンバータ(電子部品、デバイス)
7 自動運転モジュール(電子部品、デバイス)
81 後部座席
83 蓄電装置温度センサ(温度検出手段)
84 電装品温度センサ(温度検出手段)
100 空調装置
200 前部空調ユニット
300 後部空調ユニット
311 内気吸込口
312 外気吸込口
313 内外気切替ドア
315b FACE吹出口
317 吹出口切替ドア
330 冷媒配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6