(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-16
(45)【発行日】2023-10-24
(54)【発明の名称】脳機能計測装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20231017BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B5/055 380
(21)【出願番号】P 2020571033
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2019050294
(87)【国際公開番号】W WO2020162063
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2019021925
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【氏名又は名称】岸本 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【氏名又は名称】江口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊平
(72)【発明者】
【氏名】石川 亮宏
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-116213(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076795(WO,A1)
【文献】特開2018-061668(JP,A)
【文献】国際公開第2017/136285(WO,A1)
【文献】特開2002-360538(JP,A)
【文献】MANNING, K.Y., et al.,Multiparametric MRI changes persist beyond recovery in concussed adolescent hockey players,Neurology,2017年11月21日,Vol.89, No.21,pp.2157-2166,<DOI: 10.1212/WNL.0000000000004669>
【文献】ROSENBAUM, D. et al.,State-dependent altered connectivity in late-life depression: a functional near-infrared spectroscopy study,Neurobiology of Aging,2016年03月,Vol.39,pp.57-68,<DOI: 10.1016/j.neurobiolaging.2015.11.022>
【文献】WU, Z., et al.,Altered cortical activation and connectivity patterns for visual attention processing in young adults post-traumatic brain injury: A functional near infrared spectroscopy study,CNS Neuroscience & Therapeutics,2018年06月,Vol.24, No.6,pp.539-548,<DOI: 10.1111/cns.12811>
【文献】SAKAKIBARA, E., et al.,Detection of resting state functional connectivity using partial correlation analysis: A study using multi-distance and whole-head probe near-infrared spectroscopy,NeuroImage,2016年11月15日,Vol.142,pp.590-601,<DOI: 10.1016/j.neuroimage.2016.08.011>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/055
A61B 5/00
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脳血流情報を取得する脳血流情報取得部と、
タスクの提示前後における脳の複数の部分において計測した前記脳血流情報に基づいて取得した脳の各々の部分同士の相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報を取得する脳機能情報取得部と、
前記脳血流情報の各々の計測位置と、前記脳機能相関情報に基づいて取得された前記相関関係が変化した前記計測位置とを視認可能な第1脳機能画像
と、前記タスクの提示時の前記脳血流情報に基づいて取得した前記タスクの提示時の脳機能が活性化された前記計測位置を含む領域を視認可能な第2脳機能画像と、を生成する脳機能画像生成部と、
被験者の脳の形状を示すマップを取得する脳形状情報取得部と、を備え、
前記脳機能画像生成部は、前記マップ上に前記計測位置が表示されるとともに、前記マップ上における前記脳機能相関情報の位置が視認可能な前記第1脳機能画像を生成するように構成されており、
前記脳機能画像生成部は、前記相関関係の変化量に基づいて、前記相関関係の活性化の度合いが閾値を超えた場合に、前記閾値を超えて前記相関関係が活性化した前記計測位置同士を結んで表示した前記第1脳機能画像を生成
し、当該第1脳機能画像と前記第2脳機能画像とを対比可能に表示することが可能なように出力するように構成されている脳機能計測装置。
【請求項2】
前記脳機能画像生成部は、前記マップ上において、前記タスクの提示前後において前記相関関係が活性化された前記計測位置同士を接続線によって結んで表示した前記第1脳機能画像を生成するように構成されている、請求項1に記載の脳機能計測装置。
【請求項3】
前記脳機能画像生成部は、前記タスクの提示前後において、前記第1脳機能画像における前記相関関係の活性化の程度が識別可能な前記第1脳機能画像を生成するように構成されている、請求項2に記載の脳機能計測装置。
【請求項4】
前記脳機能画像生成部は、前記接続線の色または幅のうち、少なくとも一方を変更することにより、前記相関関係の活性化の程度を識別可能な前記第1脳機能画像を生成するように構成されている、請求項3に記載の脳機能計測装置。
【請求項5】
前記脳機能情報取得部は、前記タスクの提示前後における前記相関関係の差分値を取得することにより、前記脳機能相関情報を取得するように構成されている、請求項1に記載の脳機能計測装置。
【請求項6】
前記脳機能画像生成部は、前記第1脳機能画像と、前記第2脳機能画像とを重ねて表示可能に出力するように構成されている、請求項
1に記載の脳機能計測装置。
【請求項7】
前記脳機能画像生成部は、前記第1脳機能画像と、前記第2脳機能画像とを並べて表示可能に出力するように構成されている、請求項
1に記載の脳機能計測装置。
【請求項8】
前記脳機能画像生成部は、前記第1脳機能画像の前記計測位置における前記脳機能相関情報の位置関係の表示態様と、前記第2脳機能画像における前記タスクの提示時の脳機能が活性化された前記計測位置を含む領域の表示態様とを異ならせて、前記第1脳機能画像および前記第2脳機能画像を生成するように構成されている、請求項
1に記載の脳機能計測装置。
【請求項9】
被験者の脳血流情報を取得する脳血流情報取得部と、
タスクの提示前後における前記脳血流情報に基づく脳の各々の部分同士の相関関係の相対変化を示す第1脳機能画像と、前記タスクの提示時における前記脳血流情報に基づく脳の機能が活性化された領域を示す第2脳機能画像を生成するとともに、前記第1脳機能画像と、前記第2脳機能画像とを対比可能に表示することが可能なように出力する脳機能画像生成部と、
被験者の脳の形状を示すマップを取得する脳形状情報取得部と、を備え、
前記脳機能画像生成部は、前記マップ上に前記脳血流情報の各々の計測位置が表示されるとともに、前記マップ上における前記相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報の位置が視認可能な前記第1脳機能画像を生成するように構成されている、脳機能計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳機能計測装置に関し、特に、タスク提示前後における脳機能を計測する脳機能計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タスク提示前後における脳機能を計測する脳機能計測装置が知られている。このような脳機能計測装置は、たとえば、特開2015-116213号公報に開示されている。
【0003】
特開2015-116213号公報に開示されている脳機能計測装置は、タスク提示前後における被験者の脳血流量を計測し、計測した脳血流量に基づいて、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化を算出するように構成されている。
【0004】
具体的には、特開2015-116213号公報に開示されている脳機能計測装置は、タスク提示後の安静時における複数の所定領域間の脳領域の機能的な結合の値から、タスク提示前の安静時における複数の所定領域間の脳領域の機能的な結合の値を減算することにより、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化を算出するように構成されている。また、特開2015-116213号公報では、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)を、各関心領域名を縦軸および横軸としたマトリクス図を用いて示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2015-116213号公報に記載されているマトリクス図は、各関心領域名を並べたものである。したがって、熟練者以外が、タスク提示前後における脳領域のうち、脳のどの部分の領域間の相関関係(機能的な結合)が変化しているのかを直感的に把握することが難しいという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化および相関関係(機能的な結合)が変化した脳領域の位置を直感的に把握することが可能な脳機能計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における脳機能計測装置は、被験者の脳血流情報を取得する脳血流情報取得部と、タスクの提示前後における脳の複数の部分において計測した脳血流情報に基づいて取得した脳の各々の部分同士の相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報を取得する脳機能情報取得部と、脳血流情報の各々の計測位置の相対位置と、脳機能相関情報に基づいて取得された相関関係が変化した計測位置とを視認可能な第1脳機能画像を生成する脳機能画像生成部と、被験者の脳の形状を示すマップを取得する脳形状情報取得部と、を備え、脳機能画像生成部は、マップ上に脳血流情報の各々の計測位置が表示されるとともに、マップ上における相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報の位置が視認可能な第1脳機能画像を生成するように構成されており、脳機能画像生成部は、相関関係の変化量に基づいて、相関関係の活性化の度合いが閾値を超えた場合に、閾値を超えて相関関係が活性化した計測位置同士を結んで表示した第1脳機能画像を生成するように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面における脳機能計測装置は、上記のように、脳血流情報の計測位置の各々の相対位置と、脳機能相関情報に基づいて取得された相相関関係が変化した計測位置とを視認可能な第1脳機能画像を生成する脳機能画像生成部を備え、被験者の脳の形状を示すマップを取得する脳形状情報取得部と、を備え、脳機能画像生成部は、マップ上に計測位置が表示されるとともに、マップ上における脳機能相関情報の位置が視認可能な第1脳機能画像を生成するように構成されており、脳機能画像生成部は、相関関係の変化量に基づいて、相関関係の活性化の度合いが閾値を超えた場合に、閾値を超えて相関関係が活性化した計測位置同士を結んで表示した第1脳機能画像を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像を観察することによって、脳血流情報の計測位置と、相関関係が変化した計測位置とを把握することができる。その結果、脳血流情報の計測位置と、相関関係が変化した計測位置とを第1脳機能画像で把握することが可能となるので、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化および相関関係(機能的な結合)が変化した脳領域の位置を直感的に把握することができる。
また、第1脳機能画像を観察することにより、脳の形状を示すマップ上における脳機能相関情報の位置を把握することができる。その結果、脳の形状を示すマップ上において脳機能相関情報の位置を把握することが可能となるので、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化および相関関係(機能的な結合)が変化した脳領域の位置をより直感的に把握することできる。
また、第1脳機能画像を確認することにより、相関関係の変化量の違いを把握することができる。その結果、第1脳機能画像を確認することにより、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された計測位置を容易に把握することが可能となるので、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された脳の領域を容易に把握することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、脳機能画像生成部は、マップ上において、タスクの提示前後において相関関係が活性化された計測位置同士を接続線によって結んで表示した第1脳機能画像を生成するように構成されている。このように構成すれば、第1脳機能画像における計測位置同士の接続線を観察することにより、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された計測位置を容易に把握することができる。その結果、第1脳機能画像における計測位置同士の接続線により、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された計測位置を容易に把握することが可能となるので、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された脳の領域を容易に把握することができる。
【0014】
上記タスクの提示前後において相関関係が活性化された計測位置同士を接続線によって結んで表示した第1脳機能画像を生成する構成において、好ましくは、脳機能画像生成部は、タスクの提示前後において、第1脳機能画像における相関関係の活性化の程度が識別可能な第1脳機能画像を生成するように構成されている。このように構成すれば、第1脳機能画像を観察することにより、脳機能の相関関係の活性化の程度を認識することができる。その結果、第1脳機能画像において、脳機能の相関関係の活性化の程度が識別可能となっているので、第1脳機能画像を観察することにより、脳機能の相関関係の変化に加えて、脳機能の相関関係の活性化の程度を容易に、かつ、直感的に把握することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、脳機能画像生成部は、接続線の色または幅のうち、少なくとも一方を変更することにより、相関関係の活性化の程度を識別可能な第1脳機能画像を生成するように構成されている。このように構成すれば、第1脳機能画像において、脳機能の相関関係の活性化の程度を、接続線の色の違い、または接続線の幅の違いによって識別することが可能となるので、脳機能の相関関係の活性化の程度をより一層容易に、かつ、直感的に把握することができる。
【0016】
上記第1の局面における脳機能計測装置において、好ましくは、脳機能情報取得部は、タスクの提示前後における相関関係の差分値を取得することにより、脳機能相関情報を取得するように構成されている。このように構成すれば、タスク提示前後の相関関係の差分値を取得することにより、脳機能相関情報を取得することが可能となるので、脳機能相関情報を容易に取得することができる。
【0017】
上記第1の局面における脳機能計測装置において、好ましくは、脳機能画像生成部は、タスクの提示時の脳血流情報に基づいて取得したタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置を含む領域を視認可能な第2脳機能画像をさらに生成するように構成されており、脳機能画像生成部は、第1脳機能画像と第2脳機能画像とを対比可能に表示することが可能なように出力するように構成されている。このように構成すれば、第1脳機能画像と第2脳機能画像とを対比させて観察することができる。その結果、第1脳機能画像と第2脳機能画像とを比較することが可能となるので、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスクの提示における脳機能が活性化された領域とを直感的に把握することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、脳機能画像生成部は、第1脳機能画像と、第2脳機能画像とを重ねて表示可能に出力するように構成されている。このように構成すれば、第1脳機能画像と、第2脳機能画像とを重ねた画像を観察することができる。その結果、脳機能の相関関係の変化と、脳機能が活性化した計測位置を含む領域とを、1つの画像により観察することが可能となるので、脳機能の相関関係が変化した領域と、脳機能が活性化した領域との位置を対比しやすくすることができる。
【0019】
上記第1脳機能画像と第2脳機能画像とを対比可能に表示することが可能なように出力する構成において、好ましくは、脳機能画像生成部は、第1脳機能画像と、第2脳機能画像とを並べて表示可能に出力するように構成されている。このように構成すれば、第1脳機能画像と第2脳機能画像とを並べた状態でそれぞれの画像を観察することができる。その結果、それぞれの画像を並べて観察することが可能となるので、脳機能の相関関係が変化した領域の全体の分布と、脳機能が活性化した領域の全体の分布とを対比しやすくすることができる。
【0020】
上記第1脳機能画像と第2脳機能画像とを対比可能に表示することが可能なように出力する構成において、好ましくは、脳機能画像生成部は、第1脳機能画像の計測位置における脳機能相関情報の位置関係の表示態様と、第2脳機能画像におけるタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置を含む領域の表示態様とを異ならせて、第1脳機能画像および第2脳機能画像を生成するように構成されている。このように構成すれば、第1脳機能画像の計測位置における脳機能相関情報の位置関係の表示態様と、第2脳機能画像におけるタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置を含む領域の表示態様とが異なっているため、第1脳機能画像および第2脳機能画像を対比する場合でも、計測位置における脳機能相関情報の位置関係と、タスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置を含む領域とを区別することができる。その結果、たとえば、第1脳機能画像と第2脳機能画像とを重ねて表示した場合でも、脳機能相関情報の位置関係と脳機能が活性化された計測位置を含む領域とをそれぞれ区別した状態で観察することが可能となるので、医師等が被験者の脳機能を評価する際の画像の視認性を向上させることができる。
【0021】
この発明の第2の局面における脳機能計測装置は、被験者の脳血流情報を取得する脳血流情報取得部と、タスクの提示前後における脳血流情報に基づく脳の各々の部分同士の相関関係の相対変化を示す第1脳機能画像と、タスクの提示時における脳血流情報に基づく脳の機能が活性化された領域を示す第2脳機能画像を生成するとともに、第1脳機能画像と、第2脳機能画像とを対比可能に表示することが可能なように出力する脳機能画像生成部と、被験者の脳の形状を示すマップを取得する脳形状情報取得部と、を備え、脳機能画像生成部は、マップ上に脳血流情報の各々の計測位置が表示されるとともに、マップ上における相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報の位置が視認可能な第1脳機能画像を生成するように構成されている。
【0022】
この発明の第2の局面による脳機能計測装置では、上記のように、第1脳機能画像と第2脳機能画像を生成するとともに、第1脳機能画像と、第2脳機能画像とを対比可能に表示することが可能なように出力する脳機能画像生成部と、被験者の脳の形状を示すマップを取得する脳形状情報取得部と、を備え、脳機能画像生成部は、マップ上に脳血流情報の各々の計測位置が表示されるとともに、マップ上における相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報の位置が視認可能な第1脳機能画像を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像と第2脳機能画像とを対比させて観察することができる。その結果、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスク提示時における脳機能が活性化された計測位置を含む領域とを比較することが可能となるので、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスクの提示における脳機能の活性化とを直感的に把握することが可能な脳機能計測装置を提供することができる。また、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスクの提示における脳機能の活性化と対比させて観察することが可能となるので、タスクの提示による脳機能の相関関係の変化などの知見を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化および相関関係(機能的な結合)が変化した脳領域の位置を直感的に把握することが可能な脳機能計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態による脳機能計測装置の全体構成を示す模式図である。
【
図3】脳機能計測装置が脳機能の相関関係を取得する処理および第1脳機能画像を生成する処理を説明するための模式図である。
【
図4】タスク提示前後の脳機能の相関関係、脳機能相関情報および第1脳機能画像を説明するための模式図である。
【
図5】脳機能計測装置が脳機能画像表示部に出力する第1脳機能画像の模式図である。
【
図6】脳機能計測装置が第1脳機能画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】第2実施形態による脳機能計測装置が脳機能の相関関係を取得する処理、第1脳機能画像および第2脳機能画像を生成する処理を説明するための模式図である。
【
図8】タスク提示前後の脳機能の相関関係、脳機能相関情報、第1脳機能画像および第2脳機能画像を説明するための模式図である。
【
図9】第2実施形態による脳機能計測装置が生成する第1脳機能画像の模式図(A)、第2脳機能画像の模式図(B)および脳機能計測装置が脳機能画像表示部に出力する第3脳機能画像の模式図(C)である。
【
図10】第2実施形態による脳機能計測装置が第1脳機能画像、第2脳機能画像および第3脳機能画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】第3実施形態による脳機能計測装置が脳機能画像表示部に表示する第1脳機能画像の模式図(A)および第2脳機能画像の模式図(B)である。
【
図12】第1変形例による脳機能計測装置が生成する第1脳機能画像の模式図である。
【
図13】第2変形例による脳機能計測装置の全体構造を示す模式図である。
【
図14】第3変形例による脳機能計測装置の全体構造を示す模式図である。
【
図15】第2実施形態の変形例による脳機能計測装置が脳機能画像表示部に出力する第3脳機能画像の模式図(A)、第1脳機能画像の模式図(B)および第2脳機能画像の模式図(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1および
図2を参照して、本発明の第1実施形態による脳機能計測装置100の構成について説明する。
【0027】
(脳機能計測装置の構成)
まず、
図1を参照して、第1実施形態による脳機能計測装置100の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、脳機能計測装置100は、脳血流情報取得部1と、脳形状情報取得部2と、制御部3と、脳機能画像生成部7と、記憶部8とを備えている。
【0029】
脳機能計測装置100は、たとえば、近赤外分光法(NIRS)を用いて被験者Pの脳活動を光学的に計測し、時系列の計測結果データを生成する装置(光計測装置)である。
【0030】
第1実施形態では、脳機能計測装置100は、被験者Pが表示部4に表示されたタスクを実行している際の脳の活動およびタスクを実行する前後の脳活動を計測するように構成されている。表示部4は、たとえば、液晶モニタなどを含む。
【0031】
脳血流情報取得部1は、制御部3の制御の下で、被験者Pの脳血流情報d1を取得するように構成されている。脳血流情報取得部1の詳細な構成については後述する。
【0032】
脳形状情報取得部2は、脳形状情報取得装置6から、被験者Pの脳の形状を示すマップbmを取得するように構成されている。脳形状情報取得部2は、いわゆる入出力インターフェースとして構成されている。脳形状情報取得部2が取得する脳の形状を示すマップbmは、脳の形状を示す平面画像であってもよいし、脳の形状を示す3次元の画像であってもよい。
【0033】
脳形状情報取得装置6は、制御部3の制御の下で、被験者Pの脳の形状を示すマップbmを取得するように構成されている。脳形状情報取得装置6は、たとえば、核磁気共鳴画像装置(MRI装置)を含む。脳形状情報取得装置6は、制御部と、被験者Pに高周波の磁場を与える磁石と、高周波の磁場を与えられることにより被験者Pの体内の水素原子から生じた電波を取得するコイルと、取得した電波に基づいて、被験者Pの断層画像を生成する画像処理部と、画像処理部が生成した断層画像を表示する表示部とを含む。
【0034】
制御部3は、脳血流情報取得部1を介して、被験者Pの脳血流情報d1を取得するように構成されている。また、制御部3は、脳形状情報取得部2を介して、脳形状情報取得装置6によって取得された被験者Pの脳の形状マップbmを取得するように構成されている。また、制御部3は、脳血流情報取得部1によって被験者Pの脳血流情報d1を取得した際の計測位置情報d2を取得するように構成されている。また、制御部3は、タスクの提示前後における脳の相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報d3を取得する脳機能情報取得部30を含む。また、制御部3は、取得した脳血流情報d1、被験者Pの脳の形状マップbm、計測位置情報d2および脳機能情報取得部30が取得した脳機能相関情報d3を記憶部8に記憶するように構成されている。また、制御部3は、脳機能画像生成部7を制御して、第1脳機能画像20を生成させるように構成されている。制御部3は、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどから構成されるコンピュータであり、記憶部8に格納された各種プログラムを実行することにより、脳機能計測装置100の制御部3として機能するように構成されている。
【0035】
脳機能情報取得部30は、タスクの提示前後における脳の相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報d3を取得するように構成されている。記憶部8に記憶されたプログラムを制御部3が実行することにより、脳機能情報取得部30として機能するように構成されている。脳機能情報取得部30が脳機能相関情報d3を取得する詳細な構成については後述する。
【0036】
脳機能画像生成部7は、制御部3の制御の下で、第1脳機能画像20を生成するように構成されている。また、脳機能画像生成部7は、生成した第1脳機能画像20を、脳機能画像表示部40に表示可能に出力するように構成されている。脳機能画像生成部7が第1脳機能画像20を生成する詳細な構成については後述する。
【0037】
脳機能画像表示部40は、脳機能画像生成部7から出力された第1脳機能画像20を表示するように構成されている。脳機能画像表示部40は、たとえば、液晶モニタなどを含む。
【0038】
記憶部8は、制御部3が実行する制御プログラムや設定情報を格納するとともに、脳血流情報d1、脳の形状を示すマップbm、計測位置情報d2、脳機能相関情報d3などを記憶するように構成されている。記憶部8は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性のメモリなどを含む。
【0039】
(脳血流情報取得部の構成)
次に、
図2を参照して、脳血流情報取得部1の構成について説明する。
【0040】
脳血流情報取得部1は、光ファイバを介して接続された計測プローブ(送光プローブ10aおよび受光プローブ10b)を用いて、被験者Pの脳血流情報d1、を取得するように構成されている。
【0041】
図2に示すように、脳血流情報取得部1は、送光プローブ10aと、受光プローブ10bと、光出力部11と、光検出部12と、計測制御部13と、本体制御部14と、記憶部15と、入出力部16とを備えている。
【0042】
脳血流情報取得部1の送光プローブ10aおよび受光プローブ10bは、それぞれ、被験者Pの頭部に装着されたプローブ固定用のホルダ5に取り付けられることにより、被験者Pの頭部表面上の所定位置に配置される。なお、計測位置情報d2とは、送光プローブ10aおよび受光プローブ10bを配置した場所のことである。具体的には、計測位置情報d2は、送光プローブ10aおよび受光プローブ10bを配置した場所の座標値のことである。
【0043】
光出力部11は、近赤外光の波長領域で複数の計測光を送光プローブ10aに出力可能に構成されている。光出力部11は、たとえば、半導体レーザーを含む。光検出部12は、受光プローブ10bに入射した計測光を、光ファイバを介して取得し検出するように構成されている。光検出部12は、たとえば、光電子倍増管を含む。
【0044】
計測制御部13は、被験者Pの頭部に配置された計測プローブ(送光プローブ10aおよび受光プローブ10b)により脳機能計測を行う。本体制御部14は、CPUやメモリなどから構成されるコンピュータであり、記憶部15に格納された各種プログラムを実行することにより、脳血流情報取得部1の本体制御部14として機能するように構成されている。記憶部15は、たとえばHDDからなり、本体制御部14が実行する制御プログラムや設定情報を格納するとともに、計測の結果得られた脳血流情報d1を記憶することが可能である。また、入出力部16は、制御部3などの外部機器との接続用インターフェースである。
【0045】
光出力部11は、近赤外光の波長領域の計測光を被験者Pの頭部表面上に配置した送光プローブ10aから照射する。そして、光検出部12は、頭部内で反射した計測光を頭部表面上に配置した受光プローブ10bに入射させて検出することにより、計測光の強度(受光量)を取得する。送光プローブ10aおよび受光プローブ10bは、それぞれ複数設けられ、頭部表面上の所定位置に各プローブを固定するためのホルダ5に取り付けられる。計測制御部13は、複数波長(たとえば、780nm、805nmおよび830nmの3波長)の計測光の強度(受光量)とヘモグロビンの吸光特性とに基づいて、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビンおよび総ヘモグロビンの変化量を計測する。計測制御部13は、ヘモグロビンの変化量を取得することにより、被験者Pの脳血流情報d1を取得するように構成されている。脳血流情報取得部1は、取得した脳血流情報d1を、入出力部16を介して脳機能計測装置100の制御部3へ出力する。
【0046】
(脳血流情報の取得および第1脳機能画像の生成処理)
次に、
図3~
図5を参照して、脳機能情報取得部30が脳機能相関情報d3を取得する構成および脳機能画像生成部7が第1脳機能画像20を生成する構成について説明する。
【0047】
図3は、脳血流情報取得部1によって計測された脳血流情報d1に基づいて脳機能情報取得部30が脳機能相関情報d3を取得する処理、および、脳機能画像生成部7が第1脳機能画像20を生成する処理の流れを示した模式図である。なお、
図3に示す例では、脳機能情報取得部30が行う処理を実線で、脳機能画像生成部7が行う処理を破線で図示している。
【0048】
第1実施形態では、被験者Pの脳血流情報d1の計測は、被験者Pにタスクを提示している期間と、タスク提示前後におけるタスクを提示していない期間とを1セットとして繰り返し行うブロックデザインという手法により行う。
図3に示すタイミングチャートtcは、ブロックデザインの模式図であり、被験者Pにタスクを提示する前のタスク提示前レスト期間tc1と、タスク提示期間tc2と、タスク提示後レスト期間tc3とを含む。第1実施形態では、脳機能計測装置100は、所定時間のタスク提示前レスト期間tc1における被験者Pの脳血流情報d1を取得するように構成されている。また、第1実施形態では、脳機能計測装置100は、所定時間のタスク提示期間tc2における被験者Pの脳血流情報d1を取得するように構成されている。また、第1実施形態では、脳機能計測装置100は、所定時間のタスク提示後レスト期間tc3における被験者Pの脳血流情報d1を取得するように構成されている。
図3に示す例では、タスク提示前レスト期間tc1およびタスク提示後レスト期間tc3として、それぞれ8分間、被験者Pの脳血流情報d1を取得する例を示している。また、
図3に示す例では、タスク提示期間tc2として、10分間被験者Pにタスクを課している。
【0049】
脳機能情報取得部30は、タスク提示前レスト期間tc1における被験者Pの脳血流情報d1に基づいて、タスク提示前の被験者Pの脳の各々の部分同士の相関関係21(以下、第1相関関係21という)を取得するように構成されている。また、脳機能情報取得部30は、タスク提示後レスト期間tc3における被験者Pの脳血流情報d1に基づいて、タスク提示後の被験者Pの脳の各々の部分同士の相関関係22(以下、第2相関関係22という)を取得するように構成されている。脳機能情報取得部30が取得する第1相関関係21および第2相関関係22の具体例については後述する。なお、脳の各々の部分とは、脳血流情報d1を計測する脳の領域のことである。また、脳の各々の部分同士の相関関係とは、各領域間における相互相関の相関係数のことである。
【0050】
また、脳機能情報取得部30は、タスクの提示前後における脳の複数の部分において計測した脳血流情報d1に基づいて取得した脳の各々の部分同士の相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報d3を取得するように構成されている。具体的には、脳機能情報取得部30は、タスクの提示前後における相関関係の差分値を取得することにより、脳機能相関情報d3を取得するように構成されている。第1実施形態では、脳機能情報取得部30は、第2相関関係22から、第1相関関係21を減算することにより、脳機能相関情報d3を取得するように構成されている。
【0051】
また、第1実施形態では、
図3に示すように、脳機能画像生成部7は、脳機能相関情報d3と、脳の形状を示すマップbmとに基づいて、第1脳機能画像20を生成するように構成されている。
【0052】
次に、
図4を参照して、第1実施形態による脳機能計測装置100が取得する脳機能相関情報d3、および、脳機能計測装置100が生成する第1脳機能画像20の具体例について説明する。
【0053】
図4に示すように、第1実施形態では、脳機能情報取得部30は、第1相関関係21として、脳血流情報d1を取得した際の各計測位置23を縦軸および横軸とした第1マトリクス図m1を取得する。具体的には、脳機能情報取得部30は、計測位置23のそれぞれにおける脳血流情報d1に基づいて、各計測位置23における脳血流情報d1の相関係数を取得するように構成されている。脳機能情報取得部30は、取得した各計測位置23における脳血流情報d1の相関係数を、計測位置23の番号順に並べることにより、第1マトリクス図m1を取得する。
【0054】
また、脳機能情報取得部30は、第2相関関係22として、脳血流情報d1を取得した際の各計測位置23を縦軸および横軸とした第2マトリクス図m2を取得する。また、脳機能情報取得部30は、第1マトリクス図m1と第2マトリクス図m2との差分値を取得することにより、脳機能相関情報d3(第3マトリクス図m3)を取得する。脳機能情報取得部30は、第1マトリクス図m1と同様に第2マトリクス図m2および第3マトリクス図m3を取得する。脳機能相関情報d3(第3マトリクス図m3)は、タスクを実行することにより、タスク提示の前後で脳機能の相関関係が変化した計測位置23を表す情報である。また、第1実施形態では、脳血流情報d1の計測位置23を、マップbm上において四角形で図示している。
【0055】
各マトリクス図は、脳血流情報d1に基づいて各計測位置23における脳機能の相関関係の強度を表している。第1実施形態では、脳機能情報取得部30は、脳機能の相関関係の活性化の違いを色の違いにより表すように構成されている。具体的には、脳機能情報取得部30は、脳機能の相関関係が活性化していない場所を緑色で表示し、脳機能の相関関係の活性化が強くなるにつれて、黄色、オレンジ色、赤色に変更して表示するように構成されている。また、脳機能情報取得部30は、脳機能の相関関係の活性化が弱くなる(層機能の相関関係の変化がマイナスになる)場合、青色で表示するように構成されている。なお、脳機能の相関関係が活性化したとは、タスク提示前後において、脳機能の相関係数の変化が所定の閾値以上になったことである。
【0056】
図4に示すマトリクス図では、便宜上、脳機能の相関関係の活性化の強さの程度を、相関関係の強度を示す凡例L1に示すようなハッチングの濃さの違いにより表している。
図4に示す例では、ハッチングが濃くなるにつれて、脳機能の相関関係が活性化した例を示している。なお、
図4に示す各マトリクス図では、左上から右下に延びる対角線はハッチングが濃く示されている。この対角線は、各計測位置23自身の相関関係を示しており、タスクの提示前後およびタスクの提示時において相関関係が強くなり、常にハッチングが濃く表示される場所である。そのため、この対角線は、タスクの提示による脳機能の相関関係の変化を計測する際は用いることのないデータである。また、
図4に示す例では、各マトリクス図のハッチングが付与されていない場所は、タスクの提示前後において脳機能の相関関係の変化が少ないことを意味している。
【0057】
第1実施形態では、脳機能画像生成部7は、脳血流情報d1の計測位置23の各々の相対位置と、脳機能相関情報に基づいて取得された相関関係が変化した計測位置23とを視認可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。具体的には、脳機能画像生成部7は、脳機能相関情報d3と、脳の形状を示すマップbmと、計測位置情報d2とに基づいて、第1脳機能画像20を生成するように構成されている。
【0058】
(脳機能画像)
次に、
図5を参照して、第1実施形態による脳機能画像生成部7が生成する第1脳機能画像20について説明する。
【0059】
図5は、第1実施形態による脳機能画像生成部7が生成する第1脳機能画像20の模式図である。
図5に示すように、脳機能画像生成部7は、マップbm上に計測位置23が表示されるとともに、マップbm上における脳機能相関情報d3の位置が視認可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。具体的には、脳機能画像生成部7は、相関関係の変化量に基づいて、計測位置23の表示態様を異ならせて表示した第1脳機能画像20を生成するように構成されている。また、脳機能画像生成部7は、計測位置23と、脳機能相関情報に基づいて取得された相関関係が変化した2点間の計測位置23とを視認可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。具体的には、脳機能画像生成部7は、マップbm上において、タスクの提示前後において相関関係が活性化された計測位置23同士を接続線24で結んで表示した第1脳機能画像20を生成するように構成されている。なお、
図5に示す例では、接続線24を実線で図示しているが、接続線24は実線に限らない。たとえば、破線や鎖線などの接続線24により、計測位置23同士を結んで表示してもよい。脳機能の相関関係が活性化された計測位置23同士を結んで表示することが可能であれば、接続線24はどのような種類の線であってもよい。
【0060】
また、脳機能画像生成部7は、タスクの提示前後において、第1脳機能画像20における相関関係の活性化の程度が識別可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。具体的には、脳機能画像生成部7は、接続線24の幅を変更することにより、相関関係の活性化の程度を識別可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。
図5に示す例では、脳機能の相関関係の活性化の度合いに応じて、接続線24の太さを変更することにより、脳機能の相関関係の活性化の度合いを3段階で識別可能に表示している。すなわち、相関関係の活性化の度合いを示す凡例L2に示すように、接続線24a、接続線24b、接続線24cの順で、脳機能の相関関係の活性化が強くなる。
【0061】
また、第1実施形態では、脳機能画像生成部7は、脳機能の相関関係の活性化が所定の閾値を超えた場合に、相関関係が活性化した計測位置23同士を接続線24で結ぶように構成されている。これにより、第1脳機能画像20上に過剰な数の接続線24が表示されることを抑制することが可能となり、第1脳機能画像20の可読性を向上させることができる。
【0062】
(脳機能計測装置が脳機能画像を生成する処理)
次に、
図6を参照して、第1実施形態による脳機能計測装置100が第1脳機能画像20を生成する一連の処理について説明する。なお、
図6において、脳機能計測装置100以外(たとえば、医師等)がおこなう処理については、破線で図示している。
【0063】
ステップS1において、制御部3は、タスク提示前の脳血流情報d1を取得する。その後、ステップS2において、医師等は、表示部4にタスクを表示することにより、被験者Pにタスクを提示する。その後、処理はステップS3へ進む。なお、脳血流情報取得部1は、ステップS2においても、被験者Pの脳血流情報d1を取得している。
【0064】
ステップS3において、制御部3は、タスク提示後の脳血流情報d1を取得する。その後、ステップS4において、脳機能情報取得部30は、第1相関関係21を取得する。その後、ステップS5において、脳機能情報取得部30は、第2相関関係22を取得する。その後、処理はステップS6へ進む。なお、ステップS4における処理は、ステップS3の前に実行されていてもよいし、ステップS5が実行された後に行われてもよい。すなわち、ステップS4の処理は、処理がステップS6へ進む前に実行されればどのタイミングで行われてもよい。
【0065】
ステップS6において、脳機能情報取得部30は、第1相関関係21および第2相関関係22から、脳機能相関情報d3を取得する。その後、ステップS7において、脳機能画像生成部7は、脳機能相関情報d3と、脳の形状を示すマップbmとに基づいて、第1脳機能画像20を生成し、処理を終了する。
【0066】
なお、第1実施形態では、脳機能画像生成部7は、生成した第1脳機能画像20を、脳機能画像表示部40に出力するように構成されており、医師等は、脳機能画像表示部40に表示された第1脳機能画像20を観察することにより、タスク提示による被験者Pの脳機能の相関関係の変化を直感的に把握することができる。
【0067】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
第1実施形態では、上記のように、脳機能計測装置100は、被験者Pの脳血流情報d1を取得する脳血流情報取得部1と、タスクの提示前後における脳の複数の部分において計測した脳血流情報d1に基づいて取得した脳の各々の部分同士の相関関係の相対変化を示す脳機能相関情報d3を取得する脳機能情報取得部30と、脳血流情報d1の計測位置23の各々の相対位置と、脳機能相関情報に基づいて取得された相関関係が変化した計測位置23とを視認可能な第1脳機能画像20を生成する脳機能画像生成部7とを備える。これにより、第1脳機能画像20を観察することによって、脳血流情報d1の計測位置23と、相関関係が変化した計測位置23とを把握することができる。その結果、脳血流情報d1の計測位置23と、相関関係が変化した計測位置23とを第1脳機能画像20で把握することが可能となるので、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化および相関関係(機能的な結合)が変化した脳領域の位置を直感的に把握することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、被験者Pの脳の形状を示すマップbmを取得する脳形状情報取得部2をさらに備え、脳機能画像生成部7は、マップbm上に計測位置23が表示されるとともに、マップbm上における脳機能相関情報d3の位置が視認可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20を観察することにより、脳の形状を示すマップbm上における脳機能相関情報d3の位置を把握することができる。その結果、脳の形状を示すマップbm上において脳機能相関情報d3の位置を把握することが可能となるので、タスク提示前後における複数の所定領域間の脳領域の相関関係(機能的な結合)の変化および相関関係(機能的な結合)が変化した脳領域の位置をより直感的に把握することできる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部7は、相関関係の変化量に基づいて、計測位置23の表示態様を異ならせて表示した第1脳機能画像20を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20を確認することによって、相関関係の変化量の違いを把握することができる。その結果、第1脳機能画像20を確認することにより、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された計測位置23を容易に把握することが可能となるので、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された脳の領域を容易に把握することができる。
【0071】
また、上記第1実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部7は、計測位置23と、脳機能相関情報に基づいて取得された相関関係が変化した2点間の計測位置23とを視認可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20を確認することにより、相関関係が変化した計測位置23の組み合わせを容易に把握することができる。その結果、タスクの提示前後において、相関関係が変化した計測位置23の組み合わせを容易に把握することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部7は、マップbm上において、タスクの提示前後において相関関係が活性化された計測位置23同士を接続線24で結んで表示した第1脳機能画像20を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20における計測位置23同士の接続線24を観察することにより、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された計測位置23を容易に把握することができる。その結果、第1脳機能画像20における計測位置23同士の接続線24により、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された計測位置23を容易に把握することが可能となるので、タスク提示前後において脳機能の相関関係が活性化された脳の領域を容易に把握することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部7は、タスクの提示前後において、第1脳機能画像20における相関関係の活性化の程度が識別可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20を観察することにより、脳機能の相関関係の活性化の程度を認識することができる。その結果、第1脳機能画像20において、脳機能の相関関係の活性化の程度が識別可能となっているので、第1脳機能画像20を観察することにより、脳機能の相関関係の変化に加えて、脳機能の相関関係の活性化の程度を容易に、かつ、直感的に把握することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部7は、接続線24の幅を変更することにより、相関関係の活性化の程度を識別可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20において、脳機能の相関関係の活性化の程度を、接続線24の幅の違いによって識別することが可能となるので、脳機能の相関関係の活性化の程度をより一層容易に、かつ、直感的に把握することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、脳機能情報取得部30は、タスクの提示前後における相関関係の差分値を取得することにより、脳機能相関情報d3を取得するように構成されている。これにより、タスク提示前後の相関関係の差分値を取得することにより、脳機能相関情報d3を取得することが可能となるので、脳機能相関情報d3を容易に取得することができる。
【0076】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図7~
図9を参照して、本発明の第2実施形態による脳機能計測装置200(
図1参照)について説明する。タスク提示前後の脳血流情報d1から脳機能相関情報d3を取得し、脳機能相関情報d3と脳の形状を示すマップbmとに基づいて第1脳機能画像20を生成する第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、タスクの提示時の脳血流情報d1に基づいて取得したタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27(
図8参照)を視認可能な第2脳機能画像25(
図7参照)をさらに生成するとともに、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを対比可能に表示することが可能なように出力するように構成されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
(第2脳機能画像の処理)
まず、
図7を参照して、脳機能画像生成部31が第2脳機能画像25を生成する処理について説明する。なお、
図7に示すタイミングチャートtcは、
図3に示すタイミングチャートtcと同様であるため、詳しい説明を省略する。また、脳機能情報取得部30が第1相関関係21、第2相関関係22、脳機能相関情報d3を取得する処理、および、脳機能画像生成部31が、第1脳機能画像20を生成する処理は、上記第1実施形態における処理と同様であるため、詳しい説明を省略する。また、
図7においても、上位第1実施形態における
図3で示したように、脳機能情報取得部30が行う処理を実線で図示し、脳機能画像生成部31が行う処理を破線で図示している。
【0078】
図7に示すように、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、タスクの提示時の脳血流情報d1に基づいて取得したタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27を視認可能な第2脳機能画像25をさらに生成するように構成されている。なお、脳機能の活性化とは、脳領域において、脳血流量が増加することを意味する。
【0079】
また、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを対比可能に表示することが可能なように出力するように構成されている。具体的には、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20と、第2脳機能画像25とを重ねて表示可能に出力するように構成されている。第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20と、第2脳機能画像25とを重ねて表示した第3脳機能画像26(
図8参照)を、脳機能画像表示部40に出力するように構成されている。
【0080】
次に、
図8を参照して、第2実施形態による脳機能計測装置200が生成する第2脳機能画像25および脳機能計測装置200が出力する第3脳機能画像26の具体例について説明する。なお、脳機能情報取得部30が取得する第1マトリクス図m1、第2マトリクス図m2および第3マトリクス図m3については、上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
図8に示すように、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、タスク提示期間tc2における脳血流情報d1と、脳の形状を示すマップbmとに基づいて、第2脳機能画像25を生成する。また、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを重畳した第3脳機能画像26を生成するように構成されている。また、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、第3脳機能画像26を脳機能画像表示部40に出力するように構成されている。
【0082】
(脳機能画像)
次に、
図9を参照して、第2実施形態による脳機能画像生成部31が生成する第1脳機能画像20、第2脳機能画像25および脳機能画像生成部31が脳機能画像表示部40に出力する第3脳機能画像26について説明する。なお、第1脳機能画像20については、上記第1実施形態における脳機能画像生成部7が生成する第1脳機能画像20と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0083】
図9(A)は、脳機能画像生成部31が生成する第1脳機能画像20の模式図である。
図9(B)は、脳機能画像生成部31が生成する第2脳機能画像25の模式図である。
図9(C)は、脳機能画像生成部31が出力する第3脳機能画像26の模式図である。
【0084】
図9(B)に示すように、脳機能画像生成部31は、マップbm上に計測位置23が表示されるとともに、タスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27を視認可能な第2脳機能画像25を生成するように構成されている。第2実施形態では、脳機能情報取得部30は、脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27を色つきの円で表すように構成されている。また、脳機能情報取得部30は、脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27の色の違いにより、脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27における脳機能の活性化の度合いを示している。具体的には、脳機能情報取得部30は、脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27の色を、脳機能の活性化が強くなるにつれて、緑色、オレンジ色、赤色に変更して表示するように構成されている。
【0085】
図9(B)に示す例では、便宜上、脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27を、ハッチングを付した円で図示している。また、
図9(B)に示す例では、脳機能画像生成部31は、ハッチングの濃さによって、脳機能の活性化の度合いを表している。すなわち、
図9(B)に示す例では、脳機能の活性化の度合いを示す凡例L3に示すように、ハッチングが濃くなるにつれて、脳機能が活性化したことを示している。
図9(B)に示す例では、脳機能の活性化の度合いに応じて、脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27のハッチングの濃さを変更することにより、脳機能の活性化の度合いを3段階で識別可能に表示している。すなわち、領域27a、領域27b、領域27cの順で、脳機能の活性化が強くなる。
【0086】
また、
図9(A)および
図9(B)に示すように、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20の計測位置23における脳機能相関情報d3の位置関係の表示態様と、第2脳機能画像25におけるタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27の表示態様とを異ならせて、第1脳機能画像20および第2脳機能画像25を生成するように構成されている。具体的には、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20の計測位置23における脳機能相関情報d3の位置関係を接続線24で表示するように構成されている。また、脳機能画像生成部31は、第2脳機能画像25におけるタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27を、円形の領域で表示するように構成されている。したがって、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、接続線24と円形の領域27とを用いることにより、脳機能相関情報d3の位置関係と、タスク提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27との表示態様を異ならせた第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを生成することができる。
【0087】
図9(C)に示す例は、脳機能画像生成部31が、脳機能画像表示部40に出力する第3脳機能画像26の例である。
図9(C)に示すように、第3脳機能画像26は、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とが重ねて表示された画像である。したがって、第3脳機能画像26では、タスクの提示前後において脳機能の相関関係が活性化した計測位置23と、タスク提示期間tc2において脳機能が活性化した計測位置23を含む領域27とを、1つの画像上において確認することができる。
【0088】
(脳機能計測装置が脳機能画像を生成する処理)
次に、
図10を参照して、第2実施形態による脳機能計測装置200が第1脳機能画像20、第2脳機能画像25および第3脳機能画像26を生成する一連の処理について説明する。なお、ステップS1、ステップS3~S7については、上記第1実施形態における各ステップと同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0089】
ステップS1において、制御部3は、タスク提示前の脳血流情報d1を取得する。その後、ステップS8において、制御部3は、タスク提示期間tc2における被験者Pの脳血流情報d1を取得する。その後、処理はステップS3~ステップS7へと進み、脳機能画像生成部31は第1脳機能画像20を生成する。その後、処理はステップS9へ進む。
【0090】
ステップS9において、脳機能画像生成部31は、タスク提示期間tc2における脳血流情報d1と、脳の形状を示すマップbmとに基づいて、第2脳機能画像25を生成する。その後、ステップS10において、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20および第2脳機能画像25に基づいて第3脳機能画像26を生成し、処理を終了する。なお、ステップS9の処理は、ステップS8の処理を行った後であれば、どのタイミングで行ってよい。第3脳機能画像26を生成する前であれば、どのタイミングであってもよい。
【0091】
また、第2実施形態では、脳機能画像生成部31は、第3脳機能画像26を脳機能画像表示部40に出力するように構成されており、医師等は、脳機能画像表示部40に表示された第3脳機能画像26を観察することにより、タスク提示による被験者Pの脳機能の相関関係の変化およびタスク提示期間tc2における脳機能が活性化した計測位置23を含む領域27を直感的に把握することができる。
【0092】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0093】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0094】
第2実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部31は、タスクの提示時の脳血流情報d1に基づいて取得したタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27を視認可能な第2脳機能画像25をさらに生成するように構成されており、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを対比可能に表示することが可能なように出力するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを対比させて観察することができる。その結果、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを比較することが可能となるので、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスクの提示における脳機能が活性化された領域27とを直感的に把握することができる。
【0095】
また、第2実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20と、第2脳機能画像25とを重ねて表示可能に出力するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20と、第2脳機能画像25とを重ねた第3脳機能画像26を観察することができる。その結果、脳機能の相関関係の変化と、脳機能が活性化した計測位置23を含む領域27とを、1つの画像により観察することが可能となるので、脳機能の相関関係が変化した領域と、脳機能が活性化した領域27との位置を対比しやすくすることができる。
【0096】
また、第2実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20の計測位置23における脳機能相関情報d3の位置関係の表示態様と、第2脳機能画像25におけるタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27の表示態様とを異ならせて、第1脳機能画像20および第2脳機能画像25を生成するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20の計測位置23における脳機能相関情報d3の位置関係の表示態様と、第2脳機能画像25におけるタスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27の表示態様とが異なっているため、第1脳機能画像20および第2脳機能画像25を対比する場合でも、計測位置23における脳機能相関情報d3の位置関係と、タスクの提示時の脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27とを区別することができる。その結果、たとえば、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを重ねて表示した場合でも、脳機能相関情報d3の位置関係と脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27とをそれぞれ区別した状態で観察することが可能となるので、医師等が被験者Pの脳機能を評価する際の画像の視認性を向上させることができる。
【0097】
また、第2実施形態では、上記のように、脳機能計測装置200は、被験者Pの脳血流情報d1を取得する脳血流情報取得部1と、タスクの提示前後における脳血流情報d1に基づく脳の各々の部分同士の相関関係の相対変化を示す第1脳機能画像20と、タスクの提示時における脳血流情報d1に基づく脳の機能が活性化された領域27を示す第2脳機能画像25を生成するとともに、第1脳機能画像20と、第2脳機能画像25とを対比可能に表示することが可能なように出力する脳機能画像生成部31とを備える。これにより、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを対比させて観察することができる。その結果、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスク提示時における脳機能が活性化された計測位置23を含む領域27とを比較することが可能となるので、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスクの提示における脳機能の活性化とを直感的に把握することが可能な脳機能計測装置200を提供することができる。また、タスク提示前後における脳機能の相関関係の変化と、タスクの提示における脳機能の活性化と対比させて観察することが可能となるので、タスクの提示による脳機能の相関関係の変化などの知見を得ることができる。
【0098】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0099】
[第3実施形態]
次に、
図1および
図11を参照して、本発明の第3実施形態による脳機能計測装置300(
図1参照)について説明する。第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを重ねて対比可能に表示することが可能なように出力する第2実施形態とは異なり、第3実施形態では、脳機能画像生成部32は、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを並べて表示可能に脳機能画像表示部40に出力するように構成されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0100】
図11に示すように、第3実施形態による脳機能画像生成部32は、第1脳機能画像20と、第2脳機能画像25とを並べて表示可能に出力するように構成されている。なお、
図11に示す例では、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを横に並べて表示している。第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とは、向きが同一であれば、横に並べてもよいし、縦に並べてもよい。また、同一画面上に第1脳機能画像20および第2脳機能画像25を並べて表示してもよいし、それぞれ別画面に表示した第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを並べて表示してもよい。
【0101】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0102】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0103】
第3実施形態では、上記のように、脳機能画像生成部32は、第1脳機能画像20と、第2脳機能画像25とを並べて表示可能に出力するように構成されている。これにより、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを並べた状態でそれぞれの画像を観察することができる。その結果、それぞれの画像を並べて観察することが可能となるので、脳機能の相関関係が変化した領域の全体の分布と、脳機能が活性化した領域27の全体の分布とを対比しやすくすることができる。
【0104】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0105】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0106】
たとえば、上記第1から第3実施形態では、脳機能画像生成部7(脳機能画像生成部31、脳機能画像生成部32)が、脳機能の相関関係の活性化の程度を、接続線24の幅を変えることにより識別可能な第1脳機能画像20を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳機能画像生成部7は、接続線24の色を変えることにより、脳機能の相関関係の活性化の程度を識別可能な第1脳機能画像20を生成するように構成されていてもよい。接続線24の色を変えることにより脳機能の相関関係の活性化の程度を識別可能な第1脳機能画像20を生成する場合、たとえば、脳機能の相関関係の活性化が強くなるにつれて、接続線24の色を、緑色、黄色、赤色に表示してもよい。脳機能の相関関係の活性化の程度を識別可能な第1脳機能画像20であれば、接続線24をどのように表示してもよい。
【0107】
また、上記第1から第3実施形態では、脳形状情報取得装置6としてMRI装置を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳形状情報取得装置6として、断層画像装置(CT装置)を用いてもよい。被験者Pの脳の形状を示すマップbmを得ることができれば、脳形状情報取得装置6として用いる装置はどのような装置であってもよい。
【0108】
また、上記第1から第3実施形態では、各マトリクス図(第1マトリクス図m1、第2マトリクス図m2、および第3マトリクス図m3)において、脳機能の相関関係の活性化の違いを色の違いにより示しているが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳機能の相関関係の活性化の違いを、
図4に示すようなハッチングの違いにより表してもよい。脳機能の相関関係の活性化を確認することが可能であれば、どのように表示してもよい。
【0109】
また、上記第1から第3実施形態では、脳機能計測装置100(脳機能計測装置200、脳機能計測装置300)がNIRSを用いて脳血流情報d1を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳機能計測装置100(脳機能計測装置200、脳機能計測装置300)は、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)やSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)などにより脳血流情報d1を取得するように構成されていてもよい。
【0110】
また、上記第1から第3実施形態では、脳形状情報取得部2を含み、脳機能画像生成部7(脳機能画像生成部31、脳機能画像生成部32)が、脳機能相関情報d3と、脳の形状を示すマップbmとを用いて第1脳機能画像20を生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳形状情報取得部2を含まない構成であってもよい。脳形状情報取得部2を含まない場合、脳機能画像生成部7(脳機能画像生成部31、脳機能画像生成部32)は、たとえば、
図12に示すように、脳血流情報d1の計測位置23と、脳機能相関情報d3とを用いて第1脳機能画像20を生成するように構成されていてもよい。
【0111】
また、上記第1から第3実施形態では、脳血流情報取得部1が脳血流情報d1を取得する脳血流情報取得装置である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図13に示すように、脳機能計測装置100(脳機能計測装置200、脳機能計測装置300)と、脳血流情報取得装置9と、脳形状情報取得装置6とを備える、脳機能計測システム400として構成されていてもよい。すなわち、脳機能計測装置100(脳機能計測装置200、脳機能計測装置300)は、脳血流情報取得装置9を備えていなくてもよい。脳機能計測システム400として構成されている場合、脳血流情報取得部1は、脳血流情報取得装置9が取得した脳血流情報d1を取得する入出力インターフェースとして構成すればよい。
【0112】
また、上記第1から第3実施形態では、脳血流情報取得部1が脳血流情報取得装置9であり、脳形状情報取得部2が入出力インターフェースである構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図14に示すように、脳機能計測装置500は、脳血流情報取得装置9と、脳形状情報取得装置6と、制御部3とを含むように構成されていてもよい。脳機能計測装置500が脳血流情報取得装置9と脳形状情報取得装置6とを含む場合、制御部3は、脳血流情報取得装置9および脳形状情報取得装置6から、脳血流情報d1および脳の形状を示すマップbmを取得するように構成すればよい。
【0113】
また、上記第2実施形態では、脳機能画像生成部31が、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを重ねた第3脳機能画像26を脳機能画像表示部40に出力する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳機能画像生成部31は、脳機能画像表示部40に対して、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを出力するように構成されており、脳機能画像表示部40において、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを重ねて表示するように構成されていてもよい。
【0114】
また、上記第2実施形態では、脳機能画像生成部31が、第1脳機能画像20と第2脳機能画像25とを重ねた第3脳機能画像26を脳機能画像表示部40に出力する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図15に示すように、脳機能画像生成部31は、第1脳機能画像20、第2脳機能画像25および第3脳機能画像26を並べて表示可能に、脳機能画像表示部40に出力するように構成されていてもよい。
【0115】
また、上記第1から第3実施形態では、タスク提示前レスト期間tc1およびタスク提示後レスト期間tc3が8分であり、タスク提示期間tc2が10分の例を示したが、本発明はこれに限られない。タスク提示前レスト期間tc1、タスク提示期間tc2、およびタスク提示後レスト期間tc3の時間は、それぞれ任意の時間に設定すればよい。
【0116】
また、上記第1実施形態では、脳血流情報取得部1が、タスク提示期間tc2における脳血流情報d1を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳血流情報取得部1は、タスク提示期間tc2における脳血流情報d1を取得しなくてもよい。
【0117】
また、上記第1から第3実施形態では、脳機能情報取得部30が第1相関関係21と第2相関関係22との差分値を取得することにより、脳機能相関情報d3を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、脳機能情報取得部30は、第1相関関係21と第2相関関係22との比率を取得することにより、脳機能相関情報d3を取得するように構成されていてもよい。タスク提示前後における脳機能の相関関係の相対変化を習得することが可能であれば、脳機能情報取得部30はどのように構成されていてもよい。
【0118】
また、上記第1から第3実施形態では、脳機能画像生成部7(脳機能画像生成部31、脳機能画像生成部32)が、脳機能の相関関係の活性化の度合いを、3段階で識別可能な第1脳機能画像20を生成する構成を示したが、本発明はこれに限られない。脳機能の相関関係の活性化の度合いは、何段階で示されてもよい。
【0119】
また、上記第2および第3実施形態では、脳機能画像生成部31(脳機能画像生成部32)が、タスクの提示における脳機能が活性化した領域27の活性化の度合いを3段階で識別可能な第2脳機能画像25を生成する構成を示したが、本発明はこれに限られない。タスクの提示における脳機能が活性化した領域27の活性化の度合いは、何段階で示されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 脳血流情報取得部
2 脳形状情報取得部
7、31、32 脳機能画像生成部
20 第1脳機能画像
23 計測位置
24 接続線
25 第2脳機能画像
30 脳機能情報取得部
100、200、300、500 脳機能計測装置
bm 脳の形状を示すマップ
d1 脳血流情報
d3 脳機能相関情報
P 被験者