(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B61D 47/00 20060101AFI20231017BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
B61D47/00 A
B61B13/00 A
B61B13/00 C
B61B13/00 G
(21)【出願番号】P 2020218103
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 恒志朗
(72)【発明者】
【氏名】柴田 敬司
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩司
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-202806(JP,A)
【文献】特開2007-213495(JP,A)
【文献】特開2018-036723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 47/00
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する第1搬送車と、前記第1搬送車が往復走行可能な第1直線経路と、を備える物品搬送設備であって、
前記第1直線経路の所定位置から
、前記第1直線経路の所定位置を含んで前記第1直線経路と交差する方向に延設される第2直線経路と、
前記第2直線経路を往復走行可能であり、前記第1直線経路の前記所定位置において前記第1搬送車との間で前記物品の受け渡しを行う第2搬送車と、
を少なくとも備え、
前記物品搬送設備は、第1位置判別装置及び第2位置判別装置を備え、
前記第1位置判別装置は、前記所定位置を含む第1直線経路が設置された地上側に設けられた第1判別用対象物と、前記第1搬送車に設けられて前記第1判別用対象物との協働作用により前記所定位置を含む前記第1直線経路上での前記第1搬送車の位置を読み取る第1読取装置とを備え、
前記第2位置判別装置は、前記第1直線経路が設置された地上側における、前記所定位置を含む前記第1判別用対象物の設置位置とは異なる別の位置であって、前記所定位置を含まない前記別の位置に設けられた第2判別用対象物と、前記第1搬送車に設けられて前記第2判別用対象物との協働作用により前記第1直線経路上での前記第1搬送車の位置を読み取る第2読取装置とを備え、
前記第1直線経路上にて前記第1
読取装置と前記第2
読取装置とを切り換えること
を特徴とする物品搬送設備。
【請求項2】
前記
第1判別用対象物及び前記
第2判別用対象物は、前記第1直線経路に沿って設けられ、前記第1直線経路上における前記第1搬送車の位置を特定するため
の識別子によって構成されること
を特徴とする請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記第1位置判別装置及び前記第2位置判別装置は、光学式装置によって構成されること
を特徴とする請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記第1搬送車は、前記
第1読取装置と前記
第2読取装置とを切り換える際に、前記第1位置判別装置
による検出値と前記第2位置判別装置
による検出値との間の差分を補正することで前記第1直線経路上での前記第1搬送車の位置が判別されること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線経路を往復動する複数の搬送車間で物品の受け渡しを行うことで物品を搬送する物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品搬送設備としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の物品搬送設備は、2本の平行な走行レールを内側と外側とに各々L字状に配置し、2台の搬送車を走行レールに沿って往復走行させるものである。2台の搬送車は、L字状の走行レールの両端部付近に設けられる受台(載置部)と、L字状の走行レールのコーナー部付近に設けられる受台(載置部)と、の間で物品を搬送する。特許文献1の物品搬送設備のような従来の物品搬送設備においては、各搬送車に設けられる光学式の距離計によって測定された距離に基づいて、走行レールに沿った搬送車の位置が判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の物品搬送設備では、光学式の距離計から出射される測定光を反射する反射板を搬送車の走行経路のコーナー部に配置する場合、例えば、
図10に示すようなZ字状の走行経路101の各直線経路101A、101B、101Cを往復動する第1搬送車102、第2搬送車103、第3搬送車104を有する従来の物品搬送設備100では、第1搬送車102に設けられた光学式の距離計105から反射板106に向けて出射される測定光の光軸Xが、走行経路101のコーナー部107に停止している第2搬送車103によって遮られる場合があり、当該距離計105による距離測定を充分に行うことができなかった。そのため、走行経路101(直線経路101A)上での第1搬送車102の位置を正確に判別することができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、走行経路上での搬送車の位置を正確に判別可能な物品搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の物品搬送設備は、
物品を搬送する第1搬送車と、前記第1搬送車が往復走行可能な第1直線経路と、を備える物品搬送設備であって、
前記第1直線経路の所定位置から、前記第1直線経路の所定位置を含んで前記第1直線経路と交差する方向に延設される第2直線経路と、
前記第2直線経路を往復走行可能であり、前記第1直線経路の前記所定位置において前記第1搬送車との間で前記物品の受け渡しを行う第2搬送車と、
を少なくとも備え、
前記物品搬送設備は、第1位置判別装置及び第2位置判別装置を備え、
前記第1位置判別装置は、前記所定位置を含む第1直線経路が設置された地上側に設けられた第1判別用対象物と、前記第1搬送車に設けられて前記第1判別用対象物との協働作用により前記所定位置を含む前記第1直線経路上での前記第1搬送車の位置を読み取る第1読取装置とを備え、
前記第2位置判別装置は、前記第1直線経路が設置された地上側における、前記所定位置を含む前記第1判別用対象物の設置位置とは異なる別の位置であって、前記所定位置を含まない前記別の位置に設けられた第2判別用対象物と、前記第1搬送車に設けられて前記第2判別用対象物との協働作用により前記第1直線経路上での前記第1搬送車の位置を読み取る第2読取装置とを備え、
前記第1直線経路上にて前記第1読取装置と前記第2読取装置とを切り換えるものである。
上記構成では、第1搬送車は、第1直線経路上にて第1位置判別装置の第1読取装置と第2位置判別装置の第2読取装置とを切り換えることで、第1直線経路上での位置が判別される。ここで、第1直線経路の所定位置とは、第1直線経路上の任意の位置であり、第1直線経路上の所定の範囲の位置をいう。
【0007】
本発明の物品搬送設備は、前記第1判別用対象物及び前記第2判別用対象物が、前記第1直線経路に沿って設けられ、前記第1直線経路上における前記第1搬送車の位置を特定するための識別子によって構成されるものである。
上記構成では、第1搬送車は、読取装置による識別子の読み取りによって、第1直線経路上での位置が判別される。
【0008】
本発明の物品搬送設備は、前記第1位置判別装置及び前記第2位置判別装置が、光学式装置によって構成されるものである。
上記構成では、第1搬送車は、光学式装置によって、第1直線経路上での位置が判別される。
【0009】
本発明の物品搬送設備では、前記第1搬送車は、前記第1読取装置と前記第2読取装置とを切り換える際に、前記第1位置判別装置による検出値と前記第2位置判別装置による検出値との間の差分を補正することで前記第1直線経路上での前記第1搬送車の位置が判別されるものである。
上記構成では、第1位置判別装置の第1読取装置と第2位置判別装置の第2読取装置との切り換え時に、第1位置判別装置による検出値と第2位置判別装置による検出値との間の差分を補正する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の物品搬送設備によれば、第1搬送車は第1位置判別装置の第1読取装置と第2位置判別装置の第2読取装置とを切り換えることで、第1直線経路上での第1搬送車の位置を判別することから、第1搬送車以外の他の搬送車(第2搬送車)の状況に応じて第1搬送車の位置の判別を行うことができる。そのため、第1搬送車以外の他の搬送車(第2搬送車)が第1搬送車の位置の判別の妨げとならない。それゆえに、第1直線経路(走行経路)上での第1搬送車の位置を正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【
図2】同物品搬送設備の搬送車を示す正面図である。
【
図3】本発明に係る第2実施形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【
図4】
第1参考形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【
図5】
第2参考形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【
図6】
第3参考形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【
図7】
第4参考形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【
図8】
第5参考形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【
図9】
第6参考形態の物品搬送設備を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
まず、本発明に係る物品搬送設備の第1実施形態について説明する。
【0013】
第1実施形態の物品搬送設備10は、例えば、液晶パネルの製造工場において、液晶パネルが収容されたカセット90(「物品」の一例)を保管する複数の保管棚間に設けられる設備であり、カセット90をある保管棚から他の保管棚へ搬送するためのものである。
【0014】
図1に示すように、物品搬送設備10は、カセット90を搬送するための搬送車(第1搬送車11、第2搬送車12、第3搬送車13)を走行させるための平面視略Z字状の走行経路14が図示しない保管棚間に設けられている。走行経路14は、3つの直線経路と、2つのコーナー部と、を備える。具体的には、走行経路14は、その中央部に形成される第1直線経路15と、第1直線経路15の一端部(「第1直線経路の所定位置」の一例)から延設される第2直線経路16と、第1直線経路15の他端部(「第1直線経路の所定位置から離れた位置」の一例)から延設される第3直線経路17と、第1直線経路15の一端部に設けられる第1コーナー部18と、第1直線経路15の他端部に設けられる第2コーナー部19と、から構成されている。
【0015】
第1直線経路15は、第1搬送車11を往復走行させるための直線状の走行経路である。第2直線経路16は、第2搬送車12を往復走行させるための直線状の走行経路である。第2直線経路16は、第2搬送車12の走行方向が第1直線経路15と水平に直交するように第1直線経路15の一端部から第1直線経路15に対して直角に延設される。第3直線経路17は、第3搬送車13を往復走行させるための直線状の走行経路である。第3直線経路17は、第3搬送車13の走行方向が第1直線経路15と水平に直交するように第1直線経路15の他端部から第1直線経路15に対して直角に延設される。ここで、第3直線経路17は、第1直線経路15において第2直線経路16が延設されている側とは反対側に延設されている。第2直線経路16と第3直線経路17とは、第1直線経路15から延設される延設方向が互いに逆方向となるように第1直線経路15から延設されている。
【0016】
第1コーナー部18は、第1直線経路15の一端部であって、第1直線経路15と第2直線経路16とが合流する部分に形成されている。第2コーナー部19は、第1直線経路15の他端部であって、第1直線経路15と第3直線経路17とが合流する部分に形成されている。
【0017】
第1コーナー部18付近には、カセット90を受けるための第1受台20が設けられている。第1受台20では、第1搬送車11によって搬送されたカセット90が載置(荷下ろし)され、載置されたカセット90が第2搬送車12に受け渡される(荷積みされる)。また、第1受台20では、第2搬送車12によって搬送されたカセット90が載置され、載置されたカセット90が第1搬送車11に受け渡される。
第2コーナー部19付近には、カセット90を受けるための第2受台21が設けられている。第2受台21では、第1搬送車11によって搬送されたカセット90が載置され、載置されたカセット90が第3搬送車13に受け渡される。また、第2受台21では、第3搬送車13によって搬送されたカセット90が載置され、載置されたカセット90が第1搬送車11に受け渡される。
第2直線経路16の端部付近であって第1コーナー部18の反対側の端部付近には、カセット90を受けるための第3受台22が設けられている。第3受台22では、第2搬送車12によって搬送されたカセット90が載置され、又は図示しない保管棚から搬送されたカセット90が第2搬送車12に受け渡される。
第3直線経路17の端部付近であって第2コーナー部19の反対側の端部付近には、カセット90を受けるための第4受台23が設けられている。第4受台23では、第3搬送車13によって搬送されたカセット90が載置され、又は図示しない保管棚から搬送されたカセット90が第3搬送車13に受け渡される。
【0018】
図2に示すように、第1搬送車11、第2搬送車12、及び第3搬送車13は、それぞれ同一の構造であり、前後に車輪24を有する車体25と、車体25に設けられカセット90を昇降可能に支持するリフタ26と、から構成されている。第1から第3搬送車11、12、13は、各直線経路(第1から第3直線経路15、16、17)に敷設された走行レール27に沿って走行する。第1から第3搬送車11、12、13は、リフタ26を昇降させることで、担当する受台(第1から第4受台20、21、22、23)においてカセット90の荷下ろし及び荷積みを行う。
【0019】
図1に示すように、第1から第3搬送車11、12、13は、バーコードテープと、バーコードリーダと、から構成される位置判別装置(バーコードポジショニングシステム)によって、往復走行を行う各直線経路上での位置が判別される。第1から第3搬送車11、12、13の走行は、当該位置判別装置によって判別される各直線経路上での位置に基づいて制御される。
【0020】
第1搬送車11は、第1位置判別装置30と、第2位置判別装置33と、の2台の位置判別装置によって、第1直線経路15上での位置が判別される。
第1位置判別装置30は、第1搬送車11が第2コーナー部19(第1直線経路15の他端部)から第1コーナー部18(第1直線経路15の一端部)に向けて走行する際の第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別するものである。第1位置判別装置30は、第2コーナー部19から第1直線経路15上の所定位置28に至る間の絶対位置(距離)の情報がバーコードで記録された第1バーコードテープ31(「識別子」の一例)と、第1バーコードテープ31に記録されたバーコードを光学的に読み取る第1バーコードリーダ32(「読取装置」の一例)と、から構成されている。
第1バーコードテープ31は、第2コーナー部19から第1直線経路15上の所定位置28の間で第1直線経路15の一方の側部に第1直線経路15に沿って延設される。第1バーコードリーダ32は、第1搬送車11の一方の側部に第1バーコードテープ31のバーコードを読み取り可能な位置に設けられる。具体的には、第1バーコードリーダ32は、第1搬送車11が第1コーナー部18に向けて走行する際に第1搬送車11の進行方向左側となる第1搬送車11の側部に設けられる。
【0021】
第2位置判別装置33は、第1搬送車11が第1コーナー部18から第2コーナー部19に向けて走行する際の第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別するものである。第2位置判別装置33は、第1コーナー部18から第1直線経路15上の所定位置28に至る間の絶対位置(距離)の情報がバーコードで記録された第2バーコードテープ34(「識別子」の一例)と、第2バーコードテープ34に記録されたバーコードを光学的に読み取る第2バーコードリーダ35(「読取装置」の一例)と、から構成されている。
第2バーコードテープ34は、第1コーナー部18から第1直線経路15上の所定位置28の間で第1直線経路15の他方の側部(第1バーコードテープ31が設けられている側部と反対側の側部)に第1直線経路15に沿って延設される。第2バーコードリーダ35は、第1搬送車11の他方の側部(第1バーコードリーダ32が設けられている側部と反対側の側部)に第2バーコードテープ34のバーコードを読み取り可能な位置に設けられる。具体的には、第2バーコードリーダ35は、第1搬送車11が第2コーナー部19に向けて走行する際に第1搬送車11の進行方向左側となる第1搬送車11の側部に設けられる。
【0022】
第2搬送車12は、1台の第3位置判別装置36によって、第2直線経路16上での位置が判別される。
第3位置判別装置36は、第1コーナー部18から第2直線経路16の端部に至る間の絶対位置(距離)の情報がバーコードで記録された第3バーコードテープ37と、第3バーコードテープ37に記録されたバーコードを光学的に読み取る第3バーコードリーダ38と、から構成されている。
第3バーコードテープ37は、第1コーナー部18から第2直線経路16の端部の間で第2直線経路16の一方の側部に第2直線経路16に沿って延設される。第3バーコードリーダ38は、第2搬送車12の一方の側部に第3バーコードテープ37のバーコードを読み取り可能な位置に設けられる。具体的には、第3バーコードリーダ38は、第2搬送車12が第1コーナー部18に向けて走行する際に第2搬送車12の進行方向左側となる第2搬送車12の側部に設けられる。
【0023】
第3搬送車13は、1台の第4位置判別装置39によって、第3直線経路17上での位置が判別される。
第4位置判別装置39は、第2コーナー部19から第3直線経路17の端部に至る間の絶対位置(距離)の情報がバーコードで記録された第4バーコードテープ40と、第4バーコードテープ40に記録されたバーコードを光学的に読み取る第4バーコードリーダ41と、から構成されている。
第4バーコードテープ40は、第2コーナー部19から第3直線経路17の端部の間で第3直線経路17の一方の側部に第3直線経路17に沿って延設される。第4バーコードリーダ41は、第3搬送車13の一方の側部に第4バーコードテープ40のバーコードを読み取り可能な位置に設けられる。具体的には、第4バーコードリーダ41は、第3搬送車13が第2コーナー部19に向けて走行する際に第3搬送車13の進行方向左側となる第3搬送車13の側部に設けられる。
【0024】
第1から第3搬送車11、12、13は、地上側に設けられるコントローラ及び搬送車側に設けられる車体側コントローラによって走行等の動作が制御される。
【0025】
地上側コントローラと、第1搬送車11の車体側コントローラとの間の信号の授受は、送受信部42、45を介した光伝送によって行う。地上側コントローラの送受信部42は、第1コーナー部18に設けられる。
地上側コントローラは、第1位置判別装置30または第2位置判別装置33によって判別された第1直線経路15上での第1搬送車11の位置(距離)に基づいて第1搬送車11の動作を制御する。具体的には、地上側コントローラは、第1バーコードリーダ32または第2バーコードリーダ35の検出信号に基づいて判別された第1搬送車11の位置を少なくとも1つの条件として第1搬送車11の車体側コントローラに対して搬送指令を行う。
第1搬送車11に設けられる車体側コントローラは、地上側コントローラからの搬送指令に基づいて第1搬送車11の動作を制御する。
【0026】
地上側コントローラと、第2搬送車12の車体側コントローラとの間の信号の授受は、送受信部43、46を介した光伝送によって行う。地上側コントローラの送受信部43は、第2直線経路16の端部に設けられる。
地上側コントローラは、第3バーコードリーダ38の検出信号に基づいて判別された第2搬送車12の位置を少なくとも1つの条件として第2搬送車12の車体側コントローラに対して搬送指令を行う。
【0027】
地上側コントローラと、第3搬送車13の車体側コントローラとの間の信号の授受は、送受信部44、47を介した光伝送によって行う。地上側コントローラの送受信部44は、第3直線経路17の端部に設けられる。
地上側コントローラは、第4バーコードリーダ41の検出信号に基づいて判別された第3搬送車13の位置を少なくとも1つの条件として第3搬送車13の車体側コントローラに対して搬送指令を行う。
【0028】
次に、第1位置判別装置30及び第2位置判別装置33による第1直線経路15上での第1搬送車11の位置の判別について説明する。
図1に示すように、第1搬送車11が第2コーナー部19から第1コーナー部18に向けて走行する際には、まず、第1位置判別装置30によって第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。具体的には、第1バーコードリーダ32が、第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31のバーコードを読み取り、読み取った情報を車体側コントローラに送信する。車体側コントローラは、第1バーコードリーダ32から送信される情報(第1位置判別装置30の検出値)に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別し、地上側コントローラに第1搬送車11の位置を送信する。第1バーコードリーダ32は、第1バーコードテープ31が設けられている第1直線経路15の所定位置28まで第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31のバーコードを読み取る。ここで、第1直線経路15の所定位置28とは、第1直線経路15上の任意の位置であり、第1直線経路15上の所定の範囲の位置をいう。例えば、第1直線経路15の所定位置28は、第1直線経路15の中央部における所定の範囲の位置である。
【0029】
一方で、第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28まで走行すると、第2バーコードリーダ35が、第1搬送車11の走行に合わせて第2バーコードテープ34のバーコードの読み取りを開始し、読み取った情報を車体側コントローラに送信する。すなわち、第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を走行する際には、第1バーコードリーダ32が第1バーコードテープ31のバーコードを読み取るとともに、第2バーコードリーダ35が第2バーコードテープ34のバーコードを読み取る。
【0030】
第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を走行する際、車体側コントローラは、第1バーコードリーダ32及び第2バーコードリーダ35から送信される情報(第1及び第2位置判別装置30、33の検出値)に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。この時、車体側コントローラは、第1位置判別装置30の検出値と第2位置判別装置33の検出値との間の差分を補正して第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。
【0031】
第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を通過すると、第1バーコードリーダ32による読み取りが終了し、第2バーコードリーダ35のみが、第1搬送車11の走行に合わせて第2バーコードテープ34のバーコードを読み取る。すなわち、第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を通過するタイミングで、位置判別装置が第1位置判別装置30から第2位置判別装置33に切り換わる。そして、車体側コントローラは、第2バーコードリーダ35から送信される情報(第2位置判別装置33の検出値)に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。
【0032】
同様に、第1搬送車11が第1コーナー部18から第2コーナー部19に向けて走行する際には、まず、第2バーコードリーダ35が、第1搬送車11の走行に合わせて第2バーコードテープ34のバーコードを読み取り、読み取った情報を車体側コントローラに送信する。そして、第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28まで走行すると、第2バーコードリーダ35が、第2バーコードテープ34のバーコードを読み取るとともに、第1バーコードリーダ32が、第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31のバーコードの読み取りを開始し、読み取った情報を車体側コントローラに送信する。この時、車体側コントローラは、第1位置判別装置30の検出値と第2位置判別装置33の検出値との間の差分を補正して第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。
【0033】
第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を通過すると、第2バーコードリーダ35による読み取りが終了し、第1バーコードリーダ32のみが、第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31のバーコードを読み取る。すなわち、第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を通過するタイミングで、位置判別装置が第2位置判別装置33から第1位置判別装置30に切り換わる。
【0034】
このように、第1実施形態の物品搬送設備10では、第1搬送車11が第2コーナー部19から第1コーナー部18へ走行する時には、第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を通過するタイミングで、位置判別装置が第1位置判別装置30から第2位置判別装置33に切り換わり、第1搬送車11が第1コーナー部18から第2コーナー部19へ走行する時には、第1搬送車11が第1直線経路15の所定位置28を通過するタイミングで、位置判別装置が第2位置判別装置33から第1位置判別装置30に切り換わる。すなわち、第1実施形態の物品搬送設備10では、第1直線経路15上にて第1搬送車11の走行位置に応じて第1位置判別装置30と第2位置判別装置33とを切り換えることで、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が途切れることなく正確に判別される。
【0035】
第1実施形態の物品搬送設備10では、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置の判別を、第1及び第2バーコードテープ31、34と、第1及び第2バーコードリーダ32、35と、から構成される第1及び第2位置判別装置30、33(バーコードポジショニングシステム)によって行うことから、第1搬送車11の位置の判別を行うに際して、第1搬送車11以外の他の搬送車(第2搬送車12及び第3搬送車13)がコーナー部(第1コーナー部18及び第2コーナー部19)に停止している場合であっても、第1及び第2位置判別装置30、33の判別が、第1搬送車11以外の他の搬送車(第2搬送車12及び第3搬送車13)によって遮られることがない。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る物品搬送設備の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の物品搬送設備10Aでは、第1実施形態の物品搬送設備10と同一の構成についてはその説明を省略する。
【0037】
図3に示すように、第2実施形態の物品搬送設備10Aでは、第1直線経路15を往復走行する第1搬送車11は、第1実施形態の物品搬送設備10と同様に、バーコードテープと、バーコードリーダと、から構成される第1位置判別装置30及び第2位置判別装置33によって、第1直線経路15上での位置が判別される。また、第2直線経路16を往復走行する第2搬送車12は、光学式の距離計から構成される第3位置判別装置36Aによって、第2直線経路16上での位置が判別される。同様に、第3直線経路17を往復走行する第3搬送車13は、光学式の距離計から構成される第4位置判別装置39Aによって、第3直線経路17上での位置が判別される。
【0038】
第3位置判別装置36Aは、第2搬送車12に設けられる光学式の第1距離計48と、第2直線経路16の端部(第1コーナー部18と反対側の端部)に設けられる第1反射板49と、から構成されている。第1距離計48は、第2搬送車12が第2直線経路16の端部に向けて走行する際の第2搬送車12の進行方向前側に設けられている。
第4位置判別装置39Aは、第3搬送車13に設けられる光学式の第2距離計50と、第3直線経路17の端部(第2コーナー部19と反対側の端部)に設けられる第2反射板51と、から構成されている。第2距離計50は、第3搬送車13が第3直線経路17の端部に向けて走行する際の第3搬送車13の進行方向前側に設けられている。
【0039】
第2実施形態の物品搬送設備10Aでは、第1実施形態の物品搬送設備10と同様に、第1及び第2位置判別装置30、33(バーコードポジショニングシステム)によって行うことから、第1搬送車11の位置の判別を行うに際して、第1及び第2位置判別装置30、33の判別が、第1搬送車11以外の他の搬送車(第2搬送車12及び第3搬送車13)によって遮られることがない。
【0040】
[第1参考形態]
次に、物品搬送設備の第1参考形態について説明する。なお、第1参考形態の物品搬送設備10Bでは、第1及び第2の実施形態の物品搬送設備10、10Aと同一の構成についてはその説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、
第1参考形態の物品搬送設備10Bでは、第1搬送車11は、光学式の距離計から構成される第1位置判別装置30A(「光学式装置」の一例)及び第2位置判別装置33A(「光学式装置」の一例)によって、第1直線経路15上での位置が判別される。すなわち、
第1参考形態の物品搬送設備10Bでは、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が、2台の光学式の位置判別装置によって判別される。
また、第2搬送車12及び第3搬送車13は、第2実施形態の物品搬送設備10Aと同様に、光学式の距離計から構成される第3位置判別装置36A或いは第4位置判別装置39Aによって、第2直線経路16上或いは第3直線経路17上での位置が判別される。
【0042】
第1位置判別装置30Aは、第1搬送車11に設けられる光学式の第3距離計52と、第1コーナー部18に設けられる第3反射板53と、から構成されている。第3距離計52は、第1搬送車11が第1コーナー部18に向けて走行する際の第1搬送車11の進行方向前側に設けられている。
第2位置判別装置33Aは、第1搬送車11に設けられる光学式の第4距離計54と、第2コーナー部19に設けられる第4反射板55と、から構成されている。第4距離計54は、第1搬送車11が第2コーナー部19に向けて走行する際の第1搬送車11の進行方向前側に設けられている。すなわち、第4距離計54は、第1搬送車11において第3距離計52とは反対側に設けられている。
【0043】
地上側コントローラは、第3距離計52または第4距離計54によって検出された第1直線経路15上での第1搬送車11の位置に基づいて第1搬送車11の動作を制御する。地上側コントローラと、車体側コントローラとの間の信号の授受は、送受信部42、45を介した光伝送によって行う。
【0044】
次に、第1位置判別装置30A及び第2位置判別装置33Aによる第1直線経路15上での第1搬送車11の位置の判別について説明する。
図4に示すように、第1搬送車11が第2コーナー部19から第1コーナー部18に向けて走行する際には、第1位置判別装置30Aによって第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。具体的には、第3距離計52が、第1搬送車11の走行に合わせて、第1搬送車11と第3反射板53との間の距離を測定する。第3距離計52は、測定した測定値を車体側コントローラに送信する。車体側コントローラは、第3距離計52から送信される上記距離の測定値に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。第3距離計52は、第1搬送車11が第1コーナー部18に到着するまで第1搬送車11と第3反射板53との間の距離を測定する。
【0045】
一方で、第1搬送車11が第1コーナー部18から第2コーナー部19に向けて走行する際には、第2位置判別装置33Aによって第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。すなわち、第1搬送車11が第1コーナー部18から第2コーナー部19に向けて走行するタイミングで位置判別装置を第1位置判別装置30Aから第2位置判別装置33Aに切り換えて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。具体的には、第4距離計54が、第1搬送車11の走行に合わせて、第1搬送車11と第4反射板55との間の距離を測定する。第4距離計54は、測定した測定値を第1コントローラ42に送信する。第1コントローラ42は、第4距離計54から送信される上記距離の測定値に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。第4距離計54は、第1搬送車11が第2コーナー部19に到着するまで第1搬送車11と第4反射板55との間の距離を測定する。
【0046】
このように、第1参考形態の物品搬送設備10Bでは、第1直線経路15上での第1搬送車11の走行方向に応じて、第1位置判別装置30Aと第2位置判別装置33Aとを切り換えることで、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。すなわち、第1直線経路15上での第1搬送車11の走行方向が変わるタイミング(第1搬送車11が第1コーナー部18或いは第2コーナー部19に停止するタイミング)で、第1位置判別装置30Aと第2位置判別装置33Aとを切り換えることで、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。
【0047】
また、第1搬送車11が第2コーナー部19から第1コーナー部18に向けて走行する際に、第1コーナー部18に第2搬送車12が停止又は進入している場合には、第2搬送車12を検知したタイミングで位置判別装置を第1位置判別装置30Aから第2位置判別装置33Aに切り換えて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。同様に、第1搬送車11が第1コーナー部18から第2コーナー部19に向けて走行する際に、第2コーナー部19に第3搬送車13が停止又は進入している場合には、第3搬送車13を検知したタイミングで位置判別装置を第2位置判別装置33Aから第1位置判別装置30Aに切り換えて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。すなわち、第1搬送車11以外の他の搬送車(第2搬送車12及び第3搬送車13)によって、距離計から照射される測定光の光軸Xが遮られていない位置判別装置に切り換えて第1搬送車11の位置の判別を行うことができる。
【0048】
[第2参考形態]
次に、物品搬送設備の第2参考形態について説明する。なお、第2参考形態の物品搬送設備10Cでは、第1実施形態~第2実施形態及び第1参考形態の物品搬送設備10、10A、10Bと同一の構成についてはその説明を省略する。
【0049】
図5に示すように、
第2参考形態の物品搬送設備10Cでは、第1搬送車11は、
第1参考形態の物品搬送設備10Bと同様に、光学式の距離計から構成される第1位置判別装置30A及び第2位置判別装置33Aによって、第1直線経路15上での位置が判別される。また、第2搬送車12及び第3搬送車13は、第1実施形態の物品搬送設備10と同様に、バーコードテープと、バーコードリーダと、から構成される第3位置判別装置36或いは第4位置判別装置39によって、第2直線経路16上或いは第3直線経路17上での位置が判別される。
【0050】
第1位置判別装置30A及び第2位置判別装置33Aによる第1直線経路15上での第1搬送車11の位置の判別は、第1参考形態の物品搬送設備10Bと同様に、第1直線経路15上での第1搬送車11の走行方向が変わるタイミング(第1搬送車11が第1コーナー部18或いは第2コーナー部19に停止するタイミング)、あるいは他の搬送車(第2搬送車12及び第3搬送車13)を検知したタイミングで、第1位置判別装置30Aと第2位置判別装置33Aとを切り換えることで行う。
【0051】
[第3参考形態]
次に、物品搬送設備の第3参考形態について説明する。なお、第3参考形態の物品搬送設備10Dでは、第1実施形態~第2実施形態及び第1参考形態~第2参考形態の物品搬送設備10、10A、10B、10Cと同一の構成についてはその説明を省略する。
【0052】
第3参考形態の物品搬送設備10Dでは、各搬送車(第1搬送車11、第2搬送車12、第3搬送車13)を走行させるための走行経路が平面視略C字状の走行経路14Aによって構成されている。走行経路14Aは、第1直線経路15の一端部(「第1直線経路の所定位置」の一例)から延設される第2直線経路16Aの延設方向と、第1直線経路15の他端部(「第1直線経路の所定位置から離れた位置」の一例)から延設される第3直線経路17Aの延設方向と、が互いに同一方向となるように構成されている。
【0053】
第1搬送車11は、第1参考形態の物品搬送設備10Bと同様に、光学式の距離計から構成される第1位置判別装置30A及び第2位置判別装置33Aによって、第1直線経路15上での位置が判別される。また、第2搬送車12及び第3搬送車13は、第2実施形態の物品搬送設備10Aと同様に、光学式の距離計から構成される第3位置判別装置36A或いは第4位置判別装置39Aによって、第2直線経路16A上或いは第3直線経路17A上での位置が判別される。
【0054】
第1位置判別装置30A及び第2位置判別装置33Aによる第1直線経路15上での第1搬送車11の位置の判別は、第1参考形態の物品搬送設備10Bと同様に、第1直線経路15上での第1搬送車11の走行方向が変わるタイミング(第1搬送車11が第1コーナー部18或いは第2コーナー部19に停止するタイミング)、あるいは他の搬送車(第2搬送車12及び第3搬送車13)を検知したタイミングで、第1位置判別装置30Aと第2位置判別装置33Aとを切り換えることで行う。
【0055】
[第4参考形態]
次に、物品搬送設備の第4参考形態について説明する。なお、第4参考形態の物品搬送設備10Eでは、第1実施形態~第2実施形態及び第1参考形態~第3参考形態の物品搬送設備10、10A、10B、10C、10Dと同一の構成についてはその説明を省略する。
【0056】
図7に示すように、
第4参考形態の物品搬送設備10Eでは、
第3参考形態の物品搬送設備10Dと同様に、各搬送車(第1搬送車11、第2搬送車12、第3搬送車13)を走行させるための走行経路が平面視略C字状の走行経路14Aによって構成されている。
【0057】
第1搬送車11は、第1参考形態の物品搬送設備10Bと同様に、光学式の距離計から構成される第1位置判別装置30A及び第2位置判別装置33Aによって、第1直線経路15上での位置が判別される。また、第2搬送車12及び第3搬送車13は、第1実施形態の物品搬送設備10と同様に、バーコードテープと、バーコードリーダと、から構成される第3位置判別装置36或いは第4位置判別装置39によって、第2直線経路16A上或いは第3直線経路17A上での位置が判別される。
【0058】
第1位置判別装置30A及び第2位置判別装置33Aによる第1直線経路15上での第1搬送車11の位置の判別は、第1参考形態の物品搬送設備10Bと同様に、第1直線経路15上での第1搬送車11の走行方向が変わるタイミング(第1搬送車11が第1コーナー部18或いは第2コーナー部19に停止するタイミング)、あるいは他の搬送車(第2搬送車12及び第3搬送車13)を検知したタイミングで、第1位置判別装置30Aと第2位置判別装置33Aとを切り換えることで行う。
【0059】
[第5参考形態]
次に、物品搬送設備の第5参考形態について説明する。なお、第5参考形態の物品搬送設備10Fでは、第1実施形態~第2実施形態及び第1参考形態~第4参考形態の物品搬送設備10、10A、10B、10C、10D、10Eと同一の構成についてはその説明を省略する。
【0060】
図8に示すように、
第5参考形態の物品搬送設備10Fでは、各搬送車(第1搬送車11、第2搬送車12、第3搬送車13)を走行させるための走行経路が平面視略T字状の走行経路14Bによって構成されている。具体的には、走行経路14Bは、第1搬送車11を往復走行させるための第1直線経路15と、第1直線経路15の一端部の一側方(「第1直線経路の所定位置」の一例)から延設されて第2搬送車12を往復走行させるための第2直線経路16Bと、第1直線経路15の一端部の他側方(「第1直線経路の所定位置」の一例)から延設されて第3搬送車13を往復走行させるための第3直線経路17Bと、第1直線経路15の一端部に設けられ第2直線経路16B及び第3直線経路17Bが合流する第1合流部29と、から構成されている。
【0061】
第1合流部29には、カセット90を受けるための第1受台20Aが設けられている。第1受台20Aでは、第1搬送車11によって搬送されたカセット90が載置され、載置されたカセット90が第2搬送車12或いは第3搬送車13に受け渡される。また、第1受台20Aでは、第2搬送車12(第3搬送車13)によって搬送されたカセット90が載置され、載置されたカセット90が第1搬送車11或いは第3搬送車13(第2搬送車12)に受け渡される。
【0062】
第1搬送車11は、バーコードテープと、バーコードリーダと、から構成される第1位置判別装置30B及び第2位置判別装置33Bの2台の位置判別装置(バーコードポジショニングシステム)によって、第1直線経路15上での位置が判別される。
第1位置判別装置30Bは、第1搬送車11が第1直線経路15の他端部15Aから第1合流部29(第1直線経路15の一端部)に向けて走行する際の第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別するものである。第1位置判別装置30Bは、第1直線経路15の他端部15Aから第1合流部29の手前に至る間の絶対位置(距離)の情報がバーコードで記録された第1バーコードテープ31A(「識別子」の一例)と、第1合流部29での絶対位置(距離)の情報がバーコードで記録された第2バーコードテープ34A(「識別子」の一例)と、第1バーコードテープ31A及び第2バーコードテープ34Aに記録されたバーコードを光学的に読み取る第1バーコードリーダ32A(「読取装置」の一例)と、から構成されている。
【0063】
第1バーコードテープ31Aは、第1直線経路15の他端部15Aから第1合流部29の手前の間で第1直線経路15の一方の側部に第1直線経路15に沿って延設される。
第2バーコードテープ34Aは、第1合流部29であって第1直線経路15の一方の側部に第1直線経路15に沿って延設される。すなわち、第2バーコードテープ34Aは、第1バーコードテープ31Aが設けられている第1直線経路15の側部に設けられている。
第5参考形態の物品搬送設備10Fでは、第1搬送車11が走行するための走行レール27Aと、第2搬送車12及び第3搬送車13が走行するための走行レール27Bと、が第1合流部29において交差するため、第1バーコードテープ31Aを第1合流部29まで延設できない。そのため、第1合流部29には、第2バーコードテープ34Aが設けられている。
【0064】
第1バーコードリーダ32Aは、第1搬送車11の一方の側部に第1バーコードテープ31A及び第2バーコードテープ34Aのバーコードを読み取り可能な位置に設けられる。具体的には、第1バーコードリーダ32Aは、第1搬送車11が第1合流部29に向けて走行する際に第1搬送車11の進行方向右側となる第1搬送車11の側部であって、第1搬送車11の進行方向前側に設けられる。
【0065】
第2位置判別装置33Bは、第1搬送車11が第1合流部29から第1直線経路15の他端部15Aに向けて走行する際の第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別するものである。第2位置判別装置33Bは、第1バーコードテープ31A(「識別子」の一例)と、第2バーコードテープ34A(「識別子」の一例)と、第1バーコードテープ31A及び第2バーコードテープ34Aに記録されたバーコードを光学的に読み取る第2バーコードリーダ35A(「読取装置」の一例)と、から構成されている。すなわち、第1位置判別装置30B及び第2位置判別装置33Bでは、第1バーコードテープ31A及び第2バーコードテープ34Aが兼用される。
第2バーコードリーダ35Aは、第1搬送車11の一方の側部に第1バーコードテープ31A及び第2バーコードテープ34Aのバーコードを読み取り可能な位置に設けられる。具体的には、第2バーコードリーダ35Aは、第1搬送車11が第1合流部29に向けて走行する際に第1搬送車11の進行方向右側となる第1搬送車11の側部であって、第1搬送車11の進行方向後側に設けられる。すなわち、第1バーコードリーダ32Aと、第2バーコードリーダ35Aと、は、第1搬送車11の同じ側部に設けられ、第1搬送車11の進行方向に前後に並べて配置されている。
【0066】
第2搬送車12は、バーコードテープ80と、バーコードリーダ38A、38Bと、から構成される第3位置判別装置36Bによって、第2直線経路16B上での位置が判別される。
第3搬送車13は、バーコードテープ80と、バーコードリーダ41A、41Bと、から構成される第4位置判別装置39Bによって、第3直線経路17B上での位置が判別される。
【0067】
次に、第1位置判別装置30B及び第2位置判別装置33Bによる第1直線経路15上での第1搬送車11の位置の判別について説明する。
図8に示すように、第1搬送車11が第1直線経路15の他端部15Aから第1合流部29に向けて走行する際には、まず、第1位置判別装置30Bによって第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。具体的には、第1バーコードリーダ32Aが、第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31Aのバーコードを読み取り、読み取った情報を車体側コントローラに送信する。車体側コントローラは、第1バーコードリーダ32Aから送信される情報(第1位置判別装置30Bの検出値)に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。第1バーコードリーダ32Aは、第1バーコードテープ31Aが設けられている第1合流部29の手前まで第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31Aのバーコードを読み取る。
【0068】
一方で、第1搬送車11が第1合流部29の手前まで走行すると、第2バーコードリーダ35Aが、第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31Aのバーコードの読み取りを開始し、読み取った情報を車体側コントローラに送信する。すなわち、第1搬送車11が第1合流部29の手前を走行する際には、第1バーコードリーダ32Aが第1バーコードテープ31Aのバーコードを読み取るとともに、第2バーコードリーダ35Aも第1バーコードテープ31Aのバーコードを読み取る。
【0069】
第1搬送車11が第1合流部29の手前を走行する際、第1コントローラ42は、第1バーコードリーダ32A及び第2バーコードリーダ35Aから送信される情報(第1及び第2位置判別装置30B、33Bの検出値)に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。
【0070】
第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行すると、第1バーコードリーダ32Aによる読み取りが中断し、第2バーコードリーダ35Aのみが、第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31Aのバーコードを読み取る。すなわち、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行するタイミングで、位置判別装置が第1位置判別装置30Bから第2位置判別装置33Bに切り換わる。そして、車体側コントローラは、第2バーコードリーダ35から送信される情報(第2位置判別装置33Bの検出値)に基づいて、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。さらに、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過すると、第1バーコードリーダ32Aによる読み取りが再開し、第1バーコードリーダ32Aのみが、第1搬送車11の走行に合わせて第2バーコードテープ34Aのバーコードを読み取る。すなわち、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過するタイミングで、車体側コントローラは、第1バーコードリーダ32Aによって送信される情報と第2バーコードリーダ35Aによって送信される情報とに基づいて、第1位置判別装置30Bの検出値と第2位置判別装置33Bの検出値との間の差分を補正して第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別する。
その後、位置判別装置が第2位置判別装置33Bから第1位置判別装置30Bに再度切り換わる。
【0071】
同様に、第1搬送車11が第1合流部29から第1直線経路15の他端部15Aに向けて走行する際には、まず、第2バーコードリーダ35Aが、第1搬送車11の走行に合わせて第2バーコードテープ34Aのバーコードを読み取り、読み取った情報を車体側コントローラに送信する。そして、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行すると、第2バーコードリーダ35Aによる読み取りが中断し、第1バーコードリーダ32Aが、第1搬送車11の走行に合わせて第2バーコードテープ34Aのバーコードを読み取る。すなわち、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行するタイミングで、位置判別装置が第2位置判別装置33Bから第1位置判別装置30Bに切り換わる。さらに、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過すると、第2バーコードリーダ35Aによる読み取りが再開し、第2バーコードリーダ35Aのみが、第1搬送車11の走行に合わせて第1バーコードテープ31Aのバーコードを読み取る。すなわち、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過するタイミングで、位置判別装置が第1位置判別装置30Bから第2位置判別装置33Bに再度切り換わる。
【0072】
このように、第5参考形態の物品搬送設備10Fでは、第1搬送車11が第1直線経路15の他端部15Aから第1合流部29へ走行する時には、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行するタイミングで、位置判別装置が第1位置判別装置30Bから第2位置判別装置33Bに切り換わり、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過したタイミングで、再度、位置判別装置が第2位置判別装置33Bから第1位置判別装置30Bに切り換わる。また、第1搬送車11が第1合流部29から第1直線経路15の他端部15Aへ走行する時には、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行するタイミングで、位置判別装置が第2位置判別装置33Bから第1位置判別装置30Bに切り換わり、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過したタイミングで、再度、位置判別装置が第1位置判別装置30Bから第2位置判別装置33Bに切り換わる。すなわち、第5参考形態の物品搬送設備10Fでは、第1直線経路15上にて第1位置判別装置30Bと第2位置判別装置33Bとを切り換えることで、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置が判別される。
【0073】
なお、第5参考形態の物品搬送設備10Fでは、第2搬送車12が第2直線経路16Bを往復走行し、第3搬送車13が第3直線経路17Bを往復走行しているが、これに限定されるものではなく、第2搬送車12及び第3搬送車13のいずれか一方のみが、第2直線経路16B及び第3直線経路17Bを往復走行しても構わない。
【0074】
[第6参考形態]
次に、物品搬送設備の第6参考形態について説明する。なお、第6参考形態の物品搬送設備10Gでは、第1実施形態~第2実施形態及び第1参考形態~第5参考形態の物品搬送設備10、10A、10B、10C、10D、10E、10Fと同一の構成についてはその説明を省略する。
【0075】
第6参考形態の物品搬送設備10Gでは、各搬送車(第1搬送車11、第2搬送車12、第3搬送車13、第4搬送車60)を走行させるための走行経路が平面視略十字状の走行経路14Cによって構成されている。具体的には、走行経路14Cは、第1搬送車11を往復走行させるための第1直線経路15と、第1直線経路15の一端部の一側方(「第1直線経路の所定位置」の一例)から直角に延設されて第2搬送車12を往復走行させるための第2直線経路16Bと、第1直線経路15の一端部の他側方(「第1直線経路の所定位置」の一例)から直角に延設されて第3搬送車13を往復走行させるための第3直線経路17Bと、第1直線経路15の一端側方(「第1直線経路の所定位置」の一例)から第1直線経路15と同方向に延設されて第4搬送車60を往復走行させるための第4直線経路61と、第1直線経路15の一端部に設けられ第2直線経路16B、第3直線経路17B及び第4直線経路61が合流する第2合流部62と、から構成されている。
【0076】
第2合流部62には、カセット90を受けるための第1受台20Bが設けられている。第1受台20Bでは、第1搬送車11によって搬送されたカセット90が載置され、載置されたカセット90が第2搬送車12、第3搬送車13或いは第4搬送車60に受け渡される。また、第1受台20Bでは、第2搬送車12(第3搬送車13或いは第4搬送車60)によって搬送されたカセット90が載置され、載置されたカセット90が第1搬送車11或いは第3搬送車13(第2搬送車12或いは第4搬送車60)に受け渡される。
第4直線経路61の端部付近であって第2合流部62の反対側の端部付近には、カセット90を受けるための第5受台85が設けられている。第5受台85では、第4搬送車60によって搬送されたカセット90が載置され、又は図示しない保管棚から搬送されたカセット90が第4搬送車60に受け渡される。
【0077】
図2に示すように、第4搬送車60は、第1搬送車11、第2搬送車12、及び第3搬送車13と同一の構造であり、前後に車輪24を有する車体25と、車体25に設けられカセット90を昇降可能に支持するリフタ26と、から構成されている。第4搬送車60は、地上側に設けられる第4コントローラ63及び搬送車側に設けられる第4車体側コントローラ64によって走行等の動作が制御される
【0078】
第1搬送車11は、第5参考形態の物品搬送設備10Fと同様に、バーコードテープと、バーコードリーダと、から構成される第1位置判別装置30B及び第2位置判別装置33Bの2台の位置判別装置(バーコードポジショニングシステム)によって、第1直線経路15上での位置が判別される。
第4搬送車60は、バーコードテープ81と、バーコードリーダ82、83と、から構成される第5位置判別装置84によって、第4直線経路61上での位置が判別される。
【0079】
第6参考形態の物品搬送設備10Gでは、第5参考形態の物品搬送設備10Fと同様に、第1搬送車11が第1直線経路15の他端部15Aから第2合流部62へ走行する時には、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行するタイミングで、位置判別装置が第1位置判別装置30Bから第2位置判別装置33Bに切り換わり、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過したタイミングで、再度、位置判別装置が第2位置判別装置33Bから第1位置判別装置30Bに切り換わる。また、第1搬送車11が第2合流部62から第1直線経路15の他端部15Aへ走行する時には、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を走行するタイミングで、位置判別装置が第2位置判別装置33Bから第1位置判別装置30Bに切り換わり、第1搬送車11が走行レール27Aと走行レール27Bとが交差する位置を通過したタイミングで、再度、位置判別装置が第1位置判別装置30Bから第2位置判別装置33Bに切り換わる。
【0080】
なお、第6参考形態の物品搬送設備10Gでは、第2搬送車12が第2直線経路16Bを往復走行し、第3搬送車13が第3直線経路17Bを往復走行しているが、これに限定されるものではなく、第2搬送車12及び第3搬送車13のいずれか一方のみが、第2直線経路16B及び第3直線経路17Bを往復走行しても構わない。同様に、第1搬送車11が第1直線経路15を往復走行し、第4搬送車60が第4直線経路61を往復走行しているが、これに限定されるものではなく、第1搬送車11及び第4搬送車60のいずれか一方のみが、第1直線経路15及び第4直線経路61を往復走行しても構わない。
第6参考形態の物品搬送設備10Gでは、走行経路が平面視略十字状の走行経路14Cによって構成されているが、これに限定されるものではなく、走行経路を平面視略X字状の走行経路(第1直線経路15と第4直線経路61とからなる直線経路と、第2直線経路16Bと第3直線経路17Bとからなる直線経路と、が直角ではない所定の角度を有して交差する走行経路)によって構成しても構わない。
【0081】
以上のように、物品搬送設備10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10Gによれば、第1位置判別装置30、30A、30Bと第2位置判別装置33、33A、33Bとを切り換えることで、第1直線経路15上での第1搬送車11の位置を判別することから、第1搬送車11以外の他の搬送車(第2搬送車12、第3搬送車13、第4搬送車60)の状況に応じて第1搬送車11の位置の判別を行うことができる。そのため、第1搬送車以外の他の搬送車(第2搬送車12、第3搬送車13、第4搬送車60)が第1搬送車11の位置の判別の妨げとならない。それゆえに、第1直線経路15(走行経路)上での第1搬送車11の位置を正確に判別することができる。
【0082】
なお、第1実施形態~第2実施形態及び第1参考形態~第6参考形態では、第1から第4搬送車11、12、13、60の動作が、地上側に設けられるコントローラを介して制御されているが、これに限定されるものではなく、搬送車側に設けられる車体側コントローラのみで制御しても構わない。
第1実施形態~第2実施形態及び第1参考形態~第6参考形態では、第1から第4搬送車11、12、13、60の位置の判別を、バーコードテープと、バーコードリーダと、から構成される位置判別装置又は光学式装置から構成される位置判別装置のいずれか一方で行っているが、これに限定されるものではなく、両方式の位置判別装置を併用して位置の判別を行っても構わない。
また、位置判別装置として、磁気スケールと磁気センサからなる磁気式の装置や、スケールと光電センサからなる光学式の装置等を採用し、位置の判別を行っても構わない。
【符号の説明】
【0083】
10 物品搬送設備
11 第1搬送車
12 第2搬送車
15 第1直線経路
16 第2直線経路
30 第1位置判別装置
33 第2位置判別装置
90 カセット(物品)