(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】配送システム及び配送方法
(51)【国際特許分類】
B60P 3/07 20060101AFI20231017BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20231017BHJP
【FI】
B60P3/07 Z
G05D1/02 T
(21)【出願番号】P 2020144184
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-90151(JP,A)
【文献】特開2018-177146(JP,A)
【文献】特開2011-62263(JP,A)
【文献】特開2017-145072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059688(US,A1)
【文献】国際公開第2018/052434(WO,A1)
【文献】特表2016-534941(JP,A)
【文献】特開平5-58215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/07
G05D 1/00- 1/12
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を配送する自律移動型の配送車両と、
前記配送車両を搭載して運搬する運搬車両と、を有し、
前記配送車両を搭載した運搬車両が、前記物品の配送先に向かって走行した後、前記配送車両が前記運搬車両から降車して前記配送先に前記物品を配送する配送システムであって、
前記運搬車両の状況に基づいて、走行中の前記運搬車両から前記配送車両が降車可能か否かを判定し、
降車可能と判定した場合のみ、前記運搬車両から前記配送車両を降車さ
せ、
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、前記運搬車両又は前記配送車両の振動に応じて、前記配送車両のサスペンションの硬さを変更する、処理をコンピュータ
が実行
する、
配送システム。
【請求項2】
前記運搬車両の状況は、
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際の障害物と、
前記運搬車両の振動と、
前記運搬車両の速度と、
前記運搬車両が走行している道路の勾配と、の少なくともいずれか1つを含む、
請求項1に記載の配送システム。
【請求項3】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、
前記運搬車両から地面に延びたスロープを前記配送車両が走行する、
請求項1
又は2に記載の配送システム。
【請求項4】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、
前記運搬車両から地面に延びたコンベアによって前記配送車両が搬送される、
請求項1
又は2に記載の配送システム。
【請求項5】
物品を配送する自律移動型の配送車両と、
前記配送車両を搭載して運搬する運搬車両と、を有し、
前記配送車両を搭載した運搬車両が、前記物品の配送先に向かって走行した後、前記配送車両が前記運搬車両から降車して前記配送先に前記物品を配送する配送システムであって、
前記運搬車両の状況に基づいて、走行中の前記運搬車両から前記配送車両が降車可能か否かを判定し、
降車可能と判定した場合のみ、前記運搬車両から前記配送車両を降車させ、
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、前記運搬車両に設けられたクレーン又はマニピュレータによって前記配送車両
を搬送
する、
処理をコンピュータが実行する、
配送システム。
【請求項6】
物品を配送する自律移動型の配送車両を搭載した運搬車両が、前記物品の配送先に向かって走行した後、前記配送車両が前記運搬車両から降車して前記配送先に前記物品を配送する配送方法であって、
前記運搬車両の状況に基づいて、走行中の前記運搬車両から前記配送車両が降車可能か否かを判定し、
降車可能と判定した場合のみ、前記運搬車両から前記配送車両を降車さ
せ、
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、
前記運搬車両又は前記配送車両の振動に応じて、前記配送車両のサスペンションの硬さを変更する、処理をコンピュータ
が実行
する、
配送方法。
【請求項7】
前記運搬車両の状況は、
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際の障害物と、
前記運搬車両の振動と、
前記運搬車両の速度と、
前記運搬車両が走行している道路の勾配と、の少なくともいずれか1つを含む、
請求項
6に記載の配送方法。
【請求項8】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、
前記運搬車両から地面に延びたスロープを前記配送車両が走行する、
請求項
6又は7に記載の配送方法。
【請求項9】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、
前記運搬車両から地面に延びたコンベアによって前記配送車両が搬送される、
請求項
6又は7に記載の配送方法。
【請求項10】
物品を配送する自律移動型の配送車両を搭載した運搬車両が、前記物品の配送先に向かって走行した後、前記配送車両が前記運搬車両から降車して前記配送先に前記物品を配送する配送方法であって、
前記運搬車両の状況に基づいて、走行中の前記運搬車両から前記配送車両が降車可能か否かを判定し、
降車可能と判定した場合のみ、前記運搬車両から前記配送車両を降車させ、
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、前記運搬車両に設けられたクレーン又はマニピュレータによって前記配送車両
を搬送
する、
処理をコンピュータが実行する、
配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送システム、配送方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品を配送する配送車両を搭載した運搬車両が、物品の配送先に向かって走行した後、配送車両が運搬車両から降車して配送先に物品を配送する配送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、特許文献1に開示された配送システムについて以下の課題を見出した。
特許文献1に開示された配送システムでは、配送車両が搭載された運搬車両が停車した後、配送車両が運搬車両から降車する。これに対し、配送車両が停車する前に(すなわち走行中に)、配送車両が運搬車両から降車できれば、配送時間を短縮し、配送効率を向上させることができる。すなわち、特許文献1に開示された配送システムは、配送効率に劣るという問題があった。
他方、運搬車両が走行中に配送車両が運搬車両から降車しようとしても、配送車両が運搬車両から降車できない虞がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、配送車両が搭載された運搬車両が走行中に、配送車両が運搬車両から降車可能であって、配送効率に優れる配送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る配送システムは、
物品を配送する自律移動型の配送車両と、
前記配送車両を搭載して運搬する運搬車両と、を有し、
前記配送車両を搭載した運搬車両が、前記物品の配送先に向かって走行した後、前記配送車両が前記運搬車両から降車して前記配送先に前記物品を配送する配送システムであって、
前記運搬車両の状況に基づいて、走行中の前記運搬車両から前記配送車両が降車可能か否かを判定し、
降車可能と判定した場合のみ、前記運搬車両から前記配送車両を降車させる、処理をコンピュータに実行させるものである。
【0007】
また、本発明の一態様に係る配送方法は、
物品を配送する自律移動型の配送車両を搭載した運搬車両が、前記物品の配送先に向かって走行した後、前記配送車両が前記運搬車両から降車して前記配送先に前記物品を配送する配送方法であって、
前記運搬車両の状況に基づいて、走行中の前記運搬車両から前記配送車両が降車可能か否かを判定し、
降車可能と判定した場合のみ、前記運搬車両から前記配送車両を降車させる、処理をコンピュータに実行させるものである。
【0008】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、
物品を配送する自律移動型の配送車両を搭載した運搬車両が、前記物品の配送先に向かって走行した後、前記配送車両が前記運搬車両から降車して前記配送先に前記物品を配送するためのプログラムであって、
前記運搬車両の状況に基づいて、走行中の前記運搬車両から前記配送車両が降車可能か否かを判定し、
降車可能と判定した場合のみ、前記運搬車両から前記配送車両を降車させる、処理をコンピュータに実行させるものである。
【0009】
上記のように、本発明の一態様では、運搬車両の状況に基づいて、走行中の運搬車両から配送車両が降車可能か否かを判定し、降車可能と判定した場合のみ、運搬車両から配送車両を降車させる。そのため、運搬車両が走行中に、配送車両が運搬車両から降車可能であって、配送効率に優れている。
【0010】
前記運搬車両の状況は、前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際の障害物と、前記運搬車両の振動と、前記運搬車両の速度と、前記運搬車両が走行している道路の勾配と、の少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0011】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、前記運搬車両又は前記配送車両の振動に応じて、前記配送車両のサスペンションの硬さを変更してもよい。このような構成によって、例えば路面の凹凸による配送車両の振動を抑制できる。
【0012】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、前記運搬車両から地面に延びたスロープを前記配送車両が走行してもよい。このような構成によって、降車機構をシンプルにできる。
【0013】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、前記運搬車両から地面に延びたコンベアによって前記配送車両が搬送されてもよい。このような構成によって、配送車両が地面に着地する際に車輪が受ける衝撃を緩和できる。
【0014】
前記運搬車両から前記配送車両を降車させる際、前記運搬車両に設けられたクレーン又はマニピュレータによって前記配送車両が搬送されてもよい。このような構成によって、配送車両が地面に着地する際に車輪が受ける衝撃をさらに緩和できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配送車両が搭載された運搬車両が走行中に、配送車両が運搬車両から降車可能であって、配送効率に優れる配送システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る配送システムのブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す側面図である。
【
図4】第1の実施形態の変形例に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す側面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す斜視図である。
【
図6】第3の実施形態に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0018】
(第1の実施形態)
<配送システムの構成>
まず、
図1を参照して、第1の実施形態に係る配送システム及び配送方法について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る配送システムのブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る配送システムは、運搬車両100、配送車両200、及び管理サーバ300を備えている。
【0019】
本実施形態に係る配送システムでは、配送車両200を搭載した運搬車両100が、物品の配送先に向かって走行した後、配送車両200が運搬車両100から降車して配送先に物品を配送する。そして、本実施形態に係る配送システムでは、運搬車両100の状況に基づいて、走行中の運搬車両100から配送車両200が降車可能か否かを判定し、降車可能と判定した場合のみ、運搬車両100から配送車両200を降車させる。このような処理をコンピュータに実行させる。
なお、当然のことながら、第1の実施形態に係る配送システムでは、運搬車両100及び配送車両200が、交通に関する法律等を遵守して走行することを前提としている。
【0020】
まず、運搬車両100について説明する。
運搬車両100は、配送車両200を搭載して運搬する。本実施形態における運搬車両100は、自律移動型の車両(すなわち自動運転車両)であるが、手動運転車両でもよい。
図1に示すように、運搬車両100は、走行制御部110、センサ部120、走行機構130、及び降車機構140を備えている。また、運搬車両100は、配送車両200及び管理サーバ300と通信可能に無線接続されている。
【0021】
なお、管理サーバ300が運搬車両100に搭載されている場合、運搬車両100は、管理サーバ300と有線接続されてもよい。また、
図1の例では、運搬車両100は、1台の配送車両200を搭載しているが、複数台の配送車両200を搭載してもよい。
【0022】
走行制御部110は、センサ部120から取得した各種情報に基づいて、走行機構130を制御する。これによって、運搬車両100が走行する。
また、本実施形態に係る配送システムは、走行制御部110が、センサ部120から取得した各種情報(すなわち運搬車両100の状況)に基づいて、配送車両200を降車させるための降車機構140を制御する点に一つの特徴を有している。
【0023】
より詳細には、運搬車両100が走行中、走行制御部110は、配送車両200の降車位置付近において、運搬車両100の状況に基づいて、配送車両200が運搬車両100から降車可能か否かを判定する。そして、走行制御部110は、降車可能と判定した場合のみ、配送車両200が運搬車両100から降車するように降車機構140を制御すると共に、配送車両200に対して降車を指示する。
【0024】
なお、配送車両200の降車位置付近において、運搬車両100が走行中に配送車両200が運搬車両100から降車できない場合、運搬車両100が停止した後、配送車両200が運搬車両100から降車してもよい。
【0025】
走行制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、各種制御プログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、走行制御部110は、コンピュータとしての機能を有しており、上記各種制御プログラム等に基づいて、走行機構130及び降車機構140を制御する。
【0026】
図1に示す例では、センサ部120は、障害物センサ121、加速度センサ122、速度センサ123、姿勢センサ124を含む。
障害物センサ121は、運搬車両100の進行方向前方の障害物を検出する。また、障害物センサ121は、配送車両200が運搬車両100から降車する際の障害物を検出する。障害物センサ121は、例えばレーダセンサ、ソナーセンサ、超音波センサ、ライダーセンサ、カメラ等である。障害物は、例えば、道路上の落下物、他の車両等に限らず、歩行者等の人、動物等も含む。
【0027】
加速度センサ122は、運搬車両100の加速度を検出する。運搬車両100の加速度を検出することによって、路面の凹凸等による運搬車両100の振動も検出できる。
速度センサ123は、運搬車両100の速度を検出する。
姿勢センサ124は、運搬車両100の姿勢を検出する。姿勢センサ124によって、運搬車両100が走行している道路の勾配を検出できる。
【0028】
走行機構130は、運搬車両100が走行するための機構である。例えば、走行機構130は、モータやエンジンなどの運搬車両100が走行するための駆動機構に加え、運搬車両100が停止するための制動機構、及び運搬車両100が曲がるための操舵機構を含む。
降車機構140は、運搬車両100から配送車両200を降車させるための機構である。降車機構140の詳細については後述する。
【0029】
次に、配送車両200について説明する。
配送車両200は、運搬車両100によって搬送された後、運搬車両100から降車し、配送先に物品を配送する自律移動型の車両である。
図1に示すように、配送車両200は、走行制御部210、センサ部220、及び走行機構230を備えている。また、配送車両200は、運搬車両100及び管理サーバ300と通信可能に無線接続されている。なお、管理サーバ300が配送車両200に搭載されている場合、配送車両200は、管理サーバ300と有線接続されてもよい。
【0030】
走行制御部210は、センサ部220から取得した各種情報に基づいて、走行機構230を制御する。すなわち、走行制御部210が走行機構230を制御することによって、配送車両200は走行する。ここで、センサ部220は、運搬車両100のセンサ部120と同様に、各種センサを含む。
【0031】
走行制御部210は、運搬車両100の走行制御部110と同様に、例えばCPUなどの演算部と、各種制御プログラムやデータ等が格納されたRAM、ROM等の記憶部と、を備えている。すなわち、走行制御部210は、コンピュータとしての機能を有しており、上記各種制御プログラム等に基づいて、走行機構230を制御する。
【0032】
走行機構230は、配送車両200が走行するための機構である。例えば、走行機構230は、モータやエンジンなどの配送車両200が走行するための駆動機構に加え、配送車両200が停止するための制動機構、及び配送車両200が曲がるための操舵機構を含む。
【0033】
次に、管理サーバ300について説明する。
管理サーバ300は、当該配送システムを管理するサーバであって、例えばクラウドサーバである。
図1に示すように、管理サーバ300は、ルート決定部310及び記憶部320を備えている。
【0034】
ルート決定部310は、現在地から配送先までの配送ルートを地図情報に基づいて決定する。そして、ルート決定部310は、決定した配送ルートを運搬車両100の走行制御部110及び配送車両200の走行制御部210に送信する。配送ルートには、配送車両200の降車位置も含まれる。ここで、降車位置は、交通に関する法律等において、走行中の運搬車両100から配送車両200の降車が可能な区域に設定される。また、地図情報は、路面情報を含んでいてもよい。
【0035】
図1に示すように、記憶部320は、地図情報と配送車両200の仕様情報(配送車両仕様情報)とを記憶している。運搬車両100の走行制御部110は、記憶部320から配送車両仕様情報を取得する。走行制御部110は、センサ部120から取得した各種情報(すなわち運搬車両100の状況)及び配送車両仕様情報に基づいて、降車機構140を制御する。
【0036】
なお、配送車両仕様情報は、管理サーバ300の記憶部320に限定されず、どこに記憶されていてもよい。例えば、運搬車両100内の図示されていない記憶部(例えば、走行制御部110内の図示されていない記憶部)に予め記憶されていてもよい。あるいは、配送車両仕様情報が配送車両200内の図示されていない記憶部に記憶されおり、走行制御部110が管理サーバ300を介して配送車両200から配送車両仕様情報を取得していてもよい。
【0037】
以上の通り、本実施形態に係る配送システムでは、運搬車両100が走行中、走行制御部110は、運搬車両100の状況に基づいて、運搬車両100から配送車両200が降車可能か否かを判定する。そして、走行制御部110は、降車可能と判定した場合のみ、運搬車両100から配送車両200を降車させるように降車機構140を制御する。
【0038】
すなわち、本実施形態に係る配送システムでは、運搬車両100の状況に基づいて、走行制御部110が降車可能と判定した場合のみ、走行中の運搬車両100から配送車両200が降車する。そのため、本実施形態に係る配送システムは、運搬車両100が走行中に、配送車両200が運搬車両100から降車可能であって、配送効率に優れている。
【0039】
さらに、運搬車両100に運搬された複数の配送車両200がそれぞれ異なる配送先に物品を配送する場合、特に配送効率に優れている。例えば、往路では、運搬車両100が走行しながら複数の配送車両200を各配送先において順次降車させ、復路では、運搬車両100が配送後の配送車両200を各配送先において順次回収することによって、配送効率が向上する。
【0040】
<降車機構140及びその制御方法>
次に、
図1に加え、
図2、
図3を参照して、降車機構140及びその制御方法について詳細に説明する。
図2は、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す斜視図である。
図3は、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す側面図である。
【0041】
図2、
図3に示すように、本実施形態に係る降車機構140は、シンプルな板状のスロープである。
図2、
図3に示した例では、降車機構140は、運搬車両100の後方に設けられた開閉扉としての機能を兼ね備えている。降車機構140は、運搬車両100の後方に設けられた開口の下端部の一辺に連結されている。通常、降車機構140は開閉扉として閉められている。他方、配送車両200が降車する際、降車機構140は開閉扉として開くと共に、運搬車両100の車内から地面まで延びたスロープとして機能する。
【0042】
なお、降車機構140は、スロープとして機能すれば、運搬車両100の後方に設けられた開閉扉と別に設けられていてもよい。その場合、通常、降車機構140は、例えば運搬車両100の床下に収納されている。
【0043】
上述の通り、走行制御部110は、運搬車両100が走行中、配送車両200の降車位置が近付いてきたら、運搬車両100の状況に基づいて、配送車両200が運搬車両100から降車可能か否かを判定する。そして、走行制御部110は、降車可能と判定した場合のみ、配送車両200が運搬車両100から降車するように降車機構140を制御する。すなわち、
図2、
図3に示すように、開閉扉としての機能する降車機構140を開き、運搬車両100の車内から地面まで延びたスロープとして機能させる。
【0044】
判定条件である運搬車両100の状況は、例えば、運搬車両100の速度や加速度等の走行状態と、障害物や道路勾配等の走行環境との少なくともいずれか一方を含む。
例えば、配送車両200が降車する方向に、
図1に示した障害物センサ121によって障害物が検出されない場合、走行制御部110は、配送車両200が運搬車両100から降車可能と判定する。
【0045】
また、例えば、
図1に示した加速度センサ122によって検出された運搬車両100の振動が所定の基準値を下回った場合、走行制御部110は、配送車両200が運搬車両100から降車可能と判定する。運搬車両100の振動の所定の基準値は、例えば配送車両仕様情報から定まる。例えば、運搬車両100の振動が所定の基準値を超えると、配送車両200の仕様上、配送車両200が降車できない虞がある。
【0046】
なお、基準値は、配送車両200が配送する物品の種類や重さによっても変化し得る。例えば、ガラス製品、陶磁器、精密機器等の破損し易い物品の場合、他の物品に比べ基準値が小さく設定される。
【0047】
ここで、配送車両200が運搬車両100から降車する際、走行制御部110は、運搬車両100の振動に応じて、配送車両200のサスペンションの硬さを変更するように、運搬車両100の走行制御部210に対して指示してもよい。具体的には、運搬車両100の振動が大きい場合、配送車両200のサスペンションの硬さを大きくする。このような構成によって、このような構成によって、例えば路面の凹凸による配送車両200の振動を抑制できる。
なお、配送車両200のセンサ部220において配送車両200の振動を検出し、配送車両200の振動に応じて、降車時の配送車両200のサスペンションの硬さを変更してもよい。
【0048】
また、例えば、
図1に示した速度センサ123によって検出された運搬車両100の速度が所定の基準値を下回った場合、走行制御部110は、配送車両200が運搬車両100から降車可能と判定する。運搬車両100の速度の所定の基準値は、例えば配送車両仕様情報から定まる。例えば、運搬車両100の速度が所定の基準値を超えると、配送車両200の仕様上、配送車両200が降車できない虞がある。なお、基準値は、配送車両200が配送する物品の種類や重さによっても変化し得る。
【0049】
さらに、例えば、
図1に示した姿勢センサ124によって検出された道路勾配が所定の基準値を下回った場合、走行制御部110は、配送車両200が運搬車両100から降車可能と判定する。道路勾配の所定の基準値は、例えば配送車両仕様情報から定まる。例えば、道路勾配が所定の基準値を超えると、配送車両200の仕様上、降車後に配送車両200が走行できない虞がある。なお、基準値は、配送車両200が配送する物品の種類や重さによっても変化し得る。
複数の判定条件に基づいて降車可能か否かを判定する場合、例えば、全ての判定条件を満たしたら、降車可能と判定する。
【0050】
降車可能と判定した場合、走行制御部110は、配送車両200に対して降車を指示する。具体的には、
図1に示すように、運搬車両100の走行制御部110から配送車両200の走行制御部210に対し、降車を指示する。そして、
図2に示すように、配送車両200は、降車機構140を走行して車道に降車する。さらに、例えば車道から歩道を経由して、配送先に物品を配送する。
【0051】
図3に示すように、配送車両200が降車機構140を走行して地面に降車する際、配送車両200の車輪231は、矢印の方向に回転する。ここで、運搬車両100が白抜き矢印の方向に走行しているため、配送車両200が地面に着地する際、車輪231に回転方向と逆向きの力が加わる。そのため、配送車両200が地面に着地する際、駆動輪である車輪231を駆動機構から切断してもよい。このような構成によって、配送車両200が地面に着地する際に車輪231が受ける衝撃を緩和できる。
【0052】
(第1の実施形態の変形例)
次に、
図4を参照して、第1の実施形態の変形例に係る配送システムについて説明する。
図4は、第1の実施形態の変形例に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す側面図である。
図4は
図3に対応する図である。
図4に示すように、第1の実施形態の変形例に係る配送システムでは、降車機構141が、
図3に示した降車機構140が有する機能に加えて、ベルトコンベアとしての機能も有している。
【0053】
変形例に係る配送システムでは、
図4に示すように、配送車両200が降車機構141を走行する代わりに、ベルトコンベアとしての機能を有する降車機構141によって、配送車両200が運搬車両100の車内から地面まで搬送される。そのため、配送車両200が地面に着地する際、配送車両200の車輪231は回転していない。このような構成によって、第1の実施形態に比べ、配送車両200が地面に着地する際に車輪231が受ける衝撃を緩和できる。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、
図5を参照して、第2の実施形態に係る配送システム及び配送方法について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す斜視図である。
図5は
図2に対応する図である。
図5に示すように、第2の実施形態に係る配送システムでは、降車機構142が、運搬車両100の側面に設けられている。そのため、例えば
図5に示すように、車道でなく歩道に直接降車できる。
【0055】
図5に示した例では、降車機構142は、水平部21、前方スロープ部22、及び後方スロープ部23を備えている。配送車両200は、水平部21を介して、前方スロープ部22又は後方スロープ部23から降車できる。
降車機構142は、運搬車両100の側面に設けられた開口の下端部の一辺に連結された開閉扉であってもよい。降車機構142が閉じた状態では、例えば、前方スロープ部22及び後方スロープ部23が水平部21と重なるように折り畳まれている。
【0056】
配送車両200が前方スロープ部22から前方(運搬車両100の進行方向)に向かって降車する場合、配送車両200が地面に着地する前に、配送車両200の速度が運搬車両100の速度を上回っている必要がある。そのため、例えば、運搬車両100の速度が、前方スロープ部22において配送車両200が到達可能な最高速度を下回った場合に、走行制御部110は、配送車両200が運搬車両100から降車可能と判定する。
【0057】
配送車両200が後方スロープ部23から後方(運搬車両100の進行方向と反対方向)に向かって降車する場合、第1の実施形態に係る
図3に示した例と同様の判定条件であるため、説明を省略する。
また、その他の構成も、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、
図6を参照して、第3の実施形態に係る配送システム及び配送方法について説明する。
図6は、第3の実施形態に係る配送システムにおいて、運搬車両100から配送車両200が降車する様子を示す側面図である。
図6は
図3に対応する図である。
図6は
図3に対応する図であるが、運搬車両100の側面ではなく内部を模式的に示している。
【0059】
図6に示すように、第3の実施形態に係る配送システムでは、降車機構143が、運搬車両100の後方に設けられたクレーンである。すなわち、第3の実施形態に係る配送システムでは、運搬車両100から配送車両200が降車する際、運搬車両100に設けられたクレーンによって、配送車両200が搬送される。
なお、降車機構143の設置場所は運搬車両100の内部であれば特に限定されないが、
図6の例では、運搬車両100の後方に設けられており、運搬車両100の後方から配送車両200が降車する。
【0060】
図6に示した例では、降車機構143は、ベース部31、アーム付根部32、アーム33、ワイヤ34、把持部35を有するクレーンである。把持部35によって配送車両200を把持して吊り上げ、配送車両200を運搬車両100から降車させる。
【0061】
ベース部31は、運搬車両100の床面に固定されている。
アーム付根部32は、回転軸32a回りに回転可能に、回転軸32aを介してベース部31に連結されている。アーム付根部32の回転軸32aは、運搬車両100の床面に垂直な軸である。アーム付根部32は、図示しないモータなどによって回転駆動される。
【0062】
アーム33は、アーム33の後端に設けられた関節部33aを介して、回動可能にアーム付根部32に連結されている。ここで、関節部33aの回転軸は、運搬車両100の床面に平行な軸である。アーム33が回動することによって、把持部35の位置(すなわち配送車両200の降車位置)を変化させることができる。アーム33は、図示しないモータなどによって回転駆動される。
【0063】
ワイヤ34は、アーム33の先端に設けられた巻き取り軸34aに巻き取り可能に連結されている。ここで、巻き取り軸34aの回転軸は、関節部33aの回転軸に平行な軸である。ワイヤ34の先端には、把持部35が連結されている。ワイヤ34の巻き取り量を変化させることによって、把持部35の高さを変化させることができる。巻き取り軸34aは、図示しないモータなどによって回転駆動される。
このような構成によって、把持部35によって配送車両200を把持し、配送車両200を運搬車両100から降車させることができる。
【0064】
このように、第3の実施形態に係る配送システムでは、運搬車両100から配送車両200が降車する際、運搬車両100に設けられたクレーンによって、配送車両200が搬送される。通常、配送車両200の車輪231は回転していないため、第1の実施形態に比べ、配送車両200が地面に着地する際に車輪231が受ける衝撃を緩和できる。
【0065】
さらに、
図6に示すように、降車機構143によって配送車両200を搬送している間に(すなわち配送車両200が地面に着地する前に)、配送車両200の車輪231を運搬車両100の車輪の回転方向と同じ方向に回転させておいてもよい。この場合、配送車両200が地面に着地する際に車輪231が受ける衝撃をさらに緩和できる。
なお、降車機構143として、クレーンに代えてマニピュレータ(ロボットアーム)を採用してもよい。
その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
上述の例において、各種制御プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0067】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
21 水平部
22 前方スロープ部
23 後方スロープ部
31 ベース部
32 アーム付根部
32a 回転軸
33 アーム
33a 関節部
34 ワイヤ
34a 巻き取り軸
35 把持部
100 運搬車両
110 走行制御部
120 センサ部
121 障害物センサ
122 加速度センサ
123 速度センサ
124 姿勢センサ
130 走行機構
140-143 降車機構
200 配送車両
210 走行制御部
220 センサ部
230 走行機構
231 車輪
300 管理サーバ
310 ルート決定部
320 記憶部