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特許7367640鋳巣解析方法、プログラム、及び鋳造条件導出方法
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  • 特許-鋳巣解析方法、プログラム、及び鋳造条件導出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】鋳巣解析方法、プログラム、及び鋳造条件導出方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 46/00 20060101AFI20231017BHJP
   B22C 9/00 20060101ALI20231017BHJP
   B22D 17/14 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B22D46/00
B22C9/00 E
B22D17/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020147735
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042338
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】手島 将蔵
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-131607(JP,A)
【文献】特開2019-179442(JP,A)
【文献】特開2020-135928(JP,A)
【文献】特開2006-095590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 46/00
B22D 17/00-17/32
B22C 9/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式は真空ダイカストにおける鋳造品のガス巣の直径dとガス巣の個数n(n≧0)との分布、以下ガス巣分布という、の回帰直線であってダイのキャビティーの形状及び寸法に固有のものを表し、
【数1】
定数Aはゲートにおいてキャビティー内に噴射される溶湯の流速vの関数であり、
定数Bはキャビティー中の残存ガスの質量、以下、残存ガス量mという、の関数であり、
前記流速v及び前記残存ガス量mを含む鋳造条件をコンピューターに入力し、
さらにガス巣の直径dの基準サイズを前記コンピューターに入力し、
ガス巣分布の特徴の予測を前記式に従い前記コンピューターに算出させることを含み
前記ガス巣分布の特徴の予測は、前記基準サイズ以上の直径を有するガス巣の数の予測を含むものである、
鋳巣解析方法。
【請求項2】
下記式は真空ダイカストにおける鋳造品のガス巣の直径dとガス巣の個数n(n≧0)との分布、以下ガス巣分布という、の回帰直線であってダイのキャビティーの形状及び寸法に固有のものを表し、
【数2】
定数Aはゲートにおいてキャビティー内に噴射される溶湯の流速vの関数であり、
定数Bはキャビティー中の残存ガスの質量、以下、残存ガス量mという、の関数であり、
コンピューターに対して、
前記流速v及び前記残存ガス量mを含む鋳造条件の入力を受け付けさせ、
さらにガス巣の直径dの基準サイズを受け付させ、
ガス巣分布の特徴の予測を前記式に従い算出させるものであり、
前記ガス巣分布の特徴の予測は、前記基準サイズ以上の直径を有するガス巣の数の予測を含むものである、
プログラム。
【請求項3】
下記式は真空ダイカストにおける鋳造品のガス巣の直径dとガス巣の個数n(n≧0)との分布、以下ガス巣分布という、の回帰直線であってダイのキャビティーの形状及び寸法に固有のものを表し、
【数4】
定数Aはゲートにおいてキャビティー内に噴射される溶湯の流速vの関数であり、
定数Bはキャビティー中の残存ガスの質量、以下、残存ガス量mという、の関数であり、
前記流速v及び前記残存ガス量mを含む鋳造条件の導出にあたり、ガス巣分布に求められる条件をコンピューターに入力し、
前記鋳造条件を前記式に従い前記コンピューターに算出させる、
鋳造条件導出方法。
【請求項4】
前記定数A及び定数Bは、前記個数n、前記直径d、前記流速v及び前記残存ガス量mの各値からなるデータセットであってサンプルダイで試験的にダイカストを行うことで得たものから回帰分析で得たものである、
請求項に記載の鋳造条件導出方法。
【請求項5】
データベースが前記定数A及び定数Bの組を予め記憶し、
前記コンピューターが前記式を使用するために、前記データベースから前記組を呼び出す、
請求項に記載の鋳造条件導出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空ダイカストにおける、鋳巣解析方法、プログラム、鋳巣解析装置及び鋳造条件導出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
他のダイカストや他の鋳造法と同様、真空ダイカストにおいても鋳造品中に鋳巣が生じることがある。鋳巣には、主として鋳造品の中心部に生じるひけ巣と、主として鋳造品の外縁部に生じるガス巣とが含まれる。
【0003】
真空ダイカストを含むダイカストでは、ゲートが溶湯をキャビティー内に射出する。溶湯は乱流を形成しながらキャビティー内のガスを置換する。ガス巣はガスを溶湯が巻き込んだ時に発生する。特許文献1は、ダイカストにおける溶湯圧力に基づき、ガス巣の位置を予測する手法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-131607号公報
【文献】特開昭63-026252号公報
【文献】特開2003-112254号公報
【文献】特開2009-045659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの側面における課題は、真空ダイカストにおける、鋳造品中のガス巣のサイズとガス巣の個数との分布を予測する手段を提供することである。
【0006】
本発明の他の側面における課題は、真空ダイカストの鋳造条件を導出する手段を提供することである。係る手段は鋳造品中のガス巣のサイズとガス巣の個数との分布を所望のものとするのに適する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る鋳巣解析方法において、
下記式は真空ダイカストにおける鋳造品のガス巣の直径dとガス巣の個数n(n≧0)との分布、以下ガス巣分布という、の回帰直線であってダイのキャビティーの形状及び寸法に固有のものを表す。
【数1】
定数Aはゲートにおいてキャビティー内に噴射される溶湯の流速vの関数であり、
定数Bはキャビティー中の残存ガスの質量、以下、残存ガス量mという、の関数であり、
前記鋳巣解析方法は、以下を含む、
前記流速v及び前記残存ガス量mを含む鋳造条件をコンピューターに入力し、
ガス巣分布の特徴の予測を前記式に従い前記コンピューターに算出させる。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピューターに対して、
前記流速v及び前記残存ガス量mを含む鋳造条件の入力を受け付けさせ、
ガス巣分布の特徴の予測を前記式に従い算出させる。
【0009】
本発明の一態様に係る鋳巣解析装置は、
前記流速v及び前記残存ガス量mを含む鋳造条件の入力を受け付け、
ガス巣分布の特徴の予測を前記式に従い算出する。
【0010】
本発明の一態様に係る鋳造条件導出方法は、以下を含む、
前記流速v及び前記残存ガス量mを含む鋳造条件の導出にあたり、ガス巣分布に求められる条件をコンピューターに入力し、
前記鋳造条件を上記ガス巣分布の式に従い前記コンピューターに算出させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様により、真空ダイカストにおける、鋳造品中のガス巣のサイズとガス巣の個数との分布を予測する手段を提供できる。
【0012】
本発明の他の態様により、真空ダイカストの鋳造条件を導出する手段を提供できる。係る手段は鋳造品中のガス巣のサイズとガス巣の個数との分布を所望のものとするのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】溶湯の噴射(上段)と鋳巣(下段)。
図2】ガス巣のサイズを階級としガス巣の個数を度数とするヒストグラム。
図3】ガス巣のサイズとガス巣の個数の対数との回帰直線H。
図4】キャビティーの真空度pと定数Bの-2乗との回帰直線Q。
図5】ガス巣のサイズとガス巣の個数との分布のガイド直線G。
図6】鋳造条件の導出のフロー。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1の上段は真空ダイカスト、以下単にダイカストという、における溶湯の噴射の一態様を示す。鋳造前においてキャビティー11は残存ガス16で満たされている。キャビティー11内は減圧されている。キャビティー11は任意に定めた真空度p(torr)を有する。残存ガス16の質量を残存ガス量mとする。
【0015】
図1の上段に示すようにダイ10のキャビティー11内に向かってゲート13は溶湯14を噴射する。溶湯14は流速vでキャビティー11内に噴き出す。溶湯14はアルミニウム合金又はその他の金属からなる。噴き出す溶湯14の一部は霧吹き状の乱流となる。溶湯14の一部は層流となってキャビティー11の内壁上を流れる。
【0016】
図1の下段はダイカストにおける鋳造品18の一態様を示す。本例において鋳造品18内に引け巣19及びガス巣20が生じている。引け巣19は特に鋳造品18の内部に生じやすい。引け巣19は真空である。ガス巣20は特に鋳造品の外縁に生じやすい。ガス巣20には残存ガス16の一部が巻き込まれている。一態様においてガス巣20は微細ガス孔(Gas porosity)である。
【0017】
図2は鋳造品中のガス巣のサイズ、すなわち直径d(mm)を階級とし、ガス巣の個数nを度数として表したヒストグラムである。以下、ガス巣の直径dとガス巣の個数nとの分布をガス巣分布Dと表すことがある。
【0018】
図3図2に示すガス巣分布Dの回帰直線Hを示す。ガス巣の個数nを対数としている。ガス巣分布Dから下記式で表される回帰直線Hが得られる。
【0019】
【数2】
【0020】
図3に示す回帰直線Hはダイのキャビティーの形状及び寸法に固有のものである。回帰直線Hの切片はln(A)である。回帰直線Hの回帰係数は-Bである。定数A及び定数Bは、サンプルダイで試験的にダイカストを行うことで得たガス巣分布Dのデータセットから上記回帰分析で得る。以下、特段の言及がない限りデータセットの用語はガス巣分布Dのデータセットのことをいう。
【0021】
図3に示す回帰直線Hにおいて定数Aはゲートにおける溶湯の流速vの関数である。定数Aは正の数である。関数A=A(v)は、ダイのキャビティーの形状及び寸法に固有である。一態様において定数Aと流速vとの相関を予め回帰分析しておく。一態様において定数Aは流速vの一次関数で表される。一態様において定数Aは流速vに比例する。一態様において流速vは残存ガス量mの関数である。
【0022】
図3に示す回帰直線Hにおいて定数Bはゲートにおける溶湯の残存ガス量mの関数である。定数Bは正の数である。関数B=B(m)は、ダイのキャビティーの形状及び寸法に固有である。一態様において定数Bと残存ガス量mとの相関を予め回帰分析しておく。
【0023】
図4はキャビティーの真空度pと定数Bとの分布の回帰直線Qを示す。縦軸は定数Bの-2乗である。真空度pはダイのキャビティーの真空度の測定値(Measured vacuum value of die cavity,torr)である。真空度pと定数Bから回帰直線Qを得られることは、定数Bが残存ガス量mに比例することを表している。
【0024】
図5はガイド直線Gを示す。一態様において図3に示す回帰直線Hと同じ直線を鋳巣解析のためのガイド直線Gとして取り扱う。ガイド直線Gに基づき、鋳造品中のガス巣分布を予測する。ガイド直線Gに係るxは図3に示す回帰直線Hに係る直径dに相当する。ガイド直線Gに係るyは図3に示す回帰直線Hに係るln(n)に相当する。
【0025】
図5において領域Eは基準サイズよりも大きいガス巣の分布を表す。直径dは基準サイズを表す。基準サイズは鋳造品に求められる性能に基づき選択する。一態様において基準サイズは0.3mm以上、1.5mm以下の値をとる。その一態様において基準サイズは0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.3及び1.4mmのいずれかである。
【0026】
図5に示す一態様において直径dはx切片よりも小さくdよりも大きい値である。他の態様において直径dはx切片である。直径dは任意に設定される。領域Eに含まれるガス巣の個数kは以下の通り表される。個数kから基準サイズよりも大きいガス巣の発生確率が求められる。
【0027】
【数3】
【0028】
図5に示す一態様においてガイド直線Gを離散的に取り扱う扱う場合は、下記式に従ってガス巣の個数kを求める。
【0029】
【数4】
は基準サイズよりも大きい直径を表す。
【0030】
他の態様において、所望のガス巣分布の条件を先に決定し。係るガス巣分布の条件を元に逆算的に定数A及び定数Bを算出する。さらに逆算的に溶湯の流速v及び残存ガス量mを含む鋳造条件を導出する。
【0031】
上記の各態様はCAE(computer aided engineering)として実施される。一態様において上記実施形態はプログラムをコンピューターで実行することで実施される。一態様においてプログラムを実行するコンピューターの動作を、ネットワークで接続された複数の装置で実行する。一態様においてプログラムを実行するコンピューターの一部又は全部の処理を、CPU(Central Processing Unit)が実行する。その一態様においてプログラムを実行するコンピューターの処理の一部を、その他の装置が実行する。
【実施例
【0032】
図6はコンピューターで鋳造条件を自動的に導出するフローを示す。ステップ21にて鋳造条件を導出したいダイをその候補の中から操作者又は他の装置が選択する。またガス巣分布に求められる条件を操作者又は他の装置が決める。操作者又は他の装置はこれらをコンピューターに入力する。一態様において他の装置はコンピューターとネットワークを介して接続している。一態様において、他の装置はダイカスト装置である。ダイカスト装置は、これが備えるダイを、上記鋳造条件を導出したいダイとして選択し、その情報をコンピューターに送る。
【0033】
一態様において、ガス巣分布に求められる条件は図5に示す領域Eに含まれるガス巣の個数kを所望の数とすること、又はその数以下とすることである。その一態様において所望の数は0個である。他の態様において、ガス巣分布に求められる条件は図5に示す領域Eに含まれるガス巣の個数kから求められるガス巣の発生確率を所望の値とすること、又はその値以下とすることである。その一態様において所望の値は0%である。
【0034】
図6に示すステップ22にてコンピューターは図3に示すガス巣分布Dのデータセットをデータベースから呼び出す。呼び出すべきデータセットは、選択されたダイの形状及び寸法と紐づいているデータセットである。一態様においてデータベースはコンピューターとネットワークを介して接続している。他の態様においてデータベースはコンピューターが有している。
【0035】
データセットは選択候補となる各サンプルダイで試験的に鋳造を行うことで前もって作成しておく。一例において図1に示す溶湯の流速v及び残存ガス量mを変化させながら、図2に示すガス巣の個数n及びガス巣の直径dの各値を測定することで各データが得られる。一態様においてガス巣の個数n及びガス巣の直径dは鋳造品の断面を顕微鏡観察して測定されたものである。他の態様において個数n及び直径dは、鋳造品にX線を透過させることで画像分析により測定されたものである。その他一態様において測定にX線CT装置を用いる。
【0036】
図6に示すステップ22の実行前に、データベースは前もって回帰直線H、又は定数A及び定数Bの組を記録しておいてもよい。コンピューターはデータセットに代えて回帰直線H、又は定数A及び定数Bの組を呼び出してもよい。回帰直線H並びに定数A及び定数Bの組はダイの形状及び寸法と紐づく。
【0037】
図6に示すステップ23にてコンピューターはデータセットより図3に示す回帰直線Hを求める。コンピューターはガス巣分布に求められる条件及び回帰直線Hに基づき逆算的に溶湯の流速v及び残存ガス量mを含む鋳造条件を算出する。一態様において算出した鋳造条件を記憶装置に蓄える。一態様において記憶装置はコンピューターとネットワークを介して接続している。他の態様において記憶装置はコンピューターが有している。
【0038】
図6に示すステップ24にて、算出した鋳造条件をコンピューターが出力する。出力先はディスプレイ、プリンター及びその他の装置のいずれかである。一態様において、これらはネットワークを介して接続している。一態様において、その他の装置はダイカスト装置である。ダイカスト装置は受け取った鋳造条件に従い、先に選択されたダイと同一のダイでダイカストを実施する。
【0039】
一態様において、鋳造条件を自動的に導出する上記工程を解析装置が実行する。一態様において解析装置は上記コンピューターを備える。一態様において係る解析装置はコンピューターに上記工程を実行させるプログラムを備える。
【0040】
<参考例1>
【0041】
特許文献2ではダイカストの試作品から鋳巣のサイズと鋳巣の個数の関係を表すグラフを鋳造条件ごとに作成する。当業者はこれらを見比べることで鋳造条件を導出している。係る鋳造条件は二次加圧の有無に関する。これに対して上記実施形態の方法では、ガス巣のサイズとガス巣の個数との分布を、溶湯の流速及び残存ガス量を含む鋳造条件と紐づけている。上記実施形態の方法で定めた鋳造条件でダイカストを行った後に、特許文献2を参考にして又はその他の公知技術に基づき二次加圧を行ってもよい。他の態様において二次加圧は行わない。
【0042】
<参考例2>
【0043】
特許文献3では砂型による鋳造の試作品から基準サイズ0.2mm以上の鋳巣の個数と鋳造条件の関係を表すテーブルを作成する。当業者はこれを評価することで熱間静水圧プレスの条件を導出している。熱間静水圧プレスとは鋳造後に鋳造品を液体で加圧する方法である。これに対して上記実施形態の方法は鋳造それ自体の条件の導出に対して用いられる。上記実施形態の方法で定めた鋳造条件でダイカストを行うことでガス巣の発生を抑え、さらに特許文献3を参考にして又はその他の公知技術に基づき熱間静水圧プレスを行うことで引け巣を除去してもよい。他の態様において熱間静水圧プレスは行わない。
【0044】
<参考例3>
【0045】
特許文献4ではダイカストの試作品から空洞欠陥の断面積とこれよりも大きな断面積を有する鋳巣の個数との対数プロットの線形近似からフラクタル次元を算出する。当業者はフラクタル次元に対する閾値に基づき空洞欠陥が引け巣であるか、ガス欠陥すなわちガス巣であるかを判断する。これに対して上記実施形態の方法では、ガス巣のサイズとガス巣の個数との分布を、溶湯の流速及び残存ガス量を含む鋳造条件と紐づけている。上記図3の回帰直線Hを得るにあたり、特許文献4の方法を援用することで又はその他の公知技術に基づき鋳造品中のガス巣を引け巣と区別してから、ガス巣の個数を測定してもよい。他の態様においてガス巣と引け巣との区別に特許文献4の方法を援用しない。
【符号の説明】
【0046】
10 ダイ、 11 キャビティー、 13 ゲート、 14 溶湯、 16 残存ガス、 18 鋳造品、 19 引け巣、 20 ガス巣、 21-24 ステップ、 A 定数、 B 定数、 d ガス巣の直径、 d ガス巣の直径、 d ガス巣の直径、 D ガス巣分布、 E 領域、 G ガイド直線、 H ガス巣分布Dの回帰直線、 k ガス巣の個数、 m 残存ガス量、 n ガス巣の個数、 p 真空度、 Q 真空度pと定数Bとの分布の回帰直線、 v 溶湯の流速
図1
図2
図3
図4
図5
図6