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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】感熱記録ライナーレスラベル
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/44 20060101AFI20231017BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20231017BHJP
   B41M 5/337 20060101ALI20231017BHJP
   B41M 5/40 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B41M5/44 210
B41M5/42 211
B41M5/337 212
B41M5/42 221
B41M5/40 220
B41M5/40 210
B41M5/44 220
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020193554
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082159
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋元 真也
(72)【発明者】
【氏名】諸藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹村 尚
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/175649(WO,A1)
【文献】特開2017-177627(JP,A)
【文献】特開2013-195889(JP,A)
【文献】特開2020-175556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/337-5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、前記支持体の一方の面に支持体に近い側から下塗り層、染料前駆体及び顕色剤を含有する感熱記録層、接着剤を含有する保護層、並びに剥離層を有し、前記支持体の他方の面に粘着剤層を有する感熱記録ライナーレスラベルであって、
前記下塗り層中にスチレン-ブタジエン系ラテックスを下塗り層の全固形量中10~80質量%の割合で含有し、前記スチレン-ブタジエン系ラテックスのガラス転移温度が-10℃以下であり、
前記下塗り層、前記感熱記録層及び前記保護層の少なくとも一つの層中に、アジピン酸ジヒドラジド、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素及びグリオキサールからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有し、前記架橋剤の含有量が0.001~1.0g/mである
感熱記録ライナーレスラベル。
【請求項2】
前記スチレン-ブタジエン系ラテックスの含有割合が、下塗り層の全固形量中20~60質量%である、請求項1に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
【請求項3】
前記スチレン-ブタジエン系ラテックスのガラス転移温度が-30℃以下である、請求項1又は2に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
【請求項4】
前記保護層に含有される前記接着剤が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
【請求項5】
前記下塗り層中に、中空率が80~98%である中空粒子を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料前駆体と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録ライナーレスラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱エネルギーにより電子供与性化合物と電子受容性化合物とを接触させて記録像を得るようにした感熱記録体はよく知られている。このような感熱記録体は比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、その保守も容易なため、ファクシミリや各種計算機等の記録媒体に使用されている。
【0003】
特に近年は、ガス、水道、電気料金等の領収書、金融機関のATMの利用明細書、各種レシート等、財務関係の記録用紙やPOSシステム用の感熱記録ラベル或いは感熱記録タグ等に、種々のバーコードを感熱記録印字して用いられる機会が増加しており、バーコード印字適性を有する感熱記録体が求められている。
【0004】
かかるラベル用途の感熱記録体は、感熱記録層の裏面に粘着剤層を設けた上に剥離紙が貼り合わされ、巻取りの状態で記録機器に装填されている。このような感熱記録用粘着シートの紙厚は粘着剤層、剥離紙の構成により厚くなるため、記録機器に装填できる感熱記録用粘着シートの長さも制限され、記録後貼り合せ時に発生する剥離紙の処理も省資源の観点から問題である。
【0005】
剥離紙を用いない感熱記録用粘着シートは、種々提案されており、感熱記録体上にシリコーン樹脂等を含む剥離層、裏面に粘着剤層を設けた巻取りの状態で使用されている。しかしながら、剥離層と粘着剤層が感熱記録層と重ね合わされることによって問題が種々発生する。
【0006】
すなわち、感熱記録ライナーレスラベルでは、剥離紙を有する従来のラベルと異なり、記録面側の剥離層が削り取られるか、又は巻取状に保管されて表裏が密着して剥離層表面に転移した粘着剤層が剥がれるかして、ヘッド粕を形成する問題がある。ヘッド粕は、記録面に傷を発生させる原因となり、蓄積して記録面への熱伝達を阻害して印字カスレを発生させる原因となる。
【0007】
また、中間調印字濃度を改善させるために、特許文献1及び2に記載されているように下塗り層中にスチレン-ブタジエン系ラテックスを配合した場合には、架橋剤としてグリオキシル酸ナトリウムを使用すると、印字部の白化による印字濃度の低下が起きる。感熱記録ライナーレスラベルの白化現象とは、高印加エネルギー部で印字部のシリコーン層が剥がれ印字濃度が低下する現象である。
【0008】
そのため、流通管理用途のような過酷な条件下で使用しても問題の起こらない、また中間調印字濃度に優れ、印字部の白化による印字濃度低下が起きず、且つ連続印字時のヘッド粕が少ない感熱記録ライナーレスラベルが強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-177346号公報
【文献】特開2017-177351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、印字部の白化を防いで中間調印字濃度に優れ、且つ耐水性及び耐ヘッド粕性に優れる感熱記録ライナーレスラベルを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下塗り層中にスチレン-ブタジエン系ラテックスを下塗り層の全固形量中10~80質量%の割合で含有させ、下塗り層、感熱記録層及び保護層の少なくとも一つの層に、アジピン酸ジヒドラジド、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素及びグリオキサールからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を0.001~1.0g/m含有させることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を解決するに至った。すなわち、本発明は、下記の感熱記録ライナーレスラベルに係る。
【0012】
項1.支持体、前記支持体の一方の面に支持体に近い側から下塗り層、染料前駆体及び顕色剤を含有する感熱記録層、接着剤を含有する保護層、並びに剥離層を有し、前記支持体の他方の面に粘着剤層を有する感熱記録ライナーレスラベルであって、
前記下塗り層中にスチレン-ブタジエン系ラテックスを下塗り層の全固形量中10~80質量%の割合で含有し、
前記下塗り層、前記感熱記録層及び前記保護層の少なくとも一つの層中に、アジピン酸ジヒドラジド、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素及びグリオキサールからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有し、前記架橋剤の含有量が0.001~1.0g/mである
感熱記録ライナーレスラベル。
項2.前記スチレン-ブタジエン系ラテックスの含有割合が、下塗り層の全固形量中20~60質量%である、項1に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
項3.前記スチレン-ブタジエン系ラテックスのガラス転移温度が0℃以下である、項1又は2に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
項4.前記スチレン-ブタジエン系ラテックスのガラス転移温度が-10℃以下である、項1~3のいずれか一項に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
項5.前記スチレン-ブタジエン系ラテックスのガラス転移温度が-30℃以下である、項1~4のいずれか一項に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
項6.前記保護層に含有される前記接着剤が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、項1~5のいずれか一項に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
項7.前記下塗り層中に、中空率が80~98%である中空粒子を含有する、項1~6のいずれか一項に記載の感熱記録ライナーレスラベル。
【発明の効果】
【0013】
本発明の感熱記録ライナーレスラベルは、印字部の白化を防いで中間調印字濃度に優れ、且つ耐水性及び耐ヘッド粕性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中において、「含む、含有する」なる表現については、「含む」、「実質のみからなる」、及び「のみからなる」旨の概念を含む。
【0015】
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0016】
また、本発明では「平均粒子径」は、レーザー回析法によって測定される体積基準のメジアン径をいう。より簡単には、電子顕微鏡を使用し、粒子画像(SEM画像)から粒子径をそれぞれ測定し、10個の平均値で示しても構わない。
【0017】
本発明は、支持体、前記支持体の一方の面に支持体に近い側から下塗り層、染料前駆体及び顕色剤を含有する感熱記録層、接着剤を含有する保護層、並びに剥離層を有し、前記支持体の他方の面に粘着剤層を有する感熱記録ライナーレスラベルであって、
前記下塗り層中にスチレン-ブタジエン系ラテックスを下塗り層の全固形量中10~80質量%の割合で含有し、
前記下塗り層、前記感熱記録層及び前記保護層の少なくとも一つの層に、アジピン酸ジヒドラジド、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素及びグリオキサールからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有し、前記架橋剤の含有量が0.001~1.0g/mである
ことを特徴とする。
【0018】
本発明におけるスチレン-ブタジエン系ラテックスは、分散媒体を乾燥させることにより形成されるゲル又は乾燥皮膜の状態を含む。
【0019】
本発明では、下塗り層、感熱記録層及び保護層の少なくとも一つの層中に、アジピン酸ジヒドラジド、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素及びグリオキサールからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有する。これにより、下塗り層中にスチレン-ブタジエン系ラテックスを含む場合であっても、印字部の白化を防ぐことができ中間調印字濃度低下を抑制することができる上、耐ヘッド粕性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明では、アジピン酸ジヒドラジド、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素及びグリオキサールからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤の含有量は、0.001~1.0g/mである。0.001g/m以上とすることにより、耐水性及び耐ヘッド粕性を向上させることができる。一方、1.0g/m以下とすることにより、中間調印字濃度を高めることができる。当該架橋剤の含有量は、0.05~0.50g/m程度が好ましく、0.10~0.30g/m程度がより好ましい。下塗り層中にアジピン酸ジヒドラジド、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素及びグリオキサールからなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有する場合、含有割合は、特に限定されないが、下塗り層の全固形量中2.5~7.5質量%程度である。
【0021】
[支持体]
本発明に用いられる支持体としては、特に限定されないが、例えば、中性又は酸性の上質紙、合成紙、透明又は半透明のプラスチックフィルム、白色のプラスチックフィルム等が挙げられる。なお、支持体の厚みは特に限定されないが、通常、20~200μm程度である。また、支持体の密度は特に制限されず、0.60~0.95g/cm程度が好ましい。
【0022】
[下塗り層]
本発明の感熱記録ライナーレスラベルでは、支持体と感熱記録層との間に下塗り層を有する。これにより、記録感度及び記録走行性をより高めることができる。本発明における下塗り層は、接着剤としてスチレン-ブタジエン系ラテックスを下塗り層の全固形量中10~80質量%の割合で含有する。このような一定量のスチレン-ブタジエン系ラテックスを含むことにより、中間調印字濃度を高めることができる。当該スチレン-ブタジエン系ラテックスの含有量は、20~60質量%程度が好ましく、25~50質量%程度がより好ましい。下塗り層に用いるスチレン-ブタジエン系ラテックスのガラス転移温度は、特に限定されないが、0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃以下となることにより、中間調印字濃度を高めることができる。ガラス転移温度は、-10℃以下であることがより好ましく、-30℃以下であることが更に好ましい。また、ガラス転移温度は、-50℃以上であることが好ましい。
【0023】
下塗り層中には、中空率が80~98%である中空粒子を含有することが好ましい。これにより、中間調印字濃度をより高めることができる。中空粒子としては、従来公知のもの、例えば、膜材がアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等からなる粒子が例示できる。ここで中空率は(d/D)×100で求められる値である。該式中、dは中空粒子の内径を示し、Dは中空粒子の外径を示す。中空率は、好ましくは85~95%である。中空粒子の平均粒子径は2~25μm程度が好ましく、3~20μm程度がより好ましい。上記中空粒子の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層の全固形量中2~75質量%程度が好ましく、5~65質量%程度がより好ましい。
【0024】
下塗り層は、吸油量が70ml/100g以上、特に80~150ml/100g程度の吸油性顔料及び/又は熱膨張性粒子を含むことができる。ここで、上記吸油量はJIS K 5101の方法に従い、求められる値である。
【0025】
上記吸油性顔料としては、各種のものが使用できるが、具体例としては、焼成カオリン、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、タルク等の無機顔料が挙げられる。これら吸油性顔料の一次粒子の平均粒子径は0.01~5μm程度、特に0.02~3μm程度であるのが好ましい。吸油性顔料の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般に下塗り層の全固形量中、2~75質量%程度が好ましく、5~65質量%程度がより好ましい。
【0026】
下塗り層は、一般に水を分散媒体とし、接着剤、必要により中空粒子、上記架橋剤、吸油性顔料、熱膨張性粒子、各種助剤等を混合することにより調製された下塗り層用塗液を支持体上に、乾燥質量で好ましくは3~20g/m程度、より好ましくは4~12g/m程度となるように塗布及び乾燥して形成される。
【0027】
下塗り層中の接着剤としては、スチレン-ブタジエン系ラテックス以外にも、必要に応じて支障のない範囲で各種公知の接着剤を併用することができる。具体例としては、例えば、澱粉類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、部分鹸化ポリビニルアルコール、完全鹸化ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体塩、スチレン-無水マレイン酸共重合体塩、エチレン-アクリル酸共重合体塩、スチレン-アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹脂系ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス等が挙げられる。
【0028】
下塗り層用塗液中に含有される助剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、ヒドラジド化合物、硼酸、ジアルデヒド澱粉、グリオキシル酸塩、エポキシ化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料、蛍光染料等が挙げられる。
【0029】
[感熱記録層]
本発明における感熱記録層は、染料前駆体及び顕色剤を含有している。染料前駆体としてのロイコ染料と顕色剤との組合せが発色濃度に優れるため、好ましく用いられる。
【0030】
ロイコ染料及び顕色剤としては、各種公知のものが使用できる。ロイコ染料の具体例としては、例えば、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(N-エチル-N-p-トリル)アミノ-7-N-メチルアニリノフルオラン、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-p-(p-ジメチルアミノアニリノ)アニリノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-p-(p-クロロアニリノ)アニリノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3’-(6’-ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられる。
【0031】
勿論、これらに限定されるものではなく、また2種以上を併用することもできる。また、ロイコ染料の含有割合は、使用する顕色剤によって適宜選択すればよく、特に限定されないが、感熱記録層の全固形量中、好ましくは3~50質量%程度、より好ましくは5~40質量%程度である。
【0032】
顕色剤の具体例としては、例えば、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、4,4’-シクロヘキシリデンジフェニル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン、3,3’-ジアリル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’-ビス〔4-(4-ヒドロキシフェニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル、N-p-トルエンスルホニル-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、N,N’-ジ-m-クロロフェニルチオ尿素、N-p-トリルスルホニル-N’-フェニルウレア、4,4’-ビス(p-トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4-{3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
【0033】
【化1】
(式中、nは1~6の整数を表す。)
【0034】
顕色剤の含有割合は、使用するロイコ染料によって適宜選択すればよく、特に限定されないが、感熱記録層の全固形量中、好ましくは10~70質量%程度、より好ましくは12~50質量%程度である。
【0035】
感熱記録層には、保存性改良剤を含有させることもできる。これにより、記録部の保存安定性を高めることができる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、ビス(4-エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0036】
保存性改良剤の含有割合は、保存性改良のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形量中、好ましくは1~30質量%程度、より好ましくは5~20質量%程度である。
【0037】
感熱記録層には、増感剤を含有させることもできる。これにより、記録感度を高めることができる。かかる増感剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2-ナフチルベンジルエーテル、m-ターフェニル、p-ベンジルビフェニル、p-トリルビフェニルエーテル、ジ(p-メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-メトキシフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-クロロフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシエタン、1-(4-メトキシフェノキシ)-2-(3-メチルフェノキシ)エタン、p-メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4-ジ(フェニルチオ)ブタン、p-アセトトルイジド、p-アセトフェネチジド、N-アセトアセチル-p-トルイジン、ジ(β-ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ-p-クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
【0038】
増感剤の含有割合は、増感のために有効な量とすればよいが、通常は、感熱記録層の全固形量中、好ましくは2~40質量%程度、より好ましくは5~25質量%程度である。
【0039】
感熱記録層は、水を分散媒体とし、ロイコ染料、顕色剤、必要により増感剤、保存性改良剤等を共に、又は別々にボールミル、アトライター、サンドミル等の撹拌・粉砕機により平均粒子径が2μm以下となるように分散した分散液と、必要により接着剤、上記架橋剤、助剤等とを混合することによって調製された感熱記録層用塗液を下塗り層上に塗布及び乾燥して形成される。感熱記録層の塗布量は、乾燥質量で好ましくは2~12g/m程度、より好ましくは2~6g/m程度となるように、下塗り層上に塗布及び乾燥して形成される。
【0040】
感熱記録層用塗液中には通常、接着剤として、各種の樹脂が使用される。かかる接着剤としては、例えば、澱粉類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体塩、スチレン-無水マレイン酸共重合体塩、エチレン-アクリル酸共重合体塩、スチレン-アクリル酸共重合体塩、スチレン-ブタジエン共重合体、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの少なくとも1種が、感熱記録層の全固形量のうち、好ましくは5~50質量%程度、より好ましくは9~40質量%程度の範囲で配合される。なお、感熱記録層用塗液の媒体が水の場合は、疎水性樹脂はラテックスの状態で用いればよい。
【0041】
更に、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができ、かかる助剤としては、例えば、カオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、ヒドラジン系化合物、硼酸、ジアルデヒドデンプン、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料、蛍光染料等が挙げられる。
【0042】
[保護層]
本発明における保護層は、接着剤を含有している。接着剤としては、特に限定されないが、バリア性を高める観点から水溶性又は水分散性の水性接着剤が好ましい。特に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種の水溶性接着剤が好ましく用いられる。
【0043】
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコールは、それぞれアセトアセチル基及びジアセトン基を持つ単量体とビニルエステルとを共重合して得た樹脂を鹸化することにより製造される。
【0044】
鹸化度については、85モル%から完全鹸化の100モル%程度が好ましく、90~100モル%程度がより好ましい。平均重合度については、300~3000程度が好ましく、400~2000程度がより好ましい。変性度は、耐水性を高める観点から0.5~10モル%程度が好ましく、1~9モル%程度がより好ましい。重合度、鹸化度が高いほど耐水性が良好になるが、塗料濃度、粘度、塗工性又は乾燥性から状況に応じて選択する必要がある。
【0045】
保護層中に使用されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の使用量としては、保護層の全固形量中、好ましくは10~90質量%、より好ましくは15~50質量%程度である。
【0046】
本発明の効果を損なわない範囲において、その他の接着剤を併用することもできる。かかる接着剤としては、例えば、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体塩、スチレン-無水マレイン酸共重合体塩、エチレン-アクリル酸共重合体塩、スチレン-アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、アクリル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス等が挙げられる。
【0047】
本発明における保護層は、顔料を含有していてもよい。顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、焼成カオリン等の無機顔料が挙げられる。なかでも、カオリン、水酸化アルミニウムは可塑剤、油等の薬品に対するバリア性の低下が少なく、しかも記録濃度の低下も小さいため、特に好ましく用いられる。
【0048】
保護層に含有させることができる助剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の界面活性剤、ジアルデヒド澱粉、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0049】
保護層は、例えば、水を分散媒体として、好ましくは特定の接着剤、必要により上記架橋剤、顔料、助剤等を混合撹拌することにより調製された保護層用塗液を、塗布量が乾燥質量で好ましくは0.1~8g/m程度、より好ましくは0.5~5g/m程度、更に好ましくは1~4g/m程度となるように、感熱記録層上に塗布及び乾燥して形成される。
【0050】
[剥離層]
感熱記録ライナーレスラベルは、保護層上に剥離層を有している。剥離層に使用される剥離用シリコーンとしては、形態別ではソルベント系、ソルベントレス系、エマルジョン系に、また硬化様式の違いからは熱硬化型、紫外線又は電子線硬化型に大別されるが、環境問題や感熱記録層が発色しないことが求められるため、紫外線又は電子線硬化性シリコーン化合物を主成分とする剥離層用塗液の使用が好ましい。これらのシリコーン化合物の具体例としては、メルカプト基含有オルガノシロキサンとビニル基含有オルガノポリシロキサンとの混合組成物、アクリル基、メタクリル基又はシンナモイル基含有オルガノポリシロキサン組成物、マレイミド基又はフェノルマレイミド基含有アルガノポリシロキサン組成物、アジド基含有オルガノポリシロキサンとビニル基含有オルガノポリシロキサンとの混合組成物、チオアクリル基、チオメタクリル基又はチオシンナモイル基含有オルガノポリシロキサン組成物、アクリルアミド基、メタクリルアミド基又はシンナモイルアミド基含有オルガノポリシロキサン組成物等が挙げられ、また紫外線開始型カチオン重合を利用したエポキシ基含有オルガノポリシロキサンと光分解型開始剤のジアゾニウムルイス酸塩との混合組成物も利用することができる。紫外線硬化の場合は、光重合開始剤が必要であるが、かかる光重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルアルキルエーテル及びその誘導体、アセトフェノン及びその誘導体、チオキサントン及びその誘導体、ホウ素系カチオン誘導体等が挙げられる。剥離層の塗布量は、特に限定されず、乾燥質量で0.05~3g/m程度の範囲で調節されることが好ましい。
【0051】
[粘着剤層]
感熱記録ライナーレスラベルは、支持体の他方の面(感熱記録層を備えた面とは反対の面)に粘着剤層を有している。本発明に使用される粘着剤としては、例えば、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソプレンゴム等によるゴム系物質を主成分とするもの、ビニルエーテル系物質を主成分とするもの、2-エチルヘキシルアクリレートを主モノマーとする共重合ポリマーを主成分とするもの、ポリオール等の活性水素基含有化合物とイソシアネート化合物との反応生成物からなるもの、ゴム状シロキサンと樹脂状シロキサンとを主成分とするもの等が挙げられる。これらのゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の粘着剤は、エマルジョンや溶剤ないし無溶剤型の各種粘着剤として用いることができる。粘着剤層の塗布量は、特に限定されず、乾燥質量で5~50g/m2程度の範囲で調節されることが好ましい。
【0052】
[感熱記録ライナーレスラベル]
支持体上に各層を形成する方法としては、例えば、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法、スロットダイ法、スライドダイ法、エクストルージョン法等の既知の塗布方法、又は印刷機による方法のいずれを利用してもよい。
【0053】
なお、各層を形成した後の任意の過程において、スーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施すこと等も可能であり、感熱記録体の製造分野における各種の公知技術を必要に応じて使用し得る。また、ラベルとして印刷、ダイカット等の加工が施されていてもよい。
【0054】
本発明では、製品の付加価値をより一層高めるため、多色感熱記録ライナーレスラベルとすることもできる。一般に多色感熱記録体は、加熱温度の差、又は熱エネルギーの差を利用する試みであり、一般に、支持体上に異なる色調に発色する高温発色層と低温発色層を積層して構成されたものであって、これらを大別すると消色型と加色型の2種類があり、マイクロカプセルを用いた方法及び有機高分子とロイコ染料からなる複合粒子を使用して多色感熱記録体を製造する方法がある。
【実施例
【0055】
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
【0056】
実施例、比較例に用いたラテックスは以下の通りである。
ラテックスA:スチレン・ブタジエンラテックス開発品(Tg:-10℃、粒子径190nm、固形分濃度48%)
ラテックスB:スチレン・ブタジエンラテックス開発品(Tg:-35℃、粒子径300nm、固形分濃度48%)
ラテックスC:スチレン・ブタジエンラテックス(商品名L-1571、旭化成社製、Tg=-3℃、粒子径190nm、固形分濃度48%)
【0057】
実施例1
(1)下塗り層用塗液の調製
焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部、中空プラスチックピグメント(商品名ローペイクSN-1055、ダウ・ケミカル社製、固形分濃度26.5%)60.4部、ラテックスA83.3部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンAGガム、第一工業製薬社製)2.1部、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部、及び水75.0部を混合撹拌して、下塗り層用塗液を得た。
【0058】
(2)ロイコ染料分散液(A液)調製
3-ジ-(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.5μmになるまで粉砕してロイコ染料分散液(A液)を得た。
【0059】
(3)顕色剤分散液(B液)調製
4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン(日本曹達社製、D8)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して呈色剤分散液(B液)を得た。
【0060】
(4)増感剤分散液(C液)調製
シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル(商品名:HS-3520、DIC社製)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して増感剤分散液(C液)を得た。
【0061】
(5)感熱記録層用塗液の調製
A液29.5部、B液63.6部、C液45.4部、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの5%水溶液20部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、鹸化度:99モル%、平均重合度:1000、クラレ社製)の10%水溶液46部、ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名:L-1571、旭化成社製、固形分濃度48%)9.4部、軽質炭酸カルシウム(商品名:Brilliant-15、白石工業社製)25.4部、パラフィンワックス(商品名:ハイドリンL-700、中京油脂社製、固形分濃度30%)11.7部、及び水120部を混合撹拌して感熱記録層用塗液を得た。
【0062】
(6)保護層用塗液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセネックスZ-200、日本合成化学工業社製)の12%水溶液300部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH-42M、昭和電工社製)64部、及び水114.5部からなる組成物を混合撹拌して保護層用塗液を得た。
【0063】
(7)感熱記録体の作製
坪量60g/mの上質紙の片面上に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液、及び保護層記録用塗液を乾燥後の塗布量がそれぞれ4.0g/m、4.0g/m、2.0g/mになるように塗布及び乾燥して、下塗り層、感熱記録層、及び保護層を順次形成した後、スーパーカレンダーで表面を平滑化して感熱記録体を得た。
【0064】
(8)剥離層の形成
得られた感熱記録体の保護層上に、無溶剤型紫外線硬化性シリコーン化合物(商品名:UV-271、荒川化学社製)100部、及び光重合開始剤(商品名:CATA211、硼素系カチオン硬化触媒、荒川化学社製)5部を混合撹拌した剥離層用塗液を印刷機で乾燥後の塗布量が0.35g/mとなるよう塗布した後、紫外線を照射して剥離層を形成した。
【0065】
(9)粘着剤層の形成
更に剥離層を形成した感熱記録体の支持体の他方の面に、粘着剤層用塗液として水系粘着剤のアクリル系エマルジョン粘着剤(商品名:L-145、日本カーバイト工業社製)を乾燥後の塗布量が25g/mとなるようにロールコーター法で塗布及び乾燥して粘着剤層を形成し感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0066】
実施例2
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部の代わりに、ジメチロールウレアの5%水溶液を100部添加した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0067】
実施例3
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部の代わりに、グリオキザールの5%水溶液を100部添加した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0068】
実施例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部を0.4部に、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を41.9部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0069】
実施例5
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部を57.1部に、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を22.0部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0070】
実施例6
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を62.0部に、ラテックスA83.3部を31.3部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0071】
実施例7
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を52.0部に、ラテックスA83.3部を52.1部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0072】
実施例8
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を22.0部に、ラテックスA83.3部を114.6部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0073】
実施例9
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を2.0部に、ラテックスA83.3部を156.3部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0074】
実施例10
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、ラテックスAをラテックスBに変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0075】
実施例11
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、ラテックスAをラテックスCに変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0076】
実施例12
実施例1の顕色剤分散液(B液)調製において、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン(日本曹達社製、D8)40部の代わりに、同量の4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホン(三菱ケミカル社製、トミラックKN)を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0077】
実施例13
実施例12の保護層用塗液の調製において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセネックスZ-200、日本合成化学工業社製)の12%水溶液300部の代わりに、ジアセトン変性ポリビニルアルコール(商品名:DF-10、日本酢ビ・ポバール社製)の12%水溶液300部を用いた以外は実施例12と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0078】
実施例14
実施例13の下塗り層用塗液の調製において、中空プラスチックピグメント(商品名ローペイクSN-1055、ダウ・ケミカル社製、固形分濃度26.5%)60.4部の代わりに、中空粒子(商品名エクスパンセル461WE20d36、ヌーリオン社製、メジアン径(D50)20μm、最大粒子径(D100)80μm、中空率95%、2μm以下の粒子の割合0容積%、固形分濃度15.0%)を106.7部添加した以外は実施例13と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0079】
実施例15
実施例14の顕色剤分散液(B液)調製において、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン(日本曹達社製、D8)40部の代わりに、同量の2-フェニルスルホニルアミノ-N,N’-ジフェニルウレア(日本曹達社製、NKK-1304)を用いた以外は実施例14と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0080】
比較例1
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を72.0部に、ラテックスA83.3部を10.4部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0081】
比較例2
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を0部に、ラテックスA83.3部を177.1部に、中空プラスチックピグメント(商品名ローペイクSN-1055、ダウ・ケミカル社製、固形分濃度26.5%)60.4部を30.2部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0082】
比較例3
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を12.0部に、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部を30.0部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0083】
比較例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)37.0部を42.0部に、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部を0部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0084】
比較例5
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)5.0部の代わりに、グリオキシル酸ナトリウム(商品名SPM-01、日本合成化学工業社製)の5%水溶液を100部添加した以外は実施例1と同様にして感熱記録ライナーレスラベルを得た。
【0085】
以上の実施例1~15、及び比較例1~5で作製した感熱記録ライナーレスラベルを下記の評価に供し、その結果を表1に示す。
【0086】
[中間調印字濃度]
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.16mJ/dotの中間調エネルギー領域にて各感熱記録ライナーレスラベルを記録し、得られた印字部をマクベス濃度計(RD-914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。数値が大きい程、印字の濃度が濃いことを示しており、記録濃度については、1.50であることが必要とされ、1.60以上であると望ましく、1.70以上であるとより望ましい。
【0087】
[ウェットラブ]
各感熱記録ライナーレスラベル上に常温の水道水を1滴(約20μL)滴下し、滴下した水道水と共に指で表面を擦り、表面を観察し、下記の基準で評価した。
○:50往復以上擦っても表面の塗膜剥がれがなく、問題なし。
△:50往復擦ると表面に僅かな塗膜剥がれが生じるが、実使用上問題なし。
×:50往復以下で表面の塗膜剥がれが生じ、実使用上問題有り。
【0088】
[印字かすれ]
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、各感熱記録ライナーレスラベルについて印加エネルギー:0.25mJ/dotにて5mの黒ベタ印字を印字率100%で行い、記録後の感熱記録ライナーレスラベルの表面を観察し、下記の基準で評価した。
○:ヘッド粕による印字障害はなく、実使用上問題なし。
△:ヘッド粕による印字障害が僅かに見られるが、実使用上問題なし。
×:ヘッド粕による印字障害が発生し、実使用上問題有り。
【0089】
【表1】