(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】車両用内装品
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20231017BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20231017BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20231017BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231017BHJP
B60K 37/00 20060101ALN20231017BHJP
H01H 13/00 20060101ALN20231017BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60R7/04 C
G03B21/14 Z
G09F9/00 362
G09F9/00 366A
B60K37/00 Z
H01H13/00 B
(21)【出願番号】P 2020161516
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅川 れんげ
(72)【発明者】
【氏名】道満 承穎
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009100(JP,A)
【文献】特開2020-104564(JP,A)
【文献】国際公開第2001/083266(WO,A1)
【文献】実開平07-021449(JP,U)
【文献】特開2015-098211(JP,A)
【文献】中国実用新案第210941589(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/00-13/10
G03B 21/14
G09F 9/00
B60K 35/00-37/00
H01H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席側方においてインストルメントパネルの後側かつタワー型装置の前側に配置され、上側に開口を向けた箱状をなすケース体と、前記開口を
閉じる使用位置と前記開口を開く待機位置との間を位置変化可能な透過型のスクリーンと、前記使用位置にある前記スクリーンの背面側から前記スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、を具備する表示部と、
前記待機位置における前記スクリーンの少なくとも一部を収容するスクリーン収容部と、を具備する車両用内装品。
【請求項2】
前記スクリーン収容部は前記ケース体に設けられている、請求項1に記載の車両用内装品。
【請求項3】
さらに、前記タワー型装置を具備し、
前記スクリーン収容部は前記タワー型装置に設けられている、請求項1に記載の車両用内装品。
【請求項4】
さらに、前記インストルメントパネルを具備し、
前記スクリーン収容部は前記インストルメントパネルに設けられている、請求項1に記載の車両用内装品。
【請求項5】
前記スクリーンの前端は、前記使用位置において前記インストルメントパネルに当接する、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車両用内装品。
【請求項6】
前記表示部は、さらに、前記スクリーンの上側における乗員の動作を検知するセンサを具備する、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の車両用内装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両室内に搭載される車両用内装品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両室内には各種の車両用内装品が搭載されている。例えば、運転席側方には、コンソールボックスやテーブル、エアーコンディショナーの吹出構造体に代表されるタワー型をなす装置が配置されるのが一般的である。以下、必要に応じて、これらの装置を総称してタワー型装置という場合がある。
【0003】
これらタワー型装置の前方であり、かつ、インストルメントパネルの後方の領域には、センタークラスタを設ける場合がある。センタークラスタには、エアーコンディショナーやカーナビゲーションシステム、オーディオ機器等の種々の車両搭載電子機器を操作するためのスイッチや操作パネル等が配設される。上記したタワー型装置の前方かつインストルメントパネルの後方の領域は、運転席に着座した乗員の手の届く領域であるため、当該領域にセンタークラスタを設けることで、乗員が各種の車両搭載電子機器を容易に操作できる利点がある。
【0004】
ところでタワー型装置の前方かつインストルメントパネルの後方の領域は、乗員の手の届く領域であることから、車両室内において乗員の使い勝手の良い領域でもある。車両室内の空間は限られており、乗員の手の届く領域は多くないために、当該領域の用途は非常に多い。例えば、当該領域はモバイル端末等の乗員の手回り品を置くのに非常に好適である。したがって、当該領域をセンタークラスタに充ててしまうと、乗員の手の届く領域に配設するのが好ましいその他の車両用内装品等を、乗員の手の届かない領域に配設しなければならなくなる。そうすることで、乗員にとっての車両室内における利便性が大きく低下する虞がある。
【0005】
ところで、近年、センタークラスタと収容装置とを兼用する試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1の実施例には、センタークラスタとコンソールボックスとを兼用する車両用内装品が紹介されている。より具体的には、特許文献1の実施例には、コンソールボックスのリッドに画像を表示し得る旨、および、当該リッドがタッチパネルとしても機能し得る旨が開示されている。また、特許文献1の実施例には、当該リッドに表示する画像として、ナビゲーション情報等が例示されている。さらに、特許文献1の実施例には、当該リッドが湾曲状と平板状との間を状態変化し、湾曲状をなすときにはコンソールボックスの開口を覆い、平板状をなすときにはコンソールボックスの開口を開く旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に紹介されている車両用内装品のように、手回り品等を収容する収容装置としてコンソールボックスを利用し、かつ、当該コンソールボックスのリッドをタッチパネルとして利用することで、センタークラスタとコンソールボックスとを兼用することができると考えられる。そして、これにより、車両室内における限られたスペースを有効に活用し得る可能性がある。
【0009】
しかし、特許文献1に紹介されている車両用内装品では、平板状と湾曲状との間を状態変化するリッドによってコンソールボックスの開口を開閉しているために、リッドが開口を開いているときにも、当該開口からコンソールボックスの内部に至る物品の出し入れ経路にリッドが干渉する。当該出し入れ経路にリッドが干渉することより、乗員はコンソールボックスへの物品の出し入れを容易に行い難い。つまり、特許文献1に紹介されている車両用内装品は、収容装置としての機能が充分とはいい難い。このため、特許文献1に紹介されている車両用内装品では、乗員にとっての車両室内における利便性を向上させるのは困難である。
【0010】
さらに、特許文献1に紹介されている技術では、液晶等の表示素子を用いてリッドに画像を表示している。このようなリッドは損傷や汚損し易く、また、損傷や汚損したリッドは画像を鮮明に表示し難くなる。つまり、特許文献1に紹介されている車両用内装品は、表示装置としての機能も充分とはいい難い。そして、このことによっても、特許文献1に紹介されている車両用内装品では、乗員にとっての車両室内における利便性を向上させるのは困難である。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、収容装置および表示装置として好適に使用可能であり、車両室内における利便性を向上させ得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の車両用内装品は、
車両の運転席側方においてインストルメントパネルの後側かつタワー型装置の前側に配置され、上側に開口を向けた箱状をなすケース体と、前記開口を覆う使用位置と前記開口を開く待機位置との間を位置変化可能な透過型のスクリーンと、前記使用位置にある前記スクリーンの背面側から前記スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、を具備する表示部と、
前記待機位置における前記スクリーンの少なくとも一部を収容するスクリーン収容部と、を具備する車両用内装品である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用内装品は、収容装置および表示装置として好適に使用可能であり、車両室内における利便性を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1の車両用内装品を車両に搭載した様子を模式的に表す説明図である。
【
図2】実施例1の車両用内装品の動作を模式的に説明する説明図である。
【
図3】実施例1の車両用内装品の動作を模式的に説明する説明図である。
【
図4】実施例2の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図5】実施例2の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図6】実施例3の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図7】実施例3の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図8】実施例4の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図9】実施例4の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図10】実施例4の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図11】実施例5の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図12】実施例5の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【
図13】実施例5の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の車両用内装品は、
車両の運転席側方においてインストルメントパネルの後側かつタワー型装置の前側に配置され、上側に開口を向けた箱状をなすケース体と、前記開口を覆う使用位置と前記開口を開く待機位置との間を位置変化可能な透過型のスクリーンと、前記使用位置にある前記スクリーンの背面側から前記スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、を具備する表示部と、
前記待機位置における前記スクリーンの少なくとも一部を収容するスクリーン収容部と、を具備する車両用内装品である。
【0016】
本発明の車両用内装品は、表示部およびスクリーン収容部を必須の構成要素とする。このうち表示部は、ケース体、スクリーンおよびプロジェクタを具備する。
【0017】
ケース体は、上側に開口を向けた箱状をなし、手回り品等を収容するための収容装置として機能する。
プロジェクタは、スクリーンに画像を投影する。つまり、スクリーンおよびプロジェクタは、画像を表示するための表示装置として機能する。
さらに、スクリーンは、ケース体の開口を開閉するリッドとしても機能する。つまりスクリーンは収容装置の一部としても機能するといい得る。
このように、本発明の車両用内装品は、収容装置および表示装置として機能する。
【0018】
待機位置において、表示部のスクリーンの少なくとも一部は、スクリーン収容部に収容される。つまり本発明の車両用内装品において、スクリーンは、使用位置においてはケース体の開口を覆うリッドとして機能するものの、待機位置においては単にケース体の開口を開くだけではなく、スクリーン収容部に収容される。このようなスクリーンは、待機位置において、ケース体の開口からケース体の内部に至る物品の出し入れ経路に干渉し難い。このため、乗員は、本発明の車両用内装品のケース体に容易に物品を出し入れできる。
よって、本発明の車両用内装品は収容装置として好適に使用可能である。
【0019】
また、本発明の車両用内装品は、画像を表示するための手段としてプロジェクタおよびスクリーンを採用している。スクリーンは、表示素子のように自身が画像を表示するのではなく、画像が投影されるものである。このようなスクリーンが多少損傷や汚損しても、プロジェクタの投影機能が正常であれば、スクリーンには充分に鮮明な画像が表示される。
また、スクリーンとしては、素子等の損傷し易い材料からなるものを用いる必要がなく、耐久性に優れる材料からなるものを選択することが可能である。これらのことにより、本発明の車両用内装品は、表示装置としても好適に使用可能といい得る。
本発明の車両用内装品は、このように、収容装置および表示装置として好適に使用可能であるために、乗員にとっての車両室内における利便性を向上させ得る。
【0020】
以下、本発明の車両用内装品をその構成要素毎に説明する。
【0021】
本発明の車両用内装品は、既述したように、表示部およびスクリーン収容部を必須の構成要素とするが、それ以外に、インストルメントパネルやタワー型装置を具備しても良い。また、本発明の車両用内装品におけるスクリーン収容部は、表示部のケース体に設けられても良いし、インストルメントパネルまたはタワー型装置に設けられても良い。その他の場所に設けられても良い。
【0022】
タワー型装置は、タワー型の外観を有する装置、換言すると丈高の装置を意味する。タワー型装置は、コンソールボックス等の内部空間を有するものであっても良いし、テーブル等の内部空間を有さないものであっても良い。ここでいう丈高とは、例えば、高さ5cm以上であるものを意味する。当該タワー型装置は、インストルメントパネルよりも後側に配置される。
【0023】
表示部は、インストルメントパネルの後側かつタワー型装置の前側に配置される。表示部は、ケース体、スクリーンおよびプロジェクタを具備する。
【0024】
このうちケース体は、上側に開口を向けた箱状をなす。ここでいう上側とは、鉛直方向の上側のみを意味するのではなく、斜め上側をも含む。ケース体は上側を向く開口以外の副開口を有しても良い。例えば、ケース体は、側壁に副開口を有しても良いし、底壁に副開口を有しても良い。側壁や底壁の副開口は、ケース体の内部に物品を収容可能な程度に小さければ許容される。以下、必要に応じて、ケース体の内部を物品収容部と称する場合がある。
【0025】
プロジェクタはスクリーンに画像を投影できれば良く、その光源等はLEDライト等の既知のものを用いれば良い。プロジェクタの投影機構は特に限定されず、スクリーンの種類やスクリーンとプロジェクタとの位置関係、スクリーンに表示すべき画像等に応じて適宜適切なものを選択すれば良い。
【0026】
本発明の車両用内装品において、プロジェクタの位置は特に限定しない。プロジェクタは、ケース体に配置されても良いし、インストルメントパネルやタワー型装置に配置されても良い。或いは、その他の場所に配置されても良い。プロジェクタがケース体に配置される場合、プロジェクタは、例えば、物品収容部に配置されても良いし、物品収容部の外部に配置されケース体の側壁や底壁の設けられた副開口を通じてその一部が物品収容部に露出しても良い。何れの場合にも、プロジェクタは、スクリーンの背面側、すなわち、ケース体側から、後述する使用位置にあるスクリーンに画像を投影できれば良い。
【0027】
スクリーンは、光透過性を有する透過型スクリーンである。
スクリーンの形状は、板状、シート状、フィルム状または帯状に代表される、画像を投影できる形状であれば良い。スクリーンは、剛体であっても良いし、可撓性を有するものであっても良い。例えば、スクリーンはアクリルやポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の透明樹脂製の板またはシートであっても良いし、ポリエステル繊維やナイロン繊維の織布、不織布、ニット等であっても良い。
【0028】
スクリーンは、光透過性を有する材料からなり当該材料に由来する光透過性が付与されたものであっても良い。または、スクリーンは、光透過性を有さない材料からなり、織り目や編み目等を通じて光が透過するものであっても良い。
【0029】
ここでいう「光透過性を有する」とは、スクリーンにおける360nm~800nmの可視光の透過率が、20%~100%の範囲内であることを意味する。
スクリーンは、画像を鮮明に表示し、かつ、開口を閉じる使用位置にあるときにケース体の内部に収容した物品をある程度隠し得ることが好ましい。このため、スクリーンの光透過率は100%未満であるのが好ましく、30%~90%の範囲内であるのが特に好ましい。
【0030】
このようなスクリーンの材料としては、例えば、透明樹脂材料のマトリックスに当該透明樹脂材料とは屈折率の異なる光拡散材が分散されたものや、透明樹脂材料からなる層に結像フィルム等の層が重ねられたものを例示できる。
【0031】
スクリーンの厚さは特に限定しないが、0.3~6mmの範囲を例示できる。
【0032】
スクリーンは、使用位置と待機位置との間を位置変化可能である。使用位置において、スクリーンはケース体における開口を覆う。既述したようにプロジェクタはこのときのスクリーンに画像を投影する。
【0033】
使用位置において、スクリーンは、ケース体の開口全体を覆っても良いが一部を覆うのみであっても良い。スクリーンはその表面すなわち背面に対向する面を上側に向けて良いし、当該表面を斜めに向けても良い。さらに、開口の向きとスクリーンの向きとは一致しても良いし一致しなくても良い。例えば、開口が真上を向く場合に、スクリーンが斜めを向いても良い。
使用位置において、スクリーンがその前端を上側に向ける場合には、乗員がスクリーンおよび当該スクリーンに投影された画像を容易に視認できる利点がある。
【0034】
当該使用位置において、スクリーンはケース体、インストルメントパネルおよびタワー型装置の何れかに支持されるのが好ましく、これらの複数に支持されるのがより好ましい。
【0035】
例えば、溝状をなし前後方向に延びるガイド支持部をケース体に設け、当該ガイド支持部によってスクリーンの側端を前後方向に連続的に支持するのが好ましい。これにより、スクリーンを使用位置に安定的に維持できる。
【0036】
または、スクリーンの前端を支持可能な前端支持部をインストルメントパネルに設け、当該前端支持部によってスクリーンの前端を支持するのが好ましい。この場合、スクリーンの前端は当該前端支持部に当接するともいい得る。なお、スクリーンが剛体である場合には、前端支持部を設けずに、単に、スクリーンの前端をインストルメントパネルに当接させるだけであっても良い。
既述したように、乗員からの視認性を考慮するとスクリーンは使用位置においてその前端を上側に向けるのが好ましいが、この場合には、前端を支持することによってスクリーンをより安定的に支持できる。
さらには、スクリーンの後端を支持可能な後端支持部をタワー型装置に設け、当該後端支持部によってスクリーンの後端を支持するのも好ましい。
【0037】
待機位置において、スクリーンは開口を開く。このとき、スクリーンは開口全体を開いても良いし、一部を覆いつつ他の部分を開くだけであっても良い。何れの場合にも、スクリーンが待機位置にあるときの開口の露出面積は、スクリーンが使用位置にあるときの開口の露出面積よりも大きい。
【0038】
待機位置において、スクリーンの少なくとも一部は、スクリーン収容部に収容される。スクリーンはそのままの状態でスクリーン収容部に収容されても良いし、巻き取られまたは折りたたまれた状態でスクリーン収容部に収容されても良い。スクリーン収容部は、例えばスクリーンを覆い隠す箱状のものであっても良いし、単にスクリーンを引っ掛けたり吊り下げたりするものであっても良い。スクリーン収容部に収容されたスクリーンは、乗員から視認不能であっても良いし、視認可能であっても良い。
【0039】
スクリーンは、使用位置と待機位置との間を如何なる様式で位置変化しても良い。例えばスクリーンをケース体に対してスライドや回動、揺動等させることで、当該スクリーンを使用位置と待機位置との間を位置変化させても良い。または、スクリーンをケース体に対して取り付けたり取り外したりすることにより、使用位置と待機位置との間でスクリーンを位置変化させても良い。
【0040】
さらには、スクリーンを巻き取ることができかつ送り出すことのできる巻き取り機構をスクリーン収容部として用いても良い。この場合には、当該スクリーン収容部にスクリーンを巻き取ることでスクリーンを待機位置に位置変化させ、当該スクリーン収容部に巻き取られたスクリーンを送り出すことでスクリーンを使用位置に位置変化させることができる。
なおこの場合、前端支持部によって使用位置にあるスクリーンの前端を支持するのが好ましい。さらに、この場合、本発明の車両用内装品はスクリーン収容部によってスクリーンを自動的に巻き取る巻き取り駆動部を具備するのが好ましい。巻き取り駆動部は電動モータ等の駆動機構を用いる電動式のものであっても良いし、バネ等の駆動機構を用いる機械式のものであっても良い。
【0041】
その他の様式によりスクリーンを使用位置と待機位置との間で位置変化させる場合にも、本発明の車両用内装品は、スクリーンを使用位置または待機位置に自動的に位置変化させる駆動部を有するのが好ましい。
【0042】
本発明の車両用内装品における表示部は、さらに、スクリーンの上側における乗員の動作を検知するセンサを具備し得る。当該センサを具備することで、スクリーンはタッチパネルとして機能する。当該センサのセンシング機構は特に限定されないが、当該センサとして、例えば、静電容量方式のタッチセンサや、赤外線センサ、スクリーンの上側を撮像し得られた画像を基に乗員の動作を検知する画像センサ等が好適である。
【0043】
以下、具体例を挙げて本発明の車両用内装品を説明する。
【0044】
(実施例1)
実施例1の車両用内装品は、タワー型装置としてのコンソールボックスを具備するものである。
実施例1の車両用内装品を車両に搭載した様子を模式的に表す説明図を
図1に示す。実施例1の車両用内装品の動作を模式的に説明する説明図を
図2および
図3に示す。
以下、実施例において上、下、左、右、前、後とは各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。このうち前および後は、各々、車両進行方向の先側および後側ともいい得る。
【0045】
実施例1の車両用内装品は、
図1に示すように、車両室内99に搭載され、インストルメントパネル1、コンソールボックス2および表示部3を具備する。
【0046】
インストルメントパネル1は車両室内99においてフロントガラス98の後側に配置されている。コンソールボックス2は運転席97の側方、より詳しくは、運転席97と助手席96との間に配置されている。表示部3は、同じく運転席97の側方において、インストルメントパネル1の後側、かつ、コンソールボックス2の前側に配置されている。
【0047】
表示部3は、
図2および
図3に示すケース体30、
図1、
図2および
図3に示すスクリーン35、並びに、
図2および
図3に示すプロジェクタ36を具備する。
【0048】
ケース体30は、上側に開口31を向けた箱状をなす。ケース体30の底壁32には、図略の副開口が設けられている。ケース体30の内部は、手回り品を収容するための物品収容部33である。ケース体30は、コンソールボックス2に一体化されている。
【0049】
ケース体30の左右側壁34は、後述するスクリーン35の上側に立ち上がっている。当該左右側壁34には、溝状をなし前後方向に延びるガイド支持部45が設けられている。
【0050】
プロジェクタ36は、ケース体30の底壁32のさらに下側に配置されている。底壁32には図略の副開口が設けられており、プロジェクタ36は当該副開口に図略のレンズを対面させている。
【0051】
スクリーン35は、透明樹脂であるアクリル樹脂に光拡散材が分散されたものであり、板状をなす。スクリーン35は開口31の上側に配置されて開口31を閉じる使用位置(
図2)と、開口31の後側に配置されて開口31を開く待機位置(
図3)と、の間をスライドする。
【0052】
使用位置において、スクリーン35の左右側端は、ケース体30の左右側壁に設けられているガイド支持部45によって前後方向に連続的に支持される。
【0053】
スクリーン35には、センサ50が一体化されている。当該センサ50は静電容量方式のタッチセンサであり、スクリーン35の上側における乗員の動作を検知し得る。
【0054】
コンソールボックス2は、箱状をなし開口25を上側に向ける本体部20と、当該本体部20の開口25を開閉するリッド21と、を具備する。リッド21にはスクリーン収容部60が設けられている。当該スクリーン収容部60は、前側に開口65を向けるスリット状をなす。スクリーン35の後端は当該開口65を経てスクリーン収容部60に挿入されている。また、スクリーン35の前端は当該スクリーン収容部60の前側に露出している。
【0055】
図2に示すように、実施例1の車両用内装品におけるスクリーン収容部60は、スクリーン35が使用位置に配置されているときにもスクリーン35の後端を収容し、支持する。したがって、当該スクリーン収容部60は使用位置にあるスクリーン35の後端を支持する、後端支持部としても機能する。
【0056】
さらに、実施例1の車両用内装品におけるスクリーン収容部60は、スクリーン35が使用位置と待機位置との間を位置変化する際に、スクリーン35を前後方向に連続的に支持する。したがって、当該スクリーン収容部60は、ガイド支持部45と同様のガイド支持部66としても機能する。
【0057】
実施例1の車両用内装品の動作を以下に説明する。
【0058】
先ず、スクリーン35がケース体30の開口31を閉じる使用位置にあるとき(
図1、
図2)には、プロジェクタ36は当該スクリーン35の背面側から当該スクリーン35に画像を投影可能である。実施例1の車両用内装品において、当該画像は、エアーコンディショナーやカーナビゲーションシステム等の車両搭載電子機器(図略)を操作するためのスイッチを表す。
【0059】
プロジェクタ36が投影した画像に乗員が手を触れると、スクリーン35に一体化されているセンサ50が、乗員の手の動きを検知する。このため、スクリーン35はタッチパネルとして機能し、実施例1の車両用内装品における表示部3は各種のスイッチを搭載するセンタークラスタとして機能し得る。
【0060】
スクリーン35に表示される画像には、プロジェクタ36のオン/オフスイッチも含まれる。
ケース体30の物品収容部33に手回り品を収容する場合、乗員は、スクリーン35に触れ、当該スクリーン35に表示されているプロジェクタ36のオン/オフスイッチの画像をオフ操作し、プロジェクタ36による画像の投影を停止させる。
その後、乗員がスクリーン35を後方にスライドさせると、スクリーン35は、開口31を開く待機位置(
図3)に位置変化し、スクリーン35のほぼ全体がリッド21に設けられているスクリーン収容部60に収容される。
【0061】
実施例1の車両用内装品によると、待機位置にあるスクリーン35をスクリーン収容部60に収容することで、スクリーン35によるケース体30の開口31への干渉を抑制でき、開口31を大きく開くことができる。これにより、スクリーン35が待機位置にあるときには、乗員は、ケース体30の内部にある物品収容部33に容易にアクセスできる。したがって実施例1の車両用内装品は収容装置として好適に機能する。
【0062】
ところで、
図2に示すように、スクリーン35は物品収容部33のリッドとしても機能する。このため、当該スクリーン35上には乗員によって手回り品等が置かれることも想定される。つまり、スクリーン35は損傷や汚損することが想定される。
実施例1の車両用内装品は、プロジェクタ36によってスクリーン35に画像を投影するものであるために、液晶等の表示素子を有さず、耐久性に優れるとともに、多少汚損した場合にも画像を鮮明に表示し得る。
したがって、実施例1の車両用内装品は、表示装置としても好適に機能する。
【0063】
よって、実施例1の車両用内装品は、車両室内99における利便性を向上させることが可能である。
【0064】
(実施例2)
実施例2の車両用内装品は、スクリーン35が屈曲形状をなすこと、および、スクリーン収容部60がコンソールボックス2の本体部20に設けられていること以外は、実施例1の車両用内装品と概略同じである。したがって、実施例2においては、実施例1との相違点を中心として、実施例2の車両用内装品を説明する。
実施例2の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図を
図4および
図5に示す。
【0065】
実施例2の車両用内装品におけるスクリーン35は、
図4に示すように、前側部分が後側部分に対して交差する方向を向く、屈曲形状をなす。
より具体的には、スクリーン35の前側部分は、後側部分に対して起き上がっている。
【0066】
このような屈曲形状のスクリーン35は、その前側部分が起き上がっていることから、乗員から視認され易い。これにより、実施例2の車両用内装品は、表示装置として優れた機能を発揮する。
【0067】
実施例2の車両用内装品におけるスクリーン収容部60は、コンソールボックス2の本体部20に設けられている。スクリーン35は、後側かつやや下側に向けてスライドすることで、
図4に示す使用位置から
図5に示す待機位置に位置変化し、コンソールボックス2のスクリーン収容部60に収容される。
【0068】
実施例2の車両用内装品は、実施例1の車両用内装品と同様に、収容装置および表示装置として好適に機能する。したがって、実施例2の車両用内装品によっても、車両室内99における利便性を向上させることが可能である。
【0069】
(実施例3)
実施例3の車両用内装品は、スクリーン35が可撓性を有するシート状をなすこと、および、スクリーン収容部60がコンソールボックス2の本体部20に設けられていること以外は、実施例1の車両用内装品と概略同じである。以下、実施例1との相違点を中心として、実施例3の車両用内装品を説明する。
実施例3の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図を
図6および
図7に示す。
【0070】
実施例3の車両用内装品におけるスクリーン35は可撓性をなし、
図6および
図7に示すように、コンソールボックス2の本体部20には、当該スクリーン35を後端側から巻き取る巻取り式のスクリーン収容部60が設けられている。
【0071】
図6に示す使用位置において、スクリーン35の前端はインストルメントパネル1に当接し、当該インストルメントパネル1の前端支持部15に支持されている。前端支持部15はフックであり、スクリーン35には当該前端支持部15が挿通される係合孔37が設けられている。スクリーン35の前端は、前端支持部15と係合孔37との機械的係合によって、前端支持部15に支持される。
【0072】
スクリーン収容部60は、ロッド状をなし中心軸を中心として回転し、その外周側にスクリーン35を巻き取る。
さらに、実施例3の車両用内装品は図略の巻き取り駆動部を具備する。巻き取り駆動部はバネであり、スクリーン35を巻き取る方向にスクリーン収容部60を付勢する。
スクリーン収容部60に巻き取られることで、スクリーン35は、
図6に示す使用位置から
図7に示す退避位置に位置変化する。
【0073】
実施例3の車両用内装品もまた、実施例1の車両用内装品と同様に、収容装置および表示装置として好適に機能する。したがって、実施例3の車両用内装品によっても、車両室内99における利便性を向上させることが可能である。
【0074】
(実施例4)
実施例4の車両用内装品は、スクリーン35が屈曲形状をなすこと、および、スクリーン35がケース体30およびリッド21から取り外し可能であること以外は、実施例1の車両用内装品と概略同じである。以下、実施例1との相違点を中心として、実施例4の車両用内装品を説明する。
実施例4の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図を
図8~
図10に示す。
【0075】
実施例4の車両用内装品におけるスクリーン35は、
図8に示すように、前側部分が後側部分に対して交差する方向を向く、屈曲形状をなす。
【0076】
図8に示す使用位置において、当該スクリーン35の後側部分はコンソールボックス2のリッド21に設けられたスクリーン収容部60に収容され、保持されている。
スクリーン35を前側に引き出すことで、当該スクリーン35の全体がスクリーン収容部60の外部に露出する。したがってこのとき当該スクリーン35はリッド21から取り外される。
【0077】
図9に示すように、リッド21から取り外したスクリーン35は、前側部分が下方を向くように方向を変えてもスクリーン収容部60に挿入することが可能である。
この状態でスクリーン35を後側にスライドさせると、
図10に示すように、スクリーン35は待機位置に位置変化する。このときスクリーン35の後側部分はスクリーン収容部60に収容され、スクリーン35の前側部分は下向した状態でケース体30の物品収容部33に収容される。
つまり、実施例4の車両用内装品においては、ケース体30の物品収容部33の一部がスクリーン収容部としても機能する。
【0078】
実施例4の車両用内装品においては、物品収容部33の一部がスクリーン35を収容するものの、このときスクリーン35の前側部分が下向しているために、物品収容部33の前側部分には充分な空間が確保される。よって、乗員は当該空間に手回り品を容易に収容できる。
【0079】
実施例4の車両用内装品は、実施例1の車両用内装品と同様に、収容装置および表示装置として好適に機能する。したがって、実施例4の車両用内装品によっても、車両室内99における利便性を向上させることが可能である。
【0080】
(実施例5)
実施例5の車両用内装品は、スクリーン35がケース体30から取り外し可能であること、ドリンクホルダを具備すること、および、モバイル端末用のワイヤレス充電器を具備すること以外は、実施例1の車両用内装品と概略同じである。以下、実施例1との相違点を中心として、実施例5の車両用内装品を説明する。
実施例5の車両用内装品の動作を模式的に表す説明図を
図11~
図13に示す。
【0081】
実施例5の車両用内装品におけるスクリーン35は、
図11に示すように、平板状をなす。
図11に示す使用位置において、スクリーン35はインストルメントパネル1とケース体30との間に架け渡されている。
【0082】
ケース体30の底壁32における後側部分には、上下に延びるスリット状をなすスクリーン収容部60が設けられている。
図12に示すように、当該スクリーン収容部60にはスクリーン35を収容することができる。
【0083】
また、図示しないが、スクリーン収容部60には、途中まで挿入された状態のスクリーン35を保持するためのスクリーンロック部が設けられている。スクリーンロック部によりスクリーン35を保持することで、
図13に示すように、スクリーン35の上側部分をケース体30の上方に大きく突出させることが可能である。
【0084】
ケース体30における物品収容部33の前側部分は、モバイル端末を載置するためのモバイル載置面38を有する。当該モバイル載置面38の下側には、モバイル端末95用のワイヤレス充電器70が配置されている。
【0085】
さらに、ケース体30の後側かつコンソールボックス2の前側には、ドリンクホルダ80が設けられている。ドリンクホルダ80は、開口を上方に向け、飲料容器94の底部を収容保持する。
【0086】
図13に示すように、飲料93の入った飲料容器94をドリンクホルダ80に保持している場合、スクリーン35の上側部分をケース体30の上方に大きく突出させると、当該スクリーン35によって、ケース体30の前側部分にあるモバイル載置面38とドリンクホルダ80とを区画することができる。
【0087】
これにより、例えば車両の走行時等に外力が作用することで飲料容器94から飲料93が飛び出した場合にも、当該飲料93はスクリーン35に遮られて、スクリーン35よりも前側には到達し難い。このため、実施例5の車両用によると、物品収容部33内の物品(図略)や、モバイル載置面38上のモバイル端末95の汚損を抑制できる利点がある。
【0088】
また、実施例5の車両用内装品は、実施例1の車両用内装品と同様に、収容装置および表示装置として好適に機能する。したがって、実施例5の車両用内装品によっても、車両室内99における利便性を向上させることが可能である。
【0089】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0090】
1:インストルメントパネル
2:コンソールボックス(タワー型装置)
3:表示部
30:ケース体
31:開口
35:スクリーン
36:プロジェクタ
50:センサ
60:スクリーン収容部
97:運転席